JP2005014165A - スローアウェイドリル - Google Patents
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Abstract
【課題】工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップが着脱可能で、繰り返し加工精度が高く長寿命なスローアウェイドリルを提供する。
【解決手段】先端側に少なくとも二つの切刃1を備えるとともに後端側に工具ホルダ4との当接面を具備するスローアウェイチップ3を、スローアウェイチップ3と共通の回転軸8を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであり、スローアウェイチップ3の後端側が、回転軸8に対して概略直交するとともに、スローアウェイチップ3の外周側に配置された複数の第一後端面5と、回転軸8に対して概略直交するとともに、第一後端面5より工具ホルダ4側に位置し、かつ第一後端面5より回転軸8側に位置する複数の第二後端面6と、第一後端面5と第二後端面6との間に位置する段差側面に相当し、径方向に作用する分力が発生する複数の係止面7とを具備している。
【選択図】 図2
【解決手段】先端側に少なくとも二つの切刃1を備えるとともに後端側に工具ホルダ4との当接面を具備するスローアウェイチップ3を、スローアウェイチップ3と共通の回転軸8を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであり、スローアウェイチップ3の後端側が、回転軸8に対して概略直交するとともに、スローアウェイチップ3の外周側に配置された複数の第一後端面5と、回転軸8に対して概略直交するとともに、第一後端面5より工具ホルダ4側に位置し、かつ第一後端面5より回転軸8側に位置する複数の第二後端面6と、第一後端面5と第二後端面6との間に位置する段差側面に相当し、径方向に作用する分力が発生する複数の係止面7とを具備している。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップを着脱可能に装着したスローアウェイドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップを着脱可能な状態で装着し、摩耗したチップのみを交換する方式のスローアウェイドリルが開発されており、従来より、工具ホルダの先端にスローアウェイチップをねじで固定する構成が一般に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、工具ホルダの弾性変形を利用してねじを用いることなくスローアウェイチップを工具ホルダの先端に固定する構成も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−100808号公報
【0005】
【特許文献2】
特表2002−501441号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1で開示されているようなスローアウェイチップを単にねじ止めする構成では、切削加工中における回転方向の切削力をねじの係止部分で受け止めるため、加工を繰り返すうちにねじが変形してくる。その結果、スローアウェイチップと工具本体との中心軸にずれが生じ、必要な加工精度が得られなくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2で開示されているようなホルダの弾性変形作用を利用した構成では、切削加工中、チップにかかる外力や不安定な固定の影響でチップ先端の位置が定まらずドリル加工の加工精度が低下する場合があり、加工信頼性が不十分であった。また、ホルダの弾性変形作用だけでスローアウェイチップを脱着、固定する必要があるため、ホルダの特定部位に無理な力が繰り返し加わる結果、スローアウェイチップの交換を繰り返すうちにホルダの弾性力が弱まってしまい、スローアウェイチップが工具本体から脱落したり、破損するという問題が生じ、少ない使用回数で工具ホルダを新品に交換しなければならず、スローアウェイドリルのメリットが損なわれて極めて不経済なこととなる場合があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップが着脱可能なスローアウェイドリルにおいて、繰り返し加工精度、加工信頼性が高く長寿命なスローアウェイドリルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1のスローアウェイドリルは、先端側に少なくとも二つの切刃を備えるとともに後端側に工具ホルダとの当接面を具備するスローアウェイチップを、該スローアウェイチップと共通の回転軸を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであって、前記スローアウェイチップの後端側が、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記スローアウェイチップの外周側に配置された複数の第一後端面と、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記第一後端面より前記工具ホルダ側に位置し、かつ前記第一後端面より前記回転軸側に位置する複数の第二後端面と、前記第一後端面と前記第二後端面との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面と、を具備していることを特徴としている。
【0010】
かかる構成によれば、ドリルにて切削する際に、前記係止面に、径方向に作用する分力が発生し、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれるために、切削中の回転方向におけるチップの固定だけでなく径方向におけるチップの切刃位置安定性、つまりチップのセンター(回転軸)が安定しやすく、加工中のチップの径方向への位置ずれを抑制してドリル加工の加工精度を高めることができる。また、スローアウェイチップの回転方向の支持は前記係止面全体にて受けることになるので、切削加工中、特定部分に回転方向の負荷が集中することがない上に、スローアウェイチップの固定にホルダの弾性変形を伴わないので、結果としてねじ部材やホルダ等の特定部分が経時的に変形することなく総合的に長寿命なドリルとなる。
【0011】
また、請求項2のスローアウェイドリルは、前記係止面が前記第一後端面と鋭角をなして交わっているとともに、前記第二後端面が該第二後端面に続く前記係止面よりも前記回転軸側に存在するとともに、前記複数の係止面同士が回転対称な位置関係にあることを特徴としている。かかる構成によれば、前記工具回転軸方向へのチップのずれを抑制できることに加え、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスがより良い状態で保たれ、チップ先端の位置がより安定してドリル加工の精度を高精度に保つことができることとなる。
【0012】
また、請求項3のスローアウェイドリルは、前記係止面と前記第一後端面との交線と、前記回転軸との距離が、ドリル半径に対して15%〜60%の範囲にあることを特徴としている。かかる構成によれば、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれた状態となるため、特に断続切削のような激しい衝撃を伴う加工においても、スローアウェイチップが加工中に位置ずれすることなく安定した加工精度が得られる。
【0013】
また、請求項4のスローアウェイドリルは、前記スローアウェイチップの後端側に、さらに前記第二後端面より前記回転軸側に位置するとともに、前記第二後端面より後端側に突出する棒状部を備え、かつ前記工具ホルダ先端側には前記棒状部を嵌合する凹部を備えていることを特徴としている。かかる構成によれば、スローアウェイチップを工具ホルダに取り付ける際に前記棒状部がガイドとして作用するため、位置決め操作がスムーズとなる。
【0014】
また、請求項5のスローアウェイドリルは、前記棒状部が突出側に向かって先細のテーパー状であることを特徴としている。かかる構成によれば、スローアウェイチップを工具ホルダに取り付ける際に前記棒状部がガイドとして作用するだけでなく、センターの位置決めがよりスムーズに行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【0016】
図1から図6は、本発明の実施形態を示すものであり、図1は本実施例によるスローアウェイドリルの分解側面図、図2は図1のスローアウェイチップの後端側斜視図、図3は図2のスローアウェイチップの後端視図、図4は図1の工具ホルダの先端側斜視図、図5は図4の工具ホルダの先端視図、図6は図3における係止面にかかる力の向きを示す模式図である。
【0017】
図1において、本実施例によるスローアウェイドリルAは、先端側に二つの切れ刃1を備え後端側に工具ホルダ4との当接面を具備するスローアウェイチップ3を、スローアウェイチップ3と共通の回転軸8を有する工具ホルダ4の先端部にねじ部材等の固定手段9を用いて着脱可能に装着される構成となっている。
【0018】
また、本発明によれば、図2に示すように、スローアウェイチップ3の後端側が、回転軸8に対して概略直交するとともに、スローアウェイチップ3の外周側に配置された複数の第一後端面5と、回転軸8に対して概略直交するとともに、第一後端面5より工具ホルダ4側に位置し、かつ第一後端面5より回転軸8側に位置する複数の第二後端面6と、第一後端面5と第二後端面6との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面7と、を具備した構成となっている。
【0019】
ここで、本発明によれば、スローアウェイドリルAにて切削する際に、係止面7には径方向に作用する分力が発生するような構成とすることが大きな特徴であり、これによって、図6に示すように、スローアウェイチップ3の係止面7を工具ホルダ4の係止受け面12が押し付ける力a1、a2が、その分力として周方向(c1、c2)だけでなく径方向(b1、b2)にも作用し、回転軸8を中心に複数の係止面7にかかる力のバランスが保たれるため、回転軸8方向へのチップ3の固定が安定するだけでなく径方向へのチップ位置が安定する、つまりチップの先端が回転軸8と容易に安定して一致しやすく、加工中にチップ3が径方向へ位置ずれすることを抑制することができる。
【0020】
なお、本発明において、係止面7から係止受け面12に向かっては、前述した係止受け面12から係止面7に作用する力と逆向き(反作用)の力がかかっており、その分力として、回転軸8に直交し、かつ前記回転軸8から外周へ向かう方向にも力が作用している。
【0021】
次に、スローアウェイチップ3の工具ホルダ4への固定について説明する。
【0022】
図1において、スローアウェイチップ3が工具ホルダ4の先端に係止面7と工具ホルダ4側の係止受け面12とが当接した状態で装着され、固定手段9によって締め付け固定される。このとき、スローアウェイチップ3の第一後端面5、第二後端面6、及び係止面7が、図3に示すホルダの第一先端面10、第二先端面11及び係止受け面12にそれぞれ当接し係合されるが、スローアウェイチップ3の回転方向の支持は係止面7と係止受け面12の当接によってなされるので、スローアウェイチップ3を工具ホルダ4に固定している固定手段9に、切削加工中における回転方向の負荷がかかることがない上に、スローアウェイチップ3の固定に工具ホルダ4の弾性変形を伴わないので、結果として長寿命な工具を得ることができる。
【0023】
また、このように係合した状態におけるねじ穴の中心は、図5に示すように、チップ側ねじ穴13がホルダ側ねじ穴14よりも係止受け面12から周方向に遠ざかるように互いに偏心させた位置に設けてあり、この状態からねじを締め込んでいくと、係止面7が係止受け面12に押し付けられる。
【0024】
ちなみに本実施例では、スローアウェイチップ3の第二後端面6から突出する棒状部2を備えた構成としているが、これによりスローアウェイチップ3を工具ホルダ4に取り付ける際に前記棒状部2がガイドとして作用するため、チップ3の位置決め操作がスムーズとなる点で好ましい。また、棒状部2が突出側に向かって先細のテーパー状であることが、スローアウェイチップ3を工具ホルダ4に取り付ける際に棒状部2がガイドとして作用するだけでなく、センターの位置決めがよりスムーズに行われる点でさらに望ましい。
【0025】
ここで、図3に示す前記係止面7と前記第一後端面5との交線15と前記工具回転軸8との距離dは、ドリル半径Rに対して15%〜60%の範囲にあるのが望ましい。この範囲に制御することによって、前述した径方向に作用する分力を維持することができ、断続切削のような激しい衝撃を伴う加工においてもスローアウェイチップが位置ずれすることなく、加工面精度を保つことができるとともに、異常摩耗や欠損等によるチップ寿命の極端な低下を抑制することができる。また、工具ホルダ4の係止受け面12の面積が著しく狭くなったり、係止部7の肉厚が薄くなることもないので、スローアウェイチップ3を周方向にいくら押し付けても十分なクランプ力が得られなかったり、無理に押し付けようとして工具ホルダ4側の強度不足のため破損にいたってしまうようなことも防止できる。
【0026】
なお、本発明におけるドリル半径Rとは、スローアウェイチップ3において回転軸8から切刃1の最外径(加工径)までの長さを指す(図3参照)。
【0027】
また、本発明によれば、図1に示すように、スローアウェイチップ3をホルダ4に装着した状態で、切刃1,1間に存在する溝部20と、ホルダ4の側面の溝部21が連通するようにしてフルートが形成されており、切刃1にて切削された切屑がフルート表面を伝ってドリル後端部へ移動した後、系外へ排出される。
【0028】
なお、本実施例においては、スローアウェイチップの先端側から挿入したねじ等の固定部材を用いてスローアウェイチップを工具ホルダに固定する構成をとっているが、これ以外に、例えばホルダ側面からねじを挿入してスローアウェイチップを工具ホルダに固定する構成等でも同様の効果を得ることが可能である。
【0029】
さらに、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、例えば、切刃1を3つ以上具備するものであってもよく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることは云うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上記述した通り、本発明のスローアウェイドリルは、先端側に少なくとも二つの切刃を備えるとともに後端側に工具ホルダとの当接面を具備するスローアウェイチップを、該スローアウェイチップと共通の回転軸を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであって、前記スローアウェイチップの後端側が、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記スローアウェイチップの外周側に配置された複数の第一後端面と、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記第一後端面より前記工具ホルダ側に位置し、かつ前記第一後端面より前記回転軸側に位置する複数の第二後端面と、前記第一後端面と前記第二後端面との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面と、を具備した構成とすることにより、ドリルにて切削する際に、前記係止面に、径方向に作用する分力が発生し、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれるために、切削中の回転方向におけるチップの固定だけでなく径方向におけるチップの位置安定性、つまりチップのセンターが安定しやすく、加工中のチップの径方向への位置ずれを抑制してドリル加工の加工精度を高めることができるとともに、スローアウェイチップの回転方向の支持は前記係止面によってなされるので、スローアウェイチップをホルダに固定している固定手段に、切削加工中における回転方向の負荷がかかることがない上に、スローアウェイチップの固定にホルダの弾性変形を伴わないので、結果として長寿命な工具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例によるスローアウェイドリルの分解側面図である。
【図2】図1のスローアウェイチップの後端側斜視図である。
【図3】図2のスローアウェイチップの後端視図である。
【図4】図1の工具ホルダの先端側斜視図である。
【図5】図4の工具ホルダの先端視図である。
【図6】図3における係止面にかかる力の向きを示す模式図である。
【符号の説明】
1:切れ刃
2:棒状部
3:スローアウェイチップ
4:工具ホルダ
5:第一後端面
6:第二後端面
7:係止面
8:回転軸
9:固定手段
10:第一先端面
11:第二先端面
12:係止受け面
13:チップ側ねじ穴
14:ホルダ側ねじ穴
15:係止面7と第一後端面5との交線
20:スローアウェイチップの溝部
21:工具ホルダの溝部
A:スローアウェイドリル
d:交線15と回転軸8との距離
R:ドリル半径
a1、a2:係止受け面が係止面を押し付ける力
b1、b2:力a1、a2の径方向(工具外周から工具回転軸へ向く方向)への分力
c1、c2:力a1、a2の周方向(分力b1、b2と直交する方向)への分力
【発明の属する技術分野】
本発明は、工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップを着脱可能に装着したスローアウェイドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップを着脱可能な状態で装着し、摩耗したチップのみを交換する方式のスローアウェイドリルが開発されており、従来より、工具ホルダの先端にスローアウェイチップをねじで固定する構成が一般に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、工具ホルダの弾性変形を利用してねじを用いることなくスローアウェイチップを工具ホルダの先端に固定する構成も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−100808号公報
【0005】
【特許文献2】
特表2002−501441号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1で開示されているようなスローアウェイチップを単にねじ止めする構成では、切削加工中における回転方向の切削力をねじの係止部分で受け止めるため、加工を繰り返すうちにねじが変形してくる。その結果、スローアウェイチップと工具本体との中心軸にずれが生じ、必要な加工精度が得られなくなってしまうという問題があった。
【0007】
また、特許文献2で開示されているようなホルダの弾性変形作用を利用した構成では、切削加工中、チップにかかる外力や不安定な固定の影響でチップ先端の位置が定まらずドリル加工の加工精度が低下する場合があり、加工信頼性が不十分であった。また、ホルダの弾性変形作用だけでスローアウェイチップを脱着、固定する必要があるため、ホルダの特定部位に無理な力が繰り返し加わる結果、スローアウェイチップの交換を繰り返すうちにホルダの弾性力が弱まってしまい、スローアウェイチップが工具本体から脱落したり、破損するという問題が生じ、少ない使用回数で工具ホルダを新品に交換しなければならず、スローアウェイドリルのメリットが損なわれて極めて不経済なこととなる場合があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、工具ホルダと共通の回転軸を有するスローアウェイチップが着脱可能なスローアウェイドリルにおいて、繰り返し加工精度、加工信頼性が高く長寿命なスローアウェイドリルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1のスローアウェイドリルは、先端側に少なくとも二つの切刃を備えるとともに後端側に工具ホルダとの当接面を具備するスローアウェイチップを、該スローアウェイチップと共通の回転軸を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであって、前記スローアウェイチップの後端側が、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記スローアウェイチップの外周側に配置された複数の第一後端面と、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記第一後端面より前記工具ホルダ側に位置し、かつ前記第一後端面より前記回転軸側に位置する複数の第二後端面と、前記第一後端面と前記第二後端面との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面と、を具備していることを特徴としている。
【0010】
かかる構成によれば、ドリルにて切削する際に、前記係止面に、径方向に作用する分力が発生し、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれるために、切削中の回転方向におけるチップの固定だけでなく径方向におけるチップの切刃位置安定性、つまりチップのセンター(回転軸)が安定しやすく、加工中のチップの径方向への位置ずれを抑制してドリル加工の加工精度を高めることができる。また、スローアウェイチップの回転方向の支持は前記係止面全体にて受けることになるので、切削加工中、特定部分に回転方向の負荷が集中することがない上に、スローアウェイチップの固定にホルダの弾性変形を伴わないので、結果としてねじ部材やホルダ等の特定部分が経時的に変形することなく総合的に長寿命なドリルとなる。
【0011】
また、請求項2のスローアウェイドリルは、前記係止面が前記第一後端面と鋭角をなして交わっているとともに、前記第二後端面が該第二後端面に続く前記係止面よりも前記回転軸側に存在するとともに、前記複数の係止面同士が回転対称な位置関係にあることを特徴としている。かかる構成によれば、前記工具回転軸方向へのチップのずれを抑制できることに加え、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスがより良い状態で保たれ、チップ先端の位置がより安定してドリル加工の精度を高精度に保つことができることとなる。
【0012】
また、請求項3のスローアウェイドリルは、前記係止面と前記第一後端面との交線と、前記回転軸との距離が、ドリル半径に対して15%〜60%の範囲にあることを特徴としている。かかる構成によれば、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれた状態となるため、特に断続切削のような激しい衝撃を伴う加工においても、スローアウェイチップが加工中に位置ずれすることなく安定した加工精度が得られる。
【0013】
また、請求項4のスローアウェイドリルは、前記スローアウェイチップの後端側に、さらに前記第二後端面より前記回転軸側に位置するとともに、前記第二後端面より後端側に突出する棒状部を備え、かつ前記工具ホルダ先端側には前記棒状部を嵌合する凹部を備えていることを特徴としている。かかる構成によれば、スローアウェイチップを工具ホルダに取り付ける際に前記棒状部がガイドとして作用するため、位置決め操作がスムーズとなる。
【0014】
また、請求項5のスローアウェイドリルは、前記棒状部が突出側に向かって先細のテーパー状であることを特徴としている。かかる構成によれば、スローアウェイチップを工具ホルダに取り付ける際に前記棒状部がガイドとして作用するだけでなく、センターの位置決めがよりスムーズに行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【0016】
図1から図6は、本発明の実施形態を示すものであり、図1は本実施例によるスローアウェイドリルの分解側面図、図2は図1のスローアウェイチップの後端側斜視図、図3は図2のスローアウェイチップの後端視図、図4は図1の工具ホルダの先端側斜視図、図5は図4の工具ホルダの先端視図、図6は図3における係止面にかかる力の向きを示す模式図である。
【0017】
図1において、本実施例によるスローアウェイドリルAは、先端側に二つの切れ刃1を備え後端側に工具ホルダ4との当接面を具備するスローアウェイチップ3を、スローアウェイチップ3と共通の回転軸8を有する工具ホルダ4の先端部にねじ部材等の固定手段9を用いて着脱可能に装着される構成となっている。
【0018】
また、本発明によれば、図2に示すように、スローアウェイチップ3の後端側が、回転軸8に対して概略直交するとともに、スローアウェイチップ3の外周側に配置された複数の第一後端面5と、回転軸8に対して概略直交するとともに、第一後端面5より工具ホルダ4側に位置し、かつ第一後端面5より回転軸8側に位置する複数の第二後端面6と、第一後端面5と第二後端面6との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面7と、を具備した構成となっている。
【0019】
ここで、本発明によれば、スローアウェイドリルAにて切削する際に、係止面7には径方向に作用する分力が発生するような構成とすることが大きな特徴であり、これによって、図6に示すように、スローアウェイチップ3の係止面7を工具ホルダ4の係止受け面12が押し付ける力a1、a2が、その分力として周方向(c1、c2)だけでなく径方向(b1、b2)にも作用し、回転軸8を中心に複数の係止面7にかかる力のバランスが保たれるため、回転軸8方向へのチップ3の固定が安定するだけでなく径方向へのチップ位置が安定する、つまりチップの先端が回転軸8と容易に安定して一致しやすく、加工中にチップ3が径方向へ位置ずれすることを抑制することができる。
【0020】
なお、本発明において、係止面7から係止受け面12に向かっては、前述した係止受け面12から係止面7に作用する力と逆向き(反作用)の力がかかっており、その分力として、回転軸8に直交し、かつ前記回転軸8から外周へ向かう方向にも力が作用している。
【0021】
次に、スローアウェイチップ3の工具ホルダ4への固定について説明する。
【0022】
図1において、スローアウェイチップ3が工具ホルダ4の先端に係止面7と工具ホルダ4側の係止受け面12とが当接した状態で装着され、固定手段9によって締め付け固定される。このとき、スローアウェイチップ3の第一後端面5、第二後端面6、及び係止面7が、図3に示すホルダの第一先端面10、第二先端面11及び係止受け面12にそれぞれ当接し係合されるが、スローアウェイチップ3の回転方向の支持は係止面7と係止受け面12の当接によってなされるので、スローアウェイチップ3を工具ホルダ4に固定している固定手段9に、切削加工中における回転方向の負荷がかかることがない上に、スローアウェイチップ3の固定に工具ホルダ4の弾性変形を伴わないので、結果として長寿命な工具を得ることができる。
【0023】
また、このように係合した状態におけるねじ穴の中心は、図5に示すように、チップ側ねじ穴13がホルダ側ねじ穴14よりも係止受け面12から周方向に遠ざかるように互いに偏心させた位置に設けてあり、この状態からねじを締め込んでいくと、係止面7が係止受け面12に押し付けられる。
【0024】
ちなみに本実施例では、スローアウェイチップ3の第二後端面6から突出する棒状部2を備えた構成としているが、これによりスローアウェイチップ3を工具ホルダ4に取り付ける際に前記棒状部2がガイドとして作用するため、チップ3の位置決め操作がスムーズとなる点で好ましい。また、棒状部2が突出側に向かって先細のテーパー状であることが、スローアウェイチップ3を工具ホルダ4に取り付ける際に棒状部2がガイドとして作用するだけでなく、センターの位置決めがよりスムーズに行われる点でさらに望ましい。
【0025】
ここで、図3に示す前記係止面7と前記第一後端面5との交線15と前記工具回転軸8との距離dは、ドリル半径Rに対して15%〜60%の範囲にあるのが望ましい。この範囲に制御することによって、前述した径方向に作用する分力を維持することができ、断続切削のような激しい衝撃を伴う加工においてもスローアウェイチップが位置ずれすることなく、加工面精度を保つことができるとともに、異常摩耗や欠損等によるチップ寿命の極端な低下を抑制することができる。また、工具ホルダ4の係止受け面12の面積が著しく狭くなったり、係止部7の肉厚が薄くなることもないので、スローアウェイチップ3を周方向にいくら押し付けても十分なクランプ力が得られなかったり、無理に押し付けようとして工具ホルダ4側の強度不足のため破損にいたってしまうようなことも防止できる。
【0026】
なお、本発明におけるドリル半径Rとは、スローアウェイチップ3において回転軸8から切刃1の最外径(加工径)までの長さを指す(図3参照)。
【0027】
また、本発明によれば、図1に示すように、スローアウェイチップ3をホルダ4に装着した状態で、切刃1,1間に存在する溝部20と、ホルダ4の側面の溝部21が連通するようにしてフルートが形成されており、切刃1にて切削された切屑がフルート表面を伝ってドリル後端部へ移動した後、系外へ排出される。
【0028】
なお、本実施例においては、スローアウェイチップの先端側から挿入したねじ等の固定部材を用いてスローアウェイチップを工具ホルダに固定する構成をとっているが、これ以外に、例えばホルダ側面からねじを挿入してスローアウェイチップを工具ホルダに固定する構成等でも同様の効果を得ることが可能である。
【0029】
さらに、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、例えば、切刃1を3つ以上具備するものであってもよく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることは云うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上記述した通り、本発明のスローアウェイドリルは、先端側に少なくとも二つの切刃を備えるとともに後端側に工具ホルダとの当接面を具備するスローアウェイチップを、該スローアウェイチップと共通の回転軸を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルであって、前記スローアウェイチップの後端側が、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記スローアウェイチップの外周側に配置された複数の第一後端面と、前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記第一後端面より前記工具ホルダ側に位置し、かつ前記第一後端面より前記回転軸側に位置する複数の第二後端面と、前記第一後端面と前記第二後端面との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面と、を具備した構成とすることにより、ドリルにて切削する際に、前記係止面に、径方向に作用する分力が発生し、工具回転軸を中心に前記複数の係止面間での力のバランスが保たれるために、切削中の回転方向におけるチップの固定だけでなく径方向におけるチップの位置安定性、つまりチップのセンターが安定しやすく、加工中のチップの径方向への位置ずれを抑制してドリル加工の加工精度を高めることができるとともに、スローアウェイチップの回転方向の支持は前記係止面によってなされるので、スローアウェイチップをホルダに固定している固定手段に、切削加工中における回転方向の負荷がかかることがない上に、スローアウェイチップの固定にホルダの弾性変形を伴わないので、結果として長寿命な工具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例によるスローアウェイドリルの分解側面図である。
【図2】図1のスローアウェイチップの後端側斜視図である。
【図3】図2のスローアウェイチップの後端視図である。
【図4】図1の工具ホルダの先端側斜視図である。
【図5】図4の工具ホルダの先端視図である。
【図6】図3における係止面にかかる力の向きを示す模式図である。
【符号の説明】
1:切れ刃
2:棒状部
3:スローアウェイチップ
4:工具ホルダ
5:第一後端面
6:第二後端面
7:係止面
8:回転軸
9:固定手段
10:第一先端面
11:第二先端面
12:係止受け面
13:チップ側ねじ穴
14:ホルダ側ねじ穴
15:係止面7と第一後端面5との交線
20:スローアウェイチップの溝部
21:工具ホルダの溝部
A:スローアウェイドリル
d:交線15と回転軸8との距離
R:ドリル半径
a1、a2:係止受け面が係止面を押し付ける力
b1、b2:力a1、a2の径方向(工具外周から工具回転軸へ向く方向)への分力
c1、c2:力a1、a2の周方向(分力b1、b2と直交する方向)への分力
Claims (5)
- 先端側に少なくとも二つの切刃を備えるとともに後端側に工具ホルダとの当接面を具備するスローアウェイチップを、該スローアウェイチップと共通の回転軸を有する工具ホルダの先端部に着脱可能に装着したスローアウェイドリルにおいて、
前記スローアウェイチップの後端側が、
前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記スローアウェイチップの外周側に配置された複数の第一後端面と、
前記回転軸に対して概略直交するとともに、前記第一後端面より前記工具ホルダ側に位置し、かつ前記第一後端面より前記回転軸側に位置する複数の第二後端面と、
前記第一後端面と前記第二後端面との間に位置する段差側面に相当する複数の係止面と、
を具備していることを特徴とするスローアウェイドリル。 - 前記係止面が前記第一後端面と鋭角をなして交わっており、前記第二後端面が該第二後端面に続く前記係止面よりも前記回転軸側に存在するとともに、前記複数の係止面同士が回転対称な位置関係にあることを特徴とするスローアウェイドリル。
- 前記係止面と前記第一後端面との交線と、前記回転軸との距離が、ドリル半径に対して15%〜60%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載のスローアウェイドリル。
- 前記スローアウェイチップの後端側に、さらに前記第二後端面より前記回転軸側に位置するとともに、前記第2後端面より後端側に突出する棒状部を備え、かつ前記工具ホルダ先端側には前記棒状部を嵌合する凹部を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスローアウェイドリル。
- 前記棒状部が突出側に向かって先細のテーパー状であることを特徴とする請求項4記載のスローアウェイドリル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003183449A JP2005014165A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | スローアウェイドリル |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003183449A JP2005014165A (ja) | 2003-06-26 | 2003-06-26 | スローアウェイドリル |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005014165A true JP2005014165A (ja) | 2005-01-20 |
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ID=34183555
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2005014165A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006104079A1 (ja) * | 2005-03-28 | 2006-10-05 | Taiheiyo Cement Corporation | 水素貯蔵材料およびその製造方法 |
JP2010538846A (ja) * | 2007-09-14 | 2010-12-16 | コメート グループ ゲーエムベーハー | ドリルビットを備えた穴あけ工具 |
CN108465851A (zh) * | 2018-04-16 | 2018-08-31 | 南京汇龙五金工具制造有限公司 | 一种便于安装的麻花钻 |
US20220184714A1 (en) * | 2019-03-18 | 2022-06-16 | Mitsubishi Materials Corporation | Indexable drill, cutting insert and drill main body |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003183449A patent/JP2005014165A/ja active Pending
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