JP2005000910A - 流体塗布装置及び流体塗布方法並びにプラズマディスプレイパネル - Google Patents

流体塗布装置及び流体塗布方法並びにプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 塗布流量の安定性が良く、塗布線の始終端を高品位で形成できる流体塗布装置及び流体塗布方法並びにプラズマディスプレイパネル及びそのパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 吐出ノズル側電極9と吐出ノズル8の下流側に配置された対向電極の間に電圧を印加すると共に、ポンプ室内の流体圧力を回転運動あるいは直線運動の機構を用いて増圧あるいは減圧することにより、塗布流体のメニスカスを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報・精密機器、工作機械、FA(factory automation)などの分野、あるいは半導体、液晶、ディスプレイ、表面実装などの様々な生産工程で必要とされる微少流量の流体塗布装置及び流体塗布方法並びに該流体塗布方法により形成されたプラズマディスプレイパネル及びそのパターン形成方法に関するものである。
従来の印刷工法に係る課題について、プラズマディスプレイパネル(以下PDP)の蛍光体層を形成する工法を例に挙げて以下説明する。
カラー表示を行なうPDPでは、表面板/背面面にRGB(赤色、緑色、青色)各色で発光する蛍光体材料から成る蛍光体層を有する。この蛍光体層は、表面板/背面面に平行線状に形成された隔壁と隔壁の間(すなわちアドレス電極上)に、RGB各色の蛍光体材料を充填したストライブを3組形成し、そのストライブの3組を平行に隣接して多数配列した構造となっている。この蛍光体層は、スクリーン印刷方式、又はフオトリソグラフィ方式等によって形成される。
画面が大型化した場合、従来スクリーン印刷方式では、スクリーン印刷版を精度よく位置合わせすることが難しく、蛍光体材料を充填しようとすると隔壁の頂上部分にまで材料が載ってしまい、それを除去するために研磨工程を導入するなどの方策が必要であった。またスキージ圧力の違いによって、蛍光体材料の充填量が変化し、その圧力調整は極めて微妙であり作業者の熟練度に依存する部分が多い。そのため、表面板/背面板の全面にわたって一定の充填量を得ることが容易ではない。
また、感光性の蛍光体材料を使用してフオトリソグラフィ方式によって蛍光体層を形成することもできるが、露光と現像の工程が必要となり、スクリーン印刷方式と比べて工程数が多くなるため、製造コストが高くつくという課題があった。
さて、製造プロセスの簡素化、低コスト化、環境負荷の低減、省資源化、省エネルギなどを狙いとして、近年「ダイレクトパターンイング工法」(直接描画方式)が様々な分野で注目を浴びている。たとえば、
[1]ディスペンサ方式
[2]インクジェット方式
[3]電界ジェット方式
など、それぞれの方式の長所を活かした工法が提案されている。
PDP、CRT等の製造プロセスにおいて、スクリーンストライブを形成するための前述した課題を解決するために、ディスペンサを用いた直接描画方式が、既に特許文献1及び特許文献2により提案されている。この提案によれば、従来のスクリーンマスクを用いることなく、基板仕様を数値設定するだけで基板上を移動するノズルから蛍光体が吐出されリブ間の溝に塗布されるので、任意のサイズの基板に対して蛍光体層を精度よく形成することができると共に、基板の仕様変更に容易に対応できる、としている。ディスペンサの場合、描画線の線幅は吐出ノズルの内径の大きさで制約される。線幅を細くするためにノズル径を小さくすると、目詰まりが発生しやすくなるために、線幅はせいぜい70〜100μm程度が限界であった。
一方、民生用プリンタに開発されたインクジェット方式を産業機器用の塗布装置に適用する開発がなされている。しかし、同方式は駆動方法と構造上の制約から、現段階では10mPa・s程度の低粘度流体しか扱えず、高粘度粉流体には対応できない。また、粉体径の大きさも、0.1μm程度が流路の目詰まりを防止できる限界であるため、材料面での制約が大きい。ちなみに塗布材料として用いられる流体は、電極材、蛍光体、半田、導電性カプセルなど、外径0.1〜数十ミクロンの微粉体が含まれた高粘度・粉流体である場合が多い。
インクジェット方式を用いて微細な電極線を描くために、平均粒径が5nm程度のAg粒子を分散剤に覆われて独立分散させたナノペーストが開発されている。
しかし、この場合でもインクジェット方式は低粘度のナノペーストしか扱えないために描画線の厚みが薄くなり、配線抵抗が高くなってしまう。そのため、厚みを確保するために重ね打ちが必要であり、生産タクトの点で問題があった。
ディスペンサ方式、インクジェット方式に係る上記課題を解決するために、電界ジェット方式とよばれる高粘度流体の塗布装置(特許文献3、特許文献4参照)が提案されている。この方式は1917年にZelenyによって報告された電界による吐出方法を基本とするものである。
図31の原理図において、500は高粘度流体、501は制御部、502は容器、503は開口部、504は電極、505は電源、506は被塗布基材(塗布対象の基板)、507はノズルから流出した塗布流体の伸長部、508は加圧装置である。上記塗布装置は、容器502の下部に、孔径50μm〜1mmφ程度の円形または多角形のオリフィス、ノズル等の開口部503を有し、且つ、この開口部503の一部に電極504が配置されている。容器502内には1,000〜1,000,000cpsの高粘度物質を液状塗布材としての高粘度流体500が充填されている。容器502内に充填された高粘度流体500を加圧するために、高圧エアーによる加圧装置508が容器502と連結して設けられている。まず、容器502内の高粘度流体500に圧力を印加し、開口部503に高粘度流体500のメニスカスを形成する。次に、ノズル開口部503の電極504と、対向電極である被塗布基材506の間に第1の所定のパルス電圧を印加し、開口部503に高粘度流体500のメニスカスを縦長に伸長した伸長部507を形成した状態で、この伸長部先端から高粘度流体500を垂れ流すような状態にする。この状態で、ノズルと被塗布基材506を相対移動させれば、メニスカスの先端はノズル径よりも充分に細くなっているために、10μm以下の極細線を描くことができる。
更に、開口部503と被塗布基材506間に第2の所定のパルス電圧を印加することにより、伸長部507の先端よりその一部を分離できるため、高粘度流体500の塗布を遮断できる。上記電界ジェット方式により、インクジェット方式では扱えなかった高粘度流体を用いて、インクジェット方式と同等の極細線を描くことができる。
特公昭57−21223号公報 特開平10−27543号公報 特開2000−246887号公報 特開2001−137760号公報
しかし、この電界ジェット方式は次のような課題があった。電界ジェット方式は小流量ならば毛細管現象により容器502からノズル先端まで輸送されるために、加圧装置508を用いなくても電界だけで吐出はできる。しかし、たとえば高速で走行するステージ(たとえば図26の載置台50とXYステージ50xを参照。)上の基板(たとえばPDPの表面板、背面板)に、蛍光体、又は電極材料などの塗布線を連続塗布する場合には、流量を確保するために電界とエアー圧の両方を印加する必要がある。この場合、この方式はエアー式ディスペンサと電界ジェット式の2つの特性を併せ持つ特性となる。つまり、エアー式ディスペンサの以下示す弱点を抱えることになる。
[1]塗布流量の安定性が悪い。
[2]連続線の始終端を高品位で形成できない。
上記[1]はエアー式ディスペンサの吐出流量が塗布流体の粘度に逆比例するという理由による。また、流体の粘度は温度に大きく依存する。例えば、標準校正液の場合、流体温度が5℃変化すると粘度は50%変化する。エアー式ディスペンサの場合、流量ドリフトを低減すために、液体温度を一定に保つための細心の配慮が必要であるが、エアーを補助圧力源とする電界ジェット式も同様な配慮を必要とする。
上記[2]はエアー方式ディスペンサの応答性の悪さに起因する。この欠点は、シリンダに封じ込められた空気の圧縮性と、エアーを狭い隙間に通過させる際のノズル抵抗によるものである。すなわち、エアー方式の場合、シリンダの容積とノズル抵抗で決まる流体回路の時定数が大きく、入力パルスを印加後、流体が吐出開始して基板上に転写されるまで、あるいは連続塗布中に流体を遮断するまで、0.07〜0.1秒程度の時間遅れを見込まねばならない。
前述したように電界ジェット方式の場合、エアー圧による加圧装置508を用いない場合は、電界だけで吐出の遮断はできる。しかし、大きな塗布流量を得るために、エアー圧による加圧装置508用いた場合は、エアー式のレスポンスの悪さゆえに、連続塗布線の始終端は高品位で描くことはできない。たとえば、描画線の始端において、塗布開始時、電圧を印加すると同時にエアー圧を加えてもエアー圧は直ちに所定の圧力には上昇できない。その結果、描画線の始点には「細り」、又は「切れ」などが発生する。あるいは、描画線の終点において、塗布開始時、電圧をOFFにすると同時にエアー圧を下降させてもエアー圧は直ちに所定の圧力には降下できない。その結果、描画線の終点部には「太り」、又は「溜まり」などが発生する。
本発明の目的は、塗布流量の安定性が良く、塗布線の始終端を高品位で形成できる流体塗布装置及び流体塗布方法並びにプラズマディスプレイパネル及びそのパターン形成方法を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、塗布流体を吸入する吸入口と上記塗布流体を吐出させる吐出口とを有するハウジングと、
上記ハウジングとの間で上記塗布流体のポンプ室を形成し、上記ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材と、
上記移動部材を駆動して上記ハウジングに対して上記回転運動あるいは直線運動を行わせて上記ポンプ室内の塗布流体圧力を増圧あるいは減圧させる移動部材駆動装置と、
上記ハウジングの少なくとも上記吐出口の近傍に配置されたハウジング側電極と、
上記ハウジング側電極に電圧を印加して上記ハウジング側電極と上記基板との間で電界を形成する電源と、を備えて、
上記移動部材駆動装置による上記移動部材の上記回転運動あるいは直線運動により、上記塗布流体を上記吸入口から上記ポンプ室内に吸入するとともに上記吐出口から上記吐出口の対向面に配置された塗布対象である基板に吐出させて塗布させる一方、上記回転運動あるいは直線運動により、上記ポンプ室を減圧して発生させる負圧による上記吐出口での上記塗布流体の吸引力と、上記ハウジング側電極に上記から電圧を印加して形成された電界によって上記吐出口での上記塗布流体が張り出す力とを制御し、上記塗布流体を塗布する上記塗布流体が張り出す力が上記塗布流体の吸引力よりも小さくなることにより上記塗布を停止させる流体塗布装置を提供する。
本発明の第2態様によれば、上記基板もしくは上記基板の近傍に配置された対向電極をさらに備え、
上記ハウジング側電極と上記対向電極との間に上記電源から上記電圧を印加して上記電界を形成可能とする第1の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記移動部材と上記ハウジングの相対移動面にねじ溝が配置され、上記移動部材の上記回転運動により、上記塗布流体を上記吸入口から上記ねじ溝内に吸入して上記ポンプ室内に供給する第1の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記移動部材はピストンであり、上記ハウジングは上記ピストンを収納可能とするとともに、
さらに、上記ピストンを上記ハウジング内で上記直線運動させることにより、上記ピストンと上記ハウジングとの間で形成する上記ポンプ室を増減させて上記ポンプ室内の上記流体圧力を増圧あるいは減圧するピストン軸方向駆動装置を備えるとする第1の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記移動部材と上記ハウジングのいずれかは非導電性材料から構成されている第1の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記移動部材はピストンであり、上記ハウジングは上記ピストンを収納可能とするとともに、
上記移動部材駆動装置は、上記ピストンをその軸方向に直線運動させる電磁歪素子である第1の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記対向電極は、上記ハウジング側電極と上記基板との間に配置されている第2の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記対向電極は、中空でかつ軸対称である第7の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第9態様によれば、上記吐出口から流出した上記塗布流体を収納し、かつその平均通路内径が上記吐出口の通路内径よりも大きな吐出通路を形成する筒状部分と、
上記筒状部分を隙間を空けて覆うことにより、上記吐出通路と連絡しかつ上記塗布流体とは異なる供給流体の流通路が形成される下部ハウジングとをさらに備えるとともに、
上記対向電極は、上記吐出通路近傍に配置されている第2の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第10態様によれば、上記供給流体は気体である第9の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第11態様によれば、上記移動部材と上記ハウジングとよりねじ溝ポンプを構成する第3の態様に記載の流体塗布装置を提供する。
本発明の第12態様によれば、ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材を駆動して、上記ハウジングに対して上記移動部材に回転運動あるいは直線運動を行わせ、上記ハウジングと上記移動部材との間で形成された塗布流体のポンプ室内の塗布流体圧力を増圧あるいは減圧させて、上記塗布流体を上記ハウジングの吸入口から上記ポンプ室内に吸入するとともに上記ハウジングの吐出口から上記吐出口の対向面に配置された塗布対象である基板に吐出させて塗布させる一方、
上記ハウジングの少なくとも上記吐出口の近傍に配置されたハウジング側電極に電圧を印加して上記ハウジング側電極と上記基板との間で電界を形成し、
上記回転運動あるいは直線運動により、上記ポンプ室を減圧して発生させる負圧による上記吐出口での上記塗布流体の吸引力と、上記ハウジング側電極に上記から電圧を印加して形成された電界によって上記吐出口での上記塗布流体が張り出す力とを制御し、上記塗布流体を塗布する上記塗布流体が張り出す力が上記塗布流体の吸引力よりも小さくなることにより上記塗布を停止させる流体塗布方法を提供する。
本発明の第13態様によれば、上記ハウジング側電極に上記電圧を印加して上記ハウジング側電極の電圧を制御すると共に、上記ポンプ室内の上記流体圧力を増圧あるいは減圧することにより、上記塗布流体の吐出を開始あるいは遮断する第12の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第14態様によれば、隙間方向に相対移動する2面で上記ポンプ室が形成されており、上記ポンプ室を縮小してポンプ室内圧力を加圧し、上記ポンプ室を拡大してポンプ室内圧力を減圧する第12の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第15態様によれば、上記電圧を降下後、上記ポンプ室の圧力を上記ポンプ室の拡大により低下させて塗布線を遮断する第14の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第16態様によれば、上記吐出口から上記塗布流体のメニスカスを張り出させる作用と、上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させて上記塗布流体を上記吐出口から上記ポンプ室内に吸引する作用を共に与えることにより、塗布休止の区間において上記メニスカスの形状を概略同一のままで保つ第12の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第17態様によれば、上記吐出口から上記塗布流体のメニスカスを張り出させる作用と、上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させて上記塗布流体を上記吐出口から上記ポンプ室内に吸引する作用を共に与えると共に、上記メニスカスを上記基板側に接近させて上記基板上に塗布し、その後、上記メニスカスを基板側から離反させて塗布を遮断する第12の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第18態様によれば、上記吐出ノズルから上記塗布流体を飛翔させた後、上記ハウジング側電極と、上記吐出ノズルの下流側に配置された空間電極の間に電圧を印加して上記流体を上記基板上に塗布する第12の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第19態様によれば、上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させるとき、上記移動部材の吐出側端面とその対向面に形成されたスラスト動圧シールにより行わせる第16の態様に記載の流体塗布方法を提供する。
本発明の第20態様によれば、ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材を駆動して、上記ハウジングに対して上記移動部材に回転運動あるいは直線運動を行わせ、上記ハウジングと上記移動部材との間で形成された塗布流体としてのペーストのポンプ室内のペースト圧力を増圧あるいは減圧させて、上記ペーストを上記ハウジングの吸入口から上記ポンプ室内に吸入するとともに上記ハウジングの吐出口から上記吐出口の対向面に配置された塗布対象であるPDP用基板に吐出させて塗布線を塗布形成することにより、ペースト層をパターンに形成し、
このペースト層の形成を、上記PDP用基板の有効表示領域内、及び/又は、上記有効表示領域と隣接した端子部内で、上記ハウジングの少なくとも上記吐出口の近傍に配置されたハウジング側電極に電圧を印加して上記ハウジング側電極と上記PDP用基板との間で電界を形成しながら行った後、
上記回転運動あるいは直線運動により、上記ポンプ室を減圧して発生させる負圧による上記吐出口での上記ペーストの吸引力と、上記ハウジング側電極に上記から電圧を印加して形成された電界によって上記吐出口での上記ペーストが張り出す力とを制御し、上記ペーストを塗布する上記ペーストが張り出す力が上記ペーストの吸引力よりも小さくなることにより上記塗布を停止させるプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第21態様によれば、上記電圧を降下した後、上記ポンプ室の圧力を低下させて上記塗布線を遮断する第20の態様に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第22態様によれば、上記電圧降下を開始する時間をt=tve、上記ポンプ室の圧力を低下を開始させる時間をt=tpeとしたとき、0<tpe−tve<3msecの範囲に設定する第21の態様に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第23態様によれば、上記ペーストを上記ポンプ室に供給する供給源はモータで駆動されるポンプを用いており、上記ポンプ室の圧力を低下させる前に、上記モータの回転を停止する第20の態様に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第24態様によれば、上記ペースト層の形成時に、上記PDP用基板の上記有効表示領域と隣接した上記端子部で主電極線に対して傾斜した端子部電極線を上記主電極線と交差するように形成する第20の態様に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第25態様によれば、上記吐出口をそれぞれ有しかつ等ピッチで配設された複数本のノズルを有するディスペンサにより、上記複数の端子部内で同一の傾斜角を有する端子部電極線だけを選び、選ばれた上記端子部電極線を同時的に塗布形成する第24の態様に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法を提供する。
本発明の第26態様によれば、PDP用表面板の有効表示領域で複数本平行に形成された主電極線と、この有効表示領域と隣接した端子部で上記主電極線と連結しかつ上記主電極線に対して傾斜して形成された端子部電極線を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記主電極線間のピッチをP、上記端子部電極線の終端が上記主電極線から突出した部分の距離をΔPとしたとき(ΔP/P)<(1/3)となるように形成されているプラズマディスプレイパネルを提供する。
本発明の第27態様によれば、PDP用表面板の有効表示領域で複数本平行に形成された主電極線と、この有効表示領域と隣接した端子部で上記主電極線と連結しかつ上記主電極線に対して傾斜して形成された端子部電極線を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記端子部電極線間のピッチをP、上記主電極線の終端が上記端子部電極線から突出した部分の距離をΔPとしたとき(ΔP/P)<(1/3)となるように形成されているプラズマディスプレイパネルを提供する。
本発明によれば、上記回転運動あるいは直線運動を行わせて上記ポンプ室内の塗布流体圧力を増圧あるいは減圧させるとともに、上記ハウジングに配置された上記ハウジング側電極に電圧を印加することにより、流量が環境温度変化などによる粘度変化に依存しにくい、安定な極細線塗布が実現でき、塗布流量の安定性が良く、塗布線の始終端を高品位で形成できる。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
I.基本的な適用例
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態にかかる流体塗布方法を実施することができる流体塗布装置を説明する概略一部断面図である。
1はピストン、2はこのピストン1を収納するハウジングである。塗布材料が非導電性として扱える場合は、ハウジング2は絶縁性材料、導電性材料のいずれを用いてもよい。ハウジング2全体に導電性材料を用いる場合、ノズル先端は基板に最も近いため電界強度が最大になり、電界制御の機能に支障はない。但し、安全面からハウジング2全体に高電圧を印加したくない場合は、図29に具体例を示すように、電極を設ける吐出部(図29では364)だけ絶縁性材料を用いて、その他の箇所は導電性材料を用いればよい。また、ピストン1は、導電性材料、絶縁性材料のいずれでもよい。
ピストン1は固定側であるハウジング2に対して回転可能に収納されている。ピストン1はモータなどの回転伝達装置3Aにより矢印3の回転方向に正逆回転駆動される。
4はピストン1の外周面とハウジング2の内周面との相対移動面、例えばピストン1の外周面に形成されたねじ溝、5は塗布流体の吸入口、6はピストン1の端面、7はその固定側対向面、8は固定側対向面7の中央部に形成された吐出ノズル、9は吐出ノズル8の外周部に設けられたリング板状のハウジング側電極(ノズル側電極とも称する。)である。10はピストン1のねじ溝4とハウジング2の内周面との間の空間に供給され吐出ノズル8から吐出される塗布流体、11はピストン1の端面6とハウジング2の固定側対向面7との間で形成されるポンプ室である。12は流体塗布装置の流体塗布動作を制御する制御部、13は制御部12により制御されて電圧をハウジング側電極9に印加する電源、14は接地された被塗布基材(塗布流体10の塗布対象であり、以下、一例として基板と呼ぶ。)、15は吐出ノズル8から流出した塗布流体10のメニスカスの伸長部である。回転伝達装置3Aによる回転運動及び後述する横方向移動装置(例えばXYロボット)92の移動動作は制御部12によってそれぞれ制御される。
本発明の第1実施形態にかかる流体塗布装置及び方法では、塗布流体10の加圧方法としてねじ溝式を用いている。ねじ溝式の場合、ねじ溝4が形成されたピストン1とハウジング2の相対的な回転によって、ポンピング圧力Pが発生する。電界ジェット方式の場合、吐出ノズル8に設けられた電極9と対向電極である基板14の間に電圧を印加すると、塗布流体10は吐出ノズル8から張り出すようにメニスカスを形成する。そのため、ポンプ室11内の塗布流体10は、毛細管現象により吐出ノズル側に吸引される効果(吸引圧力P)を有する。ねじ溝4による上記ポンピング圧力Pは、電界による上記吸引圧力Pに対して十分に大きくとれるため、流量はねじ溝4の使用条件で支配的に決めることができる。ねじ溝式の場合、ポンピング圧力Pは塗布流体10の粘度に比例し、吐出ノズル8の流体抵抗Rも塗布流体10の粘度に比例する。流量Qの式はQ=P/Rであるために、粘度は流量の式の分母、分子でキャンセルされ、流量は粘度に依存しない。
ねじ溝式ディスペンサの場合でも、塗布流体をねじ溝部に導くための補助エアー圧を、図1に示すように制御部12によって制御しつつ補助エアー圧供給装置5Aから印加する必要がある。しかし、この場合の補助エアー圧は、ねじ溝のポンピング圧力に対して十分に小さくてよい。たとえば、ポンピング圧力を1〜3MPaとすれば、補助エアー圧は0.05〜0.2MPa程度でよく、大きな影響は与えない。
したがって、制御部12による回転伝達装置3Aと電源13の制御によるねじ溝式と電界ジェット式ディスペンサの組み合わせにより、流量が環境温度変化などによる粘度変化に依存しにくい、安定な極細線塗布が実現できる。
以下、制御部12の制御の下に行う、塗布開始から連続塗布に至る流体塗布方法の一例を説明する。
最初に、制御部12の制御の下に、ハウジング側電極9と対向電極である基板14側の間に電源13から所定の電圧Vを印加することにより、ハウジング側電極9と基板14の間に電界を形成しておく。基板側の電極は基板14の下面に設置された導電性のベース台90を利用して、このベース台90をアースにすればよい。ハウジング側電極9には高電圧(たとえば、0.5〜3KV)を印加する。制御部12の制御の下にねじ溝4の回転を回転伝達装置3Aにより開始すると、ねじ溝4によるポンピング圧力Pの発生により、ノズル8の開口部から塗布流体10が基板14に向けて流出して、ノズル開口部近傍から基板14に向けて塗布流体10の大略円錐形状のメニスカス15を形成する。以降、電極9と基板14の間に形成された電界と、ねじ溝4によるポンピング圧力Pの双方の効果により、塗布流体10のメニスカス15はすみやかに縦長に大略円錐形状に伸長した状態になる。このメニスカス15の伸長部先端(下端)から塗布流体10を垂れ流すような状態にすれば、メニスカス15の先端はノズル径よりも充分に細くなっているために、制御部12の制御の下にノズル8と基板14を相対移動することにより(たとえば、固定された基板14に対して、制御部12の制御の下に、基板表面沿いでかつ直交する2方向にXYロボットなどの横方向移動装置92の駆動によりハウジング2と回転伝達装置3Aなどを一体的に移動することにより)、ノズル径よりも充分に小さい極細線を描くことができる。
次に、塗布流体10の連続塗布線を描いている状態から塗布線を遮断する場合には、次のように行う。連続塗布線を描いている状態で、制御部12の制御の下に、電極9と基板14間に電源13から印加している電圧をONの状態を保ったままで、回転伝達装置3Aによりねじ溝4の回転を急停止させる。さらに、急停止後、制御部12の制御の下に、ねじ溝4が形成されたピストン1を若干量、回転伝達装置3Aにより逆転させる。上記方法により、吐出ノズル先端から基板14に向けて形成されていた塗布流体10のメニスカス15を、基板14側からすみやかに分離・切断することができるため、塗布終了の描画線の終端を高品位で描くことができる。逆に、塗布を開始する場合は、回転始動直後、ねじ溝4の回転数が定常状態の回転数に対して若干量オーバーシュートするように、すなわち、吐出圧力が始動直後、ピーク圧を持つように制御すればよい。こうすれば、負圧によって吐出ノズル8の内部に深く入り込んだ塗布流体10を早く吐出させることができる。塗布終了から塗布開始までの時間が長い場合は、塗布終了後、ハウジング側電極9に印加する電圧をOFFにしておき、塗布開始時にねじ溝4の回転と同時に上記電圧をONにすればよい。また、後述する他の実施形態に適用可能であるが、塗布開始時は吐出ノズル8の先端を基板14に十分に接近させておき(たとえば、吐出ノズル8の先端と基板14との距離δを、たとえばδ=50〜100μmにさせる。)、この状態で塗布線の始端を描いた直後に、距離δを定常時の状態(たとえば、δ=1.0〜2.0mm)に戻せばよい。
このようにすれば、塗布開始の描画線の始端を高品位で描くことができる。
電界ジェット方式の従来例では、前述したように、十分な流量が必要な場合は、加圧装置508(図31)には大きなエアー圧(たとえば、1.5〜3MPa以上)を加える必要があった。この場合、エアー方式ディスペンサと同様の課題により、応答性の悪さゆえに、描画線の始終端を高品位で描くことが難しかった。
これに対して、上記第1実施形態の流体塗布装置のようにねじ溝式で描画線の始終端を描く場合、(1)モータとポンプ軸の間に電磁クラッチを介在させ、吐出のON、OFF時にこの電磁クラッチを連結あるいは開放する、(2)DCサーボモータを用いて、ポンプ軸を急速回転開始あるいは急速停止させる、等の方法を採用することができ、エアー式と比べて高粘度粉流体を扱う場合の制御応答性は有利となる。なお、制御部12の制御の下で、塗布遮断時には、モータ3Aの回転停止と同時に、電源13によりハウジング側電極9と基板14との間に印加している電圧をOFFにしてもよい。あるいは、モータ回転数制御の応答性が電界制御と比べて遅いことを考慮して、制御部12の制御の下でタイミングを少し遅らせて電源13により電圧をOFFにしてもよい。
(第2実施形態)
図2並びに図3A及び図3Bは、本発明の第2実施形態にかかる流体塗布方法を実施することができる流体塗布装置を説明する概略一部断面図であり、図2の(A),(B),(C)はそれぞれ連続塗布の状態から塗布遮断、さらに塗布開始の状態に至るまでのプロセスを示している。第2実施形態にかかる流体塗布装置及び方法で用いたディスペンサのピストン軸は、図10に具体例を示すように、2自由度アクチュエータによって回転と同時に直線運動ができる構造になっている。
101はピストン、102はこのピストン101を収納するハウジングである。ピストン101は固定側であるハウジング102に対して、回転運動と直線運動をそれぞれ独立してできるように収納されている。塗布材料が非導電性として扱える場合は、ハウジング102は絶縁性材料、導電性材料のいずれを用いてもよい。ハウジング102全体に導電性材料を用いる場合、ノズル先端は基板に最も近いため電界強度が最大になり、電界制御の機能に支障はない。但し、安全面からハウジング102全体に高電圧を印加したくない場合は、図29に具体例を示すように、電極を設ける吐出部(図29では364)だけ絶縁性材料を用いて、その他の箇所は導電性材料を用いればよい。また、ピストン101は、導電性材料、絶縁性材料のいずれでもよい。回転運動は、モータなどの回転伝達装置103Aにより矢印103の方向に回転駆動可能とされるとともに、直線運動は、エアシリンダなどの軸方向移動装置104Aにより矢印104方向に進退駆動可能とされる。これらの回転運動及び直線運動及び電源115による電圧印加動作は制御部116によって制御される。すなわち、制御部116は流体塗布装置の流体塗布動作を制御する。
105はピストン101の外周面とハウジング102の内周面との相対移動面、例えばピストン101の外周面に形成されたねじ溝、106は塗布流体の吸入口、107はピストン101の端面、108はその固定側対向面、109は固定側対向面108の中央部に形成された吐出ノズル、110は吐出ノズル109の外周部に設けられたリング板状のハウジング側電極(ノズル側電極とも称する。)である。111はピストン101のねじ溝105とハウジング102の内周面との間の空間に供給され吐出ノズル109から吐出される塗布流体、112はピストン101の端面107とハウジング102の固定側対向面108との間で形成されるポンプ室、113は吐出ノズル109から流出した塗布流体111の伸長部、114は接地された導電性のベース台93に載置された基板(塗布対象の一例。)である。ハウジング側電極110側と基板114側の間には、制御部116によって制御された電源115(図3A及び図3B)により所定の電圧Vが印加されている。
図2の(A)は、基板114上に塗布流体111を連続塗布している状態を示す。この状態では、制御部116の制御の下に、回転伝達装置103Aによる、ねじ溝軸であるピストン101の矢印103方向の回転によって発生するポンピング圧力により、吐出ノズル109から塗布流体111が流出するが、同時に制御部116の制御の下に電極110と基板114の間に電源115により生じている電界の作用により、誘電体である塗布材料の塗布流体111のメニスカス113は先細りの大略円錐のテーパ形状となっている。そのため、吐出ノズル109の内径よりも小さな線幅の塗布線を基板114上に描くことができる。
図2の(B)は、連続塗布線を遮断する場合を示す。図3Bに図2の(B)の詳細図を示す。制御部116の制御の下に、ピストン101の矢印103方向の回転を維持したままで、軸方向移動装置104Aにより上向きの矢印104方向沿いにピストン101をシリンダ102に対して急上昇させると、吐出ノズル109の上流側であるポンプ室112内の圧力は急降下して負圧となる。ここで、ピストン101のねじ溝105とハウジング102の内周面とにより構成されるねじ溝ポンプを塗布流体111の流体供給源としているため、回転数とねじ溝形状で決まる最大流量Qmax以上の流量は、ポンプ室112に供給できない。そのため、ピストン101の急上昇によって生じる空隙部の単位時間当たりの体積増加分をQとして、Q>Qmaxとなるようにピストン径、ピストン速度を設定すれば、十分に大きな負圧をポンプ室112に発生できる。この負圧を「逆スクイーズ圧力」と呼ぶことにする。
ピストン101が上昇している間、制御部116の制御の下に、電極110と基板114の間に電源115により電圧を印加しておけば、吐出ノズル109から基板側にある塗布流体111は電界により、基板側に張り出す作用の力:fを受ける。同時にポンプ室112に発生する負圧によって、流体111は吐出ノズル109の内部に戻ろうとする吸引力:fを受ける。この張り出す力fと吸引力fが平衡し、塗布流体111のメニスカス113は一定の形状を保ち続けることができるのである。塗布流体111が張り出す作用の力:fの大きさとメニスカス113の形状は、電圧の大きさにより、また交流を用いる場合は周波数の選択により制御部116で制御できる。吸引力:fの大きさは、前述したように、ピストン101の急上昇の速度を設定することにより制御部116で制御できる。たとえば、ピストン101を急上昇してメニスカス113の先端位置を基板114から離脱後、ピストン101を緩やかに上昇すればよい。このような方法を用いれば、塗布遮断状態の間は、基板114と流体メニスカス113の先端の距離:hが一定の値を保ち続けることができる。
図2の(C)は、塗布の遮断状態から塗布を開始する場合を示す。この場合は、図2の(B)とは逆に、制御部116の制御の下に軸方向移動装置104Aによりピストン101を下降させる。ピストン101を下降させると、ポンプ室112には正のスクイーズ圧力が発生する。ピストン101の下降速度が大きすぎると、スクイーズ圧力が大きくなりすぎて、描画線の塗布開始部分に「太り」が形成される危険性がある。そのため、この「太り」が生じない範囲でピストン101の下降速度を設定すればよい。上記図2の(A)〜(C)の連続塗布、塗布遮断、塗布開始の動作を短いサイクルで繰り返すと、短い線長を持つ連続塗布、あるいは間欠塗布を実現できる。ここで、塗布線の線幅をb、塗布線の長さをLとしたとき、L>bならば連続塗布、L≒bあるいはL<bならば間欠塗布と定義する。
上記図2の(B)及び(C)以外の方法としては、軸方向移動装置104Aによるピストン101の急上昇動作と電源115のOFFによる電界を0(電圧を0)にする動作を制御部116により連動させれば、吐出ノズル109から張り出した流体111を一気に吐出ノズル109の内部に吸引させて、塗布を遮断することもできる。塗布を開始する場合は、軸方向移動装置104Aによるピストン101の下降動作と電源115のONによる電圧を印加する動作を制御部116により連動させればよい。
以上、連続描画線の始終端を高品位で塗布する場合を示したが、本発明の効果は超高速間欠塗布にも活かすことができる。図2〜図3Bに示されるような2自由度アクチュエータ(具体的には、回転伝達装置103Aと軸方向移動装置104A)を用いて、ピストン101を高い周波数で往復運動をさせると、鋭敏なピーク圧を有する正のスクイーズ圧力が発生する。この理由は次のようである。ピストン101が高速で下降すると、吐出ノズル109の流体抵抗が大きい場合、閉じ込められた間隙部で逃げ場の無い塗布流体111はねじ溝ポンプ側へ逆流する。しかし、ねじ溝ポンプが高い内部抵抗を持っているために、この逆流量と内部抵抗に比例した圧力を発生するのである。さて、ノズル側電極110とその対向電極である基板114との間に電界を形成すると、ノズル先端のメニスカス113は常に軸対称の形状を保つことができる。また、ノズル先端に附着している流体塊とノズル109との間の表面張力は、電界による塗布流体111を張り出す作用により、みかけ上低減する。この2つの作用により、鋭敏なピーク圧を持つ高い周波数の圧力波形を発生させると、圧力の絶対値が低く、流量が極小にもかかわらず、高速間欠塗布が可能となる。
なお、連続塗布に係る前述した第2実施形態にかかる流体塗布装置及び方法では、ねじ溝105が形成されたピストン101に2自由度アクチュエータ(具体的には、回転伝達装置103Aと軸方向移動装置104A)を用いて回転運動と直線運動を与えている。この方法以外では、図11A及び図11Bに具体例を示すように、流体供給源(たとえば、ねじ溝ポンプ)と直線運動をするピストンを分離した構造のディスペンサを用いてもよい。間欠塗布の場合も、同様に分離型ディスペンサを用いてもよい。
(第3実施形態)
図4A及び図4Bは本発明の第3実施形態にかかる流体塗布方法を実施することができる流体塗布装置を説明する概略一部断面図であり、吐出ノズルの内部に戻ろうとする吸引力:fを発生させる装置の別の例として、スラスト動圧シールを用いた場合を示す。この第3実施形態にかかる流体塗布装置及び方法で用いたディスペンサのピストン軸は、第2実施形態にかかる流体塗布装置及び方法と同様に、2自由度アクチュエータ(具体的には、回転伝達装置603Aと軸方向移動装置604A)によって回転運動と同時に直線運動ができる構造になっている。このピストン軸の吐出側端面とその対向面間にスラスト動圧シールを形成している。
601はピストン101と同様なねじ溝を有するピストン、602はハウジング02と同様に塗布流体の吸入口を有しかつ上記ピストン601を収納するハウジングである。ピストン601は固定側であるハウジング602に対して、回転運動と直線運動をそれぞれ独立してできるように収納されている。塗布材料が非導電性として扱える場合は、ハウジング602は絶縁性材料、導電性材料のいずれを用いてもよい。ハウジング602全体に導電性材料を用いる場合、ノズル先端は基板に最も近いため電界強度が最大になり、電界制御の機能に支障はない。但し、安全面からハウジング602全体に高電圧を印加したくない場合は、図29に具体例を示すように、電極を設ける吐出部(図29では364)だけ絶縁性材料を用いて、その他の箇所は導電性材料を用いればよい。また、ピストン601は、導電性材料、絶縁性材料のいずれでもよい。回転運動は、モータなどの回転伝達装置603Aにより矢印603の方向に回転駆動可能とされるとともに、直線運動は、エアシリンダなどの軸方向移動装置604Aにより矢印604方向に進退駆動可能とされる。これらの回転運動及び直線運動は制御部618によって制御される。
605はピストン601の端面、606はその固定側対向面、607は固定側対向面606の中央部に形成された吐出ノズル、608は吐出ノズル607の外周部に設けられたリング板状のハウジング側電極(ノズル側電極とも称する。)である。609はピストン601のねじ溝とハウジング602の内周面との間の空間に供給され吐出ノズル607から吐出される塗布流体、610はピストン601の端面605とハウジング602の固定側対向面606との間で形成されるポンプ室、611は吐出ノズル607から流出した塗布流体609の伸長部、612は接地された導電性のベース台619に載置された基板(塗布対象の一例。)である。ハウジング側電極608と基板612側の間には、流体塗布装置の流体塗布動作を制御する制御部618によって制御された電源613により所定の電圧Vが印加されている。614はピストン601の端面605とその対向面606との相対移動面のいずれか(たとえば、ピストン601の端面605)に形成されたスラスト動圧シールの溝部である。なお、図4Bでは、スラスト動圧シールの溝部614を黒く塗りつぶしている。スラスト動圧シールによる吸引力:fの大きさは、スラスト動圧シールの溝部614が形成されたピストン端面605とその対向面606のギャップ:δが狭い程、また、ピストン601の回転数Nが大きい程、大きい。したがって、メニスカス611の先端と基板612との距離hは、印加電圧Vと周波数f、及びギャップδと回転数Nを調整することにより制御できる。
上記第3実施形態によれば、塗布終了後、塗布の待ち状態で、メニスカスの先端と基板間の距離hを一定に保つことができると共に、メニスカスの先端を基板に近い位置に維持できる。そのため、塗布開始時において、塗布線の始端を高品位に描くことができる。
(第4実施形態)
図5Aは、本発明の第4実施形態にかかる流体塗布方法を実施することができる流体塗布装置を示す概略一部断面図で、基板を対向電極として利用するのではなく、吐出ノズルと基板の間の空間に対向電極(以降、空間電極と呼ぶ。)を設置した場合を示す。すなわち、ハウジング(ディスペンサ)の一部あるいは全体に配置されたハウジング側電極と、上記空間電極の間に電圧を印加し、電界を形成するのである。この構成により、基板側に導電体膜の形成、あるいは導電体の板材などを基板下に配置する必要がないために、塗布対象の制約を無くすることができる。たとえば厚い基板の場合でも、2つの電極間に大きな電界強度を形成できるために、極細線を描くのに有利となる。
401はピストン、402はこのピストン401を収納するハウジングである。塗布材料が非導電性として扱える場合は、ハウジング402は絶縁性材料、導電性材料のいずれを用いてもよい。ハウジング402全体に導電性材料を用いる場合、ノズル先端は基板に最も近いため電界強度が最大になり、電界制御の機能に支障はない。但し、安全面からハウジング402全体に高電圧を印加したくない場合は、図29に具体例を示すように、電極を設ける吐出部(図29では364)だけ絶縁性材料を用いて、その他の箇所は導電性材料を用いればよい。また、ピストン401は、導電性材料、絶縁性材料のいずれでもよい。ピストン401は固定側であるハウジング402に対して回転可能に収納されている。ピストン401はモータなどの回転伝達装置403Aにより矢印403の回転方向に正逆回転駆動される。
404はピストン401の外周面とハウジング402の内周面との相対移動面、例えばピストン401の外周面に形成されたねじ溝、405は塗布流体の吸入口、406はピストン401の端面、407はその固定側対向面、408は固定側対向面407の中央部に形成された吐出ノズル、409は吐出ノズル408の外周部に設けられたリング板状のハウジング側電極(ノズル側電極とも称する。)である。410はピストン401のねじ溝404とハウジング402の内周面との間の空間に供給され吐出ノズル408から吐出される塗布流体、411はピストン401の端面406とハウジング402の固定側対向面407との間で形成されるポンプ室である。412は流体塗布装置の流体塗布動作を制御する制御部、417は制御部412により制御されて電圧をハウジング側電極409に印加する電源、413は基板(塗布流体410の塗布対象である被塗布基材の一例。)、414は吐出ノズル408から流出した塗布流体410のメニスカスの伸長部、415は吐出ノズル408の先端と基板413との間の空間に配置されかつ塗布流体410のメニスカス414が内部空間を通過するリング状の空間電極である。
空間電極415を設けた場合、メニスカス414を安定して形成するためにこの第4実施形態にかかる流体塗布装置では次のような方法をとっている。以下、図6A及び図6Bを用いて説明する。
[1]制御部412の制御の下に電源417のスイッチをOFFにして空間電極415への電圧印加をOFFの状態にする。
[2]次に、制御部412の制御の下にねじ溝404を回転伝達装置403Aにより急速回転させることにより、ポンプ室411に高圧のポンピング圧力を発生させて、吐出ノズル408から塗布流体410を飛翔状態にさせる。この飛翔状態とは、水道の蛇口から水が勢い良く流出する状態を示し、吐出ノズル408から流出しかつリング状の空間電極415の中心部を通過する塗布流体410のメニスカス414の線径φdは、図6Aのごとく、吐出ノズル408と基板413の間でおおむね均一である。
[3]塗布流体410が飛翔すると同時に、あるいは若干の時間差を設けて、制御部412の制御の下に電源417のスイッチをONにして空間電極415への電圧印加をONの状態にする。すると、リング状の空間電極415の中心部を塗布流体410が通過するとき、塗布流体410のメニスカス414が軸芯に対して偏芯した状態でかつ塗布流体410の流速が小さければ、塗布流体410は空間電極415の一部に附着してしまう。しかし、この第4実施形態にかかる流体塗布装置及び方法では、塗布流体410は、既に高速で飛翔しているため、軸方向の慣性力を持っており、空間電極415のリング内を通過して基板413上に塗布流体410が着地する。
[4]以降、ハウジング側電極409と空間電極415の間に形成された電界により、塗布流体410は加速されて線径φdは、図6Bに示すごとく、細径化される。
上記[2]のプロセスにおいて、ポンピング圧力が小さい場合は、塗布流体410は飛翔せず吐出ノズル408の先端に流体塊を形成する。やがて、流体塊が増大し、表面張力と流体塊の重力が平衡してメニスカスの伸長部414を形成する。この場合、メニスカス414の形成速度は遅いため、リング状の空間電極415に接近すると、メニスカスの伸長部414に僅かの偏芯があれば、塗布流体410は空間電極415の一部に附着してしまう。
上記第4実施形態では、圧力供給源としてねじ溝ポンプを用いたが、ねじ溝式以外のどのようなポンプの形態、ギヤポンプ、トロコイドポンプ、モーノポンプ等、あるいは、高圧が得られるならばエアー式でもよい。
上記第4実施形態によれば、ハウジング(ディスペンサ)402の一部あるいは全体に配置されたハウジング側電極409と、上記空間電極415との間に電圧を印加して電界を形成することにより、基板側に導電体膜の形成、あるいは導電体の板材などを基板413下に配置する必要が無く、塗布対象の制約を無くすることができる。たとえば、厚い基板413の場合でも、2つの電極409,415間に大きな電界強度を形成できるために、極細線を描くのに有利となる。
また、上記第4実施形態の変形例として、第4実施形態の流体塗布装置に、さらに、図5Bに示すように、第2実施形態、第3実施形態にかかる流体塗布装置及び方法でそれぞれ適用した2自由度アクチュエータ構造のディスペンサを用いれば、あるいは、図11A,図11Bで後述するような流体ポンプ部とピストン部を分離した構造を用いれば、空間電極415を用いる上記方法は一層効果的である。図5Bに示すように2自由度アクチュエータ構造を用いる場合は、ピストン401は回転運動と独立してエアシリンダなどの軸方向移動装置416Aにより矢印416方向に進退駆動できる。
軸方向移動装置416Aとしては応答性の高い電磁歪素子(圧電素子、超磁歪素子等)を用いれば良い。上記[2]のステップにおいて、制御部412の制御下で、回転伝達装置403Aによりねじ溝404を回転させると同時に、軸方向移動装置416Aによりピストン401を急峻に下降させれば、正のスクイーズ効果によりポンプ室411に高圧が発生する。この瞬時に発生する正のスクイーズ圧力は、塗布流体410である高粘度流体を飛翔させる引き金となる。塗布遮断時は、軸方向移動装置416Aにより逆にピストン401を急峻に上昇させれば、負のスクイーズ効果によりポンプ室411に負圧が発生し、メニスカス414をノズル408の内部に吸引することができる。このように、2自由度アクチュエータ(具体的には、回転伝達装置403Aと軸方向移動装置416A)を用いた第4実施形態の変形例にかかる流体塗布装置では、ピストン401の軸方向駆動を併用すれば、空間電極415への電圧印加をONの状態のままで、塗布線の飛翔塗布開始と遮断ができる。
さらに、図7は、前述した第4実施形態にかかる流体塗布装置のより具体的な吐出ノズル408の構造を示す図である。
451はピストン(図5Aのピストン401に相当)、452はこのピストン451を収納する上部ハウジング(図5Aのハウジング402に相当)である。453は筒状の吐出ノズル(図5Aの吐出ノズル408に相当)であり、ノズル側電極(図5Aのハウジング側電極409に相当)454としての役割を兼ねている。455は吐出ノズル453を中心で保持し、上部ハウジング452に収納された非導電性材料からなるノズル保持部である。456は上部ハウジング452の下端部に装着された下部ハウジングであり、対向する基板側に第2開口部457が形成されている。
また、この第2開口部457にリング状の空間電極458(図5Aの空間電極415に相当)が設けられている。空間電極458の形状は、軸対称でかつ均一な電界を形成するために、軸対称であることが好ましい。459は塗布対象の一例としての基板である。
上部ハウジング452は、導電性、絶縁性のいずれでもよいとともに、下部ハウジング456は絶縁性を有するのがよい。
このような図7の構造にすれば、2つの部材すなわち上部ハウジング452と下部ハウジング456とを一体で装着できるため、吐出ノズル453と空間電極458の同芯度を高い精度で確保できる。
なお、空間電極を用いる方法は間欠塗布の場合も適用できる。前述したように、ノズル側電極とその下流側に配置される対向電極の間に電界を形成することにより、ノズル先端のメニスカスは常に軸対称の形状を保つことができる。また、ノズル先端に附着している流体塊とノズルの間の表面張力は、電界による流体を張り出す作用により、見掛け上、低減する。この2つの作用は、空間電極の場合でも得られるために、微小ドット径の超高速間欠塗布が可能となる。
(第5実施形態)
図8は第5実施形態にかかる流体塗布方法を実施することができる流体塗布装置の概略一部断面図であり、前述した第4実施形態にかかる流体塗布装置及び方法の一部をさらに改良するものである。すなわち、空間電極近傍にエアー(第2供給流体)の流出開口部を設けることにより、一層安定したメニスカスの形成を可能にしたものである。
251はポンプ室(図5A又は図5Bのポンプ室411に相当し、図5A又は図5Bのピストン401と上記ハウジング402とで形成される空間)、252は吐出部(図5A又は図5Bのハウジング402の下部の吐出部分に相当)、253は吐出部252のポンプ室251側に形成されたノズル開口部、254は吐出ノズル(図5A又は図5Bの吐出ノズル408に相当)であり、ノズル側電極255(図5A又は図5Bのハウジング側電極409に相当)としての役割を兼ねている。256は塗布流体257(第1供給流体)(図5A又は図5Bの塗布流体410に相当)が通過するノズル流通路(第1吐出通路)である。吐出部252は吐出ノズル254をポンプ室側の中心部で保持し、筒状部分258が下流側に延びている。なお、ピストンやハウジングなどは第4実施形態にかかる流体塗布装置及び方法と同様であるため図示を省略している。
259は筒状部分258を隙間を空けて覆う下部ハウジング、260はエアー(第2供給流体)の吸入口、261は筒状部分258と下部ハウジング259の間に形成されたエアー流通路、262はエアー開口部、263はエアー開口部262近傍に設けられた空間電極(図5A又は図5Bの空間電極415に相当)である。264は塗布流体257のメニスカス、265は空間電極263の内面に位置するエアーと塗布流体257の吐出通路(第2吐出通路)、266は基板である。
エアー吸入口260から流入したエアーは、エアー流路261を経て、ノズル流通路256(第1吐出通路)から流入してきた塗布流体257と吐出通路265(第2吐出通路)で合流する。
この第5実施形態にかかる流体塗布装置及び方法では、空間電極263の近傍にエアー開口部262を有するために、流体メニスカス264の周囲を囲むように筒状にエアーが流れるような状態となり、流体メニスカス264の軸芯が空間電極263近傍で偏芯しても、エアーの流れにより、偏芯した状態から中心側を流れる状態に戻され、メニスカス264の軸芯をセンターリング(調芯)させる作用が発生する。そのため、塗布開始時において、ポンプ室251の圧力が低く、メニスカス264の形成速度が遅い場合でも、メニスカス264は空間電極263に接近することなく、軸対称の形状を維持しながら伸張できるため、安定な極細線の塗布が開始できる。なお、エアー開口部262は空間電極263の内面の中央部に形成すれば、より効果的である。
第5実施形態にかかる流体塗布装置及び方法では、第2供給流体としてエアーを用いたが、勿論、他の種類の気体を用いてもよい。あるいは流体同士の混合が問題にならない場合は、液体でもよい。
上記第5実施形態によれば、空間電極263の近傍にエアー(第2供給流体)の流出開口部262を設けることにより、一層安定してメニスカス264を形成することができる。
図9は、前述した第5実施形態にかかる流体塗布装置のより具体的な吐出ノズルの構造を示す図である。
650は先の実施形態と同様なねじ溝を有するピストン、651はポンプ室(図8のポンプ室251に相当)、652は吐出部(図8の吐出部252の一部に相当)、653は上部ハウジング(図8の吐出部252の一部に相当)、654は中間ハウジング(図8の吐出部252の一部に相当)、655は吐出ノズル(図8の吐出ノズル254に相当)であり、ノズル側電極656(図8のハウジング側電極255に相当)としての役割を兼ねている。657は吐出部652の筒状部分(図8の筒状部分258に相当)、658は下部ハウジング(図8の下部ハウジング259に相当)、659はエアーの吸入口(図8のエアーの吸入口260に相当)、660はエアー流通路(図8のエアー流通路261に相当)、661はエアー開口部(図8のエアー開口部262に相当)、662はエアー開口部661近傍に設けられた空間電極(図8の空間電極263に相当)である。
663は塗布流体のメニスカス(図8のメニスカス264に相当)、664は基板(図8の基板266に相当)である。
上記図9の構造によれば、2つの部材すなわち中間ハウジング654と下部ハウジング658とを一体で装着できるため、吐出ノズル655と空間電極662の同芯度を高い精度で確保できる。
(その他の実施形態など)
図10は、前述した本発明の第2実施形態の変形例として、第2実施形態にかかる流体塗布装置及び方法に用いることのできるディスペンサの具体的な構造を示す断面図である。
以下に示すディスペンサは、ピストンとこのピストンを収納するスリ−ブの間に、相対的な回転運動と直線運動を同時に与える「2自由度アクチュエータ」を有する。すなわち、
[1]第1のアクチュエータでピストンを直線駆動することにより、ピストンの吐出側端面に正負の急峻な圧力を発生させる。
[2]回転運動を与える第2のアクチュエータで、ねじ溝が形成されたピストンを回転させてポンピング圧力を発生させ、塗布流体を吐出側に圧送する。
上記[1][2]の組み合わせに加えて、ディスペンサ側と基板に電界を形成することにより、極細塗布線の高速遮断・高速開放の制御を実現したものである。
図10において、201は第1のアクチェータ(図3Aの軸方向移動装置104Aに相当)であり、第2実施形態にかかる流体塗布装置では、高粘度流体を高速で間欠的に微小量かつ高精度に供給するために、高い位置決め精度が得られ、高い応答性を持つと共に大きな発生荷重が得られる超磁歪素子を用いている。202は第1のアクチェータ201によって駆動される主軸(ピストン)(図3Aのピストン101に相当)である。上記第1のアクチェータ201は、上部ハウジング203に収納されており、この上部ハウジング203の下端部(フロント側)に、主軸202を収納する中間部ハウジング204が装着されている。205はモータなどの第2のアクチェータ(図3Aの回転伝達装置103Aに相当)であり、主軸202と各ハウジング203、204の間に相対的な回転運動を与えるものである。206は超磁歪素子から構成される円筒形状の超磁歪ロッドである。207は超磁歪ロッド206の長手方向に磁界を与えるための磁界コイルである。208、209は超磁歪ロッド206にバイアス磁界を与えるための永久磁石である。210は超磁歪ロッド206のリア側に配置され、磁気回路のヨーク材であるリア側ヨークである。なお、主軸202は超磁歪ロッド206のフロント側に配置され、磁気回路のヨーク材を兼ねている。すなわち、超磁歪ロッド206、磁界コイル207、永久磁石208,209、リア側ヨーク210、主軸202により、磁界コイルに与える電流で超磁歪ロッドの軸方向の伸縮を制御できる超磁歪アクチェータ(第1のアクチェータ201)を構成している。211はリア側ヨーク210と一体化した上部主軸212を回転自在に収納するリア側スリーブである。このリア側スリーブ211もまた軸受230により、上部ハウジング203に対して回転自在に支持されている。
213は超磁歪ロッド206に予荷重を与えるためのバイアスバネである。モータなどの第2のアクチェータ205から伝達された回転動力は、中心軸214と主軸202の間に設けられた回転伝達キー(図示せず)によって主軸202に伝達される。また、主軸202は中間部ハウジング204との間に設けられた軸受215によって、軸方向及び回転方向に移動可能に収納している。216は主軸202の軸方向変位を検出するための変位センサーである。上記構成により、装置の主軸202が回転運動と微少変位の直線運動の制御を同時に、かつ独立して行うことができる「2自由度・複合動作アクチュエータ」を実現している。
217は主軸202に固定されたねじ溝軸、218はねじ溝軸217の外表面に形成された流体を吐出側に圧送するためのねじ溝(図3Aのねじ溝105に相当)、219は流体シール、220は下部ハウジング(図3Aのハウジング102に相当)である。このねじ溝軸217と下部ハウジング220の間で、ねじ溝軸217と下部ハウジング220の相対的な回転によってポンピング作用を得るためのポンプ室221(図3Aのポンプ室112に相当)を形成している。また、下部ハウジング220には、ポンプ室221と連絡する吸入孔222が形成されている。
223は下部ハウジング220の下端部に装着された吐出ノズル(図3Aの吐出ノズル109に相当)、224は吐出ノズル223を下部ハウジング220に固定するためのノズルケース、225は吐出ノズル先端に装着されたハウジング側電極(図2のハウジング側電極110に相当)である。
さて、この第2実施形態の変形例では、超磁歪素子で駆動されるピストン202が回転と同時に高速の直線運動ができることを利用して、以下に示す方法で塗布線の始終端に係る課題の解決を図っている。
有限の線幅をそれぞれ持つ連続塗布動作と連続塗布動作との間の休止時間Tが短い場合、たとえばT=0.3〜0.5sec以下の場合は、電極225と基板(図示せず)の間に電源115から電圧を印加したままで、
[1]塗布終了時には、制御部116の制御の下に、第2のアクチェータ205により、ねじ溝218を回転させたままの状態で、休止時間の間、第1のアクチェータ201によりピストン(主軸202)を上昇し続ける。
[2]塗布開始時には、制御部116の制御の下に、第1のアクチェータ201によりピストン202を降下させる。
また、休止時間Tが長い場合、たとえばT>0.5secの場合は、
[1]塗布終了時には、制御部116の制御の下に、第1のアクチェータ201によりピストン202を上昇させると同時に第2のアクチェータ205の一例であるモータの回転を停止する。さらに、第2のアクチェータ205の一例であるモータの回転を停止後、ゆるやかに逆回転させる。
[2]塗布開始時には、制御部116の制御の下に、第1のアクチェータ201によりピストン(主軸202)を降下させると同時に第2のアクチェータ205の一例であるモータの正回転を開始する。
この第2実施形態の変形例では、ピストン202を超磁歪素子で駆動しているため、ピストン202の入力信号に対する出力変位の応答性は、10―3sec(1000Herz)のオーダーである。超磁歪素子は後述する圧電素子と同様に、電磁歪素子の一種であり、高いレスポンスと高い発生圧力を有する。隙間の変化に対するスクイーズ圧力発生の間の時間遅れは僅少であるため、エアー圧を補助加圧源として用いた従来電界ジェット方式と比べて、二桁高い始終端制御のレスポンスを得ることができる。
また、図11A及び図11Bは、前述した本発明の第2実施形態の別の変形例として、第2実施形態の流体塗布装置に用いることのできるディスペンサの別形態の具体的な構造を示す図で、ねじ溝とピストンを分離して構成したディスペンサと電界ジェット方式とを組み合わせた具体事例を示す。
前述した図10の構造では、2自由度アクチュエータによりねじ溝軸に回転と直進運動を独立して与えているが、図11A及び図11Bではねじ溝でポンピング圧力を発生させる機能と、ピストン端面間の隙間を可変させてスクイーズ圧力を発生させる機能を分離して設けている。
150はねじ溝ポンプ部(流体供給部)、151はねじ溝軸(図3Aのピストン101に相当)であり、ハウジング152に対して回転方向に移動可能に収納されている。ねじ溝軸151は回転伝達装置153の一例であるモータにより回転駆動される。154はねじ溝軸151の外周面とハウジング152の内周面との相対移動面のいずれかに形成されたねじ溝(図3Aのねじ溝105に相当)、155は塗布流体の吸入口(図3Aの吸入口106に相当)である。156はピストン部、157aはピストン、158aはピストン157aの軸方向駆動装置である圧電型アクチュエータ、159aは吐出ノズルである。160は下部プレート、161aはねじ溝軸端部とピストン外周部を結ぶ塗布流体の流通路であり、ハウジング152と下部プレート160の間に形成されている。
ピストン部156には、同一の構造を持つ圧電型アクチュエータ158a、158b、158cと、これらのアクチェータ158a、158b、158cでそれぞれ独立して駆動されるピストン157a、157b、157cを配置している。ねじ溝ポンプ部150からは3つの流通路161a、161b、161cを経て、各ピストン157a、157b、157cに流体が供給される。162a、162b、162cは各吐出ノズル先端の設けられた電界制御のためのハウジング側電極(図2のハウジング側電極110に相当)である。これらハウジング側電極162a、162b、162cと塗布対象である基板を含めて、電極部163と呼ぶことにする。
本このように図11A及び図11Bに示すごとく、流体供給装置であるねじ溝ポンプ部150と、ピストン部156を分離して流体塗布装置を構成すれば、1セットのねじ溝ポンプ部150から複数個のピストン157a、157b、157cに塗布流体を分枝して補給することにより、マルチノズルを有する塗布ヘッドが実現できる。
分離型ディスペンサの上記第2実施形態の変形例では、共通のハウジング内部に流体供給装置であるねじ溝ポンプ部150とピストン部156を収納する構成となっている。この構成以外では、ねじ溝ポンプ部150とピストン部156は別ユニットにして、両者を配管で連結する構成でもよい。
また、図12は、図11A及び図11Bの上記電界制御付き分離型ディスペンサを用いて、塗布線の開放・遮断制御をする場合の制御ブロック図を示すものである。
150は流体供給部(図11A及び図11Bのねじ溝ポンプ部に相当)、156はピストン部(図11A及び図11Bのピストン部に相当)、163は電極部(図11A及び図11Bの電極部に相当)、903は回転伝達装置153の一例であるモータ用のモータ電源部、904は圧電型アクチュエータ158a、158b、158c用のピストン電源部、905は電極部163用の電極用電源部、906は流体塗布装置の流体塗布動作を制御するものであってモータ電源部903とピストン電源部904と電極用電源部905とをそれぞれ制御する制御部、114は基板である。塗布線の塗布開始・遮断は、共通の制御部906からの情報を基に、それぞれの電源903〜905を制御すればよい。
モータの回転数、ピストン軸方向移動の方法、電界のいずれを制御するかは、適用するプロセスに合わせて、制御部906により、ベストの方法を選択すればよい。
図13は、本発明にかかる流体塗布装置又は方法を用いて電極材料を基板に塗布する場合について、ディスペンサ側の絶縁対策を示す実施形態である。銀ペーストなどの導電性微粒子が含まれた材料を塗布する場合、高電圧(数百V〜数KV)が印加されるノズル電極と、固定側の本体ハウジングとの間が導電性材料を介して導通する可能性がある。このように導通すれば、流体塗布装置の本体ハウジングが制御装置のアースとなっている場合は、制御装置が高電圧によって破壊される場合もある。通常、数10ミクロンの狭い隙間を介して、回転部材と固定部材の間の相対的な回転によって圧力を発生させる流体供給部が常にその危険性を秘めている。
この図13の実施形態では、ポンプ室内の流体圧力を回転運動あるいは直線運動の機構を用いて増圧あるいは減圧する装置を有するがゆえに生じた、本発明の新たな課題を解決するものである。この課題は従来電界ジェット式ではなかったものである。
750はねじ溝ポンプ部(流体供給部)、751は回転軸、752はハウジング、753はハウジング752に圧入されたねじ溝スリーブである。ねじ溝スリーブ753の内面にはねじ溝754が形成されている。755は塗布流体の吸入口、756はピストン部、757はピストン、758はピストン757の軸方向駆動装置である圧電型アクチュエータ、759は吐出ノズル、760は下部プレート、761は塗布流体の流通路、762は吐出ノズル759先端の設けられた電界制御のためのノズル側電極(上記ハウジング側電極に相当)、763はノズル側電極762と塗布対象である基板等を含めた電極部、764は回転軸751を回転駆動するモータ、765は流体シールである。
ノズル側電極762とノズル下流側に設けられた対向電極(上記基板又は上記空間電極)で構成される電極部763と、その他の部材間で電気的な絶縁を図るために、以下述べるような工夫を施している。回転軸751、ピストン757、下部プレート760は非導電性であるセラミクス材を用いている。
非導電性の回転軸751の外周面にねじ溝を形成する代わりに、その相対的回転の対向面であるねじ溝スリーブ753の内面にねじ溝754を形成している。なお、ねじ溝スリーブ753は精度の高い溝加工が容易な鉄系金属で製作することができる。ねじ溝ポンプ部(流体供給部)750は、相対移動面の隙間が数十ミクロンであるために、導電性材料の微粒子が含まれた材料を用いる場合は、最も電気的に短絡する可能性が高いが、このように構成することにより、完全に絶縁することができる。
図13の実施形態では、流体供給部750としてはねじ溝ポンプを用いたが、ねじ溝式以外のどのようなポンプの形態、たとえば、ギヤポンプ、トロコイドポンプ、又はモーノポンプ等、でも同様の対策を施すことができる。すなわち、ポンプの回転(ロータ)部分に非導電性の材料を用いて、精度の高い内面精度が必要な固定側は金属材料を用いればよい。勿論、回転側と固定側のいずれにも非導電性の材料を用いてもよい。塗布材料に導電性材料を用いない場合でも、図13の実施形態で提案した絶縁対策を施せば,十分な安全対策となる。
以上説明した種々の実施形態は、いずれの場合も吐出ノズルから流出した塗布流体の流体メニスカスの位置と形状は、塗布中、一定の状態を維持している。以下、このメニスカスの形状・位置を積極的に制御して塗布流体を基板に塗布する方法について説明する。
図14はその原理を説明する概略一部断面図であり、吐出ノズルの内部に戻ろうとする吸引力:fを発生させる装置として、第3実施形態と同様に、スラスト動圧シールを用いる場合を示す。塗布流体を吐出ノズルから張り出す作用の力:fは電界を与えることによって生じる。この張り出す力fと吸引力fが平衡して、メニスカスの先端位置と基板との間の距離:hは一定となり、メニスカスの先端位置を安定して位置決めすることができる。
ところで、電界ジェット方式の従来提案(特開2000−246887号公報、特開2001−137760号公報)でも、メニスカスをノズルから張り出させて連続・間欠塗布する方法が開示されている。しかしながら、上記特許公報では、図14にかかる実施形態及び第3実施形態で示したようにポンプ室内に負圧を積極的に発生させる機構を用いて、吸引力と電界によるメニスカスを張り出す作用の力とを平衡させる、という方法は開示されていない。両端をバネで支持した物体は、安定な状態を保つことができるのと同様に、本発明はノズルにおいて2つの力(すなわち、吸引力と電界によるメニスカスを張り出す力)をバランスさせることにより、元来、不安定な流体メニスカスを安定して位置決めすることができるようにしたものである。
この図14では、上記種々の実施形態で用いたディスペンサのピストン軸は、第2実施形態と同様に、2自由度アクチュエータによって回転運動と同時に直線運動ができる構造になっている。このピストン軸の吐出側端面とその対向面間にスラスト動圧シールを形成している。図14において、801は例えばピストン101と同様なねじ溝を有するピストン、802はハウジング102と同様に塗布流体の吸入口を有しかつピストン801を収納するハウジングである。ピストン801は固定側であるハウジング802に対して、回転運動と直線運動をそれぞれ独立して制御できるように収納されている。塗布材料が非導電性として扱える場合は、ハウジング802は絶縁性材料、導電性材料のいずれを用いてもよい。ハウジング802全体に導電性材料を用いる場合、ノズル先端は基板に最も近いため電界強度が最大になり、電界制御の機能に支障はない。但し、安全面からハウジング802全体に高電圧を印加したくない場合は、図29に具体例を示すように、電極を設ける吐出部(図29では364)だけ絶縁性材料を用いて、その他の箇所は導電性材料を用いればよい。また、ピストン801は、導電性材料、絶縁性材料のいずれでもよい。回転運動は、モータなどの回転伝達装置803Aにより矢印803の方向に回転駆動可能とされるとともに、直線運動は、エアシリンダなどの軸方向移動装置804Aにより矢印804方向に進退駆動可能とされる。805はピストン801の端面、806はその固定側対向面、807は固定側対向面806の中央部に形成された吐出ノズル、808は吐出ノズル807の外周部に設けられたリング板状のハウジング側電極(ノズル側電極とも称する。)である。809はピストン801のねじ溝とハウジング802の内周面との間に供給され吐出ノズル807から吐出される塗布流体、810はピストン801の端面805とハウジング802の固定側対向面806との間で形成されるポンプ室、811aは吐出ノズル807から流出した流体メニスカスであって、メニスカスの伸長部が上昇して先端が基板812から離れたときの状態を点線で示し、811bは吐出ノズル807から流出した流体メニスカスであって、メニスカスの伸長部が下降して先端が基板812に接触したときの状態を実線で示す。812は例えば接地された導電性のベース台819に載置された塗布対象の一例である基板である。ハウジング側電極808と基板812の間には、流体塗布装置の流体塗布動作を制御する制御部820によって制御された電源813により所定の電圧Vが印加されている。814はピストン801の端面805とその固定側対向面806の相対移動面のいずれか(図14では端面805)に形成されたスラスト動圧シールの溝部(図4A及び図4Bのスラスト動圧シールの溝部614に相当)である。また、815は基板812上にドット状に間欠塗布された塗布流体である。制御部820は、流体塗布装置の流体塗布動作を制御するものであって、電源813のオンオフなどの電圧印加動作及び回転伝達装置803Aによる回転運動及び軸方向移動装置804Aによる直線運動を制御する。
また、図15は、電源813からハウジング側電極808と基板812の間に印加する電圧の波形を示す。電圧がVのとき、スラスト動圧シールによる吸引力fを一定とすれば、電界による塗布流体809を吐出ノズルから張り出す作用の力:fが小さくなりかつ吸引力fよりも小さくなり塗布流体809が吸引されるために、メニスカスの伸長部は上昇した状態811aになる。一方、電圧がVよりも大きなVのとき、張り出す作用の力fが大きくなりかつ吸引力fよりも大きくなり塗布流体809が張り出すために、メニスカスの伸長部は下降した状態811bになり、このとき、塗布流体809は基板812上に吐出されて転写される。メニスカス先端位置の絶対値とストロークは、印加する電圧の中心値の大きさと電圧振幅を変えることにより制御部820で調節できる。あるいは、電界を制御する代わりにスラスト動圧シールの隙間:δ、ピストンの回転数:N等を調節することにより制御できる。本実施形態で示す方法により、任意の大きさの極小径ドットを、安定してかつ高速で塗布することができる。また、連続塗布も可能であり、塗布途中で描画線の線幅を変えることもできる。図14の実施形態ではポンプ室を負圧にするのに動圧シールを用いたが、その他の方法でもよい。たとえば、ねじ溝を緩やかに逆転させてもよく、負圧発生源とポンプ室を連絡し、負圧発生源の圧力を制御する方法でもよい。
あるいは、第2の実施形態で説明したように、ピストンとその対向面の間隙を増大及び縮小させるようにしてもよい。間隙が増大している間はポンプ室を負圧にできるため、メニスカスの先端は基板から離脱し塗布は遮断される。逆に、間隙を縮小すればメニスカスの先端は基板に着地するため、塗布が開始できる。2自由度アクチュエータを用いたディスペンサあるいは分離型ディスペンサを用いて、流体供給源にねじ溝ポンプを用いるならば、平均流量はねじ溝の回転数で確実に設定できるため、流量精度の高い塗布ができる。
II.ディスプレイへの具体的な適用例
本発明は、たとえばPDP表面板の電極形成にも適用することができる。
(1)プラズマディスプレイパネルの構造について
図30はプラズマディスプレイパネル(以下、PDP)の構造の一例を示すものである。PDPは、大きく分けて表面板1800と背面板1801より構成される。表面板1800を構成する透明基板である第1基板1802に、複数組の線状透明電極1803を形成する。また背面板1801を構成する第2基板1804には、上記線状透明電極1803と直交する複数組の線状電極1805を平行に設ける。上記2つの基板1802と1804を蛍光体層が形成されたバイアスリブ1806を介在して対向させ、そのバイアスリブ1806内に放電性ガスを封入する。両基板1802と1804の電極1803と1805間に閾値以上の電圧を印加すると、2つの電極1803と1805が直交し合う位置で放電が起こって放電性ガスが発光し、その発光を透明な第1基板1802を通して観察することができる。そして、放電位置(放電点)を制御することにより第1基板側に画像を表示することができる。PDPによりカラー表示を行うためには、各放電点において放電時に放射される紫外線により所望の色を発色する蛍光体を、各放電点に対応する位置(バリアリブの隔壁)に形成する。フルカラー表示を行うためには、RGBの各蛍光体を形成する。
表面板1800について、もう少し詳しく説明する。表面板1800は、ガラス基板等の透明基板からなる第1基板1802の内面側に、2本で一組となる線状の透明電極1803を平行に複数組、ITO等により形成する。この線状透明電極1803の内面側表面にライン抵抗値を小さくするためのバス電極1807が形成されている。これらの透明電極1803及びバス電極1807を被覆する誘電体層1808を表面板1800の内面全領域に形成し、保護層であるMgO層1809を誘電体層1808の表面全領域に形成した構造を有する。
一方、背面板1801の第2基板1804の内面側には、上記表面板1800の線状透明電極1803と直交する線状のアドレス電極1805を平行に複数本、銀材料等により形成する。また、このアドレス電極1805を被覆する誘電体層1810を背面板1801の内面全領域に形成する。誘電体層1810の上に、各アドレス電極1805を隔離すると共に、表面板1800と背面板1801のギャップ間隔を一定に維持するために所定高さのバリアリブ(隔壁)1806を各アドレス電極1805の間に突出して形成している。このバリアリブ1806により、各アドレス電極1805に沿ってリブ間隙部1811を形成し、その内面にRGB各色の蛍光体層1812を順次形成している。リブ壁面に形成される蛍光体層1812は、発色性をよくするために一般的に10〜40μm程度に厚盛りされる。上記RGB各色の蛍光体層1812を形成するには、各リブ間隙部内に蛍光体用塗工液を充填後、乾燥させることにより揮発分が除去されて、リブ壁面に肉厚の蛍光体層1812が形成され、同時に放電性ガスを充填する空間が創成される。このような厚膜の蛍光体パターンを形成するために、蛍光体を含有する塗工材料は、溶剤の量を少なくした数千mPas〜数万mPasの高粘度ペースト状流動体(蛍光体用ペースト)に調製され、従来からスクリーン印刷又はフォトリソグラフィーにより基板に塗布されていた。
(2)PDP表面板の電極形成への適用例
以下、前述したPDPの表面板のバス電極部と端子部を含む電極形成に、本発明の上記実施形態にかかるディスペンサを用いた例について詳しく説明する。
図16はPDP表面板の一例を模式的に示すもので、700はバス電極部(図30のバス電極1807に相当)、701A、701Bは端子部である。バス電極部700、端子部701A、端子部701Bでガラス基板より構成されるPDP表面板702(図30の表面板1800に相当)を構成している。703はタブ接合部分である。
以下、PDP表面板702のバス電極部700、端子部701A、端子部701Bのそれぞれの電極線がどのようなパターンで形成されているかを説明するために、電極線704に注目し、図16のPDP表面板702の左側端部の点aを始点(あるいは逆にパターン形成する場合には終点)として追跡してみる。この点aを始点とする電極線704は、b点で方向を変えた後、斜め下方向に進行し、端子部701A内のc点で再び方向を変える。さらに端子部701Aを通過して、d点でバス電極部700に入る。さらにバス電極部700を通過した電極線はe点で右側の端子部701Bに入り、その直後にf点で停止する。すなわち、端子部701B内のf点は電極線704の終点(あるいは逆にパターン形成する場合には始点)となる。電極線704に隣接した電極線705は、電極線704に対して始点、終点の位置は左右逆に形成される。このように、図16の実施形態のPDP表面板702では、左右の端子部701A、701Bで停止点を有する電極線が交互に入れ替わるように形成されている。電極線704は点aから点fまで連続的に繋がっているが、個所によって線幅は異なる。以下の表1に各電極線704の各位置における寸法仕様の一例を示す。バス電極700内で、複数個狭ピッチで平行に形成される電極線群d〜e(主電極線と呼ぶ)は最も細く、かつ高い線幅精度(表1)と厚みの精度(4.5μm±1.5μm)が要求される。
Figure 2005000910
図17にペースト塗布のための仮想領域を示す。700のバス電極部を「有効表示領域」、701A、701Bの端子部を「準有効表示領域」と呼ぶことにする。706A及び706BはPDP表面板702の両端に設けられたペースト塗布のための仮想領域(2点鎖線)であり、「非有効表示領域」と呼ぶことにする。バス電極部700の全体と端子部701A、701Bの一部を覆うようにして設定された仮想領域707(鎖線)は、「拡大有効表示領域」と呼ぶことにする。
さて、最初に塗布方法の具体例(I)について説明する。PDPの表面板の電極形成を目的とした最初の実施形態では、次の順序で全電極線を形成する。
ステップS1では、主電極線を形成する
ステップS2では、バス電極部分を含む端子部の電極線を形成する。
この方法では、ステップS1の主電極線を形成する工程で、できるだけ多くの吐出ノズルを有する塗布装置を用いることができるため、生産タクトの点で有利になる。
図18に、主電極線の形成方法(ステップS1)を示す。PDP表面板702の拡大有効表示領域707を除く左右に、薄いマスクシート707A、707Bを配置しておく。この状態で、マスクシート707A上のcc点から銀材料等の電極材料である塗布流体の塗布を開始する。バス電極部700を一気に塗布した後、マスクシート707B上のff’点で銀材料等の電極材料である塗布流体の塗布を終了する。
このとき、適用するディスペンサとしては、図11A及び図11Bに一例を示したように、たとえばねじ溝ポンプと複数個のピストンを組み合わせたディスペンサをサブユニット(言い換えれば、流体塗布ユニット)として用いることができる。このサブユニットをさらに複数台組み合わせて、主電極線を塗布形成するための流体塗布装置とする。PDP用基板の端面のUターン区間(マスクシート707Bを走行する区間)では、流体の吐出量が完全遮断できる方が好ましい。その理由は、完全遮断によって、マスクシート707B上で流体の堆積によってノズルが汚れる確率が低減できるからである。
あるいは、であって塗布線の総本数分(たとえば1921本)の複数ノズルを有しかつ塗布流体である布材料がエアー圧で加圧されて複数ノズルのそれぞれに供給されるディスペンサを用いて、一気に総本数分の塗布線を描いてもよい。この場合は、始終端の塗布線制御に高い応答性は要求されないため、高速応答の始終端制御は必要とされない。いずれの方法を用いる場合でも、細線化を図るために、ノズル側に設けられた電極と基板(透明電極)の間に高電圧を印加して、電界制御を施しておけばよい。
次に、バス電極部分を含む端子部の電極線の形成方法(ステップS2)を図19に示す。準有効表示領域内(端子部701A及び701B内)では、各電極線の傾斜角が異なるために、並列ピッチで配置されたマルチヘッドでは、準有効表示領域内で隣り合う電極線を同時に塗布することは困難である。そのために、次の方法で塗布を行う。
準有効表示領域内において、それぞれの傾斜角が異なる電極線から構成される電極線のグループをAA〜AA(図16)とする。ここで、電極線のグループAA〜AAのうち、2つの準有効表示領域内(端子部701A及び701B内)でそれぞれ描かれる電極線を「端子部電極線」(たとえば704B)と呼ぶ。これらの端子部電極線のグループは、PDPの表面板では、準有効表示領域が2つあるため、複数セット形成される。そこで、複数個のグループAA〜AAの中から同一の傾斜角を有する電極線(この電極線の本数をK本とする。)を選び出し、それらをグループBBとする。グループBBは、たとえば、図19では電極線704B、708B、709Bである。グループBBの各電極線704B、708B、709Bは、ノズルと、PDP表面板を載置保持するステージ(たとえば図26の載置台50とXYステージ50xを参照。)とを相対的に上記電極線の傾斜角に沿って移動させれば、同一の傾斜角を有する複数の電極線704B、708B、709Bを同時に塗布形成することができる。流体塗布装置の1つの実施形態としては、塗布流体供給源ポンプとピストンと吐出ノズルをそれぞれ1セットずつ有する構造のディスペンサを、電極線の本数分だけ(ここでは、K組分だけ)用いればよい。
たとえば、電極線704Bの場合、非有効表示領域706Aにおける点aaを始点として塗布流体の塗布を開始する。一例として、吐出ノズルとステージ間の相対速度V=300mm/sec、吐出ノズルと基板間の距離δ=1.5mmとする。
図20において、時間に対するモータ回転数のタイムチャートを(A)に示し、時間に対する、ノズルと基板間に電界を形成するための印加電圧のタイムチャートを(B)に示し、時間に対するピストン変位のタイムチャートを(C)に示す。t=tmsでモータの回転を開始する。t=tms後の時間か又はt=tmsと同じ時間であるt=tvsで、電界制御のための電圧を印加する。一例として、モータと動作開始と電圧印加はほぼ同時(t=tms=tvs)とする。電圧印加時(すなわちt=tvsの時間)からΔT2sの時間だけ遅れて、ピストンを下降させる。タブ接合部分703(点a〜点b)を通過するときは、表1に示すように線幅が他と比べて大きいために、
[1]吐出ノズルとステージ間の相対速度を他と比べて小さくする、
[2]ねじ溝ポンプ(図11Bのねじ溝ポンプ部150)の回転数を上げる、
といった上記[1]と[2]のいずれかを選択する。
準有効表示領域701Aにおける傾斜線704Bの終点cで、既にステップS1で描かれた主電極線704Aと交差するように、塗布を遮断する。
この場合、塗布遮断の条件は、2つの電極線704Bと704Aとのそれぞれ先端が過不足なく交差する必要があるために、極めて重要である。多くの試行実験と考察を重ねた結果、次のタイミングで、モータ回転数、電界制御のための電圧、又は、ピストン変位を制御部で制御することにより、好ましい結果が得られることがわかっている。
以下、塗布の遮断方法について、タイミングチャート(図20)と、ノズル先端における塗布流体のメニスカスの状態変化(図21)を対比させながら説明する。
図21において、300は例えばピストン101と同様なねじ溝を有するピストン(図11Bのねじ溝軸151に相当)、301はハウジング102と同様に塗布流体の吸入口を有しかつこのピストン300を収納するハウジング(図11Bのハウジング152に相当)、302は吐出ノズル(図11Bの吐出ノズル159aなど、図3Aの吐出ノズル109に相当)、303はノズル側電極(図11Bのハウジング側電極162aなど、図3Aのハウジング側電極109に相当)、304は基板(図3Aの基板114に相当)、305はポンプ室(吐出室)(図3Aのポンプ室112に相当)である。図21の(a)に示すように、塗布流体は吐出ノズル302から流出している状態にある。306は吐出ノズル302から流出した塗布流体の伸長部(図3Aの塗布流体111の伸長部113に相当)である。また、吐出ノズル302と基板304は、矢印Aの方向に相対的に移動している。このとき、ノズル側電極303と基板304側の間には電源(図3Aの電源115に相当)から高電圧が印加されているために、塗布流体(たとえば電極線形成用の誘電体材料)は電界で加速されて、塗布流体の流線は細径化する。すなわち、吐出ノズル近傍の流線径をΦD、基板近傍の流線の径ΦDとしたとき、ΦD>ΦDである。
[1]最初に、制御部(図3Aの制御部116に相当)は、電源(図3Aの電源115に相当)に対して、t=tmeでピストン300を回転させているモータ(図3Aの回転伝達装置103Aに相当)の回転停止の指令を出す。モータの応答性は低いために、モータの回転停止の指令後、しばらくの間は、塗布流体はねじ溝ポンプ部から吐出ノズル302に供給されている状態にある。
[2]次に、制御部は、電源に対して、モータの回転停止の指令を与えてからΔTの時間差を設けたのちのt=tveにおいて、印加電圧を0にする指令を出す。ΔTの値は、塗布線の幅が終端近傍で流量不足のために細くならない範囲で、また次の印加電圧とピストン変位制御による遮断に影響を与えない範囲で設定する。一例として、0.1<ΔT<0.5secの範囲で選択すれば好ましい結果が得られる。印加電源OFF→電界OFFに至る応答性は極めて高いために、吐出ノズル302から飛翔中の塗布流体の連続流線は、図21の(b)のごとく空中で、吐出ノズル側の流線306aと基板側の流線306bに分断される。
[3]さらに、t=tveからΔT2eの時間差を設けて、図21の(c)の矢印Bに示すように、ピストン300を軸方向移動装置(図3Aの軸方向移動装置104Aに相当)により上昇させる。この直後にポンプ室305に発生する急峻な負圧によって、吐出ノズル側流線306aは図21の(d)に示すように吐出ノズル302の内部に吸引される。このとき、単に、電界をOFFにする制御だけでは、吐出ノズル側流線306aは中空に漂う状態になるために、高品位塗布は困難となる。一方、基板側流線306bは矢印A方向の速度成分を持っているため、図21の(c)に示すように長さΔLの分だけ矢印A方向に基板側に塗布される。この結果、塗布線の終点位置は、吐出ノズル302の真下の位置よりもΔLだけ長くなる。ここで、塗布量、ステージ(たとえば図26の載置台50とXYステージ50xを参照。)の速度、電界とピストン300の動作タイミングさえ一定ならば、ΔLは一定となるために、この寸法ΔLを予め見込んで塗布の終点位置を制御部により設定すればよい。
一例として、0<ΔT2e<3msecの範囲で、ピストン300を軸方向移動装置により上昇開始することにより、高品位の塗布線の遮断ができる。ΔT2e<0の場合、すなわち、電界をOFFにするよりも、ピストン300を軸方向移動装置により早く上昇させた場合は、吐出ノズル内に流体が吸引された後も電界によって、流体を吐出ノズルから引き出す作用が働くため、塗布の品位はやや劣化することになる。
比較のため、図21の(e)には、図21の(c)に示す状態から上記[1]のごとくモータの回転停止の指令を出した場合(図21の(d)と同じとなる。)、図21の(f)に、これとは逆に図21の(c)とに示す状態からモータが回転状態を維持した場合を示す。ここで、後者の場合、塗布終了から次の塗布開始に至るまでの時間Tが十分に短いならば、モータを回転したままの状態でも、電界OFF→ピストン300上昇の2つの動作だけで、次の塗布開始に工程を移行することができる。しかし、時間Tが長い場合、たとえば、塗布終了位置から次の塗布開始位置までの距離が長く、ステージの移動時間が長い場合は、図21の(f)のごとく、吐出ノズル先端に流体塊が発生し成長してしまうために、上記したようにモータの回転数制御は必須である。
図22に、具体例(I)において描画線704Bの終端の遮断制御が効果的になされない場合の事例を示す。描画線704Bが遮断すべきところで切れず、その終端近傍710で流体塊が隣り合う主電極線704A’の方向にまで飛散している。最悪の場合は、描画線704Bと主電極線704A’が短絡することになる。一例として、描画線704Bと主電極線704A’との間の距離は550μm程度である。
図23には、本発明の上記実施形態の遮断制御によって、端子部電極線704Bの終端と主電極線704Aの終端が交差している状況を示す。主電極線704Bと704A’間のピッチをP、端子部電極線704Bの終端が主電極線704Bから突出した部分の距離をΔPとする。一例として、吐出ノズルとステージの相対速度をVとしたとき、200<V<500mm/secの条件下で、本発明の上記実施形態のディスペンサ工法では、(ΔP/P)<(1/3)にすることができる。
図24に、主電極線の形成と、端子部電極線の形成の順序を入れ替えた場合を示す。この場合でも同様に、主電極線近傍の端子部電極線850Bと850B’間のピッチはPである。主電極線850Aの終端が端子部電極線850Bから突出した部分の距離をΔPとすると、(ΔP/P)<(1/3)にすることができる。
次に、塗布方法の具体例(II)について説明する。
具体例(I)は、主電極線と端子部電極線を描く工程を2つに分けて塗布したが、具体例(II)は主電極線と端子部電極線を一気に描く方法を示す。この場合、供給源ポンプ、ピストン、吐出ノズルをそれぞれ1セットずつ有する構造のディスペンサを、同一の傾斜角を有する電極線の本数だけ、例えばK本用いる。前述したように、K本とは、端子部701A、701Bにおいて、同一の傾斜角を有する電極線の本数である。
図19を用いて説明すると、非有効表示領域706Aにおける点aaを始点として端子部電極線をの塗布形成を開始し、c点で遮断することなく、端子部電極線に続いて主電極線704Aを描き、f点まで一気に描けばよい。各箇所における塗布線の線幅の調整は、前述したように、吐出ノズルとステージ(たとえば図26の載置台50とXYステージ50xを参照。)間の相対速度、あるいはねじ溝ポンプの回転数を制御部で制御すればよい。f点における塗布線の遮断は、具体例(I)で用いた方法を用いればよい。
塗布線の線幅を変える他の方法として、吐出ノズル先端とその対向面である基板間のギャップδを制御部で変える(例えば、流体塗布装置全体を上下方向沿いに上下動させる昇降装置(図26のZ軸方向搬送手段装置52z参照)などを制御部で制御してギャップδを変える)ようにしてもよい。極細線化を図るためには、高い電界強度と長い伸長部(たとえば、図21の(a)の伸長部306)が必要である。PDP表面板の場合、表1に示すように、バス電極部の電極線と比べて、端子部の電極線は線幅が大きい。したがって、端子部の電極線を形成する場合は、制御部により、バス電極部の電極線の場合と比べてギャップδを大きく、また電界強度(電圧の大きさ)を弱めに設定すればよい。
本発明は、PDP表面板の電極形成に限定されるものではないが、電磁歪素子で駆動されるピストンの制御と、電界制御を組み合わせて構成される本発明の効果は、吐出ノズルとステージ(たとえば図26の載置台50とXYステージ50xを参照。)の相対速度Vが大きい程、顕著となる。この相対速度Vは、量産時の生産タクトにダイレクトに影響を与える。
従来のエアー式の塗布遮断時の応答性は、せいぜい0.05〜0.1secである。たとえば、ステージの移動速度V=300mm/secで走行中に連続塗布を遮断する場合、遮断指令信号を出してから塗布線が切れるまでの余計に描く線長を概略計算すると、ΔL=0.05×300=15mmである。
これに対して、本発明の上記実施形態にかかる流体塗布装置においてピストンを電磁歪素子で駆動する場合、ポンプ室の圧力波形の応答性は、0.0005sec程度である。たとえば、同一のステージにおいて、遮断指令信号を出してから塗布線が切れるまでの余計に描く線長は、ΔL=0.0005×300=0.15mmである。ΔL≪ΔLであり、本発明の効果は明らかである。また、電極線塗布方法の具体例(I)について説明したように、ピストン変位上昇と電界遮断のタイミングを考慮して制御部で制御すれば、上記ΔLはさらに小さくできることがわかっている。
(3)蛍光体スクリーンストライブ形成の適用例
以下、本発明の上記実施形態にかかる流体塗布方法及び装置をディスプレイパネルの蛍光体層形成方法及び形成装置に適用した例について説明する。この例は、PDPの背面板に蛍光体のスクリーンストライブ(連続塗布線)を形成する場合であるが、たとえばCRT(カラーフラットパネル)に蛍光体層を形成する場合も同様である。
図25に示すように、PDP基板は、蛍光体層を形成する有効表示領域56aと、この有効表示領域の外周部に蛍光体層を形成しない非有効表示領域56bを有する。図26に、ディスペンサが搭載された流体塗布装置の具体的な形態を示す。
50はPDP基板(プラズマディスプレイパネル用の基板)51を載置保持するための載置台である。載置台50は、その下部に連結されたXYステージ50xによって、直交する2方向であるX軸方向とY軸方向の任意の位置に移動可能である。52はディスペンサ53が着脱可能に搭載された筐体である塗布ヘッドであり、Z軸用モータによりボールネジを正逆回転させてボールネジに螺合した筐体52をZ軸方向に昇降させる駆動機構などのZ軸方向搬送装置52zによって、Z軸方向の任意の位置に筐体52が移動できる。筐体52には、複数本のディスペンサ53が着脱可能に搭載されている。この実施形態では、2自由度アクチュエータ構造によるディスペンサ53(例えば図10のディスペンサに相当)を用いている。54はディスペンサ53の吐出ノズル(図10の吐出ノズル223、図3Aの吐出ノズル109に相当)、55は吐出ノズル54の先端に装着されたディスペンサ側電極(ハウジング側電極)(図10のハウジング側電極225、図3Aのハウジング側電極110に相当)である。このディスペンサ側電極55とPDP基板51との間に電界を制御するための電圧が、制御部116(図3Aの制御部116に相当)によって制御されながら、電源115(図3Aの電源115に相当)から印加される。なお、制御部116(図3Aの制御部116に相当)は、XYステージ50xとZ軸方向搬送装置52zとの動作もそれぞれ制御する。
上記流体塗布装置によって、PDP用の基板51に電極線あるいは蛍光体層が形成される。各ディスペンサ53には、塗布流体の例としてのペースト状材料が、外部に設置された材料供給源から供給される。
このPDP用の基板51を載置台50の所定位置に載置して固定する。例えば、42インチのPDP用基板の場合、PDP用基板51の有効表示領域56aには、予め矢印X−X’方向に平行に長さL=560mm、高さH=100μm、幅W=50μmのリブ(図30のバイアスリブ1806に相当)が、ピッチPの間隔を保って、1921本形成されている。この1921本のリブによって1920本の溝が形成されているので、赤色、緑色、青色蛍光体は、それぞれ640本(=1920本/3)の溝にそれぞれ塗布されてそれぞれの蛍光体層(図30の蛍光体層1812に相当)を形成することになる。
最初に、制御部116の制御により、ディスペンサ53をR蛍光体塗布開始位置まで相対的に移動し(具体的には、ディスペンサ53に対してXYステージ50xを移動させてPDP用基板51を移動させて、R蛍光体塗布開始位置の上方にディスペンサ53が位置するようにし)、Z軸方向搬送装置52zのZ軸用モータにより、吐出ノズル54の先端をPDP基板51に対して所定の高さに位置決めする。
次に、制御部116の制御により、吐出ノズル54からR蛍光体の吐出を開始すると同時に、吐出ノズル54を矢印X方向へ移動して(具体的には、ディスペンサ53(吐出ノズル54)に対してXYステージ50xを駆動してPDP用基板51を矢印X方向とは逆の矢印X’方向へ移動させて)蛍光体塗布を開始する。吐出ノズル54が一本のリブの長さL(図25)だけ塗布線を描き、吐出ノズル54の先端が有効表示領域56aから非有効表示領域56bに入ると、制御部116の制御により、吐出ノズル54からの蛍光体の吐出を停止する。
次に、制御部116の制御により、吐出ノズル54からの蛍光体の吐出を停止したままで、吐出ノズル54を3ピッチ分だけ矢印Y方向へ移動する(具体的には、吐出ノズル54に対してXYステージ50xを駆動してPDP用基板51を矢印Y方向とは逆の矢印Y’方向へ移動させる)。再度、制御部116の制御により、吐出ノズル54からR蛍光体の吐出を開始すると同時に、吐出ノズル54を矢印X’方向へ移動して(具体的には、吐出ノズル54に対してXYステージ50xを駆動してPDP用基板51を矢印X’方向とは逆の矢印X方向へ移動させて)蛍光体塗布を再開する。上記ステップを繰り返し、塗布本数が640本になると、赤色蛍光体による作業は終了する。
制御部116の制御による上記蛍光体の吐出の開始と停止の方法は、後述するように、ハウジング側電極55とPDP用基板51との間に電源115から印加された電界を制御する電圧を一定のままで、ピストン(図10のピストン202、図3Aのピストン101に相当)の軸方向の制御とモータ(図10のモータなどの第2のアクチェータ205、図3Aの回転伝達装置103Aに相当)の回転数制御により行う。なお、PDP用の基板51上の蛍光体層を形成する部分と、ハウジング側電極55の間に直接電圧を印加するために、PDP用の基板51の表面に予め透明のITO膜(導電体膜)を形成している。
残された緑色蛍光体、青色蛍光体の塗布については、別途設置された緑色蛍光体、青色蛍光体専用載置台に、赤色蛍光体層が形成されたPDP用の基板51を順次移送してもよい。あるいは同一の載置台50に対する1つの塗布ヘッド52に、3種類(赤色、緑色、青色蛍光体塗布用)のディスペンサ53をそれぞれ配置してもよいし、又は、塗布ヘッド52を、赤色蛍光体塗布用塗布ヘッド52、緑色蛍光体塗布用塗布ヘッド52、青色蛍光体塗布用塗布ヘッド52の3種類用意して、交換して使用して、それぞれの色の蛍光体を塗布するようにしてもよい。
なお、吐出ノズル54の始終端の位置と、塗布開始・終了のタイミング、及び、ステージの速度と同期した塗布量の制御部116による制御は、あらかじめプログラミングされた始端と終端位置情報、及びXYステージ50xからの変位・速度情報に基づいて行われる。このようにして、リブ間の溝の内面形状に沿ったR,G,Bの蛍光体層の形成作業がすべて終了すると、ディスペンサ53の吐出ノズル54の先端位置は、予め決められたホームポジション(原点)に復帰する。以上、スクリーンストライブの塗布工程が終了すると、PDP用基板を搬送した後、蛍光体層の乾燥工程へ移行する。
以上が塗布工程の概略であるが、再度、一個の吐出ノズル54の挙動に注目してみる。
PDP用基板51の上記「有効表示領域」を、連続塗布しながら高速で走行したノズル54は、PDP用基板51の端面に接近すると減速区間を経て速度を落とし、上記「非有効表示領域」に入る。この非有効表示領域でUターン後、ノズル54は、助走区間を経て再び有効表示領域を定常走行する。すなわち、ノズル54とPDP用基板51間の相対速度は、Uターン区間の前後で大きく変化する。このとき、ディスペンサ53は次のような機能を有することが望ましい。
[1]ノズル54とPDP用基板51間の相対速度に合わせて、流量を可変できる。
[2]PDP用基板51の端面のUターン区間(非有効表示領域を走行する区間)では、吐出量が完全に遮断できる。
[3]上記Uターン区間を経て、塗布開始時の塗布線の始点部には「細り」、「切れ」などが発生しない。同様に、塗布終了時の塗布線の終点部には、「太り」、「溜まり」などが発生しない。
上記[1]が実現できない場合、たとえば、ノズル54とPDP用基板51間の相対速度が定常走行の場合と比べて小さくなったにもかかわらず、吐出量を低減できなければ蛍光塗布線の線幅と厚みは所定のスペックを越えてしまうことになる。
生産タクトを上げる程、立上がり・立下り時間を短く、かつ相対速度の変化率を大きくとらねばならない。すなわち、ディスペンサ53にはより一層高い流量制御のレスポンスが要求される。
上記[2]の必要性は次のようである。ノズル54がPDP用基板51の端面のUターン区間(非有効表示領域)を走行するとき、ノズル54とPDP用基板51間の相対速度はゼロ及びその前後の極めて低速状態となる。もし、この区間でノズル54から材料の流出があれば、僅かな流量でも複数本のストライブが重なるため、材料がPDP用基板51上に堆積することになる。その結果、堆積した材料が吐出ノズル54の先端に附着する可能性が増す。この状態で再び塗布を開始した場合、吐出ノズル54の先端に附着した流体塊が不連続にPDP用基板51の表面に散逸し、描画線の精度を著しく損ねるなどのトラブルが発生する。すなわち、PDP用基板51の端面のUターン区間では、ディスペンサ53は吐出量を完全に遮断できることが好ましい。
上記[1][2]は、たとえばCRTに蛍光体層を形成する場合には必須条件となる。なぜならば、CRTの場合は、凹面形状の底面に有効表示領域があり、その外周部は高い壁面で覆われている。非有効表示領域は極めて狭い箇所しかなく、この狭い箇所でUターンをする必要があるからである。
上記[3]は、ディスペンサ方式が従来方式、たとえばスクリーン印刷方式と同等、あるいはそれ以上の品質を確保するための必須条件である。
以上要約すれば、ディスペンサを用いて、PDP用基板の表面に蛍光体スクリーンストライブ、あるいは電極線を高生産効率で形成するためには、ディスペンサには流体遮断・開放が随意にできる機能を有すると共に、高い流量制御の応答性と高い流量精度を持つのが望ましい。
しかし、ディスペンサ方式の先行例である、たとえば、特公昭57−21223号公報、特開平10−27543号公報には、この点の詳細な記載は見当たらない。また電界ジェット方式の従来例(特開2001−137760号公報)にも、描画線の始終端をいかにして高速かつ高品位で形成するかという点についての記述はみられない。
さて、図10の上記実施形態では、電磁歪素子で駆動されるピストン202が回転と同時に高速の直線運動ができることを利用して、ノズル54とPDP用基板51間に電界を与えた状態で、次の方法で微細塗布線の始終端に係る課題の解決を図る。
[1]塗布開始時には、ピストン202を降下させると同時にモータ205の回転を開始する。
[2]塗布終了時には、ピストン202を上昇させると同時にモータ205の回転を停止する。
図10の実施形態では、ピストン202を電磁歪素子で駆動しているため、ピストン202の入力信号に対する出力変位の応答性は、10―3sec(1000Herz)のオーダーである。隙間の変化に対するスクイーズ圧力発生の間の時間遅れは僅少であるため、モータで回転数制御を行った場合と比べて、一桁〜二桁高いレスポンスが得られる。
上記ピストン202は、図10の2自由度アクチュエータ構造のディスペンサを用いる場合は、主軸202に相当するものである。また、図10の2自由度アクチュエータ構造のディスペンサの代わりに、図11(B)の分離型ディスペンサを用いる場合は、上記ピストンは、圧電素子で駆動されるピストン157a〜157cに相当する。この分離型を用いる場合は、マルチヘッド化は一層容易となる。Uターンに要する時間が短い場合は、モータは常に回転させた状態を保っていてもよい。
吐出ノズルがUターン区間を走行しているときは、吐出ノズルから流出してメニスカスを形成していた流体塊を完全に吐出ノズル内部に吸引する必要はない。第2実施形態で説明したように、Uターン区間ではポンプ室で発生させる負圧による吸引力と、電界によって流体が張り出す作用をバランスさせた状態を保てば、メニスカスの先端と基板間の距離h(図3B参照)を一定に保つことができる。その効果として、塗布線の始点部で「細り」、「切れ」などの発生なく塗布開始できる。また始点部の各塗布線の形状も均一にできる。
PDP用基板の電極形成の実施形態で示したように、ピストンの変位とモータ回転数だけではなく、電界を形成するための電圧制御を併用すればより効果的となる。また、このときの開放・遮断のタイミングも電極形成で実施した方法を用いれば一層効果的となる。
上記種々の実施形態では、吐出ノズル先端にディスペンサ側電極(ハウジング側電極)を配置し、PDP用基板を対向電極としている。この方法以外に、第4、第5実施形態で説明したように、空間電極を対向電極としてもよい。
適用できるディスペンサの形態としては、前述した2自由度アクチュエータ型、分離型以外で、生産タクトをさほど要求されない場合は、電界ジェット式と組み合わせたねじ溝式、エアー式でもよい。
III.その他の補足説明
形成された塗布線の断面形状は、本発明の上記種々の実施形態のディスペンサによる工法と従来の印刷工法では大きく異なっている。図27に示す従来の印刷工法の場合、電極線350a、350bの断面は概略矩形である。図28に示す本発明の上記種々の実施形態のディスペンサの工法の場合、電極線352a、352bの断面は、表面張力の作用によって概略半円形状となる。前述したPDPの電極線の場合、この断面形状の違いが、電極の耐電圧性能に大きな影響を与えることがわかっている。すなわち、上記実施形態の場合、電極線間のピッチPはP=500〜600μmであり、各電極線間に発生する電位差は100V程度を考慮しなければならない。従来の工法の場合、電極線350a、350bの断面のエッジ部351a、351bでは、電界強度がピークとなるために両電極間でスパークが発生する可能性が高い。これに対して、本発明の上記種々の実施形態のディスペンサの工法の場合、断面は半円形状であるために、電界強度の分布はなだらかなものとなり、スパークの発生は僅少であり、耐電圧信頼性が大幅に向上することが分かっている。
また、電極形成の場合は、電極線に低い電気抵抗が要求される場合が多い。PDP用基板の電極の場合、従来の印刷工法では、電極材料として用いる銀ペーストには、印刷工法の露光工程に必要な感光性樹脂が含まれている。この感光性樹脂が、電極材料の比抵抗を増大させている。これに対して、上記実施形態のディスペンサによる塗布の場合は、この感光性樹脂が不要のため、電極材料の比抵抗が、印刷工法と比べて、実質的に1/2となる。その結果、矩形と半円形状の違いがあるにも関わらず、同一厚みの場合は、上記ディスペンサによる塗布では、十分に低い電気抵抗の電極線を形成することができる。
また、ねじ溝ポンプ部(流体供給部)150とピストン部156とを分離した分離型ディスペンサの場合、ピストン部(図11Aと図11Bの場合は156)近傍の流路に絞りを施すことにより、始終端制御のための正圧、負圧をより効果的に発生させることができる。
図29は、この場合のピストン部156の拡大図である。157aはピストン、このピストン157aは軸方向駆動装置の一例である電磁歪アクチュエータ158aにより矢印361方向沿いに進退駆動される。160は下部プレート、363はピストン157aの端面、364は非導電性の樹脂で製作された吐出部、365はその固定側対向面、159aは固定側対向面365の中央部に形成された吐出ノズル、162aは吐出ノズル159aの外周部に設けられたハウジング側電極(導電性)である。368は塗布流体(非導電性)、369はポンプ室、370は基板(塗布対象)、371は基板370の下部に配置された導電板である。ハウジング側電極162aと導電板371との間には、流体塗布装置の流体塗布動作を制御する制御部906によって制御された電源905により電圧が印加されている。
161aはねじ溝ポンプ部(流体供給部)150とポンプ室369を結ぶ流通路であり、ハウジング152と下部プレート160の間に形成されている。375は流通路161aのピストン157a近傍に設けられた絞りである。この絞り375の流体抵抗は流通路161aのそれと比べて十分に小さくなるように、断面形状(流路幅と流路深さ)が設定されている。流通路161aが長くなる場合、あるいはマルチヘッド化によって流通路161aの総容積が増大した場合、流体の持つ圧縮性が系の応答性(ピストン変位に対する圧力変化の時間応答性)を低下させる。しかし、図29のごとく、ポンプ室369と流通路161aを結ぶ流路の途中で、かつピストン157aの近傍に絞り375を設けることにより、圧縮性の影響を低減できる。たとえば、塗布線を遮断するためにピストン157aを急上昇した場合、絞り375の流体抵抗によって、流体は流通路161a側から容易にはポンプ室369に補給されない。そのためポンプ室369は高い負圧状態を保ち続けることができる。この場合、過渡応答時における流体の圧縮性の影響は、図29ではポンプ室369の容積だけに留めることができる。なお絞りは流通路161a側ではなく、ピストン360の外周部と下部プレート160の間に形成してもよい。
流体供給部150としてねじ溝式のような機械式のポンプを用いない場合、すなわち、シリンジ(容器)に充填された塗布材料を高圧エアーだけで圧送する場合は、上記絞りは必須である。その理由は、この場合は、ねじ溝ポンプの内部抵抗に相当する流体抵抗(絞りと同じ機能)が無いからである。したがって、塗布材料を高圧エアーだけで圧送するディスペンサ構造の場合は、流通路161aを塗布材料が充填されたシリンジに直結すればよい。
塗布材料が非導電性として扱って良い場合は、前述したように、吐出部364だけを樹脂、セラミクスなどの非導電性材料を用いて製作し、吐出ノズル先端あるいは先端近傍にハウジング側電極を配置すればよい。このような構成にすれば、機械式ディスペンサを用いる場合でも、主要な部品は通常の鋼材を用いることができる。
通常、電界制御を行うためには、吐出ノズル側(ハウジング側)と、その対向面の基板側に電極を設置する。基板側に設ける電極は、前述したように、基板に予め設けられている電極(例えば、PDPの場合アドレス電極、ITO膜等)を利用してもよい。あるいは、基板が薄い場合は、基板の下面に配置された移載ステージのベース台(導電性材料で作られている場合が多い)等を利用してもよい。塗布線の極細線化を図るためには、適切な印加電圧(たとえば、0.5〜3.0KV)と、吐出ノズル側と基板側の適切な電極間ギャップ(たとえば、δ=0.5〜2.5mm)を設定する必要がある。しかし、電極間ギャップδが上記範囲をはるかに超えた大きな値しか設定できない場合でも、吐出ノズル側に高電圧を印加することにより、塗布品位は飛躍的に向上することがわかっている。その理由は、アース側が遠方に設置されていたとしても、吐出ノズル先端は電界強度が集中的に大きくなるために、前述したように、ノズル先端のメニスカスは常に軸対称の形状を保つことができるからである。また、ノズル先端に附着している流体塊とノズルの間の表面張力は、電界による流体を張り出す作用により、みかけ上、低減する。その結果、塗布開始時、終了時において、吐出ノズルから流出した流体の吐出ノズル上部の外表面への「せり上がり」を防止することができる。
したがって、本発明では、吐出室の圧力を増減する機構を内蔵したディスペンサと電界制御の組み合わせにより、高品位の連続塗布線の始終端制御、高速間欠塗布が可能になる。
本発明の実施形態では流体供給部としてねじ溝式ポンプを用いている。本発明を実現するためには、ねじ溝式以外の型式のポンプでも適用できるが、ねじ溝式の場合、ねじ溝を構成する各種パラメータ(ラジアル隙間、ねじ溝角度、溝深さ、グルーブとリッジの比など)を変えることにより、最大圧力Pmax、最大流量Qmax、内部抵抗Rs(=Pmax/Qmax)を自由に選択できる点で有利となる。回転数と流量が正比例するため、流量の設定が容易である。また、完全非接触で流路を構成できるため、粉流体を取り扱う場合に有利である。
また、前述したように、ねじ溝式の場合、基本的に流量は粘度に依存しないため、電界ジェット式との組み合わせにより、流量が環境温度変化などに依存しにくい、安定な極細線塗布が実現できる。
なお、本発明における流体供給部としてのポンプの形態は、ねじ溝式に限らず、他の方式のポンプも適用可能である。たとえば、スネイクポンプと呼ばれるモーノ式、ギヤ式、ツインスクリュー式、又はシリンジ式ポンプなどが適用できる。
図11Aと図11Bの構成を用いて説明すれば、ねじ溝ポンプ部150の代わりに、上述した他の形態のポンプを配置すればよい。
あるいは、流量の安定性は犠牲になるが、機械式のポンプを用いる代わりに、高圧エアー源を用いてもよい。たとえば、図11Aと図11Bにおいて、ねじ溝ポンプ部150からは3つの流通路161a、161b、161cを経て、各ピストン部156に流体が供給される構成になっている。このねじ溝ポンプ部150を撤去して、高圧エアー源で加圧された塗布流体が上記流通路161a、161b、161cに供給される構成にすればよい。
微少流量を扱う上記実施形態のポンプでは、ピストンのストロークは、大きくとも数十ミクロンのオーダーでよく、超磁歪素子、圧電素子などの電磁歪素子を用いても、ストロークの限界は問題とならない。電磁歪素子は、数MHz以上の周波数応答性を持っているため、ピストンを高い応答性で直線運動させることができる。そのため、高粘度流体の吐出量を高いレスポンスで高精度に制御できる。ピストンとこのピストンを収納するハウジングの内面形状は、上記実施形態では円筒形状を用いている。この方法以外に、たとえば、インクジェット・プリンタなどで用いられているバイモレフ型圧電素子を用いて、相対移動する2面を構成し、この2面間に形成されるポンプ室に流体供給部に塗布流体を供給する構成でよい。
応答性を犠牲にするならば、ピストンを駆動する軸方向駆動装置にムービングマグネット型、ムービングコイル型のリニアモータあるいは電磁ソレノイド等を用いてもよい。この場合、ストロークの制約は解消される。
上記ピストンや主軸は、移動部材の一例であり、上記軸方向駆動装置や上記回転伝達装置は移動部材駆動装置の一例である。
本発明を、たとえばディスプレイパネルの蛍光体層形成、あるいは電極形成に適用することにより、従来のスクリーンマスクを用いることなく、基板仕様を数値設定するだけで、任意のサイズの基板に対して極細線のペースト層を精度よく形成することができると共に、基板の仕様変更に容易に対応できる。
また、製造工程及び製造ラインとも規模を拡大させる必要がなく、単体の装置でスクリーニングすることを可能にし、また多品種少量生産のディスプレイパネルに対して量産効果を上げて製造させ、さらに単体でスクリーニングするため自動化ラインを小規模なマシンで稼動できる。本発明はPDP,CRT,有機EL、液晶などのディスプレイに限らず、回路形成などにも幅広く適用することができ、その効果は絶大である。
よって、本発明によれば、ディスプレイ、電子部品、家電製品などの分野における生産工程において、蛍光体、電極材、接着剤、クリーンハンダ、ペイント、ホットメルト、薬品、食品などの各種粉流体の極細線、極小ドットを目詰まりなく描画でき、高速で吐出遮蔽・開始ができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明にかかる流体塗布装置及び流体塗布方法並びにプラズマディスプレイパネルは、塗布流量の安定性が良く、塗布線の始終端を高品位で形成でき、情報・精密機器、工作機械、FA(factory automation)などの分野、あるいは半導体、液晶、ディスプレイ、表面実装などの様々な生産工程で必要とされる微少流量の流体塗布装置及び流体塗布方法並びに該流体塗布方法により形成されたプラズマディスプレイパネル及びそのパターン形成方法等として有用である。
本発明の第1実施形態にかかる流体塗布装置を説明する概略一部断面図である。 本発明の第2実施形態にかかる流体塗布装置を説明する概略一部断面図であり、(A)は連続塗布の状態、(B)は塗布休止の状態、(C)は塗布遮断を示す図である。 第2実施形態にかかる流体塗布装置を説明する一部断面のモデル図である。 第2実施形態にかかる流体塗布装置を説明する図2の(B)の部分拡大図である。 本発明の第3実施形態にかかる流体塗布装置を説明する概略一部断面図である。 本発明の第3実施形態にかかる流体塗布装置のスラスト動圧シールを示す底面図である。 本発明の第4実施形態にかかる流体塗布装置を示す概略一部断面図である。 本発明の第4実施形態の変形例にかかる流体塗布装置を示す概略一部断面図である。 第4実施形態にかかる流体塗布装置において電界を与えない場合の流体メニスカスを示す図である。 第4実施形態にかかる流体塗布装置において電界を与えた場合の流体メニスカスを示す図である。 本発明の第4実施形態にかかる流体塗布装置のより具体的な吐出ノズルの構造を示す正面断面図である。 本発明の第5実施形態にかかる流体塗布装置を示す概略一部断面図である。 本発明の第5実施形態にかかる流体塗布装置の具体的な吐出ノズルの構造を示す正面断面図である。 本発明の第2実施形態の変形例としての2自由度アクチュエータの構造を有するディスペンサを示す正面断面図である。 本発明の第2実施形態にかかるにかかる流体塗布装置としてねじ溝とピストンの分離構造によるディスペンサを示す上面図である。 は、それぞれ、本発明の第2実施形態にかかるにかかる流体塗布装置としてねじ溝とピストンの分離構造によるディスペンサを示す正面断面図である。 電界制御付き分離型ディスペンサを用いて、塗布線の開放・遮断制御をする場合の制御ブロック図である。 分離型ディスペンサを用いて、電極と各部材の電気的な絶縁を図る場合のディスペンサの構造図である。 メニスカスの形状・位置を制御する場合の原理を説明する概略一部断面図である。 時間経過に伴う電圧波形を示す図である。 PDP表面板の一例を示す図である。 PDP表面板のペースト塗布のための仮想領域を示す図である。 主電極線の形成方法を示す図である。 端子部の電極線の形成方法を示す図である。 タイムチャートを示す図で、(A)は時間に対するモータ回転数、(B)は時間に対するノズルと基板間に電界を形成するための印加電圧、(C)は時間に対するピストン変位のタイムチャートを示す図である。 ノズル先端における塗布流体のメニスカスの状態変化を示す図である。 端子部電極線と主電極線が交差する状態を示す図である。 端子部電極線と主電極線が交差する状態を示す図である。 端子部電極線と主電極線が交差する状態を示す図である。 PDP背面板のペースト塗布のための有効表示領域と非有効表示領域を示す図である。 本発明の上記実施形態にかかる流体塗布装置をPDP用基板の蛍光体層形成装置に適用した場合の概略斜視図である。 従来印刷工法における塗布線の断面形状を示す図である。 本発明の上記実施形態にかかるディスペンサによる工法すなわちディスペンサによる流体塗布方法における塗布線の断面形状を示す図である。 図11A及び図11Bの本発明の第2実施形態にかかるにかかる流体塗布装置において、ピストン部近傍の流通路に絞りを形成した場合の拡大断面図である。 プラズマディスプレイパネルの構造の一例を示す図である。 従来の電界ジェット方式を示す概略一部断面図である。
符号の説明
1,101,601,401,451,650,157a,157b,157c,757,801,300 ピストン
2,102,602,402,452,203,152,752,802,301 ハウジング
3A,103A,603A,403A,153,803A 回転伝達装置
4,105,404,154,754 ねじ溝
5,106,405,155,755 吸入口
6,107,605,406,805 ピストンの端面
7,108,606,407,806 固定側対向面
8,109,607,408,453,254,223,159a,759,807.302,54 吐出ノズル、吐出口
9,110,608,409,454,458,255,656,225,162a,162b,162c,762,808,303 ハウジング側電極(ノズル側電極)
163,763 電極部
10,111,609,410,257,809,815 塗布流体
11,112,610,411,251,651,221,810,305 ポンプ室
12,116,618,412,906,820 制御部
13,115,372,613,417,813 電源
14,114,612,413,459,266,664,812,304 基板(対向電極)
15,113,611,811a,811b,306 メニスカスの伸長部
50 載置台
50x XYステージ
51 PDP基板
52 筐体である塗布ヘッド
52z Z軸方向搬送装置
53 ディスペンサ
56a 有効表示領域
56b 非有効表示領域
92 横方向移動装置(例えばXYロボット)
104A 軸方向移動装置
150,750 ねじ溝ポンプ部(流体供給部)
151 ねじ溝軸
156,756 ピストン部
158a,158b,158c,758 軸方向駆動装置である圧電型アクチュエータ
160,760 下部プレート
161a,161b,161c,761 塗布流体の流通路
201 第1のアクチェータ
202 主軸
205 第2のアクチェータ
206 超磁歪ロッド
207 磁界コイル
208、209 永久磁石
210 リア側ヨーク
211 リア側スリーブ
213 バイアスバネ
214 中心軸
217 ねじ溝軸
218 ねじ溝
219,765 流体シール
222 吸入孔
224 ノズルケース
230,215 軸受
252,652 吐出部
253 ノズル開口部
256 ノズル流通路(第1吐出通路)
258,657 筒状部分
260,659 エアー(第2供給流体)の吸入口
261,660 エアー流通路
262,661 エアー開口部
265 エアーと塗布流体の吐出通路(第2吐出通路)
414,264,663 メニスカス
415,263,662 空間電極
455 ノズル保持部
456,259,658,220 下部ハウジング
457 第2開口部
614,814 スラスト動圧シールの溝部
653,204 上部ハウジング
654 中間ハウジング
700 バス電極部(有効表示領域)
701A,701B 端子部(準有効表示領域)
704 電極線
706A及び706B 非有効表示領域
707 拡大有効表示領域
751 回転軸
753 ねじ溝スリーブ
764 モータ
804A 軸方向移動装置
819 ベース台
903 モータ電源部
904 ピストン電源部
905 電極用電源部
1800,702 表面板
1801 背面板
1802 第1基板
1803 線状透明電極
1804 第2基板
1805 線状電極
1807 バス電極部

Claims (27)

  1. 塗布流体を吸入する吸入口と上記塗布流体を吐出させる吐出口とを有するハウジングと、
    上記ハウジングとの間で上記塗布流体のポンプ室を形成し、上記ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材と、
    上記移動部材を駆動して上記ハウジングに対して上記回転運動あるいは直線運動を行わせて上記ポンプ室内の塗布流体圧力を増圧あるいは減圧させる移動部材駆動装置と、
    上記ハウジングに配置されたハウジング側電極と、
    上記ハウジング側電極に電圧を印加する電源と、を備える流体塗布装置。
  2. 上記基板もしくは上記基板の近傍に配置された対向電極をさらに備え、
    上記ハウジング側電極と上記対向電極との間に上記電源から上記電圧を印加して上記電界を形成可能とする請求項1に記載の流体塗布装置。
  3. 上記移動部材と上記ハウジングの相対移動面にねじ溝が配置され、上記移動部材の上記回転運動により、上記塗布流体を上記吸入口から上記ねじ溝内に吸入して上記ポンプ室内に供給する請求項1に記載の流体塗布装置。
  4. 上記移動部材はピストンであり、上記ハウジングは上記ピストンを収納可能とするとともに、
    さらに、上記移動部材駆動装置は、上記ピストンを上記ハウジング内で上記直線運動させることにより、上記ピストンと上記ハウジングとの間で形成する上記ポンプ室を増減させて上記ポンプ室内の上記流体圧力を増圧あるいは減圧するピストン軸方向駆動装置であるとする請求項1に記載の流体塗布装置。
  5. 上記移動部材と上記ハウジングのいずれかは非導電性材料から構成されている請求項1に記載の流体塗布装置。
  6. 上記移動部材はピストンであり、上記ハウジングは上記ピストンを収納可能とするとともに、
    上記移動部材駆動装置は、上記ピストンをその軸方向に直線運動させる電磁歪素子である請求項1に記載の流体塗布装置。
  7. 上記対向電極は、上記ハウジング側電極と上記基板との間に配置されている請求項2に記載の流体塗布装置。
  8. 上記対向電極は、中空でかつ軸対称である請求項7に記載の流体塗布装置。
  9. 上記吐出口から流出した上記塗布流体を収納し、かつその平均通路内径が上記吐出口の通路内径よりも大きな吐出通路を形成する筒状部分と、
    上記筒状部分を隙間を空けて覆うことにより、上記吐出通路と連絡しかつ上記塗布流体とは異なる供給流体の流通路が形成される下部ハウジングとをさらに備えるとともに、
    上記対向電極は、上記吐出通路近傍に配置されている請求項2に記載の流体塗布装置。
  10. 上記供給流体は気体である請求項9に記載の流体塗布装置。
  11. 上記移動部材と上記ハウジングとよりねじ溝ポンプを構成する請求項3に記載の流体塗布装置。
  12. ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材を駆動して、上記ハウジングに対して上記移動部材に回転運動あるいは直線運動を行わせ、上記ハウジングと上記移動部材との間で形成された塗布流体のポンプ室内の塗布流体圧力を増圧あるいは減圧させて、上記塗布流体を上記ハウジングの吸入口から上記ポンプ室内に吸入するとともに上記ハウジングの吐出口から上記吐出口の対向面に配置された塗布対象である基板に吐出させて塗布させる一方、
    上記ハウジングの少なくとも上記吐出口の近傍に配置されたハウジング側電極に電圧を印加して上記ハウジング側電極と上記基板との間で電界を形成し、
    上記回転運動あるいは直線運動により、上記ポンプ室を減圧して発生させる負圧による上記吐出口での上記塗布流体の吸引力と、上記ハウジング側電極に上記から電圧を印加して形成された電界によって上記吐出口での上記塗布流体が張り出す力とを制御し、上記塗布流体を塗布する上記塗布流体が張り出す力が上記塗布流体の吸引力よりも小さくなることにより上記塗布を停止させる流体塗布方法。
  13. 上記ハウジング側電極に上記電圧を印加して上記ハウジング側電極の電圧を制御すると共に、上記ポンプ室内の上記流体圧力を増圧あるいは減圧することにより、上記塗布流体の吐出を開始あるいは遮断する請求項12に記載の流体塗布方法。
  14. 隙間方向に相対移動する2面で上記ポンプ室が形成されており、上記ポンプ室を縮小してポンプ室内圧力を加圧し、上記ポンプ室を拡大してポンプ室内圧力を減圧する請求項12に記載の流体塗布方法。
  15. 上記電圧を降下後、上記ポンプ室の圧力を上記ポンプ室の拡大により低下させて塗布線を遮断する請求項14に記載の流体塗布方法。
  16. 上記吐出口から上記塗布流体のメニスカスを張り出させる作用と、上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させて上記塗布流体を上記吐出口から上記ポンプ室内に吸引する作用を共に与えることにより、塗布休止の区間において上記メニスカスの形状を概略同一のままで保つ請求項12に記載の流体塗布方法。
  17. 上記吐出口から上記塗布流体のメニスカスを張り出させる作用と、上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させて上記塗布流体を上記吐出口から上記ポンプ室内に吸引する作用を共に与えると共に、上記メニスカスを上記基板側に接近させて上記基板上に塗布し、その後、上記メニスカスを基板側から離反させて塗布を遮断する請求項12に記載の流体塗布方法。
  18. 上記吐出ノズルから上記塗布流体を飛翔させた後、上記ハウジング側電極と、上記吐出ノズルの下流側に配置された空間電極の間に電圧を印加して上記流体を上記基板上に塗布する請求項12に記載の流体塗布方法。
  19. 上記ポンプ室内の上記流体圧力を減圧させるとき、上記移動部材の吐出側端面とその対向面に形成されたスラスト動圧シールにより行わせる請求項16に記載の流体塗布方法。
  20. ハウジングに対して回転運動あるいは直線運動可能な移動部材を駆動して、上記ハウジングに対して上記移動部材に回転運動あるいは直線運動を行わせ、上記ハウジングと上記移動部材との間で形成された塗布流体としてのペーストのポンプ室内のペースト圧力を増圧あるいは減圧させて、上記ペーストを上記ハウジングの吸入口から上記ポンプ室内に吸入するとともに上記ハウジングの吐出口から上記吐出口の対向面に配置された塗布対象であるPDP用基板に吐出させて塗布線を塗布形成することにより、ペースト層をパターンに形成し、
    このペースト層の形成を、上記PDP用基板の有効表示領域内、及び/又は、上記有効表示領域と隣接した端子部内で、上記ハウジングの少なくとも上記吐出口の近傍に配置されたハウジング側電極に電圧を印加して上記ハウジング側電極と上記PDP用基板との間で電界を形成しながら行った後、
    上記回転運動あるいは直線運動により、上記ポンプ室を減圧して発生させる負圧による上記吐出口での上記ペーストの吸引力と、上記ハウジング側電極に上記から電圧を印加して形成された電界によって上記吐出口での上記ペーストが張り出す力とを制御し、上記ペーストを塗布する上記ペーストが張り出す力が上記ペーストの吸引力よりも小さくなることにより上記塗布を停止させるプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  21. 上記電圧を降下した後、上記ポンプ室の圧力を低下させて上記塗布線を遮断する請求項20に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  22. 上記電圧降下を開始する時間をt=tve、上記ポンプ室の圧力を低下を開始させる時間をt=tpeとしたとき、0<tpe−tve<3msecの範囲に設定する請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  23. 上記ペーストを上記ポンプ室に供給する供給源はモータで駆動されるポンプを用いており、上記ポンプ室の圧力を低下させる前に、上記モータの回転を停止する請求項20に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  24. 上記ペースト層の形成時に、上記PDP用基板の上記有効表示領域と隣接した上記端子部で主電極線に対して傾斜した端子部電極線を上記主電極線と交差するように形成する請求項20に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  25. 上記吐出口をそれぞれ有しかつ等ピッチで配設された複数本のノズルを有するディスペンサにより、上記複数の端子部内で同一の傾斜角を有する端子部電極線だけを選び、選ばれた上記端子部電極線を同時的に塗布形成する請求項24に記載のプラズマディスプレイパネルのパターン形成方法。
  26. PDP用表面板の有効表示領域で複数本平行に形成された主電極線と、この有効表示領域と隣接した端子部で上記主電極線と連結しかつ上記主電極線に対して傾斜して形成された端子部電極線を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記主電極線間のピッチをP、上記端子部電極線の終端が上記主電極線から突出した部分の距離をΔPとしたとき(ΔP/P)<(1/3)となるように形成されているプラズマディスプレイパネル。
  27. PDP用表面板の有効表示領域で複数本平行に形成された主電極線と、この有効表示領域と隣接した端子部で上記主電極線と連結しかつ上記主電極線に対して傾斜して形成された端子部電極線を有するプラズマディスプレイパネルにおいて、上記端子部電極線間のピッチをP、上記主電極線の終端が上記端子部電極線から突出した部分の距離をΔPとしたとき(ΔP/P)<(1/3)となるように形成されているプラズマディスプレイパネル。
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