JP2005014426A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリッジに光学センサを設けて記録媒体の幅、位置、キャリッジ位置を検出するだけでは、記録媒体種別や搬送ベルトの汚れに対応することができない。
【解決手段】記録ヘッド7を搭載したキャリッジ3には、キャリッジ近傍の状態を検知する反射型フォトセンサを用いた状態検知センサ41を設け、状態検知センサ41の検知結果に基づいて搬送ベルト21で搬送される用紙12の種類を検出し、搬送ベルト21の汚れ、破損を検出して、用紙種別に応じた制御を行い、搬送ベルト21のクリーニングや交換を促す制御を行う。
【選択図】 図3
【解決手段】記録ヘッド7を搭載したキャリッジ3には、キャリッジ近傍の状態を検知する反射型フォトセンサを用いた状態検知センサ41を設け、状態検知センサ41の検知結果に基づいて搬送ベルト21で搬送される用紙12の種類を検出し、搬送ベルト21の汚れ、破損を検出して、用紙種別に応じた制御を行い、搬送ベルト21のクリーニングや交換を促す制御を行う。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平7−179248号公報
【特許文献2】特開平8−332738号公報
【特許文献3】特開2002―301845号公報
【特許文献4】特開2001−10151号公報
【特許文献5】特開平5−131729号公報
【特許文献6】特公平6−30933号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像形成装置(或いは画像記録装置ともいう。)として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インク記録ヘッドから記録媒体(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、液滴が付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙などとも称される。)にインク滴を吐出して記録(画像形成)を行うものであり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
【0004】
このようなインクジェット記録装置において、画像を形成する手段である記録ヘッドをキャリッジに搭載して、キャリッジを走査させ、記録媒体を搬送することで画像を形成する装置では、記録媒体の位置情報、サイズ情報が重要になってくる。記録媒体の位置情報を正確に取得することによって記録開始(画像形成開始)を正確な位置から行うことができ、品質を向上することができる。
【0005】
特に、記録媒体を搬送ベルトを用いて搬送する装置においては、記録媒体を外れた位置で記録ヘッドからインク滴を吐出させると、搬送ベルト上にインク滴が着弾して記録媒体の裏面が汚れるなどの不具合が生じる。
【0006】
ここで、従来、例えば
【特許文献1】に記載されているようにキャリッジに設けた紙幅センサにより記録用紙種類に応じた適切な紙幅検知を行うようにしたもの、
【特許文献2】に記載されているに廃インクを収納する廃インク収納部のインク充填量検知センサを記録媒体の紙幅を検知する紙幅検知センサと兼用するようにしたもの、
【特許文献3】に記載されているようにキャリッジに搭載した光学センサで記録ヘッドのホームポジションを検出するようにしたものがある。
【0007】
さらに、
【特許文献4】に記載されているように、記録ヘッドに用紙を送り込むフィードローラの用紙搬送方向上流側に用紙の先端を検知するためのセンサを設けるとともに、記録ヘッドを搭載したキャリッジに用紙の後端を検知するためのセンサを設けたもの、
【特許文献5】に記載されているように、キャリッジに用紙の有無を検出する用紙センサを設け、この用紙センサは用紙搬送方向で記録ヘッドと同じ位置を検出するように設け、用紙の幅方向及び用紙後端を検出するようにしたもの、
【特許文献6】に記載されているように、キャリッジに用紙の有無を検出する用紙センサを設け、この用紙センサは用紙搬送方向で記録ヘッドと同じ位置を検出するように設け、用紙の幅方向及び用紙先端を検出するようにしたものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、キャリッジ上に記録手段を装着して記録媒体上を主走査するとともに記録媒体を主走査方向と直交する方向に搬送(副走査)することで記録媒体上に画像を形成する装置において、キャリッジに光学センサを設けて記録媒体(用紙)の幅、位置やキャリッジのホームポジション(初期位置)を検出するものは多く知られている。
【0009】
しかしながら、従来の画像形成装置あっては、いずれも、キャリッジに設けた光学センサにより記録媒体の位置(先端位置や紙幅)やホームポジション等の位置を検出しているにすぎない。
【0010】
そのため、例えば、記録媒体が搬送経路上どの位置にいるかという詳細情報を認識することができないし、また、記録媒体の種類(普通紙、光沢紙、OHP等)を識別することができず記録媒体の違いにより各種制御を最適化することができない。
【0011】
さらに、搬送ベルトを用いて記録媒体を搬送するようにした場合、搬送ベルトに液滴が付着して汚れが生じると、記録媒体の裏面が汚れたり、搬送ベルト上の帯電にリークが発生し易くなり、リークが発生すると、記録媒体の吸着力の低下を引き起こし、正常な搬送が行われなくなるが、このような事態に対応することができない。
【0012】
また、光学センサにより記録媒体の有無のみ検出しているため、記録媒体以外の領域で十分な情報を取得することができない。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャリッジ近傍の状態を検出して最適な制御を行えるようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、キャリッジにはキャリッジ近傍の状態を検知するための状態検知手段を備え、この状態検知手段は光学センサである構成とした。
【0015】
ここで、状態検知手段の検知結果に基づいて記録媒体の種類を検出することが好ましく、この場合、記録媒体の種類は状態検知手段のアナログ出力レベルに応じて検出することが好ましい。
【0016】
また、記録媒体を所定領域に密着保持して搬送する搬送手段を備え、状態検知手段により搬送手段の状態を検知することが好ましく、この場合、搬送手段が無端状の搬送ベルトであって、状態検知手段の検知結果に基づいて搬送ベルトの汚れ、あるいは、搬送ベルトの破損を検出することが好ましい。
【0017】
さらに、状態検知手段による検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なることが好ましく、この場合、搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが搬送手段の色濃度レベルと異なることが好ましい。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、キャリッジに光学センサを搭載し、この光学センサによる検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なる構成としたものである。
【0019】
ここで、搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが前記搬送手段の色濃度レベルと異なることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示すインクジェット記録装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同記録装置の要部平面説明図、図3は同記録装置の要部斜視説明図、図4は同記録装置の主走査機構の正面説明図である。
【0021】
このインクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4でタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
【0022】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド7を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0023】
記録ヘッド7を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0024】
また、キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8には図示しないインク供給チューブを介してメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0025】
一方、給紙トレイ10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
【0026】
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送するための搬送部として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
【0027】
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2の矢示方向(ベルト(用紙)搬送方向:副走査方向)に周回するように構成している。
【0028】
この搬送ベルト21は、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0029】
また、搬送ローラ27とカウンタローラ22とで搬送ローラニップ部18を形成し、この搬送ローラニップ部18よりも用紙搬送方向上流側の所定の位置に用紙12を検出する用紙検出センサ16を配置している。この用紙検出センサ16は用紙12が検知レバー17を変位させることで用紙12を検出する(図1の破線図示の位置がオン位置である)。なお、用紙検出センサ16は用紙給紙を検出するためのものである。
【0030】
帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ローラ27はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト21の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0031】
また、搬送ベルト21の裏側には、記録ヘッド4による印写領域に対応してガイド部材36を配置している。このガイド部材36は、上面が搬送ベルト21を支持する2つのローラ(搬送ローラ27とテンションローラ28)の接線よりも記録ヘッド7側に突出している。これにより、搬送ベルト21は印写領域ではガイド部材36の上面にて押し上げられてガイドされる。
【0032】
そして、図3及び図4にも示すように、キャリッジ3にはキャリッジ近傍の状態を検知する状態検知手段である反射型フォトセンサ(光学センサ)からなる状態検知センサ41を設けている。また、この状態検知センサ41はキャリッジ3がホーム位置(図3の実線図示の位置)にあるときに記録領域(画像形成領域)側(搬送ベルト21側)に位置する側に設けている。
【0033】
また、キャリッジ3の前方側には、図1及び図3に示すように、スリットを形成したエンコーダスケール42を設け、キャリッジ3の前面側にはエンコーダスケール42のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ43を設け、これらによって、キャリッジ3の主走査方向位置(ホーム位置に対する位置)を検知するためのエンコーダ44を構成している。
【0034】
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離部と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0035】
また、背部には両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット61は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
【0036】
さらに、図4に示すように、キャリッジ3の走査方向両側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構70を配置している。このサブシステム70には、記録ヘッド3のノズル面をキャピングするためのキャップ部材と、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード等とを備えている。
【0037】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0038】
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ26に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト21が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0039】
このように、搬送手段として無端状の搬送ベルトを使用することで安定した記録媒体の搬送を行うことができる。すなわち、搬送手段は搬送ローラなどのローラで構成することもできるが、この場合には記録媒体と動作源であるローラとの密着領域が小さいため搬送状態が不安定になりやすい。これに対して、搬送ベルトを使用することにより記録媒体との密着領域が増大するため搬送の安定化を図ることができる。
【0040】
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0041】
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
【0042】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。なお、図5は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部80は、装置全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM82と、画像データ等を一時格納するRAM83と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)84と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC85と、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F86と、記録ヘッド7を駆動制御するためのヘッド駆動制御部87及びヘッドドライバ88と、主走査モータ4を駆動するための主走査モータ駆動部89と、副走査モータ31を駆動するための副走査モータ駆動部90等とを備えている。
【0043】
また、この制御部80には、この装置に必要な情報の入力及び表示をおこなうための操作パネル91が接続され、さらに、キャリッジ3に設けた前述した状態検知センサ41からの検知信号が入力される。
【0044】
制御部80は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F86で受信する。
【0045】
そして、CPU81は、I/F86に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC85にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部87に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM82にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
【0046】
ヘッド駆動制御部87は、記録ヘッド7の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ88にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ88に送出する。
【0047】
このヘッド駆動制御部87は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM82で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0048】
また、ヘッドドライバ88は、ヘッド駆動制御部87からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部87からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド7に印加してヘッドを駆動する。
【0049】
次に、制御部80による状態検知センサ41を用いた用紙種別検出処理について図6を参照して説明する。
制御部80は、給紙に先立って、主走査モータ4を回転駆動して、非記録位置にあるキャリッジ3を移動させて、搬送ベルト21の略中央部(あるいは給紙する用紙サイズの用紙の略中央部)に位置させた後、給紙クラッチをオンして副走査モータ31の回転を給紙ローラ13に与える。これにより、給紙ローラ13が時計方向に1回転し、給紙トレイ10から用紙12がフリクションパッド14で1枚に分離されて送り出される。
【0050】
そして、状態検知センサ41の検知信号をチェックして用紙12の先端が検知されたか否かを判別し、用紙12の先端を検知した時から用紙12を所定の印字開始位置まで搬送(フィード)して停止させる。
【0051】
さらに、状態検知センサ41の検知信号に基づいて用紙12の種別を判別(検出)する。すなわち、インクジェット記録装置において使用される記録媒体としては、主として、普通紙、光沢紙、OHPがある。各々の特徴としては、普通紙:一般に流通している用紙で安価だがインクの滲み等が大きい。光沢紙:普通紙よりも高価であるが、インクの滲みが少なく高画質印刷が可能である。OHP:一般の使用頻度は低いが、プロジェクタ等のデモ資料作成等に用いられ、インクの滲み(吸収)が全くない等が挙げられる。
【0052】
このように、記録媒体の種別(種類)によって、記録媒体に着弾したインクの挙動(滲みやすさ)がそれぞれ異なっているため、通常は、記録媒体の設定毎に印写特性を変更する制御を行うようにしている。この場合、記録媒体の設定は、通常、使用者がホストコンピュータ上で行うが、万一設定を誤ってしまうと最適な画像品質を得ることができない。そこで、記録媒体の種別を自動識別することで常に安定した画像を形成することが可能となる。
【0053】
この場合、記録媒体の種別の検出には状態検知センサ41のアナログ出力レベルを用いて判定するようにしている。すなわち、光学センサを用いる場合、例えば、各記録媒体の反射率の大小関係が、普通紙<光沢紙<OHPとすれば、同一の光学センサで検出するアナログ出力レベルも上記に準じたものとなるので、アナログ出力レベルに応じてこの差異を検出することにより記録媒体の判別を高精度に行うことができる。
【0054】
ここで、一判別例を説明すると、状態検知センサ41のアナログ出力レベルと用紙の種別との関係は、表1のようになる。
【0055】
【表1】
【0056】
そこで、状態検知センサ41の出力を各用紙種別に応じて設定した基準値レベルと比較することによって、搬送されたきた用紙12の種別を検出することができる。
【0057】
その後、キャリッジ3を一旦ホーム位置に戻し、ホーム位置を基準にしてエンコーダ44の出力に基づいてキャリッジ3の記録領域側への移動を開始し、このとき用紙センサ41の検知信号をチェックして用紙12があるか否かを判別し、用紙12があるときに所要の印字(記録動作)を行い、用紙12が検出されないときには記録動作を行わない。これにより、用紙12がない箇所での印字(インク滴吐出)が行われないので、搬送ベルト21上にインク滴を打ち込むことがなくなり、搬送ベルト21や用紙12の汚れを防止することができる。
【0058】
このように、記録媒体上の任意位置に移動可能なキャリッジ近傍の状態を検知する状態検知手段、特に反射型光学センサを設けて記録媒体の種類を検出することで、記録媒体に適した最適な印写制御を行うことができるようになる。この場合、反射型光学センサのアナログ出力レベルに応じて上記記録媒体の種類検出を行うことで、記録媒体の種類の差異を正確に識別することが可能となる。
【0059】
次に、制御部80が行う状態検知センサ41の検知結果に基づく搬送ベルト21の汚れ、損傷を検出する処理について図7を参照して説明する。
この例では、図7に示すように、定期的に、搬送ベルト21で用紙12を搬送しない状態で、キャリッジ3を走査して状態検知センサ41の検知出力を取り込み、搬送ベルト21の汚れ(及び/又は破損)を判定し、搬送ベルト21の全面について汚れ判定を行った後、搬送ベルト21が汚れている(及び/又は破損している)と判定したか否かを判別し、搬送ベルト21が汚れている(及び/又は破損している)と判定した場合には、操作パネル91の表示部にその旨を表示し、搬送ベルト21のクリーニングや交換を促す。
【0060】
すなわち、搬送ベルト21の搬送面にインク滴が付着して汚れると、搬送ベルト21を帯電させるときに電流がリークし易くなって十分な静電吸着力が得られず、用紙搬送不良を生じたり、搬送する用紙12の裏面にインクが転写されて汚れ、あるいは、両面印刷時には裏面印刷面が汚れて画像品質が低下することになる。同様に、搬送ベルト21が破損しているような場合にも電流がリークし易くなって十分な静電吸着力が得られず、用紙搬送不良を生じたりする。
【0061】
そこで、定期的に搬送ベルト21の汚れや破損を検出して、汚れや破損が発生した場合にはクリーニングや交換を促すことによって、これらの用紙搬送不良や用紙の汚れが生じることを未然に防止ないし低減する。
【0062】
上述したように光学センサからなる状態検知センサ(状態検知手段)を用いる場合、光量に応じた検知信号が得られることから、例えば状態検知センサの移動可能な範囲内に記録媒体と同じ光量が得られる構成部品が存在すると、ご検知を行う可能性がある。
【0063】
状態検知手段が移動可能な範囲内においては、搬送手段(上記実施形態では搬送ベルト21)以外の構成部品、例えば維持回復機構80を構成する構成部品は、色濃度レベルを記録媒体の色濃度レベルと異ならせている。これにより、記録媒体の検出精度が向上する。
【0064】
さらに、搬送手段以外の構成部品、例えば維持回復機構80を構成する構成部品の色濃度レベルは、搬送手段(上記実施形態では搬送ベルト21)の色濃度レベルとも異ならせることにより、検知対象物をより詳細に識別することができ、特に、上述したように搬送手段を搬送ベルトで構成してその汚れや破損の検出を行う場合の検出精度が向上する。なお、色濃度レベルと異ならせるには、構成部品の色を記録媒体や搬送手段構成部材と異ならせれば良い。
【0065】
なお、上記実施形態においては本発明をインクジェット記録装置に適用した例で説明したが、インクジェット記録装置に限らず、複写装置、ファクシミリ装置、複写装置/プリンタ/ファクシミリ装置の複合機などの画像形成装置にも適用することができ、また、インク以外の液体を用いる画像形成装置にも適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置によれば、キャリッジにはキャリッジ近傍の状態を検知するための状態検知手段を備え、この状態検知手段は光学センサである構成としたので、キャリッジ近傍の状態を検出して最適な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例を示す側面説明図
【図2】同装置の要部平面説明図
【図3】同装置の要部斜視説明図
【図4】同装置の主走査機構部の模式的正面説明図
【図5】同装置の制御部の概要を説明するブロック説明図
【図6】同制御部による制御の一例の説明に供するフロー図
【図7】同制御部による他の制御の一例の説明に供するフロー図
【符号の説明】
3…キャリッジ、7…記録ヘッド、10…給紙トレイ、12…用紙、13…給紙ローラ、15…ガイド、16…用紙検出センサ、21…搬送ベルト、22…カウンタローラ、26…帯電ローラ、27…搬送ローラ、28…テンションローラ、41…状態検知センサ。
【産業上の利用分野】
本発明は画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平7−179248号公報
【特許文献2】特開平8−332738号公報
【特許文献3】特開2002―301845号公報
【特許文献4】特開2001−10151号公報
【特許文献5】特開平5−131729号公報
【特許文献6】特公平6−30933号公報
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の画像形成装置(或いは画像記録装置ともいう。)として、例えばインクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、インク記録ヘッドから記録媒体(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、液滴が付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙などとも称される。)にインク滴を吐出して記録(画像形成)を行うものであり、高精細な画像を高速で記録することができ、ランニングコストが安く、騒音が少なく、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録するのが容易であるなどの利点を有している。
【0004】
このようなインクジェット記録装置において、画像を形成する手段である記録ヘッドをキャリッジに搭載して、キャリッジを走査させ、記録媒体を搬送することで画像を形成する装置では、記録媒体の位置情報、サイズ情報が重要になってくる。記録媒体の位置情報を正確に取得することによって記録開始(画像形成開始)を正確な位置から行うことができ、品質を向上することができる。
【0005】
特に、記録媒体を搬送ベルトを用いて搬送する装置においては、記録媒体を外れた位置で記録ヘッドからインク滴を吐出させると、搬送ベルト上にインク滴が着弾して記録媒体の裏面が汚れるなどの不具合が生じる。
【0006】
ここで、従来、例えば
【特許文献1】に記載されているようにキャリッジに設けた紙幅センサにより記録用紙種類に応じた適切な紙幅検知を行うようにしたもの、
【特許文献2】に記載されているに廃インクを収納する廃インク収納部のインク充填量検知センサを記録媒体の紙幅を検知する紙幅検知センサと兼用するようにしたもの、
【特許文献3】に記載されているようにキャリッジに搭載した光学センサで記録ヘッドのホームポジションを検出するようにしたものがある。
【0007】
さらに、
【特許文献4】に記載されているように、記録ヘッドに用紙を送り込むフィードローラの用紙搬送方向上流側に用紙の先端を検知するためのセンサを設けるとともに、記録ヘッドを搭載したキャリッジに用紙の後端を検知するためのセンサを設けたもの、
【特許文献5】に記載されているように、キャリッジに用紙の有無を検出する用紙センサを設け、この用紙センサは用紙搬送方向で記録ヘッドと同じ位置を検出するように設け、用紙の幅方向及び用紙後端を検出するようにしたもの、
【特許文献6】に記載されているように、キャリッジに用紙の有無を検出する用紙センサを設け、この用紙センサは用紙搬送方向で記録ヘッドと同じ位置を検出するように設け、用紙の幅方向及び用紙先端を検出するようにしたものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、キャリッジ上に記録手段を装着して記録媒体上を主走査するとともに記録媒体を主走査方向と直交する方向に搬送(副走査)することで記録媒体上に画像を形成する装置において、キャリッジに光学センサを設けて記録媒体(用紙)の幅、位置やキャリッジのホームポジション(初期位置)を検出するものは多く知られている。
【0009】
しかしながら、従来の画像形成装置あっては、いずれも、キャリッジに設けた光学センサにより記録媒体の位置(先端位置や紙幅)やホームポジション等の位置を検出しているにすぎない。
【0010】
そのため、例えば、記録媒体が搬送経路上どの位置にいるかという詳細情報を認識することができないし、また、記録媒体の種類(普通紙、光沢紙、OHP等)を識別することができず記録媒体の違いにより各種制御を最適化することができない。
【0011】
さらに、搬送ベルトを用いて記録媒体を搬送するようにした場合、搬送ベルトに液滴が付着して汚れが生じると、記録媒体の裏面が汚れたり、搬送ベルト上の帯電にリークが発生し易くなり、リークが発生すると、記録媒体の吸着力の低下を引き起こし、正常な搬送が行われなくなるが、このような事態に対応することができない。
【0012】
また、光学センサにより記録媒体の有無のみ検出しているため、記録媒体以外の領域で十分な情報を取得することができない。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、キャリッジ近傍の状態を検出して最適な制御を行えるようにした画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、キャリッジにはキャリッジ近傍の状態を検知するための状態検知手段を備え、この状態検知手段は光学センサである構成とした。
【0015】
ここで、状態検知手段の検知結果に基づいて記録媒体の種類を検出することが好ましく、この場合、記録媒体の種類は状態検知手段のアナログ出力レベルに応じて検出することが好ましい。
【0016】
また、記録媒体を所定領域に密着保持して搬送する搬送手段を備え、状態検知手段により搬送手段の状態を検知することが好ましく、この場合、搬送手段が無端状の搬送ベルトであって、状態検知手段の検知結果に基づいて搬送ベルトの汚れ、あるいは、搬送ベルトの破損を検出することが好ましい。
【0017】
さらに、状態検知手段による検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なることが好ましく、この場合、搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが搬送手段の色濃度レベルと異なることが好ましい。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、キャリッジに光学センサを搭載し、この光学センサによる検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なる構成としたものである。
【0019】
ここで、搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが前記搬送手段の色濃度レベルと異なることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示すインクジェット記録装置の全体構成を説明する側面説明図、図2は同記録装置の要部平面説明図、図3は同記録装置の要部斜視説明図、図4は同記録装置の主走査機構の正面説明図である。
【0021】
このインクジェット記録装置は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド1とガイドレール2とでキャリッジ3を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ4でタイミングベルト5を介して図2で矢示方向(主走査方向)に移動走査する。
【0022】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェットヘッドからなる記録ヘッド7を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0023】
記録ヘッド7を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0024】
また、キャリッジ3には、記録ヘッド7に各色のインクを供給するための各色のサブタンク8を搭載している。このサブタンク8には図示しないインク供給チューブを介してメインタンク(インクカートリッジ)からインクが補充供給される。
【0025】
一方、給紙トレイ10などの用紙積載部(圧板)11上に積載した用紙12を給紙するための給紙部として、用紙積載部11から用紙12を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙ローラ)13及び給紙ローラ13に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド14を備え、この分離パッド14は給紙ローラ13側に付勢されている。
【0026】
そして、この給紙部から給紙された用紙12を記録ヘッド7の下方側で搬送するための搬送部として、用紙12を静電吸着して搬送するための搬送ベルト21と、給紙部からガイド15を介して送られる用紙12を搬送ベルト21との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ22と、略鉛直上方に送られる用紙12を略90°方向転換させて搬送ベルト21上に倣わせるための搬送ガイド23と、押さえ部材24で搬送ベルト21側に付勢された先端加圧コロ25とを備えている。また、搬送ベルト21表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ26を備えている。
【0027】
ここで、搬送ベルト21は、無端状ベルトであり、搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されて、副走査モータ31からタイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して搬送ローラ27が回転されることで、図2の矢示方向(ベルト(用紙)搬送方向:副走査方向)に周回するように構成している。
【0028】
この搬送ベルト21は、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
【0029】
また、搬送ローラ27とカウンタローラ22とで搬送ローラニップ部18を形成し、この搬送ローラニップ部18よりも用紙搬送方向上流側の所定の位置に用紙12を検出する用紙検出センサ16を配置している。この用紙検出センサ16は用紙12が検知レバー17を変位させることで用紙12を検出する(図1の破線図示の位置がオン位置である)。なお、用紙検出センサ16は用紙給紙を検出するためのものである。
【0030】
帯電ローラ26は、搬送ベルト21の表層に接触し、搬送ベルト21の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に各2.5Nをかけている。また、搬送ローラ27はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト21の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
【0031】
また、搬送ベルト21の裏側には、記録ヘッド4による印写領域に対応してガイド部材36を配置している。このガイド部材36は、上面が搬送ベルト21を支持する2つのローラ(搬送ローラ27とテンションローラ28)の接線よりも記録ヘッド7側に突出している。これにより、搬送ベルト21は印写領域ではガイド部材36の上面にて押し上げられてガイドされる。
【0032】
そして、図3及び図4にも示すように、キャリッジ3にはキャリッジ近傍の状態を検知する状態検知手段である反射型フォトセンサ(光学センサ)からなる状態検知センサ41を設けている。また、この状態検知センサ41はキャリッジ3がホーム位置(図3の実線図示の位置)にあるときに記録領域(画像形成領域)側(搬送ベルト21側)に位置する側に設けている。
【0033】
また、キャリッジ3の前方側には、図1及び図3に示すように、スリットを形成したエンコーダスケール42を設け、キャリッジ3の前面側にはエンコーダスケール42のスリットを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ43を設け、これらによって、キャリッジ3の主走査方向位置(ホーム位置に対する位置)を検知するためのエンコーダ44を構成している。
【0034】
さらに、記録ヘッド7で記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離するための分離部と、排紙ローラ52及び排紙コロ53と、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54とを備えている。
【0035】
また、背部には両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。この両面給紙ユニット61は搬送ベルト21の逆方向回転で戻される用紙12を取り込んで反転させて再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙する。
【0036】
さらに、図4に示すように、キャリッジ3の走査方向両側の非印字領域には、記録ヘッド7のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構70を配置している。このサブシステム70には、記録ヘッド3のノズル面をキャピングするためのキャップ部材と、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード等とを備えている。
【0037】
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙12はガイド15で案内され、搬送ベルト21とカウンタローラ22との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド23で案内されて先端加圧コロ25で搬送ベルト21に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0038】
このとき、図示しない制御回路によって高圧電源から帯電ローラ26に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト21が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に吸着され、搬送ベルト21の周回移動によって用紙12が副走査方向に搬送される。
【0039】
このように、搬送手段として無端状の搬送ベルトを使用することで安定した記録媒体の搬送を行うことができる。すなわち、搬送手段は搬送ローラなどのローラで構成することもできるが、この場合には記録媒体と動作源であるローラとの密着領域が小さいため搬送状態が不安定になりやすい。これに対して、搬送ベルトを使用することにより記録媒体との密着領域が増大するため搬送の安定化を図ることができる。
【0040】
そこで、キャリッジ3を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙12を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙12を排紙トレイ54に排紙する。
【0041】
また、両面印刷の場合には、表面(最初に印刷する面)の記録が終了したときに、搬送ベルト21を逆回転させることで、記録済みの用紙12を両面給紙ユニット61内に送り込み、用紙12を反転させて(裏面が印刷面となる状態にして)再度カウンタローラ22と搬送ベルト21との間に給紙し、タイミング制御を行って、前述したと同様に搬送ベル21上に搬送して裏面に記録を行った後、排紙トレイ54に排紙する。
【0042】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。なお、図5は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部80は、装置全体の制御を司るCPU81と、CPU81が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM82と、画像データ等を一時格納するRAM83と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)84と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC85と、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F86と、記録ヘッド7を駆動制御するためのヘッド駆動制御部87及びヘッドドライバ88と、主走査モータ4を駆動するための主走査モータ駆動部89と、副走査モータ31を駆動するための副走査モータ駆動部90等とを備えている。
【0043】
また、この制御部80には、この装置に必要な情報の入力及び表示をおこなうための操作パネル91が接続され、さらに、キャリッジ3に設けた前述した状態検知センサ41からの検知信号が入力される。
【0044】
制御部80は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F86で受信する。
【0045】
そして、CPU81は、I/F86に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC85にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部87に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM82にフォントデータを格納して行っても良いし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしても良い。
【0046】
ヘッド駆動制御部87は、記録ヘッド7の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ88にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ88に送出する。
【0047】
このヘッド駆動制御部87は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM82で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路及びアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
【0048】
また、ヘッドドライバ88は、ヘッド駆動制御部87からのクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部87からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド7に印加してヘッドを駆動する。
【0049】
次に、制御部80による状態検知センサ41を用いた用紙種別検出処理について図6を参照して説明する。
制御部80は、給紙に先立って、主走査モータ4を回転駆動して、非記録位置にあるキャリッジ3を移動させて、搬送ベルト21の略中央部(あるいは給紙する用紙サイズの用紙の略中央部)に位置させた後、給紙クラッチをオンして副走査モータ31の回転を給紙ローラ13に与える。これにより、給紙ローラ13が時計方向に1回転し、給紙トレイ10から用紙12がフリクションパッド14で1枚に分離されて送り出される。
【0050】
そして、状態検知センサ41の検知信号をチェックして用紙12の先端が検知されたか否かを判別し、用紙12の先端を検知した時から用紙12を所定の印字開始位置まで搬送(フィード)して停止させる。
【0051】
さらに、状態検知センサ41の検知信号に基づいて用紙12の種別を判別(検出)する。すなわち、インクジェット記録装置において使用される記録媒体としては、主として、普通紙、光沢紙、OHPがある。各々の特徴としては、普通紙:一般に流通している用紙で安価だがインクの滲み等が大きい。光沢紙:普通紙よりも高価であるが、インクの滲みが少なく高画質印刷が可能である。OHP:一般の使用頻度は低いが、プロジェクタ等のデモ資料作成等に用いられ、インクの滲み(吸収)が全くない等が挙げられる。
【0052】
このように、記録媒体の種別(種類)によって、記録媒体に着弾したインクの挙動(滲みやすさ)がそれぞれ異なっているため、通常は、記録媒体の設定毎に印写特性を変更する制御を行うようにしている。この場合、記録媒体の設定は、通常、使用者がホストコンピュータ上で行うが、万一設定を誤ってしまうと最適な画像品質を得ることができない。そこで、記録媒体の種別を自動識別することで常に安定した画像を形成することが可能となる。
【0053】
この場合、記録媒体の種別の検出には状態検知センサ41のアナログ出力レベルを用いて判定するようにしている。すなわち、光学センサを用いる場合、例えば、各記録媒体の反射率の大小関係が、普通紙<光沢紙<OHPとすれば、同一の光学センサで検出するアナログ出力レベルも上記に準じたものとなるので、アナログ出力レベルに応じてこの差異を検出することにより記録媒体の判別を高精度に行うことができる。
【0054】
ここで、一判別例を説明すると、状態検知センサ41のアナログ出力レベルと用紙の種別との関係は、表1のようになる。
【0055】
【表1】
【0056】
そこで、状態検知センサ41の出力を各用紙種別に応じて設定した基準値レベルと比較することによって、搬送されたきた用紙12の種別を検出することができる。
【0057】
その後、キャリッジ3を一旦ホーム位置に戻し、ホーム位置を基準にしてエンコーダ44の出力に基づいてキャリッジ3の記録領域側への移動を開始し、このとき用紙センサ41の検知信号をチェックして用紙12があるか否かを判別し、用紙12があるときに所要の印字(記録動作)を行い、用紙12が検出されないときには記録動作を行わない。これにより、用紙12がない箇所での印字(インク滴吐出)が行われないので、搬送ベルト21上にインク滴を打ち込むことがなくなり、搬送ベルト21や用紙12の汚れを防止することができる。
【0058】
このように、記録媒体上の任意位置に移動可能なキャリッジ近傍の状態を検知する状態検知手段、特に反射型光学センサを設けて記録媒体の種類を検出することで、記録媒体に適した最適な印写制御を行うことができるようになる。この場合、反射型光学センサのアナログ出力レベルに応じて上記記録媒体の種類検出を行うことで、記録媒体の種類の差異を正確に識別することが可能となる。
【0059】
次に、制御部80が行う状態検知センサ41の検知結果に基づく搬送ベルト21の汚れ、損傷を検出する処理について図7を参照して説明する。
この例では、図7に示すように、定期的に、搬送ベルト21で用紙12を搬送しない状態で、キャリッジ3を走査して状態検知センサ41の検知出力を取り込み、搬送ベルト21の汚れ(及び/又は破損)を判定し、搬送ベルト21の全面について汚れ判定を行った後、搬送ベルト21が汚れている(及び/又は破損している)と判定したか否かを判別し、搬送ベルト21が汚れている(及び/又は破損している)と判定した場合には、操作パネル91の表示部にその旨を表示し、搬送ベルト21のクリーニングや交換を促す。
【0060】
すなわち、搬送ベルト21の搬送面にインク滴が付着して汚れると、搬送ベルト21を帯電させるときに電流がリークし易くなって十分な静電吸着力が得られず、用紙搬送不良を生じたり、搬送する用紙12の裏面にインクが転写されて汚れ、あるいは、両面印刷時には裏面印刷面が汚れて画像品質が低下することになる。同様に、搬送ベルト21が破損しているような場合にも電流がリークし易くなって十分な静電吸着力が得られず、用紙搬送不良を生じたりする。
【0061】
そこで、定期的に搬送ベルト21の汚れや破損を検出して、汚れや破損が発生した場合にはクリーニングや交換を促すことによって、これらの用紙搬送不良や用紙の汚れが生じることを未然に防止ないし低減する。
【0062】
上述したように光学センサからなる状態検知センサ(状態検知手段)を用いる場合、光量に応じた検知信号が得られることから、例えば状態検知センサの移動可能な範囲内に記録媒体と同じ光量が得られる構成部品が存在すると、ご検知を行う可能性がある。
【0063】
状態検知手段が移動可能な範囲内においては、搬送手段(上記実施形態では搬送ベルト21)以外の構成部品、例えば維持回復機構80を構成する構成部品は、色濃度レベルを記録媒体の色濃度レベルと異ならせている。これにより、記録媒体の検出精度が向上する。
【0064】
さらに、搬送手段以外の構成部品、例えば維持回復機構80を構成する構成部品の色濃度レベルは、搬送手段(上記実施形態では搬送ベルト21)の色濃度レベルとも異ならせることにより、検知対象物をより詳細に識別することができ、特に、上述したように搬送手段を搬送ベルトで構成してその汚れや破損の検出を行う場合の検出精度が向上する。なお、色濃度レベルと異ならせるには、構成部品の色を記録媒体や搬送手段構成部材と異ならせれば良い。
【0065】
なお、上記実施形態においては本発明をインクジェット記録装置に適用した例で説明したが、インクジェット記録装置に限らず、複写装置、ファクシミリ装置、複写装置/プリンタ/ファクシミリ装置の複合機などの画像形成装置にも適用することができ、また、インク以外の液体を用いる画像形成装置にも適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置によれば、キャリッジにはキャリッジ近傍の状態を検知するための状態検知手段を備え、この状態検知手段は光学センサである構成としたので、キャリッジ近傍の状態を検出して最適な制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例を示す側面説明図
【図2】同装置の要部平面説明図
【図3】同装置の要部斜視説明図
【図4】同装置の主走査機構部の模式的正面説明図
【図5】同装置の制御部の概要を説明するブロック説明図
【図6】同制御部による制御の一例の説明に供するフロー図
【図7】同制御部による他の制御の一例の説明に供するフロー図
【符号の説明】
3…キャリッジ、7…記録ヘッド、10…給紙トレイ、12…用紙、13…給紙ローラ、15…ガイド、16…用紙検出センサ、21…搬送ベルト、22…カウンタローラ、26…帯電ローラ、27…搬送ローラ、28…テンションローラ、41…状態検知センサ。
Claims (11)
- 記録を行う手段を搭載したキャリッジを走査して記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置において、前記キャリッジにはキャリッジ近傍の状態を検知するための状態検知手段を備え、この状態検知手段は光学センサであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の画像形成装置において、前記状態検知手段の検知結果に基づいて前記記録媒体の種類を検出することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記記録媒体の種類は前記状態検知手段のアナログ出力レベルに応じて検出することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記記録媒体を所定領域に密着保持して搬送する搬送手段を備え、前記状態検知手段により前記搬送手段の状態を検知することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項4に記載の画像形成装置において、前記搬送手段が無端状の搬送ベルトであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5に記載の画像形成装置において、前記状態検知手段の検知結果に基づいて前記搬送ベルトの汚れを検出することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項5又は6に記載の画像形成装置において、前記状態検知手段の検知結果に基づいて前記搬送ベルトの破損を検出することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、前記状態検知手段による検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項8に記載の画像形成装置において、前記搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが前記搬送手段の色濃度レベルと異なることを特徴とする画像形成装置。
- 記録を行う手段を搭載したキャリッジを走査して記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置において、前記キャリッジに光学センサを搭載し、この光学センサによる検知可能な領域内に存在する記録媒体を搬送する搬送手段以外の構成部品は、その色濃度レベルが搬送される記録媒体の色濃度レベルと異なることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項10に記載の画像形成装置において、前記搬送手段以外の構成部品の色濃度レベルが前記搬送手段の色濃度レベルと異なることを特徴とする画像形成装置。
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JP2003183000A Pending JP2005014426A (ja) | 2003-05-30 | 2003-06-26 | 画像形成装置 |
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JP (1) | JP2005014426A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8070252B2 (en) | 2007-02-28 | 2011-12-06 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus and method of detecting contamination in the image forming apparatus |
EP3190069A4 (en) * | 2014-09-04 | 2017-09-06 | Fuji Machine Mfg. Co., Ltd. | Substrate conveyance device and method for inspecting conveyor belt |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003183000A patent/JP2005014426A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8070252B2 (en) | 2007-02-28 | 2011-12-06 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus and method of detecting contamination in the image forming apparatus |
EP3190069A4 (en) * | 2014-09-04 | 2017-09-06 | Fuji Machine Mfg. Co., Ltd. | Substrate conveyance device and method for inspecting conveyor belt |
US10315854B2 (en) | 2014-09-04 | 2019-06-11 | Fuji Corporation | Board conveyance device and conveyance belt inspection method |
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