JP2005030605A - 溶融炉の出湯装置及び溶湯加熱装置 - Google Patents

溶融炉の出湯装置及び溶湯加熱装置 Download PDF

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Takeo Ishijima
武雄 石島
Keishin Machida
敬信 町田
Toru Kikuchi
亨 菊地
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Abstract

【課題】排出筒の寿命を延ばし、被溶融物の排出を安全かつ容易に、しかも長期間に亘って行う。
【解決手段】排出筒100を耐火物で作り、排出筒100の溶湯の流路111上に黒鉛電極191を交換可能に装着する。排出筒100内の黒鉛電極191を誘導加熱装置190Uにより誘導加熱することにより、排出筒100内の溶融メタルを加熱溶融して、排出する。また、排出筒100に出湯口101を開閉する止栓装置を併設し、出湯を任意に停止する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却灰(主焼却灰、飛灰)、廃棄物、雑固体、さらに金属などの溶融に使用する溶融炉に備え、炉体内部の溶湯を出湯する溶融炉の出湯装置及び溶湯加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、都市ごみや産業廃棄物などの焼却により発生する焼却灰をさらに減容化、無害化するために、焼却灰を溶融処理する灰溶融炉が注目されている。その一つに電気を熱源とする灰溶融炉がある。この電気溶融方式には、アーク方式、プラズマ方式等があり、各方式とも熱源加熱の方式が異なるが、炉底のメタルによるフライパン効果を期待した加熱溶融が行われる。これらの灰溶融炉によれば、炉内で加熱された焼却灰は一定時間経過すると溶け出し、焼却灰に混入している重い金属類(鉄、銅など)は下層に沈殿し、溶融された軽い灰はスラグとなって上層に浮遊する。すなわち溶湯は下に溶融メタルの層、上に溶融スラグの層になって分離される。そこに新たに焼却灰が供給されると、同様に加熱され、これが溶融メタル、溶融スラグに分離される。このようにして徐々に溶湯の湯面が上昇されていき、湯面が出滓口まで上がってくると、溶湯上層の溶融スラグが炉外に排出される。排出された溶融スラグは水冷又は空冷の方法により固化される。このようにして焼却灰は溶融により、スラグとなって、2分の1から3分の1程度に減容される。なお、溶融スラグは重金属の溶出が防止されるため、建設資材などに再利用することができる。
【0003】
さて、このような灰溶融炉では、溶融メタルはプラズマアークを安定させるのに必要不可欠であるものの、溶融メタルが溜まり過ぎ、溶融スラグの量が過少になると、焼却灰の溶融に支障をきたすため、溶湯から溶融メタルを必要量だけ抜き出す必要がある。
【0004】
この場合、傾動式の灰溶融炉では、炉体を傾動して、スラグ出滓口から溶融メタルを排出する。定置式の灰溶融炉では、炉体側壁に溶融メタルの排出穴や排出筒が設けられ、この排出穴や排出筒が粘土状の耐火物を詰められて閉止されているため、排出穴や排出筒が開口機で開けられて、溶融メタルを排出する。
【0005】
また近年、定置式の灰溶融炉の炉体側壁に排出筒を備え、誘導加熱方式で開閉しようとする技術が開発されている。例えば、廃棄物溶融炉もしくは灰溶融炉に使用する出滓装置は、被溶融物が通る出滓口を有する例えば黒鉛製の筒状発熱材と、その外側を保護材を介して包囲する、誘導加熱コイルを埋め込まれた出滓管とを備え、誘導加熱コイルに交流電流を通電することにより発熱材を加熱し、出滓口に固化した溶融物を溶解して炉体の溶湯を出湯させるようにしている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−297921公報
【特許文献2】
特開2001−141225公報
【特許文献3】
特開2001−355969公報
【特許文献4】
特開2002−122383公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この種の出湯装置では、炉体を傾動する方式や炉体側壁の排出穴あるいは排出筒を開口機で穿孔する方式よりも、排出筒を誘導加熱方式で開閉する方式の方が、作業性の面でも、安全性の面でも優れている。しかしながら、誘導加熱方式の場合、絶縁体に近い物性のものを直接溶融することができないため、灰溶融炉の運転開始当初に溶融スラグが排出筒内に流れ込み、これが排出筒内で固化されると、このスラグを直接溶融することができない。また、炉内の温度の上昇によりこの温度が鉄の変態点に達し、鉄に磁気を帯びなくなるような現象が起きた場合、誘導加熱方式でメタルを直接溶融することはできない。そこで、従来は、排出筒を耐火物に黒鉛などを含有させて発熱体として構成し、その熱で排出筒内のスラグ、メタル等を溶融するようにしている。ところが、排出筒内のスラグやメタルを溶融させるためには排出筒を一時的に加熱し、その温度を上げる必要があるが、排出筒を概ね1500℃を超える高温にまで加熱すると、排出筒の黒鉛は激しく脱炭する。排出筒内のスラグやメタルを取り出すごとに、黒鉛の脱炭が繰り返され、この脱炭が進むと、黒鉛は加熱しにくくなり、黒鉛に、より多くの電流を流す必要があるなど、排出筒の加熱は不安定にならざるを得ない。誘導加熱用の耐火物は溶融スラグ、溶融メタルに対する耐食性、酸化による脱炭対策など各種の寿命延長対策が施されているものの、メタル排出用としての誘導加熱用の耐火物は、出湯装置を構成するコイル、キャスタブロックに比べると、現状では未だ充分な寿命を有しているとは言い難い。また、このような加熱用の排出筒は脱炭により加熱できない状態になっても、メタルの通路になっている以上排出筒単体の交換は容易でなく、排出筒は長期に亘って使用できることが望まれる。
本発明はこのような従来の問題を解決するもので、排出筒の寿命を延ばし、被溶融物の排出を安全かつ容易に、しかも長期間に亘って行うことのできる溶融炉の出湯装置及び溶湯加熱装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の溶融炉の出湯装置は、被溶融物を加熱溶融する炉体に接続され、炉体内部の溶湯を出湯する流路を有する排出筒と、排出筒内の溶湯を加熱する加熱手段とを備え、炉体内部の溶湯を誘導し、出湯する溶融炉の出湯装置において、加熱手段は、排出筒の溶湯の流路上に交換可能に配置された黒鉛電極と、排出筒の溶湯の流路外に設置され、黒鉛電極を間接誘導加熱する誘導加熱装置とを備えたものである。
この構成により、排出筒内の溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、この排出筒の溶湯の流路上の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。この出湯方式によれば、排出筒を従来のように発熱体として直接加熱するものではないので、脱炭が生じ、徐々に消耗していくことがなく、排出筒の寿命を延ばすことができる。また、黒鉛電極は加熱されるごとに脱炭により徐々に消耗されていくものの、黒鉛電極は排出筒内に交換可能に装着されているので、黒鉛電極の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に黒鉛電極の正常な加熱が可能となり、炉体内部の溶湯を繰り返し、効率的に出湯することができる。
【0009】
本発明はまた、次のように具体化される。
第1に、排出筒は、溶湯の流路を有する第1の耐火層と、第1の耐火層の周囲に被覆され、第1の耐火層の熱を遮断可能な断熱層と、断熱層の周囲に被覆され、溶湯を遮断可能な第2の耐火層とを具備する。
これにより、排出筒が2つの耐火層と断熱層とにより形成されているので、従来のように発熱体として形成するのと異なり、各層が脱炭により消耗されることがなく、排出筒の寿命を延ばすことができる。
第2に、第1の耐火層は強度の高い耐火物により形成される。
これにより、従来のような黒鉛を含有する発熱層のように脱炭により消耗することがなく、また溶湯の流路上で溶湯の膨張、収縮が繰り返されても、長期の使用に耐えることができる。
第3に、断熱層は軟質の耐火断熱材により形成される。
これにより、第1の耐火層の内部で溶湯が膨張、収縮が繰り返されることにより、第1の耐火層に膨張、収縮が生じた場合でも、この膨張、収縮を吸収することができる。なお、この軟質の耐火断熱材の周囲を硬質の断熱材で覆うことにより、第1の耐火層の劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、硬質の断熱材で溶湯の漏出を阻止することができる。
第4に、第2の耐火層は熱伝導度の高い耐火物により形成される。
これにより、第1の耐火層の劣化等により溶湯が漏れ出して、これを断熱層で阻止できないときでも、この溶湯の漏出を耐火層で確実に遮断することができ、溶湯を排出筒の外部に漏れ出すことがなく、出湯に支障をきたすことなしに出湯を確実かつ安全に行うことができる。
第5に、第2の耐火層に冷却手段が併設される。
これにより、第1の耐火層の劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、これを耐火層で確実に遮断するとともに、冷却手段で冷却された第2の耐火層で溶湯を凝固させることができる。
第6に、冷却手段は水冷管により形成されて第2の耐火層の中に埋設される。
これにより、第1の耐火層の劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、これを第2の耐火層で確実に遮断するとともに、水冷管で冷却された第2の耐火層により溶湯を凝固させることができる。
第7に、第1、第2の耐火層の間に、この両層間に蒸気が発生した場合にこの蒸気を排出筒外部に排出する排蒸手段を備える。
これにより、第1、第2の耐火層間に蒸気が発生した場合に、排蒸手段で蒸気を排出して、排出筒内部の圧力を減圧調整することができる。
第8に、排出筒は炉体において、排出しようとする溶湯の層の高温部側に接続される。
これにより、炉体内部の溶融状態の溶融メタルを排出筒へ効率的に誘導することができる。
第9に、排出筒は先端の出湯口が炉体側接続口よりも高く形成される。
これにより、炉体側の上下各層の溶湯の比重及び各層の厚さに応じて炉体内部の溶湯から下層の溶融メタルを排出筒に誘導し、排出することができ、溶融炉の運転中、溶融スラグを出滓口から取り出す間、炉体内部で漸次増加する溶融メタルを、排出筒から、加熱装置の間欠運転又は連続運転により溶融メタルを累積的に増加させるごとに又は溶融メタルが増加するごとに排出することができ、炉体内部の溶融メタルの量を調整して、溶融メタル上層に一定量の溶融スラグを保持することができる。
第10に、黒鉛電極の外径は排出筒の溶湯の流路の内径よりも小さく設定され、黒鉛電極と溶湯の流路の内周面との間を溶湯の通路となす。
これにより、排出筒内の溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、この排出筒の溶湯の流路上の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。
第11に、誘導加熱装置は、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに通電する高周波電源とを備え、誘導加熱コイルが排出筒に巻装される。
これにより、排出筒の溶湯の流路上の黒鉛電極を誘導加熱して、排出筒の溶湯の流路上の溶湯を加熱することができる。
第12に、誘導加熱コイルは、断熱層の上から巻装され、耐火層の中に埋設される。
これにより、出湯装置周囲の作業環境に高度の安全性を確保することができる。
第13に、誘導加熱コイルは、水冷管により形成され、冷却水源に接続される。
これにより、誘導加熱コイルを水冷管により冷却するので、出湯装置周囲の作業環境に高度の安全性を確保することができる。なお、水冷管と加熱手段の誘導加熱コイルが兼用されることにより、同一の水冷管で、排出筒内の黒鉛電極を誘導加熱することができるとともに、耐火層を冷却することができる。
第14に、排出筒を開閉する止栓装置が併設され、前記止栓装置は、排出筒の出湯口を閉塞する口閉塞部及び該出湯口の周辺に水密に当接し、該出湯口を遮断する口周辺遮断部を具備する止栓部材と、止栓部材を該出湯口に向けて押圧する押圧手段とを備える。
これにより、止栓部材を押圧手段で押圧し、止栓部材の口閉塞部で排出筒の出湯口を直接閉塞するとともに止栓部材の口周辺遮断部で出湯口の周辺に水密に圧接し、出湯口を遮断するので、溶湯の排出中に、溶湯の排出を任意に、しかも完全に停止することができる。これによって、非常時には、溶湯の排出を緊急停止することができる。また、この出湯停止方式により、溶湯を排出したり止めたりすることができ、溶湯の流量を調整して炉内の溶湯の量を調整することができる。さらに、溶融炉の作動中又は溶湯の排出準備中若しくは排出中に、止栓装置で排出筒の出湯口を塞ぐことにより、溶融炉の炉体内部又は排出筒の出湯口内部を保温することができる。この保温効果により溶融物の溶融速度を早めることができる。
第15に、口閉塞部は排出筒の出湯口に嵌合可能なブロック状に形成され、口周辺遮断部は該出湯口の周辺に密着可能に口閉塞部の外周方向に突出する略リング状に形成される。
これにより、押圧手段で止栓部材が排出筒の出湯口に向けて押圧されると、止栓部材の口閉塞部の先端が出湯口に挿入され、口閉塞部の周囲の口周辺遮断部の表面が出湯口の周辺に接触される。これによって、出湯口から排出されている溶湯を概ね止めることができる。さらに押圧手段で止栓部材が押圧され、口閉塞部が出湯口に嵌合されるとともに、この出湯口の周辺に接触された口周辺遮断部が圧縮変形されて、出湯口の周辺に水密に密着し、排出筒の出湯口を完全に遮断する。これによって、口閉塞部で閉塞された排出筒の出湯口に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯を口周辺遮断部で完全に遮断することができる。
第16に、口閉塞部は排出筒の出湯口の周縁部に圧接可能な先端形状を有するブロック状に形成され、口周辺遮断部は該出湯口の周辺に密着可能に口閉塞部の外周方向に突出する略リング状に形成される。
これにより、押圧手段で止栓部材が排出筒の出湯口に向けて押圧されると、止栓部材の口閉塞部の先端形状が排出筒の出湯口周縁部に当接され、口閉塞部の周囲の口周辺遮断部の表面が排出筒の出湯口の周辺に接触される。これによって、排出筒の出湯口から排出されている溶湯を概ね止めることができる。さらに押圧手段で止栓部材が押圧され、口閉塞部の先端形状が排出筒の出湯口の周縁部に圧接されるとともに、この出湯口の周辺に接触された口周辺遮断部が圧縮変形されて、出湯口の周辺に水密に密着し、排出筒の出湯口を完全に遮断する。これによって、口閉塞部で閉塞された排出筒の出湯口に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯を口周辺遮断部で完全に遮断することができる。
第17に、口周辺遮断部は口閉塞部の外周面に押圧手段又は他の駆動手段により該口閉塞部の先端方向に向けて変位可能に構成される。
これにより、押圧手段の押圧でまず止栓部材の口閉塞部を排出筒の出湯口に挿入又は圧接し、次いで押圧手段又は他の駆動手段で口周辺遮断部を排出筒の出湯口の周辺に圧接する2工程で排出筒の出湯口を閉塞、遮断することができ、この2工程の動作により、出湯口を閉塞遮断する際に、まず口閉塞部で多量の溶湯が止められるため、口周辺遮断部に多量の溶湯が接触されることがなく、口周辺遮断部の熱の影響による損耗を軽減することができる。
なお、口周辺遮断部は口閉塞部の外周面に固定されてもよい。
この場合、押圧手段の押圧で止栓部材の口閉塞部を排出筒の出湯口に挿入又は圧接すると同時に口周辺遮断部を排出筒の出湯口の周辺に圧接することができる。
第18に、止栓部材の口閉塞部は耐火性の硬質の部材により形成され、口周辺遮断部は耐火性の弾性を有するパッド材とその保持体とにより構成される。
これにより、押圧手段で止栓部材が排出筒の出湯口に向けて押圧されると、止栓部材の硬い口閉塞部の先端が排出筒の出湯口又はその周縁部に挿入又は当接され、この口閉塞部周囲の口周辺遮断部の弾力性を有するパッド材の表面が排出筒の出湯口の周辺に接触される。これによって、排出筒の出湯口から排出されている溶湯を概ね止めることができる。さらに押圧手段で止栓部材が押圧され、口閉塞部が排出筒の出湯口又はその周縁部に嵌合又は圧接されるとともに、この出湯口の周辺に接触された口周辺遮断部が保持体により圧縮変形されて、出湯口の周辺に水密に密着し、排出筒の出湯口を完全に遮断する。これによって、口閉塞部に閉塞された排出筒の出湯口に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯を口周辺遮断部で完全に遮断することができる。
なお、止栓部材の口閉塞部及び口周辺遮断部は共に硬質の部材により形成され、その表面に耐火性の弾性を有するパッド材が被覆されてもよい。
この場合、押圧手段で止栓部材が排出筒の出湯口に向けて押圧されると、止栓部材の固い口閉塞部の先端がパッド材を圧縮し、排出筒の出湯口に押し込みながら排出筒の出湯口又はその周縁部に挿入又は当接され、この口閉塞部周囲の口周辺遮断部の弾力性を有するパッド材の表面が排出筒の出湯口の周辺に接触される。これによって、排出筒の出湯口から排出されている溶湯を概ね止めることができる。さらに押圧手段で止栓部材が押圧され、口閉塞部が排出筒の出湯口又はその周縁部に嵌合又は圧接されるとともに、排出筒の出湯口の周辺に接触されたパッド材が口周辺遮断部の硬い部分に押圧されて圧縮変形され、出湯口の周辺に水密に密着し、出湯口を完全に遮断する。これによって、口閉塞部に閉塞された排出筒の出湯口に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯を口周辺遮断部で完全に遮断することができる。
第19に、押圧手段は、止栓部材を押圧する押し部材と、押し部材を排出筒の出湯口に対して進退駆動する押し部材駆動手段とを具備する。
これにより、押し部材駆動手段の作動により、押し部材で止栓部材が排出筒の出湯口に向けて押圧されると、止栓部材の口閉塞部の先端が排出筒の出湯口又はその周縁部に挿入又は当接され、この口閉塞部の周囲の口周辺遮断部の表面が排出筒の出湯口の周辺に接触される。これによって、排出筒の出湯口から排出されている溶湯を概ね止めることができる。さらに押し部材で止栓部材が押圧され、口閉塞部が排出筒の出湯口又はその周縁部に嵌合又は圧接されるとともに、この出湯口の周辺に接触された口周辺遮断部が圧縮変形されて、出湯口の周辺に水密に密着し、排出筒の出湯口を完全に遮断する。これによって、口閉塞部に閉塞された排出筒の出湯口に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯を口周辺遮断部で完全に遮断することができる。
第20に、止栓部材を排出筒の出湯口に対向する位置と該出湯口から退避する位置との間で移動する移動手段を備える。
これにより、排出筒の出湯口から溶湯を排出する場合に、止栓部材を退避させておくことにより止栓部材が邪魔にならない。また、溶湯の排出中は、止栓部材を退避位置に退避させておくことにより、止栓部材を排出筒の出湯口から飛散する溶湯から保護することができる。
第21に、押圧手段全体を排出筒の出湯口に近接する位置と該出湯口から退避する位置との間で移動する移動手段を備える。
これにより、押圧手段と排出筒の出湯口との間に空間を設けることができ、この空間を、止栓部材の移動手段など他の機器の移動経路として利用することができ、また押圧手段を排出筒の出湯口から飛散する溶湯から保護することができる。
第22に、排出筒先端の出湯口で黒鉛電極をその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑える抑え機構が併設される。
これにより、黒鉛電極がその軸方向とこの軸方向に直交する方向に抑え付けられて、排出筒内に固定されるので、排出筒内に溶融メタルが増加され、出湯口から排出されていても、黒鉛電極の浮き上がりを確実に防止することができる。また、黒鉛電極を排出筒の内周面に押し付けることにより出湯口と黒鉛電極との間の隙間を狭めたり、反対に広げたりして、この隙間を変化させることで、排出筒と黒鉛電極との間の溶湯の通路の、溶湯の流量や出湯速度を調整することができる。
第23に、排出筒先端の出湯口で黒鉛電極を抑える抑え部材が併設され、前記抑え部材と止栓装置は、止栓部材を排出筒の出湯口上に移動するとともに、抑え部材を該出湯口外に移動し、止栓部材を該出湯口外に移動するとともに、抑え部材を該出湯口上又は該出湯口外に移動する連動機構に作動連結される。
これにより、抑え部材と止栓装置に各別の駆動手段を備える必要がなく、抑え部材及び止栓装置を効率的に作動させることができる。
第24に、排出筒の溶湯の流路上に黒鉛電極を押圧挿入する電極挿入装置が併設される。
これにより、排出筒の溶湯の流路上の黒鉛電極の交換を自動化することができ、黒鉛電極の交換を安全に行うことができる。
第25に、電極挿入装置は、黒鉛電極を排出筒の出湯口に向けて案内する電極ガイドと、黒鉛電極を押すための電極挿入棒と、電極挿入棒を排出筒の出湯口に対して進退駆動する挿入棒進退駆動装置とを具備する。
これにより、挿入棒進退駆動装置が作動されると、黒鉛電極が電極挿入棒で押進され、電極ガイドの案内により、排出筒の出湯口に押圧挿入される。これによって、排出筒の排出筒の溶湯の流路上の黒鉛電極の交換を自動化することができ、黒鉛電極の交換を安全に行うことができる。
第26に、排出筒の溶湯の流路上に黒鉛電極を押圧挿入する電極挿入装置が併設され、前記電極挿入装置と止栓装置の押圧手段が兼用される。
これにより、電極挿入装置と止栓装置の押圧手段に各別の駆動手段を備える必要がなく、電極挿入装置及び止栓装置の押圧手段を効率的に作動させることができる。
第27に、地震の発生を感知する地震感知装置に作動連結され、地震の発生により止栓部材で排出筒の出湯口を閉塞する。なお、この場合、停電に備えて非常用電源装置を併設することが好ましい。
これにより、溶湯の排出中に地震が発生しても、溶湯の排出を緊急停止することができ、安全性を確保することができる。
【0010】
また、本発明の溶融炉の溶湯加熱装置は、被溶融物を加熱溶融する炉体に接続されて炉体内部の溶湯を出湯する排出筒に装着され、排出筒内の溶湯を加熱する溶融炉の溶湯加熱装置において、排出筒の溶湯の流路上に交換可能に配置される黒鉛電極と、排出筒の溶湯の流路外に設置され、黒鉛電極を間接誘導加熱する誘導加熱装置とを具備するものである。
この構成により、既設又は新設の溶融炉の排出筒において、その溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、その溶湯の流路上の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。この出湯方式によれば、排出筒を従来のように発熱体として直接加熱するものではないので、脱炭が生じ、徐々に消耗していくことがなく、排出筒の寿命を延ばすことができる。また、黒鉛電極は加熱されるごとに脱炭により徐々に消耗されていくが、黒鉛電極は排出筒内に交換可能に装着されているので、黒鉛電極の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に黒鉛電極の正常な加熱が可能となり、炉体内部の溶湯を繰り返し、効率的に出湯することができる。
【0011】
本発明はまた、次のように具体化される。
第1に、黒鉛電極の外径は排出筒の溶湯の流路の内径よりも小さく設定され、黒鉛電極と溶湯の流路の内周面との間を溶湯の通路となす。
これにより、排出筒内の溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、この排出筒の溶湯の流路上の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。
第2に、誘導加熱装置は、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに通電する高周波電源とを備え、誘導加熱コイルが排出筒に巻装される。
これにより、排出筒の溶湯の流路上の黒鉛電極を誘導加熱して、排出筒の溶湯の流路上の溶湯を加熱することができる。
第3に、排出筒先端の出湯口で黒鉛電極をその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑える抑え機構が併設される。
これにより、黒鉛電極がその軸方向とこの軸方向に直交する方向に抑え付けられて、排出筒内に固定されるので、排出筒内に溶融メタルが増加され、出湯口から排出されていても、黒鉛電極の浮き上がりを確実に防止することができる。また、黒鉛電極を排出筒の内周面に押し付けることにより出湯口と黒鉛電極との間の隙間を狭めたり、反対に広げたりして、この隙間を変化させることで、排出筒と黒鉛電極との間の溶湯の通路の、溶湯の流量や出湯速度を調整することができる。
第4に、排出筒を開閉する止栓装置が併設され、前記止栓装置は、排出筒の出湯口を閉塞する口閉塞部及び該出湯口の周辺に水密に当接し、該出湯口を遮断する口周辺遮断部を具備する止栓部材と、止栓部材を該出湯口に向けて押圧する押圧手段とを備える。
これにより、止栓部材を押圧手段で押圧し、止栓部材の口閉塞部で排出筒の出湯口を直接閉塞するとともに止栓部材の口周辺遮断部で排出筒の出湯口の周辺に水密に圧接し、排出筒の出湯口を遮断するので、溶湯の排出中に、溶湯の排出を任意に、しかも完全に停止することができる。これによって、非常時には、溶湯の排出を緊急停止することができる。また、この溶湯排出の停止方式により、溶湯を排出したり止めたりすることができ、溶湯の流量を調整して炉内の溶湯の量を調整することができる。さらに、溶融炉の作動中又は溶湯の排出中に、止栓装置で排出筒の出湯口を塞ぐことにより、溶融炉の炉体内部又は排出筒の出湯口内部を保温することができる。この保温効果により溶融物の溶融速度を早めることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1乃至図6は本発明の第1の実施の形態を示している。
図1及び図2において、灰溶融炉1はプラズマ方式の電気炉として構成され、電極(負極側)3を設置された炉体2と、電極(正極側)4を垂下された天壁5とを備える。炉体2には、その周壁20に炉底21から所定の高さに溶湯の出滓口22が形成されている。灰溶融炉1の運転により、焼却灰が加熱溶融されるとともに、その溶湯の湯面が上昇され、この出滓口22からオーバーフローすることにより、溶湯6上層の溶融スラグ61が連続滴下により取り出されるようになっている。
なお、図1において、7は焼却灰供給装置であり、灰溶融炉1の近傍に設置され、その供給口71が炉体2の天壁5又は周壁20に連結されている。この焼却灰供給装置7により一定量の焼却灰が炉体2内に連続投入可能である。
【0013】
炉体2の周壁20にはまた、出滓口22とは別に、出湯装置10が設けられている。この出湯装置10は多層構造の排出筒100と間接誘導加熱方式の加熱装置(溶湯加熱装置)19とを備えている。
【0014】
図3に示すように、排出筒100はそれ自体、溶湯の流路111を有する第1の耐火層110と、第1の耐火層110の周囲に被覆され、第1の耐火層110の熱を遮断可能な断熱層120と、断熱層120の周囲に被覆され、溶湯6を遮断可能な第2の耐火層130とにより形成されていて、従来のような発熱体として構成されるものではない。
【0015】
この排出筒100の第1の耐火層110は強度の高い炭化珪素系の耐火物により略中空円筒状に形成され、溶湯6の高熱(1350℃〜1600℃)や被溶融物の膨張による内圧の変化に対して長期間の使用に耐え得る処理が施されている。
【0016】
断熱層120は、第1の耐火層110の周囲に被覆され、第1の耐火層110の熱を遮断可能に形成されている。この断熱層120は、断熱性、耐火性、さらに弾力性に優れたセラミックファイバなどの軟質の耐火断熱材121により形成され、この軟質の耐火断熱材121が第1の耐火層110の周面に被せられている。この場合、セラミックファイバは厚さ12mm程のものが概ね3〜6mm程度に圧縮して固められる。なお、この軟質の断熱耐火材121の周囲を、さらに硬質の断熱材で被覆してもよい。この場合、硬質の断熱材に耐火性、断熱性に優れたセラミック多孔質チューブが採用され、このセラミック多孔質チューブがセラミックファイバの上から被せ付けられる。
【0017】
第2の耐火層130は、断熱層120の周囲に被覆され、第1の耐火層110から漏れて断熱層120からしみ出された溶湯を遮断可能に形成されている。この耐火層130は、耐火度、熱伝導度の高いアルミナ系の耐火物により形成され、断熱層120の周囲に全体が直方体状又は立方体状のブロックに形成して被せ付けられている。なお、この耐火層130には冷却手段17が併設され、耐火層130に水冷管17が埋設されている。この水冷管17に加熱装置19の誘導加熱コイル190が利用され、水温が常時監視されている。この点については後述する。
【0018】
また、この排出筒100においては、第1の耐火層110と第2の耐火層130との間、すなわち断熱層120の軟質の耐火断熱材121の層が、第1の耐火層110と第2の耐火層130との間に蒸気が発生した場合にこの蒸気を排出するための排蒸路103になっていて、第2の耐火層130中にこの排蒸路103と排出筒100外部とを連通する排蒸路104が形成され、その外部排蒸口105が第2の耐火層130表面の上部に設けられている。なお、この排蒸路103、104及び外部排蒸口105は必要に応じて単数又は複数設けられる。また、ここでは特に図示していないが、この排蒸手段で蒸気を検知した場合に出湯装置10の出湯動作を停止する緊急停止装置が併せて設置される。
【0019】
一方、加熱装置19は、黒鉛電極191と、黒鉛電極191を間接誘導加熱する誘導加熱装置190Uとを備え、排出筒100の内層を発熱させるのではなく、排出筒100内に装着された黒鉛電極191を加熱する間接誘導加熱方式が採用されている。この加熱装置19では、黒鉛電極191は排出筒100の内部、第1の耐火層110の溶湯の流路111上に交換可能に配置されている。この場合、黒鉛電極191は、その外径が排出筒100の溶湯の流路110の内径よりも小さく、その長さが排出筒100の溶湯の流路111の長さよりも少し長く設定されていて、図示されない搬器により保持されて、排出筒100の溶湯の流路111上に炉体2側に押し出し可能に挿入されている。なお、この黒鉛電極191は排出筒100の溶湯の流路111上に抜き差し可能に挿入されていてもよい。このようにして排出筒100内に黒鉛電極191が装着され、溶湯の流路111の内周面と黒鉛電極191との間を溶湯の通路とする。
【0020】
また、誘導加熱装置190Uは、誘導加熱コイル190と、誘導加熱コイル190に通電する高周波電源(図示省略)とを備え、誘導加熱コイル190が排出筒100の溶湯の流路111外に巻装されている。この場合、誘導加熱コイル190は、断熱層120の上から巻装され、第2の耐火層130の中に埋設されている。このようにして誘導加熱コイル190は図示されない高周波電源に接続されている。また、この誘導加熱コイル190を構成する導体には水冷銅管が使用されている。この水冷銅管は、既述のとおり、第2の耐火層130の冷却手段17として埋設される水冷管として兼用される。この水冷銅管に図示されない水供給源が接続されて、この水冷銅管が破損した場合にその周囲の高熱により発生する蒸気の圧力よりも低い圧力、ここでは1kg/cmの水圧で水が通されるようになっている。この水冷銅管にはまた、図示されない水温監視装置が接続されて、この水冷銅管内の水の温度が常時監視されていて、予め設定した温度に達すると、水温の上昇を知らせる警報を発するようになっている。この誘導加熱装置190Uの通電により排出筒100内部の黒鉛電極191が間接誘導加熱され、1350℃〜1600℃に加熱される。
【0021】
この出湯装置10では、排出筒100はその軸心を上方向斜めに向けて、炉体2の所定の高さに接合されている。この場合、炉体2の周壁20に出湯口101が形成され、この排出口23上に排出筒100が連接されている。炉体2の排出口23は炉体2内部の溶融メタル62の層の中でも上方付近に対応する位置に形成されている。炉体2内部に溜められる溶湯6のうち、溶融メタル62の層でその中でも上方付近は溶融メタル62がプラズマにより暖められていることから高温であり、溶融状態になっているのに対し、下方は温度が低く、溶融メタル62が半溶融状態になっていると考えられることから、溶融メタル62の排出を効率良く行うため、出湯口101が炉体2の溶融メタル62の層でその中でも溶融メタル62の流動性のよい高温の、上方付近に対応する位置に形成される。このようにして排出筒100は炉体2の周壁20に、溶湯の流路111を炉体2の排出口23に連続して接続されている。また、排出筒100はその軸心を上方向斜めに向けて接合され、炉体2に連結された基端(連結端102)に対して先端が上方に配置されて、排出筒100の出湯口101が所定の高さに開放されている。ここでいう所定の高さは、炉体2側の上層の溶湯取出レベル(つまり出滓口22レベル)に対して若干下がった位置に設定されていて、図1に示すように、この所定の高さをh3、炉体2内部の上層の溶湯6(溶融スラグ61)の比重をγ1、その層の厚さをh1、下層の溶湯6(溶融メタル62)の比重をγ2、その層の厚さをh2とした場合、次式から算出される。
(γ1×h1)+(γ2×h2)=γ2×h3
このようにして、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各層の厚さに応じて炉体2内部の溶湯6から下層の溶融メタル62を炉体2外部の出湯口101へ誘導し、漸次増加する溶融メタル62を連続的に排出可能にしている。
【0022】
なお、ここでは特に図示していないが、炉体2の周囲で、排出筒100の出湯口101の下方に溶湯排出設備が設置されていて、排出筒100から排出された溶湯6が処理されるようになっている。
【0023】
また、この出湯装置10には、図4に示すように、排出筒100先端の出湯口101に黒鉛電極191をその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑える抑え機構18が併設されている。ここで抑え機構18は抑え部材181とその駆動装置182とを備えている。抑え部材181は耐火物からなるブロックで、その下部に黒鉛電極191の一端側の端面及びその近傍の周面に係合可能な半円形の抑え溝180が設けられている。この抑え部材181の駆動装置182にはシリンダなどが用いられ、その作動部に抑え部材181が作動連結される。抑え部材181は排出筒100の出湯口101上に図示されないガイドを介して上下方向に摺動可能に配置され、その駆動装置182が排出筒100の近傍に設置される。さらに、この出湯装置10には、排出筒100先端に出湯口101を開閉する開閉機構が併設されている。この開閉機構は、特に図示していないが、シャッタとその駆動機構とを備える。シャッタは耐火物により形成され、出湯口101を開閉可能な栓構造になっている。その駆動機構にはシリンダなどが採用され、シャッタは出湯口101上で進退駆動される。なお、この開閉機構のシャッタを抑え部材181のガイドを利用して駆動するようにしてもよい。
【0024】
次に、この灰溶融炉1の出湯方式について図1、さらに図5及び図6を用いて、説明する。なお、この出湯装置10は、灰溶融炉1全体を制御する図示されない制御盤により制御され、排出筒100内の溶湯6が加熱状態と非加熱状態に選択的に切り換えられる。この出湯装置10では、溶湯6を加熱する場合に、誘導加熱装置190Uにより排出筒100上に巻かれた各誘導加熱コイル190が間欠的に通電され、黒鉛電極191が誘導加熱される間欠運転モード、又は各誘導加熱コイル190が連続的に通電され、黒鉛電極191が誘導加熱される連続運転モードが設定される。通常、加熱装置19は間欠運転モードが設定され、灰溶融炉1から、3日に1度の割合で、溶融メタル62を出湯する。これは、加熱装置19を連続運転にすると、排出筒100内の黒鉛電極191が常時加熱されて脱炭が促進され、また電力消費量が増大するので、出湯の都度加熱することが望ましいからである。まず、加熱装置19の間欠運転モードに基く出湯方式について説明する。
【0025】
(加熱装置19の間欠運転モードに基く出湯方式)
図1において、図示されない制御盤の制御に基いて、灰溶融炉1が運転される。焼却灰供給装置7から焼却灰が連続的に炉体2内部に投入されると、焼却灰は徐々に加熱溶融されて、その溶湯6が上層の溶融スラグ61と下層の溶融メタル62とに分離されながら炉体2内部に貯えられ、湯面を徐々に上昇していく。溶湯6の湯面が出滓口22まで上がり、オーバーフローすると、上層の溶湯6、すなわち溶融スラグ61が出滓口22から連続滴下により取り出されていく。一方、この焼却灰の連続溶融とともに、溶融メタル62が出湯装置10の排出筒100へ誘導されていく。
【0026】
加熱装置19に間欠運転モードが設定されているため、炉体2内部に溶融メタル62が十分に溜まり、例えば図1中、h2付近まで上昇しても、排出筒100に装着された誘導加熱コイル190は通電されず、排出筒100内部の黒鉛電極191は加熱されない。炉体2内部の溶融メタル62は排出筒100の内周面と黒鉛電極191との間の溶湯の通路へ流入され、排出筒100が冷却されている間は、溶融メタル62は排出筒100の中で固化し、排出筒100の上部出湯口101まで達しない。このため、炉体2内部の溶融メタル62の層の高さは図1中、h2を超え、さらに累積的に増加していく。この灰溶融炉1の場合、例えば溶融メタル62の層が予め設定された厚さ(溶融メタル62の湯面制限レベル)h4に達し、溶融スラグ61の層が予め設定された所定の厚さ(溶融スラグ61の最小限必要な厚さ)まで減少した時点で、排出筒100上の誘導加熱コイル190が通電される。このようにして排出筒100の溶湯の流路111上に配置された黒鉛電極191が誘導加熱されると、排出筒100内(の黒鉛電極191の周り)に固化された溶融スラグ61や溶融メタル62が流動化されるとともに、炉体2内部から溶融メタル62が排出筒100へ誘導される。この場合、排出筒100は炉体2に対し、溶融メタル62の層で高温部付近に接続されていることから、溶融状態の溶融メタル62が排出筒100内に効率的に誘導される。なお、溶融メタル62の下方が低温で半溶融状態になっていることから、炉底21が上方の高温から保護されるという別の利点がある。溶融メタル62は排出筒100の内周面と黒鉛電極191との間を通路にして、排出筒100内で固化することなしに、排出筒100の上部出湯口101まで導かれ、オーバーフローにより連続して排出され、その下方の溶湯排出設備に入れられる。このとき、炉体2内部の溶融メタル62は一度に、図1中、h4−h6の範囲が排出されて、炉体2内部の溶融メタル62の層が減量調整され、溶融スラグ61の層の厚さh5が維持されながら、溶湯6全体の湯面が出滓口22の下方に下げられる。またこのとき、排出筒100内の黒鉛電極191は、既述のとおり、抑え機構18によりその一端の端面と周面が上方から抑えられ、その軸方向とこの軸方向に直交する方向に抑え付けられて、排出筒100内に固定されているので、排出筒100内に溶融メタル62が増加され、出湯口101から排出されていても、黒鉛電極191の浮き上がりが確実に防止される。また、その抑え部材181で出湯口101の上半部が塞がれていて、さらに黒鉛電極191がその駆動装置182の駆動により排出筒100の内周面に押し付けられると、出湯口101と黒鉛電極191との間の隙間が狭められるので、この抑え部材181による黒鉛電極191の押さえ込み方を変化させることで、排出筒100と黒鉛電極191との間の溶湯の通路を絞ることができ、これにより溶湯6の流量や出湯速度を調整することができる。また、この溶湯6の流量や出湯速度の調整は、開閉機構のシャッタにより、出湯口101の一部を塞いで出湯口101を絞ることにより行うこともできる。なお、溶湯排出設備に導かれる溶融メタル62には灰溶融炉1の運転開始時のみ、一時的に溶融スラグ61が混入されるが、炉体2内部の上層の溶融スラグ61が排出筒100(の連結端102)の上まで上がれば、それ以降、排出筒100の上部出湯口101から溶融スラグ61の混入のない溶融メタル62のみが連続して排出され、溶湯排出設備には溶融メタル62のみが入れられていく。この溶融メタル62の排出時点で、排出筒100上の誘導加熱コイル190の通電が止められ、炉体2内部の溶融メタル62の流出が停止される。溶融メタル62は、図5に示すように、排出筒100の出湯口101の開口下縁部の高さで止まり、排出筒100の内周面と黒鉛電極191との間(つまり黒鉛電極191の周り)で固化されて、これが排出筒100のストッパー又は蓋として機能する。またこのとき、開閉機構のシャッタにより、排出筒100の出湯口101を塞いで、排出筒100からの出湯を止めることもでき、シャッタを併用することで、溶融メタルの出湯をより確実に、より安全に止めることができる。このような工程が繰り返され、一回の工程ごとに炉体2内部に累積的に増加された溶融メタル62が一度にまとめて排出され、溶融メタル62及び溶融スラグ61の各層が被溶融物の溶融に適した量と割合に調整される。
【0027】
なお、この間欠運転の間、排出筒100内部の黒鉛電極191の高熱は断熱層120で遮断されていて、排出筒100表面の第2の耐火層130に高熱が伝導されることがなく、また、断熱層120の周囲に巻装された誘導加熱コイル190が水冷銅管により形成され、第2の耐火層130の中に埋設されて、第2の耐火層130が冷却されているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全性が確保される。また、排出筒100内部の黒鉛電極191の加熱、冷却の繰り返しにより、排出筒100内部の溶湯の膨張、収縮が繰り返されるが、排出筒100の第1の耐火層110が強度性に優れた耐火物により形成されているので、従来のように黒鉛を含有する発熱層に比べて耐久性に優れ、長期の使用に耐えることができる。また、排出筒100内部の溶湯6の膨張、収縮により第1の耐火層110に膨張、収縮が生じても、これが断熱層120の軟質の耐火断熱材(セラミックファイバ)121で吸収され、第1の耐火層110を保護することができる。
【0028】
一方、排出筒100内の黒鉛電極191は1回の使用で若干の消耗が発生し、数回の使用により徐々に消耗していき、次第に縮径されていく。この黒鉛電極191は複数回使用され、消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換される。この出湯装置10の場合、黒鉛電極191が排出筒100内に炉体2側へ押し出し可能に装着されているので、図6に示すように、搬器により新たな黒鉛電極191が排出筒100内に挿入されるとともに、この新たな黒鉛電極191の挿入により使用済みの黒鉛電極191が排出筒100から炉体2側へ押し出される。この場合、新たな黒鉛電極191の長さは使用済みの黒鉛電極191の長さに応じて短くすることがある。これにより、常に黒鉛電極191の正常な加熱が可能となり、上記出湯方式が繰り返し行われる。なお、この黒鉛電極191の押し出し式の交換の場合、消耗した黒鉛電極191を炉内2側に押し入れてもよい。炉体2内の溶融メタル62に入り込んだ黒鉛電極191は高温の溶融メタル62により燃焼またはメタルへの溶け込みにより炉壁付近まで損耗するが、いっこうに差し支えない。また、消耗した黒鉛電極62を炉体2内の溶湯6に入れることにより、鉄のメルティングポイントを下げる効果が期待できる。周知のとおり、鉄の融点は炭素を含むとおよそ1150℃で、純鉄になるとおよそ1500℃に上がり、炉体2内部の溶融メタル62は繰り返し高温に晒されるため、脱炭と同じ現象が起こった場合に、鉄は溶け難くなる。炉体2内部の溶湯6がこのような状態に変化しても、消耗した黒鉛(黒鉛電極)が溶湯6内に投入されることで、これが不純物として溶湯6内に溶け込み、鉄の融点を下げ、鉄を効率的に溶かすことができる。
【0029】
次に、加熱装置19の連続運転モードに基く出湯方式について説明する。
(加熱装置19の連続運転モードに基く出湯方式)
図1において、灰溶融炉1に投入した焼却灰に金属類を多く含む場合、加熱装置19を連続運転モードに切り換えて、排出筒100内の黒鉛電極191を連続的に加熱することにより、溶融メタル62を増加するごとに排出することができる。この連続運転モードの場合、灰溶融炉1の運転開始前又は運転開始と同時に、排出筒100上に巻かれた誘導加熱コイル190に加熱電流が流されて、排出筒100内の黒鉛電極191は溶湯6の高熱と略同じ温度(1350℃〜1600℃)に加熱維持される。なお、この連続運転の間でも、第1の耐火層110の高熱は断熱層120で遮断されていて、排出筒100表面の第2の耐火層130に高熱が伝導されることがなく、また、断熱層120の周囲に巻装される誘導加熱コイル190が水冷銅管により形成され、第2の耐火層130の中に埋設されて、第2の耐火層130が冷却されているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全性が確保される。
【0030】
排出筒100内の黒鉛電極191の加熱により、排出筒100内の溶湯6の有無に拘わらず、炉体2内部から溶融メタル62が排出筒100へ誘導される。この場合、排出筒100は炉体2に対し、溶融メタル62の層で高温部付近に接続されていることから、溶融状態の溶融メタル62が排出筒100内に効率的に誘導される。このようにして溶融メタル62は排出筒100内に固化することなしに、確実に進入していく。
【0031】
図1において、炉体2内部で溶融メタル62層が漸次増加し、そのレベルが上昇していくとともに、炉体2内部から下層の溶融メタル62が排出筒100へ漸次流入し、出湯口101に向けて上昇していく。炉体2内部で溶湯6の湯面が出滓口22レベルに上がり、排出筒100内の溶融メタル62が出湯口101レベルに達して、両者が均衡する。引き続き炉体2内部で溶融メタル62が増加されると、これに応じて排出筒100の出湯口101から溶融メタル62が連続的に滴下され、その下方の溶湯排出設備に入れられる。これにより炉体2内部の溶融メタル62の層が減量調整される。この場合、溶湯排出設備に導かれる溶融メタル62には灰溶融炉1の運転開始時のみ、一時的に溶融スラグ61が混入されるが、炉体2内部の上層の溶融スラグ61が排出筒100(の連結端102)の上まで上がれば、それ以降、排出筒100の上部出湯口101から溶融スラグ61の混入のない溶融メタル62のみが連続して排出され、溶湯排出設備には溶融メタル62のみが入れられていく。また、間欠運転の場合と同様に、排出筒100内の黒鉛電極191は、抑え機構18によりその一端の端面と周面が上方から抑えられ、その軸方向とこの軸方向に直交する方向に抑え付けられて、排出筒100内に固定されているので、排出筒100内に溶融メタル62が増加され、出湯口101から排出されていても、黒鉛電極191の浮き上がりが確実に防止される。また、この抑え部材181で出湯口101の上半部が塞がれていて、さらに黒鉛電極191がその駆動装置182の駆動により排出筒100の内周面に押し付けられると、出湯口101と黒鉛電極191との間の隙間が狭められるので、この抑え部材181による黒鉛電極191の押さえ込み方を変化させることで、排出筒100と黒鉛電極191との間の溶湯の通路を絞ることができ、これにより溶湯6の流量や出湯速度を調整することができる。また、この溶湯6の流量や出湯速度の調整は、開閉機構により行うこともできる。
【0032】
なお、この加熱装置19の連続運転の場合でも、炉体2内部に溶湯6が十分に溜まるまで、加熱装置19に通電せず(つまり排出筒100内の黒鉛電極191を加熱せず)、溶融メタル62が排出筒100の出湯口101よりも少し低い位置、例えば図1中、h2付近まで上昇したところで、加熱装置19を通電してもよい。このようにして排出筒100内の黒鉛電極191が加熱されると、溶融メタル62が炉体2内部から排出筒100の上部出湯口101まで導かれ、炉体2内部の溶融メタル62の溶融増加とともに、上部出湯口101から、連続的に滴下される。
【0033】
この連続運転の場合、排出筒100上の誘導加熱コイル190の通電が止められると、炉体2内部の溶融メタル62の流出が停止される。溶融メタル62は排出筒100の出湯口101の開口下縁部の高さで止まり、排出筒100の内周面と黒鉛電極191との間(つまり黒鉛電極191の周り)で固化されて、これが排出筒100のストッパー又は蓋として機能する。またこのとき、開閉機構のシャッタにより、排出筒100の出湯口101を塞いで、排出筒100からの出湯を止めることもでき、シャッタを併用することで、溶融メタル62の排出をより確実に、より安全に止めることができる。このようにして炉体2内部に累積的に増加された溶融メタル62は連続的に排出され、溶融メタル62及び溶融スラグ61の各層が被溶融物の溶融に適した量と割合に調整される。
【0034】
なお、この連続運転の間、排出筒100内部の黒鉛電極191の高熱は断熱層120で遮断されていて、排出筒100表面の第2の耐火層130に高熱が伝導されることがなく、また、断熱層120の周囲に巻装された誘導加熱コイル190が水冷銅管により形成され、第2の耐火層130の中に埋設されて、第2の耐火層130が冷却されているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全性が確保される。また、排出筒100内部の黒鉛電極191が連続的に加熱されているが、排出筒100の第1の耐火層110が強度性に優れた耐火物により形成されているので、従来のように黒鉛を含有する発熱層に比べて耐久性に優れ、長期の使用に耐えることができる。
【0035】
一方、排出筒100内の黒鉛電極191は連続使用されるため、徐々に消耗していき、次第に縮径されていく。この黒鉛電極191は消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換される。この出湯装置10の場合、黒鉛電極191が排出筒100内に炉体2側へ押し出し可能に装着されているので、搬器により新たな黒鉛電極191が排出筒110内に挿入されるとともに、この新たな黒鉛電極191の挿入により使用済みの黒鉛電極191が排出筒100から炉体2側へ押し出される。これにより、常に黒鉛電極191の正常な加熱が可能となり、上記出湯方式が繰り返し行われる。なお、この黒鉛電極191の押し出し式の交換の場合、消耗した黒鉛を炉体2内側に押し入れてもよく、消耗した黒鉛電極191を炉体2内の溶湯6に入れることにより、鉄のメルティングポイントを下げる効果があることは既述のとおりである。
【0036】
この出湯装置10では、上記各出湯方式により、排出筒100の第1の耐火層110が繰り返し溶湯6の高熱に晒されるため、第1の耐火層110の劣化により、又は加熱装置19の間欠運転で、溶融メタル62の溶融、固化が繰り返され、この溶融メタル62と第1の耐火層110との熱膨張係数の違いにより、第1の耐火層110にクラックが入って、このクラックを通じて溶湯が漏れ出すような場合でも、排出筒100の多層構造によりその機能を維持され、出湯に差し支えることがない。すなわち、第1の耐火層110から溶湯が漏れ出しても、この溶湯はまず断熱層120で阻止され、この断熱層120で溶湯の漏出を止めることができないときでも、溶湯は第2の耐火層130で確実に遮断され、溶湯が排出筒100の外部に漏れ出すことがない。この場合、第1の耐火層110から漏れ出した溶湯は、断熱層120の軟質の耐火断熱材(セラミックファイバ)121からしみ出される。この軟質の耐火断熱材121の周囲に硬質の断熱材(セラミック多孔質チューブ)が被せられていれば、軟質の耐火断熱材(セラミックファイバ)121からしみ出された溶湯はこの硬質の断熱材で阻止される。また、第2の耐火層130は熱伝導度が高く、この耐火層130に埋設された加熱装置19の誘導加熱コイル(水冷銅管)190により冷却されていて、第1の耐火層110から漏れ出した溶湯が断熱層120で阻止できないときでも、この溶湯は第2の耐火層130で確実に遮断され、さらに冷却により凝固される。このようにして第1の耐火層110内の溶湯の流路111は断熱層120、第2の耐火層130により保護され、引き続き上記各出湯方式により溶湯が出湯される。
【0037】
また、排出筒100には、第2の耐火層130の冷却手段17、すなわち誘導加熱コイル190に、この水冷銅管が破損した場合にその周囲の高熱により発生する蒸気の圧力よりも低い水圧で水が通されていて、第1の耐火層110から溶湯が漏れ出し、さらに水冷銅管が破損して水漏れを起こした場合でも、この水は第1の耐火層110周囲の高熱により高圧の蒸気になり、この圧力で水冷銅管から水の漏出が防止される。
【0038】
また、第1の耐火層110と第2の耐火層130との間に蒸気が発生した場合、この蒸気は、断熱層120の軟質の耐火断熱材121に形成された排蒸路103、第2の耐火層130の排蒸路104、外部排蒸口105を通じて排出筒100の外部に排出され、排出筒100内部が減圧調整される。さらに、この排蒸手段で蒸気の排出が検知されると緊急停止装置により出湯動作が停止される。
【0039】
このように上記第1の実施の形態によれば、排出筒100内の溶湯の流路111上で黒鉛電極191が誘導加熱されて、この排出筒100の溶湯の流路111上の溶湯6が加熱されるので、溶湯6を排出筒100の途中で固化することなしに誘導し、確実に出湯することができる。この誘導加熱を利用した出湯方式では、従来のように比較的寿命の短い誘導加熱用耐火物を用いた排出筒が加熱されるのではなく、耐火物で作られた排出筒100内で黒鉛電極191が加熱されることにより、排出筒100内のメタル(運転当初はスラグの場合もある)を溶融排出するので、排出筒100自体の損耗を抑えて長期間に亘って使用することができ、排出筒100内からの被溶融物の排出を、安全かつ容易に行うことができる。
【0040】
特に、排出筒100は、第1の耐火層110と、断熱層120と、第2の耐火層130とにより溶湯を流す流路として形成されているので、従来のように排出筒が発熱体として形成され、これが直接加熱されるのと異なり、各層が脱炭により消耗されることがなく、排出筒100の寿命を著しく延ばすことができる。また、第1の耐火層110の熱を断熱層120で遮断するので、排出筒100表面の第2の耐火層130に第1の耐火層110の高熱を伝導することがなく、灰溶融炉1周囲の作業環境に高度の安全性を確保することができる。第1の耐火層110は繰り返し溶湯の高熱に晒されるため、第1の耐火層110の劣化により、又は加熱装置19の間欠運転で、溶融メタルの溶融、固化が繰り返され、この溶融メタルと第1の耐火層110との熱膨張係数の違いにより、第1の層110にクラックが入り、このクラックを通じて溶湯の漏出が発生した場合でも、この溶湯を第2の耐火層130で確実に遮断することができ、溶湯を排出筒100の外部に漏れ出すことがない。したがって、出湯に支障をきたすことなしに、出湯を確実かつ安全に行うことができる。
【0041】
さらに各層別に見ると、第1の耐火層110は強度の高い耐火物により形成されているので、従来のような黒鉛を含有する発熱層のように、加熱ごとに脱炭が生じ、徐々に消耗されていくということがなく、また溶湯の流路111上で溶湯の膨張、収縮が繰り返されても、長期の使用に耐えることができる。
【0042】
断熱層120は軟質の耐火断熱材121により形成されているので、第1の耐火層110の内部で溶湯が膨張、収縮が繰り返されることにより、第1の耐火層110に膨張、収縮が生じた場合でも、この膨張、収縮を吸収することができる。なお、この軟質の耐火断熱材121の周囲を硬質の断熱材で覆うことにより、第1の耐火層110の劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、硬質の断熱材で溶湯の漏出を阻止することができる。
【0043】
第2の耐火層130は熱伝導度の高い耐火物により形成されているので、第1の耐火層110の劣化等により溶湯が漏れ出して、これを断熱層120で阻止できないときでも、この溶湯の漏出を第2の耐火層130で確実に遮断することができ、溶湯を出湯口101の外部に漏れ出すことがなく、出湯に支障をきたすことなしに出湯を確実かつ安全に行うことができる。この耐火層130にはさらに、冷却手段17として水冷管が併設されているので、第1の耐火層110の劣化等により溶湯が漏れ出した場合でも、これを第2の耐火層130で確実に遮断するとともに、冷却手段17で冷却されたこの耐火層130で溶湯を冷却、凝固させることができる。この場合、水冷管に水温監視装置が接続されて、常時水温が監視されていて、予め設定した温度に達すると、水温の上昇を知らせる警報を発するようになっているが、万一、水冷管が破損した場合、その周囲の高熱により発生する蒸気の圧力よりも低い水圧で水が通されているので、第1の耐火層110の劣化等により溶湯が漏れ出し、さらに水冷管が破損して水漏れを起こした場合でも、この水を第1の耐火層110周囲の高熱により高圧の蒸気にして、この圧力で水冷管から漏水を防止することができる。さらに、これら第1、第2の耐火層110、130間に排蒸路103、104手段が設けられていて、この両層間に蒸気が発生した場合に、この蒸気を排出筒100外部に排出するので、第1、第2の耐火層110、130間に蒸気が発生した場合に、排出筒100内部の圧力を減圧調整することができる。またさらに、排蒸手段に併設された緊急停止手段により、排出筒100内部で蒸気が発生した場合に、出湯動作が停止されるので、安全性を充分に確保することができる。
【0044】
また、黒鉛電極191は、その外径が排出筒100の溶湯の流路111の内径よりも小さく設定されて、排出筒100内に装着され、黒鉛電極191と溶湯の流路111の内周面との間を溶湯の通路としているので、既述のとおり、排出筒100内の溶湯の流路111上で黒鉛電極191を誘導加熱して、この排出筒100の溶湯の流路111上の溶湯を加熱しながら誘導し、溶湯を排出筒100の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。この場合、黒鉛電極191は加熱されるごとに脱炭により徐々に消耗されていくが、黒鉛電極191は排出筒100の溶湯の流路111上に炉体2側に押し出し可能に挿入されて、排出筒100内に交換可能に配置されているので、黒鉛電極191の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に正常な加熱が可能となり、炉体2内部の溶湯を繰り返し、効果的に出湯することができる。しかも、黒鉛電極191は耐火物と黒鉛により発熱体として構成する従来の排出筒に比べて極めて低廉であり、コストを大幅に削減することができる。この場合、耐火物で形成した排出筒100の寿命を考慮すると、黒鉛電極191を交換することで同一の排出筒100を長く使用することができ、全体としてコストの大幅な低減を図ることができる。
【0045】
また、この押し出し方式の交換の場合、消耗した黒鉛電極191を炉内の溶湯内に押し入れてこれを不純物として溶湯内に溶融することにより、炉体2内部の溶融メタル62に高熱により脱炭と同じ現象が生じても、鉄の融点を下げ、鉄を効率的に溶かすことができる。
【0046】
また、この押し出し式の交換に代えて、黒鉛電極191を排出筒100の溶湯の流路111上に抜き差し可能に挿入してもよく、このようにしても、同様に、黒鉛電極191を排出筒100内に交換可能に配置することができ、黒鉛電極191の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に正常な加熱が可能となる。
【0047】
また、誘導加熱装置190Uは、誘導加熱コイル190と、誘導加熱コイル190に通電する高周波電源とを備え、誘導加熱コイル190が排出筒100に巻装されているので、排出筒100の溶湯の流路111上の黒鉛電極191を誘導加熱することができる。この場合、誘導加熱コイル191は、断熱層120の上から巻装され、第2の耐火層130の中に埋設されているので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全性を確保することができる。さらに、この誘導加熱コイル190は、水冷銅管により形成され、冷却水源に接続されて冷却されるので、出湯装置10周囲の作業環境に高度の安全性を確保することができる。なお、この誘導加熱コイル190の水冷銅管は冷却手段17の水冷管に兼用し、同一の水冷銅管を利用して、排出筒100内の黒鉛電極191を誘導加熱するとともに、第2の耐火層130を冷却するので、装置構成を簡素化してコストの低減を図ることができる。
【0048】
また、この出湯装置10では、排出筒100は炉体2において、排出しようとする溶湯6の層の高温部側に接続されているので、炉体2内部の溶融状態の溶融メタル62を排出筒100へ効率的に誘導することができる。この場合、排出筒100は炉体2外部に斜めに形成して先端の出湯口101が炉体2側接続口(連結端102)よりも高く設定され、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各層の厚さから算出された所定の高さに設定されているので、炉体2側の上下各層の溶湯6の比重及び各層の厚さに応じて炉体2内部の溶湯6から下層の溶湯を炉体2外部に誘導し、排出することができ、灰溶融炉1の運転中、溶融スラグ61を出滓口22から取り出す間、炉体2内部で漸次増加する溶融メタル62を加熱装置19により加熱して、溶融メタル62を排出することができ、炉体2内部の溶融メタル62の量を調整して、溶融メタル62上層に一定量の溶融スラグ61を保持することができる。
【0049】
特にこの出湯装置10は、加熱装置19の間欠運転又は連続運転により加熱して、溶融メタル62を累積的に増加させるごとに又は溶融メタル62が増加するごとに排出することができる。これにより、灰溶融炉1に投入した焼却灰に金属類の含有量が少ない場合は、加熱装置19の間欠運転により、排出筒100内の黒鉛電極191を間欠的に加熱することにより、溶融メタル62を累積的に増加させて排出することができ、溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。しかも、この間欠運転の場合、加熱装置19が間欠的に通電されるので、連続運転に比べて消費電力が大幅に少なく、さらに排出筒100の各層が高熱に長時間に亘って晒されることがないので、第1の耐火層110の損耗を抑えてその寿命を伸長することができ、全体としてコストの低減を図ることができる。反対に、焼却灰に金属類を多く含む場合は、加熱装置19の連続運転により、排出筒100内の黒鉛電極191を連続的に加熱することにより、溶融メタル62を増加するごとに連続的に排出して、溶融メタル62を確実かつ円滑に、さらに効率的に排出することができる。
【0050】
また、この出湯装置10の場合、排出筒100先端の出湯口101に黒鉛電極191の抑え機構18が併設され、排出筒100内で黒鉛電極191がその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑えられているので、黒鉛電極191は排出筒100内に固定されて、排出筒100内に溶融メタル62が増加され、出湯口101から排出されていても、黒鉛電極191の浮き上がりを確実に防止することができる。また、黒鉛電極191が排出筒100の内周面に押し付けられることにより出湯口101と黒鉛電極191との間の隙間を狭めたり、反対に広げたりして、この隙間を変化させることで、排出筒100と黒鉛電極191との間の溶湯の通路の、溶湯の流量や出湯速度を調整することができる。
【0051】
さらに、この出湯装置10の場合、排出筒100先端に出湯口101の開閉機構が併設され、出湯口101が開閉されるので、排出筒100の出湯口101の一部を塞いで、溶湯の流量や出湯速度を調整したり、出湯口101の全部を塞いで、出湯を停止したり、さらに黒鉛電極191の浮き上がりを防止したりすることができる。
【0052】
なお、第1の実施の形態においては、炉体2(1基)に出湯装置10を1つ設けているが、必要に応じて炉体2(1基)に出湯装置10を2つ以上備えてもよい。このようにして2つ以上の排出筒100を同時使用することにより、出湯量を調整することができ、必要な量の溶湯をさらに効率良く出湯することができる。また、2つ以上の排出筒100を同時使用するのではなく、そのうち1つの排出筒100を常時使用として、他の排出筒100を、常時使用の排出筒100が劣化した場合など必要に応じて予備的に使用することができる。
【0053】
また、複数の排出筒100を備える場合、全部又は一部の排出筒を、(出湯端の)開口に異なる径を設定したり、全体の大きさを種々に変えたりして溶湯の出湯量が異なるように形成してもよい。このようにして、通常は出湯量の多い又は少ない排出筒を使用し、必要に応じて出湯量の少ない又は多い排出筒に替えて、あるいはこれらの排出筒を併せて使用することにより、出湯量を種々に調整することができ、必要な量の溶湯をさらに効率的に出湯することができる。さらに、複数の排出筒の全部又は一部に、溶湯の出湯量の同じ排出筒を用いてもよく、この場合でも、各排出筒を選択的に組み合わせて使用することにより、溶湯の出湯量を種々に変更することができ、必要な量の溶湯を効率的に出湯することができる。
【0054】
また、定置式あるいは傾動式の灰溶融炉に備える既存の出湯装置に加えて、出湯装置10を設けることができ、この出湯装置10の出湯方式に基く同様の作用効果を奏することができる。また、排出筒と炉体2との連結位置を、必要に応じて、炉体2の周壁20下部又は底壁から任意に選定してもよく、出湯装置10等を灰溶融炉の周辺機器に干渉することなしに備えることができる。排出筒100を炉体2の底壁に設ける場合は、排出筒100をその一部に屈曲部を設けて全体を略L字形に形成するなど、炉体2の取り付け位置に応じて、排出筒100の形状を適宜変形することがある。
【0055】
(実施の形態2)
第1の実施の形態において加熱装置19は独立した装置として、既存の各種溶融炉の排出筒に後付けで装着したり、新規の各種溶融炉に排出筒の形成とともに装着することができる。この場合、この加熱装置に、第1の実施の形態における加熱装置19と同様の構成を採用することができ、既存の溶融炉や新規の溶融炉に第1の実施の形態における加熱装置19と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
また、この加熱装置の場合、既設の、誘導加熱用耐火物を用いた発熱体としての排出筒が脱炭により、加熱し難くなったり、加熱されなくなった場合に、この排出筒が溶湯の排出路として使用できる限り、このような排出筒にも補助的に利用することができ、同様にして溶湯を排出することができる。
【0057】
なお、第1、第2の実施の形態において、間接誘導加熱方式に採用する加熱物に、炉内溶融メタルと類似の金属を用いてもよいが、鉄分を主成分としたメタルは概ね800℃において磁性力が弱まり、加熱し難くなる特性を有するため、より安定した加熱が得られる黒鉛電極を用いることが好ましい。
【0058】
(実施の形態3)
図7乃至図11に本発明の第3の実施の形態を示している。この実施の形態では、出湯装置又は溶湯加熱装置に併設する溶融炉の止栓装置を例示している。まず、その構成について説明する。
図7において、溶融炉の止栓装置200は、溶融炉1の炉体2に形成された出湯口101を直接閉塞する口閉塞部212と出湯口101の周辺に水密に当接し、該出湯口101を遮断する口周辺遮断部223とを具備する止栓部材210と、止栓部材210を該出湯口101に対向する位置から該出湯口101に向けて押圧する押圧装置310とを備える。
【0059】
この実施の形態では、止栓部材210の口閉塞部212は耐火物や金属材など耐火性の硬質の部材により、出湯口101の周縁部に圧接可能な先端形状を有するブロック状に形成される。ここでは特に、口閉塞部212は先端面が先方に膨出する曲面形状をなすブロックとして形成され、後端面の中心に後方に向けて延びる、後端部にフランジ214を有する軸213を備え、後端面の周縁部に後方に向けて概ね軸213の中間部付近まで延びる周壁215を備える。また、口周辺遮断部223は耐火性の弾性を有するパッド材233とその保持フレーム242とにより、出湯口101の周辺に密着可能に口閉塞部212の外周方向に突出する略リング状に形成され、かつ口閉塞部212の外周面に押圧装置310により口閉塞部212の先端方向に向けて変位可能に構成される。この場合、パッド材233は、グラスファイバーなどにより全体が略ドーナツ形に形成される。保持フレーム242は金属材により形成され、パッド材233の一方の面と略同じか又は少し大きい面積の円形のフレーム252と、パッド材233の外周面の幅よりも小さい幅の円形環状のフレーム262とを備え、円筒構造の止栓ケース270の先端に一体に組み立てられる。止栓ケース270は金属材により略有底円筒形(この場合、前面に開口、後面に底部を有する円筒形)に形成され、その軸方向中間部付近に軸挿通部271を有する仕切り部272が形成される。このような止栓ケース270に止栓部材210の口閉塞部212がスプリング273を介装されて組み付けられ、止栓ケース270の保持フレーム242にパッド材233が取り付けられる。すなわち、止栓部材210の軸213上にスプリング273が配置され、この軸213が止栓ケース270の前面開口から通されて仕切り部272の軸挿通部271に差し通されるとともに、フランジ214により抜け止めされ、止栓部材210の口閉塞部212が口閉塞部212の後端面と止栓ケース270の仕切り部272との間にスプリング273を介装して組み込まれる。パッド材233は保持フレーム242の中に取り付けられ、パッド材233は口閉塞部212の後部周壁215上で、円形環状のフレーム262から前方に向けて突出する状態に保持される。このようにして口周辺遮断部223は口閉塞部212の外周面後部上に、出湯口101の周辺124に密着可能に口閉塞部212の外周方向に突出する略リング状に形成され、かつ押圧装置310により口閉塞部212の外周面上を口閉塞部212の先端方向に向けて変位可能に組み立てられる。なお、口周辺遮断部223を押圧装置310とは別の駆動装置により該口閉塞部212の先端方向に向けて押圧変位可能に構成してもよい。
【0060】
なお、図7には特に図示していないが、この止栓部材210は、出湯口101に対向する待機位置に止栓部材210を出湯口101に向けて案内するガイドが用いられる。ガイドは基本的に、止栓ケース270が嵌合可能な筒形又は溝形に形成され、このガイドに止栓部材210を通し又は置き、このガイドの内周面と止栓ケース270の外周部とを係合させて止栓部材210を出湯口101に向けて直線的に案内するように構成される。このガイドについては、他の付帯設備との関連で、また後述する。
【0061】
押圧装置310は、止栓部材210を押圧する押し棒311と、押し棒311を出湯口101に対して進退駆動する押し棒駆動装置312とを具備する。ここで押し棒311は金属材により形成され、止栓部材210に固定されて一体に、又は、切り離し可能に別体に構成される。押し棒駆動装置312には油圧シリンダが採用され、その作動部に押し棒311が作動連結される。この押圧装置310は、溶融炉1に近接して設置され、押し棒311及び押し棒駆動装置312が出湯口101に対向する止栓部材210の口閉塞部212の直後方に直列配置される。また、この押圧装置310は、任意の移動手段を用いて溶融炉1から離された退避位置に、止栓部材210と共に又は止栓部材210と切り離して、移動可能に構成してもよく、種々に設計変更が可能であり、この点については、他の付帯設備との関連で、また後述する。
【0062】
なお、この止栓装置200は、特に図示していないが、地震の発生を感知する地震感知装置に作動連結され、地震の発生と同時に押圧装置310を駆動するようにしてもよい。この場合、停電に備えて非常用電源装置を併設することが好ましい。
【0063】
次に、この止栓装置200の基本動作について図8を用いて説明する。なお、ここでは出湯口101から溶湯が排出されているものとして例示する。
図8(a)において、止栓部材210は出湯口101に近接して、対向する待機位置に配置されている。この場合、既述のとおり、止栓部材210をガイドに挿入して位置決めされる。まず、押圧装置310を作動させると、油圧シリンダ312の作動部が伸長し、先端に連結された押し棒311を前進することにより、この押し棒311で止栓ケース270の後端面が押圧されて、止栓部材210を含む止栓ケース270全体が出湯口101に向けて移動される。これにより、図8(b)に示すように、止栓部材210の硬い口閉塞部212の先端が出湯口101の周縁部に当接される。さらに押し棒311で止栓ケース270が押圧され、止栓ケース270の仕切り部272でスプリング273が圧縮されながら止栓ケース270とともに口周辺遮断部223が移動され、図8(c)に示すように、口閉塞部212が出湯口101の周縁部に圧接されるとともに、その周囲の口周辺遮断部223(弾力性を有するパッド材233)の表面(前面)が出湯口101の周辺124に圧接される。止栓ケース270の後端面が止栓部材210の軸213後端部に衝接されたところで、止栓装置200は停止され、口閉塞部212の先端面がスプリング273の付勢力により、出湯口101の周縁部に強く押し付けられて出湯口101が閉塞され、これによって、出湯口101から排出されている溶湯は概ね止められる。さらに、この出湯口101の閉塞と同時に、出湯口101の周辺124に接触されたパッド材233は保持フレーム242に押圧されて、保持フレーム242の円形環状のフレーム262から外周方向へはみ出し、最大限又はこれに近い程度まで圧縮変形されて、出湯口101の周辺124に水密に密着し、出湯口101を完全に遮断する。これによって、口閉塞部212に閉塞された出湯口101に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯は口周辺遮断部223で完全に遮断される。
なお、止栓装置200を地震感知装置に連動させている場合は、地震発生と同時に、押圧装置310が作動し、止栓部材210で出湯口101を閉塞、遮断する。
この止栓装置200の場合、押圧装置310の作動により、油圧シリンダ312の作動部を収縮し、先端に連結された押し棒311が後退されることにより、スプリング273の復元力により止栓ケース270とともに口周辺遮断部223が後退変位される。止栓ケース270を含む止栓部材210全体は、図示されない他の移動手段(例えば、フックなど止栓ケースに係止可能な係止手段とこの係止手段を移動する手段とを備える簡易な装置)により出湯口101から引き離されて、溶湯が再度排出可能な状態となる。また、出湯口101が止栓部材210で完全に閉塞された後、止栓部材210を作動可能な状態にしたままで、炉内の溶湯を冷却固化することもできる。
【0064】
このように第3の実施の形態によれば、第1又は第2の実施の形態の出湯装置又は溶湯加熱装置に止栓装置200、つまり止栓部材210と押圧装置310とを併設し、止栓部材210を押圧装置310で押圧し、止栓部材210の口閉塞部212で出湯口101を直接閉塞するとともに、止栓部材210の口周辺遮断部223を出湯口101の周辺124に水密に圧接して出湯口101を遮断するので、溶湯の排出中に、溶湯の排出を任意に、しかも完全に停止することができる。特に、口周辺遮断部221がグラスファイバなどで蓋状に作られているので、溶融炉1の出湯口101の寸法精度や製作精度にばらつきが生じて出湯口101の大きさや形状が一定していなくても、また出湯口101に付着物や損傷の発生などにより、出湯口101の内周又は周辺が凹凸状になっても、口周辺遮断部223が出湯口101を覆いその周辺124を凹凸面に合せて柔軟に密着し、出湯口101と口閉塞部212との隙間を塞ぎ、該隙間から溶湯が漏れ出しても、この流出を確実に止めることができる。これによって、非常時には、溶湯の排出を緊急停止することができる。また、この溶湯排出の停止方式により、溶湯を排出したり止めたりすることができ、溶湯の流量を調整して炉内の溶湯の量を調整することができる。さらに、溶融炉1の作動中又は溶湯の排出中に、止栓装置200で出湯口101を塞ぐことにより、溶融炉1の炉体2内部又は出湯口101内部を保温することができる。この保温効果により溶融物の溶融速度を早めることができる。
【0065】
また、この実施の形態の場合、口周辺遮断部221は口閉塞部212の外周面に変位可能に構成されているので、押圧装置310の1ストローク動作で、まず止栓部材210の口閉塞部212を出湯口101に挿入又は圧接し、続いて口周辺遮断部223を出湯口101の周辺124に圧接する2工程の動作により、出湯口101を閉塞、遮断するので、出湯口101を閉塞遮断する際に、まず口閉塞部211で多量の溶湯が止められることにより、口周辺遮断部221に多量の溶湯が接触されることがなく、口周辺遮断部223の熱の影響による損耗を軽減することができる。
さらに、この止栓装置200に地震の発生を感知する地震感知装置を作動連結することにより、溶湯の排出中に地震が発生しても、溶湯の排出を緊急停止することができ、安全性を充分に確保することができる。
【0066】
また、この止栓装置200は、溶融炉1に実際に備え付ける場合、図9に示すように、止栓部材210は止栓・抑え移動装置700に装着され、また図10に示すように、押圧装置310は押圧移動機構800の可動ベース805上に搭載され、排出筒100の溶湯の流路上に黒鉛電極191を押圧挿入する電極挿入装置310として組み立てられて、押圧装置310、電極挿入装置310として兼用される。
【0067】
図9において、止栓・抑え移動装置700は、出湯口101に近接して支持された回転軸701と、回転軸701に固定された第1旋回アーム703及び第2旋回アーム707と、第1旋回アーム703の先端部に取り付けられ、止栓装置200の止栓部材210を装填可能な止栓ガイド702と、第2旋回アーム707の先端に取り付けられ、排出筒100の溶湯の流路上に挿入された黒鉛電極191を抑え可能な抑え部材708と、回転軸701を回転駆動し、第1、第2旋回アーム703、707を旋回するアーム駆動装置704とを備える。ここで回転軸701は、図示されない支持装置により、出湯口101の前部上方所定の高さに、出湯口101の対向方向と平行に向けて支持される。第1旋回アーム703は所定の長さを有する金属製のアームプレートからなり、先端の止栓ガイド702は金属材により止栓部材210の外周に沿って嵌合可能な円筒形に形成され、アームプレートの所定の長さにより、止栓ガイド702が止栓ガイド702の開口中心と出湯口101の中心が一致する出湯口101に対向する待機位置とこの出湯口101から離された退避位置との間を移動可能に構成される。第2旋回アーム707は所定の長さを有する金属製のアームプレートからなり、先端の抑え部材708は耐火物、金属材により角形又円形の板状に、かつ排出筒100の出湯口101の上下方向上側2分の1乃至4分の3の範囲を覆えるように形成され、アームプレートの所定の長さにより、抑え部材708が出湯口101の直前で黒鉛電極を抑え可能な抑え込み位置とこの抑え込み位置から離された退避位置との間を移動可能に構成される。また、この止栓・抑え移動装置700においては、第1、第2旋回アーム703、707が両者間に所定の角度を設定されて回転軸701に取り付けられていて、図9(c)に示すように、止栓部材210が排出筒100の出湯口101上(つまり待機位置)に移動されると、抑え部材708が該出湯口101外(つまり退避位置)に移動され、図9(a)に示すように、止栓部材210が該出湯口101外(つまり退避位置)に移動されると、抑え部材708が該出湯口101上(つまり抑え込み位置)に移動され、さらに図9(b)に示すように、止栓部材210が該出湯口101外(この場合、待機位置と退避位置との略中間位置)に移動されると、抑え部材708が該出湯口101外(この場合、抑え込み位置と退避位置との略中間位置)に移動され、止栓部材210と抑え部材708の連動機構が構成される。また、アーム駆動装置704は、回転軸701に固定された駆動アーム705と、このアーム75の先端に作動連結された油圧シリンダ706とを備え、油圧シリンダ706の伸縮動作により、回転軸701を回転駆動し、第1、第2旋回アーム703、707が一定の角度範囲で旋回されるスイング機構が構成される。
なお、ここでは止栓・抑え移動装置700にスイング機構を採用しているが、止栓部材210を出湯口101に近接し、対向する待機位置とこの待機位置から離される退避位置との間をスライド機構により水平方向又は垂直方向又は斜め方向に移動するように構成してもよく、同様に抑え部材708を出湯口101の直前で黒鉛電極191を抑え込む抑え込み位置とこの抑え込み位置から離される退避位置との間をスライド機構により水平方向又は垂直方向又は斜め方向に移動するように構成してもよく、溶融炉周辺の付帯設備との関係で最適な移動形式が選定される。
このようにして止栓ガイド702に止栓部材210が挿入、装填される。
【0068】
また、図10において、押圧装置移動機構800は、出湯口101から直線的に離されて設置される固定ベース801と、固定ベース801上に可動ベースガイド802を介して出湯口101に対して進退可能に配置された可動ベース805と、可動ベース805上面の先端側から所定の範囲に取り付けられ、黒鉛電極191及び押圧装置310の押し棒311を載せて、これらを直進的に移動案内するガイド部材807と、固定ベース801上に据え付けられ、可動ベース805に作動連結された可動ベース駆動装置806とを備える。なお、ここで可動ベースガイド802は、固定ベース801上に敷設された一対のガイドレール803と、可動ベース805に軸支された複数のガイドローラ804とにより組み立てられる。また、この可動ベースガイド802とは反対に、固定ベース801上に複数のガイドローラが設置され、可動ベース805にガイドレール対が取り付けられてもよい。さらに、可動ベースガイド802はスライドレールとスライドレールに摺動可能に係合するスライダとにより構成されるスライド機構に置き換えてもよい。この場合、固定ベース801又は可動ベース805のいずれか一方にスライドレールが取り付けられ、いずれか他方にスライダが取り付けられる。
また、可動ベース駆動装置806に油圧シリンダが採用され、油圧シリンダが固定ベース801上に設置され、可動ベース805に作動連結される。この油圧シリンダの伸縮動作により、可動ベース805を出湯口101に近接する待機位置とこの待機位置から離れ、溶融炉1から引き離される退避位置との間で前進後退するスライド機構が構成される。
なお、ここでは押圧装置移動機構800に可動ベース805を出湯口101に対して前後方向にスライドする方式を採用しているが、可動ベース805を出湯口101に対して左右方向にスライドする形式に代えてもよい。この場合、固定ベース801上に可動ベースガイド802が左右方向に向けて取り付けられる。
さらに、可動ベース805を出湯口101に対して上下方向にスライドする形式に構成してもよい。この場合、固定ベース801上に可動ベースガイド802が上下方向に向けて取り付けられる。可動ベース805の移動形式は溶融炉1周辺の付帯設備との関係で最適な移動形式が選定される。
このようにして可動ベース805上に既述のとおり、押圧装置310が設置される。この場合、押圧装置310の押し棒311は、止栓部材210に対して切り離し可能に別体に構成され、油圧シリンダ312が可動ベース805の後部に固定される。
これら押圧装置310、押圧装置移動機構800全体を押圧装置として見た場合、ガイド部材807は押し棒311及び黒鉛電極191を直進的に案内する押し棒ガイドとして、押し棒311と黒鉛電極191は合せて止栓部材210を押圧する押し棒として、油圧シリンダ312は押し棒311を押圧駆動する押し棒駆動装置として具備された機能部品となる。他面、電極挿入装置310として見た場合、ガイド部材807は黒鉛電極191を排出筒100の出湯口101に向けて案内する電極ガイドとして、押し棒311は黒鉛電極191を押すための電極挿入棒311として、油圧シリンダ312は電極挿入棒311を排出筒100の出湯口101に向けて進退駆動する挿入棒進退駆動装置として具備された機能部品となる。
この押圧装置又は電極挿入装置310は、押圧装置移動機構800により、排出筒100の出湯口101と押圧装置又は電極挿入装置310との間に止栓・抑え移動装置700が割り込むスペースが確保され、また、出湯口101から溶湯を排出している間、押圧装置又は電極挿入装置310が出湯口101から飛散する溶湯を受けない位置まで退避できる。
【0069】
次に、この止栓・抑え移動装置700及び押圧装置駆動機構800による止栓装置200の動作について図8、図9及び図10を用いて説明する。なお、ここでも排出筒100の出湯口101から溶湯が排出されているものとして例示する。
【0070】
図8(a)において、溶融炉1の出湯口101から溶湯を排出する間、図示を省略するが(図10参照)、押圧装置移動機構800は、可動ベース805が固定ベース801上の、出湯口101から退避された退避位置に後退待機されて、作動を停止され、図9(b)に示すように、止栓移動装置700は、第1旋回アーム703先端の止栓ガイド702が出湯口101と退避位置との中間位置に待機されるとともに、第2旋回アーム707先端の抑え部材708が出湯口101と退避位置との中間位置に待機されて、作動を停止される。なお、押圧装置移動機構800の可動ベース805のガイド部材807上には黒鉛電極191が載せられていて、この黒鉛電極191の後部に押し棒311が接触して待機される。
【0071】
溶湯を止める場合、まず、図9(c)に示すように、止栓・抑え移動装置700の作動により、第1旋回アーム703が出湯口101に向けて旋回移動され、先端の止栓ガイド702が出湯口101に近接し、対向する待機位置に停止される。これにより止栓ガイド702内に装填された止栓部材210は出湯口101に対向される。
【0072】
次に、図10に示すように、押圧装置移動機構800が作動され、可動ベース駆動装置(油圧シリンダ)806の伸長動作により固定ベース801上で可動ベース805が退避位置から待機位置へスライドされて、押圧装置310の押し棒311が止栓ケース270の直後方に直列配置される。続いて、押圧装置310が作動され、油圧シリンダ312の作動部が伸長し、先端に連結された押し棒311が前進されることにより、黒鉛電極191が押進され、この黒鉛電極191で止栓ケース270の後端面が押圧されて、止栓部材210を含む止栓ケース270全体が出湯口101に向けて移動される。これにより、図8(b)に示すように、止栓部材210の硬い口閉塞部212の先端が出湯口101の周縁部に当接される。さらに黒鉛電極191で止栓ケース270が押圧され、止栓ケース270とともに口周辺遮断部223が移動され、口周辺遮断部223(パッド材233)の表面(前面)が出湯口101の周辺124に接触する。図8(c)に示すように、止栓ケース270の後端面が止栓部材210の軸213後端部に衝接されたところで、口閉塞部212の先端面が出湯口101の周縁部に圧接されて出湯口101が閉塞され、これによって、出湯口101から排出されている溶湯は概ね止められ、この出湯口101の閉塞と同時に、出湯口101の周辺124に接触されたパッド材233は保持フレーム242に押圧されて、保持フレーム242の円形環状のフレーム262から外周方向へはみ出し、最大限又はこれに近い程度まで圧縮変形されて、出湯口101の周辺124に水密に密着し、出湯口101を完全に遮断する。これによって、口閉塞部212に閉塞された出湯口101に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯は口周辺遮断部223で完全に遮断される。
なお、止栓装置200を地震感知装置に連動させている場合は、地震発生と同時に、押圧装置310が作動し、止栓部材210で出湯口101を閉塞する。
この止栓装置200の場合、押圧装置310の作動により、油圧シリンダ312の作動部を収縮し、先端に連結された押し棒311が後退されることにより、スプリング273の復元力により止栓ケース270とともに口周辺遮断部223が後退変位される。止栓ケース270を含む止栓部材210全体は、押圧装置移動機構800の作動により、油圧シリンダ806の作動部を収縮し、可動ベース805が後退移動されることにより、可動ベース805に付設された図示されないフック手段に係止され、出湯口101から引き離されて、溶湯が再度排出可能な状態となる。また、出湯口101が止栓部材210で完全に閉塞された後、止栓部材210を作動可能な状態にしたままで、炉内の溶湯を冷却固化することもできる。
【0073】
次に、押圧装置310及び及び押圧装置駆動機構800を電極挿入装置310として使用する場合の黒鉛電極の交換動作について図9及び図11を用いて説明する。なお、この黒鉛電極の交換動作は、通常、溶融炉1の出湯の末期に行われる。
【0074】
図11(a)において、溶融炉1の出湯口101から溶湯が排出されている間、押圧装置移動機構800は、可動ベース805が固定ベース801上の、出湯口101から退避された退避位置に後退されて、作動を停止され、図9(a)に示すように、止栓・抑え移動装置700は、第2旋回アーム707先端の抑え部材708が出湯口101上の抑え込み位置に待機されるとともに、第1旋回アーム703先端の止栓ガイド702が退避位置に退避されて、作動を停止される。
抑え部材708により、溶湯の排出中に使用済みの黒鉛電極191が出湯口101の外へ浮き上がることがない。
【0075】
黒鉛電極191を交換する場合、まず、図9(b)に示すように、止栓・抑え移動装置700の作動により、第1旋回アーム703、第2旋回アーム707が連動して旋回移動され、止栓ガイド702、抑え部材708がそれぞれ出湯口101と各別の退避位置との中間位置に移動されて、停止される。これにより排出筒100の出湯口101の直前方が開放される。続いて、図11(b)に示すように、押圧装置移動機構800が作動され、可動ベース駆動装置(油圧シリンダ)84の伸長動作により固定ベース801上で可動ベース805が退避位置から待機位置へスライドされて、可動ベース805上の電極ガイド807に支持された黒鉛電極191が出湯口101に近接、対向される。続いて、押圧装置310が作動され、油圧シリンダ312の作動部が伸長し、先端に連結された電極挿入棒311が前進されることにより、黒鉛電極191が押進され、出湯口101から排出筒100の内部に挿入される。図11(c)に示すように、電極挿入棒311は先端が出湯口101に挿入又はその周縁部に当接されるまで前進され、黒鉛電極191が排出筒100内部に完全に差し込まれ、これによって黒鉛電極191の交換が完了する。
なお、この黒鉛電極191の交換後、押圧装置310の作動により、油圧シリンダ312の作動部を収縮し、先端に連結された押し棒311が後退され、さらに、押圧装置移動機構800の作動により、油圧シリンダ806の作動部を収縮し、可動ベース805が退避位置まで後退される。これにより、止栓・抑え移動装置700の旋回スペースが確保される。続いて、図9(a)に示すように、止栓・抑え移動装置700の作動により、第1、2旋回アーム703、707が連動して旋回され、第2旋回アーム707先端の抑え部材708が出湯口101上の抑え込み位置に待機されるとともに、第1旋回アーム703先端の止栓ガイド702が退避位置に退避される。これにより、抑え部材708で、排出筒100内に挿入された黒鉛電極191の浮き上がりが防止される。
【0076】
このようにしても、既述のとおり、押圧装置310の1ストローク動作で、まず止栓部材210の口閉塞部212を出湯口101に挿入又は圧接し、続いて口周辺遮断部223を出湯口101の周辺に圧接する2工程の動作により、出湯口101を閉塞、遮断することができる。
【0077】
また、止栓部材210を止栓・抑え移動装置700に装着して、止栓部材210を出湯口101に近接し、対向する待機位置とこの待機位置から離れ、溶融炉1から引き離される退避位置との間で移動させることで、出湯口101から溶湯を排出する場合に、止栓部材210を退避位置に退避させておくことにより止栓部材210が邪魔にならない利点があり、また、溶湯の排出中は、止栓部材210を退避位置に待機させておくことにより、止栓部材210を出湯口101から飛散する溶湯から保護することができる。また特に、この止栓・抑え移動装置700により、排出筒100先端の出湯口101で黒鉛電極191を抑える抑え部材708が併設され、これら止栓部材210と抑え部材708が、止栓部材210を排出筒100の出湯口101上に移動するとともに、抑え部材708を該出湯口101外に移動し、止栓部材210を該出湯口101外に移動するとともに、抑え部材708を該出湯口101上又は該出湯口101外に移動する連動機構により作動連結されるので、止栓部材210と抑え部材708に各別の駆動手段を備える必要がなく、止栓部材210及び抑え部材708を効率良く作動させることができる。
【0078】
さらに、排出筒100の溶湯の流路上に黒鉛電極191を押圧挿入する電極挿入装置310が併設されるので、排出筒100の溶湯の流路上の黒鉛電極191の交換を自動化することができ、黒鉛電極191の交換を安全に行うことができる。特に、この電極挿入装置310は、黒鉛電極191を排出筒の出湯口に向けて案内する電極ガイド807と、黒鉛電極191を押すための電極挿入棒311と、電極挿入棒311を排出筒100の出湯口101に対して進退駆動する挿入棒進退駆動装置312とを備え、これら機能部品が止栓装置200の押圧装置310と押圧装置移動機構800の機能部品により構成され、電極挿入装置310と止栓装置200の押圧装置310が兼用されるので、電極挿入装置310と止栓装置200の押圧装置310に各別の駆動手段を備える必要がなく、電極挿入装置310及び止栓装置200の押圧装置310を効率良く作動させることができる。
【0079】
さらに、押圧移動機構800の可動ベース805を、排出筒100の出湯口101から離れ、溶融炉1から引き離される退避位置と該出湯口101に近接する待機位置との間で進退駆動させることで、押圧装置・電極挿入装置310と出湯口101との間に止栓装置200の旋回経路を確保することができ、また押圧装置又は電極挿入装置310を出湯口101から飛散する溶湯から保護することができる。
【0080】
(実施の形態4)
また、止栓装置200は種々の形態に変更できる。図12及び図13に、止栓部材210の第1の変更例を示している。まず、その構成について説明する。
図12において、溶融炉の止栓装置200は、溶融炉1の炉体2に形成された出湯口101を直接閉塞する口閉塞部211と出湯口101の周辺124に水密に当接し、該出湯口101を遮断する口周辺遮断部221とを具備する止栓部材210と、止栓部材210を該出湯口101に対向する位置から該出湯口101に向けて押圧する押圧装置310とを備える。
【0081】
この実施の形態では、止栓部材210の口閉塞部211が耐火物や金属材など耐火性の硬質の部材により、出湯口101に嵌合可能な円錐台形のブロック状に形成される。なお、この口閉塞部211の場合、先端から後部に向けて拡径され、外周面中間部当りの直径が出湯口101の内径と略一致する。また、口周辺遮断部221は耐火性、耐熱性、弾力性を有するパッド材231とその保持フレーム241とにより、出湯口101の周辺124に密着可能に口閉塞部211の外周方向に突出する略リング状に形成される。この場合、パッド材231はグラスファイバーなどにより全体が略ドーナツ形に形成される。保持フレーム241は金属材により形成され、パッド材231の一方の面と略同じか又は少し大きい面積の円形のフレーム251と、パッド材231の外周面の幅よりも小さい幅の円形環状のフレーム261とにより構成される。この保持フレーム241の中にパッド材231が取り付けられ、パッド材231は円形環状のフレーム261から(円形のフレーム251を後部として見ると、前方に向けて)突出する、所謂はみ出された状態に保持される。このようにして形成された口周辺遮断部221は口閉塞部211の外周面に、口閉塞部211の先端が突出された状態にして、固定される。したがって、止栓部材210全体は、口周辺遮断部221の中心から口閉塞部211の先端側が前方に突き出す外形をなす。
この止栓部材210は溶融炉1の出湯口101と溶融炉1の外部で出湯口101に近接し、対向する待機位置との間でのみ(押圧)変位可能に設置されてもよく、また、既述のとおり、止栓移動装置700などを利用して、出湯口101と当該待機位置との間で(押圧)変位可能に、さらに当該待機位置とこの待機位置から離れ、溶融炉1から退避された退避位置との間で移動可能に設置されてもよい。
【0082】
なお、図12に図示していないが、この止栓部材210についても、出湯口101に対向する待機位置に止栓部材210を出湯口101に向けて案内するガイドを設けることが好ましい。このガイドについては既述のとおりである。
【0083】
押圧装置310、さらに地震感知装置については、第3の実施の形態で説明したとおりである。
【0084】
次に、この止栓装置200の動作について図13を用いて説明する。なお、ここでは出湯口101から溶湯が排出されているものとして例示する。
図13(a)において、止栓部材210は出湯口101に近接して、対向する待機位置に配置されている。この場合、既述のとおり、止栓部材210をガイドに挿入して位置決めしてもよい。まず、押圧装置310を作動させると、油圧シリンダ312の作動部が伸長し、先端に連結された押し棒311が前進されることにより、この押し棒311で止栓部材210が出湯口101に向けて押圧される。これにより、止栓部材210の硬い口閉塞部211の先端が出湯口101に挿入され、続いて口閉塞部211周囲の口周辺遮断部221(特に、弾力性を有するパッド材231)の表面(前面)が出湯口101の周辺124に接触する。さらに押し棒311で止栓部材210が押圧され、図2(b)に示すように、口閉塞部211の外周面中間部が出湯口101の周縁部に圧接される。このようにして口閉塞部211が出湯口101に嵌合されることにより出湯口101が閉塞される。これによって、出湯口101から排出されている溶湯は概ね止められる。この排出口23の閉塞と同時に、出湯口101の周辺124に接触されたパッド材231は保持フレーム241に押圧されて、保持フレーム241の円形環状のフレーム261から外周方向へはみ出し、最大限又はこれに近い程度まで圧縮変形されて、出湯口101の周辺124に水密に密着し、出湯口101を完全に遮断する。これによって、口閉塞部211に閉塞された出湯口101に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯は口周辺遮断部221で完全に遮断される。
なお、止栓装置200を地震感知装置に連動させている場合は、地震発生と同時に、押圧装置310が作動し、止栓部材210で出湯口101を閉塞する。
この止栓装置200の場合、押圧装置310の作動により、油圧シリンダ312の作動部を収縮し、先端に連結された押し棒311が後退されることにより、止栓部材210が出湯口101から引き離されて、溶湯が再度排出可能な状態となる。また、出湯口101が止栓部材210で完全に閉塞された後、止栓部材210を作動可能な状態にしたままで、炉内の溶湯を冷却固化することもできる。
【0085】
このようにしても、第3の実施の形態と同様に、止栓部材210を押圧装置310で押圧し、止栓部材210の口閉塞部211で出湯口101を直接閉塞するとともに、止栓部材210の口周辺遮断部221を出湯口101の周辺124に水密に圧接して出湯口101を遮断するので、溶湯の排出中に、溶湯の排出を任意に、しかも完全に停止することができる。特に、口周辺遮断部221がグラスファイバなどで蓋状に作られているので、溶融炉1の出湯口101の寸法精度や製作精度にばらつきが生じて出湯口101の大きさや形状が一定していなくても、また出湯口101に付着物や損傷の発生などにより、出湯口101の内周又は周辺が凹凸状になっても、口周辺遮断部221が出湯口101を覆いその周辺124を凹凸面に合せて柔軟に密着し、出湯口101と口閉塞部211との隙間を塞ぎ、該隙間から溶湯が漏れ出しても、この流出を確実に止めることができる。
これによって、非常時には、溶湯の排出を緊急停止することができる。また、この溶湯排出の停止方式により、溶湯を排出したり止めたりすることができ、溶湯の流量を調整して炉内の溶湯の量を調整することができる。さらに、溶融炉1の作動中又は溶湯の排出中に、止栓装置200で出湯口101を塞ぐことにより、溶融炉1の炉体2内部又は出湯口101内部を保温することができる。この保温効果により溶融物の溶融速度を早めることができる。
【0086】
また、この実施の形態の場合、口周辺遮断部221は口閉塞部211の外周面に固定されているので、押圧装置310の1ストローク動作で、止栓部材210の口閉塞部211を出湯口101に挿入すると同時に口周辺遮断部221を出湯口101の周辺に圧接することができる。
また、口周辺遮断部221は口閉塞部211の外周面に、口閉塞部211の先端よりも後方位置に設けられているので、出湯口101を閉塞遮断する際に、口閉塞部211で多量の溶湯が止められることにより、口周辺遮断部221に多量の溶湯が接触されることがなく、口周辺遮断部221の熱の影響による損耗を軽減することができる。
さらに、この止栓装置200に地震の発生を感知する地震感知装置を作動連結することにより、溶湯の排出中に地震が発生しても、溶湯の排出を緊急停止することができ、安全性を充分に確保することができる。
さらに、この止栓装置200を、第3の実施の形態と同様に、止栓・抑え移動装置700、押圧装置移動機構800に備え付けることができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0087】
(実施の形態5)
図14及び図15に、止栓部材210の第2の変更例を示している。まず、その構成について説明する。
図14において、止栓装置200は、第3、第4の実施の形態と同様に、基本構成として、止栓部材210と、押圧装置310とを備え、第1の変更例とは止栓部材210の構造に違いがある。
【0088】
この実施の形態では、止栓部材210の口閉塞部211及び口周辺遮断部222は共に硬質の部材により形成され、その表面に耐火性、耐熱性、弾性を有するパッド材232が被覆される。ここで口閉塞部211は、第4の実施の形態と同様に、耐火物や金属材など耐火性の硬質の部材により、出湯口101に嵌合可能な円錐台形のブロック状に形成される。この口閉塞部211の場合、先端から後部に向けて拡径され、外周面中間部当りの直径が出湯口101の内径と略一致する。また、口周辺遮断部222に、第4の実施の形態と同様の保持フレーム241が採用される。すなわち、保持フレーム241は金属材により形成された円形のフレーム251と円形環状のフレーム261とにより、口閉塞部211の外周方向に突出する略リング状に構成される。この保持フレーム241の中にパッド材232が取り付けられる。このパッド材232は、グラスファイバーなどにより口閉塞部211全体を被覆可能な例えば半球状(この形状は一例で、形状は問わない。)に形成され、口閉塞部211全体に覆い被せられて、保持フレーム241に保持される。この場合も、パッド材232が円形環状のフレーム261から前方に向けて突出し、口閉塞部211が口周辺遮断部222に対して前方に突き出す状態が維持される。なお、口閉塞部211とリング状の部分(パッド材の保持フレーム241に相当する部分)とを耐火物又は金属材で一体又は別体に形成することもでき、その形状は種々に変更可能である。
【0089】
なお、押圧装置310は、第3、第4の実施の形態と同じ構成が採用される。また、この止栓装置200にも、既述のとおり、出湯口101に近接し、対向する待機位置に止栓部材210を出湯口101に向けて案内するガイドを設けてもよい。さらに、地震感知装置に押圧装置310を連動させ、地震の発生と同時に押圧装置310を駆動するようにしてもよい。
【0090】
次に、この止栓装置200の動作について図15を用いて説明する。なお、ここでも出湯口101から溶湯が排出されているものとして例示する。
図15(a)において、止栓部材210は出湯口101に近接して、対向する待機位置に配置されている。この場合、既述のとおり、止栓部材210をガイドに挿入して位置決めしてもよい。まず、押圧装置310を作動させると、油圧シリンダ312の作動部が伸長し、先端に連結された押し棒311を前進することにより、この押し棒311で止栓部材210が出湯口101に向けて押圧される。これにより、止栓部材210の硬い口閉塞部211の先端がその表面のパッド材232を圧縮し、出湯口101に押し込みながら出湯口101に挿入され、続いて口閉塞部211周囲の口周辺遮断部222(弾力性を有するパッド材232)の表面(前面)が出湯口101の周辺124に接触する。さらに押し棒311で止栓部材210が押圧されると、図15(b)に示すように、口閉塞部211の外周面中間部付近が圧縮されたパッド材232を介して出湯口101の周縁部に圧接される。このようにして口閉塞部211が出湯口101に嵌合されることにより出湯口101が閉塞される。これによって、出湯口101から排出されている溶湯は概ね止められる。この排出口23の閉塞と同時に、出湯口101の周辺124に接触されたパッド材232は保持フレーム241に押圧されて、保持フレーム241の円形環状のフレーム261から外周方向へはみ出し、最大限又はこれに近い程度まで圧縮変形されて、出湯口101の周辺124に水密に密着し、出湯口101を完全に遮断する。すなわち、口閉塞部211に閉塞された出湯口101に隙間が生じていて、そこから溶湯が漏れ出していても、この溶湯は口周辺遮断部222で完全に遮断される。
なお、止栓装置200を地震感知装置に連動させている場合は、地震発生と同時に、押圧装置310が作動し、止栓部材210で出湯口101を閉塞する。
この止栓装置200の場合、押圧装置310の作動により、油圧シリンダ312の作動部を収縮し、先端に連結された押し棒311が後退されることにより、止栓部材210が出湯口101から引き離されて、溶湯が再度排出可能な状態となる。また、出湯口101が止栓部材210で完全に閉塞された後、止栓部材210を作動可能な状態にしたままで、炉内の溶湯を冷却固化することもできる。
【0091】
このようにしても、第3、第4の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
(実施の形態6)
図16に、止栓装置200の特に押圧装置310の変更例を示している。まず、その構成について説明する。
図16において、止栓装置200は、第3乃至5の実施の形態と同様に、基本構成として、止栓部材210と、押圧装置310とを備える。なお、ここで止栓部材210に第3の実施の形態と同じ止栓部材が例示されているが、第4又は第5の実施の形態の止栓部材でも差し支えない。この実施の形態では、押圧装置310との関係で、止栓部材210の後部、この場合、止栓ケース270の後端部に軸808が後方に向けて突設され、この軸端にガイドローラ809が垂直方向又は水平方向又は斜め方向に回転可能に取り付けられる。押圧装置310は、ここでは図示を省略しているが油圧シリンダやモータ駆動の送り機構などの駆動源と、この駆動源に進退駆動される押し棒又は押し板などの押し部材810とを備える。ここで押し部材810はその先端側の片面に斜めの押圧面811が形成され、止栓部材210が出湯口101に近接し、対向する待機位置に待機された状態で、該押圧面811が止栓部材210のガイドローラ809に対して直角方向から係合可能に、該待機位置の周辺に止栓部材210のガイドローラ809の向きに合せて垂直方向又は水平方向又は斜め方向に進退可能に配置される。
なお、812は止栓部材210を出湯口101に向けて案内するガイド又は止栓・抑え移動装置700の止栓ガイドである。
【0093】
次に、この押圧装置310による止栓部材に対する押圧動作について説明する。図16において、止栓部材210はガイド812により出湯口101に近接して、対向する待機位置に待機される。まず、押圧装置310を作動させると、この待機位置の止栓部材210の周辺に退避されている押し部材810が、止栓部材210の後部に向けて垂直方向又は水平方向又は斜め方向に進み、その押圧面811が先端側から止栓部材210のガイドローラ809にこれを回転させながら接触していき、この押し部材810で止栓部材210が押圧され、出湯口101に向けて移動される。これにより、既述のとおり、止栓部材210の口閉塞部212及び口周辺遮断部223で出湯口101及びの周辺124が閉塞、遮断される。
【0094】
このようにすると、第3乃至第5の実施の形態のように、押し棒(押し部材)311で止栓部材210を、出湯口101に対向する方向から押圧する形式に代えて、押し部材810により止栓部材210を、その軸方向に対して直角方向からなど、他の方向からも押圧することができ、このようにしても、第3乃至第5の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の溶融炉の出湯装置は、排出筒内の溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、この溶湯の流路上の溶湯を加熱するので、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。特に、この出湯方式では、排出筒を従来のように発熱体として直接加熱するものではないので、排出筒の寿命を著しく延ばすことができる。また、黒鉛電極は排出筒内に交換可能に装着されているので、黒鉛電極の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に黒鉛電極の正常な加熱が可能となり、炉体内部の溶湯を繰り返し、効率的に出湯することができる。したがって、この出湯装置によれば、排出筒の寿命を延ばし、溶湯の排出を安全に、さらに確実かつ容易に、しかも長期間に亘って行うことができる。
【0096】
また、本発明の溶融炉の溶湯加熱装置は、既設又は新設の溶融炉の排出筒において、その溶湯の流路上で黒鉛電極を誘導加熱して、その溶湯の流路上の溶湯を加熱するので、溶湯を排出筒の途中で固化することなしに、確実に出湯することができる。特に、この出湯方式では、排出筒を従来のように発熱体として直接加熱するものではないので、排出筒が脱炭により徐々に消耗するといったことがなく、既設又は新設の溶融炉において排出筒を耐火物などで形成し、この溶湯加熱装置を併設することにより、排出筒を長く使用することができる。さらに、既設の、発熱体としての排出筒が脱炭により、加熱しにくくなったり、加熱されなくなった場合でも、排出筒が溶湯の排出路として使用できる限り、この溶湯加熱装置を補助的に利用して、溶湯を排出することができる。また、黒鉛電極は加熱されるごとに脱炭により徐々に消耗されていくが、黒鉛電極は排出筒内に交換可能に装着されているので、黒鉛電極の消耗が進んだ時点で、新たな黒鉛電極と交換することにより、常に黒鉛電極の正常な加熱が可能となり、炉体内部の溶湯を繰り返し、効率的に出湯することができる。したがって、この溶湯加熱装置によれば、排出筒の寿命を延ばし、被溶融物の排出を安全に、さらに確実かつ容易に、しかも長期間に亘って行うことができる。
【0097】
また、本発明によれば、出湯装置又は溶湯加熱装置に止栓装置を併設し、止栓部材を押圧装置で押圧し、止栓部材の口閉塞部で排出筒の出湯口を直接閉塞するとともに、止栓部材の口周辺遮断部で出湯口の周辺に水密に圧接し、出湯口を遮断するので、溶湯の排出中に、溶湯の排出を任意に、しかも完全に停止することができる。これによって、非常時には、溶湯の排出を緊急停止することができる。また、この出湯停止方式により、溶湯を排出したり止めたりすることができ、溶湯の流量を調整して炉内の溶湯の量を調整することができる。さらに、溶融炉の作動中又は溶湯の排出準備中若しくは排出中に、止栓装置で出湯を塞ぐことにより、溶融炉の炉体内部又は排出筒内部を保温することができる。この保温効果により溶融物の溶融速度を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における灰溶融炉及びその出湯装置の断面図
【図2】同灰溶融炉及びその出湯装置の平面図
【図3】同出湯装置の拡大断面図
【図4】同出湯装置及びこれに備えた抑え機構の拡大断面図
【図5】同出湯装置の動作を示し、排出筒内の黒鉛電極の誘導加熱を停止され、溶湯が排出筒の出湯口(の開口下縁部の高さ)で止まり、排出筒の内周面と黒鉛電極との間(つまり黒鉛電極の周り)で固化されている状態を示す拡大断面図
【図6】同出湯装置の動作を示し、新たな黒鉛電極が排出筒内に挿入されて、使用済みの黒鉛電極が排出筒から炉体側へ押し出され、黒鉛電極が交換される状態を示す拡大断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態を示し、第1又は第2の実施の形態における出湯装置又は溶湯加熱装置に併設される止栓装置の概略側面図
【図8】同止栓装置の基本動作を示す概略側面図
【図9】同止栓装置の止栓部材を装着する止栓・抑え移動装置の概略正面図
【図10】同止栓装置の押圧装置を搭載する押圧装置移動機構の概略側面図
【図11】同止栓装置の押圧装置と押圧装置移動機構とを電極挿入装置として使用する場合の、黒鉛電極の交換動作を示す概略側面図
【図12】本発明の第4の実施の形態を示し、止栓装置の第1の変更例を示す概略側面図
【図13】同止栓装置の動作を示す概略側面図
【図14】本発明の第5の実施の形態を示し、止栓装置の第2の変更例を示す概略側面図
【図15】同止栓装置の動作を示す概略側面図
【図16】本発明の第6の実施の形態を示し、止栓装置の特に押圧装置の変更例を示す概略側面図
【符号の説明】
1 灰溶融炉
2 炉体
20 周壁
21 炉底
22 出滓口
23 排出口
3 電極(負極側)
4 電極(正極側)
5 天壁
6 溶湯
61 溶融スラグ
62 溶融メタル
7 焼却灰供給装置
71 供給口
10 出湯装置
100 排出筒
101 出湯口
124 出湯口の周辺
102 連結端
103 排蒸路
104 排蒸路
105 外部排蒸口
110 第1の耐火層
111 溶湯の流路
120 断熱層
121 軟質の耐火断熱材(セラミックファイバー)
130 第2の耐火層
17 冷却手段(水冷管)
18 抑え機構
180 抑え溝
181 抑え部材
182 駆動装置
19 加熱装置(溶湯加熱装置)
190 誘導加熱コイル
190U 誘導加熱装置
191 黒鉛電極
200 止栓装置
210 止栓部材
211 口閉塞部
212 口閉塞部
213 軸
214 フランジ
215 周壁
221 口周辺遮断部
222 口周辺遮断部
223 口周辺遮断部
231 パッド材
232 パッド材
233 パッド材
241 保持フレーム
242 保持フレーム
251 円形のフレーム
252 円形のフレーム
261 円形環状のフレーム
262 円形環状のフレーム
270 止栓ケース
271 軸挿通部
272 仕切り部
273 スプリング
310 押圧装置
311 押し棒又は電極挿入棒
312 押し棒駆動装置又は挿入棒進退駆動装置(油圧シリンダ)
700 止栓・抑え移動装置
701 回転軸
702 止栓ガイド
703 第1旋回アーム
704 アーム駆動装置
705 駆動アーム
706 油圧シリンダ
707 第2旋回アーム
708 抑え部材
800 押圧装置移動機構
801 固定ベース
802 可動ベースガイド
803 ガイドレール
804 ガイドローラ
805 可動ベース
806 可動ベース駆動装置(油圧シリンダ)
807 ガイド部材又は電極ガイド
808 軸
809 ガイドローラ
810 押し部材
811 押圧面
812 ガイド

Claims (33)

  1. 被溶融物を加熱溶融する炉体に接続され、炉体内部の溶湯を出湯する流路を有する排出筒と、排出筒内の溶湯を加熱する加熱手段とを備え、炉体内部の溶湯を誘導し、出湯する溶融炉の出湯装置において、
    加熱手段は、排出筒の溶湯の流路上に交換可能に配置された黒鉛電極と、排出筒の溶湯の流路外に設置され、黒鉛電極を間接誘導加熱する誘導加熱装置とを備えたことを特徴とする溶融炉の出湯装置。
  2. 排出筒は、溶湯の流路を有する第1の耐火層と、第1の耐火層の周囲に被覆され、第1の耐火層の熱を遮断可能な断熱層と、断熱層の周囲に被覆され、溶湯を遮断可能な第2の耐火層とを具備する請求項1に記載の溶融炉の出湯装置。
  3. 第1の耐火層は強度の高い耐火物により形成される請求項1又は2に記載の溶融炉の出湯装置。
  4. 断熱層は軟質の耐火断熱材により形成される請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  5. 第2の耐火層は熱伝導度の高い耐火物により形成される請求項1乃至4のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  6. 第2の耐火層に冷却手段が併設される請求項1乃至5のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  7. 冷却手段は水冷管により形成されて第2の耐火層の中に埋設される請求項6に記載の溶融炉の出湯装置。
  8. 第1、第2の耐火層の間に、この両層間に蒸気が発生した場合にこの蒸気を排出筒外部に排出する排蒸手段を備える請求項1乃至7のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  9. 排出筒は炉体において、排出しようとする溶湯の層の高温部側に接続される請求項1乃至8のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  10. 排出筒は先端の出湯口が炉体側接続口よりも高く形成される請求項1乃至9のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  11. 黒鉛電極の外径は排出筒の溶湯の流路の内径よりも小さく設定され、黒鉛電極と溶湯の流路の内周面との間を溶湯の通路となす請求項1乃至10のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  12. 誘導加熱装置は、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに通電する高周波電源とを備え、誘導加熱コイルが排出筒に巻装される請求項1乃至11のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  13. 誘導加熱コイルは、断熱層の上から巻装され、耐火層の中に埋設される請求項12に記載の溶融炉の出湯装置。
  14. 誘導加熱コイルは、水冷管により形成され、冷却水源に接続される請求項12又は13に記載の溶融炉の出湯装置。
  15. 排出筒を開閉する止栓装置が併設され、前記止栓装置は、排出筒の出湯口を閉塞する口閉塞部及び該出湯口の周辺に水密に当接し、該出湯口を遮断する口周辺遮断部を具備する止栓部材と、止栓部材を該出湯口に向けて押圧する押圧手段とを備える請求項1乃至14のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  16. 口閉塞部は排出筒の出湯口に嵌合可能なブロック状に形成され、口周辺遮断部は該出湯口の周辺に密着可能に口閉塞部の外周方向に突出する略リング状に形成される請求項15に記載の溶融炉の出湯装置。
  17. 口閉塞部は溶湯の出湯口の周縁部に圧接可能な先端形状を有するブロック状に形成され、口周辺遮断部は該出湯口の周辺に密着可能に口閉塞部の外周方向に突出する略リング状に形成される請求項15に記載の溶融炉の出湯装置。
  18. 口周辺遮断部は口閉塞部の外周面に押圧手段又は他の駆動手段により該口閉塞部の先端方向に向けて変位可能に構成される請求項15乃至17のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  19. 止栓部材の口閉塞部は耐火性の硬質の部材により形成され、口周辺遮断部は耐火性の弾性を有するパッド材とその保持体とにより構成される請求項15乃至18のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  20. 押圧手段は、止栓部材を押圧する押し部材と、押し部材を排出筒の出湯口に対して進退駆動する押し部材駆動手段とを具備する請求項15乃至19のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  21. 止栓部材を排出筒の出湯口に対向する位置と該出湯口から退避する位置との間で移動する移動手段を備える請求項15乃至20のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  22. 押圧手段全体を排出筒の出湯口に近接する位置と該出湯口から退避する位置との間で移動する移動手段を備える請求項15乃至21のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  23. 排出筒先端の出湯口で黒鉛電極をその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑える抑え機構が併設される請求項1乃至22のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  24. 排出筒先端の出湯口で黒鉛電極を抑える抑え部材が併設され、前記抑え部材と止栓装置は、止栓部材を排出筒の出湯口上に移動するとともに、抑え部材を該出湯口外に移動し、止栓部材を該出湯口外に移動するとともに、抑え部材を該出湯口上又は該出湯口外に移動する連動機構に作動連結される請求項15乃至22のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  25. 排出筒の溶湯の流路上に黒鉛電極を押圧挿入する電極挿入装置が併設される請求項1乃至24のいずれかに記載の溶融炉の出湯装置。
  26. 電極挿入装置は、黒鉛電極を排出筒の出湯口に向けて案内する電極ガイドと、黒鉛電極を押すための電極挿入棒と、電極挿入棒を排出筒の出湯口に対して進退駆動する挿入棒進退駆動装置とを具備する請求項25に記載の溶融炉の出湯装置。
  27. 排出筒の溶湯の流路上に黒鉛電極を押圧挿入する電極挿入装置が併設され、前記電極挿入装置と止栓装置の押圧手段が兼用される請求項15乃至22又は24に記載の溶融炉の出湯装置。
  28. 地震の発生を感知する地震感知装置に作動連結され、地震の発生により止栓部材で排出筒の出湯口を閉塞する請求項15乃至27のいずれかに記載の出湯装置。
  29. 被溶融物を加熱溶融する炉体に接続されて炉体内部の溶湯を出湯する排出筒に装着され、排出筒内の溶湯を加熱する溶融炉の溶湯加熱装置において、
    排出筒の溶湯の流路上に交換可能に配置される黒鉛電極と、排出筒の溶湯の流路外に設置され、黒鉛電極を間接誘導加熱する誘導加熱装置とを具備することを特徴とする溶融炉の溶湯加熱装置。
  30. 黒鉛電極の外径は排出筒の溶湯の流路の内径よりも小さく設定され、黒鉛電極と溶湯の流路の内周面との間を溶湯の通路となす請求項29に記載の溶融炉の溶湯加熱装置。
  31. 誘導加熱装置は、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイルに通電する高周波電源とを備え、誘導加熱コイルが排出筒に巻装される請求項29又は30に記載の溶融炉の溶湯加熱装置。
  32. 排出筒先端の出湯口で黒鉛電極をその軸方向に又はその軸方向と直交する方向に又はその両方向に抑える抑え機構が併設される請求項29乃至31のいずれかに記載の溶融炉の溶湯加熱装置。
  33. 排出筒を開閉する止栓装置が併設され、前記止栓装置は、排出筒の出湯口を閉塞する口閉塞部及び該出湯口の周辺に水密に当接し、該出湯口を遮断する口周辺遮断部を具備する止栓部材と、止栓部材を該出湯口に向けて押圧する押圧手段とを備える請求項29乃至32のいずれかに記載の溶融炉の溶湯加熱装置。
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