JP2005045236A - ポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 無機薄膜を密着信頼性及びパターン精度高くポリイミド樹脂表面に形成することができるポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法を提供する。
【解決手段】 (1)ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を塗布し、ポリイミド樹脂のイミド環を開裂してカルボキシル基を生成する工程。(2)前記カルボキシル基を有するポリイミド樹脂に金属イオン含有溶液を接触させてカルボキシル基の金属塩を生成する工程。(3)前記金属塩を金属として、もしくは金属酸化物或いは半導体として、ポリイミド樹脂表面に析出させて無機薄膜を形成する工程。これらの工程から、ポリイミド樹脂の表面に無機薄膜を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 (1)ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を塗布し、ポリイミド樹脂のイミド環を開裂してカルボキシル基を生成する工程。(2)前記カルボキシル基を有するポリイミド樹脂に金属イオン含有溶液を接触させてカルボキシル基の金属塩を生成する工程。(3)前記金属塩を金属として、もしくは金属酸化物或いは半導体として、ポリイミド樹脂表面に析出させて無機薄膜を形成する工程。これらの工程から、ポリイミド樹脂の表面に無機薄膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ポリイミド樹脂の表面に無機薄膜を回路パターンなど微細パターンで形成する方法に関するものである。
ポリイミドフィルムなどポリイミド樹脂で形成される基材の表面に回路パターンを形成する方法として、各種方法が提案されている。その中で、真空蒸着法やスパッタリング法などのドライプロセスが、密着信頼性に優れた微細な回路パターンを良好に形成することが可能な方法として知られているが、これらの方法は高価な装置を必要とし、しかも同時に生産性が低く、高コストであるという問題を有する
そこで現在、最も一般的な回路パターン形成方法としては、予めポリイミド樹脂の基材の表面全体を金属皮膜で被覆して金属被覆材を作製し、フォトリソグラフ法により不必要な部位の金属皮膜をエッチング処理して除去するサブトラクティブ法が広く採用されている。金属被覆材におけるポリイミド樹脂基材と金属皮膜との間の密着力は、基材の表面を粗化することに伴うアンカー効果、もしくは接着剤により確保されている。このサブトラクティブ法は、生産性に優れ、比較的簡便に回路パターンを形成するのに有用な方法であるが、回路パターンを作製する際に多量の金属皮膜を除去する必要があるため、金属材料の無駄が多く発生するという問題がある。それに加え、近年、電子回路基板の高密度化に伴ってより一層微細な回路パターンが要求されているが、サブトラクティブ法では、オーバーエッチングの発生や基材の表面の粗化による凹凸や接着剤の存在などにより、要求される微細回路パターン形成に対応することが困難であるという問題もある。
そこで現在、最も一般的な回路パターン形成方法としては、予めポリイミド樹脂の基材の表面全体を金属皮膜で被覆して金属被覆材を作製し、フォトリソグラフ法により不必要な部位の金属皮膜をエッチング処理して除去するサブトラクティブ法が広く採用されている。金属被覆材におけるポリイミド樹脂基材と金属皮膜との間の密着力は、基材の表面を粗化することに伴うアンカー効果、もしくは接着剤により確保されている。このサブトラクティブ法は、生産性に優れ、比較的簡便に回路パターンを形成するのに有用な方法であるが、回路パターンを作製する際に多量の金属皮膜を除去する必要があるため、金属材料の無駄が多く発生するという問題がある。それに加え、近年、電子回路基板の高密度化に伴ってより一層微細な回路パターンが要求されているが、サブトラクティブ法では、オーバーエッチングの発生や基材の表面の粗化による凹凸や接着剤の存在などにより、要求される微細回路パターン形成に対応することが困難であるという問題もある。
このため、サブトラクティブ法に代わる回路パターン形成法が盛んに研究されている。例えばフォトリソグラフ法の一種であるアディティブ法は、基材の表面の回路形成部位以外を光硬化性樹脂などのマスクで被覆し、無電解めっき法を用いて基材の表面に回路パターンを直接形成する方法である。無電解めっき法は溶液内の酸化還元反応を利用し、めっき触媒核が付与された基材表面に金属皮膜を形成する方法である。このアディティブ法は、前記のドライプロセスに比べて優れた生産性を有し、またサブトラクティブ法に比べて微細な回路パターン形成が可能であるが、ポリイミド樹脂基材と金属皮膜間の密着力を確保することが難しいため、密着信頼性に劣るといった問題点がある。また、アディティブ法は工程が複雑である上、微細な回路パターンを形成するためには高価な生産設備を必要とし、高コストになるという問題もある。
さらに、微細な回路パターンを簡便かつ安価に形成する方法として、インクジェット方式が注目されている。インクジェット方式は、基材の表面に金属ナノ粒子から構成されるインキをインクジェットノズルよりパターン形状に噴霧して、塗布した後、アニーリング処理して微細な金属皮膜からなる回路パターンを形成するようにしたものである。しかし、インクジェット方式で金属ナノ粒子を噴霧、塗布する際に、基材の表面の単位面積あたりの金属ナノ粒子数が不十分であると、アニーリング時の金属ナノ粒子間の焼結に伴う収縮により、得られる金属皮膜が断線する可能性があり、逆に金属ナノ粒子数が過剰であると、アニーリング後形成する金属皮膜の表面平滑性が失われる可能性があり、基材上への金属ナノ粒子の塗布量の制御が極めてシビアであるという問題点がある。また、基材と金属ナノ粒子の金属成分はその物性上、十分な密着信頼性を得ることが難しく、さらに、アニーリング時の金属ナノ粒子間の焼結に伴う収縮により寸法精度にも問題を有するものである。
そして近年、優れた密着信頼性を有する回路パターン形成技術として、ポリイミド樹脂の基材表面をアルカリ水溶液で処理してカルボキシル基を生成させ、該カルボキシル基に金属イオンを配位させてカルボキシル基の金属塩を形成したのち、フォトマスクを介して紫外線を該ポリイミド樹脂基材上に照射することによって、選択的に金属イオンを還元して金属皮膜を析出させ、必要に応じてめっき法により金属皮膜を増膜するようにした技術が提案されている(例えば特許文献1等参照)。この方法で形成された金属皮膜はその一部がポリイミド樹脂中に埋包されており、ポリイミド樹脂の基材表面に対する金属被膜の密着信頼性を高く得ることができるのである。しかし特許文献1の発明のように、フォトマスクを介した紫外線照射によるパターン形成法では、回路基板の高密度化に伴って要望される極めて微細な回路パターンに対応することが困難である。
特開2001−73159号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、無機薄膜を密着信頼性及びパターン精度高くポリイミド樹脂表面に形成することができるポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法は、ポリイミド樹脂の表面に無機薄膜を形成するにあたって、(1)ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を塗布し、ポリイミド樹脂のイミド環を開裂してカルボキシル基を生成する工程、(2)前記カルボキシル基を有するポリイミド樹脂に金属イオン含有溶液を接触させてカルボキシル基の金属塩を生成する工程、(3)前記金属塩を金属として、もしくは金属酸化物或いは半導体として、ポリイミド樹脂表面に析出させて無機薄膜を形成する工程、とを有することを特徴とするものである。
この発明によれば、アルカリ水溶液を塗布したポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に選択的に金属もしくは金属酸化物或いは半導体を析出させて無機薄膜を形成することができるものであり、フォトマスクなどを用いる必要なく、無機薄膜を密着信頼性高く、且つパターン精度高く形成することができるものである。
また請求項2の発明は、請求項1の前記(1)工程において、アルカリ水溶液をインクジェット法によりポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に塗布することを特徴とするものである。
この発明によれば、インクジェット法を用いてアルカリ水溶液を微細なパターンで塗布することができ、無機薄膜を微細にパターン精度高く形成することができるものである。
また請求項3の発明は、請求項1の前記(1)工程において、アルカリ水溶液を転写法によりポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に塗布することを特徴とするものである。
この発明によれば、転写法を用いてアルカリ水溶液を微細なパターンで塗布することができ、無機薄膜を微細にパターン精度高く形成することができるものである。
また請求項4の発明は、請求項1の前記(1)工程において、ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位以外の部分に耐アルカリ性保護層を形成した後、アルカリ水溶液を塗布することにより、ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を接触させることを特徴とするものである。
この発明によれば、所望の無機薄膜形成部位にのみアルカリ水溶液を塗布することができ、所望のパターンで無機薄膜を形成することができるものである。
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの前記(3)の無機薄膜を形成する工程は、金属塩を還元処理することにより、金属塩を金属としてポリイミド樹脂表面に析出させて、金属薄膜を形成する工程であることを特徴とするものである。
この発明によれば、無機薄膜形成部位に金属薄膜を形成することができ、金属薄膜で回路パターンを形成することによって、ポリイミド樹脂を基材とする電子回路基板などとして使用することができるものである。
また請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれかの前記(3)の無機薄膜を形成する工程は、金属塩を活性ガスと反応させることにより、金属塩を金属酸化物或いは半導体としてポリイミド樹脂表面に析出させて、金属酸化物薄膜或いは半導体薄膜を形成する工程であることを特徴とするものである。
この発明によれば、無機薄膜形成部位に金属酸化物薄膜或いは半導体薄膜を形成することができ、金属酸化物薄膜或いは半導体薄膜を有する各種の電子部品として使用することができるものである。
また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかの前記(3)工程において、析出した無機薄膜は無機ナノ粒子の集合体から構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、無機ナノ粒子の集合体が有するアンカーロッキング効果を活用して無機薄膜の密着強度を高めることができると共に、無機ナノ粒子の集合体が有する触媒活性を活用して無機薄膜の表面に無電解めっきを容易に行なうことができるものである。
また請求項8の発明は、請求項7の前記(3)工程において、無機ナノ粒子の集合体の一部がポリイミド樹脂に埋包されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、ポリイミド樹脂に対するアンカーロッキング効果で、無機ナノ粒子の集合体からなる無機薄膜をポリイミド樹脂に強固に密着させることができるものである。
また請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかの前記(3)工程の後に、(4)無機薄膜を析出させたポリイミド樹脂表面に無電解めっきを施す工程を有することを特徴とするものである。
この発明によれば、無機薄膜の表面に無電解めっき膜を増膜して無機薄膜の膜厚を厚くすることができ、無機薄膜で電子回路基板の回路を形成することができるものである。
また請求項10の発明は、請求項9の前記(4)工程において、無機ナノ粒子の集合体をめっき析出核として無電解めっきを行なうことを特徴とするものである。
この発明によれば、無機ナノ粒子の集合体からなる無機薄膜の表面に無電解めっきを析出させて、無機薄膜の表面に選択的に無電解めっきを行なうことができ、無機薄膜に無電解めっき膜を増膜するにあたって増膜後もパターン精度を保つことができるものである。
また請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかにおいて、無機薄膜形成部位は回路パターン形状であることを特徴とするものである。
この発明によれば、無機薄膜形成部位に形成される無機薄膜で回路を形成することができ、ポリイミド樹脂を基材とする電子回路基板などとして使用することができるものである。
本発明によれば、アルカリ水溶液を塗布したポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に選択的に金属もしくは金属酸化物或いは半導体を析出させて無機薄膜を形成することができるものであり、フォトマスクなどを用いる必要なく、無機薄膜を密着信頼性高く、且つパターン精度高く形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
ポリイミド樹脂は、主鎖に環状イミド構造を持ったポリマーであって、例えばポリアミック酸をイミド化することにより得られるものであり、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、難燃性、電気絶縁性等に優れた熱硬化性樹脂である。本発明ではこのポリイミド樹脂のフィルムや成形板などを基材として用いることができ、特に形態上の制限はない。
そして本発明は、まず(1)工程で、このポリイミド樹脂の基材の表面にアルカリ水溶液を塗布する。アルカリ水溶液のアルカリ濃度は0.01〜10Mが好ましく、より好ましくは0.5〜6Mである。アルカリ水溶液としては特に制限されるものではないが、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液、水酸化マグネシウム水溶液、エチレンジアミン水溶液が好ましい。このアルカリ水溶液には、バインダー樹脂、有機溶剤、無機フィラー、増粘剤、レベリング剤などから選ばれる助剤を加えて、粘度、ポリイミド樹脂基材との濡れ性、平滑性、揮発性を制御することができる。これらは塗布パターンの形状、線幅に応じて選択されることが望ましい。
本発明においてポリイミド樹脂基材へのアルカリ水溶液の塗布は、無機薄膜形成部位にのみ選択的に所望のパターン形状で行なわれるものである。ここで、ポリイミド樹脂基材の表面にアルカリ水溶液を塗布すると、特許文献1に記載されているように、化学反応式1にみられるようなポリイミド樹脂の分子構造中のイミド環の開裂により、カルボキシル基(−COOA:カルボン酸のアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩)とアミド結合(−CONH−)が生成される。
従って、ポリイミド樹脂基材1の表面にアルカリ水溶液2を部分的にパターン形状で塗布して、図1(a)のようにポリイミド樹脂基材1の表面にアルカリ水溶液2を無機薄膜形成部位にのみ選択的に接触させることによって、ポリイミド樹脂基材1の表面の部分的な分解に伴って、図1(b)のように、ポリイミド樹脂基材1の表面にカルボキシル基が生成された改質層3がパターン形状に形成されるものである。
ここで、上記のようにポリイミド樹脂基材1の表面に部分的に塗布したアルカリ水溶液2がポリイミド樹脂基材1の表面内に浸透するに従って、カルボキシル基を生成させるポリイミド樹脂の改質が進行するものであり、従って、アルカリ水溶液2を塗布した後の静置時間を長くしたり、ポリイミド樹脂基材1を加熱処理したりすることによって、改質層3の厚みを増大させることができるものである。アルカリ水溶液2をポリイミド樹脂基材1の表面に塗布する際の処理温度は10〜80℃が好ましく、より好ましくは15〜60℃である。また処理時間は5〜1800秒が好ましく、より好ましくは30〜600秒である。
上記のように、ポリイミド樹脂基材の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を選択的に塗布するにあたっては、例えばインクジェット法で行なうことができる。すなわち、アルカリ水溶液をインクジェット印刷装置のインクとして用い、所望のパターンにアルカリ水溶液をポリイミド樹脂基材表面に噴霧、塗布することによって、無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を選択的に塗布することができるものである。インクジェット印刷装置としては、サーマル方式、ピエゾ方式のいずれも使用可能である。
また、転写法によって、ポリイミド樹脂基材の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を選択的に塗布することもできる。転写法としては特に制限されるものではないが、例えば電子写真法や、オフセット印刷法などを用いることができる。電子写真法は、例えば、アルカリ水溶液を公知のマイクロカプセル法を用いて熱可塑性樹脂カプセルに内包すると共に、このマイクロカプセル粒子の表面に帯電制御剤、例えばアゾ系含金属錯体を被覆して形成した粉体を、トナーとして用いて行なうことができるものである。この粉体の粒径は0.1〜10μmが好ましく、より好ましくは0.5〜5μmである。
さらに、ポリイミド樹脂基材の表面の無機薄膜を形成する部位以外の部分に、耐アルカリ性保護層を形成した後、アルカリ水溶液を塗布することによって、ポリイミド樹脂基材の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を選択的に塗布するようにすることもできる。耐アルカリ性保護層は、フォトリソグラフ法、スクリーン印刷法、蒸着法などでポリイミド樹脂基材の表面に形成することができるものであり、耐アルカリ性保護層として具体的には、金属蒸着膜、酸化チタンや酸化錫等の金属酸化物膜などを挙げることができる。このようにポリイミド樹脂基材の無機薄膜形成部位以外の部分に耐アルカリ性保護層を形成した後、ポリイミド樹脂基材の表面にスピンコート法やディップ法などでアルカリ水溶液を塗布することによって、耐アルカリ性保護層で被覆されておらず露出された状態の無機薄膜形成部位にのみ選択的にアルカリ水溶液を塗布することができるものである。
ここで、蒸着法で耐アルカリ性保護層を形成する場合、金、銀、アルミニウム、鉄、錫、銅、チタン、ニッケル、タングステン、タンタル、コバルト、亜鉛、クロム、マンガンから選ばれた少なくとも1種を含む金属薄膜で耐アルカリ性保護層を形成することができる。またスクリーン印刷法で耐アルカリ性保護層を形成する場合は、アクリル樹脂、シリコン樹脂、もしくはフッ素樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む液状樹脂を印刷して耐アルカリ性保護層を形成することができる。さらにフォトリソグラフ法で耐アルカリ性保護層を形成する場合は、例えばリソグラフィレジスト用フッ素樹脂を用いて耐アルカリ性保護層を形成することができる。
上記のように(1)工程で、ポリイミド樹脂基材1の表面の無機薄膜形成部位にカルボキシル基を生成させる改質層3を形成した後、(2)工程で、ポリイミド樹脂基材1の表面を金属イオン含有溶液で処理する。金属イオン含有溶液において、金属イオンとしては、金イオン、銀イオン、銅イオン、白金アンミン錯体、パラジウムアンミン錯体、タングステンイオン、タンタルイオン、チタンイオン、錫イオン、インジウムイオン、カドミウムイオン、チタンイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、そして亜鉛イオンから選ばれた少なくとも1種を挙げることができる。これらの金属イオンのうち、白金アンミン錯体、パラジウムアンミン錯体はアルカリ溶液の状態で、それ以外の金属イオンは酸性溶液の状態で使用されるものである。
そして、このようにポリイミド樹脂基材1の表面を金属イオン含有溶液で処理して、上記のようにカルボキシル基を生成させた改質層3に金属イオン含有溶液を接触させることによって、例えば
−COO−…M2+…−OOC−
のようにカルボキシル基に金属イオン(M2+)を配位させてカルボキシル基の金属塩(カルボン酸の金属塩)を生成させることができるものであり、図1(c)のように改質層3の箇所に金属イオン含有改質層4を形成させることができるものである。ここで、ポリイミド樹脂に生成させたカルボキシル基中の水酸基、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、金属イオンとの間の配位子交換を進行させるために、水酸基やアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の解離度を増加させる必要がある。このためにはポリイミド樹脂基材1を酸性状態に保つことが必要であり、従ってこの場合には金属イオン含有溶液として金属イオン含有酸性溶液を用いるのが好ましい。
−COO−…M2+…−OOC−
のようにカルボキシル基に金属イオン(M2+)を配位させてカルボキシル基の金属塩(カルボン酸の金属塩)を生成させることができるものであり、図1(c)のように改質層3の箇所に金属イオン含有改質層4を形成させることができるものである。ここで、ポリイミド樹脂に生成させたカルボキシル基中の水酸基、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、金属イオンとの間の配位子交換を進行させるために、水酸基やアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の解離度を増加させる必要がある。このためにはポリイミド樹脂基材1を酸性状態に保つことが必要であり、従ってこの場合には金属イオン含有溶液として金属イオン含有酸性溶液を用いるのが好ましい。
また、金属イオン含有溶液中の金属イオン濃度は、ポリイミド樹脂に生成させたカルボキシル基中の水酸基、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と、金属イオンとの配位子置換反応に密接な相関を示す。金属イオン種により異なるが、金属イオン濃度は1〜1000mMが好ましく、より好ましくは10〜500mMである。金属イオン濃度が低くなると、配位子置換の反応が平衡に達するまでの時間がかかるため好ましくない。ポリイミド樹脂基材1の表面への金属イオン含有溶液の接触時間は10〜600秒が好ましく、より好ましくは30〜420秒である。
上記のように(2)の工程で、ポリイミド樹脂基材1の改質層3に金属イオン含有溶液を接触させ、カルボキシル基の金属塩を生成させた金属イオン含有改質層4を形成させた後、水もしくはアルコールでポリイミド樹脂基材1の表面を洗浄し、不要な金属イオンを除去する。そして次に、(3)の工程で、金属イオン含有改質層4の金属塩を、金属として析出させ、もしくは金属酸化物或いは半導体として析出させ、ポリイミド樹脂基材1の金属イオン含有改質層4の表面に図1(d)に示すように、金属からなる無機薄膜5、もしくは金属酸化物或いは半導体からなる無機薄膜5を形成することができるものである。
金属イオン含有改質層4に金属塩を金属として析出させる場合には、金属塩を還元処理することによって行なうことができる。還元処理は、例えば、還元剤を含む溶液でポリイミド樹脂基材1の表面を処理したり、還元ガスや不活性ガス雰囲気下でポリイミド樹脂基材1を熱処理することによって行なうことができる。還元条件は金属イオン種により異なるが、還元剤を含む溶液で処理する場合、還元剤として、例えば水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸及びその塩、ジメチルアミンボラン等を使用することができる。また還元ガスで処理する場合、還元ガスとして、例えば水素及びその混合ガス、ボラン−窒素混合ガス等を使用することができ、不活性ガスで処理する場合、不活性ガスとして、例えば窒素ガス、アルゴンガス等を使用することができる。
また、金属イオン含有改質層4の金属塩を金属酸化物或いは半導体として析出させる場合には、金属塩を活性ガスで処理することによって行なうことができる。処理条件は金属イオン種により異なるが、活性ガスとして、例えば酸素及びその混合ガス、窒素及びその混合ガス、硫黄及びその混合ガス等を使用し、ポリイミド樹脂基材1の表面を活性ガスと接触させることによって、処理を行なうことができる。
ここで、金属酸化物としては、例えば酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、インジウム−錫複合酸化物、ニッケル−鉄複合酸化物、コバルト−鉄複合酸化物、などを挙げることができるものであり、このように金属酸化物からなる無機薄膜5をポリイミド樹脂基材1の表面に形成することによって、例えば、コンデンサー、透明導電膜、放熱材、磁気記録材料、エレクトロクロミズム素子、センサー、触媒、発光材料などとして使用することができるものである。
また半導体としては、例えば硫化カドミウム、テルル化カドミウム、セレン化カドミウム、硫化銀、硫化銅、リン化インジウム、などを挙げることができるものであり、このように半導体からなる無機薄膜5をポリイミド樹脂基材1の表面に形成することによって、例えば、発光材料、トランジスタ、メモリー材料、などとして使用することができるものである。
上記のように(3)の工程で形成される無機薄膜5を構成する金属、もしくは金属酸化物或いは半導体は、粒径2〜100nmのナノ粒子で構成されている。この無機ナノ粒子は、その極めて高い表面エネルギーのため容易に凝集され、無機ナノ粒子の集合体として存在するものである。そしてこのとき、上記の金属イオン濃度、還元剤濃度、雰囲気温度、活性ガス濃度の条件などにより程度は異なるものの、無機ナノ粒子の集合体の一部がポリイミド樹脂基材1の樹脂内で安定化しており、すなわち、無機ナノ粒子の集合体の一部がポリイミド樹脂の表層部内に埋包された状態となり、この際のアンカーロッキング効果によって、ポリイミド樹脂基材1と無機ナノ粒子の集合体からなる無機薄膜5とを強固に密着させることができるものである。特に、基材表面を化学的、もしくは物理的に粗化することにより得られる一般的なアンカーロッキング効果では、その表面粗さがμmオーダーであるが、本発明におけるような無機ナノ粒子とポリイミド樹脂とのアンカーロッキング効果は、表面粗さがナノスケールで優れた密着特性を得ることができるものであり、高周波領域の電子信号を伝達するための配線材料に適しているものである。
上記のようにしてポリイミド樹脂基材1の無機薄膜形成部位に無機薄膜5を形成することができるものであり、無機薄膜形成部位を回路パターン形状に設定しておくことによって、無機薄膜5で回路パターンを形成することができ、ポリイミド樹脂基材1を電子回路基板などの電子部品として加工することができるものである。
ここで、上記の(3)の工程で形成される無機薄膜5は膜厚が10〜500nm程度である。一方、電子回路基板において回路は概ねμ単位の膜厚が必要である。このために、電子回路基板として使用する場合には、無機薄膜5に増膜を施して、回路の膜厚を厚く形成することが好ましい。すなわち、(3)の工程の後に、(4)の工程で、ポリイミド樹脂基材1に設けた無機薄膜5の表面に無電解めっきを行ない、無機薄膜5の膜厚を無電解めっきで厚くすることができるものである。
無電解めっきは、例えば、無電解めっき浴にポリイミド樹脂基材1を浸漬することによって行なうことができるものであり、無機薄膜5を形成する上記の無機ナノ粒子集合体をめっきの析出核として、無機薄膜5の表面に図1(e)のように無電解めっき膜6を析出させることができるものである。すなわち、無機ナノ粒子の集合体は、極めて広大な比表面積を有するので、優れた触媒活性を示すものであり、無電解めっき膜6を析出させるための析出核として利用する場合、多くの点から均一にめっき膜の析出が始まるため、良好な密着性と電気特性を示す無電解めっき膜6を得ることができるものである。このように無機ナノ粒子集合体をめっきの析出核として無機薄膜5の表面に無電解めっき膜6を析出させることによって、ポリイミド樹脂基材1の表面のうち、無機薄膜5の表面にのみ選択的に無電解めっき膜6を形成することができるものであり、無機薄膜5に無電解めっき膜6を増膜して回路を形成するにあたって、マスクなどを必要とすることなく増膜後も回路のパターン精度を保つことができるものである。尚、無電解めっき浴は、ポリイミド樹脂基材1の再改質を防ぐため、中性もしくは弱アルカリ性無電解めっき浴であることが好ましい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
5M濃度のKOH水溶液100質量部に、増粘剤としてポリエチレングリコール10質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
5M濃度のKOH水溶液100質量部に、増粘剤としてポリエチレングリコール10質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
一方、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製、商品名「カプトン200−H」)をエタノール溶液に浸漬し、5分間超音波洗浄を施したのち、オーブン中で100℃、60分乾燥することにより、ポリイミドフィルムの表面を清浄化した。
そしてプリント・ヘッドのインクカートリッジに、上記アルカリ水溶液を充填し、ピエゾ方式のインクジェット印刷装置を用いてポリイミドフィルムの表面に線幅50μmの回路パターンを描画して、アルカリ水溶液を塗布し、10分間室温で静置した。その後、ポリイミドフィルムをエタノール溶液中に浸漬して超音波洗浄を10分間行った。ポリイミドフィルムの表面には回路パターン形状で改質層が形成されていた(図1(b)参照)。
次に、金属イオン含有酸性溶液として50mMの濃度のCuSO4水溶液を用い、この水溶液中にポリイミドフィルムを5分間浸漬し、改質層にCuイオンを配位して、金属イオン含有改質層を形成した(図1(c)参照)。この後、蒸留水で余分なCuSO4を除去した。
次に、還元溶液として5mM濃度のNaBH4水溶液を用い、この水溶液にポリイミドフィルムを5分間浸漬した後、蒸留水で洗浄したところ、金属イオン含有改質層の表面部に銅薄膜の析出が確認された(図1(d)参照)。銅薄膜の厚みは300nm、線幅は50μm、銅薄膜の電気抵抗は5×10−3Ωcmであり、アルカリ水溶液の塗布形状と同形状を有する回路パターンを形成することができた。
この後、ポリイミドフィルムを、50℃に温度調整した次の浴組成の中性無電解銅めっき浴に3時間浸漬した。
CuCl2 :0.05M
エチレンジアミン :0.60M
Co(NO3)2 :0.15M
アスコルビン酸 :0.01M
2,2’−ビピリジル :20ppm
pH :6.75
そして無電解銅めっき膜は銅薄膜の上に析出し、膜厚が4μmの均一な銅めっき膜が得られた。銅めっき膜の電気抵抗は3×10−5Ωcmであり、先の銅薄膜とこの銅めっき膜とで、電子回路基板の回路を形成することができた(図1(e)参照)。
エチレンジアミン :0.60M
Co(NO3)2 :0.15M
アスコルビン酸 :0.01M
2,2’−ビピリジル :20ppm
pH :6.75
そして無電解銅めっき膜は銅薄膜の上に析出し、膜厚が4μmの均一な銅めっき膜が得られた。銅めっき膜の電気抵抗は3×10−5Ωcmであり、先の銅薄膜とこの銅めっき膜とで、電子回路基板の回路を形成することができた(図1(e)参照)。
(実施例2)
5M濃度のKOH水溶液100質量部に、増粘剤としてポリビニルピロリドン30質量部とグリセリン15質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
5M濃度のKOH水溶液100質量部に、増粘剤としてポリビニルピロリドン30質量部とグリセリン15質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
次に、プリント・ヘッドのインクカートリッジに、上記アルカリ水溶液を充填し、サーマル方式のインクジェット印刷装置を用いて、実施例1と同様に表面清浄化したポリイミドフィルムの表面に線幅15μmの回路パターンを描画し、30分間室温で静置した。その後、ポリイミドフィルムを1−プロパノール溶液中に浸漬して超音波洗浄を10分間行ない、100℃で30分間乾燥した。この結果、ポリイミドフィルムの表面には回路パターン形状で改質層が形成されていた(図1(b)参照)。
次に、0.1M濃度の硫酸インジウム水溶液と0.1M濃度の硫酸錫水溶液を混合し、インジウムイオンと錫イオンのモル比がインジウム/錫=15/85からなる金属イオン含有酸性水溶液を調製し、この金属イオン含有水溶液中にポリイミドフィルムを20分間浸漬し、改質層にインジウムイオンと錫イオンを配位させて、金属イオン含有改質層を形成した(図1(c)参照)。この後、蒸留水で余分な金属イオンを除去した。
次にこのポリイミドフィルムを水素雰囲気下で350℃、3時間熱処理を行い、インジウム−錫合金からなるナノ粒子集合体を得た。この時、ナノ粒子集合体の膜厚は200nmであった。この後、ポリイミドフィルムを空気雰囲気下で300℃、6時間の条件で熱処理を行って、インジウム−錫合金を酸素と反応させることによって、ITO薄膜を形成させた(図1(d)参照)。このITO薄膜の線幅は16μm、シート抵抗は0.7Ω/□であった。
(実施例3)
5M濃度のエチレンジアミン水溶液100質量部に、増粘剤としてポリビニルピロリドン35質量部とグリセリン25質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
5M濃度のエチレンジアミン水溶液100質量部に、増粘剤としてポリビニルピロリドン35質量部とグリセリン25質量部を加え、これを攪拌して溶解させることによって、アルカリ水溶液を調製した。
次に、プリント・ヘッドのインクカートリッジに、上記アルカリ水溶液を充填し、サーマル方式のインクジェット印刷装置を用いて、実施例1と同様に表面清浄化したポリイミドフィルムの表面に線幅10μmの回路パターンを描画し、50℃で10分間熱処理した。その後、ポリイミドフィルムを1−プロパノール溶液中に浸漬して超音波洗浄を10分間行ない、100℃で30分間乾燥した。この結果、ポリイミドフィルムの表面には回路パターン形状で改質層が形成されていた(図1(b)参照)。
次に、50mM濃度の硝酸カドミウム水溶液からなる金属イオン含有酸性水溶液中にポリイミドフィルムを3分間浸漬し、改質層にカドミウム(II)イオンを配位させて、金属イオン含有改質層を形成した(図1(c)参照)。この後、蒸留水で余分な硝酸カドミウムを除去した。
次に100ppm濃度の硫化ナトリウム、5mM濃度のリン酸水素二ナトリウム、5mM濃度のリン酸二水素カリウムの組成からなる水溶液を30℃に保ち、ポリイミドフィルムを20分間浸漬して硫化処理を行い、硫化カドミウムのナノ粒子集合体を得た。そして上記のアルカリ水溶液による処理以降の処理を5回繰り返すことにより、硫化カドミウムのナノ粒子集合体の濃度を増加させた。
この後、大気雰囲気下で300℃、5時間の条件で熱処理を行うことにより、硫化カドミウム薄膜を形成させた(図1(d)参照)。この硫化カドミムウム薄膜の膜厚は1.0μm、線幅は10μmであった。
(実施例4)
5M濃度のエチレンジアミン水溶液をアルカリ水溶液として用いた。そして、プリント・ヘッドのインクカートリッジにこのアルカリ水溶液を充填し、ピエゾ方式のインクジェット印刷装置を用いて、実施例1と同様に表面清浄化したポリイミドフィルムの表面に線幅20μmの回路パターンを描画し、30℃で30分間静置した。その後、ポリイミドフィルムを蒸留水中に浸漬して超音波洗浄を3分間行ない、50℃で5分間乾燥した。この結果、ポリイミドフィルムの表面には幅21μmの回路パターン形状で改質層が形成されていた(図1(b)参照)。
5M濃度のエチレンジアミン水溶液をアルカリ水溶液として用いた。そして、プリント・ヘッドのインクカートリッジにこのアルカリ水溶液を充填し、ピエゾ方式のインクジェット印刷装置を用いて、実施例1と同様に表面清浄化したポリイミドフィルムの表面に線幅20μmの回路パターンを描画し、30℃で30分間静置した。その後、ポリイミドフィルムを蒸留水中に浸漬して超音波洗浄を3分間行ない、50℃で5分間乾燥した。この結果、ポリイミドフィルムの表面には幅21μmの回路パターン形状で改質層が形成されていた(図1(b)参照)。
次に、金属イオン含有酸性溶液として50mM濃度のCuSO4水溶液を用い、この水溶液中にポリイミドフィルムを5分間浸漬し、改質層にCuイオンを配位して、金属イオン含有改質層を形成した(図1(c)参照)。この後、蒸留水で余分なCuSO4を除去した。
次に、還元溶液として100mM濃度のジメチルアミンボラン水溶液を用い、この水溶液にポリイミドフィルムを10分間浸漬した後、蒸留水で洗浄したところ、金属イオン含有改質層の表面部に銅薄膜の析出が確認された(図1(d)参照)。銅薄膜の厚みは200nm、銅薄膜の電気抵抗は5×10−3Ωcmであり、アルカリ水溶液の塗布形状と同形状を有する回路パターンを形成することができた。
この後、ポリイミドフィルムを、75℃に温度調整した次の浴組成の中性無電解ニッケルめっき浴に3時間浸漬した。
NiSO4 :0.1M
CH3COOH :1.0M
NaH2PO2 :0.2M
pH :4.5
そして無電解ニッケルめっき膜は銀薄膜の上に析出し、膜厚が4μmの均一なニッケルめっき膜が得られた。ニッケルめっき膜の電気抵抗は3×10−5Ωcmであり、先の銀薄膜とこのニッケルめっき膜とで、電子回路基板の回路を形成することができた(図1(e)参照)。
CH3COOH :1.0M
NaH2PO2 :0.2M
pH :4.5
そして無電解ニッケルめっき膜は銀薄膜の上に析出し、膜厚が4μmの均一なニッケルめっき膜が得られた。ニッケルめっき膜の電気抵抗は3×10−5Ωcmであり、先の銀薄膜とこのニッケルめっき膜とで、電子回路基板の回路を形成することができた(図1(e)参照)。
本発明は、電子部品、機械部品、特にフレキシブル回路板、フレックスリジッド回路板、TAB用キャリアなどの回路板の製造に広く利用可能である。
1 ポリイミド樹脂基材
2 アルカリ水溶液
3 改質層
4 金属イオン含有改質層
5 無機薄膜
6 無電解めっき膜
2 アルカリ水溶液
3 改質層
4 金属イオン含有改質層
5 無機薄膜
6 無電解めっき膜
Claims (11)
- ポリイミド樹脂の表面に無機薄膜を形成するにあたって、(1)ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を塗布し、ポリイミド樹脂のイミド環を開裂してカルボキシル基を生成する工程、(2)前記カルボキシル基を有するポリイミド樹脂に金属イオン含有溶液を接触させてカルボキシル基の金属塩を生成する工程、(3)前記金属塩を金属として、もしくは金属酸化物或いは半導体として、ポリイミド樹脂表面に析出させて無機薄膜を形成する工程、とを有することを特徴とするポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(1)工程において、アルカリ水溶液をインクジェット法によりポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に塗布することを特徴とする請求項1記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(1)工程において、アルカリ水溶液を転写法によりポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位に塗布することを特徴とする請求項1記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(1)工程において、ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位以外の部分に耐アルカリ性保護層を形成した後、アルカリ水溶液を塗布することにより、ポリイミド樹脂の無機薄膜形成部位にアルカリ水溶液を接触させることを特徴とする請求項1記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(3)の無機薄膜を形成する工程は、金属塩を還元処理することにより、金属塩を金属としてポリイミド樹脂表面に析出させて、金属薄膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(3)の無機薄膜を形成する工程は、金属塩を活性ガスと反応させることにより、金属塩を金属酸化物或いは半導体としてポリイミド樹脂表面に析出させて、金属酸化物薄膜或いは半導体薄膜を形成する工程であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(3)工程において、析出した無機薄膜は無機ナノ粒子の集合体から構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(3)工程において、無機ナノ粒子の集合体の一部がポリイミド樹脂に埋包されていることを特徴とする請求項7記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(3)工程の後に、(4)無機薄膜を析出させたポリイミド樹脂表面に無電解めっきを施す工程を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 前記(4)工程において、無機ナノ粒子の集合体をめっき析出核として無電解めっきを行なうことを特徴とする請求項9記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
- 無機薄膜形成部位は回路パターン形状であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のポリイミド樹脂の無機薄膜パターン形成方法。
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- 2004-07-09 JP JP2004203786A patent/JP2005045236A/ja active Pending
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