JP2005007783A - ハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板 - Google Patents

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Hiroya Okumura
浩也 奥村
Hiroshi Takeuchi
寛 武内
Isao Hirata
勲夫 平田
Akiyoshi Nozue
明義 野末
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Abstract

【課題】ラジカル重合性樹脂を主成分とする樹脂組成物を使用して得られた積層板であって、靱性、耐熱性、耐水性に優れ、40〜100℃の温度範囲での平均線膨張率(10−6/℃)が20以下の低熱膨張率を有する、高温下で加工、使用が可能であり、かつエポキシ樹脂等従来用いられてきた高価な材料に代えて性能面で遜色なく、難燃性にも優れた、廉価に製造し得る積層板、特にハロゲンフリーコンポジット積層板を提供すること。
【解決手段】それぞれハロゲンフリーラジカル重合性樹脂、ラジカル重合性モノマー、難燃剤、無機充填材に熱可塑性樹脂の特定量を配合した樹脂組成物を含浸させた繊維補強層を積層し、硬化させることにより、前述の特長を全て兼ね備えたハロゲンフリーの低熱膨張性コンポジット積層板が得られた。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低い熱膨張率と優れた靱性、耐熱性、耐水性、電気特性、難燃性を備えたハロゲンフリーコンポジット積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等のラジカル重合性樹脂の硬化物は、機械的、化学的、電気的特性等においてバランスのとれた性能を有しており、従来から住宅、船舶、自動車、電気製品等の広い分野で使用されている。
しかし、このラジカル重合性樹脂硬化物の耐熱性、耐水性、電気特性等に優れた性質を利用してプリント配線板用積層板や絶縁板を作製してみると、靱性や耐衝撃性が不充分であり、またパンチング加工時にクラックや繊維補強層間での剥離が発生しやすくなる。
その改善方法として液状ゴム成分を添加して靱性を向上させる方法が提案されているが、ゴム成分を含む樹脂の硬化物は、熱膨張率が高くなり、加熱下で使用される積層板には必ずしも適したものではない。
そこで、硬化物の低熱膨張化を目的として、ラジカル重合性樹脂にポリマー微粒子を添加する方法(特許文献1)が提案されている。
しかしながら、この方法で十分な低熱膨張性を得るためには、樹脂にポリマー微粒子を多量に添加する必要がある。しかし、ポリマー微粒子を多量に添加すると、樹脂およびその組成物の粘度が上昇し、従来法での生産が困難になるという新たな問題が起こってくる。
また、環境調和型の積層板としてハロゲンを含まない積層板の供給が叫ばれている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−231654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題はラジカル重合性樹脂を主成分とする樹脂組成物を使用して得られた積層板で、靱性、耐熱性、耐水性に優れ、40〜100℃の温度範囲での平均線膨張率(10−6/℃)が20以下の低熱膨張率を有する、高温下で加工、使用が可能であり、かつエポキシ樹脂等従来用いられてきた高価な材料に代えて性能に遜色なく、電気特性、難燃性にも優れ、廉価に製造し得る積層板、特にハロゲンフリーコンポジット積層板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、ラジカル重合性樹脂に特定の熱可塑性樹脂、特定の難燃剤及び特定の無機充填材を特定量配合した樹脂組成物を用いて得られる積層板が前記課題を解決しうることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス織布及び/又は不織布を積層してなり、その熱硬化性樹脂組成物がそれぞれハロゲンフリーラジカル重合性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、ラジカル重合性モノマー(c)、ハロゲンフリー難燃剤(d)および無機充填材(e)を含み、(a)〜(d)の含有比率が、(a)、(b)および(c)の合計重量100重量部に対して、(a)10〜75重量部、(b)2〜30重量部、(c)20〜60重量部及び(d)3〜50重量部であり、(e)の含有比率が、ガラス織布に含浸させる場合は樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し20〜80重量部、ガラス不織布に含浸させる場合は樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し120〜300重量部である繊維補強積層体を硬化させてなるハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(2)積層板の、40℃〜100℃の温度範囲における平均線膨張率が、20X10−6/℃以下である(1)記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(3)熱可塑性樹脂(b)のガラス転移温度が60℃以下である(1)または(2)記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(4)熱可塑性樹脂(b)が60℃以下のガラス転移温度を有する飽和ポリエステル樹脂である(1)または(2)記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(5)熱可塑性樹脂(b)が60℃以下のガラス転移温度を有する飽和ポリエステル樹脂であって、その数平均分子量が2,000〜100,000である(1)または(2)記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(6)難燃剤(d)がリン原子含有難燃剤であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(7)難燃剤(d)が、リン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(8)難燃剤(d)が、下記一般式で表されるリン酸エステル系難燃剤であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
【化2】
Figure 2005007783
(式中nは、0〜10の整数、Rは、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、Arはm−又はp−フェニレン、または4,4’−イソプロピリデンジフェニルを表す。)
(9)無機充填材(e)が水酸化アルミニウムであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性積層板、
(10)さらに粒子径が0.1〜5.0μmのハロゲンフリーポリマー微粒子(f)を含んでなる(1)〜(9)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性積層板、
(11)繊維補強層の積層体が、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維織布を表面層に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維不織布を内層に用いて積層したコンポジット積層体である(1)〜(10)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、
(12)ラジカル重合性樹脂(a)がビニルエステル樹脂または不飽和ポリエステル樹脂である(1)〜(11)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板、および
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板を使用した電気用金属箔張りコンポジット積層板、
である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「ハロゲンフリー」とは、実質的にハロゲンを含有しないということ、従って、例えば燃焼時、人体に害を及ぼす程度に有害ガスを発生させることが無い程度にハロゲンを含んでいないことを意味し、全くハロゲンを含んでいないという意味ではない。
本発明で使用するハロゲンフリーラジカル重合性樹脂(a)は、エチレン性不飽和結合を有しかつハロゲンフリー樹脂であれば特に限定されることはないが、ハロゲンフリーエポキシ樹脂にエチレン性不飽和一塩基酸を付加させて製造するビニルエステル樹脂、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸を必ず含むジカルボン酸およびその無水物とジオールの脱水縮合反応によって製造する不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂が好ましい。
ハロゲンフリービニルエステル樹脂の原料となるエポキシ樹脂としては、たとえば、特開平9−110948に開示されている様な、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型に代表されるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック〔例、YDPN638、東都化成(株)製、エポキシ当量200〕、クレゾールノボラック〔例、YDCN702P、東都化成(株)製、エポキシ当量200〕に代表されるノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、含窒素エポキシ樹脂(例、トリグリシジルイソシアヌレート)、共重合型エポキシ樹脂等が単独又は組み合わせて使用できる。
【0007】
エチレン性不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸の他、多塩基酸無水物と1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリル性二重結合とアルコール性OH基を同時に有する化合物との反応物が挙げられる。
(メタ)アクリル性二重結合とアルコール性OH基を同時に有する化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸と多価アルコールの反応物等が挙げられる。
これらの中では(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0008】
上記エポキシ樹脂とエチレン性不飽和一塩基酸との反応は公知の方法で行うことが出来る。例えば、ハイドロキノンなどの重合禁止剤の存在下、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類やトリフェニルホスフィン等のリン化合物を触媒として、80〜150℃で1〜20時間反応させることにより、目的とするビニルエステル樹脂を得ることが出来る。ビニルエステル化反応におけるエポキシ基とカルボキシル基の反応は1対1の反応であるが、場合によってはエポキシ基過剰、あるいはカルボキシル基過剰の条件で合成することも可能である。
【0009】
本発明で使用する不飽和ポリエステル樹脂は、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸とグリコールとの縮合で合成することができる。該不飽和ポリエステル樹脂の合成には、これら2成分の他に飽和ジカルボン酸や、芳香族ジカルボン酸、あるいはジカルボン酸と反応するジシクロペンタジエンなども併用することができる。
α,β―オレフィン系不飽和ジカルボン酸の例としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびこれらジカルボン酸の無水物が挙げられる。これら、α,β−オレフィン系不飽和ジカルボン酸と併用しうるジカルボン酸の例としては、例えばアジピン酸、セバチン酸、コハク酸、グルコン酸、o−,m−,p−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などが挙げられる。
【0010】
グリコールとしては例えば、アルカンジオール、オキサアルカンジオール、ビスフェノールAにエチレンオキシドやプロピレンオキシドをなどのアルキレンオキシドを付加したジオールなどが用いられる。これに加えて1価あるいは3価のアルコールを用いることも可能である。アルカンジオールの例としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールAなどが挙げられる。オキサアルカンジオールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。これらグリコールと併用される1価あるいは3価のアルコールとしては、例えばオクチルアルコール、ベンジルアルコール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
【0011】
不飽和ポリエステル樹脂の合成は一般に加熱下で実施され、副生する水を除去しながら反応を進める。一般に不飽和ポリエステル樹脂は、使用する原料を選択して架橋密度および反応性を低くすることにより、および使用原料として、飽和酸では例えばアジピン酸、セバチン酸など、グリコールでは例えばジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど長鎖の分子構造を有する化合物を使用することにより、そのガラス転移温度(Tg)を低くすることが出来る。また逆に、樹脂の架橋密度や反応性を高くすること、および使用原料として、グリコールでは水素化ビスフェノールAなどの剛直な構造を持つ化合物を使用することによりTgを高くすることができる。
【0012】
本発明で用いるハロゲンフリー熱可塑性樹脂(b)としては、従来、不飽和ポリエステル樹脂の低収縮化剤として慣用されている熱可塑性樹脂を挙げることができる。このような熱可塑性樹脂の例としては、ポリブタジエンあるいはその水素添加体、ポリイソプレンあるいはその水素添加体、芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体あるいはその水素添加体、ポリスチレン、スチレン/酢酸ビニルブロック共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレートがあり、更には飽和ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂等を挙げることができる。なかでも芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体、飽和ポリエステル樹脂が好ましく、飽和ポリエステルが特に好ましい。
【0013】
ハロゲンフリー熱可塑性樹脂としての飽和ポリエステル樹脂は特に制約はないが、Tgが60℃以下のものが好ましく、より好ましくは50℃以下のものである。飽和ポリエステル樹脂のTgが60℃より高い場合には、硬化物を十分に低熱膨張化することが出来ない場合がある。
飽和ポリエステル樹脂の具体例としては、SMC等の一液低収縮剤として使用されている様な例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等のジカルボン酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジオールから合成されるものがあげられる。
【0014】
飽和ポリエステル樹脂の分子量には、特に制約はないが、分子量が低過ぎると、耐熱性を低下させ、反対に分子量が高すぎると高粘度の原因となるため、数平均分子量で通常2,000〜100,000、好ましくは3,000〜40,000程度である。
飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、TTK−101(三井武田ケミカル(株)製)、バイロン300、550、630、650、GK180、GK590(東洋紡績(株)製)等が使用される。
また、芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体も熱可塑性樹脂(b)の好適な例として挙げられる。
【0015】
芳香族ビニル/共役ジエンブロック共重合体は、それ自体公知のブロック共重合体であって、例えばスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体と、例えばブタジエン、イソプレン等の共役ジエン単量体とを慣用の重合法によりブロック共重合させることによって合成される。このようなブロック共重合体の例としては、スチレン/イソプレンブロック共重合体等を挙げることができる。かかるブロック共重合体は、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体とのモル比がほぼ50:50〜5:95のもので、平均分子量がほぼ30,000〜200,000のものが好ましい。
【0016】
ハロゲンフリーラジカル重合性モノマー(c)としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和脂肪酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等の窒素系単量体、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、p−t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類を挙げることができ、これらは単独にあるいは混合して使用することもできる。これらのなかでもスチレンが特に好ましく使用される。
ハロゲンフリーラジカル重合性樹脂(a)の使用量は、(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対し通常10〜75重量部、好ましくは30〜67重量部である。
ハロゲンフリー熱可塑性樹脂(b)の配合量は、(a)、(b)および(c)の合計100重量部中通常2〜30重量部、好ましくは2〜20重量部である。
ハロゲンフリーラジカル重合性モノマー(c)の使用量は、(a)、(b)および(c)の合計100重量部のうち通常20〜60重量部、好ましくは25〜55重量部である。
【0017】
本発明に使用されるハロゲンフリー難燃剤(d)としては、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル類、縮合リン酸エステル類、フェノキシフォスファゼン等のフォスファゼン化合物等のリン原子含有難燃剤が挙げられる。中でもリン酸エステル系、特に式(1)で表される縮合リン酸エステル類が、耐熱性、耐アルカリ性等の点から好ましい。縮合リン酸エステル類の例としては、例えばPX200(式(1)においてn=0、R=CH,Ar=m−フェニレンの化合物を主成分とする難燃剤、大八化学(株)製)が挙げられる
ハロゲンフリー難燃剤(d)の使用量は、(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して3〜40重量部、好ましくは5〜35重量部である。ハロゲンフリー難燃剤(d)の使用量が、(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して3重量部未満であると難燃性が劣り、また40重量部を越えると耐熱性が低下することがある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に使用するハロゲンフリー無機充填材(e)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス粉末、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、クレー、ガラスバルーン等が挙げられるが、難燃性及び原材料費の低減の意味から水酸化アルミニウムが好ましい。無機充填材(e)はガラス織布に含浸させる場合は、樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し20〜80重量部が好ましく、ガラス不織布に含浸させる場合は、樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し120〜300重量部が好ましい。ガラス織布に含浸する無機充填材量が樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し20重量部以下であれば難燃性が劣り、また80重量部以上になるとワニス粘度が著しく高くなり積層板にボイドが発生したり、パンチング加工した際クラックが発生する。またガラス不織布に含浸する無機充填材量が樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し120重量部以下になると難燃性が劣り、また300重量部以上にあるとワニス粘度が著しく高くなり積層板にボイドが発生したりパンチング加工時に金型の寿命が著しく短くなる。
【0018】
本発明に用いられる熱硬化性樹脂組成物に、ハロゲンフリーポリマー微粒子(f)を配合することにより積層板の靱性、低熱膨張性積層板を一段と向上させることができる。
ポリマー微粒子(f)は、単層のものも使用できるが、多層構造であることが好ましい。この様な多層構造のポリマー微粒子は、例えば、特開平8−48704に示されるように、先の段階の重合体の存在下、後の段階の単量体が順次、シード重合するような連続した多段乳化重合法によって得ることが出来る。すなわち、まず、乳化重合によってシードラテックスを調製し、次いで、第1層を形成する単量体を添加し、シード重合を行うことにより第1層を合成する。さらに、第2層を形成する単量体を添加し、シード重合を行うことにより、第2層を合成し、これらの操作を逐次繰り返し行った後、最外層を合成することにより、所望の多層構造ポリマーを得ることが出来る。
【0019】
本発明に用いられるポリマー微粒子(f)のポリマー層のシード重合において用いられる反応性不飽和単量体としては、分子中に少なくとも1つの反応性不飽和結合を有している単量体であればよく、例えば、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類やエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、等のアルキルアクリレート類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのようなアルキルメタクリレート類を挙げることができる。また、これらと共重合可能な単量体、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、等の芳香族ビニル、芳香族ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、シアン化ビニリデン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートを共重合させることも出来る。
【0020】
ポリマー微粒子におけるポリマー層の重合では、共重合性単量体として、上記のような単量体のほかに所定量の架橋性単量体およびグラフト性単量体が使用出来る。架橋性単量体の使用量としては、ポリマーを形成する単量体に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、グラフト性単量体の使用量としては、ポリマー層を形成する単量体に対し、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。
【0021】
使用される架橋性単量体は、分子中に少なくとも2つ以上の同種の重合性基を有するものであり、例えば、ジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレートまたはアルカンポリオールポリメタクリレート等を挙げることができる。これらのうち、特に、ブチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレートが好ましく用いられる。
【0022】
本発明において使用されるグラフト性単量体は、分子中に少なくとも2つ以上の反応性の異なる重合性基を有するものであり、例えば、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート等の不飽和カルボン酸アリルエステル等を挙げることが出来る。これらの内、特に、アリルメタクリレートが好ましく用いられる。
本発明で使用するポリマー微粒子(f)は、最外層をカルボキシル基や水酸基を有する単量体で変性することで、樹脂組成物の靱性をさらに向上させることが出来る。
【0023】
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。また水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でカルボキシル基を有する単量体のうちでは、メタクリル酸が、水酸基を有する単量体のうちでは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0024】
これら官能基を有する単量体の使用量は、最外層を形成する単量体に対して、10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。これらの官能基を有する単量体の使用量がこれより多い場合、樹脂への分散性が低下し、樹脂組成物の粘度が上昇したり、硬化物の外観および物性を損なうことがある。
【0025】
本発明において用いられるポリマー微粒子(f)においては、その内層の少なくとも1層がTg20℃以下のポリマー層であり、その比率が多層構造ポリマー全体に対して50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%の範囲である。このTgが20℃以下のポリマー層の比率がこれらの値より少ない場合は、樹脂組成物の靱性や低熱膨張性の改善効果が不十分であり、これらの値より多い場合には、樹脂への分散性が低下し、樹脂組成物の粘度が上昇したり、硬化物の外観および物性を損なうことがある。
また、本発明のポリマー微粒子(f)は、Tg40℃以上の最外層を有することが好ましい。この最外層がない場合には、樹脂への分散が困難で、また低粘度化を阻害する原因となりやすい。
【0026】
この様にして重合されたポリマー微粒子(f)の粒子径は通常0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜2.0μmである。粒子径がこれよりも小さい場合、樹脂組成物の粘度が上昇し、生産性を損なったり、低熱膨張性の改善が不充分なことがある。逆に、これより大きな場合には、十分な靱性が得られないことがある。本発明における粒子径とは多層構造ポリマー製造時のラテックス状態における多層構造ポリマー1粒子あたりの重量平均粒子径を表しており、動的光散乱測定装置(例えば、LPA−3000/LPA−3100、大塚電子(株)製)を用い、動的光散乱法により測定することが出来る。
【0027】
本発明のポリマー微粒子(f)は上記のような方法により重合されたポリマーラテックスを一旦凍結後、融解し、重合体粒子を分離した後、遠心脱水、乾燥を行い、得られた粉体を樹脂(a)と(c)の混合物に分散して使用するか、ラテックスのまま(a)の原料に入れて水を留去した後、(a)を合成することにより混合することができる。
本発明のポリマー微粒子(f)の使用量は、(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して通常0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の樹脂組成物を硬化させるためには、硬化剤が使用される。
本発明に使用される硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられる。硬化剤の使用量は(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して0.1〜3重量部が好ましい。この(a)、(b)および(c)を含んでなる樹脂組成物より得られる硬化物のTgは、120℃以上であることが好ましく、135℃以上であることがさらに好ましい。
【0028】
本発明の(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含んでなる熱硬化性樹脂組成物を含浸させる繊維補強材層は、ガラス織布、ガラス不織布など従来から積層板用に使用されているものがいずれも使用できる。
本発明の積層板は、硬化剤を含む樹脂組成物を含浸させた繊維補強材層を3層以上に重ね合わせて積層体とし、必要に応じて更にその両外側に金属箔、例えば銅箔等を配し、次いでこの積層体を、加熱硬化させることにより得ることができる。
本発明の特に好ましい実施態様は、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、紙基材を含浸基材とした複合積層板、すなわちコンポジット積層板である。特に前記(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含んでなり、それらの比が(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して(a)10〜75重量部、(b)2〜30重量部、(c)20〜60重量部、(d)3〜40重量部および(e)を20〜80重量部含んでなる熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維織布を表面層に、(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含んでなり、それらの比が(a)、(b)および(c)の合計100重量部に対して(a)10〜75重量部、(b)2〜30重量部、(c)20〜60重量部、(d)3〜50重量部および(e)を120〜300重量部含んでなる熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維不織布を内層に用いて積層したコンポジット積層体を圧縮硬化させて得られる本発明のコンポジット積層板は優れた耐熱性、耐水性、靱性を有しておりプリント配線板用として極めて有用なものである。
本発明における積層板の線膨張率は熱分析器を用いて測定したもので、積層板平面に対して縦、横の各線膨張率のうち、価の大きい方の係数を採用した。
【0029】
本発明に使用される(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を含んでなる熱硬化性樹脂組成物から得られた硬化物のTgが120℃以上である場合は、極めて高い耐熱性を有する積層板を得ることができる。また、本発明の積層板でその40〜100℃の温度範囲における平均線膨張率が20.0X10−6/℃以下のものは、従来のラジカル重合性樹脂組成物を使用した積層板では得られなかった低い線膨張率をはじめて達成したものである。
本発明による低熱膨張化の機構は、硬化前は樹脂に溶解している低収縮化剤が、硬化時に相分離を起こし、いわゆる海島構造を形成することで、発現するものであり、このようなミクロ構造を生じさせる組成物、構成比を選択することで、実質的に低熱膨張性を発現させることができる。
【0030】
本発明の積層板は、耐熱性、耐水性等に優れており、パンチング加工性が良好であり、しかも熱膨張率が低いため、従来の液状ゴム成分を含む熱硬化性樹脂組成物を使用した積層板では使用に適さなかった、例えば自動車等の高温下での使用にも適したものである。また、実質的にハロゲンを含有していないので積層板が燃焼される際に、ダイオキシンなどの有害物質が発生することはない。
【0031】
【実施例】
以下に合成例、実施例、比較例および試験例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
合成例1(ラジカル重合性樹脂の合成)
攪拌機、温度計を備えた1リットルの4径フラスコ中で、ハイドロキノン0.3g、ベンジルジメチルアミン0.3gの存在下、エポキシ樹脂(YD−128、東都化成(株)製、エポキシ当量187)374gと、メタクリル酸172gを仕込み、120℃で6時間反応させて酸価が2.0mgKOH/gのビニルエステル樹脂を得た。その後、スチレンモノマー257gを添加してビニルエステル樹脂(A−1)とした(NV=68%)。
【0032】
合成例2(ラジカル重合性樹脂の合成)
攪拌機、温度計を備えた1リットルの4径フラスコ中で、ハイドロキノン0.3g、ベンジルジメチルアミン0.3gの存在下、エポキシ樹脂(YD−901、東都化成(株)製、エポキシ当量450)450gと、メタクリル酸86gを仕込み、120℃において6時間反応させて酸価が2.0mgKOH/gのビニルエステル樹脂を得た。その後、スチレンモノマー357gを添加してビニルエステル樹脂(A−2)とした(NV=60%)。
【0033】
合成例3(ラジカル重合性樹脂の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス封入管および頭頂部に温度計を付した部分還流機を備えた2リットルの5径フラスコに無水マレイン酸392g、プロピレングリコール141gおよびハイドロキノン0.07gを仕込み、容器内を窒素置換し、200℃で7時間脱水縮合反応して、酸価が20.4mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂を得た。その後、スチレンモノマー649gを添加して不飽和ポリエステル樹脂(A−3)とした(NV=48%)。
【0034】
合成例4(ラジカル重合性樹脂の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス封入管および頭頂部に温度計を付した部分還流機を備えた2リットルの5径フラスコ中に無水マレイン酸392g、プロピレングリコール239g、ジプロピレングリコール141gおよびハイドロキノン0.07gを仕込み、容器内を窒素置換し、200℃で7時間脱水縮合反応して、酸価20.4mgKOH/gの不飽和ポリエステル樹脂を得た。その後、スチレンモノマー649gを添加して不飽和ポリエステル樹脂(A−4)とした(NV=48%)。
【0035】
合成例5(ラジカル重合性樹脂の合成)
攪拌機、温度計を備えた3リットルの4径フラスコ中で、ハイドロキノン0.3g、ベンジルジメチルアミン0.3gの存在下、エポキシ樹脂(YD−128、東都化成(株)製、エポキシ当量187)374gに、液状ゴム(CTBN 1300X8 B.Goodrich 社製)971gを仕込み、120℃において3時間反応させ、酸価0.2mgKOH/g、エポキシ当量879のゴム変性エポキシ樹脂とした。この樹脂にメタクリル酸121gを加え、120℃で更に5時間反応させて、酸価0.9mgKOH/gのゴム変性ビニルエステル樹脂を得た。その後、スチレンモノマー977gを添加してゴム変性ビニルエステル樹脂(A−5)とした(NV=60%)。
【0036】
合成例6(飽和ポリエステル樹脂の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス封入管および頭頂部に温度計を付した部分還流機を備えた1リットルの5径フラスコにアジピン酸438g、プロピレングリコール96g、エチレングリコール117gを仕込み、容器内を窒素置換し、200℃で8時間脱水縮合反応して、酸価が4.6mgKOH/gの飽和ポリエステル樹脂(B−1)を得た。この樹脂のTgは42℃、数平均分子量は24,400であった。
【0037】
合成例7(飽和ポリエステル樹脂の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス封入管および頭頂部に温度計を付した部分還流機を備えた1リットルの5径フラスコにテレフタル酸233g、アゼライン酸113g、エチレングリコール65g、ネオペンチルグリコール106gを仕込み、容器内を窒素置換し、240℃で10時間脱水縮合反応して、酸価が1.4mgKOH/gの飽和ポリエステル樹脂(B−2)を得た。この樹脂のTgは7℃、数平均分子量は26900であった。
【0038】
合成例8(飽和ポリエステル樹脂の合成)
攪拌機、温度計、窒素ガス封入管および頭頂部に温度計を付した部分還流機を備えた1リットルの5径フラスコにテレフタル酸100g、イソフタル酸66g、アゼライン酸188g、エチレングリコール72g、ネオペンチルグリコール96gを仕込み、容器内を窒素置換し、240℃で9時間脱水縮合反応して、酸価が1.0mgKOH/gの飽和ポリエステル樹脂(B−3)を得た。この樹脂のTgは−20℃、数平均分子量は23900あった。
【0039】
合成例9(多層構造ポリマー微粒子の合成)
還流冷却器付き2リットル重合容器内に脱イオン水506g、1%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液2.4g、1%炭酸水素ナトリウム水溶液16.4gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら70℃に昇温した。昇温後、エチルアクリレート8gを添加し、10分間攪拌後、2%過硫酸ナトリウム水溶液4.1gを添加し、さらに1時間攪拌を行うことによりシードラテックスを得た。引き続き、70℃において2%過硫酸ナトリウム水溶液51gを添加した後、ブチルアクリレート663g、1,4−ブチレングリコールジアクリレート2.4g、アリルメタクリレート6.7g、1%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液408g、1%炭酸水素ナトリウム水溶液68gからなる第1層を形成する単量体乳化液を240分かけて連続フィードを行った。フィード終了後、更に70℃にて60分攪拌を行い、熟成反応を行った。次に、70℃に保ったまま、2%過硫酸ナトリウム水溶液7.2gを添加した後、メチルメタクリレート101g、エチルアクリレート12g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.6g、1,4−ブチレングリコールジアクリレート6g、1%ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム水溶液60g、1%炭酸水素ナトリウム水溶液12gからなる最外層を形成する単量体乳化液を90分かけて連続フィードを行った。フィード終了後、80℃に昇温し、さらに60分攪拌を行い、熟成反応を行った。熟成反応終了後、300メッシュのステンレス製金網にてろ過し、重量平均粒子径0.5μmである多層構造ポリマーのラテックスを得た。このラテックスを、−30℃で一旦凍結させ、融解後、遠心脱水機で脱水洗浄を行い、更に40℃で一昼夜送風乾燥して多層構造ポリマー微粒子(B−4)を得た。
【0040】
実施例1〜8および、比較例1〜5
〔表1〕に示す重量比において、合成例1〜5で得たラジカル重合性樹脂(A−1)〜(A−5)及びスチレンモノマーを80℃に加温したものに、合成例6〜9で得た飽和ポリエステル樹脂(B−1)〜(B−3)、ポリマー微粒子(B−4)、リン酸エステル系難燃剤PX200(大八化学(株)製)を加え、80℃で3時間かけて溶解、分散させ熱硬化性樹脂組成物とした。
この熱硬化性樹脂組成物に〔表1〕に記載した割合で、水酸化アルミニウム(CL−310、住友化学(株)製)と80%クメンハイドロパーオキサイド(パークミルH−80、日本油脂(株)製)を加えて混合したものをそれぞれコンパウンド(1)及び(2)とした。
積層板用ガラス繊維織布(WE−18K−BS、日東紡績(株)製)にコンパウンド(1)を含浸させたもの1層、ガラス繊維不織布(Ep−4060、60g/m、日本バイリーン(株)製)にコンパウンド(2)を含浸させたもの3層、ガラス繊維織布(WE−18K−BS、日東紡績(株)製)にコンパウンド(1)を含浸させたもの1層を順に積層し、さらにその両側にそれぞれ厚さ18μmの銅箔(TSTO、古河サーキットフォイル社製)を配し、100℃で30分、175℃で30分加熱加圧硬化させて縦、横それぞれ150mm、厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0041】
試験例1
実施例および比較例で得られた積層板を以下の項目について試験し、得られた物性値を使用した樹脂とともに〔表1〕に示した。
得られた銅張り積層板をエッチングした後
(1)プレッシャークッカーテスト(PCT)
試料:40mmX40mmに切り出す
処理条件:121℃ X95% RHX 60分
260℃半田耐熱試験:PCT処理した試料を溶融半田浴(260±5℃)に浸漬し、フクレが生じるまでの時間(秒)を測定した。吸水率は、下記式により算出した。
吸水率(%)=100(PCT処理後重量−処理前重量)/処理前重量
(2)線膨張率(以下α)の測定
積層板平面に対して縦、横それぞれに測定を行い、α値がより大きくなる方の数値を採用した。
試料:(縦もしくは横)3mmX(横もしくは縦)15mm
測定装置:熱分析器(5g荷重、5℃/分昇温、20〜200℃の温度範囲で測定し、40〜100℃の温度範囲での平均線膨張率)
(3)難燃性試験
UL−94(垂直燃焼試験)に準拠
【0042】
【表1】
Figure 2005007783
〔表1〕から明らかなように、本発明の実施例1〜8の積層板は線膨張率(10−6/℃)が20以下と小さいのに対し、飽和ポリエステル樹脂を使用しなかった比較例1、2の積層板は、線膨張率αが25以上と大きかった。また、水酸化アルミニウムの量、あるいはリン酸エステル系難燃剤の量が少ない場合は積層板の耐熱性や難燃性が悪化し、リン酸エステル系難燃剤の量が多い場合は積層板の耐熱性が低下する。た。
【0043】
【発明の効果】
本発明のコンポジット積層板は、耐熱性、耐水性、難燃性、パンチング加工性に優れ、特に温度範囲40〜100℃での平均線膨張率が20.0X10−6/℃以下のものは加熱下でも好適に使用することができる。また、従来法の、たとえばエポキシ樹脂から得られた積層板より廉価に得ることができ、得られた製品は従来品の品質と比して遜色がない。

Claims (13)

  1. 熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス織布及び/又は不織布を積層してなり、その熱硬化性樹脂組成物がそれぞれハロゲンフリーラジカル重合性樹脂(a)、熱可塑性樹脂(b)、ラジカル重合性モノマー(c)、難燃剤(d)および無機充填材(e)を含み、(a)〜(d)の含有比率が、(a)、(b)および(c)の合計重量100重量部に対して、(a)10〜75重量部、(b)2〜30重量部、(c)20〜60重量部及び(d)3〜50重量部であり、(e)の含有比率が、ガラス織布に含浸させる場合は樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し20〜80重量部、ガラス不織布に含浸させる場合は樹脂(a)+(b)+(c)の合計100重量部に対し120〜300重量部である繊維補強積層体を硬化させてなるハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  2. コンポジット積層板の、40℃〜100℃の温度範囲における平均線膨張率が20X10−6/℃以下である請求項1記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  3. 熱可塑性樹脂(b)のガラス転移温度が60℃以下である請求項1または2記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  4. 熱可塑性樹脂(b)が60℃以下のガラス転移温度を有する飽和ポリエステル樹脂である請求項1または2記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  5. 熱可塑性樹脂(b)が60℃以下のガラス転移温度を有する飽和ポリエステル樹脂であって、その数平均分子量が2,000〜100,000である請求項1または2記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  6. 難燃剤(d)がリン原子含有難燃剤である請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  7. 難燃剤(d)が、リン酸エステル系難燃剤である請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  8. 難燃剤(d)が、下記一般式で表されるリン酸エステル系難燃剤である請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
    Figure 2005007783
    (式中nは、0〜10の整数、Rは、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、Arはm−又はp−フェニレン、または4,4’−イソプロピリデンジフェニルを表す。)
  9. 無機充填材(e)が水酸化アルミニウムである請求項1〜8のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板
  10. さらに粒子径が0.1〜5μmのハロゲンフリーポリマー微粒子(f)を含んでなる請求項1〜9のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  11. 繊維補強層の積層体が、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維織布を表面層に、熱硬化性樹脂組成物を含浸させたガラス繊維不織布を内層に用いて積層したコンポジット積層体である請求項1〜10のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  12. ラジカル重合性樹脂(a)がビニルエステル樹脂または不飽和ポリエステル樹脂である請求項1〜11のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のハロゲンフリー低熱膨張性コンポジット積層板を使用した電気用金属箔張りコンポジット積層板。
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