JP2005045917A - 焼結リング磁石ローターおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金属粉等を用いてもねじれ応力に十分に耐える焼結リング磁石ローターを提供する。
【解決手段】 焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターの製造方法であって、前記焼結リング磁石をあらかじめ金型内に装填し、その後、前記焼結リング磁石とローターシャフトを結合させるために、金属粉末とバインダーの混合物を金型内に充填し、前記混合物のみを選択的に成形することにより、前記焼結リング磁石と前記ローターシャフトを一体化させた焼結リング磁石ローターを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、モーターなどに用いられる永久磁石とローターシャフトを備える磁石ローターの構造とその製造法に関するものである。
リング状磁石を用いた磁気回路部品はこれまで主としてモーターのローターなどに用いられてきている。多くの場合、リング状磁石は3分割から6分割された瓦状の磁石を、例えばローターシャフトの磁気ヨーク部に接着剤を用いて貼り合わせていた。リング状の焼結磁石は、その使用方法から半径方向に異方性化した、いわゆるラジアル配向磁石が求められていたが、これまでバリウムフェライト磁石では、配向方向(半径方向)とこの方向に垂直な方向(周方向)での熱膨張率の違いから、焼結時にクラックが入りやすく、クラックなしにラジアル配向磁石を作ることは難しく、あまり用いられていなかった。
最近、多く使われるNdFeB磁石は、機械的強度が上記のバリウムフェライト磁石より大きいことから、焼結時の熱収縮差によって生じる内部応力に材料自体が打ち勝つことができ、クラック無しのラジアル配向磁石が作られるようになった。しかしながら、焼結体であるため、焼結時に不均一な焼き締まりがあり、リング形状の寸法精度が不十分となり易いため、研磨加工を施すことにより寸法精度を出していた。加工後に、リング焼結磁石をセンターヨークと貼りあわることによりスピーカ用の磁気回路を構成したり、射出成形による樹脂を介してリング焼結磁石をローターシャフトを固定することによりローターを構成した。
従来技術として、リング形状のNdFeB系ボンド磁石とリング形状のバックヨークを一体化する製造方法がある(例えば、特許文献1)。特許文献1には、NdFeB磁粉にバインダーを混合したボンド磁石を採用し、これとバックヨークに用いられる鉄粉をプレス工程で接合させるために、複数個の上下パンチを有するプレス機を用いた方法が開示されている。しかし、ボンド磁石は焼結磁石に比べ磁力が落ちるため、高性能モーター用のローターには適用できない。
他の従来技術として、リング焼結磁石が、センターポールと一体成形されているものが挙げられる(例えば、特許文献2、特許文献3)。特許文献2の方法は、スピーカ用のセンターポールは、磁性粉末とバインダーを圧縮成形したもので構成されている。
特許文献3等の方法には次の特徴がある。すなわち、コンパウンドと称される粉末状のものを加圧成形して作った成形体をセンターポールとして用いるものである。加圧成形の際にリング状磁石の外形寸法に合った成形金型を使用し、リング状磁石がその内側の成形体(即ち、センターポール)から受ける圧力を成形金型で支えて一体成形する方法である。しかし、この方法では、成形圧力が少なくとも2.9×10Pa(即ち、30kgf/mm)であるので、リング状磁石にその内側から半径方向に加わる圧力は相当なものである。一方、NdFeB磁石の引っ張り強度は7.8×10Pa(即ち、8.0kgf/mm)と弱い。
また、リング状磁石の外径寸法精度は少なくとも±10μmは必要とするので、リング状磁石の外径寸法と成形金型の内径寸法との差、すなわちクリアランスが生じることが多い。ここで、NdFeB磁石のヤング率が約1.6×1011Pa(即ち、1.6×10kgf/mm)であることからすると、寸法に対する破断時の伸びの大きさは0.5×10−3%となる。直径25mmのリング状磁石の場合、破断時の伸びは12.5μmとなり、前記クリアランスより小さいため、リング状磁石が内圧で膨れて成形金型の内周面に達する前に破断することになる。実際に、成形金型でリング状磁石を支える方法でセンターポールを一体成形したところ、一体成形された多数個のリング状磁石のうち、80〜90%の割合でクラックが発生した。
また、特許文献3の技術には、、成形体を焼結する時に金属粉の不均一な焼きしまりがあり、リング状磁石の寸法精度が低下するという問題があるため、リング磁石の内径を精度良く加工せねばならず、加工コストを大幅に押し上げる。
他の従来技術として、スピーカ用のリング状磁石とコンパウンドの磁気ヨーク材料を一体成形する方法が開示されている(例えば、特許文献4)。金属粉を成形した後、リング状磁石と金属粉の一体品を金型下部から取り出す方式である。
特開平7−169633号公報(第5頁、図3) 特開平4−115699号公報(第2頁、第2図) 特開平5−315175号公報(第6頁、図1) 特開平6−236823号公報(第5頁、図1〜5)
特許文献2,3,4の構成で、例えばリング状磁石の内径側に一体成形した部分(金属粉等の成形体)をモーターのローターシャフトとして用いようとすると、この金属粉等の成形体は切削に耐えることができない。ねじれ応力に対しても弱いため、金属粉等の成形体をローターシャフトとして使うことは難しい。
(1) 本発明の焼結リング磁石ローターは、焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターであって、
前記焼結リング磁石は、金属粉末とバインダーを備えるボンド体を介して前記ローターシャフトに固定されていることを特徴とする。前記ボンド体は、金属粉末とバインダーを混合した粉末をプレス成形することにより得られたもの(プレス成形体)である。
ここで、焼結リング磁石を構成する磁石材料としては、NdFeB系、SmCo系、アルニコ系、フェライト系のいずれかを用いることができる。高い磁気特性を得るためにはNdFeB系の材料を用いる。これら焼結リング磁石はラジアル異方性もしくは極異方性の配向を有するものを用いることが望ましい。前記ボンド体には、有機バインダーの軟化点を超える温度の熱処理を経由して硬化したものや、熱処理を経由しない圧粉体等を包含するが、高い強度を得るためには前者(熱処理を経由したもの)を用いることが望ましい。さらには、金属粉末とハンダ粉末のバインダーを備える圧粉体であって、ハンダ粉末の融点近傍若しくは融点以上の熱処理を施されたものも、“ボンド体”に包含されうる。なお、金属粉末として軟磁性体を用いれば、ボンド体はボンド軟磁性体となり、ラジアル異方性の焼結リング磁石と組合わせると、リングの外周の磁界を向上させることができる。
(2) 上記(1)に記載の焼結リング磁石ローターでは、前記ボンド体の単位質量当たり、前記バインダーが0.3〜3質量%含有されていることが望ましい。この理由については(7)で後述する。また、上記(1)に記載の焼結リング磁石ローターでは、前記金属粉末は平均粒径が40〜80μmの範囲内にあることが望ましい。ボンド体の成形性を良好にするには、このように粒径の揃っているものを用いるとよい。
さらに、上記(1)または(2)において、前記焼結リング磁石の内径面は無研磨面または溝加工が施された面にすることができる。また、前記ローターシャフトの外周面のうち、前記ボンド体と接触する部分は表面粗さが3μm以上であるか又はローレット加工を施してある構成にすることができる。
(3) 本発明の焼結リング磁石ローターの製造方法は、焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターの製造方法であって、
焼結リング磁石とローターシャフトとの隙間に、金属粉末とバインダーの混合物を加圧成形したボンド体を挿入し、
ついで、熱処理を施すことにより、前記ボンド体で焼結リング磁石とローターシャフトを一体化したことを特徴とする。
詳細には、熱処理(即ち、昇温と降温)を施すと、昇温によってボンド体(すなわち、圧粉体)が焼結リング磁石とローターシャフトの双方に密着する。ついで降温によってボンド体中のバインダーが硬化して焼結リング磁石とローターシャフトを固着することができる。なお、ボンド体中のバインダーを軟化・硬化させるため、熱処理の間は、焼結リング磁石とローターシャフトは治具等で固定された状態にされることが望ましい。バインダーは、焼結リング磁石の磁気特性を劣化させない程度の熱処理で軟化(若しくは溶融)・硬化が可能な粉末であれば、樹脂等の有機材料あるいはハンダ(特に低温ハンダ)等の金属材料のいずれも用いることができる。
(4) 本発明の焼結リング磁石ローターの製造方法は、焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターの製造方法であって、
前記焼結リング磁石をあらかじめ金型内に装填し、
その後、前記焼結リング磁石とローターシャフトを結合させるために、金属粉末とバインダーの混合物を金型内に充填し、
前記混合物のみを選択的に成形することにより、前記焼結リング磁石と前記ローターシャフトを一体化させることを特徴とする。
なお、前記焼結リング磁石をあらかじめ装填する金型の内径と、前記焼結リング磁石の外径との差は、0.04μm以下であることとする。例えば、前記差を30μm、20μm、10μm、5μm等とした構成では焼結リング磁石にクラックを発生することなく、焼結リング磁石ローターを製造することができる。より望ましくは、金型(ダイス)内径と焼結リング磁石外径との差を20μm以下とする。前記差を規制することで良好な成形性を得られる。また、高精度の金型を用いることで、リング磁石とローターシャフトの各々の軸中心がほぼ一致した(すなわち、偏芯の抑制された)焼結リング磁石ローターを得ることができる。偏芯によるコギングトルクやエネルギーロスが抑制されるため、高回転数で用いられるモーターに好適である。
上記(4)の製造方法をより詳細に説明する。まず、円筒状の空間を有する金型(金型のダイス)内に合わせるように、焼結リング磁石を装填する。このとき、金型のダイス内径と焼結リング磁石の外径間の差が0.04mm以下であることが望ましい。その後、前記焼結リング磁石の内周面側に、ローターシャフトを挿入し、前記焼結リング磁石の軸中心と前記ローターシャフトの軸中心がほぼ一致するように、前記ローターシャフトを固定する。次いで、前記リング磁石と前記ローターシャフトと金型に囲われた領域に対して、金属粉末とバインダーの混合物(混合粉)を充填する。ついで、充填した混合物を選んで圧縮できる形状の金型ダイスを用い、前記混合物のみを圧縮成形する。
上記金属粉末とバインダーの混合物は、次に述べる組成の材料で構成することができる。この混合物中の金属粉末は、粒径分布の幅が狭いほうが成形性がよい。したがって、金属粉末としては、アトマイズ法もしくは電解法もしくは還元法を用いて作製された純鉄または黄銅を主成分とする金属粉末を用いることができる。
また、前記金属粉末は軟磁性体であることが望ましい。特に、飽和磁束密度Bs≧1Tの軟磁性体の金属粉末を用いることが望ましい。例えば、Bs=1T〜2Tの材料を用いることができる。Bsの高い軟磁性体をボンド体とバインダーでボンド体を構成すると、焼結リング磁石とボンド体を通る磁気回路(磁石磁界のリターンパス)で、本発明のローターからステータに印加される磁界が強くなり、モーターの効率を向上することができる。望ましくは、ローターシャフトについても、軟磁性体の金属粉末と同様、飽和磁束密度の高い軟磁性体で構成することにより、焼結リング磁石とボンド体とローターシャフトを通る磁気回路(磁石磁界のリターンパス)を形成し、モーター(回転機)の効率を更に向上することができる。このような磁石磁界のリターンパス生成は、極異方性の焼結リング磁石に比べてラジアル異方性の焼結リング磁石で顕著になる。ただし、極異方性の焼結リング磁石であっても、リング外周の着磁面とは反対のリング内周面側に軟磁性体のボンド体と軟磁性体のローターシャフトを配置することで、リング外周の着磁面の磁界が強くなるという効果を得ることができる。これらローターを構成する素材に、希土類永久磁石や純鉄粉等の防錆を要する材料を用いている場合、ボンド体とリング磁石とローターシャフトを一体化した後に、それら表面に保護被膜を形成する。保護被膜としては、希土類永久磁石に適用されるメッキ膜や樹脂膜を用いることができる。
(6) 上記(4)において、前記バインダーは、アミノシランカプリング剤、エポキシ樹脂、もしくはエポキシ樹脂とアミノシランカプリング剤を混合させたものから選ばれる1種以上を用いることが望ましい。
(7) 上記(4)において、前記金属粉末及び前記バインダーの単位質量当たり、前記バインダーが0.3〜3質量%含有されていることが望ましい。上記の金属粉末及びバインダーの混合物では、バインダーを0.3〜3質量%の範囲で含有することが望ましい。0.3%以下の場合には、プレスをおこなっても金属粉が固まらない。また、3%を超える場合には、次工程での熱処理時に樹脂の収縮率が大きくなりすぎ、リング磁石に過大な歪を与え、リング磁石が破損する場合がある。また、収縮率が大きいと、寸法精度が±0.05mmを超えてしまうため、余計な追加工が必要となる。ここで質量%(mass%)とは、混合物の単位質量当たりの含有量を質量百分率で表わすものである。エポキシ樹脂等のバインダーを用いた場合、成形後に熱処理を行う。170〜190℃で1〜3時間熱処理をおこなうと、金属粉の混合物内のエポキシ樹脂などの有機物が軟化して金属粉粒界に均一に行き渡るため、金属粉の混合物は機械的強度が増加したボンド体に変わる。ここで、熱処理温度が170℃未満の場合には、バインダーとしてのエポキシ樹脂が十分に硬化しない。また190℃を超えた場合には樹脂の炭化が始まるため、バインダーとしての接着強度が低下する。
なお、比較例として、リング磁石とローターシャフト間に射出成形で成形体を形成しようとしたが、本発明に比べて含有される樹脂等の量を高くしないと形成することができず、成形後に収縮率の問題によりリング磁石にクラックが発生した。見かけ上、成形することができたように見えても、ローターシャフトにねじれ応力が加わると、リング磁石が破損した。従って、クラックの無いリング磁石とローターシャフトを結合する成形体は、プレス成形と熱処理により得られたものである。本願明細書では、“成形体”はプレス成形による成形体を指し、射出成形によるものは包含しない。
本発明は上記問題点を解決し、リング状磁石と金属ローターシャフトを金属粉の成形により一体化し、ねじれ応力にも強い磁石ローターを提供することができる。これを実現するために、例えば、図1の断面図に示す様な構造の金型を用いる。金型のダイス8の中にすでに焼結と加工が為されたリング磁石7が装填されており、このリング磁石7は上下端面と外周面のみが加工されて装填に適した寸法精度を備えるものである。このリング磁石7の上部にスペーサー6が挿入されている。リング磁石7とスペーサー6の高さ合計はダイス8の高さと一致するように構成する。ダイス8の下部には分割された下パンチの上部側である上部下パンチ3がある。上部下パンチ3には中央部にローターシャフトをぴったり挿入するための内径穴がある。前記内径穴にローターシャフトとなる金属棒5をあらかじめ挿入しておき、金属棒の上端面はダイスの上端面と高さが一致するように金型各部の部品寸法を決める。また、この内径穴の底部には貫通穴が設けられており、この穴を通して、下部下パンチ2により、ローターシャフトとなる金属棒5が所定の距離だけ押し上げられる構造となっている。上部下パンチ3は、下パンチガイド9の一部に突き出した突起4により、パンチの上端面がダイスの下端面と一致する構造となっている。なお、上パンチの外径は焼結のリング磁石の内径より0.01〜0.2mmだけ小さくし、上パンチの内径はローターシャフトとなる金属棒の外径より0.01〜0.2mmだけ大きい構成にすることが望ましい。
このようにして、あらかじめダイス内に挿入したリング磁石が降下しないように支える構造をとる。この時、ダイス内のリング磁石7とローターシャフトとなる金属棒5との間の成形空間10に金属粉と樹脂の混合物をダイス8の上端面高さの位置まで充填する。次に、下部下パンチ2が上部下パンチ3に接触するところまで上昇し、停止する。この時、ローターシャフトとなる金属棒5は押し上げられてダイス8上端面よりも上に突き出る。ローターシャフトとなる金属棒5の中心とリング磁石7の中心が一致する相対位置となる。次に、上パンチで混合物の部分のみを選択的に加圧プレスする。混合物は押し固められるために、粉体の面高さが下がり、リング磁石7の上端面の位置11まで下がって固められる。最後に、下部下パンチ2が上部下パンチ3を押し上げ、上部下パンチ3の上端面がダイス8上端面と一致するところまで移動する。この時点で、リング磁石7、スペーサー6、ローターシャフトとなる金属棒5、金属粉と樹脂からなる成形体はノックアウトされる(即ち、ダイスから排出される)ため、成形体の取り出しが可能となる。前記成形体はリング磁石7及びローターシャフト5と結合して一体化する。
(作用)
本発明によれば、上下パンチを複数個有し複雑な機構を持つメカプレスを用いることなく、上パンチ1本、下パンチ1本のシンプルなプレス機を用いて、リング磁石の中心に位置するローターシャフトとリング磁石とを金属粉を成形することにより一体化させることができる。これにより設備投資価格の安いプレス機を使用できるため、ローターシャフト付きローターのコストを低減させることができる。また、加工に耐えるものであればローターシャフトには種種の材質を選択できる。リング磁石から突き出た部分はモーターの相手側の構造に合わせて自由にローターシャフトの加工が可能であるため、複雑な軸受け構造を持つローターについても焼結リング磁石を用いたローターを作製することができる。また、焼結リング磁石とダイスの間隙を制限することにより、加圧成形中にリング磁石が破損することを防止し、高い歩留りでローターシャフト一体型磁石ローターを作製することができる。
本発明に係る焼結リング磁石ローター及びその製造方法、すなわちボンド体によりリング磁石とローターシャフトを一体に結合したローターにより、金属粉等を用いても、ねじれ応力に対しても十分に耐えることができるローターを提供することができる。
(実施例1)
本発明の詳細な内容を以下に述べる。本発明におけるローターシャフト付き磁石ローターの製造工程では、リング磁石の内径中央に設置されたローターシャフトとリング磁石を、金属粉混合物で結合させるためのプレス用金型の構造に特徴がある。このプレス工程を図2〜図7の断面図を用いて説明する。図1と同様の要素で構成される図であるが、まず、図2に示すように下パンチは2つに分割されている。符号3が上部下パンチで、符号2が下部下パンチである。上部下パンチ3の中央には、ローターシャフトを挿入し且つ位置決めを行うための挿入穴が設けられており、その穴にローターシャフトとなる金属棒5が挿入される。ローターシャフトとなる金属棒5の外周は表面粗さ0.3μm以上の形状となっている。下部下パンチ2の中央に突起1があり、突起1の上端は上部下パンチ3中央に設けられた挿入穴の下端面と一致している。ローターシャフトとなる金属棒5の上端部はダイス8の上端面に位置している(即ち、同一平面を構成している)。リング磁石7の上端面上にはスペーサー6が積層されている構成とした。
このスペーサー6は非磁性の金属(セラミックでも代替可能)であり、形状はリングで、外径寸法はダイスの内径より0.05mm以内の範囲で小さく、内径はリング磁石の内径寸法より、0.1mm大きくなっている。リング磁石7は上部下パンチ3により支えられており、上部下パンチ3は図1で示した様に、下パンチガイド9の壁面に設けられた突起4により、ダイス8の下端面より下がらない構造と成っている(突起4の図示は図2〜図7では省略した)。この時に用いたリング磁石7は、別の工程でラジアル配向または極異方性配向させて成形し、焼結し、熱処理を行い、さらに上下端面と外径について加工を行ったものを用いた。リング磁石7をダイス8内に挿入したとき、両者間の隙間はリング磁石の直径方向で0.04mm以内でなければならない。これよりも大きな間隙があると、後の工程で金属粉を加圧成形した時に、リング磁石が割れるという問題がおこる。ここでは前記隙間を20μmとした。上部下パンチ3下端と下部下パンチ2上端の間には、図2に示すように長さLの距離をとって配置した。
図3にて、成形空間10に投入する金属粉の混合物の給粉の様子を示す。この混合物13(即ち、金属紛とバインダーの混合粉)は粒径分布の幅が狭いほうがよいため、金属粉末はアトマイズ法を用いて作製されたものを用いた。金属粉末はローターシャフトがリング磁石7のヨークとしての機能を持てるようにするため、軟磁性体である純鉄粉を用いた。なお、別の理由でローターシャフトとリング磁石を磁気的に絶縁させたい場合には、黄銅の金属粉末を用いることもできる。前記純鉄粉の粒径分布は40〜80μmとした。一方、この金属粉に混合させるバインダーは、、粒径分布が金属粉と同様に40〜80μmとした。バインダーの組成としては、エポキシ樹脂単独のものを用いた。なお、バインダーとして、アミノシランカプリング剤、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂にアミノシランカプリング剤を混合させたものについても試作したが、同様の焼結リング磁石ローターを作製することができた。
給粉は、図3の12に示す様に専用の給粉機12を用いた。給粉機12は通常はダイス8の真上に位置せず、そこから外れた場所に待機している。給粉の時には、これがダイス8の上端面上をスライドして、ダイス8の真上に位置する。給粉機12の下部には穴があいており、この穴を通して、金属粉の混合物13が重力によりダイス8の上端面まで供給された。給粉が完了すると、給粉機12は再び移動し、ダイス8から離れた位置へ戻り待機した。この結果、ダイス8内のリング磁石7とローターシャフトとなる金属棒5間の成形空間10は金属粉の混合物13により充填された。
次に、金属粉の混合物13の加圧成形の工程を述べる。金属粉の混合物13の充填を完了した後、図4に示すように、給粉機12はダイス8真上より外れた位置まで移動した後、そこで待機するものとした。金属粉の混合物13の充填量はダイス内の成形空間の大きさと給粉機による粉体供給量により決まるため、ダイス8の上端面まで金属粉の混合物13を供給することにより一定のかさ密度が得られた。これら条件をふったところ、粉体供給後のかさ密度は0.7〜4.2g/cmの範囲内となった。
次に、図5に示すように、下部下パンチ2を上部下パンチ3の下端面に接触する位置まで上昇させた。これにより、2つの下パンチは一体化した下パンチとなった。この時、下部下パンチ2中央にある突起1によりローターシャフトとなる金属棒5のみが垂直に押し上げられるため、ローターシャフトとなる金属棒5はダイス8上端面から突き出た。これにより、ローターシャフトとなる金属棒5と焼結のリング磁石7の相対位置が決められた。すなわち、一体型ローターが出来上がったときに、焼結のリング磁石7とローターシャフトとの位置関係は、図2に示した上部下パンチ3と下部下パンチ2間の間隙長さ(L)により決められた。
図6に示す様に、下部下パンチ2が上部下パンチ3と結合した後、上パンチ14を下降させて、金属粉の混合物13のみを選択的に加圧した。上パンチ14の外径は焼結のリング磁石7の内径より0.02mmだけ小さく、上パンチ14の内径はローターシャフトとなる金属棒5の外径より0.02mmだけ大きい構成にした。金属粉の混合物13の加圧により、上パンチ14とリング磁石7の隙間、または上パンチ14とローターシャフトとなる金属棒5の隙間に成形体のバリが発生したが、これらのバリは成形体取り出し後の熱処理前に、成形体がまだやわらかいため、簡単に除去することができた。プレスで、上パンチ14のパンチ下端面がリング磁石7上端面まで移動することにより、成形体を形成することができた。成形完了した金属粉の混合物13の成形体の密度は、粉体供給後の条件により、2.5〜7.9g/cmの範囲内となった。成形完了後、上パンチ14を上昇させた。
成形体の取り出しの様子を図7に示す。下部下パンチ2が上昇することにより、上部下パンチ3を突き上げ、上部下パンチ3の上端面はダイス8の上端面と一致する。これによって、焼結のリング磁石7と、、ローターシャフトと成形体が一体となった成形体付きローターがノックアウトされた。焼結のリング磁石7上部に配置されていたスペーサー6も同時にノックアウトされるが、これは、その後容易に除去することができた。
次に、この成形体付きローターを熱処理用の炉に入れ、180℃で1.5時間の熱処理を行ったところ、金属粉の混合物内のエポキシ樹脂が軟化して金属粉粒界に均一に行き渡るため、金属粉の混合物は機械的強度が増加したボンド軟磁性体に変わった。熱処理完了後の焼結リング磁石ローターの平面図を図8に、断面図を図9に示す。ローターシャフトのうち、ボンド軟磁性体で覆われていない突出した部分はその後にローター形状の仕様に基づいて加工した。加工後に、全体を覆うように樹脂塗装膜を形成した。なお、図9では樹脂粗糖膜等の表面被覆の図示は省略した。
このようにして得た焼結リング磁石ローターは、ボンド軟磁性体16(成形体)がローターシャフト15とリング磁石7に挟まれている為に、ねじれ応力に対しても十分に耐えられるものとなった。また、同様の焼結リング磁石ローターを多数個作製し、超音波探傷試験機により、焼結リング磁石の表面や内部にクラック等の欠陥が生成されていないか検査した。その結果、全数でクラックのないことを確認することができた。さらに、金型によりリング磁石とローターシャフトの位置決めを行い、それらの間に均一なボンド体を形成しているので、リング磁石とローターシャフトの各々の軸中心がほぼ一致するものを得ることができた。
(実施例2)
図10の断面図に別の実施例を示す。図10に示した焼結リング磁石ローターはボンド軟磁性体17部分の体積が減少させてあり、ローターの軽量化、省スペース化を図った例である。このローターの場合、全般的な製作工程は前述の実施例1の場合と同様であるが、金属粉の混合物を成形するための上下パンチの形状に変更がある。すなわち、図11の断面図の金型構造に示すように、上下パンチの先端20,21が先細りする形状となっている。これによって成形された金属粉の混合物の外形状は図10のボンド軟磁性体17のようになり、出来上がった焼結リング磁石ローターは慣性モーメントの小さい軽量のローターとなった。なお、本発明の製造方法では偏芯が抑制されているため、金属棒5に代えて形状を出したローターシャフトを用い、前記ローターシャフトに合わせて挿入穴の寸法を調整すべく金型を構成したところ、問題なく焼結リング磁石ローターを作製することができた。
本発明は、モーターなどに用いられる永久磁石とローターシャフトを備える磁石ローターの構造とその製造方法として利用することができる。
本発明の焼結リング磁石ローターの製造に用いる装置の断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 本発明のプレス工程を説明する断面図である。 焼結リング磁石ローターの平面図である。 焼結リング磁石ローターの断面図である。 他の焼結リング磁石ローターの断面図である。 本発明の他の焼結リング磁石ローターの製造に用いる装置の断面図である。
符号の説明
1 突起、 2 下部下パンチ、 3 上部下パンチ、 4 突起、 5 金属棒、
6 スペーサー、 7 リング磁石、 8 ダイス、 9 下パンチガイド、
10 成形空間、 11 リング磁石の上端面の位置、 12 給粉機、
13 混合物、 14 上パンチ、 15 ローターシャフト、
16 ボンド軟磁性体、 17 ボンド軟磁性体、
20 上パンチの先端、 21 下パンチの先端

Claims (7)

  1. 焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターであって、
    前記焼結リング磁石は、金属粉末とバインダーを備えるボンド体を介して前記ローターシャフトに固定されていることを特徴とする焼結リング磁石ローター。
  2. 前記ボンド体の単位質量当たり、前記バインダーが0.3〜3質量%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の焼結リング磁石ローター。
  3. 焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターの製造方法であって、
    焼結リング磁石とローターシャフトとの隙間に、金属粉末とバインダーの混合物を加圧成形したボンド体を挿入し、
    ついで、熱処理を施すことにより、前記ボンド体で焼結リング磁石とローターシャフトを一体化したことを特徴とする焼結リング磁石ローターの製造方法。
  4. 焼結リング磁石と、前記焼結リング磁石の内径側に設けたローターシャフトを有する焼結リング磁石ローターの製造方法であって、
    前記焼結リング磁石をあらかじめ金型内に装填し、
    その後、前記焼結リング磁石とローターシャフトを結合させるために、金属粉末とバインダーの混合物を金型内に充填し、
    前記混合物のみを選択的に成形することにより、前記焼結リング磁石と前記ローターシャフトを一体化させることを特徴とする焼結リング磁石ローターの製造方法。
  5. 前記焼結リング磁石をあらかじめ装填する金型の内径と、前記焼結リング磁石の外径との差は、0.04μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の焼結リング磁石ローターの製造方法。
  6. 前記バインダーは、アミノシランカプリング剤、エポキシ樹脂、もしくはエポキシ樹脂とアミノシランカプリング剤を混合させたものから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の焼結リング磁石ローターの製造方法。
  7. 前記金属粉末及び前記バインダーの単位質量当たり、前記バインダーが0.3〜3質量%含有されていることを特徴とする請求項4に記載の焼結リング磁石ローターの製造方法。
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