JP2005068145A - 医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、優れたαLβ2インテグリン介在細胞接着阻害作用およびサブスタンスP受容体拮抗作用を有する新規化合物を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
白血球インテグリンおよび細胞間接着分子(ICAM)は、標的細胞および細胞外マトリックスへの白血球接着に中心的な役割を果たす。β2インテグリン(CD18)サブファミリーは、4個の構成員、つまり、αLβ2インテグリン(LFA−1、CD11a/CD18)、αMβ2インテグリン(Mac−1、CD11b/CD18)、αXβ2インテグリン(p150/95、CD11c/CD18)およびαDβ2インテグリン(CD11d/CD18)から成り(非特許文献1)、これらはCD18と、互いに関連しているが別個のα鎖との非共有結合により構成される。とりわけ、LFA−1は、T細胞、好酸球および他の白血球の細胞接着と血管外炎症組織への浸潤の主要因子であることが示されている(非特許文献2; 非特許文献3)。LFA−1は、血管内皮細胞、樹状突起神経細胞、上皮細胞、マクロファージおよびTリンパ芽球などの多くの細胞型に見られるICAMファミリー(ICAM−1、2、3、4、5)に結合する(非特許文献4)。さらに、LFA−1/ICAM−1およびLFA−1/ICAM−3の相互作用はT細胞活性化に必要とされる副刺激シグナル(co-stimulatory signal)として機能し得る(非特許文献5)。
細胞浸潤およびT細胞活性化は多数の炎症性疾患病態において重要な過程である。いくつかの異なる炎症疾患の動物モデルにおいて、LFA−1やICAM−1に対する抗体が炎症を抑制していることから、炎症にLFA−1が重要な役割を有することが示されている(非特許文献6; 非特許文献7;非特許文献8)。さらに、CD11a(LFA−1のα鎖)に対するヒト化モノクロナル抗体は、乾癬を有する患者において効力を示している(非特許文献9)。
さらに、LFA−1に対する抗体が臓器移植後の拒絶反応を抑制することが知られている(非特許文献10、非特許文献11)。また、αLβ2インテグリンに対するモノクロナル抗体の移植への使用も開示されている(特許文献1)。
一方、サブスタンスPの受容体(すなわち、ニューロキニン1受容体)に対して拮抗作用を有する物質が炎症性疾患(例えば、喘息、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、膀胱炎および他の胃障害)の治療に有用であると考えられている (非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14)。
本発明の有効成分はその不斉炭素に基づく光学異性体があり、本発明はこれらの異性体およびその混合物も包含する。
本発明の実施態様において、有効成分の結合の立体配置は固定される必要はない。本発明の有効成分は単一の配置を有する化合物、あるいはいくつかの異なる配置を有するものの混合物であってもよい。
有効成分(I)の好ましい実施態様において、Rは水素原子である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、Rはヒドロキシル基である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、Rはカルバモイル基である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、nは1である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、nは2である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rは水素原子であり、nは1である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rはヒドロキシル基であり、nは1である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rはカルバモイル基であり、nは2である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、Rはヒドロキシル基である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、Rはカルバモイル基である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、nは1である。
有効成分(I)の他の好ましい実施態様において、nは2である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rは水素原子であり、nは1である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rはヒドロキシル基であり、nは1である。
有効成分(I)のより好ましい実施態様において、Rはカルバモイル基であり、nは2である。
本発明の医薬組成物の有効成分として特に好ましい化合物は、以下の群から選ばれる化合物である。
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アセチルアミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、および
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−カルバモイルプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン。
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アセチルアミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、および
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−カルバモイルプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン。
本発明の有効成分の特徴は、1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン骨格の7位にアシルアミノ基、5位に4−シアノベンジル基が結合している点にあり、そのような特徴を有する化合物を記載した文献はこれまで見当たらない。
本発明の有効成分は、LFA−1介在細胞接着と、LFA−1介在T細胞同時活性化の両者に対して強力な阻害活性を有する。本発明の有効成分はまた、(a)血漿タンパク結合、(b)水溶性、および(c)logP(オクタノール・水分配率)において全体的に改善されており、このため経口投与で優れたバイオアベイラビリティを示す。したがって、本発明の有効成分はLFA−1介在細胞接着が関与する疾患に対し、インビボで優れた効果を示す。
さらに、本発明の有効成分はサブスタンスPの受容体(すなわち、ニューロキニン1受容体)に対しても強力な拮抗活性を有している。サブスタンスP受容体拮抗薬は炎症性疾患、例えば、喘息、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患、膀胱炎および他の胃障害の治療に有用である (非特許文献12−14)。したがって、本発明の有効成分は、サブスタンスPにより引き起こされる疾患に対して優れた治療効果を奏する。また、本発明の有効成分は、LFA−1介在細胞接着阻害およびサブスタンスP受容体拮抗作用の2つの活性に基き、炎症性疾患の治療または予防により優れた効果を示しうる。
さらに、本発明の有効成分(I)は従来技術に記載された化合物と比較して、細胞毒性が低くかつシトクロムP450阻害活性も低いので、副作用の恐れが低い。
本発明の有効成分は遊離形態または薬理学的に許容される塩の形態のいずれでも疾患の予防・治療に使用できる。薬理学的に許容される塩としては、無機酸あるいは有機酸との酸付加塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、酢酸塩)、および無機塩基、有機塩基、あるいはアミノ酸との塩(例えば、トリエチルアミン塩、リジンとの塩、アルカリ金属との塩、アルカリ土類金属との塩、等)が挙げられる。また、薬理学的に許容される塩にはこれらの分子内塩、溶媒和物あるいは水和物も含まれる。
本発明の医薬組成物は、治療有効量の有効成分(I)と、製薬上許容される担体あるいは希釈剤から製剤化される。薬理学的に許容される担体または希釈剤としては、例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガント、ポリビニルピロリドン)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ)、崩壊剤(バレイショデンプン)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
本発明の有効成分は、経口的または非経口的に投与でき、このため適当な医薬製剤として投与することができる。経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、粉剤などの固体製剤、または溶液製剤、懸濁製剤、乳化製剤などの液体製剤が挙げられる。非経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、坐剤の形、あるいは注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等を用いた注射製剤または静脈内点滴製剤、および常法による吸入剤が挙げられる。
本発明の有効成分の投与量は投与方法、患者の年齢、性別、体重、病状により変わるが、一般的には、一日あたりの投与量は好ましくは約0.1〜100mg/kg、特に好ましくは1〜100mg/kgの範囲である。
本発明の医薬組成物は、LFA−1介在細胞接着に関連した病態の治療または予防剤として用いることができる。また、本発明の化合物はLFA−1介在細胞接着に関連した病態に罹患した、または罹患しやすい患者の治療剤として用いることができる。LFA−1介在細胞接着に関連した病態の例としては、炎症性疾患、自己免疫疾患およびアレルギー性疾患が挙げられる。
本発明の医薬組成物はまた、患者におけるサブスタンスPにより引き起こされる、またはサブスタンスP介在性の病態の治療または予防剤として、並びにそのような病態に罹患したまたは罹患しやすい患者の治療剤として用いることができる。そのような病態の例として、炎症性疾患が挙げられる。
本発明の医薬組成物はリウマチ関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー疾患、成人呼吸窮迫症候群、AIDS、心血管疾病、血栓症、有害な血小板凝集、血栓溶解後の再閉塞、再潅流障害、皮膚炎症疾患(例えば乾癬、湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎)、骨粗鬆症、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症(移植後の移植片動脈硬化症も含む)、新生物疾患(新生物あるいは癌性成長の転移を含む)、外傷、網膜剥離、I型糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、眼炎症状態、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、膀胱炎、胃障害、限局性回腸炎、シェーグレン症候群、および他の自己免疫疾患などの、疾患の治療または予防剤として使用できる。
本発明の医薬組成物はまた、臓器移植等の移植後の拒絶反応(すなわち、慢性拒絶および急性拒絶)、および同種移植片拒絶(宿主対移植片疾患)および移植片対宿主疾患を含む、移植にも用いることができる。
本発明の医薬組成物は、好ましくは乾癬、リウマチ関節炎(または慢性関節リウマチ)、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、シェーグレン症候群、移植後の拒絶反応(同種移植片拒絶および移植片対宿主疾患)の治療および予防剤として用いることができる。
本発明の医薬組成物はまた、喘息、炎症性腸疾患、膀胱炎および他の胃障害のような炎症性疾患の治療または予防剤としても好適に用いることができる。
本発明の有効成分は、例えば、下記の方法により製造することができる。
製法A
有効成分である式(I)で示される化合物の内、式(I−a):
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、式(II):
で示される化合物を、式(III−a):
H−(CH2)n−COOH (III−a)
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、次いで、必要に応じて得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
製法A
有効成分である式(I)で示される化合物の内、式(I−a):
で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、式(II):
H−(CH2)n−COOH (III−a)
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、次いで、必要に応じて得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
化合物(II)と化合物(III−a)との縮合反応は、塩基(例えばDIEA、トリエチルアミン、ピリジン、DMAP等)の存在下または非存在下、適当な溶媒中(例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等)、慣用の縮合剤(例えば、BOP−Cl、BOP試薬またはEDC等)を用いて、活性化剤(例えば、HOBT)の存在下で行うことができる。
また、化合物(II)と化合物(III−a)の反応性誘導体(例えば、酸クロリド等の酸ハライドや酸無水物等)との縮合反応は、塩基(例えばDIEA、トリエチルアミン、ピリジン、DMAP等)の存在下または非存在下、適当な溶媒中(例えば、酢酸エチル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等)で、または無溶媒で、−30℃〜室温の温度で行うことができる。
製法B
有効成分である式(I)で示される化合物の内、式(I−b):
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、式(II)で示される化合物を、式(III−b):
R1O−(CH2)n−COOH (III−b)
(式中、R1Oは保護されたヒドロキシル基を表し、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、保護基を除去し、次いで必要に応じて、得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
有効成分である式(I)で示される化合物の内、式(I−b):
で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、式(II)で示される化合物を、式(III−b):
R1O−(CH2)n−COOH (III−b)
(式中、R1Oは保護されたヒドロキシル基を表し、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、保護基を除去し、次いで必要に応じて、得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
ヒドロキシル基の保護基は、常法に従って容易に除去しうる、ヒドロキシル基に対する通常の保護基(例えば、トリメチルシリル基、ベンジル基、メチル基等)から選択できる。
化合物(II)と化合物(III−b)またはその反応性誘導体との縮合反応は、上記製法Aに記載の方法と同様にして行うことができる。
脱保護は、除去すべき保護基の種類に従い、例えば、加水分解、酸処理、BBr3処理、及び接触還元等の常法により行うことができる。
接触還元は、水素雰囲気下、パラジウム−炭素等の触媒を用い、酢酸適当な溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、酢酸)、室温〜加熱下で行うことができる。
BBr3を用いる脱メチル化は適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、酢酸)中、−78℃〜50℃の温度で行うことができる。
製法C
目的化合物(I)の内、式(I−c):
(式中、nは前記と同一意味を有する)
またはその薬理学的に許容される塩は、化合物(II)を、式(III−c):
H2NC(=O)−(CH2)n−COOH (III−c)
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、次いで、必要に応じて得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
目的化合物(I)の内、式(I−c):
またはその薬理学的に許容される塩は、化合物(II)を、式(III−c):
H2NC(=O)−(CH2)n−COOH (III−c)
(式中、nは前記と同一意味を有する)
で示される化合物またはその反応性誘導体と縮合させ、次いで、必要に応じて得られた化合物を薬理学的に許容される塩に変換することにより製造することができる。
化合物(II)と化合物(III−c)またはその反応性誘導体との縮合反応は、製法Aに記載の方法と同様にして行うことができる。
式(II)の化合物はWO01/30781記載の方法、または後記参考例記載の方法に従って製造することができる。
本明細書および特許請求の範囲中、C1-6アルキルは1〜6個の炭素原子を持つ直鎖または分岐鎖アルキル基を意味し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられ、好ましくは1〜4個の炭素原子を持つものである
略語:
BOP−Cl:ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド
BOP試薬:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
BSA:ウシ血清アルブミン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HBSS:ハンク平衡塩溶液
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HSA:ヒト血清アルブミン
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
BOP−Cl:ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド
BOP試薬:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
BSA:ウシ血清アルブミン
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
EDC:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HBSS:ハンク平衡塩溶液
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HSA:ヒト血清アルブミン
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
製造例1:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アセチルアミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(78.5mg)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、無水酢酸(1.0mL)を加えた。反応混合物を45℃で2時間攪拌し、混合物を濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン)により精製して標記化合物を得た(84mg)。MS(m/z)478.8(MNa+)。
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(78.5mg)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、無水酢酸(1.0mL)を加えた。反応混合物を45℃で2時間攪拌し、混合物を濃縮し、分取用薄層クロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン)により精製して標記化合物を得た(84mg)。MS(m/z)478.8(MNa+)。
製造例2:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−カルバモイルプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(82.7mg)、スクシンアミド酸(45.86mg)、EDC(93.12mg)、HOBT(61.24mg)、DIEA(104.79μL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Beckman 5μ C18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル=10〜100%/0.1%トリフルオロ酢酸)により精製して標記化合物72mgを得た。MS(m/z)536(MNa+)。
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(82.7mg)、スクシンアミド酸(45.86mg)、EDC(93.12mg)、HOBT(61.24mg)、DIEA(104.79μL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(Beckman 5μ C18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル=10〜100%/0.1%トリフルオロ酢酸)により精製して標記化合物72mgを得た。MS(m/z)536(MNa+)。
製造例3:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−カルバモイルアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(200mg)、マロンアミド酸(59.5mg)、EDC(112mg)、HOBT(97.5mg)、DIEA(168μL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して標記化合物を得た(212mg)。MS(m/z)500(MH+)。
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(200mg)、マロンアミド酸(59.5mg)、EDC(112mg)、HOBT(97.5mg)、DIEA(168μL)およびテトラヒドロフラン(5mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して標記化合物を得た(212mg)。MS(m/z)500(MH+)。
製造例4:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−ヒドロキシプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
(1)(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.300g)、3−メトキシプロピオン酸(0.209μL)、EDC(0.224g)、HOBT(0.221g)、DIEA(0.38μL)およびテトラヒドロフラン(15mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮した。残渣をHPLC[Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%酢酸]により精製して泡状体を得た。これを酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−メトキシプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た(0.259g)。MS(m/z)501(MH+)。
(1)(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.300g)、3−メトキシプロピオン酸(0.209μL)、EDC(0.224g)、HOBT(0.221g)、DIEA(0.38μL)およびテトラヒドロフラン(15mL)の混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮した。残渣をHPLC[Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%酢酸]により精製して泡状体を得た。これを酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−メトキシプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た(0.259g)。MS(m/z)501(MH+)。
(2)三臭化ホウ素(1M ジクロロメタン溶液、3mL)を、(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−メトキシプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.16g)のジクロロメタン(15mL)溶液に−78℃で加え、混合物を8時間、−78℃で攪拌した。混合物を濃縮し、残渣をHPLC[Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%酢酸)]により精製して泡状体を得た。これを酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して標記化合物を得た(0.119g)。MS(m/z)487(MH+)。
製造例5:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
(1)(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(150mg)およびDIEA(189μL)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、塩化ベンジルオキシアセチル(57μL)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル中に採取した。得られた溶液を洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をHPLC[Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%酢酸]により精製して泡状体を得た。これを酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ベンジルオキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た(0.135g)。MS(m/z)563.4[MH+]。
(1)(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(150mg)およびDIEA(189μL)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、塩化ベンジルオキシアセチル(57μL)のテトラヒドロフラン(2mL)溶液を加え、混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチル中に採取した。得られた溶液を洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をHPLC[Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%酢酸]により精製して泡状体を得た。これを酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ベンジルオキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た(0.135g)。MS(m/z)563.4[MH+]。
(2)上記で得た(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ベンジルオキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.125g)、5%パラジウム−炭素(15mg)およびエタノール(10mL)の混合物に水素をバブリングし、得られた混合物を一晩、水素雰囲気下で攪拌した。混合物に5%パラジウム−炭素(10mg)を追加し、一晩水素雰囲気下で攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をHPLC(Beckman 5μC18カラム;勾配溶離:水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%トリフルオロ酢酸)により精製して標記化合物を得た(0.023g)。MS(m/z)473[MH+]および495[MNa+]。
参考例:(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン
標記化合物を、以下の反応工程式に従って製造した。
反応工程式
(上記の反応工程式において、tBDMSOはtert−ブチルジメチルシリルオキシ基であり、MsOはメタンスルホニルオキシ基である。)
標記化合物を、以下の反応工程式に従って製造した。
反応工程式
(1)p−トルエンスルホン酸(50.6g)を、L−4−トランス−ヒドロキシプロリン(25.25g)のベンジルアルコール(100mL)とベンゼン(250mL)の混合物中の懸濁液に加え、ディーン・シュターク(Dean Stark)トラップを使用しながら混合物を24時間加熱した。反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテルを加えて固形物を析出させた。固形物をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥してL−4−トランス−ヒドロキシプロリンベンジルエステル(75g)を得た。
(2)上記で得たL−4−トランス−ヒドロキシプロリンベンジルエステル p−トルエンスルホン酸塩(40.43g)の、テトラヒドロフラン(500mL)およびDIEA(51.3mL)中懸濁液に、3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(22.1g)を加えた。一晩攪拌後、反応混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を酢酸エチル/ヘキサン(1:1)中で粉砕し、白色固形物をろ過し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=2:1)により精製して(2S,4R)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルバモイル]−4−ヒドロキシプロリンベンジルエステルを得た(33.07g)。
(3)(2S,4R)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルバモイル]−4−ヒドロキシプロリンベンジルエステル(33.07g)のアセトニトリル(800mL)中の懸濁液に、イミダゾール(11g)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(13.64g)を加えた。48時間攪拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=2:1)により精製して(2S,4R)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルバモイル]−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロリンベンジルエステルを得た(44.45g)。
(4)(2S,4R)−2−[(3,5−ジクロロフェニル)カルバモイル]−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロリンベンジルエステル(23.49g)のアセトニトリル(500mL)溶液に、DIEA(34.44mL)を加え、混合物を加熱還流した。24時間還流した後、反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン〜ヘキサン/酢酸エチル=1:1)により精製して、3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンの2つのジアステレオマーを分離した。
ジアステレオマーA:7.46g,MS:m/z 415(M+)、および
ジアステレオマーB:10.66g,MS:m/z 415(M+)。
ジアステレオマーA:7.46g,MS:m/z 415(M+)、および
ジアステレオマーB:10.66g,MS:m/z 415(M+)。
(5)上記で得た化合物(ジアステレオマーAまたはB:12.73g)を以下のようにしてベンジル化した。窒素雰囲気下、ジイソプロピルアミン(6.5mL)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、攪拌しながらn−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液、30mL)を−78℃で加えた。混合物を−78℃にさらに30分間維持した。窒素雰囲気下、3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(12.73g)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、カニューレを用いて混合物を−78℃で加えた。−78℃で30分間攪拌した後、4−シアノ−α−ブロモトルエン(9.08g)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液を加えた。反応混合物を−78℃で2.5時間、攪拌し、次いで、ゆっくりと室温まで昇温させ、室温で0.5時間、放置した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。酢酸エチル溶液を洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ヘキサン/酢酸エチル=24:1〜3:1)により精製して(5S,7R)−および(5R,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た。
(5S,7R)異性体:7.6g,MS:m/z 530(M+)および
(5R,7R)異性体:1.8g,MS:m/z 530(M+)。
(5S,7R)異性体:7.6g,MS:m/z 530(M+)および
(5R,7R)異性体:1.8g,MS:m/z 530(M+)。
(6)(5S,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(1.0g)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を70%HF/ピリジン(25mL)に加えた。反応混合物を24時間攪拌した後、濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;メタノール/ジクロロメタン=2〜7%)により精製して(5S,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.52g)を得た。MS(m/z)416[MH+]。
(7)上記で得た(5S,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.52g)のジクロロメタン(8mL)溶液に、0℃で、DIEA(0.45mL)、次いでメタンスルホニルクロリド(0.15mL)を添加し、混合物を1.5時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、得られた混合物を洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮して(5S,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−メタンスルホニルオキシ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンを得た(0.76g)。この化合物をそのままで、次の工程に使用した。MS(m/z)501[MH+]。
(8)上記で得た(5S,7R)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−メタンスルホニルオキシ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.76g)のジメチルホルムアミド(5mL)溶液にアジ化ナトリウムを添加し、混合物を24時間攪拌した。反応混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機溶液を洗浄し、乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル;ジクロロメタン)により精製して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アジド−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.46g)を得た。MS(m/z)441[MH+]。
(9)上記で得た(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アジド−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.42g)、5%パラジウム−炭素(15mg)およびエタノール(15mL)の混合物に、水素をバブリングし、反応混合物を一晩水素雰囲気下で攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、ろ液を濃縮した。残渣をHPLC(Beckman5μC18カラム;勾配溶離、水/アセトニトリル(10〜100%)/0.1%トリフルオロ酢酸)により精製して(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン(0.21g)を得た。MS(m/z)415[MH+]。
実験例1 細胞接着阻害作用
組換え型ICAM−1を、ヒトICAM−1の5個の細胞外ドメインとヒトIgGの定常領域との融合から構築した。組換え型ICAM−1(以下、ICAM−1)はプロテインAアフィニティクロマトグラフィーで精製し、−20℃で貯蔵した。ICAM−1をPBS(pH7.5)で希釈し、ファルコンプロバインド(Falcon Probind) IIIプレートに100μl/ウェルずつ移し、4℃で一晩インキュベーションして固定した。非特異的バックグランド接着の基準として、BSAで被膜されたウェルを使用した。洗浄したプレートを卵白アルブミンの0.25%PBS溶液で37℃下1時間ブロッキングした。HBSS洗浄ジャルカット(Jurkat)細胞を最終濃度2.5×106/mLになるようにTBSg接着緩衝液(24mM Tris、pH7.4、0.14M塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム、2mMグルコース、0.1%HSA)に懸濁した。この懸濁液(100μl)を、プレート緩衝液(TBSg緩衝液、10mM塩化マグネシウム、2%ジメチルスルホキシド含有)100μlを含有したICAM−1被膜プレートに加えた。接着は37℃で1時間行った。非接着細胞をEL404プレートウォッシャー(バイオテック・インスツルメント;ハイランド・パーク、バーモント)を用いて除いた。接着した細胞数を、酵素基質としてp−ニトロフェノール−N−アセチル−β−D−グルコ−スアミニドを用いて、内因性N−アセチル−ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することにより定量した。遊離したp−ニトロフェノールの量を、垂直経路分光光度計で405nmでの光学密度を読むことにより計測し (VMAX カイネティック・マイクロプレート・リーダー、MOLECULAR DEVICES、メンロ・パーク、カルフォルニア) 、細胞接着を定量した。試験化合物は、ジメチルスルホキシドに溶解し、プレート緩衝液で必要濃度に希釈した後、ICAM−1被膜プレートに移した。試験化合物(前記製造例記載化合物)がジャルカット細胞とICAM−1被膜プレートの接着(細胞接着)を50%阻害する濃度(IC50)を算出した。結果を表1に示す。
組換え型ICAM−1を、ヒトICAM−1の5個の細胞外ドメインとヒトIgGの定常領域との融合から構築した。組換え型ICAM−1(以下、ICAM−1)はプロテインAアフィニティクロマトグラフィーで精製し、−20℃で貯蔵した。ICAM−1をPBS(pH7.5)で希釈し、ファルコンプロバインド(Falcon Probind) IIIプレートに100μl/ウェルずつ移し、4℃で一晩インキュベーションして固定した。非特異的バックグランド接着の基準として、BSAで被膜されたウェルを使用した。洗浄したプレートを卵白アルブミンの0.25%PBS溶液で37℃下1時間ブロッキングした。HBSS洗浄ジャルカット(Jurkat)細胞を最終濃度2.5×106/mLになるようにTBSg接着緩衝液(24mM Tris、pH7.4、0.14M塩化ナトリウム、2.7mM塩化カリウム、2mMグルコース、0.1%HSA)に懸濁した。この懸濁液(100μl)を、プレート緩衝液(TBSg緩衝液、10mM塩化マグネシウム、2%ジメチルスルホキシド含有)100μlを含有したICAM−1被膜プレートに加えた。接着は37℃で1時間行った。非接着細胞をEL404プレートウォッシャー(バイオテック・インスツルメント;ハイランド・パーク、バーモント)を用いて除いた。接着した細胞数を、酵素基質としてp−ニトロフェノール−N−アセチル−β−D−グルコ−スアミニドを用いて、内因性N−アセチル−ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することにより定量した。遊離したp−ニトロフェノールの量を、垂直経路分光光度計で405nmでの光学密度を読むことにより計測し (VMAX カイネティック・マイクロプレート・リーダー、MOLECULAR DEVICES、メンロ・パーク、カルフォルニア) 、細胞接着を定量した。試験化合物は、ジメチルスルホキシドに溶解し、プレート緩衝液で必要濃度に希釈した後、ICAM−1被膜プレートに移した。試験化合物(前記製造例記載化合物)がジャルカット細胞とICAM−1被膜プレートの接着(細胞接着)を50%阻害する濃度(IC50)を算出した。結果を表1に示す。
実験例2 ニューロキニン1(NK1)受容体結合阻害作用
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)254巻、221−227頁(1994年)記載の方法に準じて、ヒトリンパ芽球腫細胞(IM−9)(4×106個)を0.3nM[3H](Sar9,Met11(O2))サブスタンスP(Kd値:0.17nM)および公比10にて調製した検体化合物とともに150mM塩化ナトリウム、3mM塩化マンガン、40μg/mLバシトラシン、4μg/mLロイペプチン、4μg/mLキモスタチン、4μg/mLホスホラミドン、0.02%ウシ血清アルブミンを含む50mM Tris−HCl(pH7.4、25℃)0.5mL中にて室温で60分間反応させた。予め0.3%ポリエチレンイミン処置したGF/Cガラスフィルターで吸引ろ過し、ウシ血清アルブミンおよび各種蛋白分解酵素阻害剤を含まない氷冷反応緩衝液3mLで2回洗浄し、液体シンチレーションカウンターにてフィルター上の放射能(dpm)を測定した(総結合量)。非特異的結合量はNK1受容体拮抗作用を持つL−703606(2μM)を用いて同様にして測定した。特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量を差し引いて求め、各濃度における検体化合物の標識リガンドの特異的結合に対する阻害率を計算し、50%阻害濃度(IC50)を算出した。結果を表2に示す。なお、L−703606は下記の式で示される化合物である。
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)254巻、221−227頁(1994年)記載の方法に準じて、ヒトリンパ芽球腫細胞(IM−9)(4×106個)を0.3nM[3H](Sar9,Met11(O2))サブスタンスP(Kd値:0.17nM)および公比10にて調製した検体化合物とともに150mM塩化ナトリウム、3mM塩化マンガン、40μg/mLバシトラシン、4μg/mLロイペプチン、4μg/mLキモスタチン、4μg/mLホスホラミドン、0.02%ウシ血清アルブミンを含む50mM Tris−HCl(pH7.4、25℃)0.5mL中にて室温で60分間反応させた。予め0.3%ポリエチレンイミン処置したGF/Cガラスフィルターで吸引ろ過し、ウシ血清アルブミンおよび各種蛋白分解酵素阻害剤を含まない氷冷反応緩衝液3mLで2回洗浄し、液体シンチレーションカウンターにてフィルター上の放射能(dpm)を測定した(総結合量)。非特異的結合量はNK1受容体拮抗作用を持つL−703606(2μM)を用いて同様にして測定した。特異的結合量は、総結合量から非特異的結合量を差し引いて求め、各濃度における検体化合物の標識リガンドの特異的結合に対する阻害率を計算し、50%阻害濃度(IC50)を算出した。結果を表2に示す。なお、L−703606は下記の式で示される化合物である。
本発明の有効成分(I)はαLβ2インテグリン介在細胞接着阻害作用およびサブスタンスP受容体拮抗作用を有する。このため、本発明の医薬組成物はLFA−1介在細胞接着に関連する病態の治療または予防剤として、並びにサブスタンスPにより引き起こされる、または介在される病態の治療または予防剤として用いることができる。
Claims (18)
- Rが水素原子である、請求項1記載の医薬組成物。
- Rがヒドロキシル基である、請求項1記載の医薬組成物。
- Rがカルバモイル基である、請求項1記載の医薬組成物。
- nが1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- nが2である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- Rが水素原子でありnが1である、請求項1記載の医薬組成物。
- Rがヒドロキシル基でありnが1である、請求項1記載の医薬組成物。
- Rがカルバモイル基でありnが2である、請求項1記載の医薬組成物。
- 化合物が、(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−アセチルアミノ−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(2−ヒドロキシアセチル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオン、および
(5S,7S)−5−(4−シアノベンジル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−7−[(3−カルバモイルプロピオニル)アミノ]−1,3−ジアザビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジオンから選択される、請求項1記載の医薬組成物。 - LFA−1介在病態の治療または予防剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- LFA−1介在病態が炎症性疾患、自己免疫疾患またはアレルギー性疾患である、請求項11記載の医薬組成物。
- サブスタンスPにより引き起こされる、または介在される疾患の治療または予防剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 疾患が炎症性疾患である、請求項13記載の医薬組成物。
- リウマチ関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー疾患、成人呼吸窮迫症候群、AIDS、心血管疾病、血栓症、有害な血小板凝集、血栓溶解後の再閉塞、再潅流障害、皮膚炎症疾患、骨粗鬆症、変形性関節症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、新生物疾患、外傷、網膜剥離、I型糖尿病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、眼炎症状態、炎症性腸疾患、膀胱炎、胃障害、限局性回腸炎、シェーグレン症候群および臓器移植後の拒絶反応から選択される疾患の治療または予防剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
- 疾患が、乾癬、リウマチ関節炎、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎、シェーグレン症候群または臓器移植後の拒絶反応である、請求項15記載の医薬組成物。
- 疾患が、リウマチ関節炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、乾癬、多発性硬化症または臓器移植後の拒絶反応である、請求項15記載の医薬組成物。
- 疾患が、喘息、炎症性腸疾患、膀胱炎または胃障害である、請求項15記載の医薬組成物。
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2004
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