JP2005013124A - 美容効果を有する食品組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた美容効果を有する食品組成物を提供すること。
【解決手段】メチルスルホニルメタンを含有する食品組成物。この食品組成物は、好ましくは、さらに、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分);およびムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)のうちの少なくとも一方を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】メチルスルホニルメタンを含有する食品組成物。この食品組成物は、好ましくは、さらに、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分);およびムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)のうちの少なくとも一方を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、美容効果を有する食品組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、美白、シワの防止、皮膚のハリやツヤの改善などの美容を目的とした種々の化粧品が用いられている。しかし、化粧品の使用は局所的または対処的なものにすぎないため、不十分である場合が多い。
【0003】
美容の目的のために、種々の美容食品、例えば、コラーゲン粉末と杜仲茶エキスとを含有する食品などが報告されている(例えば、特許文献1)。さらに、皮膚の色素沈着を防止するために、アスコルビン酸とL−システインとを配合した健康食品などが市販されている。しかし、これらの食品の美容効果は十分とはいえない。
【0004】
美白効果、シワの防止および低減効果、ならびに皮膚のハリやツヤを改善する効果を有し、手軽に利用可能な食品組成物が求められている。
【0005】
近年、メチルスルフォニルメタン(MSM)を皮膚に塗布することによって、皮膚が柔軟になることが報告されている。MSMは、その他、アレルギーの改善効果および抗炎症効果を有することが知られているが(例えば、特許文献2〜4)、それ以外の効果については明らかになっていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−205835号公報
【特許文献2】
特開昭56−36412号公報
【特許文献3】
特開平2−27321号公報
【特許文献4】
特公平5−16406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、美白効果、シワの防止および低減効果、皮膚のハリやツヤを改善する効果などの美容効果が十分に得られ、かつ手軽に利用可能な食品組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、美容効果が得られる食品について、鋭意検討を行った結果、MSMを摂取することによって、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの美容効果が得られることを見出して、本発明に至った。
【0009】
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタンを含有する。
【0010】
好ましい実施態様においては、上記食品組成物は、さらに抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分を含有する。
【0011】
好ましい実施態様においては、上記食品組成物は、さらにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の美容効果を有する食品組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0013】
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタン(以下、A成分という場合がある)を含有する。この食品組成物は、好ましくは、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(以下、B成分という場合がある)、ならびにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(以下、C成分という場合がある)の少なくとも一方を含有し、必要に応じて、添加剤などを含有する。。
【0014】
(1)A成分:メチルスルホニルメタン(MSM)
MSMは、自然界に存在する硫黄化合物であり、以下の式で示される化合物である。この化合物は、ほとんどの動植物に吸収され、体内の硫黄源として利用され、主に結合組織や骨を構成する成分の1つとなっている。
【0015】
【化1】
【0016】
メチルスルホニルメタン(MSM)は、食品としては、加工されていない新鮮な牛乳に最も多く含有され、コーヒー、茶(例えば、茶葉)、松(例えば、松の葉)、トマト、リンゴ、緑黄色野菜(例えば、キャベツ)などの植物にも、ごく微量ではあるが含有されている。
【0017】
本発明の食品組成物に含有されるMSMは、天然物由来であっても、合成品であってもよい。天然物由来のMSMは、例えば、上記の牛乳あるいは植物から抽出することによって得られる。例えば、松からリグニンを単離し、このリグニンと硫黄とを混合することにより硫黄を酸化して得られる。得られたMSMは、その後、蒸留などの精製によって純度を高めることが好ましい。合成品の場合、例えば、以下の反応式に示されるジメチルスルホキシドの酸化などによって得ることができる。MSMは、その純度が90重量%以上のものが好ましく用いられる:
(CH3)2SO+H2O2 → (CH3)2SO2+H2O
【0018】
MSMは、上述のように、結合組織や骨を構成する成分の1つであり、加齢とともに減少し、例えば肌にシワが生じるなどの現象が現れる。しかし、本発明のMSMを含有する食品組成物を摂取することにより、このような肌のシワ、シミを回避し、さらに肌のハリやツヤを改善するなどの美容効果が得られることが見出された。
【0019】
(2)B成分:抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分
本発明の食品組成物に含有され得るこれらの成分は、MSMの有する美容効果をさらに増強し得る。
【0020】
以下に上記B成分についての説明を行う。これらの中には、複数の上記作用を有する物質もある。この場合、単一の作用に限定して使用してもよく、複数の作用を意図して使用してもよい。これらの成分は、単独で使用してもよく、あるいは組み合わせて使用してもよい。
【0021】
抗酸化作用を有する成分としては、ヘスペリジン、ケルセチンなどのフラボノール;プロアントシアニジン、エピガロカテキンなどのフラバノール;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用を有するビタミン類;ユビキノン(CoQ10);シスチン、システイン、およびシステイン含有ペプチド(グルタチオンなど);セサミン、セサモリンなどのリグナン類;クルクミンおよびその誘導体;上記いずれか1つ以上の成分を含有する植物抽出物などが挙げられる。これらの成分の中でも、プロアントシアニジン、ビタミンC(コラーゲン合成のために経口摂取が必要な成分である)、ビタミンE、ユビキノン、およびシステイン含有ペプチドが好ましく、プロアントシアニジンがより好ましい。抗酸化作用を有する成分は、特に、活性酸素によるコラーゲンなどの結合組織が崩壊するのを防止する効果、チロシナーゼ阻害効果、メラニンの還元作用などにより、MSMと相乗的に作用して、美容効果を増強し得る。
【0022】
ヒアルロニダーゼ阻害作用を有する成分としては、大黄、茶葉、ハマメリス、シソ、タイム、海藻、およびこれらの抽出物、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、大黄、茶葉、およびプロアントシアニジンである。
【0023】
コラゲナーゼ阻害作用を有する成分としては、ハマメリス、グアバ、大豆、茶、山査子などの植物およびこれらの植物抽出物、コーヒー酸、フラボノール、ラクトフェリン、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、プロアントシアニジンである。
【0024】
エラスターゼ阻害作用を有する成分としては、ユキノシタ、グァバ、ガラナ、ローズマリー、ソウハクヒ、ホップなどの植物、およびこれらの抽出物、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、グァバおよびその抽出物、ならびにプロアントシアニジンである。
【0025】
上記成分の中でも、プロアントシアニジンが特に好ましい。プロアントシアニジンは、高い活性酸素除去能を有し、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用を発揮する。さらに、コラーゲンの合成促進作用などを有するため、MSMとともに相乗的な美容効果を発揮し得る。
【0026】
(3)C成分:ムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種
本発明の食品組成物に含有され得るこれらの物質は、肌質の改善効果を促進する作用を有するため、MSMの有する美容効果をさらに増強し得る。
【0027】
ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、およびこれらの塩(例えば、硫酸塩や塩酸塩)が挙げられる。これらを豊富に含有する食品素材、例えば、鮫や牛の軟骨の抽出物、鶏冠、鶏皮、ツバメの巣、納豆、およびオクラなどの食品素材を使用してもよい。これらの成分の中で、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン塩、および鮫や牛の軟骨の抽出物が好ましい。
【0028】
ムコ多糖類、特に、ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸は、皮膚の真皮層の細胞間物質を構成する成分である。ムコ多糖類は、加齢と共に減少するため、真皮層の細胞間物質が減少する。この細胞間物質の減少により、皮膚の保水性および弾力性が失われ、肌荒れや小皺が生じる。したがって、本発明の食品組成物にムコ多糖類が含有されると、肌荒れの防止効果およびシワの発生の防止効果がさらに増強され得る。
【0029】
アミノ糖としては、グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、これらの塩(例えば、リン酸塩)などが挙げられる。これらを豊富に含む食品素材、例えば、鮫や牛の軟骨の抽出物を使用してもよい。好ましくはグルコサミンおよび鮫や牛の軟骨の抽出物である。
【0030】
ムコ多糖類およびアミノ糖は、組み合わせて使用することが好ましい。例えば、ムコ多糖類およびアミノ糖をいずれも豊富に含有する鮫や牛の軟骨の抽出物が、特に好適である。
【0031】
コラーゲンは、動物の皮膚(真皮組織)、骨、腱、血管の壁などに多く含まれている繊維状のタンパク質である。コラーゲンを摂取することによって、皮膚の水になじむ能力を高め、保水効果を強める;皮膚の温度放散を抑える;皮膚の表面をなめらかにする;および脂性の皮膚では皮膚表面の脂分を減少させる一方、乾燥性の皮膚では皮膚表面の脂分を増加させてバランスをとる等の効果を有することが知られている。コラーゲンは、MSMの有する美容効果をさらに高めるために、好適に使用され得る。
【0032】
アミノ酸としては、コラーゲン、エラスチンなどを構成する主要なアミノ酸が好ましく、例えば、プロリン、システイン及びその誘導体、アラニン、アルギニン、およびグリシンが挙げられる。これらのアミノ酸は、真皮を構成するタンパク質の合成を促進し、肌の老化を防止するため、MSMの有する美容効果を増強し得る。
【0033】
セラミド類としては、例えば、セラミド、グルコシルセラミド、およびガラクトシルセラミドが挙げられる。好ましくは、グルコシルセラミドである。さらに、これらを含有する医薬品原料;牛等の動物の脳からの抽出物などの動物由来の抽出物;小麦、米、大豆、黍、ホウレンソウ、コンニャクなどの植物由来の抽出物;酵母などの微生物由来の抽出物などの市販品を用いることもできる。セラミド類は、人間の皮膚の構成成分の1つで、食品として皮膚の保湿および保護作用、ならびに肌荒れの防止および改善効果を有する。したがって、MSMの有する美容効果をさらに高めることができる。
【0034】
(4)その他の成分
本発明の食品組成物は、さらに必要に応じて、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、機能性成分、調味料などの添加剤を含有する。これらのうち、機能性成分としては、例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、アミノ酸、カルシウム含有材料(例えば、卵殻カルシウム)、キトサン、レシチンなどが挙げられる。調味料としては、例えば、ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、ソルビドール、還元麦芽糖、乳糖、糖液などが挙げられる。
【0035】
(5)美容効果を有する食品組成物
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタン(A成分)を含有し、好ましくは抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分)、ならびにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)のうちの少なくとも一方を含有する。
【0036】
本発明の食品組成物中のMSM(A成分)の含有量に特に制限はない。MSMの摂取量が、成人一日当たり、好ましくは100mg〜3000mg、より好ましくは300mg〜2000mg、さらに好ましくは500mg〜1000mgとなるように食品組成物中に含有させることが好ましい。
【0037】
本発明の食品組成物中の抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分)の含有量に特に制限はないが、その摂取量が、成人一日当たり、好ましくは0.001mg〜2000mg、より好ましくは0.005mg〜1000mgとなるように食品組成物中に含有されることが好ましい。
【0038】
本発明の食品組成物中のムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)の含有量に特に制限はないが、その摂取量が、一日当たり、好ましくは10mg〜5000mg、より好ましくは20mg〜3000mgとなるように食品組成物中に含有されることが好ましい。
【0039】
本発明の食品組成物が、B成分を含有する場合、A成分100重量部に対して、B成分を、好ましくは0.001〜1000重量部、より好ましくは0.01〜500重量部となるように含有されることが好ましい。C成分を含有する場合、A成分100重量部に対して、C成分を、好ましくは0.01〜1000重量部、より好ましくは0.1〜500重量部となるように含有されることが好ましい。このような割合で含有する食品組成物は、美容効果が相乗的に発揮される。
【0040】
本発明の食品組成物は、種々の形態であり得、この形態に特に制限はない。例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤などの形態、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、液体(飲料)、ペースト状などの形態であり得る。これらは、形状または好みに応じて、そのまま飲食してもよく、あるいは水、湯などに溶いて飲んでも良い。
【0041】
本発明の食品組成物は、MSMを含有するため、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの優れた美容効果を発揮する。本発明の食品組成物は、長期的に摂取すること、例えば、1ヶ月以上摂取することが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0043】
(実施例1)
MSM(協和ハイフーズ株式会社)と低ビタミンC飼料(CG−7:日本クレア(株)、ビタミンC含有量0.01重量%)とを表1に記載の割合にて混合して飼料1を調製した。この飼料1を用いて、肌のハリやツヤを改善する効果を以下のようにして評価した。
【0044】
まず、平均体重269gの雄性モルモット(日本エスエルシー(株))50匹に一週間基本飼料(CG−7:日本クレア(株)、ビタミンC含有量0.17重量%)を与えて馴化させた。これらのモルモットを総無作為化法により一群5匹の10群にわけた。次いで、1群のモルモットに上記飼料1を4週間自由摂取させた。摂取期間終了後、モルモットから皮膚を摘出し、10倍希釈ホルマリン溶液に12時間浸漬させた後、精製水で洗浄した。さらに、50容量%メタノール水溶液に2時間、70容量%メタノール水溶液に2時間、および80容量%メタノール水溶液に24時間浸漬した。その後、無水メタノールに2.5時間浸漬する操作を4回繰り返して脱水処理を行った。得られた処理物をさらに、キシレンに1時間浸漬する操作を3回繰り返した後、溶媒をパラフィンに置換して、1時間浸漬する操作を2回繰り返して包埋した。包埋後、ミクロトーム(ヤマト科学株式会社)を用いて厚さ1μmの病理切片を作製し、病理切片からパラフィンを除去した後に、アザン−マロリー法により染色して基底板と筋膜との間の距離(すなわち、真皮に相当する部分の厚み)を顕微鏡で測定し、真皮の厚さの平均値を算出した。結果を表2に示す。なお、真皮に相当する部分の厚さが大きいほど、肌のハリやツヤが改善されたことを示す。
【0045】
(実施例2〜9)
実施例1と同様に、表1に記載の組成の各成分を混合して飼料を調製した(各々飼料2〜9とする)。これらの飼料を用いて実施例1と同様に、肌のハリやツヤを改善する効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1と同様に、表1に記載の組成の各成分を混合して飼料10を調製した。この飼料10を用いて実施例1と同様に、肌のハリやツヤを改善する効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果から、実施例1〜9のMSM(A成分)を含有する飼料を摂取した群は、比較例1のMSMを含有しない飼料を摂取した群に比べて、真皮の厚さが増加していることが分かる。このことは、MSMを含有する飼料が、優れた肌のハリやツヤを改善する効果を有することを示す。特に、実施例2〜9のMSM(A成分)と、B成分およびC成分のいずれか一方の成分とを含有する飼料を摂取した群は、真皮の厚さが大きく増加した。
【0050】
(実施例10)
MSM(協和ハイフーズ株式会社製)および賦形剤(結晶セルロース、還元麦芽糖、ショ糖エステル、および二酸化ケイ素の等量混合物)を、表3に記載の割合にて混合して1錠が300mgの重量の錠剤1を製造した。
【0051】
5人の女性ボランティア(45歳以上)に、錠剤1を1日あたり12錠、4週間摂取させた。摂取期間終了後、摂取前に比べて、肌の状態に関する表4に記載の項目をアンケート調査し、美容効果を評価した。アンケート調査は、「はい」または「いいえ」で自己評価してもらい、「はい」と答えた人数を集計した。結果を表4に示す。
【0052】
(実施例11〜15)
実施例10と同様にして、表3に記載の成分を混合して錠剤2〜6をそれぞれ製造した(1錠あたり300mg)。錠剤1の代わりに、錠剤2〜6をそれぞれ、各5人の女性ボランティア(45歳以上)に摂取させたこと以外は、実施例10と同様に実施した。結果を表4に併せて示す。
【0053】
(比較例2)
実施例10と同様にして、表3に記載の成分を混合して錠剤7を製造した(1錠あたり300mg)。錠剤1の代わりに、この錠剤7を、5人の女性ボランティア(45歳以上)に摂取させたこと以外は、実施例10と同様に実施した。結果を表4に併せて示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表4の結果から、実施例10〜15のMSM(A成分)を含有する錠剤は、比較例2のMSMを含有しない錠剤に比べて、優れた美容効果を有することがわかる。特に、実施例11〜15のMSM(A成分)と、B成分およびC成分の少なくとも一方の成分とを含有する錠剤が、高い美容効果を有することがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、このように、メチルスルホニルメタンを含有し、美容効果を有する食品組成物が提供される。この食品組成物を摂取することによって、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの優れた美容効果が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、美容効果を有する食品組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、美白、シワの防止、皮膚のハリやツヤの改善などの美容を目的とした種々の化粧品が用いられている。しかし、化粧品の使用は局所的または対処的なものにすぎないため、不十分である場合が多い。
【0003】
美容の目的のために、種々の美容食品、例えば、コラーゲン粉末と杜仲茶エキスとを含有する食品などが報告されている(例えば、特許文献1)。さらに、皮膚の色素沈着を防止するために、アスコルビン酸とL−システインとを配合した健康食品などが市販されている。しかし、これらの食品の美容効果は十分とはいえない。
【0004】
美白効果、シワの防止および低減効果、ならびに皮膚のハリやツヤを改善する効果を有し、手軽に利用可能な食品組成物が求められている。
【0005】
近年、メチルスルフォニルメタン(MSM)を皮膚に塗布することによって、皮膚が柔軟になることが報告されている。MSMは、その他、アレルギーの改善効果および抗炎症効果を有することが知られているが(例えば、特許文献2〜4)、それ以外の効果については明らかになっていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−205835号公報
【特許文献2】
特開昭56−36412号公報
【特許文献3】
特開平2−27321号公報
【特許文献4】
特公平5−16406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、美白効果、シワの防止および低減効果、皮膚のハリやツヤを改善する効果などの美容効果が十分に得られ、かつ手軽に利用可能な食品組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、美容効果が得られる食品について、鋭意検討を行った結果、MSMを摂取することによって、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの美容効果が得られることを見出して、本発明に至った。
【0009】
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタンを含有する。
【0010】
好ましい実施態様においては、上記食品組成物は、さらに抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分を含有する。
【0011】
好ましい実施態様においては、上記食品組成物は、さらにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の美容効果を有する食品組成物について説明する。なお、以下に説明する構成は、本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができることは当業者に明らかである。
【0013】
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタン(以下、A成分という場合がある)を含有する。この食品組成物は、好ましくは、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(以下、B成分という場合がある)、ならびにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(以下、C成分という場合がある)の少なくとも一方を含有し、必要に応じて、添加剤などを含有する。。
【0014】
(1)A成分:メチルスルホニルメタン(MSM)
MSMは、自然界に存在する硫黄化合物であり、以下の式で示される化合物である。この化合物は、ほとんどの動植物に吸収され、体内の硫黄源として利用され、主に結合組織や骨を構成する成分の1つとなっている。
【0015】
【化1】
【0016】
メチルスルホニルメタン(MSM)は、食品としては、加工されていない新鮮な牛乳に最も多く含有され、コーヒー、茶(例えば、茶葉)、松(例えば、松の葉)、トマト、リンゴ、緑黄色野菜(例えば、キャベツ)などの植物にも、ごく微量ではあるが含有されている。
【0017】
本発明の食品組成物に含有されるMSMは、天然物由来であっても、合成品であってもよい。天然物由来のMSMは、例えば、上記の牛乳あるいは植物から抽出することによって得られる。例えば、松からリグニンを単離し、このリグニンと硫黄とを混合することにより硫黄を酸化して得られる。得られたMSMは、その後、蒸留などの精製によって純度を高めることが好ましい。合成品の場合、例えば、以下の反応式に示されるジメチルスルホキシドの酸化などによって得ることができる。MSMは、その純度が90重量%以上のものが好ましく用いられる:
(CH3)2SO+H2O2 → (CH3)2SO2+H2O
【0018】
MSMは、上述のように、結合組織や骨を構成する成分の1つであり、加齢とともに減少し、例えば肌にシワが生じるなどの現象が現れる。しかし、本発明のMSMを含有する食品組成物を摂取することにより、このような肌のシワ、シミを回避し、さらに肌のハリやツヤを改善するなどの美容効果が得られることが見出された。
【0019】
(2)B成分:抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分
本発明の食品組成物に含有され得るこれらの成分は、MSMの有する美容効果をさらに増強し得る。
【0020】
以下に上記B成分についての説明を行う。これらの中には、複数の上記作用を有する物質もある。この場合、単一の作用に限定して使用してもよく、複数の作用を意図して使用してもよい。これらの成分は、単独で使用してもよく、あるいは組み合わせて使用してもよい。
【0021】
抗酸化作用を有する成分としては、ヘスペリジン、ケルセチンなどのフラボノール;プロアントシアニジン、エピガロカテキンなどのフラバノール;ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用を有するビタミン類;ユビキノン(CoQ10);シスチン、システイン、およびシステイン含有ペプチド(グルタチオンなど);セサミン、セサモリンなどのリグナン類;クルクミンおよびその誘導体;上記いずれか1つ以上の成分を含有する植物抽出物などが挙げられる。これらの成分の中でも、プロアントシアニジン、ビタミンC(コラーゲン合成のために経口摂取が必要な成分である)、ビタミンE、ユビキノン、およびシステイン含有ペプチドが好ましく、プロアントシアニジンがより好ましい。抗酸化作用を有する成分は、特に、活性酸素によるコラーゲンなどの結合組織が崩壊するのを防止する効果、チロシナーゼ阻害効果、メラニンの還元作用などにより、MSMと相乗的に作用して、美容効果を増強し得る。
【0022】
ヒアルロニダーゼ阻害作用を有する成分としては、大黄、茶葉、ハマメリス、シソ、タイム、海藻、およびこれらの抽出物、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、大黄、茶葉、およびプロアントシアニジンである。
【0023】
コラゲナーゼ阻害作用を有する成分としては、ハマメリス、グアバ、大豆、茶、山査子などの植物およびこれらの植物抽出物、コーヒー酸、フラボノール、ラクトフェリン、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、プロアントシアニジンである。
【0024】
エラスターゼ阻害作用を有する成分としては、ユキノシタ、グァバ、ガラナ、ローズマリー、ソウハクヒ、ホップなどの植物、およびこれらの抽出物、プロアントシアニジンなどが挙げられる。好ましくは、グァバおよびその抽出物、ならびにプロアントシアニジンである。
【0025】
上記成分の中でも、プロアントシアニジンが特に好ましい。プロアントシアニジンは、高い活性酸素除去能を有し、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用を発揮する。さらに、コラーゲンの合成促進作用などを有するため、MSMとともに相乗的な美容効果を発揮し得る。
【0026】
(3)C成分:ムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種
本発明の食品組成物に含有され得るこれらの物質は、肌質の改善効果を促進する作用を有するため、MSMの有する美容効果をさらに増強し得る。
【0027】
ムコ多糖類としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン、デルマタン、ヘパラン、ヘパリン、ケタラン、およびこれらの塩(例えば、硫酸塩や塩酸塩)が挙げられる。これらを豊富に含有する食品素材、例えば、鮫や牛の軟骨の抽出物、鶏冠、鶏皮、ツバメの巣、納豆、およびオクラなどの食品素材を使用してもよい。これらの成分の中で、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン塩、および鮫や牛の軟骨の抽出物が好ましい。
【0028】
ムコ多糖類、特に、ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸は、皮膚の真皮層の細胞間物質を構成する成分である。ムコ多糖類は、加齢と共に減少するため、真皮層の細胞間物質が減少する。この細胞間物質の減少により、皮膚の保水性および弾力性が失われ、肌荒れや小皺が生じる。したがって、本発明の食品組成物にムコ多糖類が含有されると、肌荒れの防止効果およびシワの発生の防止効果がさらに増強され得る。
【0029】
アミノ糖としては、グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、これらの塩(例えば、リン酸塩)などが挙げられる。これらを豊富に含む食品素材、例えば、鮫や牛の軟骨の抽出物を使用してもよい。好ましくはグルコサミンおよび鮫や牛の軟骨の抽出物である。
【0030】
ムコ多糖類およびアミノ糖は、組み合わせて使用することが好ましい。例えば、ムコ多糖類およびアミノ糖をいずれも豊富に含有する鮫や牛の軟骨の抽出物が、特に好適である。
【0031】
コラーゲンは、動物の皮膚(真皮組織)、骨、腱、血管の壁などに多く含まれている繊維状のタンパク質である。コラーゲンを摂取することによって、皮膚の水になじむ能力を高め、保水効果を強める;皮膚の温度放散を抑える;皮膚の表面をなめらかにする;および脂性の皮膚では皮膚表面の脂分を減少させる一方、乾燥性の皮膚では皮膚表面の脂分を増加させてバランスをとる等の効果を有することが知られている。コラーゲンは、MSMの有する美容効果をさらに高めるために、好適に使用され得る。
【0032】
アミノ酸としては、コラーゲン、エラスチンなどを構成する主要なアミノ酸が好ましく、例えば、プロリン、システイン及びその誘導体、アラニン、アルギニン、およびグリシンが挙げられる。これらのアミノ酸は、真皮を構成するタンパク質の合成を促進し、肌の老化を防止するため、MSMの有する美容効果を増強し得る。
【0033】
セラミド類としては、例えば、セラミド、グルコシルセラミド、およびガラクトシルセラミドが挙げられる。好ましくは、グルコシルセラミドである。さらに、これらを含有する医薬品原料;牛等の動物の脳からの抽出物などの動物由来の抽出物;小麦、米、大豆、黍、ホウレンソウ、コンニャクなどの植物由来の抽出物;酵母などの微生物由来の抽出物などの市販品を用いることもできる。セラミド類は、人間の皮膚の構成成分の1つで、食品として皮膚の保湿および保護作用、ならびに肌荒れの防止および改善効果を有する。したがって、MSMの有する美容効果をさらに高めることができる。
【0034】
(4)その他の成分
本発明の食品組成物は、さらに必要に応じて、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、機能性成分、調味料などの添加剤を含有する。これらのうち、機能性成分としては、例えば、ローヤルゼリー、ビタミン、プロテイン、アミノ酸、カルシウム含有材料(例えば、卵殻カルシウム)、キトサン、レシチンなどが挙げられる。調味料としては、例えば、ステビア末、抹茶パウダー、レモンパウダー、はちみつ、ソルビドール、還元麦芽糖、乳糖、糖液などが挙げられる。
【0035】
(5)美容効果を有する食品組成物
本発明の美容効果を有する食品組成物は、メチルスルホニルメタン(A成分)を含有し、好ましくは抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分)、ならびにムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)のうちの少なくとも一方を含有する。
【0036】
本発明の食品組成物中のMSM(A成分)の含有量に特に制限はない。MSMの摂取量が、成人一日当たり、好ましくは100mg〜3000mg、より好ましくは300mg〜2000mg、さらに好ましくは500mg〜1000mgとなるように食品組成物中に含有させることが好ましい。
【0037】
本発明の食品組成物中の抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分(B成分)の含有量に特に制限はないが、その摂取量が、成人一日当たり、好ましくは0.001mg〜2000mg、より好ましくは0.005mg〜1000mgとなるように食品組成物中に含有されることが好ましい。
【0038】
本発明の食品組成物中のムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種(C成分)の含有量に特に制限はないが、その摂取量が、一日当たり、好ましくは10mg〜5000mg、より好ましくは20mg〜3000mgとなるように食品組成物中に含有されることが好ましい。
【0039】
本発明の食品組成物が、B成分を含有する場合、A成分100重量部に対して、B成分を、好ましくは0.001〜1000重量部、より好ましくは0.01〜500重量部となるように含有されることが好ましい。C成分を含有する場合、A成分100重量部に対して、C成分を、好ましくは0.01〜1000重量部、より好ましくは0.1〜500重量部となるように含有されることが好ましい。このような割合で含有する食品組成物は、美容効果が相乗的に発揮される。
【0040】
本発明の食品組成物は、種々の形態であり得、この形態に特に制限はない。例えば、ハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、丸剤などの形態、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、飴状、液体(飲料)、ペースト状などの形態であり得る。これらは、形状または好みに応じて、そのまま飲食してもよく、あるいは水、湯などに溶いて飲んでも良い。
【0041】
本発明の食品組成物は、MSMを含有するため、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの優れた美容効果を発揮する。本発明の食品組成物は、長期的に摂取すること、例えば、1ヶ月以上摂取することが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
【0043】
(実施例1)
MSM(協和ハイフーズ株式会社)と低ビタミンC飼料(CG−7:日本クレア(株)、ビタミンC含有量0.01重量%)とを表1に記載の割合にて混合して飼料1を調製した。この飼料1を用いて、肌のハリやツヤを改善する効果を以下のようにして評価した。
【0044】
まず、平均体重269gの雄性モルモット(日本エスエルシー(株))50匹に一週間基本飼料(CG−7:日本クレア(株)、ビタミンC含有量0.17重量%)を与えて馴化させた。これらのモルモットを総無作為化法により一群5匹の10群にわけた。次いで、1群のモルモットに上記飼料1を4週間自由摂取させた。摂取期間終了後、モルモットから皮膚を摘出し、10倍希釈ホルマリン溶液に12時間浸漬させた後、精製水で洗浄した。さらに、50容量%メタノール水溶液に2時間、70容量%メタノール水溶液に2時間、および80容量%メタノール水溶液に24時間浸漬した。その後、無水メタノールに2.5時間浸漬する操作を4回繰り返して脱水処理を行った。得られた処理物をさらに、キシレンに1時間浸漬する操作を3回繰り返した後、溶媒をパラフィンに置換して、1時間浸漬する操作を2回繰り返して包埋した。包埋後、ミクロトーム(ヤマト科学株式会社)を用いて厚さ1μmの病理切片を作製し、病理切片からパラフィンを除去した後に、アザン−マロリー法により染色して基底板と筋膜との間の距離(すなわち、真皮に相当する部分の厚み)を顕微鏡で測定し、真皮の厚さの平均値を算出した。結果を表2に示す。なお、真皮に相当する部分の厚さが大きいほど、肌のハリやツヤが改善されたことを示す。
【0045】
(実施例2〜9)
実施例1と同様に、表1に記載の組成の各成分を混合して飼料を調製した(各々飼料2〜9とする)。これらの飼料を用いて実施例1と同様に、肌のハリやツヤを改善する効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0046】
(比較例1)
実施例1と同様に、表1に記載の組成の各成分を混合して飼料10を調製した。この飼料10を用いて実施例1と同様に、肌のハリやツヤを改善する効果を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果から、実施例1〜9のMSM(A成分)を含有する飼料を摂取した群は、比較例1のMSMを含有しない飼料を摂取した群に比べて、真皮の厚さが増加していることが分かる。このことは、MSMを含有する飼料が、優れた肌のハリやツヤを改善する効果を有することを示す。特に、実施例2〜9のMSM(A成分)と、B成分およびC成分のいずれか一方の成分とを含有する飼料を摂取した群は、真皮の厚さが大きく増加した。
【0050】
(実施例10)
MSM(協和ハイフーズ株式会社製)および賦形剤(結晶セルロース、還元麦芽糖、ショ糖エステル、および二酸化ケイ素の等量混合物)を、表3に記載の割合にて混合して1錠が300mgの重量の錠剤1を製造した。
【0051】
5人の女性ボランティア(45歳以上)に、錠剤1を1日あたり12錠、4週間摂取させた。摂取期間終了後、摂取前に比べて、肌の状態に関する表4に記載の項目をアンケート調査し、美容効果を評価した。アンケート調査は、「はい」または「いいえ」で自己評価してもらい、「はい」と答えた人数を集計した。結果を表4に示す。
【0052】
(実施例11〜15)
実施例10と同様にして、表3に記載の成分を混合して錠剤2〜6をそれぞれ製造した(1錠あたり300mg)。錠剤1の代わりに、錠剤2〜6をそれぞれ、各5人の女性ボランティア(45歳以上)に摂取させたこと以外は、実施例10と同様に実施した。結果を表4に併せて示す。
【0053】
(比較例2)
実施例10と同様にして、表3に記載の成分を混合して錠剤7を製造した(1錠あたり300mg)。錠剤1の代わりに、この錠剤7を、5人の女性ボランティア(45歳以上)に摂取させたこと以外は、実施例10と同様に実施した。結果を表4に併せて示す。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表4の結果から、実施例10〜15のMSM(A成分)を含有する錠剤は、比較例2のMSMを含有しない錠剤に比べて、優れた美容効果を有することがわかる。特に、実施例11〜15のMSM(A成分)と、B成分およびC成分の少なくとも一方の成分とを含有する錠剤が、高い美容効果を有することがわかる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、このように、メチルスルホニルメタンを含有し、美容効果を有する食品組成物が提供される。この食品組成物を摂取することによって、美白効果、シワの防止および低減効果、肌のハリやツヤを改善する効果などの優れた美容効果が得られる。
Claims (3)
- メチルスルホニルメタンを含有する、美容効果を有する食品組成物。
- さらに、抗酸化作用、ヒアルロニダーゼ阻害作用、コラゲナーゼ阻害作用、およびエラスターゼ阻害作用からなる群より選択される少なくとも一種の作用を有する成分を含有する、請求項1に記載の食品組成物。
- さらに、ムコ多糖類、アミノ糖、コラーゲン、エラスチン、アミノ酸、およびセラミド類からなる群より選択される少なくとも一種を含有する、請求項1または2に記載の食品組成物。
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US7851441B2 (en) | 2004-10-29 | 2010-12-14 | Kyushu Institute Of Technology | Water-soluble elastin, process for producing same, and food and medicine containing same |
JP2012065605A (ja) * | 2010-09-24 | 2012-04-05 | Toyo Shinyaku Co Ltd | 食品組成物 |
JP2015512439A (ja) * | 2012-04-02 | 2015-04-27 | イーグルファーマ ピーティーワイ エルティーディEaglepharma Pty Ltd | 炎症性および免疫性疾患の治療のための組成物 |
CN111956790A (zh) * | 2020-08-17 | 2020-11-20 | 张会方 | 用于增加人体胶原蛋白及网状纤维的药物的制备方法 |
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2003
- 2003-06-27 JP JP2003183723A patent/JP2005013124A/ja active Pending
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