JP2005039000A - 半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】青色発光ダイオードの製造において、ZnOなどからなる透明電極をn型の半導体層の側に用いるために、基板を除去する工程が必要となる。基板の除去に際して、溶剤を用いたウェットエッチング法がとられるが、基板以外の部分も溶解させてしまうという問題がある。一方、半導体発光素子を固定し、研磨等機械的な方法によって、基板を除去することによって、上記問題を解決することができるが、このような機械的な方法では、固定部に外力が加わり、半導体発光素子の発光部およびその周辺を損傷するという問題が発生する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明では、半導体発光素子を外力から保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供することにより解決する。また、併せて、当該半導体発光素子の製造方法を提供することにより解決する。
【選択図】 図2
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明では、半導体発光素子を外力から保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供することにより解決する。また、併せて、当該半導体発光素子の製造方法を提供することにより解決する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物系化合物半導体発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
青色発光ダイオードに代表されるAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子は、元になる半導体基板を良質で大型のバルク結晶によって製造できないため、通常、III族窒化化合物系半導体をサファイアからなる基板上へ、結晶成長させることで製造した半導体基板上に種々の処理を行い、製造する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図1に、従来の半導体発光素子の概略図を示す。図1において、11は基板、12はn型の半導体層、13は発光領域を有する活性層、14はp型の半導体層、16は電極をそれぞれ示している。
【0004】
AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体は、n型の半導体層12の方がp型の半導体層14より低抵抗化が可能なため、通常は、図1のように、サファイアからなる基板11上にn型の半導体層12、発光領域を有する活性層13、p型の半導体層14の順に積層し、n型の半導体層12、p型の半導体層14、それぞれに電極16を形成する。このとき、光の取り出しの効率を高めるためには、p型の半導体層14に形成する電極16として光が透過する材料を用いればよい。そこで、p型の半導体層14に形成する電極16として、ZnOやITOなどの透明な半導体を用いればよいが、これらの材料はp型のものを製造することが困難であるため、NiやAuの半透明な薄膜導電体を用いたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかし、NiやAuの半透明な薄膜導電体は光の透過率が70%程度と透明性にかける。この問題を解決するために、n型の半導体層12の側に、n型のZnOやITOなどからなる透明な電極16を形成した半導体発光素子がある(例えば、特許文献3参照。)。これらの半導体発光素子の製造工程で、p型の半導体層14に電極16を形成するために、n型の半導体層12から基板11を除去する工程が必要となる。この工程では、溶剤を用いたウェットエッチング法がとられる。
【0006】
この方法では、溶剤の温度制御により、除去する基板11とそれ以外の部分を選別して目標物を除去するという方法が取られるために、基板11以外の部分も溶解させてしまうという問題がある(例えば、特許文献4参照。)。この問題を解決するためには、半導体発光素子を固定し、研磨等機械的な方法によって、基板11を除去することによって、解決することができる。しかし、このような機械的な方法では、固定部に種々の外力が加わり、半導体発光素子の発光部およびその周辺を損傷するという問題が発生する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−119196号公報 (第(1)頁〜第(7)頁)
【特許文献2】
特開2003−77853号公報 (第(1)頁〜第(14)頁)
【特許文献3】
特開2002−232005号公報 (第(1)頁〜第(10)頁)
【特許文献4】
特開2001−284314号公報 (第(1)頁〜第(8)頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するために、半導体発光素子を外力から保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供することを目的とする。また、併せて、当該半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本願第1発明は、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子であって、少なくとも、外力から該半導体発光素子を保護する半導体発光素子保護層と、p型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、n型の半導体層と、透明電極と、を順に備えた半導体発光素子である。
【0010】
本願第1発明において、前記半導体発光素子保護層として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金、からなるものを用いることができる。
【0011】
また、本願第1発明において、前記半導体発光素子保護層として、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC、からなるものを用いることができる。
【0012】
また、本願第1発明において、前記透明電極として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。
【0013】
また、前述した目的を達成するために、本願第2発明は、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子の製造方法であって、基板上に、少なくとも、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層と、を順に結晶成長させるステップと、該III族窒化物系化合物半導体を結晶成長させた以降に、該活性層に対して該p型の半導体層の側に、半導体発光素子保護層を配置するステップと、該半導体発光素子保護層を配置した以降に、該基板を除去するステップと、該基板を除去した以降に、該基板の除去によって露出した面上に、透明電極を形成するステップと、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0014】
本願第2発明において、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面と前記半導体発光素子保護層との間に金属を挟み、その後、融解させた該金属で前記半導体発光素子保護層を接合して、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとすることができる。
【0015】
あるいは、本願第2発明において、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面上に、前記半導体発光素子保護層を結晶成長させて、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとすることができる。
【0016】
また、前記基板を除去するステップとして、前記半導体発光素子保護層を固定台に吸い付けることで前記半導体発光素子を固定し、その後、前記基板を除去するステップとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本願第1発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。図2は、本願第1発明の実施の形態によって製造した半導体発光素子の概略図である。図2において、22はn型の半導体層、23は発光領域を有する活性層、24はp型の半導体層、25は半導体発光素子保護層、26はp型の半導体層の側の電極、28は透明電極、29は半導体発光素子保護層を接合するための接合層をそれぞれ示している。
【0018】
本実施の形態では、半導体発光素子保護層25は、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護し、かつ半導体発光素子を固定するための基板としての役割を持つものである。
【0019】
半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなるものを用いることができる。あるいは、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC等の半導体からなるものを用いることができる。
【0020】
ここで、半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の金属からなるものを用いる場合、接合層29として、上記金属より融点の低い金属を用いて、これを融解することで半導体発光素子保護層25を配置することができる。当該金属として、例えば、Al、InまたはAuSn等を用いることができる。
【0021】
ここで、半導体発光素子保護層25として、AlまたはAuからなるものを用いた場合、半導体発光素子保護層25の配置方法として、AlまたはAuからなる半導体発光素子保護層25を圧接することで配置してもよい。
【0022】
また、半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt等、または、これらを含む合金からなるものを用いた場合、Cu、Al、Au、Pt等、または、これらを含む合金からなる半導体発光素子保護層25が、活性層23で発光した光を反射する反射板として働くことにより、透明電極28の側からの、活性層23で発光した光の取り出し効率を高めることができる。
【0023】
また、半導体発光素子保護層25として、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金からなるものを用いた場合、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金いずれのものも磁石に吸い付く性質を持つ。そのため、本実施の形態による半導体発光素子の製造工程において、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金からなる半導体発光素子保護層25を磁石に吸い付けることで、半導体発光素子を固定するのに用いることができる。
【0024】
また、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなる半導体発光素子保護層25を設けることで、電極26を省くことも可能となる。
【0025】
一方、半導体発光素子保護層25として、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC等、の半導体からなるものを用いる場合は、活性層23に対してp型の半導体層24の側の露出した面に、半導体発光素子保護層25を直接結晶成長させることができる。そのため、接合層29を省くことも可能となる。
【0026】
また、透明電極28として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。従来のAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子は、基板11上にn型の半導体層22、発光領域を有する活性層23、p型の半導体層24を結晶成長させた後、基板11を除去せずに半導体発光素子を組み立てていたために、活性層23で発光した光は、基板11によって遮断され、基板11の側からの取り出し効率が低かった。また、ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、p型の半導体層の側には用いることができず、従来、p型の半導体層の側には透明性にかけるAu、Ni等の箔を電極として用いていた。本実施の形態では、基板11を除去することによって露出した面上に、透明電極28として、n型の半導体である、ZnOまたはITOからなるものを用いることで、透明電極28の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0027】
また、n型の半導体層22、発光領域を有する活性層23、p型の半導体層24として、いずれもAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなるものを用いる。
【0028】
次に、本願第2発明の実施の形態による製造方法の発明について、図3から図6を参照して説明する。図3は、基板上にn型の半導体層、発光領域を有する活性層、p型の半導体層を結晶成長させるステップを示した図である。図4は、半導体発光素子保護層を配置するステップを示した図である。また、図5は、基板を除去するステップを示した図である。図6は、透明電極を形成するステップを示した図である。図3、図4、図5、図6において、31は基板、32はn型の半導体層、33は発光領域を有する活性層、34はp型の半導体層、35は半導体発光素子保護層、39は半導体発光素子保護層を接合するための接合層、411は半導体発光素子を固定する固定台、412は電磁石、58は透明電極をそれぞれ示している。
【0029】
半導体発光素子の製造工程では、まず、サファイアからなる基板31上に、少なくとも、n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを順に結晶成長させる。n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34として、いずれも、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いる場合、MOCVD等のエピタキシャル成長法を用いて、当該半導体を結晶成長させることができる。
【0030】
ここで、半導体発光素子は、少なくともn型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを備えており、この他に、良質な半導体結晶を得るための適当なバッファ層なども備えることもできる。
【0031】
n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層35を、接合層39を介して配置する。半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の金属からなるものを用いることができる。半導体発光素子保護層35として、上記金属からなるものを用いた場合、接合層39として、これらの金属より融点の低い金属を用いることができる。当該金属として、例えば、Al、In、またはAuSnを用いることができる。
【0032】
活性層33に対してp型の半導体層34の側の露出した面と半導体発光素子保護層35との間に、接合層39となる金属板を挟み、当該金属板を融解させることで半導体発光素子保護層35を接合する。ここで、接合層39となるものとして、金属板の他に、金属粉、金属球などを用いても良い。また、半導体発光素子保護層25として、AlまたはAuを用いた場合、上記のような金属板からなる接合層39を省き、直接、AlまたはAuからなる半導体発光素子保護層35を圧接等の方法により配置することもできる。
【0033】
半導体発光素子保護層35を設けることで、本実施の形態による製造方法の工程において、半導体発光素子保護層35を、半導体発光素子を固定するための基板として用いることができる。また、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護する役割を持たせることができる。さらに、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなる半導体発光素子保護層35を設けることで、半導体発光素子保護層35をp型の半導体層34の側の電極として用いることが可能となる。なお、半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、またはこれらを含む合金等からなるものを用いた場合、半導体発光素子保護層35が、活性層33で発光した光を反射する反射板として働くことにより、透明電極58からの発光の取り出し効率を高めることができる。
【0034】
半導体発光素子保護層35を接合した以降、基板31を除去する。基板31を除去するため、半導体発光素子を固定台411に固定する。このとき、半導体発光素子保護層35として、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金を用いた場合、半導体発光素子保護層35を電磁石412に吸い付けることで、半導体発光素子を固定することができる。半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、またはこれらを含む合金からなるものを用いた場合は、半導体発光素子保護層35を吸引等することにより、半導体発光素子を固定することができる。なお、図5では、半導体発光素子を、基板31を下にして固定した図を示しているが、向きを問わず吸い付けて半導体発光素子を固定することができる。
【0035】
半導体発光素子を固定台411に固定した後、基板31を除去する。基板31を除去する方法として、研磨、レーザリフトオフ法等を用いることができる。これらの方法は、溶剤によってエッチングする方法に比べ、基板31以外の部分が損傷するのを抑えることができる。
【0036】
基板31を除去した以降、基板31の除去によって露出した面に透明電極58を形成する。透明電極58として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、n型の半導体層32に対して電極として用いることができる。ZnOまたはITOからなる透明電極58を形成する方法として、スパッタリング等を用いることができる。
【0037】
ZnOまたはITOからなる透明電極58を形成することによって、透明電極58の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0038】
以上の製造工程を経ることによって、本願第1発明の半導体発光素子を製造することができる。従来、p型の半導体層34の側には用いることができなかった、ZnO、またはITOからなる透明電極を、n型の半導体層32の側に用いることによって、光の取り出し効率を高めた半導体発光素子を製造することができた。当該半導体発光素子の製造は、基板31を除去することによって、n型の半導体層32の側の面を露出し、露出した面に、共にn型の半導体であるZnOまたはITOを形成することで可能となった。
【0039】
次に、本願第2発明の他の実施の形態による製造方法の発明について、図7から図9を参照して説明する。図7は、前述の実施の形態における図3のように、基板上に、少なくとも、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層とを順に結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層を配置するステップを示している。また、図8は、基板を除去するステップを示した図である。図9は、電極および透明電極を形成するステップを示した図である。図7、図8、図9において、61は基板、62はn型の半導体層、63は発光領域を有する活性層、64はp型の半導体層、65は半導体発光素子保護層、86は電極、88は透明電極、711は半導体発光素子を固定する固定台、712は吸気口をそれぞれ示している。
【0040】
半導体発光素子の製造工程では、まず、サファイアからなる基板61上に、n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを順に結晶成長させる。n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64として、いずれも、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いる場合、MOCVD等のエピタキシャル成長法を用いて、当該半導体を結晶成長させることができる。
【0041】
ここで、半導体発光素子は、少なくともn型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを有しており、この他に、良質な半導体結晶を得るための適当なバッファ層なども備えることもできる。
【0042】
n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを順に結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層65を、p型の半導体層64の側の露出した面に配置する。半導体発光素子保護層65として、p型の、Si、GaAs、GaP、InP、またはSiC等の半導体からなるものを用いることができる。半導体発光素子保護層65として、上記半導体からなるものを用いた場合には、CVD等のエピタキシャル成長法によって、半導体発光素子保護層65を結晶成長させて、配置することができる。
【0043】
半導体発光素子保護層65を設けることで、本実施の形態による製造方法の工程において、半導体発光素子保護層65を、半導体発光素子を固定するための基板として用いることができる。さらに、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護する役割を持たせることもできる。
【0044】
半導体発光素子保護層65を配置した以降、基板61を除去する。基板61を除去するため、半導体発光素子を固定台711に固定する。吸気口712から吸気することによって半導体発光素子保護層65を固定台711に吸い付けることで、半導体発光素子を固定することができる。なお、図8では、半導体発光素子を、基板61を下にして固定した図を示しているが、向きを問わず吸い付けて半導体発光素子を固定することができる。
【0045】
半導体発光素子を固定台711に固定した後、基板61を除去する。基板61を除去する方法として、研磨、レーザリフトオフ法等を用いることができる。これらの方法は、溶剤によってエッチングする方法に比べ、基板61以外の部分が損傷するのを抑えることができる。
【0046】
基板61を除去した以降、基板61の除去によって露出した面上に透明電極88を形成する。透明電極88として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、n型の半導体層62の側の電極として用いることができる。ZnOまたはITOからなる透明電極88を形成する方法として、スパッタリング等を用いることができる。
【0047】
ZnOまたはITOからなる透明電極88を形成することによって、透明電極88の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0048】
以上の製造工程を経ることによって、本願第1発明の実施の形態による半導体発光素子を製造することができる。従来、p型の半導体層64の側には用いることができなかった、ZnOまたはITOからなる透明電極を、n型の半導体層62の側に用いることによって、光の取り出し効率を高めた半導体発光素子を製造することができた。当該半導体発光素子の製造は、基板61を除去することによって、n型の半導体層62の側の面を露出し、露出した面に、共にn型の半導体であるZnOまたはITOを形成することで可能となった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、半導体発光素子を保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供し、当該半導体発光素子保護層により、光の取り出し効率が従来の半導体発光素子よりも高い半導体発光素子の製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の半導体発光素子の概略図である。
【図2】本願発明の実施の形態によって製造した半導体発光素子の概略図である。
【図3】基板上にn型の半導体層、発光領域を有する活性層、p型の半導体層を結晶成長させるステップを示した図である。
【図4】半導体発光素子保護層を配置するステップを示した図である。
【図5】基板を除去するステップを示した図である。
【図6】透明電極を形成するステップを示した図である。
【図7】図3のように、基板上に、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層とを順に結晶成長させた後、半導体発光素子保護層を配置するステップを示している。
【図8】基板を除去するステップを示した図である。
【図9】電極および透明電極を形成するステップを示した図である。
【符号の説明】
11:基板
12:n型の半導体層
13:発光領域を有する活性層
14:p型の半導体層
16:電極
22:n型の半導体層
23:発光領域を有する活性層
24:p型の半導体層
26:電極
28:透明電極
29:接合層
31:基板
32:n型の半導体層
33:発光領域を有する活性層
34:p型の半導体層
35:半導体発光素子保護層
39:接合層
411:固定台
412:電磁石
58:透明電極
61:基板
62:n型の半導体層
63:発光領域を有する活性層
64:p型の半導体層
65:半導体発光素子保護層
711:固定台
712:吸気口
88:透明電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、III族窒化物系化合物半導体発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
青色発光ダイオードに代表されるAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子は、元になる半導体基板を良質で大型のバルク結晶によって製造できないため、通常、III族窒化化合物系半導体をサファイアからなる基板上へ、結晶成長させることで製造した半導体基板上に種々の処理を行い、製造する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図1に、従来の半導体発光素子の概略図を示す。図1において、11は基板、12はn型の半導体層、13は発光領域を有する活性層、14はp型の半導体層、16は電極をそれぞれ示している。
【0004】
AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体は、n型の半導体層12の方がp型の半導体層14より低抵抗化が可能なため、通常は、図1のように、サファイアからなる基板11上にn型の半導体層12、発光領域を有する活性層13、p型の半導体層14の順に積層し、n型の半導体層12、p型の半導体層14、それぞれに電極16を形成する。このとき、光の取り出しの効率を高めるためには、p型の半導体層14に形成する電極16として光が透過する材料を用いればよい。そこで、p型の半導体層14に形成する電極16として、ZnOやITOなどの透明な半導体を用いればよいが、これらの材料はp型のものを製造することが困難であるため、NiやAuの半透明な薄膜導電体を用いたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかし、NiやAuの半透明な薄膜導電体は光の透過率が70%程度と透明性にかける。この問題を解決するために、n型の半導体層12の側に、n型のZnOやITOなどからなる透明な電極16を形成した半導体発光素子がある(例えば、特許文献3参照。)。これらの半導体発光素子の製造工程で、p型の半導体層14に電極16を形成するために、n型の半導体層12から基板11を除去する工程が必要となる。この工程では、溶剤を用いたウェットエッチング法がとられる。
【0006】
この方法では、溶剤の温度制御により、除去する基板11とそれ以外の部分を選別して目標物を除去するという方法が取られるために、基板11以外の部分も溶解させてしまうという問題がある(例えば、特許文献4参照。)。この問題を解決するためには、半導体発光素子を固定し、研磨等機械的な方法によって、基板11を除去することによって、解決することができる。しかし、このような機械的な方法では、固定部に種々の外力が加わり、半導体発光素子の発光部およびその周辺を損傷するという問題が発生する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−119196号公報 (第(1)頁〜第(7)頁)
【特許文献2】
特開2003−77853号公報 (第(1)頁〜第(14)頁)
【特許文献3】
特開2002−232005号公報 (第(1)頁〜第(10)頁)
【特許文献4】
特開2001−284314号公報 (第(1)頁〜第(8)頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決するために、半導体発光素子を外力から保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供することを目的とする。また、併せて、当該半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本願第1発明は、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子であって、少なくとも、外力から該半導体発光素子を保護する半導体発光素子保護層と、p型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、n型の半導体層と、透明電極と、を順に備えた半導体発光素子である。
【0010】
本願第1発明において、前記半導体発光素子保護層として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金、からなるものを用いることができる。
【0011】
また、本願第1発明において、前記半導体発光素子保護層として、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC、からなるものを用いることができる。
【0012】
また、本願第1発明において、前記透明電極として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。
【0013】
また、前述した目的を達成するために、本願第2発明は、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子の製造方法であって、基板上に、少なくとも、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層と、を順に結晶成長させるステップと、該III族窒化物系化合物半導体を結晶成長させた以降に、該活性層に対して該p型の半導体層の側に、半導体発光素子保護層を配置するステップと、該半導体発光素子保護層を配置した以降に、該基板を除去するステップと、該基板を除去した以降に、該基板の除去によって露出した面上に、透明電極を形成するステップと、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0014】
本願第2発明において、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面と前記半導体発光素子保護層との間に金属を挟み、その後、融解させた該金属で前記半導体発光素子保護層を接合して、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとすることができる。
【0015】
あるいは、本願第2発明において、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面上に、前記半導体発光素子保護層を結晶成長させて、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとすることができる。
【0016】
また、前記基板を除去するステップとして、前記半導体発光素子保護層を固定台に吸い付けることで前記半導体発光素子を固定し、その後、前記基板を除去するステップとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本願第1発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。図2は、本願第1発明の実施の形態によって製造した半導体発光素子の概略図である。図2において、22はn型の半導体層、23は発光領域を有する活性層、24はp型の半導体層、25は半導体発光素子保護層、26はp型の半導体層の側の電極、28は透明電極、29は半導体発光素子保護層を接合するための接合層をそれぞれ示している。
【0018】
本実施の形態では、半導体発光素子保護層25は、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護し、かつ半導体発光素子を固定するための基板としての役割を持つものである。
【0019】
半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなるものを用いることができる。あるいは、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC等の半導体からなるものを用いることができる。
【0020】
ここで、半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の金属からなるものを用いる場合、接合層29として、上記金属より融点の低い金属を用いて、これを融解することで半導体発光素子保護層25を配置することができる。当該金属として、例えば、Al、InまたはAuSn等を用いることができる。
【0021】
ここで、半導体発光素子保護層25として、AlまたはAuからなるものを用いた場合、半導体発光素子保護層25の配置方法として、AlまたはAuからなる半導体発光素子保護層25を圧接することで配置してもよい。
【0022】
また、半導体発光素子保護層25として、Cu、Al、Au、Pt等、または、これらを含む合金からなるものを用いた場合、Cu、Al、Au、Pt等、または、これらを含む合金からなる半導体発光素子保護層25が、活性層23で発光した光を反射する反射板として働くことにより、透明電極28の側からの、活性層23で発光した光の取り出し効率を高めることができる。
【0023】
また、半導体発光素子保護層25として、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金からなるものを用いた場合、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金いずれのものも磁石に吸い付く性質を持つ。そのため、本実施の形態による半導体発光素子の製造工程において、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金からなる半導体発光素子保護層25を磁石に吸い付けることで、半導体発光素子を固定するのに用いることができる。
【0024】
また、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなる半導体発光素子保護層25を設けることで、電極26を省くことも可能となる。
【0025】
一方、半導体発光素子保護層25として、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC等、の半導体からなるものを用いる場合は、活性層23に対してp型の半導体層24の側の露出した面に、半導体発光素子保護層25を直接結晶成長させることができる。そのため、接合層29を省くことも可能となる。
【0026】
また、透明電極28として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。従来のAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子は、基板11上にn型の半導体層22、発光領域を有する活性層23、p型の半導体層24を結晶成長させた後、基板11を除去せずに半導体発光素子を組み立てていたために、活性層23で発光した光は、基板11によって遮断され、基板11の側からの取り出し効率が低かった。また、ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、p型の半導体層の側には用いることができず、従来、p型の半導体層の側には透明性にかけるAu、Ni等の箔を電極として用いていた。本実施の形態では、基板11を除去することによって露出した面上に、透明電極28として、n型の半導体である、ZnOまたはITOからなるものを用いることで、透明電極28の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0027】
また、n型の半導体層22、発光領域を有する活性層23、p型の半導体層24として、いずれもAlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなるものを用いる。
【0028】
次に、本願第2発明の実施の形態による製造方法の発明について、図3から図6を参照して説明する。図3は、基板上にn型の半導体層、発光領域を有する活性層、p型の半導体層を結晶成長させるステップを示した図である。図4は、半導体発光素子保護層を配置するステップを示した図である。また、図5は、基板を除去するステップを示した図である。図6は、透明電極を形成するステップを示した図である。図3、図4、図5、図6において、31は基板、32はn型の半導体層、33は発光領域を有する活性層、34はp型の半導体層、35は半導体発光素子保護層、39は半導体発光素子保護層を接合するための接合層、411は半導体発光素子を固定する固定台、412は電磁石、58は透明電極をそれぞれ示している。
【0029】
半導体発光素子の製造工程では、まず、サファイアからなる基板31上に、少なくとも、n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを順に結晶成長させる。n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34として、いずれも、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いる場合、MOCVD等のエピタキシャル成長法を用いて、当該半導体を結晶成長させることができる。
【0030】
ここで、半導体発光素子は、少なくともn型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを備えており、この他に、良質な半導体結晶を得るための適当なバッファ層なども備えることもできる。
【0031】
n型の半導体層32と、発光領域を有する活性層33と、p型の半導体層34とを結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層35を、接合層39を介して配置する。半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の金属からなるものを用いることができる。半導体発光素子保護層35として、上記金属からなるものを用いた場合、接合層39として、これらの金属より融点の低い金属を用いることができる。当該金属として、例えば、Al、In、またはAuSnを用いることができる。
【0032】
活性層33に対してp型の半導体層34の側の露出した面と半導体発光素子保護層35との間に、接合層39となる金属板を挟み、当該金属板を融解させることで半導体発光素子保護層35を接合する。ここで、接合層39となるものとして、金属板の他に、金属粉、金属球などを用いても良い。また、半導体発光素子保護層25として、AlまたはAuを用いた場合、上記のような金属板からなる接合層39を省き、直接、AlまたはAuからなる半導体発光素子保護層35を圧接等の方法により配置することもできる。
【0033】
半導体発光素子保護層35を設けることで、本実施の形態による製造方法の工程において、半導体発光素子保護層35を、半導体発光素子を固定するための基板として用いることができる。また、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護する役割を持たせることができる。さらに、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金等の導電体からなる半導体発光素子保護層35を設けることで、半導体発光素子保護層35をp型の半導体層34の側の電極として用いることが可能となる。なお、半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、またはこれらを含む合金等からなるものを用いた場合、半導体発光素子保護層35が、活性層33で発光した光を反射する反射板として働くことにより、透明電極58からの発光の取り出し効率を高めることができる。
【0034】
半導体発光素子保護層35を接合した以降、基板31を除去する。基板31を除去するため、半導体発光素子を固定台411に固定する。このとき、半導体発光素子保護層35として、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金を用いた場合、半導体発光素子保護層35を電磁石412に吸い付けることで、半導体発光素子を固定することができる。半導体発光素子保護層35として、Cu、Al、Au、Pt、またはこれらを含む合金からなるものを用いた場合は、半導体発光素子保護層35を吸引等することにより、半導体発光素子を固定することができる。なお、図5では、半導体発光素子を、基板31を下にして固定した図を示しているが、向きを問わず吸い付けて半導体発光素子を固定することができる。
【0035】
半導体発光素子を固定台411に固定した後、基板31を除去する。基板31を除去する方法として、研磨、レーザリフトオフ法等を用いることができる。これらの方法は、溶剤によってエッチングする方法に比べ、基板31以外の部分が損傷するのを抑えることができる。
【0036】
基板31を除去した以降、基板31の除去によって露出した面に透明電極58を形成する。透明電極58として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、n型の半導体層32に対して電極として用いることができる。ZnOまたはITOからなる透明電極58を形成する方法として、スパッタリング等を用いることができる。
【0037】
ZnOまたはITOからなる透明電極58を形成することによって、透明電極58の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0038】
以上の製造工程を経ることによって、本願第1発明の半導体発光素子を製造することができる。従来、p型の半導体層34の側には用いることができなかった、ZnO、またはITOからなる透明電極を、n型の半導体層32の側に用いることによって、光の取り出し効率を高めた半導体発光素子を製造することができた。当該半導体発光素子の製造は、基板31を除去することによって、n型の半導体層32の側の面を露出し、露出した面に、共にn型の半導体であるZnOまたはITOを形成することで可能となった。
【0039】
次に、本願第2発明の他の実施の形態による製造方法の発明について、図7から図9を参照して説明する。図7は、前述の実施の形態における図3のように、基板上に、少なくとも、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層とを順に結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層を配置するステップを示している。また、図8は、基板を除去するステップを示した図である。図9は、電極および透明電極を形成するステップを示した図である。図7、図8、図9において、61は基板、62はn型の半導体層、63は発光領域を有する活性層、64はp型の半導体層、65は半導体発光素子保護層、86は電極、88は透明電極、711は半導体発光素子を固定する固定台、712は吸気口をそれぞれ示している。
【0040】
半導体発光素子の製造工程では、まず、サファイアからなる基板61上に、n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを順に結晶成長させる。n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64として、いずれも、AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体を用いる場合、MOCVD等のエピタキシャル成長法を用いて、当該半導体を結晶成長させることができる。
【0041】
ここで、半導体発光素子は、少なくともn型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを有しており、この他に、良質な半導体結晶を得るための適当なバッファ層なども備えることもできる。
【0042】
n型の半導体層62と、発光領域を有する活性層63と、p型の半導体層64とを順に結晶成長させた以降、半導体発光素子保護層65を、p型の半導体層64の側の露出した面に配置する。半導体発光素子保護層65として、p型の、Si、GaAs、GaP、InP、またはSiC等の半導体からなるものを用いることができる。半導体発光素子保護層65として、上記半導体からなるものを用いた場合には、CVD等のエピタキシャル成長法によって、半導体発光素子保護層65を結晶成長させて、配置することができる。
【0043】
半導体発光素子保護層65を設けることで、本実施の形態による製造方法の工程において、半導体発光素子保護層65を、半導体発光素子を固定するための基板として用いることができる。さらに、半導体発光素子の製造工程時にかかる種々の外力から半導体発光素子を保護する役割を持たせることもできる。
【0044】
半導体発光素子保護層65を配置した以降、基板61を除去する。基板61を除去するため、半導体発光素子を固定台711に固定する。吸気口712から吸気することによって半導体発光素子保護層65を固定台711に吸い付けることで、半導体発光素子を固定することができる。なお、図8では、半導体発光素子を、基板61を下にして固定した図を示しているが、向きを問わず吸い付けて半導体発光素子を固定することができる。
【0045】
半導体発光素子を固定台711に固定した後、基板61を除去する。基板61を除去する方法として、研磨、レーザリフトオフ法等を用いることができる。これらの方法は、溶剤によってエッチングする方法に比べ、基板61以外の部分が損傷するのを抑えることができる。
【0046】
基板61を除去した以降、基板61の除去によって露出した面上に透明電極88を形成する。透明電極88として、ZnOまたはITOからなるものを用いることができる。ZnO、ITOは、共にn型の半導体であるため、n型の半導体層62の側の電極として用いることができる。ZnOまたはITOからなる透明電極88を形成する方法として、スパッタリング等を用いることができる。
【0047】
ZnOまたはITOからなる透明電極88を形成することによって、透明電極88の側からの光の取り出し効率を高めることができる。
【0048】
以上の製造工程を経ることによって、本願第1発明の実施の形態による半導体発光素子を製造することができる。従来、p型の半導体層64の側には用いることができなかった、ZnOまたはITOからなる透明電極を、n型の半導体層62の側に用いることによって、光の取り出し効率を高めた半導体発光素子を製造することができた。当該半導体発光素子の製造は、基板61を除去することによって、n型の半導体層62の側の面を露出し、露出した面に、共にn型の半導体であるZnOまたはITOを形成することで可能となった。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、半導体発光素子を保護し、かつ、容易に固定するための半導体発光素子保護層を有する半導体発光素子を提供し、当該半導体発光素子保護層により、光の取り出し効率が従来の半導体発光素子よりも高い半導体発光素子の製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の半導体発光素子の概略図である。
【図2】本願発明の実施の形態によって製造した半導体発光素子の概略図である。
【図3】基板上にn型の半導体層、発光領域を有する活性層、p型の半導体層を結晶成長させるステップを示した図である。
【図4】半導体発光素子保護層を配置するステップを示した図である。
【図5】基板を除去するステップを示した図である。
【図6】透明電極を形成するステップを示した図である。
【図7】図3のように、基板上に、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層とを順に結晶成長させた後、半導体発光素子保護層を配置するステップを示している。
【図8】基板を除去するステップを示した図である。
【図9】電極および透明電極を形成するステップを示した図である。
【符号の説明】
11:基板
12:n型の半導体層
13:発光領域を有する活性層
14:p型の半導体層
16:電極
22:n型の半導体層
23:発光領域を有する活性層
24:p型の半導体層
26:電極
28:透明電極
29:接合層
31:基板
32:n型の半導体層
33:発光領域を有する活性層
34:p型の半導体層
35:半導体発光素子保護層
39:接合層
411:固定台
412:電磁石
58:透明電極
61:基板
62:n型の半導体層
63:発光領域を有する活性層
64:p型の半導体層
65:半導体発光素子保護層
711:固定台
712:吸気口
88:透明電極
Claims (8)
- AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子であって、少なくとも、外力から該半導体発光素子を保護する半導体発光素子保護層と、p型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、n型の半導体層と、透明電極と、を順に備えた半導体発光素子。
- 前記半導体発光素子保護層が、Cu、Al、Au、Pt、Fe、Co、Ni、またはこれらを含む合金、からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記半導体発光素子保護層が、p型の、Si、GaAs、GaP、InPまたはSiC、からなることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記透明電極が、ZnOまたはITOからなる請求項1から請求項3に記載のいずれかの半導体発光素子。
- AlxGayIn1−x−yN(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)と表されるIII族窒化物系化合物半導体からなる半導体発光素子の製造方法であって、基板上に、少なくとも、n型の半導体層と、発光領域を有する活性層と、p型の半導体層と、を順に結晶成長させるステップと、該III族窒化物系化合物半導体を結晶成長させた以降に、該活性層に対して該p型の半導体層の側に、半導体発光素子保護層を配置するステップと、該半導体発光素子保護層を配置した以降に、該基板を除去するステップと、該基板を除去した以降に、該基板の除去によって露出した面上に、透明電極を形成するステップと、を有することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
- 前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面と前記半導体発光素子保護層との間に金属を挟み、その後、融解させた該金属で前記半導体発光素子保護層を接合して、前記半導体発光素子保護層を配置するステップであることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 前記活性層に対して前記p型の半導体層の側に、前記半導体発光素子保護層を配置するステップとして、前記活性層に対して前記p型の半導体層の側の露出した面上に、前記半導体発光素子保護層を結晶成長させて、前記半導体発光素子保護層を配置するステップであることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
- 前記基板を除去するステップとして、前記半導体発光素子保護層を固定台に吸い付けることで前記半導体発光素子を固定し、その後、前記基板を除去するステップであることを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子の製造方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007221146A (ja) * | 2006-02-16 | 2007-08-30 | Lg Electronics Inc | 縦型発光素子及びその製造方法 |
KR101128612B1 (ko) * | 2005-05-24 | 2012-03-26 | 엘지이노텍 주식회사 | 발광 소자 및 그의 제조 방법 |
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2003
- 2003-07-18 JP JP2003199130A patent/JP2005039000A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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