JP2005016292A - 杭と連続地中壁の複合基礎 - Google Patents

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脩 千葉
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昇昭 伊勢本
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隆 流田
Yoshitoshi Yasui
美敏 保井
Osamu Kaneko
治 金子
Takeshi Azumaguchi
剛 東口
Hiroshi Asega
宏 阿世賀
Yoshio Takeuchi
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Keiichi Miyazaki
啓一 宮崎
Toshiyuki Hagiwara
敏行 萩原
Toshiaki Arai
寿昭 新井
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Abstract

【課題】 軟弱地盤において建物の軸力荷重を十分に支持でき、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させ、上部構造への入力低減による上部躯体の低減、あるいは、構造種別の変更を可能とするとともに、杭断面低減及び液状化対策も可能として、連続地中壁を用いてもトータルなコスト低減、工期短縮が可能な杭と連続地中壁の複合基礎を提供する。
【解決手段】 支持地盤22まで到達して設けられる複数本の杭16a、16bと、この杭16a、16bを囲って杭16a、16bと一体に設けられる連続地中壁18とを有し、軟弱な地盤が30m以上堆積した場所に対し構築される杭と連続地中壁の複合基礎14であって、連続地中壁18は、平面視ほぼ正方形の建物10の外周に沿って配設され、かつ、支持地盤22よりも浅く形成され、杭16aは、連続地中壁18内の最外周位置にも配設されて、杭16aに建物10の軸力荷重を負担させ、連続地中壁18には、主として地震時の水平荷重のみを負担させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、杭と連続地中壁の複合基礎に関し、特に、軟弱地盤における杭と連続地中壁の複合基礎に関する。
一般に、建物の軸力を受けるため基礎杭が用いられている。
軟弱地盤では、地震時の水平荷重が加わったときの対処として、杭頭部を天端から杭径の5倍程度に相当する長さ分杭径を太くしたり鋼管を巻くなどの補強をするようにしている。
しかし、軟弱地盤が厚く堆積するような場所に高層建物を建築するような場合、杭頭部を太くしただけでは建物の応答変位値が大きくなるため、杭基礎を連続地中壁杭にて囲うことが行われる場合がある。
このように、連続地中壁を連続地中壁杭として使用する場合には、軸力荷重により連続地中壁杭の厚さが決まってしまい、厚い連続地中壁杭を支持地盤まで長く作らなければならず、掘削量やコンクリートの量が増え、非常に不経済で、工期も長くなり、掘削土量が増大し、建設残土が増大してしまうこととなる。
また、支持地盤までが深いと、厚い連続地中壁杭を深く、精度よく構築することが困難となる。
そのため、連続地中壁を支持地盤より浅く根入れさせ、この連続地中壁に囲まれた地盤変形抑制領域において支持地盤にまで根入れされた杭及び地盤アンカーにて建物を補強する技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2001−288758号公報
このような特許文献1に記載されるような技術では、連続地中壁が杭とともに建物の鉛直荷重を支持するようになっており、杭は連続地中壁から離れた位置に設けられるようになっている。
このように、連続地中壁が支持地盤より浅く根入れされているにもかかわらず、建物の鉛直荷重を支持するためには、ある程度硬い地盤でなければならない。
これに対し、例えば、東京湾岸地域などの軟弱地盤においては、前述の技術では建物の鉛直荷重を十分に支持することができない。
本発明の目的は、軟弱地盤において建物の軸力荷重を十分に支持でき、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させ、上部構造への入力低減による上部躯体の低減、また、構造種別の変更を可能とするとともに、杭断面低減及び液状化対策も可能として、連続地中壁を用いてもトータルなコスト低減、工期短縮が可能な杭と連続地中壁の複合基礎を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の杭と連続地中壁の複合基礎は、支持地盤まで到達して設けられる複数本の杭と、この杭を囲って前記杭と一体に設けられる連続地中壁とを有し、軟弱な地盤が30m以上堆積した場所に構築される杭と連続地中壁の複合基礎であって、
前記連続地中壁は、平面視ほぼ正方形または多角形の建物の外周に沿って配設され、かつ、前記支持地盤よりも浅く形成され、
前記杭は、前記連続地中壁内の最外周位置にも配設されて、前記杭に建物の軸力荷重を負担させ、
前記連続地中壁には、主として地震時の水平荷重のみを負担させることを特徴とする。
本発明によれば、平面視ほぼ正方形または多角形の建物の外周に沿って支持地盤よりも浅い連続地中壁を配設し、この連続地中壁内の最外周位置にも杭を配設し、杭に建物の軸力荷重を負担させ、連続地中壁には主として地震時の水平荷重のみを負担させることで、建物を安定して支持し、かつ、ほぼ正方形状に構築された連続地中壁によって建物の下部を剛性の高い状態で囲い、変形しにくい状態とすることで、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができる。
従って、地盤が30m以上堆積した場所に対しても、建物の軸力荷重を十分に支持でき、上部構造への地震入力低減も図ることができる。
なお、ここでほぼ正方形とは、縦及び横の辺の比が0.7〜1.0程度のものをいう。
また、多角形とは、平面視十字状の形状、五角形、六角形、八角形等の形状のものをいう。
また、この連続地中壁による上部構造への地震入力低減によって、上部躯体の低減や構造種別、例えば、耐力の大きなコンクリート・フィルド・スチール・チューブ(CFT)構造やSRC構造をRC構造に変更して、上部構造のコストを下げることができ、コストの高い連続地中壁を用いた場合でも、上部構造を含めたトータルコストを低減することができる。
さらに、杭は軸力荷重を受けるだけですみ、水平荷重はほとんどかからないため、杭頭を拡径とする必要がなく、しかも、杭径を細くすることができるので、杭に要するコストを削減することができ、工期も短縮することができる。
また、連続地中壁は、主として水平力のみを受ければよく、軸力を負担する必要がないため、連続地中壁を薄くすることができ、短くすることも可能となり、コスト低減及び工期短縮が可能となる。
ここで、連続地中壁は、RC壁の他S壁、SRC壁、ソイルセメント壁を含んでおり、杭は場所打ち杭の他鋼管杭を含む。
さらに、連続地中壁によって囲まれた部分における液状化防止も可能となる。
また、連続地中壁が支持地盤までないことから、連続地中壁下方では透水性が妨げられず、周辺環境への影響を与えないものとすることができる。
本発明においては、前記支持地盤までの深さが40m〜70mの地盤に用いられるようにすることができる。
このような構成とすることにより、支持地盤の深度が深い場合に支持地盤まで連続地中壁を形成する場合に比しコスト削減効果を大きくすることができる。
本発明においては、連続地中壁の深さを、基礎底から支持地盤の深さに対して30〜70%とすることができる。
このような構成とすることにより、連続地中壁の深さを基礎底から支持地盤までの深さに対して30%とすることにより、支持地盤まで連続地中壁を形成した場合の変量に対し変位量を大きく変化させない範囲で連続地中壁を形成することができ、しかも、コストメリットを大きくすることができる。
また、連続地中壁の深さを基礎底から支持地盤までの深さに対して70%とすることで、コストメリットは小さくなるが、支持地盤まで連続地中壁を形成した場合と同等に変位量を小さく抑えることができる。
本発明においては、前記軟弱地盤は剪断波速度150m/s以下で、かつ、初期の一次固有周期が0.6秒より長い地盤であっても、建物の軸力荷重を充分に支持でき、上部構造への入力低減も図ることができる。
本発明においては、地震時の地盤の一次固有周期と前記建物の一次固有周期との比が0.6〜1.0である場合に、建物最大応答変位及び建物最大応答加速度を効果的に小さくすることができる。
本発明においては、前記軟弱地盤は、前記支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層を含み、
前記中間層は、地表より所定の深さで前記支持地盤まで達する層厚を有し、
前記連続地中壁は、前記中間層までの深さに形成されるようにすることができる。
このような構成とすることにより、軟弱地盤において支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層が地表より所定の深さで支持地盤まで達する層厚を有している場合、連続地中壁を中間層までの深さに形成することで、連続地中壁にある程度の軸力荷重を支持させることで、杭に対する軸力荷重の負担を軽減させて、杭の太さを細くすることができ、コストの削減が可能となる。
また、連続地中壁によって建物の下部を剛性の高い状態で囲い、かつ中間層で支持し、変形しにくい状態とすることで、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができる。
さらには、地震動の建物への入力を抑えることができ、上部構造の設計上有効である。
本発明においては、軟弱地盤において支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層が地表より所定の深さで支持地盤まで達しない層厚を有している場合、連続地中壁をコーナー部のみ支持地盤まで達する深さに形成し、他の部分は中間層までの深さに形成することで、中間層の下側に軟弱層が続く場合でも、連続地中壁のコーナー部を支持地盤まで延長させることにより、コーナー部での高い剛性により水平荷重に対する剛性を大きくし、かつ、軸力荷重を支持することができ、外周コーナー杭は省略でき、連続地中壁に囲まれた杭は軸力のみ負担させるので、杭の太さを細くして、コストを削減することが可能となる。
また、建物の下部は中間層まで連続地中壁によって囲われ、かつ中間層で支持されているため、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができる。
このような支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層が、N値10以上の粘性土またはN値20以上の砂質土で、剪断波速度が250m/s以上の地盤とすることができる。
このような構成とすることにより、中間層によって連続地中壁の水平変位を小さくできるとともにある程度の軸力荷重を負担できることとなる。
また、これらの場合においては、中間層までの深さは10m以上とすることができる。
このような構成とすることにより、連続地中壁を所定の深さに形成して、水平力の十分な負担をすることが可能となる。
さらに、中間層の層厚は、5m以上とすることができる。
このような構成とすることにより、中間層によって連続地中壁の水平変位を小さくできるとともにある程度の軸力荷重を支持することが可能となる。
この場合、中間層に前記連続地中壁の下端を根入れすることができる。
このような構成とすることにより、連続地中壁の下部を剛性の高い中間層に拘束させることができ、確実に水平荷重を負担することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1〜図5は、本発明の一実施の形態にかかる杭と連続地中壁の複合基礎を示す図である。
図1は、この実施の形態にかかる杭と連続地中壁の複合基礎上に建物を構築した状態を示す断面図で、図2は、図1における建物の平面図である。
この建物10は、軟弱地盤12、例えば、剪断波速度150m/s以下の地盤が前記支持地盤から30m以上堆積し、かつ、初期の一次固有周期が0.6秒より長い軟弱地盤上に構築されるもので、平面視がほぼ正方形とされた超高層建物とされている。
具体的には、図2に示すように、平面視の一辺の長さL1が36m、他辺の長さL2が36mの正方形とされている。
このL1,L2は、30m〜50mの範囲で、任意に設定することができる。
また、建物10の高さH(図1参照)は、150mとされている。
この建物10は、軟弱地盤12上に構築されるため、複合基礎14によって支持されるようになっている。
この複合基礎14は、複数本の杭16と、連続地中壁18との複合となっている。
杭16は、建物10の柱対応位置で基礎底20から支持地盤22まで到達して根入れされた拡底杭となっている。
なお、この基礎底20までの基礎は、地下室を有する場合が含まれているのはもちろんである。
連続地中壁18は、平面視ほぼ正方形の建物10の外周に沿って外周杭16a、内部杭16bを囲って配設され、地下躯体及びフーチング24を介して外周杭16a、内部杭16bと一体にされている。
このように、平面視ほぼ正方形の建物10の外周に沿って連続地中壁18を配設することで建物10を安定して支持することができ、建物10の平面視の一辺の長さが長くなるほど安定した状態が得られる。
また、この連続地中壁18は、基礎底20から支持地盤22までの深さLtよりも浅い深さLaに設定されている。
このように連続地中壁18の深さLaを浅くすることにより、基礎底20から支持地盤22までの深さLtまでとする場合に比し、大幅なコストの削減だけでなく工期の短縮を図ることも可能となる。
そして、連続地中壁18内の最外周位置にも外周杭16aが配設され、建物10の軸力荷重を外周杭16a、内部杭16bにて支持させるようにし、連続地中壁18には主として地震時の水平荷重のみを支持させるようにしている。
このように建物10の軸力荷重を外周杭16a、内部杭16bに、地震時の水平荷重を連続地中壁18に支持させるようにすることで、連続地中壁18は軸力荷重を負担する必要がないので、連続地中壁18の厚さを薄くすることができ、さらなるコストの削減及び工期の短縮を図ることができる。
また、外周杭16a、内部杭16bは、軸力荷重を負担し、地震時の水平荷重をほとんど負担することがないため、杭頭を補強する必要もなく、杭径も小さくてすみ、さらなるコストの削減及び工期の短縮を図ることができる。
さらに、連続地中壁18は、水平剛性が大きいため、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができ、しかも、上部構造である建物10への入力を低減させることで、建物10の構造を、例えば躯体断面を小さくできたり、耐力の高いSRC構造やCFT構造からRC構造に変更することが可能となり、コストの高い連続地中壁18を用いるにもかかわらず建物を含めたトータルコストを削減することができる。
また、連続地中壁18にて囲われた地盤の地震時における液状化防止も可能となる。
ここで、連続地中壁18の深さLaは、基礎底20から支持地盤22の深さLtに対して30〜70%とされている。
この地表面12aから支持地盤22までの深さは、30m〜70m、より好ましくは40m〜70mであるとコストメリットが大きくなる。
ここで、連続地中壁18の深さ(長さ)と、コスト比及び水平変位量との関係を図3に示す。
これらの算定は、連続地中壁の厚さを1.5m、内部杭25本、外周杭24本として、図1の基礎部分を3次元でモデル化し、地震時慣性力を基礎に載荷した。
図3において、コスト比は、支持地盤22の深さLtまで連続地中壁を形成した場合と、それよりも浅い深さLaで連続地中壁を形成した場合との比を示しており、図3は、基礎底20から支持層22までの深さLtが60mの場合を示している。
図3から、基礎底20から連続地中壁18までの深さLaが45mであれば、外周杭16aが増えたとしても、支持地盤22までの深さLtで連続地中壁18を形成した場合とコスト比が同等になり、それよりも短ければコスト比が小さくなりコストダウンになることがわかる。
したがって、La/Ltは、70%程度以下であればよい。
また、連続地中壁18の深さLaが15m以上であれば、水平変位量の変化が小さくなることがわかる。
さらに、地盤の種類に応じて水平変位置が変化するので、多少の余裕をみて、La/Ltは、30%以上とする。
次に、連続地中壁18の深さLaと、コストとの関係を試算した一例を図4に示す。
図4は、基礎底20から支持地盤22までの深さLtが50mの条件で、厚さ1.5mの連続地中壁を基礎として、複合基礎を形成した状態を示している。
(1)は連続地中壁18の深さLaを20m(La/Lt=40%)に設定した場合、(2)は連続地中壁18の深さLaを20m(La/Lt=40%)とし、連続地中壁18の壁厚を1.2mと薄くした場合をそれぞれ示している。
(1)の場合では81%、(2)の場合では75%にコスト低減が可能となる。
さらに、図5に、遠心載荷模型実験による周期比と応答比との関係を示す。
この実験では、遠心加速度50Gとして、軟弱地盤を想定し、地震力のレベルを3段階に変化させている。
また、直径10mmの外周杭12本と直径12mmの内部杭4本をフーチングで剛接合した杭基礎模型と、直径12mmの内部杭4本と2.5mm、長さ250mmの支持地盤に達する連続地中壁とをフーチングで剛接合した複合基礎模型とを用いた。
図5(1)では周期比と建物最大応答加速度比との関係を示しており、図5(2)では周期比と建物最大応答変位比との関係を示している。
周期比は、地盤一次固有周期/建物一次固有周期とし、建物最大応答加速度比は、複合基礎の建物最大応答加速度/杭基礎の建物最大応答加速度とし、建物最大応答変位比は、複合基礎の建物最大応答変位/杭基礎の建物最大応答変位として示している。
実験の結果、周期比が0.6〜1.0になると建物最大応答加速度比及び建物最大応答変位比のいずれも急激に下がることが判明した。
したがって、周期比が0.6〜1.0の場合に連続地中壁が有効に機能し、地震時水平荷重処理に効果的であることがわかる。
このことから、本実施の形態のように連続地中壁が支持地盤よりも浅い場合にも同様の結果が得られるものと考えられる。
図6には、本発明の他の実施の形態にかかる杭と連続地中壁の複合基礎を示す。
この実施の形態では、支持地盤22から30m以上軟弱地盤12が堆積した状態となっており、この軟弱地盤12には、支持地盤22よりは剛性が低くその上層30よりは剛性の高い中間層32が存在している。
この中間層32は、図7に示すような性質で、地表面12aより所定の深さ、例えば10m以上で、支持地盤22まで達する層厚を有している。
この中間層32は、N値10以上の粘性土またはN値20以上の砂質土で、剪断波速度が250m/s以上の地盤である。
また、中間層32の層厚は5m以上となっている。
このような中間層32を有する軟弱地盤12における複合基礎14は、拡底杭である複数本の杭16を建物10の基礎底から支持地盤22まで到達して根入れさせるとともに、建物10の外周に沿って連続地中壁18を中間層32までの深さに形成している。
この連続地中壁18の下端は、中間層32の上部に根入れした状態となっている。
このように、連続地中壁18の下端を中間層32に支持させることで、連続地中壁18にある程度の軸力荷重を支持させ、杭16に対する軸力荷重の負担を軽減させて、杭16の太さを細くすることができ、コストの削減が可能となる。
また、建物10の下部は、中間層32まで連続地中壁18によって囲われ、かつ、中間層32で支持されているため、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができる。
他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様につき説明を省略する。
次に図6に示す中間層が地表から所定の深さで、支持地盤まで達する場合の複合基礎と、中間層がない場合の同じ長さの地中連続壁を形成した場合とを、支持地盤まで連続地中壁を形成した場合と比較した変位の比を図8に示す。
計算は基礎部分を3次元でモデル化し、地震時慣性力を基礎に載荷した。
この試算では、支持層までの深さが60mの場合を想定し、ケース1では、深さ0〜14mでは剪断波速度が120m/s、14m〜25mでは350m/s、25m〜40mでは250m/s、40m〜60mでは350m/sで、中間層が深さ14mから支持地盤まで達している状態となっている。
ケース2では、深さ0〜19mでは剪断波速度が120m/s、19〜30mでは350m/s、30〜45mでは250m/s、45m〜60mでは350m/sで、中間層が深さ19mから支持地盤まで達している状態となっている。
比較対照となる中間層がない場合は、0〜60mに至るまで剪断波速度が120m/sの地盤条件となっている。
なお、複合基礎の試算条件は、連続地中壁の厚さが1.5m、内部杭25本、外部杭24本の条件とした。
その条件での試算結果は、同図(2)に示すように、ケース1の場合、支持層まで連続地中壁を形成した60mの連続地中壁の場合との変位の比が、中間層がない場合は1.6、中間層がある場合は1.5となり、またケース2の場合は、中間層がない場合は1.3、中間層がある場合は1.2となり、中間層上で連続地中壁を止めることにより、中間層がない軟弱地盤での連続地中壁が同じ長さの場合に比し、60mの連続地中壁とした場合との割合で10%程度変形量が小さくなることが判明した。
図3からも明らかなように、このような変位の比が1.5以下では、比を0.1下げるために連続地中壁をおよそ2m長くしなければならないことから、中間層を利用する効果は大きい。
この場合、連続地中壁は下端が中間層に1m根入れされた状態でケース1の場合は地中連続壁が15m、ケース2の場合は連続地中壁が20mとして算定した。
なお、連続地中壁の下端を5m程度中間層に根入れした場合は、例えば20mに中間層がある場合、25/60=42%の長さで変位量は60mの連続地中壁の場合と同じとなり、同様の耐震性が得られることになる。
次に、地震時の性質について図9に示す中間層について検討した結果を示す。
地盤構成は、同図(1)に示すように、0〜20mでは剪断波速度120m/s、20m〜40mでは250m/s、40m〜50mでは300m/s、50m〜60mでは350m/s、60m以深は450m/s(支持地盤相当)となっている。
ここでは、同図(2)に示すように、地震波を告示波と臨界波の2種類設定し、超高層建物をイメージし、1次固有周期0.27Hz(3.8秒)の1質点モデルにより動的応答計算を行った。
基礎は、支持地盤までの60mを連続地中壁としたもの、支持用の外周杭を設置し、中間層上までの20mまでを連続地中壁としたもの、杭のみの基礎の3種類を検討した。
耐震設計上重要となる、建物の最大応答加速度及び最大応答変位、基礎の最大応答加速度及び最大応答変位について比較検討したところ、20m連続地中壁にすることにより、60m連続地中壁より基礎最大応答加速度以外はすべて小さくなっており、地盤周期特性、建物特性を考慮すると、地震波によっては、中間層が現れる20mまでを連続地中壁としたほうが60mまで伸ばした場合と同等か優れた性能を発揮する場合もあり、今回の試算では短い連続地中壁とした時、基礎の変位減少の効果のみでなく、建物への入力減少の効果も生じている。
また、連続地中壁を用いない杭基礎との比較では、応答値によっては50%の軽減になっており、杭基礎よりもすべての項目で大いに優れている。
図10には、本発明のさらに他の実施の形態にかかる杭と連続地中壁の複合基礎を示す。
この実施の形態では、軟弱地盤12には、支持地盤22よりは剛性が低く、その上層30よりは剛性の高い中間層34が存在し、地表面12aより所定の深さ、例えば10m以上で、支持地盤22まで達しない層厚、例えば5m以上を有している。
また、この中間層34は、N値10以上の粘性土またはN値20以上の砂質土で、剪断波速度が250m/s以上の地盤となっている。
このような中間層34を有する軟弱地盤12に設けられる複合基礎14は、拡底杭である複数の杭16を建物10の基礎底から支持地盤22まで到達して根入れするとともに、連続地中壁18のコーナー部36のみ支持地盤22まで達する深さに形成し、他の部分、コーナー部36間の壁部38を中間層34までの深さに形成している。
この連続地中壁18の壁部38の下端は、中間層34の上部に根入れした状態となっている。
このように、連続地中壁18をコーナー部36に支持地盤22まで達する深さに形成し、他の部分は中間層34までの深さに形成することで、中間層34の下側に軟弱な下層40が続く場合でも、連続地中壁18のコーナー部36を支持地盤22まで延長させることにより、コーナー部での水平加重に対する十分な剛性を確保するとともに、コーナー外杭に代わり軸力荷重を支持することができ、コーナー外杭を省略できるとともに、連続地中壁で囲まれた杭は軸力のみ負担させるので杭の太さを細くして、コストを削減することが可能となる。
また、建物10の下部は中間層34まで連続地中壁18によって囲われ、かつ、連続地中壁18が中間層34によって支持されているため、地震時の応答変位を低減して居住性を向上させることができる。
他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様につき説明を省略する。
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
前記実施の形態では、建物の高さが150mとされているが、この例に限定されるものではなく、建物の高さは任意に変更可能である。
本発明の一実施の形態に係る杭と連続地中壁の複合基礎上に建物を構築した状態を示す断面図である。 図1における建物の平面図である。 連続地中壁の深さとコスト比及び応答変位量との関係を示す特性図である。 連続地中壁の深さとコストとの関係を試算した一例を示す図である。 遠心載荷模型実験による周期比と応答比との関係を示すもので、(1)は周期比と建物最大応答加速度比との関係を示す特性図、(2)は周期比と建物最大応答変位比との関係を示す特性図である。 本発明の他の実施の形態に係る杭と連続地中壁との複合基礎を示す断面図である。 中間層の一例を示す図である。 図6の中間層を有する場合の複合基礎と中間層を有しない場合の複合基礎とを支持地盤まで連続地中壁を形成した場合との変位の比を示すもので、(1)は比較する地盤条件を示す図で、(2)は各地盤条件における変位の比を示す図である。 図6の中間層を有する場合の地震時の応答計算結果を示すもので、(1)は対象とする地盤条件を示す図で、(2)は各部位の60mの長さの連続地中壁、杭基礎の比を示す図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係る杭と連続地中壁の複合基礎を示す断面図である。
符号の説明
10 建物
12a 地表面
14 複合基礎
16a 外周杭
16b 内部杭
18 連続地中壁
20 基礎底
22 支持地盤
24 フーチング
30 上層
32、34 中間層
36 コーナー部
38 壁部
40 下層
H 建物の高さ
Lt 支持地盤までの深さ
La 連続地中壁の深さ
L1 建物の一辺の長さ
L2 建物の他辺の長さ

Claims (11)

  1. 支持地盤まで到達して設けられる複数本の杭と、この杭を囲って前記杭と一体に設けられる連続地中壁とを有し、軟弱な地盤が30m以上堆積した場所に構築される杭と連続地中壁の複合基礎であって、
    前記連続地中壁は、平面視ほぼ正方形または多角形の建物の外周に沿って配設され、かつ、前記支持地盤よりも浅く形成され、
    前記杭は、前記連続地中壁内の最外周位置にも配設されて、前記杭に建物の軸力荷重を負担させ、
    前記連続地中壁には、主として地震時の水平荷重のみを負担させることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  2. 請求項1において、
    前記支持地盤までの深さが40m〜70mの地盤に用いられることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  3. 請求項1または2において、
    前記連続地中壁の深さは、基礎底から支持地盤までの深さに対して30〜70%とされていることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記軟弱地盤は剪断波速度150m/s以下で、かつ、初期の一次固有周期が0.6秒より長い地盤であることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    地震時の前記地盤の一次固有周期と建物の一次固有周期との比が0.6〜1.0であることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  6. 請求項1または2において、
    前記軟弱地盤は、前記支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層を含み、
    前記中間層は、地表より所定の深さで前記支持地盤まで達する層厚を有し、
    前記連続地中壁は、前記中間層までの深さに形成されることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  7. 請求項1または2において、
    前記軟弱地盤は、前記支持地盤よりは剛性が低くその上層よりは剛性の高い中間層を含み、
    前記中間層は、地表より所定の深さで前記支持地盤まで達しない層厚を有し、
    前記連続地中壁は、コーナー部のみ前記支持地盤まで達する深さに形成し、他の部分は前記中間層までの深さに形成されることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  8. 請求項6または7において、
    前記中間層は、N値10以上の粘性土またはN値20以上の砂質土で、剪断波速度が250m/s以上の地盤であることを特徴とする杭と連続地中壁の複合基礎。
  9. 請求項6〜8のいずれかにおいて、
    前記中間層までの深さは、10m以上であることを特徴とする杭と連続地中壁との複合基礎。
  10. 請求項6〜9において、
    前記中間層の層厚は、5m以上であることを特徴とする杭と連続地中壁との複合基礎。
  11. 請求項6〜10のいずれかにおいて、
    前記中間層に前記連続地中壁の下端を根入れしたことを特徴とする杭と連続地中壁との複合基礎。
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