JP2005017832A - 光熱写真画像形成材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する光熱写真画像形成材料に関し、特に高い感度と低いカブリを得ることができ、保存性に優れた光熱写真画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、光熱写真画像形成材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの光熱写真画像形成材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層を有している。
【0004】
一般に光熱写真画像形成材料は、露光後加熱現像のみで画像を出すので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のため、あるいは迅速処理のためには、高温度で現像して画像が出るようにするのがよいのであるが、高温にするとカブリが出易くなる。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的には現像される。
【0005】
カブリは、感光膜中にハロゲン化銀粒子と共存する還元剤が該粒子のカブリ核を還元してカブリ銀を発生させていると考えられている。又、膜中のポリハロメタン化合物は熱分解して臭素ラジカルと残基ラジカルが生成し、臭素ラジカルはカブリ核を漂白するが、残基ラジカルは、現像剤と反応して新たに活性なラジカル基を持つ還元剤を生成させ、カブリ核を容易に還元すると考えられている。
【0006】
カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが、例えば、特許文献1に開示されている。しかし、メルカプト化合物ではカブリ抑制の効果が少なく、高い感度が得にくく保存性も向上させるのに限度があった。又、例えば、特許文献2に開示されているように、現像処理後の読影時シャウカステン暴露による銀の生成抑制に使用されるポリハロメタン化合物はカブリ抑制と生保存性に有効であるが、使用量が多いと感度が低下するため限度があった。保存性の向上ために、バインダーの架橋剤として知られる化合物を使用する試みもされているが充分ではなかった。さらに、カブリを抑制して、感度、保存性、耐光性、及び銀色調に優れた画像形成材料をうるために、カリックスアレーン化合物を用いる技術が開示されている(特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、これらの技術においても、カブリを抑制しつつ感度、保存性等の性能を満足させるには十分なものではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−19681号公報(第1頁〜20頁)
【0009】
【特許文献2】
特開平9−319022号公報(第1頁〜22頁)
【0010】
【特許文献3】
特開2002−207272号公報(第1頁〜6頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、写真性能において高い感度と低いカブリを有する光熱写真画像形成材料を提供することにある。本発明の第2の目的は、現像前の保存性(以下、生保存性と略す)と現像後の保存性(以下、画像保存性と略す)に優れる光熱写真画像形成材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、下記各構成により達成される。
【0013】
1.支持体上に、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層及び該感光層に隣接する隣接層を有する光熱写真画像形成材料において、該感光層又は該隣接層に前記一般式(1)で示されるカリックスアレーン化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【0014】
2.前記感光層又は前記隣接層にフタラジン化合物、ポリハロメタン化合物およびヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0015】
3.前記還元剤が、2つのフェノール基を結合させる基中に不飽和基を少なくとも1つ有するビスフェノール化合物であることを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0016】
4.前記感光層又は前記隣接層に、イソシアナート基、ビニルスルホン基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有する架橋剤を含有することを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光熱写真画像形成材料は、支持体上に、少なくとも1層の感光層及びこれに隣接する写真構成層を有する構成を有する。上記光熱写真画像形成材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子、銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するための還元剤及び結合剤が含有される。本発明の上記一般式(1)で表されるカリックスアレーン化合物は、上記感光層、又は該感光層に隣接する隣接層例えば保護層、中間層等の写真構成層に含有される。
【0018】
以下、本発明の光熱写真画像形成材料に含有される特定のカリックスアレーン化合物及びこれと共に好ましく用いられる化合物等について順次説明する。
【0019】
本発明に用いられる一般式(1)で示される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、R1、R2及びR3は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R5及びR6は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、スルホン酸基、カルボキシル基又はシアノ基を表し、X、Y及びZはメチレン基、チオ基、スルホニル基又はスルフィニル基を表す。R1〜R6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等の炭素数1〜16のフッ素原子で一部分置換されてもよい直鎖又は分枝の炭化水素基等があげられる。アルケニル基としては、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等炭素数1〜12の炭化水素基が、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基、ピリジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基、プリン基やキノリル基等の縮合環基等が挙げられる。
【0020】
上記化合物の使用量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0021】
以下一般式(1)で示される化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
本発明の上記一般式(1)で示される化合物は、2003年度日本化学会第83春季年会予稿集728頁4C1−07を参考にして合成することができる。
(フタラジン化合物)
フタラジン化合物とは、フタラジン及びフタラジン環の3,4,5,6,7,及び8位に置換基を有するものをいう。好ましい置換基としてアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびオクチル基等)、芳香族基(フェニル基、クロロフェニル基、p−メチルフェニル基およびナフチル基等)またはヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基およびトリアゾール基等)等が挙げられる。添加量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルが好ましい。添加時期は、化学増感時に添加してもよいし、化学増感後塗布直前までの間の任意の時期に添加してもよい。本発明に好ましく用いられるフタラジンジ化合物の好ましい具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
【化4】
【0026】
(ポリハロメタン化合物)
本発明に使用するポリハロメタン化合物とは分子中に、ハロゲン原子を2又は3個有するポリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物をいう。ポリハロメタン基が芳香族環やヘテロ環に直接又は連結基を介して結合したものが好ましい。芳香族環はベンゼン環やナフタレン環が好ましく、これら環上にハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基)等の置換基を有してもよい。ヘテロ環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等が好ましく、これら環上には、芳香族環と同様な置換基を有してもよい。また、芳香族環やヘテロ環上には、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。ポリハロメタン基は、スルホニル基やカルボニル基を介して、上記環に結合したものが好ましいが、直接芳香族環やヘテロ環上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。又芳香族環やヘテロ環としては、非アリール型の飽和環が特に好ましい。ポリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0027】
【化5】
【0028】
式中、X1、X2及びX3は水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、X1、X2及びX3のうち少なくとも2つはハロゲン原子である。L1は−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、pは0または1を表す。
【0029】
Z2は、芳香環基またはヘテロ環基をあらわす。芳香環基は、飽和または不飽和の単環基若しくは縮環基を含み、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基(例えばアダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。Z2で表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。Z2で表される環基は−L1−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。X1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。L1は−C(=O)−、−SO−、−SO2−、を表すが、好ましくは−SO2−である。
【0030】
これらの化合物の具体例を以下にあげる。
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
添加量はハロゲン化銀1モル当たり、10−6モルから10−2モルの範囲で添加することができる。添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要がなく、隣接層でもよい。添加する方法は、一般式(1)で示される化合物或いはフタラジン化合物と同様な方法で添加することができる。
【0035】
(ヒドラジン化合物)
本発明に使用するヒドラジン化合物は−NHNH−結合を有する化合物であり、特に−NHNH−CO−結合を有する化合物が好ましい。添加量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルが好ましい。添加時期は、化学増感時に添加してもよいし、化学増感後塗布直前までの間の任意の時期に添加してもよい。好ましい具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
【化9】
【0037】
次に本発明の光熱写真画像形成材料に使用される有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀粒子、増感色素、結合剤、架橋剤、染料、マット剤及び支持体等について順次説明する。
【0038】
(有機銀塩)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の有機酸の塩が挙げられる。
【0039】
(還元剤)
本発明に用いられる還元剤は銀イオン還元剤であり、好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0040】
ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体又は3−ピラゾリドン類等を挙げることができる。中でも特に好ましい還元剤は、ビスフェノール類である。ビスフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化10】
【0042】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)、芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等)、又はヘテロ環基(フリル基、チオフェニル基、ピリジル基、オキサゾリル基、チアゾリル基等)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。特に式中、Rが環基であることが好ましく、より好ましくは、不飽和環基で、最も好ましい環基は、シクロへキセニル基であり、2,4−ジメチルシクロへキセニル基、シクロへキセニル基、ペンタジエニル基、フリル基、チオフェニル基等が続いて好ましい。
【0043】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。
【0047】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することができ、物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収することができ、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収したときに、当該ハロゲン化銀結晶内及び/又は結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。本発明の光熱写真画像形成材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0048】
感光性ハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0049】
上記ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0050】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0051】
又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0052】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等の各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0053】
(分光増感色素)
本発明の感光層は必要に応じ分光増感色素を含有し、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0054】
(結合剤)
本発明の感光層及び他の写真構成層は、該層に含まれる各成分を保持する機能を有する結合剤を含有する。本発明の感光層又は他の写真構成層に用いられる結合剤としては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材、熱消色染料が80〜200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材、あるいは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が選択される。上記結合剤としては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明の光熱写真画像形成材料の高分子結合剤としては、いずれでもよい。また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20℃から80℃が好ましく、特に−5℃から60℃が好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、低いとカブリが発生し易くなり、感度の低下や軟調になるからである。
【0055】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
【0056】
(架橋剤)
本発明に用いられる架橋剤は、上記高分子結合剤を架橋しうるものである。結合剤は、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、アンチハレーション層、感光層、保護層、バッキング層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。好ましい架橋剤剤は、イソシアナート基、ビニルスルホニル基またはエポキシ基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤はイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。好ましい架橋剤としてH1〜H13を下記に示す。
【0057】
(H1) ヘキサメチレンジイソシアナート
(H2) ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
(H3) トリレンジイソシアナート
(H4) フェニレンジイソシアナート
(H5) キシリレンジイソシアナート
【0058】
【化13】
【0059】
(必要によってアンチイラジエーション層(AI層)又はバッキングコート層(BC層)に使用される染料)
本発明の光熱写真画像形成材料には、必要に応じイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層を設けることができる。該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号公報等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が光熱写真画像形成材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0060】
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層を含む写真構成層には、必要に応じマット剤を含むことができる。
【0061】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、スイス特許第330,158号明細書に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0062】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0063】
(支持体)
本発明に用いられる支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートも用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はシンジオタクチックポリスチレン等が好ましく用いられる。支持体の厚さは、50μm〜400μmが好ましく、75μm〜200μmが特に好ましく用いられる。
【0064】
本発明の光熱写真画像形成材料は、露光、熱現像される工程に用いられる。露光方法としては、特開平9−304869号明細書、同9−311403号および特開2000−10230号明細書記載の方法によるレーザー露光等が用いられる。又光熱写真画像形成材料を現像する装置としては、特開平11−65067号明細書、同11−72897号および同84619号明細書記載の装置を使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0066】
実施例1
〈下引済み支持体の作製〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1を設け、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0067】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる。
【0068】
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、
グリシジルアクリレート(40質量%)、の共重合体ラテックス液
(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる。
【0069】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して下引上層B−2を設けた。
【0070】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 40g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0071】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを得た。
【0072】
〈水分散有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、所定の濃度まで水を加えて仕上げた。
【0073】
〈感光層及びBC層の塗布〉
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々45℃,1分間で行った。
【0074】
《BC層側塗布》
乳剤層の裏面側には以下の組成物を調製した塗布液を以下の付き量になるように塗布乾燥してBC層を形成した。
【0075】
染料:C(BC層と同種)
感光層形成のため以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を35℃付近に保ち、以下の付き量になるように上記BC層塗布済み支持体上に塗布乾燥し、試料101から107を作製した。銀量として1.12g/m2になる量の調製液をポリマーバインダーと混合した。
【0076】
バインダー:PVB−1 (AI層と同種) 2.6g/m2
一般式(1)で示される化合物:表1記載 3.2×10−4モル/m2
比較のカリックスアレーン化合物としてAL−0を使用した。
【0077】
比較還元剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを使用した。
【0078】
架橋剤: 2×10−5モル/m2
比較架橋剤としてフェニルアミノエトキシトリメトキシシランを使用した。
【0079】
ヒドラジン化合物:表1記載 3×10−4モル/m2
《表面保護層》
以下の組成物を加えて調製した塗布液を、以下の付き量になるように感光層上に塗布乾燥して表面保護層を形成した。
【0080】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
界面活性剤E 0.1g/m2
【0081】
【化14】
【0082】
〈写真性能、保存性の評価〉
上記作製した試料を5cm×12cmのサイズで50枚用意した後、2つに分け、一方を23℃で相対湿度46%の雰囲気下で3日間保存した後、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後132℃で4秒間加熱後、得られた試料(常湿試料)の感度及びカブリを測定して、写真性能を評価した。
【0083】
別の一方は23℃相対湿度46%で機密性のアルミ箔包装袋に減圧(10hPa)熱シールし、40℃の恒温室に30日間保存した後、同様に露光、現像して得られた試料のカブリを測定して、生保存性を評価した。なお、レーザー露光及び現像処理は25℃±1℃相対湿度54%±1%に調湿した部屋で行った。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101を基準(100)として相対評価で表わした。
【0084】
現像後の保存性(画像保存性)は、高湿試料の現像済み試料を10000ルクスの輝度のシャウカステン上に10時間放置した後の光カブリ値を測定して評価した。
【0085】
【表1】
【0086】
表1より一般式(1)で示される化合物を使用した本発明の光熱写真画像形成材料は、感度が高く、カブリが低いことがわかる。又生保存性及び画像保存性も優れていることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
本発明により、感度及びカブリ特性に優れ、かつ現像前の保存性(生保存性)及び現像後の保存性(画像保存性)に優れる光熱写真画像形成材料を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する光熱写真画像形成材料に関し、特に高い感度と低いカブリを得ることができ、保存性に優れた光熱写真画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が必要とされている。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、光熱写真画像形成材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの光熱写真画像形成材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層を有している。
【0004】
一般に光熱写真画像形成材料は、露光後加熱現像のみで画像を出すので処理が簡単であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の保存性向上のため、あるいは迅速処理のためには、高温度で現像して画像が出るようにするのがよいのであるが、高温にするとカブリが出易くなる。そこで120℃±10℃付近の温度で一般的には現像される。
【0005】
カブリは、感光膜中にハロゲン化銀粒子と共存する還元剤が該粒子のカブリ核を還元してカブリ銀を発生させていると考えられている。又、膜中のポリハロメタン化合物は熱分解して臭素ラジカルと残基ラジカルが生成し、臭素ラジカルはカブリ核を漂白するが、残基ラジカルは、現像剤と反応して新たに活性なラジカル基を持つ還元剤を生成させ、カブリ核を容易に還元すると考えられている。
【0006】
カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが、例えば、特許文献1に開示されている。しかし、メルカプト化合物ではカブリ抑制の効果が少なく、高い感度が得にくく保存性も向上させるのに限度があった。又、例えば、特許文献2に開示されているように、現像処理後の読影時シャウカステン暴露による銀の生成抑制に使用されるポリハロメタン化合物はカブリ抑制と生保存性に有効であるが、使用量が多いと感度が低下するため限度があった。保存性の向上ために、バインダーの架橋剤として知られる化合物を使用する試みもされているが充分ではなかった。さらに、カブリを抑制して、感度、保存性、耐光性、及び銀色調に優れた画像形成材料をうるために、カリックスアレーン化合物を用いる技術が開示されている(特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、これらの技術においても、カブリを抑制しつつ感度、保存性等の性能を満足させるには十分なものではなかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−19681号公報(第1頁〜20頁)
【0009】
【特許文献2】
特開平9−319022号公報(第1頁〜22頁)
【0010】
【特許文献3】
特開2002−207272号公報(第1頁〜6頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、写真性能において高い感度と低いカブリを有する光熱写真画像形成材料を提供することにある。本発明の第2の目的は、現像前の保存性(以下、生保存性と略す)と現像後の保存性(以下、画像保存性と略す)に優れる光熱写真画像形成材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、下記各構成により達成される。
【0013】
1.支持体上に、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び結合剤を含有する感光層及び該感光層に隣接する隣接層を有する光熱写真画像形成材料において、該感光層又は該隣接層に前記一般式(1)で示されるカリックスアレーン化合物を含有することを特徴とする光熱写真画像形成材料。
【0014】
2.前記感光層又は前記隣接層にフタラジン化合物、ポリハロメタン化合物およびヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0015】
3.前記還元剤が、2つのフェノール基を結合させる基中に不飽和基を少なくとも1つ有するビスフェノール化合物であることを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0016】
4.前記感光層又は前記隣接層に、イソシアナート基、ビニルスルホン基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有する架橋剤を含有することを特徴とする前記1項に記載の光熱写真画像形成材料。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光熱写真画像形成材料は、支持体上に、少なくとも1層の感光層及びこれに隣接する写真構成層を有する構成を有する。上記光熱写真画像形成材料の感光層中には、分光増感色素で増感されてもよい感光性ハロゲン化銀粒子、銀源となる有機銀塩、銀塩を現像して銀画像を形成するための還元剤及び結合剤が含有される。本発明の上記一般式(1)で表されるカリックスアレーン化合物は、上記感光層、又は該感光層に隣接する隣接層例えば保護層、中間層等の写真構成層に含有される。
【0018】
以下、本発明の光熱写真画像形成材料に含有される特定のカリックスアレーン化合物及びこれと共に好ましく用いられる化合物等について順次説明する。
【0019】
本発明に用いられる一般式(1)で示される化合物について説明する。
前記一般式(1)において、R1、R2及びR3は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R4、R5及びR6は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、スルホン酸基、カルボキシル基又はシアノ基を表し、X、Y及びZはメチレン基、チオ基、スルホニル基又はスルフィニル基を表す。R1〜R6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等の炭素数1〜16のフッ素原子で一部分置換されてもよい直鎖又は分枝の炭化水素基等があげられる。アルケニル基としては、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等炭素数1〜12の炭化水素基が、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基、ピリジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基、プリン基やキノリル基等の縮合環基等が挙げられる。
【0020】
上記化合物の使用量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0021】
以下一般式(1)で示される化合物の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
本発明の上記一般式(1)で示される化合物は、2003年度日本化学会第83春季年会予稿集728頁4C1−07を参考にして合成することができる。
(フタラジン化合物)
フタラジン化合物とは、フタラジン及びフタラジン環の3,4,5,6,7,及び8位に置換基を有するものをいう。好ましい置換基としてアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基およびオクチル基等)、芳香族基(フェニル基、クロロフェニル基、p−メチルフェニル基およびナフチル基等)またはヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基およびトリアゾール基等)等が挙げられる。添加量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルが好ましい。添加時期は、化学増感時に添加してもよいし、化学増感後塗布直前までの間の任意の時期に添加してもよい。本発明に好ましく用いられるフタラジンジ化合物の好ましい具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0025】
【化4】
【0026】
(ポリハロメタン化合物)
本発明に使用するポリハロメタン化合物とは分子中に、ハロゲン原子を2又は3個有するポリハロメタン基を少なくとも1個有する化合物をいう。ポリハロメタン基が芳香族環やヘテロ環に直接又は連結基を介して結合したものが好ましい。芳香族環はベンゼン環やナフタレン環が好ましく、これら環上にハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基)等の置換基を有してもよい。ヘテロ環としては、例えば、ピリジン、ピリミジン環、キノリン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環等が好ましく、これら環上には、芳香族環と同様な置換基を有してもよい。また、芳香族環やヘテロ環上には、耐拡散性を付与するための基やハロゲン化銀への吸着を促進する基を置換してもよい。ポリハロメタン基は、スルホニル基やカルボニル基を介して、上記環に結合したものが好ましいが、直接芳香族環やヘテロ環上に結合してもよく、結合の方式は限定されない。又芳香族環やヘテロ環としては、非アリール型の飽和環が特に好ましい。ポリハロメタン基のハロゲン原子としては、臭素原子が好ましいが、塩素、フッ素、沃素でもよく、これらの組み合わせでもよい。好ましい構造を下記一般式(3)に示す。
【0027】
【化5】
【0028】
式中、X1、X2及びX3は水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、X1、X2及びX3のうち少なくとも2つはハロゲン原子である。L1は−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表し、pは0または1を表す。
【0029】
Z2は、芳香環基またはヘテロ環基をあらわす。芳香環基は、飽和または不飽和の単環基若しくは縮環基を含み、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基(例えばアダマンチル基、シクロブタン基、シクロプロパン基、シクロペンタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロヘキセン基、フェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサノン基、シクロペンテン基、フェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくは、フェニル基である。Z2で表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、ホスホレン、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。Z2で表される環基は−L1−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。X1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。L1は−C(=O)−、−SO−、−SO2−、を表すが、好ましくは−SO2−である。
【0030】
これらの化合物の具体例を以下にあげる。
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】
添加量はハロゲン化銀1モル当たり、10−6モルから10−2モルの範囲で添加することができる。添加する位置は、ハロゲン化銀の存在する感光層に限定する必要がなく、隣接層でもよい。添加する方法は、一般式(1)で示される化合物或いはフタラジン化合物と同様な方法で添加することができる。
【0035】
(ヒドラジン化合物)
本発明に使用するヒドラジン化合物は−NHNH−結合を有する化合物であり、特に−NHNH−CO−結合を有する化合物が好ましい。添加量は、ハロゲン化銀1モルに対して1×10−8モル〜1×10−2モルが好ましい。添加時期は、化学増感時に添加してもよいし、化学増感後塗布直前までの間の任意の時期に添加してもよい。好ましい具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
【化9】
【0037】
次に本発明の光熱写真画像形成材料に使用される有機銀塩、還元剤、感光性ハロゲン化銀粒子、増感色素、結合剤、架橋剤、染料、マット剤及び支持体等について順次説明する。
【0038】
(有機銀塩)
本発明の光熱写真画像形成材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩などが用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機又は無機の銀塩錯体も有用である。銀塩の例は、Research Disclosure第17029及び29963に記載されており、例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の有機酸の塩が挙げられる。
【0039】
(還元剤)
本発明に用いられる還元剤は銀イオン還元剤であり、好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、次のものが挙げられる。
【0040】
ビスフェノール類(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−m−トリ)メシトール(mesitol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体又は3−ピラゾリドン類等を挙げることができる。中でも特に好ましい還元剤は、ビスフェノール類である。ビスフェノール類としては、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0041】
【化10】
【0042】
式中、Rは水素原子、又は炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4−トリメチルペンチル)、芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等)、又はヘテロ環基(フリル基、チオフェニル基、ピリジル基、オキサゾリル基、チアゾリル基等)を表し、R′及びR″は炭素原子数1〜5の直鎖又は分枝のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t−ブチル)を表す。特に式中、Rが環基であることが好ましく、より好ましくは、不飽和環基で、最も好ましい環基は、シクロへキセニル基であり、2,4−ジメチルシクロへキセニル基、シクロへキセニル基、ペンタジエニル基、フリル基、チオフェニル基等が続いて好ましい。
【0043】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定されるものではない。
【0044】
【化11】
【0045】
【化12】
【0046】
前記一般式(4)で表される化合物を始めとする還元剤の使用量は、好ましくは銀1モル当り1×10−2〜10モル、特に1×10−2〜1.5モルである。
【0047】
(感光性ハロゲン化銀粒子)
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀粒子とは、ハロゲン化銀結晶の固有の性質として本来的に光吸収することができ、物理化学的な方法により可視光ないし赤外光を吸収することができ、且つ紫外光領域から赤外光領域の光波長範囲内のいずれかの領域の光を吸収したときに、当該ハロゲン化銀結晶内及び/又は結晶表面において、物理化学的変化が起こり得るように処理製造されたハロゲン化銀結晶粒子をいう。本発明の光熱写真画像形成材料の感光層中に含有される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェット若しくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀を調製するときの保護ポリマーとして米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類などのゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、又は米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0048】
感光性ハロゲン化銀は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒子サイズで0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0049】
上記ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50質量%以下好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の間である。上記のハロゲン化銀形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させる工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は作製の目的にあわせ適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒乃至72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0050】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等の各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等の各公報に記載されている。又ハロゲン化銀形成成分により有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換する際に、米国特許第3,980,482号明細書に記載されているように、増感を達成するために低分子量のアミド化合物を共存させてもよい。
【0051】
又、これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整のために元素周期律表の6族から10族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンを含有させることができる。特に元素周期律表の6族から10族に属する金属のイオン又は錯体イオンを含有することが好ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、Auが好ましく、中でも印刷製版用感光材料に使用される場合はRh、Re、Ru、Ir、Osから選ばれることが好ましい。これらの金属は錯体の形でハロゲン化銀に導入できる。
【0052】
金属のイオン又は錯体イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×10−9〜1×10−2モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等の各公報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。好ましくは粒子内部に分布をもたせることができる。これらの金属化合物は、水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時には、粒子形成直後又は物理熟成時途中もしくは終了時又は化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0053】
(分光増感色素)
本発明の感光層は必要に応じ分光増感色素を含有し、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素が使用できる。本発明に使用される有用な増感色素は例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0054】
(結合剤)
本発明の感光層及び他の写真構成層は、該層に含まれる各成分を保持する機能を有する結合剤を含有する。本発明の感光層又は他の写真構成層に用いられる結合剤としては、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤が反応する場として好ましい素材、熱消色染料が80〜200℃以下の熱で消色する反応に好ましい素材、あるいは塩基発生前駆体が熱により速やかに塩基を発生するような素材が選択される。上記結合剤としては例えばメタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等を含む極性溶媒に溶解して用いられるポリマーと、水分散系ポリマーとがあり、本発明の光熱写真画像形成材料の高分子結合剤としては、いずれでもよい。また、好ましいポリマーの組成について更にガラス転移点が−20℃から80℃が好ましく、特に−5℃から60℃が好ましい。ガラス転移点が高いと熱現像する温度が高くなり、低いとカブリが発生し易くなり、感度の低下や軟調になるからである。
【0055】
上記極性溶媒等に溶解して用いられるポリマーとしては例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、デンプンおよびその誘導体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、アクリル酸アミド−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などが挙げられる。更に乾燥後、膜を形成したのち、その塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、特に含水率の低いものとして、例えばセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリ(メチルメタクリル酸)などのポリ(アクリル酸エステル)類、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類を挙げることができる。
【0056】
(架橋剤)
本発明に用いられる架橋剤は、上記高分子結合剤を架橋しうるものである。結合剤は、単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。架橋剤の使用は、下塗り層中に添加する方法、アンチハレーション層、感光層、保護層、バッキング層、バッキング保護層等に添加して使用することができる。塗布液の安定性の観点から、塗布直前にスタチックミキサーを使用して添加することが好ましいが、塗布液の調製時に添加してもよい。好ましい架橋剤剤は、イソシアナート基、ビニルスルホニル基またはエポキシ基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤はイソシアナート基を少なくとも2個有する多官能型架橋剤を挙げることができる。好ましい架橋剤としてH1〜H13を下記に示す。
【0057】
(H1) ヘキサメチレンジイソシアナート
(H2) ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
(H3) トリレンジイソシアナート
(H4) フェニレンジイソシアナート
(H5) キシリレンジイソシアナート
【0058】
【化13】
【0059】
(必要によってアンチイラジエーション層(AI層)又はバッキングコート層(BC層)に使用される染料)
本発明の光熱写真画像形成材料には、必要に応じイラジエーション防止用又はハレーション防止用のAI層又はBC層を設けることができる。該AI層又はBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは前述した米国特許第5,384,237号公報等に記載される熱消色性染料が用いられる。用いられる染料が熱消色性でない場合は、使用量が光熱写真画像形成材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0060】
本発明の光熱写真画像形成材料の感光層を含む写真構成層には、必要に応じマット剤を含むことができる。
【0061】
(マット剤)
マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、スイス特許第330,158号明細書に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載のポリカーボネート等を用いることができる。
【0062】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子の単分散度は50以下であることが好ましく、更に好ましくは40以下であり、特に好ましくは20以下となるマット剤である。ここで、粒子の単分散度は粒子径の標準偏差を粒子径の平均値で割り100を掛けた数字で表される。本発明に係るマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0063】
(支持体)
本発明に用いられる支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルムなどの支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートも用いることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はシンジオタクチックポリスチレン等が好ましく用いられる。支持体の厚さは、50μm〜400μmが好ましく、75μm〜200μmが特に好ましく用いられる。
【0064】
本発明の光熱写真画像形成材料は、露光、熱現像される工程に用いられる。露光方法としては、特開平9−304869号明細書、同9−311403号および特開2000−10230号明細書記載の方法によるレーザー露光等が用いられる。又光熱写真画像形成材料を現像する装置としては、特開平11−65067号明細書、同11−72897号および同84619号明細書記載の装置を使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されるものではない。
【0066】
実施例1
〈下引済み支持体の作製〉
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1を設け、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0067】
《下引塗布液a−1》
ブチルアクリレート(30質量%)
t−ブチルアクリレート(20質量%)
スチレン(25質量%)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)
の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる。
【0068】
《下引塗布液b−1》
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、
グリシジルアクリレート(40質量%)、の共重合体ラテックス液
(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1lに仕上げる。
【0069】
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗布乾燥して下引層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗布乾燥して下引上層B−2を設けた。
【0070】
《下引上層塗布液a−2》
ゼラチン 40g
シリカ粒子(平均粒径3μm) 1g
水で1リットルに仕上げる
《下引上層塗布液b−2》
スチレンブタジエン共重合ラテックス液(固形分20%) 80g
ポリエチレングリコール(質量平均分子量600) 6g
水で1リットルに仕上げる。
【0071】
〈ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製〉
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10−6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、ハロゲン化銀粒子乳剤Aを得た。
【0072】
〈水分散有機銀塩の調製〉
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、所定の濃度まで水を加えて仕上げた。
【0073】
〈感光層及びBC層の塗布〉
前記下引層を施した支持体上に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々45℃,1分間で行った。
【0074】
《BC層側塗布》
乳剤層の裏面側には以下の組成物を調製した塗布液を以下の付き量になるように塗布乾燥してBC層を形成した。
【0075】
染料:C(BC層と同種)
感光層形成のため以下の組成物をメチルエチルケトン溶媒に溶解した塗布液を調製した。この塗布液を35℃付近に保ち、以下の付き量になるように上記BC層塗布済み支持体上に塗布乾燥し、試料101から107を作製した。銀量として1.12g/m2になる量の調製液をポリマーバインダーと混合した。
【0076】
バインダー:PVB−1 (AI層と同種) 2.6g/m2
一般式(1)で示される化合物:表1記載 3.2×10−4モル/m2
比較のカリックスアレーン化合物としてAL−0を使用した。
【0077】
比較還元剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを使用した。
【0078】
架橋剤: 2×10−5モル/m2
比較架橋剤としてフェニルアミノエトキシトリメトキシシランを使用した。
【0079】
ヒドラジン化合物:表1記載 3×10−4モル/m2
《表面保護層》
以下の組成物を加えて調製した塗布液を、以下の付き量になるように感光層上に塗布乾燥して表面保護層を形成した。
【0080】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
界面活性剤E 0.1g/m2
【0081】
【化14】
【0082】
〈写真性能、保存性の評価〉
上記作製した試料を5cm×12cmのサイズで50枚用意した後、2つに分け、一方を23℃で相対湿度46%の雰囲気下で3日間保存した後、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後132℃で4秒間加熱後、得られた試料(常湿試料)の感度及びカブリを測定して、写真性能を評価した。
【0083】
別の一方は23℃相対湿度46%で機密性のアルミ箔包装袋に減圧(10hPa)熱シールし、40℃の恒温室に30日間保存した後、同様に露光、現像して得られた試料のカブリを測定して、生保存性を評価した。なお、レーザー露光及び現像処理は25℃±1℃相対湿度54%±1%に調湿した部屋で行った。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101を基準(100)として相対評価で表わした。
【0084】
現像後の保存性(画像保存性)は、高湿試料の現像済み試料を10000ルクスの輝度のシャウカステン上に10時間放置した後の光カブリ値を測定して評価した。
【0085】
【表1】
【0086】
表1より一般式(1)で示される化合物を使用した本発明の光熱写真画像形成材料は、感度が高く、カブリが低いことがわかる。又生保存性及び画像保存性も優れていることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
本発明により、感度及びカブリ特性に優れ、かつ現像前の保存性(生保存性)及び現像後の保存性(画像保存性)に優れる光熱写真画像形成材料を提供できる。
Claims (4)
- 前記感光層又は前記隣接層にフタラジン化合物、ポリハロメタン化合物およびヒドラジン化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の光熱写真画像形成材料。
- 前記還元剤が、2つのフェノール基を結合させる基中に不飽和基を少なくとも1つ有するビスフェノール化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光熱写真画像形成材料。
- 前記感光層又は前記隣接層に、イソシアナート基、ビニルスルホン基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1つの基を有する架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の光熱写真画像形成材料。
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