JP2005067263A - 駐車支援装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両後方周辺を映し出したタッチディスプレイ16の表示画面に道路路面上での目標駐車位置を示す駐車スペース枠Sを表示し、その駐車スペース枠Sの位置操作に従って、車両の駐車すべき目標駐車位置を指定させる。そして、指定された目標駐車位置までの経路に沿って車両が移動するように車両を自動操舵させることにより車両を目標駐車位置へ誘導する駐車アシスト制御を実行する。かかる誘導案内中に速度オーバーや介入操舵等に起因して駐車アシスト制御の解除条件が成立した場合、以後、その誘導案内が行われていた目標駐車位置の絶対位置を、読み出し可能にメモリ20に継続して記憶保持する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駐車支援装置に係り、特に、車両周辺を映し出した実画像上での所定の位置指定表示の位置操作により車両の目標駐車位置を設定し、その目標駐車位置への誘導案内を行う駐車支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両周辺環境を映し出した画像上に、車両の駐車すべき目標駐車位置を運転者に指定させるための目標駐車位置指定表示を表示し、その目標駐車位置指定表示の画像上での位置操作により目標駐車位置を指定するようにした駐車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる駐車支援装置においては、指定された目標駐車位置までの経路が計算により生成されると、その生成された経路に沿って車両が誘導される。また、目標駐車位置指定表示の画像上での位置操作により、指定される目標駐車位置が変更されると、その目標駐車位置までの経路が再計算され、そして、生成された経路に沿って車両が誘導される。従って、上記従来の駐車支援装置によれば、目標駐車位置が再設定された場合、新たな経路に沿って車両を誘導することができる。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−208420公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如く車両の誘導を行う駐車支援装置では、誘導中の安全を確保したり或いは誘導軌跡を確実に生成経路に沿ったものにする等の観点から、誘導中の車速が上限値を上回った場合や運転者の意思による車両転舵が行われた場合など不適切な条件が検出されたとき、車両の誘導を中止することが考えられる。このように車両誘導が中止された際に同時に、その車両が誘導されるべきであったすなわち車両が駐車されるべきであった目標駐車位置の路面上(絶対座標上)の位置の情報が消去されるものとすると、その後、運転者がその目標駐車位置の絶対位置への車両の再誘導を希望する場合には、運転者は、再度、実画像上の目標駐車位置指定表示の位置操作によってその目標駐車位置の指定を最初からやり直すことが必要となる。このため、かかる構成では、車両誘導が中止された後における運転者の目標駐車位置の再設定操作が煩雑となるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、車両の誘導案内中にその誘導案内が解除された後にも、簡易な操作でその目標駐車位置への再誘導を行い得る駐車支援装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載する如く、車両周辺を映し出した実画像上に表示される目標駐車指定表示の位置操作に従って車両の駐車すべき目標駐車位置を設定する目標駐車位置設定手段を備え、前記目標駐車位置設定手段により設定された前記目標駐車位置への誘導案内を行う駐車支援装置であって、
車両の誘導案内中に該誘導案内を解除する解除条件が成立した場合に、以後、該誘導案内が行われていた前記目標駐車位置の絶対位置を記憶保持する記憶保持手段を備える駐車支援装置により達成される。
【0007】
本発明において、車両の誘導案内中にその誘導案内を解除する条件が成立した場合、以後、その誘導案内が行われていた車両の駐車すべき目標駐車位置の絶対位置が記憶保持される。従って、目標駐車位置への誘導案内が解除された後にも、その目標駐車位置の絶対座標上での位置情報を読み出すことができ、簡易な操作でその目標駐車位置への再誘導を行うことができる。
【0008】
この場合、請求項2に記載する如く、請求項1記載の駐車支援装置において、前記記憶保持手段は、少なくとも、前記解除条件が成立した後、前記目標駐車位置設定手段による前記目標駐車位置の再設定が行われるまで前記絶対位置を記憶保持することとすればよい。
【0009】
また、請求項3に記載する如く、請求項1又は2記載の駐車支援装置において、前記記憶保持手段は、前記解除条件が成立することにより該誘導案内が中止された後も前記絶対位置を記憶保持することとすればよい。
【0010】
また、請求項4に記載する如く、請求項1記載の駐車支援装置において、前記目標駐車位置設定手段は、また、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置を前記目標駐車位置として再設定し得ることとすれば、誘導案内が解除された目標駐車位置の絶対位置へ再度車両を誘導することが可能となる。
【0011】
この場合、請求項5に記載する如く、請求項4記載の駐車支援装置において、車両の誘導案内中に該誘導案内を解除する解除条件が成立することにより該誘導案内が中止された状況において、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置までの経路が計算により生成されない場合には表示画面を駐車支援のための初期画面へ遷移させ、一方、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置までの経路が計算により生成される場合には表示画面を前記目標駐車位置の設定のための設定画面へ遷移させる画面制御手段を備えることとすれば、誘導案内が解除された目標駐車位置の絶対位置と同一の絶対位置を目標駐車位置として再設定するうえで車両運転者の操作負担を軽減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施例の車両に搭載される駐車支援装置10のシステム構成図を示す。本実施例の駐車支援装置10は、車庫入れ駐車や縦列駐車等の車両駐車時に、車両運転者により指定された車両を駐車すべき道路路面上の目標駐車位置までの経路に沿って車両が移動するように車両操舵を運転者の操作によらずに自動的に実行する装置である。以下、この装置による目標駐車位置への誘導制御を駐車アシスト制御と称す。
【0013】
図1に示す如く、駐車支援装置10は、駐車アシスト用電子制御ユニット(以下、駐車アシストECUと称す)12を備えており、駐車アシストECU12により制御される。駐車アシストECU12には、バックカメラ14が接続されている。バックカメラ14は、車体後部中央に配設されており、車両後方に所定角範囲で広がる領域を撮影する。バックカメラ14の撮影した車両後方周辺の画像情報は、駐車アシストECU12に供給される。
【0014】
駐車アシストECU12には、また、タッチディスプレイ16が接続されている。タッチディスプレイ16は、車両運転者が視認可能かつ操作可能な位置(例えばインパネ中央)に配設されている。駐車アシストECU12は、例えば車両のシフトポジションが後退位置にある場合に、バックカメラ14による実画像をタッチディスプレイ16に表示させる。タッチディスプレイ16は、駐車アシストECU12の指令に従ってバックカメラ14による車両後方周辺を表示画面に映し出す。また、タッチディスプレイ16は、駐車アシストECU12の指令に従って駐車アシスト制御のための補助線や枠等を、バックカメラ14による実画像上に重畳して表示する。
【0015】
タッチディスプレイ16には、車両運転者による操作が可能な感圧式や温感式等のタッチ操作部が設けられる。タッチ操作部は、階層的な複数のスイッチから構成されており、駐車アシストECU12の指令に従って表示画面上に表示される。駐車アシストECU12は、タッチ操作部への車両運転者のタッチ操作を検知し、かかるタッチ操作部の内容に応じた処理を実行する。尚、タッチ操作部には、駐車アシスト制御として車庫入れ駐車モードを開始するためのスイッチや縦列駐車モードを開始するためのスイッチ,運転者が車両を駐車させる目標駐車位置を指定するための矢印ボタンスイッチ等が含まれる。
【0016】
駐車アシストECU12には、更に、電動パワーステアリング装置(以下、EPSと称す)18が接続されている。EPS18は、車両運転者によるステアリング操作によりステアリングシャフトに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサと、ステアリングシャフトの舵角を検出する舵角センサと、ステアリングシャフトにトルクを付与する電動モータと、を備えている。EPS18は、運転者のステアリング操作時にその操舵トルクをアシストするトルクを電動モータに発生させると共に、後述の如く、駐車アシスト制御に伴う車庫入れ駐車や縦列駐車等の車両駐車時に運転者によるステアリング操作を伴うことなく車両を操舵させるためのトルクを電動モータに発生させる。
【0017】
EPS18は、検出したステアリングシャフトの舵角情報を駐車アシストECU12へ供給する。駐車アシストECU12は、駐車アシスト制御の実行時に、後述の如くステアリングシャフトが実現すべき目標舵角をEPS18へ供給する。EPS18は、駐車アシストECU12からの目標舵角の供給により、駐車アシスト制御のためのトルクを電動モータに発生させる。
【0018】
また、駐車アシストECU12は、データの読み出し・書き込みが可能なメモリ20を内蔵している。メモリ20は、後述の如く運転者による位置設定により設定された目標駐車位置の路面上(絶対座標上)の位置情報、及び、計算により生成されたその目標駐車位置までの経路の経路情報を記憶する。メモリ20に記憶された情報は、通常、シフトポジションが後退位置からパーキング位置,中立位置等へ移行された場合や目標駐車位置に車両が近づいた場合等、駐車アシスト制御が完了した際に消去される。
【0019】
以下、本実施例の駐車支援装置10の動作について説明する。
【0020】
図2は、本実施例の駐車支援装置10による駐車支援が行われる際にタッチディスプレイ16の表示画面に映し出される初期画面を表した図を示す。また、図3(A)は、本実施例の駐車支援装置10において車庫入れ駐車の目標駐車位置が指定される際にタッチディスプレイ16の表示画面に映し出される画像を表した図を、図3(B)は、本実施例の駐車支援装置10において縦列駐車の目標駐車位置が指定される際にタッチディスプレイ16の表示画面に映し出される画像を表した図を、それぞれ示す。
【0021】
本実施例においては、まず、車両のシフトポジションが後退位置へ移行されると、タッチディスプレイ16の表示画面にバックカメラ14による車両後方の周辺状況が映し出される。この際、表示画面上には、図2に示す如く、駐車アシスト制御として車庫入れ駐車モードを開始するためのスイッチM1、及び、縦列駐車モードを開始するためのスイッチM2が現れる(初期画面)。
【0022】
かかる状態で車庫入れ駐車モードスイッチがタッチ操作されると、タッチディスプレイ16の表示画面には、バックカメラ14による車両後方周辺が映し出された状態で、図3(A)に示す如く、道路路面上において車両が車庫入れ駐車されるべき目標駐車位置を示す枠(以下、駐車スペース枠と称す)S、及び、その道路路面上の目標駐車位置を移動・回転させるための矢印ボタンスイッチCが重畳表示される(設定画面)。
【0023】
この際、矢印ボタンスイッチCとしては、目標駐車位置を道路路面上において自車両に対して遠方へ移動させる上向きスイッチ、近方へ移動させる下向きスイッチ、左方へ移動させる左向きスイッチ、右方へ移動させる右向きスイッチ、反時計回り方向へ回転させる反時計向きスイッチ、及び時計回り方向へ回転させる時計向きスイッチが現れる。かかる構成において、目標駐車位置は、任意に四方へ移動可能であると共に、中心を軸にして自在に回転可能である。
【0024】
また、タッチディスプレイ16の表示画面で縦列駐車モードスイッチがタッチ操作されると、その表示画面には、バックカメラ14による車両後方周辺が映し出された状態で、図3(B)に示す如く、道路路面上において車両が縦列駐車されるべき目標駐車位置を示す駐車スペース枠S、及び、その道路路面上の目標駐車位置を移動させるための矢印ボタンスイッチCが重畳表示される(設定画面)。
【0025】
この際、矢印ボタンスイッチCとしては、上記した上向きスイッチ、下向きスイッチ、左向きスイッチ、及び右向きスイッチは現れる一方、反時計向きスイッチ及び時計向きスイッチは現れない。かかる構成において、目標駐車位置は、任意に四方へ移動可能である一方、中心を軸にして回転することはなく、車両に対して前後方向および車幅方向に移動するだけである。
【0026】
ここで、駐車スペース枠Sは、実道路路面上の目標駐車位置に対応するものであって、実道路路面上に投影されるものとすれば車両の車体寸法にほぼ一致した大きさを有する長方形の形状を有するが、タッチディスプレイ16の表示画面上ではその表示画面に映し出されているバックカメラ14による車両後方画像上(カメラ座標上)における位置に対応した形状に形成される。また、矢印ボタンスイッチCが運転者によりタッチ操作されると、そのタッチごとに、目標駐車位置が実道路路面上においてXcm(例えば5cm)移動し或いはY°(例えば1°)回転し、タッチディスプレイ16の表示画面上で駐車スペース枠Sが変位する。尚、この際、目標駐車位置が車両に対して近い位置に存在するほど、バックカメラ14による車両後方画像における遠近の関係からタッチディスプレイ16の表示画面上での駐車スペース枠Sの移動量は大きくなる。
【0027】
タッチディスプレイ16の表示画面に駐車スペース枠S及び矢印ボタンスイッチCが表示されると、以後、所定時間(例えば2ms)ごとに、その時点での車両の現在位置を初期位置としてその初期位置からその駐車スペース枠Sの操作位置に従った目標駐車位置までの経路の計算が行われる。
【0028】
また、車庫入れ駐車モードスイッチ又は縦列駐車モードスイッチがタッチ操作されると、駐車スペース枠S及び矢印ボタンスイッチCと共に、図3(A)及び(B)に示す如く、駐車スペース枠Sによる目標駐車位置の設定を確定するための確定ボタンスイッチKが重畳表示される。目標駐車位置までの経路が計算により生成された状態で確定ボタンスイッチKがタッチ操作されると、目標駐車位置の指定が確定され、以後、駐車アシスト制御により自動操舵の実行が許可される。
【0029】
図4は、車庫入れ駐車時における目標駐車位置までの経路を表した図を示す。車庫入れ駐車モードにおいて、目標駐車位置までの経路の計算は、自車両の最小旋回半径および自車両の現在位置とその目標駐車位置との相対位置関係から定まる所定の幾何学的な位置条件を満たす場合に、経路として順に▲1▼所定距離の直進後退区間、▲2▼舵角の切り増し区間、▲3▼舵角の固定区間、▲4▼舵角の切り戻し区間、及び▲5▼所定距離の直進後退区間の各区間が適切に形成されるように上記の相対位置関係に基づいて行われる。
【0030】
また、図5は、縦列駐車時における目標駐車位置までの経路を表した図を示す。縦列駐車モードにおいて、目標駐車位置までの経路の計算は、自車両の最小旋回半径、及び、自車両の現在位置とその目標駐車位置との相対位置関係から定まる所定の幾何学的な位置条件を満たす場合に、経路として2円が接する状態が適切に形成されるように上記の相対位置関係に基づいて行われる。
【0031】
車庫入れ駐車モードおよび縦列駐車モードにおいて目標駐車位置までの経路が計算され、その経路が生成されると、その目標駐車位置情報および経路情報がメモリ20に記憶されると共に、タッチディスプレイ16の表示画面において、駐車アシスト制御の実行が可能であることを示すべく、駐車スペース枠S内が例えば緑色等に彩色される。目標駐車位置までの経路が計算により生成され、駐車スペース枠S内が緑色に彩色された状態でタッチディスプレイ16上の確定ボタンスイッチKがタッチ操作されると、タッチディスプレイ16上の矢印ボタンスイッチCおよび確定ボタンスイッチKが非表示となる。
【0032】
一方、車両と目標駐車位置との相対位置が所定の関係を満たさないこと等に起因して目標駐車位置までの経路が計算により生成されない場合には、駐車アシスト制御の実行が不可能であることを示すべく、駐車スペース枠S内が例えば赤色等に彩色されると共に、目標駐車位置の変更を促すべく、矢印ボタンスイッチCおよび確定ボタンスイッチKの表示が継続される。
【0033】
目標駐車位置までの経路が生成されかつタッチディスプレイ16上の確定ボタンスイッチKのタッチ操作により目標駐車位置の指定が完了した状態で、運転者がブレーキ操作を解除することによりクリープ現象等によって車両が後退移動し始めると、以後、車両を目標駐車位置へ誘導するための駐車アシスト制御が実行される。具体的には、後退開始後の路面に対する車両の移動量が計算され、この計算された移動量とEPS18からの舵角情報とに基づいて、生成された目標駐車位置までの経路に対する車両の位置が計算され、そして、生成された経路に沿って車両を移動させるための目標舵角が算出される。算出された目標舵角は、EPS18へ供給される。EPS18は、駐車アシストECU12からの目標舵角に基づいて、車両を生成経路に沿って移動させるべく電動モータにステアリングシャフトを回転させるためのトルクを発生させる。
【0034】
このように本実施例の構成によれば、車庫入れ駐車時および縦列駐車時に、車両運転者の操作により設定された目標駐車位置までの経路に沿って車両を自動操舵させる駐車アシスト制御を実行することができる。かかる駐車アシスト制御が実行されれば、運転者がステアリング操作を行うことは不要である。このため、本実施例の駐車支援装置10によれば、車庫入れ駐車時および縦列駐車時に、運転者のステアリング操作の負担軽減を図ることができる。
【0035】
図6は、本実施例の駐車支援装置10において目標駐車位置までの経路に沿った車両の移動時にタッチディスプレイ16の表示画面に映し出される画像を表した図を示す。尚、図6には、車庫入れ駐車モード時における状況が映し出された際の画像が示されているが、縦列駐車モード時においても同様の画像が示される。
【0036】
目標駐車位置までの経路が生成されかつ目標駐車位置の指定が完了した状態で車両が後退移動し始めると、上記の如く車両の移動量計算が行われると共に、タッチディスプレイ16の表示画面に図6に示す如き中止ボタンスイッチA及び変更ボタンスイッチBが表示される。中止ボタンスイッチAは、目標駐車位置へ向けての駐車アシスト制御を中止させるためのスイッチである。また、変更ボタンスイッチBは、車両の目標駐車位置をその押下時点で指定されているものから他の位置へ変更する、すなわち、目標駐車位置の再設定を実現させるためのスイッチである。尚、変更ボタンスイッチBは、車両が停止状態にある場合にのみ有効に機能するのが望ましい。
【0037】
上記の変更ボタンスイッチBがタッチ操作されない場合は、その時点でメモリ20に記憶されている経路情報および目標駐車位置情報に従った駐車アシスト制御が実行される。一方、変更ボタンスイッチBがタッチ操作されると、再び、タッチディスプレイ16の表示画面には、図3に示す如き設定画面が現れ、矢印ボタンスイッチC、彩色の施されていない駐車スペース枠S、及び確定ボタンスイッチKが重畳表示される。かかる状態が実現されると、以後、再び、所定時間ごとに、その際の車両の現在位置を初期位置としてその初期位置からその駐車スペース枠Sの操作位置に従った目標駐車位置までの経路の計算が行われる。
【0038】
再設定時における目標駐車位置までの経路の計算は、初期設定時における経路計算における条件と異なる条件を満たす場合に、その再設定時における舵角および現在位置と目標駐車位置との相対位置関係に基づいて行われる。そして、上記した初期設定時と同様に経路生成の有無に応じた処理が行われる。以後、変更ボタンスイッチBがタッチされるごとに、同様の処理が実行される。
【0039】
また、中止ボタンスイッチAがタッチ操作されると、その時点で指定されている目標駐車位置へ向けての駐車アシスト制御が中止され、車両の誘導案内が中止される。更に、車両の誘導案内が開始され駐車アシスト制御が行われている最中に、車両の速度が所定の速度を上回った場合や運転者がステアリングを操作して介入操舵が行われた場合,パーキングブレーキが操作された場合等の何らかの駐車アシスト制御に対する外乱が生じた場合にも、誘導中の安全を確保しまた誘導軌跡を確実に生成経路に沿ったものにすべく、その駐車アシスト制御が中止され、車両の誘導案内が中止される。
【0040】
ここで、駐車アシスト制御による車両の誘導案内が中止された場合に、その駐車アシスト制御により車両が駐車されるべきであった目標駐車位置の情報がメモリ20から消去されるものとすると、その後、運転者がその目標駐車位置への車両の再誘導を希望する場合には、運転者は、再度、タッチディスプレイ16の実画像上で駐車スペース枠Sの位置操作によってその駐車スペース枠Sを変位させ所望の目標駐車位置に相当する位置に合わせることにより、目標駐車位置の指定を最初からやり直すことが必要となる。このため、かかる構成では、車両誘導が中止された後における運転者の目標駐車位置の再設定操作が煩雑となってしまう。そこで、本実施例のシステムにおいては、かかる不都合を回避する点に特徴を有している。
【0041】
図7は、本実施例の駐車支援装置10の特徴的な動作を説明するための図を示す。尚、図7には、車庫入れ駐車モード時における状況が示されている。本実施例の駐車支援装置10においては、初期位置(図7に▲1▼に示す状態)から指定された目標駐車位置までの経路(図7に実線で示す)に沿った車両の誘導案内が行われている過程でその駐車アシスト制御による車両の誘導案内が中止される上記した解除条件が成立する(図7に▲2▼に示す状態)と、実際にその誘導案内が中止される一方、その後も、その駐車アシスト制御により駐車されるべきであった道路路面に対する絶対位置である目標駐車位置の位置情報のメモリ20への記憶保持が継続される。
【0042】
また、上記した解除条件が成立した以後、車両の道路路面上の位置と、メモリ20への記憶保持が継続される目標駐車位置との位置関係に基づいて、その目標駐車位置までの経路の計算が行われる。そして、その経路が生成されない場合は、タッチディスプレイ16の表示画面に、図2に示す如き車庫入れモードのためのスイッチM1と縦列駐車モードのためのスイッチM2が現れる初期画面が表示される。この場合は、上述の如く目標駐車位置の初回指定時と同様の処理を運転者が行うことにより、その再設定された目標駐車位置への誘導案内を行う駐車アシスト制御が実行される。
【0043】
一方、計算により経路が生成される場合(図7にその経路を点線で示す)は、タッチディスプレイ16の表示画面に、図2に示す如き初期画面ではなく、自動的に、図3に示す如き駐車スペース枠S、矢印ボタンスイッチC、及び確定ボタンスイッチKが現れる車庫入れ駐車又は縦列駐車のための設定画面が表示される。この際、表示画面上において、駐車スペース枠Sが最初に現れる位置は、誘導案内が中止されメモリ20への記憶保持が継続される目標駐車位置の道路路面上の位置(絶対位置)に正確に対応する位置となる。そして、その後、目標駐車位置が必要に応じて駐車スペース枠Sの位置操作によって移動され、確定ボタンスイッチKがタッチ操作されると、以後、その再設定された目標駐車位置への誘導案内を行う駐車アシスト制御が実行される。
【0044】
かかる構成によれば、駐車アシスト制御による車両の誘導案内中に速度オーバーや介入操舵等に起因してその誘導案内が中止・解除された後にも、その目標駐車位置の道路路面上の絶対位置情報をメモリ20から読み出すことができ、そして、その読み出した目標駐車位置までの経路が計算により生成され見つかる場合には、運転者が初期画面から一々目標駐車位置の位置指定を行うことなく、簡易な操作で、一旦誘導案内が中止された目標駐車位置と全く同一の目標駐車位置の再設定を行うことができる。従って、本実施例の駐車支援装置10によれば、駐車アシスト制御による車両の誘導案内中にその誘導案内が中止・解除された後にも、簡易な操作で、その一旦誘導案内が中止された目標駐車位置と全く一致した絶対位置への車両の再誘導を駐車アシスト制御の実行により実現することができる。
【0045】
尚、メモリ20に格納された目標駐車位置の位置情報は、設定画面において確定ボタンスイッチKがタッチ操作された際すなわち目標駐車位置の再設定が確定した際に消去されることとすればよく、その時点までは継続して記憶保持されることとすればよい。また、この位置情報の消去は、確定ボタンスイッチKのタッチ操作が行われた時点に限らず、その後所定の操作が行われた際に、或いは、その前、タッチディスプレイ16の表示画面上でその目標駐車位置を示す駐車スペース枠Sが映し出された後に所定の消去操作が行われた際に行うこととしてもよい。
【0046】
また、上記の構成において、駐車アシスト制御による誘導案内が中止・解除された後、その目標駐車位置までの経路が計算により生成され見つかる場合は、タッチディスプレイ16の表示画面は、図2に示す如き初期画面ではなく、図3に示す如き設定画面へ遷移する。図3に示す如き設定画面は、通常は図2に示す如き初期画面で運転者による所定の操作が行われた場合にのみ現れるが、上記の構成によれば、図2に示す如き初期画面を経由することなく現れることとなる。従って、本実施例の駐車支援装置10によれば、運転者が目標駐車位置の再設定を行ううえで、車両運転者の操作負担の軽減が図られている。
【0047】
特に、遷移した設定画面における駐車スペース枠Sは、当初、誘導案内が中止された目標駐車位置に対応した位置に現れる。この場合にはかかる設定画面で駐車スペース枠Sを変位させることなく確定ボタンスイッチKをタッチ操作すれば、誘導案内が中止された目標駐車位置と全く一致した絶対位置への車両の再誘導が可能である。従って、運転者が誘導案内の解除された目標駐車位置と全く同一の絶対位置を目標駐車位置として再設定するのをタッチ操作一つで容易に実現することでき、これにより、かかる再設定についての車両運転者の操作負担の軽減が図られている。
【0048】
図8は、上記の機能を実現すべく、本実施例において駐車アシストECU12が実行する制御ルーチンの一例のフローチャートを示す。図8に示すルーチンは、その処理が終了するごとに繰り返し起動される。図8に示すルーチンが起動されると、まずステップ100の処理が実行される。
【0049】
ステップ100では、指定された目標駐車位置までの経路に沿った車両の誘導案内を行う駐車アシスト制御が現に実行されているか否かが判別される。本ステップ100の処理は、肯定判定がなされるまで繰り返し実行される。その結果、駐車アシスト制御が実行中であると判別された場合は、次にステップ102の処理が実行される。
【0050】
ステップ102では、速度オーバーや介入操舵等の駐車アシスト制御を中止すべき解除条件が成立するか否かが判別される。ここでは、駐車アシスト制御実行中の運転者の意図によらない不足の解除条件の成立の有無を判別している。その結果、否定判定がなされた場合は、再びステップ100の処理が実行される。一方、肯定判定がなされ、解除条件が成立すると判別された場合には、次にステップ104の処理が実行される。
【0051】
ステップ104では、駐車アシスト制御による車両の誘導案内を中止して車両の自動操舵を中止する一方、かかる中止がなされた後も、駐車アシスト制御により車両が誘導され駐車されるべきであった目標駐車位置の絶対位置の情報をメモリ20に継続して記憶保持する処理が実行される。
【0052】
ステップ106では、車両の道路路面上の位置と、メモリ20に継続して記憶保持される目標駐車位置の絶対位置との位置関係に基づいて、その目標駐車位置までの経路が計算により生成されるか否かが判別される。その結果、経路が生成されないと判別された場合は、次にステップ108の処理が実行される。一方、経路が生成されると判別された場合は、次にステップ110の処理が実行される。
【0053】
ステップ108では、タッチディスプレイ16の表示画面に、図2に示す如き車庫入れモードのためのスイッチM1と縦列駐車モードのためのスイッチM2が現れる初期画面を表示する処理が実行される。本ステップ108の処理が実行されると、以後、目標駐車位置の初回指定時と同様の処理により再設定された目標駐車位置への誘導案内を行うことが可能となる。本ステップ108の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0054】
ステップ110では、タッチディスプレイ16の表示画面に、図3に示す如き駐車スペース枠S、矢印ボタンスイッチC、及び確定ボタンスイッチKが現れる車庫入れ駐車又は縦列駐車のための設定画面を表示する処理が実行される。本ステップ110の処理が実行されると、以後、車両の誘導案内が中止された目標駐車位置と全く同一の絶対位置を目標駐車位置として車両の誘導案内を行うことが可能となる。本ステップ110の処理が終了すると、今回のルーチンは終了される。
【0055】
上記図8に示すルーチンによれば、駐車アシスト制御による車両の誘導案内中に速度オーバーや介入操舵等に起因してその誘導案内が中止・解除された場合にも、以後、その誘導されるべきであった目標駐車位置の道路路面上での絶対位置をメモリ20に継続して記憶保持することができる。従って、車両の誘導案内が中止・解除された後にも、メモリ20からその目標駐車位置の絶対位置情報を読み出して目標駐車位置として再設定することができるので、簡易な操作で、一旦誘導案内が中止された目標駐車位置と全く一致した絶対位置への車両の再誘導を実現することが可能となっている。
【0056】
また、上記図8に示すルーチンによれば、車両の誘導案内が中止・解除された後、車両の道路路面上の位置から、メモリ20に記憶保持されている当初誘導されるべきであった目標駐車位置までの経路が計算により生成される場合には、タッチディスプレイ16の表示画面を初期画面を飛ばして設定画面へ遷移させることができる。従って、運転者が目標駐車位置の再設定を行ううえで、運転者の操作負担の軽減を図ることが可能となっている。
【0057】
更に、上述の如く、遷移した設定画面における駐車スペース枠Sは、当初、誘導案内が中止された目標駐車位置に対応した位置に現れる。この場合には、誘導案内の解除された目標駐車位置と全く同一の絶対位置の目標駐車位置としての再設定をタッチ操作一つで容易に実現することができるので、目標駐車位置の再設定を行う車両運転者の操作負担の軽減を図ることが可能となっている。
【0058】
ところで、上記の実施例においては、駐車スペース枠Sが特許請求の範囲に記載した「目標駐車位置指定表示」に、メモリ20が特許請求の範囲に記載した「記憶保持手段」に、それぞれ相当していると共に、駐車アシストECU12が、実道路路面上での車両の目標駐車位置を設定することにより特許請求の範囲に記載した「目標駐車位置設定手段」が、図8に示すルーチン中ステップ108,110の処理を実行することにより特許請求の範囲に記載した「画面制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0059】
尚、上記の実施例においては、目標駐車位置までの経路に沿って車両を移動させる駐車アシスト制御としてEPS18の電動モータを用いた自動操舵のみを行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両の駆動および停止も運転者の操作によらずに自動に行うこととしてもよく、更に、音声案内やタッチディスプレイ16の表示画面上での補助線の表示により、運転者の操作をアシストするものでもよい。
【0060】
また、上記の実施例においては、駐車アシスト制御の解除条件が成立した以後、車両の道路路面上の位置と、メモリ20への記憶保持が継続される目標駐車位置との位置関係に基づいて、その目標駐車位置までの経路の計算が行われるが、かかる経路計算を車両が停止する状況においてのみ行うこととしてもよい。
【0061】
更に、上記の実施例においては、駐車アシスト制御の解除条件が成立することにより車両の誘導案内が中止・解除された後、タッチディスプレイ16の表示画面を、その目標駐車位置の絶対位置までの経路が計算により生成されない場合には図2に示す如き初期画面へ遷移させ、一方、かかる経路が計算により生成される場合には図3に示す如き設定画面へ遷移させることとしているが、経路が生成されない場合には階層的な画面のうち比較的上層の画面へ遷移させ、一方、経路が生成される場合には階層的な画面のうち上記した上層の画面を経由しないと現れない目標駐車位置の指定を行い得る下層の画面へ遷移させることとすればよい。
【0062】
【発明の効果】
上述の如く、請求項1乃至3記載の発明によれば、目標駐車位置へ誘導案内が解除された後にも、その目標駐車位置の絶対座標上での位置情報を記憶保持手段から読み出すことで、簡易な操作でその目標駐車位置への再誘導を行うことができる。
【0063】
請求項4記載の発明によれば、誘導案内が解除された目標駐車位置の絶対位置へ再度車両を誘導することができる。
【0064】
また、請求項5記載の発明によれば、誘導案内が解除された目標駐車位置の絶対位置と同一の絶対位置を目標駐車位置として再設定するうえで車両運転者の操作負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の車両に搭載される駐車支援装置のシステム構成図である。
【図2】本実施例の駐車支援装置による駐車支援が行われる際に表示画面に映し出される初期画面を表した図である。
【図3】本実施例の駐車支援装置において目標駐車位置が指定される際に表示画面に映し出される画像を表した図である。
【図4】車庫入れ駐車時における目標駐車位置までの経路を表した図である。
【図5】縦列駐車時における目標駐車位置までの経路を表した図である。
【図6】本実施例の駐車支援装置において目標駐車位置までの経路に沿った車両の移動時に表示画面に映し出される画像を表した図である。
【図7】本実施例の駐車支援装置の特徴的な動作を説明するための図である。
【図8】本実施例の駐車支援装置において実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 駐車支援装置
12 駐車アシスト用電子制御ユニット(駐車アシストECU)
14 バックカメラ
16 タッチディスプレイ
18 電動パワーステアリング装置(EPS)
20 メモリ
S 駐車スペース枠
Claims (5)
- 車両周辺を映し出した実画像上に表示される目標駐車位置指定表示の位置操作に従って車両の駐車すべき目標駐車位置を設定する目標駐車位置設定手段を備え、前記目標駐車位置設定手段により設定された前記目標駐車位置への誘導案内を行う駐車支援装置であって、
車両の誘導案内中に該誘導案内を解除する解除条件が成立した場合に、以後、該誘導案内が行われていた前記目標駐車位置の絶対位置を記憶保持する記憶保持手段を備えることを特徴とする駐車支援装置。 - 前記記憶保持手段は、少なくとも、前記解除条件が成立した後、前記目標駐車位置設定手段による前記目標駐車位置の再設定が行われるまで前記絶対位置を記憶保持することを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
- 前記記憶保持手段は、前記解除条件が成立することにより該誘導案内が中止された後も前記絶対位置を記憶保持することを特徴とする請求項1又は2記載の駐車支援装置。
- 前記目標駐車位置設定手段は、また、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置を前記目標駐車位置として再設定し得ることを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
- 車両の誘導案内中に該誘導案内を解除する解除条件が成立することにより該誘導案内が中止された状況において、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置までの経路が計算により生成されない場合には表示画面を駐車支援のための初期画面へ遷移させ、一方、前記記憶保持手段に記憶保持された前記絶対位置までの経路が計算により生成される場合には表示画面を前記目標駐車位置の設定のための設定画面へ遷移させる画面制御手段を備えることを特徴とする請求項4記載の駐車支援装置。
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