JP2005068590A - 熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置 - Google Patents

熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸斑改善を目的として蒸気延伸を行うにあたり、糸ゆれ、擦過による走行糸にかかるダメージを抑制するとともに、飛散蒸気による周辺設備および製品の汚れを抑制する延伸用蒸気ノズルを提供する。
【解決手段】熱可塑性合成繊維からなる糸条(Y)を走行状態で加熱する糸条加熱手段(3)と、前記糸条(Y)を所定の倍率で引き伸ばすための延伸手段とを備えた熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置において、更に、前記糸条加熱手段(3)が、延伸中に糸条(Y)が貫通して走行するための糸条入口(3e)と糸条出口(3f)が両端部に形成されかつその内部に前記糸条(Y)が走行する走行空間(3d)が形成された加熱容器(3a)と、前記走行空間(3d)へ過熱された不飽和水蒸気を前記走行糸条(Y)の進行方向に並流させるように形成された水蒸気供給口(3g)と水蒸気排出口(3g)とを具備することを特徴とする熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性重合体(以下、“ポリマー”ともいう)からなる合成繊維糸条を加熱延伸するための装置に関する。
ポリエステルやポリアミドなどのポリマーからなる熱可塑性合成繊維の延伸は、加熱ローラーや熱板などの加熱体に走行する糸条を接触させて予熱を施しながら行うが一般的である。しかしながら、この方法では走行糸の片面から伝熱されるため、糸全体を必要な温度にまで昇温するために必要以上に高い加熱温度に設定するか、あるいは加熱時間を取るために何度も加熱ローラーに糸条をターンさせることが必要となる。
しかしながら、加熱ローラーの設定温度が高い場合には、熱可塑性合成繊維の延伸時にネックを形成するのに必要な糸温度よりも高くなってしまうと、糸条の延伸点がローラー上に入ってしまい、ローラー上でスリップを起こすために糸がダメージを受ける。また、加熱ローラーに巻き付ける糸条のターン数が多い場合には、糸条が加熱ローラー上をターンしながら走行するにしたがって可塑化が進み、これとともに糸張力が低下して、走行する糸条のゆれが大きくなる。そうすると、延伸斑が生じたり、あるいは多錘の糸条が走行する場合には隣接する糸条同士が接触したりすることにより走行糸がダメージを受けて、毛羽や糸切れの原因となることがある。
そこで、糸条の延伸開始点がローラー上に入ってしまわないように、実公昭56−11182号公報において、ピン状ガイドを用いる技術が提案されている。確かに、この従来技術によれば、延伸点を固定する効果が得られるが、熱くなったピン状ガイドによる走行糸のダメージが大きくなって毛羽の原因となり、十分な糸品位を得ることができないという問題がある。
このような背景から、たとえば特開平1−207437号公報、実公昭56−11182号公報などにおいて、加熱ローラーや熱板などの加熱体と糸条との間の接触加熱によらずに、加熱した水蒸気を介して走行糸条を加熱する延伸方法が提案されている。このような水蒸気加熱では、加熱を効率的に行うために、水蒸気が水に相変化する際の潜熱(液化熱)を利用して、走行する糸条を短時間で効率的に加熱しようとする技術が使用される。
しかしながら、この従来の蒸気延伸方法では、糸条を加熱するための媒体として飽和水蒸気を使用するために、蒸気が外部に漏れないようにすることが必要となる。何故ならば、飽和水蒸気はその水に相変化する際の潜熱を利用できるという利点を有する半面で、外部に漏れ出すと、漏れ出した飽和水蒸気は極めて凝縮しやすいために、直ちに凝縮してドレン水となり、製糸設備あるいは製品を汚してしまったり、作業環境を悪化させたりするという欠点を有しているからであって、このような事態は、工業用の生産設備としては好ましいことではない。
そこで、水蒸気の外部への漏出を防止するために、特開平7−70862号公報や特開平5−339839号公報において、蒸気延伸装置の糸条の出入り口をから蒸気漏れを防ぐために、ラビリンスシールを使用することが提案されている。しかしながら、飽和水蒸気の潜熱を利用しようとすると、水蒸気の飽和加熱温度を上げるために、飽和水蒸気を高圧に加圧する必要がある。しかしながら、ラビリンスシールは、直進する糸条の出入り口のように、直線形状を有する開口部をシールするためには効果的な方法ではなく、しかも、シールしようとする水蒸気の圧力が高くなればなるほどシールが困難となるという問題を有している。このため、ラビリンスシールを強化しようとすると、ラビリンス段数を多くしたり、糸条が走行する出入り口部の開口間隙を可能な限り狭くしたりすることが必須となる。そうすると、走行糸条がラビリンスシール部と接触してダメージを受ける機会が多くなって、その結果として、走行するマルチフィラメント糸条がフィラメント切れ(単繊維切れ)を起こして毛羽を発生するという問題が生じる。
特開平1−207437号公報 実公昭56−11182号公報 特開平7−70862号公報 特開平5−339839号公報
以上に述べた従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明は、加熱ローラーや熱板などの加熱体に接触させて加熱延伸する際の延伸点に起因する延伸斑を蒸気加熱延伸を採用して改善すると共に、特に飽和加熱水蒸気を加熱媒体として使用する蒸気加熱延伸が有する水蒸気漏れを防ぐシール部での擦過によって走行糸条が受けるダメージを抑制し、更には、従来のように外部に漏出した飽和蒸気が凝縮して周辺設備および製品を汚したり、作業環境を悪化させたりするのを抑制することができる熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置を提供することを目的とする。
ここに、前記目的を達成するための本発明として、請求項1に記載の「熱可塑性合成繊維からなる糸条を走行状態で加熱する糸条加熱手段と、前記糸条を所定の倍率で引き伸ばすための延伸手段とを備えた熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置において、
前記糸条加熱手段が、延伸中に糸条が貫通して走行するための糸条入口と糸条出口が両端部に形成されかつその内部に前記糸条が走行する走行空間が形成された加熱容器と、前記走行空間へ過熱された不飽和水蒸気を前記走行糸条の進行方向に並流させるように形成された水蒸気供給口と水蒸気排出口とを具備することを特徴とする熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」が提供される。
その際、本発明は請求項2に記載のように、「前記水蒸気供給口が前記走行糸条に対して30〜60°の噴射角度を形成して糸条の進行方向に向かって前記走行空間に開口する請求項1に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」とすることが好ましい。
また、本発明は請求項3に記載のように、「前記水蒸気排出口が前記走行糸条に対して30〜60°の傾斜角度を形成して前記走行空間から前記加熱容器の外部へ向かって形成された請求項1又は2に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」とすることが好ましい。
また、本発明は請求項4に記載のように、「前記延伸手段が回転速度差を有する一対の回転体である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」とすることが好ましい。
更には、本発明は請求項5に記載のように、「前記一対の回転体を構成する糸条供給側回転体が非加熱の回転体である請求項4に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」とすることが好ましい。
そして、本発明は請求項6に記載のように、「前記容器を少なくとも囲繞するように設けられた箱体を備えた請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置」とすることが好ましい。
以上に述べた請求項1に係る本発明によれば、加熱ローラーや熱板などの加熱体に走行糸条を接触させて走行させて高い設定温度の下で片面接触による加熱延伸を行う必要がなく、走行糸条の全周を取り囲む過熱された(スーパーヒートされた)不飽和水蒸気によって加熱延伸することができる。したがって、走行する糸条全体を必要な温度にまで昇温するために必要以上に高い加熱温度に設定したり、あるいは加熱時間を十分に取るために何度も加熱ローラー(すなわち、加熱された回転体)に糸条を複数回ターンさせたりすることが必要ではなくなり、延伸点が加熱ローラー(加熱された回転体)上や熱板上に移動することもなくなる。
しかも、このようにして、過熱された(スーパーヒートされた)不飽和水蒸気によって加熱延伸することができると、回転差を有する一対の回転体などの延伸手段を使用して糸条を延伸するために使用する一対の回転体は最早加熱する必要がなくなる。更には、加熱された回転体や熱板によって走行糸条の温度を上げる必要もなくなるから、糸条が所定の温度にまで昇温するための時間を稼ぐために必要以上に糸条をターンさせたり、接触長を長くしたりする必要がない。
また、糸条の走行方向に対して水蒸気を向流させるのではなく、糸条の走行方向に沿って並流に水蒸気を通すことによって、積極的に糸条を進行方向に送り出す推進力を付与することができ、水蒸気を使用して延伸する際の延伸張力を低減させることが容易に具現化できる。
しかも、本発明では過熱された(スーパーヒートされた)不飽和水蒸気を使用するため、これが外部に漏れ出たとしても飽和水蒸気とは異なってすぐに凝縮することはないから、外部に漏出した水蒸気が凝縮して周辺設備および製品を汚したり、作業環境を悪化させたりするのを抑制できる。しかも、このような理由から、ある程度の水蒸気の漏出をも許容できることから、従来のようなラビリンスシールのようなシール構造を必要とせず、したがって、シール部の糸条走行路を拡げたり短縮したりすることができる。このため、糸条がシール部を通過する際に擦過によってダメージを受けるのを抑制することができる。しかも、外部に漏れ出た水蒸気は、請求項6に記載の構成をとることによって、箱体によって囲い込むことができ、外部に拡散させることもなくなる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、熱可塑性合成繊維の加熱延伸を行うための装置の概略構成を例示した模式説明図である。この図1において、Yは熱可塑性合成繊維からなる糸条であって、通常の状態であれば多数のフィラメント(単繊維)から構成されているが、本発明においては、モノフィラメントであっても構わない。なお、近年においては生産性を挙げるために、複数本(複数錘)の糸条を同時に加熱延伸することも行われている。
次に、1と2は回転速度差を有する一対の回転体であって、この一対の回転体1と2によって糸条Yを走行状態で把持しながら、その回転速度比に対応して、所定の延伸倍率で糸条Yを延伸する。したがって、本例ではこの「一対の回転体」が延伸手段を構成する。このとき、1は糸条供給側回転体、そして、2は糸条引取側回転体をそれぞれ示す。したがって、糸条Yは矢印方向へ走行することになる。なお、3は水蒸気を利用して走行する糸条Yを加熱するための糸条加熱手段であって、図示したように、回転体1と2の間に設置される。更に、4は前記糸条加熱手段3から漏れ出た過熱水蒸気の周囲への拡散を防止するための箱体である。
ここで、本発明では、前記糸条加熱手段3は過熱された(スーパーヒートされた)不飽和水蒸気を使用して糸条Yを加熱するために設けられており、このような過熱された不飽和水蒸気は、例えば、通常の製糸設備において常用される飽和水蒸気をスーパーヒートするための過熱手段5を設けることによって生成される。その際、過熱された不飽和水蒸気の温度は、周知の熱電対のような温度検出手段6によって検出し、このとき検出した温度が所定の温度となるように図示省略した制御手段によってフィードバック制御することによって常に設定値に維持されている。
以上に述べたように構成される本発明の加熱延伸装置においては、従来技術において使用される蒸気加熱装置と同様に加熱された水蒸気を使用することで一致するが、これとは全く技術思想が異なる糸条加熱手段を使用することを一大特徴とする。そこで、本発明の水蒸気による糸条加熱手段3の実施態様例について、図2を参照しながら詳細に説明する。前記図2において、図(a)は模式正断面図図、図(b)は模式側面図、そして、図(c)は模式平面図をそれぞれ表す。
前記図2において、図(a)は、前記糸条加熱手段3の模式正断面図図、図(b)は前記糸条加熱手段3の模式側面図、そして、図(c)は前記糸条加熱手段3の模式平面図をそれぞれ表す。このとき、本発明の糸条加熱手段3は、図示したように、加熱容器3a、水蒸気供給管3b、水蒸気排出管3c、糸条の走行空間3d、糸条入口3e、糸条出口3f、水蒸気供給口3g、水蒸気排出口3h、糸通し用スリット3i、そしてスリットの開閉手段3jなどを備えて構成される。
以上のように構成される本発明の糸条加熱手段3は、水蒸気の過熱手段5によってスーパーヒートされた不飽和水蒸気が生成される。そして、このようにして生成された過熱不飽和水蒸気はその温度を所定の設定温度に過熱された状態で水蒸気供給管3bを介して水蒸気供給口3gへ供給され、これによって、加熱容器3a内に形成された糸条の走行空間3dへと導入される。この走行空間3dへ導入する水蒸気は飽和水蒸気を過熱処理して不飽和状態にて使用するのが好ましい。何故ならば、飽和水蒸気では走行空間3dへ噴射された後、糸条Yと共に加熱容器3aから漏れ出すと、冷たい外気に接触して急速に凝縮して、周囲設備や製品を汚したり、発生したドレン水が垂れたりして作業環境を悪化させる。また、延伸点の固定という観点からも、糸条Yの急速加熱を行うには蒸気温度が高温であることが必要であるが、飽和水蒸気であれば、蒸気圧力を上げて温度を上げざるを得ず蒸気流量が増大して糸ゆれを惹起したり、高圧に起因する蒸気漏れの増大を惹起する。
なお、前記糸条加熱手段3の加熱容器3aには、延伸中に糸条Yが貫通して走行するための糸条Yの走行空間3dが形成され、その両端部には糸条Yの入口3eと出口3fが形成されている。また、前記走行空間3dには、過熱された不飽和水蒸気が糸条Yの走行方向に沿って並流させるように形成された水蒸気供給口3gと水蒸気排出口3hとが開口している。ここで、前者の水蒸気供給口3gは、走行糸条Yに対して30〜60°の噴射角度を形成するように糸条Yの進行方向に向かって走行空間3dに開口し、後者の水蒸気排出口3は、前記走行糸条に対して30〜60°の傾斜角度を形成して前記加熱容器3aの外部へ向かって水蒸気を排出開口が走行空間3aに形成されている。
したがって、加熱容器3a内に供給された水蒸気は、糸条Yの進行方向に対して走行空間3dへ噴出され、糸条Yの走行方向への推進力を与えながら走行空間3aを糸条Yと並流して水蒸気排出口3hから加熱容器3a外へ流出することによって排出される。なお、このときの糸条Yと水蒸気が並流することによって発生させられた糸条Yk走行を推進する推進力は、糸条加熱手段3内での延伸張力を低減させる効果も有している。
このとき、走行空間3dへ流入した過熱水蒸気は走行する糸条Yの周囲を取り囲んで流れるため、糸条Yは過熱された不飽和水蒸気から伝熱される顕熱によって糸条Yの全周から加熱される。なお、本発明では過熱された不飽和水蒸気を使用するために、加熱容器3a外へ排出された過熱水蒸気は直ぐに凝縮することはないのに対して、従来の水蒸気加熱装置では、熱伝達効率を上げるために飽和水蒸気の潜熱を利用しようとするため、加熱容器3aから排出されると、直ちに凝縮してドレン水となって、製品や周辺設備に付着したり、作業環境を著しく悪化させたりする。
また、本発明の加熱手段3には、加熱容器3a内に導入された大部分の過熱水蒸気を排出するための水蒸気排気口3hが設けてられているとはいえ、本発明の加熱手段3は従来装置のようにラビリンスシール構造を持たない。このため、糸条Yが加熱容器3aを貫通して走行する際に、糸条出口3fから水蒸気が若干漏れ出るこことを回避することができない。なお、図2で糸条出口の走行路の間隙は狭いほうが好ましいが、本発明ではある程度の水蒸気漏れを許容できるため、その間隙を2mmより大きくして、走行する糸条Yに糸ゆれが生じても擦過損傷が生じるのを低減することが好ましい。また、この間隙をあまりにも狭くするのは、その間隙調整が困難となるため、作業上の観点から2mmより大きくすることが好ましい。
ただし、ここで念のために付言しておくと、糸条入口3eは、水蒸気供給口3gから噴き出される水蒸気によるエジェクター作用によって、走行糸条と共に外部から空気が流入する条件を採用するため、ここからの水蒸気漏れは発生しない。
そこで、糸条出口3fから漏れ出る過熱水蒸気の漏れ対策として、糸条Yを下方から上方へと走行させ、大気中に拡散させることが好ましい。しかしながら、長時間にわたって過熱水蒸気を漏洩させ続けることは問題である。そこで、特に、糸条Yを下方走行するような状態に加熱手段3を取り付けた場合をも含めて、少なくとも加熱容器3aを囲繞する箱体4を設けるのが好ましく、その際、糸条引取側回転体(引取ローラー)をも囲うように箱体を設置することが好ましい。
このとき、水蒸気排出口3hが走行糸条Yに対して30〜60°の傾斜角度θ2を形成して走行空間3dから加熱容器3aの外部へ向かって形成されていることが好ましく、この角度θ2が30度よりも小さいと、導入された水蒸気はほとんど水蒸気排出口3hから排気されずに、走行糸条Yと共に糸条出口3fを直進して糸条引取側回転体2(引取ローラー)に当たってしまい、水蒸気排出口3hを設置した効果を得ることができない。なお、水蒸気排出口3hには水蒸気を排気するために周知のブロアのような排風装置あるいは吸引装置を設けてもかまわないが、強制的に大量の排気を行うと、糸条入口3eから流入する空気量が増大して、糸条Yの加熱効果を低減させると共に、糸ゆれをも惹起するという事態には十分に配慮する必要がある。なお、このような強制的な水蒸気の排気を行わずに水蒸気の自然なの流れによる排気効果を得る上で、角度θ2を30°〜60°とすることが好ましい。
また、水蒸気供給口3gから走行空間3dを走行する糸条Yに対して水蒸気を噴射するための噴射角度θ1も30〜60°とすることが好ましい。何故ならば、この噴射角度θ1が30°よりも小さいと、走行空間3dへ導入した水蒸気はほとんど排気されず走行糸条Yと共に糸条出口3fを直進して糸条引取側回転体2(引取ローラー)に当たってしまい、水蒸気排出口3hを設置した効果を得ることができないからである。また、糸条入口3eから大量の外気を吸引してしまって、過熱水蒸気による糸条Yの加熱効果が損なわれる。また、噴射角度が60°よりも大きくなると、導入した水蒸気が走行糸条の上流側へと逆流して糸条入口3eから漏れ始め、加熱手段3による急速加熱の効果が得にくい。
本発明は、過熱された不飽和水蒸気を使用して糸条Yを加熱しながら蒸気延伸をするが、このとき延伸手段として使用する糸条引取側回転体2(引取ローラー)は非加熱である方が、糸条加熱手段3による急速加熱を行う際に、より良好な延伸点の固定効果が得られる。また、回転体2の表面摩擦特性などの要因によって、糸条Yがこの回転体2上でスリップして、供給速度が変動する可能性がなければ、図1に示すように回転体2に糸条Yを何度もターンをさせる必要はなくなる。そうすると、走行糸条Yを所定の倍率に延伸するための延伸装置として、簡単で安価な設備となる上に、糸条Yを何度も回転体2に巻回することがなくなって作業性が改善される。
前記の作業性の改善に際しては、図2(b)及び(c)に示したように、加熱容器3aの側面の全面に渡って糸条Yの走行方向に沿って、走行空間3dへ走行状態の糸条Yを導くための糸通し用スリット3iを設けることによって、複数本の糸条Yを一度に糸通しできるような構造とすることが好ましい。ただし、このスリット3iから走行糸条Yを加熱容器3aへと糸掛けするに際して、スリットの開閉手段3jを設けて、糸掛け作業中のみスリット部を開放し、糸掛けが完了した後はスリット部を閉塞できるようにするのが好ましい。
本発明の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置は、ポリエステル、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなる延伸糸を得るために、合成繊維糸条を加熱延伸するための装置して好適に利用することができる。
本発明の加熱延伸装置の概略構成を例示した模式説明図である。 本発明の水蒸気による糸条加熱手段の実施態様を例示した模式説明図である。
符号の説明
1.糸条供給側回転体
2.糸条引取側回転体
3.糸条加熱手段
3a.加熱容器
3b.水蒸気供給管
3c.水蒸気排出管
3d.糸条の走行空間
3e.糸条入口
3f.糸条出口
3g.水蒸気供給口
3h.水蒸気排出口
3i.糸掛け用スリット
3j.スリットの開閉手段
4.箱体
5.水蒸気の過熱手段
6.温度検出手段
θ1.蒸気噴射角
θ2.蒸気排気角
Y.糸条

Claims (6)

  1. 熱可塑性合成繊維からなる糸条を走行状態で加熱する糸条加熱手段と、前記糸条を所定の倍率で引き伸ばすための延伸手段とを備えた熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置において、
    前記糸条加熱手段が、延伸中に糸条が貫通して走行するための糸条入口と糸条出口が両端部に形成されかつその内部に前記糸条が走行する走行空間が形成された加熱容器と、前記走行空間へ過熱された不飽和水蒸気を前記走行糸条の進行方向に並流させるように形成された水蒸気供給口と水蒸気排出口とを具備することを特徴とする熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
  2. 前記水蒸気供給口が前記走行糸条に対して30〜60°の噴射角度を形成して糸条の進行方向に向かって前記走行空間に開口する請求項1に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
  3. 前記水蒸気排出口が前記走行糸条に対して30〜60°の傾斜角度を形成して前記走行空間から前記加熱容器の外部へ向かって形成された請求項1又は2に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
  4. 前記延伸手段が回転速度差を有する一対の回転体である請求項1〜3の何れかに記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
  5. 前記一対の回転体を構成する糸条供給側回転体が非加熱の回転体である請求項4に記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
  6. 少なくとも前記加熱容器を囲繞するように設けられた箱体を備えた請求項1〜5の何れかに記載の熱可塑性合成繊維の加熱延伸装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109940863A (zh) * 2019-04-03 2019-06-28 山东海岱智能设备有限公司 用于塑料拉丝机的拉伸热水箱装置和塑料丝加热方法

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