JP4240828B2 - 熱現像材料 - Google Patents

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱現像により画像を形成する熱現像材料に関し、特に高い感度と低いカブリを有し、現像後の画像保存性に優れた熱現像材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が商品化され急速に普及している。これらの光熱写真材料は通常、80℃以上の温度で現像が行われるので、25〜45℃の範囲で液現像される従来の感光材料と区別され熱現像材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプの熱現像材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で乱反射するのを防ぐイラジエーション防止層(AI)或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(BC)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷の付くのを防ぐための保護層が設けられている。
【0004】
一般に、熱現像材料は露光の後に加熱現像のみで画像が形成されるので処理が簡便であるが、定着工程がないので現像後の画像の保存性を向上させることが重要となっている。現像後の画像保存性の向上のためには、高温度で現像して画像が出るようにするのが良いのであるが、現像温度をあまり高温にするとカブリが出易くなり、感度が低下する。そこで120±10℃付近の温度で一般的には現像される。
【0005】
カブリを下げるためにメルカプト化合物を使用することが、特開昭63−301037号、特開平5−341432号、同5−509182号、特開2000−19681号各公報に開示されている。しかし、これらのメルカプト化合物はいずれもカブリ抑制の効果が少なく、また高い感度が得にくく、保存性を向上させるのにも限度がある。
【0006】
ポリハロメタン化合物は、光や熱励起によりハロゲンラジカルを放出してカブリを低下させることができるので熱現像感光材料のカブリ抑制剤として提案されている。例えば、米国特許第3,874,946号、同4,452,885号、同4,546,075号、同4,756,999号、同5,340,712号、特公昭54−165号、特開昭50−137126号、特開平7−2781号、特開平9−265150号公報、特公平2−32614号公報等を挙げることができる。ハロゲンの放出効果を上げるために、ポリハロメタン基に結合する基に各種の化学構造が考案されているが、未だ充分な性能を得ているとは言い難い。ハロゲンラジカルの放出能が高いときには、屡々感度を下げるからであり、ハロゲンラジカルの放出能が小さいとカブリを抑えることが難しく、画像保存性を向上させることが困難になるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高い感度と低いカブリを有し、熱現像後の画像保存性に優れた熱現像材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記(1)〜(4)の各手段によって達成される。
【0009】
(1)支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び高分子結合剤を含有する感光層と、該感光層に隣接し高分子結合剤を含有する隣接層を有する熱現像材料において、該感光層及び隣接層の少なくとも1層中に前記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする熱現像材料。
【0010】
(2)感光層及び隣接層の少なくとも1層中に、ポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする上記(1)記載の熱現像材料。
【0011】
(3)感光層及び隣接層の少なくとも1層中の高分子結合剤として、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体またはスチレンとブタジエンの共重合体を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載の熱現像材料。
【0012】
(4)感光層及び隣接層の少なくとも1層中の高分子結合剤が、イソシアナート基、アルコキシシラン基、ビニルスルホン基またはカルボジイミド基を有する化合物から選ばれる架橋剤により架橋されていることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)記載の熱現像材料。
【0013】
本発明は、感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び高分子結合剤を含有する感光層並びに該感光層に隣接し高分子結合剤を含有する隣接層を有する熱現像材料において、該感光層及びその隣接層の少なくとも1層中に上記一般式(1)で表される化合物を含有させることにより、前記課題を解決したものであるが、さらに、ポリハロメタン化合物を併用することにより、熱現像後の画像保存性をさらに向上させることができ、また、上記熱現像材料の感光層やその隣接層が含有する高分子結合剤を前記架橋剤により架橋すると画像保存性をさらに向上させることができることを見い出し、本発明をなし得たものである。ここで熱現像後の画像保存性とは、熱現像後の耐熱性(カブリの増加防止)及び耐光性(最高濃度の低下と銀色調変化の防止)をいう。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する前記一般式(1)で表される化合物について更に説明する。
【0015】
Rで表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、環状の基が含まれ、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシル等の各基が挙げられる。
【0016】
Rで表されるアルケニル基としては、例えばビニル、アリル、クロチル等の各基が挙げられる。
【0017】
Rで表されるアルキニル基としては、例えばエチニル、1−プロピニル等の各基が挙げられる。
【0018】
Rで表されるアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル等の各基が挙げられる。
【0019】
Rで表されるヘテロ環基としては、例えばピリジル、ピリミジル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ベンズオキサゾリル、フリル、チエニル、テトラヒドロフリル、ピペリジニル、ピロリジニル等の各基が挙げられる。
【0020】
Rで表されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環の各基は更に置換基を有してもよく、置換基としては、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、スルホニルアミノ、スルホニル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、カルバモイル、スルファモイル、シアノ、スルホ等の各基が挙げられる。
【0021】
Xは置換基を表すが、具体的には上記のRで表されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロ環の各基への置換基として挙げたものと同様の基が挙げられる。
【0022】
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
【化2】
Figure 0004240828
【0024】
【化3】
Figure 0004240828
【0025】
本発明の一般式(1)で表される化合物は以下の方法により合成することができる。
【0026】
【化4】
Figure 0004240828
【0027】
上記スキームに従い、ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体とスルホニルクロライド誘導体をアセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン,N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中で、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム等の塩基触媒を用いて一般式(1)の化合物を合成することができる。
【0028】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、感光層及びその隣接層の少なくとも1層中に含有させればよく、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解して添加してもよいし、水に分散してもよいし、粉末や錠剤にして直接添加してもよい。使用量はハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルの範囲で使用することができる。
【0029】
本発明で好ましく用いられるポリハロメタン化合物の具体例としては、下記一般式(2)の化合物が挙げられる。
【0030】
【化5】
Figure 0004240828
【0031】
式中、Qはアリール基またはヘテロ環基を表す。X1、X2及びX3は水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基、アリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。Yは−C(=O)−、−SO−または−SO2−を表す。
【0032】
Qで表されるアリール基は、単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環のアリール基(例えばフェニル、ナフチル等)であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0033】
Qで表されるヘテロ環基は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であっても良いし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
【0034】
ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として好ましくは、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾールであり、特に好ましくはピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンゾチアゾールである。
【0035】
Qで表されるアリール基及びヘテロ環基は−Y−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していても良く、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。
【0036】
1、X2及びX3は好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0037】
Yは−C(=O)−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。
【0038】
これらの化合物の具体例を以下にあげる。
【0039】
【化6】
Figure 0004240828
【0040】
【化7】
Figure 0004240828
【0041】
【化8】
Figure 0004240828
【0042】
【化9】
Figure 0004240828
【0043】
【化10】
Figure 0004240828
【0044】
【化11】
Figure 0004240828
【0045】
【化12】
Figure 0004240828
【0046】
【化13】
Figure 0004240828
【0047】
本発明で好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、感光層及びその隣接層の少なくとも1層中に含有させればよいが、少なくとも感光層に含有させることが好ましい。
【0048】
本発明で好ましく用いられるポリハロメタン化合物は、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解して添加してもよいし、水に分散してよいし、粉末や錠剤にして直接添加してもよい。使用量はハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルの範囲で使用することができる。この範囲より少ないと本発明の目的とする画像保存性の向上効果が得にくく、この範囲を超えると軟調になったり塗膜が弱くなったりして好ましくない。
【0049】
本発明においては、フタラジン化合物を併用することが好ましい。本発明に使用するフタラジン化合物とは、フタラジン、及びフタラジン環に各種置換基を導入して得られる化合物を意味する。本発明において好ましいフタラジン化合物は、フタラジン環に下記置換基を導入した化合物である。
【0050】
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、芳香族基、ヘテロ環基等である。上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、及びアルコキシ基の炭素数は、それぞれ1〜60が好ましく、1〜40が特に好ましい。炭素数が60を超えるとカブリ抑制、色調や保存性において良い効果が得られなくなる。上記置換基の置換位置としては、フタラジン環の2位及び3位を除く1位から8位までの位置に置換基を導入することができる。
【0051】
本発明に用いられるフタラジン化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0052】
(f1) フタラジン
(f2) 6−アミノフタラジン
(f3) 5−メチルフタラジン
(f4) 6−クロロフタラジン
(f5) 6−イソプロピルフタラジン
(f6) 6−(4,6−tert−アミルフェニル)フタラジン
(f7) 6−フェニルフタラジン
(f8) 6−メトキシフタラジン
(f9) 1,4−ジメチルフタラジン
(f10)5,6−ジメトキシフタラジン
(f11)6−イソブチルフタラジン
本発明において、フタラジン化合物は、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系やノルマルヘキサンやデカン等の非芳香族系等の有機溶媒に溶解して添加してもよいし、水に分散してもよいし、粉末や錠剤にして直接添加してもよい。使用量はハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルの範囲で使用することができる。この範囲より少ないと、本発明の課題の画像保存性の向上効果が得にくく、この範囲を超えると、軟調になったり、塗膜が弱くなったりして好ましくない。
【0053】
次に、本発明の熱現像材料に使用される感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤、結合剤、架橋剤、その他の素材等について順次説明する。
【0054】
本発明の熱現像材料の感光層中に含有する感光性ハロゲン化銀粒子は、シングルジェット若しくはダブルジェット法等の写真技術の分野で公知の任意の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法で予め調製し、次いで本発明の他の成分と混合して本発明に用いる組成物中に導入することができる。この場合に感光性ハロゲン化銀粒子と有機銀塩の接触を充分に行わせるため、例えば感光性ハロゲン化銀粒子を調製するときの保護ポリマーとして、米国特許第3,706,564号、同第3,706,565号、同第3,713,833号、同第3,748,143号、英国特許第1,362,970号各明細書に記載されたポリビニルアセタール類等のゼラチン以外のポリマーを用いる手段や、英国特許第1,354,186号明細書に記載されているような感光性ハロゲン化銀乳剤のゼラチンを酵素分解する手段、または米国特許第4,076,539号明細書に記載されているように感光性ハロゲン化銀粒子を界面活性剤の存在下で調製することによって保護ポリマーの使用を省略する手段等の各手段を適用することができる。
【0055】
感光性ハロゲン化銀粒子は、画像形成後の白濁を低く抑えるために、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。平均粒径で0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、特に0.02〜0.08μmが好ましい。ハロゲン化銀粒子の形状には特に制限はなく、立方体、八面体の所謂正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子を用いることができる。また、ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0056】
感光性ハロゲン化銀粒子の量は、ハロゲン化銀と有機銀塩の合計質量に対し50質量%以下が適当であり、好ましくは25〜0.1質量%、更に好ましくは15〜0.1質量%の範囲である。感光性ハロゲン化銀粒子として、ハロゲン化銀の形成成分を用いて有機銀塩の一部をハロゲン化銀に変換させてもよく、この工程の反応温度、反応時間、反応圧力等の諸条件は生産時の消費エネルギーを最小にするため適宜設定することができるが、通常、反応温度は−23℃乃至74℃、その反応時間は0.1秒〜72時間であり、その反応圧力は大気圧に設定されるのが好ましい。
【0057】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀粒子は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物、銀化合物、錫化合物、クロム化合物またはこれらの組み合わせによって化学増感することができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号等各明細書、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号等各公報に記載されている。
【0058】
本発明において、感光性ハロゲン化銀粒子は、必要により分光増感色素で増感することができ、分光増感色素として、例えば特開昭63−159841号、同60−140335号、同63−231437号、同63−259651号、同63−304242号、同63−15245号等の各公報、米国特許第4,639,414号、同第4,740,455号、同第4,741,966号、同第4,751,175号、同第4,835,096号等の各明細書に記載された増感色素を使用することができる。本発明に有用な増感色素は、例えばResearch Disclosure Item17643IV−A項(1978年12月p.23)、同Item1831X項(1978年8月p.437)に記載もしくは引用された文献に記載されている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば特開平9−34078号、同9−54409号、同9−80679号記載の化合物が好ましく用いられる。
【0059】
本発明の熱現像材料に含有される有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸、ヘテロ有機酸及び酸ポリマーの銀塩等が用いられる。また、配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用である。有機銀塩の例は、ResearchDisclosure第17029及び29963に記載されており、次のものがある:有機酸の塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の塩)等。
【0060】
本発明の熱現像材料が含有する還元剤は有機銀塩を還元して銀画像を形成するものである。好ましい還元剤の例は、米国特許第3,770,448号、同3,773,512号、同3,593,863号等の各明細書、及びResearch Disclosure第17029及び29963に記載されており、具体例としては、例えば次のものが挙げられる。
(K1)1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン
(K2)ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン
(K3)2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
(K4)4,4−エチリデン−ビス(2−tert−ブチル−6−メチルフェノール)
(K5)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン還元剤は、水に分散したり、有機溶媒に溶解して感光層用塗布液やその隣接層用塗布液に含有させてこれらの層に含有させることができる。有機溶媒は、メタノールやエタノール等のアルコール類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、トルエンやキシレン等の芳香族系を任意に選択することができる。還元剤の使用量は、銀1モル当り1×10-2〜10モルの範囲が適当であり、好ましくは1×10-2〜1.5モルである。
【0061】
本発明の熱現像材料の感光層及びその隣接層並びにその他の非感光層の高分子結合剤としては、通常無色の透明ないし半透明の高分子結合剤が用いられる。高分子結合剤としては、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリウレタン、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体等が挙げられる。
【0062】
本発明に使用する結合剤としては、乾燥後の塗膜の平衡含水率の低いものが好ましく、例えば、有機溶媒系のセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート及びポリアセタールを挙げることができる。中でも、ポリアセタールは、ポリ酢酸ビニルを鹸化することによりポリビニルアルコールを製造し、このポリビニルアルコールをアルデヒド化合物で反応させて得られるポリマーを意味するが、ブチルアルデヒドでアセタール化をしたポリブチラール、アセトアルデヒドでアセタール化したポリアセタール(狭義でのポリアセタール)が好ましい。本発明に好ましいポリアセタールは、ポリ酢酸ビニルの鹸化度が60〜99.9%であり、アセタール化は1〜100%まで理論的には存在するが、実用的には20〜95%が好ましい。アセタール化度が低いと水酸基が多くなり、写真性能において湿度に弱い特性を示し、アセタール化度が高いと反応温度や時間が過酷になり、コストや生産性が低下する。
【0063】
本発明においては、結合剤として、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体またはスチレンとブタジエンの共重合体を用いることが好ましい。
【0064】
本明細書において、ポリ酢酸ビニル誘導体とは、酢酸ビニルまたはその誘導体の単量体単位を有する重合体(共重合体を包含する)を意味し、ポリアクリル酸誘導体とは、アクリル酸またはアクリル酸エステルの単量体単位を有する重合体(共重合体を包含する)を意味し、ポリメタクリル酸誘導体とは、メタアクリル酸またはメタアクリル酸エステルの単量体単位を有する重合体(共重合体を包含する)を意味する。
【0065】
本発明において、感光層及びその隣接層のそれぞれの層が含む全結合剤のそれぞれ少なくとも70質量%が、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体またはスチレンとブタジエンの共重合体であることが好ましい。
【0066】
酢酸ビニル誘導体またはポリ(メタ)アクリル酸誘導体の共重合成分は、アクリル酸及びメタクリル酸の置換基を有してもよい炭素数1〜12の直鎖、分岐、または環状のアルキルエステルが好ましく、共重合比はポリ酢酸ビニル誘導体の場合は0〜50モル%、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体の場合は80〜99.9モル%が好ましく、平均重合度は、数平均重合度で100〜3000が好ましく、特に200〜2000が好ましい。
【0067】
水系塗布用結合剤としては、スチレンとブタジエンの共重合体、スチレンとアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステル類の共重合体、アクリル酸アルキルエステル類とメタクリル酸アルキルエステルの共重合体を挙げることができる。この水分散系ポリマーは、平均粒子径が1nmから数μmの範囲の微粒子にして水系分散媒中に分散されたものが好ましい。水分散系ポリマーは、水系塗布の結合剤として広く使用されている中で耐水性を向上させることができる点から疎水性であることが特に好ましい。ポリマーの重合度は、10〜1万程度まで自由に選択することができるが、100〜6000が塗布性や合成するときの生産性から好ましい。
【0068】
結合剤は、単独でも熱現像材料の各層を造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を与えるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着や膜強度を高めることができる。本発明に好ましい架橋剤は、アルコキシシラン基、イソシアナート基、エポキシ基(グリシジル基)、ビニルスルホニル基またはカルボジイミド基を有する架橋剤が好ましい。特に好ましい架橋剤はイソシアナート基を少なくとも2個有する架橋剤、カルボジイミド基を少なくとも2個有するカルボジイミド架橋剤、少なくとも2個のアルコキシ基を有するアルコキシシラン架橋剤、ビニルスルホニル基を少なくとも2個有するビニルスルホニル架橋剤を挙げることができる。好ましい架橋剤の例を下記に示す。
【0069】
(H1) ヘキサメチレンジイソシアナート
(H2) ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
(H3) トリレンジイソシアナート
(H4) フェニレンジイソシアナート
(H5) キシリレンジイソシアナート
(H6) 1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン
(H7) テトラメチレンキシリレンジイソシアナート
(H8) m−イソプロペニルα,α−ジメチルベンジルイソシアナート
(H9) フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン
(H10)p−メチルフェニルプロピルトリメトキシシラン
(H11)ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン
(H12)ジエトキシアミノプロピルトリエトキシシラン
(H13)1,3−ビス(ビニルスルホンアミド)プロパン
(H14)1,2−ビス(ビニルスルホンアミド)エタン
(H15)1,3−ビス(ビニルスルホンアミド)−2−ヒドロキシプロパン
(H16)ビス(ビニルスルホンアミド)エーテル
【0070】
【化14】
Figure 0004240828
【0071】
上記架橋剤は、水、アルコール類、ケトン類、非極性の有機溶媒類に溶解して添加してもよいし、塗布液中に固形のまま添加してもよい。添加量は、架橋する基と当量が好ましいが10倍まで増量してもよいし、10分の1以下まで減量してもよい。少なすぎると架橋反応が進まないし、多すぎると未反応の架橋剤が写真性を劣化させるので好ましくない。
【0072】
本発明の熱現像材料は、感光層が支持体の片面だけにある形態及び両面にある形態のいずれでもよい。感光層が支持体の片面だけにある場合には、感光層の反対側に設けられるBC層(裏面層)、場合によってはその保護層等を有する形態が含まれる。感光層の隣接層は、例えば、感光層の下側にあるハレーション防止層(AH層)、上側にある保護層等である。
【0073】
本発明の熱現像材料は、必要により該熱現像材料のハレーション防止用のAH層及び/またはハレーション防止用のBC層が設けられ、該AH層及びBC層に用いられる染料としては画像露光光を吸収する染料であればよいが、好ましくは米国特許第5,384,237号明細書等に記載される熱消色性染料が用いられる。染料が熱消色性でない場合は、使用量が熱現像材料に画像障害を及ぼさない範囲に限定されるが、熱消色性染料であれば必要にして十分な量の染料を添加することができる。
【0074】
本発明の熱現像材料は保護層を設けることができる。保護層にはマット剤を含有させることが好ましい。マット剤としては有機物及び無機物の何れでもよく、無機物のマット剤としては、例えばスイス特許第330,158号明細書に記載のシリカ、スイス特許第330,158号明細書に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書に記載のポリカーボネート等からなるマット剤を用いることができる。
【0075】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。マット剤の粒径を球形換算した直径で示すとき、本発明に用いられるマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。また、粒径分布の変動係数は50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは20%以下となるマット剤である。マット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。
【0076】
本発明の熱現像材料の支持体としては、紙、合成紙、不織布、金属箔、プラスチックフィルム等の支持体が使用可能であり、またこれらを組み合わせた複合シートを任意に用いることができる。
【0077】
本発明の熱現像材料の露光方法は任意である。露光方法として例えば、特開平9−304869号、同9−311403号及び特開2000−10230号各公報記載の方法によりレーザーで露光することができる。
【0078】
本発明の熱現像材料を現像する装置は公知のものを使用することができる。例えば、特開平11−65067号、同11−72897号及び同84619号各公報記載の装置を使用することができる。
【0079】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の実施の態様はこれらにより限定されない。
【0080】
実施例1
《下引済み支持体の作製》
厚さ175μmのポリエチレンテレフタレート支持体の両面に12W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.6μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1を設け、また反対側の面に下記下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.6μmになるように塗設し乾燥させて下引層B−1を設けた。
【0081】
(下引塗布液a−1)
ブチルアクリレート(30質量%)、t−ブチルアクリレート(20質量%)、スチレン(25質量%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)を15倍に希釈した液
(下引塗布液b−1)
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックス液(固形分30%)を15倍に希釈した液
引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、12W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を塗布乾燥して下引層A−2を設け、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を塗布乾燥して帯電防止機能をもつ下引上層B−2を設けた。
【0082】
(下引上層塗布液a−2)
スチレンとブタジエンの1:2(質量比)共重合体 0.4g/m2
シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.05g/m2
(下引上層塗布液b−2)
スチレンとブタジエンの1:2(質量比)共重合体 0.4g/m2
酸化錫微粒子(平均粒径16nm) 0.023g/m2
《感光層塗布液の作製》
(ハロゲン化銀粒子乳剤Aの調製)
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度28℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを硝酸銀に対して等モル含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。硝酸銀の添加と同期してヘキサクロロイリジウムのナトリウム塩を10-6モル/銀1モル添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.036μm、投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後、水を加えて160mlに仕上げた。
【0083】
(水分散有機銀塩の調製)
3980mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5モルの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。上記の有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、前記ハロゲン化銀粒子乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水420mlを添加し5分間攪拌した。次に1モルの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、さらに20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去した。その後、濾液の電導度が2μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、濾過を繰り返し、最後に遠心脱水後乾燥した。
【0084】
《感光層側の塗布》
前記下引層を施した支持体のA−2層上に以下の各層を順次形成し、熱現像材料試料を作製した。なお、乾燥は各々45℃,1分間で行った。
【0085】
(AH層塗布組成)
結合剤:表1記載 0.4g/m2
C1(染料) 1.2×10-5モル/m2
一般式(1)の化合物:表1記載 1.0×10-4モル/m2
(感光層塗布組成)
感光層形成のため以下の組成物の塗布液を調製し、以下の付き量になるように塗布乾燥した。銀量として1.36g/m2になる量の前記有機銀塩の調製液をポリマー結合剤と混合した。
【0086】
結合剤:表1記載 2.6g/m2
一般式(1)の化合物:表1記載 3.2×10-4モル/m2
A1(分光増感色素) 2×10-5モル/m2
カブリ防止剤−1:ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド
0.3mg/m2
カブリ防止剤−2:イソチアゾロン 1.2mg/m2
還元剤:例示化合物K1 3.3ミリモル/m2
フタラジン 2×10-4モル/m2
(表面保護層)
下記組成の塗布液を、下記の付き量になるように感光層上に塗布乾燥して表面保護層を形成した。
【0087】
セルロースアセテートブチレート 1.2g/m2
4−メチルフタル酸 0.7g/m2
テトラクロロフタル酸 0.2g/m2
テトラクロロフタル酸無水物 0.5g/m2
シリカマット剤(平均粒径5μm) 0.5g/m2
一般式(1)の化合物:表1記載 1.0×10-4モル/m2
なお、結合剤は、ポリアセタールとスチレンとブタジエンの共重合体の2種を使用し、ポリアセタールの場合は有機溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を使用し、スチレンとブタジエン共重合体の場合は溶媒としてi−プロパノール及びエタノール各1質量%を含む水を使用し、これに添加剤を微粒子分散し塗布した。ポリアセタールは、重合度500のポリ酢酸ビニルを98%鹸化後、残存水酸基の86%をブチラール化して使用した(「PVB−1」と記す)。スチレンとブタジエンの共重合体は、スチレンとブタジエンを1:2の質量組成比の常法で乳化共重合させた(「SB−1」と記す)。
【0088】
《BC層側の塗布》
バック面側には以下の組成となるように調製したBC層及びその保護層用の各塗布液をB−2層上に順次塗布乾燥してBC層及び保護層を形成した。
【0089】
(BC層組成)
PVB−1(結合剤) 1.8g/m2
C1(染料) 1.2×10-5モル/m2
(BC保護層塗布液)
セルロースアセテートブチレート 1.1g/m2
マット剤(PMMA:平均粒子径5μm) 0.12g/m2
【0090】
【化15】
Figure 0004240828
【0091】
《評価》
(写真性能)
上記作製した熱現像材料試料を3つに分け、1つを25℃、相対湿度48%の雰囲気下に3日間保存した後、810nmの半導体レーザー露光用の感光計で露光し、露光後120℃で8秒間加熱して得られた試料を即試料(処理を「即処理」と記す)とした。即試料の感度及びカブリを濃度計により測定した。感度はカブリ濃度より0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価し、試料101の感度を100とする相対値で表わした。
【0092】
2つ目の試料は、1つ目と同様にレーザー露光用感光計で露光し、現像後の試料を10,000ルクスのシャーカステン上に10時間放置した後、画像保存性の一つの耐光性の指標として最高濃度の低下(ΔDmax)を測定し、色調を観察した。ΔDmaxは、即試料と耐光性試験試料の最高濃度を濃度計により測定し、その低下値で表した。色調については、下記評価基準に基づき評価した。
【0093】
ランク 評価基準
5 全く問題ない色調
4 実技上問題のない色調
3 僅かに黄色味を帯びているが問題ない色調
2 不快な色調であり、問題となる可能性がある色調
1 明らかに顕著な変化が認められ実技上問題となる色調
3つ目の試料は、1つ目と同様にレーザー露光用感光計で露光し、現像後、55℃、相対湿度20%の暗室に3日間保存した後のカブリ(画像保存性の一つの耐熱性)を測定した。画像保存性の一つの指標として、前記即試料と耐熱性試験を行った試料のカブリの増加(△カブリ)を用いた。
【0094】
なお、上記試料のレーザー露光及び現像処理は25℃±1℃、相対湿度48%±1%に調湿した部屋で行った。カブリの増加値や最高濃度の低下値の少ない程、また色調の変化の少ない程画像保存性がよいことを示す。結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
Figure 0004240828
【0096】
表1から、本発明の一般式(1)で表される化合物を使用した試料は、熱現像時の写真性能(感度及びカブリ)が良好であり、画像保存性の一つの耐光性(最高濃度の低下と色調変化の防止)と、もう一つの画像保存性の耐熱性(カブリの増加防止)に優れていることが分かる。
【0097】
実施例2
実施例1と同様に試料を作製し性能を評価したが、ここでは一般式(1)の化合物及び一般式(2)のポリハロメタン化合物をAH層、感光層及び保護層に以下の量を添加し、即処理の写真性能及び画像保存性を試験した。
【0098】
一般式(1)の化合物:AH層、感光層及び保護層の添加量は実施例1と同量
一般式(2)の化合物:AH層 1×10-4モル/m2
一般式(2)の化合物:感光層 2×10-4モル/m2
一般式(2)の化合物:保護層 1×10-4モル/m2
なお、相対感度は試料番号201の感度を100とする相対値で表した。結果を表2に示す。
【0099】
【表2】
Figure 0004240828
【0100】
表2から、本発明の一般式(1)の化合物にポリハロメタン化合物を併用すると即処理の写真性能(感度及びカブリ)が良好であり、画像保存性の一つの耐光性(最高濃度の低下と色調変化の防止)と、もう一つの画像保存性の耐熱性(カブリの増加防止)に優れていることが分かる。
【0101】
実施例3
実施例1と同様に熱現像材料試料を作製したが、この実施例では架橋剤をAH層、感光層、保護層及びBC層に添加した。感光層中には2.8×10-4モル/m2、保護層には0.8×10-4モル/m2、AH層には0.9×10-4モル/m2、BC層には2.8×10-4モル/m2添加した。なお、同一試料中では同一の架橋剤を使用した。写真性能及び画像保存性は実施例1と同様に評価した。なお、相対感度は試料番号301の感度を100する相対感度で表した。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
Figure 0004240828
【0103】
表3から、本発明の一般式(1)の化合物にポリハロメタン化合物と架橋剤を併用すると、即処理の写真性能(感度及びカブリ)が良好であり、画像保存性の一つの耐光性(最高濃度の低下と色調変化の防止)と、もう一つの画像保存性の耐熱性(カブリの増加防止)に優れていることが分かる。
【0104】
【発明の効果】
本発明により、高い感度と低いカブリを有し、熱現像後の画像保存性に優れた熱現像材料を提供することができる。

Claims (4)

  1. 支持体上に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、還元剤及び高分子結合剤を含有する感光層と、該感光層に隣接し高分子結合剤を含有する隣接層を有する熱現像材料において、該感光層及び隣接層の少なくとも1層中に下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする熱現像材料。
    Figure 0004240828
    式中、Xは置換基を表し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、nは0〜4の整数を表す。
  2. 感光層及び隣接層の少なくとも1層中に、ポリハロメタン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の熱現像材料。
  3. 感光層及び隣接層の少なくとも1層中の高分子結合剤として、ポリ酢酸ビニル誘導体、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体またはスチレンとブタジエンの共重合体を含有することを特徴とする請求項1または2記載の熱現像材料。
  4. 感光層及び隣接層の少なくとも1層中の高分子結合剤が、イソシアナート基、アルコキシシラン基、ビニルスルホン基またはカルボジイミド基を有する化合物から選ばれる架橋剤により架橋されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の熱現像材料。
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