JP2005012450A - 画像補正方法および画像補正装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力画像の階調値を変換する画像補正装置10であって、入力画像を構成する各画素の階調値に対し、入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行って加重階調値を算出し、該加重階調値の頻度分布の特性値を算出するスキャニング処理部14と、該特性値に基づいて着目階調値を設定し、該着目階調値における入力階調値と出力階調値との間の傾きに基づいて着目傾き値を設定し、着目階調値と着目傾き値とを補正パラメータとして取得する補正パラメータ取得部16と、設定した着目階調値および着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、入力画像の階調値を変換する補正処理部17とを備える。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル画像の補正処理に関し、特にデジタル画像の輝度補正を行う画像補正方法および画像補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
被写体をデジタルカメラで撮影することにより得るデジタル画像や、銀塩写真のフィルムをデジタルフィルムスキャナでデジタル化したデジタル画像などの入力画像の画質を向上する方法が特許文献1に開示されている。
該特許文献1によれば、入力画像の輝度ヒストグラムを作成し、該輝度ヒストグラムに基づいて、色かぶり、コントラストおよび彩度の補正処理に伴い、その後の濃度補正処理で用いるための新たな輝度ヒストグラムを作成することにより、色バランスに関する画像補正と、印刷画像の濃度補正とを一連の処理として行い、ヒストグラムの生成に関する処理を効率化することを開示している。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−189861号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の画像補正方法は、前記入力画像に対し被写体を考慮することなく補正を行うことから、前記入力画像に対し直線的に階調補正が施される。従って、輝度階調幅に広がりが無い補正処理が施されることから、被写体と背景とにメリハリの無い、つまり背景から被写体が引き立つように補正することができず、満足な補正結果を得ることができなかった。
従って、本発明の目的は、入力画像にメリハリがあるように補正処理を施す方法と、画像補正装置とを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の点を解決するために、次の構成を採用する。
入力画像の階調値を変換する画像補正方法であって、前記入力画像を構成する各画素の階調値に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行い加重階調値を算出すること、前記加重階調値の頻度分布を示す特性値を算出すること、前記特性値に基づいて着目階調値を設定すること、設定された前記着目階調値における入力階調値と出力階調値との間の傾きに基づいて着目傾き値を設定すること、設定した前記着目階調値および前記着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、前記入力画像の階調値を変換することを特徴とする。
【0006】
前記所定位置は、前記入力画像の中心であることを特徴とする。
前記入力画像の階調値の変換は、前記補正パラメータを代入したシグモイド関数で、前記入力画像を変換することができる。
前記特性値に基づいて複数の着目階調値を設定することができる。
【0007】
入力画像の階調値を変換する画像補正装置であって、前記入力画像を構成する各画素の階調値に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行って加重階調値を算出し、算出した前記加重階調値の頻度分布の特性値を算出するスキャニング部と、算出した前記特性値に基づいて着目階調値を設定し、該着目階調値における入力階調値と出力階調値との間の傾きに基づいて着目傾き値を設定し、前記着目階調値と前記着目傾き値とを補正パラメータとして取得する補正パラメータ取得部と、設定した前記着目階調値および前記着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、前記入力画像の階調値を変換する補正処理部とを備える。
【0008】
前記スキャニング部は、前記所定位置を前記入力画像の中心として、該中心からの距離に応じた重み付けを行うための加重階調値を算出することができる。
前記補正処理部は、前記補正パラメータを代入したシグモイド関数により、前記入力画像の階調を変換することができる。
前記スキャニング部は、複数の着目階調値を設定することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を用いて詳細に説明する。
〈具体例1〉
本発明の画像補正装置10は、図1に示すように、RGBビットマップイメージポインタが示すアドレスのRGBビットマップデータを入力画像として受入れる入力部11と、該入力部11で入力したRGBビットマップデータをCIE(Commission Internationale d’Eclairage)のXYZ表色系の値に変換する色空間変換部12と、該色空間変換部12で変換したCIEのXYZ表色系の値を保持する色空間データ保持部13と、該色空間データ保持部13で保持するY値(輝度階調値)に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行い重み付け輝度ヒストグラムを生成し、該重み付け輝度ヒストグラムにおける輝度平均値を取得するスキャニング処理部14と、該スキャニング処理部14で取得した値を一時的に保持する処理データ保持部15と、該処理データ保持部15で一時的に保持しているデータに基づいて、シグモイド関数を用いた補正処理を行うための補正パラメータを取得し、取得した補正パラメータを処理データ保持部15で保持させる補正パラメータ取得部16と、処理データ保持部15で保持する補正パラメータを代入したシグモイド関数を用いて前記入力画像の前記Y値の補正を行い、その補正結果を色空間データ保持部13で保持させる補正処理部としてのシグモイド関数補正処理部17と、色空間データ保持部13で保持する補正色空間データをRGB値に変換するRGB変換部18と、該RGB変換部18で変換して得たRGBビットマップデータのアドレスを示すポインタを出力する出力部19とを備える。
【0010】
ここで、本発明の画像補正装置10を備えたシステム100を、図2および図3を参照しながら説明する。
前記システム100は、図2に示されているように、印刷装置としてのプリンタ101と、表示装置としてのモニタ102と、これらが接続するホストコンピュータ103とで構成されている。
ホストコンピュータ103は、各種情報を蓄積するためのHDD(Hard Disk Drive)104と、CPU(Central Processing Unit)105と、RAM(Random Access Memory)106と、ROM(Read Only Memory)107とを備えており、これら各構成の制御を行うためのOS(Operating System)108をソフトウェアとして保持している。前記ソフトウェアには、前記OS108以外に、アプリケーション109と、該アプリケーション109によりOS108に対し発行される表示命令群(イメージ描画命令、テキスト描画命令およびグラフィックス描画命令)を処理して前記モニタに表示を行うためのモニタドライバ111と、前記アプリケーション109が発行する各種描画命令群を処理して印刷データを生成するプリンタドライバ110などが含まれており、該ソフトウェアは、HDD104やRAM106などの記憶媒体に適宜保持されている。
【0011】
利用者は、ワープロソフトや、レタッチソフトおよびドローソフトと称される画像処理ソフトなどのアプリケーション109に基づいて動作するホストコンピュータ103を操作し、モニタ102に表示される表示画像に基づいて、文字などのテキストに分類されるテキストデータや、図形などのグラフィックスに分類されるグラフィックスデータや、自然画などのイメージ画像データなどを生成する。
前記イメージ画像データは、利用者がホストコンピュータ103を用いて任意に生成するよりも、デジタルカメラなどで取得したデジタル画像や、銀塩写真のフィルムをデジタルフィルムスキャナでデジタル化したデジタル画像などを、図示しないインタフェースを介してホストコンピュータ103に取り込まれ、適宜、利用者によりホストコンピュータ103で加工される。
【0012】
前記画像データをプリンタ101で印刷するとき、アプリケーション109からOS108に対し印刷出力要求が行われる。このとき、グラフィックスデータは、グラフィックス描画命令、イメージ画像データ(以降、単に画像データと称す)は、イメージ描画命令で構成される描画命令群がOSに発行される。アプリケーション109からの印刷要求を受けたOS108は、印刷要求および描画命令をプリンタドライバ110に発行し、該プリンタドライバ110はOS108からの印刷要求および描画命令群に基づいてプリンタ101に印刷させるための印刷データを生成し、該印刷データをプリンタ101へ出力する。
【0013】
前記プリンタ101が、例えばラスタープリンタ(Raster Printer)であるとき、プリンタドライバ110は、OS108からの描画命令に基づいて、入力画像としての画像データに対し順次画像補正処理を行う。プリンタドライバ110は、補正された画像データを順次RGB24ビットページメモリにラスタライズした後、該RGB24ビットページメモリの内容をプリンタ101で印刷可能な例えばYMCK形式のデータに変換し、該変換したデータを印刷データとしてプリンタ101へ出力する。前記した処理を行うプリンタドライバ110の機能ブロック図が図3に示されている。
【0014】
プリンタドライバ110は、本発明の画像補正装置10と、プリンタ用補正処理装置20とを備えている。
本発明の画像補正装置10は、OS108からの描画命令群に含まれる画像データとしての入力画像に対し、画像補正処理を行う。該画像補正処理は、RGB表色系の色情報をCIEのXYZ表色系に変換し、輝度信号Y(輝度階調値)に対してシグモイド関数を用いて輝度階調の補正処理を行った後、補正された輝度信号と元のXZ値とに基づいてRGB表色系の色情報に変換する。この変換結果が保持される記憶領域(図示せず)を示すポインタが描画命令と共にプリンタ用補正処理装置20へ出力される。
プリンタ用補正処理装置20は、ポインタで示される記憶領域の色情報を、RGB24ビットページメモリにラスタライズする。その後、ラスタライズされた各画素に対してプリンタの色再現性に依存したCMYK表色系の印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンタ101へ出力する。
【0015】
ここで、再び図1の画像補正装置10のブロック図に戻って、該画像補正装置10の各部の動作を図4のフローチャートに沿って説明する。
入力部11は、RGBビットマップイメージポインタで示されるアドレスのRGB表色系のビットマップデータをコピーし、コピーした該RGB表色系のビットマップデータを入力画像として取得する(ステップS10)。
色空間変換部12は、入力部11で取得したRGB表色系のビットマップデータを、従来から知られた方法によりCIEのXYZ表色系に変換する(ステップS20)。
CIEのXYZ表色系に変換されたビットマップデータが、色空間データ保持部13で保持される。
【0016】
CIEのXYZ表色系のビットマップデータを保持する色空間データ保持部13から輝度信号Yに基づいて、スキャニング処理部14で重み付けされた輝度ヒストグラムを生成し、該重み付け輝度ヒストグラムに基づいて、該重み付け輝度平均値を算出する(ステップS30)。
ここで、スキャニング処理部14の動作を詳細に説明する。
スキャニング処理部14は、重み付け輝度ヒストグラム生成部と、重み付け輝度平均値算出部とで構成されている。
【0017】
重み付け輝度ヒストグラム生成部は、図5(a)に示されるように、入力画像の画像中心点で重み付けが最大になるように、例えば正規分布で重みの分布を設定する。これは、入力画像の中心に被写体がある確率が最も高く、中心から離れるに従ってその確率が低減することに基づいている。
入力画像の中心から最も離れた地点を最遠点と称すると、画像の中心から最遠点までの距離が1となるように、正規化を施す。これにより、輝度ヒストグラムが画像サイズに依存することを防ぐことができる。
【0018】
その後、図5(b)に示すような正規分布の横軸を正規化後の画像中心点からの距離、縦軸を重みとして各画素について重み値を加重階調値として算出する。図5(b)の正規分布における最大値および分散は所定の値であり、図示しない記憶部で予め保持している。
通常の輝度ヒストグラムを作成するときは、所定の輝度階調値の画素が何画素あるかカウントするが、重み付け輝度ヒストグラムを生成するときは、画素数のカウントに代えて、各画素に設定された重み値を加算する。
画像サイズに依存しないように輝度ヒストグラムを正規化するとき、各画素に設定された重み値の総和で輝度ヒストグラムの各度数を割ることにより、総和が1となる。
【0019】
その後、重み付け輝度平均値算出部は、前記重み付け輝度ヒストグラムに基づいて、特性値としての重み付け輝度平均値を算出する。通常の輝度平均値は、(式1)に示すように、輝度値の総和を全画素数で割ることで算出されるが、重み付け輝度平均値は、(式2)に示すように、各画素の輝度値とその画素に設定した重み値との積の総和を求め、該総和を重み値の総和で割ることで算出される。
生成した重み付け輝度ヒストグラムと、算出した重み付け輝度平均値とが処理データ保持部15で保持される。
【0020】
【数1】
【0021】
処理データ保持部15で保持する重み付け輝度ヒストグラムおよび重み付け輝度平均値に基づいて、後述するシグモイド関数のための補正パラメータを補正パラメータ取得部16で取得する(ステップS40)。取得した補正パラメータは処理データ保持部15で保持される。
取得する補正パラメータは、シグモイド関数を用いて入力画像を補正するための補正係数であり、着目階調値aと、着目階調値におけるシグモイド関数の傾きの最大値γとである。本具体例では、着目階調値aを前記重み付け輝度ヒストグラムの最大値とし、着目傾き値γは全ての画像に対し固定で1.4を設定する。
【0022】
着目傾き値γは、実験的な値であり、どのような画像に対しても弊害無く輝度階調変換を成し得ると思われる値として1.4を設定したが、この数値に限定する必要はない。
また着目階調値aは、前記重み付け輝度ヒストグラムの最大値としたが、この値に限ることなく、例えば局所的な最大値を設定することの無いように、4次元関数などの連続関数で重み付け輝度ヒストグラムを近似し、その最大値を着目階調値aに設定したり、重み付け輝度平均値を着目階調値aに設定してもよい。
【0023】
補正パラメータが取得されると、シグモイド関数補正処理部17は、該補正パラメータをシグモイド関数の式に代入する。0〜255までの輝度階調値のシグモイド関数が、(式3)に示されている。
Y′=a1−γYγ
(0<=Y<=a)
Y′=255−(255−a)1−γ(255−Y)γ
(a<Y<=255)
Y :入力輝度階調値
Y′:出力輝度階調値
γ :着目傾き値(傾き最大値)
a :着目階調値(傾き最大値の階調値)
(式3)
【0024】
ここで、シグモイド関数を説明する。シグモイド関数は、図6のグラフで示されているように、S字状のカーブを描く関数であり、S字状カーブの特性は、銀塩写真における輝度階調値の入力および出力関係と同じである。ところで、デジタルカメラで取得した画像データは、一般的にダイナミックレンジが圧縮されていることから、銀塩写真と比べてメリハリが無い。このメリハリが無い画像データを、S字状カーブを描くシグモイド関数を用いて変換することにより、銀塩写真と同様な質感を得ることができる。
特に、シグモイド関数における傾き最大となるポイントで輝度階調値を変換前後で保持することにより、強調したい輝度階調値を変えることなく画像データを変換することができ、これにより良好な質感の画像データを得ることができる。
【0025】
シグモイド関数補正処理部17は、色空間データ保持部13で保持する各画素の輝度階調値Yを、補正パラメータを代入したシグモイド関数で、順次変換し変換結果Y′を色空間データ保持部13に保持させる(ステップS50)。
RGB変換部18は、シグモイド関数を用いて変換されたCIEのXYZ表色系のビットマップデータを、従来から知られた方法によりRGB表色系に変換し、RGB表色系のビットマップデータを生成する(ステップS60)。
出力部19は、変換後のRGBビットマップイメージのポインタを出力する。
【0026】
前記したように、具体例1の画像補正装置10によれば、入力画像の画像中心点からの距離に応じた重み付けをした重み付け輝度ヒストグラムを生成し、該重み付け輝度ヒストグラムに基づいて補正パラメータを算出し、該補正パラメータを代入したシグモイド関数で入力画像の輝度階調値を補正することにより、画像中心点付近の被写体の輝度階調幅を広げることができ、入力画像を良好に補正することができる。
更に、具体例1の画像補正装置10によれば、入力画像の被写体部分のみを輝度階調補正することなく、入力画像全体を輝度階調補正することから、補正後の入力画像の連続性を保つことができる。これにより、例えば被写体が画像中心点からずれても、不自然な輝度階調補正を行うことなく輝度階調を補正することができる。
【0027】
〈具体例2〉
前記した具体例1は着目階調値を一つ設定したが、具体例2では着目階調値を複数設定し、輝度階調の補正効果の向上を図る。
例えば被写体に高輝度部分と低輝度部分とを互いに含むとき、これらの部分を共に輝度階調が豊かになるように補正を施すことが望まれる。高輝度部分と低輝度部分との2点で注目階調値を設定したシグモイド関数のグラフを図7に示す。該グラフでは、低輝度部分の0.2と、高輝度部分の0.6付近で変換後の輝度階調幅が広がっている。
【0028】
具体例2の画像補正装置10′の構成は、具体例1と同様に入力部11、色空間変換部12、色空間データ保持部13、スキャニング処理部14、処理データ保持部15、RGB変換部18および出力部19を備えており、更に具体例1の補正パラメータ取得部16に代わる補正パラメータ取得部16′と、具体例1のシグモイド関数補正処理部17に代わるシグモイド関数補正処理部17′と、を備えている。
具体例1と同じ構成の説明は割愛し、複数の着目階調値を設定する補正パラメータ取得部16′およびシグモイド関数補正処理部17′を図を用いて詳細に説明する。
【0029】
補正パラメータ取得部16′は、処理データ保持部15で保持する重み付け輝度ヒストグラムおよび重み付け輝度平均値に基づいて、シグモイド関数のための補正パラメータを取得し、取得した補正パラメータを処理データ保持部15で保持する。
取得する補正パラメータは、入力画像をシグモイド関数を用いて補正するための補正係数であり、2つの着目階調値aと、各着目階調値におけるシグモイド関数の傾きの最大値γ(着目傾き値)とである。本具体例では、重み付け輝度ヒストグラムにおいて、最大値と、次に大きい値とを小さいほうから順に、着目階調値a1と、着目階調値a2とする。
【0030】
着目傾き値γは全ての画像に対し固定で1.4と設定する。着目傾き値γは、実験的な値であり、どのような画像に対しても弊害無く輝度階調変換を成し得ると思われる値として1.4を設定したが、この数値に限定する必要はない。
着目階調値a1および着目階調値a2は、重み付け輝度ヒストグラムの最大値と次に大きい値を設定したが、これらの値に限ることなく、例えば局所的な最大値を設定することの無いように、4次元関数などの連続関数で重み付け輝度ヒストグラムを近似し、その最大値と次に大きい値とを着目階調値a1および着目階調値a2に設定したり、重み付け輝度平均値と、重み付け輝度ヒストグラムの最大値とを複数の着目階調値に設定してもよい。
【0031】
しかし、図8に示すグラフのように、着目階調値a1と着目階調値a2とが近いと、その継目が急カーブとなり、輝度階調が急激に変化することから、例えば、グラデーションのように、輝度階調が次第に変化する部位に適用されると、輝度階調の補正結果が不自然になる。
これを防ぐべく、輝度階調値a1と輝度階調値a2との間が所定の値以下、つまりa2−a1が所定値以下であるとき、a1=a2=重み付け輝度最大値、若しくはa1=a2=重み付け輝度平均値とする。
設定した着目階調値a1および着目階調値a2と、着目傾き値γとから成る補正パラメータは、処理データ保持部15で保持される。
【0032】
シグモイド関数補正処理部17′は、処理データ保持部15から補正パラメータを取得すると、該補正パラメータをシグモイド関数に代入する。
0〜255までの輝度階調値のシグモイド関数が、(式4)に示されている。
Y′=a11−γ1Yγ1
(0<=Y<=a1)
Y′=b−(b−a1)1−γ1(b−Yγ1)
(a1<Y<b)
Y′=(a2−b)1−γ2(Y−b)γ2+b
(b<=Y<=a2)
Y′=255−(255−a2)1−γ2(255−Y)γ2
(a2<Y<=255)
但し、b=(a1+a2)/2
γ1=γ2
ここで、階調値は0〜255の値とする。
Y :入力輝度階調値
Y′:出力輝度階調値
γ1:低輝度部位における着目傾き値(傾き最大値)
γ2:高輝度部位における着目傾き値(傾き最大値)
a1:低輝度部位における着目階調値(傾き最大値の階調値)
a2:高輝度部位における着目階調値(傾き最大値の階調値)
b :低輝度部位および高輝度部位間における分割階調値(a1、a2の中点)
(式4)
【0033】
着目傾き値γ1および着目傾き値γ2は、互いに異なる値を設定してもよいが、高輝度部位と低輝度部位との境で、不連続となることから同じ値とすることが望ましい。
式4では、分割階調値としての分割階調点bが、図9の(a)に示すように、低輝度部位における着目階調値a1と高輝度部位における着目階調値a2との中点であったが、図9の(b)に示すように、0からa1と、a2から255までの比率(a1−0:255−a2)で分割し、その分割境界点を分割階調点としてもよい。このときの分割階調値bを式5に示す。
b=255a1/{255−(a2−a1)} (式5)
また、前記した着目階調値は、2点に限る必要はなく、例えば3点やそれ以上であってもよい。
【0034】
シグモイド関数補正処理部17は、補正パラメータをシグモイド関数に代入すると、該シグモイド関数を用いて色空間データ保持部13で保持する各画素の輝度階調値Yを順次変換し、変換結果Y′を色空間データ保持部13に保持させる。
【0035】
前記したように、具体例2の画像補正装置10′によれば、輝度階調補正の中心となる着目階調値を複数設定することにより、複数の輝度階調値幅を広げることができ、入力画像を良好に補正することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の画像補正装置によれば、前記入力画像を構成する各画素の階調値に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行った頻度分布に基づいて着目階調値および着目傾き値を設定し、設定した前記着目階調値および前記着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、前記入力画像の階調値を変換することにより、輝度階調幅に広がりある補正処理が施されることから、被写体と背景とにメリハリがあり、良好な補正結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像補正装置のブロック図である。
【図2】システム構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタドライバのブロック図である。
【図4】本発明の画像補正装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】(a)入力画像における画像中心点からの距離を示す模式図である。
(b)画像中心点からの距離に応じて重み付けしたグラフである。
【図6】シグモイド関数を示すグラフである。
【図7】着目階調点が2点のシグモイド関数を示すグラフである。
【図8】着目階調点a1および着目階調点a2が近すぎて、階調変換が不自然なシグモイド関数を示すグラフである。
【図9】(a)分割階調値bを着目階調点a1および着目階調点a2の中点とすることを示す模式図である。
(b)分割階調値bを着目階調点a1および着目階調点a2の比で分割することを示す模式図である。
【符号の説明】
10 画像補正装置
11 入力部
12 色空間変換部
13 色空間データ保持部
14 スキャニング処理部
15 処理データ保持部
16 補正パラメータ取得部
17 シグモイド関数補正処理部
18 RGB変換部
19 出力部
Claims (8)
- 入力画像の階調値を変換する画像補正方法であって、
前記入力画像を構成する各画素の階調値に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行い加重階調値を算出すること、
前記加重階調値の頻度分布を示す特性値を算出すること、
前記特性値に基づいて着目階調値を設定すること、
設定された前記着目階調値における入力階調値と出力階調値との間の傾きに基づいて着目傾き値を設定すること、
設定した前記着目階調値および前記着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、前記入力画像の階調値を変換することを特徴とする画像補正方法。 - 前記所定位置は、前記入力画像の中心であることを特徴とする請求項1記載の画像補正方法。
- 前記入力画像の階調値の変換は、前記補正パラメータを代入したシグモイド関数で、前記入力画像を変換することを特徴とする請求項1記載の画像補正方法。
- 前記特性値に基づいて複数の着目階調値を設定することを特徴とする請求項1記載の画像補正方法。
- 入力画像の階調値を変換する画像補正装置であって、
前記入力画像を構成する各画素の階調値に対し、前記入力画像の所定位置からの距離に応じた重み付けを行って加重階調値を算出し、算出した前記加重階調値の頻度分布の特性値を算出するスキャニング部と、
算出した前記特性値に基づいて着目階調値を設定し、該着目階調値における入力階調値と出力階調値との間の傾きに基づいて着目傾き値を設定し、前記着目階調値と前記着目傾き値とを補正パラメータとして取得する補正パラメータ取得部と、
設定した前記着目階調値および前記着目傾き値から成る補正パラメータに基づいて、前記入力画像の階調値を変換する補正処理部とを備えることを特徴とする画像補正装置。 - 前記スキャニング部は、前記所定位置を前記入力画像の中心として、該中心からの距離に応じた重み付けを行うための加重階調値を算出する請求項5記載の画像補正装置。
- 前記補正処理部は、前記補正パラメータを代入したシグモイド関数により、前記入力画像の階調を変換する請求項5記載の画像補正装置。
- 前記スキャニング部は、複数の着目階調値を設定することを特徴とする請求項5記載の画像補正装置。
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