JP2005081766A - 導電性包装材料、その製造方法および電子部品用容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基材と導電性層とを有し、導電性層が導電性ポリマー(a)、溶媒(b)およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を基材に塗工して形成された層である導電性包装材料;および、基材上にカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して導電性層を形成する導電性包装材料の製造方法。
【選択図】 なし
Description
例えば、単層カーボンナノチューブを強酸中で超音波処理することにより単層カーボンナノチューブを短く切断して分散する方法が提案されている(R.E.Smalley等,Science,280,1253(1998))(非特許文献2)。しかしながら、強酸中で処理を実施するため、操作が煩雑となり、工業的には適した方法ではなく、その分散化の効果も十分とはいえない。
ここで、導電性層は、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)、さらに必要に応じて高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)、コロイダルシリカ(h)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を基材に塗工して形成された層であることが望ましい。
また、導電性ポリマー(a)は、水溶性導電性ポリマーであることが望ましく、さらには、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーであることが望ましい。
また、本発明の導電性包装材料の製造方法は、基材上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成することを特徴とする。
また、本発明の電子部品用容器は、帯電防止性に優れ、低湿度下でも導電性が低下せず、しかも透明性、基材と導電性層との密着性に優れる。
また、本発明の導電性包装材料の製造方法によれば、このような導電性包装材料を簡便な方法で得ることができる。
<導電性包装材料>
本発明の導電性包装材料は、基材と、これに接する導電性層とを有するものである。
本発明における導電性層は、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)を含有する層である。
ここで、本発明における導電性層は、基材上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工して形成された層であることが、導電性の点で好ましい。
導電性ポリマー(a)は、フェニレンビニレン、ビニレン、チエニレン、ピロリレン、フェニレン、イミノフェニレン、イソチアナフテン、フリレン、カルバゾリレン等を繰り返し単位として含むπ共役系高分子である。
中でも、溶媒(b)への溶解性の点で、いわゆる水溶性導電性ポリマーが本発明では好ましく用いられる。ここで、水溶性導電性ポリマーとは、π共役系高分子の骨格または該高分子中の窒素原子上に、酸性基、あるいは酸性基で置換されたアルキル基またはエーテル結合を含むアルキル基を有している導電性ポリマーである。水溶性導電性ポリマーは、非常に低濃度でも良好な導電性を発現するため、他の成分である高分子化合物(d)(バインダーポリマー)の特性を低下させることなく導電性能を十分に発現することができる。
スルホン酸及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーとしては、例えば、特開昭61−197633号公報、特開昭63−39916号公報、特開平01−301714号公報、特開平05−504153号公報、特開平05−503953号公報、特開平04−32848号公報、特開平04−328181号公報、特開平06−145386号公報、特開平06−56987号公報、特開平05−226238号公報、特開平05−178989号公報、特開平06−293828号公報、特開平07−118524号公報、特開平06−32845号公報、特開平06−87949号公報、特開平06−256516号公報、特開平07−41756号公報、特開平07−48436号公報、特開平04−268331号公報、特開平09−59376号公報、特開2000−172384号公報、特開平06−49183号公報、特開平10−60108号公報に示された水溶性導電性ポリマーが好ましく用いられる。
ここで、 R33は、少なくともその一部が、遊離酸型のスルホン酸基及び/またはカルボキシル基であることが導電性向上の点から好ましい。
溶媒(b)は、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)、さらに、必要に応じて用いられる高分子化合物(d)、塩基性化合物(e)、界面活性剤(f)、シランカップリング剤(g)及びコロイダルシリカ(h)を溶解または分散するものであれば特に限定されない。溶媒(b)としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、エチルイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、 N−エチルピロリドン等のピロリドン類;ジメチルスルオキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシエステル類等;アニリン、N−メチルアニリン等のアニリン類が好ましく用いられる。
カーボンナノチューブ(c)は、特に限定されるものではなく、カーボンナノチューブ(c)としては、単層カーボンナノチューブ、何層かが同心円状に重なった多層カーボンナノチューブ、これらがコイル状になったものを用いることができる。
以上の製造方法によって得られるカーボンナノチューブ(c)としては、好ましくは単層カーボンナノチューブであり、更に洗浄法、遠心分離法、ろ過法、酸化法、クロマトグラフ法等の種々の精製法によって、より高純度化されたカーボンナノチューブの方が、各種機能を十分に発現することから、好ましく用いられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、高分子化合物(d)を含ませることにより、基材に対する導電性層の密着性、導電性層の強度は更に向上する。
高分子化合物(d)としては、溶媒(b)に溶解または分散(エマルション形成)可能であれば特に限定されるものではなく、具体的にはポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルコール類;ポリアクリルアマイド、ポリ(N−t−ブチルアクリルアマイド)、ポリアクリルアマイドメチルプロパンスルホン酸などのポリアクリルアマイド類;ポリビニルピロリドン類、ポリスチレンスルホン酸及びそのソーダ塩類、セルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン/マレイン酸共重合樹脂、フッ素樹脂及びこれらの共重合体などが用いられる。また、これらの高分子化合物(d)は2種以上を任意の割合で混合したものであってもよい。
塩基性化合物(e)は、カーボンナノチューブ含有組成物中に添加することにより、導電性ポリマー(a)の溶解性を向上させ、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化を促進する効果がある。特に、塩基性化合物(e)は、水溶性導電性ポリマーを脱ドープし、溶媒(b)への溶解性をより向上させる効果がある。また、スルホン酸基、カルボキシル基等の酸性基と塩を形成することにより水への溶解性が特段に向上するとともに、カーボンナノチューブ(c)の溶媒(b)への可溶化あるいは分散化が促進される。
塩基性化合物(e)として用いられるアミン類の構造式を下記式(14)に示す。
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリン及びこれらの骨格を有する誘導体及びこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが好ましく用いられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物塩が好ましく用いられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、界面活性剤(f)を加えると更にカーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化が促進するとともに、平坦性、塗布性及び導電性などが向上する。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、更にシランカップリング剤(g)を含ませることができる。シランカップリング剤(g)は水溶性導電性ポリマーの酸性基と反応して、そしてシランカップリング剤(g)同士で加水分解して架橋構造を形成していると考えられている。シランカップリング剤(g)を含むカーボンナノチューブ含有組成物から得られる導電性層の耐水性は著しく向上する。シランカップリング剤(g)としては、下記式(1)で示されるシランカップリング剤(g)が用いられる。
アミノ基を持つものとしては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロポキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チオール基を持つものとしては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、β−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
水酸基を持つものとしてはβ−ヒドロキシエトキシエチルトリエトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシクロヘキシル基を持つものとしては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるカーボンナノチューブ含有組成物に、更にコロイダルシリカ(h)を併用することができる。コロイダルシリカ(h)を併用したカーボンナノチューブ含有組成物から得られる導電性層は、表面硬度や耐候性が著しく向上する。
前記導電性ポリマー(a)と溶媒(b)の使用割合は、溶媒(b)100質量部に対して導電性ポリマー(a)が0.001〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜30質量部である。導電性ポリマー(a)が0.001質量部未満では、導電性が劣ったり、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。一方、50質量部を超えると導電性はピークに達して大きく増加しないし、高粘度化して、カーボンナノチューブ(c)の可溶化あるは分散化の効率が低くなったりする。
本発明における導電性層は、このままでも優れた導電性を有するものであるが、基材の表面に、カーボンナノチューブ含有組成物を塗工して導電性層を形成した後に、酸によりドーピング処理を行い、次いで常温で放置あるいは加熱処理をすることにより、さらに導電性を向上させることができる。
酸によるドーピング処理方法は、特に限定されるものではなく公知の方法を用いることができる。例えば、酸性溶液中に導電体を浸漬させるなどの処理をすることによりドーピング処理を行うことができる。酸性溶液は、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、安息香酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの有機酸や、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパン)スルホン酸、ポリビニル硫酸及びこれらの骨格を有する誘導体などの高分子酸を含む水溶液、あるいは、水−有機溶媒の混合溶液である。なお、これらの無機酸、有機酸、高分子酸はそれぞれ単独で用いても、また2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
本発明の導電性包装材料における基材としては、高分子化合物、プラスチック、木材、紙材、セラミックス、繊維、不織布、炭素繊維、炭素繊維紙、及びこれらのフィルム、発泡体、多孔質膜、エラストマー、そしてガラス板などが用いられる。例えば、高分子化合物、プラスチック及びフィルムとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、メタクリル樹脂、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルニトリル、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、そのフィルム、発泡体及びエラストマーなどがある。これらのフィルムは、少なくともその一つの面上に導電性層を形成させるため、該導電性層の密着性を向上させる目的で、フィルム表面をコロナ表面処理またはプラズマ処理することが好ましい。
本発明の導電性包装材料は、基材上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成することにより製造される。
本発明の電子部品容器は、本発明の導電性包装材料を加工してなるものである。
本発明の電子部品容器の形態は、特に限定されるものではない。具体例としてはトレイ、電子部品用キャリアテープ、電子部品用キャリアテープ用カバーテープ、電子部品用包装袋などが挙げられる。
本発明の導電性包装材料及び電子部品容器は、保護層、熱線遮断層、ガスバリヤー層、接着層、反射防止層、耐候性層など種々の機能を有する層を更に有することもできる。
電子部品容器の無処理時の表面抵抗値(SR0)に対するエンボス加工等の凹凸加工後の凹部分の表面抵抗値(SR3)の比(SR3/SR0)が10以下であることが好ましく、更に5以下であることがより好ましい。
また、本発明の導電性包装材料における導電性層が、水溶性導電性ポリマーとシランカップリング剤(g)を含有していれば、架橋構造を形成するので、成膜性、耐水性、硬度、耐侯性に優れている。
そして、このようにカーボンナノチューブ(c)が溶媒(b)に分散化あるいは可溶化したカーボンナノチューブ含有組成物を基材上に塗工して導電性層を形成することにより、カーボンナノチューブ(c)が均一に分散した導電性層を得ることが可能となる。
(製造例1、導電性ポリマー(A−1))
ポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末15gを得た。この導電性ポリマー(A−1)の体積抵抗値は9.0Ω・cmであった。
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)の合成:
m−アミノベンゼンスルホン酸100mmolを25℃で4モル/リットルのトリメチルアミン水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後25℃で12時間更に攪拌したのち、反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、ポリマー粉末10gを得た。この導電性ポリマー(A−2)の体積抵抗値は12.0Ω・cmであった。
スルホン化ポリアニリンの合成:
ポリ(2−スルホ−1,4−イミノフェニレン)を既知の方法「J.Am.Chem.Soc.,(1991),113,2665−2666」に従って合成した。得られたポリマーのスルホン酸含有量は、芳香環に対して52%であった。また、この導電性ポリマー(A−3)の体積抵抗値は50Ω・cmであった。
脱ドープ状態のポリアニリンの合成:
アニリン100mmolを25℃で1mol/L硫酸水溶液に攪拌溶解し、これにペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間更に攪拌した後に反応生成物を濾別洗浄後乾燥し、重合体粉末8gを得た。得られたドープ状態の重合体を錠剤成型器で加圧成型させて直径10mm、厚さ1mmの形状に切り出して四端子法にて導電率を測定したところ、1.0S/cm以下であった。この重合体を25℃で1時間で1mol/Lアンモニア水中で分散攪拌した後に濾別洗浄後乾燥し、脱ドープ状態の重合体粉末5gを得た。
(カーボンナノチューブ含有組成物1)
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)5質量部、カーボンナノチューブ(ILJIN社製、CVD法により製造された多層カーボンナノチューブ)0.4質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物1を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)5質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製、樹脂分40質量%)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物2を調製した。
上記製造例2の導電性ポリマー(A−2)3質量部、カーボンナノチューブ0.1質量部、アンモニア1質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物3を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、カーボンナノチューブ0.2質量部、トリエチルアミン1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物4を調製した。
上記製造例3の導電性ポリマー(A−3)1質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸0.5質量部を、水/メタノール混合溶媒(質量比9/1)100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物5を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)3質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物6を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、コロイダルシリカ(粒子径:10nm)5質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)10質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物7を調製した。
カーボンナノチューブ0.1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)20質量部を水100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物8を調製した。
上記製造例4の導電性ポリマー(A−4)0.5質量部、カーボンナノチューブ0.4質量部、ポリエステル樹脂「バイロン−200」(東洋紡績社製)5質量部をN−メチルピロリドン100質量部に室温にて混合してカーボンナノチューブ含有組成物9を調製した。
(導電性組成物1)
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)3質量部を水100質量部に室温にて混合して導電性組成物1を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)10質量部を水100質量部に室温にて混合して導電性組成物2を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)3質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を水100質量部に室温にて混合して導電性組成物3を調製した。
上記製造例1の導電性ポリマー(A−1)1質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.5質量部、コロイダルシリカ(粒子径:10nm)5質量部、水系エマルジョンであるアクリル樹脂「ダイヤナールMX−1845」(三菱レイヨン社製)10質量部を水100質量部に室温にて混合して導電性組成物4を調製した。
(可視光線透過率)
島津製作所社製 UV−3100を用いて、導電性包装材料の可視光線透過率を測定した。
(表面抵抗値)
25℃、15%RHの条件下で、導電性包装材料の導電性層の表面抵抗値を測定した。表面抵抗値が108 Ω以上の場合は二探針法(ダイアインスツルメンツ社製ハイレスターUP、電極間距離:20mm)を用い、表面抵抗値が107 Ω以下の場合は四探針法(ダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP、各電極間距離:5mm)を用いた。
導電性包装材料を40℃、温水中に浸漬後、目視により導電性層の状態を観察した。
○:浸漬前と変化なし(光沢、透明性あり)。
×:成分が溶出。
40℃、80%RHの雰囲気下で、導電性包装材料の導電性層と、もう1つの導電性包装材料の基材(導電性層非形成面)とを重ね、100g/cm2 の荷重をかけ24時間放置した後、2枚の導電性包装材料を剥離時した時の状態を評価した。
○:剥離時に抵抗なし。
×:剥離時に大きな抵抗あり。
2軸延伸装置を用い、窒素雰囲気下、温度、100〜150℃、予熱時間15秒、引張速度5m/mimの条件で導電性包装材料(100mm×100mm×500μm)を1軸方向に150%伸張した。伸張した後の導電性包装材料の導電性層の表面抵抗値(SR2)を25℃、15%RHの条件下で求め、伸張前の導電性包装材料の導電性層の表面抵抗値(SR0)との比(SR2/SR0)を求めた。
[実施例1]
カーボンナノチューブ含有組成物1を基板(未延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、100mm×100mm×500μm)に、バーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、80℃で5分間乾燥させ、導電性層を形成し、導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、この導電性包装材料を、2軸延伸装置を用い、1軸方向に150%伸張した。伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、表1に示すカーボンナノチューブ含有組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、表1に示すカーボンナノチューブ含有組成物に変更し、基材を未延伸PC(ポリカーボネート)シート(100mm×100mm×500μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物9を基板(未延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)シート、100mm×100mm×500μm)に、バーコーター法(バーコートNo.5使用)により塗布し、80℃で5分間乾燥した後、1mol/Lの硫酸水溶液中に5分間浸漬した後、80℃で5分間乾燥し、導電性層を形成し、導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、この導電性包装材料を、2軸延伸装置を用い、1軸方向に150%伸張した。伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を、表1に示す導電性組成物に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1を導電性組成物4に変更し、基材を未延伸PEN(ポリエチレンナフタレート)シート(100mm×100mm×500μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
カーボンナノチューブ含有組成物1をカーボンナノチューブ含有組成物8に変更し、基材を未延伸PEN(ポリエチレンナフタレート)シート(100mm×100mm×500μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)、可視光線透過率を測定し、塗面外観、耐ブロッキング性を評価した。また、伸張した後の導電性層の表面抵抗値(SR2)を測定した。これらの結果を表1に示す。
実施例6と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
実施例7と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
比較例1と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
比較例2と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
比較例3と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
比較例4と同様にして導電性包装材料を得た。この導電性包装材料について、表面抵抗値(SR0)を測定した。その後、この導電性包装材料を40℃の純水中に1時間、浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。
[実施例11]
真空成型機を用い、120℃、10秒の予備加熱、60℃、15秒の成形条件で、実施例6で得られた導電性包装材料から、10mm×90mm、深さ10mmの凹部を5列有するトレイを成形した。成形前の表面抵抗値(SR0)及びトレイの凹部の表面抵抗値(SR3)を測定した。トレイを40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表3に示す。
実施例6で得られた導電性包装材料の代わりに、実施例7で得られた導電性包装材料を用いた以外は、実施例11と同様にしてトレイを成形した。成形前の表面抵抗値(SR0)及びトレイの凹部の表面抵抗値(SR3)を測定した。トレイを40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表3に示す。
[実施例13]
真空成型機を用い、120℃、10秒の予備加熱、60℃、15秒の成形条件で、実施例6で得られた導電性包装材料から、10mm×10mm、深さ5mmの凹部を1列有する、50×50cmのシートを作製し、凹部の1列を幅20mmにカットし、これをつなぎあわせてキャリアテープのモデルとした。成形前の表面抵抗値(SR0)及び成形後のキャリアテープの凹部の表面抵抗値(SR3)を測定した。キャリアテープを40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表4に示す。
実施例6で得られた導電性包装材料の代わりに、実施例7で得られた導電性包装材料を用いた以外は、実施例13と同様にしてキャリアテープを成形した。成形前の表面抵抗値(SR0)及び成形後のキャリアテープの凹部の表面抵抗値(SR3)を測定した。キャリアテープを40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定し、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表4に示す。
実施例6、7で得られた導電性包装材料を上記キャリアテープの幅20mmにカットし、これをつなぎあわせてカバーテープのモデルとした。
[実施例15]
実施例6で得られた導電性包装材料を、導電性層を内側に向けてヒートシール法にて三方シールし、袋(100mm×100mm)を製造した。袋の表面抵抗値(SR0)を測定した。袋を40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定しし、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表5に示す。
実施例6で得られた導電性包装材料の代わりに、実施例7で得られた導電性包装材料を用いた以外は、実施例15と同様にして袋を製造した。袋の表面抵抗値(SR0)を測定した。袋を40℃の純水中に1時間浸漬し、表面抵抗値(SR1)を測定しし、耐水性を評価した。また、塗面外観を評価した。これらの結果を表5に示す。
Claims (25)
- 基材と、導電性層とを有し、
導電性層が、導電性ポリマー(a)およびカーボンナノチューブ(c)を含有する層であることを特徴とする導電性包装材料。 - 導電性層が、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を基材に塗工して形成された層であることを特徴とする請求項1記載の導電性包装材料。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、高分子化合物(d)をさらに含有することを特徴とする請求項2記載の導電性包装材料。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、塩基性化合物(e)をさらに含有することを特徴とする請求項2または請求項3記載の導電性包装材料。
- カーボンナノチューブ含有組成物が、界面活性剤(f)をさらに含有することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- さらに、コロイダルシリカ(h)を含有することを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 導電性ポリマー(a)が、水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 水溶性導電性ポリマーが、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するものであることを特徴とする請求項7または請求項8記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(2)〜(10)から選ばれた少なくとも一種以上の繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含有する水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(11)で表される繰り返し単位を、ポリマー全体の繰り返し単位の総数中に20〜100%含むことを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(12)で表されるものであることを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、下記式(13)で表される酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び/または置換アンモニウム塩を、塩基性化合物を含む溶液中で酸化剤により重合させることにより得られた水溶性導電性ポリマーであることを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有する水溶性導電性ポリマーが、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルフェートであることを特徴とする請求項9記載の導電性包装材料。
- 温度25℃、相対湿度15%における表面抵抗値が101 〜1012Ωであることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 温度40℃の純水中に1時間浸漬した後の表面抵抗値SR1と浸漬前の表面抵抗値SR0との比(SR1/SR0)が5以下であることを特徴とする請求項8ないし16のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 導電性包装材料を150%伸張した後の表面抵抗値SR2と伸張前の表面抵抗値SR0との比(SR2/SR0)が10以下であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 可視光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1ないし18のいずれか一項に記載の導電性包装材料。
- 請求項1ないし19のいずれか一項に記載の導電性包装材料を加工してなることを特徴とする電子部品用容器。
- トレイ、電子部品用キャリアテープ、電子部品用キャリアテープ用カバーテープまたは電子部品用包装袋であることを特徴とする請求項20記載の電子部品用容器。
- 温度40℃の純水中に1時間浸漬した後の表面抵抗値SR1と浸漬前の表面抵抗値SR0との比(SR1/SR0)が5以下であることを特徴とする請求項20または請求項21記載の電子部品用容器。
- 凹凸加工後の凹部の表面抵抗値SR3と凹凸加工前の表面抵抗値SR0との比(SR3/SR0)が10以下であることを特徴とする請求項20ないし22のいずれか一項に記載の電子部品容器。
- 基材と導電性層とを有する導電性包装材料の製造方法において、
基材上に、導電性ポリマー(a)、溶媒(b)、およびカーボンナノチューブ(c)を含有するカーボンナノチューブ含有組成物を塗工、乾燥して、導電性層を形成することを特徴とする導電性包装材料の製造方法。 - 塗工前のカーボンナノチューブ含有組成物に超音波を照射することを特徴とする請求項24記載の導電性包装材料の製造方法。
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