JP2005032667A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】 フラッディング現象を抑制するとともに、ガス拡散層による高分子電解質膜や触媒層へのダメージを低減することにより、長時間の連続運転が可能な燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有する一対の電極、前記電極に反応ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した単電池を少なくと3個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、前記電池積層体の少なくとも両端の単電池を構成するガス拡散層が織布3a,3bを基材とし、前記両端の単電池以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布13a、13bを基材とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料として純水素、またはメタノールもしくは化石燃料より改質して得られた水素などの燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて電力と熱を発生させる燃料電池を複数個積層した燃料電池スタックに関する。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気などの酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて、電力と熱とを同時に発生させる。
従来の燃料電池を複数個積層した燃料電池スタックの一般的な構成を図6に示す。
燃料電池は、水素イオンを選択的に輸送する水素イオン伝導性高分子電解質膜1、および高分子電解質膜1の両面に形成された一対の電極44a、44bから構成される。前記電極44a、44bは、通常、白金系の金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とし、水素イオン伝導性高分子電解質膜1上に形成される触媒層2a、2bおよび、この触媒層2a、2bの外面に形成され、通気性と電子導電性とを併せ持つガス拡散層48a、48bからなる。
ガス拡散層48a、48bは、基材43a、43bおよび前記基材43a、43bの触媒層2a、2b側に形成された導電性撥水カーボン層15a、15bからなる。
電極44a、44bに供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスが外にリークしたり、二種類の反応ガスが互いに混合したりしないように、電極44a、44bの周囲には水素イオン伝導性高分子電解質膜1を挟んでガスシール材5a、5bが配置される。このガスシール材5a、5bは、電極44a、44bおよび水素イオン伝導性高分子電解質膜1と一体化してあらかじめ組み立てられ、これをMEA12(電解質膜・電極接合体)と呼ぶ。
MEA12の外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEA12を互いに電気的に直列に接続するために、導電性を有するセパレータ板6a、6bが配置される。セパレータ板6a、6bのMEA12と接触する部分には、電極44a、44bに反応ガスを供給し、生成水や余剰ガスを運び去るためのガス流路7が形成されている。
燃料電池は運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するためには、冷却水等で冷却する必要がある。そこで通常、1〜3セル毎にセパレータ板に冷却水を流す冷却部が設けられる。図6では、MEA12間にセパレータ板6aを配して2セルを積層する毎に、背面に冷却水用の流路が設けられたセパレータ板6bを2枚重ねて冷却部16を形成した複合セパレータ板が積層されている。
このように、MEA12とセパレータ板6a、6bとを交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、その電池積層体を集電板9および絶縁板10を介してエンドプレート11で挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な燃料電池スタックの構造である。
水素イオン伝導性高分子電解質膜の水素イオンを選択的に輸送する機能は、高分子電解質膜が水分を含んだ状態で発揮される。そして、高分子電解質膜の含水率が高いほど、水素イオン伝導度が増加して反応がスムーズに進行するとともに、電池の内部抵抗が低減する。これらのことから、運転時には、電極に供給される反応ガスを高加湿にする必要がある。
ガス拡散層には、(1)反応ガスをMEAに均一に供給する、(2)高分子電解質膜や電極を適度な湿潤状態に保つ、(3)過剰な反応生成水を排出する、(4)基材が集電性を有し、MEAとセパレータ板の導電性を確保する、の4つの機能が要求される。ガス拡散層は、通常、導電性を有する多孔質基材の片面に、導電性撥水カーボン層と呼ばれる被覆層を形成した状態で用いられる。
前記基材には、織布(カーボンクロス)や不織布(カーボンペーパー、カーボンフェルト)が用いられ、いずれの場合にも耐薬品性、電気伝導性、強度、熱伝導率、空気透過率、圧縮強度などに優れ、かつ適度の撥水性、水透過性、水分保持性、平滑性を同時に満足しなければない。
一般的な織布と不織布の作製方法と特徴について説明する。
織布には、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、ポリノジック系などの炭素質繊維が用いられる。その中でも現在、機械的強度が高いことや不純物が少ないことから、ポリアクリロニトリル系が好ましい。炭素質繊維の単繊維の直径は通常3〜70μmであるが、特に8〜40μmが好ましい。この単繊維を10〜600本、撚り合わせて単糸を作製する。さらに、この単糸を2本、撚り合わせて双糸を作製する場合もある。この単糸あるいは双糸を用いて、通常の織機を用いて布を作製する。織布の織り方は平織が好ましい。しかし運転条件によって、斜文織、朱子織を用いることもある。
上記の糸を織機で平織にする場合の経緯密度(単位長さあたりの縦糸および横糸の本数)は、100 〜500 本/10cmが好ましく、その中でも150〜300 本/10cmが特に好ましい。経緯密度が小さすぎると、糸の歪みやほつれ、しわが生じやすくなり、強度も低下する。経緯密度が大きすぎると、糸が密に詰まった状態になり、ガス拡散性や透湿性が低下して、電池性能に悪い影響を及ぼす。また、織布とした場合に厚さのむらが大きくなり易い。
ガス拡散層としては、上述の織布を、例えば、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理したのち、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理したものが用いられる。
なお、織布は、一般的には、例えば、炭素質繊維が互いに融着することにより、または、比較的少量のバインダーもしくはその炭化物により炭素質繊維が互いに結合することにより構成される。
バインダーとしては、加熱により炭素化するものが好ましく、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ピッチなどが用いられる。バインダーにより炭素質繊維間の接触点において両繊維が離れないため、織布の電気抵抗は一定に保たれる。また、不織布に比べ織布の場合は、繊維を織っているため、ある程度の強度や接点が確保されている分、必要なバインダー量は比較的少量で済む。このように、バインダーを用いることにより、十分な剛性や導電性を確保しつつ、優れたガス拡散性を保持することができる。
不織布の材料としては、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、セルロース系、ポリノジック系などの炭素質繊維が用いられる。この中でも、機械的強度が高いことや不純物が少ないことから、ポリアクリロニトリル系が好ましい。炭素繊維の繊維径は2〜25μmが好ましく、さらに、基材強度が高くなるため、4〜15μmが特に好ましい。単繊維の長さは2〜30mm程度が好ましい。さらに、一層基材の強度を向上させるため、5〜20mm程度が特に好ましい。
不織布は、この単繊維を二次元においてランダムな方向に多量に分散させ、単繊維間を結合させることにより得られる。この方法としては、例えば、液体中に炭素質単繊維を分散させて抄造する湿式法(抄紙法)や、空気中で炭素質単繊維を分散させて、降り積もらせた状態とした後、それを圧延プレスする乾式法などが挙げられる。一般的に、湿式法により得られた不織布をカーボンペーパー、乾式法により得られた不織布をカーボンフェルトと呼ぶ。
湿式法や乾式法の場合には、単繊維を結合させるためのバインダーとして高分子材料が多量に用いられる。高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂、ピッチなどの熱硬化性樹脂が用いられる。また、不織布は、通常数枚のシートを貼り合わせることにより得られる。このため、シート間を接着する場合にも、上述のバインダーが大量に用いられる。したがって、バインダーとして、通常電気伝導性および熱伝導性に乏しい熱硬化性樹脂を用いた場合は、不織布の厚さ方向において、良好な電気伝導性および熱伝導性が得られない。
このように、不織布は、製造工程において、バインダーとして比較的多量の高分子材料を必要する。また、数枚のシートをプレス加工して一定の厚さとするので、ガス透過性、透湿性、および導電性が織布に比べて低く、逆に剛性は比較的大きい。
ガス拡散層としては、上記の炭素質単繊維およびバインダーを用いて得られた不織布を、窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理した後、それをアルゴン雰囲気中、2000℃で加熱して黒鉛化処理したものが用いられる。
上記のように織布を用いた場合と不織布を用いた場合とでは、ガス拡散層用の基材の作製方法が異なるため、電池性能に異なる影響を及ぼす。
本発明は、ガス拡散層用基材に織布または不織布を用いた場合の電池試験を繰り返し行い、織布と不織布の違いが電池性能に与える影響を明らかにすることにより発案されたものである。一般的な、織布と不織布の特徴を表1に示す。
Figure 2005032667
織布は縦糸と横糸を織って得られたものであるため、織布からなる基材は、その表面が比較的凹凸形状を有している。また、織布は単繊維を撚って得られた糸を用いて織られたものであり、織布作製時に必要なバインダー量が少ない。このため、基材を構成する撚り糸から繊維の一部が飛び出すことにより、繊維ほつれ(毛羽立ち)が発生しやすい。
この基材表面の凸部や繊維ほつれが高分子電解質膜および触媒層に強く当たることにより、高分子電解質膜および触媒層にダメージを与えやすくなる。これにより、燃料電池の劣化が促進され、寿命特性が低下する可能性がある。導電性撥水カーボン層が触媒層とガス拡散層用基材との間に存在する場合でも同様の傾向を示す。特に、この繊維ほつれが高分子電解質膜を突き刺すと、開回路電圧が低下したり、水素ガスと酸素ガスが直接燃焼反応することにより、電池特性が低下する可能性がある。
一方、不織布は作製時に、バインダーとして多量の樹脂を使い、厚さ方向に十分プレス加工されているため、表面の平滑性にすぐれ、繊維ほつれも比較的少ない。このため、不織布の場合には、高分子電解質膜や触媒層へのダメージが小さいことを見出した。
また、織布の場合は、作製時に必要なバインダー量が比較的少なく済むため、織布は、気孔率が高く、ガス拡散性や透湿性に優れているという特徴を有する。一方、不織布は、作製時に比較的多量のバインダーを必要とするため、ガス拡散性が阻害されやすく、透湿性は低いが、保水性は高いという特徴を有する。
水素イオンは湿潤した高分子電解質膜中を移動するので、電極を適度に濡らしておく必要がある。高分子電解質膜は、含水率が高いほど、イオン伝導度が増加する。このため、燃料電池の高効率発電、高耐久化を実現するためには、供給される反応ガスを加湿、特に高加湿にしておくことが望ましい。ガス拡散層用基材に織布を用いた場合は、ガス拡散性や透湿性に優れているため、余剰水や反応生成水は、適切にMEA外部に排出され、フラッディング現象が起こりにくく、電圧を比較的安定に保つことができる。しかし、ガス拡散層用基材に不織布を用いた場合は、フラッディング現象による電池電圧の低下および発電の停止が懸念される。
燃料電池スタック内には、比較的水蒸気や余剰水が多い部位と少ない部位が存在する。このとき、スタック内における水蒸気や余剰水が多く存在すると思われる場所に位置するガス拡散層の基材が不織布である場合、フラッディング現象が起こり、電池性能が低下しやすい。燃料電池スタックは、数個から数百個の単電池を直列に積層した構造である。このため、局所的に電池性能が低下すると、それが燃料電池スタック全体の発電状態に影響を及ぼし、発電が停止する可能性がある。
燃料電池スタックにおいて、フラッディング現象が起こりやすい部位として、例えば、積層体両端近辺の単電池があり、これらの部位でのフラッディング現象を防止することが重要である。
従来技術として、例えば特許文献1では、積層体の両端に配される絶縁板に冷却水流路(冷却部)を設け、スタック内を通過し電池反応の熱を受けて温度上昇した冷却水を、この冷却水流路に流すことで、積層体の両端に位置する単電池の温度低下を抑制することが提案されている。
特開平10−308229号公報
しかし、上記特許文献1によると、絶縁板に冷却水の専用通路を設けるため、電池モジュール構造が複雑になる。また、積層体両端の単電池の温度低下を防ぐ代わりに、両端を流れる冷却水の温度低下が起こり、給湯温度が低下し、システム効率の低下を招くという問題があった。そこで、より簡素な方法で効果的な作用を得ることができる技術が必要であった。
また、織布は不織布に比べて剛性が低く、スタック締結時にその厚さ方向につぶれやすいため、締結前後の厚さ変化が大きい。実際の単電池内では、織布の厚さは薄くなっているが、それは破壊されていない。このため、織布は、不織布に比べてガス拡散性および透湿性が良好である。一方、不織布の場合、それを無理に大きな圧力で締結して、その厚さを薄くしようとすると、炭素繊維が破壊され、電池特性が著しく低下してしまう可能性がある。
上述のように、燃料電池スタックを構成する全ての単電池において、ガス拡散層の基材に織布を用いた場合、耐フラッディング特性は優れているが、高分子電解質膜や触媒層にダメージを与えやすくなり、このダメージによる電池性能の劣化が促進されやすい。一方、全ての単電池において、ガス拡散層の基材に不織布を用いた場合、フラッディング現象により電圧の低下や電圧の不安定な挙動が起こりやすくなる。
このことから、織布と不織布の特性を見極め、燃料電池スタック内において個々の単電池、またはアノードとカソードの加湿状態、余剰水の量に応じて、織布と不織布を適切に配置することが重要である。
そこで、本発明は、上記従来の問題を解決するために、フラッディング現象を抑制するとともに、ガス拡散層による高分子電解質膜および触媒層へのダメージを低減することにより、長時間の連続運転が可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明の第一の燃料電池スタックは、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有する一対の電極、前記電極に反応ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した単電池を少なくと3個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
前記電池積層体の少なくとも両端の単電池を構成するガス拡散層が織布を基材とし、前記両端の単電池以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする。
本発明の第二の燃料電池スタックは、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有するアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側セパレータ板、および前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側セパレータ板を具備した単電池を複数個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
前記単電池のカソードにおけるガス拡散層が織布を基材とし、アノードにおけるガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする。
本発明の第三の燃料電池スタックは、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有する一対の電極、前記電極に反応ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した単電池を少なくとも3個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
前記セパレータ板の少なくとも一つは内部に冷却部を有し、
前記電池積層体の少なくとも前記冷却部を有するセパレータ板を含む単電池を構成するガス拡散層が織布を基材とし、前記冷却部を有するセパレータ板を含む単電池以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする。
前記織布が、20〜400μmの厚さ、および200〜500kg/m3の嵩密度を有することが好ましい。
前記不織布が、50〜500μmの厚さ、および300〜800kg/m3の嵩密度を有することが好ましい。
前記ガス拡散層の触媒層と接する側に、導電性撥水カーボン層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、フラッディング現象を抑制するとともに、ガス拡散層による高分子電解質膜や触媒層へのダメージを低減することにより、長時間の連続運転が可能な燃料電池スタックを提供することができる。
本発明の燃料電池スタックは、燃料電池スタックの高加湿による長期連続運転時に、フラッディング現象を起こさず、かつ高分子電解質膜や触媒層へのダメージを減らして、高耐久を実現できるように、スタック内のガス拡散層用基材として織布と不織布を組み合わせて使用することに特徴を有する。これは、織布や不織布をガス拡散層用基材として用いた場合に、それぞれがどのような効果を燃料電池スタックに及ぼすのかを詳細に検討した結果、最適化を図ることができた。
すなわち、フラッディング現象が発生しやすい部位に、ガス拡散層用基材としてフラッディング現象が起こりにくい織布を用い、それ以外の部位にガス拡散層用基材として高分子電解質膜や触媒層へのダメージの少ない不織布を用いることにより、高加湿運転時においても安定で、かつ高耐久の燃料電池スタックを実現できた。
燃料電池スタックにおいて、フラッディング現象が起こりやすい部位として、例えば、電池積層体の両端付近が挙げられる。この部分では、外気との距離が近く、比較的放熱が大きいため、単電池内部の温度が低下しやすい。そして、この単電池に供給された加湿ガスの温度も低下し、加湿ガス中の水蒸気が冷やされて結露を起こす(過加湿状態)。さらに、単電池内で結露した水は、セパレータ板のガス流路を塞ぎ、ガス拡散層内の細孔に滞留する現象、すなわちフラッディング現象が起こる。このため、著しくガス拡散性が阻害され、電池電圧が低下する。
このような観点から、本発明の第一の高分子電解質型燃料電池スタックは、電池積層体の少なくとも両端の単電池を構成するガス拡散層が、織布を基材とし、それ以外の、比較的加湿状態が緩やかな単電池を構成するガス拡散層が、高分子電解質膜や触媒層へのダメージ低減が望める不織布を基材とするように構成される。このように、ガス拡散層の基材として織布と不織布を使い分けることにより、燃料電池スタックの発電効率および寿命特性が向上する。
また、燃料電池スタックにおいて、フラッディング現象が起こりやすい部位として、例えば、電池積層体を構成する個々の単電池のカソードにおけるガス拡散層が挙げられる。カソードはアノードに比べ、反応生成水が存在している分、余剰水の量が多い。従って、カソードにおけるガス拡散層の基材に不織布を用いると、不織布はバインダーを多量に含み、緻密な構造であるため、水が滞留しやすい。さらに、不織布はガス透過性が悪いことから、一度滞留した水を、供給ガスにより持ち去る作用が弱く、ますます目詰まりしやすくなる。
このような観点から、本発明の第二の高分子電解質型燃料電池スタックは、電池積層体を構成する個々の単電池のカソードにおけるガス拡散層が、織布を基材とし、アノードにおけるガス拡散層が、不織布を基材とするように構成される。これにより、燃料電池スタックの発電効率および寿命特性が向上する。
また、燃料電池スタックにおいて、フラッディング現象が起こりやすい部位として、例えば、電池積層体に設けられる冷却部に隣接する単電池が挙げられる。この部分の単電池は、冷却水との距離が近く、熱が奪われやすいため、電池温度が低下しやすい。従って、電池積層体端部の単電池と同様に、過加湿状態となり余剰水が増加し、フラッディング現象による電圧低下が起こり易い。
このような観点から、本発明の第三の高分子電解質型燃料電池スタックは、電池積層体の少なくとも冷却部に隣接する単電池を構成するガス拡散層が織布を基材とし、前記冷却水路に隣接する以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布を基材とするように構成される。これにより、燃料電池スタックの発電効率および寿命特性が向上する。
前記織布の厚さは、20〜400μmが好ましい。厚さが20μm未満のとき、ガス拡散層の基材の強度が低下し、ハンドリング性が悪くなる。厚さが400μmを超えると、ガス拡散性が低下し、抵抗値が増加する。
前記織布の嵩密度は、200〜500kg/m3が好ましい。嵩密度が200kg/m3未満のとき、織布に隙間が増え、抵抗値が増加する。また、この織布をガス拡散層の基材として用い、導電性撥水カーボン層を形成するためのインクをこの基材に塗布した場合、インクが基材中にしみ込みやすくなり、ガス拡散性が低下する。嵩密度が500kg/m3を超えると、目詰まりが多くなり、基材単体のガス拡散性、特に厚さ方向のガス拡散性が悪くなり、電池性能が低下する。加えて、基材の使用量が増えるため、コストが上がる。
また、前記不織布の厚さは、50〜500μmが好ましい。厚さが50μm未満のとき、基材の強度が低下し、ハンドリング性が悪くなる。また、作製方法も難しく、製造コストがかかる。厚さが500μmを超えると、ガス拡散性が低下し、抵抗値が増加する。
前記不織布の嵩密度は、300〜800kg/m3が好ましい。嵩密度が300kg/m3未満のとき、不織布に隙間が増え、抵抗値が増加する。使用するバインダー量を減らすと、基材としての強度および平坦性が得られず、使用が困難になる。嵩密度が800kg/m3を超えると、目詰まりが多くなり、基材単体のガス拡散性、特に厚さ方向のガス拡散性が悪くなり、電池性能を低下させる。加えて、基材材料やバインダーの使用量が増えるため、コストが上がる。
また、前記織布または不織布は、集電作用により良好な導電性を確保し、触媒層や高分子電解質膜のダメージを低減するために、触媒層と接する側に、導電性撥水カーボン層が形成されていることが好ましい。
前記導電性撥水カーボン層は、例えば、アセチレンブラック、水、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および界面活性剤(TritonX−100)を15:80:4:1の重量比で混合して得られたカーボンインクをドクターブレードを用いて基材上に塗布した後、325℃で1時間焼成することにより得られる。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
電池積層体両端部の単電池におけるガス拡散層用基材に織布を用い、それ以外の単電池のガス拡散層用基材に不織布を用いた図1に示す高分子電解質型燃料電池スタックを以下の方法により作製した。
(i)織布の作製
直径8μmのPAN系の単繊維50本を撚り合わせて単糸を作製し、さらにこれを2本撚り合わせて双糸を作製した。経緯密度(単位長さあたりの縦糸及び横糸の本数)が500本/10cmとなるようにこの双糸を平織することにより織布3a、3bを得た。この織布3a、3bを窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理した後、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行った。このとき、得られた織布3a、3bの厚さは300μm、嵩密度は300kg/m3であった。
(ii)不織布の作製
直径20μmおよび平均繊維長10mmの単繊維からなるPAN系繊維に10%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、繊維とPVAが15:1の重量比となるように加え、湿式法(抄紙法)により製紙し、不織布13a、13bを得た。この不織布13a、13bを窒素雰囲気中、900℃で加熱して炭化処理した後、アルゴン雰囲気中で2000℃に加熱して黒鉛化処理を行った。このとき、得られた不織布13a、13bの厚さは200μm、嵩密度は500kg/m3であった。
(iii)ガス拡散層の作製
上記で得られた織布3a、3bおよび不織布13a、13bに導電性撥水カーボン層15a、15bを以下の方法によりそれぞれ形成した。アセチレンブラック、水、および界面活性剤(TritonX−100)を15:1:84の重量比で混合して導電性撥水カーボン層塗工用インクを得た。このインクをバーコーターを用いて、織布および不織布の片面に均一にそれぞれ塗工した。塗工後、室温、大気中で30分間乾燥させて導電性撥水カーボン層15a、15bを形成した。導電性撥水カーボン層15a、15b中に含まれる水分や界面活性剤を除去するために、導電性撥水カーボン層15a、15bが形成された織布3a、3bおよび不織布13a、13bをそれぞれ325℃、2時間で焼成した。このようにして織布3a、3bまたは不織布13a、13bを含む基材および導電性撥水カーボン層15a、15bからなるガス拡散層8a、8b、18a、18bをそれぞれ作製した。
(iv)MEAの作製
アセチレンブラック系のカーボン粉末に、平均粒径が約30Åの白金粒子を4:1の重量比で担持して触媒粉末を得た。この触媒粉末をイソプロパノール中に分散させた溶液と、パーフルオロカーボンスルホン酸の粉末をエチルアルコール中に9重量%分散させた液(旭硝子社製のフレミオン)とを混合して触媒インクを得た。スクリーン印刷法により、この触媒インクを高分子電解質膜1として膜厚30μmのゴアセレクト膜(ジャパンゴアテックス社製)の両面に塗布し、触媒層2a、2bを得た。なお、このとき、後述で得られる電極4a、4b、14a、14b中に含まれる白金量が0.5mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸量が1.2mg/cm2となるよう調整した。
高分子電解質膜1の両面に形成された触媒層2a、2bのさらに外側に、上記で得られたガス拡散層8a、8b、18a、18bの導電性撥水カーボン層15a、15bを備えた側が、触媒層2a、2bと接するようにガス拡散層8a、8b、18a、18bを配置し、ホットプレス(条件:150℃、5MPa、10分間)で接合した。このようにして、高分子電解質膜1の両面にガス拡散層8a、8b、18a、18bおよび触媒層2a、2bからなる電極4a、4b、14a、14bを形成した。さらに、電極4a、4b、14a、14bの周縁部にシリコーンゴムからなるガスシール材5a、5bを配置した。このようにして、両電極4a、4bのガス拡散層用基材に織布3a、3bを用いたMEA12aと、両電極14a、14bのガス拡散層用基材に不織布13a、13bを用いたMEA12bとをそれぞれ作製した。
(v)燃料電池スタックの作製
ガス拡散層用基材に不織布13a、13bを用いたMEA12bより構成された単電池を48個積層し、その両端に、ガス拡散層用基材に織布3a、3bを用いたMEA12aより構成された単電池をそれぞれ1個ずつ配置して、合計50個の単電池からなる電池積層体を形成した。このとき、MEA12a、12b間に、反応ガスを供給し、生成水や余剰ガスを運び去るためのガス流路7を有する所定のセパレータ板6a、6bを配して単電池を構成した。このとき、MEA12aとセパレータ板6aとを用いて単電池を2個積層する毎に、MEA12aと接する面と反対側の面に冷却水用の流路を設けたセパレータ板6bを2枚重ねて、内部に冷却部16を有する複合セパレータ板を配した。そして、電池積層体を集電板9および絶縁板10を介して、エンドプレート11で挟み、締結ロッド(図示しない)により両端から10kgf/cm2の圧力で固定し、図1に示す燃料電池スタックを得た。この電池を電池Aとした。
比較例1
実施例1の電池積層体におけるMEA12aの代わりに実施例1と同様のMEA12bを配した以外は、実施例1と同様の方法によりMEA12bのみで電池積層体を構成した。そして、この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製した。この電池を電池Bとした。
比較例2
実施例1の電池積層体におけるMEA12bの代わりに実施例1と同様のMEA12aを配した以外は、実施例1と同様の方法によりMEA12aのみで電池積層体を構成した。そして、この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製した。この電池を電池Cとした。
上記で得られた実施例1の電池Aおよび比較例1および2の電池BおよびCについて、以下のように電池特性を評価した。
電池A〜Cを75℃に保持しながら、アノードに水素を、カソードに空気を供給した。加湿条件として水素ガスおよび空気の露点を75℃に設定し、燃料利用率80%、酸素利用率40%、電流密度0.3A/cm2の条件で電池A〜Cを1000時間連続運転させた。そして、このときの電池積層体における単電池の平均セル電圧を監視した。その評価結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例1の電池Aでは、運転開始時における各単電池の平均セル電圧は754mVであり、1000時間後の平均セル電圧は、751mVであった。このように1000時間あたりのセル電圧の低下はわずかに3mVに抑制されていることから、電池Aではフラッディング現象が抑制され、長期の連続運転において優れた出力特性を示すことが確認された。
一方、比較例1の電池Bでは、フラッディング現象の発生により、徐々にセル電圧が低下し、約440時間経過後に発電が停止した。また、比較例2の電池Cでは、約600時間経過後に急激に電圧が低下し発電が停止した。これは、スタックを構成する単電池のすべてがガス拡散層用基材に織布を用いており、織布表面の凹凸や織布を構成する繊維のほつれにより高分子電解質膜および触媒層へのダメージが促進されたためである。本発明の電池Aは、フラッディング現象が起こりやすい必要最小限度の部位に織布を用いたことにより、高加湿でも安定で、さらに高耐久化を実現できた。
実施例1の電池積層体の両端から2番目のMEA12bの代わりに実施例1と同様のMEA12aを配した以外は、実施例1と同様の方法により電池積層体を構成した。この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製した。そして、本実施例の電池を、実施例1と同様の方法により評価した。
その結果、実施例1の電池Aと同様に、本実施例の電池の平均セル電圧は、ほぼ一定で安定しており、本実施例の電池は、長期の連続運転において優れた出力特性を示した。
本実施例の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図を図3に示す。
実施例1と同様の方法により、織布または不織布からなる基材を含むガス拡散層を作製した。また、実施例1と同様の方法により高分子電解質膜の両面に触媒層を形成した。そして、ガス拡散層の導電性撥水カーボン層を備えた側が触媒層と接するように、カソード側に織布3bを用いたガス拡散層8bを配置し、アノード側に不織布13aを用いたガス拡散層18aを配置した後、ホットプレス(条件:150℃、5MPa、10分間)により接合した。このようにして、カソード4bにおけるガス拡散層8b用基材に織布3bを用い、アノード14aにおけるガス拡散層18a用基材に不織布13aを用いたMEA12cを作製した。
そして、MEA12aおよびMEA12bの代わりにMEA12cを用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池積層体を構成した。この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により図3のような燃料電池スタックを作製した。そして、本実施例の電池を、実施例1と同様の方法により評価した。
その結果、実施例1の電池Aと同様に、本実施例の電池の平均セル電圧は、ほぼ一定で安定しており、本実施例の電池は、長期の連続運転において優れた出力特性を示した。
本実施例の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図を図4に示す。
本実施例では、実施例1と同様のMEA12aおよびMEA12bを用いて電池積層体を構成するが、本実施例では、冷却部を有する複合セパレータ板に隣接する部位にMEA12aを配し、それ以外の部位にはMEA12bを配した。このようにMEA12aとMEA12bの配置の仕方を変えた以外は、実施例1と同様の方法により電池積層体を構成した。
そして、この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により図4のような燃料電池スタックを作製した。そして、本実施例の電池を、実施例1と同様の方法により評価した。
その結果、実施例1の電池Aと同様に、本実施例の電池の平均セル電圧は、ほぼ一定で安定しており、本実施例の電池は、長期の連続運転において優れた出力特性を示した。
本実施例の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図を図5に示す。
実施例1と同様の方法によりガス拡散層用基材として織布、および不織布を作製した。そして、これらの基材を以下のように撥水処理することによりガス拡散層を得た。
テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体の水性ディスパージョン(ダイキン工業(株)製、ND−1)と水とを、1:20(織布の場合)、または1:40(不織布の場合)の体積比で混合して撥水処理液を得た。そして、基材を室温下で撥水処理液中に1分間浸漬させた。その1分後、撥水処理液を含浸させた基材を取り出し、270℃で2時間焼成し、水分および界面活性剤などを取り除いた。このようにして、基材が織布からなるガス拡散層28a、28bおよび基材が不織布からなるガス拡散層38a、38bをそれぞれ得た。
実施例1におけるガス拡散層8a、8bの代わりに上記で得られたガス拡散層28a、28bを用いた以外は、実施例と同様の方法によりMEA12a’を作製した。また、実施例1におけるガス拡散層18a、18bの代わりに上記で得られたガス拡散層38a、38bを用いた以外は、実施例1と同様の方法によりMEA12b’を作製した。MEA12aの代わりにMEA12a’を用い、MEA12bの代わりにMEA12b’を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電池積層体を構成した。そして、この電池積層体を用いた以外は、実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製した。本実施例の電池を実施例1と同様の方法により評価した。
その結果、実施例1の電池Aと同様に、本実施例の電池の平均セル電圧は、ほぼ一定で安定しており、本実施例の電池は、長期の連続運転において優れた出力特性を示した。
本発明のガス拡散層用の基材として用いる織布の厚さについて検討した。
実施例1で作製した織布を織布A(厚さ300μm、嵩密度300kg/m3)とし、織布Aよりも薄い織布Dおよび厚い織布Eをそれぞれ以下のように作製した。
直径8μmのPAN系の単繊維2本を撚り合わせて単糸を作製し、さらにこれを2本撚り合わせて双糸を作製した。そして、経緯密度が900本/10cmとなるようにこの双糸を平織りすることにより、織布D(厚さ15μm、嵩密度300kg/m3)を得た。
また、直径8μmのPAN系の単繊維100本を撚り合わせて単糸を作製し、さらにこれを2本撚り合わせて双糸を作製した。そして、経緯密度が300本/10cmとなるようにこの双糸を平織りすることにより、織布E(厚さ420μm、嵩密度300kg/m3)を得た。
実施例1の織布Aを用いる代わりに、織布Dまたは織布Eを使用する以外は実施例1と同様の方法でそれぞれ燃料電池スタックを作製し、電池Dおよび電池Eとした。これらの電池を、実施例1の電池Aと同じ試験条件で電池特性を評価した。
その評価結果を電池Aの結果とともに図7に示す。織布Dは繊維が細すぎるため、強度が弱く、破壊されやすい。従って電池Dでは、初期の段階で強度不足による電圧の低下が生じた。一方、織布Eは厚すぎるため、ガス透過性が低く水を外部に排出する能力が低い。従って、電池Eでは、フラッディング現象が起こり、電圧が徐々に低下した。また、電池Aの平均抵抗値が2.5mΩであったのに対し、電池Eの平均抵抗値は3.5mΩとかなり高く、発電効率が低下した。
本発明のガス拡散層用の基材として用いる織布の嵩密度について検討した。
実施例1で作製した織布を織布A(厚さ300μm、嵩密度300kg/m3)とし、この織布Aよりも嵩密度が低い織布Fおよび高い織布Gをそれぞれ以下のように作製した。
直径8μmのPAN系の単繊維50本を撚り合わせて単糸を作製し、さらにこれを2本撚り合わせて双糸を作製した。そして、経緯密度が200本/10cmとなるように、この双糸を平織りすることにより織布F(厚さ300μm、嵩密度100kg/m3)を得た。
また、直径8μmのPAN系の単繊維50本を撚り合わせて単糸を作製し、さらにこれを2本撚り合わせて双糸を作製した。そして、経緯密度が800本/10cmとなるように、この双糸を平織りすることにより織布G(厚さ300μm、嵩密度700kg/m3)を得た。
実施例1の織布Aを用いる代わりに、織布Fまたは織布Gを用いた以外は実施例1と同様の方法によりそれぞれ燃料電池スタックを作製し、電池Fおよび電池Gとした。そして、これらの電池を、実施例1の電池Aと同様の試験条件で電池特性を評価した。
織布Fは嵩密度が低く、双糸間に隙間が増えるため、抵抗値が3.7mΩと増加し、電気伝導性が低下した。また、導電性撥水カーボン層を形成するためのインクを織布Fに塗布した場合、インクは織布F中にしみ込みやすくなり、ガス拡散性が低下することによりフラッディング現象が起こり、電圧が徐々に低下した。織布Gは嵩密度が高く、目が詰まりすぎているため、織布G単体のガス拡散性、特に厚さ方向のガス拡散性が悪く、フラッディング現象が起こり、電圧が徐々に低下した。
本発明のガス拡散層用の基材として用いる不織布の厚さについて検討した。
実施例1で作製した不織布を不織布A(厚さ200μm、嵩密度500kg/m3)とし、この不織布Aよりも薄い不織布Hおよび厚い不織布Iをそれぞれ以下のように作製した。
直径5μmおよび平均繊維長10mmの単繊維からなるPAN系繊維に10%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、繊維とPVAが15:1の重量比となるように加え、湿式法(抄紙法)により製紙し、不織布H(厚さ30μm、嵩密度500kg/m3)を得た。
また、直径100μmおよび平均繊維長10mmの単繊維からなるPAN系繊維に10%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、繊維とPVAが15:1の重量比となるように加え、湿式法(抄紙法)により製紙し、不織布I(厚さ600μm、嵩密度500kg/m3)を得た。なお、得られた不織布HおよびIは、それぞれ実施例1と同様の方法により黒鉛化処理した。
実施例1の不織布Aを用いる代わりに、不織布Hおよび不織布Iを用いた以外は実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製し、それぞれ電池Hおよび電池Iとした。これらの電池について、実施例1の電池Aと同様の試験条件で電池特性を評価した。
不織布Hは、厚さが薄すぎたため、強度が弱く、破壊されやすい。このため、電池Hでは、初期の段階で電圧が低下した。また、不織布Iは厚すぎるため、ガス透過性が低く、水を外部に排出する能力が低い。このため、電池Iでは、フラッディング現象が起こり、電圧が徐々に低下した。
本発明のガス拡散層用の基材として用いる不織布の嵩密度について検討した。
実施例1で作製した不織布を不織布A(厚さ200μm、嵩密度500kg/m3)とする。この不織布Aよりも嵩密度が低い不織布Jおよび高い不織布Kをそれぞれ以下のように作製した。
直径20μmおよび平均繊維長20mmの単繊維からなるPAN系繊維に10%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、繊維とPVAが15:1の重量比となるように加え、湿式法(抄紙法)により製紙し、不織布J(厚さ200μm、嵩密度200kg/m3)を得た。
また、直径20μmおよび平均繊維長1mmの単繊維からなるPAN系繊維に10%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液を、繊維とPVAが15:1の重量比となるように加え、湿式法(抄紙法)により製紙し、不織布K(厚さ200μm、嵩密度900kg/m3)を得た。得られた不織布JおよびKは、それぞれ実施例1と同様の方法により黒鉛化処理した。
実施例1の不織布Aを用いる代わりに、不織布Jおよび不織布Kを用いた以外は実施例1と同様の方法により燃料電池スタックを作製し、それぞれ電池Jおよび電池Kとした。そして、これらの電池について実施例1と同様の試験条件で電池特性を評価した。
不織布Jは嵩密度が低いため、抵抗値が5.8mΩと増加し、電気伝導性が低下した。また、導電性撥水カーボン層を形成するためのインクを不織布J上に塗布した場合、インクが不織布J中にしみ込みやすくなり、ガス拡散性が低下する。このため、電池Jでは、フラッディング現象が起こり、電圧が徐々に低下した。また、不織布Kは嵩密度が高く、目が詰まりすぎているため、基材単体のガス拡散性、特に厚さ方向のガス拡散性が悪くなる。このため、電池Kでは、フラッディングが起こり、電圧が徐々に低下した。
以上のように本発明の燃料電池スタックにおけるガス拡散層は、フラッディング現象を抑制するとともに、高分子電解質膜や触媒層に与えるダメージを低減することができるため、長時間の連続運転を要する燃料電池スタックに適用できる。
本発明における実施例1の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。 本発明の実施例1の電池A、ならびに比較例1の電池Bおよび比較例2の電池Cの平均セル電圧の経時変化を示す図である。 本発明における実施例3の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。 本発明における実施例4の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。 本発明における実施例5の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。 従来の燃料電池スタックの一部を示す概略縦断面図である。 本発明の実施例1の電池Aならびに実施例6の電池Dおよび電池Eの平均セル電圧の経時変化を示す図である。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2a、2b 触媒層
3a、3b 織布
4a、14a、24a、34a アノード
4b、14b、24b、34b カソード
5a、5b ガスシール材
6a、6b セパレータ板
7 ガス流路
8a、8b、18a、18b、28a、28b、38a、38b ガス拡散層
9 集電板
10 絶縁板
11 エンドプレート
12a、12b、12c、12a’、12b’ MEA
13a、13b 不織布
15a、15b 導電性撥水カーボン層
16 冷却部

Claims (6)

  1. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有する一対の電極、前記電極に反応ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した単電池を少なくと3個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
    前記電池積層体の少なくとも両端の単電池を構成するガス拡散層が織布を基材とし、前記両端の単電池以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有するアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側セパレータ板、および前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側セパレータ板を具備した単電池を複数個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
    前記単電池のカソードにおけるガス拡散層が織布を基材とし、アノードにおけるガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記電解質膜を挟み、触媒層およびガス拡散層を有する一対の電極、前記電極に反応ガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータ板を具備した単電池を少なくとも3個積層した電池積層体、ならびに前記電池積層体を積層方向に圧縮する一対のエンドプレートを含む燃料電池スタックであって、
    前記セパレータ板の少なくとも一つは内部に冷却部を有し、
    前記電池積層体の少なくとも前記冷却部を有するセパレータ板を含む単電池を構成するガス拡散層が織布を基材とし、前記冷却部を有するセパレータ板を含む単電池以外の単電池を構成するガス拡散層が不織布を基材とすることを特徴とする燃料電池スタック。
  4. 前記織布が、20〜400μmの厚さ、および200〜500kg/m3の嵩密度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池スタック。
  5. 前記不織布が、50〜500μmの厚さ、および300〜800kg/m3の嵩密度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池スタック。
  6. 前記ガス拡散層の触媒層と接する側に、導電性撥水カーボン層が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池スタック。
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