JP2005075664A - 光ファイバの線引方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 線引きされた光ファイバ11aのガラス外径、光ファイバ11aのガラス内部、および光ファイバ11aに被覆した樹脂の内部の少なくとも一つの異常部分を検出し、異常部分の検出に基いて被覆した樹脂の外径を所定の区間にわたって所定の外径になるように変化させることでマーキング部を形成する。
【選択図】 図1
Description
また、線引装置100は、強制冷却装置104の下流に配され、線引きされた光ファイバの表面に樹脂を被覆するダイス105と、塗布された樹脂を硬化させるための樹脂硬化装置107と、樹脂が被覆した光ファイバ素線101bの外径を測定する外径測定器108と、被覆内の気泡を検出する気泡センサ109とを備えている。
線引装置100において、光ファイバ素線101bは、キャプスタン装置111のキャプスタンローラ112によって巻取り装置113にガイドされ、ボビン114に巻き取られる(例えば、特許文献1)。
そこで、従来は、外径測定器103、108、気泡センサ109の検出に応じて、このような異常部分の、光ファイバ素線101bの長手方向における位置をキャプスタンローラ112によって計測し、ボビン114に巻き取った後で、その異常部分が位置情報として判断できるようにしていた。
10(a)、(b)に示すように、線引工程でボビンに巻き取られた光ファイバ素線は、着色工程において、線引終了端E側から線引開始端Sに向かって着色が施される。つまり、従来、異常部分の位置が線引終了端EからAkmの位置にある場合、着色工程において着色開始される位置(つまり、線引終了端E)からAkmの位置に異常部分が存在する。そして、着色開始される位置からAkmの位置と、この位置の前後(光ファイバ素線の長手方向両側)に余長aとを含めた部分を異常部分として廃却していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、異常部分を確実に廃棄することができる光ファイバの線引方法を提供することにある。
なお、マーキング部を光ファイバ素線に形成する際には、異常部分の上流に形成することが好ましい。線引工程において、光ファイバ又は光ファイバ素線は上流から下流へ線引きされつつ常に高速移動している。このため、異常部分を検出した際に、異常部分が下流に高速移動していてもこの異常部分の上流にマーキング部を所定の区間を隔てて設ければ、このマーキング部を基準として下流の所定の区間に異常部分が含まれることになる。したがって、作業者は、このマーキング部を含め、上記所定の区間を取り除くことで異常部分を確実に廃却することができる。
ここで、「上流」とは、光ファイバの線引工程で線引開始端側を意味し、また、「下流」とは、光ファイバの線引工程で線引終了端側を意味し、以下、本明細書において同様とする。
光ファイバの温度とこの光ファイバに塗布される樹脂の量には相関関係がある。具体的には、光ファイバの温度が高い場合には樹脂が付着しにくいため、塗布される樹脂の量が少なくなり、光ファイバの温度が低い場合には、樹脂が付着しやすいため、塗布される樹脂の量が多くなる。
通常、冷却装置(例えば、強制冷却装置)は、装置内部に冷却ガスとして機能するヘリウムなどの不活性ガスで雰囲気を構成し、この雰囲気中に流れる冷却ガスの流量を調整することで、光ファイバの冷却速度を調整する。このとき、例えば、冷却ガスの流量を少なくすると、通過する光ファイバの冷却速度が低下するため、結果として、光ファイバは通常の線引時に比して冷やされず、高温のまま樹脂を塗布するダイス側へ移動する。そして、光ファイバの高温の箇所は樹脂の塗布される量が減少するので、樹脂の被覆が薄くなり、光ファイバ素線の他の箇所に比べて外径が小さくなる。
塗布される樹脂の量を変化させる方法としては、例えば、ダイスから光ファイバに樹脂を供給する圧力、量及び樹脂温度のうち少なくとも一つを調整することで光ファイバに塗布される樹脂の量を調整することである。
図1に示すように、線引装置10は、光ファイバ母材11を加熱溶融しつつ光ファイバ11aを線引き(紡糸)する加熱炉12と、線引きされた光ファイバの外径を測定する外径測定器13と、外径測定器13の下流に位置し、光ファイバ11aを冷却する強制冷却装置(冷却装置)14とを備えている。
ここで、光ファイバ母材11から線引きされて細径のガラス体になったものを光ファイバ11aとし、この光ファイバ11aに樹脂の被覆を塗布したものを光ファイバ素線11bとする。以下、光ファイバ11aと光ファイバ素線11bは同様に区別するものとする。
制御部20は外径測定器13,18と、強制冷却装置14とにそれぞれ電気的に接続され、外径測定器13,18の信号に基づいて強制冷却装置14を制御することができるように構成されている。
本発明にかかる光ファイバの線引方法は、線引きされた光ファイバの外径、光ファイバに樹脂を被覆した光ファイバ素線の外径、光ファイバの内部、樹脂の内部の異常部分を検出し、この異常部分の検出に基いて光ファイバ素線の外径(被覆される樹脂の外径)を所定の区間にわたって所定の外径になるように変化させることでマーキング部を形成するものである。
図2(a)は、光ファイバの線引工程において、図1の光ファイバ11aの外径に変動部があった状態を示している。図2(b)は、光ファイバの線引工程において、図1の光ファイバ素線11bの外径にマーキング部を形成した状態を示している。
光ファイバの外径の変動部が所望の範囲を超える場合、異常部分として認識される。そして、図2(b)に示すように、この変動部又は変動部より上流の光ファイバ素線の外径を大きく又は小さくすることによって変動させる。この外径が変動された部位がマーキング部Mを構成する。
光ファイバの線引工程中に、制御部20は外径測定器13,18及び気泡センサ19の信号に基づいて異常部分を認識すると、強制冷却装置14に信号を送信する。強制冷却装置14は、制御部20からの信号に基づいて冷却ガス(ここでは、He)の流量を増加又は減少させる。
このように、ガラス温度を調整することで、光ファイバに塗布される樹脂の量を調整することができる。
また、既に述べたように、冷却ガスとして機能する不活性ガスの流量を変化させることで光ファイバの温度を調整することができる。
このため、強制冷却装置14の冷却ガスの流量を制御部20によって調整することで、光ファイバ11aに塗布される樹脂の量を調整し、光ファイバ素線11bの外周面に変動部を形成することができる。図2(b)に示すように、この変動部はマーキング部Mとして機能する。
最初に、線引開始時の強制冷却装置14及び制御部20の設定を通常の線引開始時のものとして、線引を開始する。
外径測定器13,18によって光ファイバ11a又は光ファイバ素線11bの外径が所望の範囲から外れる部分が検出された場合、及び、外径測定器13、気泡センサ19によって光ファイバ11aの内部又は樹脂の内部に気泡を含む部分が検出された場合、制御部20はこれらの部分を異常部分として検出する(ステップ41)。
なお、線引工程が継続している間は常に異常部分の検出を行ない、異常部分が検出された場合には既に述べたようにステップ42の制御が行われる。
図5に示すように、光ファイバ素線の外径の変化量(図中「素線外径変化量(μm)」とする。)は光ファイバ心線の外径の変化量(図中「素線外径変化量(μm)」とする。)に比例する。この結果、光ファイバ素線の外径を大きく又は小さく変動することによってマーキング部を形成すれば、着色工程後、光ファイバ心線の外周面には光ファイバ素線のマーキング部に応じて外径が変動するマーキング部が形成される。このとき、光ファイバ素線のマーキング部の径方向の変動量と光ファイバ心線のマーキング部の変動量は比例する。
図6に示すように、光ファイバ素線の直径が246〜247μmであるのに対し、マーキング部が形成された箇所の直径は、230μm前後である。
図7に示すように、着色工程後の光ファイバ心線の直径が255μm前後であるのに対し、マーキング部が形成された箇所の直径は、250μm前後となった。着色機にはインク塗布後の外径をモニタするため外径測定器が設置されており5μmの径変化があれば確実に識別することができる。この結果、光ファイバ素線に形成したマーキング部が着色工程後においても確認できることがわかった。
例えば、図1に示すように塗布されるダイス15の塗布する樹脂の圧力及び温度のうち少なくとも一方を制御可能な樹脂供給部16を設け、この樹脂供給部16を制御部20によって制御してもよい。
こうすれば、光ファイバの線引中に、制御部20が異常部分を認識した場合に、ダイスを制御して塗布される樹脂の圧力及び温度のうち少なくとも一方を制御して光ファイバ11aを被覆する樹脂の量を変化させることで光ファイバ素線にマーキング部を形成してもよい。
また、例えば、図1に示すダイス15の下流にマーキング部を形成するためのダイスを設け、上流のダイス15によって光ファイバを被覆した後、更に樹脂を塗布することでマーキング部を形成してもよい。
さらに、図1に示す外径測定器18がマーキング部を異常部分として検出しないように、外径測定器18又は制御部20を適宜設定することが好ましい。
線引装置30は、ダイス15の下流に、樹脂とは異なる材料を光ファイバ11aに加える異物混入部31を備えている。ここで、上記材料としては、着色剤又は電磁波に感応する材料を用いることができる。なお、検知可能な特別な材料を用い、異常部分の検出に基づいて樹脂の所定区間にわたって吹きつけてもよい。
こうすれば、上記材料が異常部分を廃却する際に上記マーキング部として機能する。そして、既に述べた光ファイバの線引方法と同様に、線引工程中に異常部分に基いてマーキング部を形成するため、キャプスタンローラなどで異常部分を計測する必要がなく、巻取り後に異常部分を光ファイバ素線における長手方向の位置情報によって計測する必要がない。このため、キャプスタンローラの計測誤差などによって異常部分の位置を誤って認識することが防止できる。したがって、線引工程後又は着色工程後に製品化された光ファイバ素線又は光ファイバ心線に異常部分が含まれて歩留りが低下することを抑制することができる。
図1及び上記の記載を参照すると、本発明にかかる線引装置は、光ファイバ母材11を加熱溶融して光ファイバ11aを線引きする加熱炉12と、線引きされた光ファイバ11aの外径を測定する外径測定器13と、光ファイバ11aを冷却する強制冷却装置14と、この強制冷却装置14の下方に配され、光ファイバ11aに樹脂の被覆を塗布するダイス15と、光ファイバ11aに塗付された樹脂を硬化させることで光ファイバ素線11bを形成する樹脂硬化装置17と、光ファイバ素線11bの外径を測定する外径測定器18と、光ファイバ素線11bの樹脂の内部に含まれた気泡を検知する気泡センサ19とを備え、光ファイバ及び光ファイバ素線の異常部分に基いて、この異常部分の上流に位置する光ファイバ素線の径を変化させる機構(強制冷却装置14、樹脂供給部16、異物供給部36等)を備えたことを特徴とする線引装置10である。
11 光ファイバ母材
11a 光ファイバ
11b 光ファイバ素線
12 加熱炉
13 外径測定器
14 強制冷却装置
15 ダイス
16 樹脂供給部
17 樹脂硬化装置
18 外径測定器
19 気泡センサ
20、40 制御部
21 キャプスタン装置
22 キャプスタンローラ
23 巻取り装置
24 ボビン
31 異物混入部
Claims (8)
- 線引きされた光ファイバのガラス外径、前記光ファイバのガラス内部、および前記光ファイバに被覆した樹脂の内部の少なくとも一つの異常部分を検出し、該異常部分の検出に基いて前記被覆した樹脂の外径を所定の区間にわたって所定の外径になるように変化させることでマーキング部を形成することを特徴とする光ファイバの線引方法。
- 前記光ファイバの樹脂塗布前の温度を調整することで該光ファイバに塗布される前記樹脂の量を調整し、前記マーキング部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの線引方法。
- 樹脂塗布前に、前記光ファイバを冷却するために冷却装置を用いて、該冷却装置の内部の雰囲気を構成する冷却ガスの流量を変化させることで前記光ファイバの温度を調整することを特徴とする請求項2に記載の光ファイバの線引方法。
- 樹脂圧、樹脂温度を制御して塗布される樹脂の量を変化させることで前記マーキング部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの線引方法。
- 前記光ファイバに前記樹脂を塗布するダイスの下流側で、再度樹脂を塗布することで前記マーキング部を形成することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの線引方法。
- 線引きされた光ファイバのガラス外径、該光ファイバに被覆した樹脂の外径、前記光ファイバのガラス内部、および前記樹脂の内部の少なくとも一つの異常部分を検出し、該異常部分の検出に基いて前記樹脂に検知可能な特別な材料を所定区間にわたって吹きつけることでマーキング部を形成することを特徴とする光ファイバの線引方法。
- 前記材料として着色剤を用いることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバの線引方法。
- 前記材料として電磁波に感応するものを用いて、少なくとも後工程で確認できる量の前記材料を加えることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバの線引方法。
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