JP2005008665A - 高誘電率エポキシ樹脂組成物並びに電子部品 - Google Patents

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智充 千艘
Toshiaki Mabuchi
利明 馬淵
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Abstract

【課題】高誘電率でかつ誘電正接等の電気的特性に優れたエポキシ樹脂組成物であって、併せて誘電体粉末を大量に添加することによって、前記エポキシ組成物の粘度が上昇し塗工性が低下する問題も解消しようとするものである。すなわち、ペーストの硬化後の誘電率が15以上であると共に誘電正接等の電気的特性にも優れており、また前記エポキシ樹脂組成物の粘度を0.5〜50ポイズとすることによって、塗工性の改善を図った誘電体ペーストとし、このペーストを用いて小型の電子部品を比較的簡単に製造することができるようにすることにある。
【解決手段】アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%とからなる高誘電率エポキシ樹脂組成物とすること、また前記アルミニウム系カップリング剤が、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである、高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、解決される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高誘電率エポキシ樹脂組成物並びに電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子、情報通信機器の小型化要求の増大にともない、各種基板にコンデンサ、レジスター等の機能を持った電子部品を直接形成する回路形成技術ないしは部品形成技術の開発が進められている。特に近年の情報通信における伝送容量の増大化、高速化に対応して、高周波領域(10GHz程度の)での使用特性に優れた電子回路形成材料として合成樹脂および誘電体粉末からなる誘電体ペーストが、求められている。このような誘電体ペーストとして、特許文献1が知られている。すなわち、誘電体粉末が高い固形分比率で含有していても低粘度で、回路形成の際の塗工が容易な誘電体ペースト、および、形成される回路表面が平滑で均一な膜厚、かつ高誘電率、低誘電損失の誘電体膜を形成し得る誘電体ペーストを提供することを課題とし、かかる課題は、芳香族液晶ポリエステルと特定のハロゲン置換フェノール化合物を含む溶媒と、誘電体粉末とを特定の割合で含有せしめることによって解決できるとしている。しかしながら、このような誘電体ペーストは、耐熱性が低いこと、ハロゲンを含む問題がある。
【0003】
また、特許文献2や特許文献3も知られている。これらの技術はエポキシ樹脂等からなる樹脂組成物に、シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤を併用することによって、前述の問題点を解決しようとするものであるが、これらはいずれも前記エポキシ樹脂中にシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤を特定量直接添加するもので、いまだ十分高い誘電率と誘電正接等の電気的特性、並びに機械的特性にも優れた高誘電率樹脂組成物は得られていないのが現状である。そこで本発明者等は、前記シランカップリング剤やチタネート系カップリング剤を使用する場合の改良提案も行っている。本発明は、これらと同様の効果を有する他のカップリング剤について検討したものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−60595号公報
【特許文献2】
特開平6−172618号公報
【特許文献3】
特開平10−158472号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような課題を解決するもので、高誘電率でかつ誘電正接等の電気的特性に優れたエポキシ樹脂組成物であって、併せて誘電体粉末を大量に添加することによって、前記エポキシ組成物の粘度が上昇し塗工性が低下する問題も解消しようとするものである。すなわち、ペーストの硬化後の誘電率が15以上であると共に誘電正接等の電気的特性にも優れており、また前記エポキシ樹脂組成物の粘度を0.5〜50ポイズとすることによって、塗工性の改善を図った誘電体ペーストとし、このペーストを用いて小型の電子部品を比較的簡単に製造することができるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%とからなる高誘電率エポキシ樹脂組成物とすること、また請求項2に記載されるように、前記アルミニウム系カップリング剤がアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである、高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、解決される。
【0007】
また請求項3に記載されるように、前記チタン酸バリウム粉末は、カルシウム、錫、ジルコニウム、ストロンチウム或いはニオビウムの少なくとも1種を含有する、請求項1または2に記載される高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、解決される。
【0008】
さらに請求項4に記載されるように、前記高誘電率エポキシ樹脂組成物は、粘度が0.5〜50ポイズのペースト状であって、ペースト硬化後の誘電率が15以上である、請求項1〜3のいずれかに記載される高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、解決される。
【0009】
また請求項5に記載されるように、請求項1〜4のいずれかに記載される、前記高誘電率エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品とすることによって、解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%とからなる高誘電率エポキシ樹脂組成物であり)、また請求項2に記載される、前記アルミニウム系カップリング剤がアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである、高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、硬化処理後の誘電率が15以上となり、また誘電正接等の電気的特性にも優れ、さらに塗工性の改善された誘電体ペーストとすることができる。
【0011】
前記アルミニウム系カップリング剤は、アルコキシアルミニウムキレート類として市販されているものであるが、本発明者等はシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤と同様に、エポキシ樹脂中に添加するチタン酸バリウム粉末の表面処理に用いることによって、誘電率の向上等に効果があることを見いだしたものである。このようなアルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが用いられる。このアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートは、親水性固体表面に化学的又は物理的に吸着し、親水性固体を親油性固体に変えることができ、具体的にはセラミックスの加工助剤として利用されているものであるが、エポキシ樹脂に添加するチタン酸バリウム粉末の表面処理剤として用いると、誘電正接を悪化させずに誘電率の向上やエポキシ樹脂組成物の塗工性も改善できることがわかった。そして表面処理量は、チタン酸バリウム粉末100重量部に対して、0.1〜5重量部程度とするのが好ましい。
【0012】
また本発明に用いるエポキシ樹脂は特に限定されるものではなく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、多官能性グリシジルアミン樹脂等が使用できる。中でもビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。そしてこれらのエポキシ樹脂は、数平均分子量が100〜1000程度のものを用いるのが好ましく、このような範囲のものを用いると、得られる誘電体ペーストの粘度上昇を抑えることができ、電子部品の回路形成等の塗工性が向上できる。さらには低誘電損失、低結晶性などの特性も有するので好ましい。なお前記エポキシ樹脂は、通常液状で供給される場合が多いが、この場合にはチタン酸バリウム粉末の所定量を直接加え、混合、均一化すれば良く、またエポキシ樹脂が固形状もしくは高粘度の場合には、適宜の有機溶媒、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン等に、溶解もしくは希釈して用いても良い。
【0013】
また、前記エポキシ樹脂と組合わせて使用される硬化剤についても特に限定はなく、エポキシ樹脂の硬化剤として公知の種々のもの、例えば、酸無水物系の硬化剤(ヘキサヒドロ無水フタル酸)やアミン系硬化剤などが使用できる。またその使用量も、使用するエポキシ樹脂および硬化剤の種類に応じて適宜慣用量とすることができる。さらに硬化促進剤の併用は、前記ペーストを塗工した後の硬化時間の短縮、および硬化温度を低下できるという効果があるので好ましく、またその使用量は、エポキシ樹脂および硬化剤の種類に応じて適宜慣用量とすることができる。
【0014】
さらに、本発明において使用する高誘電率粉末としてのチタン酸バリウム粉末は、これも特に限定されるものではなく、市場から入手可能な種々のタイプのもの、例えば不定形粒子状、球状、楕円状、扁平状、ウィスカー状等の粉末状のものが使用できる。またその粒子径についても制限がなく、一般的には平均粒子径0.1〜3μm程度のものが好ましい。このようなチタン酸バリウム粉末は、例えば固相法やシュウ酸塩法等によって製造されたものである。具体的な商品名として、富士チタン工業社製のBT−206が知られている。そして前記チタン酸バリウム粉末は、1100〜1450℃で10分以上熱処理することによって、結晶子の成長と歪の減少効果により誘電率を向上できるので、通常1200〜1400℃で10分〜10時間程度加熱するのが良い。また前記熱処理は、通常の加熱(アニール)、焼結などの方法で行うことができ、熱処理後のチタン酸バリウム粉末が塊状化した場合には、適宜の粉砕方法例えば、自動乳鉢、ボールミル、粉砕機等で粉砕し、必要ならば粒子径を揃えるための篩分けを行っても良い。本発明の誘電体ペースト用として好ましい粒子径は、0.5〜3μmである。また上記チタン酸バリウム粉末のアスペクト比を、1.5〜10とすることも好ましいことである。
【0015】
また前記チタン酸バリウム粉末は、請求項3に記載されるように、カルシウム(Ca)、錫(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、ニオビウム(Nb)から選ばれた少なくとも1種を含有するものが好ましい。これは前記チタン酸バリウム粉末のキュリー点を常温付近とすることができ、常温付近で高い誘電率を得ることができるので、実際の使用上から有利なものとなる。特に前記Caや前記Snを含むものが好ましい。通常チタン酸バリウム100重量部に対し、Ca、Sn、Zr、Sr、Nbから選ばれた少なくとも1種を、0.1〜30重量部含有せしめるのが好ましい。これは、含有量が0.1重量部未満では、キュリー点のシフト効果が小さく、また30重量部を超えると、誘電率が低下するためである。
【0016】
そして本発明の高誘電率エポキシ樹脂組成物は、アルミニウム系カップリング剤で表面処理されたチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%の組成範囲に混合される。このような組成範囲とするのは、エポキシ樹脂が30vol%未満で、アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末が70vol%より多くなると、高誘電率の誘電体膜が形成できる利点があるが、前記エポキシ樹脂組成物の粘度が増大して電子部品の回路形成の際の塗工性に問題が生じ、またエポキシ樹脂のバインダーとしての効果が低下して、形成される誘電体薄膜の強度が低下することがある。またエポキシ樹脂が70vol%を超え、アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末が30vol%より少なくなると、エポキシ樹脂組成物の粘度が低下して塗工性には優れるようになるが、前記エポキシ樹脂組成物の高誘電率化が難しくなるので、好ましくない。従って前記の組成範囲とするのが、誘電正接を悪化させずに誘電率を向上できるので良い。
【0017】
前記高誘電率エポキシ樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂とアルミニウム系カップリング剤で表面処理したチチタン酸バリウム粉末の所定量を、均一に混合することによって得ることができる。混合方法自体は特殊なものではなく、ボールミル、ディスパー型攪拌機、ロールミル、サンドミル、三本ロール等で行うことができる。なお、その際に本発明の効果を損なわない範囲で、シリカ、炭酸カルシウム等の無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋アクリル樹脂等の有機フィラー、分散剤、沈降防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等の公知慣用の各種添加剤を、一種または二種以上添加してもよい。
【0018】
このようにして得られた高誘電率エポキシ樹脂組成物は、請求項4に記載されるように、粘度が0.5〜50ポイズのペースト状であって、ペースト硬化後の誘電率が15以上である高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、本発明が目的とする高誘電率で誘電正接等の電気的特性にも優れ、また塗工性の良い小型の電子部品を比較的簡単に製造することができる、高誘電体ペーストとなる。このように誘電率が15以上の高誘電体ペーストは、高周波領域(10GHz程度)で十分使用可能となり、粘度も0.5〜50ポイズの範囲としたので、薄膜として塗工を行う場合に塗工性が優れたものとなる。前記塗工方法は、スクリーン印刷法、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法等、公知の塗工法でおこなうことができる。またその膜厚は電子部品の用途により異なるが、一般的には0.5〜500μmの範囲とするのが好ましい。なお、前記高誘電体ペーストの硬化処理は常温でおこなっても良いが、生産性の点から50〜150℃程度の加熱下に行うのが好ましい。
【0019】
さらに、前記高誘電体ペーストの粘度を調製するためには、適宜の有機溶媒を用いて行うことができる。具体的にはトルエン、キシレン、メチルエチルケトン(MEK)等で粘度調整を行うのが良い。このようにして前記高誘電率エポキシ樹脂組成物は、粘度が0.5〜50ポイズの高誘電体ペーストとされ、塗工性が優れたものとすることができる。そして塗工性の目安は、自動塗工機を用いて薄膜を形成する場合に、塗膜の表面状態や膜厚(薄膜化が可能)等が良好になる効果として、現れることになる。
【0020】
つぎに、請求項5に記載の電子部品に関する発明について説明する。請求項1〜4のいずれかに記載される高誘電率エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品を製造するもので、前記高誘電率エポキシ樹脂組成物からなる高誘電体ペーストを用い、必要な基板上等の所望箇所に塗工によって薄膜状に形成され、ついで前記誘電体ペースト中のエポキシ樹脂の硬化処理を行って硬化させ、例えばイオンスパッタ法等により電極を形成することによって、基板内蔵型コンデンサとすることができる。その他、コイルやフィルターと印刷配線回路、増幅素子や機能素子と組合わせてアンテナ、RFモジュール、VCO(電圧制御発振回路)、パワーアンプ等の高周波電子回路や光ピックアップなどに用いられる高周波用電子部品として用いることができる。しかも前述のように、粘度が適正に調整された高誘電体ペーストを使用するので、塗工性が良く比較的簡単に目的の電子部品を得ることができることになる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例並びに比較例を示して、本発明の効果を述べる。表1に示す各試料を作製し、誘電率(ε)、誘電正接(tanδ)、粘度(ポイズ)並びに塗工性を調べた。すなわち、エポキシ樹脂として熱硬化型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成社製、YD−8125)52wt%、硬化剤として(ヘキサヒドロ無水フタル酸)47wt%、硬化促進剤(ジャパンエポキシレジン社製、エピキュア3010)を1wt%のものを用い、これにカルシウムおよび錫を含有させたチタン酸バリウム粉末(富士チタン工業社製のBT−206をべースとした)を必要量添加し、高誘電率エポキシ樹脂組成物とした。さらに比較のために、表面処理を行わないチタン酸バリウム粉末を用意した。この高誘電率エポキシ樹脂組成物に(トルエン)を加えて粘度を調整して、高誘電体ペーストとした。この高誘電体ペーストについて、粘度(ポイズ)をB型粘度計で測定した。また前記高誘電体ペーストを、銅箔上に厚さ約25μmとなるように、自動塗工機を用いて薄膜状に形成し、120℃で15時間熱硬化処理を行った後、電極をイオンスパッタによって形成して、基板内蔵型コンデンサとした。前記自動塗工機での塗工の際に、塗膜の表面が滑らかで、薄膜化に問題がないものを○印で、塗膜の表面性が悪く、薄膜化に問題があるものを、×印で示した。また、前記硬化処理後の薄膜について、LCZメータにより静電容量(C)を測定し、1MHz、室温での誘電率(ε)並びに誘電正接を求めた。結果を表1に示した。
【0022】
【表1】
Figure 2005008665
【0023】
表1から明らかなとおり、実施例1〜4に示した組成範囲の本発明の高誘電体ペースト(高誘電率エポキシ樹脂組成物)は、ペースト硬化後の誘電率が15以上と高いと共に、誘電正接が1.0%以下と電気的特性が優れたものであり、またその粘度は、薄膜形成の際の塗工に適した0.5〜50ポイズの範囲のもので、塗工性も全て問題ないものであることが判る。具体的には、エポキシ樹脂が70〜30vol%に対して、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理したチタン酸バリウム粉末が30〜70vol%のものは、前記ペーストの硬化処理後の誘電率が、全て15以上であり、誘電正接も1.0%以下となっている。これに対して、比較例2のエポキシ樹脂が75vol%でアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理したチタン酸バリウム粉末が25vol%のものは、前記ペーストの硬化処理後の誘電率が12と向上していない。また比較例3のように、エポキシ樹脂が25vol%でアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理したチタン酸バリウム粉末が75vol%のものは、粘度が55ポイズと高いので、塗膜の表面性が悪く薄膜化ができず、塗工性に問題があるものであった。さらに、比較例1の表面処理しないチタン酸バリウム粉末を用いたものは、誘電率が12と低いものである。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%とからなる高誘電率エポキシ樹脂組成物とすること、また前記アルミニウム系カップリング剤が、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートである高誘電率エポキシ樹脂組成物とすることによって、硬化処理後の誘電率が15以上で、誘電正接等の電気的特性にも優れた高誘電率エポキシ樹脂組成物となる。また粘度を調整することによって、塗工性の改善された高誘電体ペーストとすることができる。
【0025】
また本発明の高誘電率エポキシ樹脂組成物は、チタン酸バリウム粉末としてカルシウム、錫、ジルコニウム、ストロンチウム或いはニオビウムの少なくとも1種を含有することによって、硬化処理後の誘電率が15以上で、誘電正接等の電気的特性にも優れると共に、チタン酸バリウム粉末のキュリー点を、常温付近とすることができ、常温付近で高い誘電率を得ることができ、実際の使用上から有利なものとなる。
【0026】
さらに前記高誘電率エポキシ樹脂組成物は、粘度が0.5〜50ポイズのペースト状である高誘電率エポキシ樹脂組成物としたので、粘度が適正な範囲となり、薄膜として塗工を行う場合に、塗工性が優れたものとなる。具体的には、数μmの薄膜の形成が可能であり、またその表面が滑らかな薄膜の形成が可能なものとなる。
【0027】
また、請求項1〜4のいずれかに記載される前記高誘電率エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品とすることによって、誘電率が15以上と高く、誘電正接が良好な、高周波領域(10GHz程度)で使用される基板内蔵型コンデンサ等の電子部品を、比較的簡単に得ることができる。

Claims (5)

  1. アルミニウム系カップリング剤で表面処理したチタン酸バリウム粉末30〜70vol%と、エポキシ樹脂(硬化剤、硬化促進剤を含む)70〜30vol%とからなることを特徴とする、高誘電率エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記アルミニウム系カップリング剤が、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートであることを特徴とする、請求項1に記載の高誘電率エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記チタン酸バリウム粉末は、カルシウム、錫、ジルコニウム、ストロンチウム或いはニオビウムの少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載される高誘電率エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記高誘電率エポキシ樹脂組成物は、粘度が0.5〜50ポイズのペースト状であって、ペースト硬化後の誘電率が15以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載される高誘電率エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載される前記高誘電率エポキシ樹脂組成物を用いたことを特徴とする、電子部品。
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