JP2005066656A - チタンを含有する金属製部材の製造方法 - Google Patents

チタンを含有する金属製部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 チタンあるいはチタン合金からなる金属製部材を熱間鍛造により製造する方法において、鍛造型とチタンとの直接的な接触を防ぐとともに、鍛造用素材の表層部が酸化することに起因した種々の不具合を解消する。
【解決手段】 表面の少なくとも一部を鉄あるいは鉄合金により被覆されたチタンあるいはチタン合金からなる鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して鍛造する工程と、を備えるチタンを含有する金属製部材の製造方法である。また、中心側にチタンあるいはチタン合金が配置されるとともに、表層側にクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金が配置されている2層構造を有する鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して押出鍛造により軸部を形成した後、その軸部の一端に据え込み鍛造により傘部を形成する工程と、を備えるエンジンバルブの製造方法である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、チタンあるいはチタン合金からなる金属製部材を鍛造により製造する技術に関する。
従来、チタンもしくはチタン合金からなる金属製部材、例えば、軸部と傘部とが一体に形成されたチタン合金製のエンジンバルブを熱間鍛造により製造する技術として、[特許文献1]に開示された技術が知られている。
このような熱間鍛造によるエンジンバルブの製造方法では、チタンもしくはチタン合金からなる鍛造用素材(ビレット)を鍛造温度まで加熱してから、この鍛造用素材をダイや鍛造型により拘束した状態でパンチ等で荷重を加える。これにより、押出成形により軸部を鍛造することができ、据え込み鍛造により傘部を鍛造することができる。
しかしながら、例えばチタンは高温では非常に反応性が高い活性金属であるため、高温に加熱されると、雰囲気中の酸素と化合して表層部が酸化してしまう場合がある。また、高温に加熱されたチタンは鍛造型と反応することでその表層部に焼き付き等が生じてしまう場合がある。さらに、1000℃以上の高温に加熱されたチタン合金製の鍛造用素材は、表層部が酸化してしまうと、その表層部の硬度が高くなり、表層部の変形が内部の変形に追従できずにひび割れ等が生じてしまう場合がある。そのため、鍛造用素材の表面にひび割れ等を取り除くための削り代等を設定しておく必要があり、その削り代の分だけ余計に材料費がかさむのでコスト高であるという問題があった。熱間鍛造を無酸化雰囲気中で行うことも考えられるが、無酸化雰囲気を作り出すための装置が大がかりなものとなるため、現実的な対策であるとはいえなかった。
特開2000−135543号公報
本願発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、チタンあるいはチタン合金からなる金属製部材を熱間鍛造により製造する方法において、鍛造型とチタンあるいはチタン合金との直接的な接触を防ぐとともに、鍛造用素材の表層部が酸化することに起因した種々の不具合を解消することを目的とする。
前記課題を解決するために、特許請求の範囲の各請求項に記載した発明が構成される。
本願の第1の発明は、表面の少なくとも一部を鉄あるいは鉄合金により被覆されたチタンあるいはチタン合金からなる鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して鍛造する工程と、を備えるチタンを含有する金属製部材の製造方法である。
したがって、鍛造用素材の表面の少なくとも一部が鉄あるいは鉄合金により被覆されているので、活性金属であるチタンあるいはチタン合金の表面と雰囲気中の酸素との直接的な接触が防止される。また、活性金属であるチタンあるいはチタン合金の表面と鍛造型の内面との直接的な接触が防止される。これにより、鍛造用素材の表層部が酸化して鍛造時にひび割れ等が発生することが防止される。
本願の第2の発明は、前記第1の発明において、鍛造用素材に被覆されているのは鉄と防錆性金属元素との鉄合金である、チタンを含有する金属製部材の製造方法である。ここで、「防錆性金属元素」とあるのは、鉄に添加されて鉄合金となることにより防錆性(防食性)を向上させ得る金属元素のことである。例えば、クロム、ニッケル、モリブデン等の遷移金属元素がこれに該当する。防錆性元素は、鉄に対して1種あるいは2種以上添加されてもよい。
したがって、鍛造用素材の表面の少なくとも一部が防錆性の高い鉄合金により被覆されているので、加熱された鍛造用素材の表層部が酸化してひび割れ等が発生することがより確実に防止される。
本願の第3の発明は、前記第1または第2の発明において、鍛造用素材に被覆されているのはクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金である、チタンを含有する金属製部材の製造方法である。クロム質量比で5%以上含有する鉄合金は防錆性(防食性)が顕著に高くなるので、鍛造用素材の表層部が酸化してひび割れ等が発生することがより確実に防止される。
本願の第4の発明は、軸部及び傘部が一体に形成されているエンジンバルブの製造方法であって、中心側にチタンあるいはチタン合金が配置されるとともに、表層側にクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金が配置されている2層構造を有する鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して押出鍛造により軸部を形成した後、その軸部の一端に据え込み鍛造により傘部を形成する工程と、を備えるエンジンバルブの製造方法である。
これにより、鍛造用素材の表層部が酸化して鍛造時にひび割れ等が発生しないので、表層部に研磨代等を少なく設定することができるので、表面が滑らかで精密に形成されたエンジンバルブをより少ない材料で低コストに製造することができる。
本発明によれば、チタンあるいはチタン合金からなる金属製部材を熱間鍛造により製造する方法において、鍛造型とチタンあるいはチタン合金との直接的な接触を防ぐことができるとともに、鍛造用素材の表層部が酸化することに起因した種々の不具合を解消することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本実施の形態におけるチタンを含有する金属製部材の製造方法は、表面の少なくとも一部を鉄あるいは鉄合金により被覆されたチタンあるいはチタン合金からなる鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して鍛造する工程と、を備えている。これらの工程について以下詳細に説明する。
まず、鍛造用素材(ビレット)を準備する工程について説明する。
本実施の形態における鍛造用素材は、チタンあるいはチタン合金の表面の少なくとも一部に、鉄あるいは鉄合金が被覆されたものである。
ここでいう「チタンあるいはチタン合金」とは、チタンの単体金属であってもよく、チタンと他の金属元素との合金であってもよいことを示す趣旨である。チタン合金としては、例えば、Ti-6Al-4V、Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo、Ti-3Al-2.5V、Ti-6Al-4Sn-4Zr、Ti-6Al-2Fe、Ti-6Al-2Sn-4Zr-6Moなどを用いることができる。その他にも、チタンと他の1種以上の金属との合金であれば、本発明を適用し得る。また、チタンやチタン合金の耐摩耗性や曲げ強度等を高めるために、これらのチタン素材にTiB2(硼化チタン)やTIC(炭化チタン)、WC(炭化タングステン)などの硬質粒子を分散させた複合材料を用いることもできる。チタンあるいはチタン合金に分散させる硬質粒子としては、硼化物、炭化物、窒化物等からなる他の硬質粒子や、珪素を含有するセラミックス製硬質粒子等を用いることもできる。
また、ここでいう「鉄あるいは鉄合金」とは、鉄の単体金属であってもよく、鉄と他の金属元素との合金であってもよいことを示す趣旨である。例えば、クロム、ニッケル、モリブデン等の防錆性を向上させ得る遷移金属元素と鉄との合金を用いることができる。このような鉄合金としては、特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼(SUS)、耐熱鋼(SUH)等を用いることができる。鉄合金は、表面に酸化物の不動態皮膜が生じることで高温での酸化を抑制できるものが好ましく、クロム含有量が質量比で5%以上の鉄合金であることが好ましい。特に好ましくは、クロムが質量比で12%以上含有されたステンレス鋼である。さらに、鉄あるいは鉄合金に炭素が添加された炭素鋼を用いることもできる。
チタンあるいはチタン合金(以下、単に「チタン合金」と称する場合がある)の表面に、鉄あるいは鉄合金(以下、単に「鉄合金」と称する場合がある)を被覆する方法について説明する。
本実施の形態では、チタン合金の表面に鉄合金を被覆する方法として、焼結法、溶射法、及び圧延法(クラッド法)を用いる。以下、これらの各方法について説明する。
〔焼結法について〕
焼結法を用いる場合には、成形型内にチタン合金製の原料粉末、あるいは、チタン合金と硬質粒子とを所定の比率にて混合した原料粉末を供給し、この原料粉末を圧縮することで所定の形状に予備成形する。次に、この成形体の表面が、クロムを質量比で5%以上含有する鉄合金の粉末によって覆われるようにして成形型内にて圧縮し、表層部が鉄合金の粉末、内側部がチタン合金の粉末によって構成された2層構造を有する成形体を準備する。そして、この2層構造の成形体を焼結炉内にて加熱することにより、チタン合金の表面に鉄合金が被覆された鍛造用素材を焼結によって成形することができる。なお、チタン合金の予備成形の方法としては、上記のような粉末同士のプレス成形ではなく、溶融させたチタン合金を鋳型によって成形する手法を用いてもよい。また、焼結の方法としては、HIP(熱間静水圧プレス)等の手法により成形と同時に焼結を行うようにしてもよい。
〔溶射法について〕
図1は、溶射法の一例を示す模式図である。
溶射法を用いる場合には、図1に示すように、チタン合金製の基材12を準備し、プラズマ溶射装置10によってその基材12の表面に鉄合金の粉末を溶射して堆積させる。なお、図1(a)は、溶射によって鉄合金を堆積させる前の状態を示している。図1(b)は、溶射によって鉄合金を堆積させた後の状態を示している。
図1(a),(b)に示すように、プラズマ溶射装置10は、基材12との間に発生させたプラズマアーク中に原料粉末を噴射することでその原料粉末を溶射する装置である。プラズマ溶射装置10は、このプラズマ溶射装置10を基材12の軸方向に沿って移動させることのできる図示しない可動受台に設置されている。基材12の表面に鉄合金の粉末を溶射する場合には、基材12を軸周りに自転させながらプラズマ溶射装置10をその基材12の軸方向に移動させる。これにより、基材12の表面に対して鉄合金14をほぼ均一の厚みに堆積させることができる。なお、鉄合金の粉末を溶射するのに先立って、基材12の表面をブラスト処理等によって予め粗面としておき、基材12の表面に対する鉄合金14の密着強度を高めるようにしてもよい。プラズマ溶射装置10の熱源としては、移行性プラズマアーク(PTA法と呼ばれることがある)を用いてもよいし、非移行性プラズマアーク(プラズマ溶射法と呼ばれることがある)を用いてもよい。また、プラズマを熱源とした溶射装置に限らず、熱集中度の高いものとして、例えばレーザを熱源とした溶射装置や、アークを熱源とした溶射装置なども用いることができる。
基材12の表面に鉄合金の粉末を堆積させることによって、チタン合金の表面に鉄合金が被覆された鍛造用素材を得ることができる。
〔圧延法(クラッド法)について〕
圧延法(クラッド法)を用いる場合には、好ましくはクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金製のパイプの中に、チタン合金の粉末、あるいは、粉末プレスや溶融法により所定形状に成形されたチタン合金を配置する。そして、この鉄合金製のパイプとチタン合金とを加熱してから回転ロール間で同時に押しつぶし、必要に応じて所定の長さに切断することにより、表面に鉄合金、内部にチタン合金が配置された多層構造を有する鍛造用素材を得ることができる。なお、鉄合金製のパイプとしては、例えばJIS規格等でクロムの含有量が保証された規格品の鋼管材料を用いることができる。
チタン合金の表面に鉄合金を被覆する方法としては、熱間鍛造時における鍛造型との接触によって鉄合金が剥離しない程度の強度を確保できるのであれば、上述した以外の他の手法が用いられてもよい。
次に、鍛造用素材を加熱して鍛造する工程について説明する。
鍛造用素材を加熱して鍛造する工程では、まず、鍛造用素材を加熱することで軟化させる。当該加熱温度は、チタン合金及び鉄合金の良好な成形性を得るために、950℃〜1250℃であることが好ましい。次に、加熱した鍛造用素材を鍛造型にセットしてパンチ等により荷重を加える。当該鍛造工程では、型鍛造、自由鍛造、押出鍛造、据え込み鍛造などの各種方法を用いることができる。例えば、チタン合金製のエンジンバルブを製造する際には、押出鍛造により軸部を形成した後に、据え込み鍛造により傘部を形成することができる。いずれの場合でも、チタン合金の表面が鉄合金によって被覆されているので、チタン合金と鍛造型との直接的な接触が防止される。
鍛造用素材を所定形状に鍛造した後は、表面に被覆されている鉄合金に対して、窒化処理、炭化処理等の硬化処理を施すこともできる。また、製品の表面形状をより精密に整えるために、研磨加工、切削加工等を施してもよい。
以上説明したように、本発明によれば、チタン合金の表面に鉄合金が被覆されているので、鍛造用素材がチタン合金だけで形成される場合と比較して、鍛造用素材の表層部が酸化することが防止される。これにより、鍛造用素材の表層部が酸化して硬化することにより、まだ加熱されて柔らかい状態の内部の変形に追従できずにひび割れ等が発生することが防止される。
また、本発明によれば、加熱された鍛造用素材が鍛造型の内面に接触し、その鍛造用素材の表層部が急冷されることで酸化物の層が生じて亀裂等が発生することが防止される。さらに、熱間鍛造時には、鍛造型の内面と、高温時の反応性が高いチタン合金とが直接的に接触しないので、鍛造型の内面に対する鍛造用素材の焼き付き等が防止される。
したがって、本発明によれば、鍛造用素材の表面に発生したひび割れ等を取り除くための削り代等を少なく設定することができるので、必要最小限の材料を用いて低コストでチタン合金製の部材を製造することができる。また、鍛造用素材の表層部が酸化して硬化しないので、その表層部に対する切削加工性が良好であり、切削刃物の寿命を延ばすことができるので結果的に低コストで部材を製造することができる。
なお、本発明は、チタンを含有する種々の金属製部材に適用することができる。例えば、チタン合金により鍛造されるエンジンバルブに本発明を適用することができる。その他にも、精密加工が必要とされるチタン合金製のエンジン部品、例えば、ロッカアーム、リテーナ、リフタ等のエンジン部品に本発明を適用することができる。エンジン部品以外の他の金属製部材、例えば、チタン合金製のゴルフクラブを製造する際にも本発明を適用することができる。
〔実施例1〕
チタンを含有する金属製部材の一例として、チタン合金製のエンジンバルブを熱間鍛造により製造した。
本実施例では、1.Ti-6Al-4V、2.Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Moに体積比率で5%のTiB2の硬質粒子を分散させた複合材料、の2種類のチタン合金を用いた。
また、本実施例では、1.SUS430ステンレス鋼、2.鉄に重量比率で5%のクロムを含有させた鉄合金、の2種類の鉄合金を用いた。
図2は、本実施例における鍛造用素材の断面図である。図2に示すように、本実施例では、直径16mmの円柱状に形成されたチタン合金20(基材)の外周面に、厚さ0.3mmの鉄合金22を被覆した。チタン合金20は、溶融後に鋳型に流し込むことで成形したものを用いた。鉄合金22は、プラズマ溶射装置(TAFA社製SG-100プラズマ溶射装置)による溶射によって被覆した。
図3は、鍛造用素材を加熱して押出鍛造することで、エンジンバルブの軸部24を形成した状態の断面図である。本実施例では、鍛造用素材を1100℃まで加熱した後、その鍛造用素材をダイから押し出すことで直径5.5mmの軸部24を鍛造した。
図4は、鍛造用素材を据え込み鍛造することで、エンジンバルブの傘部26を形成した状態の断面図である。本実施例では、軸部24を押出成形した際における残部25(図3参照)を鍛造型にセットした状態で、その残部25の端面28側からパンチによって荷重を加えることで据え込み鍛造を行った。これにより、軸部24の一端側に直径28mmの傘部26が形成され、軸部24及び傘部26を一体に備えたエンジンバルブ29を製造することができた。このエンジンバルブ29は、軸部24の端面及び傘部26の端面27の中央付近の部分はチタン合金が露出しているが、精密な機械加工が必要とされる軸部24の外周面と傘部26の表面は厚さ約0.1mmの鉄合金で覆われており、表面に亀裂等は発生していなかった。
〔実施例2〕
チタンを含有する金属製部材の一例として、チタン合金製のエンジンバルブを熱間鍛造により製造した。
本実施例では、上記〔実施例1〕と同様に、1.Ti-6Al-4V、2.Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Moに体積比率で5%のTiB2の硬質粒子を分散させた複合材料、の2種類のチタン合金を用いた。また、1.SUS430ステンレス鋼、2.鉄に重量比率で5%のクロムを含有させた鉄合金、の2種類の鉄合金を用いた。
図5は、本実施例における鍛造用素材の断面図である。図5に示すように、本実施例では、直径16mmの円柱状に形成されたチタン合金30(基材)の外周面に、厚さ0.3mmの鉄合金32を被覆した。チタン合金30は、溶融後に鋳型に流し込むことで成形したものを用いた。鉄合金32は、プラズマ溶射装置(TAFA社製SG-100プラズマ溶射装置)による溶射によって被覆した。ただし、本実施例では、チタン合金30の外周面だけでなく、チタン合金30の底面部33にも鉄合金32を被覆した。
図6は、鍛造用素材を加熱して押出鍛造することで、エンジンバルブの軸部34を形成した状態の断面図である。本実施例では、鍛造用素材を1100℃まで加熱した後、その鍛造用素材をダイから押し出すことで直径5.5mmの軸部34を鍛造した。
図7は、鍛造用素材を据え込み鍛造することで、エンジンバルブの傘部36を形成した状態の断面図である。本実施例では、軸部34を押出成形した際における残部35(図6参照)を鍛造型にセットした状態で、その残部35の底面部33側からパンチによって荷重を加えることで据え込み鍛造を行った。これにより、軸部34の一端側に直径28mmの傘部36が形成され、軸部34及び傘部36を一体に備えたエンジンバルブ39を製造することができた。このエンジンバルブ39は、軸部34の端面はチタン合金が露出しているが、精密な機械加工が必要とされる軸部34の外周面と傘部36の表面は厚さ約0.1mmの鉄合金で覆われており、表面に亀裂等は発生していなかった。また、傘部36の端面37に製造番号を刻印するなどの機械加工を施す際には、端面37が鉄合金32に覆われているために硬化された酸化層が存在しておらず、良好な切削加工性を得ることができた。
〔比較例〕
比較例として、チタン合金の表面に鉄合金が被覆されていない鍛造用素材を用いて熱間鍛造によりエンジンバルブを製造した。この比較例では、チタン合金として、1.Ti-6Al-4V、2.Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Moに体積比率で5%のTiB2の硬質粒子を分散させた複合材料、の2種類のチタン合金を用いた。
上記した実施例1、実施例2、比較例の結果を下記の[表1]に示す。
Figure 2005066656
上記[表1]に示すように、鍛造用素材がチタン合金だけで形成されている比較例では、熱間鍛造後の製品であるエンジンバルブの表面に微小な亀裂が発生するものがあった。これに対し、本発明の実施例(実施例1及び実施例2)では、熱間鍛造後の製品であるエンジンバルブの表面に亀裂が生じているものはなかった。
溶射法の一例を示す模式図である。 実施例1における鍛造用素材の断面図である。 鍛造用素材を加熱して押出鍛造することで、エンジンバルブの軸部を形成した状態の断面図である。 鍛造用素材を据え込み鍛造することで、エンジンバルブの傘部を形成した状態の断面図である。 実施例2における鍛造用素材の断面図である。 鍛造用素材を加熱して押出鍛造することで、エンジンバルブの軸部を形成した状態の断面図である。 鍛造用素材を据え込み鍛造することで、エンジンバルブの傘部を形成した状態の断面図である。
符号の説明
10 プラズマ溶射装置
12 基材
14 鉄合金
20,30 チタン合金
22,32 鉄合金
24,34 軸部
26,36 傘部
29,39 エンジンバルブ

Claims (4)

  1. 表面の少なくとも一部を鉄あるいは鉄合金により被覆されたチタンあるいはチタン合金からなる鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して鍛造する工程と、を備えるチタンを含有する金属製部材の製造方法。
  2. 鍛造用素材に被覆されているのは鉄と防錆性金属元素との鉄合金である、請求項1に記載のチタンを含有する金属製部材の製造方法。
  3. 鍛造用素材に被覆されているのはクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金である、請求項1または請求項2に記載のチタンを含有する金属製部材の製造方法。
  4. 軸部及び傘部が一体に形成されているエンジンバルブの製造方法であって、
    中心側にチタンあるいはチタン合金が配置されるとともに、表層側にクロムを質量比で5%以上含有する鉄合金が配置されている2層構造を有する鍛造用素材を準備する工程と、その鍛造用素材を加熱して押出鍛造により軸部を形成した後、その軸部の一端に据え込み鍛造により傘部を形成する工程と、を備えるエンジンバルブの製造方法。
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