JP2005067520A - ガス発生器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 第2燃焼室から発生するガスの圧力や温度等のガス特性を調整可能にしたガス発生器を提供する。
【解決手段】 ガス発生剤(14a,14b)が装填された燃焼室と、前記燃焼室を2室以上の独立した燃焼室(4,7)に区画する有底筒状の円筒材(5)と、独立に前記2室以上に区画された各燃焼室(4,7)に設置され各燃焼室(4,7)で生じたガスが通過するフィルタ手段(6,8)と、ガス発生剤(14a,14b)を着火させる点火手段(16,17)とを備えたガス発生器において、前記フィルタ手段(6)が円盤状で、前記円筒材(5)の内側に配置され、前記フィルタ手段(6)の厚さが2〜25mmで、嵩密度が2.5〜5g/cm3であり、前記円筒材(5)の内側の燃焼室(4)で生じたガスの流路を前記ハウジング(3)との間に画成するための仕切り部材(39)を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハウジング内のガス発生剤を複数の点火器により燃焼させて、エアバッグの膨張展開を制御可能とする状況適応型のエアバッグ用のガス発生器に関する。
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するため、急速にエアバッグを膨張展開させるガス発生器は、ステアリングホイール内やインストルメントパネル内に装着されたエアバッグモジュールに組み込まれている。そして、ガス発生器は、コントロールユニット(作動器)からの電気信号によって点火器(スクイブ)を作動させて、この点火器からの火炎によりガス発生剤を燃焼させて、多量のガスを急激に発生させるものである。
従来のガス発生器では、乗員の着座姿勢(正規着座、前屈み等の非正規着座)や衝突時の車速(加速度)の如何に拘らず、常に、エアバッグを急速に膨張展開させる形態を有している。従って、自動車の乗員の着座姿勢、衝突時の車速(加速度)に応じたエアバッグの展開が困難であり、乗員を保護するエアバッグ本来の機能を発揮できないというおそれがある。
そこで近年、ガス発生器においては、エアバッグの初期膨張を緩やかにするなど、乗員の着座姿勢、衝突時の車速(加速度)に応じてエアバッグを展開する状況適応型のエアバッグ用のガス発生器が提案、開発されつつある。
例えば、特許文献1には、夫々点火器を備えた2室の燃焼室を有し、各燃焼室に装填されたガス発生剤が順次燃焼してガスを発生する状況適応型のガス発生器が開示されている。このガス発生器においては、ハウジングの外筒内周部に円環状のフィルタ手段が設けられ、そのフィルタ手段の内部に形成された第1燃焼室と、更にその第1燃焼室内に有底筒状の円筒管によって区画された第2燃焼室が形成され、第1燃焼室と第2燃焼室とが、有底筒状の円筒管の側筒部に形成された複数のオリフィスによって連通可能となるように構成されている。そして、第1燃焼室と第2燃焼室とに装填されているガス発生剤を時間差を持って燃焼させることによって乗員の着座姿勢に合わせた状況適応型のガス発生器としている。ここで、前記フィルタ手段は、各燃焼室内で燃焼により生じたガスを冷却するとともにガスが通過するときの抵抗を与えて減圧し、さらに、燃焼の際に生成された残渣(スラグ)がエアバッグへ放出されてエアバッグが破損しないように残渣を濾過するためのものである。
また、特許文献2に記載のガス発生器では、燃焼室がハウジングと同心状の内筒部材により2つの独立した燃焼室に形成され、それぞれの燃焼室には、円環状のクーラント手段が設けられている旨開示がある。そして、クーラント手段を異ならせることにより、ガス発生器の作動出力の調整を行い易いものにする旨開示がある。
さらに、特許文献3、4に記載のガス発生器では、ハウジングの軸方向に複数の燃焼室が配置され、夫々の燃焼室に円環状のフィルタ手段が配置されている旨開示がある。そして、特許文献3に記載のガス発生器は、各燃焼室から生じたガスは各燃焼室に配置されたフィルタ手段を通過し、各燃焼室に設けられたガス放出口から排出される旨記載がある。また、特許文献4に記載のガス発生器は、偏心した点火器近傍のガスの通過性能を少なくする旨記載がある。
特表2002−503584号公報 特開2003−89338号公報 特開平11−59318号公報 特開2000−296756号公報
前記特許文献1に記載のガス発生器においては、第1燃焼室と第2燃焼室とが連通可能に構成されており、双方の燃焼室で生じたガスが混合して1つのフィルタを通過することになる。そのため、2つの燃焼室における点火を所定の時間差をおいて実行して、多様な衝突パターンに応じた適切なタイミング及び速度でエアバッグを展開しようとしても、2つの燃焼室において発生したガスが混合してからフィルタ手段を通過するため、ガス発生器からエアバッグに流れ込むガスの圧力(エアバッグへの出力)や温度等のガス特性を個々の燃焼室毎に独立して制御することが困難であり、各々の衝突パターンに応じてエアバッグを適切に展開することが難しい。
また、前記特許文献2では、点火手段は、各燃焼室に配置されておらず、燃焼室を区画するハウジングと同心の内筒部材の内側に収容されており、さらにクーラント手段が円盤状の形状のガス発生器について開示がなく、また、どのようにクーラント手段を異ならせるか(重量、厚さ等)についての記載もない。
また、前記特許文献3、4では、2つのフィルタ部材が円環状のガス発生器についてのものであり、円盤状のフィルタ部材を持つガス発生器について、及びその効果について記載がない。
本発明の目的は、2以上の燃焼室を有し各々独立に構成するとともに第2燃焼室から発生するガスの圧力や温度等のガス特性を調整可能にしたガス発生器であって、小型化・軽量化し、構造を簡略化し、製造コストの低減されたガス発生器を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明のガス発生器は、側筒部に複数のガス放出孔を備えた円筒状のハウジングと、前記ハウジング内に形成されガス発生剤(14a,14b)が装填された燃焼室と、前記燃焼室を2室以上の独立した燃焼室(4,7)に区画する有底筒状の円筒材(5)と、独立に前記2室以上に区画された各燃焼室(4,7)に設置され各燃焼室(4,7)で生じたガスが通過するフィルタ手段(6,8)と、前記各燃焼室(4,7)内に突出するように設置され各燃焼室に装填された前記ガス発生剤(14a,14b)を着火させる点火手段(16,17)と、を備え、前記各燃焼室(4,7)で生じたガスは前記複数のガス放出孔(15)を共に通過することでエアバッグにガスを放出するガス発生器であって、有底筒状の前記円筒材(5)の底部(30)に孔(31)が設けられ、前記孔(31)はシールされ、前記フィルタ手段(6)が円盤状で、前記円筒材(5)の内側に配置され、前記フィルタ手段(6)の、前記ガスが通過する方向の、厚さが2〜25mmで、嵩密度が2.5〜5g/cm3であり、前記円筒材(5)の外側の燃焼室(7)の前記ハウジング(3)の軸方向端面を構成するとともに、前記円筒材(5)の内側の燃焼室(4)で生じたガスの流路を前記ハウジング(3)との間に画成するための仕切り部材(39)を設けたことを特徴とするものである。
前記の構成によれば、有底筒状の前記円筒材(5)の内側を第2の燃焼室(4)とし、この第2の燃焼室から生じたガスをその底部(30)に設けられた孔(31)を通って放出されることとしているので、フィルタ手段(6)として円盤状のフィルタ手段(6)を採用することができる。この円盤状フィルタ手段は、燃焼したガスをその円盤形状の軸方向(厚み方向)に通過させることができるので、円筒状や中心に穴を有する円盤状のフィルタ手段に比べガスの通過距離が均一となり、冷却・濾過性能が安定し、オリフィス板のオリフィスの自由度(径や配置)が増す。また、円筒状のフィルタ手段よりも容易かつ安価に製造することができるので、嵩密度やガスが通過する方向の厚さの異なるものを容易に入手でき、その結果第2の燃焼室において作動出力の異なるガス発生器を容易かつ安価に製造することができる。さらに、前記フィルタ手段(6)が前記円筒材(5)の内側に配置されているので、その外側に配置した場合に必要な空間を設けることなく、フィルタ手段の全体を利用することができる。
また、ガス放出孔(15)は第1の燃焼室(7)と第2の燃焼室(4)で共用されているので、別々にガス放出孔を設ける場合より、耐湿性付与のためのガス放出孔のシール工程の負荷が減少し、また構造も簡略化されるので、より安価にガス発生器を製造することができる。
そして、前記円筒材(5)の外側に存在する第1の燃焼室(7)はハウジング(3)の軸方向の端面を仕切り部材(39)により構成され、かつ仕切り部材(39)とクロージャシェル(2)との間に空間(40)を設けているので、第2の燃焼室から放出されたガスは、この空間(40)を通過してガス放出孔に到達し、第1の燃焼室内を通過することはない。また、第1の燃焼室で発生した高温ガスが空間(40)を経由して孔(31)に到達したとしても、孔(31)はシールされているので、第2の燃焼室内のガス発生剤の変質等を起こすことがない。この結果、第1の燃焼室の影響を最小限に抑えることができ、第2の燃焼室の性能をそのまま利用することができる。
また、仕切り部材(39)を設けているので、夫々の燃焼室で発生したガスは、夫々のフィルタ手段を通過してガス発生器から放出される。そして、これらフィルタ手段は、燃焼室で生じたガスが通過するときに、ガスを冷却するとともにガスに通過抵抗を与えて減圧し、さらに、燃焼の際に生成された残渣を濾過するためのものである。そして、このフィルタ手段によるガスの減圧及び冷却の効果は、フィルタ手段のガスとの接触面積等の条件の他、フィルタ手段の重量(熱容量)、具体的にはフィルタ手段の直径、嵩密度、厚さ、に大きく依存する。
そこで、第1の発明のガス発生器は、2室以上の独立した燃焼室に夫々設けられたフィルタ手段の少なくとも1つの特性を、厚さが2〜25mmで、嵩密度が2.5〜5g/cm3の範囲で変更可能に構成されている。即ち、エアバッグが装着される自動車の車種等の種々の条件に応じて、適切な重量のフィルタ手段を選択してフィルタ手段の重量を変更し、そのフィルタ手段が設けられ独立した燃焼室におけるガスの状態を個別に調整することができる。例えば、重量の大きなフィルタ手段を選択することにより、ガスがフィルタ手段を通過する際の通過抵抗を大きくして、エアバッグへ放出されるガスの圧力(出力)を少し弱めて展開初期段階のエアバッグの膨張速度やエアバッグ内のガス圧力を抑えたり、フィルタ手段におけるガスの冷却性能を高めてガスの温度を低下させたりすることができ、適切な展開速度及びタイミングでエアバッグを展開できるようになる。
従って、エアバッグが装着される自動車の車種等の種々の条件に応じて、適切な厚さのフィルタ手段を選択して、フィルタ手段の嵩密度や厚さ(重量)を任意に変更することにより、そのフィルタ手段が設けられた独立の燃焼室で生じるガスの圧力や温度等のガス特性を調整することができる。
また、フィルタ手段の外形寸法を変えずにその密度だけを変化させる場合には、フィルタ手段が取り付けられるガス発生器の個々の部品寸法を変更する必要がなく、共通の部品が使用できるため汎用性に優れる。
ここで、フィルタ手段の嵩密度を変更するには、例えば、網目状に形成されたフィルタ手段の網目の大きさを変更したり、フィルタ手段の材質(素材密度)を変えたりすればよい。
第2の発明のガス発生器は、前記第1の発明において、前記フィルタ手段(6)の直径が20〜35mmであることを特徴とするものである。
この構成は、フィルタ手段(6)の直径を円筒材(5)の内径と略一致させたものである。このような構成とすることにより、円筒材(5)を利用した自動車の運転席におけるデュアル型ガス発生器(2つの燃焼室と2つの点火手段を有するガス発生器)において、フィルタ手段の全体を有効に活用することができる。
第3の発明のガス発生器は、前記第1又は2の発明において、前記孔(31)を覆うように、複数のオリフィス(33)を有するオリフィス板(32)が設けられ、前記オリフィス板(32)に設けられている複数の前記オリフィス(33)は、ラプチャー部材(35)でシールされ、支持部材により前記フィルタ手段(6)が前記オリフィス板(32)に接するように設けられていることを特徴とするものである。このような構成とすることにより、前記孔(31)を覆うように、複数のオリフィス(33)を有するオリフィス板(32)が設けられているので、オリフィス板を使用しない場合より孔(31)をシールする部材として強度の高い部材を使用する必要がない。また、オリフィス板とフィルタ手段が空間を設けていないので、ガス発生器をよりコンパクトにすることができる。
第4の発明のガス発生器は、前記第1ないし3の発明において、前記円筒材(5)を、前記ハウジング(3)の軸から偏心させて設置することを特徴とするものである。このような構成にすることで、偏心させない場合より点火手段の保持部を簡略化することができ、よりコンパクトに、しかも安価にガス発生器を製造することができる。
第5の発明のガス発生器は、前記第1ないし4の発明において、前記円筒材(5)の内径が20〜35mmであり、高さが30〜36mmであることを特徴とするものである。このような構成にすることで、コンパクトな運転席用のガス発生器を製造することができる。
第6の発明のガス発生器は、前記第1ないし5の発明において、前記複数のガス放出孔(15)は、孔径が異なっている複数の孔の組合せであることを特徴とするものである。このような構成にすることで、燃焼室で発生したガスの圧力又は温度を調整して、展開初期段階のエアバッグの展開速度やエアバッグ内のガス圧力等を調節することができる。
第7の発明のガス発生器は、前記第1ないし6の発明において、前記点火手段(16,17)が、イニシエータシェル(1)の底盤部(21)にそれぞれ独立に保持されていることを特徴とするものである。このような構成にすることで、2つの点火手段を一体とした場合より簡便な構造とすることができる。
第8の発明のガス発生器は、前記第1ないし7の発明において、前記フィルタ手段(6,8)の材質がステンレス鋼または軟鋼であることを特徴とするものである。このような構成にすることで、加工性、耐熱性や熱容量が良好で、安価なフィルタ手段を製造することができる。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、第1の実施形態について図1により説明する。この第1の実施形態は、運転席のステアリングホイール内に設けられた運転席用エアバッグを膨張展開させるガス発生器に本発明を適用した一例である。この例のガス発生器は、最大外径が約70mm、高さが40mm程度の寸法のものである。尚、図1における上下左右の各方向を、上下左右として以下説明する。
図1に示すように、ガス発生器P1は、この円筒状のハウジング3と、ハウジング3内に設置され第2燃焼室4を形成する円筒材5と、この円筒材5内に設けられている第2フィルタ6と、ハウジング3の内周に沿って設けられ内部に第1燃焼室7を形成する第1フィルタ8と、燃焼室4,7に装填されているガス発生剤14a,14bと、各燃焼室4,7にそれぞれ設けられている点火手段16,17などで構成されている。第1フィルタ8は円環状、第2フィルタ6は円盤状であることが好ましい。円筒状のハウジング3は、イニシエータシェル1とクロージャシェル2とからなることが好ましい。ここで、イニシエータシェル1とクロージャシェル2は、両者が突き合わされて接合部10において溶接等によって接合されている。但し、イニシエータシェル1とクロージャシェル2とは、溶接以外の方法、例えば、圧接等の方法で接合することもできる。イニシエ−タシェル1及びクロージャシェル2の肉厚は、1.5mm〜3mmの範囲が好ましい。
円筒状のハウジング3を構成するクロージャシェル2は、天盤部11と、天盤部11からイニシエータシェル1に向かって延びる側筒部12と、側筒部12から径方向外側に延びるフランジ部13とで構成されている。側筒部12には、ガス発生剤14a、14bの燃焼により発生するガスが放出される複数のガス放出孔15が形成されている。このガス放出孔15は、第1燃焼室7のガス放出孔15と第2燃焼室4のガス放出孔15が別個独立になっているのではなく、両者のガス放出孔15として共用されている。複数のガス放出孔15の孔径は、異なっていてもよく、同じであっても良いが、孔径が異なっている複数の孔が存在することが好ましい。孔径は、2mm〜3.5mmの範囲内にあることが好ましい。ガス放出孔15にはアルミニウムテープ等のラプチャー部材18が側筒部12の内面に貼付されている。このラプチャー部材18により、ハウジング3内に外部から湿気等が侵入するのが防止される。
クロージャシェル2に突き合わされて溶接、圧接等によって接合されるイニシエータシェル1は、底盤部21と、底盤部21からクロージャシェル2に向かって延びる側筒部22とで構成されている。底盤部21には、点火手段16,17を保持する円筒状の点火手段保持部23、24が設けられている。点火手段16及び後述する点火手段17の構成部品である点火器38は、それぞれ、これら点火手段保持部23,24にカシメ固定されている。なお、ここでいう点火手段とは、コントロールユニットからの通電によって発火する点火器のみからなる場合や、それに加え、ガス発生剤の確実な着火のためにガス発生器内部に配置されるエンハンサ剤やその容器等を含んでも良い。
ハウジング3の側筒部22,12の内周壁面に沿って第1フィルタ8が設けられている。この第1フィルタ8については後ほど詳述するが、第1フィルタ8の外周側部分の下端側には、凸部25が形成されており、この凸部25がイニシエータシェル1の側筒部22の内周壁面に接して、ハウジング3内で第1フィルタ8が確実に位置決めされる。また、凸部25が常にイニシエータシェル1に接触していることによって、第1燃焼室7からの燃焼ガスのバイパスを防止することができる。また、凸部25によって、ハウジング3の内壁と第1フィルタ8との間に、空間26が形成される。このように、空間26が形成されることによって、後述する第1燃焼室7及び第2燃焼室4からのガスがこの空間26で滞留、混合し、ガス放出孔15から放出されるようになる。
この第1フィルタ8の内部空間を独立した2室に区画する有底筒状の円筒材5は、ハウジング3の軸から偏心し、イニシエータシェル1の底盤部21に偏心して設けられている一方の点火手段16を覆うように設置されている。円筒材5は、イニシエータシェル1に圧接、溶接、カシメ等の任意の方法によって固定されている。そして、内部には、ガス発生剤14aが装填されて、第2燃焼室4を構成している。
この円筒材5の底部30には、孔31が形成されており、この孔31を覆うように、複数のオリフィス33を有するオリフィス板32が設けられている。このオリフィス板32は、円筒材5の底部30にカシメ等の任意の方法によって固定されている。そして、筐体状の板材34を第2フィルタ6の支持部材として利用することにより、このオリフィス板32に接するようにして円盤状の第2フィルタ6が円筒材5の内部に配置されている。第2フィルタ6が円筒材5の外側においてオリフィス板32に接するように配置される場合は、発生ガスがオリフィス板32のオリフィス部分を通過して、その部分に対応する第2フィルタ6の部分だけを利用することとなる。このため、第2フィルタ6が円筒材5の外側に配置される場合は、第2フィルタ6全体を利用するため、第2フィルタ6と円筒材5の間に必ず空間を必要とする。しかし、第2フィルタ6を円筒材5の内部に配置した結果、発生ガスが第2フィルタ6の全体を通過するため、第2フィルタ6をオリフィス板32に接するようにして設けることができる。この結果、空間部分を省略できるので、ガス発生器を小型化することができる。
また、円盤状のフィルタ手段は、燃焼したガスをその円盤形状の軸方向(厚み方向)に通過させることができるので、円筒状や中心に穴を有する円盤状のフィルタ手段に比べガスの通過距離が均一となり、冷却・濾過性能が安定する。そして、オリフィス板の全面に円盤状のフィルタ手段を設けているので、円筒状や中心に穴を有する円盤状のフィルタ手段に比べオリフィスの径や配置を自由に設計することができる。
図1では、支持部材である筐体状の板材34はその外周が前記円筒材(5)と接しており、かつ円盤状の第2フィルタ6もその外周が筐体状の板材34の内周と接している。支持部材を使用しない場合は、第2フィルタ6の外周が前記円筒材(5)と直接接するように配置する。このような構造、すなわち円筒材(5)の内周と第2フィルタ6の外周との間に空間を設けない構造、とすることにより冷却・濾過性能がより安定し、確実なものとなる。
オリフィス板32に設けられている複数のオリフィス33は、アルミニウムテープ等のラプチャー部材35によってシールされている。第1燃焼室7内のガス発生剤14bが先に点火された場合に生じるラプチャー部材35の内外の圧力差に対し、オリフィス板32が、ラプチャー部材35の補強部材となる。このため、ラプチャー部材35としては、従来よりも強度の小さいものであっても、確実にシールすることが可能となる。
次に、第1フィルタ8及び第2フィルタ6について、詳細に説明する。これら第1フィルタ8及び第2フィルタ6(これらがフィルタ手段に相当する)は、燃焼室7,4内で燃焼により生じたガスが通過するときに、ガスを冷却するとともにガスに通過抵抗を与えて減圧し、さらに、燃焼の際に生成された残渣がエアバッグへ放出されないように残渣を濾過するためのものである。ここで、燃焼室7,4内のガスの温度は、燃焼時には、例えば、1200〜1300℃程度の高温になるため、第1フィルタ8及び第2フィルタ6には、高温状態における強度が必要とされる。そのため、第1フィルタ8及び第2フィルタ6は、例えば、ステンレス鋼あるいは軟鋼製の高温強度の高い線材で構成される。さらに、第1フィルタ8及び第2フィルタ6は、例えば、メリヤス編み金網、平織金網やクリンプ織り金属線材の集合体を成形することによって製作されるが、特に、メリヤス編み金網を用いてプレス成形で製作することが好ましい。但し、前述した製法に限定されるものではない。さらに、ガス中の残渣の濾過機能を向上させるために、金網状の第1フィルタ8及び第2フィルタ6内に、例えば、10〜100μmの金属繊維をウェブ状に焼結した焼結層や、セラミックシート等を充填してもよい。
ところで、第2燃焼室4のフィルタ6によるガスの減圧及び冷却の効果は、少なくとも1つの特性を変更することにより調整可能となる。これは、第2フィルタ6のガスとの接触面積等の条件の他、その重量(熱容量)にも大きく依存する。そこで、例えばこのガス発生器P1においては、第2フィルタ6を、適切な重量のものを選択することによりその重量を変更可能に構成されている。ここで、第2フィルタ6の重量を変更するには種々の方法があるが、例えば、以下のようなものがある。
(1)第2フィルタ6の上下方向(ガスが通過する方向)の厚さを変える。ここで、第2フィルタ6の厚さを、2〜25mm程度が好ましく、サイズ等の点を考慮すれば、3〜10mm程度の範囲内で調整することがより好ましいが、これらの範囲に限定されるものではない。
(2)第2フィルタ6の密度を変化させる。ここで、第2フィルタ6の密度を変えるにも種々の方法があるが、例えば、金網状の第2フィルタ6において、網目の細かさを変化させたり、前述のメリヤス編み金網をプレス加工により圧縮成形する場合には、プレス加工時の圧縮率を変えることで密度を変化させることができる。さらには、前述した金属繊維の焼結層やセラミックシートの充填量を変化させることによっても密度を変えることができる。第2フィルタ6の密度は、好ましくは2.5〜5g/cm3、2.5〜4.5g/cm3 がより好ましい。ここで、密度とは、嵩密度を意味している。
(3)第2フィルタ6の材質を素材密度の異なる別の材質に変更する。
特に、前記の(2)又は(3)の場合には、第2フィルタ6の外形寸法を変化させずに重量を変えることが可能となり、その場合には、第2フィルタ6が取り付けられるガス発生器P1の個々の部品寸法を変更する必要がなく、共通の部品が使用できるため汎用性に優れる。また、これら(1)〜(3)の方法を適宜組み合わせて第2フィルタ6を適切な重量に変更することもできる。例えば、第2燃焼室の直径を一定とすると、厚さが2〜25mm、嵩密度が2.5〜5g/cm3の範囲で変更することが適切である。
そして、エアバッグが装着される自動車の車種等の種々の条件に応じて、適切な重量の第2フィルタ6を選択して第2フィルタ6の重量を変更し、その第2フィルタ6が設けられた第2燃焼室4で生じるガスの特性を調整することができる。円筒材5の内側の第2燃焼室4においては、第2フィルタ6の重量が好ましくは該燃焼室のガス発生剤重量の0.8〜2倍となるように、嵩密度と高さが決定される。
円筒材5の外側の第1燃焼室7においては、第1フィルタ8の重量は、好ましくは該燃焼室のガス発生剤重量の1.5〜3倍が好ましい。そして、例えば、重量の大きな第1フィルタ8を選択することにより、ガスが通過する際の通過抵抗を大きくしてガスの圧力を弱め、展開初期段階におけるエアバッグの膨張速度やエアバッグ内のガス圧力を抑えることができるし、ガスの冷却性能を高めてガスの温度を低下させることもできる。
ハウジング3内は、仕切り部材39によって、仕切り部材39とクロージャシェル2との間の空間部40と第1燃焼室7に区画されており、前述の第2燃焼室4の外周部分には第1燃焼室7が形成されている。第1燃焼室7内に設けられている点火手段17は、内部に伝火剤36が装填された有底筒状の円筒管37と、制御部からの通電によって点火される点火器38とで構成されている。円筒管37には、伝火剤36が着火、燃焼した火炎を第1燃焼室7に向けて噴出するための着火孔45が設けられている。着火孔45は、ハウジング3の軸心周りに伝火剤の火炎が噴出する形状・配置が好ましい。ここでいう伝火剤36は、通常使用可能な伝火剤ならばいかなるものでも用いることができる。そして、この第1燃焼室7には、ガス発生剤14bが装填されている。
仕切り部材39の材質は、例えばステンレス鋼板またはプレス用鋼板でできている。仕切り部材39は波板状に形成され、この波板状の仕切り部材39により、第2燃焼室4から空間40に流出してきたガスが、空間26を経てガス放出孔15から放出されるようになっている。図1においては、ガス誘導部材9を設けて、第2燃焼室から生じたガスを第1フィルタ8を通過せず、直接空間26に流出するようにしている。このガス誘導部材9を設けた場合、仕切り部材39は波板状に形成されていなくてもよい。
以上のように構成されたガス発生器P1は、ステアリングホイール内に装着されることになるエアバッグモジュールに組み込まれる。そして、ガス発生器P1の各点火手段16,17は、図示省略する車両側コネクタにそれぞれ接続され、制御部に接続される。制御部は、例えば、自動車の衝突を検出する衝突センサ(加速度センサ)と、各点火手段16,17に通電する昇圧回路と、バックアップコンデンサと、スクイブ(点火器)駆動回路とで構成され、マイクロコンピュータで制御される。
そして、制御部に接続されたガス発生器P1は、衝突センサが自動車の衝突を検出することで、先に点火させる点火手段、例えば、点火手段17の構成部品である点火器38に接続されているスクイブ駆動回路によって点火手段17のみが作動(通電発火)して、第1燃焼室7内のガス発生剤14bを燃焼させて、高温ガスを発生させる。第1燃焼室7で発生したガスは、第1フィルタ8内に流入し、冷却・濾過され、空間26を経てガス放出孔15から放出される。この段階においては、第1燃焼室7のガス発生剤14bのみの燃焼であるため、エアバッグは緩やかに膨張展開を開始する。
続いて、第1燃焼室7の燃焼開始後、制御部のマイクロコンピュータによって制御されたスクイブ駆動回路により微小時間差をもって点火手段16が作動(通電発火)する。そして、第2燃焼室4内のガス発生剤14aを燃焼させることで、高温ガスを発生させる。
第2燃焼室4内で発生した高温ガスは、第2フィルタ6内に流入し、冷却・濾過され、オリフィス33から空間40に流出する。空間40に流出したガスは、ガス誘導部材9に形成されている凹部44を通過して空間26を経てガス放出孔15から放出される。ここで、空間26に流出したガスは、第1燃焼室7からのガスと混合して、ガス放出孔15から放出される。そして、エアバッグには、各燃焼室4、7から放出される多量の清浄なガスが流入して、エアバッグは急速に膨張展開する。
ガス発生剤14a、14bは、通常、非アジド系組成物であって、例えば燃料と、酸化剤と、添加剤(バインダ、スラグ形成剤、燃焼調整剤)とで構成されるものを使用することができる。
燃料としては、例えば含窒素化合物が挙げられる。含窒素化合物としては、例えばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体、ウレア誘導体、アンミン錯体から選ばれる1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
トリアゾール誘導体の具体例としては、例えば5−オキソ−1,2,4−トリアゾール、アミノトリアゾ−ル等を挙げることができる。テトラゾール誘導体の具体例としては、例えばテトラゾール、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノテトラゾール、ニトロアミノテトラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾールジアンモニウム塩、5,5’−アゾテトラゾールジグアニジウム塩等が挙げられる。グアニジン誘導体の具体例としては、例えばグアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジン等が挙げられる。アゾジカルボンアミド誘導体の具体例としては、例えばアゾジカルボンアミド等が挙げられる。ヒドラジン誘導体の具体例としては、例えばカルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体等が挙げられる。ウレア誘導体としては、例えばビウレットが挙げられる。アンミン錯体としては、例えばヘキサアンミン銅錯体、ヘキサアンミンコバルト錯体、テトラアンミン銅錯体、テトラアンミン亜鉛錯体等が挙げられる。
これらの含窒素化合物の中でもテトラゾール誘導体及びグアニジン誘導体から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特にニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジンが好ましい。
ガス発生剤14a、14b中におけるこれら含窒素化合物の配合割合は、分子式中の炭素原子、水素原子及びその他の酸化される原子の数によって異なるが、通常20〜70重量%の範囲が好ましく、30〜60重量%の範囲がより好ましい。また、ガス発生剤に添加される酸化剤の種類により、含窒素化合物の配合割合の絶対数値は異なる。しかしながら、含窒素化合物の配合割合の絶対数値が、完全酸化理論量より多いと発生ガス中の微量CO濃度が増大する、一方、含窒素化合物の配合割合の絶対数値が、完全酸化理論量以下になると発生ガス中の微量NOx濃度が増大する。従って両者の最適バランスが保たれる範囲が最も好ましい。
酸化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウムから選ばれたカチオンを含む硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩の少なくとも1種から選ばれた酸化剤が好ましい。硝酸塩以外の酸化剤、即ち亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグインフレータ分野で多用されている酸化剤も用いることができるが、硝酸塩に比べて亜硝酸塩は分子中の酸素数が減少すること、又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの生成を減少させる等の観点から硝酸塩が好ましい。硝酸塩としては、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅等を挙げることができ、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅がより好ましい。
ガス発生剤14a、14b中の酸化剤の配合割合は、用いられる含窒素化合物の種類と量により絶対数値は異なるが、30〜80重量%の範囲が好ましく、特に上記のCO及びNOX濃度に関連して40〜75重量%の範囲が好ましい。
添加剤であるバインダは、ガス発生剤の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能である。バインダとしては、例えば、カルボキシメチルセルロースの金属塩、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、澱粉等の多糖誘導体、ステアリン酸塩等の有機バインダ、二硫化モリブデン、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機バインダを挙げることができる。
バインダの配合割合はプレス成型の場合0〜10重量%の範囲が好ましく、押出成型においては2〜15重量%の範囲であることが好ましい。添加量が多くなるに従い成型体の破壊強度が強くなる。ところが、組成物中の炭素原子及び水素原子の数が増大し、炭素原子の不完全燃焼生成物である微量COガスの濃度が高くなり、発生ガスの品質が低下する。また、ガス発生剤の燃焼を阻害することから、最低量での使用が好ましい。特に15重量%を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増大を必要とし、ガス発生化合物の相対的割合が低下し、実用できるガス発生器システムの成立が困難となる。
また、添加剤として、バインダ以外の成分としては、スラグ形成剤を配合することができる。スラグ形成剤は、ガス発生剤中の特に酸化剤成分から発生する金属酸化物との相互作用により、ガス発生器内のフィルタ(第1フィルタ8、第2フィルタ6)でのろ過を容易にするために添加される。
スラグ形成剤としては、例えば、窒化珪素、炭化珪素、酸性白土、シリカ、ベントナイト系、カオリン系等のアルミノケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土、合成マイカ、合成カオリナイト、合成スメクタイト等の人工的粘土、含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の一種であるタルク等から選ばれるものを挙げることができ、これらの中でも酸性白土又はシリカが好ましく、特に酸性白土が好ましい。スラグ形成剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎると線燃焼速度の低下及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとスラグ形成能を十分発揮することができない。
ガス発生剤14a、14bの好ましい組合せとしては、5-アミノテトラゾール、硝酸ストロンチウム、合成ヒドロタルサイト、及び窒化珪素を含むガス発生剤、または、硝酸グアニジン、硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅、酸性白土を含むガス発生剤が挙げられる。
また、必要に応じて燃焼調節剤を添加してもよい。燃焼調整剤としては金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト、或いはヘキソ−ゲン、オクト−ゲン、5−オキソ−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾールといった化合火薬が使用可能である。燃焼調整剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎるとガス発生効率の低下をもたらし、また、少なすぎると十分な燃焼速度を得ることができない。
以上説明したガス発生器P1によれば、各燃焼室4,7がそれぞれ独立しており、各燃焼室で発生したガスが、他方の燃焼室に冷却・濾過されずに流入することがないので、第2フィルタ6の重量を変更することにより、第2燃焼室4内で生じたガスの圧力や温度等のガス特性を独立して調整することができる。
また、各燃焼室4,7に組成の同一又は異なるガス発生剤14a,14bを装填し、夫々の燃焼室4,7から発生するガス量が異なるようにすることも可能である。さらに、オリフィス33の孔径や数等を調整することによってガスの諸特性を制御することもできる。さらに、各燃焼室4,7がそれぞれ独立しているため、各燃焼室4,7に設けられている点火手段16,17の作動時間を制御することによって、エアバッグの膨張展開の形態を状況に合わせて制御することが可能となる。
例えば、高速度での正面衝突や前方衝突のような危険度の高い衝突では、各点火手段16、17を同時に作動(通電発火)して、エアバッグを各燃焼室4、7で発生した多量のガスにて急速に膨張展開させる。又、危険度の中程度の衝突では、各点火手段16、17を微小時間差をもって作動(通電発火)して、エアバッグを展開初期において少量のガスで緩やかに膨張展開し、微小時間後に多量のガスにて急速に膨張展開させる。更に、危険度の軽程度の衝突では、例えば点火手段16又は17を作動(通電発火)して、エアバッグを少量のガスにて緩やかに膨張展開させる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、前記第1の実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
図2に示すように、ガス発生器P2は、前述の第1の実施形態におけるガス発生器P1と異なり、第1フィルタ8が、イニシエータシェル1の底盤部21からクロージャシェル2の天盤部11にわたって設けられており、ガス誘導部材は用いられていない。このため、第2燃焼室4から流出するガスは、まず、円筒材5内に設けられている第2フィルタ6を経た後、仕切り部材39とクロージャシェル2との間の空間40を通り、仕切り部材39に形成されている凹部44を経て、第1フィルタ8を通過する。
ガス発生器P2において、仕切り部材39は、端部が曲折されており、各端部がそれぞれ第1フィルタ8及び円筒材5に接しているため、燃焼ガスのバイパスを防止することができる。
この第2の実施形態のガス発生器P2においても、第2フィルタ6の重量を変更することにより、第1燃焼室7とは独立して設けられた第2燃焼室4から生じたガスの圧力、温度等を調整することができる。
本発明の実施例として、前述のガス発生器P1において、第2フィルタ6の重量を変更したときの展開性能試験結果を行った。この展開性能試験では、重量(質量)が10g(a)と17.5g(b)の2種類の円盤状の第2フィルタ6を使用し、第1燃焼室7のガス発生剤量35g、第2燃焼室4のガス発生剤量11gとして第1燃焼室7と第2燃焼室4を同時に着火させてガスを発生させた場合の、60Lタンク内における圧力と温度を計測した。図3に、2種類の第2フィルタを用いたときのタンク内圧力の経時変化を示す。但し、図3において、aの曲線は第2フィルタ重量が10gの場合の結果を示し、bの曲線は第2フィルタ重量が17.5gの場合の結果を示す。
なお、使用したガス発生器の寸法は、外径が70mm、高さが41mm、円筒材は内径27mm、高さ36.5mm、偏心8.5mm、フィルタ保持部材は内径25.4mmである。ガス発生剤としては、次の組成のものを使用した。
燃料成分:硝酸グアニジン43.5%、
酸化剤成分:硝酸ストロンチウム27%、塩基性硝酸銅23.9%、
その他:バインダ・スラグ形成剤
また、使用した第2フィルタの高さ、直径、密度は次の表のとおりである。
Figure 2005067520
まず、10gの第2フィルタ6を用いた場合には、タンク内の最高圧力が231kPaとなり、タンク内の最高温度は302℃(外気温24℃)となった。一方、17.5gの第2フィルタ6を用いた場合には、タンク内の最高圧力が216kPaとなり、タンク内の最高温度も270℃(外気温27℃)に低下した。即ち、第2フィルタ6の重量を増加させることで、第2燃焼室4生じたガスの減圧及び冷却効果が高まることがわかる。さらに、図3に示すように、第2フィルタ6の重量を増加させると、展開初期におけるタンク内(つまり、エアバッグ内)のガスの圧力の上昇が緩やかになっていることがわかる。
本発明の第1の実施形態に係るガス発生器の断面図である。 第2の実施形態に係るガス発生器の断面図である。 展開性能試験における圧力の経時変化を示す図である。
符号の説明
P1,P2 ガス発生器
3 ハウジング
4 第2燃焼室
5 円筒材
6 第2フィルタ
7 第1燃焼室
8 第1フィルタ
14a,14b ガス発生剤

Claims (8)

  1. 側筒部(12)に複数のガス放出孔(15)を備えた円筒状のハウジング(3)と、前記ハウジング(3)内に形成されガス発生剤(14a,14b)が装填された燃焼室と、前記燃焼室を2室以上の独立した燃焼室(4,7)に区画する有底筒状の円筒材(5)と、独立に前記2室以上に区画された各燃焼室(4,7)に設置され各燃焼室(4,7)で生じたガスが通過するフィルタ手段(6,8)と、前記各燃焼室(4,7)内に突出するように設置され各燃焼室に装填された前記ガス発生剤(14a,14b)を着火させる点火手段(16,17)と、を備え、前記各燃焼室(4,7)で生じたガスは前記複数のガス放出孔(15)を共に通過することでエアバッグにガスを放出するガス発生器であって、
    有底筒状の前記円筒材(5)の底部(30)に孔(31)が設けられ、
    前記孔(31)はシールされ、
    前記フィルタ手段(6)が円盤状で、前記円筒材(5)の内側に配置され、
    前記フィルタ手段(6)の、前記ガスが通過する方向の、厚さが2〜25mmで、嵩密度が2.5〜5g/cm3であり、
    前記円筒材(5)の外側の燃焼室(7)の前記ハウジング(3)の軸方向端面を構成するとともに、前記円筒材(5)の内側の燃焼室(4)で生じたガスの流路を前記ハウジング(3)との間に画成するための仕切り部材(39)を設けたことを特徴とするガス発生器。
  2. 前記フィルタ手段(6)の直径が20〜35mmであることを特徴とする請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記孔(31)を覆うように、複数のオリフィス(33)を有するオリフィス板(32)が設けられ、
    前記オリフィス板(32)に設けられている複数の前記オリフィス(33)は、ラプチャー部材(35)でシールされ、
    支持部材により前記フィルタ手段(6)が前記オリフィス板(32)に接するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス発生器。
  4. 前記円筒材(5)を、前記ハウジング(3)の軸から偏心させて設置することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のガス発生器。
  5. 前記円筒材(5)の内径が20〜35mmであり、高さが30〜36mmであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のガス発生器。
  6. 前記複数のガス放出孔(15)は、孔径が異なっている複数の孔の組合せであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガス発生器。
  7. 前記点火手段(16,17)が、イニシエータシェル(1)の底盤部(21)にそれぞれ独立に保持されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のガス発生器。
  8. 前記フィルタ手段(6,8)の材質がステンレス鋼または軟鋼であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のガス発生器。

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