JP2005062811A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶セルが正確に光学的に補償され、かつ薄層化が可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】吸収軸が直交している二枚の偏光膜、および前記二枚の偏光膜の間に、一対の基板および該基板間に挟持される液晶性分子からなる液晶層7を有し、外部電界が印加されていない非駆動状態において、前記液晶性分子が前記基板に対して略垂直な方向に配向する液晶セルと、光学的に正の屈折率異方性を持ち、棒状液晶性化合物からなり、可視光に対してRe(=(nx−ny)×d;nxは層の面内の、nyはnxと直交する面内の屈折率、dは層の厚み)が40〜150nmの第1の光学異方性層3と、光学的に負の屈折率異方性を持ち、可視光に対して下記で定義されるReが10nm以下で、且つRth(={(nx+ny)/2 − nz}×d;nzは層の厚み方向の屈折率)が60〜250nmの第2の光学異方性層10、12とを有する液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関し、特に視野角特性の優れた垂直配向ネマチック型液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、液晶セルおよび偏光板からなる。前記偏光板は保護フィルムおよび偏光膜を有し、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON、OFF表示を行い、透過および反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
この様なLCDの中でも、高い表示品位が必要な用途については、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、薄膜トタンジスタにより駆動する90度ねじれネマチック型液晶表示装置(以下、TNモードという)が主に用いられている。しかしながら、TNモードは正面から見た場合には優れた表示特性を有するものの、斜め方向から見た場合にコントラストが低下したり、階調表示で明るさが逆転する階調反転等が起こることにより表示特性が悪くなるという視野角特性を有しており、この改良が強く要望されている。
近年、この視野角特性を改良するLCDの方式として、負の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子を用い、電圧を印加しない状態で液晶分子の長軸を基板に略垂直な方向に配向させ、これを薄膜トランジスタにより駆動する垂直配向ネマチック型液晶表示装置(以下、VAモードという)が提案されている(特許文献1参照)。このVAモードは、正面から見た場合の表示特性がTNモードと同様に優れているのみならず、視野角補償用位相差フィルムを適用することで広い視野角特性を発現する。VAモードでは、フィルム面に垂直な方向に光学軸を有する負の一軸性位相差フィルムを2枚、液晶セルの上下に用いることでより広い視野角特性を得ることができ、このLCDに更に面内のレターデーション値が50nmである正の屈折率異方性を有する一軸配向性位相差フィルムを用いることで、更により広い視野角特性を実現できることも知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、3枚の位相差フィルムを用いること(非特許文献1参照)は生産コストの上昇を伴うだけでなく、多数のフィルムを貼り合わせるために歩留まりの低下を引き起こし、さらには複数のフィルムを用いるために厚さが増し、表示装置の薄形化に不利となるなどの問題がある。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがある。
これらを改善する方法として、位相差フィルムの枚数を減らす方法(特許文献2参照)やコレステリック液晶層を用いる方法(特許文献3、4参照)が開示されている。しかしながら、これらの方法でも複数のフィルムを貼り合わせる必要があり、薄層化、生産コスト低減という点では不十分であった。さらに、黒表示時の偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に(理論的に期待できる程度まで)拡大していないという問題があった。
特開平2−176625号公報 特開平11−95208号公報 特開2003−15134号公報 特開平11−95208号公報 SID 97 DIGEST 845頁〜848頁
本発明の課題は、液晶セルが正確に光学的に補償され、かつ貼り合わせる枚数が少なく、薄層化が可能な液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することである。
本発明の目的は、下記[1]〜[11]の液晶表示装置により達成された。
[1] 互いの吸収軸が直交している二枚の偏光膜、および前記二枚の偏光膜の間に、一対の基板および該基板間に挟持される液晶性分子からなる液晶層を有するとともに、外部電界が印加されていない非駆動状態において、前記液晶性分子が前記基板に対して略垂直な方向に配向する液晶セルと、光学的に正の屈折率異方性を持ち、棒状液晶性化合物からなり、可視光に対して下記で定義されるReが40〜150nmである第1の光学異方性層の少なくとも一層と、光学的に負の屈折率異方性を持ち、可視光に対して下記で定義されるReが10nm以下で、且つRthが60〜250nmである第2の光学異方性層の少なくとも一層とを有する液晶表示装置。
Re=(nx−ny)×d (1)
Rth={(nx+ny)/2 − nz}×d (2)
(nxは層の面内における遅相軸方向の屈折率、nyはnxと直交する方向の面内の屈折率、nzは層の厚み方向の屈折率、dは層の厚みを表す。)
[2] 第1の光学異方性層が、重合性基を有する棒状液晶性化合物からなる層である[1]に記載の液晶表示装置。
[3] 第1の光学異方性層が、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物からなる層である[2]に記載の液晶表示装置。
一般式(I)
1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
(式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基を表わし、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、A1およびA2はそれぞれ独立に炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表わし、Mはメソゲン基を表わす。)
[4] 第1の光学異方性層が、前記二枚の偏光膜の吸収軸の一方に対して実質的に直交する方向に水平配向している棒状液晶性化合物からなる層である[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[5] 第2の光学異方性層が、円盤状液晶性化合物または高分子ポリマーからなる層である[1]〜[4]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[6] 第2の光学異方性層が、重合性基を有する円盤状液晶性化合物からなる層である[5]に記載の液晶表示装置。
[7] 第2の光学異方性層が、実質的に水平配向している円盤状液晶性化合物からなる層である請求項5または6に記載の液晶表示装置。
[8] 第2の光学異方性層がセルロースアシレートからなり、該セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3〜22のアシル基で置換され、且つ該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aおよび炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度Bが、下記式(C)からなる層である[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
式(C) 2.0≦A+B≦3.0
[9] 炭素原子数が3〜22のアシル基が、ブタノイル基またはプロピオニル基であることを特徴とする[8]に記載の液晶表示装置。
[10] 第2の光学異方性層が、前記二枚の偏光膜の少なくとも一方の保護膜を兼ねる[1]〜[9]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[11] 第1の光学異方性層と第2の光学異方性層が液晶セルを挟んで配置されている[1]〜[10]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[12] 第1の光学異方性層に近い偏光膜の吸収軸が、該偏光膜の透明保護膜の長手方向と実質的に直交している[1]〜[11]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[13] 二枚の偏光膜の透明保護膜のうち液晶セルに近い透明保護膜の少なくとも一方がセルロースアセテートからなり、該透明保護膜のReが3nm未満である[1]〜[12]のいずれかに記載の液晶表示装置。
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度±5°未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。また、本明細書において、「可視光」とは、400nm〜700nmのことをいい、さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
本発明によって、所定の光学異方性層を利用することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、液晶セルを光学的に補償することが可能になった。前記光学異方性層を有する本発明の液晶表示装置は、表示品位のみならず、視野角が著しく改善されている。また、従来の液晶表示装置では、光学補償シートを組み込むために、複数の位相差フィルムと偏光板の角度を厳密に調整しながら積層する工程が必要であったが、本発明ではかかる工程を経なくてもよく、コスト的にも
大きなメリットがある。即ち、本発明によれば、液晶セルが正確に光学的に補償され、かつ貼り合わせる枚数が少なく、薄層化が可能な液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置を提供することができる。
発明の実施の形態
本発明を具体的に説明する。まず、図面を用いて、本発明の液晶表示装置の一態様について説明する。
図1は本発明の液晶表示装置、図2は本発明に使用可能な偏光板の構成の一例を示す模式図である。図1では、電界効果型液晶として負の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った例で説明する。
[液晶表示装置]
図1において、液晶表示装置は、液晶セル(5〜8)、および液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1および14を有する。偏光板1と液晶セル5〜8との間には、第1の光学異方性層3が、偏光板14と液晶セル5〜8との間には、第2の光学異方性層10および12が配置されている。液晶セルは、上側電極基板5と下側電極基板8と、これらに挟持される液晶分子7とからなる。液晶性分子7は、電極基板5および8の対向面に施されたラビング処理の方向6および9によって、外部電界が印加されていない非駆動状態において、前記基板に対して略垂直な方向に配向するように制御されている。また、上側偏光板1と下側偏光板14は、その吸収軸2と吸収軸15とが概略直交するように積層されている。
図2に示す様に、偏光板1および14は、偏光膜103と、それを挟持する保護膜101および105とからなる。偏光板1および14は、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行うことによって偏光膜103を得、その両面に保護膜101および105を積層して作製することができる。積層の際には、一対の保護膜と偏光膜の合計3枚のフィルムを、ロール・TO・ロールで貼り合わせると、生産性の点で好ましい。また、ロール・TO・ロールの積層では、図2に示す様に、保護膜101および105の遅相軸102および106と、偏光膜103の吸収軸104とが平行となる様に容易に積層でき、偏光板の寸法変化やカールの発生が起こりに難い機械的安定性が高い偏光板となるので好ましい。また、3枚のフィルムの少なくとも2つの軸、例えば、一方の保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸、あるいは2枚の保護フィルムの遅相軸などが実質的に平行であれば同じ効果が得られる。
再び図1において、第1の光学異方性層3は、光学的に正の屈折率異方性を持ち、棒状液晶性化合物から形成され、可視光に対してレターデーション(Re)が40〜150nmを示す。一方、第2の光学異方性層10および12は、光学的に負の屈折率異方性を持ち、可視光に対してReが10nm以下で、且つRthが60〜250nmである。第2の光学異方性層3および10を構成している材料については特に制限はなく、液晶性化合物からなる層であっても、ポリマーフィルムであってもよい。これらの光学異方性層3、10および12は、液晶セルの画像着色を解消し、および視野角の拡大に寄与する。
なお、図1の液晶表示装置では、第2の光学異方性層を二層用いた例を示したが、第2の光学異方性層は一層であってもよく、また三層以上であってもよい。第1の光学異方性層についても同様である。
図1中、上側を観察者側とすると、図1には、第1の光学異方性層3は、観察者側の偏光板1と観察者側液晶セル用基板5との間に、第2の光学異方性層10および12は、背面側の偏光板14と背面側液晶セル用基板8との間に配置した構成を示したが、第1の光学異方性層と第2の光学異方性層が入れ替わった構成であってもよいし、また、第1および第2の光学異方性層の双方が、観察者側の偏光板1と観察者側液晶セル用基板5との間に配置されていてもよいし、または背面側の偏光板14と背面側液晶セル用基板8との間に配置されていてもよい。かかる態様では、第2の光学異方性層が、第1の光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。
また、第1の光学異方性層3は、偏光板1と一体となっていてもよく、偏光板1と一体化した状態で液晶表示装置内に組み込むことができる。第1の光学異方性層は、棒状液晶性化合物からなるので、通常、支持体上に形成される。例えば、第1の光学異方性層の支持体を、偏光膜の一方の側の保護膜として機能させてもよく、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および第1の光学異方性層の順序で積層した一体型偏光板とするのが好ましい。前記一体型偏光板を液晶表示装置内に組み込む場合は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(兼透明支持体)および第1の光学異方性層の順序になるように組み込むのが好ましい。
第2の光学異方性層12についても同様であり、偏光板14と一体化した一体型偏光板として液晶表示装置内に組み込むことができ、第2の光学異方性層12が液晶性化合物からなる態様では、偏光板14の一方の保護膜が第2の光学異方性層12の透明支持体を兼ねていてもよい。かかる態様では、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および第2の光学異方性層の順序で積層した一体型偏光板とし、該一体型偏光板を、外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(兼透明支持体)および第2の光学異方性層の順序になるように液晶表示装置内に組み込むのが好ましい。
さらに、第2の光学異方性層12が、ポリマーフィルムである場合は、第2の光学異方性層12が、偏光板14の一方の保護膜であってもよい。かかる態様では、透明保護膜、偏光膜および第2の光学異方性層(透明保護膜を兼ねる)の順序で積層した一体型偏光板とし、該一体型偏光板を、外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜および第2の光学異方性層(兼透明保護膜)の順序になるように液晶表示装置内に組み込むのが好ましい。
本発明の液晶表示装置は、上記構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、透過型液晶表示装置の態様では、冷あるいは熱陰極蛍光管、発光ダイオード、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。一方、反射型液晶表示装置の態様では、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに、表示装置の1画素内に、透過部と反射部を設けた半透過型も可能である。
本発明の液晶表示装置の種類については特に限定されず、画像直視型、画像投影型および光変調型のいずれの液晶表示装置も含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリクス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリクス液晶表示装置でも有効である。
[VAモード液晶セル]
本発明において、液晶セルはVAモードであるのが好ましい。VAモードの液晶セルは、対向面がラビング処理された上下基板の間に誘電異方性が負の液晶性分子を封入してなる。例えば、Δn=0.0813、およびΔε=−4.6程度の液晶分子を用い、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角が約89°の液晶セルを作製することができる。この時、液晶層の厚さdは3.5μm程度にすることができる。液晶層の厚さdと、屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。最大の明るさを得るためには、液晶層の厚さdは0.2〜0.5μmの範囲であるのが好ましい。
基板5および基板8のそれぞれの配向膜(図示せず)の内側には、透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子7は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。上記した様に、液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板14の吸収軸15とは概略直交になっているので、光は偏光板を通過せず、すなわち、図1の液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させ、偏光板を通過する。換言すると、図1の液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した例を示した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用することができる。
なお、VAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では低下するという課題がある。黒表示時に液晶性分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶性分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。本発明では、これを解決するために、第1および第2の光学異方性層を少なくとも一層ずつ配置する。
VAモードでは、白表示時には液晶性分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶性分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶セルをマルチドメインにするのが好ましい。マルチドメインとは、一つの画素中に、配向状態の異なる複数の領域を形成した構造をいう。例えば、マルチドメイン方式のVAモードの液晶セルでは、一つの画素中に、電界印加時の液晶性分子の傾斜角が互いに異なる複数の領域が存在する。マルチドメイン方式のVAモード液晶セルでは、電界印加による液晶性分子の傾斜角を画素ごとに平均化することができ、そのことによって、視角特性を平均化することができる。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向に均等な視野角を得るには、この分割数を多くすればよいが、4分割もしくは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しづらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。液晶材料にカイラル剤を添加することは、境界領域を小さくするのに寄与する。
以下、本発明の液晶表示装置に用いられる第1および第2の光学異方性層について、詳細に説明する。
本発明において、第1および第2の光学異方性層は、液晶表示装置の画像着色を解消し、および視野角の拡大に寄与する。また、光学異方性層の支持体が偏光板の保護膜を兼ねることによって、または光学異方性層が偏光板の保護膜を兼ねることによって、液晶表示装置の構成部材を減少させることができるので、かかる態様では、液晶表示装置の薄型化にも寄与する。
本発明では、第1の光学異方性層は、棒状液晶性化合物からなる。第2の光学異方性層については、その原料は特に制限されないが、液晶性化合物から形成してもよい。液晶性化合物からなる光学異方性層は、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。特に棒状液晶化合物からなる第1の光学異方性層と、円盤状化合物からなる第2の光学異方性層の組合せにより、液晶表示装置の光学特性を格段に向上させることができる。
本発明において、第1の光学異方性層の面内レターデーション(Re)が40〜150nmであり、第2の光学異方性層のReは10nm以下、Rthが60〜250nm以下である。第1および第2の光学異方性層は、組み合わされることによって、全体として光学補償機能を奏するので、組み合わせた全体のレターデーションとして調整することがより好ましい。第1および第2の光学異方性層は、組み合わされることによって、全体として、Reが30〜200nmであり、Rthが60〜500nmであるのが好ましい。ここで、ReおよびRthは、おのおの以下の式によって定義される。
Re=(nx−ny)×d (1)
Rth={(nx+ny)/2 − nz}×d (2)
式中、nxは層の面内における遅相軸方向の屈折率、nyはnxと直交する方向の面内の屈折率、nzは層の厚み方向の屈折率、dは層の厚みを表す。
[第1の光学異方性層]
本発明に用いる第1の光学異方性層は、棒状液晶性化合物からなり、Reが40〜150nmであり、好ましくは50〜120nmである。前記棒状液晶性化合物は、重合性基を有しているのが好ましい。重合性基を有する棒状液晶性化合物の場合は、実質的に水平(ホモジニアス)配向に固定化することが好ましい。実質的に水平とは、棒状液晶性化合物の長軸方向と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜10°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物を斜め配向させてもよい。斜め配向の場合でも、平均傾斜角は0°〜20°であることが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記一般式(I)の棒状液晶性化合物である。
一般式(I)
1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基を表わし、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、A1およびA2は炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表わし、Mはメソゲン基を表わす。
以下にさらに重合性棒状液晶化合物について説明する。
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2005062811
1、L2、L3およびL4で表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR2−、−CO−O−、−O−CO−O−,−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR2−、−NR2−CO−O−、−NR2−CO−NR2−、または単結合からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。L3およびL4は、それぞれ−O−または−O−CO−O−が好ましい。
1とL1またはQ2とL2の組み合わせで表される基のうち、CH2=CH−CO−O−、CH2=C(CH3)−CO−O−、およびCH2=C(Cl)−CO−O−が好ましく、最も好ましくはCH2=CH−CO−O−である。
1およびA2としては、炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表し、炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましい。スペーサー基は鎖状であることがさらに好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、置換基として、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
Mで表されるメソゲン基としては、すべての公知のメソゲン基を使用することができるが、中でも下記一般式(II)で表される基が好ましい。
一般式(II)
−(−W1−L5n−W2
1およびW2は二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環基を表わす。W1およびW2として好ましくは、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル等が挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、本発明ではどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよいが、トランス体であることが好ましい。L5はL1〜L4で表される基、および−CH2−O−、−O−CH2−を表わす。L5として好ましくは、−CH2−O−、−O−CH2−、−CO−O−、−CO−NR2−、−NR2−CO−、−O−CO−である。nは1、2または3を表わし、好ましくは2である。W1およびW2は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数2〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、などが挙げられる。一般式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものは以下の通りである。これらに上記置換基が置換していてもよい。
Figure 2005062811
これらの中で特に好ましいのは下記の基本骨格である。
Figure 2005062811
以下に本発明の一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、一般式(I)で表される化合物は特表平11−513019号公報に記載の方法を参考にして合成することができる。
Figure 2005062811
Figure 2005062811
Figure 2005062811
Figure 2005062811
[第2の光学異方性層]
本発明において、第2の光学異方性層は、負の屈折率異方性を持ち、可視光に対してReが10nm以下、Rthが60〜250nmである。本発明の第2の光学異方性層として、円盤状液晶性化合物または高分子ポリマー層を用いることが好ましい。
円盤状液晶性化合物は、ポリマーフィルム面に対して実質的に水平(0乃至10度の範囲の平均傾斜角)に配向させることが好ましい。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
円盤状液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記一般式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(III)
D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(III)中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
重合性基を有する円盤状液晶性化合物の場合も、実質的に水平配向させることが好ましい。実質的に水平とは、円盤状液晶性化合物の円盤面と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜10°の範囲内であることを意味する。円盤状液晶性化合物を斜め配向させてもよい。斜め配向の場合でも、平均傾斜角は0°〜20°であることが好ましい。
第2の光学異方性層に好ましく用いられる高分子ポリマーとしては、光学的に負の屈折率異方性を持つものであればいずれでもよいが、可視光に対してReが10nmという観点から、セルローストリアシレート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
本発明では、第2の光学異方性層は、セルロースアシレートのフィルムからなるのが好ましい。次に、第2の光学異方性層に好ましく用いられるセルロースアシレートについて説明する。の第2光学異方性層に用いるセルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(C)を満足するセルロースアシレートである。
式(C) 2.0≦A+B≦3.0
ここで、A及びBはセルロースの水酸基が置換されているアシル基の置換度を表し、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、水酸基のアセチル基による置換度Aと炭素原子数3〜22のアシル基による置換度Bの総和は、好ましくは2.2〜2.86であり、特に好ましくは2.40〜2.80である。また、置換度Bは1.50以上、特には1.7以上が好ましい。さらに置換度Bは、その28%以上が6位水酸基の置換度であることが好ましく、より好ましくは30%以上あり、31%がさらに好ましく、特には32%以上であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位水酸基に関する置換度AとBの総和が0.75以上のものも好ましく、より好ましくは0.80以上、特に好ましくは0.85以上である。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低くろ過性のよい溶液の調製が可能となる。なお、置換度AおよびBの測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
本発明に用いるセルロースアシレートは、炭素数3〜22のアシル基で置換されているのが好ましく、炭素数3〜15のアシル基で置換されているのがより好ましく、炭素数3〜9のアシル基で置換されているのがさらに好ましい。炭素数3〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく、特に限定されない。具体的には、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、プロピオニル、ブタノイル、ケプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso‐ブタノイル、t‐ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
次に、本発明の第2光学異方性層に好ましく用いられるセルロースアシレートの合成方法について説明する。セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
本発明に使用可能なセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記で説明した好ましいセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。
フィルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度が好ましくは200〜700、より好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100重量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明に使用可能なセルロースアシレートフィルムの製造時に使用される際には、セルロースアシレートの含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートが好ましい。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。
本発明に使用可能なこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
第1及び第2の光学異方性層を液晶性化合物から形成する場合は、配向させた液晶性化合物を、配向状態を維持して固定化することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
光学異方性層は、液晶性化合物および上記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[配向膜]
第1および第2の光学異方性層を液晶性化合物から形成する場合、液晶性化合物を配向させるために、配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることが出来る。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜がとくに好ましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。
配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。特に、本発明において、ラビング処理の方向に対して直交する方向に液晶性化合物を配向する場合には、特開2002−62427号公報に記載の変性ポリビニルアルコール、特開2002−98836号公報に記載のアクリル酸系コポリマー、特開2002−268068号公報に記載のポリイミド、ポリアミック酸を好ましく用いることができる。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されている。
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または透明支持体)上に転写してもよい。
次に、本発明の液晶表示装置に用いられる偏光膜について、詳細に説明する。
[偏光膜]
本発明に使用可能な偏光膜については、特に制限されず従来公知のものを使用することができる。例えば、ポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体部分ケン化物等の親水性ポリマーからなるフィルムに、ヨウ素及び/又はアゾ系やアントラキノン系、テトラジン系等の二色性染料などからなる二色性物質を吸着させて、延伸配向処理したものなどを用いることができる。本発明では、特開2002−131548号公報に記載の延伸方法を用いることが好ましく、特に、偏光膜の吸収軸が長手方向に対して実質的に直交する、幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いることが好ましい。幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いることで、第1の光学異方性層に用いる配向膜としてラビング処理の方向に対して直交する方向に液晶性化合物を配向する配向膜を用いる必要がなく、通常の配向膜を用いるため、コスト、配向による欠陥の点で好ましい。
偏光膜は、通常、少なくとも片面が透明保護膜(保護フィルムともいう)によって保護された偏光板として用いられる。透明保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。
透明保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、透明保護膜の配向軸(遅相軸)はいずれの方向であってもよいが、操作上の簡便性から、透明保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。また、透明保護膜の遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)の角度も特に限定的でなく、偏光板の目的に応じて適宜設定できる。
なお、本発明に好ましく用いられる、前記の幅方向一軸延伸型テンター延伸機を用いて偏光膜を作製した場合には、透明保護膜の遅相軸(配向軸)と偏光膜の吸収軸(延伸軸)は実質的に直交することになる。
透明保護膜のレターデーションは、例えば632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がさらに好ましい。このような低レターデーションの観点から、透明保護膜として使用するポリマーはセルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号公報又は特開平11−293116号公報に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。なお、透明保護膜にセルロースアセテートを用いる場合には、環境の温湿度によるレターデーション変化を小さくおさえる目的から、レターデーションは3nm未満であることが好ましく、さらに2nm以下であることが好ましい。
本発明では、薄型化等を目的に、偏光膜の保護膜のうち一方が、光学異方性層の支持体を兼ねていてもよいし、また光学異方性層そのものであってもよい。光学異方性層と偏光膜は、光学軸のズレ防止やゴミなどの異物の侵入防止などの点から、固着処理されていることが好ましい。その固着積層には例えば透明接着層を介した接着方式などの適宜な方式を適用することができる。その接着剤等の種類について特に限定はなく、構成部材の光学特性の変化防止などの点から、接着処理時の硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。このような観点から、親水性ポリマー系接着剤や粘着層が好ましく用いられる。
前記粘着層の形成には、例えばアクリル系重合体やシリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどの適宜なポリマーを用いてなる透明粘着剤を用いることができる。このうち、光学的透明性や粘着特性、耐候性などの点よりアクリル系粘着剤が好ましい。なお粘着層は、液晶セル等の被着体への接着を目的に偏光板の片面又は両面に必要に応じて設けることもできる。その場合、粘着層が表面に露出するときにはそれを実用に供するまでの間、セパレータ等を仮着して粘着層表面の汚染等を防止することが好ましい。
偏光膜の片面又は両面に、上記の透明保護膜に準じた耐水性等の各種目的の保護膜、表面反射の防止等を目的とした反射防止層又は/及び防眩処理層などの適宜な機能層を形成した偏光板を用いてもよい。前記反射防止層は、例えばフッ素系ポリマーのコート層や多層金属蒸着膜等の光干渉性の膜などとして適宜に形成することができる。また防眩処理層も例えば微粒子含有の樹脂塗工層やエンボス加工、サンドブラスト加工やエッチング加工等の適宜な方式で表面に微細凹凸構造を付与するなどにより表面反射光が拡散する適宜な方式で形成することができる。
なお前記の微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカや酸化カルシウム、アルミナやチタニア、ジルコニアや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子や、ポリメチルメタクリレートやポリウレタの如き適宜なポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子などの適宜なものを1種又は2種以上用いうる。また上記した接着層ないし粘着層は、斯かる微粒子を含有して光拡散性を示すものであってもよい。
[偏光板の光学性能]
本発明に関連する透明保護膜、偏光膜および透明支持体からなる偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度({(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2 ≧ 0.9995(ただし、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、温度60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。但し、第2の光学異方性層は1層のみとした(図1中、第2の光学異方性層12がないものとする)。即ち、観察方向(上層)から上側偏光板1、液晶セル(上基板5、液晶層7、下基板8)、下側偏光板14を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した。また上下各偏光板と液晶セルの間には、液晶表示装置の光学性能を向上させるための第1の光学異方性層3および第2の光学異方性層10を配置した。用いた上側偏光板1および下側偏光板14として、図2に示す構成、保護膜101、偏光膜103、保護膜105(保護膜105がより液晶セルに近い側に配置されるとする)からなるものを用いたが、上側偏光板1については、保護膜105を第1の光学異方性層3の透明支持体として兼用し、光学異方性層3を一体化した、一体型上側偏光板を作製してから液晶表示装置に組み込んだ。また、下側偏光板14については、保護膜105を第2の光学異方性層10として兼用した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<液晶セルの作製>
液晶セルは以下の手順で作製した。基板表面に配向膜(例えばJSR社製のJALS204R)を塗布後、ラビング処理により液晶性分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆる基板面に対するチルト角を約89°とした。上下基板間のセルギャップは3.5μmとし、その間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶(例えばメルク社製のMLC−6608)を滴下注入して封入した。
<一体型上側偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。
液晶セルに遠い側の透明保護膜(図2中、101)には、ケン化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を用いた。この保護膜のRe値は3nm、Rth値は50nmであった。一方、液晶セルに近い側の透明保護膜(図2中、105)には、下記方法により作製してケン化処理した透明支持体Aを用いた。
(透明支持体Aの作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.5質量部であった。
Figure 2005062811
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で12分間乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:80μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるRe値およびRth値を測定した。Reは2nm(ばらつき±1nm)、Rthは120nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは2±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは120±2nmの範囲であった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして作製したセルロースアセテートフィルムを透明支持体Aとした。
(配向膜の形成)
次に、作製した透明支持体Aの反対側の表面に、下記組成の塗布液を#15のワイヤーバーコーターで26.3ml/m2塗布した。
配向膜塗布液組成
下記の高分子化合物P 4質量部
トリエチルアミン 2質量部
デコナール EX−521の5%水溶液
(ナガセ化成工業株式会社のエポキシ化合物) 8.1質量部
水 57質量部
メタノール 29質量部
Figure 2005062811
25℃で30秒間、120℃の温風で120秒間乾燥した。乾燥後の配向膜の厚みは1.0μmであった。また、配向膜の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて測定したところ、1.135nmであった。次に、形成した膜に、透明支持体Aの遅相軸(長手方向:波長550nm測定)と同じ方向にラビング処理した。
(第1の光学異方性層の形成)
この配向膜上に、第1の光学異方性層を形成した。具体的には、上記の配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコーターを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.5μmの水平配向した第1の光学異方性層を形成した。
第1の光学異方性層用塗布液組成
本明細書中の棒状液晶性化合物(例示化合物 I−2) 38.1質量%
下記の増感剤 A 0.38質量%
下記の光重合開始剤 B 1.14質量%
配向制御剤 C 0.19質量%
グルタールアルデヒド 0.04質量%
メチルエチルケトン 60.1質量%
Figure 2005062811
Figure 2005062811
Figure 2005062811
形成した第1の光学異方性層3は、透明支持体Aの長手方向(ラビング方向)と直交する方向に遅相軸4を有し、550nmにおけるRe値は60nmであった。また、光学的に正の屈折率異方性を持ち、可視光全域におけるRe値は64±7nmであった。
作製した透明支持体Aと第1光学異方性層との積層体、および上記セルロールトリアセテートフィルム フジタックTD80UFを、作製した偏光膜の両面に、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、一体型上側偏光板を作製した。図2中、液晶セル側から遠い透明保護膜101がフジタックTD80UF、液晶セルに近い透明保護膜105が透明支持体Aである。各フィルムの積層角度は表示装置を上から見た時の左右の方向を基準(0°)にすると、上側偏光板保護膜遅相軸102および106の角度は90°、偏光膜吸収軸104(図1中、2)の角度は90°とした。
この様にして作製した、上側偏光板1と第1の光学異方性層3との一体型上側偏光板を、第1の光学異方性層3が、上側液晶セル基板5により近くなる様に、液晶表示装置に組み込んだ。
<下側偏光板の作製>
上記で作製した上側偏光板と同一の偏光膜を用いた。偏光膜の液晶セルに遠い側の透明保護膜(図2中、101)として、上側偏光板と同様、ケン化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を用いた。一方、液晶セルに近い側の透明保護膜(図2中、105)として、上側偏光板と同様、上記作製した透明支持体Aを用いた。偏光膜の両面に、上記と同様の接着剤を用いて2種の保護膜を貼り付けた。各フィルムの積層角度は表示装置を上から見た時の左右の方向を基準(0°)にすると、図2中、偏光膜吸収軸104(図1中、15)の軸角度は0°、保護膜遅相軸102および106の角度は0°に設定した。
透明支持体Aは、光学的に負の屈折率異方性を有し、可視光に対してRe=2nmで、且つRth=120nmの光学的特性を示すので、第2の光学異方性層としても機能した。従って、作製した2枚の保護膜と偏光膜とからなる偏光板を、図1の下側偏光板15と第2の光学異方性層10とを一体化した下側偏光板として用いた。この下側偏光板を、第2の光学異方性層10が、下側液晶セル基板8により近くなる様に、液晶表示装置に組み込んだ。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の透過率の視野角依存性を測定した。抑角は正面から斜め方向へ10°毎に80°まで、方位角は水平右方向(0°)を基準として10°毎に360°まで測定した。黒表示時の輝度は正面方向から抑角が増すにつれ、漏れ光透過率も上昇し、抑角60°近傍で最大値をとることがわかった。また黒表示透過率が増すことで、白表示透過率と黒表示透過率の比であるコントラストが悪化することもわかった。そこで、正面の黒表示透過率と抑角60°の漏れ光透過率の最大値で、視野角特性を評価することにした。
本実施例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.05%であった。すなわち正面のコントラスト比が500対1、抑角60°でのコントラスト比が200対1であった。
[実施例2]
図1の構成の液晶表示装置を作製した。但し、第2の光学異方性層は1層のみとした(図1中、第2の光学異方性層12がないものとする)。即ち、観察方向(上層)から上側偏光板1、液晶セル(上基板5、液晶層7、下基板8)、下側偏光板14を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した。また上下各偏光板と液晶セルの間には、液晶表示装置の光学性能を向上させるための第1の光学異方性層3および第2の光学異方性層10を配置した。用いた上側偏光板1および下側偏光板14として、図2に示す構成、保護膜101、偏光膜103、保護膜105(保護膜105がより液晶セルに近い側に配置されるとする)からなるものを用いたが、上側偏光板1については、保護膜105を第1の光学異方性層3の透明支持体として兼用し、光学異方性層3を一体化した、一体型上側偏光板を作製してから液晶表示装置に組み込んだ。また、下側偏光板14についても、保護膜105を第2の光学異方性層10の透明支持体として兼用し、光学異方性層10を一体化した、一体型下側偏光板を作製してから液晶表示装置に組み込んだ。
液晶セルおよび偏光膜については、実施例1と同一のものを用いた。
上側および下側偏光膜の保護膜として、実施例1と同様、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re値は3nm、Rth値は50nm)を用いた。
<一体型上側偏光板の作製>
実施例1の透明支持体と同様なケン化処理を行ったフジタックTD80UF(Re=3nm、Rth=50nm)上に、配向膜層、第1の光学異方性層3を形成した。第1の光学異方性層の550nmにおけるRe値を85nm、可視光域におけるRe値を91±9nm(厚さ0.7μm)にした以外は、実施例1と同様にして、棒状液晶性化合物を配向(遅相軸は支持体の遅相軸と直交方向)させることによって、第1の光学異方性層3を形成した。なお、第1の光学異方性層は、光学的に正の屈折率異方性を示した。
作製したフジタックTD80UFと第1の光学異方性層3との積層体、およびフジタックTD80UFを、偏光膜の両面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、一体型上側偏光板を作製した。この一体型上側偏光板を、第1の光学異方性層3が上側液晶セル基板5により近くなる様に、液晶表示装置に組み込んだ。
<一体型下側偏光板の作製>
(配向膜層の作製)
実施例1の透明支持体と同様なケン化処理を行ったフジタックTD80UF(Re=3nm、Rth=50nm)上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m2塗布した。
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 361質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2005062811
25℃で60秒間、60℃の温風で60秒間、さらに90℃の温風で150秒間乾燥した。乾燥後の配向膜厚みは1.1μmであった。また、配向膜の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて測定したところ、1.147nmであった。該配向膜の上にフジタックTD−80UFの遅相軸と同じ方向にラビング処理した。
(第2の光学異方性層の形成)
ラビング処理した配向膜上に、下記の組成のディスコティック液晶を含む塗布液を塗布した。
ディスコティック液晶層の塗布液組成
円盤状液晶性化合物(1)*1 32.6質量%
セルロースアセテートブチレート 0.7質量%
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 3.2質量%
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.4質量%
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.1質量%
メチルエチルケトン 62.0質量%
*1 : 円盤状液晶性化合物(1)として、1,2,1’,2’,1’’,2’’−トリス[4、5−ジ(ビニルカルボニルオキシブトキシベンゾイルオキシ)フェニレン(特開平8−50206号公報、段落0044に記載の例示化合物TE−8の(8)、m=4)を用いた。
その後、130℃の乾燥ゾーンで2分間加熱乾燥し、円盤状化合物を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、4秒間UV照射し円盤状化合物を重合させた。その後、室温まで放冷して、厚さ1.4μm、光学的に負の屈折率異方性を示し、可視光に対して、Re=0nm、Rth=140nmの第2の光学異方性層を形成した。第2の光学異方性層の円盤状液晶性化合物は±2°の範囲で水平配向していた。
作製したフジタックTD80UFと第2の光学異方性層の積層体およびフジタックTD80UFを、偏光膜の両面にポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り付け、一体型偏光板を作製した。
作製した一体型下側偏光板において、第2の光学異方性層10の遅相軸11の角度は、第2の光学異方性層10が接する透明保護膜(図2において105)の遅相軸(図2において106)と同じ方向であった。作製した一体型下側偏光板を、第2の光学異方性層10が上側液晶セル基板8に接するように、液晶表示装置に組み込んだ。
その他の構成は例1と同様に液晶表示装置を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本実施例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.04%であった。
[実施例3]
第1の光学異方性層の棒状液晶化合物を本明細書の例示化合物I−14にした以外は、実施例2と同様にして液晶表示装置を作製した。作製した液晶表示装置の漏れ光の測定値は実施例2と同様であった。
[比較例1]
実施例1の一体型上側偏光板の作製において、第1の光学異方性層3を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本比較例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角45°で0.35%であった。
本発明の実施例1、2および3に比べ、漏れ光が大きく、本発明が優れていることは明らかである。
[比較例2]
上側偏光板1の液晶セルに近い側の透明保護膜として、Re値が36nm、Rth値が173nmのものを用い、上側偏光板1の外側の保護膜の遅相軸の角度を0°、偏光膜吸収軸2の角度を0°、液晶セル側保護膜の遅相軸の角度を90°に設定し、第1の光学異方性層3を作製しなかった以外は、実施例1と同様にして上側偏光板を作製した。
同様に、下側偏光板14の液晶セルに近い側の透明保護膜として、Re値が9nm、Rth値が68nmのものを用い、下側偏光板の外側の保護膜遅相軸の角度を90°、偏光膜吸収軸15の角度を90°、液晶セル側保護膜遅相軸の角度を0°に設定した以外は、実施例と同様にして下側偏光板を作製した。
これらの上側および下側偏光板を使用した以外は、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本比較例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.17%であった。
本発明の実施例1、2および3に比較して、漏れ光が大きく、本発明の効果は明らかである。
[比較例3]
図1と同様の構成の液晶表示装置を作製した。偏光板1,14として、図2の構成の偏光板を用い、保護膜101,105として、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re値が3nm、Rth値が50nm)を用いた。また、上側偏光板1と上側液晶セル基板5との間に、延伸フィルムからなる位相差フィルムC(図1中、3)を1枚、下側偏光板14と下側液晶セル基板8との間に、延伸フィルムからなる位相差フィルムDを2枚(図1中、10および12)配置した。偏光板保護膜の遅相軸、偏光板吸収軸の方向は実施例2と同じにした。
位相差フィルムCは、ノルボルネン系延伸フィルムからなり、フィルム面の延伸方向の平均屈折率をNx(=1.51)、フィルム面の延伸方向に垂直な方向の平均屈折率をNy(=1.509)、フィルム面の厚さ方向の平均屈折率をNz(=1.509)、フィルムの厚さは95μmであった。同フィルムのRe値を95nm、同遅相軸4の角度は0°にした。一方、位相差フィルムD(10、12)は、ともにノルボルネン系延伸フィルムからなり、フィルム面の延伸方向の平均屈折率をNx(=1.51)、フィルム面の延伸方向に垂直な方向の平均屈折率をNy(=1.51)、フィルム面の厚さ方向の平均屈折率をNz(=1.5084)、フィルムの厚さは70μmであった。同フィルムのRe値は5nm、Rth値は110nmであり、2枚のフィルムの遅相軸が概略直交するように積層し、下側偏光板に接するフィルムの遅相軸13の角度は90°、液晶セルに接するフィルムの遅相軸10の角度は0°となる様に配置した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を、実施例1と同様の方法で測定した。本比較例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.17%であった。
本発明の実施例1、2および3に比較して、漏れ光が大きく、かつ比較例3では3枚の位相差フィルムが必要であることから、本発明の効果は明らかである。
[比較例4]
比較例3において位相差フィルムD(10、12)の代わりに塗布型コレステリック液晶性化合物からなる光学異方性層Eを用いた以外は、比較例3と同様の構成の液晶表示装置を作製した。
光学異方性層Eは、特開2002−311243号公報に記載の方法を参考にして、棒状液晶性化合物(例示化合物I−2)に下記カイラル剤Dを添加することで旋光性を付加し、コレステリック層として機能させた。同層の厚さを4μmとした時、Re値は3nm、Rth値は250nm、コレステリック液晶のピッチは130nmであった。この光学異方性層Eを作製し、下側偏光板に接する遅相軸の角度は0°に配置した。
Figure 2005062811
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を例1と同様の方法で測定した。本実施例での正面透過率は0.05%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.17%であった。
本発明の実施例1、2および3に比較して、漏れ光が大きく、本発明に比べて位相差フィルムが1枚余分に必要であることから、本発明の効果は明らかである。
[実施例4]
偏光膜と一体型上側偏光板の第1光学異方性層の配向膜を下記にした以外は実施例2と同様にして、図1の構成の液晶表示装置を作製した。
(偏光膜の作製)
平均重合度が2400、膜厚100μmのPVAフィルムを15から17℃のイオン交換水にて60秒洗浄し、ステンレス製のブレードにて表面水分を掻き取ったのち、該PVAフィルムを濃度が一定になるように濃度補正しつつ、ヨウ素0.77g/l、ヨウ化カリウム60.0g/lの水溶液に40℃にて55秒浸漬し、さらに濃度が一定になるように濃度補正しつつ硼酸42.5g/l、ヨウ化カリウム30g/lの水溶液に40℃にて90秒浸漬後、フィルムの両面をステンレス製ブレードにて余剰水分を掻き取り、フィルム中の含有水分率の分布を2%以下にした状態で、特開2002−131548号公報に記載の図2の形態のテンター延伸機に導入した。搬送速度を4m/分として、100m送出し、60℃95%雰囲気下で5倍まで延伸した後、幅を一定に保ち、70℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は32%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。なお、延伸、乾燥後のフィルムの厚さは18μmであった。
上記の延伸した偏光膜を幅方向から3cm、カッターにて耳きりをした後、その両面をPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re値は3nm、Rth値は50nm)をケン化処理して貼り合わせ、さらに70℃で10分間加熱して、有効幅650mmの両面にセルローストリアセテート保護膜を供えた偏光板を得た。
得られた偏光膜の吸収軸方向は、長手方向に対し90゜傾斜していた。また、目視にて色抜けスジは見られなかった。
(第1光学異方性層の配向膜の作製)
実施例2の第2の光学異方性層の配向膜と同じ配向膜をフジタックTD−80UF上に作製し、該配向膜の上にフジタックTD−80UFの遅相軸と同じ方向にラビング処理した。この上に実施例2と同様にして形成した第1の光学異方性層3は、フジタックTD−80UFの長手方向(ラビング方向)に平行な方向に遅相軸4を有し、550nmにおけるRe値は8nm、可視光域におけるRe値は91±9nm(厚さ0.7μm)であった。実施例2に比べ、第2の光学異方性層の欠陥数は少なかった。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置の黒表示時の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本実施例での正面透過率は0.02%、抑角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.04%であった。
[実施例5]
実施例1の透明支持体Aを下記の透明支持体Bに代えた以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。この様に作製した液晶表示装置の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本実施例での正面透過率は0.02%、仰角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.06%であった。
(透明支持体Bの作製)
下記のセルロースアセテートプロピオネート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテートプロピオネート溶液を調製した。
セルロースアセテートプロピオネート溶液組成
セルロースアセテートプロピオネート(CAP−482−20、イーストマンケミカル(株)製) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 1.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 317質量部
メタノール(第2溶媒) 28質量部
シリカ(粒径0.2μm) 0.1質量部
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション制御剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション制御剤溶液01を調製した。
セルロースアセテートプロピオネート溶液474質量部にレターデーション制御(上昇)剤溶液01を25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション調整剤の添加量は、セルロースアセテートプロピオネート100質量部に対して、3.5質量部であった。なお、用いたセルロースアセテートプロピオネートは、アセチル基の置換度Aが0.18で、プロピオニル基(炭素数3)の置換度Bが2.47であり、上記式(C)を満たしていた。なお、これらの置換度は、上述の方法で算出した。
Figure 2005062811
得られたドープを、バンド流延機を用いて実施例1と同様に流延した。得られたセルロースアセテートプロピオネートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるRe値およびRth値を測定した。Reは2nm(ばらつき±1nm)、Rthは125nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは2±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは125±2nmの範囲であった。
作製したセルロースアセテートプロピオネートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして作製したセルロースアセテートプロピオネートフィルムを透明支持体Bとした。
[実施例6]
実施例1の透明支持体Aを下記の透明支持体Cに変えた以外は、実施例1と同様に液晶表示装置を作製した。この様に作製した液晶表示装置の漏れ光の視野角特性を実施例1と同様の方法で測定した。本実施例での正面透過率は0.02%、仰角60°の漏れ光透過率の最大値は、方位角30°で0.05%であった。
(透明支持体Cの作製)
下記のセルロースアセテートブチレート溶液組成の各成分をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテートブチレート溶液を調製した。
セルロースアセテートブチレート溶液組成
セルロースアセテートブチレート(CAB−381−20、イーストマンケミカル(株)製) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 2.0質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 1.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 309質量部
メタノール(第2溶媒) 27質量部
シリカ(粒径0.2μm) 0.1質量部
作製したセルロースアセテートブチレート溶液439質量部にレターデーション制御(上昇)剤溶液01を23質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション調整剤の添加量は、セルロースアセテートブチレート100質量部に対して、3.5質量部であった。なお、用いたセルロースアセテートブチレートは、アセチル基の置換度Aが1.00で、ブタノイル基(炭素数4)の置換度Bが1.66であり、上記式(C)を満たしていた。なお、これらの置換度は、上述の方法で算出した。
得られたドープを、バンド流延機を用いて実施例1と同様に流延した。得られたセルロースアセテートブチレートフィルムについて、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるRe値およびRth値を測定した。Reは2nm(ばらつき±1nm)、Rthは121nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは2±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは121±2nmの範囲であった。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明に使用可能な偏光板の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸
3 第1の光学異方性層
4 第1の光学異方性層遅相軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板配向制御方向
7 液晶性分子
8 液晶セル下電極基板
9 下基板配向制御方向
10 第2の光学異方性層1
11 第2の光学異方性層1遅相軸の方向
12 第2の光学異方性層2
13 第2の光学異方性層2遅相軸の方向
14 下側偏光板
15 下側偏光板吸収軸の方向
101 偏光板保護膜
102 偏光板保護膜遅相軸の方向
103 偏光板偏光膜
104 偏光膜吸収軸方向
105 偏光板保護膜
106 偏光板保護膜遅相軸の方向

Claims (13)

  1. 互いの吸収軸が直交している二枚の偏光膜、および前記二枚の偏光膜の間に、
    一対の基板および該基板間に挟持される液晶性分子からなる液晶層を有するとともに、外部電界が印加されていない非駆動状態において、前記液晶性分子が前記基板に対して略垂直な方向に配向する液晶セルと、
    光学的に正の屈折率異方性を持ち、棒状液晶性化合物からなり、可視光に対して下記で定義されるReが40〜150nmである第1の光学異方性層の少なくとも一層と、
    光学的に負の屈折率異方性を持ち、可視光に対して下記で定義されるReが10nm以下で、且つRthが60〜250nmである第2の光学異方性層の少なくとも一層とを有する液晶表示装置。
    Re=(nx−ny)×d (1)
    Rth={(nx+ny)/2 − nz}×d (2)
    (nxは層の面内における遅相軸方向の屈折率、nyはnxと直交する方向の面内の屈折率、nzは層の厚み方向の屈折率、dは層の厚みを表す。)
  2. 第1の光学異方性層が、重合性基を有する棒状液晶性化合物からなる層である請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 第1の光学異方性層が、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物を含有する組成物からなる層である請求項2に記載の液晶表示装置。
    一般式(I)
    1−L1−A1−L3−M−L4−A2−L2−Q2
    (式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基を表わし、L1、L2、L3およびL4はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、A1およびA2はそれぞれ独立に炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表わし、Mはメソゲン基を表わす。)
  4. 第1の光学異方性層が、前記二枚の偏光膜の吸収軸の一方に対して実質的に直交する方向に水平配向している棒状液晶性化合物からなる層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 第2の光学異方性層が、円盤状液晶性化合物または高分子ポリマーからなる層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 第2の光学異方性層が、重合性基を有する円盤状液晶性化合物からなる層である請求項5に記載の液晶表示装置。
  7. 第2の光学異方性層が、実質的に水平配向している円盤状液晶性化合物からなる層である請求項5または6に記載の液晶表示装置。
  8. 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートからなり、該セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3〜22のアシル基で置換され、且つ該セルロースアシレートのアセチル基の置換度Aおよび炭素原子数が3〜22のアシル基の置換度Bが、下記式(C)を満足する層である請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
    式(C) 2.0≦A+B≦3.0
  9. 炭素原子数が3〜22のアシル基が、ブタノイル基またはプロピオニル基である請求項8に記載の液晶表示装置。
  10. 第2の光学異方性層が、前記二枚の偏光膜の少なくとも一方の保護膜を兼ねる請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 第1の光学異方性層と第2の光学異方性層が液晶セルを挟んで配置されている請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  12. 第1の光学異方性層に近い偏光膜の吸収軸が、該偏光膜の透明保護膜の長手方向と実質的に直交している請求項1〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 二枚の偏光膜の透明保護膜のうち液晶セルに近い透明保護膜の少なくとも一方がセルロースアセテートからなり、該透明保護膜のReが3nm未満である請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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