JP2005075714A - ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法 - Google Patents

ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005075714A
JP2005075714A JP2003311901A JP2003311901A JP2005075714A JP 2005075714 A JP2005075714 A JP 2005075714A JP 2003311901 A JP2003311901 A JP 2003311901A JP 2003311901 A JP2003311901 A JP 2003311901A JP 2005075714 A JP2005075714 A JP 2005075714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal particles
metal
solution
organic solvent
crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003311901A
Other languages
English (en)
Inventor
Kinji Yamada
欣司 山田
Tomotaka Shinoda
智隆 篠田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2003311901A priority Critical patent/JP2005075714A/ja
Priority to US10/931,995 priority patent/US20050057884A1/en
Priority to KR1020040069815A priority patent/KR20050024251A/ko
Priority to EP04020931A priority patent/EP1513165A1/en
Priority to TW093126737A priority patent/TW200519974A/zh
Publication of JP2005075714A publication Critical patent/JP2005075714A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【解決手段】 本発明に係る結晶粒子の製造方法は、ABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法であって、(I)前記結晶粒子を構成する金属種Aを含む特定の有機金属化合物と、金属種Bを含む特定の有機金属化合物とを有機溶媒に溶解させる溶解工程、(II)前記溶解工程で調製した溶液に水を添加し、溶液中の前駆体を加水分解して結晶粒子を得る加水分解工程、(III)前記加水分解工程で得
られた結晶粒子を有機溶媒で精製する精製工程を有することを特徴としている。
【効果】 本発明の結晶粒子の製造方法によれば、400℃以下の穏やかな条件下でも良好な誘電特性を有する誘電体膜を作製しうる結晶粒子を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ABOx型(ペロブスカイト型)の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法に関する。
携帯電話を始めとする情報産業分野のデバイスには、今後ますます高速化、高容量化、小型化が要求され、それを実現するための高機能デバイスの研究開発が広範囲で精力的に進められている。その中でも、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸ジルコン酸鉛に代表されるABOx型(ペロブスカイト型)結晶構造を有する誘電体材料はキャパシタやメモリー材料を始めとする電子デバイス分野で広く利用されている。しかしながら、それらの電子デバイスのさらなる小型化、高性能化のためには素子の薄膜化が不可欠の条件であり、そのためには高機能、高品質の誘電特性を有する薄膜の製造技術の確立が鍵となっている。
現在、一般に薄膜の製造方法としては、スパッタリング等のPVD法(物理気相堆積法)、有機金属化合物を用いた化学気相堆積法等の気相法、さらにはゾル−ゲル法に代表される液相法等の種々の方法が用いられている。
たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛の場合には、気相法でも液相法でも良好な誘電特性を持つ結晶性薄膜が比較的容易に得られている。その一方、チタン酸バリウムやチタン酸バリウムストロンチウムの場合、誘電特性を示す薄膜の合成が気相法やゾル−ゲル法を用いて行なわれたことが数例報告されてはいるが、実用レベルの製造方法は確立されていないのが現状である。
このようなチタン酸バリウムやチタン酸バリウムストロンチウムの薄膜合成法としては、組成制御と形状付与の容易さ、さらに製造コストの観点から、気相法よりも液相法に期待が寄せられ、ゾル−ゲル法や塗布熱分解法による薄膜の合成研究が活発に行なわれている。ゾル−ゲル法とは、金属アルコキシドのゾル溶液(前駆体溶液)を出発原料として、加水分解と重縮合反応によってゾル状態からゲル状態を経由し、最終的には金属酸化物に至るまでの合成プロセスを指し、ゾル−ゲル法による薄膜形成は、PVD法や気相法等の他の薄膜形成方法と比較し、薄膜形成の対象となる基板の形状やサイズに制約を受けにくく、また薄膜形成に高価な装置を必要としない等の利点を有している。
ところで近年の電子デバイスの開発においては、ガラスや樹脂等の耐熱性の低い基板上に誘電体薄膜を形成する技術の開発が期待されている。しかしながら、従来のゾル−ゲル法を用いた薄膜形成方法においては、基板上に塗布したアモルファス状態の酸化物をABOx型の結晶構造へ変換させる際に500℃以上の焼成温度が必要であり、耐熱温度の低い基板への適応は困難である。
たとえば、Ba、Sr、Tiの各元素を含む前駆体溶液をスピンコーティング法やディップコーティング法等によって基板上に塗布して非晶質の被膜層を形成した場合、この被膜層を結晶化させるためには500℃以上の高温焼成が必要である。しかしながら、このような高温で焼成を行うときに基板の変質や変形が発生したり、あるいは基板と薄膜層との界面で反応が生じたりして、基板に使用する材料に種々の制約が生じていた。
このため、液相法による薄膜形成方法において、製造プロセス温度を低減するための技術革新が求められている。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものである。本発明に関連深い従来技術として、たとえば、特許文献1には塗布法によりBa、Sr、Tiのアルコキシドを原料とし、高誘電率の誘電体膜を作製する方法が述べられている。しかし、結晶化のために550℃での焼成を必要としており耐熱性の低い基板への成膜は不可能である。
また、たとえば、特許文献2には、Ba、Ti等のアルコキシドを一部加水分解した溶液を基板に塗布し、作製した塗膜を水蒸気に暴露することで結晶性のBaTiO3薄膜を
低温形成する方法が述べられている。しかしながら、この方法では、基板を液体窒素温度まで冷却し、成膜後は長時間の熟成が必要であり、生成した結晶化膜の電気特性に関しては記述されていない。
また、たとえば、特許文献3には、Ba、Ti等のアルコキシドを加水分解して結晶性のゲルを作製し、これを用いた薄膜形成法に関して述べられている。しかしながら、この方法で作製される誘電体膜は450℃の焼成では誘電損失が大きく、実用的には750℃以上の高温で焼成する必要がある。
特開平9−157008号公報 特開2001−026421号公報 特開2002−275390号公報
本発明は上述の実情に鑑みてなされたものであり、ABOx型の結晶構造を有する誘電体膜の形成において、プロセス温度の低温化を実現し、かつより短時間の処理を可能にすることにより、生産性を大幅に向上することができる、ABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法を提供することを目的としている。すなわち、低温焼成で誘電体膜を形成することが可能なABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子の製造方法の提供を目的としている。
本発明に係る結晶粒子の製造方法は、金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法であって、
(I)前記結晶粒子を構成する金属種Aを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種と、
前記結晶粒子を構成する金属種Bを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種とを有機溶媒に溶解させる溶解工程、
(II)前記溶解工程で調製した溶液に水を添加し、溶液中の前駆体を加水分解して結晶粒子を得る加水分解工程、
(III)前記加水分解工程で得られた結晶粒子を有機溶媒で精製する精製工程
を有することを特徴としている。なお、本明細書中、平均粒径とは、粒度分布の頻度の中央値から求められるいわゆるメジアン径を意味する。
本発明では、前記加水分解工程において、液体状態の水あるいは水を含む有機溶媒を、溶液中に滴下することが好ましい。
本発明の結晶粒子の製造方法によれば、400℃以下の穏やかな条件下でも良好な誘電特性を有する誘電体膜を作製しうる結晶粒子を得ることができる。該結晶粒子を用いるこ
とにより、加熱炉での高温焼成による結晶化が必要な従来のプロセスと比較して誘電体膜の形成プロセスが簡便になり、生産性が大幅に向上する。さらに、該結晶粒子を用いれば、高温での結晶化工程が不要となり、高温での結晶化工程が必要な従来のゾル−ゲル法では適用不可能であった耐熱性の低い各種基板に対しても誘電特性の良好な結晶化膜を作製することが可能になる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法は、
(I)前記結晶粒子を構成する金属種Aを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種と、
前記結晶粒子を構成する金属種Bを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種とを有機溶媒に溶解させる溶解工程、
(II)前記溶解工程で調製した溶液に水を添加し、溶液中の前駆体を加水分解して結晶粒子を得る加水分解工程、
(III)前記加水分解工程で得られた結晶粒子を有機溶媒で精製する精製工程
を有することを特徴としている。
以下に詳細を説明する。
前記溶解工程(I)では、原料として、前記ABOx型の結晶構造を有する粒子を構成する金属種Aを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種と、前記ABOx型の結晶構造を有する粒子を構成する金属種Bを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種とを用い、常法により有機溶媒に溶解させる。
本発明では、前記粒子を構成する、金属種AはLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BはTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であることが好ましい。さらに、これらのうちでは、金属種AがSr、Baから選ばれる一種以上の金属であり、金属種BがTiであることがより好ましい。
この際、溶液中の金属種Aの濃度は0.1〜2.0mmol/g、好ましくは0.4〜1.5mmol/g、より好ましくは0.5〜1.0mmol/gであり、金属種Bの濃度は0.1〜2.0mmol/g、好ましくは0.4〜1.5mmol/g、より好ましくは0.5〜1.0mmol/gである。
《金属アルコキシド》
前記金属アルコキシドは、金属原子とアルコールとが反応した化合物であり、下記一般式(1)で表される。
a(OR1a ・・・式(1)
[式(1)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選択された金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、R1は、アルコールのOH基を除いた残基である。]
上記金属アルコキシドを形成するアルコールとしては、たとえば、下記式(2)に示すものを好適例として挙げることができる。
1OH ・・・式(2)
[式(2)中、R1は、炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の炭化水素基、あるいは炭素原子数1〜6の、アルコキシル基で置換された炭化水素基を示す。]
上記一般式(2)において、R1が炭素原子数1〜6の飽和または不飽和の炭化水素基
の場合は、アルコールとして、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール等を挙げることができる。
また、上記一般式(2)において、R1が炭素原子数1〜6の、アルコキシル基で置換
された炭化水素基の場合は、アルコールとして、たとえば、メトキシメタノール、メトキシエタノール、エトキシメタノール、エトキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、プロポキシプロパノール等を挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(1)で表される金属アルコキシドとして、たとえば、ジメトキシバリウム、ジエトキシバリウム、ジプロポキシバリウム、ジイソプロポキシバリウム、ジブトキシバリウム、ジイソブトキシバリウムなどのバリウムアルコキシド;ジメトキシストロンチウム、ジエトキシストロンチウム、ジプロポキシストロンチウム、ジイソプロポキシストロンチウム、ジブトキシストロンチウム、ジイソブトキシストロンチウムなどのストロンチウムアルコキシド;テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトライソブトキシチタンなどのチタンアルコキシド;等を好適に使用することができる。
《金属カルボキシレート》
前記金属カルボキシレートは、金属原子とカルボン酸が反応した化合物であり、下記一般式(3)で表される。
a(OCOR2a ・・・式(3)
[式(3)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選択された金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、R2は、カルボン酸のCOOH基を除いた残基である。]
上記金属カルボキシレートを形成するカルボン酸としては、たとえば、下記式(4)に示すものを好適例として挙げることができる。
2COOH ・・・式(4)
[式(4)中、R2は、炭素原子数1〜10の飽和または不飽和の炭化水素基で置換された炭化水素基を示す。]
上記一般式(4)で示されるカルボン酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、2−メチルプロピオン酸、ペンタン酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、ノナン酸、デカン酸などを挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(3)で表される金属カルボキシレートとして、たとえば、酢酸バリウム、プロピオン酸バリウム、2−メチルプロピオン酸バリウム、ペンタン酸バリウム、2,2−ジメチルプロピオン酸バリウム、ブタン酸バリウム、ヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、オクチル酸バリウム、ノナン酸バリウム、デカン酸バリウムなどのバリウムカルボキシレート;酢酸ストロンチウム、プロピオン酸ストロンチウム、2−メチルプロピオン酸ストロンチウム、ペンタン酸ストロンチウム、2,2−ジメチルプロピオン酸ストロンチウム、ブタン酸ストロンチウム、ヘキサン酸ストロンチウム、2−エチルヘキサン酸ストロンチウム、オクチル酸ストロンチウム、ノナン酸ストロンチウム、デカン酸ストロンチウムなどのストロンチウムカルボキシレ
ート;等を好適に使用することができる。
《金属錯体》
前記金属錯体は、金属原子に有機化合物が配位した化合物であり、下記一般式(5)で表される。
a(OR1b(OCOR2c3 d ・・・式(5)
[式(5)中、Mは、Li、Na、Ca、Sr、Ba、La、Ti、Zr、Ta、Nb
から選ばれる金属を表しており、aは、金属Mの価数に応じた1〜7の整数であり、bは0〜7の整数、cは0〜7の整数であり、a=b+cを満たす。dは1〜7の整数である。R1は、上述したアルコールのOH基を除いた残基であり、R2は、上述したカルボン酸のCOOH基を除いた残基である。R3は、有機化合物である。]
金属原子に配位する有機化合物R3としては、エーテル類があり、たとえば下記式(6
−1)および(6−2)に示す化合物を挙げることができる。
4(OR5m ・・・式(6−1)
[式(6−1)中、R4、R5は、それぞれ炭素原子数1〜10の飽和又は不飽和の炭化
水素基を示し、mは1〜4の整数である。]
(R6O)n ・・・式(6−2)
[式(6−2)中、R6は、炭素原子数1〜10のアルキレン基を示し、nは1〜3の整数である。]
具体的なエーテル類としては、たとえば、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン等を挙げることができる。
また、金属原子へ配位する有機化合物R3としては、ケトン類があり、たとえば下記式
(7)および(8)に示す化合物を挙げることができる。
78C=O ・・・式(7)
7(C=O)(CH2x(C=O)R8 ・・・式(8)
[式(7)および(8)中、R7、R8は、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1
〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。また式(8)中、xは1〜10の整数である。]
具体的なケトン類としては、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール、アセチルアセトン等を挙げることができる。
金属原子へ配位する有機化合物としてエステル類があり、たとえば、下記式(9−1)および(9−2)に示す化合物を挙げることができる。
9(COOR10y ・・・式(9−1)
[式(9−1)中、R9は、水素原子、または炭素原子数1〜10の、酸素原子、水酸基、アシル基で置換されていてもよい飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、R10は、炭素原子数1〜10の、アルコキシ基で置換されていてもよい飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、yは1〜2の整数である。]
(COOR112 ・・・式(9−2)
[式(9−2)中、R11は炭素原子数1〜10の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。]
具体的なエステル類としては、たとえば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等を挙げることができる。
より具体的には、本発明では、上記一般式(5)で表される金属錯体として、たとえば、チタンアリルアセトアセテートトリイソプロポキサイド、チタンジブトキサイド(ビスー2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイド(ビスー2,4−ペンタンジオネート)、チタンジブトキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタンジブトキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、
等を好適に使用することができる。
《有機溶媒》
前記金属アルコキシド、金属カルボキシレートまたは金属錯体を溶解する際に使用する有機溶媒としては、たとえば、アルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
多価アルコール系溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等を挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等を挙げることができる。
上記の溶媒は、1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いることもできる。
次に加水分解工程(II)において、前記溶解工程(I)で調製した溶液の温度を−78〜200℃、好ましくは−20〜100℃、より好ましくは0〜50℃の範囲に保ち、該
溶液中に水を金属種Aの1モルに対して通常5〜300倍モル、好ましくは10〜200倍モル、より好ましくは20〜100倍モル添加し、溶液中の前駆体を加水分解して結晶化を行う。
加水分解の際に溶液の温度を上記範囲内に保つことにより、結晶化により形成される粒子の結晶性が向上する。
また、加水分解の際に前記溶液に添加する水の量は、金属種Aに対して上記範囲の量が結晶性高いの粒子を得るためには最適であり、添加する水の量が上記下限値よりも少ない場合、あるいは上記上限値よりも多い場合には結晶性が低下することがある。
このように形成される粒子の結晶性が向上すると、該粒子を有機溶媒中に分散させて均一で誘電特性に優れた誘電体膜を形成することが可能となる。
前記加水分解工程における溶液への水の添加方法は、直接、水のみを溶液中に添加してもよいし、上記の有機溶媒1種を用いて水と混合して添加してもよいし、あるいは上記有機溶媒2種以上を組合せて水と混合して添加してもよいが、好ましくは、液体状態の水あるいは液体状態の水を含む有機溶媒を、前記溶液中に滴下することによって行う。
このように、加水分解のための水を、液体状態の水のみ、あるいは液体状態の水を含む有機溶媒を用いて、前記溶液中に滴下することにより添加すると、加水分解を再現性よく、効率的に行うことができるため好ましい。
また、このとき、添加する水に触媒が含まれていてもよい。この場合の使用可能な触媒としては、たとえば、無機酸(たとえば、塩酸、硫酸、硝酸)、有機酸(たとえば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸)等の酸触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の無機または有機アルカリ触媒等を挙げることができる。
これらのうちでは、アルカリ触媒を用いることがより好ましい。カルボン酸等の有機酸を用いた場合には、有機酸が分解して生成する二酸化炭素が膜中に残存して、形成される誘電体膜の電気特性に影響を与える場合がある。また、塩酸、硝酸等の無機酸を用いた場合には、酸成分の一部が膜中に残留し、形成される誘電体膜のリーク電流特性を悪化させる場合がある。
水を添加した後、生成する加水分解・縮合物を通常−10〜200℃、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃の温度に、通常0.5〜200時間、好ましくは1〜100時間、より好ましくは3〜20時間保持することが望ましい。
上記溶解工程(I)、加水分解工程(II)を経ることによりABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下、好ましくは平均粒径20〜80nmの粒子を得ることができる。
その後、該粒子を有機溶媒で精製する精製工程(III)を行い、本発明の結晶粒子を得
る。
上述したようにして加水分解・縮合物を結晶化させて作製した結晶粒子には、未反応の金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体(以下、単に有機金属化合物ともいう。)、一部加水分解された有機金属化合物、有機金属化合物が完全に加水分解されて生
成する金属水酸化物、金属イオン等の不純物が含まれている。
とくに、このような結晶粒子をそのまま有機溶媒中に分散させた組成物において金属種Aの液中濃度が1モル%よりも高濃度で存在すると、この組成物を用いて誘電体膜を形成した場合に、
(1)誘電体膜がイオン導電性を示し、リーク電流が増大する
(2)誘電体膜の誘電損失が大きくなる
等の問題が生じる。
なお、本明細書中、金属種Aの液中濃度とは、以下に示す手順(A)〜(D)によって測定し、計算された値と定義する。
(A)メチルセルソルブへABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の粒子αモルを5重量%になるように加え、攪拌または超音波照射によって分散させる。
(B)(A)で作製した粒子分散液を15000rpm回転/1時間遠心分離を行って粒
子を沈降させ、上澄を分離する。
(C)(B)で分離した上澄液中に含まれる金属種Aの量βモル、金属種Bの量γモルをICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)で測定する。
(D)(C)で測定された金属種A、金属種Bの量を元に、以下の計算式によって金属種Aの液中濃度を算出する。
金属種Aの液中濃度 (モル%) =(β−γ)/α × 100
また、加水分解・縮合物を結晶化させて作製した結晶粒子には大量の水分も含まれている。とくに、このような結晶粒子をそのまま有機溶媒中に分散させた組成物において、該組成物中に1重量%以上の水が存在すると、
(3)ABOx型の結晶構造を有する粒子の分散性を悪化させる
等の問題が生じる。組成物中における粒子の分散性が悪化すると、粒子の平均粒径が大きくなり、沈降や、膜形成した際の膜の白濁などにつながるおそれがある。
このため、良好な誘電体膜を作製しうる結晶粒子を得るためには、加水分解工程(II)で得られた結晶粒子を有機溶媒で精製し、精製後の粒子を洗液である有機溶媒と分離した後、あらたな有機溶媒に分散させて組成物を得た場合に、該組成物中の金属種Aの液中濃度が1モル%以下、好ましくは0.5モル%以下に、かつ、含有される水の濃度を1重量%以下、好ましくは0.05〜0.5重量%に減少させることが重要である。
なお、該組成物中の金属種Aの液中濃度は、高温のアルゴンプラズマ中に霧状の試料を導入し、元素をイオン化させ、このイオンを質量で分離分析する誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)によって測定した値を基に、上述したように計算することができ、該組成物に含まれる水の濃度は、カールフィシャー電量滴定法により測定することができる。
前記加水分解工程(II)で得られた結晶粒子を、有機溶媒で精製する精製工程(III)
において、有機溶媒で結晶粒子を精製する方法は、精製後、結晶粒子と有機溶媒とを分離することが可能であればどのような手法を用いてもよいが、たとえば、有機溶媒を結晶粒子に加え、デカンテーションあるいは遠心分離によって該粒子を沈降させて、上澄液を除去し、再度、有機溶媒を沈降した結晶粒子に加えて、加熱する工程を2〜5回繰り返すことで結晶粒子に含まれる上記不純物および水分を除去し、これらの濃度を減少させることができる。また、たとえば有機溶媒を粒子に加え、半透膜を用いた透析を2〜5回繰り返すことで含まれる上記不純物および水の濃度を減少させることもできる。
これにより、精製後の結晶粒子を有機溶媒中に分散させて組成物を得た場合に、該組成
物中の、金属種Aの液中濃度および水の濃度を上記所定の濃度まで低減させることが可能となり、上記の(1)〜(3)の問題を解決することができる。
前記精製工程(III)において使用する有機溶媒としては、アルコール系溶媒、多価アル
コール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
多価アルコール系溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メトキシブタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等を挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、メトキシブチルアセテート、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル等を挙げることができる。
上記の溶媒は、1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いることもできる。
なお、本発明により得られた結晶粒子を洗液である有機溶媒と分離した後、あらたな有機溶媒に投入し、分散させて組成物(粒子分散液)を作製することもできる。
この場合、結晶粒子を有機溶媒中に分散させる方法は、該粒子を有機溶媒中に均一に分散させることが可能であればどのような手法を用いてもよい。たとえば、機械的攪拌、あるいは超音波を使用した攪拌を行いながら溶媒中に分散させる。
分散に用いられる有機溶媒としては、精製工程(III)で用いた有機溶媒として例示し
たのと同様のアルコール系溶媒、多価アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒等を挙げることができる。
上記の溶媒は、1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いることもできる。また、分散に用いられる有機溶媒は、精製に用いた有機溶媒と同じでもよく、異なってもよい。
上記の溶媒は、1種を用いてもよいし、2種以上を組合せて用いることもできる。
前記組成物の安定性を考慮すると、該組成物中の結晶粒子の含有量は、固形分濃度として組成物全体の1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%である。
なお、結晶粒子の分散を容易にするために、精製後の結晶粒子を有機溶媒に分散させる際に、ノニオン系界面活性剤を分散剤として用いてもよい。たとえば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、エチレンジアミンのポリオキシプロピレン-ポリ
オキシエチレン縮合物(プルロニック型)、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等を使用することもできる。
なお、分散剤の種類と添加量は結晶粒子の種類と結晶粒子を分散させる溶媒の種類により適宜選定して使用することができるが、得られる誘電体膜の誘電特性を考慮すると粒子100gに対して0.001〜10g、好ましくは0.005〜3g、より好ましくは0.01〜1gの範囲であることが望ましい。
さらに、本発明によって得られた結晶粒子を有機溶媒中に分散した組成物を基板に塗布し、基板上に塗布膜を形成し、これを必要に応じて乾燥すること、好ましくはさらに加熱焼成することにより、誘電体膜を形成することが可能である。
具体的には、まず、前述した組成物を基板上に塗布し塗布膜を形成する。ここで、基板上への組成物の塗布方法としては、たとえば、オープンスピン塗布法、密閉スピン塗布法、ミスト化塗布のLSM−CVD法(溶液気化化学気相堆積法)、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法、印刷法、インクジェット法、電気泳動電着法等の公知の塗布法を用いることができる。
塗布膜の乾燥は、通常50〜300℃、好ましくは100〜250℃の温度で行う。
このように、基板上への組成物の塗布、ならびに必要に応じて乾燥までの一連の操作を数回繰り返して行うことにより、最終的に得られる誘電体膜を所望の膜厚に設定することができる。
その後、該塗布膜を、通常300℃を超えて900℃以下、好ましくは400〜750℃の温度で加熱して焼成し、誘電体膜を得ることができる。すなわち、前記組成物を用いた場合には、従来と同様に高温域での焼成により誘電体膜を得ることができることは言うまでもなく、従来よりも低い温度、たとえば、400℃以下の温度で焼成することによっても実用に適した誘電体膜を得ることができる。
前記組成物が塗布される基板としては、平面でも非平面(たとえば段差があるもの)でもよく、所望のカバレージを実現できるものであればその形態は特に限定されるものではない。また、基板の形状は特に制限されるものではなく、たとえばバルク、薄板、フィルム形状のものを用いることができる。このような基板の材質の具体例としては、半導体、ガラス、金属、プラスチック、セラミックスなどを挙げることができる。
半導体基板の例としては、シリコンウェーハなどが挙げられる。このシリコンウェーハ上にはシリコン酸化膜、Pt、Ir、Ru等の金属、およびその金属酸化物である導電性金属酸化物などからなる電極などが形成されていてもよい。またGaAsやInPなどの化合物半導体基板も使用可能である。
ガラス基板としては、たとえば石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス、鉛ガラス、ランタン系ガラス等からなる基板が使用できる。
金属基板としては、たとえば金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄の他ステンレス鋼等からなる基板が使用できる。
プラスチック基板としては、たとえばポリイミドやメタクリル樹脂等からなる基板を使用することができる。これらのプラスチック基板は、ガラス基板や金属基板よりも耐熱性が低い場合があるが、本発明では、低温で誘電体膜(結晶化膜)を形成することができるため、本発明に適用するにあたって原理的な問題は存在しない。
セラミックス基板としては、たとえば、酸化ケイ素、酸化アルミ、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化チタン、炭化ケイ素、炭化チタン等からなる基板が使用できる。
このようにして得られる誘電体膜は、誘電特性およびリーク電流特性が良好であるため、キャパシタなどの電子部品として好適に用いることが可能である。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(結晶粒子1および組成物1の作製)
メチルセルソルブ25.77gに、Ba(OCH2CH32を25.77g加えて溶解
し、110℃で1時間加熱した。その後、この溶液にTi(OCH(CH324を32
.21g加え、さらに110℃で1時間加熱した。生成した濃褐色の溶液にメタノール58gを添加してBa濃度0.8mmol/g、Ti濃度0.8mmol/gの原料溶液を調製した。
上記原料溶液40gを0℃に冷却して、Baの60倍モル相当の水34.56gとメタノール24gとの混合溶液を添加し、激しく攪拌し、加水分解・縮合物を得た。その後、生成した加水分解・縮合物を60℃で3時間静置して結晶化させた。
結晶化後、デカンテーションによって結晶粒子と上澄溶液を分離し、メチルセルソルブを120g添加し、再度60℃で静置して3時間放置した。この操作を4回繰り返し、結晶粒子1を得た。
得られた結晶粒子1と上澄溶液を分離した後、BaTiO3換算した場合の固形分濃度
が10重量%になるようにメチルセルソルブを加え、さらに分散剤としてエチレンジアミンのポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン縮合物を粒子重量100に対して0.1添加し、超音波分散機で結晶粒子1を分散させ、組成物1を作製した。
組成物1のバリウムの液中濃度を、誘導結合プラズマ質量分析装置ELAN DRC plus 6100(Perkin Elmer社製)により誘導結合プラズマ質量分析法にて測定したところ0.2モル%であった。
組成物1の水分濃度を、平沼微量水分測定装置 AQ−7(平沼産業株式会社)によりカールフィシャー電量滴定法にて測定したところ0.4重量%であった。
また、組成物1の粒子径分布を、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB−500(堀場
製作所)により動的散乱法にて測定した結果を図1に示す。これによれば粒子径は40nmを主体とした粒子分布(平均粒径約40nm)であることがわかる。なお、誘電体形成用組成物1は容易に孔径200nmのフィルターで濾過し、粗大粒子を除去することが可能であった。
この組成物1をガラス板へ滴下し、室温で乾燥させたもののX線回折チャートを図2に示す。図2によれば、結晶粒子1が室温でBaTiO3複合酸化物のABOx型の結晶構
造になっていることが判断できる。
[比較例1]
(結晶粒子2および組成物2の作製)
メチルセルソルブ25.77gに、Ba(OCH2CH32を25.77g加えて溶解
し、110℃で1時間加熱した。その後、この溶液にTi(OCH(CH324を32
.21g加え、さらに110℃で1時間加熱した。生成した濃褐色の溶液にメタノール58gを添加してBa濃度0.8mmol/g、Ti濃度0.8mmol/gの原料溶液を調製した。
上記原料溶液40gを0℃に冷却して、Baの60倍モル相当の水34.56gとメタノール24gとの混合溶液を添加し、激しく攪拌し、加水分解・縮合物を得た。その後、生成した加水分解・縮合物を60℃で3時間静置して結晶化させ、結晶粒子2を作製した。
結晶化後、結晶粒子を含んだ反応液へ、BaTiO3換算した場合の固形分濃度が5重
量%になるようにメチルセルソルブを加え、超音波分散機で結晶粒子を分散させ、組成物2を作製した。
この組成物2の水分濃度を、平沼微量水分測定装置 AQ−7(平沼産業株式会社)によりカールフィシャー電量滴定法にて測定したところ20重量%であった。
組成物2の粒子径分布を、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB−500(堀場製作所)により動的散乱法にて測定した結果を図3に示す。これによれば粒子径は180nmを主体とした粒子分布(平均粒径約180nm)であり、その分散性が悪化していることがわかる。また、組成物2に対して孔径200nmのフィルターでの濾過を試みたが、200nm以上の粒子が存在するためフィルターが目詰まりを起こし、濾過不能であった。
この組成物2をガラス板へ滴下し、室温で乾燥させたもののX線回折チャートを図4に示す。図4によれば、組成物2中の粒子が室温でBaTiO3複合酸化物のABOx型の
結晶構造になっていることが判断できる。
[試験例]
(組成物1、2を用いた誘電体膜の形成)
熱酸化法により得られた膜厚1000nmの酸化シリコン層が表面に形成された直径6インチのシリコンウェーハ上に、スパッタリング法によって、膜厚100nmのPtからなる下部電極を形成した。
次に、前記下部電極上に、組成物1を、スピンコータを用いて300rpmで5秒間、続いて1000rpmで20秒間回転塗布した後、250℃で1分間乾燥を行った。この操作を4回行ったあと、400℃で10分、塗膜を加熱し焼成することで膜厚300nmの誘電体膜1を作製した。
同様にして形成した前記下部電極上に、組成物2を、スピンコータを用いて300rpmで5秒間、続いて1000rpmで20秒間回転塗布した後、250℃で1分間乾燥を行った。この操作を4回行ったあと、400℃で10分、塗膜を加熱し焼成することで膜厚300nmの誘電体膜2を作製した。
(誘電体膜の誘電特性)
次いで、上記誘電体膜1、2に、それぞれメタルマスクを介して、スパッタリング法により直径0.2mmの200nm膜厚のPt上部電極を形成した。
誘電体膜1の比誘電率と誘電損失の周波数依存性を測定した結果を図5に示す。図5より、誘電体膜1は、100kHz〜1MHzの範囲にわたって、比誘電率は約39、誘電損失は0.02以下であり、結晶粒子1を用いた組成物1から良好な誘電特性を有する誘電体膜が作製可能であることが分かる。
また、誘電体膜1、2のリーク電流を測定した結果、誘電体膜1は0.2MV/cmにおいて2.7×10-8A/cm2であり、リーク電流特性が良好であり、キャパシタとし
て好適に使用できる状態であることが分かる。一方、誘電体膜2では、0.2MV/cmにおいて1×10-2A/cm2を超えるリーク電流があり、キャパシタとしての使用が不
可能であった。
図1は、実施例1の結晶粒子径を示すチャートである。 図2は、実施例1の結晶粒子のX線回折チャートである。 図3は、比較例1の結晶粒子径を示すチャートである。 図4は、比較例1の結晶粒子のX線回折チャートである。 図5は、誘電体膜1の比誘電率、誘電損失の周波数依存性を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 金属種AがLi、Na、Ca、Sr、Ba、Laから選ばれる一種類以上の金属であり、金属種BがTi、Zr、Ta、Nbから選ばれる一種類以上の金属であるABOx型の結晶構造を有する平均粒径100nm以下の結晶粒子を製造する方法であって、
    (I)前記結晶粒子を構成する金属種Aを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種と、
    前記結晶粒子を構成する金属種Bを含む、金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体から選ばれる少なくとも一種とを有機溶媒に溶解させる溶解工程、
    (II)前記溶解工程で調製した溶液に水を添加し、溶液中の前駆体を加水分解して結晶粒子を得る加水分解工程、
    (III)前記加水分解工程で得られた結晶粒子を有機溶媒で精製する精製工程
    を有することを特徴とする結晶粒子の製造方法。
  2. 前記加水分解工程において、液体状態の水あるいは水を含む有機溶媒を、溶液中に滴下することを特徴とする請求項1に記載の結晶粒子の製造方法。
JP2003311901A 2003-09-03 2003-09-03 ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法 Pending JP2005075714A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003311901A JP2005075714A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法
US10/931,995 US20050057884A1 (en) 2003-09-03 2004-09-02 Dielectric-forming composition containing particles with perovskite crystal structure, production process and uses of the same, and process for preparing crystal particles having perovskite crystal structure
KR1020040069815A KR20050024251A (ko) 2003-09-03 2004-09-02 페로브스카이트형 결정 구조를 갖는 입자를 함유하는유전체 형성용 조성물, 그의 제조 방법 및 용도, 및페로브스카이트형 결정 구조를 갖는 결정 입자의 제조방법
EP04020931A EP1513165A1 (en) 2003-09-03 2004-09-02 Dielectric-forming composition containing particles with perovskite crystal structure, production process and uses of the same, and process for preparing crystal particles having perovskite crystal structure
TW093126737A TW200519974A (en) 2003-09-03 2004-09-03 Dielectric-forming composition containing particles with perovskite crystal structure, production process and uses of the same, and process for preparing crystal particles having perovskite crystal structure

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003311901A JP2005075714A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005075714A true JP2005075714A (ja) 2005-03-24

Family

ID=34413347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003311901A Pending JP2005075714A (ja) 2003-09-03 2003-09-03 ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005075714A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247660A (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Jsr Corp 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ
US7419579B2 (en) 2004-03-22 2008-09-02 Seiko Epson Corporation Method for manufacturing a ferroelectric film
KR20120084707A (ko) 2009-07-09 2012-07-30 덴끼 가가꾸 고교 가부시키가이샤 고굴절률 분말, 그 제조 방법 및 용도
JP2014015393A (ja) * 2006-02-28 2014-01-30 Primet Precision Materials Inc リチウムベースの化合物のナノ粒子組成物および該ナノ粒子組成物を形成する方法
JP2015051913A (ja) * 2013-08-05 2015-03-19 国立大学法人北見工業大学 ペロブスカイト型複合酸化物からなる膜を形成する方法、ペロブスカイト型複合酸化物被覆粒子、触媒、電極及び誘電体材料

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63277517A (ja) * 1987-05-11 1988-11-15 Nippon Steel Corp 複合ペロブスカイト化合物前駆体ゾルの製造方法
JPS6418904A (en) * 1987-06-29 1989-01-23 Solvay Manufacture of mixed metallic oxide powder and mixed metallic oxide powder
JPH0624711A (ja) * 1992-05-29 1994-02-01 Nippon Steel Corp 微細粉体の製造方法
JPH08169800A (ja) * 1994-12-19 1996-07-02 Kyocera Corp BaTiO3配向膜の製造方法
JPH10297908A (ja) * 1997-04-25 1998-11-10 Oki Electric Ind Co Ltd 誘電体被膜形成用塗布液の製造方法、誘電体被膜形成用塗布液及び誘電体被膜の形成方法
JP2001026421A (ja) * 1999-07-14 2001-01-30 Fukuoka Prefecture ゾル・ゲル法による結晶性薄膜の形成方法
JP2001233604A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Kansai Research Institute 酸化物薄膜形成用塗布液およびその製造方法ならびに酸化物薄膜の製造方法
JP2002275390A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Fukuoka Prefecture 結晶性ゲル分散コーティング溶液及び結晶性ゲル分散コーティング溶液を用いた薄膜形成方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63277517A (ja) * 1987-05-11 1988-11-15 Nippon Steel Corp 複合ペロブスカイト化合物前駆体ゾルの製造方法
JPS6418904A (en) * 1987-06-29 1989-01-23 Solvay Manufacture of mixed metallic oxide powder and mixed metallic oxide powder
JPH0624711A (ja) * 1992-05-29 1994-02-01 Nippon Steel Corp 微細粉体の製造方法
JPH08169800A (ja) * 1994-12-19 1996-07-02 Kyocera Corp BaTiO3配向膜の製造方法
JPH10297908A (ja) * 1997-04-25 1998-11-10 Oki Electric Ind Co Ltd 誘電体被膜形成用塗布液の製造方法、誘電体被膜形成用塗布液及び誘電体被膜の形成方法
JP2001026421A (ja) * 1999-07-14 2001-01-30 Fukuoka Prefecture ゾル・ゲル法による結晶性薄膜の形成方法
JP2001233604A (ja) * 2000-02-24 2001-08-28 Kansai Research Institute 酸化物薄膜形成用塗布液およびその製造方法ならびに酸化物薄膜の製造方法
JP2002275390A (ja) * 2001-03-15 2002-09-25 Fukuoka Prefecture 結晶性ゲル分散コーティング溶液及び結晶性ゲル分散コーティング溶液を用いた薄膜形成方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247660A (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Jsr Corp 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ
US7419579B2 (en) 2004-03-22 2008-09-02 Seiko Epson Corporation Method for manufacturing a ferroelectric film
JP2014015393A (ja) * 2006-02-28 2014-01-30 Primet Precision Materials Inc リチウムベースの化合物のナノ粒子組成物および該ナノ粒子組成物を形成する方法
KR20120084707A (ko) 2009-07-09 2012-07-30 덴끼 가가꾸 고교 가부시키가이샤 고굴절률 분말, 그 제조 방법 및 용도
JP2015051913A (ja) * 2013-08-05 2015-03-19 国立大学法人北見工業大学 ペロブスカイト型複合酸化物からなる膜を形成する方法、ペロブスカイト型複合酸化物被覆粒子、触媒、電極及び誘電体材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2525393B1 (en) Method for producing ferroelectric thin film
US20060283354A1 (en) Method of producing composition for forming dielectric film, composition for forming dielectric film, dielectric film and method of producing dielectric film
KR101371995B1 (ko) 도포액 및 이 도포액을 이용한 티탄산계 세라믹스막의제조방법
KR100406665B1 (ko) Ba1-xSrxTiyO3 박막 형성용 조성물 및 Ba1-xSrxTiyO3 박막의 형성방법
US9133349B2 (en) Zinc oxide film-forming composition, zinc oxide film production method, and zinc compound
EP3343654B1 (en) Method for forming pzt ferroelectric film
CN103359785A (zh) Pzt系铁电薄膜的制造方法和pzt系铁电薄膜
JP3320440B2 (ja) 被膜形成用塗布液およびその製造方法
EP2784137B1 (en) PZT-based ferroelectric thin film-forming composition, method of preparing the same, and method of forming PZT-based ferroelectric thin film using the same
US20050057884A1 (en) Dielectric-forming composition containing particles with perovskite crystal structure, production process and uses of the same, and process for preparing crystal particles having perovskite crystal structure
JP4257518B2 (ja) ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法、ペロブスカイト型結晶粒子分散体の製造方法および誘電体膜
WO2013129701A1 (ja) 導電性膜の形成方法
JP2005075714A (ja) ペロブスカイト型結晶粒子の製造方法
JP2005075713A (ja) 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
JP2005075715A (ja) 誘電体形成用組成物、その製造方法、ならびにそれを用いた誘電体膜、キャパシタ
KR102032575B1 (ko) Pzt 계 강유전체 박막 형성용 조성물 및 그 제조 방법 그리고 그 조성물을 사용한 pzt 계 강유전체 박막의 형성 방법
JP2004256377A (ja) 金属酸化物膜の製造方法
JP2004231495A (ja) 金属酸化物膜の製造方法
EP1860068A1 (en) Method for producing composition for forming dielectric film ,composition for forming dielectric film and method for producing same
JP2005247660A (ja) 誘電体膜形成用組成物、誘電体膜形成用組成物の製造方法ならびに誘電体膜および誘電体膜を含むキャパシタ
JP2003002650A (ja) Sbt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
JP4702215B2 (ja) 高誘電体薄膜形成用塗布組成物とその製造方法
JP2003002649A (ja) Blt強誘電体薄膜、その形成用組成物及び形成方法
WO2007007561A1 (ja) 常誘電体薄膜形成用組成物、常誘電体薄膜および誘電体メモリ
JP3107084B1 (ja) 強誘電体薄膜形成用組成物及び強誘電体薄膜の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051020

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080331

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080930

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090217