JP2005031148A - 光学反射鏡 - Google Patents

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将実 久米
Takeshi Ozaki
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Abstract

【課題】宇宙等の温度変化の大きな環境においても、熱変形、熱歪みの小さく、高い精度が維持できる光学反射鏡を得る。
【解決手段】C/C複合材料からなる基材2と、基材2表面2aを覆うように設けられ、黒鉛微粉末を含有したカーボンからなる基材コート層3と、この基材コート層3表面3aを覆うように設けられ、かつ光学反射面4aを有する表面層4とを備えて光学反射鏡1を構成する。基材コート層3は、カーボンの前駆体である樹脂に黒鉛微粉末を含有させ、基材2表面を覆うように設けた後、黒鉛化させて形成したものである。また、表面層4は、たとえばニッケル(Ni)、金(Au)等の金属からなる。黒鉛微粉末は、その粒径を10μm以下のものとする。また、基材コート層3に含まれる黒鉛微粉末の量を、重量比にして35%〜70%の範囲とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光学反射鏡、特に炭素繊維強化炭素(カーボン/カーボン)複合材料からなる基材を用いて構成された光学反射鏡に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維強化炭素(カーボン/カーボン)複合材料は、これを用いて加工物の形成をする場合に、その加工物が有する線膨張係数を、繊維配向や繊維含有量を調整することにより所望のものとすることができる。例えば、カーボン/カーボン複合材料を光学反射鏡の基材に加工する場合、上述の調整により、基材表面の面内水平方向において、等方性であってかつゼロに近い程度に小さくすることが可能である。このように設計されたカーボン/カーボン複合材料を用いた加工物は、温度変化の比較的大きな環境下であっても熱変形や熱歪みが生じることなく、寸法的に安定しているといえる。
【0003】
光学反射用基材にカーボン/カーボン複合材料を用いた光学反射鏡として、カーボン/カーボン複合材料からなる基材上に中間層を介して、例えばAl等の金属からなる表面層を被覆し、この表面層の表面を加工して鏡面化させて構成したものが一般的である(例えば、特許文献1)。特許文献1には、カーボン/カーボン複合材料からなるミラー用基材(基材)と、その上を覆うように形成された中間材と、更にその上を覆う鏡面形成材(表面層)、また鏡面(光学反射面)とで構成された光学ミラー(光学反射鏡)について開示されている。中間材はMo、W、Nb等からなり、40〜100μm程度の厚さを有する。また、鏡面形成材はAl合金、Cu合金等からなり、数百μm程度の厚さを有する。
【0004】
C/C複合材料を用いて光学反射鏡用の基材を形成すると、通常その基材の表面には凹凸やボイドが多数形成されてしまい、機械加工しても表面粗度を向上させることが難しいため、鏡面を形成するための表面層を厚く形成しなければならない。これは、表面層が薄いと、表面粗度の悪い基材表面の影響を受け、表面層を高い精度で鏡面化することができないからである。
【0005】
しかし表面層が厚いと、温度変化が大きな環境下では、基材の熱変形、熱歪みを避けることができず、そのため光学反射鏡の鏡面精度を維持することが難しい。特許文献1の光学ミラーは、中間材を設けることにより基材の表面の凹凸やボイドの影響を少なくして、ミラー用基材と鏡面形成材とを高強度に接合させ、表面層を薄く形成できるようにしたものである。
【0006】
次に、特許文献1の光学ミラー(光学反射鏡)の作製方法について説明する。
まず、ミラー用基材の表面にプラズマ溶射またはレーザー溶射等の方法により、Mo、W、Nb等からなる中間材を被覆する。中間材の厚さは、40μm〜100μmの範囲であり、好ましくは50μm〜60μm程度である。次に、中間材の表面にAl合金やCu合金等の鏡面形成材からなる層を、好適な方法で数百μm程度被覆形成する。その層に好適な方法により超精密加工を施して鏡面(光学反射面)を形成し、光学ミラーが完成する。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−229201号公報(1−3頁、第一図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光学反射鏡は、以上のように構成されていたため、以下に示すような課題があった。
従来のカーボン/カーボン複合材料を用いた光学反射鏡は、熱変形等による表面層の変形が基材により抑制される程度に、表面層を薄く形成することを達成できた。しかし、その厚さは数百μm程度であるため、例えば宇宙環境等の、±100℃を超えるような温度変化の激しい環境下では、表面層の変形、ひび割れや剥離等が生じるのを避けることができず、光学反射鏡の精度を維持することが難しい。これは、基材の熱膨張係数は0〜−1ppm/K程度、また、一般的に鏡面形成材として用いられる表面層の熱膨張係数は10〜20ppm/K程度であり、熱膨張係数に大きな差があることによる。
【0009】
しかし、これらのおそれを避けるために表面層を薄く形成すると、基材表面の凹凸やボイドの影響を多く受けて、基材の上側に形成する表面層の厚みむらが大きくなる。このため、温度変化が大きな環境では、光学反射面において、反射面の面外(厚さ)方向で歪みが生じるおそれがあった。
したがって、従来の光学反射鏡は、温度変化が大きな環境下では、光学反射面の変形や表面粗度の低下が生じ、光学反射鏡の精度を維持することが難しいという課題があった。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、カーボン/カーボン複合材料からなる基材を用いても、基材表面の粗さの影響を受けずに表面を薄く形成することが可能であって、宇宙空間等の温度変化の大きな環境下においても高い精度を維持できる光学反射鏡を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光学反射鏡は、カーボン/カーボン複合材料からなる基材と、基材表面を覆うように設けられ、黒鉛微粉末を含有したカーボンからなる基材コート層と、この基材コート層表面を覆うように設けられ、かつ光学反射面を有する表面層とを備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による光学反射鏡1の概略的な構成を示す断面図である。なお、断面を示すハッチングは一部を除き省略してある。
図において、C/C(Carbon/Carbon:カーボン/カーボン、炭素繊維強化炭素)複合材料からなる基材(以下、基材)2と、基材2の表面2aを覆うように基材コート層3が形成されており、さらに基材コート層3の表面3aを覆うように表面層4が設けられている。表面層4の表面は加工されて鏡面(光学反射面)4aが形成されている。
【0013】
基材コート層3は、黒鉛微粉末を含有したカーボンからなる。これは、カーボンの前駆体である樹脂に黒鉛微粉末を含有させ、基材2表面を覆うように設けた後に黒鉛化させて形成したものである。基材2の表面に多数形成されているボイドや凹凸は基材コート層3により充填されるため、基材コート層3の表面3aはほぼ平滑となる。その結果基材コート層3の表面3aにはボイドや凹凸はほとんど見られないか、あるいは僅かに存在してもそれらは極めて小さく、十分無視できる程度である。したがって機械加工における被研削性が良好で、光学反射鏡の基材として必要な粗度の表面状態に研削仕上げすることが可能である。
【0014】
ここで、基材コート層3を黒鉛微粉末を含有したカーボンで構成した理由は、光学反射鏡の試作実験において、カーボンの前駆体である樹脂に黒鉛微粉末を適当な量含有させたものを基材2に被覆した後黒鉛化することにより、光学反射用の基材として適した粗度を有する表面3aが得られることが確認されたからである(後述の実施例1)。実際には、基材コート層3の表面3aは、中心線平均粗さR(a)が5μmよりも小さいものとなり、表面層4を被覆形成するのに好適な粗度とすることができた。これは、基材2表面に存在する凹凸やボイドが、基材コート層3中の黒鉛微粉末によって充填されることによると考えられる。
【0015】
一方、カーボンの前駆体である樹脂のみを基材2に被覆した場合の実験においては、上述のような表面の平滑化は達成されなかった(後述の比較例1)。したがって、カーボンの材料に黒鉛微粉末を混合することによる、基材2表面の平滑化における黒鉛微粉末が有効であることが確認された。
【0016】
表面層4は、例えばニッケル(Ni)、金(Au)等の好適な金属からなる。基材コート層3の表面3aが平滑であるため、表面層4は十数μm程度の薄い層とすることができる。これにより基材2と表面層4との熱膨張係数の差による熱変形、熱歪み等のおそれを、温度差が激しい環境下においても低減させることができる。したがって、光学反射鏡の精度を高い状態で維持することができる。
【0017】
次に、実施の形態1の光学反射鏡1は、例えば
1.プリプレグを積層し、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)成型体を作製する。
2.CFRP成型体を炭化させ、C/C加工体を形成する。
3.基材コート層3を形成する。
4.表面層4と鏡面4aを形成する。
という手順で作製することができる。好適な例を、実施例1により詳しく述べる。
【0018】
以上のように、この発明の実施の形態1の光学反射鏡1によれば、C/C複合材料からなる基材2と、基材2の表面2aを覆い、かつ黒鉛微粉末を含有する基材コート層3と、基材コート層3の表面3aを覆い、かつ光学反射面4aを有する表面層4とで構成されている。このように、基材コート層3により基材2の表面2aの粗度が改善され、平滑化が達成できるため、表面層4を可能な限り薄く形成することができる。したがって、宇宙環境等の温度変化の大きな環境下でも、熱変形や熱歪みが生じるおそれが少なく、光学反射鏡の精度を高い状態で維持することができるという効果が得られる。
【0019】
また、この発明の実施の形態1の光学反射鏡1によれば、熱膨張係数がマイナスの数値を示す基材2に基材コート層3を介して表面層4が薄く被覆されるので、表面層4を被覆した状態においては、光学反射鏡1全体の熱膨張係数がゼロに近づく。このため、光学反射鏡1をさらに低熱歪の高性能なものとすることができるという効果が得られる。
【0020】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2について、便宜的に図1を用いて説明する。ここでは、光学反射鏡1において、基材コート層3に含まれる黒鉛微粉末を、その粒径が10μm以下のものに規定した。これは、黒鉛微粉末の粒径を10μm以下の小粒径に限定することにより、基材2に基材コート層3を被覆した際に基材2表面2aに存在するボイド等が、コート層3中の黒鉛微粉末によってより良い状態で充填され、基材コート層3表面3aの平滑性が向上することが実験により確認されたためである。
実際に、粒径が10μm以下の黒鉛微粉末を用いて基材コート層3を基材2上に形成した場合、基材コート層3の表面3aは最適な粗度(R(a)<5μm)を得ることができた(後述する実施例1)。
その他の部分においては、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0021】
以上のように、この発明の実施の形態2の光学反射鏡によれば、C/C複合材料からなる基材2と、基材2の表面2aを覆い、かつ黒鉛微粉末を含有する基材コート層3と、基材コート層3を覆い、かつ光学反射面4aを有する表面層4とで構成されている。このため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この発明の実施の形態2の光学反射鏡によれば、基材コート層3が含有する黒鉛微粉末の粒径を10μm以下のものとしたため、基材2表面2aに存在するボイドや凹凸が、より良い状態で充填され、基材コート層3表面3aの平滑性および被研削性を更に良好なものとすることができる。したがって表面層4を被覆するのに最適な表面状態を得ることができるという効果が得られる。
【0022】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態2について、便宜的に図1を用いて説明する。ここでは、光学反射鏡1において、基材コート層3に含まれる黒鉛微粉末の量を、重量比にして35%〜70%の範囲としたものである。これは、この範囲の量で黒鉛微粉末が含有された基材コート層3を基材2に被覆すると、基材2表面2aに存在するボイドや凹凸が、コート層3中の黒鉛微粉末によってより良い状態で充填され、基材コート層3表面3aの平滑性が向上することが実験により確認されたからである(後述の実施例1)。
【0023】
上述した黒鉛微粉末の量を重量比で35%未満として、基材コート層3まで形成した場合、前駆体の樹脂の比率が高くなるため、その後の熱処理において樹脂が分解収縮を起こしてしまい、基材コート層3に微細なクラックが多数発生することとなった。実際に黒鉛微粉末を30%含有させた場合、基材コート層3の表面3aの中心線平均粗さR(a)は8μm〜10μm程度であった。
【0024】
一方、黒鉛微粉末の量を70%よりも多くすると、樹脂の比率が低くなるため、黒鉛微粉末を含有した樹脂の粘度が高くなり、基材2のボイド等への充填が良好に行われなくなる。実際に黒鉛微粉末を75%含有させた場合、得られた基材コート層の中心線平均粗さR(a)は7μm〜9μm程度であった。
【0025】
したがって、いずれも35%〜70%の範囲の量で黒鉛微粉末を含有させた場合とは異なり、基材コート層3の表面3aは最適な粗度(R(a)<5μm)が得られないことが確認された。
その他の部分については、実施の形態1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0026】
以上のように、この発明の実施の形態3による光学反射鏡によれば、C/C複合材料からなる基材2と、基材2の表面2aを覆い、かつ黒鉛微粉末を含有する基材コート層3と、基材コート層3を覆い、かつ光学反射面4aを有する表面層4とで構成されている。このため、実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、この発明の実施の形態3による光学反射鏡によれば、基材コート層3に含まれる黒鉛微分末の量を、重量比で35%〜70%の範囲に規定したので、基材2表面2aに存在するボイドや凹凸が、より良い状態で充填され、基材コート層3表面3aの平滑性および被研削性を更に良好なものとすることができる。したがって表面層4を被覆するのに最適な表面状態を得ることができるという効果が得られる。
【0027】
実施例1.
次に、この発明の実施の形態1から実施の形態3における光学反射鏡の実施例について説明する。実施例1は、光学反射鏡1の試作品を以下の手順に従って作製したものである。
1.プリプレグを積層し、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic:炭素繊維強化プラスチック)成型体を作製する。
まず、基材2の材料であるC/Cとして、トレカT300(東レ製)の、3000本の炭素繊維フィラメントを使用した平織りクロス(目付け198g/m)を用意する。また、基材コート層3の材料には、その前駆体である合成樹脂としてフェノール樹脂を用意した。
【0028】
上述の平織りクロスにフェノール樹脂を含浸させ、シート状のプリプレグを作製した。このときの平織りクロスに対する樹脂付着量は、重量比率で36%から44%の範囲とした。
このようにして作製したプリプレグシートを16枚、擬似等方に積層(繊維配向が、0°/90°、±45°)した。これは、
▲1▼一枚目の平織りクロスを、縦糸が0°、横糸が90°を向くように配置する。
▲2▼二枚目の平織りクロスを、縦糸が+45°、横糸が−45°を向くように配置する。
▲3▼三枚目の平織りクロスを、縦糸が0°、横糸が90°を向くように配置する。
以上の作業を16枚目まで繰り返すということである。
【0029】
ここで、「擬似等方に積層する」とは、完全ではないが、擬似的に等方性になるように縦糸と横糸の繊維を上記のような角度に配列・積層させる積層方法である。このような方法で積層することにより、方向による特性差がほぼ解消され、熱膨張係数や機械的特性が等方性を示すようになる。
【0030】
次に、積層したプリプレグを金型にセットしたのち、プレスで加熱、加圧してCFRP成型体を得た。
このときの成型条件は、温度180℃、加熱時間3時間、成型圧力5kgf/cm(4.9×10 Pa)である。また、得られたCFRP成型体における炭素繊維の体積含有率は約55%であった。
【0031】
2.CFRP成型体を炭化させ、C/C加工体を形成する。
次に、CFRP成型体を焼成用のカーボン治具に挟み、不活性雰囲気中で800℃まで昇温して炭化させ、C/C化させた。その後、得られたC/C焼成体中のボイドを埋めるため、ピッチを含浸させて炭化焼成する工程を2回繰り返した。なお、ピッチの代わりに合成樹脂を使用してもよい。
次に、焼成用黒鉛製治具に上述のC/C焼成体を挟んで固定し、不活性雰囲気中で2000℃まで昇温して黒鉛化処理を行った。続いて、黒鉛化されたC/C焼成体の表面を機械研削して所定の反射面形状に加工し、C/C加工体を形成した。形成されたC/C加工体を基材2とし、機械研削により加工された面を基材2の表面2aとする。
【0032】
3.基材コート層3を形成する。
次に、基材2の表面2aに、粒径が10μm以下の黒鉛微粉末を重量比で60%含んだフェノール樹脂を被覆し、さらに、不活性雰囲気中で2000℃まで昇温して黒鉛化処理を行い、基材コート層3を形成する。
【0033】
4.表面層4と鏡面4aを形成する。
次に、基材コート層3の上側を研削して平滑に仕上げ表面3aを形成した。表面3aに、電解メッキ法によりニッケル(Ni)からなる層を所定の厚さ被覆させた。ニッケルからなる層の平均厚さは約15μmであった。
最後に、ニッケルからなる層の上側表面を研削加工により厚さ5μmまで削り込み、表面層4を形成した。また、表面層4を超精密加工機で加工して鏡面4aを形成し、光学反射鏡1の試作品を完成させた。
【0034】
試作品の主要特性を以下に示す。
・完成品(光学反射鏡1)の室温下での熱膨張係数:0.05ppm/K
・メッキ前の基材2の室温下での熱膨張係数:−0.1ppm/K
・メッキ前および研削加工後の基材2の表面2aの表面粗度(中心線平均粗さR(a)):1μm
【0035】
また、比較用の試作品として、表面層4の厚さが45μmの光学反射鏡についても室温下での熱膨張係数を測定した結果、1.2ppm/Kであった。よって、宇宙空間等の温度変化の大きい環境で使用する反射鏡としては、実施例1の試作品が好適な熱膨張係数を示すことがわかった。
なお、表面層4としてニッケル(Ni)メッキの代わりに、金(Au)、銀(Ag)の金属メッキをそれぞれ行い、光学反射鏡を形成した場合も、ニッケル(Ni)メッキの場合と同様の効果が得られた。
【0036】
以上のように、この実施例1により、この発明の光学反射鏡は、熱膨張係数が低く、高精度な鏡面を有する光学反射鏡が得られることが確認された。また、実施例の完成品である光学反射鏡は比重が1.6程度と比較的小さく軽量化が可能で、その上十分な強度、剛性も有しているので、高精度の大型反射鏡として実用に適している。
この発明の効果を確認するために、以下のような比較実験も行った。
【0037】
比較例1.
次に、比較例1について説明する。比較例1は、この発明の光学反射鏡における、基材コート層の効果を確認するために、基材2の表面2aに,基材コート層3を設けずに直接ニッケルメッキ処理を行って表面層4を形成したものである。その他の工程は実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
比較例1における基材の試作品について、表面加工後の表面粗度を測定した結果、表面粗度(中心線平均粗さR(a))は15μmであった。また、平織りクロスの織り目の隙間がボイドとして残っているのも確認され、その深さは最大で、0.3mmであった。そしてメッキ処理後も基材表面に多数のピットが残り、鏡面仕上げをすることは不可能であった。
【0038】
比較例2.
次に、比較例2について説明する。比較例2は、この発明の光学反射鏡における、基材コート層の効果を確認するために、基材コート層の材料に用いられるカーボンの前駆体である樹脂に黒鉛微粉末を含有せず、樹脂のみを基材2上に被覆したものである。その他の工程は実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0039】
比較例2における基材の試作品について、表面加工後の表面粗度を測定した結果、表面粗度(中心線平均粗さR(a))は13μm〜17μmであった。
また、さらに基材コート層の厚さによる違いも調べた。まず、基材コート層を15μm程度の厚さに形成した場合、比較例1のときと同様に、平織りクロスの隙間がボイドとして残っているのが確認された。また、基材コート層を45μm程度の厚さに形成した場合、基材コート層に多数のクラックが生じ、その上基材コート層の基材に対する密着性が弱く、脱落することもあり、基材コート層による、基材表面の粗度の向上が望めなかった。また、メッキ処理後も基材表面にピットが残り、鏡面仕上げをすることは不可能であった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、C/C複合材料からなる基材と、基材表面を覆うように設けられ、黒鉛微粉末を含有したカーボンからなる基材コート層と、この基材コート層表面を覆うように設けられ、かつ光学反射面を有する表面層とを備えるように光学反射鏡を構成した。このため、C/C複合材料からなる基材の表面に複数存在するボイドや凹凸を基材コート層により充填して表面の粗度を改善し、平滑化を達成することができるので表面層を可能な限り薄く形成することができ、宇宙等の温度変化の大きな環境下においても熱変形、熱歪みが小さく、高い精度を維持することが可能な光学反射鏡が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1による光学反射鏡の概略的な構成を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 光学反射鏡、2 基材、2a 基材の表面、3 基材コート層、3a 基材コート層の表面、4 表面層、4a 鏡面(光学反射面)。

Claims (3)

  1. カーボン/カーボン複合材料からなる基材と、
    該基材表面を覆うように設けられ、黒鉛微粉末を含有したカーボンからなる基材コート層と、
    該基材コート層表面を覆うように設けられ、かつ光学反射面を有する表面層とを備えた光学反射鏡。
  2. 黒鉛微粉末は、その粒径を10μm以下のものとしたことを特徴とする請求項1記載の光学反射鏡。
  3. 基材コート層は、重量比にして35%〜70%の範囲の黒鉛微粉末を含有したことを特徴とする請求項1記載の光学反射鏡。
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