JP2005060690A - ポリウレタン樹脂、水性ポリウレタン樹脂、親水性改質剤、透湿性樹脂およびポリウレタン樹脂の製造方法 - Google Patents
ポリウレタン樹脂、水性ポリウレタン樹脂、親水性改質剤、透湿性樹脂およびポリウレタン樹脂の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 少なくとも、アニオン性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとを反応させることにより、ポリウレタン樹脂を得る。このポリウレタン樹脂を水に分散および/または溶解させて、水性ポリウレタン樹脂を得て、この水性ポリウレタン樹脂からなる親水性改質剤を、水性樹脂に配合することにより、透湿性樹脂を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
また、近年、毒性や大気汚染性の観点から、有機溶剤の使用を低減することが望まれており、各種の樹脂用途において、溶媒として有機溶剤を使用する有機溶媒系樹脂から、分散媒として水を使用する水性樹脂への転換が検討されている。
一般に、水膨潤性ポリマーでは、高い保水性を発現させるために、親水性基、特に、ポリオキシエチレン基を導入することが知られている。水膨潤性ポリマー中において、ポリオキシエチレン基含有量を高めれば、親水性を向上させることができるが、その一方で、ポリオキシエチレン基含有量があまりに高いと、水との親和性が強すぎて、ゲル化したり、あるいは、最終的に得られる水性樹脂が不安定になる。
例えば、特開平11−228808号公報(特許文献1)には、ポリオキシエチレン含有ポリアミンと、水分散性ポリイソシアネートとを含む架橋ポリウレタン粒子の水分散液が提案されている。
例えば、特公昭60−47954号公報(特許文献2)には、極性有機溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、テトラヒドロフランなどが挙げられている。
また、特許文献2に記載される透湿防水加工法では、大量の極性有機溶剤を使用しており、毒性、大気汚染性、エネルギー効率性の観点から、好ましいものではない。
また、本発明のポリウレタン樹脂では、前記アニオン性基が、ウレタンプレポリマー中に、ウレタンプレポリマー100gあたり5〜200ミリ当量含まれていることが好適である。
また、本発明のポリウレタン樹脂では、前記ウレタンプレポリマー中のポリオキシエチレン基含有量が、40重量%以上であることが好適である。
また、本発明のポリウレタン樹脂では、さらに、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物を含んでいることが好適である。
また、本発明の親水性改質剤は、上記したポリウレタン樹脂を含んでいることを特徴としている。
また、本発明の透湿性樹脂は、上記した親水性改質剤と、水性樹脂とを含んでいることを特徴としている。
本発明において、アニオン性基を有するウレタンプレポリマーは、例えば、分子側鎖にアニオン性基を有し、分子末端に遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであって、ポリイソシアネートと、ポリオールと、アニオン性基を有する活性水素基含有化合物とを反応させることにより、得ることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどが挙げられる。
さらに、ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、上記したポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体と、ポリオール(後述)とを、ポリイソシアネートのイソシアネート基が、ポリオールの水酸基よりも過剰となる当量比で反応させることによって得られる、ポリオール変性体などが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、低分子量ポリオールを開始剤とするアルキレンオキサイドの付加反応によって得られるブロック共重合体あるいはランダム共重合体が挙げられる。
これらポリオキシアルキレンポリオールは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。ポリオキシエチレン基含有量の高いポリオキシアルキレンポリオールが好ましく用いられ、具体的には、例えば、数平均分子量500〜3000のポリエチレングリコールが好ましく用いられる。
さらに、ポリオールとして、ポリオキシアルキレンポリオール以外の高分子量ポリオールあるいは低分子量ポリオールを用いることができる。そのようなポリオールとして、高分子量ポリオールとして、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのマクロポリオールなどが挙げられ、好ましくは、数平均分子量500〜4000のものが挙げられる。また、低分子量ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、アルカン(炭素数7〜22)ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、アルカン−1,2−ジオール(炭素数17〜20)、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、キシレングリコール、ビスヒドロキシエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
このようなアニオン性基を有する活性水素基含有化合物としては、特に制限されないが、例えば、1つのアニオン性基を有し、かつ、2つ以上の活性水素基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、カルボキシル基を有する活性水素基含有化合物として、例えば、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸などのジヒドロキシルカルボン酸、例えば、リジン、アルギニンなどのジアミノカルボン酸などが挙げられる。
また、リン酸基を有する活性水素基含有化合物として、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルフェニルホスフェートなどが挙げられる。
さらに、これらアニオン性基を有する活性水素基含有化合物にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加させることによって得られるアルキレンオキサイド変性体をも挙げることができる。
また、アニオン性基を有する活性水素基含有化合物は、特に制限されないが、ウレタンプレポリマー100gあたり、アニオン性基が、5〜200ミリ当量、さらには、10〜100ミリ当量となるような割合で配合することが好ましい。ウレタンプレポリマー100gあたりアニオン性基を5ミリ当量以上とすることにより、ウレタンプレポリマーの水分散時に、安定性を向上させることができる。また、ウレタンプレポリマー100gあたりアニオン性基を200ミリ当量以下とすることにより、より経済的な製造を実現することができ、また、親水性を好適な範囲に保つことができる。
溶液重合では、例えば、窒素気流下において、反応溶媒中でポリイソシアネートを撹拌し、これにポリオールおよびアニオン性基を有する活性水素基含有化合物を加え、反応温度が反応溶媒の沸点以下で、1〜数時間程度反応させる。なお、反応溶媒としては、イソシアネート基および活性水素基に対して不活性であり、かつ親水性に富み、除去が容易な低沸点溶媒が用いられ、そのような反応溶媒として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが挙げられる。
また、この反応においては、プレポリマー反応前、反応後、または後述の鎖伸長反応後に、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機アルカリ塩、さらには、アンモニアなどから選択される中和剤を添加して、アニオン性基の塩を形成させることが好ましい。中和剤の添加量は、例えば、アニオン性基1当量あたり、0.4〜1.2当量、さらには、0.6〜1.0当量であることが好ましい。さらには、プレポリマーを水に分散および/または溶解させた後に、後述の鎖伸長反応を行う場合に、水中でのプレポリマーの安定性を向上させるために、水への分散および/または溶解の前に、アニオン性基の塩を形成させることが好ましい。
ポリオキシエチレン基含有ポリアミンは、例えば、下記の構造式(1)で表されるポリオキシエチレンエーテルジアミン、下記の構造式(2)で表されるポリオキシアルキレンエーテルジアミン、下記の構造式(3)で表されるポリオキシエチレンエーテルジアミン、下記の構造式(4)で表されるポリアミンが、好ましく用いられる。これらポリオキシエチレンエーテルジアミンやポリオキシアルキレンエーテルジアミンの数平均分子量は、例えば、100〜20000の範囲であり、さらには、140〜10000の範囲であることが好ましく、具体的には、例えば、日本油脂のPEG#1000ジアミン(構造式(1)相当)や、ハンツマン社のジェファーミンED―2003(構造式(2)相当)、EDR−148(構造式(3)相当)、XTJ−512(構造式(4)相当)などが挙げられる。
また、このような反応においては、鎖伸長剤として、例えば、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物を併用することができる。このようなアルコキシシリル化合物は、具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有モノアミン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有ジアミン類が挙げられる。アルコキシシリル化合物を併用して得られるポリウレタン樹脂は、分子内に架橋可能な官能基を持つことができ、該ポリウレタン樹脂を用いた樹脂は、架橋により分子量を大きくすることができる。このため、アルコキシシリル化合物の使用量を制御することにより任意の分子量のポリウレタン樹脂を得ることができ、水への溶解性と水膨潤性を自在に制御することができる。
そして、この反応は、例えば、ウレタンプレポリマーと水とを配合した後、上記した鎖伸長剤をこれに配合すればよい。水の配合量は、ウレタンプレポリマーが水に溶解しうる量、例えば、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、20〜500重量部の範囲である。また、鎖伸長剤の配合量は、鎖伸長剤のアミノ基に対するウレタンプレポリマーのイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/アミノ基)が、1を超える割合、好ましくは、1.1〜20となるように配合して、例えば、バルク重合や溶液重合など、公知の反応方法により、得ることができる。
この反応において、攪拌は、ホモミキサーなどを用いて、高剪断が得られるように混合することが好ましい。また、反応温度は、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基と水との反応を抑制するために、例えば、5〜30℃でコントロールすることが好ましい。
なお、反応終了後には、ウレタンプレポリマーが溶液重合により合成されている場合には、有機溶媒を、例えば、減圧下において、適宜の温度で加熱することにより、除去すればよい。
活性水素基含有化合物としては、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アルキレン基の炭素数が3〜10のポリオキシポリアルキレンポリオールなどのマクロポリオールが挙げられる。
また、マクロポリオールは、ポリウレタン原料(すなわち、ポリウレタンエマルション中の樹脂分の原料)の総量に対して、50重量%以上含まれるような割合として、用いることが好ましい。マクロポリオールが、50重量%以上含まれることにより、透湿性樹脂の機械強度をより一層向上させることができる。
活性水素基含有化合物とイソシアネート基含有化合物とを反応させて、水に分散および/または溶解するには、特に、制限されないが、乳化剤が用いられる。乳化剤としては、例えば、活性水素基含有化合物とイソシアネート基含有化合物との反応において、これらとともに反応させて分子鎖中に変性される内部乳化剤や、活性水素基含有化合物やイソシアネート基含有化合物とは反応せず、別途混合される外部乳化剤が用いられる。
外部乳化剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、アルキル硫酸金属塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸金属塩などの界面活性剤を好適に用いることができる。
また、水性樹脂は、それをキャスティングしたとき(例えば、幅10mm、厚さ0.1mmでキャスティングしたとき)の水膨潤率が20%以下のものが好ましく、さらには、10%以下のものが好ましく、さらには、5%以下のものが好ましい。
親水性改質剤の配合割合は、例えば、透湿性樹脂の固形分(水性樹脂中の樹脂成分と、親水性改質剤中の樹脂成分との合計)に対して、20〜80重量%、好ましくは、30〜70重量%である。透湿性樹脂の固形分に対して、親水性改質剤の配合割合が、20重量%を下回ると、キャスティングして得られる膜の透湿性能が低くなる場合があり、80重量%を越えると、キャスティングして得られる膜の樹脂強度が低くなる場合がある。
なお、透湿防水性を有した膜は、その膜が微多孔質のものと、無孔質のものとがあるが、いずれのものでもよい。
透湿性樹脂の基布に対するキャスティングは、種々の方法が用いられ、その方法としては、ラミネート法、ダイレクトコート法などがあり、適宜その用途によって選択することができる。例えば、ラミネート法の場合には、透湿性樹脂を離型紙などの表面に塗布して熱処理した後、その離型紙を布帛に積層して熱融着する方法が挙げられる。また、ダイレクトコート法の場合には、基布表面や離型紙表面に、通常のコーティング法、例えば、ナイフコーターなどを用いて直接塗布する方法が挙げられる。
このように透湿防水加工された基布は、上記したように透湿防水素材として、衣料用途に用いられる。
なお、透湿防水性とは、被膜が、雨やその他の水は通さないが、湿気(水蒸気)は通すという性能であり、例えば、衣料用途では、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出し、かつ、雨が衣服内に入ることを防止する性能である。
なお、本発明のポリウレタン樹脂、水性ポリウレタン樹脂、親水性改質剤および透湿性樹脂には、上記した本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、硬化触媒や種々の添加剤、例えば、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、防カビ剤、防錆剤、艶消し剤、難燃剤、揺変剤、粘着付与剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、反応遅延剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、耐候安定剤、染料、無機顔料、有機顔料、体質顔料、硬化剤、タック防止剤などを適宜配合することができる。
また、タック防止剤としては、無機粉末が挙げられ、好ましくは、例えば、二酸化ケイ素粉末などが挙げられる。
また、本発明のポリウレタン樹脂、水性ポリウレタン樹脂、親水性改質剤および透湿性樹脂は、上記した衣料用途に限らず、例えば、自動車、電子機器、建材、人工皮革、フィルム処理などの各種用途にも用いることができる。
実施例1
(ウレタンプレポリマーの調製)
撹拌式反応器中に、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(商品名:タケネート600、三井武田ケミカル社製)8.3重量部と、エチレングリコール1.2重量部と、ジメチロールプロピオン酸(商品名:ニッカマーPA、日本化成社製)0.7重量部と、アセトニトリル2.5重量部とを仕込み、反応液温度を70〜75℃に調節して、反応率99%以上まで反応させ、分子側鎖にアニオン性基を有し、分子末端に遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。なお、このウレタンプレポリマー100gあたりのカルボン酸は、49ミリ当量であった。
上記で得られたウレタンプレポリマーを30℃まで冷却し、トリエチルアミン0.5重量部を加えて、十分に撹拌して中和した。その後、これを、25℃の水100重量部に徐々に添加して、ウレタンプレポリマーの水溶液とした後、速やかに、ポリオキシエチレン基含有ジアミン(商品名:PEG#1000ジアミン、日本油脂社製)20重量%水溶液70.5重量部、および、ヒドラジン10重量%水溶液3.0重量部を、順次滴下して、鎖伸長反応させた。なお、この時の反応液温度は、25〜30℃に調節した。その後、25〜30℃で3時間撹拌を継続した後、40〜50℃、減圧下で、アセトニトリル、および水の一部を除去することにより、固形分20重量%、粘度190mPa・sの水性ポリウレタン樹脂を得た。
表1に示す処方において、実施例1と同様の操作により、水性ポリウレタン樹脂を得た。
比較例1
表1に示す処方において、実施例1と同様の操作により、水性ポリウレタン樹脂を調製したが、最終的にゲル化した。
表1に示す処方において、実施例1と同様の操作により、水性ポリウレタン樹脂を得た。
比較例3
撹拌式反応器中に、タケネートWD−725(三井武田ケミカル社製、水分散性ポリイソシアネート:イソシアネート基含量15.8%)47.1重量部と、イオン交換水62重量部とを加えて均一に分散させた。その後、分散液を撹拌しながら、イソシアネート基とアミノ基との当量比(イソシアネート基/アミノ基)が1.0となる割合で、アミン価101のポリオキシエチレン含有ジアミン(商品名:PEG#1000ジアミン、日本油脂社製)30重量%水溶液54.3重量部をゆっくりと添加した。その後、25℃で反応を追跡したが、反応に伴い徐々に安定性が低下し、最終的にゲル化した。
H6XDI:1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、商品名タケネート600、三井武田ケミカル社製
H12MDI:4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、商品名デスモジュールW、バイエル社製
WD−725:水分散性ポリイソシアネート(イソシアネート基含量15.8%)、商品名タケネートWD−725、三井武田ケミカル社製
PEG1000:ポリエチレングリコール(OH価112)、日本油脂社製
EG:エチレングリコール
DMPA:ジメチロールプロピオン酸、商品名ニッカマーPA、日本化成社製
MPEGジオール:メトキシ変性ポリエチレングリコール分岐ジオール(OH価89)、三井武田ケミカル社製
TEA:トリエチルアミン
NaOH:水酸化ナトリウム
PEG#1000ジアミン:ポリオキシエチレンジアミン(アミン価101)、日本油脂社製
ジェファーミンED−2003:ポリオキシアルキレンジアミン(アミン価53.9)、ハンツマン社製、EO/POモル比率=38.7/6.0
KBM−602:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(アミン価544)、信越化学工業社製
評価
1)水膨潤性試験
各実施例および比較例2の水性ポリウレタン樹脂(固形分20重量%)を、キャスティングして、膜厚1mmの乾燥透明被膜を形成した。その後、この被膜を10cm×10cmに切断加工してサンプルとした。
得られた各サンプルを、25℃の蒸留水中に12時間浸漬し、取り出し直後の縦横の辺の長さを測定し、その縦横の辺の長さの平均を水膨潤率とした。(ちなみに、水膨潤率100%とは、辺の長さが縦横とも2倍に増加したことを示す。)その結果を、表1に示す。
2)相溶性試験
水性樹脂として、タケラックW−6010(三井武田ケミカル社製、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の水分散液、固形分30重量%、30mPa・s)、および、W−6020(三井武田ケミカル社製、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂の水分散液、固形分30重量%、20mPa・s)を用意して、これらのそれぞれ100重量部に対して、実施例1〜5、比較例2の水性ポリウレタン樹脂150重量部を混合し、混合液の安定性を目視により確認した。その結果を、表1に示す。なお、表1において、「○」は、均一に相溶した状態を示し、「×」は、相分離した状態を示す。
3)透湿性試験A法
各実施例および比較例2の水性ポリウレタン樹脂(固形分20重量%)を、キャスティングして、膜厚0.05mmの乾燥透明被膜を形成した。その後、この被膜を、JIS L1099−A1法に準拠して透湿性を評価した。その結果を、表1に示す。
(水性樹脂の合成)
撹拌式反応器中に、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)11.75重量部と、分子量2000(数平均分子量)のポリオキシテトラメチレングリコール(商品名:PTG2000SN、保土ヶ谷化学社製)31.39重量部と、ジメチロールブタン酸(商品名:ニッカマーBA、日本化成社製)2.37重量部と、アセトン20.4重量部とを仕込み、反応液温度を53〜55℃に調節し、反応触媒としてオクチル酸第1錫(商品名:スタノクト、(株)APIコーポレーション製)を微量加え、反応率99%以上まで反応させ、分子側鎖にアニオン性基を有し、分子末端に遊離のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。
表2に示す処方において、合成例1と同様の操作により、ポリウレタンエマルションを得た。
なお、表2中の略号および製品名は、下記の通りである。また、表2中の処方は、重量部で示した。
Ester−1:数平均分子量2000のポリエステルポリオール、商品名タケラックU−5620、三井武田ケミカル社製
DMBA:ジメチロールブタン酸、商品名ニッカマーBA、日本化成社製
IPDA:イソホロンジアミン、デグサ−ヒュルス社製
評価
4)機械強度試験
各合成例のポリウレタンエマルション(固形分33重量%)を、キャスティングして、膜厚0.1mmの乾燥透明被膜を形成した。その後、この被膜を1cmの短冊状に切断し、引張り速度200mm/分の条件で引張り試験を行ない、破断時の応力、伸び率を測定した。その結果を表2に示す。
実施例3で得られた水性ポリウレタン樹脂と、合成例1で得られた水性樹脂とを重量比60:40で混合し、透湿性樹脂を得た。このときの固形分は25.2重量%であった。
実施例7
実施例3で得られた水性ポリウレタン樹脂と、添加剤1として、二酸化ケイ素(商品名サイリシア310P、タック防止剤、富士シリシア社製)とを重量比60:2で十分に攪拌混合し、続いて、この混合物と、合成例1で得られた水性樹脂とを62:38で混合し、透湿性樹脂を得た。このときの固形分濃度は、26.5重量%であった。
表3に示す処方において、実施例7と同様の操作により、透湿性樹脂を得た。
実施例10
実施例3で得られた水性ポリウレタン樹脂と、合成例2で得られた水性樹脂とを重量比55:43で混合し、透湿性樹脂を得た。さらに、この透湿性樹脂に、添加剤2として、WD−725(硬化剤(水分散性ポリイソシアネート:イソシアネート基含量15.8%、三井武田ケミカル社製))を、重量比98:2で混合した。
5)相溶性試験
各実施例の透湿性樹脂の安定性を目視により確認した。その結果を表3に示す。なお、表3において、「○」は、均一に相溶した状態を示し、「×」は、相分離した状態を示す。
各実施例の透湿性樹脂を、キャスティングして、膜厚0.03mmの乾燥透明被膜を形成した。その後、この被膜を、JIS L1099−B1法に準拠して透湿性を評価した。その結果を、表3に示す。
7)機械強度
各実施例の透湿性樹脂を、キャスティングして、膜厚0.03mmの乾燥透明被膜を形成した。その後、ポリウレタンエマルションの引張り試験と、同様の操作を行ない、破断時の応力、伸び率を測定した。その結果を、表3に示す。
添加剤1:二酸化ケイ素(タック防止剤、商品名:サイシリア310P、富士シリシア社製)
添加剤2:WD−725(水分散性ポリイソシアネート:イソシアネート基含量15.8%、三井武田ケミカル社製)
Claims (11)
- 少なくとも、アニオン性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとを反応させることにより得られることを特徴とする、ポリウレタン樹脂。
- 前記アニオン性基が、ウレタンプレポリマー中に、ウレタンプレポリマー100gあたり5〜200ミリ当量含まれていることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン樹脂。
- 前記ウレタンプレポリマーが、原料として、ポリイソシアネートと、ポリオキシアルキレンポリオールとを含んでいることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂。
- 前記ウレタンプレポリマー中のポリオキシエチレン基含有量が、40重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン樹脂。
- 前記ポリウレタン樹脂中のポリオキシエチレン基含有量が、40重量%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポリウレタン樹脂。
- 原料として、さらに、第1級アミノ基、または、第1級アミノ基および第2級アミノ基を有するアルコキシシリル化合物を含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のポリウレタン樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリウレタン樹脂が水に分散および/または溶解していることを特徴とする、水性ポリウレタン樹脂。
- 請求項7に記載の水性ポリウレタン樹脂を含んでいることを特徴とする、親水性改質剤。
- 請求項8に記載の親水性改質剤と、水性樹脂とを含んでいることを特徴とする、透湿性樹脂。
- 前記水性樹脂が、ポリウレタンエマルションであり、
前記ポリウレタンエマルションは、原料として、マクロポリオールを含み、
前記マクロポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよびアルキレン基の炭素数が3〜10のポリオキシポリアルキレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記マクロポリオールが、前記ポリウレタンエマルションのポリウレタン原料の総量に対して50重量%以上含まれていることを特徴とする、請求項9に記載の透湿性樹脂。 - 少なくとも、アニオン性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリオキシエチレン基含有ポリアミンとを反応させることを特徴とする、ポリウレタン樹脂の製造方法。
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