JP2005087826A - ナノハニカム触媒およびその製造方法 - Google Patents

ナノハニカム触媒およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 表面積が大きく、かつ触媒成分が高分散されたナノハニカム触媒を提供する。
【解決手段】 ナノハニカム内壁に、貴金属粒子、卑金属粒子と担体成分とが被覆されたナノハニカム触媒である。貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)に、貴金属イオンの不溶化剤を添加し、次いで該溶液に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)を混合し、更に卑金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する。該工程によれば、微粒子の貴金属や卑金属を高分散させることができ、しかもアルミナなどの担体成分を薄層に担持させることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ナノ細孔を有するハニカムに触媒成分が塗布されたナノハニカム触媒および、ナノ細孔を有するハニカムに逆ミセル溶液を用いて触媒成分を担持する、ナノハニカム触媒の製造方法に関する。
貴金属を触媒成分とし、これを担体成分に担持した触媒は、酸化あるいは還元反応、あるいは、化学合成用の触媒として広範に利用されている。最近では、活性成分である貴金属の粒子径と反応ガス成分との接触頻度を増大するため、貴金属粒子サイズを数nm、例えば10nm以下に小さくし、粒子表面積を大きくすることが求められている。また、触媒成分層と反応ガス成分との反応効率を増大するために、該触媒に助触媒成分として他の成分を混合・粉砕し、得られたスラリーをコージェライト質ハニカム担体に塗布し、乾燥・焼成したものもある。
しかしながら、従来の含浸法や浸漬法、沈殿法などで使用する触媒成分や助触媒成分としては、無機酸化物粉末や貴金属粉末などが使用され、これらの粒子サイズは数μm〜数100μmである。このため、ボールミルなどの手段で粉砕・スラリー化した後も、一般に1μm〜数μmの粒子サイズとなり、数μm〜数10μmの細孔構造を有すコージェライト質ハニカム担体に塗布すると、触媒層は必然的に数μm〜数10μmの厚みとなる。
また、触媒活性成分と反応ガス成分との反応効率を増大して活性向上を図るには、貴金属粒子サイズを数nm程度に小さくし粒子表面積を大きくし、さらに、触媒成分塗布層の厚みを数10nm〜数100nm程度に薄くして、触媒層内のガス拡散抵抗を小さくすることも有効である。
しかしながら、従来のハニカム触媒では、触媒活性種と反応ガス成分との反応効率が不十分である。すなわち本発明の目的は、従来の製造方法でマイクロ細孔構造のハニカム担体に触媒成分層を塗布することに代り、逆ミセル溶液を使用してナノ細孔構造のハニカム担体に触媒成分層を形成し、触媒成分層と反応ガス成分との反応効率を増大して活性向上を図ることにある。
上記目的を達成するため、ハニカム担体として規則的なナノ細孔を有するハニカムに、数nmの貴金属粒子と担体成分とを担持させた構造にすることで、触媒活性の向上を図ることができる。貴金属粒子と共に助触媒として卑金属を担持すると、更に耐熱性に優れるナノハニカム触媒とすることができる。
このようなナノハニカム触媒は、ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液に、該貴金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで金属担体成分アルコキシド溶液あるいは金属担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することで調製することができる。
本発明のナノハニカム触媒によれば、触媒成分である貴金属微粒子がナノハニカムに薄層に担持されており、触媒活性を高めることができる。該触媒は、触媒成分に加えて助触媒として卑金属も担持すると、活性成分と反応ガス成分との反応効率の向上、さらに、触媒層内のガス拡散速度による反応効率の向上を図ることができる。
本発明のナノハニカム触媒の製造方法によれば、逆ミセル法を用いて調製した貴金属コロイドと卑金属水酸化物とを含有したミセルを、規則的なナノ細孔構造を有すハニカム担体の細孔内壁上に付着した後にアルミニウム担体成分アルコキシド等の担体成分を添加することで、ナノハニカム上に貴金属、卑金属が担持されたアルミナを薄層でナノハニカムに担持することができる。これを、乾燥・焼成すると、規則的なナノ細孔構造を有すハニカム担体内に、ナノサイズの触媒成分を形成した触媒が調製できる。
該発明によれば、従来困難であったナノハニカムへの貴金属微粒子の担持が容易であり、しかも逆ミセル溶液を使用するため、触媒粒子の組成を均一化できる。該方法では、貴金属微粒子に加えて助触媒成分として例えば卑金属を担持させることも容易である。不活性ガス雰囲気下で焼成工程を経た後も、貴金属合金粒子が凝集やシンタリングすることなく高分散に担持することができ、さらに性能を向上できる。
本発明の第一は、ナノハニカム内壁に、貴金属粒子と担体成分とが被覆されたナノハニカム触媒である。ナノハニカム内壁に、更に卑金属酸化物が被覆されていてもよい。該ナノハニカムは、メタル箔表面に形成されたナノハニカムであることが好ましい。
従来からハニカム触媒は存在したが、ナノ細孔のハニカムに触媒成分を担持したものは存在しなかった。これは、ナノハニカムに担持できるほど触媒成分を微粒子に調製することができないことが原因であった。すなわち、一般には貴金属などの触媒成分をアルミナ等の担体成分と混合して触媒スラリーを調整し、該スラリーをハニカムに含浸または塗布して触媒成分をハニカムに担持させていたが、ボールミルなどの手段で粉砕・スラリー化した後も、1〜数μmの粒子サイズとなるため、ハニカム内に目詰まりするためである。
しかしながら本発明のナノハニカム触媒は、貴金属コロイドを含む逆ミセル溶液をナノハニカムの細孔に被覆し、次いで、不溶化処理を施した後、更に該担体成分アルコキシドを該ナノハニカムに添加し加水分解反応を経て貴金属粒子を担体成分に担持させ、該ナノハニカムを洗浄、乾燥および焼成してなるナノハニカム触媒である。貴金属と担体成分とを含むスラリーを使用することなく、まず貴金属コロイドを含む逆ミセル溶液を使用することで極めて微粒子の貴金属をナノハニカムに均一に担持させることができる。逆ミセル溶液の調製方法や適宜については第二の発明で詳記するが、界面活性剤の種類や添加量を調整することでミセルサイズを変化させることができ、該ミセルサイズに準じてミセル内の金属イオンが凝集する。このため、ミセルサイズを微細にして貴金属粒子径をより微細にすることができるのである。しかも、貴金属の担持はミセルサイズに制限されるため均一な担持が可能となる。
該触媒成分を担持する担体成分としては、アルミニウム、シリコン、チタニウム、セリウム、ジルコニウム、バナジウム、およびタングステンがあるが、特に、アルミニウムアルコキシドなどの担体成分アルコキシドが望ましい。担体成分アルコキシドの種類や添加方法なども第二の発明で詳記するが、ここでは該担体成分アルコキシドを使用する原理を簡単に説明する。まず、貴金属コロイドや卑金属の水溶性化合物を含む逆ミセル溶液をナノハニカム細孔内に均一に付着させる。次いで、該担体成分アルコキシドを添加すると、ナノハニカム表面に均一に付着した逆ミセル内の水(可溶化水)でアルコキシドが加水分解され担体水酸化物を生成する。このナノハニカムを洗浄、乾燥および焼成すると、貴金属粒子と卑金属酸化物(助触媒成分の酸化物)が担体成分酸化物に担持される。
具体的にアルミニウムイソプロポキシドなどのアルミニウム担体成分アルコキシドを例にすると、貴金属コロイドや卑金の水溶性化合物を含む逆ミセル溶液をナノハニカム細孔内に均一に付着させる。次いで、該担体成分アルミニウムイソプロポキシドを添加すると、ナノハニカム表面に均一に付着した逆ミセル内の水(可溶化水)でアルミニウムイソプロポキシドが加水分解され担体水酸化アルミニウムを生成する。ナノハニカム上(細孔内の表面)は、貴金属粒子と卑金属水酸化物を含有する水酸化アルミニウムによって均一に被覆される。これを焼成すると、卑金属水酸化物が酸化物に、水酸化アルミニウムがアルミナとなり、貴金属粒子と卑金属酸化物(助触媒成分の酸化物)がアルミナに担持された触媒成分層が形成される。よって、規則的なナノ細孔構造を有するハニカム担体内に、厚さがナノサイズに制御された貴金属、卑金属およびアルミナを担持したナノハニカム触媒となる。このような方法で調製されたナノハニカム触媒は、貴金属、卑金属、担体成分が均一かつ薄層に高分散され、従来全く存在しないものである。
本発明のナノハニカム触媒を構成するナノハニカムは、ナノ細孔を有するハニカムであり、材質は問わない。しかしながら、ハニカム構造の形成のしやすさからアルミニウム、などのメタルであることが好ましい。特に、メタル箔表面に形成されたナノハニカムであることが好ましい。このようなナノハニカムとしては、例えば酸にアルミニウムの入った液体を入れて電圧をかけて表面に酸化膜を形成すると微細な穴を持った酸化被膜が成長することを利用して調製されたものが使用できる。例えば図1に示すように、予めメタル箔上に規則性の有る格子状に小さな点あるいは格子状の網目を打ったものを用い、これを酸にアルミニウムが溶解した溶液に浸漬し、電解反応にてメタル箔上にアルミニウムの酸化膜を形成すると、格子点あるいは網目に沿って酸化膜が成長し、これが壁となったナノ細孔を有するハニカムとなる。縦横に等間隔に点を打つと四角格子に、三角形の頂点に点を打てば三角格子に、六角形の頂点に点を打てば六角格子が規則的に並んだハニカム構造になる。なお、本発明のナノハニカムとは、細孔を形成するハニカム格子の断面積が、幾何学的表面積が、10〜50cm/cmのものをいう。
本発明のナノハニカム触媒は、貴金属コロイドを含む逆ミセル溶液をナノハニカムの細孔に分散し、これに更に担体成分を添加して、ナノハニカム細孔内の逆ミセル内で貴金属担持水酸化物を形成し、該ナノハニカムを洗浄、乾燥および焼成する工程によって、該ナノハニカム細孔内に貴金属担持触媒(酸化物)層が調製されるものである。貴金属コロイドを含む逆ミセル溶液には、平均粒子径が1〜10nmの貴金属粒子をコロイド状に含むため、このような超微粒子の貴金属をナノハニカムに担持させることができる。この際、該逆ミセル溶液に卑金属イオンが含まれると、貴金属と卑金属酸化物とを担持した担体成分をナノハニカムに担持させることができる。なお、焼成処理により、貴金属と卑金属の合金を担持した担体成分をナノハニカムに担持することもできる。合金とは、一般に金属元素に1種以上の金属元素または非金属元素を加えたものであって、金属的性質をもっているものの総称である。合金の組織には、成分元素が別個の結晶となるいわば混合物である共晶合金、成分元素が完全にとけ合い固溶体となっているもの、成分元素が金属間化合物または金属と非金属との化合物を形成しているものなどがあり、本願ではいずれであってもよい。
本発明のナノハニカム触媒を構成する貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である。ナノハニカム触媒には、貴金属粒子として担持されても、焼成によって貴金属酸化物粒子として担持されていてもよい。また、二種の貴金属の合金粒子として担持されていてもよい。
また、卑金属としては、セリウム、プラセオジウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。ナノハニカム触媒には、卑金属粒子として担持されても、焼成によって卑金属酸化物粒子として担持されていてもよい。また、貴金属との合金粒子として担持されていてもよい。
更に、該ナノハニカム触媒には、貴金属や卑金属の担体成分も担持される。このような担体成分としては、アルミニウム、シリコン、チタニウム、セリウム、ジルコニウム、タングステンなどがある。
本発明のナノハニカム触媒に担持する貴金属粒子、卑金属粒子、または貴金属と卑金属とからなる合金粒子の平均粒子径は、1〜10nm、より好ましくは2〜5nmである。平均粒子径がこの範囲であれば、触媒活性に十分な表面積が確保でき、貴金属の単位質量当たりの触媒活性量を増大させることができる。なお、本発明において触媒金属の平均粒子径とは、X線回析における触媒金属の回析ピークの半値幅より求められる結晶子径や透過型電子顕微鏡より調べられる触媒金属の粒子径の平均値で算出することができる。
なお、本発明のナノハニカム触媒において、担持する金属量は、貴金属と卑金属との合計量として、金属量がナノハニカムあたり0.1〜20g/liter、より好ましくは1〜10g/literである。金属の坦持量が、0.1g/liter未満では充分な活性や耐久性が得られない。また、20g/literを超えると均一に分散し難く、触媒金属粒子の高分散坦持が困難となる。本発明のナノハニカム触媒は、本発明の第二によって製造することができる。
本発明の第二は、ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液に、該貴金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法である。逆ミセル法を使用することで析出する貴金属粒子の大きさを調整することができ、より微細な貴金属粒子を担持させることができる。また、逆ミセル溶液を使用することで、担体表面に略等間隔で金属粒子を担持させることができる。
本発明で使用する「逆ミセル溶液」とは、有機溶媒に界面活性剤分子等の両親媒性物質を混合して形成される該両親媒性物質が集合して形成されるミセルを含有し、かつ該ミセル内に貴金属イオン水溶液および/または卑金属イオン水溶液を含有する溶液である。有機溶媒相内で疎水性基を外側すなわち有機溶媒相側に向け、親水性基を内側に向けて配向し、疎水性基と親水性基の配向が水性溶媒相の場合と逆であるため、逆ミセル溶液とする。逆ミセル溶液を模式的に示す図が図2である。このような逆ミセル溶液は、界面活性剤を有機溶媒に溶解した溶液に水溶液を加えて撹拌して調製することができる。親水性基が集まった部分には水などの極性分子を保持する能力がある。該水溶液は、直径10〜100nm程度の極めて小さな水滴となって有機溶媒中に安定に分散するが、注入した水と界面活性剤のモル比によって逆ミセルの微細組織の大きさを制御することができる。
例えば、ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液に、該貴金属イオンの不溶化剤を添加すると、ミセル内部で貴金属イオンが貴金属に不溶化剤され、コロイド状の貴金属粒子となる。貴金属イオンの不溶化剤は、水溶液として添加しても、該不溶化剤をミセル内部に含有する逆ミセル溶液として添加してもよい。図3に、不溶化剤を逆ミセル溶液で添加する場合を模式図に示す。まず、図3(A)に示すように、有機溶媒1に界面活性剤2を混合し、これに貴金属イオン水溶液を加えると、親水性基3を内側に疎水性基4を外側にするミセル5が形成され、ミセル内部に貴金属イオン水溶液が内包される。貴金属イオン水溶液に代えて不溶化剤水溶液を使用すると、図3(B)に示す不溶化剤水溶液を内包するミセル6が生成される。この両逆ミセル溶液を混合すると、逆ミセル同士が結合してミセル内で不溶化剤反応が進行し(図3(c))、さらに不溶化剤粒子7を熟成するとミセルサイズによって制御されたコロイド状の貴金属を含有するミセル8を得ることができる(図3(D))。ミセル内部では貴金属の超微粒子の分散性に優れ、二種以上の貴金属イオンを含有させた場合にも極めて均一な組成の貴金属超微粒子が得られる。
本発明における貴金属イオンとは、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の貴金属イオンである。これらの中でも、白金、パラジウムを使用することが好ましい。触媒活性に優れるからである。これらのイオンの供給源としては特に制限されず広くこれらのイオンを含有する化合物を使用することができる。このような化合物としては、上記貴金属の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンミン錯体などが例示でき、これらを溶解する溶媒の種類やpHなどによって適宜選択することができる。これらの中でも、工業的に使用するには硝酸塩、硫酸塩、塩化物、アンミン錯体などが好ましい。これらの貴金属イオン濃度は、金属換算で0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20質量%である。
本発明において「不溶化剤」とは、ミセル内部の貴金属イオンを貴金属粒子にできるものやミセル内部の卑金属イオンを水酸化物などに不溶化し、沈殿にできるものを広く使用できる。これらは、使用する貴金属や卑金属によって適宜選択することができる。例えば、貴金属と反応してミセル内で粒子を生成させる水素、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウム等の還元剤や、卑金属と反応してミセル内で沈殿を発生させるアンモニア、アンモニウム塩水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ及びアルカリ土類金属化合物の水溶液などの沈殿剤など挙げられる。
具体的には、貴金属イオンの還元剤としては、水素、ヒドラジン、ホウ素化水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアルデヒド、メタノール、エタノール、エチレン、一酸化炭素等が挙げられる。ヒドラジン等の水溶液として調製し得るものは、濃度0.1〜40質量%の水溶液として直接逆ミセル溶液に添加してもよいが、該溶液を用いて逆ミセル溶液を調製し、逆ミセル溶液(A)に添加してもよい。濃度0.1〜40質量%の水溶液であれば、ミセル内で貴金属イオンが貴金属粒子となった場合でもコロイド状にミセル内に分散できる。なお、ホウ素化水素ナトリウムなどの粉末状の物質は、そのまま供給することができる。水素などの常温でガス状の物質は、バブリングで供給することもできる。
本発明のナノハニカム触媒は、上記貴金属粒子に加えて、更に卑金属粒子をナノハニカム上に担持させたものであってもよい。例えば、ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)と、ミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)とを混合し、該混合溶液に該貴金属イオンの還元剤および/または該卑金属イオンの沈殿剤を添加して形成した平均粒子径1〜10nm、より好ましくは2〜7nmの合金粒子である。これを図4に模式的に示す。
図4(A)は、ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)であり、図4(B)は、ミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)である。両ミセル溶液を混合すると、ミセル同士が結合して、均一な組成のミセル7を得ることができる(図4(C))。該溶液に、ミセル8の内部に貴金属イオンの還元剤水溶液を含有する逆ミセル溶液(図4(D))を添加すると、ミセル同士が結合して、ミセル中において還元反応が進行し(図4(E))。さらに、貴金属粒子9の熟成を行うと、図4(F)に示すようにミセルサイズで制御された貴金属粒子を含有するミセル10を得ることができる。これに、ミセル11内部に卑金属イオンの沈殿剤の水溶液を含む逆ミセル溶液(図4(G))を添加すると、ミセル同士が結合して、ミセル中で沈殿反応が進行し、さらに、沈殿の熟成を行うと図4(H)に示すように、ミセルサイズで制御された貴金属粒子と卑金属粒子との複合貴金属粒子を含有したミセル12を得ることができる。該方法によれば、貴金属粒子と卑金属粒子との複合粒子の場合も、平均粒子径を1〜10nm内に制御することができ、担体表面に均一に分散する金属粒子を有する電極触媒となる。
なお、貴金属イオンの還元剤や卑金属の沈殿剤は、図4に示すように逆ミセル溶液として添加する必要はなく、これらの水溶液を直接添加してもよい。
卑金属イオンとは、セリウム、プラセオジウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の卑金属イオンである。これらのイオンは、上記卑金属の硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、アミン、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン塩、亜硝酸塩、蓚酸などの無機塩類、ギ酸塩などのカルボン酸塩および水酸化物、アルコキサイド、酸化物などが例示でき、これらを溶解する溶媒の種類やpHなどによって適宜選択することができる。
貴金属と卑金属との合金を使用することで、触媒活性を更に向上させることができる。特に卑金属を使用すると、質量活性(貴金属の単位重量当りの活性)の向上の点で有利である。
なお、卑金属の沈殿剤としては、使用する卑金属に応じて適宜選択することができるが、本発明では、特に卑金属水酸化物を形成させて沈殿させるものであることが好ましい。該ナノハニカム触媒の触媒成分である貴金属は、白金酸化物などの酸化物となって担持されるよりも白金粒子で担持される方が触媒活性が高い。一方、貴金属と卑金属水酸化物とを担持したナノハニカムを焼成すると、焼成条件によっても異なるが、共に貴金属酸化物と卑金属酸化物とに変化する。しかしながら、卑金属水酸化物であれば焼成によって卑金属酸化物に変化するが貴金属の貴金属酸化物への酸化を抑止することができ、これによって触媒活性の低下を防止することができる。従って、卑金属の不溶化剤としては、卑金属の水酸化剤を使用することが好ましい。このような水酸化剤としては、アンモニウム塩水溶液、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ及びアルカリ土類金属化合物の水溶液がある。アンモニア水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等は、濃度0.1〜30質量%の水溶液として直接逆ミセル溶液に添加してもよいが、該溶液を用いて逆ミセル溶液を調製して添加してもよい。なお、濃度0.1〜30質量%の水溶液であれば、ミセル内で卑金属イオンが卑金属粒子となった場合でもコロイド状にミセル内に分散できる。
本発明のナノハニカム触媒は、貴金属イオン含有溶液が逆ミセル溶液として添加されるが、ミセルのサイズは、使用する溶媒や界面活性剤の種類、添加量によって調整することができ、例えばミセルの直径が20〜100nmの逆ミセル溶液をナノハニカムに塗布しまたは含浸すると、該ナノハニカム表面にミセルが均等に付着し(図5(A))、該ナノハニカムを焼成すると、隣接する金属粒子間に10〜50nmの間隔で担体表面に均一に担持させた電極触媒を得ることができる(図5(B))。従来法では、白金や白金合金の凝集が発生し、粒子径や粒子分布を制御することが困難であったが、本発明によればこれらの制御が極めて簡便かつ確実に行える。
なお、逆ミセル溶液(A)、逆ミセル溶液(B)、還元剤、沈殿剤の添加順序は、逆ミセル(A)に還元剤を添加すると貴金属イオンが貴金属粒子となり、逆ミセル溶液(B)に沈殿剤を添加すると卑金属イオンが卑金属粒子となることから、(i)逆ミセル溶液(A)に還元剤を添加し、これに逆ミセル溶液(B)を添加し、次いで沈殿剤を添加する方法のほか、(ii)逆ミセル溶液(A)と逆ミセル溶液(B)との混合溶液に、還元剤を先に添加し、後から沈殿剤を添加する方法、(iii)逆ミセル溶液(A)と逆ミセル溶液(B)との混合溶液に、先に沈殿剤を添加し、後から還元剤を添加する方法、(iv)逆ミセル溶液(B)に、沈殿剤を添加し、次いで逆ミセル溶液(A)を添加し、更に還元剤を添加する方法などのいずれであってもよい。なお、逆ミセル溶液(A)に該担体を添加した後、メタノールやエタノールなどのアルコール類を添加してミセルを破壊し、貴金属粒子が担体表面に担持されるのを促進することもできる。
本発明では次いで、このように貴金属や卑金属を担持したナノハニカムに、担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を添加することを特徴とする。一般に、アルコキシドとは、アルコール類の水酸基を金属または非金属で置換した化合物である。本発明ではこのような金属や非金属が担体成分となり得る場合のアルコキシドを担体成分アルコキシドという。アルコキシドに含まれる金属や非金属、すなわち担体成分としては、アルミニウム、シリコン、チタニウム、セリウム、ジルコニウム、およびタングステンから選ばれる少なくとも一種がある。従って、これらの担体成分アルコキシドとしては、アルミニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、チタニウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、およびタングステンアルコキシドがある。具体的には、アルミニウムテトラエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムテトラブトキシド等のアルミニウムアルコキシド;シリコンテトラエトキシド、シリコンテトライソプロポキシド、シリコンテトラブトキシド等のシリコンアルコキシド;シリコンテトラエトキシド、シリコンテトライソプロポキシド、シリコンテトラブトキシド等のシリコンアルコキシド;チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド等のチタニウムアルコキシド;セリウムテトラエトキシド、セリウムテトライソプロポキシド、セリウムテトラブトキシド等のセリウムアルコキシド;ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド;タングステンテトラエトキシド、タングステンテトライソプロポキシド、タングステンテトラブトキシド等のゲルマニウムアルコキシドがある。
このような担体成分アルコキシドは加水分解によって水溶性の水酸化物となるが、担体成分アルコキシド自体はアルコキシドの存在によって親油性であり、逆ミセル溶液と優れた親和性を有する。従って、逆ミセル溶液を用いてナノハニカムに貴金属や卑金属を担持した後に担体成分アルコキシドを添加すると、ハニカム表面に存在する逆ミセル溶液の溶媒と親和して均一に分散し、次いでこれを加水分解すれば水酸化アルミニウムが薄層に塗布され、これを焼成すると水酸化アルミニウムがアルミナとなって貴金属や卑金属の担体として作用する。
このような担体成分アルコキシドは、溶媒に溶解して塗布することが好ましく、このような溶媒としては、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、ヘプタノール、オクタノール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、イソオクタン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等がある。
また、担体成分アルコキシドの加水分解は、逆ミセル内に含有される水(可溶化水)によって起こり、更に加水分解反応を促進するためアンモニア水を添加しても良い。
なお、担体成分として担体成分アルコキシドを使用する利点は、それ自体がナノハニカム細孔内の逆ミセルに含まれる水を利用して加水分解するからである。
本発明において、逆ミセルの形成に利用可能な有機溶媒としては様々な物質が使用可能であるが、一例を挙げると、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、ヘプタノール、オクタノール、ドデシルアルコール、セチルアルコール、イソオクタン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等がある。また、逆ミセル溶液中の水滴の大きさを調節する目的で、アルコール等を添加してもよい。該有機溶媒は、1種を単独で使用するほか、2種以上を併用することもできる。更に、逆ミセル溶液(A)にも逆ミセル溶液(B)の調製にも使用することができ、更に貴金属イオンの還元剤や卑金属イオンの沈殿剤を逆ミセル溶液として供給する場合には、これらの溶液の調製にも使用することができる。この際、いずれかの逆ミセル溶液に使用する有機溶媒と他の逆ミセル溶液に使用する有機溶媒とは、同種のものであっても異種のものであってもよい。
逆ミセル溶液を形成する界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ラウリン酸マグネシウム、カプリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ナトリウムフェニルステアレ−ト、アルミニウムジカプリレ−ト、テトライソアミルアンモニウムチオシアネ−ト、n−オクタデシルトリn−ブチルアンモニウム蟻酸塩、n−アミルトリn−ブチルアンモニウムヨウ化物、ナトリウムビス(2−エチルヘキシル)琥珀酸塩、ナトリウムジノニルナフタレンスルホネ−ト、カルシウムセチルサルフェート、ドデシルアミンオレイン酸塩、ドデシルアミンプロピオン酸塩、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンムニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロマイド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、(2−オクチルオキシ−1−オクチルオキシメチル)ポリオキシエチレンエチルエーテル等を挙げることができる。該界面活性剤も、いずれの逆ミセル溶液の調製にも使用することができ、2種以上を併用することもできる。なお、有機溶媒に対する界面活性剤の添加量は、有機溶媒100質量部に対して、10〜300質量である。10質量部を下回ると逆ミセルの形成が困難となり、一方300質量部を超えるとロッド状ミセルが形成され、貴金属粒子径を特定の大きさに制御し凝集させないと云う観点で不利である。
触媒成分の担持後のナノハニカムには逆ミセル溶液の溶媒や界面活性剤が残存するため、焼成前にこれを洗浄し、乾燥した後に焼成することが好ましい。洗浄方法としては、溶媒として、前記有機溶媒等を使用し、洗浄処理を行う。
次いで該ナノハニカムを乾燥する。乾燥方法は、例えば自然乾燥、蒸発乾固法、ロータリーエバポレーター、噴霧乾燥機、ドラムドライヤーによる乾燥などを用いることができる。乾燥時間は、使用する方法に応じて適宜選択すればよい。場合によっては、乾燥工程を行わずに、焼成工程において乾燥させることとしてもよい。
また、加熱や焼成は、不活性ガス雰囲気下で400℃〜1000℃、より好ましくは600〜800℃で行うことが好ましい。反応原料や目的物によって異なるが、貴金属の酸化物よりも還元状態の貴金属の方が触媒活性が高い場合があり、このような場合には、アルゴンや窒素等の不活性(非酸化性)雰囲気下において加熱・焼成することで、貴金属の過剰な酸化を防止することができる。
本発明のナノハニカム触媒は、排気ガス浄化触媒、燃料電池用電極触媒、コージェネ用排ガス浄化触媒などとして好適である。特に、ナノハニカムに高分散して貴金属、卑金属及び担体成分が担持されており、触媒活性に優れる。特に、焼成することで貴金属粒子または貴金属と卑金属との合金粒子を得ることができ、該金属粒子のPt(III)結晶面の成長を促進することで、高い酸素還元活性を得る事ができる。
また、本発明によるナノハニカム触媒の製造方法は、逆ミセル溶液を用いて貴金属や卑金属を担持するため、これら金属の粒子径の調整が容易であり、かつより微粒子を均一に分散させることができる。しかも、不溶化剤を選択することで卑金属の沈殿物を特定の化合物に変化させることができ、このため触媒活性やその他、耐熱性等を調整することができる。更に、貴金属担持後に担体成分アルコキシドを添加し、その後に加水分解することでナノハニカムに薄層に担体成分を担持させることができる。該方法によれば、従来困難であったナノハニカムへの微細な触媒成分の高分散担持を容易に行うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されることはない。
(実施例1)
界面活性剤としてポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル44gを用い、シクロへキサンを加えて1.0L(0.1mol/L)とし、界面活性剤が溶解・混合するまで撹拌した。これにジニトロジアンミン白金水溶液(Pt濃度8.0質量%)10.0gを加えて透明になるまで1時間攪拌して逆ミセル溶液Aを調製した。
界面活性剤としてポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル44gを用い、シクロへキサンを加えて1.0L(0.1mol/L)とし、界面活性剤が溶解・混合するまで撹拌した。これに濃度0.5質量%のヒドラジン水溶液13.2g(Ptの1/2倍モル量)を加えて1時間攪拌して逆ミセル溶液Bを調製した。
界面活性剤としてポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル44gを用い、シクロへキサンを加えて1.0L(0.1mol/L)とし、界面活性剤が溶解・混合するまで撹拌した。これにアンモニア水溶液(濃度1.0質量%)28.4gを加えて透明になるまで1時間攪拌し、逆ミセル溶液Cを調製した。
界面活性剤としてポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル44gを用い、シクロへキサンを加えて1.0L(0.1mol/L)とし、界面活性剤が溶解・混合するまで撹拌した。これにオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO・2HO)水溶液(オキシ硝酸ジルコニウム濃度10質量%)11.0g硝酸セリウム(Ce(NO・6HO)10%水溶液17.8gを加えて透明になるまで、1時間攪拌し、逆ミセル溶液Dを得た。このときのW/O値はそれぞれ2から20程度に調整した。なお、W/O値は、界面活性剤1モルに対する液滴のモル数である。
次いで、逆ミセル溶液Aを撹拌しながら逆ミセル溶液Bを加え、1時間攪拌した後に白金粒子を逆ミセル中に含む溶液1を得た。また、逆ミセル溶液Dを撹拌しながら逆ミセル溶液Cを加え、1時間攪拌した後、ジルコニア−セリア前駆体を逆ミセル中に含む溶液2を得た。
溶液1を撹拌しながら溶液2を加え、1時間攪拌した後に白金粒子とジルコニア−セリア前駆体を逆ミセル中に含む溶液3を得た。
この溶液3をメタル箔表面のアルミニウム質ナノハニカム(一辺が500nmの四角形のナノハニカム、セル数400個/インチに相当、容量1000cc)中に充填した後、アルミニウムイソプロポキシド溶解シクロヘキサン溶液を加え、アルミニウム質ナノハニカム中で担体成分アルコキシドの加水分解反応を充分に進行するため、24時間撹拌・熟成した。この操作を数回繰り返し、アルミニウム質ナノハニカム内を白金粒子とジルコニア−セリア前駆体(水酸化物)を含むアルミニウム水酸化物を所定量付着させた。
エタノール及び水で界面活性剤及び溶媒を洗浄した後、減圧下85℃において12時間乾燥し、さらに、不活性ガス流通雰囲気下、400℃、2時間焼成し、さらに空気流通雰囲気下600℃、5時間焼成して触媒層を形成し、Pt担持量1.5g/Lの触媒を得た。
(比較例1)
Pt(5質量%)担持アルミナ粉末500gとジルコニア−セリア複合酸化物粉末500gと純水1000gを、混合した後、ボールミルで粉砕し調製したスラリーを、メタル箔表面にアルミニウム質ナノハニカムを有すメタル担体に所定量塗布した。次いで、120℃において12時間乾燥し、さらに、空気流通雰囲気下、400℃,2時間焼成し、さらに600℃、5時間焼成して触媒を形成し、Pt担持量1.5g/Lの触媒を得た。
(触媒の特性評価)
触媒特性は、下記条件にて評価した。
(1)耐久条件:
エンジン排気量;日産自動車株式会社製 直列4気筒 2000cc、
燃料;ガソリン(日石ダッシュ)、
触媒入口ガス温度;650℃、
耐久時間;50時間。
(2)台上性能試験
エンジン排気量;日産自動車株式会社製 直列4気筒 2000cc、
空燃比;A/F=14.7、
温度条件;昇温速度10℃/分,触媒入口温度100℃〜450℃。
(結果)
表1に示す様に、50%の転化率を獲得するための温度は、いずれも実施例1の方が比較例1よりも低く、実施例1で調製したナノハニカム触媒は、触媒活性に優れることが判明した。
本発明のナノハニカム触媒は表面積が大きく、単位体積当たりの反応ガスとの接触面積が大きいため、装置をコンパクトにすることができる。また、貴金属や卑金属、担体成分が均一に高分散されるため、触媒活性が高い。本発明のナノハニカム触媒は、自動車などの搭載容量の制限された装置内でも極めて優れた触媒活性を発揮することができる。
図1は、ナノハニカムの製造方法を説明する図である。 逆ミセル溶液を模式的に示した図である。 逆ミセル溶液のミセル内で貴金属粒子が生成する反応を説明する図である。 貴金属イオン水溶液を含む逆ミセル溶液と、卑金属イオン水溶液を含む逆ミセル溶液とから、合金粒子が生成される工程を示す図である。 ナノハニカム上に逆ミセル溶液が付着する態様を模式的に示す図である。
符号の説明
1 有機溶媒、
2 界面活性剤、
3 親水性基、
4 疎水性基、
5 親水性基を内側に疎水性基を外側にするミセル、
6 還元剤水溶液を内包するミセル、
7 還元粒子、
8 コロイド状の貴金属を含有するミセル、
9 貴金属粒子、
10 貴金属粒子を含有するミセル、
11 ミセル、
12 ミセルサイズで制御された貴金属粒子と卑金属粒子との合金粒子を含有したミセル。

Claims (17)

  1. ナノハニカム内壁に、貴金属粒子と担体成分とが被覆されたナノハニカム触媒。
  2. ナノハニカム内壁に、更に卑金属が被覆された請求項1記載のナノハニカム触媒。
  3. 該貴金属コロイドを含む逆ミセル溶液をナノハニカムの細孔に被覆し、更に担体成分アルコキシドを該ナノハニカムに添加し、該ナノハニカムを洗浄、乾燥および焼成してなる、請求項1または2載のナノハニカム触媒。
  4. 該逆ミセル溶液が、更に卑金属イオンを含むものである、請求項3のナノハニカム触媒。
  5. 該ナノハニカムが、メタル箔表面に形成されたナノハニカムである、請求項1〜4のいずれかに記載のナノハニカム触媒。
  6. 該貴金属が、白金、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びイリジウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の貴金属である、請求項1〜5のいずれかに記載のナノハニカム触媒。
  7. 該卑金属が、セリウム、プラセオジウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の卑金属である、請求項1〜6のいずれかに記載のナノハニカム触媒。
  8. 担体成分が、アルミニウム、シリコン、ガリウム、チタニウム、セリウム、ジルコニウム、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ゲルマニウムおよびタングステンから選ばれる少なくとも一種の元素である、請求項1〜7のいずれかに記載のナノハニカム触媒。
  9. ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液に、該貴金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法。
  10. ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)に、該貴金属イオンの不溶化剤を添加し、次いで該溶液にミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)を混合し、更に該卑金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法。
  11. ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)に、ミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)を混合し、該混合液に該貴金属イオンの不溶化剤を添加し、次いで、該卑金属イオンの不溶化剤を添加し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法。
  12. ミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)に、ミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)を混合し、該混合液に該卑金属イオンの不溶化剤を混合し、次いで該貴金属イオンの不溶化剤を混合し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法。
  13. ミセル内部に卑金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(B)に、該卑金属イオンの不溶化剤を添加し、次いでミセル内部に貴金属イオン水溶液を含有する逆ミセル溶液(A)を混合し、該混合溶液に該貴金属イオンの不溶化剤を混合し、得られた溶液をハニカムに充填し、次いで担体成分アルコキシド塩溶液あるいは担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程を有することを特徴とする、ナノハニカム触媒の製造方法。
  14. 貴金属イオンの不溶化剤が還元剤によるものである、請求項9〜13のいずれかに記載のナノハニカム触媒の製造方法。
  15. 卑金属イオンの不溶化剤が沈殿剤によるものである、請求項9〜14のいずれかに記載のナノハニカム触媒の製造方法。
  16. 該担体成分アルコキシドが、アルミニウムアルコキシド、シリコンアルコキシド、チタニウムアルコキシド、セリウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、およびタングステンアルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも一種の担体成分アルコキシドまたはその加水分解物である、請求項9〜15のいずれかに記載のナノハニカム触媒の製造方法。
  17. 該担体成分アルコキシド溶液あるいは該担体成分アルコキシドの加水分解物を含む逆ミセル溶液(C)を該ナノハニカムに添加する工程に次いで、該ナノハニカムを洗浄および乾燥し、次いで不活性ガス雰囲気下で400℃〜800℃で焼成する、請求項9〜16のいずれかに記載のナノハニカム触媒の製造方法。
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