JP2005048029A - ボールペン用水性インキ組成物 - Google Patents

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Kazuhisa Watanabe
一久 渡辺
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Abstract

【課題】インキ貯蔵体として中空の筒体を用いたボールペンに水性インキを使用した場合、ペン先を下向き方向に長時間放置したときにペン先のボールとボールホルダの微少な隙間からインキが洩れ出しやすいという問題があるが、長期間保存してもカスレなどの不具合を発生することなくインキの洩れだしを防止するインキ提供すること。
【解決手段】着色剤と水と水溶性有機溶剤と非水溶性の油状物質より少なくともなるボールペン用水性インキにおいて、前記非水溶性の油状物質がインキ中に分散された状態であることを特徴とするボールペン用水性インキ組成物
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ収納筒内に直接インキを充填するボールペンに用いる水性インキに関するもので、更に詳しくは、製品をペン先下向きにして長時間放置した場合の、ペン先からのインキの洩れ出しが発生し難いボールペン用水性インキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボールペンは、繊維製ペン先や樹脂製ペン先などを用いた筆記具と比較して、比較的細い筆跡が得られると共に、繊維製ペン先や樹脂製ペン先を有する筆記具に比べて、長期間使用してもペン先の摩耗やつぶれなどによる筆跡巾の変化が少ないことから、広く使用されている。このようなボールペンに使用される水性インキ組成物の粘度は1〜数mPa・s(25℃)のものと、50〜2,000mPa・s(25℃)のものとが知られている。1〜数mPa・s(25℃)のものは主にインキ吸蔵体として中綿を用い、焼結した繊維芯を介してインキをペン先に吐出させる構造のボールペンに使用され、50〜2,000mPa・s(25℃)のものは主にインキ貯蔵体として中空の筒体を用い、インキ貯蔵筒の片方の端に直接あるいはペン先ホルダを介して取り付けたペン先に直接イインキを供給する構造のボールペンに使用されている。従来のインキ貯蔵筒内に直接インキを充填するボールペンに用いる水性インキとしては、例えばキサンタンガム0.5〜1.5重量%を増粘剤として含有させた水性ボールペン用インキ組成物(特許文献1参照)が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭62−48777号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような水性インキを、インキ貯蔵体として中空の筒体を用いたボールペンに使用した場合、インキ貯蔵部が中綿のように毛管力でインキを保持することができないため、ペン先を下向き方向に長時間放置したときにペン先のボールとボールホルダの微少な隙間からインキが洩れ出しやすいという問題があった。この問題を抑える為に、従来はインキの粘度を上げたり、ペン先部インキの乾燥性能を犠牲にして乾きやすくし、その乾燥物でペン先部の隙間を埋めたり、無機系増ちょう剤を使用する等の方法で抑制が試みられてきたが、これらのものは長期間保管した時、ボールとボールホルダの微少な隙間からのインキ中の溶剤蒸散により、インキの粘度が上昇しやすく、筆記に際してのインキの追従性が悪くなってカスレが発生したり、ペン先内部でインキが乾燥し、その固化物がインキの吐出を妨げ、カスレが発生してしまうなどの不具合を発生しやすいものであった。
【0005】
そこで、ペン先の構造において、ボール部をボール部後端からバネ等で押すことによって、ボールとボールが取れないようにカシメているボールペンチップ小口部との隙間を無くしインキの洩れだしを抑えようという構造のものが発売されてきているが、どうしてもわずかな隙間が生じてしまい、インキの洩れだしを抑えきれていない問題があり十分に満足できるものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油よりなる郡から選ばれる油脂類の1種、または2種以上を混合したものからなる非水溶性の油状物質とから少なくともなるボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。
【0007】
以下、詳細に説明する。
着色材としては、染料及び/又は顔料が使用できる。
染料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料などのいずれも用いることができるが、ボールペンペン先のボールやチップ材は、その種類によっては、pHが低いと腐食することがある為、pHが中性からアルカリ性で安定に溶解する直接染料、酸性染料を用いることが好ましい。その一例を挙げる。
【0008】
直接染料としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同199等が挙げられる。
【0009】
酸性染料としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7:1、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同72、同61、同78、同110、同141、同135、同127、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27等が挙げられる。
【0010】
塩基性染料としては、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックレッド1などが挙げられる。
【0011】
顔料としては、従来公知の顔料が使用でき、具体例としては、SpecialBlack 6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、#2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#900、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#40、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B、(以上、三菱化成工業(株)製)、MONARCH 1300、同100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGULL、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PEARLS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)などの酸化チタン、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロムなどの無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、パーマネントレッド4R、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミンBS、ピラゾロンレッド、レーキレッドC、キナクリドンレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーンなどの有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウムなどの無機蛍光顔料が挙げられる。
【0012】
上記の染料及び顔料といった着色剤は、単独或いは、他との組み合わせにより使用でき、その使用量は色調などによっても異なるが、少ない場合はインキの発色が悪くなり、多い場合は着色剤が分散不足となり各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.1〜40重量%が好ましい。
【0013】
また、本発明に係るボールペン用水性インキでは、顔料を用いる場合、分散剤を併用することが好ましい。
【0014】
分散剤としては、従来一般に用いられている高分子分散剤や、アニオン系もしくはノニオン系の界面活性剤などで顔料の分散剤として用いられるものが使用できる。一例として、高分子分散剤として、スチレン−アクリル酸共重合体の塩、スチレン−アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩、スチレン−マレイン酸共重合体の塩、スチレン−マレイン酸アルキルエステルを主成分とした共重合体の塩などの水溶性高分子などが挙げられる。また、界面活性剤として、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。これら水溶性高分子及び界面活性剤は、その1種または2種以上を選択し、併用しても使用できる。その使用量は、少ない場合は添加する目的である分散効果が弱く、多い場合はインキ中の各組成物の溶解バランスを崩してしまい各種不具合が発生する懸念があるため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.1〜10重量%が好ましい。
【0015】
更に、顔料を水性媒体に分散した水性インキベースを用いることは、顔料インキ製造上有利なことである。具体的には、Fuji SP Black 8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、同8556、同8922、Fuji SP RED 5096、同5111、同5193、同5220、同5543、同5544、Fuji SP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SP Yellow 4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、Fuji SP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange534、Fuji SP Brown 3074(以上、冨士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、Emacol Green LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown 3101、Emacol CarmmineFB、Emacol RED BS、Emacol Orange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、Sandye Super Black K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super Brown SB、同FRL、同RR、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super Violet BL H/C、同BL、同BLN、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、Sandye Super Rubine FR、Sandye Super Carmine FB、Sandye Super Red FFG、同RR、同BS、Sandye Super Orange FL、同R、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Yellow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、山陽色素(株)製)、Rio Fast Black Fx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx 8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green S Fx 8314(以上、東洋インキ(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、NKW−3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708、同6013、同6038、同6559(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラーS 1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエロー G−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッド G−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーン G−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスブルー PC5T−1020、ポルックスブラック PC8T−135、ポルックスレッド IT−1030、ポルックスグリーンPC−4T1021等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられるものであり、これらは1種または2種以上選択して併用できるものである。
【0016】
溶剤又は分散媒として必須の水の他に各種の水溶性有機溶剤が使用できる。水溶性有機溶剤は、水性インキとしての種々の品質、例えば、ペン先でのインキ乾燥防止、低温時でのインキ凍結防止、顔料の分散媒などの目的で使用するものである。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラリン、グリセリンなどのグリコール類やエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のエーテル類、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどが使用でき、またこれらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。そして、その使用量は、少ない場合はインキ中の各組成物の溶解不足や分散不足により不溶・凝集物が発生し、多い場合はインキ中の各組成物の濃度が小さくなってその効果が小さくなり、各種不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して5〜40重量%が好ましい。
【0017】
非水溶性の油状物質は、ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油よりなる郡から選ばれる油脂類の1種または2種以上を混合したものからなる粘ちょうな油状物質である。これらの非水溶性の油状物質は、インキに分散してペン先からのインキ洩れ出しを抑制するために使用するものである。その使用量は少ない場合はペン先からのインキ洩れだしを抑制する効果が不足し、多い場合はペン先部で凝集してインキの流動性を阻害するなどの不具合が発生するため、ボールペン用水性インキ全量に対して0.5〜9重量%が好ましい。
【0018】
インキに使用する非水溶性の油状物質は、ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油よりなる郡から選ばれる油脂類の1種を単独、または2種以上を混合したものをそのまま用いても良いが、無水シリカの微粒子を混合分散して増粘させることは、油状物質のインキへの分散安定性において好ましい方法である。無水シリカは、純度の高い二酸化ケイ素の微粒子であるが、この場合無水シリカは一次粒子の平均径が5〜30nmの範囲のものを用いることが好ましい。一次粒子の平均径が5nmよりも小さいと非水溶性の油状物質を調整する際に無水シリカの凝集が発生しやすく、また30nmよりも大きいと非水溶性の油状物質の分散安定性に効果が少ない。また、油脂類と混合することから無水シリカは表面を疎水化処理したものを用いるのがより好ましく、具体的には、アエロジルR972、同R972V、同R972CF、同R974、同R202、同R805、同R812、同R812S、同RX200、同RY200(以上日本アエロジル(株)製)等があげられる。その使用量は少ない場合は非水溶性の油状物質の分散安定性に効果が不足し、多い場合は非水溶性の油状物質をインキに添加したときに分散し難くなる等の不具合が発生するため、前記油脂類の量に対し0.1〜20%が好ましい。
【0019】
また、前記非水溶性の油状物質には、必要に応じて金属石けんや油溶性デキストリン等を併用して粘度の微調整を行ったり、ポリメタクリレート等の流動点降下剤や粘度指数向上剤や酸化防止剤などの従来公知の油脂添加剤を用いることができる。
【0020】
本発明ではインキの調整に先駆け、予め非水溶性の油状物質を調整しておくことが望ましい。ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油の多くは粘ちょうな液体である。その為、異なる油脂類を混合する場合や添加剤等を加えて混合する場合、加熱しながら撹拌すると短時間に均一にすることができる。その場合基材となる油脂類を撹拌機で撹拌しながら80℃〜160℃程度に加熱し、全体が充分流動性をおびてきたところで各添加物を投入し、更に撹拌した後冷却することでほぼ均一な油状物を得ることができる。
【0021】
また、インキには粘度調整のため、又は着色剤や非水溶性の油状物質などの分散安定化のために、増粘性の水溶性高分子を併用することもできる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルモノマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、デキストラン、半合成系のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0022】
また、黴の発生によるインキ通路におけるインキの流出阻害を抑制するためにデヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸エステル、安息香酸ナトリウムなどの防腐防黴剤を適量加えることもできる。
【0023】
更に、ペン先等の金属の腐食防止のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などの防蝕剤や、ボール受け座摩耗によるボール沈み防止のために、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの脂肪酸の塩も添加することができる。
【0024】
本発明のインキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ターボミキサーなどの攪拌機やボールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ロールミル等の分散機により混合分散することによって容易に得ることができる。このときの製造手順としては、先ず非水溶性の油状物質を調整しておき、別に油状物質を添加しないベースとなるインキを調整する。次にベースとなるインキに非水溶性の油状物質を添加して、前記の撹拌機や分散機で混合分散を行う等方法が上げられる。
【0025】
【作用】
非水溶性の油状物質を分散させたインキが、何故長時間下向きに放置した際ボールペンペン先からの洩れだし抑制効果に優れるのかは以下のように推察される。
常温で粘ちょうな状態であり、且つインキの主溶剤である水に溶解しない非水溶性の油状物質は、水性インキ中に分散された場合、ほぼ均一な分散状態となっている。このインキを充填したボールペンをペン先下向きにして放置した場合、ボールペンペン先部のボールとボールホルダの微少な隙間を非水溶性の油状物質の微少な粒が埋めて油の連続層を形成する。この油の連続層は粘ちょうな油状物質で形成されているため、インキの自重程度では容易にその層を破られることが無くインキの洩れだしを抑制することができ、また油状物質の層は筆記の際のボールの回転を妨げるような固形物質層ではないため、ボールの回転により油の連続層が容易に破れてインキを吐出させることができる。
更に、油状物質の連続層には水を主としたインキ溶剤の透過、蒸発がし難くいという効果があり、そのため溶剤の蒸発によるペン先乾燥を抑制し、経時でのペン先部インキの乾燥や、ペン先内部インキの増粘によるカスレやインキ追従不良も防止することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
まず、非水溶性な油状物質を調整する。
【0027】
油状物質1
ポリビス30N(ポリブテン、日本油脂(株)製)をそのまま用いて、油状物質1とする。
【0028】
油状物質2
ポリブテン300H(ポリブテン、出光石油化学(株)製) 75.0重量部
流動パラフィン(パラフィン炭化水素油とアルキルナフテン炭化水素油混合物
、関東化学(株)製) 25.0重量部
上記各成分を混合し,電熱器で110℃に加熱しながら攪拌機にて1時間混合処理後、室温まで冷却して油状物質2を得た。
【0029】
Figure 2005048029
上記成分の、ポリブテンHV15を電熱器で90℃に加熱しながら、撹拌機で撹拌する。ポリブテンHV15がほぼ均一に加熱され、全体が流動するようになったら上記成分のアエロジルR972を振り入れてから更に撹拌する。アエロジルR972を添加後2時間撹拌した後、室温まで冷却して油状物質3を得た。
【0030】
Figure 2005048029
上記成分の、ポリブテン5SHを電熱器で120℃に加熱しながら、撹拌機で撹拌する。ポリブテン5SHがほぼ均一に加熱され、全体が流動するようになったら上記成分のモービルSHF1001を添加し、次にアエロジルR805を振り入れてから更に撹拌する。アエロジルR805を添加後3時間撹拌した後、室温まで冷却して油状物質4を得た。
【0031】
Figure 2005048029
上記成分のうち、ケルザンと油状物質1を除いた各成分を混合し、ボールミルにて6時間分散した後、ケルザンと油状物質1を添加し、攪拌機にて3時間撹拌して水性黒色顔料インキを得た。
【0032】
Figure 2005048029
上記成分のうち油状物質2を除いた各成分を混合し、攪拌機で4時間撹拌した後、油状物質2を添加し、攪拌機で4時間撹拌して水性赤色染料インキを得た。
【0033】
Figure 2005048029
上記成分のうちカーボポール1342と20%水酸化ナトリウム水溶液と油状物質3を除いた各成分を混合し、ボールミルで6時間分散した後、カーボポール1342を添加して撹拌機で2時間、更に20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌する。次に油状物質3を添加し、撹拌機で4時間撹拌して水性青色顔料インキを得た。
【0034】
実施例4
C.I.Acid Blue 9 5.0重量部
ケルザンAR(増粘剤、三晶(株)製) 0.8重量部
ポリエチレングリコールモノオレエート(界面活性剤) 0.05重量部
サンアイバックITW(防腐剤、三愛石油(株)製) 0.3重量部
ベンゾトリアゾール(前述) 0.4重量部
ジエタノールアミン(pH調整剤) 0.9重量部
ジプロピレングリコール(水溶性有機溶剤) 15.0重量部
エチレングリコール(前述) 5.0重量部
イオン交換水(前述) 72.55重量部
油状物質4(前述) 4.0重量部
上記各成分のうち油状物質4を除いた各成分を混合し、撹拌機で6時間撹拌する。次に油状物質4を添加して撹拌機で4時間撹拌して水性青色染料インキを得た。
【0035】
比較例1
前記実施例1のインキに油状物質1を入れるかわりに、水を2.0重量部加えた他は実施例1と同様にして水性黒色顔料インキを得た。
【0036】
比較例2
前記実施例2のインキに油状物質2を入れるかわりに水を8.0重量部加えた他は実施例2と同様にして水性赤色染料インキを得た。
【0037】
比較例3
前記実施例3のインキにエチレングリコールと油状物質3を入れるかわりに水を加えた他は実施例3と同様にして水性青色顔料インキを得た。
【0038】
比較例4
前記実施例4のインキに油状物質4を入れるかわりにローペイクOP−84J(アクリル−スチレン共重合体の中空樹脂粒子分散体、固形分42.5重量%、平均粒子経0.55μm、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株))を加えた他は実施例4と同様にして水性青色染料インキを得た。
【0039】
比較例5
前記実施例4のインキに油状物質4を入れるかわりに水を加えた他は実施例4と同様にして水性青色染料インキを得た。
【0040】
【発明の効果】
実施例1〜4及び比較例1〜5に記載のインキを、市販のボールペン(ハイブリッドK105、ぺんてる(株)製)に充填した。ハイブリッドK105は、半透明な合成樹脂製のパイプをインキ収納筒とし、その先端にボールペンペン先を備えたペン先ホルダーが装着された構造のボールペンリフィルを用いたボールペンである。インキ収納筒の内部には、ペン先側に水性インキが、後端側にαオレフィンオリゴマーを主成分とした難揮発性油を増ちょうさせたインキ追従体が互いに接触して直接充填されるものである。このボールペンをペン先の方向に遠心力が働くように配置して、遠心分離機(国産遠心器(株)製:卓上遠心機H−103N)で遠心処理を施し、筆記具内に存在する気体を除去して、ボールペン試料とし、次の試験を行った。
【0041】
まず筆記用紙にボールペン試料で、縦15mm、横40mmの範囲に手書きで螺旋状に連続4丸筆記を行い、次にペン先を大気に解放した状態で、且つペン先部を何にも触れさせずに下向きになるようにボールペン試料を固定し、室内で放置した。
次に1時間と24時間及び3日間放置した後ペン先部のボールとボールホルダの微少な隙間からのインキの洩れだしの確認と、再筆記を行った。結果を表1に示す。
【0042】
尚、各評価項目の評価基準は以下の通りである。
インキ洩れだし評価基準
○:インキの洩れだしなし
△:ペン先部にインキの滴がたまる
×:インキの滴がペン先から落下する
【0043】
再筆記状態の評価基準
○:書き出しから異常なく筆記できる
△:書き出し部でかすれるが4丸筆記以内に通常筆記状態に復元する
×:4丸以上筆記に異常が認められる
【0044】
【表1】
Figure 2005048029
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明のボールペン用水性インキは、インキ収納筒内に直接インキを充填するボールペンに用いて、製品をペン先下向きにして長時間放置した場合の、ペン先からのインキの洩れ出しが発生し難く、また長期間保管してもカスレなどの異常が発生し難いものである。

Claims (2)

  1. 着色剤と、水と、水溶性有機溶剤と、ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油よりなる郡から選ばれる油脂類の1種、または2種以上を混合したものからなる非水溶性の油状物質とから少なくともなるボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記、非水溶性油状物質が、ポリブテン、パラフィン系炭化水素油、オレフィン系炭化水素油、アルキルナフテン系炭化水素油よりなる郡から選ばれる油脂類の1種または2種以上を混合したものに、無水シリカの微粒子を含有させたものである請求項1に記載のボールペン用水性インキ組成物。
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