JP2004537348A - 生体材料への細菌付着を軽減するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
生物医学的デバイスの表面への細菌付着を阻害するための方法が開示され、この方法は、生体医学的デバイスの表面と、約0.01〜約0.13のイオン強度を有する水溶液中のカチオン性多糖とを接触させる工程を包含する。本発明は、眼用レンズ、ステント、移植物およびカテーテルを含む医学的デバイスの表面処理に関する。詳細には、本発明は、医学的デバイスの表面を改変して、細菌接着に対するその親和性を減少させる、簡単で低コストの方法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、眼用レンズ、ステント、移植物およびカテーテルを含む医学的デバイスの表面処理に関する。詳細には、本発明は、医学的デバイスの表面を改変して、細菌接着に対するその親和性を減少させる、簡単で低コストの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
医学的デバイス(例えば、眼用レンズ)は、長年にわたり調査されてきた。このような材料は、一般に、2つの主要なクラス、すなわち、ヒドロゲルおよび非ヒドロゲルに分割され得る。非ヒドロゲルは、感知できるほどの量の水を吸収しないが、一方、ヒドロゲルは、平衡状態で水を吸収および保持し得る。
【0003】
当業者は、表面特徴が、生体適合性において主要な役割を果たすことを長い間認識してきた。コンタクトレンズ表面の親水性の増大が、コンタクトレンズの湿潤性を改善することが公知である。次に、このことは、コンタクトレンズの改善された装用の快適性に関連する。さらに、このレンズの表面は、沈着、特にレンズ装用の間の涙流体からのタンパク質および脂質の沈着に対するレンズの感受性に影響し得る。蓄積した沈着物は、眼の不快感または炎症さえも引き起こし得る。連続装用レンズ(すなわち、睡眠前にレンズを毎日取り出すことなく使用されるレンズ)の場合、この表面は、特に重要である。なぜなら、連続装用レンズは、長期間にわたる、高水準の快適性および生体適合性のために設計されなくてはならないからである。
【0004】
連続装用レンズはまた、2つのさらなる挑戦を提示する。第一に、これらのレンズは、代表的に、7日間と30日間の間、上皮と連続して接触する。このことは、睡眠前に眼から取り出される従来のコンタクトレンズとは、顕著に対照的である。第二に、連続装用レンズは、連続的に装用されるので、これらは、一般に、推奨される連続装用時間の終結まで、消毒のために取り出されない。従って、細菌の付着を疎外するための改善された方法は、従来のコンタクトレンズおよび連続装用コンタクトレンズの両方について、主な利点である。
【0005】
コンタクトレンズの湿潤溶液/コンディショニング溶液の領域において、多価電解質が、逆の電荷のレンズ表面に結合して、多価電解質複合体を形成し得ることが見出されている。このような多価電解質複合体は、より高い表面結合水の吸着に起因して、より快適なレンズ材料を与えることが、商業的に実証されている。このような多価電解質複合体の形成に有用な材料の例は、Ellisらに対する米国特許第4,321,261号;Ellisらに対する同第4,436,730号;Ellisらに対する同第5,401,327号;Ellisらに対する同第5,405,878号;Potiniらに対する同第5,500,144号;Zhangらに対する同第5,604,189号;Ellisらに対する同第5,711,823号;Zhangらに対する同第5,773,396号;およびEllisらに対する同第5,872,086号において教示される。
【0006】
生体材料の表面に対する細菌の付着は、デバイス関連の感染に寄与する因子であると考えられる。しかし、所定の微生物が、所定の生体材料にどの程度自身を付着させるかは、予測が困難であることが証明されている。このような付着を阻害するための方法の例は、Dearnaleyに対する米国特許第5,945,153号;Homolaらに対する同第5,961,958号;Homolaらに対する同第5,980,868号;Dearnaleyに対する同第5,984,905号;Hultgrenらに対する同第6,001,823号;Twedenらに対する同第6,013,106号;およびRobertsonらに対する同第6,054,054号において教示される。
【0007】
コンタクトレンズ材料について、レンズ表面に対する細菌付着は、細菌性角膜炎または他の潜在的なコンタクトレンズ関連の合併症(例えば、滅菌侵襲およびCLARE(Contact Lens Induced Acute Red Eye))を生じ得る。従って、コンタクトレンズに対する微生物の付着を阻害するための方法を提供することが所望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、生体材料の表面に対する微生物の付着を阻害するための方法を提供する。本発明により、溶液のイオン強度の制御は、細菌付着を阻害するためのカチオン性セルロースポリマーの性能に予想外に影響を与えることが見出された。詳細には、約0.13未満、好ましくは約0.10未満のイオン強度を有する溶液は、生物医学的材料への細菌付着を減少するために特に有効であることが、見出されている。本発明に従う有用なイオン強度の範囲は、約0.01〜約0.13、好ましくは約0.05〜約0.10である。好ましい実施形態において、この生物医学的材料は、コンタクトレンズであり、カチオン性多糖は、カチオン性セルロースポリマーである。より好ましい実施形態において、この溶液は、約0.095未満、最も好ましくは約0.090未満の、本明細書中で定義されるようなイオン強度を有する。本発明の方法は、コンタクトレンズ、特に約7〜30日の間の連続着用に適切なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに使用するのに適している。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、生体材料の表面への微生物の付着を阻害するための組成物を提供する。本発明の組成物は、約0.13未満、好ましくは約0.10未満、より好ましくは約0.095未満、最も好ましくは約0.090未満の、本明細書中で定義されるようなイオン強度を有する水溶液中のカチオン性多糖を含む。この組成物の好ましい実施形態において、このカチオン性多糖は、カチオン性セルロースポリマーである。
【0010】
生体材料の表面は、好ましくは、カチオン性多糖の適用の前に少なくとも僅かにアニオン性である。生物医学的デバイスの表面にカチオン性多糖を結合させる機構は重要ではないが、但し、この結合強度は、この生体材料の意図された用途のために表面を維持するのに十分である。本明細書中で使用される場合、用語「結合(bond)」および「結合(bind)」とは、連結剤の添加ありまたはなしで、生物医学的デバイスの表面と多糖との間で、比較的安定な複合体または他の比較的安定な誘引を形成することをいい、特定の機構に限定されない。従って、「結合(binding)」は、本発明のカチオン性多糖が、生物医学的デバイス上の比較的頑強な表面コーティングを形成することを可能にする、共有結合、水素結合、疎水性相互作用または他の分子相互作用を含み得る。
【0011】
カチオン性多糖上のカチオン性電荷は、アンモニウム基、4級アンモニウム基、グアニジウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、結合遷移金属、および他の正に荷電した官能基に由来し得る。
【0012】
生物学的デバイス上にアニオン性表面電荷を提供するための方法の例としては、以下が挙げられる:(a)例えば、重合による、生体材料中のアニオン性部位のバルク分布;(b)プラズマ放電またはコロナ放電のような、酸化的表面処理;(c)アニオン性連結剤の適用;(d)複合体化;あるいは(e)(a)〜(d)の1以上の組み合わせ。
【0013】
カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基、サルファイト基、ホスフェート基、ホスホネート基およびホスホン基のような基を含むモノマーを取り込むことは、ポリマー基材材料のバルクを介して、分散されたアニオン性部位を提供し得る。メタクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、生体材料基材のバルクに、負に荷電した部位を取り込むために有用なモノマーの例である。
【0014】
生体材料の表面が、正味の中性の電荷または正味のカチオン性電荷を保有する場合、この生体材料は、カチオン性多糖での処理の前に、酸化的表面処理または正味のカチオン性電荷を提供する他の表面処理で処理され得る。適切な酸化的表面処理の例としては、Letterに対する米国特許第4,217,038号;Kubackiに対する同第4,096,315号;Peymanに対する同第4,312,575号;Yanigharaに対する同第4,631,435号;ならびに全てRatnerに対する同第5,153,072号;同第5,091,204号および同第4,565,083号に教示されるような、プラズマ放電またはコロナ放電が挙げられる。プラズマ表面処理のさらなる例としては、不活性ガスまたは酸素を含有するプラズマに、コンタクトレンズ表面を供すること(例えば、米国特許第4,055,378号;同第4,122,942号;および同第4,214,014号を参照のこと);種々の炭化水素モノマー(例えば、米国特許第4,143,949号を参照のこと);ならびに水とエタノールのような酸化剤と炭化水素との組み合わせ(例えば、WO95/04609および米国特許第4,632,844号を参照のこと)が挙げられる。これらの特許は、あたかも本明細書に完全に示されるように、参考として援用される。
【0015】
カチオン性多糖は、カチオン性多糖上の疎水性基と相互作用する生体材料表面上の疎水性部位間の相互作用を介して、生体材料表面に付着し得る。共有結合はまた、生体材料表面と水溶性カチオン性多糖との間に存在し得、その結果、このカチオン性多糖は、生体材料表面に結合する。
【0016】
カチオン性多糖はまた、水素結合相互作用を介して、生物医学的デバイスの表面に結合し得る。これらの水素結合相互作用は、水素結合受容表面と水素結合供与溶液との間、または水素結合供与表面と水素結合受容溶液との間に生じ得る。水素結合受容基の例としては、ピロリドン基、アクリルアミド基、ポリエーテル基およびフッ化炭素基が挙げられる。適切なポリエーテル基の例としては、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。適切な水素結合供与基の例としては、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、フェノール基、水酸基、アミノ基およびイミノ基が挙げられる。
【0017】
結合の例としては、カップリング剤によって提供される結合(例えば、エステル結合およびアミド結合)が挙げられる。表面結合はまた、表面複合体化を含み得る。このような表面複合体化の例としては、プロトン供与湿潤剤を用いて、親水性モノマーおよびシリコーン含有モノマーを含有する生体材料を処理することによって形成される反応生成物が挙げられ、この湿潤剤は、表面酸化処理工程の非存在下で、生体材料表面上の親水性モノマーとの複合体を形成する。
【0018】
この生物医学的デバイスは、眼用レンズ(例えば、眼内レンズ、コンタクトレンズまたは角膜インレー)であり得る。この生物医学的デバイスはまた、コンタクトレンズケースであり得、より具体的にはコンタクトレンズケースの内側部分であり得る。本発明の方法は、軟性レンズ材料(例えば、ヒドロゲル)および剛性コンタクトレンズ材料を用いて有用である。本発明の方法は、約7日〜約30日の連続装用期間に適切な連続装用コンタクトレンズに特に有用である。
【0019】
本発明のカチオン性セルロースポリマーは、コンタクトレンズ表面への付着の研究において示されるように、細菌、Pseudomonus aeruginosaに対する強力な抗付着特性(活性)を示すことが見出されている。有用なカチオン性多糖の例は、セルロース、ガーゴム、デンプン、デキストラン、キトサン、イナゴマメゴム、トラガカントゴム、カードラン(curdlan)、プルラン、セレログルカン(seleroglucan)に基づくファミリーに由来する。セルロース材料に由来するカチオン性ポリマーが、特に興味深い。阻害活性の程度は、ポリマー表面コーティングとレンズ表面との間のイオン性結合の強度に関連すると考えられる。従って、機構と無関係に、より強力な結合は、細菌付着に対するより高い程度の耐性と関連すると考えられる。
【0020】
この層またはコーティングは、イオン性レンズ表面を対極に荷電されたイオン性ポリマーで複合体化することによって形成される、高分子電解質複合体を含み、そしてこの複合体は、水を吸収するレンズ表面にヒドロゲルを形成し、良好な水保持率を有し、そして眼の生理学的な構造と適合性である。眼に長期間の快適さを提供する、耐久性「クッション」が形成される。ポリマー−界面活性剤の相互作用測定の議論に関して、Argillierら「Polymer−Surfactant Interactions Studied with the Surface Force Apparatus」 146 Journal of Colloid and Interface Science 242(1991)を参照のこと。
【0021】
本発明に従って、湿潤溶液のイオン強度を制御することによって、コンタクトレンズの表面上に形成されるポリマークッションの耐久性が驚くほど改善されることが見出された。
【0022】
本発明の溶液は、本明細書において、用語「イオン強度」を使用して特徴付けられる。用語「イオン強度」は、本明細書中で使用される場合、以下の等式:
イオン強度=0.5Σ(CiZi 2) (ここで、Ciは、イオン種iのモル濃度であり、そしてZiは、イオン種iの原子価である)
によって規定される、無次元数である。
【0023】
本発明の溶液のイオン強度は、約0.10未満、好ましくは、約0.095未満、そしてより好ましくは、約0.090未満である。用語「イオン強度」のより詳細な議論に関して、Philadelphia College of Pharmacy and Science(1985)によって刊行された、Remington’s Pharmaceutical Science,17版を参照のこと。コンタクトレンズは、好ましくは、イオン電荷を保持するか、またはイオン電荷を有する能力を有する、酸素透過性ハードレンズである。
【0024】
好ましくは、レンズ表面の電荷は、アニオン性あるが、眼用溶液中のポリマーの電荷は、セルロースポリマーのカチオン性の電荷である。このセルロースポリマーは、眼と適合性であるべきであり、非刺激性であるべきであり、そしてさらにコンタクトレンズの表面に静電気的に結合されるヒドロゲルを形成すべきである。
【0025】
好ましくは、このレンズコーティングは、水溶液中に溶解されるイオン性ポリマーから本質的になる溶液、または0.001〜10重量%の溶液を含む、溶解性有機成分を含む水溶液中にレンズを単に浸すことによって形成される。このイオン性ポリマーは、眼と適合性の任意のイオン性ポリマーであり、このポリマーは、ヒドロゲルを形成するが、眼を刺激せず、そしてコンタクトレンズの表面に静電的に結合される。
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、広範な種々の生体材料(上記のような眼用レンズ材料を含む)に適用可能である。眼用レンズの例としては、コンタクトレンズ、前眼房レンズおよび後眼房レンズ、眼内レンズならびに角膜インレーが挙げられる。眼用レンズは、特定の適用に必要な特徴に依存して、可撓性材料または剛性材料から製造され得る。
【0027】
(基材材料)
ヒドロゲルは、平衡状態で水を含有する、水和した架橋ポリマー系を含む。従来のヒドロゲルレンズ材料は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリルメタクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)およびジメタクリルアミドのようなモノマーを含有するポリマーを含む。
【0028】
本発明において有用な可撓性眼用レンズ材料は、シリコーンヒドロゲルならびに従来のヒドロゲルおよび低水(low−water)エラストマー材料を含む。本発明において有用な可撓性眼用レンズの例は、Kunzlerらに対する米国特許第5,908,906号;Kunzlerらに対する同第5,714,557号;Kunzlerらに対する同第5,710,302号;Laiらに対する同第5,708,094号;Bamburyらに対する同第5,616,757号;Bamburyらに対する同第5,610,252号;Laiに対する同第5,512,205号;Laiに対する同第5,449,729号;Kunzlerらに対する同第5,387,662号;およびLaiに対する同第5,310,779号(これらの特許は、あたかも本明細書中に完全に示されるように、参考として援用される)に教示される。
【0029】
米国特許第6,037,328号、同第6,008,317号、同第5,981,675号、同第5,981,669号、同第5,969,076号、同第5,945,465号、同第5,914,355号、同第5,858,937号、同第5,824,719号および同第5,726,733号は、HEMAモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0030】
米国特許第6,071,439号、同第5,824,719号、同第5,726,733号、同第5,708,094号、同第5,610,204号、同第5,298,533号、同5,270,418号、同第5,236,969号および同第5,006,622号は、グリセリルメタクリレートモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0031】
米国特許第6,008,317号、同第5,969,076号、同第5,908,906号、同第5,824,719号、同第5,726,733号、同第5,714,557号、同第5,710,302号、同第5,708,094号、同第5,648,515号および同第5,639,908号は、NVPモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0032】
米国特許第5,539,016号、同第5,512,205号、同第5,449,729号、同第5,387,662号、同第5,321,108号および同第5,310,779号は、ジメタクリルアミドモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0033】
好ましい従来のヒドロゲル材料は、代表的に、HEMA、NVPおよびTBE(4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート)を含む。PolymaconTM材料、例えば、Soflens 66TMブランドのコンタクトレンズ(Rochester、New YorkのBausch&Lomb Incorporatedから市販される)は、特に好ましい従来のヒドロゲル材料の例である。
【0034】
シリコーンヒドロゲルは、一般に、約5重量%より高い水含量、より一般的には約10〜約80重量%の間の水含量を有する。材料は、通常、少なくとも1種のシリコーン含有モノマーおよび少なくとも1種の親水性モノマーを含有する混合物を重合することによって調製される。シリコーン含有モノマーまたは親水性モノマーのいずれかは、架橋剤(架橋剤は、複数の重合可能な官能性を有するモノマーとして規定される)として機能し得るか、または別個の架橋剤が使用され得る。シリコーンヒドロゲルの形成における使用のための、適用可能なシリコーン含有モノマー単位は、当該分野で周知であり、そして多数の例が、米国特許第4,136,250号;同第4,153,641号;同第4,740,533号;同第5,034,461号;同第5,070,215号;同第5,260,000号;同第5,310,779号および同第5,358,995号において提供される。
【0035】
好ましいシリコーンヒドロゲル材料は、(共重合されるバルクモノマー混合物中に)5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%の1種以上のシリコーンマクロモノマー、5〜75重量%、好ましくは30〜60重量%の1種以上のポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー、および10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の親水性モノマーを含む。一般に、シリコーンマクロモノマーは、分子の2つ以上の末端で、不飽和基によってキャップされたポリ(オルガノシロキサン)である。上記構造式の末端基に加えて、Deichertらに対する米国特許第4,153,641号は、アクリルオキシまたはメタクリルオキシを含む、さらなる不飽和基を開示する。例えば、Laiに対する米国特許第5,512,205号;同第5,449,729号;および同第5,310,779号において教示されるフマレート含有材料はまた、本発明に従う有用な基材である。好ましくは、シランマクロモノマーは、シリコーン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメート、あるいは、1以上のハード−ソフト−ハードブロックおよび親水性モノマーでの末端キャップを有するポリウレタン−ポリシロキサンである。
【0036】
適切な親水性モノマーとしては、一旦重合すると、ポリ(アクリル酸)と複合体を形成し得るモノマーが挙げられる。適切なモノマーは、本発明において有用なヒドロゲルを形成し、そして例えば、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体と複合体を形成するモノマーが挙げられる。有用なモノマーの例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドのようなアミド、重合可能な基で官能化されたN−ビニル−2−ピロリドンおよびポリ(アルケングリコール)のような環状ラクタムが挙げられる。有用な官能化ポリ(アルケングリコール)の例としては、モノメタクリレート末端キャップまたはジメタクリレート末端キャップを含む種々の鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。好ましい実施形態において、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含む。なおさらなる実施例は、米国特許第5,070,215号に開示される親水性のビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示される親水性のオキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは、当業者に明らかである。特に好ましい実施形態において、コンタクトレンズ材料において使用される親水性モノマーは、カチオン性多糖と安定な複合体を形成し得る。
【0037】
剛性眼用レンズ材料としては、剛性−ガス−透過性(「RGP」)材料が挙げられる。RGP材料は、代表的に、5重量%未満の水を含む疎水性の架橋ポリマー系を含む。本発明に従う有用なRGP材料としては、Ellisに対する米国特許第4,826,936号;Ellisに対する米国特許第4,463,149号;Ellisに対する米国特許第4,604,479号;Ellisらに対する米国特許第4,686,267号;Ellisに対する米国特許第4,826,936号;Ellisらに対する米国特許第4,996,275号;Baronらに対する米国特許第5,032,658号;Bamburyらに対する米国特許第5,070,215号;Valintらに対する米国特許第5,177,165号;Baronらに対する米国特許第5,177,168号;Valintらに対する米国特許第5,219,965号;McGeeおよびValintに対する米国特許第5,336,797号;Laiらに対する米国特許第5,358,995号;Valintらに対する米国特許第5,364,918号;Bamburyらに対する米国特許第5,610,252号;Laiらに対する米国特許第5,708,094号;ならびにValintらに対する米国特許第5,981,669号において教示されるRGP材料が挙げられる。Ellisらに対する米国特許第5,346,976号は、RGP材料を作製するための好ましい方法を教示する。上記の特許は、あたかも本明細書中に完全に示されるかのように、参考として援用される。
【0038】
連続装用適用のために使用される他の非シリコーンヒドロゲルもまた、適用可能であるが、但し、カチオン性多糖の表面結合が達成され得る。本発明の方法はまた、単にいくつか例を挙げると、眼内レンズ、人工角膜、ステントおよびカテーテルを含む広範な範囲の医学的デバイスとしての作製前または作製後に生体材料を処理するために有用である。
【0039】
(表面コーティング材料)
本発明において有用な表面コーティング材料としては、カチオン性多糖(例えば、カチオン性セルロースポリマー)が挙げられる。特定の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル基(プロトン化されたかまたは四級化されるかのいずれか)を含むセルロースポリマーおよびN,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル基(プロトン化されたかまたは四級化されるかのいずれか)を含むセルロースポリマーが挙げられる。カチオン性セルロースポリマーは、市販されているか、または当該分野で公知の方法によって調製され得る。例として、四級窒素含有エトキシル化グルコシドは、ヒドロキシエチルセルロースをトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させることによって調製され得る。種々の好ましいカチオン性セルロースポリマーは、市販されている(例えば、Polyquaternium−10と命名されたCTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)の元で入手可能な水溶性ポリマー)。このようなポリマーは、Amerchol Corp.,Edison,NJ,USAから商品名UCARE(登録商標)ポリマーの元で市販されている。これらのポリマーは、セルロースポリマー鎖にそって、四級化されたN,N−ジメチルアミノ基を含む。カチオン性セルロース成分は、組成物の約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約5重量%で組成物中で使用され得、約0.1〜約1重量%が特に好ましい。適切なカチオン性セルロース材料は、以下の式:
【0040】
【化1】
を有し、ここで、R1、R2およびR3は、H、C1〜C20カルボン酸の誘導体、C1〜C20アルキル基、C1〜C3の一価アルカノールおよび二価アルカノール、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、フェニル基、「Z」基ならびにそれらの組み合わせから選択される。R1、R2およびR3の少なくとも1つは、Z基である。
【0041】
「Z」基の性質は:
【0042】
【化2】
であり、ここで、R’、R’’およびR’’’は、H、CH3、CH2H5、CH2CH2OHおよび
【0043】
【化3】
であり得、
x=0〜5、y=0〜4、およびz=0〜5、
X−=Cl−、Br−、I−、HSO4 −、CH3SO4 −、H2PO4 −、NO3 −である。
【0044】
Marlinらに対する米国特許第5,645,827号(カチオン性多糖の考察のためにあたかも本明細書中で完全に示されるように、参考として援用される)は、アニオン性治療剤(例えば、ヒアルロン酸またはその塩(これは、ドライアイの処置のための公知の粘滑薬である))と組み合わせて、カチオン性多糖を含む組成物の使用を開示する。Marlinらに対する欧州特許出願088770A1は、(特に緑内障の処置のための)カチオン性治療剤を送達するためのカチオン性セルロースポリマーを開示する。
【0045】
Ellisらに対する米国特許第4,436,730号および同第5,401,327号(これらは、本明細書中であたかも完全に示されるように、参考として援用される)は、カチオン性セルロースポリマーおよびグルカン(glucam)のようなエトキシ化グルコースの組み合わせを含む、コンタクトレンズ処理溶液中のカチオン性セルロース誘導体の使用を開示する。好ましい実施形態において、カチオン性セルロースポリマーは、Polyquaternium−10(CAS番号53568−66−4;55353−19−0;54351−50−7;81859−24−7;68610−92−4;および81859−24−7)である。より好ましい実施形態において、Polyquaternium−10は、Polymer JR−30R(Union Carbide Corporation(Dow Chemical Company(Midland,Michigan)の子会社)から市販されている)である。Polymer JR−30Rはまた、Ellisらの米国特許第5,872,086号(これは、本明細書中であたかも完全に示されるように、参考として援用される)に開示されている。
【0046】
必要に応じて、1つ以上のさらなるポリマー粘滑薬または非ポリマー粘滑薬が、上記成分と組み合わせられ得る。粘滑薬は、湿潤効果、保湿効果および/または潤滑効果を提供することが公知であり、増加した快適さを生じる。ポリマー粘滑薬はまた、水溶性粘性ビルダーとして作用し得る。メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのような非イオン性セルロースポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)などが、水溶性粘性ビルダー中に含まれる。このような粘性ビルダーまたは粘滑薬は、約0.01〜5.0重量%以下の範囲の総量で使用され得る。最終処方物の粘度は、処方物がコンタクトレンズ、眼内レンズ、または角膜インレーについて意図されるかに依存して、2センチポイズ(cp)〜数100万cpまでの範囲である。グリセリンまたはプロピレングリコールのような快適剤(comfort agent)もまた添加され得る。
【0047】
本発明の組成物はまた、消毒量の保存剤または抗菌剤を含み得る。抗菌剤の存在は必要とされないが、本発明について、生体材料の表面上の細菌の濃度を効果的に減少させるために、特に好ましい保存剤は、ソルビン酸(0.15%)である。抗菌剤は、微生物との化学的または生理化学的相互作用を介して、その抗微生物活性が誘導される有機化学物質として定義される。例えば、ビグアナイドは、アレキシジン、クロルへキシジン、ヘキサメチレンビグアナイドおよびこれらのポリマーの遊離塩基または塩、ならびに前述の組み合わせを含む。アレキシジンおよびクロルへキシジンの塩は、有機物または無機物のいずれかであり得、そして代表的に、グルコン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。好ましいビグアナイドは、商品名CosmocilTMCQの元で、Zeneca,Wilmington,DEから市販されるヘキサメチレンビグアナイドである。一般に、ヘキサメチレンビグアナイドポリマー(ポリアミノプロピルビグアナイド(PAPB)とも称される)は、約100,000までの分子量を有する。
【0048】
対象溶液中で使用される場合、抗菌剤は、使用される処方物中の微生物集団を少なくとも部分的に減少する量で使用されるべきである。好ましくは、消毒量は、4時間で2ログ(log)のオーダー、そしてより好ましくは、1時間で1ログのオーダーで、微生物の生物負荷(bioburden)を減少する量である。最も好ましくは、消毒量は、レジメンにおいて推奨される浸漬時間で使用される場合、コンタクトレンズ上の微生物負荷を排除する量である(FDA Chemical Disinfection Efficacy Test−July,1985 Contact Lens Solution Draft Guidlines)。代表的に、このような薬剤は、約0.00001〜約0.5%(w/v)の範囲、そしてより好ましくは、約0.00003〜約0.05%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
【0049】
本発明において使用される水溶液は、上記の活性成分に加えて、眼用溶液中に一般に存在する1つ以上の他の成分(例えば、緩衝液、安定剤、等張(tonisty)剤など(これらは、使用者にとってより快適である眼用組成物を作製する際に助けとなる))を含み得る。本発明の水溶液は、代表的に、塩化ナトリウム0.9%溶液または2.8%のグリセロール溶液に等価である正常な流涙流体のおよその等張性に、等張剤で調整される。溶液は、単独または組み合わせて使用される生理食塩水を用いて実質的に等張にされ、そうでなければ、滅菌水と単に混合され、そして低張または高張にされる場合、レンズは、それらの所望の光学パラメーターを喪失する。対応して、過剰な塩または他の等張剤は、刺すような痛みおよび眼の刺激を引き起こす高張溶液の形成を生じ得る。
【0050】
本発明の溶液のpHは、5.0〜8.0、より好ましくは、約6.0〜8.0、最も好ましくは、約6.5〜7.8の範囲内で維持されるべきである;適切な緩衝剤(例えば、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、炭酸水素緩衝剤、TRIS緩衝剤および種々の混合リン酸緩衝剤(Na2HPO4、NaH2PO4およびKH2PO4の組み合わせを含む))およびその混合物が添加され得る。ホウ酸緩衝剤は、特に、PAPBの効力を強化するために好ましい。一般に、緩衝剤は、約0.05〜2.5重量%、そして好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲の量で使用される。
【0051】
緩衝剤に加えて、いくつかの例において、金属イオンを結合するために本発明の溶液中に金属イオン封鎖剤を含むことが所望であり得、そうでなければ、金属イオンは、レンズおよび/またはタンパク質沈着物と反応し、そしてレンズ上で集まり得る。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(二ナトリウム)は、好ましい例である。これらは、通常、約0.01〜約0.2重量%の範囲の量で添加される。
【0052】
本発明において使用される溶液は、種々の技術によって調製され得る。1つの方法は、二相複合手順を使用する。第1相において、約30%の蒸留水が、約50℃で約30分間混合することによってカチオン性セルロースポリマーを溶解するために使用される。次いで、第1相溶液は、約120℃で30分間オートクレーブ処理される。次いで、第2相において、アルカリ金属塩化物、金属イオン封鎖剤、保存剤および緩衝剤を、撹拌下で約60%の蒸留水中で溶解して、次いで、蒸留水で平衡する。次いで、第2相溶液を、圧力によって0.22ミクロンフィルターを通過させることによって第1相溶液中に滅菌的に添加し得、その後滅菌されたプラスチック容器中でパッケージングする。
【0053】
上記のように、本発明は、連続装用コンタクトレンズのための快適さおよび着用性(wearability)を改善するために有用である。その目的のために、本発明における使用のための組成物は、点眼薬として処方され得、そして1〜30mlのサイズの広範な範囲の小容量容器で販売される。このような容器は、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)などから作製され得る。従来の点眼薬分配先端部を有する可撓性ビンは、本発明を用いる使用のために特に適している。本発明の点眼処方物は、必要な場合、眼の中に、例えば、約1または3滴滴下することによって使用される。
【0054】
本発明はまた、洗浄溶液、消毒溶液、またはコンディショニング溶液の成分として有用である。本発明はまた、コンタクトレンズのためのコンディショニング溶液および/または洗浄溶液の成分として有用であることが公知の、抗菌剤、界面活性剤、張度(toxicity)調整剤、緩衝剤などを含み得る。洗浄溶液および/または消毒溶液のための適切な処方物の例は、RichardおよびHeilerに対する米国特許第5,858,937号(これは、本明細書中にあたかも完全に示されるように、参考として援用される)において教示される。
【実施例】
【0055】
実施例は、以下の用語および商品名を使用する。
【0056】
1.Polymer JR30MTMは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの好ましい重合体第4級アンモニウム塩であり、そしてPolyquaterium−10として公知のクラスのカチオン性セルロースポリマーである。Polymer JR30MTMは、Dow Chemical Company of Midland,Michiganの子会社である、Union Carbide Corporationから市販される。
【0057】
2.HECは、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0058】
3.Pluronic F127TM(「F127」とも呼ばれる)は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマーである非イオン性界面活性剤である。プロピレンオキシドブロックは、2つのエチレンオキシドブロックの間に挟まれる。この非イオン性界面活性剤は、BASF Corporation、Specialty Products Business Group、3000 Continental Drive North、Mount Olive、NJ 07828−1234から市販される。
【0059】
4.Kollidon 30TMは、中程度分子量(Mw44,000〜54,000)のポビドンの商品名である。Kollidon 30は、BASF Corporation、3000 Continental Drive North、Mount Olive、NJ 07828−1234から市販される。
【0060】
5.PVA Airvol 603TMは、ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)であり、これは、Air Products and Chemicals、Inc.、7201 Hamilton Boulevard、Allentown、PA 18195〜1501から市販される。
【0061】
(実施例1)
(Polymer JRを用いるSurevueレンズの表面コンディショニング)
この実施例は、親水性コンタクトレンズ上へのカチオン性セルロースポリマーの結合効果を示し、ここで、材料表面への細菌の付着を減少すると考えられる。3つの異なる溶液中の3つのSurevueレンズ(Johnson&Johnson,New Brunswick,NJによって製造される)を、原子間力顕微鏡(AFM)分析による比較のために提供した。比較のための溶液1は、ブランクのホウ酸緩衝化生理食塩水であった。溶液2は、0.1%Polymer JRを含む溶液1であった。さらなる比較のための溶液3は、ReNu(登録商標)MPS(Bausch&Lomb,Rochester,NYによって製造される)であった。レンズを一晩処理し、次いで、バイアルから取り出し、そして最小15分間の静的様式で、HPLC等級の水で脱塩した。全てのレンズを、きれいなガラス基板上で、きれいなメスで切断した。サンプルを乾燥し、切り出し、そしてきれいな基板上に配置した。3つの50×50μmのトポグラフィー画像を、AFMを使用して、レンズの各側面(前および後)について獲得した。この研究で使用したAFMは、Dimension 3000であり、ContactModeで操作した。AFMは、尖ったプローブとレンズ表面上の原子との間のナノスケールの力(10−9N)を測定することによって機能する。得られたAFM画像は、ブランクのホウ酸緩衝化生理食塩水(溶液1)ならびにReNu(登録商標)MPS(溶液3)中に貯蔵されたレンズの前表面および後表面が、有意なトポグラフィー変化を示さないことを示した。Polymer JR溶液(溶液2)に貯蔵されるレンズの前表面および後表面は、有意に異なるトポグラフィーを示した。表面は、薄いフィルムでカバーされ、複数のサイズおよび複数の形状の空隙が、前表面および後表面の両方をカバーする。これらの空隙は、40±10nmの平均深さを有した。これらの空隙様異形は、溶液2または溶液3に貯蔵されたレンズにおいては存在しなかった。空隙は、Polymer JR溶液中に貯蔵されたレンズについての平方自乗平均(RMS)のあらさに対して影響を有した。
【0062】
RMS表面あらさを、Nanoscopeソフトウェアを使用して計算した(以下の表に示す)。溶液1または溶液3中に貯蔵されたレンズは、Polymer JR溶液に貯蔵されたレンズの前表面および後表面と比較して、より滑らかな前表面および後表面を有した。
【0063】
(表1 AFM画像の各セットについてのRMSあらさ)
【0064】
【表1】
AFM結果は、Polymer JRが、レンズ表面の形態に影響を有することを示し、このことは、薄いフィルムが、レンズの前側および後側の大きな多数の形状および多数のサイズの空隙をカバーすることを示す。
【0065】
(実施例2)
0.1%カチオン性Polymer JR溶液の20mlのアリコートを、滅菌したポリスチレン使い捨てペトリ皿に注いだ。負に荷電した連続装用レンズを、滅菌ピンセットで包装から取り出し、そして180mlの最初に滅菌した0.9%生理食塩水中に5回浸漬した。次いで、これらのレンズを、0.1%Polymer JR溶液を含むペトリ皿に配置し、そして室温で4時間浸漬した。4時間のインキュベーション時間後、イオンでコーティングされたレンズを、滅菌したピンセットで、0.1%Polymer JR溶液から取り出し、そして最初に滅菌した0.9%生理食塩水の3つの連続的変化(180ml)の各々において、5回浸漬した。次いで、レンズを、放射能標識した細胞の約108細胞/mlの接種材料3mlを含む20mlガラスシンチレーションバイアルに移し、そして37℃で2時間インキュベートした。
【0066】
(実施例3および4)
実施例3および4は、放射能標識方法を使用して、生体材料への細菌の接着を評価する。
【0067】
接着研究を、Sawantらの手順の改変を用いて行なった(Radioopacity additives in silicone stent materials reduce in vitro bacterial adherence.Sawant,A.D.,M.Gabriel,M.S.Mayo,and D.G.Ahearn.1991 Curr.Microbiol.22:285−292、およびGabriel,M.M.,A.D.Sawant,R.B.Simmons,and D.G.Ahearn.1995.Effects of silver on adherence of bacteria to urinary catheter:in vitro studies.Curr.Microbio.30:17〜22)。
【0068】
細菌細胞を、12〜18時間、回転振盪器上で、37℃でトリプシン処理したダイズブロス(Triptic Soy Broth)(TSB)中で増殖させた。細胞を、10分間、3000×gで遠心分離して採取し、0.9%生理食塩水中で2回洗浄し、そして1ml当り約2×108細胞の濃度(600nmでの吸光度0.10)まで最小培地(1リットルの蒸留H2O、pH7.2中、1.0g D−グルコース、7.0g K2HPO4、2.0g KH2PO4、0.5gクエン酸ナトリウム、1.0g (NH4)2SO4、および0.1g MgSO4)中で懸濁した。最小ブロス培養物を、振盪しながら、37℃で1時間インキュベートした。1〜3μCi/mlのL−[3,4,5−3H]ロイシン(NEN Research Products,Du Pont Company,Wilmington,DE)を、細胞に添加し、そして細胞懸濁液を、さらに20分間インキュベートした。これらの細胞を、0.9%生理食塩水中で4回洗浄し、そして1ml当り約108細胞の濃度(600nmで吸光度0.10)までリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で懸濁した。
【0069】
通常ではアニオン性の表面電荷を有する連続装用コンタクトレンズを、37℃で2時間、3mlの放射能標識した細胞懸濁液と共にインキュベートした。これらのレンズを、滅菌したピンセットで細胞懸濁液から取り出し、そして最初に滅菌した0.9%生理食塩水の3つの連続的変化(180ml)の各々において、5回浸漬した。レンズを生理食塩水なしで振盪し、そして20mlのガラスシンチレーションバイアルに移した。10mlのOpti−Fluorシンチレーションカクテル(Packard Instrument Co.,Downers Grove,IL)を、各バイアルに添加した。バイアルを、ボルテックスし、次いで、液体シンチレーションカウンター(LS−7500,Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA)中に配置した。2つの実験についてのデータを、標準較正曲線に基づいて、1分当りの崩壊(dpm)からコロニー形成単位(cfu)に変換し、cfu/mm2として表した。較正曲線を、接種材料の連続希釈の注入プレートにおいて回収されたコロニー数、および既知の密度の細胞懸濁液の連続希釈の吸光度(O.D.)から構築した。通常では、アニオン性の表面電荷を有する未接種の連続装用コンタクトレンズ(これは、ロイシンの非特異的取り込みのコントロールとして機能する)を、接種した切片と同じ様式で処理した。
【0070】
(実施例5および6)
表2は、2分の浸漬工程で適用されるカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有するかまたは有さない、連続装用ヒドロゲルコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例5および6の結果を示す。
【0071】
(表2.連続装用シリコーンヒドロゲルレンズの2分間の浸漬
【0072】
【表2】
(実施例7および8)
表3は、4時間の浸漬工程で適用されるカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有するかまたは有さない、連続装用ヒドロゲルコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例7および8の結果を示す。
【0073】
(表3.連続装用シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの4時間浸漬)
【0074】
【表3】
(実施例9〜11)
表4は、4時間の浸漬工程で適用される、PVPポリマーに対するカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有する、グループIVコンタクトレンズ(SurvueTMの商品名でJohnson & Jonsonから市販されている)の表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例9〜11の結果を示す。
【0075】
(表4.グループIVレンズの4時間浸漬)
【0076】
【表4】
表5は、4時間の浸漬工程で適用される、高イオン強度 対 低イオン強度の環境下での、カチオン性セルロースポリマーで被覆されたグループIVコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例12〜14の結果を示す。
【0077】
(表5.SurvueTMレンズの4時間浸漬)
【0078】
【表5】
本発明の多数の他の改変およびバリエーションは、本明細書中の教示を考慮すれば、可能である。従って、特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書中に具体的に記載される以外に、実施され得ることが理解される。
【0001】
(発明の分野)
本発明は、眼用レンズ、ステント、移植物およびカテーテルを含む医学的デバイスの表面処理に関する。詳細には、本発明は、医学的デバイスの表面を改変して、細菌接着に対するその親和性を減少させる、簡単で低コストの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
医学的デバイス(例えば、眼用レンズ)は、長年にわたり調査されてきた。このような材料は、一般に、2つの主要なクラス、すなわち、ヒドロゲルおよび非ヒドロゲルに分割され得る。非ヒドロゲルは、感知できるほどの量の水を吸収しないが、一方、ヒドロゲルは、平衡状態で水を吸収および保持し得る。
【0003】
当業者は、表面特徴が、生体適合性において主要な役割を果たすことを長い間認識してきた。コンタクトレンズ表面の親水性の増大が、コンタクトレンズの湿潤性を改善することが公知である。次に、このことは、コンタクトレンズの改善された装用の快適性に関連する。さらに、このレンズの表面は、沈着、特にレンズ装用の間の涙流体からのタンパク質および脂質の沈着に対するレンズの感受性に影響し得る。蓄積した沈着物は、眼の不快感または炎症さえも引き起こし得る。連続装用レンズ(すなわち、睡眠前にレンズを毎日取り出すことなく使用されるレンズ)の場合、この表面は、特に重要である。なぜなら、連続装用レンズは、長期間にわたる、高水準の快適性および生体適合性のために設計されなくてはならないからである。
【0004】
連続装用レンズはまた、2つのさらなる挑戦を提示する。第一に、これらのレンズは、代表的に、7日間と30日間の間、上皮と連続して接触する。このことは、睡眠前に眼から取り出される従来のコンタクトレンズとは、顕著に対照的である。第二に、連続装用レンズは、連続的に装用されるので、これらは、一般に、推奨される連続装用時間の終結まで、消毒のために取り出されない。従って、細菌の付着を疎外するための改善された方法は、従来のコンタクトレンズおよび連続装用コンタクトレンズの両方について、主な利点である。
【0005】
コンタクトレンズの湿潤溶液/コンディショニング溶液の領域において、多価電解質が、逆の電荷のレンズ表面に結合して、多価電解質複合体を形成し得ることが見出されている。このような多価電解質複合体は、より高い表面結合水の吸着に起因して、より快適なレンズ材料を与えることが、商業的に実証されている。このような多価電解質複合体の形成に有用な材料の例は、Ellisらに対する米国特許第4,321,261号;Ellisらに対する同第4,436,730号;Ellisらに対する同第5,401,327号;Ellisらに対する同第5,405,878号;Potiniらに対する同第5,500,144号;Zhangらに対する同第5,604,189号;Ellisらに対する同第5,711,823号;Zhangらに対する同第5,773,396号;およびEllisらに対する同第5,872,086号において教示される。
【0006】
生体材料の表面に対する細菌の付着は、デバイス関連の感染に寄与する因子であると考えられる。しかし、所定の微生物が、所定の生体材料にどの程度自身を付着させるかは、予測が困難であることが証明されている。このような付着を阻害するための方法の例は、Dearnaleyに対する米国特許第5,945,153号;Homolaらに対する同第5,961,958号;Homolaらに対する同第5,980,868号;Dearnaleyに対する同第5,984,905号;Hultgrenらに対する同第6,001,823号;Twedenらに対する同第6,013,106号;およびRobertsonらに対する同第6,054,054号において教示される。
【0007】
コンタクトレンズ材料について、レンズ表面に対する細菌付着は、細菌性角膜炎または他の潜在的なコンタクトレンズ関連の合併症(例えば、滅菌侵襲およびCLARE(Contact Lens Induced Acute Red Eye))を生じ得る。従って、コンタクトレンズに対する微生物の付着を阻害するための方法を提供することが所望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、生体材料の表面に対する微生物の付着を阻害するための方法を提供する。本発明により、溶液のイオン強度の制御は、細菌付着を阻害するためのカチオン性セルロースポリマーの性能に予想外に影響を与えることが見出された。詳細には、約0.13未満、好ましくは約0.10未満のイオン強度を有する溶液は、生物医学的材料への細菌付着を減少するために特に有効であることが、見出されている。本発明に従う有用なイオン強度の範囲は、約0.01〜約0.13、好ましくは約0.05〜約0.10である。好ましい実施形態において、この生物医学的材料は、コンタクトレンズであり、カチオン性多糖は、カチオン性セルロースポリマーである。より好ましい実施形態において、この溶液は、約0.095未満、最も好ましくは約0.090未満の、本明細書中で定義されるようなイオン強度を有する。本発明の方法は、コンタクトレンズ、特に約7〜30日の間の連続着用に適切なシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに使用するのに適している。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、生体材料の表面への微生物の付着を阻害するための組成物を提供する。本発明の組成物は、約0.13未満、好ましくは約0.10未満、より好ましくは約0.095未満、最も好ましくは約0.090未満の、本明細書中で定義されるようなイオン強度を有する水溶液中のカチオン性多糖を含む。この組成物の好ましい実施形態において、このカチオン性多糖は、カチオン性セルロースポリマーである。
【0010】
生体材料の表面は、好ましくは、カチオン性多糖の適用の前に少なくとも僅かにアニオン性である。生物医学的デバイスの表面にカチオン性多糖を結合させる機構は重要ではないが、但し、この結合強度は、この生体材料の意図された用途のために表面を維持するのに十分である。本明細書中で使用される場合、用語「結合(bond)」および「結合(bind)」とは、連結剤の添加ありまたはなしで、生物医学的デバイスの表面と多糖との間で、比較的安定な複合体または他の比較的安定な誘引を形成することをいい、特定の機構に限定されない。従って、「結合(binding)」は、本発明のカチオン性多糖が、生物医学的デバイス上の比較的頑強な表面コーティングを形成することを可能にする、共有結合、水素結合、疎水性相互作用または他の分子相互作用を含み得る。
【0011】
カチオン性多糖上のカチオン性電荷は、アンモニウム基、4級アンモニウム基、グアニジウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、結合遷移金属、および他の正に荷電した官能基に由来し得る。
【0012】
生物学的デバイス上にアニオン性表面電荷を提供するための方法の例としては、以下が挙げられる:(a)例えば、重合による、生体材料中のアニオン性部位のバルク分布;(b)プラズマ放電またはコロナ放電のような、酸化的表面処理;(c)アニオン性連結剤の適用;(d)複合体化;あるいは(e)(a)〜(d)の1以上の組み合わせ。
【0013】
カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基、サルファイト基、ホスフェート基、ホスホネート基およびホスホン基のような基を含むモノマーを取り込むことは、ポリマー基材材料のバルクを介して、分散されたアニオン性部位を提供し得る。メタクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は、生体材料基材のバルクに、負に荷電した部位を取り込むために有用なモノマーの例である。
【0014】
生体材料の表面が、正味の中性の電荷または正味のカチオン性電荷を保有する場合、この生体材料は、カチオン性多糖での処理の前に、酸化的表面処理または正味のカチオン性電荷を提供する他の表面処理で処理され得る。適切な酸化的表面処理の例としては、Letterに対する米国特許第4,217,038号;Kubackiに対する同第4,096,315号;Peymanに対する同第4,312,575号;Yanigharaに対する同第4,631,435号;ならびに全てRatnerに対する同第5,153,072号;同第5,091,204号および同第4,565,083号に教示されるような、プラズマ放電またはコロナ放電が挙げられる。プラズマ表面処理のさらなる例としては、不活性ガスまたは酸素を含有するプラズマに、コンタクトレンズ表面を供すること(例えば、米国特許第4,055,378号;同第4,122,942号;および同第4,214,014号を参照のこと);種々の炭化水素モノマー(例えば、米国特許第4,143,949号を参照のこと);ならびに水とエタノールのような酸化剤と炭化水素との組み合わせ(例えば、WO95/04609および米国特許第4,632,844号を参照のこと)が挙げられる。これらの特許は、あたかも本明細書に完全に示されるように、参考として援用される。
【0015】
カチオン性多糖は、カチオン性多糖上の疎水性基と相互作用する生体材料表面上の疎水性部位間の相互作用を介して、生体材料表面に付着し得る。共有結合はまた、生体材料表面と水溶性カチオン性多糖との間に存在し得、その結果、このカチオン性多糖は、生体材料表面に結合する。
【0016】
カチオン性多糖はまた、水素結合相互作用を介して、生物医学的デバイスの表面に結合し得る。これらの水素結合相互作用は、水素結合受容表面と水素結合供与溶液との間、または水素結合供与表面と水素結合受容溶液との間に生じ得る。水素結合受容基の例としては、ピロリドン基、アクリルアミド基、ポリエーテル基およびフッ化炭素基が挙げられる。適切なポリエーテル基の例としては、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)が挙げられる。適切な水素結合供与基の例としては、カルボン酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、フェノール基、水酸基、アミノ基およびイミノ基が挙げられる。
【0017】
結合の例としては、カップリング剤によって提供される結合(例えば、エステル結合およびアミド結合)が挙げられる。表面結合はまた、表面複合体化を含み得る。このような表面複合体化の例としては、プロトン供与湿潤剤を用いて、親水性モノマーおよびシリコーン含有モノマーを含有する生体材料を処理することによって形成される反応生成物が挙げられ、この湿潤剤は、表面酸化処理工程の非存在下で、生体材料表面上の親水性モノマーとの複合体を形成する。
【0018】
この生物医学的デバイスは、眼用レンズ(例えば、眼内レンズ、コンタクトレンズまたは角膜インレー)であり得る。この生物医学的デバイスはまた、コンタクトレンズケースであり得、より具体的にはコンタクトレンズケースの内側部分であり得る。本発明の方法は、軟性レンズ材料(例えば、ヒドロゲル)および剛性コンタクトレンズ材料を用いて有用である。本発明の方法は、約7日〜約30日の連続装用期間に適切な連続装用コンタクトレンズに特に有用である。
【0019】
本発明のカチオン性セルロースポリマーは、コンタクトレンズ表面への付着の研究において示されるように、細菌、Pseudomonus aeruginosaに対する強力な抗付着特性(活性)を示すことが見出されている。有用なカチオン性多糖の例は、セルロース、ガーゴム、デンプン、デキストラン、キトサン、イナゴマメゴム、トラガカントゴム、カードラン(curdlan)、プルラン、セレログルカン(seleroglucan)に基づくファミリーに由来する。セルロース材料に由来するカチオン性ポリマーが、特に興味深い。阻害活性の程度は、ポリマー表面コーティングとレンズ表面との間のイオン性結合の強度に関連すると考えられる。従って、機構と無関係に、より強力な結合は、細菌付着に対するより高い程度の耐性と関連すると考えられる。
【0020】
この層またはコーティングは、イオン性レンズ表面を対極に荷電されたイオン性ポリマーで複合体化することによって形成される、高分子電解質複合体を含み、そしてこの複合体は、水を吸収するレンズ表面にヒドロゲルを形成し、良好な水保持率を有し、そして眼の生理学的な構造と適合性である。眼に長期間の快適さを提供する、耐久性「クッション」が形成される。ポリマー−界面活性剤の相互作用測定の議論に関して、Argillierら「Polymer−Surfactant Interactions Studied with the Surface Force Apparatus」 146 Journal of Colloid and Interface Science 242(1991)を参照のこと。
【0021】
本発明に従って、湿潤溶液のイオン強度を制御することによって、コンタクトレンズの表面上に形成されるポリマークッションの耐久性が驚くほど改善されることが見出された。
【0022】
本発明の溶液は、本明細書において、用語「イオン強度」を使用して特徴付けられる。用語「イオン強度」は、本明細書中で使用される場合、以下の等式:
イオン強度=0.5Σ(CiZi 2) (ここで、Ciは、イオン種iのモル濃度であり、そしてZiは、イオン種iの原子価である)
によって規定される、無次元数である。
【0023】
本発明の溶液のイオン強度は、約0.10未満、好ましくは、約0.095未満、そしてより好ましくは、約0.090未満である。用語「イオン強度」のより詳細な議論に関して、Philadelphia College of Pharmacy and Science(1985)によって刊行された、Remington’s Pharmaceutical Science,17版を参照のこと。コンタクトレンズは、好ましくは、イオン電荷を保持するか、またはイオン電荷を有する能力を有する、酸素透過性ハードレンズである。
【0024】
好ましくは、レンズ表面の電荷は、アニオン性あるが、眼用溶液中のポリマーの電荷は、セルロースポリマーのカチオン性の電荷である。このセルロースポリマーは、眼と適合性であるべきであり、非刺激性であるべきであり、そしてさらにコンタクトレンズの表面に静電気的に結合されるヒドロゲルを形成すべきである。
【0025】
好ましくは、このレンズコーティングは、水溶液中に溶解されるイオン性ポリマーから本質的になる溶液、または0.001〜10重量%の溶液を含む、溶解性有機成分を含む水溶液中にレンズを単に浸すことによって形成される。このイオン性ポリマーは、眼と適合性の任意のイオン性ポリマーであり、このポリマーは、ヒドロゲルを形成するが、眼を刺激せず、そしてコンタクトレンズの表面に静電的に結合される。
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、広範な種々の生体材料(上記のような眼用レンズ材料を含む)に適用可能である。眼用レンズの例としては、コンタクトレンズ、前眼房レンズおよび後眼房レンズ、眼内レンズならびに角膜インレーが挙げられる。眼用レンズは、特定の適用に必要な特徴に依存して、可撓性材料または剛性材料から製造され得る。
【0027】
(基材材料)
ヒドロゲルは、平衡状態で水を含有する、水和した架橋ポリマー系を含む。従来のヒドロゲルレンズ材料は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリルメタクリレート、N−ビニルピロリドン(NVP)およびジメタクリルアミドのようなモノマーを含有するポリマーを含む。
【0028】
本発明において有用な可撓性眼用レンズ材料は、シリコーンヒドロゲルならびに従来のヒドロゲルおよび低水(low−water)エラストマー材料を含む。本発明において有用な可撓性眼用レンズの例は、Kunzlerらに対する米国特許第5,908,906号;Kunzlerらに対する同第5,714,557号;Kunzlerらに対する同第5,710,302号;Laiらに対する同第5,708,094号;Bamburyらに対する同第5,616,757号;Bamburyらに対する同第5,610,252号;Laiに対する同第5,512,205号;Laiに対する同第5,449,729号;Kunzlerらに対する同第5,387,662号;およびLaiに対する同第5,310,779号(これらの特許は、あたかも本明細書中に完全に示されるように、参考として援用される)に教示される。
【0029】
米国特許第6,037,328号、同第6,008,317号、同第5,981,675号、同第5,981,669号、同第5,969,076号、同第5,945,465号、同第5,914,355号、同第5,858,937号、同第5,824,719号および同第5,726,733号は、HEMAモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0030】
米国特許第6,071,439号、同第5,824,719号、同第5,726,733号、同第5,708,094号、同第5,610,204号、同第5,298,533号、同5,270,418号、同第5,236,969号および同第5,006,622号は、グリセリルメタクリレートモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0031】
米国特許第6,008,317号、同第5,969,076号、同第5,908,906号、同第5,824,719号、同第5,726,733号、同第5,714,557号、同第5,710,302号、同第5,708,094号、同第5,648,515号および同第5,639,908号は、NVPモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0032】
米国特許第5,539,016号、同第5,512,205号、同第5,449,729号、同第5,387,662号、同第5,321,108号および同第5,310,779号は、ジメタクリルアミドモノマーを含有する眼用レンズ材料を教示する。
【0033】
好ましい従来のヒドロゲル材料は、代表的に、HEMA、NVPおよびTBE(4−t−ブチル−2−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート)を含む。PolymaconTM材料、例えば、Soflens 66TMブランドのコンタクトレンズ(Rochester、New YorkのBausch&Lomb Incorporatedから市販される)は、特に好ましい従来のヒドロゲル材料の例である。
【0034】
シリコーンヒドロゲルは、一般に、約5重量%より高い水含量、より一般的には約10〜約80重量%の間の水含量を有する。材料は、通常、少なくとも1種のシリコーン含有モノマーおよび少なくとも1種の親水性モノマーを含有する混合物を重合することによって調製される。シリコーン含有モノマーまたは親水性モノマーのいずれかは、架橋剤(架橋剤は、複数の重合可能な官能性を有するモノマーとして規定される)として機能し得るか、または別個の架橋剤が使用され得る。シリコーンヒドロゲルの形成における使用のための、適用可能なシリコーン含有モノマー単位は、当該分野で周知であり、そして多数の例が、米国特許第4,136,250号;同第4,153,641号;同第4,740,533号;同第5,034,461号;同第5,070,215号;同第5,260,000号;同第5,310,779号および同第5,358,995号において提供される。
【0035】
好ましいシリコーンヒドロゲル材料は、(共重合されるバルクモノマー混合物中に)5〜50重量%、好ましくは10〜25重量%の1種以上のシリコーンマクロモノマー、5〜75重量%、好ましくは30〜60重量%の1種以上のポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー、および10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%の親水性モノマーを含む。一般に、シリコーンマクロモノマーは、分子の2つ以上の末端で、不飽和基によってキャップされたポリ(オルガノシロキサン)である。上記構造式の末端基に加えて、Deichertらに対する米国特許第4,153,641号は、アクリルオキシまたはメタクリルオキシを含む、さらなる不飽和基を開示する。例えば、Laiに対する米国特許第5,512,205号;同第5,449,729号;および同第5,310,779号において教示されるフマレート含有材料はまた、本発明に従う有用な基材である。好ましくは、シランマクロモノマーは、シリコーン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメート、あるいは、1以上のハード−ソフト−ハードブロックおよび親水性モノマーでの末端キャップを有するポリウレタン−ポリシロキサンである。
【0036】
適切な親水性モノマーとしては、一旦重合すると、ポリ(アクリル酸)と複合体を形成し得るモノマーが挙げられる。適切なモノマーは、本発明において有用なヒドロゲルを形成し、そして例えば、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体と複合体を形成するモノマーが挙げられる。有用なモノマーの例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドのようなアミド、重合可能な基で官能化されたN−ビニル−2−ピロリドンおよびポリ(アルケングリコール)のような環状ラクタムが挙げられる。有用な官能化ポリ(アルケングリコール)の例としては、モノメタクリレート末端キャップまたはジメタクリレート末端キャップを含む種々の鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。好ましい実施形態において、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含む。なおさらなる実施例は、米国特許第5,070,215号に開示される親水性のビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示される親水性のオキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは、当業者に明らかである。特に好ましい実施形態において、コンタクトレンズ材料において使用される親水性モノマーは、カチオン性多糖と安定な複合体を形成し得る。
【0037】
剛性眼用レンズ材料としては、剛性−ガス−透過性(「RGP」)材料が挙げられる。RGP材料は、代表的に、5重量%未満の水を含む疎水性の架橋ポリマー系を含む。本発明に従う有用なRGP材料としては、Ellisに対する米国特許第4,826,936号;Ellisに対する米国特許第4,463,149号;Ellisに対する米国特許第4,604,479号;Ellisらに対する米国特許第4,686,267号;Ellisに対する米国特許第4,826,936号;Ellisらに対する米国特許第4,996,275号;Baronらに対する米国特許第5,032,658号;Bamburyらに対する米国特許第5,070,215号;Valintらに対する米国特許第5,177,165号;Baronらに対する米国特許第5,177,168号;Valintらに対する米国特許第5,219,965号;McGeeおよびValintに対する米国特許第5,336,797号;Laiらに対する米国特許第5,358,995号;Valintらに対する米国特許第5,364,918号;Bamburyらに対する米国特許第5,610,252号;Laiらに対する米国特許第5,708,094号;ならびにValintらに対する米国特許第5,981,669号において教示されるRGP材料が挙げられる。Ellisらに対する米国特許第5,346,976号は、RGP材料を作製するための好ましい方法を教示する。上記の特許は、あたかも本明細書中に完全に示されるかのように、参考として援用される。
【0038】
連続装用適用のために使用される他の非シリコーンヒドロゲルもまた、適用可能であるが、但し、カチオン性多糖の表面結合が達成され得る。本発明の方法はまた、単にいくつか例を挙げると、眼内レンズ、人工角膜、ステントおよびカテーテルを含む広範な範囲の医学的デバイスとしての作製前または作製後に生体材料を処理するために有用である。
【0039】
(表面コーティング材料)
本発明において有用な表面コーティング材料としては、カチオン性多糖(例えば、カチオン性セルロースポリマー)が挙げられる。特定の例としては、N,N−ジメチルアミノエチル基(プロトン化されたかまたは四級化されるかのいずれか)を含むセルロースポリマーおよびN,N−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル基(プロトン化されたかまたは四級化されるかのいずれか)を含むセルロースポリマーが挙げられる。カチオン性セルロースポリマーは、市販されているか、または当該分野で公知の方法によって調製され得る。例として、四級窒素含有エトキシル化グルコシドは、ヒドロキシエチルセルロースをトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させることによって調製され得る。種々の好ましいカチオン性セルロースポリマーは、市販されている(例えば、Polyquaternium−10と命名されたCTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)の元で入手可能な水溶性ポリマー)。このようなポリマーは、Amerchol Corp.,Edison,NJ,USAから商品名UCARE(登録商標)ポリマーの元で市販されている。これらのポリマーは、セルロースポリマー鎖にそって、四級化されたN,N−ジメチルアミノ基を含む。カチオン性セルロース成分は、組成物の約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約5重量%で組成物中で使用され得、約0.1〜約1重量%が特に好ましい。適切なカチオン性セルロース材料は、以下の式:
【0040】
【化1】
を有し、ここで、R1、R2およびR3は、H、C1〜C20カルボン酸の誘導体、C1〜C20アルキル基、C1〜C3の一価アルカノールおよび二価アルカノール、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基、フェニル基、「Z」基ならびにそれらの組み合わせから選択される。R1、R2およびR3の少なくとも1つは、Z基である。
【0041】
「Z」基の性質は:
【0042】
【化2】
であり、ここで、R’、R’’およびR’’’は、H、CH3、CH2H5、CH2CH2OHおよび
【0043】
【化3】
であり得、
x=0〜5、y=0〜4、およびz=0〜5、
X−=Cl−、Br−、I−、HSO4 −、CH3SO4 −、H2PO4 −、NO3 −である。
【0044】
Marlinらに対する米国特許第5,645,827号(カチオン性多糖の考察のためにあたかも本明細書中で完全に示されるように、参考として援用される)は、アニオン性治療剤(例えば、ヒアルロン酸またはその塩(これは、ドライアイの処置のための公知の粘滑薬である))と組み合わせて、カチオン性多糖を含む組成物の使用を開示する。Marlinらに対する欧州特許出願088770A1は、(特に緑内障の処置のための)カチオン性治療剤を送達するためのカチオン性セルロースポリマーを開示する。
【0045】
Ellisらに対する米国特許第4,436,730号および同第5,401,327号(これらは、本明細書中であたかも完全に示されるように、参考として援用される)は、カチオン性セルロースポリマーおよびグルカン(glucam)のようなエトキシ化グルコースの組み合わせを含む、コンタクトレンズ処理溶液中のカチオン性セルロース誘導体の使用を開示する。好ましい実施形態において、カチオン性セルロースポリマーは、Polyquaternium−10(CAS番号53568−66−4;55353−19−0;54351−50−7;81859−24−7;68610−92−4;および81859−24−7)である。より好ましい実施形態において、Polyquaternium−10は、Polymer JR−30R(Union Carbide Corporation(Dow Chemical Company(Midland,Michigan)の子会社)から市販されている)である。Polymer JR−30Rはまた、Ellisらの米国特許第5,872,086号(これは、本明細書中であたかも完全に示されるように、参考として援用される)に開示されている。
【0046】
必要に応じて、1つ以上のさらなるポリマー粘滑薬または非ポリマー粘滑薬が、上記成分と組み合わせられ得る。粘滑薬は、湿潤効果、保湿効果および/または潤滑効果を提供することが公知であり、増加した快適さを生じる。ポリマー粘滑薬はまた、水溶性粘性ビルダーとして作用し得る。メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースのような非イオン性セルロースポリマー、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)などが、水溶性粘性ビルダー中に含まれる。このような粘性ビルダーまたは粘滑薬は、約0.01〜5.0重量%以下の範囲の総量で使用され得る。最終処方物の粘度は、処方物がコンタクトレンズ、眼内レンズ、または角膜インレーについて意図されるかに依存して、2センチポイズ(cp)〜数100万cpまでの範囲である。グリセリンまたはプロピレングリコールのような快適剤(comfort agent)もまた添加され得る。
【0047】
本発明の組成物はまた、消毒量の保存剤または抗菌剤を含み得る。抗菌剤の存在は必要とされないが、本発明について、生体材料の表面上の細菌の濃度を効果的に減少させるために、特に好ましい保存剤は、ソルビン酸(0.15%)である。抗菌剤は、微生物との化学的または生理化学的相互作用を介して、その抗微生物活性が誘導される有機化学物質として定義される。例えば、ビグアナイドは、アレキシジン、クロルへキシジン、ヘキサメチレンビグアナイドおよびこれらのポリマーの遊離塩基または塩、ならびに前述の組み合わせを含む。アレキシジンおよびクロルへキシジンの塩は、有機物または無機物のいずれかであり得、そして代表的に、グルコン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などである。好ましいビグアナイドは、商品名CosmocilTMCQの元で、Zeneca,Wilmington,DEから市販されるヘキサメチレンビグアナイドである。一般に、ヘキサメチレンビグアナイドポリマー(ポリアミノプロピルビグアナイド(PAPB)とも称される)は、約100,000までの分子量を有する。
【0048】
対象溶液中で使用される場合、抗菌剤は、使用される処方物中の微生物集団を少なくとも部分的に減少する量で使用されるべきである。好ましくは、消毒量は、4時間で2ログ(log)のオーダー、そしてより好ましくは、1時間で1ログのオーダーで、微生物の生物負荷(bioburden)を減少する量である。最も好ましくは、消毒量は、レジメンにおいて推奨される浸漬時間で使用される場合、コンタクトレンズ上の微生物負荷を排除する量である(FDA Chemical Disinfection Efficacy Test−July,1985 Contact Lens Solution Draft Guidlines)。代表的に、このような薬剤は、約0.00001〜約0.5%(w/v)の範囲、そしてより好ましくは、約0.00003〜約0.05%(w/v)の範囲の濃度で存在する。
【0049】
本発明において使用される水溶液は、上記の活性成分に加えて、眼用溶液中に一般に存在する1つ以上の他の成分(例えば、緩衝液、安定剤、等張(tonisty)剤など(これらは、使用者にとってより快適である眼用組成物を作製する際に助けとなる))を含み得る。本発明の水溶液は、代表的に、塩化ナトリウム0.9%溶液または2.8%のグリセロール溶液に等価である正常な流涙流体のおよその等張性に、等張剤で調整される。溶液は、単独または組み合わせて使用される生理食塩水を用いて実質的に等張にされ、そうでなければ、滅菌水と単に混合され、そして低張または高張にされる場合、レンズは、それらの所望の光学パラメーターを喪失する。対応して、過剰な塩または他の等張剤は、刺すような痛みおよび眼の刺激を引き起こす高張溶液の形成を生じ得る。
【0050】
本発明の溶液のpHは、5.0〜8.0、より好ましくは、約6.0〜8.0、最も好ましくは、約6.5〜7.8の範囲内で維持されるべきである;適切な緩衝剤(例えば、ホウ酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、炭酸水素緩衝剤、TRIS緩衝剤および種々の混合リン酸緩衝剤(Na2HPO4、NaH2PO4およびKH2PO4の組み合わせを含む))およびその混合物が添加され得る。ホウ酸緩衝剤は、特に、PAPBの効力を強化するために好ましい。一般に、緩衝剤は、約0.05〜2.5重量%、そして好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲の量で使用される。
【0051】
緩衝剤に加えて、いくつかの例において、金属イオンを結合するために本発明の溶液中に金属イオン封鎖剤を含むことが所望であり得、そうでなければ、金属イオンは、レンズおよび/またはタンパク質沈着物と反応し、そしてレンズ上で集まり得る。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその塩(二ナトリウム)は、好ましい例である。これらは、通常、約0.01〜約0.2重量%の範囲の量で添加される。
【0052】
本発明において使用される溶液は、種々の技術によって調製され得る。1つの方法は、二相複合手順を使用する。第1相において、約30%の蒸留水が、約50℃で約30分間混合することによってカチオン性セルロースポリマーを溶解するために使用される。次いで、第1相溶液は、約120℃で30分間オートクレーブ処理される。次いで、第2相において、アルカリ金属塩化物、金属イオン封鎖剤、保存剤および緩衝剤を、撹拌下で約60%の蒸留水中で溶解して、次いで、蒸留水で平衡する。次いで、第2相溶液を、圧力によって0.22ミクロンフィルターを通過させることによって第1相溶液中に滅菌的に添加し得、その後滅菌されたプラスチック容器中でパッケージングする。
【0053】
上記のように、本発明は、連続装用コンタクトレンズのための快適さおよび着用性(wearability)を改善するために有用である。その目的のために、本発明における使用のための組成物は、点眼薬として処方され得、そして1〜30mlのサイズの広範な範囲の小容量容器で販売される。このような容器は、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリ(エチレンテレフタレート)などから作製され得る。従来の点眼薬分配先端部を有する可撓性ビンは、本発明を用いる使用のために特に適している。本発明の点眼処方物は、必要な場合、眼の中に、例えば、約1または3滴滴下することによって使用される。
【0054】
本発明はまた、洗浄溶液、消毒溶液、またはコンディショニング溶液の成分として有用である。本発明はまた、コンタクトレンズのためのコンディショニング溶液および/または洗浄溶液の成分として有用であることが公知の、抗菌剤、界面活性剤、張度(toxicity)調整剤、緩衝剤などを含み得る。洗浄溶液および/または消毒溶液のための適切な処方物の例は、RichardおよびHeilerに対する米国特許第5,858,937号(これは、本明細書中にあたかも完全に示されるように、参考として援用される)において教示される。
【実施例】
【0055】
実施例は、以下の用語および商品名を使用する。
【0056】
1.Polymer JR30MTMは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの好ましい重合体第4級アンモニウム塩であり、そしてPolyquaterium−10として公知のクラスのカチオン性セルロースポリマーである。Polymer JR30MTMは、Dow Chemical Company of Midland,Michiganの子会社である、Union Carbide Corporationから市販される。
【0057】
2.HECは、ヒドロキシエチルセルロースである。
【0058】
3.Pluronic F127TM(「F127」とも呼ばれる)は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマーである非イオン性界面活性剤である。プロピレンオキシドブロックは、2つのエチレンオキシドブロックの間に挟まれる。この非イオン性界面活性剤は、BASF Corporation、Specialty Products Business Group、3000 Continental Drive North、Mount Olive、NJ 07828−1234から市販される。
【0059】
4.Kollidon 30TMは、中程度分子量(Mw44,000〜54,000)のポビドンの商品名である。Kollidon 30は、BASF Corporation、3000 Continental Drive North、Mount Olive、NJ 07828−1234から市販される。
【0060】
5.PVA Airvol 603TMは、ポリ(ビニルアルコール)(PVOH)であり、これは、Air Products and Chemicals、Inc.、7201 Hamilton Boulevard、Allentown、PA 18195〜1501から市販される。
【0061】
(実施例1)
(Polymer JRを用いるSurevueレンズの表面コンディショニング)
この実施例は、親水性コンタクトレンズ上へのカチオン性セルロースポリマーの結合効果を示し、ここで、材料表面への細菌の付着を減少すると考えられる。3つの異なる溶液中の3つのSurevueレンズ(Johnson&Johnson,New Brunswick,NJによって製造される)を、原子間力顕微鏡(AFM)分析による比較のために提供した。比較のための溶液1は、ブランクのホウ酸緩衝化生理食塩水であった。溶液2は、0.1%Polymer JRを含む溶液1であった。さらなる比較のための溶液3は、ReNu(登録商標)MPS(Bausch&Lomb,Rochester,NYによって製造される)であった。レンズを一晩処理し、次いで、バイアルから取り出し、そして最小15分間の静的様式で、HPLC等級の水で脱塩した。全てのレンズを、きれいなガラス基板上で、きれいなメスで切断した。サンプルを乾燥し、切り出し、そしてきれいな基板上に配置した。3つの50×50μmのトポグラフィー画像を、AFMを使用して、レンズの各側面(前および後)について獲得した。この研究で使用したAFMは、Dimension 3000であり、ContactModeで操作した。AFMは、尖ったプローブとレンズ表面上の原子との間のナノスケールの力(10−9N)を測定することによって機能する。得られたAFM画像は、ブランクのホウ酸緩衝化生理食塩水(溶液1)ならびにReNu(登録商標)MPS(溶液3)中に貯蔵されたレンズの前表面および後表面が、有意なトポグラフィー変化を示さないことを示した。Polymer JR溶液(溶液2)に貯蔵されるレンズの前表面および後表面は、有意に異なるトポグラフィーを示した。表面は、薄いフィルムでカバーされ、複数のサイズおよび複数の形状の空隙が、前表面および後表面の両方をカバーする。これらの空隙は、40±10nmの平均深さを有した。これらの空隙様異形は、溶液2または溶液3に貯蔵されたレンズにおいては存在しなかった。空隙は、Polymer JR溶液中に貯蔵されたレンズについての平方自乗平均(RMS)のあらさに対して影響を有した。
【0062】
RMS表面あらさを、Nanoscopeソフトウェアを使用して計算した(以下の表に示す)。溶液1または溶液3中に貯蔵されたレンズは、Polymer JR溶液に貯蔵されたレンズの前表面および後表面と比較して、より滑らかな前表面および後表面を有した。
【0063】
(表1 AFM画像の各セットについてのRMSあらさ)
【0064】
【表1】
AFM結果は、Polymer JRが、レンズ表面の形態に影響を有することを示し、このことは、薄いフィルムが、レンズの前側および後側の大きな多数の形状および多数のサイズの空隙をカバーすることを示す。
【0065】
(実施例2)
0.1%カチオン性Polymer JR溶液の20mlのアリコートを、滅菌したポリスチレン使い捨てペトリ皿に注いだ。負に荷電した連続装用レンズを、滅菌ピンセットで包装から取り出し、そして180mlの最初に滅菌した0.9%生理食塩水中に5回浸漬した。次いで、これらのレンズを、0.1%Polymer JR溶液を含むペトリ皿に配置し、そして室温で4時間浸漬した。4時間のインキュベーション時間後、イオンでコーティングされたレンズを、滅菌したピンセットで、0.1%Polymer JR溶液から取り出し、そして最初に滅菌した0.9%生理食塩水の3つの連続的変化(180ml)の各々において、5回浸漬した。次いで、レンズを、放射能標識した細胞の約108細胞/mlの接種材料3mlを含む20mlガラスシンチレーションバイアルに移し、そして37℃で2時間インキュベートした。
【0066】
(実施例3および4)
実施例3および4は、放射能標識方法を使用して、生体材料への細菌の接着を評価する。
【0067】
接着研究を、Sawantらの手順の改変を用いて行なった(Radioopacity additives in silicone stent materials reduce in vitro bacterial adherence.Sawant,A.D.,M.Gabriel,M.S.Mayo,and D.G.Ahearn.1991 Curr.Microbiol.22:285−292、およびGabriel,M.M.,A.D.Sawant,R.B.Simmons,and D.G.Ahearn.1995.Effects of silver on adherence of bacteria to urinary catheter:in vitro studies.Curr.Microbio.30:17〜22)。
【0068】
細菌細胞を、12〜18時間、回転振盪器上で、37℃でトリプシン処理したダイズブロス(Triptic Soy Broth)(TSB)中で増殖させた。細胞を、10分間、3000×gで遠心分離して採取し、0.9%生理食塩水中で2回洗浄し、そして1ml当り約2×108細胞の濃度(600nmでの吸光度0.10)まで最小培地(1リットルの蒸留H2O、pH7.2中、1.0g D−グルコース、7.0g K2HPO4、2.0g KH2PO4、0.5gクエン酸ナトリウム、1.0g (NH4)2SO4、および0.1g MgSO4)中で懸濁した。最小ブロス培養物を、振盪しながら、37℃で1時間インキュベートした。1〜3μCi/mlのL−[3,4,5−3H]ロイシン(NEN Research Products,Du Pont Company,Wilmington,DE)を、細胞に添加し、そして細胞懸濁液を、さらに20分間インキュベートした。これらの細胞を、0.9%生理食塩水中で4回洗浄し、そして1ml当り約108細胞の濃度(600nmで吸光度0.10)までリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で懸濁した。
【0069】
通常ではアニオン性の表面電荷を有する連続装用コンタクトレンズを、37℃で2時間、3mlの放射能標識した細胞懸濁液と共にインキュベートした。これらのレンズを、滅菌したピンセットで細胞懸濁液から取り出し、そして最初に滅菌した0.9%生理食塩水の3つの連続的変化(180ml)の各々において、5回浸漬した。レンズを生理食塩水なしで振盪し、そして20mlのガラスシンチレーションバイアルに移した。10mlのOpti−Fluorシンチレーションカクテル(Packard Instrument Co.,Downers Grove,IL)を、各バイアルに添加した。バイアルを、ボルテックスし、次いで、液体シンチレーションカウンター(LS−7500,Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA)中に配置した。2つの実験についてのデータを、標準較正曲線に基づいて、1分当りの崩壊(dpm)からコロニー形成単位(cfu)に変換し、cfu/mm2として表した。較正曲線を、接種材料の連続希釈の注入プレートにおいて回収されたコロニー数、および既知の密度の細胞懸濁液の連続希釈の吸光度(O.D.)から構築した。通常では、アニオン性の表面電荷を有する未接種の連続装用コンタクトレンズ(これは、ロイシンの非特異的取り込みのコントロールとして機能する)を、接種した切片と同じ様式で処理した。
【0070】
(実施例5および6)
表2は、2分の浸漬工程で適用されるカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有するかまたは有さない、連続装用ヒドロゲルコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例5および6の結果を示す。
【0071】
(表2.連続装用シリコーンヒドロゲルレンズの2分間の浸漬
【0072】
【表2】
(実施例7および8)
表3は、4時間の浸漬工程で適用されるカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有するかまたは有さない、連続装用ヒドロゲルコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例7および8の結果を示す。
【0073】
(表3.連続装用シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの4時間浸漬)
【0074】
【表3】
(実施例9〜11)
表4は、4時間の浸漬工程で適用される、PVPポリマーに対するカチオン性セルロースポリマーの表面コーティングを有する、グループIVコンタクトレンズ(SurvueTMの商品名でJohnson & Jonsonから市販されている)の表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例9〜11の結果を示す。
【0075】
(表4.グループIVレンズの4時間浸漬)
【0076】
【表4】
表5は、4時間の浸漬工程で適用される、高イオン強度 対 低イオン強度の環境下での、カチオン性セルロースポリマーで被覆されたグループIVコンタクトレンズの表面上における細菌Pseudomonas aeruginosaの1次付着の程度を比較する、実施例12〜14の結果を示す。
【0077】
(表5.SurvueTMレンズの4時間浸漬)
【0078】
【表5】
本発明の多数の他の改変およびバリエーションは、本明細書中の教示を考慮すれば、可能である。従って、特許請求の範囲内で、本発明は、本明細書中に具体的に記載される以外に、実施され得ることが理解される。
Claims (23)
- 生物医学的デバイスの表面への細菌の付着を阻害するための方法であって、該方法は、該生物医学的デバイスの表面と、約0.01〜約0.13のイオン強度を有する水溶液中のカチオン性多糖とを接触させる工程を包含する、方法。
- 前記水溶液が、約0.05〜約0.1のイオン強度を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液が、約0.095未満のイオン強度を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記水溶液が、約0.090未満のイオン強度を有する、請求項3に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記カチオン性多糖と前記生物医学的デバイスの表面との接触の前に、該表面を処理して、該表面上に正味のアニオン性電荷を提供する工程をさらに包含する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記生物医学的デバイスの表面が、正味のアニオン性表面電荷を保有し、そして該方法が、該生物医学的デバイスの表面に前記多糖を結合させる工程の前に、該表面電荷を調節する中間処理工程を含まない、方法。
- 前記表面処理工程が、前記表面と連結剤とを接触させる工程をさらに包含する、請求項5に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記接触させる工程が、イオン性相互作用、水素結合相互作用、疎水性相互作用および共有結合性相互作用からなる群より選択される少なくとも1つを介して、前記生物医学的デバイスの表面に前記カチオン性多糖を保持する工程をさらに包含する、方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記イオン性相互作用が、前記生物医学的デバイスと前記カチオン性多糖を含有する水溶液との間の、逆に荷電したイオン性基の間に存在する、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、前記生物医学的デバイス上の負の電荷が、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基およびホスホン酸基からなる群より選択される少なくとも1つに由来する、方法。
- 請求項9に記載の方法であって、前記カチオン性多糖上のカチオン性電荷が、4級アンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基、および他の正に荷電した官能基に由来する、方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記水素結合相互作用が、水素結合受容表面と水素結合供与溶液との間で生じるか、または水素結合供与表面および水素結合受容表面を介して生じる、方法。
- 請求項12に記載の方法であって、前記水素結合受容基が、ピロリドン基、N,N−二置換アクリルアミド基およびポリエーテル基からなる群より選択される、方法。
- 請求項13に記載の方法であって、前記ポリエーテル基が、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(エチレンオキシド)である、方法。
- 請求項12に記載の方法であって、前記水素結合供与基が、カルボン酸、リン酸、ホスホン酸およびフェノール基からなる群より選択される、方法。
- 請求項8に記載の方法であって、前記疎水性相互作用が、前記カチオン性多糖上の疎水性基と相互作用する生体材料表面上の疎水性部位を介して生じる、方法。
- 請求項7に記載の方法であって、前記共有結合性相互作用が、前記生体材料表面と前記水溶性カチオン性多糖との間に存在し、その結果、該カチオン性多糖が、該生体材料表面に結合する、方法。
- 前記生物医学的デバイスが眼用レンズである、請求項1に記載の方法。
- 請求項15に記載の方法であって、前記眼用レンズが、コンタクトレンズ、前眼房レンズ、後眼房レンズ、眼内レンズおよび角膜インレーからなる群より選択される、方法。
- 前記生物医学的デバイスが、シリコーンヒドロゲル材料である、請求項1に記載の方法。
- 請求項19に記載の方法であって、前記コンタクトレンズが、約7日〜約30日にわたる連続装用期間に適切な、連続装用コンタクトレンズである、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記カチオン性多糖が、カチオン性デンプン、カチオン性デキストラン、カチオン性キトサン、カチオン性イナゴマメゴム、カチオン性トラガカントゴム、カチオン性カードラン、カチオン性プルランおよびカチオン性スクレオグルカンからなる群より選択される、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記生体医学的デバイスが、眼内レンズ、角膜インレー、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース、ステント、移植片およびカテーテルからなる群から選択される、方法。
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