JP2005029405A - 板状シリコン製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】多結晶シリコンウエハの製造時における、角型ルツボの水平方向の温度分布の差を小さくすることにより、炉材の損傷、原料融液の過冷却、凝固および角型ルツボの割れなどの問題を回避する。
【解決手段】本発明の板状シリコン製造装置は、角型ルツボと誘導加熱コイルを備える装置であって、角型ルツボの開口部分の少なくとも一部に断熱材を有することを特徴とする。断熱材は、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分に配置されている態様が好ましい。また、断熱材は、下部と上部を有し、下部と上部が異なる形状、もしくは、異なる材質を有するものが好ましい。さらに、断熱材は、角型ルツボの開口部分と接する面に凹凸を有するものが好適である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多結晶シリコンウエハの製造装置に関する。本発明のシリコンウエハの製造装置は、角型ルツボおよび誘導加熱方式を備える熔融炉において、角型ルツボの開口部分に断熱材が配置されていることを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】
多結晶シリコンウエハは、鋳型に入ったシリコン融液を時間をかけて徐々に冷却し、得られた多結晶インゴットをブロック上に切り分けた後、さらに、そのブロックをスライスして製造しているため、スライスによるコストおよびシリコンの損失が大きい。かかる問題を解決し、低コストにて多結晶シリコンウエハの大量生産を可能とするために、スライス工程を必要としない板状シリコンの製造方法が知られている(特許文献1参照)。この製造方法は、原料シリコン融液に基板を浸漬し、基板上に板状シリコンを成長させる方法であり、製造装置は、板状シリコンが形成される主表面を有する基板と、融液を保持するルツボと、融液に接触した基板を融液から離すための可動部材と、可動部材を冷却するための冷却手段とを備える。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−247396号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法で製造する板状シリコンは、主として角型であるため、装置の小型化および効率化を目的として、角型ルツボおよび高周波誘導加熱方式を採用している。しかしながら、角型ルツボおよび高周波誘導加熱方式では、角型ルツボの角部で磁束密度が高まるため、角部での過昇温が見られる一方、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分では、十分に温度が上がりにくいため、角型ルツボの水平方向で温度分布の差が生じやすい。
【0005】
したがって、角型ルツボの角部では、必要以上の過昇温により、炉材を損傷しやすく、一方、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分では、融液の過冷却および凝固が発生しやすい。このような角型ルツボ内における温度分布の差は、角型ルツボの割れの原因になり、原料シリコンの熔融時および板状シリコンの製造時に、角型ルツボが割れるという現象が発生しやすい。
【0006】
本発明の課題は、多結晶シリコンウエハの製造時における、角型ルツボの水平方向の温度分布の差を小さくすることにより、炉材の損傷、原料融液の過冷却、凝固および角型ルツボの割れなどの問題を回避することにある。また、容易に適用でき、コストが安く、既存の角型ルツボをそのまま使用して、上記の目的を達成することを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の板状シリコン製造装置は、角型ルツボと誘導加熱コイルを備える装置であって、角型ルツボの開口部分の少なくとも一部に断熱材を有することを特徴とする。断熱材は、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分に配置されている態様が好ましい。また、断熱材は、下部と上部を有し、下部と上部が異なる形状、もしくは、異なる材質を有するものが好ましい。さらに、断熱材は、角型ルツボの開口部分と接する面に凹凸を有するものが好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の板状シリコン製造装置の典型的な例を図1に示す。この製造装置は、誘導加熱コイル1と角型ルツボ2を備え、角型ルツボ2の開口部分の少なくとも一部に断熱材5を有する。角型ルツボの開口部分の少なくとも一部に断熱材を配置することにより、角型ルツボの水平方向の温度分布を平坦に矯正し、既存の角型ルツボをそのまま使用して、炉材の損傷、原料融液の過冷却および角型ルツボの割れなどの問題を回避することができるため、適用が容易で、コストも安い。
【0009】
角型ルツボとは、ルツボの開口部分の形状が角型であるものを指し、たとえば、図1に開口部分が長方形をした角型ルツボの例を示す。製造される板状シリコンの平面形状が主として長方形であるため、角型ルツボの開口部分も長方形であることが多い。しかし、必ずしも長方形の場合に限られるものではなく、角型ルツボの開口部分が正方形である場合、または、ひし形もしくは平行四辺形である場合などのほか、五角形あるいは六角形などの四角形以外の場合であっても、本発明は有効である。また、本発明で用いるルツボの開口部分の形状が「角型」であるとは、直線のみで構成されて、角部が頂点部分を持つものに限らず、角部が曲線で構成されたものも含まれる。
【0010】
角型ルツボ2の開口部分の少なくとも一部に断熱材5が配置されている。図1に示す例では、長方形をした角型ルツボ2の開口部分において、1組の向かい合う2辺の中央部に、合計2個の断熱材5を配置している。角型ルツボ2内には、原料融液4が収容されており、原料融液4は、炉構成材3および角型ルツボ2を介して、誘導加熱コイル1により加熱され、融点以上に保持されている。また、このような構成を有する溶融炉は、チャンバ6内に配置され、安定した結晶成長を行なうために、融液温度の調節と、チャンバ内の雰囲気温度とを厳密に制御できるような構成を有している。
【0011】
図2に、従来の溶融炉の例を示す。図2(a)は、熔融炉における角型ルツボ22およびその周辺の構成を示す斜視図であり、IIB−IIBで切断したときの右側断面図を、図2(b)に示す。角型ルツボ22の周囲には、炉構成材23が形成され、角型ルツボ22内には原料融液24が収容されている。図2(b)では、従来の溶融炉において、誘導加熱により角型ルツボ22へ移動する熱量をW1、角型ルツボから炉構成材へ移動する熱量をQ1、角型ルツボ22から原料融液24へ移動する熱量をA1、原料融液24から外部へ移動する熱量をB1、角型ルツボの開口部分から外部へ移動する熱量をF1、角型ルツボ代表温度をT1として表している。
【0012】
一方、図3に、本発明の溶融炉の例を示す。図3(a)は、溶融炉における角型ルツボ32およびその周辺の構成を示す斜視図であり、IIIB−IIIBで切断したときの右側断面図を、図3(b)に示す。角型ルツボ32の周囲には、炉構成材33が形成され、角型ルツボ32内には、原料融液34が収容されている。また、角型ルツボ32の開口部分には、向かい合う1組の辺上に断熱材35が形成されている。図3(b)では、本発明の溶融炉において、誘導加熱により角型ルツボ32へ移動する熱量をW2、角型ルツボ32から炉構成材33へ移動する熱量をQ2、角型ルツボ32から収容された原料融液34へ移動する熱量をA2、原料融液34から外部へ移動する熱量をB2、角型ルツボ32の開口部分からの断熱材35へ移動する熱量をF2、断熱材35から外部へ移動する熱量をF3、角型ルツボ32の代表温度をT2、断熱材35の代表温度をT3と表している。
【0013】
本発明においては、従来と同様の融液温度管理を行ない、本発明の融液の状態を、従来の融液の状態と近いものになるように制御しているため、B1とB2は極めて近く、その差は無視できる。また、同様の理由で、A1とA2もほぼ等しい。また、炉構成材も同一であるため、Q1とQ2もほぼ等しい。また、図2(a)に示す従来の溶融炉では、角型ルツボ22の開口部分における角部(頂点部分)22a付近は、誘導加熱コイルが弧を描いているため、磁束密度が高まり、角部22aで集中的な過熱が生じる。一方、開口部分における辺の中央部22b付近は、逆に十分温度が上がらず、角型ルツボ22中に収容した原料融液24の過冷却または凝固が発生しやすい。
【0014】
図2(b)に示す従来の角型ルツボにおける熱収支としては、流入している熱量はW1であり、流出している熱量はA1とQ1とF1である。また、定常状態では、流入と流出の熱量は等しくなるため、以下の式が成り立つ。
W1=A1+Q1+F1
一方、図3(a)に示す本発明の板状シリコン製造装置における角型ルツボ32は、図2(a)に示す従来の角型ルツボ22の開口部分に断熱材35を配置したものに相当する。したがって、従来時および本発明適用時で加熱電力を等しくした場合を想定すると、図2(b)における角型ルツボから外部への流出熱量F1と、図3(b)における断熱材から外部への流出熱量F3との関係によって、系の状態は変化する。すなわち、F3がF1より大きい場合は、流出熱量が大きくなり、断熱材を配置した箇所の角型ルツボの温度は下がっていくことになる。逆に、F3がF1より小さい場合は、流出する熱量が小さくなり、断熱材を配置した箇所の角型ルツボの温度は上がっていくことになる。
【0015】
したがって、適切な断熱材を適切な箇所に配置することで、角型ルツボの水平方向における温度分布は矯正され、前述したような角部のみの過熱、辺の中央部付近での原料融液の過冷却および凝固の発生を抑制できる。また、角型ルツボの開口部分に適切な断熱材を配置することにより、同一の加熱電力であっても、本発明適用時の角型ルツボの温度が高くなり、原料融液を同一の温度に設定した場合には、本発明適用時の方が加熱電力は少なくて済むという効果がある。角型ルツボの水平方向における温度の均一化という目的を達成する上では、F3がF1より大きくなるような断熱材を角型ルツボの角部に配置し、角部における温度を下げる方法も考えられるが、その場合には、角型ルツボからの流出熱量が大きくなるため、加熱電力の増大を招き、溶融炉における他の箇所の損傷が生じやすくなる。
【0016】
さらに、熱の流れをより詳細に検討する。前述したように、定常状態において、図2(b)に示す角型ルツボ22に関する熱収支としては、つぎの式が成り立つ。
W1=A1+Q1+F1
同様に、図3(b)に示す本発明適用時における角型ルツボ32に関する熱収支としては、流入熱量はW2であり、流出熱量はA2とQ2とF2であるため、同様に、定常状態ではつぎの式が成り立つ。
W2=A2+Q2+F2
また、F2は、角型ルツボから断熱材への熱伝導成分、および角型ルツボから断熱材への熱輻射成分により構成されているため、熱伝導成分をM2、熱輻射成分をN2で表すと、つぎの式で表すことができる。
F2=M2+N2
M2=(T2−T3)/R23
N2=σ×{ε2×(T2)−ε31×(T3)
ここでR23はルツボと断熱材間の熱抵抗、ε2は角型ルツボの放射率、ε31は断熱材下面の放射率、σはステファンボルツマン定数である。
【0017】
また、図3(b)に示す、本発明適用時の断熱材の熱収支としては、流入熱量はF2、流出している熱量はF3であり、同様に、定常状態では流入熱量と流出熱量は等しくなるため、つぎの式が成り立つ。
F2=F3
F3もF2と同様、断熱材から雰囲気ガスへの熱伝導成分、および断熱材から外部への熱輻射成分により構成されているが、一般的に高温状態での固体から気体への熱伝導成分は、熱輻射成分に比べ無視できるほど小さいため、F3は主として熱輻射成分で構成されており、つぎの式に近似できる。
F3=σ×ε32×(T3)
ここでε32は断熱材上面の放射率である。
【0018】
前述したように、F3の値がF1と比べて小さくなるほど、断熱材を配置した箇所の角型ルツボの温度を上げる効果がある。したがって、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分に断熱材を配置することにより、従来から解決すべき問題であった、辺の中央部分における過冷却および凝固を回避し、角型ルツボの水平方向における温度差を小さくすることができる。また、角型ルツボの開口部分における少なくとも一部に断熱材を配置することにより、角型ルツボおよび断熱材から外部への熱移動は抑制されるため、加熱電力を低く抑えることができる。
【0019】
ここに、辺の中央部分とは、角型ルツボの開口部における角部を除く部分をいい、過冷却などの生じやすい範囲を指す。また、角型ルツボの開口部分に配置する断熱材は、角型ルツボの水平方向における温度差を小さくする効果を奏する点で、図1に示すように、角型ルツボの開口部分の上部に配置する態様のほか、溶融炉の仕様などに応じて、開口部分の内側または外側の側面に配置する態様も本発明に含まれる。同様に、1辺上に1個の断熱材を配置する態様のほか、1辺上に複数個の断熱材を配置する態様も本発明に含まれる。
【0020】
断熱材は、下部と上部を有し、下部と上部が異なる材質を有する態様が好ましい。たとえば、断熱材から外部への熱移動を抑制するため、少なくとも断熱材の上部は、放射率が低い材質が望ましい。また、角型ルツボから断熱材への輻射成分による熱移動を抑制するため、少なくとも断熱材の下部は、反射率が高い材質が望ましい。さらに、角型ルツボから断熱材への伝導成分による熱移動を抑制するため、少なくとも角型ルツボの開口部と接する下部は、熱抵抗の大きい材質あるいは/および形状を有する断熱材が望ましい。断熱材の材料には、上記の放射率および熱抵抗のほかに、使用温度での耐熱性、および使用雰囲気での低反応性などが求められる。たとえば、黒鉛製の角型ルツボを用いたシリコン熔融炉においては、チタン、タングステン、クロムなどの高融点金属あるいはその合金、黒鉛繊維をフェルト加工し成形したもの、炭化珪素、酸化アルミニウムなどのセラミクス類の板、酸化アルミニウム繊維をフェルト加工し成形したもの、C/Cコンポジットと呼ばれる炭素繊維強化炭素複合材料、などが好適である。
【0021】
断熱材は、図4(a)に示すように、角型ルツボ42上に、単一層からなる断熱材45aを配置する態様であっても、本発明の顕著な効果を奏するが、角型ルツボから断熱材への熱移動、および断熱材から外部への熱移動を抑制するために、角型ルツボおよび断熱材の材質ならびに使用条件などに応じて、下部と上部が異なる形状を呈する断熱材を配置することもできる。たとえば、図4(b)に示すように、角型ルツボ42上に配置される断熱材が、上部45b1と下部45b2を有し、上部と下部の形状が異なる態様とすることができる。また、積層する断熱材層は、2層とする場合のほか、3以上とすることもできる。
【0022】
さらに、図4(c)に示すように、角型ルツボ42上の断熱材45cを、場所により厚みを変えて、断熱性を傾斜させた構造とすることができる。あるいは、図4(d)に示すように、角型ルツボ42上の断熱材が、上層45d1と下層45d2とからなり、上層と下層とで幅(奥行き)が異なる態様とすることもできる。この場合、図4(d)に示すように、2層からなる態様のほか、3層以上からなる態様とすることも可能である。また、図4(e)に示すように、角型ルツボ42の開口部分と接する面に凹凸を有する断熱材45eを配置することができる。あるいは、図4(f)に示すように、上層45f1を下層45f2で支える橋渡し構造を有する断熱材を角型ルツボ42上に配置することもできる。
【0023】
同様に、角型ルツボについても、材質および構造を検討するべきであるが、角型ルツボの材質および構造の選択肢は現実には狭く、そのために多くの費用が発生するケースが多い。この点、材質または構造を改良した断熱材の設置は、容易かつ安価である。また、既存の溶融炉への適用も可能であるなどの利点がある。
【0024】
【実施例】
実施例1
本実施例においては、図1に示すような、角型ルツボ2および誘導加熱コイル1を備える溶融炉により、板状シリコンを製造した。角型ルツボの斜視図を図5(b)に示す。この角型ルツボ52の外寸は、長辺600mm、短辺300mm、高さ250mmであり、内寸は、長辺550mm、短辺250mm、深さ200mmであり、高純度黒鉛製のものを用いた。また、断熱材は、図4(a)に示すような、黒鉛繊維をフェルト加工し成形した、長さ100mm、幅20mm、厚み3mmのものを用い、図5(b)に示すように、断熱材55を、角型ルツボ52の開口部分における長辺の中央部分の2箇所に設置した。炉構成材は、アルミナ繊維を厚み20mmのブランケット状に成形したものを用い、角型ルツボの外周および底部に配置した。
【0025】
つぎに、得られる板状シリコンの比抵抗が1Ω・cmになるように、ボロン濃度を調整したシリコン原料を、図1に示すように、角型ルツボ2内に入れ、チャンバ6内を6.7×10−3Pa程度まで減圧後、チャンバ6内にArガスを導入して常圧にした。以後は、10L/minでArガスを常時流したままにした。ついで、チャンバ6内を、約1500℃まで段階的に昇温して完全にシリコン原料を融解し、必要に応じて、さらに新たなシリコン原料を投入し、湯面を所定位置に設定した。その後、チャンバ6内を、角型ルツボ2の温度が1450℃になるまで降温し、30分間そのまま保持して、チャンバ6内およびシリコン融液4の温度を安定化した。本実施例における断熱材の配置場所、形状、サイズおよび材質を表1に示す。
【0026】
【表1】
Figure 2005029405
【0027】
また、チャンバ6内およびシリコン融液4の温度が安定した後、図5(b)に示すように、4本の熱電対TC1〜TC4を用いて、シリコン融液54を収容している角型ルツボ52の各点の温度を測定し、最大温度差(温度差の最大値)を計算した。その結果を表2に示す。温度の制御はTC2を用いて行ない、TC2の温度を、角型ルツボの代表温度とした。
【0028】
【表2】
Figure 2005029405
【0029】
つぎに、浸漬機構部を動作させ、黒鉛製の結晶成長用下地基板をシリコン融液に浸漬し、板状シリコンを製造した。製造の際に、シリコン融液の飛沫および板状シリコンの破片が、角型ルツボの開口部分における熱電対付近に落下する現象が稀に見られたが、熱電対のうち断熱材の設置されていない箇所にあるTC2と、TC3と、TC4の付近に落下した場合は、測定温度が大幅に変わるのが観察された。一方、断熱材の設置されている箇所であるTC1付近に落下した場合には、測定温度は変化しなかった。つづいて、さらに段階的に降温し、シリコン融液の凝固が発生するときの、角型ルツボの代表温度を測定した。その結果を表3に示す。
【0030】
【表3】
Figure 2005029405
【0031】
従来の角型ルツボでは、融解中あるいは融解後に割れることがあったことから、実験回数に対する角型ルツボの割れ回数を調査した。その結果を表3に示す。また、実験終了後、炉構成材を解体したところ、アルミナ繊維をブランケット状に成形した炉構成材の厚みが減少していた。これは、アルミナ繊維が高温下に長時間さらされることで、結晶化が進み、密度が上がり、一部が気化することで、炉構成材の体積が減少したことによるものと思われる。角型ルツボに収容された融液の温度管理を長期間に亘り正確に行なうためには、このような炉構成材の変質は望ましくない。炉構成材の厚みの減少は、特に角型ルツボの角部付近で顕著であることから、実験終了後に、角型ルツボの角部における炉構成材の厚みを測定した。その結果を表3に示す。
【0032】
実施例2
黒鉛繊維をフェルト加工し成形した長さ250mm、幅20mm、厚み2mmの断熱材を用い、図4(c)に示すように、場所により厚みを変えて断熱性に傾斜を持たせた形状とした断熱材45cを用いた以外は実施例1と同様にして、シリコン原料を融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温した。実施例1と同様に角型ルツボの温度を表2に示す。つぎに、段階的に降温し、凝固の発生を観察し、角型ルツボの割れを調査し、実験終了後、炉構成材の厚みを測定した。シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを表3に示す。
【0033】
実施例3
図4(a)に示すような、長さ250mm、幅25mm、厚み1mmのC/Cコンポジットと呼ばれる炭素繊維強化炭素複合材料を断熱材として用いた以外は実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0034】
実施例4
図4(a)に示すような、酸化アルミニウム繊維をフェルト加工し成形した、長さ250mm、幅20mm、厚み2mmのものを断熱材として用いたこと以外は実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0035】
実施例5
図4(b)に示すような、黒鉛繊維をフェルト加工し成形した、長さ250mm、幅20mm、厚み1mmの下部断熱材の上に、黒鉛繊維をフェルト加工し成形した、長さ100mm、幅10mm、厚み3mmの上部断熱材を積層したものを断熱材として用いた以外は実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0036】
実施例6
図4(d)に示すような、酸化アルミニウム繊維をフェルト加工し成形した、長さ250mm、幅25mm、厚み1mmの下部断熱材の上に、黒鉛繊維をフェルト加工し成形した、長さ250mm、幅15mm、厚み3mmの上部断熱材を積層したものを断熱材として用いた以外は実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0037】
実施例7
実施例1で用いたルツボと同じ形状の角型ルツボに、図6(a)に示すように、断熱材65を4箇所に配置した。断熱材65は、いずれも黒鉛繊維をフェルト加工し成形したものであり、角型ルツボ62の長辺の中央部分には、長さ250mm、幅25mm、厚み3mmの断熱材を配置し、短辺の中央部分には、長さ125mm、幅20mm、厚み2mmの断熱材を配置した。それ以外は、実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。シリコン融液64を収容している角型ルツボ62の温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0038】
実施例8
図6(b)に示すように、外寸が、縦450mm、横450mm、高さ500mmであり、内寸が、縦400mm、横400mm、深さ400mmの角型ルツボ62の各辺に、断熱材65を配置した。断熱材は、いずれもC/Cコンポジットと呼ばれる炭素繊維強化炭素複合材料を用い、形状は、図4(a)に示すように、長さ250mm、幅25mm、厚み0.5mmのものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0039】
実施例9
断熱材として、図4(e)に示すような、長さ250mm、幅25mm、厚み5mmのチタン製の板を、凹凸面が角型ルツボの開口部分に接するように配置した。凹凸部は、凸部間の距離が2mm、凹部の深さが2.5mmのものを用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0040】
実施例10
図4(f)に示すような、酸化アルミニウム繊維をフェルト加工し成形した、長さ10mm、幅25mm、厚み1mmの下部断熱材45f2を2箇所に配置し、その上に、酸化アルミニウム製の長さ250mm、幅20mm、厚み5mmの板からなる上部断熱材45f1を配置した。それ以外は、実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。本実施例における断熱材の条件を表1に示す。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。このときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0041】
比較例1
本比較例においては、図5(a)に示すように、断熱材を用いなかった以外は実施例1と同様にして、原料シリコンを融解した。その後、角型ルツボの温度が1450℃になるまで降温し、安定させた。そのときの角型ルツボの温度を表2に示す。その後、実施例1と同様に、シリコン融液の凝固発生温度、ルツボの割れ回数および炉構成材の厚みを調査した。その結果を表3に示す。
【0042】
従来は、角型ルツボの開口部分における長辺の中央部分付近が、他の位置と比べて温度が低いため、凝固は主として長辺中央部付近から発生していた。しかし、表2の結果から明らかなとおり、従来技術を再現した比較例では、角型ルツボの最大温度差が70℃であるのに対して、本発明では、温度差が12〜26℃に低下しており、角型ルツボの開口部分の少なくとも一部に断熱材を配置することにより、角型ルツボの水平方向の温度差を小さくできることがわかった。また、表3の結果から明らかなとおり、温度分布が矯正され、角型ルツボの長辺中央部分の温度が上昇して凝固しにくくなるため、凝固発生時の角型ルツボの代表温度が、比較例における場合よりも相対的に低くなっていることが観察された。
【0043】
また、従来の角型ルツボでは、融解中あるいは融解後に割れることが多かったが、表3の結果から明らかなとおり、本発明によれば、角型ルツボの水平方向の温度差が緩和する結果、角型ルツボの割れ頻度が下がることがわかった。一方、表3の結果から明らかなとおり、溶融炉の角部の炉構成材の厚みは、本発明は比較例に比べて厚いことから、溶融炉の角部における過熱が抑制されていることがわかった。したがって、本発明によれば、融液の温度管理を長期間に亘り正確に行なうことができるものと予想された。
【0044】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、角型ルツボの水平方向における温度差を小さくすることができるから、炉材の損傷、原料融液の過冷却および凝固ならびに角型ルツボの割れを効果的に抑制することができる。また、既存の炉を利用することができるため、適用が容易かつ安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板状シリコン製造装置を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、従来の熔融炉における角型ルツボおよびその周辺の構成を示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるIIB−IIBで切断したときの右側断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の溶融炉における角型ルツボおよびその周辺の構成を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるIIIB−IIIBで切断したときの右側断面図である。
【図4】本発明における断熱材の断面図である。
【図5】熱電対を取り付けた角型ルツボの斜視図である。
【図6】熱電対を取り付けた角型ルツボの斜視図である。
【符号の説明】
1 誘導加熱コイル、2 角型ルツボ、3 炉構成材、4 原料融液、5,35,55,65 断熱材、6 チャンバ。

Claims (5)

  1. 角型ルツボと誘導加熱コイルを備える板状シリコン製造装置であって、前記角型ルツボの開口部分の少なくとも一部に断熱材を有することを特徴とする板状シリコン製造装置。
  2. 前記断熱材は、角型ルツボの開口部分における辺の中央部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の板状シリコン製造装置。
  3. 前記断熱材は、下部と上部を有し、下部と上部が異なる形状を呈することを特徴とする請求項1または2に記載の板状シリコン製造装置。
  4. 前記断熱材は、下部と上部を有し、下部と上部が異なる材質を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の板状シリコン製造装置。
  5. 前記断熱材は、角型ルツボの開口部分と接する面に凹凸を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の板状シリコン製造装置。
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