複写機、プリンタなどの画像形成装置は、画像形成に向けて、用紙を一枚ずつ給送する給紙装置を有し、この給送される用紙としては、予め複数枚数の用紙が用意されており、用紙トレイなどに積載されて収容されている。この画像形成装置としては、用紙トレイから用紙を給送する方向である搬送方向と、用紙トレイの引出し方向とが直交した方向に向けられた構成のフロントローディング機が、多用されている。
また、複数の給紙部と、これらの給紙部に用紙搬送方向と直角な方向に着脱又は出し入れ可能な用紙トレイと、該用紙トレイ内に積載された用紙を呼び出す呼出しローラと、この呼出しローラにより呼び出された用紙を給送する給紙ローラと、この給紙ローラにより給送された用紙が複数枚の場合には逆転し、該給紙ローラに接した1枚以外は給送方向とは逆方向に戻して分離する分離ローラとを有する給紙装置において、分離ローラを保持する部材を前記分離ローラが前記給紙ローラに圧接する方向に付勢する第1付勢手段と、該第1付勢手段の付勢力に抗してより強い付勢力で該第1付勢手段を前記分離ローラが前記給紙ローラより離間する方向に付勢する第2付勢手段と、該第2付勢手段の付勢力を解除する付勢力解除手段と、該付勢力解除手段に連動して前記用紙トレイを引き出し不可能にロック及び引き出し可能にロック解除するトレイロック手段とを具えた給紙装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
したがって、この給紙装置によれば、用紙給送中の給紙装置から用紙トレイを引き出し不可能にロックできるので、オペレータが誤って用紙トレイを引き出すことを防止でき、用紙給送中における用紙トレイの人為的な誤操作による用紙の損傷が無くなるとされている。
さらに、画像形成部へ給紙する用紙を収納すると共に給紙装置本体内の給紙位置と前記給紙装置本体外へ引き出した引出位置とへスライド自在な給紙トレイを有する給紙装置において、前記給紙トレイを引き出し方向の先端側が下向きとなる傾斜状態に設け、前記給紙トレイの引き出し方向の先端側を開閉自在に覆うカバーとこのカバーの開閉状態を検出するカバー開閉検出手段と給紙位置に位置する前記給紙トレイをロック状態と非ロック状態とに切替自在である第一ロック機構とを前記給紙装置本体に設け、前記カバーが開放されたことを検出した前記カバー開閉検出手段からの検出結果に基づいて前記第一ロック機構をロック状態から非ロック状態に切り替える第一ロック状態切替手段を設けた給紙装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
したがって、この給紙装置によれば、給紙カセット内への用紙の補給を行なうためにカバーを開放すると、この用紙を補給しようとした給紙トレイをロックしている第一ロック機構を非ロック状態に切り替えると共に、その給紙トレイを自重により自動的に引出位置へスライドさせることができ、給紙トレイ内へ用紙を補給する作業を容易に行なえるとされている。
また、用紙を積層する用紙トレイと、この用紙トレイを収容した状態でその最上層から1枚ずつ用紙を装置外に送り出す用紙フィード部を配置した給紙部本体と、レール部分が給紙部本体の奥側ほど高い位置になるよう配置され前記用紙トレイを給紙部本体に対して斜め方向に引き出し自在としたガイドレール機構と、このガイドレール機構によって前記用紙トレイが前記給紙部本体の所定位置まで収納されたときこれを位置的にロックするトレイロック機構と、前記用紙トレイのロックを解除するトレイロック解除機構とを具えた用紙供給装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
したがって、この用紙供給装置によれば、奥側が高くなるように斜めに配置されたガイドレールを備えたガイドレール機構に沿って用紙トレイが給紙部本体に収納され、あるいはこれから引き出されるようにしているので、用紙トレイを引き出したときに給紙部本体の用紙フィード部との間隔が広くなり、装置内部に手を簡単に入れることができ、したがって、ジャムの発生した用紙の除去を行うだけでなく、装置内の点検や清掃等を容易に行うことができるとされている。また用紙トレイが給紙部本体に収納されたときロック機構でその位置をロックできるので、用紙トレイが不用意に引き出されることがなくなり、これを原因とする給紙中におけるジャムの発生を防止できるとされている。
さらに、本体に至る一連の用紙の搬送路を有する複数段の給紙トレイと、各給紙トレイをロックするロック機構と、前記ロック機構のロック動作を制御する制御手段とを備える画像形成装置であって、各給紙トレイには、用紙を本体に給紙する給紙手段と、前記給紙手段の給紙動作開始を検知する動作検知手段とが設けられ、前記動作検知手段のいずれかが、給紙手段の給紙動作開始を検知したとき、前記ロック機構は、給紙動作を開始した給紙トレイと、この給紙トレイよりも上段に位置する全ての給紙トレイをロックする画像形成装置が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
したがって、この画像形成装置によれば、給紙手段が給紙動作を開始すると、ロック機構が給紙トレイをロックすることにより、給紙中において用紙の搬送路になっている給紙トレイを開けて用紙の搬送路を遮断することによるジャム等の発生を防止でき、作業効率に優れるとされている。
特開平6−183579号公報(第2,3頁、図1)
特許第3338731号公報(第1,2,4,5頁、図1〜3)
特開平7−117871号公報(第2,3,6頁、図1,2)
特開2000−62985号公報(第2,3頁、図2,4)
この発明の第1実施例を図面により説明する。図1は、この第1実施例の給紙装置を適用した画像形成装置の一例を示す全体構成図であり、図2は、給紙装置が有したガイド板を開いた状態を示す模式図であり、図3は、給紙装置が有したトレイロック機構を示す概略図である。
すなわち、画像形成装置100は、図1に示すように、使用者である操作者などが選択した任意のサイズなどの所定の用紙に、原稿などから得た画像を複写した複写画像を形成可能な複写機とされ、この画像形成装置100の装置本体110の下部には給紙装置120が設けられ、この給紙装置120は、所定の用紙を1枚ずつ、上部の画像形成に向けて供給するようにしている。すなわち、この給紙装置120には、所定の収納位置に収納され、同図1を面として直交した方向で手前側に引出されて、外部から、この図には図示されない用紙の補給を行なう複数の給紙トレイ1が設けられている。この給紙装置120には、5個の給紙トレイ1が上下方向に多段に配列され、これらの給紙トレイ1には、それぞれ各種の用紙が所定の枚数で収納されている。それぞれの給紙トレイ1には、A4サイズなどの所定サイズの用紙が横向きなどの所定の向きで積載されて収納されている。
給紙トレイ1のそれぞれの図中に示す右端部には、給紙ユニット2が設けられ、これらの給紙ユニット2によって、それぞれの給紙トレイ1から、1枚ずつ用紙を繰り出し、装置本体110の上部側に向けて給送している。給紙ユニット2は、所定のタイミングで上下して給紙トレイ1に積載された用紙の最上紙に接し、この最上紙を搬送方向に引き込むピックアップコロ3と、このピックアップコロ3によって引き込まれた用紙を搬送する給紙コロ4と、この引き込まれた用紙に連れ送りされてきた重送紙を分離するセパレートコロ5とを有し、このセパレートコロ5によって、用紙を1枚だけに分離搬送し、次に搬送方向の下流側に設けられた縦搬送ローラ6によって、分離された1枚の用紙を上方に送り出す構成となっている。すなわち、この給紙コロ4により搬送された用紙が複数枚の場合には、セパレートコロ5が搬送方向とは反対方向に逆回転し、給紙コロ4に接した1枚以外の他の用紙を搬送方向とは逆方向に搬送して給紙トレイ1に戻している。
縦搬送ローラ6に接して従動回転される従動側コロ7は、全給紙段一体の縦搬送ガイド板8に設けられ、給紙された用紙をグリップするようにしている。すなわち、この縦搬送ガイド板8は、用紙の縦搬送路を開放する開閉部材として、略板状に形成され、最下段から最上段までの給紙トレイ1の図中に示す右端面に対向できる上下方向の長さを有している。この縦搬送ガイド板8は、その外側が、画像形成装置100としての外装部材の一部となるように平滑に形成され、その内側には、各縦搬送ローラ6に対向した位置にそれぞれの従動側コロ7を軸支している。したがって、上下方向に配列された給紙トレイ1の給紙ユニット2が有した各縦搬送ローラ6と、それぞれの縦搬送ローラ6に接して回転される縦搬送ガイド板8に設けた従動側コロ7とによって、各給紙トレイ1の給紙ユニット2から上方に向けて装置本体110の上部に至る用紙の縦搬送路が形成されている。
また縦搬送ガイド板8は、奥支点によって右方に開放し、給紙装置120で詰まった(ジャムした)用紙を使用者が引出せるよう構成されている。すなわち、この縦搬送ガイド板8は、平面視で画像形成装置100における前面側に対して奥側に位置した上下の端部が、垂直方向の回転軸を中心として回動可能に、給紙装置120に軸支されている。したがって、この回転軸を中心にして、縦搬送ガイド板8を回転させて、給紙装置120側の縦搬送ローラ6から縦搬送ガイド板8の従動側コロ7を離間させることができる。このため、最下段の給紙トレイ1が有した給紙ユニット2から最上段の給紙トレイ1が有した給紙ユニット2に至るまでの縦搬送ローラ6と従動側コロ7とで形成した縦搬送路を外部に露出した開放位置と、この縦搬送路を閉止した閉止位置とに、縦搬送ガイド板8を任意に開閉可能にしている。
各給紙ユニット2には、搬送路上の用紙の有無を検知する検知手段として、縦搬送ローラ6と従動側コロ7とで形成したニップ部の直後下流側に、用紙検知器9がそれぞれ設けられ、これらの用紙検知器9は、用紙の有無を用紙から反射光が得られるか否かで非接触に検出する反射型フォトセンサが用いられている。したがって、この用紙検知器9によって、ニップ部の直後下流の位置での用紙の有無を検出することにより、この検出時点を現わした検出値と、給紙中での用紙サイズと搬送速度とから予測として算出できる計算値とを比較し、随時、用紙検出結果の正常/異常判定を行なって、用紙の搬送が異常時、滞留、未到達の判断ができるようにしている。
すなわち、用紙検知器9が、用紙検知器9の検知範囲を用紙が通過するのに必要な予測時間として予め定めた所定時間を越えて、用紙が有ると検出し続けた場合には、搬送途中の用紙が用紙検知器9の検知範囲内に滞留している、つまり検知範囲内で用紙ジャムが生起していると判断できる。他方、用紙検知器9が、計算値からの所定時間を越えても、用紙が無いと検出した場合には、給紙トレイ1から用紙検知器9の検知範囲にまで用紙が到達できないので未到達であり停止している、つまり検知範囲外で用紙ジャムが生起していると判断できる。
また縦搬送ガイド板8の下方には、マイクロスイッチを用いた開閉検知器10と、反射型フォトセンサを用いた開閉角度検知器11が設けられ、開閉検知器10による縦搬送ガイド板8の開閉状態としての有無に加えて、開閉角度検知器11による縦搬送ガイド板8の開閉状況として開閉角度が充分であるかを把握できるようにしている。
さらに図1中に示したように、各給紙トレイ1の左方奥側には、各給紙トレイ1の引出しを個別にロック可能なトレイロック機構12が、それぞれ設けられ、ジャム状況に応じて、トレイ引出しロック/解除の動作を行なうようにしている。なお、縦搬送ローラ6によって装置本体110の上部に送り出された用紙は、中間ローラ13、レジストローラ14を介し、画像形成装置100としての装置本体110が有した転写部、定着部、排紙部、両面ユニット等に搬送され、最終的に形成した画像が定着された用紙が図示しない排紙トレイに排出されるが、この搬送される用紙に対する以降の画像形成プロセスは、通常の複写機と同様なので、説明を省略する。
図2は、給紙装置120の縦搬送ガイド板8を開いた状態を示した概略模式図である。上述したように、縦搬送ガイド板8は奥支点で開閉し、所定の位置に、従動コロ7、給紙ユニット2が設けられ、それぞれの給紙ユニット2には、縦搬送ローラ6、用紙検知器9が、設けられている。なお、図中の白色で示された矢印は、給紙装置120としての用紙の排出位置であり、各給紙段の給紙トレイ1からの用紙の排出位置が同一とされている。
また給紙装置120としての床面であるベース面には、縦搬送ガイド板8の開閉状態を検知する検知手段として、プッシュボタン式でオン/オフするマイクロスイッチからなる開閉検知器10がそのボタンを縦搬送ガイド板8側に向けて設けられ、この開閉検知器10のボタンに対向した対応位置である縦搬送ガイド板8の内面の下部には、爪15が設けられている。したがって、縦搬送ガイド板8が閉じられた場合には、この開閉検知器10の出没式のボタンが縦搬送ガイド板8の爪15で押し込まれて、開閉検知器10がオン状態となるので、縦搬送ガイド板8が閉じられたことを検知できる。
さらに給紙装置120側の縦搬送ガイド板8の支点付近には、縦搬送ガイド板8が充分に開いた状態を検知する第2の検知手段として、検知範囲を上方に向けて縦搬送ガイド板8の開閉角度検知器11が設けられ、この開閉角度検知器11によって縦搬送ガイド板8の開放角度が充分であるかを検出している。すなわち、縦搬送ガイド板8の回転中心とされた支点付近で、閉状態の縦搬送ガイド板8の下端面に対向した位置には、開閉角度検知器11が設置されており、この開閉角度検知器11が有した投光部は、その投光方向を上方に向けて、この投光を縦搬送ガイド板8の下端面に反射させ、この反射光を開閉角度検知器11が有した受光部が検出することにより、縦搬送ガイド板8の開放角度が充分であるかを検出するようにしている。すなわち、縦搬送ガイド板8が充分な開放角度で開かないと、開閉角度検知器11の投光による検知範囲から離脱できないことから、しかも開閉角度検知器11が支点付近に設置されているので、縦搬送ガイド板8の開放角度が不充分な場合には、開閉角度検知器11から縦搬送ガイド板8が閉じた状態であること、または充分に開いていない状態であることを示す検出信号が得られる。
したがって、このように開閉検知器10に加えて開閉角度検知器11を設けたので、縦搬送ガイド板8の開閉状態をよりきめ細かく検知できる。すなわち、図3(1)は、動作中などの縦搬送ガイド板8を閉めている時を示す。この図3(1)に示されるように、爪15が、レバー10aを介して開閉検知器10のボタンを押し込み、開閉検知器10は、縦搬送ガイド板8が閉じられていることを検知した状態となる。なお、レバー10aは、爪15によって押される面積を充分に確保するために、および縦搬送ガイド板8を閉めた際の衝撃が直接、開閉検知器10のボタンに加わることを回避するために、このボタンと爪15との間に介在して設けられた介装部材であり、レバー10aは、長板状に形成され、その一端が開閉検知器10のボタンが配置された面の側辺側に枢支され、この開閉検知器10に枢支された箇所から、その中間がボタンの対向位置を通過し、その他端が縦搬送ガイド板8の爪15に接触可能に対向した位置を占めるように向けられている。
図3(2)は、縦搬送ガイド板8の開放時を示す。但し、開閉検知器10は、縦搬送ガイド板8を検知していない状態である一方、開閉角度検知11は、まだ縦搬送ガイド板8を検知した状態であり、ジャム処理を行うために縦搬送ガイド板8が充分に開かれた状態ではない。
図3(3)は、開閉検知器10と開閉角度検知11とが、共に縦搬送ガイド板8を検知していない状態であり、縦搬送ガイド板8が充分に開かれた時、つまり使用者である操作者が縦搬送路側から視認して充分ジャム処理ができる隙間が確保できた状態と、給紙装置120側で認識できる。
図4(1)〜(3)は、給紙トレイ1の移動を任意にロック可能なトレイロック機構12の概略を動作毎に区別して示したものである。すなわち、図4(1)に両方向矢印で示すトレイ引出し方向に対して給紙トレイ1の左右となる両側面には、それぞれスライドレール対16が取り付けられ、これらのスライドレール対16は、図示しない給紙装置120側のレール受け部に、挿嵌されている。したがって、給紙ユニット2による用紙の搬送が可能な状態に給紙トレイ1がセットされた収納位置から、給紙トレイ1に用紙の補給が容易な引出し位置まで、給紙トレイ1の姿勢を維持したまま移動させることができる。すなわち、上述したように、給紙トレイ1つまりスライドレール対16がレール受け部に沿ってスライド移動することにより、給紙トレイ1を給紙装置120内の収納位置から画像形成装置100としての前面側に引出して、給紙トレイ1の上部開口を外部に開放させて、用紙Sの補給を容易にできるようにしている(図4(1)参照)。
なお、給紙トレイ1自体は、上部が開口された平箱形状に形成され、少なくとも、その床面が、画像形成装置100が形成した画像の定着対象とした最大サイズの用紙の大きさよりも大きく形成され、この床面には、収納する用紙Sのサイズや向きに応じて、その取り付け箇所の変更が可能なサイドフェンス対17およびエンドフェンス18と、スプリングなどの弾性部材などによって上方に付勢された底板19とを有したトレイとして、一般的な構成のものである。すなわち、用紙Sの搬送方向に対して用紙Sの左右の両側に接して給紙トレイ1内における用紙Sの左右方向の位置決めをするサイドフェンス対17と、同搬送方向に対して用紙Sの後端に接して給紙トレイ1内における用紙Sの搬送方向の前後の位置決めをするエンドフェンス18と、給紙トレイ1内の用紙Sを上方に押し上げて積載された用紙Sにおける最上紙の搬送方向の先端の位置を同一に確保する底板19とを有している。
トレイロック機構12は、給紙装置120側に設けた回転支点20に、その中間が回動可能に支持され先端が給紙トレイ1側に向けられたロック爪21と、オン状態に通電されると、このロック爪21をロックする方向に駆動するロックソレノイド22と、このロックソレノイド22がオフ状態の時に、ロック爪21を解除方向に引っ張るように張架された解除スプリング23とを主体にして構成されている。すなわち、略長板状に形成されたロック爪21の先端には、かぎ状の突起部が形成され、他端である基端が、ロックソレノイド22が有した駆動部に接続され、これらの先端と基端との略中間部が、回動可能に回転支点20に支持されている。また、この回転支点20の近傍で先端部側の箇所が、引き伸ばされて配置された解除スプリング23の自由端に接続され、この解除スプリング23の他端が、給紙装置120側に固定された固定端とされている。他方、給紙トレイ1の引出し方向に対して奥側となる給紙トレイ1の奥壁には、給紙トレイ1が収納された状態で、このロック爪21の先端部に対応した位置に、この先端部が差し込める程度の大きさや形状で開口された角穴24が設けられ、ロック爪21の先端部が角穴24に差し込まれて嵌合できるようにしている。
したがって、トレイロック機構12としては、通常、ロックソレノイド22がオフであり、ロック爪21は、解除スプリング23の弾性力によって、回転支点20を中心に図中の左回りに回動して、解除位置に固定され、ロック爪21が給紙トレイ1の角穴24とは嵌合しないので、収納位置からの給紙トレイ1の引出しが制限されることがない(図4(2)参照)。他方、ジャムが発生し、収納位置からの給紙トレイ1の引出しをできなくする場合には、トレイロック機構12をロック動作させる。すなわち、ロックソレノイド22に通電してロックソレノイド22をオン状態とし、ロック爪21の基端部をソレノイド22側に引き込むことで、ロック爪21が回転支点20を中心に図中の右回りに回動し、ロック爪21の先端部がトレイ角穴24と嵌合する。すなわち、この先端部のかぎ状突起部が角穴24の周縁に係合される。このため、このロック爪21によって、給紙トレイ1が給紙装置120側に係止され収納位置に固定される。この結果、給紙トレイ1は、引き出せなくなる(図4(3)参照)。
図5は、この給紙装置120の電気的な構成を示す回路ブロック図である。この図5に示すように、I/Oインターフェースを介して、センサとしての用紙検知器9、開閉検知器10、開閉角度検知器11からの信号が入力されこの信号からセンサが検知した状態として検出する入力回路部と、これらの検知した状態に基づき所定の制御処理を行なう制御部(CPU)と、制御部による所定の制御処理として、ジャム発生を表示して操作者に知らせる通知手段としての表示部と、同制御処理として、図示しない給紙クラッチや給紙モータ、ロックソレノイド22等をオン/オフ制御するための駆動回路部とが接続されている、すなわち、図6に示されるフローチャートに従って、センサからの検知に基づき、制御部が処理判断し、この判断に基づいて制御部が、駆動回路部や表示部を所定に制御する構成となっている。なお、この表示部としては、画像形成装置100が有した操作パネルに設置された表示部を用いてもよく、専用の新たな表示部を設けてもよい。
図6は、この実施例1の給紙装置120の用紙ジャムに対処して処理するための制御フローチャートを示す。この図6に示されたステップS1において、用紙ジャムの発生が検知され、ステップS2において、用紙検知器9の検出に基づき、ステップS2で検知した用紙ジャムが縦搬送路における、用紙の滞留、未到達、ジャムであるかどうかが判断される。そして、用紙ジャムが縦搬送路上で生起していない、つまり用紙ジャムの発生箇所が異なると判断した場合には、エンド処理に移行し、このフロー処理による制御は終了し、画像形成装置本体110側でのジャム対処用の処理手順に、操作者は従うことになる。他方、ジャム箇所が、上記に合致したと判断した場合には、次のS3に、処理が移行する。すなわち、検知手段としての用紙検知器9が、所定に用紙ジャムを検知したときとして、前記した用紙の滞留か、用紙の未到達かのいずれかであることを検知したとき、S3以降のこの実施例の一連の処理が行なわれる。
すなわち、ステップS3において、先ず給紙トレイ1を、引出せないようにトレイロックする。このロック処理は、用紙を搬送した給紙を実行中であった段の給紙トレイ1だけを対象とし、該当した給紙トレイ1のトレイロック機構12をロック動作させる。
ステップS4において、ロックした給紙トレイ1の給紙ユニット2を所定時間t、駆動して給紙ユニット2が搬送途中の用紙を搬送動作させる。すなわち、この駆動する給紙ユニット2としては、用紙搬送中であった該当給紙ユニット2のみが選択される。この搬送動作によって、給紙トレイ2から、給紙ユニット2内部にまで跨って残っている用紙を、縦搬送路側に送り出し、ジャム処理後に、残紙が無いようにする。他方、給紙ユニット2を所定時間t、搬送動作させることにより、少なくとも、給紙トレイ2と給紙ユニット2とに用紙が跨った状態を解除するようにしている。
ステップS5において、表示部に、”ジャム”及び、”縦搬送OPEN”と表示し、用紙ジャムが発生したことを通知するとともに、縦搬送ガイド板8を開くようにとの文字によるメッセージで指示した内容を表示する。このように表示部の文字表示した指示内容によって、操作者に対して、縦搬送側からジャム紙を取り除くように促すことが、明確に伝達される。
ステップS6において、縦搬送ガイド板8の開閉状態を、開閉検知器10による検出から判断する。すなわち、開閉検知器10によって、縦搬送ガイド板8が開かれていないと判定した場合には、S5に処理が戻り、開かれたと判定した場合には、S7に移行する。
ステップS7において、縦搬送ガイド板8の開閉状態を、開閉角度検知11による検出から判断する。すなわち、縦搬送ガイド板8が所定角度まで開かれていない場合には、S5に処理が戻り、処理としてステップS5からS7まで繰り返し処理されるループ処理される。他方、所定角度まで縦搬送ガイド板8が開かれた場合には、S8に処理が移行する。
ステップSにおいて、開閉角度検知器11によって、縦搬送ガイド板8を開検知した時点を、”0”として、制御部による経過時間の計測を開始する。すなわち、CPUとしての制御部が予め有した計時機能によって、上記の時点からの経過時間が計測される。したがって、縦搬送ガイド板8が充分に開いてから経過した時間である経過時間を把握できるようにしている。
ステップSにおいて、経過時間が、所定時間を経過したかが、制御部によって判断される。すなわち、制御部が、所定時間経っていないと判定した場合には、S5に戻り、処理としてループ処理される。他方、制御部が、所定時間経ったと判定した場合、処理が次のS10に移行する。
ステップS10において、ジャム処理を行うために、縦搬送ガイド板8が所定時間の充分な時間が経過する期間だけ開かれ、ジャム処理が開始されたと判断した結果として、”縦搬送OPEN”と表示した縦搬送ガイド板8を開く指示内容の表示を消し、ジャム状態の表示のみとする。
ステップS11において、トレイロック機構12による給紙トレイ1のトレイロックを解除し、この給紙装置120のジャム処理用の制御が終了する。すなわち、トレイロック機構12がロック動作を解除し、給紙トレイ1が収納位置から引出し可能な状態に復帰する。
したがって、上記の制御の結果として、給紙トレイ1が不用意に引出されたことによる用紙片の発生を未然に防止することができる。すなわち、図7(1),(2)に、給紙ユニット2において、ユニット内部の用紙を送り出す状況を従来の構成の給紙装置によるものと、この実施例1の給紙装置120によるものとを対比して示す。
従来の構成によれば、図7(1)に示すように、ジャム発生時などによって用紙の搬送が中断され、給紙ユニット2から搬送経路側に用紙Sの先端が出ていない場合、つまり例えば何らかの拍子にコロが滑って未到達であった場合や、先行の用紙が別の場所でジャムした要因で、給紙中の用紙Sが給紙装置内で止まっている場合には、縦搬送ガイド板8を開いた状態で、視認による用紙Sの有無が確認できない。このため、この状態でジャム処理を終了した後に、この給紙ユニット2が設けられた給紙トレイ1が引出されると、この給紙トレイ1および給紙ユニット2間に跨った用紙Sが、引出されて移動する給紙トレイ1によって、引きちぎられ、用紙片が生じて装置にダメージを与えてしまうことがある。
これに対して、この実施例1の給紙装置120によれば、図7(2)に示すように、ジャム表示を行う前に、給紙ユニット2を駆動させ、コロ類(ピックアップコロ3,給紙コロ4)で用紙Sを搬送させる制御を所定時間t、実行している。この所定時間tは、少なくとも、用紙Sの給紙トレイ1内の積載位置から、搬送方向における用紙先端が給紙ユニット2から突出する位置までの距離である図7(1)中にLとして示された距離Lに対して、搬送速度をvとしたときに、t>L/v となるように設定されている。この制御を付加することによって、用紙Sの先端が給紙ユニット2の外につまり縦搬送路側に、この先端部としての頭を出すことになる。このため、縦搬送ガイド板8を充分に開いて縦搬送路を外部に開放した際には、この用紙先端を操作者が視認して、この先端以外の用紙Sの残余部分が給紙ユニット2内に隠れていることを気付かせることができる。この結果、このようにして、給紙ユニット2内に隠れていた用紙Sを、操作者に取り除かせることができる。
このように第1実施例の給紙装置によれば、少なくとも複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の給紙装置において、収納位置からの給紙トレイの引出しを阻止するロック動作が可能なトレイロック機構を設け、給紙トレイの引出しを任意に防止できるように構成し、用紙ジャムの発生によって、用紙搬送途中で画像形成装置内の各搬送機構による搬送動作が中断された場合に、縦搬送路上の用紙の有無を検知する検知手段としての用紙検知器が、所定の用紙ジャムの検知として用紙が滞留と検知したとき、または未到達と検知したときには、トレイロック機構をロック動作させて給紙トレイの引出しを防止しているので、用紙ジャムの発生箇所が給紙装置以外の箇所で発生した場合にも、用紙が給紙トレイと給紙ユニットとの間に跨った状態で給紙トレイを引き抜かれことを防止できる。
すなわち、用紙搬送途中の中断で、用紙が未到達であると検知した場合には、間接的に用紙が前記した跨った状態であると判別できる。このため、結果的に用紙が前記した跨った状態となっても、この構成によれば、給紙トレイを引き抜かれることを防止できる。したがって、不用意な給紙トレイの引き抜きによる用紙片を生じさせずに済み、この結果として用紙片を給紙ユニット内に残してしまう等によって装置に対するダメージ要因となることを防ぐことができる。これに加えて、用紙片を生じる前の段階の用紙が引き裂かれること自体を未然に防止できるので、引き裂かれた用紙を取り除く手間がなくなり、用紙ジャム処理として簡素化が図れる。他方、ジャムした用紙を引き裂かずに排除できるので、この用紙を破棄することなく、再使用することも可能となる。
他方、用紙搬送途中の中断で、用紙が滞留したと検知した場合には、操作者に搬送路上にジャムした用紙をすみやかに排除させることができる。すなわち、前記したように給紙トレイの引出しが直ちに強制的にロックされているので、ジャム対処操作としてロックされていない縦搬送ガイド板を開くことが促進される。しかも、トレイロック機構は、開閉角度検知器によって、縦搬送ガイド板が縦搬送路を視認して確認できる程度に充分に開いたことが検知され、さらに少なくとも、ジャム処理が開始される分だけの所定時間が経過した後に、トレイロック機構のロック動作を解除させて、給紙トレイの引出しを可能に構成しているので、操作者による給紙トレイと給紙ユニットとの間に用紙が跨った状態を解除することを含めたジャム紙の排除が、より確実化される。
なお、上記の第1実施例では、画像形成装置としての前面側に給紙トレイが引出される構成に適用した例を説明したが、これに限られることなく、当然、この前面側に引出す方向とは異なる方向に給紙トレイが引出される構成にも適用できる。すなわち、用紙の給紙トレイからの搬送方向と反対側の方向に給紙トレイが引出されたり、垂直方向または上下の斜め方向に配置された給紙トレイが、垂直方向または上下の斜め方向に引出されて用紙を補充する構成に適用してもよい。また用紙ジャムに起因した用紙搬送動作の中断時に、上記の処理を行なうように構成したが、これに限らず、用紙の搬送途中で、用紙ジャム以外の何らかの理由で給紙装置を含めた画像形成装置が有した用紙搬送機構による用紙搬送動作が中断された時に、上記の処理を行なうように構成してもよい。すなわち、用紙搬送動作がその途中で、例えば人為的な操作ミスや電気的、機構的な不調を検知した安全機構の動作によって中断されたり、突発的な機械装置として故障によって中断されたりした場合に、用紙検知器によって所定に用紙ジャムを検知して、一連の処理を行なってもよい。したがって、このように構成した場合には、上記と同様に用紙ジャム以外の障害の排除や故障の修理のために、前記した用紙が跨った状態で給紙トレイが不用意に引出されることを阻止でき、中断の起因となった障害や故障に加えて、結果として用紙片による装置ダメージが生じることを未然に防止できる。
請求項1の給紙装置によれば、給紙トレイの引出しを防止できるトレイロック機構を設け、用紙ジャムの発生時にトレイロック機構を動作させ、給紙トレイの引出しを防止することにより、例えばジャム紙が給紙トレイと給紙ユニットとの間に跨った状態であった場合に、操作者によって給紙トレイをいきなり引出されることで、ジャム紙が引きちぎられてしまい、この引きちぎられた用紙片を給紙装置内に残してしまう等によって装置に対するダメージ要因となることを防ぐことができる。
請求項2の給紙装置によれば、請求項1において、用紙ジャムの発生時、給紙トレイのロックを完了した後に、表示部によりジャム状態の表示を行なっているので、ジャム発生直後に操作者によって給紙トレイを引き抜かれ、給紙トレイと給紙ユニット側に跨ったジャム紙を破り、破られた用紙片を給紙装置内に残してしまう等によって装置に対するダメージ要因となることを防ぐことができる。
請求項3の給紙装置によれば、請求項1または2において、ジャム発生時、開閉部材を開かないと、給紙トレイを引出せない構成とすることで、必ず開いた開閉部材側からジャム紙を視認し、取り除く手順に限定でき、操作者にジャム処理手順の間違いを起こさせない。このため、機器の使用が不慣れな操作者でも、ジャム処理を確実に行なわせることができる。この結果、用紙ジャムへの対処が容易化かつ確実化が図れ、この給紙装置を有した画像形成装置としての操作性を向上できる。