JP2005025640A - 円形物の識別方法および識別装置 - Google Patents

円形物の識別方法および識別装置 Download PDF

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Abstract

【課題】円形物の識別処理を行うにあたって、低コストの光学画像を用いる方式を採用した場合であっても、硬貨表面全体の反射率の低下といった変動要素に起因した悪影響を軽減し、鑑別性能を向上することが可能な円形物の識別方法および識別装置を提供することにある。
【解決手段】円形物の表面を撮像することによって得られた画像データ上において、円形物表面に特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データを、極座標系におけるパラメータ(半径距離と回転角度)を用いて特定することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円形物の特徴的な模様に関する光学画像のパターンデータ列を解析することによって、円形物の種類または真偽を判定する円形物の識別方法および識別装置に関するものであって、特に、円形物の種類または真偽を判定する際に実行される画像処理の負荷軽減を考慮しつつ鑑別性能を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動販売機、自動券売機、ゲーム機などの硬貨等の円形物を取り扱う各種装置には、挿入又は投入された硬貨等の円形物の種類または真偽を判定する識別装置が設けられている。近年、硬貨の偽造・変造犯罪が多発し社会問題化する中で、硬貨識別装置に対する高機能化ニーズは益々強くなってきており、様々なタイプの硬貨識別装置が提案されている。例えば、特開昭62−245495号公報(特許文献1)、特開2001−188932号公報(特許文献2)、或いは特開2001−188933号公報(特許文献3)などには、硬貨表面の凹凸形状を検知することによって硬貨の識別を行うようにした方式のものが開示されており、特に、特許文献1に開示された方式にあっては、硬貨の中心を通過する位置に配置されたセンサが硬貨の凹凸形状を検出して、これに予め記憶された基準凹凸パターンと照合して一致するか否かによって硬貨の真偽を判定するようにしたものである。
【0003】
また、特許第2803930号公報(特許文献4)においては、光学的に読み取った硬貨表面の模様の光学画像から得たパターンデータを、予め記憶されている基準の画像パターンデータと比較することによって、金種または真偽を判定するようにした方式のものが開示されている。
【0004】
図11は、被識別円形物の模様を光学的に読み取った光学画像からパターンデータを得るようにした従来の円形物識別方法の概略フロー図である。
【0005】
図11において、従来の円形物識別方法は、まず初めに被識別円形物としての硬貨の材質と外径とを検出することによって金種の仮決定を行い(ステップS1)、その後に、硬貨表面の模様に関する画像パターンデータを用いることにより金種の本決定を行うようにしている(ステップS2)。
【0006】
ここで、上述した金種の本決定を行う手順を説明する。まず被識別円形物としての硬貨の模様を光学的に検出して、例えば図12(a)に示されているような硬貨Cの光学画像を得る。その後、この光学画像の水平および垂直の射影を形成して、それぞれのカーブの両端点を検出し、それらの座標値の算術平均から硬貨の中心位置を求める。次に、その求めた中心位置を基準として、硬貨Cの模様に関する光学画像上に、この硬貨Cの種類に関する特徴的な模様を含むリング状の検出領域Vを設定する。そして、このリング状の検出領域Vに対応する光学画像の環状領域から、周方向に沿って画像パターンデータ列を順に切り出していく。その切り出した画像パターンデータ列F(評価データ)は、長方形の行列として保存される。
【0007】
一方、受け付けるべき硬貨Cの基準データとしては、画像パターンデータ列Fに対応する同サイズの表用・裏用の2種類の基準パターンデータT,Tを予め用意しておき、画像パターンデータ列Fを、この2種類の基準パターンデータT,Tと照合することにより類似性を算出していく。この基準パターンデータT,Tとの照合作業は、図12(b),(c)のように、硬貨Cの表・裏に関してそれぞれ行うこととし、その結果として得られた類似性の尺度には、次の式で表されるような正規化相関係数rがしばしば用いられる。
【0008】
【数1】
Figure 2005025640
【0009】
このようにして、第1番目の画素について得た相関値をrとした後、画素を1画素ずつ順次シフトしていきながら同様の操作をN回繰り返し、それによって相関値の系列(r,r,・・・r)を得る。そして、このN個の相関値のうちで最大のものを検出して類似度rに設定し、その類似度rが、予め設定しておいた閾値rよりも大きければ、現在評価中の硬貨を既に仮決定した金種に一致するものと判定し、それを正式な金種として受け入れる。一方、上述した類似度rが閾値rよりも小さければ、仮決定した金種に一致しないものと判定し、それを排除する。
【0010】
【特許文献1】
特開昭62−245495号公報
【特許文献2】
特開2001−188932号公報
【特許文献3】
特開2001−188933号公報
【特許文献4】
特許第2803930号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した円形物識別方法では以下の問題がある。
【0012】
まず、硬貨表面の凹凸形状を検知することによって硬貨の識別を行うようにした方式を採用した場合には、得られる情報が基本的に1チャンネルのラインであり、精度向上のためには多数個のチャンネルを用意するか、別の特徴量を抽出するセンサと組み合わせるなどの工夫を要するためコストがかさむといった問題がある。
【0013】
また、光学画像を用いる方式を採用した場合には、大量のパターンデータを複雑に演算処理する画像処理ステップを要することから、実用的な識別精度や処理時間を確保するためには大容量の記憶素子や高速な演算素子を導入することが必要となり、結局、装置が大型で高価のものにならざるを得ない、といったコストの問題が残存することとなる。
【0014】
さらに、実際に挿入または投入される硬貨は、使用経歴によって磨耗や汚れが進み硬貨表面全体の反射率が低下している場合があり、かかる場合に上述した光学画像を用いる方式で円形物の識別を行おうとすると、硬貨状態の変動要素(硬貨表面全体の反射率の低下など)の悪影響をダイレクトに受け、識別処理の精度が不安定で鑑別性能が低下するといった問題がある。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、円形物の識別処理を行うにあたって、低コストの光学画像を用いる方式を採用した場合であっても、硬貨表面全体の反射率の低下といった変動要素に起因した悪影響を軽減し、鑑別性能を向上することが可能な円形物の識別方法および識別装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決するために、本発明は、円形物の表面を撮像することによって得られた画像データ上において、円形物表面に特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データを、極座標系におけるパラメータ(半径距離と回転角度)を用いて特定することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする。
【0017】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0018】
(1) 識別対象となる被識別円形物の表面を撮像することによって得られた画像データ上に、その被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別する検出領域を設定し、前記検出領域における画像データを抽出して得られた輝度データを解析することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別する円形物の識別方法において、前記正規円形物が所定の回転位置におかれたときのその正規円形物に特有の特徴部分を、その正規円形物の中心位置Oからの半径距離rと回転角度θを用いて予め設定し、前記正規円形物の前記所定の回転位置に対する被識別円形物の回転角度θを検出し、前記回転角度θと、前記半径距離rと、前記回転角度θと、から特定される前記輝度データを解析することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
【0019】
本発明によれば、識別対象となる被識別円形物の表面を撮像することによって得られた画像データを用いる円形物の識別方法において、正規円形物に特有の特徴部分を、極座標系におけるパラメータである半径距離rと、所定の回転位置からの回転角度θと、によって少なくとも1つ予め設定した後で、この所定の回転位置から被識別円形物が何度回転しているかを示す回転角度θを検出し、画像データのうち、これらr,θ,θの3つのパラメータより特定される検出部分の輝度データを用いることによって円形物の真贋を識別することとしたので、鑑別性能の向上を図ることが可能となる。
【0020】
すなわち、従来は、画像データの中から大量のパターンデータを抽出し、それを複雑に演算処理していたことから実用的な識別精度や処理時間を確保するためには高価な素子が必要となり、装置全体が高価なものになってしまう、といった問題があったが、本発明によれば、円形物に特有の特徴部分のみに限定して識別処理を行っていることから、高速処理を実現することができる。
【0021】
また、円形物の表面上に汚れが付着したり、長年の使用経歴によって円形物が磨耗したりして、円形物表面全体の特徴部分の反射率が低下した場合であっても、円形物に特有の特徴部分のみに限定して識別処理を行っていることから、硬貨状態の変動要素の悪影響が軽減され、ひいては特徴量の抽出精度を安定化(鑑別性能を向上)することができる。
【0022】
ここで、正規円形物の「所定の回転位置」は、回転角度θの設定と回転角度θの検出に用いられるものであり、例えば、正規円形物が100円硬貨である場合には、「日」「本」「国」「百」「円」という文字列のうち、「本」の文字が真上(時計の12時の位置)にきたときの回転位置を意味する。
【0023】
(2) 前記特徴部分は、前記正規円形物の特徴的な模様を含む第1の特徴部分と、前記正規円形物の特徴的な模様を有しない第2の特徴部分と、からなり、前記第1の特徴部分に対応して求められる第1の輝度データと、前記第2の特徴部分に対応して求められる第2の輝度データと、の差分データを求め、その差分データを所定の閾値と比較することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
【0024】
本発明によれば、円形物に特有の特徴部分は、正規円形物の特徴的な模様を含む部分(第1の特徴部分)と、正規円形物の特徴的な模様を含まない部分(第2の特徴部分)と、からなり、第1の特徴部分に対応して求められる第1の輝度データから、第2の特徴部分に対応して求められる第2の輝度データを差し引いた差分データを、所定の閾値と比較することで識別することとしたので、鑑別性能を更に向上することができる。
【0025】
すなわち、この差分データを所定の閾値と比較する識別方法は、第1の特徴部分に対応して求められる画像データ上の第1の輝度データだけを所定の閾値と比較する識別方法と比べて、被識別円形物が真偽に起因した相違が顕著であることから、円形物の真贋をより精度良く識別することができる。
【0026】
また、第1の特徴部分と第2の特徴部分は単数であっても複数であってもよく、複数である場合には、第1の輝度データの総和から第2の輝度データの総和を差し引いた差分データを所定の閾値と比較することで識別することとなるので、基本的に加減算処理だけで識別可能であり、処理負担の軽い高速かつ低コストの識別処理を行うことが可能である。
【0027】
(3) 前記回転角度θの検出方法は、前記画像データ上に被識別円形物と同心のリング状検出領域と、そのリング状検出領域における画像データを一定のピッチで抽出して得られた輝度データ上に、その輝度データの極大値を含む第1の選択領域Wと、その輝度データの極小値を含む第2の選択領域Wと、を予め設定し、前記第1の選択領域W内の前記輝度データの総和値Sと、前記第2の選択領域W内の前記輝度データの総和値Sと、を求める総和演算処理を実行し、前記輝度データと、前記第1の選択領域W及び前記第2の選択領域Wと、を前記一定のピッチで相対的に巡回させる毎に前記総和演算処理を実行することによって、前記総和値Sのデータ列である総和データ列Lと、前記総和値Sのデータ列である総和データ列Lと、を求め、前記総和データ列Lの各要素と、それに対応する前記総和データ列Lの各要素と、の差分を計算することによって差分データ列ΔLを算出し、前記差分データ列ΔLの解析を行うことによって回転角度を検出する方法であることを特徴とする円形物の識別方法。
【0028】
本発明によれば、回転角度θを検出する方法として、画像データ上に設定されたリング状検出領域内の要素からなる輝度データ上に、極大値を含む第1の選択領域Wと極小値を含む第2の選択領域Wとを予め設定し、第1の選択領域W内の輝度データの総和値Sと選択領域W内の輝度データの総和値Sとを求める総和演算処理を実行し、輝度データと、第1の選択領域W及び第2の選択領域Wと、を一定ピッチで相対的に巡回させながら総和演算処理を実行することによって総和値Sのデータ列である総和データ列Lと総和値Sのデータ列である総和データ列Lとを求め、総和データ列Lの各要素から総和データ列Lの対応する各要素を減算することによって差分データ列ΔLを算出し、この差分データ列ΔLを解析することによって検出する手法を採用したことから、高速かつ低コストな識別に資する加減算処理を基本とした本発明のメリットを相殺することなく回転角度θを検出することができ、ひいては鑑別性能を向上し得る識別方法を実現できる。
【0029】
(4) 前記差分データ列ΔLのピーク値から、前記差分データを加算又は減算したデータを所定の閾値と比較することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
【0030】
本発明によれば、回転角度θを検出する際に得られた差分データ列ΔLのピーク値から、第1の輝度データの総和から第2の輝度データの総和を差し引いた差分データを加算又は減算したデータを所定の閾値と比較することによって識別することとしたので、被識別円形物が真貨である場合には、差分データΔLより得られる特徴量(ピーク値)を強調することができ、ひいては鑑別性能を向上することができる。
【0031】
なお、差分データ列ΔLのピーク値から差分データを「加算又は減算」することとしたのは、差分データ列ΔLのピーク値が最大値ではなく最小値をとることもあるからである。すなわち、照射角度の浅い照明を用いた場合には、硬貨表面の模様部分で輝度値が大きくなるため差分データ列ΔLの最大値がピーク値となる一方で、照射角度の深い照明を用いた場合には、硬貨表面の非模様部分で輝度値が大きくなるため差分データ列ΔLの最小値がピーク値となるからである。そのため、差分データ列ΔLの最大値がピーク値となる場合には、第1の輝度データの総和から第2の輝度データの総和を差し引いた差分データを「加算」し、差分データ列ΔLの最小値がピーク値となる場合には、第1の輝度データの総和から第2の輝度データの総和を差し引いた差分データを「減算」することによって、特徴量の強調が可能となり、鑑別性能の向上を図ることができる。
【0032】
(5) 前記輝度データを特定するに当たって、前記回転角度θと、前記半径距離rと、前記回転角度θと、の各パラメータの中の少なくとも1つを微小変動させながら特定することを特徴とする円形物の識別方法。
【0033】
本発明によれば、輝度データを特定するにあたって、r,θ,θの3つのパラメータの中の少なくとも1つを微小変動させながら特定することとしたので、円形物の特徴位置の検出ズレを補正することが可能となり、ひいては特徴量の抽出精度を安定化することができる。
【0034】
ここで、「微小変動させながら特定」するとは、円形物の中心点をX軸方向又はY軸方向に数画素ずらした中心点を補正用中心点とした上で上述の識別方法を実行し、或いは円形物の回転角度θを数度ずらした角度を補正用回転角度とした上で上述の識別方法を実行し、これらの処理を繰り返し行いながら特定することをいう。かかる処理により得られた差分データのうち、最大値又は最小値を被識別円形物の特徴量として識別することで、中心点や回転角度の検出ズレを補正することが可能となり、ひいては鑑別性能の向上にも資することとなる。
【0035】
(6) 上記(1)から(5)いずれかに記載の円形物の識別方法を用いて、被識別円形物が前記正規円形物であるか否かを識別する識別手段を備えたことを特徴とする円形物の識別装置。
【0036】
本発明によれば、円形物の識別装置に、上述したような円形物の識別方法を用いて被識別円形物の真贋を識別する識別手段を設けたことから、高速処理かつ低コストを実現し、鑑別性能が向上した円形物の識別装置を提供することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0038】
[円形物識別装置の内部構造]
図1は、本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた硬貨搬送路の概略構造を示した平面図である。
【0039】
図1において、平面略「く」の状に折り曲げられた形状の硬貨搬送路1には、図示右端側の搬送入口部1aから図示左方側に向かって送られてきた被識別円形物としての硬貨Cを支持する底面摺動板1bが設けられているとともに、その底面摺動板1bの真上に搬送ベルト2が配置されている。
【0040】
底面摺動板1bの一端部には、この底面摺動板1bの縁部に沿うようにしてガイド3が立設されているとともに、そのガイド3に対して硬貨Cを押し付ける硬貨規制レバー4が、硬貨搬送路1の折れ曲がり部分においてピン4aによって回動可能に軸支されている。硬貨規制レバー4は、底面摺動板1b上に支持されながら送られてくる硬貨Cを、バネ等の付勢手段(図示せず)によって、上述のガイド3側に押し付けるように構成されていて、硬貨規制レバー4が配置された部位から搬送方向下流部に向かって送り出された硬貨Cは、上述のガイド3に対して外周面部を接触させた状態を維持しながら順次搬送されるようになっている。
【0041】
硬貨搬送路1には、硬貨Cの表面に形成された模様を検出するための光学式コインセンサ装置CSUが取り付けられている。この光学式コインセンサ装置CSUは、例えば、特開平5−143826号公報に開示されたものと同様のCCDエリアセンサを備えたものである。
【0042】
ここで、上述した搬送ベルト2と光学式コインセンサ装置CSUの詳細について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた硬貨搬送路1の側面断面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた光学式コインセンサ装置CSUの概略構造を表した拡大側面図である。
【0043】
図2において、搬送ベルト2は、下側ベルト部分2aと底面摺動板1bとの間に硬貨Cの厚さ分に相当する隙間が画成されるように略並行に対面する配置関係になされており、この搬送ベルト2と底面摺動板1bとの間に硬貨Cを挟持しながら、搬送ベルト2の延在方向に向かって硬貨Cを搬送させるように構成されている。
【0044】
また、図3において、底面摺動板1b上に沿って送られてきた硬貨Cがセンサ位置1c上に到達すると、その硬貨Cを、内部に撮像素子を備えたセンサ本体5が検知することにより、センサ位置1cを環状に取り巻くように配置された照明6が点灯し、硬貨Cからの反射光をセンサ本体5内に取りこむ。その結果、硬貨Cの表面に形成されている模様に関する光学画像が得られる。そして、この光学画像を用いて金種または真偽の判定が行われることとなる。
【0045】
[円形物識別装置の電気的構成]
図4は、本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の電気的構成を示すブロック図である。
【0046】
図4において、本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置には、中央処理装置(以下、CPUと略す)41と、硬貨Cを撮像する画像撮像部42と、硬貨Cを照らす照明部43と、硬貨Cを搬送する硬貨搬送部44と、が備えられている。また、CPU41は、画像撮像部42からの画像データを取り込む画像取込制御部41a、画像取込制御部41aによって取り込まれた画像データを含め種々の画像データを記憶する画像記憶部41bと、画像記憶部41bに記憶された画像データを処理するデータ処理部41cと、データ処理部41cの処理結果に基づき硬貨Cの真贋を識別する識別手段として機能する真贋識別部41dに加え、照明部43を制御する照明制御部41eと、硬貨搬送部44を制御する搬送制御部41fと、を有している。
【0047】
なお、図4において、画像記憶部41bは、CPU41内の1次キャッシュ(2次キャッシュ)等から構成されているが、画像データを記憶する機能を有する限り、DRAM、SDRAM等のCPU41以外の記憶手段から構成されるものであっても構わない。
【0048】
以上のような電気的構成において、以下、本発明の実施の形態に係る円形物の識別方法について説明する。
【0049】
[円形物の識別方法]
図5は、本発明の実施の形態に係る円形物の識別方法についてのフロー図である。なお、ここでは、円形物(硬貨C)の一例として100円硬貨を用いて説明するが、本発明は円形物であれば硬貨に限定されることなく、ゲームトークンなどにも適用することができる。
【0050】
図5において、まず、硬貨Cの光学画像データの取込みが行われる(ステップS501)。より具体的には、CPU41内の搬送制御部41fからの指令に基づき硬貨搬送部44は硬貨Cを搬送し、硬貨Cが所定の位置に搬送されたとき、照明制御部41eからの指令に基づき照明部43は硬貨Cの表面全体を照らし、硬貨C表面からの反射光が画像撮像部42(例えばイメージセンサ)に入力されたとき、画像取込制御部41aは硬貨Cの光学画像を取り込み、この光学画像を画像記憶部41bに記憶する。なお、一般的に、かかる光学画像は、X−Y座標上に1画素約0.13ミリメートル平方の高密度画像を構成し、AD変換によって輝度(明るさ)が256階調となるように分解(多値化)され、輝度をZ軸とする3次元データとして画像記憶部41b(例えばフレームメモリ)に記憶される。
【0051】
次いで、硬貨中心点の検出が行われる(ステップS502)。より具体的には、データ処理部41cは、ステップS501によって画像記憶部41bに記憶された光学画像データを読み出し、光学画像をX軸方向及びY軸方向に射影することによって、それぞれの方向についてエッジの中点を算出し、その結果、X軸方向についてのエッジの中点をX座標、Y軸方向についてのエッジの中点をY座標として硬貨Cの中心位置を求める。ここで、後述の処理との関係から、硬貨Cの中心位置のうち、X座標をCとし、Y座標をCとする。
【0052】
次いで、リングデータの切り出しが行われる(ステップS503)。より具体的には、まず、データ処理部41cは、ステップS502において求めた硬貨Cの中心位置を基準として、硬貨Cの光学画像上に、100円硬貨の特徴的な模様を含むリング状検出領域Vを設定する(図6参照)。ここで、リング状検出領域Vでは、硬貨Cの外周側より5本のリング状検出領域V,V,V,V,Vが同心円状に設定されており、これらのリング状検出領域V,V,V,V,Vは、受け付けるべき硬貨Cの特徴的或いは非特徴的な模様の位置に応じて予め用意されるものとする。そして、データ処理部41cは、各リング状検出領域V,V,V,V,Vにおいて、一定の角度ピッチでリング状に光学画像データを切り出す。図6においては、角度ピッチ5度の間隔で、各リング状検出領域あたり72箇所の検出点が環状に切り出され、各リング状検出領域における画像データを一定のピッチで抽出して得られた輝度データとしてのリングデータDからDが、それぞれ生成される。
【0053】
なお、図6に示すように、本発明の実施の形態に係る円形物の識別方法においては、リングデータは5本生成されることとしたが、リングデータの切り出し本数は何本でも構わない。また、リングデータの切り出しに当たってエッジ強調処理を行っていないが、例えば3×3画素の空間フィルタを用いて微分処理を施し、各検出点を強調するような処理をステップS503の処理に含ませても構わない。
【0054】
次いで、リングデータDからDの圧縮が行われる(ステップS504)。より具体的には、データ処理部41cは、各切り出し角度において、リングデータDからDのデータの平均値を算出し、当該算出データを要素とする1次元の輝度データ、すなわちリングデータDを取得する。本処理によれば、例えば、100円硬貨の特定の一点にのみ汚れが付着することによって、この部分の反射率が低下した場合であっても、リングデータDにおいては、当該変動要素(反射率の低下)の悪影響がそれほど及ばなくなる、といった利益を得ることができる。なお、必要に応じてリングデータDのダイナミックレンジが均一となるように、レベル値の正規化を行うこともできる。
【0055】
次いで、選択窓の設定が行われる(ステップS505)。より具体的には、データ処理部41cは、リングデータD上に、リングデータDの極大値が含まれる範囲を抽出する第1の選択領域としての選択窓(以下、正窓と略す)Wと、リングデータDの極小値が含まれる範囲を抽出する第2の選択領域としての選択窓(以下、負窓と略す)Wと、を設定する。ここで、この正窓Wと負窓Wの設定パターンは、予めROM等のメモリに記憶されており、金種の仮決定の段階で、どの設定パターンが選択されるべきかが決定される。例えば、金種の仮決定の段階で100円硬貨であると推定された場合には、100円硬貨を任意の角度だけ回転したときに、100円硬貨の特徴的な模様上に正窓Wが、100円硬貨の非特徴的な部分に負窓Wがくるような設定パターンが選択される。例えば、図7においては、100円硬貨が時計回りに90度回転したときに、100円硬貨の特徴的な部分(「日」「本」「国」「百」「円」の部分)の特徴量が正窓Wより抽出でき、100円硬貨の非特徴的な部分(「日」「本」「国」「百」「円」以外の平らな部分)の特徴量が負窓Wより抽出できる。
【0056】
なお、図7においては、正窓Wの形状を円状とし、負窓Wの形状を三角形状としたが、本発明では特にこれらの形状に限られることなく、例えば楕円等の形状の窓であっても構わない。また、正窓Wと負窓Wの数を複数設定したが、単数であっても構わない。
【0057】
次いで、総和演算処理が行われる(ステップS506)。より具体的には、データ処理部41cは、ステップS505において設定された正窓Wの中にあるリングデータDの総和値Sと、ステップS505において設定された負窓Wの中にあるリングデータDの総和値Sと、を算出する。
【0058】
次いで、減算処理が行われる(ステップS507)。より具体的には、データ処理部41cは、ステップS506において算出した総和値Sから総和値Sを減算する。そして、この減算処理によって得られた値を差分データ列ΔLの最初の要素としてRAM等のメモリに記憶する。
【0059】
次いで、リングデータDを円周方向に360度シフトしたか否か、すなわち、例えば図7において、リングデータDと、正窓W及び負窓Wと、を相対的に1ポイントずつ72回巡回させたか否かを判断する(ステップS508)。より具体的には、データ処理部41cは、予め初期化された変数i(例えばi=1)を用いて、1ポイント巡回させるごとにこの変数iをインクリメントし、この変数iが所定の値(図7ではi=72)を超えたか否かによって、円周方向に360度シフトしたか否を判断する。
【0060】
なお、ステップS508においては、正窓W及び負窓Wを円周方向に1ピッチずつずらしながら全周にわたるように円周方向に360度シフトさせることとしたが、例えば正窓W及び負窓Wが左右対称に設けられている場合などは、正窓W及び負窓Wを円周方向に1ピッチずつずらしながら半周にわたるように180度だけシフトさせることとしてもよい。これより、演算量を削減することができ、ひいては円形物の識別処理を高速化することができる。
【0061】
ステップS508において、データ処理部41cは、リングデータDを円周方向に360度シフトしていないと判別した場合には、リングデータDと、正窓W及び負窓Wと、を相対的に1ポイントずつ巡回させた後に(ステップS509)、処理をステップS506の総和演算処理に戻し、その総和演算処理の算出結果を用いて減算処理を行い(ステップS507)、この減算処理によって得られた値を差分データ列ΔLの次の要素としてRAM等のメモリに記憶し、再びステップS508の処理を行う。
【0062】
一方で、データ処理部41cは、ステップS508において、リングデータDを円周方向に360度シフトしたと判別した場合には、ピーク値の検出を行う(ステップS510)。より具体的には、データ処理部41cは、上述の処理によって得られた差分データ列ΔLのピーク値をRAM等のメモリに記憶する。
【0063】
そして、ピーク値検出とともに(ステップS510)、回転角度の検出が行われる(ステップS511)。より具体的には、データ処理部41cは、差分データ列ΔLのピーク値に対応したシフト量を計算することによって回転角度の検出を行う。例えば、図7において、差分データ列ΔLのピーク値は、リングデータDと、正窓W及び負窓Wと、を相対的に1ポイントずつ巡回させている場合において、正窓Wの中に100円硬貨の特徴的な模様があり、かつ、負窓Wの中に100円硬貨の非特徴的な部分があるときの値となることから、ステップS509の処理を18回繰り返したとき(リングデータDが時計回りに90度シフトしたとき)、すなわち硬貨Cが90度回転したときの値となる。従って、この差分データ列ΔLのピーク値を検出することによって、そのピーク値に対応した硬貨Cの回転角度θ(図7では90度)を検出することが可能となる。
【0064】
なお、図5においては、ステップS507の減算処理をステップS506の総和演算処理の直後に行うこととしているが、ステップS510の識別処理の直前に行うこととしてもよい。かかる例によれば、総和値Sからなるデータ列の各要素から総和値Sからなるデータ列の対応する各要素を減算することとなるため、図5のフロー図では差分データ列ΔLは1要素ずつ順次生成されるのに対し、差分データ列ΔLは一度に全部生成されることとなる。
【0065】
次いで、特徴部分特定処理が行われる(ステップS512)。より具体的には、データ処理部41cは、予め設定され、硬貨Cに特有の特徴部分を示すパラメータ(硬貨Cの中心位置Oからの半径距離rと回転角度θ)と、ステップS511で検出した回転角度θと、を用いることによって、ステップS501の処理で取り込まれた光学画像上における硬貨Cに特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データを特定する。
【0066】
例えば、図8において、硬貨Cに特有の特徴部分は、硬貨Cの特徴的な模様を含む第1の特徴部分P(花の柱頭部分)と、硬貨Cの特徴的な模様を有しない第2の特徴部分P(花びらの部分)と、からなるが、この第1の特徴部分Pは、硬貨Cの中心位置(C,C)からの半径距離rと、硬貨Cが無回転の位置(時計の12時の位置)からの回転角度θ0Pと、の2つをパラメータとする極座標系で設定されており、この第2の特徴部分Pは、硬貨Cの中心位置(C,C)からの半径距離rと、硬貨Cが無回転の位置(時計の12時の位置)からの回転角度θ0Nと、の2つをパラメータとする極座標系で設定されている。そして、ステップS501によって実際に得られた硬貨Cの光学画像が図9に示すような画像であった場合には、ステップS512によって検出された回転角度θを用いることによって、第1の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データのX座標PPX,Y座標PPY、第2の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データのX座標PNX,Y座標PNY、はそれぞれ次式で特定される。
【0067】
【数2】
Figure 2005025640
【0068】
なお、硬貨Cの中心位置は、ステップS502で求めたものを用いている。また、図8及び図9においては、説明の便宜のため、第1の特徴部分Pと第2の特徴部分Pとをそれぞれ1つずつ設定しているが、鑑別性能をより向上させる観点から複数設定することが好ましい。
【0069】
ここで、これらの特徴部分を複数設定することに関連し、特徴部分が直線状である場合には、その直線の端点となる2点の座標を用意(設定)しておく。そして、ステップS511によって検出された回転角度θを用いて、これら2つの位置に対応する検出部分の輝度データを特定することで、これらを結んだ直線上の輝度データを特定することができる。また、特徴部分が領域としてまとまっている場合は、その中心点の座標を用意(設定)しておく。そして、ステップS511によって検出された回転角度θを用いて、この中心点の位置に対応する検出部分の輝度データを特定することで、この近傍(例えば、5×5=25)の輝度データを特定することができる。さらに、特徴部分が円環状である場合には、円環の中心点の座標と、円環の半径距離r’と、を用意(設定)しておく。そして、ステップS511によって検出された回転角度θを用いて、その円環の中心点の位置に対応する検出部分の輝度データを特定し、さらにその輝度データの位置から半径距離r’だけ離れた輝度データを特定することができる。
【0070】
このように、特徴部分が一定の形状である場合には、複数の特徴部分全てのパラメータを予め用意するのではなく、その形状を具現化できる必要最低限の数のパラメータを用意しておき、それらのパラメータとステップS511によって検出された回転角度θのみによって特徴部分に対応して求められる検出部分の輝度データを特定することが可能である。これにより、予め記憶しておくデータ量を削減することができることから、高速かつ低コストな識別処理を実現することが可能となる。
【0071】
また、硬貨Cに特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データを特定するにあたっては、半径距離rまたは、回転角度θあるいは硬貨Cの回転角度θを微小変動させながら硬貨Cの特徴部分P,Pの検出ズレを補正することもできる。すなわち、例えば、硬貨Cの中心位置OをX軸方向又はY軸方向に数画素ずつずらしながら、半径距離r、回転角度θ及び回転角度θとから特定される輝度データを抽出する処理を繰り返し、抽出された輝度データの最大値あるいは最小値を硬貨Cに特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データとして特定することで、硬貨Cの特徴部分P,Pの検出ズレを補正することが可能となる。また、例えば、回転角度θを数度ずつずらしながら、同様の処理をおこなうことで硬貨Cの特徴部分P,Pの検出ズレを補正することもできる。
【0072】
次いで、加算処理が行われる(ステップS513)。より具体的には、データ処理部41cは、ステップS512で特定された第1の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データが複数ある場合には、それら複数の輝度データを全て加算し、第1の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データの総和値PPSを求める。また、データ処理部41cは、ステップS512で特定された第2の特徴部分Pが複数ある場合には、それら複数の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データを全て加算し、第2の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データの総和値PNSを求める。なお、ステップS512で特定された第1の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データが単数の場合には、その輝度データ自体を総和値PPSとして用い、ステップS512で特定された第2の特徴部分Pに対応する検出部分の輝度データが単数の場合には、その輝度データ自体を総和値PNSとして用いる。
【0073】
次いで、上述のステップS510によって得られた差分データ列ΔLのピーク値に、上述の総和値PPSから上述の総和値PNSを差し引いた値を加算することによって得られた値が、所定の閾値Tを超えたか否かの識別処理を行う(ステップS514)。そして、閾値Tよりも大きい場合には真貨であると判定し(ステップS515)、閾値Tよりも小さければ偽貨であると判定する(ステップS516)。これより、硬貨Cの真贋を精度良く識別することが可能となる。
【0074】
ここで、ステップS514においては、閾値Tと比較する対象の一部として、差分データ列ΔLのピーク値を用いているが、この差分データ列ΔLのピーク値は、リングデータDと、正窓W及び負窓Wと、を相対的に1ポイントずつ巡回させている場合において、正窓Wの中に100円硬貨の特徴的な模様があり、かつ、負窓Wの中に100円硬貨の非特徴的な部分があるときの値となる。すなわち、図7においては、ステップS509の処理を18回繰り返したとき(リングデータDが時計回りに90度シフトしたとき)に、差分データ列ΔLはピーク値をとることとなるが、このピーク値は、ステップS507の減算処理に起因して、差分データ列ΔLのピーク値以外の値と比べて相対的に大きなものとなっている。
【0075】
加えて、ステップS514においては、閾値Tと比較する対象の一部として、総和値からPPS総和値PPNを差し引いた値を用いているが、この総和値PPSから総和値PPNを差し引いた値は、第1の特徴部分Pが硬貨Cの特徴的な模様があるところに設定され、第2の特徴部分Pが硬貨Cの特徴的な模様がないところに設定されている関係上、硬貨Cが真貨のときには大きな値となるが、硬貨Cが偽貨であるときには小さな値となる。従って、差分データ列ΔLのピーク値のみを所定の閾値と比較する手法に比べ、鑑別性能をより向上させることが可能となる。
【0076】
なお、図7のおいては、上述のピーク値は、差分データ列ΔLの最大値を採っているが、上述したとおり、差分データ列ΔLの最小値を採ることも可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る円形物の識別方法では、照射角度の浅い照明を用いており、硬貨表面の模様部分で輝度値が大きくなるため差分データ列ΔLの最大値がピーク値となっているが、逆に、照射角度の深い照明を用いた場合には、硬貨表面の非模様部分で輝度値が大きくなるため差分データ列ΔLの最小値がピーク値となる。この場合、ステップS514の処理は、ステップS510によって得られた差分データ列ΔLのピーク値に、上述の総和値PPSから上述の総和値PNSを差し引いた値を減算することによって得られた値が、所定の閾値T’以下となったか否かを判別すればよい。
【0077】
また、上述の総和値PPSから上述の総和値PNSを差し引いた値、或いは、上述の総和値PPS又は上述の総和値PNSのみの値を所定の閾値と比較することによって硬貨Cの真贋を識別することも可能である。これより、データ処理部41cの演算処理負担を軽減することができ、ひいては硬貨Cの真贋の識別時間を短縮することが可能となる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、実験によって得られたデータを用いて詳述する。
【0079】
図10(a)は、本発明の実施例に係る100円硬貨の光学画像上に、同心円状の5本のリング状検出領域を設定し、所定の位置に、正窓Wと負窓Wを設定した様子を示す図である。ここで、図10(a)では、100円硬貨が反時計回りに60度シフトした場合に、100円硬貨の特徴的な模様上に正窓WP1〜正窓WP5が、100円硬貨の非特徴的な部分に負窓WN1〜負窓WN8がくるような設定パターンが選択されている。
【0080】
そして、正窓WP1〜正窓WP5及び負窓WN1〜負窓WN8のそれぞれにおいて、各切り出し角度において半径方向に圧縮処理を施してリングデータDを生成する(図5のステップS504参照)。ここで、このリングデータDのヒストグラムと各窓との対応関係を図10(b)に示す。図10(b)において、横軸(X軸)は、角度ピッチ5度で切り出した場合の検出点数(=72点)からなり、縦軸(Y軸)は、回転角度に対するリングデータDのヒストグラムからなり、薄い網目は正窓WP1〜正窓WP5の位置、濃い網目は負窓WN1〜負窓WN8を示す。図10(b)によれば、リングデータDがあと60度左にシフト(100円硬貨が反時計回りに60度シフト)すれば、正窓WP1〜正窓WP5にリングデータDの極大値が含まれ、負窓WN1〜負窓WN8にリングデータDの極小値が含まれることになる。
【0081】
次に、総和演算処理(図5のステップS506参照)及び減算処理(図5のステップS507参照)が行われ、正窓WP1〜正窓WP5の中にあるリングデータDの総和値Sと、図5のステップS505において設定された負窓WN1〜負窓WN8の中にあるリングデータDの総和値Sと、の差分データ、すなわちSからSを引いた値(図10(c)においてX=1におけるリングデータDの値)が算出される。
【0082】
次いで、リングデータDを反時計回りにシフトさせ(図5のステップS508及びステップS509参照)、5度の角度ピッチで(検出点でいえば1ポイント)シフトさせるごとに、リングデータDの総和値S,総和値S,及び差分データが算出される。そうすると、シフトさせた量に対する差分データのデータ列、すなわち差分データ列ΔLの図(図10(c))が得られる。これらの図によれば、確かに、図10(c)におけるピーク値(X=12)のところで差分データ列ΔLはピーク値(=2500)をとることから、差分データΔLのピーク値に対応した回転角度を計算することによって、実際に撮像された100円硬貨の光学画像が何度回転しているかを認知することができる。なお、このときの回転角度(=60度)に対するリングデータDのヒストグラムは図10(d)に示すものとなっている。
【0083】
一方で、図10(e)は、正規の100円硬貨が所定の回転位置(「本」の文字が真上にきたときの位置)にある場合における光学画像上に、半径距離rと回転角度θとの両パラメータにより特徴部分を設定した様子を示す図である。この特徴部分に対応する検出部分の輝度データは、上述した回転角度の計算によって、実際に撮像された光学画像上では半径距離rと回転角度θ+θとの量パラメータで特定されることとなる(図10(f)参照)。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、円形物表面に特有の特徴部分に対応する検出部分の輝度データを、半径距離と回転角度という2つのパラメータを用いて特定し、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することとしたから、硬貨状態などの変動要素による悪影響を軽減することができ、ひいては鑑別性能を向上することが可能な円形物の識別方法および識別装置を提供することができる。
【0085】
また、本発明によれば、基本的に加減算処理のみで円形物の真贋を識別することが可能であるので、処理負担の軽い高速かつ低コストの識別処理を行うことが可能な円形物の識別方法および識別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた硬貨搬送路の概略構造を示した平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた硬貨搬送路の側面断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の内部に設けられた光学式コインセンサ装置CSUの概略構造を表した拡大側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る円形物の識別方法についてのフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置に投入する円形物(硬貨)の光学画像の一例を表した図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置に投入する円形物(硬貨)の光学画像上に選択窓が設定された様子を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置に投入する真の円形物(硬貨)の光学画像上に特徴部分が設定された様子を示した図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る円形物の識別装置に投入する円形物(硬貨)の光学画像上に特徴部分に対応する輝度データが特定された様子を示した図である。
【図10】(a)は、受け付けるべき硬貨表面の光学画像上に、リング状検出領域と正窓W及び負窓Wを設定した様子を示す図である。(b)は、(a)の光学画像から得られたリングデータDのヒストグラムと各窓との対応関係を示す図である。(c)は、(a)の光学画像から得られたリングデータDをシフトさせた量に対する差分データ列ΔLを示す図である。(d)は、(c)の差分データ列ΔLのピーク値が得られる回転角度(60度)だけリングデータDをシフトさせた場合におけるヒストグラムと各窓との対応関係を示す図である。(e)は、受け付けるべき硬貨表面の光学画像上において、特徴部分を設定した様子を示す図である。(f)は、受け付けるべき硬貨表面の光学画像上において、特徴部分に対応する検出部分の輝度データが特定された様子を示す図である。
【図11】従来の円形物識別方法の識別手順を表した概略フロー図である。
【図12】従来の円形物識別方法の識別手順を模式的に表した工程説明図である。
【符号の説明】
1 硬貨搬送路
C 硬貨(円形物)
CSU 光学式コインセンサ装置(CCDエリアセンサ)
正窓
負窓
硬貨の特徴的な模様を含む特徴部分
硬貨の特徴的な模様を有しない特徴部分

Claims (6)

  1. 識別対象となる被識別円形物の表面を撮像することによって得られた画像データ上に、その被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別する検出領域を設定し、前記検出領域における画像データを抽出して得られた輝度データを解析することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別する円形物の識別方法において、
    前記正規円形物が所定の回転位置におかれたときのその正規円形物に特有の特徴部分を、その正規円形物の中心位置Oからの半径距離rと回転角度θを用いて予め設定し、
    前記正規円形物の前記所定の回転位置に対する被識別円形物の回転角度θを検出し、
    前記回転角度θと、前記半径距離rと、前記回転角度θと、から特定される輝度データを解析することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする円形物の識別方法。
  2. 前記特徴部分は、前記正規円形物の特徴的な模様を含む第1の特徴部分と、前記正規円形物の特徴的な模様を有しない第2の特徴部分と、からなり、
    前記第1の特徴部分に対応して求められる第1の輝度データと、前記第2の特徴部分に対応して求められる第2の輝度データと、の差分データを求め、
    その差分データを所定の閾値と比較することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする請求項1記載の円形物の識別方法。
  3. 前記回転角度θの検出方法は、前記画像データ上に被識別円形物と同心のリング状検出領域と、そのリング状検出領域における画像データを一定のピッチで抽出して得られた輝度データ上に、その輝度データの極大値を含む第1の選択領域Wと、その輝度データの極小値を含む第2の選択領域Wと、を予め設定し、
    前記第1の選択領域W内の前記輝度データの総和値Sと、前記第2の選択領域W内の前記輝度データの総和値Sと、を求める総和演算処理を実行し、
    前記輝度データと、前記第1の選択領域W及び前記第2の選択領域Wと、を前記一定のピッチで相対的に巡回させる毎に前記総和演算処理を実行することによって、前記総和値Sのデータ列である総和データ列Lと、前記総和値Sのデータ列である総和データ列Lと、を求め、
    前記総和データ列Lの各要素と、それに対応する前記総和データ列Lの各要素と、の差分を計算することによって差分データ列ΔLを算出し、
    前記差分データ列ΔLの解析を行うことによって回転角度を検出する方法であることを特徴とする請求項1又は2記載の円形物の識別方法。
  4. 前記差分データ列ΔLのピーク値から、前記差分データを加算又は減算したデータを所定の閾値と比較することによって、被識別円形物が所定の正規円形物であるか否かを識別することを特徴とする請求項3記載の円形物の識別方法。
  5. 前記輝度データを特定するに当たって、前記回転角度θと、前記半径距離rと、前記回転角度θと、の各パラメータの中の少なくとも1つを微小変動させながら特定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の円形物の識別方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の円形物の識別方法を用いて、識別円形物が前記正規円形物であるか否かを識別する識別手段を備えたことを特徴とする円形物の識別装置。
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