JP2004538446A - 化学的及び/又は生物学的試料を分析する分析装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】化学的及び/又は生物学的試料を分析する分析装置は、受入装置(10)内に複数の基部(12)、例えば物体ホルダを備える。該基部は、各基部(12)及び蓋(26)が試料を受け入れる試験室(38)を形成するように構成される蓋(26)によって、閉じられる。更に、試験室(38)内で試料を移動させる搬送手段(46,50;68)が設けられている。該搬送手段のポンプ(46,50)はチャネル(40,42)を介して試験室と接続されており、試料液体の一部が交互に試験室(38)から引き出され、そしてポンプ(46,50)により戻されるように制御される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的及び/又は生物学的試料を分析する分析装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような分析装置を用いて、例えば、ハイブリッド形成プロセスによって組織試料を分析する。これに関連して、例えばDNA断片、即ち遺伝子フラグメントを物体ホルダの表面上に添加する。DNA断片の添加は、ロボットを用いて滴下することによって実施する。このようにして、物体ホルダ上の個々のDNA断片の位置を知る。このDNA断片は物体ホルダの表面上に結合し、そこに付着する。その結果、その後の分析プロセスにおいてそれらの位置は変化しない。
【0003】
例えば、被検査腫瘍からRNAを次の工程において取り出す。酵素を用いてRNAをDNAに変換し、その後適宜のマーカー、好ましくは蛍光色マーカーで標識する。
【0004】
更に、正常な組織から比較用の試料を作製する。この正常なDNAも適宜のマーカーで標識する。このマーカーは別の色の蛍光マーカーであることが好ましい。これにより、正常な組織を緑色の蛍光マーカーで標識し、腫瘍から取り出された分析対象の組織を、例えば赤色マーカーで標識する。
【0005】
その後、両試料を物体ホルダ全体に載せる。2つの試料中に含まれるDNAストランドは、それらの対応物、即ち物体ホルダの表面上に存在するDNA断片と強固に結合する。試料中に含まれるDNAと物体ホルダに付着しているDNA断片との結合は、ハイブリッド形成プロセスで行われる。その後、2つの試料から、強固に付着したDNA断片及び鎖でつながれたDNAのみが物体ホルダ上に存在するように、この物体ホルダを洗浄する。
【0006】
物体ホルダを乾燥させた後、検出プロセスに進む。その中で、DNA断片が付着している物体ホルダの個々の位置を適宜の顕微鏡によって分析する。その際、例えば蛍光マーカーが対応する色の蛍光を発するように、個々のDNA断片をレーザ光によって刺激する。1つのDNA断片が付着する1つの特定の位置が、例えば赤色のスポットとして現れる場合、この遺伝子は腫瘍組織内で活性状態であったのであって、正常組織内ではそうではなかったことを、そのことから結論づけることができる。1つのスポットが緑色の蛍光を発する場合、この遺伝子は正常組織でのみ活性状態であったことを、そのことから結論づけることができる。黄色の蛍光が生じた場合、対応する遺伝子は両方の組織内で活性状態であった。上述の方法によって、例えば、どの遺伝子が腫瘍内で活性状態であるのかを診断することが可能である。このことから、組織の変化の種類等に関する結論を引き出すことが可能である。
【特許文献1】
米国特許第4847208号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2つの試料と物体ホルダ上のDNA断片との可能な限り良好な結合を実現するために、例えば蓋によって物体ホルダを閉鎖することが知られており、これにより、物体ホルダと蓋との間に試験室が形成される。次いで、この試験室を振動手段によって振動させて、2つの試料を移動させる。この移動によって、対応する試料成分が次に結合する適宜の対応物を見つけることがより容易になる。振動手段を設けることには、定常波が発生し、これにより試料の限られた移動のみが生じるという欠点がある。
【0008】
例えばある試料が物体ホルダ等の基部に強固に付着し、別の試料がそれと反応するような化学的及び/又は生物学的試料の別の分析においても、上述の例に記載された課題が存在する。
【0009】
本発明の目的は、試料における反応の発生の可能性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に係る分析装置及び請求項16に係る分析方法により達成される。
【0011】
本発明に係る分析装置は、基部及び頭部又は蓋を備える。この基部及び頭部は試験室を形成する。基部は、例えば薄いガラス製の平坦な物体ホルダであってもよい。同様に、試料ホルダが試験室内に配置されるように、物体ホルダ又は別の試料ホルダが基部上に配置されてもよい。更に、本発明に係る装置は、試験室内の試料を移動させる移動手段を備える。本発明によれば、分析装置は移動手段として搬送手段を備える。この搬送手段を用いて、少なくとも試料の一部を試験室から吸引し、その後試験室に再び供給する。試料の一部を吸引し、反対の方向に戻すという点で試料を往復移動させることによって、試料の一部の搬送を実施することが可能である。この目的のために、少なくとも1つのチャネルを試験室と接続することが好ましく、このチャネルは、試料を往復移動させるために、ポンプ又は別の搬送手段と接続されることが好ましい。試験室内で試料を移動させるための他の可能性としては、試料を循環させることがある。この場合、少なくとも試料の一部を排出チャネルを介して吸引することが好ましく、またその試料を、供給チャネルを介して試験室に戻すことが好ましい。この場合、試料を同一の方向に供給する。
【0012】
本発明に従って試料の移動手段として搬送手段を設けることによって、定常波の発生が回避される。試料の一部を吸引し供給することによって、試験室内に存在する試料の全体量を確実に移動させる。これは、少なくとも試料の一部を往復移動させる場合にも、少なくとも試料の一部を循環させる場合にも、確実なものとなる。
【0013】
試験室の大きさに依存して、十分な量の試料を吸引し、その後試験室に試料を再び供給することによって、本発明の第1の好ましい実施の形態においてこのことを確実にすることができる。従って、試料の一部を受け入れその後に送り出す受入室を、例えばポンプ等の搬送手段と試験室との間に設けることが好ましい。受入室をそれ相応の大きさにすることによって、例えば、試験室内に位置する試料の大部分を吸引し、その後試験室に再び供給することが可能である。個別の受入室の代わりに、搬送手段と試験室との間に位置するチャネルをそれ相応の大きさにして、受入室として機能させることが可能である。
【0014】
特に好ましい実施の形態においては、受入室が少なくとも2つ設けられている。これらの受入室は、試験室によって試料の一部の受入れ及び送出しを交互に行うように、1つ又は2つの搬送手段と接続される。例えば、一方の受入室から試料を送り出すのと同時に、他方の試験室に試料を受け入れることができる。この方法によって、試験室における試料の規則正しい移動が実現される。一方の受入室からの試料の送出しと、他方の受入室への試料の受入れとの間に間隔があってもよい。更に、この2つのプロセスが重複してもよい。
【0015】
試験室内での試料の移動性を改善するために、そこを通して試料を試験室から異なる部位で抽出し、そこに再び供給するいくつかのチャネルを、好ましくは頭部又は蓋に配置することが可能である。抽出部位を供給部位と異なったものとして、試料を「1つの輪」状に送り出すことも可能である。
【0016】
本発明の第2の好ましい実施の形態においては、試験室内の試料を循環させる。この目的のために、試験室は供給チャネル及び排出チャネルと接続される。供給チャネル及び排出チャネルの両方は搬送手段、例えばポンプと接続される。バルブは排出チャネルに接続されることが好ましく、該バルブはドレインにも接続される。このようにして、搬送手段の助けを借りて試験室から試料を引き出すか又は吸引することが可能となる。次いで、バルブの位置に依存して、部分的に又は完全にドレインの方向に供給する。このドレインは、例えば、用いられる試料液体が回収されてその後処理される回収タンクと接続されることが好ましい。これに対応してバルブを開閉することによって、例えば循環している試料の一部を、所定の間隔で常に引き出すことが可能となる。試料を部分的に又は完全に交換できるようにするためには、搬送手段を媒体容器に接続することが好ましい。このようにして、例えば、循環している試料の一部を常に排出できるように、また媒体容器から排出される試料の量を補給できるように、バルブを開けることが可能である。この結果、試料の一部が連続的に交換されることとなる。当然のことながら、試料が循環できるようバルブを完全に閉じることも可能であり、また試験室内のすべての量の試料を排出できるようバルブを完全に開けることも可能である。
【0017】
試験室は、蓋に設けられた円周フレーム状突起のように、頭部又は蓋の対応する構成により形成することが好ましい。このことには、従来の物体ホルダ、例えば平坦なガラス板を基部として用いることが可能であるという利点がある。蓋に設けられるフレーム状突起は、試験室を外側に対して封止し、試料液体が蓋と基部との間から漏れないように、円周シールを備えることが好ましい。
【0018】
頭部又は蓋に突起を設けることに加えて、又はその代わりに、フレーム状中間部を用いることも可能である。フレーム状中間部を用いることによって、例えば洗浄を目的として、後者を取り除くことが可能になるという利点が提供される。更に、中間部の厚さを介して試験室の容積を画定することが可能である。従って、中間部を交換することによって、その容積を容易に変更することができる。
【0019】
特に好ましい実施の形態においては、いくつかの物体ホルダのための受入装置が設けられる。この受入装置は、底部と、該底部に接続されるセンタリング要素とを備える。このセンタリング要素を介して、それぞれ1つの物体ホルダを受け入れるいくつかの受入領域が構成される。このようにして、受入領域毎に1つの物体ホルダを底部上に置くことが可能である。次いで、物体ホルダは基部として機能し、蓋と共に試験室を形成する。この目的を達成するために、受入領域毎に個別の蓋を設けることが可能である。いくつかの受入領域に対応して形成される共通の蓋を設けることも可能である。
【0020】
このように、例えばDNA断片が所定の位置に既に付着している1つの物体ホルダを、受入装置のそれぞれの受入領域内に置くことが可能である。次いで、いくつかの物体支持台を担持している受入装置を、例えばロボットの把持アーム等を用いて容易に取り扱うことが可能である。例えばセンタリング要素又は底部で受入装置を容易につかむことができるため、物体ホルダを容易に取り扱うことが可能である。本発明に係る装置によって、薄いガラス製の物体ホルダを操作中に損傷しないことが特に保証される。同様に、物体ホルダ上に既に置かれている試料への接触も回避される。
【0021】
センタリング要素は、一体化したフレーム部のように構成することが好ましい。従って、各物体ホルダをフレームで包囲する。このことには、受入領域内で保護された状態で物体ホルダを配置するという利点がある。物体ホルダをフレーム部内で完全に受け入れるように、フレーム部の高さが物体ホルダの厚みよりも高いことが好ましい。その結果、物体ホルダの表面への接触だけでなく、受入装置を扱う際の物体ホルダの損傷も回避される。いくつかの受入領域を単一のフレーム部により形成することが好ましい。この場合、各受入領域はフレームで完全に包囲される。このようにして、隣接する2つの物体ホルダの間に設けられるフレーム部の壁は、2つの受入領域のフレームの一部として機能する。
【0022】
上述の各フレーム部が受入領域を包囲してもよく、円周センタリングフレームとして完全に包囲することが好ましい。しかしながら、これらは受入領域を包囲するための個別のフレーム部でなくてもよく、例えば後者を受入装置内の中心に配置させるべく物体ホルダの隅を受け入れる機能を有するだけでもよい。この場合、物体ホルダの受入装置への挿入をより容易に行うことができる。物体ホルダの受入装置内への挿入をより容易にするために、センタリング要素を更に面取りしてもよい。この面取りは、物体ホルダの挿入が容易になるように、それぞれ1つの物体ホルダを受け入れる受入領域が上向きに広がるように構成される。
【0023】
特に好ましい実施の形態において、底部は少なくとも受入領域内に可撓性材料を備える。特に、底部全体が連続した可撓性材料からなる。物体ホルダはこの可撓性材料上に載せられる。可撓性材料を用いることによって、例えば物体ホルダがピペット等と接触しても、物体ホルダがある程度回復することが保証されるという利点が提供される。このことによって、分析プロセスの間に物体ホルダが損傷するリスクが軽減される。更に、物体ホルダを例えば水平に整列させることが可能であり、ここで、例えば適宜の整列要素は下からダイアフラムを押圧して物体ホルダの位置を変える。この方法で、物体ホルダに触れる必要なしに、物体ホルダを極めて正確に整列させることが可能となる。特に、適宜の装置の助けを借りて物体ホルダを下からわずかに持ち上げて、その物体ホルダを例えば第2物体ホルダ板に押しつけることも可能である。
【0024】
可撓性材料は、特にジアテルミー性ダイアフラムである。これにより、ペルチェ素子等の加熱要素を個々の受入領域の下側に設けて、個々の物体ホルダを加熱することが可能となる。本発明に係る受入装置を用いると、物体ホルダを直接的に操作することなく、物体ホルダの個別の部分的な範囲だけを極めて限定して加熱することが可能となる。この場合にも、物体支持台の損傷が回避される。ダイアフラムは、4〜100℃の温度を物体ホルダに伝えることができるように構成することが好ましい。
【0025】
特に現行の配置にて本発明に係る受入装置を使用できるように、受入装置の外側寸法をマイクロタイタープレートの標準的な大きさに対応させる。特に、受入装置の幅は96±4mmであり、長さは128±4mmである。
【0026】
DNAフラグメントのハイブリッド形成の分析に基づいて、本発明に係る方法を以下に説明する。しかしながら、この方法は、互いに明確な親和性を有するその他の化学的及び/又は生物学的試料にも特に適している。ここで、この分析は、特に抗原−抗体親和性の分析であってもよい。下記の方法を実施するためには、上述の分析装置が特に適している。
【0027】
本発明に係る方法において、第1試料、例えばDNA断片、即ち遺伝子フラグメントを、基部、好ましくは平坦な物体ホルダにおける1又は複数の位置に正確に配置する。このことは、例えば物体ホルダの固定された位置の上に第1試料を滴下し、その後付着させることによって実施してもよい。
【0028】
次の工程において、試験室が形成されるように基部を蓋で閉じる。従って、第1試料は試験室の内側に位置する。
【0029】
その後、第1試料に少なくとも部分的に反応する第2試料を試験室に供給する。この第2試料は、導入部で記載したように、酵素の助けを借りてDNAに変換される被検査組織のRNAであってもよい。第2試料の前記DNAは蛍光マーカーで標識することが好ましい。
【0030】
本発明に係る次の工程において、試験室内に位置する第2試料をポンプ等の搬送手段で移動させる。少なくとも試料の一部が試験室から引き出され、そして試験室に戻されるように、この移動を実施する。分析装置に関して上述したように、異なる好ましい方法でこのことを実施することができる。
【0031】
本発明に係る方法を適用する場合、第2試料が試験室内で移動し、これにより例えば第2試料中に存在するDNAは第1試料中のDNAフラグメントをより容易に検出することができるため、優れた分析結果を得ることが可能である。
【0032】
試料の移動は、第2試料を往復移動させること、又は第2試料を循環させることにより好ましく実施される。
【0033】
本方法の好ましい実施の形態においては、第3試料を、第2試料と共に又は第2試料の後に試験室に供給する。この第3試料は、例えば正常な組織から取り出された参考試料である。このDNAも適宜のマーカー、特に蛍光マーカーで標識することが好ましい。次いで、搬送手段の助けを借りて、両試料、即ち第2試料及び第3試料が共に試験室の内部で、数時間の時間よりも長い時間に亘って動き始める及び/又は動き続ける。
【0034】
反応が起きた時、即ちおそらく10〜14時間を超えた時間の経過後、試験室を洗浄することが好ましい。試験室を洗浄することによって、試料の担持物質、及び試料ホルダに固定的に付着しているDNA断片と結合しない試料のこれらの部分が洗い落とされる。洗浄後に基部及び/又は物体ホルダを乾燥させることが好ましい。上述のように複数の基部を受け入れる受入装置を備えた装置を用いる場合、受入装置内に位置する複数の基部を共に乾燥することが好ましい。その後、即ち、基部の洗浄及び/又は乾燥後、1つの基部及び/又は複数の基部を検出手段に送る。該検出手段において、例えば、レーザ光源及び対応する検出器の助けを借りてこの試料を検査する。異なる色の蛍光色マーカーを用いる場合、検出される色は、組織の変化のタイプ等に関する結論を引き出すのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態により本発明を詳述する。
【0036】
いくつかの物体ホルダ12の受入装置10は底部14(図2)を備える。この底部14はセンタリング要素16、18、20と接続される。図示した実施の形態において、それぞれに物体ホルダ12が配置可能な4つの矩形の受入領域22が形成されるようにセンタリング要素16、18、20を配置する。このセンタリング要素16、18、20は、対向する2つのより短い側壁16と、更に、側壁16の間に配置された対向する2つのより長い側壁18とを有する。図示した実施の形態において、より短い側壁18に平行に配置される3つの隔壁20が、側壁18の間に設けられる。
【0037】
センタリング要素16、18、20の下面24には、ダイアフラムとして構成される底部14が取り付けられる。従って、各受入領域22は、それぞれの上に物体ホルダ12が支持される底である可撓性ダイアフラムを有している。例えば物体ホルダを水平に整列させるために、このように、図2のダイアフラムを下から押圧することが可能である。更に、加熱要素を物体ホルダ12に対して下側から設けることも可能である。ダイアフラムの可撓性により、物体ホルダ12は、平坦な加熱要素の表面に接した状態で平坦に置かれる。これにより、加熱要素と物体ホルダとの間の均一且つ良好な熱伝達を確実なものにする。
【0038】
これらの内部23において、即ち受入領域22に面した側において、センタリング要素16、18、20は面取りされている。その結果、図2において上に向いている個々の受入領域の開口部が上方に向けて拡張される。このことにより、物体ホルダ12の受入領域22への挿入がより容易になる。
【0039】
蓋又は頭部26は、センタリング要素16、18、20の間に形成された個々の受入領域22内に突出すべく構成される。実質的に矩形断面を有する図示した実施の形態において、この目的を達するために、蓋26は4つの突起28を備える。突起28の側壁30は、ウェブ状のセンタリング要素16、20の内壁に接している。同様に、図2に示されていない突起28の側壁は、ウェブ状のセンタリング要素18に接している。基部又は試料ホルダ12に面する蓋26の下面には、各受入領域22毎にフレーム状突起32が設けられる。フレーム状突起は円周突起として構成される。フレーム状突起32の下面34には、同様に円周シールとして構成されるシール36が設けられる。このシール36は、試料ホルダ12の外縁上に支持され、蓋26に対して試料ホルダを封止する。フレーム状突起32により、フレーム状突起32の内部において、蓋36の内側と試料ホルダ12との間に試験室38が形成される。
【0040】
試験室38に供給された試料を移動させるために、試験室38と接続された2つのチャネル40、42を蓋26に設ける。チャネル40は、例えば、ホース44を介してポンプ46に接続される。これに対応して、チャネル42は、ホース48を介してポンプ50に接続される。この2つのポンプ46、50は、共通の制御装置により制御されることが好ましい。ポンプ46、50は、試験室にある試料の一部を、チャネル40及び42のそれぞれの中に交互に吸引し、その後試験室38内に再び送り出す。その結果、例えば、当該装置をDNA親和性分析に用いる場合、適合する試料部分がより容易に結合するように、試験室38内の試料の移動を実現する。
【0041】
更に、2つの受入室52、54が蓋26内に設けられる。受入室52はチャネル40と接続され、受入室54はチャネル42と接続される。受入室52、54のサイズにより、試験室38から取り出した試料量を回収することが可能である。2つのポンプ46、50は受入室52、54に直接接続することも可能であり、また、蓋26の内部又はその上側に配置してもよい。
【0042】
試料を試験室38内に供給するために、試験室38に接続したチャネル56を更に蓋26に設ける。受入装置10上に予め蓋26を設置しておいた後、このチャネル56を経由して、予め密封しておいた試験室38内に試料を供給することが可能である。同様に、2つのチャネル40、42のうちの1つを経由して試料を供給することが可能であり、チャネルはこの目的のために分岐していてもよい。
【0043】
試験室38における移動性を改善するために、いくつかのチャネル40、42が試験室38と接続するようにチャネル40、42が分岐していてもよい。更に、蓋26内の試験室38毎に、複数のチャネル40、42を設けることが可能である。チャネルの半数が同一のポンプと接続されることが好ましい。
【0044】
蓋26は、図示しない保持装置で保持される。図2において、保持装置は鉛直方向に移動可能である。蓋26と共に保持装置が鉛直方向に移動するため、蓋26を受入装置10の受入領域22内に自動的に降下させることが可能となる。この場合、フレーム状突起32に設けられたシール36は試料ホルダ12の境界部分で押圧され、試験室38が形成される。試料ホルダ12は底部14として機能する弾性ダイアフラム上に支持されるため、蓋26の降下による試料ホルダの損傷が回避される。更に、弾性ダイアフラム14は、蓋26と試料ホルダ12との間の密封を確実にするという機能を有する。
【0045】
頭部又は蓋26を移動させる代わりに、物体ホルダ12自体を図2の上方に移動させて試験室38の密封を実現することも可能である。物体ホルダ12を、例えば鉛直方向に移動することが可能なスタンプ状装置の助けを借りて、上方に押圧することが可能である。更に、これら2つの動きを組み合わせることも可能である。
【0046】
図示した実施の形態において、本質的に試料ホルダ全体に広がる試験室38は複数の個々の試料室に分割されてもよい。この目的のために、試験室38を更に分割するウェブを蓋26の下側に配置する。ウェブの試料ホルダ12に面した側には、形成された個々の試験室を封止するシール36に対応するシールが設けられる。形成される各試験室には、上述のようにチャネル40、52、56が設けられることが好ましく、また各試験室は対応する好ましい構成を有する。このようにして、試験室38が更に分割された各副試験室に、隣接する試験室に関係なくハイブリッド形成液を満たすことが可能であり、上述のように操作することが可能である。試験室38を複数の副試験室に更に分割することによって、異なる試料を、標準的な物体ホルダ12を用いた異なる方法で検査することが可能である。特に、例えば異なる患者の体から取り出された同一の試料を同一のハイブリッド形成液を用いて検査することが可能であり、又は、一人の患者から取り出された同一の試料を異なるハイブリッド形成液を用いて検査することが可能である。これに関連して、市販の物体ホルダを試料ホルダ12として使用できることが特に有利である。
【0047】
第2の好ましい実施の形態(図3)は、図2に関連して記載されているものと同一のより低い領域を備える。蓋又は頭部58は、本実施の形態においては構成が異なる。図3において、装置の同一又は類似の構成要素は同一の参照符号で示す。
【0048】
頭部58は、試験室38に接続される供給チャネル60と、試験室38に接続される排出チャネル62とを備える。チャネル62は、バルブ64とチャネル66とを介してポンプ68に接続される。ポンプ68は供給チャネル66と接続される。バルブ64は更にドレイン70と接続される。このチャネル66は別のチャネル72を介して媒体容器74に接続される。
【0049】
バルブ64の位置を、例えば試験室38内の試料が循環するように選択することができる。このようにして、この試料は、排出チャネル62を介して室38から引き出され、チャネル66を介してポンプ68に供給され、次いでチャネル66を介して試験室38に戻される。
【0050】
ドレイン70を介して試料の一部を排出するために、チャネル62を介してバルブ64に送られる試料の一部がチャネル70及びチャネル66の別の部位に供給されるような中間部位に、バルブ64を配置することが可能である。
【0051】
更に、チャネル66を閉じ、且つ試料のすべてをドレイン70に向けて供給するように、バルブ64を設定することが可能である。この目的のために、ポンプ68の助けを借りて新たな試料液体を容器74から試験室38に供給し、その中に入っている試料を試験室38の外に押し出す。すべての試料を交換できるようにするためには、チャネル66も空にされなければならない。この目的のために、チャネル66に残っている試料を少なくともチャネル66の中まで押し出すように、試験室38から試料を排出した後、バルブ64を切り替える。その後、バルブ64を再び開けて、試験室38のチャネル66とチャネル62との中に入っている試料をドレイン70内に押し出す。
【0052】
更に、加熱要素76を頭部又は蓋58に設ける。これを利用して、試験室38内に入っている試料の温度を調節することが可能である。
【0053】
図示された実施の形態の4つの試験室38の各々に対して、個別のポンプ68を設けることが好ましい。複数の試験室38に対して、特にすべての試験室38に対して、媒体容器を1つだけ設けることが好ましい。個々の試験室38において個別の試料を交換するために、対応して制御することが可能なバルブがチャネル内に設けられる。
【0054】
個々の物体ホルダ12は、例えばDNA試料の分析に役立つ。この目的を達成するために、図4に示すように、各物体ホルダを異なる領域に分割する。内部領域86では、例えば試料の滴を添加する。次いでこの滴は、試料ホルダ12と強固に結合する。このように、領域86はアレイを配置するための表面としての機能を有する。この領域86は2.5mmの幅のマージン82で包囲されることが好ましい。このマージン82は、例えば、領域86内の試料のすべてが物体ホルダ12の外縁84と十分な距離を有するという目的のために設けられる。蓋26が降下するにつれて、マージン領域82内でシール36が支持される。図3に示す線88によってマージン82と分けられている領域86は、試料ホルダ12に接触するために役立つ。この領域においては、領域86内で物体ホルダ12を操作することができるように、試料は設けられない。接触領域86は、例えば物体ホルダ12を本発明に係る受入装置10内に挿入することを可能とするために必要となる。
【0055】
ハイブリッド形成ヘッド及び蓋26をそれぞれ備える分析装置90(図5)内に、受入装置10を挿入することが可能である。この目的を達成するために、分析装置90は、受入装置10を受け入れるドロア状受入手段92を備える。このドロアは、CDプレーヤー等のドロアに対応して構成してもよい。このドロア92が開いている時、物体ホルダ12を支持する受入装置10を上方からこのドロア内に挿入し、次いで分析装置90内に移動させる。
【0056】
分析装置90の内部において、蓋26は、受入装置10が分析装置90内に移動した後に物体ホルダ12上で降下すべく配置される。
【0057】
更に、ドロア92の上方には乾燥ヘッド94が設けられる。この乾燥ヘッド94にはファンが設けられる。ハイブリッド形成プロセスが完了した後、ドロアは分析装置90から外にドロアを再び移動する。そうすることで、乾燥ヘッド94を用いて、物体ホルダ12上に残存する試料又は洗浄液を除去する。この乾燥ヘッドは、いくつかの排出開口部及び注入開口部を有することが好ましい。注入開口部によって、乾燥ヘッド又は別の乾燥媒体から送り出される空気が再び吸い込まれる。その結果、試料の液体成分が周囲に広がることが回避される。これに関連して、乾燥ヘッド94が吸い込む空気の量が、送り出す空気の量よりも常に多くなるように、吸い込み用の注入口の断面積は排出口の断面積よりも大きい。その結果、試料の成分が周囲に広がる危険性が更に低下する。これらの注入口及び/又は排出口は、乾燥ヘッドの幅に広がるスロット形状の開口部であってもよい。
【0058】
試料ホルダ12を完全に乾燥するために、ドロア92を前後に数回移動させてもよい。
【0059】
更に、これらの乾燥の前に、試料ホルダを洗浄することが可能である。蓋26によって、即ち試験室38がまだ封止されている時に、洗浄が行われることが好ましい。このようにして、分析装置内で洗浄処理を実施する。この目的を達成するために、蓋26に設けた個別のチャネルを介して、又は試験室のチャネル40、42を介して洗浄液を供給し、そして再びそこから排出することが可能である。分析装置内で蓋を上方に移動させ、且つ試験室38の密封性がそれによりなくなる前に、試験室内の液体の大部分を吸引することが好ましい。既存のチャネル40、42を介して順番に吸引することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】いくつかの基部が挿入されている受入装置の好ましい実施の形態を示す略平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った、第1の好ましい実施の形態の略断面図であり、図1に示されていない頭部を追加して示す。
【図3】図2に示す実施の形態に基本的に対応する、第2の好ましい実施の形態の略断面図である。
【図4】図1に示す受入装置内に挿入すべくなされた単一の基部を示す。
【図5】受入装置が挿入される分析装置の略斜視図である。
【0001】
本発明は、化学的及び/又は生物学的試料を分析する分析装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような分析装置を用いて、例えば、ハイブリッド形成プロセスによって組織試料を分析する。これに関連して、例えばDNA断片、即ち遺伝子フラグメントを物体ホルダの表面上に添加する。DNA断片の添加は、ロボットを用いて滴下することによって実施する。このようにして、物体ホルダ上の個々のDNA断片の位置を知る。このDNA断片は物体ホルダの表面上に結合し、そこに付着する。その結果、その後の分析プロセスにおいてそれらの位置は変化しない。
【0003】
例えば、被検査腫瘍からRNAを次の工程において取り出す。酵素を用いてRNAをDNAに変換し、その後適宜のマーカー、好ましくは蛍光色マーカーで標識する。
【0004】
更に、正常な組織から比較用の試料を作製する。この正常なDNAも適宜のマーカーで標識する。このマーカーは別の色の蛍光マーカーであることが好ましい。これにより、正常な組織を緑色の蛍光マーカーで標識し、腫瘍から取り出された分析対象の組織を、例えば赤色マーカーで標識する。
【0005】
その後、両試料を物体ホルダ全体に載せる。2つの試料中に含まれるDNAストランドは、それらの対応物、即ち物体ホルダの表面上に存在するDNA断片と強固に結合する。試料中に含まれるDNAと物体ホルダに付着しているDNA断片との結合は、ハイブリッド形成プロセスで行われる。その後、2つの試料から、強固に付着したDNA断片及び鎖でつながれたDNAのみが物体ホルダ上に存在するように、この物体ホルダを洗浄する。
【0006】
物体ホルダを乾燥させた後、検出プロセスに進む。その中で、DNA断片が付着している物体ホルダの個々の位置を適宜の顕微鏡によって分析する。その際、例えば蛍光マーカーが対応する色の蛍光を発するように、個々のDNA断片をレーザ光によって刺激する。1つのDNA断片が付着する1つの特定の位置が、例えば赤色のスポットとして現れる場合、この遺伝子は腫瘍組織内で活性状態であったのであって、正常組織内ではそうではなかったことを、そのことから結論づけることができる。1つのスポットが緑色の蛍光を発する場合、この遺伝子は正常組織でのみ活性状態であったことを、そのことから結論づけることができる。黄色の蛍光が生じた場合、対応する遺伝子は両方の組織内で活性状態であった。上述の方法によって、例えば、どの遺伝子が腫瘍内で活性状態であるのかを診断することが可能である。このことから、組織の変化の種類等に関する結論を引き出すことが可能である。
【特許文献1】
米国特許第4847208号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2つの試料と物体ホルダ上のDNA断片との可能な限り良好な結合を実現するために、例えば蓋によって物体ホルダを閉鎖することが知られており、これにより、物体ホルダと蓋との間に試験室が形成される。次いで、この試験室を振動手段によって振動させて、2つの試料を移動させる。この移動によって、対応する試料成分が次に結合する適宜の対応物を見つけることがより容易になる。振動手段を設けることには、定常波が発生し、これにより試料の限られた移動のみが生じるという欠点がある。
【0008】
例えばある試料が物体ホルダ等の基部に強固に付着し、別の試料がそれと反応するような化学的及び/又は生物学的試料の別の分析においても、上述の例に記載された課題が存在する。
【0009】
本発明の目的は、試料における反応の発生の可能性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に係る分析装置及び請求項16に係る分析方法により達成される。
【0011】
本発明に係る分析装置は、基部及び頭部又は蓋を備える。この基部及び頭部は試験室を形成する。基部は、例えば薄いガラス製の平坦な物体ホルダであってもよい。同様に、試料ホルダが試験室内に配置されるように、物体ホルダ又は別の試料ホルダが基部上に配置されてもよい。更に、本発明に係る装置は、試験室内の試料を移動させる移動手段を備える。本発明によれば、分析装置は移動手段として搬送手段を備える。この搬送手段を用いて、少なくとも試料の一部を試験室から吸引し、その後試験室に再び供給する。試料の一部を吸引し、反対の方向に戻すという点で試料を往復移動させることによって、試料の一部の搬送を実施することが可能である。この目的のために、少なくとも1つのチャネルを試験室と接続することが好ましく、このチャネルは、試料を往復移動させるために、ポンプ又は別の搬送手段と接続されることが好ましい。試験室内で試料を移動させるための他の可能性としては、試料を循環させることがある。この場合、少なくとも試料の一部を排出チャネルを介して吸引することが好ましく、またその試料を、供給チャネルを介して試験室に戻すことが好ましい。この場合、試料を同一の方向に供給する。
【0012】
本発明に従って試料の移動手段として搬送手段を設けることによって、定常波の発生が回避される。試料の一部を吸引し供給することによって、試験室内に存在する試料の全体量を確実に移動させる。これは、少なくとも試料の一部を往復移動させる場合にも、少なくとも試料の一部を循環させる場合にも、確実なものとなる。
【0013】
試験室の大きさに依存して、十分な量の試料を吸引し、その後試験室に試料を再び供給することによって、本発明の第1の好ましい実施の形態においてこのことを確実にすることができる。従って、試料の一部を受け入れその後に送り出す受入室を、例えばポンプ等の搬送手段と試験室との間に設けることが好ましい。受入室をそれ相応の大きさにすることによって、例えば、試験室内に位置する試料の大部分を吸引し、その後試験室に再び供給することが可能である。個別の受入室の代わりに、搬送手段と試験室との間に位置するチャネルをそれ相応の大きさにして、受入室として機能させることが可能である。
【0014】
特に好ましい実施の形態においては、受入室が少なくとも2つ設けられている。これらの受入室は、試験室によって試料の一部の受入れ及び送出しを交互に行うように、1つ又は2つの搬送手段と接続される。例えば、一方の受入室から試料を送り出すのと同時に、他方の試験室に試料を受け入れることができる。この方法によって、試験室における試料の規則正しい移動が実現される。一方の受入室からの試料の送出しと、他方の受入室への試料の受入れとの間に間隔があってもよい。更に、この2つのプロセスが重複してもよい。
【0015】
試験室内での試料の移動性を改善するために、そこを通して試料を試験室から異なる部位で抽出し、そこに再び供給するいくつかのチャネルを、好ましくは頭部又は蓋に配置することが可能である。抽出部位を供給部位と異なったものとして、試料を「1つの輪」状に送り出すことも可能である。
【0016】
本発明の第2の好ましい実施の形態においては、試験室内の試料を循環させる。この目的のために、試験室は供給チャネル及び排出チャネルと接続される。供給チャネル及び排出チャネルの両方は搬送手段、例えばポンプと接続される。バルブは排出チャネルに接続されることが好ましく、該バルブはドレインにも接続される。このようにして、搬送手段の助けを借りて試験室から試料を引き出すか又は吸引することが可能となる。次いで、バルブの位置に依存して、部分的に又は完全にドレインの方向に供給する。このドレインは、例えば、用いられる試料液体が回収されてその後処理される回収タンクと接続されることが好ましい。これに対応してバルブを開閉することによって、例えば循環している試料の一部を、所定の間隔で常に引き出すことが可能となる。試料を部分的に又は完全に交換できるようにするためには、搬送手段を媒体容器に接続することが好ましい。このようにして、例えば、循環している試料の一部を常に排出できるように、また媒体容器から排出される試料の量を補給できるように、バルブを開けることが可能である。この結果、試料の一部が連続的に交換されることとなる。当然のことながら、試料が循環できるようバルブを完全に閉じることも可能であり、また試験室内のすべての量の試料を排出できるようバルブを完全に開けることも可能である。
【0017】
試験室は、蓋に設けられた円周フレーム状突起のように、頭部又は蓋の対応する構成により形成することが好ましい。このことには、従来の物体ホルダ、例えば平坦なガラス板を基部として用いることが可能であるという利点がある。蓋に設けられるフレーム状突起は、試験室を外側に対して封止し、試料液体が蓋と基部との間から漏れないように、円周シールを備えることが好ましい。
【0018】
頭部又は蓋に突起を設けることに加えて、又はその代わりに、フレーム状中間部を用いることも可能である。フレーム状中間部を用いることによって、例えば洗浄を目的として、後者を取り除くことが可能になるという利点が提供される。更に、中間部の厚さを介して試験室の容積を画定することが可能である。従って、中間部を交換することによって、その容積を容易に変更することができる。
【0019】
特に好ましい実施の形態においては、いくつかの物体ホルダのための受入装置が設けられる。この受入装置は、底部と、該底部に接続されるセンタリング要素とを備える。このセンタリング要素を介して、それぞれ1つの物体ホルダを受け入れるいくつかの受入領域が構成される。このようにして、受入領域毎に1つの物体ホルダを底部上に置くことが可能である。次いで、物体ホルダは基部として機能し、蓋と共に試験室を形成する。この目的を達成するために、受入領域毎に個別の蓋を設けることが可能である。いくつかの受入領域に対応して形成される共通の蓋を設けることも可能である。
【0020】
このように、例えばDNA断片が所定の位置に既に付着している1つの物体ホルダを、受入装置のそれぞれの受入領域内に置くことが可能である。次いで、いくつかの物体支持台を担持している受入装置を、例えばロボットの把持アーム等を用いて容易に取り扱うことが可能である。例えばセンタリング要素又は底部で受入装置を容易につかむことができるため、物体ホルダを容易に取り扱うことが可能である。本発明に係る装置によって、薄いガラス製の物体ホルダを操作中に損傷しないことが特に保証される。同様に、物体ホルダ上に既に置かれている試料への接触も回避される。
【0021】
センタリング要素は、一体化したフレーム部のように構成することが好ましい。従って、各物体ホルダをフレームで包囲する。このことには、受入領域内で保護された状態で物体ホルダを配置するという利点がある。物体ホルダをフレーム部内で完全に受け入れるように、フレーム部の高さが物体ホルダの厚みよりも高いことが好ましい。その結果、物体ホルダの表面への接触だけでなく、受入装置を扱う際の物体ホルダの損傷も回避される。いくつかの受入領域を単一のフレーム部により形成することが好ましい。この場合、各受入領域はフレームで完全に包囲される。このようにして、隣接する2つの物体ホルダの間に設けられるフレーム部の壁は、2つの受入領域のフレームの一部として機能する。
【0022】
上述の各フレーム部が受入領域を包囲してもよく、円周センタリングフレームとして完全に包囲することが好ましい。しかしながら、これらは受入領域を包囲するための個別のフレーム部でなくてもよく、例えば後者を受入装置内の中心に配置させるべく物体ホルダの隅を受け入れる機能を有するだけでもよい。この場合、物体ホルダの受入装置への挿入をより容易に行うことができる。物体ホルダの受入装置内への挿入をより容易にするために、センタリング要素を更に面取りしてもよい。この面取りは、物体ホルダの挿入が容易になるように、それぞれ1つの物体ホルダを受け入れる受入領域が上向きに広がるように構成される。
【0023】
特に好ましい実施の形態において、底部は少なくとも受入領域内に可撓性材料を備える。特に、底部全体が連続した可撓性材料からなる。物体ホルダはこの可撓性材料上に載せられる。可撓性材料を用いることによって、例えば物体ホルダがピペット等と接触しても、物体ホルダがある程度回復することが保証されるという利点が提供される。このことによって、分析プロセスの間に物体ホルダが損傷するリスクが軽減される。更に、物体ホルダを例えば水平に整列させることが可能であり、ここで、例えば適宜の整列要素は下からダイアフラムを押圧して物体ホルダの位置を変える。この方法で、物体ホルダに触れる必要なしに、物体ホルダを極めて正確に整列させることが可能となる。特に、適宜の装置の助けを借りて物体ホルダを下からわずかに持ち上げて、その物体ホルダを例えば第2物体ホルダ板に押しつけることも可能である。
【0024】
可撓性材料は、特にジアテルミー性ダイアフラムである。これにより、ペルチェ素子等の加熱要素を個々の受入領域の下側に設けて、個々の物体ホルダを加熱することが可能となる。本発明に係る受入装置を用いると、物体ホルダを直接的に操作することなく、物体ホルダの個別の部分的な範囲だけを極めて限定して加熱することが可能となる。この場合にも、物体支持台の損傷が回避される。ダイアフラムは、4〜100℃の温度を物体ホルダに伝えることができるように構成することが好ましい。
【0025】
特に現行の配置にて本発明に係る受入装置を使用できるように、受入装置の外側寸法をマイクロタイタープレートの標準的な大きさに対応させる。特に、受入装置の幅は96±4mmであり、長さは128±4mmである。
【0026】
DNAフラグメントのハイブリッド形成の分析に基づいて、本発明に係る方法を以下に説明する。しかしながら、この方法は、互いに明確な親和性を有するその他の化学的及び/又は生物学的試料にも特に適している。ここで、この分析は、特に抗原−抗体親和性の分析であってもよい。下記の方法を実施するためには、上述の分析装置が特に適している。
【0027】
本発明に係る方法において、第1試料、例えばDNA断片、即ち遺伝子フラグメントを、基部、好ましくは平坦な物体ホルダにおける1又は複数の位置に正確に配置する。このことは、例えば物体ホルダの固定された位置の上に第1試料を滴下し、その後付着させることによって実施してもよい。
【0028】
次の工程において、試験室が形成されるように基部を蓋で閉じる。従って、第1試料は試験室の内側に位置する。
【0029】
その後、第1試料に少なくとも部分的に反応する第2試料を試験室に供給する。この第2試料は、導入部で記載したように、酵素の助けを借りてDNAに変換される被検査組織のRNAであってもよい。第2試料の前記DNAは蛍光マーカーで標識することが好ましい。
【0030】
本発明に係る次の工程において、試験室内に位置する第2試料をポンプ等の搬送手段で移動させる。少なくとも試料の一部が試験室から引き出され、そして試験室に戻されるように、この移動を実施する。分析装置に関して上述したように、異なる好ましい方法でこのことを実施することができる。
【0031】
本発明に係る方法を適用する場合、第2試料が試験室内で移動し、これにより例えば第2試料中に存在するDNAは第1試料中のDNAフラグメントをより容易に検出することができるため、優れた分析結果を得ることが可能である。
【0032】
試料の移動は、第2試料を往復移動させること、又は第2試料を循環させることにより好ましく実施される。
【0033】
本方法の好ましい実施の形態においては、第3試料を、第2試料と共に又は第2試料の後に試験室に供給する。この第3試料は、例えば正常な組織から取り出された参考試料である。このDNAも適宜のマーカー、特に蛍光マーカーで標識することが好ましい。次いで、搬送手段の助けを借りて、両試料、即ち第2試料及び第3試料が共に試験室の内部で、数時間の時間よりも長い時間に亘って動き始める及び/又は動き続ける。
【0034】
反応が起きた時、即ちおそらく10〜14時間を超えた時間の経過後、試験室を洗浄することが好ましい。試験室を洗浄することによって、試料の担持物質、及び試料ホルダに固定的に付着しているDNA断片と結合しない試料のこれらの部分が洗い落とされる。洗浄後に基部及び/又は物体ホルダを乾燥させることが好ましい。上述のように複数の基部を受け入れる受入装置を備えた装置を用いる場合、受入装置内に位置する複数の基部を共に乾燥することが好ましい。その後、即ち、基部の洗浄及び/又は乾燥後、1つの基部及び/又は複数の基部を検出手段に送る。該検出手段において、例えば、レーザ光源及び対応する検出器の助けを借りてこの試料を検査する。異なる色の蛍光色マーカーを用いる場合、検出される色は、組織の変化のタイプ等に関する結論を引き出すのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態により本発明を詳述する。
【0036】
いくつかの物体ホルダ12の受入装置10は底部14(図2)を備える。この底部14はセンタリング要素16、18、20と接続される。図示した実施の形態において、それぞれに物体ホルダ12が配置可能な4つの矩形の受入領域22が形成されるようにセンタリング要素16、18、20を配置する。このセンタリング要素16、18、20は、対向する2つのより短い側壁16と、更に、側壁16の間に配置された対向する2つのより長い側壁18とを有する。図示した実施の形態において、より短い側壁18に平行に配置される3つの隔壁20が、側壁18の間に設けられる。
【0037】
センタリング要素16、18、20の下面24には、ダイアフラムとして構成される底部14が取り付けられる。従って、各受入領域22は、それぞれの上に物体ホルダ12が支持される底である可撓性ダイアフラムを有している。例えば物体ホルダを水平に整列させるために、このように、図2のダイアフラムを下から押圧することが可能である。更に、加熱要素を物体ホルダ12に対して下側から設けることも可能である。ダイアフラムの可撓性により、物体ホルダ12は、平坦な加熱要素の表面に接した状態で平坦に置かれる。これにより、加熱要素と物体ホルダとの間の均一且つ良好な熱伝達を確実なものにする。
【0038】
これらの内部23において、即ち受入領域22に面した側において、センタリング要素16、18、20は面取りされている。その結果、図2において上に向いている個々の受入領域の開口部が上方に向けて拡張される。このことにより、物体ホルダ12の受入領域22への挿入がより容易になる。
【0039】
蓋又は頭部26は、センタリング要素16、18、20の間に形成された個々の受入領域22内に突出すべく構成される。実質的に矩形断面を有する図示した実施の形態において、この目的を達するために、蓋26は4つの突起28を備える。突起28の側壁30は、ウェブ状のセンタリング要素16、20の内壁に接している。同様に、図2に示されていない突起28の側壁は、ウェブ状のセンタリング要素18に接している。基部又は試料ホルダ12に面する蓋26の下面には、各受入領域22毎にフレーム状突起32が設けられる。フレーム状突起は円周突起として構成される。フレーム状突起32の下面34には、同様に円周シールとして構成されるシール36が設けられる。このシール36は、試料ホルダ12の外縁上に支持され、蓋26に対して試料ホルダを封止する。フレーム状突起32により、フレーム状突起32の内部において、蓋36の内側と試料ホルダ12との間に試験室38が形成される。
【0040】
試験室38に供給された試料を移動させるために、試験室38と接続された2つのチャネル40、42を蓋26に設ける。チャネル40は、例えば、ホース44を介してポンプ46に接続される。これに対応して、チャネル42は、ホース48を介してポンプ50に接続される。この2つのポンプ46、50は、共通の制御装置により制御されることが好ましい。ポンプ46、50は、試験室にある試料の一部を、チャネル40及び42のそれぞれの中に交互に吸引し、その後試験室38内に再び送り出す。その結果、例えば、当該装置をDNA親和性分析に用いる場合、適合する試料部分がより容易に結合するように、試験室38内の試料の移動を実現する。
【0041】
更に、2つの受入室52、54が蓋26内に設けられる。受入室52はチャネル40と接続され、受入室54はチャネル42と接続される。受入室52、54のサイズにより、試験室38から取り出した試料量を回収することが可能である。2つのポンプ46、50は受入室52、54に直接接続することも可能であり、また、蓋26の内部又はその上側に配置してもよい。
【0042】
試料を試験室38内に供給するために、試験室38に接続したチャネル56を更に蓋26に設ける。受入装置10上に予め蓋26を設置しておいた後、このチャネル56を経由して、予め密封しておいた試験室38内に試料を供給することが可能である。同様に、2つのチャネル40、42のうちの1つを経由して試料を供給することが可能であり、チャネルはこの目的のために分岐していてもよい。
【0043】
試験室38における移動性を改善するために、いくつかのチャネル40、42が試験室38と接続するようにチャネル40、42が分岐していてもよい。更に、蓋26内の試験室38毎に、複数のチャネル40、42を設けることが可能である。チャネルの半数が同一のポンプと接続されることが好ましい。
【0044】
蓋26は、図示しない保持装置で保持される。図2において、保持装置は鉛直方向に移動可能である。蓋26と共に保持装置が鉛直方向に移動するため、蓋26を受入装置10の受入領域22内に自動的に降下させることが可能となる。この場合、フレーム状突起32に設けられたシール36は試料ホルダ12の境界部分で押圧され、試験室38が形成される。試料ホルダ12は底部14として機能する弾性ダイアフラム上に支持されるため、蓋26の降下による試料ホルダの損傷が回避される。更に、弾性ダイアフラム14は、蓋26と試料ホルダ12との間の密封を確実にするという機能を有する。
【0045】
頭部又は蓋26を移動させる代わりに、物体ホルダ12自体を図2の上方に移動させて試験室38の密封を実現することも可能である。物体ホルダ12を、例えば鉛直方向に移動することが可能なスタンプ状装置の助けを借りて、上方に押圧することが可能である。更に、これら2つの動きを組み合わせることも可能である。
【0046】
図示した実施の形態において、本質的に試料ホルダ全体に広がる試験室38は複数の個々の試料室に分割されてもよい。この目的のために、試験室38を更に分割するウェブを蓋26の下側に配置する。ウェブの試料ホルダ12に面した側には、形成された個々の試験室を封止するシール36に対応するシールが設けられる。形成される各試験室には、上述のようにチャネル40、52、56が設けられることが好ましく、また各試験室は対応する好ましい構成を有する。このようにして、試験室38が更に分割された各副試験室に、隣接する試験室に関係なくハイブリッド形成液を満たすことが可能であり、上述のように操作することが可能である。試験室38を複数の副試験室に更に分割することによって、異なる試料を、標準的な物体ホルダ12を用いた異なる方法で検査することが可能である。特に、例えば異なる患者の体から取り出された同一の試料を同一のハイブリッド形成液を用いて検査することが可能であり、又は、一人の患者から取り出された同一の試料を異なるハイブリッド形成液を用いて検査することが可能である。これに関連して、市販の物体ホルダを試料ホルダ12として使用できることが特に有利である。
【0047】
第2の好ましい実施の形態(図3)は、図2に関連して記載されているものと同一のより低い領域を備える。蓋又は頭部58は、本実施の形態においては構成が異なる。図3において、装置の同一又は類似の構成要素は同一の参照符号で示す。
【0048】
頭部58は、試験室38に接続される供給チャネル60と、試験室38に接続される排出チャネル62とを備える。チャネル62は、バルブ64とチャネル66とを介してポンプ68に接続される。ポンプ68は供給チャネル66と接続される。バルブ64は更にドレイン70と接続される。このチャネル66は別のチャネル72を介して媒体容器74に接続される。
【0049】
バルブ64の位置を、例えば試験室38内の試料が循環するように選択することができる。このようにして、この試料は、排出チャネル62を介して室38から引き出され、チャネル66を介してポンプ68に供給され、次いでチャネル66を介して試験室38に戻される。
【0050】
ドレイン70を介して試料の一部を排出するために、チャネル62を介してバルブ64に送られる試料の一部がチャネル70及びチャネル66の別の部位に供給されるような中間部位に、バルブ64を配置することが可能である。
【0051】
更に、チャネル66を閉じ、且つ試料のすべてをドレイン70に向けて供給するように、バルブ64を設定することが可能である。この目的のために、ポンプ68の助けを借りて新たな試料液体を容器74から試験室38に供給し、その中に入っている試料を試験室38の外に押し出す。すべての試料を交換できるようにするためには、チャネル66も空にされなければならない。この目的のために、チャネル66に残っている試料を少なくともチャネル66の中まで押し出すように、試験室38から試料を排出した後、バルブ64を切り替える。その後、バルブ64を再び開けて、試験室38のチャネル66とチャネル62との中に入っている試料をドレイン70内に押し出す。
【0052】
更に、加熱要素76を頭部又は蓋58に設ける。これを利用して、試験室38内に入っている試料の温度を調節することが可能である。
【0053】
図示された実施の形態の4つの試験室38の各々に対して、個別のポンプ68を設けることが好ましい。複数の試験室38に対して、特にすべての試験室38に対して、媒体容器を1つだけ設けることが好ましい。個々の試験室38において個別の試料を交換するために、対応して制御することが可能なバルブがチャネル内に設けられる。
【0054】
個々の物体ホルダ12は、例えばDNA試料の分析に役立つ。この目的を達成するために、図4に示すように、各物体ホルダを異なる領域に分割する。内部領域86では、例えば試料の滴を添加する。次いでこの滴は、試料ホルダ12と強固に結合する。このように、領域86はアレイを配置するための表面としての機能を有する。この領域86は2.5mmの幅のマージン82で包囲されることが好ましい。このマージン82は、例えば、領域86内の試料のすべてが物体ホルダ12の外縁84と十分な距離を有するという目的のために設けられる。蓋26が降下するにつれて、マージン領域82内でシール36が支持される。図3に示す線88によってマージン82と分けられている領域86は、試料ホルダ12に接触するために役立つ。この領域においては、領域86内で物体ホルダ12を操作することができるように、試料は設けられない。接触領域86は、例えば物体ホルダ12を本発明に係る受入装置10内に挿入することを可能とするために必要となる。
【0055】
ハイブリッド形成ヘッド及び蓋26をそれぞれ備える分析装置90(図5)内に、受入装置10を挿入することが可能である。この目的を達成するために、分析装置90は、受入装置10を受け入れるドロア状受入手段92を備える。このドロアは、CDプレーヤー等のドロアに対応して構成してもよい。このドロア92が開いている時、物体ホルダ12を支持する受入装置10を上方からこのドロア内に挿入し、次いで分析装置90内に移動させる。
【0056】
分析装置90の内部において、蓋26は、受入装置10が分析装置90内に移動した後に物体ホルダ12上で降下すべく配置される。
【0057】
更に、ドロア92の上方には乾燥ヘッド94が設けられる。この乾燥ヘッド94にはファンが設けられる。ハイブリッド形成プロセスが完了した後、ドロアは分析装置90から外にドロアを再び移動する。そうすることで、乾燥ヘッド94を用いて、物体ホルダ12上に残存する試料又は洗浄液を除去する。この乾燥ヘッドは、いくつかの排出開口部及び注入開口部を有することが好ましい。注入開口部によって、乾燥ヘッド又は別の乾燥媒体から送り出される空気が再び吸い込まれる。その結果、試料の液体成分が周囲に広がることが回避される。これに関連して、乾燥ヘッド94が吸い込む空気の量が、送り出す空気の量よりも常に多くなるように、吸い込み用の注入口の断面積は排出口の断面積よりも大きい。その結果、試料の成分が周囲に広がる危険性が更に低下する。これらの注入口及び/又は排出口は、乾燥ヘッドの幅に広がるスロット形状の開口部であってもよい。
【0058】
試料ホルダ12を完全に乾燥するために、ドロア92を前後に数回移動させてもよい。
【0059】
更に、これらの乾燥の前に、試料ホルダを洗浄することが可能である。蓋26によって、即ち試験室38がまだ封止されている時に、洗浄が行われることが好ましい。このようにして、分析装置内で洗浄処理を実施する。この目的を達成するために、蓋26に設けた個別のチャネルを介して、又は試験室のチャネル40、42を介して洗浄液を供給し、そして再びそこから排出することが可能である。分析装置内で蓋を上方に移動させ、且つ試験室38の密封性がそれによりなくなる前に、試験室内の液体の大部分を吸引することが好ましい。既存のチャネル40、42を介して順番に吸引することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】いくつかの基部が挿入されている受入装置の好ましい実施の形態を示す略平面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った、第1の好ましい実施の形態の略断面図であり、図1に示されていない頭部を追加して示す。
【図3】図2に示す実施の形態に基本的に対応する、第2の好ましい実施の形態の略断面図である。
【図4】図1に示す受入装置内に挿入すべくなされた単一の基部を示す。
【図5】受入装置が挿入される分析装置の略斜視図である。
Claims (29)
- 基部(12)及び頭部(26;58)により形成される、試料を受け入れる試験室(38)と、
該試験室(38)内の試料を移動させる移動手段(46,50;68)と
を備える、化学的及び/又は生物学的試料を分析する分析装置において、
前記移動手段は、少なくとも試料の一部を試験室(38)から引き出し、且つ該試料の一部を試験室(38)に戻す搬送手段(46,50;68)を備えていることを特徴とする分析装置。 - 前記搬送手段は、試料の一部の受入れ及びその後の送出しを行う受入室(52,54)と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
- 試料の一部の受入れ及び送出しを交互に行う少なくとも2つの受入室(52,54)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
- 少なくとも1つの受入室(52,54)が前記頭部(26;58)内に設けられていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の分析装置。
- 前記頭部(26;58)は、試料を試験室内に供給するための供給チャネル(56)を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の分析装置。
- 前記搬送手段(68)は、試料を循環させるために、供給チャネル(66)及び排出チャネル(62)を介して試験室(38)と接続されていることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
- 排出チャネル(62)内に配置されており、ドレイン(70)と接続されているバルブ(64)を特徴とする請求項1又は請求項6に記載の分析装置。
- 前記搬送装置(68)と接続されている媒体容器(74)を特徴とする請求項1、請求項6又は請求項7に記載の分析装置。
- 前記試験室(38)は、頭部(26;58)に設けられた円周フレーム状突起(32)により形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の分析装置。
- 前記突起はシール(36)を備えていることを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
- 前記基部は平坦な物体ホルダ(12)であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の分析装置。
- 底部(14)と、
該底部(14)に接続されるセンタリング要素(16,18,20)であって、それぞれ1つの物体ホルダ(12)を受け入れる複数の受入領域(22)が形成されるように配置されているセンタリング要素(16,18,20)と
を備える、複数の物体ホルダ(12)のための受入装置を特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の分析装置。 - 前記センタリング要素(16,18,20)は一体化フレーム部により形成されており、前記フレーム部は、各受入領域(22)が円周センタリングフレーム(16,18,20)に包囲されるように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の分析装置。
- 前記センタリング要素(16,18,20)は、受入領域(22)の方向に面取りされていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の分析装置。
- 前記底部(14)は、少なくとも受入領域(22)において、可撓性材料、特にジアテルミー性の可撓性ダイアフラムからなることを特徴とする請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の分析装置。
- 基部(12)における1又は複数の位置に正確に配置されるように第1試料を基部(12)に供給し、
試験室(38)を形成するために頭部(26;58)により基部(12)を閉じ、
第1試料に少なくとも部分的に反応する第2試料を試験室(38)に供給し、
搬送手段(46,50;68)により第2試料を移動させて、少なくとも第2試料の一部を引き出し、且つ試験室(38)に戻す、
化学的及び/又は生物学的試料を分析する、特にDNAフラグメントのハイブリッド形成を分析する方法。 - 前記第2試料の一部を受入室(52,54)内に引き入れ、そこから送り出す請求項16に記載の方法。
- 試料の一部の受入れ及び送出しを交互に行う少なくとも2つの受入室(52,54)を設ける請求項17に記載の方法。
- 前記試験室(38)内を循環させることにより第2試料を移動させる請求項16に記載の方法。
- 少なくとも第2試料の一部を排出する請求項16乃至請求項19のいずれかに記載の方法。
- 新たに供給される試料により、排出される試料の一部を試験室(38)の外に押し出す請求項20に記載の方法。
- 前記第1試料を、基部(12)として機能する平坦な物体ホルダに供給し、該試料は物体ホルダにおける1又は複数の位置に正確に付着する請求項16乃至請求項21のいずれかに記載の方法。
- 第3試料を、第2試料と共に又は第2試料の後に前記試験室(38)に供給する請求項16乃至請求項22のいずれかに記載の方法。
- 前記第2試料を生物学的材料から抽出する請求項16乃至請求項23のいずれかに記載の方法。
- 前記第3試料は、生物学的材料から抽出される参考試料である請求項23に記載の方法。
- 前記第2及び第3試料を異なる蛍光マーカーで標識する請求項23乃至請求項25のいずれかに記載の方法。
- 反応終了後に前記試験室(38)を洗浄する請求項16乃至請求項26のいずれかに記載の方法。
- 洗浄後に前記基部(12)を乾燥させる請求項27に記載の方法。
- 洗浄又は乾燥後に前記基部(12)を検出手段に送る請求項28又は請求項29に記載の方法。
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