JP2005045239A - 窒化物半導体レーザ素子及びそれを用いたld装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誤作動が少なく、また、良好なFFPを有する窒化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 窒化物半導体基板と、その上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層が積層されてなる窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層にストライプ状のレーザ光の導波路領域を有すると共に、その導波路領域と略垂直な両端面に端面保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子であって、
前記窒化物半導体基板は、前記活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有し、
前記端面保護膜は、前記励起領域からの発光波長に対して高反射率を有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化物半導体を用いた半導体層の端面に誘電体保護膜が形成された半導体レーザ素子に関し、特に、窒化物半導体基板を用いた高出力の半導体レーザ素子に関するものである。半導体素子の具体的な組成としては、GaN、AlN、若しくはInN、又はこれらの混晶であるAlGaN系、InGaN系、AlInGaN系を含むIII−V族窒化物半導体が挙げられる。
背景従来
窒化物半導体素子は、比較的短波長の紫外線領域から赤色を含む可視光領域までの広い波長領域の発光を有しており、半導体レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)などを構成する材料として広く用いられている。近年は、小型化、長寿命化、高信頼性、かつ高出力化が進み、主にパーソナルコンピュータ、DVDなどの電子機器、医療機器、加工機器や光ファイバ通信の光源などに利用されている。
このような窒化物半導体素子は、主としてサファイア基板上にバッファ層、n型コンタクト層、クラック防止層、n型クラッド層、n型光ガイド層、活性層、p型電子閉じ込め層、p型光ガイド層、p型クラッド層、p型コンタクト層などが順に積層された積層構造体からなっている。また、エッチングによりストライプ状のリッジを形成したり、あるいは、電流狭窄層を形成したりすることによりストライプ状の導波路領域が形成されている。n型コンタクト層とp型コンタクト層にはそれぞれn側電極、p側電極が設けられ、通電により活性層から発光させているものである。さらに所定の共振器長で導波路領域の両端面に共振器面が形成されており、この共振器面からレーザ光が放出される。
このような共振器面には、絶縁性の保護膜などが形成されており、これによって半導体層を外気から保護すると共に、出射側とリア側との反射率差を設けている。リア側の保護膜は、出射側の保護膜に比して反射率の高い保護膜とすることで出力を向上させることができる。
また、リア側と出射側との反射率差の大きい保護膜を有する半導体レーザ素子は、導波路領域から漏れだす光(迷光)がリア側から放出されにくく、出射側の端面から放出されるようになる。そのため、その迷光によってファーフィールドパターン(FFP)にノイズ(凹凸)が生じ、非ガウス分布になってしまう場合がある。これらの迷光が外部に放出されるのを防ぐために、基板の端面などを被覆するように金属膜などからなる不透明膜を形成することができる。
特開2002−280663号公報
しかしながら、出射側共振面の一部に不透明膜を設けようとすると、そのためにマスク形成工程などの工程を増やす必要がある。特に、ウエハをバー状に分割し、そのバー状レーザの端面に端面保護膜を形成する場合は、位置精度よくマスクを形成すること自体が困難であるので、そのマスクによって端面保護膜の形成領域を制御するのはさらに困難である。特に不透明膜として金属材料を用いる場合は、位置精度の制御性が低いと短絡の原因となるなどの問題がある。また、不透明膜を広い領域に渡って形成させると、金属材料と半導体層との熱膨張係数差によって、材料によっては不透明膜と半導体層、あるいは他の保護膜等との密着性が低下して剥がれやすくなるなどの問題が生じる。
そこで、本発明は、出射側端面から放出される迷光によるFFPの悪化を抑制して、良好なビーム特性が得られ、かつ、素子駆動時において誤動作が少なく、また、寿命特性に優れた窒化物半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、レーザ光と迷光を、レーザ素子の端面膜がそれら区別して制御可能なものとして、該端面膜でそれを高度に制御すること、すなわち、レーザ素子のLD光は効率よく取り出し、他方迷光成分は効率よく閉じこめて、放出させないようにする2つの機能を同時に満たせるレーザ素子が得られることを見いだし、本発明を成すに至った。本発明の窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板と、その上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層が積層されてなる窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層にストライプ状のレーザ光の導波路領域を有すると共に、その導波路領域と略垂直な両端面に端面保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子であって、窒化物半導体基板は、活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有し、端面保護膜は、励起光からの発光波長に対して高反射率を有することを特徴とする。具体的には、窒化物半導体レーザ素子の発光波長をλLD、前記励起光の波長をλexとすると、前記端面保護膜は、その反射率が、λLDよりもλexの方が大きくなる保護膜である。すなわち、レーザ光波長λLDの反射率よりも、基板の励起光波長λexの反射率が高くなる端面保護膜を用いることである。従って、励起光波長λexの方が高い反射率の励起光用の高反射率端面保護膜である。さらには、レーザ光波長λLDに対しては、保護膜の透過率が、励起光波長λexより高くなる端面保護膜であることで、レーザ光を効率的に取り出すことと、励起光を効率的に遮断することの両方が達成でき好ましい。
活性層から発光される光は、縦方向(積層面に対して略垂直な方向)においては活性層よりも屈折率の低いクラッド層に挟まれた領域(活性層及びガイド層)内に閉じ込められ、また、横方向(積層面に対して水平な方向)においては、電流注入領域と対応するようストライプ状に閉じ込められている。このように活性層からの光が閉じ込められた領域に共振器面を形成することで、ストライプ状の導波路領域が形成されている。しかし、導波路領域内から、それ以外の領域にも光は漏れ出している。本願では、このような導波路領域から漏れ出した光(迷光)を透過しないような不透明膜を設けるのではなく、迷光を異なる波長に変換してその変換された波長に対して高反射率の端面保護膜を形成させることで、レーザ光にノイズが混ざるのを抑制している。本発明において、具体的には、高反射率としては、約50%〜100%の反射率であり、好ましくは70〜100%であり、低反射率としては、窒化ガリウム系化合物半導体の保護膜無し端面における反射率の約18%、及びそれ以下の範囲で用いることができる。
本発明の請求項2に記載の窒化物半導体レーザ素子は、端面保護膜は、出射側端面とリア側端面の両方に設けられていることを特徴とする。
このような構成とすることで、迷光が外部に放出されるのを、効率よく抑制することができる。具体的には、共振器方向、出射光及びそれに対向する反射光(リア側端面からの光)の光路上、その一部にそれらのレーザ素子からの光が光検出器であるPDに照射される。そして、該光検出器で各光の出力などを検出して、その情報に基づいてレーザ素子の駆動を制御する。そのため、このPDにおいて雑音成分である励起光成分が排除されていればよくなり、上記の通り、共振器の両端面に少なくとも上記保護膜が設けられることで、その雑音成分除去を達成でき好ましい。更に好ましくは、共振器端面とは異なるレーザ素子端面、例えば共振器方向に沿う方向の側面、底面においても、上記保護膜が設けられることで、素子からの励起光成分をほぼ完全に排除できるためLD装置内に励起光がなくなり、PDの検出感度精度を高めることができる。しかし、上述したように、LD装置において、光検出器は、出射光、反射光(リア側端面からの光)で照射される位置に配されているため、この共振器端面、特にPDが検出する光が出射する端面側に少なくとも、上記高反射率保護膜が設けられることでその効果を奏する。さらに、光強度、密度の大きな光の主な出射口となる共振器の両端面に保護膜が設けられると、レーザ素子から放出される全体の雑音成分の内、ほとんどの部分を除去できるためさらに好ましい。
本発明の請求項3に記載の窒化物半導体レーザ素子は、端面保護膜は、活性層からの発光波長に対して、低反射率を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、レーザ光が発振可能で、且つ、迷光を吸収して励起された励起光の外部への放出を抑制可能な端面保護膜とすることができる。
本発明の請求項4に記載の窒化物半導体レーザ素子は、端面保護膜は、単層又は多層構造であることを特徴とする。
このような構成とすることで、所望の反射率の端面保護膜となるように調整することができる。端面保護膜は、反射率や屈折率、或いは透過率を考慮するだけでなく、熱膨張係数や応力等も考慮して材料を選択する必要があるが、多層構造とすることで種々の組み合わせを選択することができ、より優れた機能を有する端面保護膜とすることができる。
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板と、その上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層が積層されてなる窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層にストライプ状のレーザ光の導波路領域を有すると共に、その導波路領域と略垂直な端面に、出射側端面保護膜及びその反対のリア側端面保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子であって、窒化物半導体基板は、活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有し、リア側端面保護膜は、励起光の波長に対して高反射率を有する第1の端面保護膜と、活性層からの発光波長に対して高反射率を有する第2の端面保護膜とを備え、出射側端面保護膜は、励起光の波長に対して高反射率を有する第3の端面保護膜を備えてなることを特徴とする。具体的には、レーザ光波長λLD、励起光波長λexの反射率において、励起光側が大きくなる第1,3の端面保護膜と、レーザ光側が大きくなる第2の端面保護膜とを有する構造であり、すなわち、各端面保護膜に、それぞれレーザ光の反射、励起光の反射に優れた保護膜を設けることで、それぞれの膜に機能分離させた端面保護膜の組合せである。
このような構成とすることで、リア側から励起光が外部に放出されるのを抑制することができるので、リア側に検出器(フォトダイオード)を設けて駆動制御する場合等の誤作動を抑制することができる。特に、活性層からの発光波長よりも励起光の発光波長が長いので、弱い光でも認識し易くなる。図4は一般的なフォトダイオード(PD)であるSiの分光感度曲線であるが、感度のピークが赤外領域にあり、長波長の発光を認識し易い。そのため、窒化物半導体を用いたレーザ素子のように、波長が比較的短く、例えば390〜420nm付近の発光波長を有する場合、その光を吸収して、550〜600nm付近の波長の励起光を発光する場合、PDの感度は3倍近くまで高くなる。そうなると、例えレーザ光ではない弱い光であっても認識しやすくなる。リア側から放出される光が、励起光ではなく、レーザ光と同じ波長の弱い光である迷光の場合、PDの感度についてはレーザ光と同じであるため、迷光によってPDの感度に大きく影響与えることはない。本発明では、迷光を吸収させて励起光とし、その励起光に対して高い反射率の端面保護膜を形成することで、出射側からもリア側からも励起光が放出されるのを抑制して、優れたレーザ素子特性を得ることができる。
本発明の請求項6に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第1の端面保護膜及び/又は第3の端面保護膜は、活性層からの発光波長に対して、低反射率を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、レーザ光が第1及び第3の端面保護膜によって反射率が低下するのを抑制し、閾値を低下させることができる。
本発明の請求項7に記載の窒化物半導体レーザ素子は、出射側端面保護膜は、活性層からに発光波長に対して高反射率を有する第4の端面保護膜を有することを特徴とする。また、本発明の請求項8に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第1の端面保護膜、第2の端面保護膜、第3の端面保護膜、第4の端面保護膜は、それぞれ単層又は多層構造であることを特徴とする。
このような構成とすることで、出射側とリア側の反射率を所望の値に調整し易くなり、用途に応じた反射率を得ることができる。
本発明の請求項9に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第1の端面保護膜と、第2の端面保護膜は、少なくとも一部が重なるよう積層されていることを特徴とする。また、本発明の請求項10に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第3の端面保護膜と、第4の端面保護膜は、少なくとも一部が重なるよう積層されていることを特徴とする。
第1の端面保護膜と第2の端面保護膜は、それぞれ反射する発光波長が異なるため、積層させたとしても、それぞれ目的の波長の光に対して高反射率を保持することができる。第3の端面保護膜と第4の端面保護膜についても同様である。
本発明の請求項11に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第2の端面保護膜は、半導体層に接して形成されていることを特徴とする。また、本発明の請求項12に記載の窒化物半導体レーザ素子は、第4の端面保護膜は、前記半導体層に接して形成されていることを特徴とする。
励起光は、活性層からの発光波長よりも長波長であるため、エネルギー的にも低く、また、導波路領域から漏れだした迷光によって励起された光であるため、導波路領域のレーザ光に比して、光密度も低い。そのため、活性層からの発光に対して高反射率の端面保護膜を半導体層に接するように設けることで、励起光に対する端面保護膜の劣化を抑制するとともに、モードの安定したレーザ光を得ることができる。
本発明の請求項13に記載の窒化物半導体レーザ素子は、励起領域は、その周辺領域に比して転位密度が低いことを特徴とする。具体的には、基板面内において、転位密度が低い領域と高い領域とを有する窒化物半導体基板で、その低い領域を励起領域として機能させ、基板を伝搬する迷光を光変換して、上記端面保護膜で制御可能な励起光として、レーザ素子から放出される迷光を防ぐことができる。
本発明の請求項14に記載の窒化物半導体レーザ素子は、励起領域は、その周辺領域に比して不純物濃度が高いことを特徴とする。具体的には、基板面内において、不純物濃度が低い領域と高い領域とを有する窒化物半導体基板で、その高い領域を励起領域として機能させることで、上記各構成、効果を引き出すことができる。
本発明の請求項15に記載の窒化物半導体レーザ素子は、不純物は、H、O、C、Siのうちの少なくとも一種であることを特徴とする。
本発明の請求項16に記載の窒化物半導体レーザ素子は、活性層からの発光波長は、390〜420nmであることを特徴とする。
本発明の請求項17に記載の窒化物半導体レーザ素子は、励起光の波長は、550〜600nmであることを特徴とする。
本発明の請求項18に記載の窒化物半導体レーザ素子は、励起領域は、導波路領域と略平行なストライプ状に形成されていることを特徴とする。具体的には、励起領域として、上述した基板面内における高不純物濃度領域、低転位密度領域を、ストライプ形状として、該ストライプ方向と、導波路として、そのリッジストライプのストライプ方向とを、ほぼ平行に設けることである。このように、平行に設けることは、ストライプ状の導波路領域を発生源として、その縦方向、横方向にしみ出した光が励起光に変換される光となるため、導波路領域、励起領域を互いにほぼ平行とすることで、上述した光変換、励起光生成が好適に成される。
本発明の請求項19に記載の窒化物半導体レーザ素子は、導波路領域は、励起領域の上方に形成されていることを特徴とする。具体的には、励起領域として、上述した基板面内における高不純物濃度領域、低転位密度領域が、基板面内において、その領域と少なくとも一部で重なり合うように、半導体層の導波路領域を設けるものである。好ましくは、導波路領域のほぼ全面が励起領域に覆われるように設けることである。全面レーザ素子構造がリッジ導波路である場合には、ストライプ状のリッジに基板面内で重なるように、好ましくはそのリッジストライプよりも幅広な励起領域で、リッジを覆うように設けることで、効率的な励起光生成、迷光の光変換が可能となる。
本発明の請求項20に記載の窒化物半導体レーザ素子は、導波路領域は、励起領域から離間する領域に形成されていることを特徴とする。具体的には、基板面内において、励起領域と基板上のレーザ素子構造の導波路領域とが離れて設けられた構造であり、例えば、励起領域、導波路領域とがストライプ状である場合に、該ストライプがその長手方向をほぼ同じにして、互いにほぼ平行して、設けられる構造がある。
本発明の請求項21に記載のLD装置は、上記窒化物半導体レーザ素子と、そのレーザ光を検出する光検出器であるPD(フォトダイオード)とを有して、そのPDの分光感度が、レーザ光波長λLDより励起光波長λexの方が大きいことを特徴としている。すなわち、[λLDの感度]<[λexの感度]の分光感度を揺するフォトダイオードを、光検出器として備えたLD装置であり、励起光に対して感度の高いPDを用いたLD装置において、上記端面保護膜による励起光封じ込め機能が好適に作用して、僅かな励起光の漏れでもLD駆動に深刻な影響を及ぼすLD装置であっても、高精度でLD駆動を制御可能とできる。これは、通常フォトダイオードとして用いられるSi半導体では、ワイドバンドギャップの窒化物半導体レーザ素子の波長域に、感度良好なPDではないため、そのPDを光検出器に用いたLD装置では、窒化物半導体レーザ素子を高精度に制御することを困難なものとしていたが、これを解決できる。また、具体的なLD装置としては、レーザ素子チップとPDチップとをそれぞれの実装部に実装して、LD装置が有する各電極端子に、ワイヤなどで接続したCANタイプのレーザ素子装置の他に、レーザ素子チップ、PDチップ、それらを駆動させ、外部端子を供給する電気回路を、高密度に実装した集積構造のレーザ・カプラなどのLD装置がある。レーザ・カプラでは、レーザ素子チップとPDチップとが積層されて実装されたスタック素子とし、レーザ素子側、PDチップ側を更に別の実装基板、基体に実装したものなどがある。このとき、レーザ素子は、上記窒化物半導体レーザ素子の1種類だけが搭載されたものに限らず、他の波長のレーザ光を出射する第2のレーザ素子などを有していても良く、すなわち複数のレーザ素子、多波長のLD装置とすることもできる。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基板内で迷光を吸収させることでレーザ光に迷光が混ざってFFPを悪化させるのを抑制するとともに、その迷光を吸収して励起光を発生させてその励起光を外部に放出されないよう高反射率の端面保護膜を形成することで、より安定したレーザ光とすることができる。また、リア側においても、活性層からの発光波長より長波長の励起光が検出器を誤作動させないように高反射率の端面保護膜を形成することで、制御性よく駆動させることができ、信頼性に優れた半導体レーザ素子とすることができる。
以下、本発明について説明するが、本発明の窒化物半導体レーザ素子は、実施の形態に示された素子構造に限定されるものではない。
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有する窒化物半導体基板を用いることで、レーザ光の導波路領域から漏れ出す光(迷光)が、外部に放出されるのを抑制するものである。これによって、良好な素子特性とすることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る窒化物半導体素子の構成を表すものであって、窒化物半導体基板101上に、n型窒化物半導体層102、活性層104、p型窒化物半導体層103が積層され、p型窒化物半導体層にストライプ状のリッジが設けられた窒化物半導体レーザ素子である。リッジは、p型窒化物半導体層の一部をエッチング等の手段により除去することで形成することができ、これにより実効屈折率型の導波路を形成することができる。また、リッジとしては、p型窒化物半導体層からn型窒化物半導体層までの一部をエッチングすることで形成して、屈折率型の導波路としてもよく、又は、選択成長によりリッジを形成してもよい。リッジは、底面側の幅が広く上面に近づくに従ってストライプ幅が小さくなる順メサ形状に限らず、逆にリッジ底面に近づくにつれてストライプの幅が小さくなる逆メサ形状でもよく、また、積層面に垂直な側面を有するストライプであってもよく、これらが組み合わされた形状でもよい。また、ストライプ状の導波路は、その幅がほぼ同じである必要はない。また、このようなリッジを形成した後にリッジ表面やリッジ両脇に半導体層を再成長させた埋め込み型のレーザ素子であってもよい。また、リッジを有しない利得導波型の導波路としてもよい。
リッジの側面及びそのリッジから連続するp型窒化物半導体層の上面にかけて第1の絶縁膜109が形成されている。リッジ上面及び第1の絶縁膜の上面にはp側オーミック電極105が、また、窒化物半導体基板の裏面にはn側電極107が設けられている。また、半導体層の側面を被覆する第2の絶縁膜108が、第1の絶縁膜の上部にまで連続するよう設けられている。p型窒化物半導体層の上部には、第2の絶縁膜及びp側オーミック電極と接するp側パッド電極106が設けられている。
(窒化物半導体基板)
用いられる基板の組成としては、GaN、AlN、若しくはInN、又はこれらの混晶であるAlGaN系、InGaN系、AlInGaN系をあげることができる。これらの基板は、次のような方法で作製することができる。
基板となる前記窒化物半導体は、例えばハライド気相成長法(以下、HVPE法)により異種基板上に窒化物半導体を100μm以上に厚膜成長させ、その後異種基板を除去することによって形成する。ここで、異種基板を除去した面は窒化物半導体の(000−1)面であって、(000−1)面以外の傾斜面はドライエッチングやウェットエッチング、ケミカルメカニカルポリッシュ(以下、CMPという。)によって形成される。さらに、前記窒化物半導体の2軸結晶法による(0002)回折X線ロッキングカーブの半値幅が3分以内、さらに望ましくは2分以内の窒化物半導体とすれば、異種基板を除去する工程においても、窒化物半導体にダメージを与えにくく、100μm以上の窒化物半導体を良好な結晶性を保ったまま得ることができる。その後、前記窒化物半導体の(0001)面上に新規な窒化物半導体素子を作製する。また、窒化物半導体の裏面には第1の電極が形成されている。
前記窒化物半導体は、一般式InAlGa1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、0≦X+Y≦1)である。前記窒化物半導体はAlGa1−aN(0.01≦a≦0.5)で示されるバッファ層を介して異種基板上に形成されるのが好ましい。結晶性を向上させるためである。該バッファ層の成長温度としては、800℃以下の低温成長とし、これにより、窒化物半導体上の転位やピットを低減させることができる。有機金属気相成長法(以下、MOCVD法)で前記異種基板上にバッファ層を成長後、更にラテラルオーバーグロウス法(ELO法)によりAlGa1−xN(0≦X≦1)層を成長させてもよい。このELO法とは窒化物半導体を横方向成長させることで貫通転位を曲げて、更には該貫通転位同士を収束させることにより表面上の貫通転位を低減させ結晶性を向上させるものである。
窒化物半導体基板を成長させるための成長基板としてGaAs基板又はサファイア基板、SiC基板、Si基板、スピネル基板、NdGaO基板、ZnO基板、GaP基板、GaN基板等種々の基板を用いることができる。
上記のように横方向成長を伴う成長方法によって窒化物半導体層を成長させ、それを基板とすることで、転位密度(欠陥密度)等が、成長起点の形状に対応するような位置で不均一となる基板とすることができる。また、不純物をドープしながら成長させるのが好ましく、上記転位密度の分布状態に対応するように不純物濃度の不均一領域も形成させる。
上記のような低転位密度領域は、成長起点の形状によってその分布状態を選択する事ができるが、レーザ光の導波路領域をストライプ状に形成するので、それに対応してストライプ状に成長起点を形成するのが好ましい。そして、ストライプ状に周期的に配列された成長起点から窒化物半導体層を成長させることで、転位密度が低く結晶性に優れた領域と、それとは逆に、転位が多く、結晶性が悪い領域(転位束)とが、周期的に形成された窒化物半導体基板とすることができる。この転位束は、その上に窒化物半導体層を成長しにくく、成長された層の結晶性もよいとはいえない。そのため、素子駆動時に悪影響を与えやすいので、導波路領域などの動作領域は、転位束以外の領域に形成させるのが好ましく、例えば、図1(b)に示すように、素子の分割位置近傍になるように調整することで、素子特性の悪化を抑制することができる。
また、窒化物半導体基板は、不純物をドープするなどして導電性とすることで、図1に示すように、基板裏面側にn電極を設けることができる。また、絶縁性もしくは低導電性の基板でもよく、その場合は、p電極と同一面側にn電極を設ける。また、窒化物半導体基板の膜厚としては、ハンドリング時の強度等を考慮して、約100μm程度あればよい。
(励起領域)
上記のように成長基板上に成長される窒化物半導体基板は、横方向成長によって成長される領域を有しており、結晶の特性が面内で均一にはなりにくく、転位密度や不純物濃度が、異なる領域が形成される。特に、転位密度が低い領域は、活性層からの発光波長を吸収しやすいため、励起領域となる。励起領域は、用いる成長基板の種類や、窒化物半導体層の成長条件(温度、ガス流量、圧力、不純物の種類及び濃度等)等によって、形成された状態が異なる。そのため、励起領域と非励起領域との境界があまりなく、ほぼ全面にわたって弱い励起光を有する励起領域とすることもできるし、図1(b)に示すように局所的に強い励起光を有するような励起領域112を形成させることができ、このような基板の励起領域の形状、その分布は、上記基板の種類、成長条件に依存する。これらは、目的や用途に応じて好ましい形態を選択することができる。
また、このような励起領域は、レーザ光の導波路領域と対応するように、具体的には基板面内で励起領域と導波路領域、リッジストライプが重なり合うように、ストライプ状に形成するのが好ましい。
また、このような励起領域の上に成長される窒化物半導体層に導波路領域を形成することで、良好なレーザ光の導波路領域を得ることができる。励起領域を導波路領域と対応するような位置となるように形成することで、迷光の吸収効率が向上するので、導波路領域近傍に設けるのが好ましい。ただし、吸収があまり多いと、閾値低下の原因となる場合があるので、そのような場合は、励起領域から離間する位置に、具体的には基板面内で励起領域と導波路領域、リッジストライプが離れて設けられ、成長された窒化物半導体に導波路領域を形成させることができる。また、励起領域は、活性層からの発光波長を吸収し、かつ、それによって励起光を発光可能であればよいので、具体的には、励起領域がそれ以外の一部領域に比して強い励起光を得ることができればよいので、上記のような窒化物半導体基板の成長方法によって転位密度や不純物の調整によって形成させることのほかに、後工程でイオンを注入するなどの方法で励起領域を形成することもできる。
(端面保護膜)
本発明において、端面保護膜は、励起領域からの発光波長に対して高反射率を有するものである。この端面保護膜は、単層構造でもよく、或いは多層構造でもよい。導波路領域から漏れ出した迷光を吸収して発生する励起光であるため、導波路領域から外部に出射されるレーザ光に比して、強度は低い。そのため、レーザ光の出射の妨げにならない程度の反射率とするのが好ましい。波長が異なるためレーザ光は反射されにくいが、材料によっては吸収されることもあり、また、透過するといっても多少のロスを生じるため、膜厚は薄くするのが好ましい。
端面保護膜として、励起光の波長に対しての端面保護膜だけでなく、レーザ光の波長に対しての端面保護膜も合わせて設けることで、より効率よくレーザ光を出射させることができる。リア側端面に設ける保護膜のうち、励起光に対して高反射率の保護膜を第1の端面保護膜とし、導波路領域の発光波長に対して高反射率の保護膜を第2の端面保護膜とする。また、出射側の端面に設ける保護膜のうち、励起光に対して高反射率の保護膜を第3の端面保護膜とし、導波路領域の発光波長に対して高反射率の保護膜を第4の端面保護膜とする。
第1及び第2の端面保護膜は、どちらが半導体層に接していてもよいが、好ましくは、第2の端面保護膜が半導体層に接するように設ける。これによって、第1の端面保護膜の劣化を抑制することができる。
出射側の端面に第3の端面保護膜のみを設ける場合は、励起光の波長に対して高反射率となるよう膜厚を設定し、それを出射側端面の全面に設ける。励起光が外部に放出される領域のみに設けることでもよいが、レーザ光出射部の端面に設けることで、活性層等の半導体層が外気に曝されるのを防ぐ保護膜として機能させることができる。励起光とレーザ光とは波長が異なるので、レーザ光を遮られにくい。具体的には、上述したように励起領域と導波路領域とが対応する場合には、基板端面の励起領域を覆うように、更に好ましくは基板とその上の素子構造において、それぞれ基板の励起領域と、活性層を含む素子構造端面の導波路領域とを覆うように、保護膜を設けることが好ましい。
また、出射側の端面に、第3の端面保護膜に加えて第4の端面保護膜を設けることができる。この場合、第4の端面保護膜を半導体層と接するように設けることで、光密度の高いレーザ光によって第3の端面保護膜が劣化するのを抑制できる。また、出射側にも保護膜を設けて反射率を調整することで、レーザ光を効率よく出射させることができ、閾値を低下させることが可能となる。励起光は、第4の保護膜で反射されずに透過し、第1の保護膜で反射され、外部には放出されない。
端面保護膜の具体的な材料としては、導体材料としては、Si、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、B、Ti、更にはこれらの酸化物、窒化物、フッ化物などの化合物から選ばれたいずれかを用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせた化合物或いは多層膜として用いてもよい。好ましい材料としてはSi、Mg、Al、Hf、Zr、Y、Gaを用いた材料である。また、また、半導体材料としてはAlN、AlGaN、BNなどを用いることができる。絶縁体材料としてはSi、Mg、Al、Hf、Nb、Zr、Sc、Ta、Ga、Zn、Y、Bの酸化物、窒化物、フッ化物等などの化合物を用いることができる。
第1〜第4の端面保護膜の好ましい材料としては、例えば、以下のような組み合わせをあげることができる。
A:第1の端面保護膜(励起光に対するリア側端面保護膜)
GaN/ZrO+(SiO/ZrO)の1ペア〜3ペア
GaN/TiO+(SiO/TiO)の1ペア〜3ペア
B:第2の端面保護膜(活性層からの発光に対するリア側端面保護膜)
GaN/ZrO+(SiO/ZrO)の3ペア〜6ペア
GaN/TiO+(SiO/TiO)の3ペア〜6ペア
C:第3の端面保護膜(励起光に対する出射側端面保護膜)
GaN/(SiO/Nb)の1ペア〜2ペア
GaN/(Al/Nb)の1ペア〜2ペア
GaN/(Al/TiO)の1ペア〜2ペア
GaN/Al+(SiO/Nb)の1ペア〜3ペア
D:第4の端面保護膜(活性層からの発光に対する出射側端面保護膜)
GaN/ZrO+(SiO/ZrO)の1ペア〜3ペア
GaN/TiO+(SiO/TiO)の1ペア〜3ペア
上記の組み合わせで、それぞれ波長に応じた膜厚とすることで、優れた特性を有するレーザ素子とすることができる。
(電極)
p型窒化物半導体層に設けられるp側オーミック電極の電極材料としては、p型窒化物半導体層とオーミック性及び密着性が高い材料を選択することができ、具体的には、Ni、Co、Fe、Cr、Al、Cu、Au、W、Mo、Ta、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os及びこれらの酸化物、窒化物等があげられ、これらの単層、合金、或いは多層膜を用いることができる。好ましくは、Ni、Co、Fe、Cu、Au、Alから選択される少なくとも1種、及びこれらの酸化物、窒化物等である。
p側オーミック電極は熱処理によって良好なオーミック性を実現できる。熱処理温度としては、350℃〜1200℃の温度範囲とするのが好ましく、更に好ましくは400℃〜750℃で、特に好ましくは500℃〜650℃である。
また、p側パッド電極の電極材料としては、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Au、W、Zr、Mo、Ta、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os及びこれらの酸化物、窒化物等があげられ、これらの単層、合金、或いは多層膜を用いることができる。最上層はワイヤ等を接続させるのでAuを用いるのが好ましい。そして、このAuが拡散しないようにその下層には拡散防止層として機能する比較的高融点の材料を用いるのが好ましい。例えば、Ti、Pt、W、Ta、Mo、TiN等が挙げられ、特に好ましい材料としてはTiが挙げられる。膜厚としては、総膜厚として3000Å〜20000Åが好ましく、更に好ましくは7000Å〜13000Åの範囲である。
n型窒化物半導体層に設けられるn電極は、窒化物半導体基板が導電性である場合は、その基板の裏面に設けるのが好ましい。或いは、エッチング等で露出させた面に形成させてもよい。また、n型コンタクト層に設けることもできる。p電極と同一面側に設ける場合は、オーミック電極とパッド電極とを、同一工程で形成してもよく、或いは別工程で形成してもよい。また、材料によっては熱処理を省略することもできる。
n側オーミック電極としては、n型窒化物半導体層とオーミック性及び密着性が高い材料を選択することができ、具体的には、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Au、W、V、Zr、Mo、Ta、Al、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os等があげられ、これらの単層、合金、或いは多層膜を用いることができる。好ましくは、Ti、Alを順に積層した多層構造である。n側オーミック電極形成後は、半導体層とのオーミック性を良くするために、材料によっては熱処理を行うことが好ましい場合がある。また、n側オーミック電極の膜厚としては、総膜厚として100Å〜30000Å程度が好ましく、更に3000Å〜15000Å程度が好ましく、特に好ましくは5000Å〜10000Åである。この範囲内で形成することで、接触抵抗の低い電極とすることができるので好ましい。
また、n側パッド電極の電極材料としては、Ni、Co、Fe、Ti、Cu、Au、W、Zr、Mo、Ta、Al、Ag、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru、Os等があげられ、これらの単層、合金、或いは多層膜を用いることができる。好ましくは多層膜とし、最上層はワイヤ等を接続させるのでAuを用いるのが好ましい。そして、このAuが拡散しないようにその下層には拡散防止層として機能する比較的高融点の材料を用いるのが好ましい。例えば、Ti、Pt、W、Mo、TiN等が挙げられる。膜厚としては、総膜厚として3000Å〜20000Åが好ましく、更に好ましくは7000Å〜13000Åの範囲である。
n側電極は、上記のようにオーミック電極とパッド電極とを別工程で設けるのではなく、連続して形成して両方の機能を兼ねる、すなわち、半導体層とオーミック接触するオーミック電極で、且つ、ワイヤを形成させる取り出し電極(パッド電極)とを兼用するn電極とすることもできる。これは、p側電極に比してn型半導体層とのオーミック接触が比較的容易であり、しかも、導波路領域からやや離間する領域であるため、光学特性をあまり考慮する必要がないため材料の自由度が大きいためである。このようなn電極の膜厚としては、総膜厚として3000Å〜20000Åが好ましく、更に好ましくは7000Å〜13000Åの範囲である。好ましい組み合わせとしては、Ti/Al、Hf/Al、Ti/Pt/Au、Ti/Mo/Pt/Au、Ti/Mo/Ti/Pt/Au、Ti/W/Pt/Au、Ti/W/Ti/Pt/Au、Mo/Pt/Au、Mo/Ti/Pt/Au、W/Pt/Au、V/Pt/Au、V/Mo/Pt/Au、V/W/Pt/Au、Cr/Pt/Au、Cr/Mo/Pt/Au、Cr/W/Pt/Au等をあげることができる。基板裏面にn電極を形成させる場合、Au/Snを用いてボンディングさせることで、電流を流すことができる。
第1の絶縁膜は、電流の注入領域をリッジ上面に限定するために設けているものであるが、導波路領域に近接して設けられているため光の閉じ込め効率にも作用するものであるので、用いる絶縁膜材料によって好ましい膜厚を選択することができる。第1の絶縁膜は、窒化物半導体層とほぼ同一幅となるように形成させることもできる。p側オーミック電極よりも前に形成される第1の絶縁膜は、オーミック電極の熱処理時に、共に熱処理される。熱処理されることで、単に堆積された膜に比して膜の強度(膜内の原子レベルでの結合力)が増し、半導体層との界面における接合強度も向上する。そのような第1の絶縁膜を、特に第2の絶縁膜が形成される半導体層上面の端部にまで形成することで、第2の絶縁膜の密着性も向上させることができる。
また、p側パッド電極は、第2の絶縁膜と接しないように形成することもできる。特に、ジャンクションダウンで用いる場合、p側パッド電極に熱が加わるが、その際に、熱膨張によって体積が大きくなって素子の側面方向(p型半導体層の端方向)に流出し易くなる。また、熱だけでなく、圧力も加わるので、それによっても電極材料が側面方向に流出しやすくなる。そのため第2の絶縁膜と離間させるようにすることで、p側パッド電極の電極材料が側面方向に流出して短絡が生じるのを防ぐことができる。
第1の絶縁膜の材料としてはSi、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、SiN、BN、SiC、AlN、AlGaNの内の少なくとも一種で形成することが望ましく、その中でもZr、Hf、Siの酸化物、BN、AlN、AlGaNを用いることが特に好ましい。
また、第1の絶縁膜の膜厚としては、具体的には、10Å以上10000Å以下の範囲、好ましくは100Å以上5000Å以下の範囲とすることである。なぜなら、10Å以下であると、電極の形成時に、十分な絶縁性を確保することが困難で、10000Å以上であると、かえって保護膜の均一性が失われ、良好な絶縁膜とならないからである。また、前記好ましい範囲にあることで、リッジ側面において、リッジとの間に良好な屈折率差を有する均一な膜が形成される。
第2の絶縁膜は、p側オーミック電極の、リッジ上部を除く全面に設けることができ、エッチングによって露出されたp型半導体層及び活性層の側部端面にも連続するように設けるのが好ましい。好ましい材料としては、Si、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、SiN、BN、SiC、AlN、AlGaNの内の少なくとも一種で形成することが望ましく、その中でも特に好ましい材料として、SiO、Al、ZrO、TiOなどの単層膜または多層膜を挙げることができる。
また、上記リッジのストライプ方向を共振器方向とするために、端面に設けられている一対の共振器面は、劈開又はエッチング等によって形成することができる。劈開で形成させる場合は、基板や半導体層が劈開性を有していることが好ましく、その劈開性を利用すると優れた鏡面を容易に得ることができる。また、劈開性がなくても、エッチングによって共振器面を形成させることができ、この場合はn電極形成面を露出させる際に同時に行うことで、少ない工程で得ることができる。また、リッジ形成と同時に形成することもできる。このように各工程と同時に形成させることで工程を少なくすることができるが、より優れた共振器面を得るためには、別工程を設けるのがよい。
具体的には、共振器面をエッチング端面とした場合には、例えば、エッチング端面を形成した後に、その端面(出射側、反射側)に、レーザ光用の高反射の(第2,4)端面保護膜を設けて、後述するように、基板を劈開してウエハをバー状として、露出した基板端面と前記エッチング端面とを覆うように励起光用の高反射膜の(第1,3)端面保護膜を形成することができる。このように、エッチング端面と、基板端面とで、異なる膜構造(層数、端面がレーザ光用と励起光用、基板端面が励起光用)とすることができる。
以下、実施例を説明するが、本発明において、窒化物半導体層を構成するn型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層のデバイス構造としては特に限定されず、種々の層構造を用いることができる。デバイスの構造としては、例えば後述の実施例に記載されているレーザのデバイス構造が挙げられるが、他のレーザ構造についても適用できる。窒化物半導体の具体的な例としては、GaN、AlN、若しくはInNなどの窒化物半導体や、これらの混晶であるIII−V族窒化物半導体、更には、これらにB、P等が含まれるもの等を用いることができる。窒化物半導体の成長は、MOVPE、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)等、窒化物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適用できる。
(窒化物半導体基板)
まず、2インチ、C面を主面とするサファイアよりなる異種基板をMOCVD反応容器内にセットし、温度を500℃にして、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH)を用い、GaNよりなるバッファ層を200Åの膜厚で成長させる。さらに、温度を1000℃以上にしてGaNより成る下地層を2.5μmで成長させる。その後、HVPE反応容器に移動する。原料にGaメタルとHClガス、アンモニアを用いて窒化物半導体1であるGaNを500μmで成長させる。次に、サファイアのみをエキシマレーザー照射で剥離し、CMPを行い膜厚450μmの窒化物半導体を形成する。
(n型コンタクト層)
続いて1050℃で、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガス、不純物ガスにシランガスを用い、Siドープのn−Al0.02Ga0.98Nよりなるn型コンタクト層を3.5μmの膜厚で成長させる。このn型コンタクト層の膜厚は2〜30μmであればよい。
(クラック防止層)
次に、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を800℃にしてSiドープのn−In0.05Ga0.95Nよりなるクラック防止層を0.15μmの膜厚で成長させる。
なお、窒化物半導体基板を導電性の基板とし、成長用基板を後で除去し、基板の裏面側にn電極を形成する場合は、窒化物半導体基板上に以下に述べるn型クラッド層から積層させることもできる。
(n型クラッド層)
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG及びアンモニアを用い、アンドープのAl0.05Ga0.095NよりなるA層と、SiをドープしたGaNよりなるB層をそれぞれ50Åの膜厚で成長させる。そして、この操作をそれぞれ110回繰り返してA層とB層を交互に積層して総膜厚1.1μmの多層膜(超格子構造)よりなるn型クラッド層を成長させる。この時、アンドープAlGaNのAlの混晶比としては、0.02以上0.3以下の範囲であれば、十分にクラッド層として機能する屈折率差を設けることができ、また単一膜構造で形成することもできる。
(n型光ガイド層)
次に、同様の温度で原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、アンドープのGaNよりなるn型光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。この層は、n型不純物をドープさせてもよい。
(活性層)
次に、温度を800℃にして、原料にTMI(トリメチルインジウム)、TMG及びアンモニアを用い、不純物ガスとしてシランガスを用い、SiドープのIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させる。続いてシランガスを止め、アンドープのIn0.1Ga0.9Nよりなる井戸層を70Åの膜厚で成長させる。この操作を2回繰り返し、最後にSiドープのIn0.02Ga0.98Nよりなる障壁層を140Åの膜厚で成長させて総膜厚560Åの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
(p型電子閉じ込め層)
同様の温度で、N雰囲気中で、MgドープのAl0.25Ga0.75Nよりなるp型電子閉じ込め層を30Åの膜厚で成長させる。次いで、H雰囲気中で、MgドープのAl0.25Ga0.75Nよりなるp型電子閉じ込め層を70Åの膜厚で成長させる。
(p型光ガイド層)
次に、温度を1050℃にして、原料ガスにTMG及びアンモニアを用い、アンドープのGaNよりなるp型光ガイド層を0.15μmの膜厚で成長させる。このp型光ガイド層はアンドープとして成長させるが、Mgをドープさせてもよい。
(p型クラッド層)
続いて、アンドープのAl0.08Ga0.92NよりなるA層を80Åの膜厚で成長させ、その上にMgドープのGaNよりなるB層を80Åの膜厚で成長させる。これを28回繰り返してA層とB層とを交互に積層させて、総膜厚0.45μmの多層膜(超格子構造)よりなるp型クラッド層を成長させる。p型クラッド層は少なくとも一方がAlを含む窒化物半導体層を含み、互いにバンドギャップエネルギーが異なる窒化物半導体層を積層した超格子で作製した場合、不純物はいずれも一方の層に多くドープして、いわゆる変調ドープを行うと結晶性がよくなる傾向にあるが、両方に同じようにドープさせてもよい。
(p型コンタクト層)
最後に1050℃でp型クラッド層の上にMgドープのGaNよりなるp型コンタクト層を150Åの膜厚で成長させる。p型コンタクト層はp型のInAlGa1−x−yN(x≦0、y≦0、x+y≦1)で構成することができ、好ましくはMgをドープしたGaNとすればp電極と最も好ましいオーミック接触が得られる。反応終了後、反応容器内において窒素雰囲気中でウエハを700℃でアニーリングして、p型層を更に低抵抗化する。
(n型層露出)
以上のようにして窒化物半導体を成長させて積層構造体を形成した後、ウエハを反応容器から取り出し、最上層のp型コンタクト層の表面にSiOよりなる保護膜を形成してRIE(反応性イオンエッチング)を用いてClガスによりエッチングし、n型コンタクト層の表面を露出させる。また、このとき、エッチングにより共振器面を形成させてもよく、また実施例3に示すように、基板の裏面にn電極を設ける場合には、n電極の形成面が不要となり、この工程も省略できる。
(リッジ形成)
次に、ストライプ状の導波路領域を形成するために、最上層のp型コンタクト層のほぼ全面にCVD装置により、Si酸化物(主としてSiO)よりなる保護膜を0.5μmの膜厚で形成した後、フォトリソグラフィ技術により保護膜の上に所定の形状のマスクを形成し、RIE装置によりCHFガスを用いたエッチングによりストライプ状のSi酸化物からなる保護膜を形成する。このSi酸化物の保護膜をマスクとしてSiClガスを用いて半導体層をエッチングして、活性層よりも上にリッジストライプが形成される。このとき、リッジの幅は1.6μmとなるようにする。
(第1の絶縁膜)
SiOマスクを形成させた状態で、p型半導体層表面にZrOよりなる第1の絶縁膜を膜厚約550Åで形成する。この第1の絶縁膜は、n側のオーミック電極形成面をマスクして半導体層の全面に設けてもよい。また、後に分割され易いように絶縁膜を形成させない部分を設けることもできる。
第1の絶縁膜形成後、ウエハを600℃で熱処理する。このように、SiO以外の材料を第1の絶縁膜として形成する場合、第1の絶縁膜形成後に、300℃以上、好ましくは400℃以上、窒化物半導体の分解温度以下(1200℃)で熱処理することにより、絶縁膜材料を安定化させるコトができる。特に、第1の絶縁膜形成後の工程において、主としてSiOをマスクとして用いてデバイス加工を施すような場合は、そのSiOマスクを後で除去する際に用いるマスク溶解材料に対して溶解しにくくすることができる。この第1の絶縁膜の熱処理工程は、第1の絶縁膜の材料や工程等によっては省略することもできるし、また、オーミック電極の熱処理と同時に行うなど、工程順序等についても適宜選択することができる。熱処理後、バッファード液に浸漬して、リッジストライプの上面に形成したSiOを溶解除去し、リフトオフ法によりSiOと共に、p型コンタクト層上(更にはn型コンタクト層上)にあるZrOを除去する。これにより、リッジの上面は露出され、リッジの側面はZrOで覆われた構造となる。
(オーミック電極)
次に、p型コンタクト層上のリッジ最表面及び第1の絶縁膜上にp側オーミック電極をスパッタにより形成させる。このp側オーミック電極は、Ni/Au(100Å/1500Å)を用いる。また、n型コンタクト層上面にもn側オーミック電極を形成させる。n側オーミック電極はTi/Al(200Å/5500Å)からなり、リッジと平行で、かつ、同程度の長さのストライプ状に形成されている。これら電極形成後、酸素と窒素の混合雰囲気中で、600℃で熱処理する。
(第2の絶縁膜)
次いで、リッジ上のp側オーミック電極の全面と、n側オーミック電極の上部の一部を覆うレジストを形成する。次いで、SiOからなる第2の絶縁膜を、ほぼ全面に形成し、リフトオフすることで、p側オーミック電極の上面全面とn側オーミック電極の一部が露出された第2の保護膜が形成される。第2の絶縁膜とp側オーミック電極とは離間するように形成してもよく、また、一部が重なるように形成されていてもよい。また、後の分割を考慮して、分割位置を挟んで幅10μm程度のストライプ状の範囲には、第1及び第2の絶縁膜や電極を形成しないようにしておいてもよい。
第2の絶縁膜は、p側及びn側のオーミック電極上部を除く全面に渡るように設けるものである。好ましい材料としては、Si、Ti、V、Zr、Nb、Hf、Taよりなる群から選択された少なくとも一種の元素を含む酸化物、SiN、BN、SiC、AlN、AlGaNの内の少なくとも一種で形成することが望ましく、その中でも特に好ましい材料として、SiO、Al、ZrO、TiOなどの単層膜または多層膜を挙げることができる。
(パッド電極)
次に、上記のオーミック電極を覆うようにパッド電極を形成する。このとき、第2の絶縁膜を覆うように形成させるのが好ましい。p側パッド電極は、Ni/Ti/Au(1000Å/1000Å/8000Å)の順に積層される。また、n側パッド電極は、下からNi/Ti/Au(1000Å/1000Å/8000Å)で形成される。これらパッド電極は、第2の絶縁膜を介してp側オーミック電極及びn側オーミック電極にそれぞれストライプ状に接している。
(劈開及び共振器面形成)
次いで、基板を研磨して約100μmの膜厚になるよう調整後、基板裏面にスクライブ溝を形成し、窒化物半導体層側からブレーキングして、劈開することでバー状のレーザとする。窒化物半導体層の劈開面は、窒化物半導体のM面(1 -1 00)となっており、この面を共振器面とする。
(端面保護膜形成)
上記のように形成された共振器面には、ECRスパッタ装置等のスパッタ装置を用いて端面保護膜を設ける。出射側端面には、第3の端面保護膜として、(SiO(917Å)/Nb(550Å))の2ペアからなる第3の端面保護膜を設ける。リア側端面には、ZrO(440Å)+(SiO(667Å)/ZrO(440Å))の6ペアからなる第2の保護膜を設ける。その上にさらにZrO(440Å)+(SiO(917Å)/ZrO(605Å))の6ペアからなる第1の保護膜を設ける。これらの膜厚は、活性層からの発光波長を400nm、その波長を吸収して発光される励起光を550nmとしてその波長(λ)に対してλ/4n(nは屈折率)となるように設定したものである。このような設定で設けられた端面保護膜の透過率をグラフに示す。出射側の透過率を図3に、また、リア側の透過率を図2に示す。出射側、リア側とも、励起光の波長域の透過率が低くなっており、外部に放出されにくくしている。
最後に、リッジストライプと略平行になるようにスクライブにより溝を形成し、その溝部でバーを切断して本発明の半導体レーザ素子を得る。スクライブの方法としては、カッター等の刃を用いた機械的又は物理的スクライブや、YAGレーザなどを用いた光学的又は熱的スクライブ等を用いることができる。また、スクライブの方向は、半導体層側からでもあるいは基板側からでもよく、素子の形状や、基板の種類等によって最適な方法を種々選択することができる。
上記のようにして得られる窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板のほぼ全面に励起領域を有している。これは、転位密度の差が極端に大きくならなりように成長させているためであり、そのために局部的に励起光強度の高い領域が存在していない。また、室温において閾値電流密度2.5kA/cm、60mWの高出力において発振波長405nmの連続発振可能なものである。リア側に設けた検出器に励起光が照射されるのを低減することで、制御よく駆動させることができるとともに、出射側端面から放出されるレーザ光はノイズ(凹凸)が少なく良好なFFPを有している。
実施例2は、出射側端面には、第3の端面保護膜として、Al(1800Å)/(SiO(917Å)/Nb(550Å))の3ペアからなる第3の端面保護膜を設ける。リア側端面には、ZrO(440Å)+(SiO(667Å)/TiO(370Å))の6ペアからなる第2の保護膜を設ける。その上にさらにZrO(440Å)+(SiO(917Å)/TiO(509Å))の6ペアからなる第1の保護膜を設ける。これらの膜厚は、実施例1と同様に、活性層からの発光波長を400nm、その波長を吸収して発光される励起光を550nmとしてその波長(λ)に対してλ/4n(nは屈折率)となるように設定したものである。また、n電極を窒化物半導体基板の裏面に設ける。n電極の材料としては、V/Pt/Au(150Å/2000Å/3300Å)で設ける。n電極を設けた後は、熱処理を行わない。上記以外については実施例1と同様に行い、本発明の窒化物半導体レーザ素子を得る。このようにして得られる窒化物半導体レーザ素子は、実施例1と同様に励起領域を基板のほぼ全領域に備え、弱い励起光を有する。室温において閾値電流密度2.5kA/cm、60mWの高出力において発振波長405nmの連続発振可能なものである。リア側に設けた検出器に励起光が照射されるのを低減することで、制御よく駆動させることができるとともに、出射側端面から放出されるレーザ光はノイズ(凹凸)が少なく良好なFFPを有している。
実施例3においては、窒化物半導体基板として、以下のようにして得られる基板を用いる。成長基板として、GaAs基板を用いる。基板上面に、窒化物半導体のM面と平行なストライプ状のSiOよりなる保護膜を形成し、これを種としてファセット面が表出するように成長させる。これによって、膜厚約300μmの窒化物半導体基板を得る。このようにして得られる窒化物半導体基板は、ストライプ状に低転位密度領域と、転位束を有する窒化物半導体基板であって、リッジを低転位密度領域の上部に形成させる。低転位密度領域は励起領域であって、導通と共に活性層からの発光波長(405nm)を吸収して、励起光(560nm)を有する。実施例3では、n電極を窒化物半導体基板の裏面に形成させているが、リッジ形成前にはn型半導体層を露出するようにエッチングを行う。特に、結晶性の悪い転位束の上部に形成されているn型半導体層〜p型半導体層は、成長状態がその周辺部と異なっている。そのため、膜厚も周辺部に比して薄くなっている。そのような領域では、pnジャンクションの形成が十分ではないと考えられる。そのため、ストライプ状の転位束の幅よりもやや広い範囲のn型半導体層〜p型半導体層をエッチングによって除去することで、素子機能の低下を抑制することができる。また、出射側端面に(Al(823Å)/TiO(509Å))の2ペアからなる第3の端面保護膜を設ける以外は、実施例1と同様に行い、本発明の窒化物半導体レーザ素子を得る。尚、実施例3においても、第3の端面保護膜の膜厚は、実施例1と同様に、活性層からの発光波長を400nm、その波長を吸収して発光される励起光を550nmとしてその波長(λ)に対してλ/4n(nは屈折率)となるように設定したものである。このようにして得られる窒化物半導体レーザ素子は、室温において閾値電流密度2.5kA/cm、60mWの高出力において発振波長405nmの連続発振可能なものである。リア側に設けた検出器に励起光が照射されるのを低減することで、制御よく駆動させることができるとともに、出射側端面から放出されるレーザ光はノイズ(凹凸)が少なく良好なFFPを有している。
本発明は、レーザ素子を応用することができる全てのデバイス、例えば、CDプレーヤ、MDプレーヤ、各種ゲーム機器、DVDプレーヤ、電話回線や海底ケーブル等の基幹ライン・光通信システム、レーザメス、レーザ治療器、レーザ指圧機等の医療機器、レーザビームプリンタ、ディスプレイ等の印刷機、各種測定器、レーザ水準器、レーザ測長機、レーザスピードガン、レーザ温度計等の光センシング機器、レーザ電力輸送等の種々の分野において利用することができる。
(a)本発明の半導体レーザ素子を説明する模式斜視図 (b)図1(a)のA−A断面図 (c)図1(a)のB−B断面図 本発明の実施の形態の端面保護膜の透過率を示すグラフ 本発明の実施の形態の端面保護膜の透過率を示すグラフ フォトダイオードの分光感度曲線
符号の説明
101・・・窒化物半導体基板
102・・・n型窒化物半導体層
103・・・p型窒化物半導体層
104・・・活性層
105・・・p側オーミック電極
106・・・p側パッド電極
107・・・n側電極
108・・・第2の絶縁膜
109・・・第1の絶縁膜
110・・・端面保護膜
111・・・転位束
112・・・低転位密度領域

Claims (21)

  1. 窒化物半導体基板と、その上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層が積層されてなる窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層にストライプ状のレーザ光の導波路領域を有すると共に、その導波路領域と略垂直な両端面に端面保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記窒化物半導体基板は、前記活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有し、
    前記端面保護膜は、前記励起領域からの発光波長に対して高反射率を有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記端面保護膜は、出射側端面と、リア側端面の両方に設けられている請求項1記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記端面保護膜は、前記活性層からの発光波長に対して、低反射率を有する請求項1記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記端面保護膜は、単層又は多層構造である請求項1乃至請求項3記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 窒化物半導体基板と、その上にn型半導体層、活性層及びp型半導体層が積層されてなる窒化物半導体層を備え、該窒化物半導体層にストライプ状のレーザ光の導波路領域を有すると共に、その導波路領域と略垂直な端面に、出射側端面保護膜及びその反対のリア側端面保護膜を有する窒化物半導体レーザ素子であって、
    前記窒化物半導体基板は、前記活性層からの発光を吸収し、その発光波長よりも長波長の励起光を発光する励起領域を有し、
    前記リア側端面保護膜は、前記励起光の波長に対して高反射率を有する第1の端面保護膜と、前記活性層からの発光波長に対して高反射率を有する第2の端面保護膜とを備え、
    前記出射側端面保護膜は、前記励起光の波長に対して高反射率を有する第3の端面保護膜を備え、てなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記第1の端面保護膜及び/又は前記第3の端面保護膜は、前記活性層からの発光波長に対して、低反射率を有する請求項5記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記出射側端面保護膜は、前記活性層からの発光波長に対して高反射率を有する第4の端面保護膜を有する請求項5又は請求項6記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記第1の端面保護膜、第2の端面保護膜、第3の端面保護膜、第4の端面保護膜は、それぞれ単層又は多層構造である請求項5乃至請求項7記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記第1の端面保護膜と、前記第2の端面保護膜は、少なくとも一部が重なるよう積層されている請求項5乃至請求項8記載の窒化物半導体素子。
  10. 前記第3の端面保護膜と、前記第4の端面保護膜は、少なくとも一部が重なるよう積層されている請求項8記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 前記第2の端面保護膜は、前記半導体層に接して形成されている請求項5又は請求項6記載の窒化物半導体レーザ素子。
  12. 前記第4の端面保護膜は、前記半導体層に接して形成されている請求項7記載の窒化物半導体レーザ素子。
  13. 前記励起領域は、その周辺領域に比して転位密度が低い請求項1乃至請求項12記載の窒化物半導体レーザ素子。
  14. 前記励起領域は、その周辺領域に比して不純物濃度が高い請求項1乃至請求項13記載の窒化物半導体レーザ素子。
  15. 前記不純物は、H、O、C、Siのうちの少なくとも一種である請求項14記載の窒化物半導体レーザ素子。
  16. 前記活性層からの発光波長は、390〜420nmである請求項1乃至請求項15記載の窒化物半導体レーザ素子。
  17. 前記励起光の波長は、550〜600nmである請求項1乃至請求項16記載の窒化物半導体レーザ素子。
  18. 前記励起領域は、前記導波路領域と略平行なストライプ状に形成されている請求項1乃至請求項17記載の窒化物半導体レーザ素子。
  19. 前記導波路領域は、前記励起領域の上方に形成されている請求項1乃至請求項18記載の窒化物半導体レーザ素子。
  20. 前記導波路領域は、前記励起領域から離間する領域に形成されている請求項1乃至請求項19記載の窒化物半導体レーザ素子。
  21. 請求項1乃至20記載の窒化物半導体レーザ素子と、該窒化物半導体レーザ素子の発光を検出するPDと、が搭載されたLD装置であって、該PDの分光感度は、前記窒化物半導体レーザ素子の発光波長λLDよりも、前記励起光λexが大きいLD装置。
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