JP2004537312A - 核酸−蛋白質融合多量体のモジュラーアッセンブリ - Google Patents

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Abstract

本明細書には、核酸-蛋白質融合多量体を生成するための方法および試薬、ならびに、蛋白質またはペプチドと化合物との間の相互作用を選択するためにそのような融合分子多量体を使用する方法が記載されている。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、核酸-蛋白質融合多量体の生成方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蛋白質などの特定の高分子は、それらの3次元的形状および電子の分布によって、他の分子と特異的に相互作用することが知られている。例えば、蛋白質は、他の蛋白質、核酸および小分子と選択的に相互作用する。標的分子と相互作用する蛋白質の同定は、疾患およびその関連症状を治療するための化合物を開発するための基礎となる。しかしながら、単一の薬物候補物質を発見するのに数千もの化合物、例えば、蛋白質をスクリーニングすることが必要となる可能性がある。したがって、多数の候補物質を迅速且つ効果的にスクリーニングすることができることは重要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、核酸-蛋白質融合多量体を作製する方法に関する。そのような多量体の融合複合体は、所望の特性(例えば、所望の結合特性)を持つマルチドメインのペプチドまたは蛋白質のインビトロでの選択に使用することができる。融合多量体は、融合分子の核酸部分または蛋白質部分のいずれかに存在し得る二量体化(もしくは多量体化)ドメインを含有している。さらに、融合多量体は、潜在的な標的(もしくは化合物)認識ドメインをその蛋白質部分に含む。それは、選択の目的でランダム化されていてもよい。いったん、二量体化、または多量体化が生じると、認識ドメインは選択された化合物と協同的に相互作用する。特定の場合において、これは、さらなる結合力ゆえに融合物の二量体化または多量体化を強化することができる。化合物認識ドメインは、例えば、ある程度簡単な、組織化されていないペプチド配列であってもよく、または、抗体様のCDRループもしくはDNA結合モチーフ、例えば、ジンクフィンガードメインであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
したがって、一般的に、第1の局面においては、本発明は、新規な核酸-蛋白質融合多量体に関する。そのような多量体の1つは、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、該融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は、共有結合している蛋白質をコードしており、該融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズすることを特徴とする。
【0005】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の融合蛋白質を2個以上含み、該融合分子はストレプトアビジンを含まない。該融合分子は相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズしている。
【0006】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、該融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズする。
【0007】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、ペプチドアクセプターを通じて蛋白質に共有結合している核酸の融合蛋白質を2個以上含み、該融合分子は相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズしている。
【0008】
さらに別の核酸-蛋白質融合多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の融合蛋白質を2個以上含み、該共有結合はチオール−マレイミド結合ではなく、該融合分子は相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズしている。
【0009】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合している蛋白質をコードしている融合分子と、(b)オリゴヌクレオチドとを含み、前記それぞれの融合分子の核酸の配列が前記オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズする。
【0010】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の、ストレプトアビジンを含まない融合分子と、(b)オリゴヌクレオチドとを含み、それぞれの融合分子の核酸の配列は、該オリゴヌクレオチドの相補配列にハイブリダイズしている。
【0011】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子と、(b)オリゴヌクレオチドとを含み、それぞれの融合分子の核酸の配列は、オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズしている。
【0012】
さらに別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、ペプチドアクセプターを通じて蛋白質に共有結合している核酸の融合分子と、(b)オリゴヌクレオチドとを含み、それぞれの融合分子の核酸の配列は、オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズしている。
【0013】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、蛋白質と、チオール−マレイミド結合ではない共有結合をしている核酸の融合分子と、(b)オリゴヌクレオチドとを含み、それぞれの融合分子の核酸の配列は、オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズしている。
【0014】
オリゴヌクレオチドを含む上記多量体のうちいずれも、そのオリゴヌクレオチドは、線形、双方向的または分枝構造をもつことができる。
【0015】
本発明はさらに、追加的多量体を特徴とする。1つのそのような核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子と、(b)双方向的構造もしくは分枝構造を持つオリゴヌクレオチドとを含み、それぞれの融合分子の核酸の配列が前記オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズしている。
【0016】
別の核酸-蛋白質融合多量体は、(a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子であって、前記それぞれの融合分子の核酸がポリプリン領域を含む融合分子と、(b)少なくとも2つのポリピリミジン領域を含むオリゴヌクレオチドを含み、前記融合分子の前記ポリプリン領域が前記オリゴヌクレオチドの前記ポリピリミジン領域にハイブリダイズし、前記融合蛋白質の前記オリゴヌクレオチドとの結合は、三重らせん構造を形成するのとは反対方向に生じる。この態様において、該オリゴヌクレオチドは、環状とすることができ、クランプ状構造を形成することができ、および/または1以上のポリアミド核酸を含むことができる。
【0017】
本発明の上記多量体のいずれかの好ましい態様において、融合分子は、融合分子の核酸またはオリゴヌクレオチド内に位置するクロスリンク部分を通じてクロスリンクすることができる。そして、クロスリンク部分はソラレンとすることができる。
【0018】
本発明はさらに、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、該融合分子の蛋白質部分はそれぞれ多量体化ドメインを含み、該多量体化ドメインは、非共有結合を形成することによって相互作用する、核酸-蛋白質融合多量体を特徴とする。
【0019】
本発明の一局面の好ましい態様において、多量体化ドメインは相互作用して、ホモ二量体、ヘテロ二量体、三量体、または四量体を形成し、多量体化ドメインの少なくとも2つは、ロイシンジッパー結合領域を含み、該ロイシンジッパー結合領域は、Fos、Jun、もしくはGCN4ロイシンジッパー結合領域に由来し、および/または多量体化ドメインの少なくとも1つは、テトラジッパー結合領域を含む。
【0020】
更なる局面において、本発明は蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、それぞれの融合分子の前記蛋白質は官能基を含む多量体化ドメインを含み、1つの融合分子の官能基は別の融合分子の官能基と共有結合によって結合している核酸-蛋白質融合多量体を特徴とする。
【0021】
本発明のこの局面の好ましい態様において、共有結合は外部クロスリンク剤を含み、少なくとも1つの官能基は、アミンもしくはチオールを含み、少なくとも2つの官能基は、チオールを含み、共有結合は、ジスルフィド結合であり、および/または多量体化ドメインは、抗体定常領域を含む。
【0022】
本発明にかかる多量体のいずれかの好ましい態様においては、融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の蛋白質は、化合物認識ドメインをさらに含む。化合物認識ドメインは、抗体可変領域および/またはランダム化ドメインを含むことができる。化合物認識ドメインは、DNA(例えば、それはジンクフィンガー結合ドメインを含んでもよい)と相互作用することができる。さらに、本発明の任意の多量体は、RNA-蛋白質融合分子またはDNA-蛋白質融合分子である、核酸-蛋白質融合分子を少なくとも1個含むことができる。
【0023】
更に別の態様においては、本発明は、RNA-蛋白質融合多量体であって、該多量体は、蛋白質に共有結合しているRNAの融合分子を2個以上含み、該融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズするRNA-蛋白質融合多量体を特徴とする。
【0024】
本発明のこの局面における好ましい態様において、融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子のRNAは、共有結合している蛋白質をコードし、融合分子のRNA内に位置するクロスリンク部分を通じてクロスリンクされており、クロスリンク部分はソラレンである。
【0025】
第2の一般的な局面において本発明は、ここに記載する多量体を作製する方法に関する。そのような方法の1つは、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合した蛋白質をコードしている工程、および(b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0026】
別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の、ストレプトアビジンを含まない融合分子を2個以上提供する工程、および(b)融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズし、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0027】
多量体を作製する別の方法は、以下の工程を含む:(a)3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、および(b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0028】
多量体を作製する別の方法は、以下の工程を含む:(a)ペプチドアクセプターを通じて蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、および(b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0029】
多量体を作製するさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に、チオール−マレイミド結合ではない共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、および(b)該融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせることによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0030】
多量体を形成する別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合した蛋白質をコードしている工程、(b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記オリゴヌクレオチドを前記それぞれの融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0031】
多量体を作製するための別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子はストレプトアビジンを含まない工程、(b)それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記オリゴヌクレオチドをそれぞれの融合分子にハイブリダイズさせることによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程を含む。
【0032】
多量体を作製するためのさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、(b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記オリゴヌクレオチドを前記それぞれの融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0033】
多量体を作製するためのさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)ペプチドアクセプターを通じて蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子は核酸配列を通じて互いにハイブリダイズしている工程、(b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および、(c)前記オリゴヌクレオチドを前記融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0034】
多量体を作製するためのさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、(b)双方向的な構造または分枝構造を有する、前記各融合分子内のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記オリゴヌクレオチドを前記各融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0035】
オリゴヌクレオチドを含むあらゆる方法において、該オリゴヌクレオチドは、線形構造、双方向的構造、または分枝構造のいずれでもよい。
【0036】
本発明の、多量体を作製するためのさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、(b)双方向的な構造または分枝構造を有する、前記各融合分子内のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記オリゴヌクレオチドを前記各融合分子にハイブリダイズし、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0037】
多量体を作製するための別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記それぞれの融合分子はポリプリン領域を含む工程、(b)少なくとも2つのポリピリミジン領域を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および(c)前記ポリプリン領域を前記ポリピリミジン領域にハイブリダイズさせる工程であって、前記融合分子と前記オリゴヌクレオチドとの結合が三重らせん構造を形成するのとは反対方向に生じ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0038】
本発明の本実施形態において、オリゴヌクレオチドは、環状であることができ、クランプ状構造を形成することができ、および/または1以上のポリアミド核酸を含むことができる。
【0039】
本発明の任意の作製技法において、本発明はさらに融合分子を互いに、または、オリゴヌクレオチドにクロスリンクさせることを含む。このクロスリンクは、該融合分子またはオリゴヌクレオチドをソラレンで機能化させ、そして核酸-蛋白質融合多量体を照射することによって行うことができる。
【0040】
多量体を作製するさらに別の方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記それぞれの融合分子の蛋白質部分が多量体化ドメインを含んでいる工程、および(b)前記多量体化ドメイン間の非共有結合的な相互作用を可能とする条件下で前記融合分子を組み合わせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0041】
本発明の一局面の好ましい態様において、多量体化ドメインは相互作用して、ホモ二量体、ヘテロ二量体、三量体、または四量体を形成し、多量体化ドメインの少なくとも2つは、ロイシンジッパー結合領域を含み、該ロイシンジッパー結合領域は、Fos、Jun、もしくはGCN4ロイシンジッパー結合領域に由来し、および/または多量体化ドメインの少なくとも1つは、テトラジッパー結合領域を含む。
【0042】
本発明のさらに別の方法において、核酸-蛋白質融合多量体を作製する方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記各融合分子の蛋白質は官能基を持つ多量体化ドメインを含んでいる工程、および(b)1つの融合分子の官能基が別の融合分子の官能基と共有結合することができるような条件下で、前記融合分子を組み合わせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0043】
この方法の好ましい態様において、共有結合は、外部クロスリンク剤を含み、少なくとも1つの官能基は、アミンもしくはチオールを含み、少なくとも2つの官能基はチオールを含み、共有結合は、ジスルフィド結合であり、および/または多量体化ドメインは、抗体定常領域を含む。
【0044】
本発明のいずれかの作製方法の好ましい態様においては、融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の蛋白質は、化合物認識ドメインをさらに含み、化合物認識ドメインは、抗体可変領域を含み、および/または化合物認識ドメインは、ランダム化ドメインを含むことができる。そのような化合物認識ドメインは、DNA(例えば、それはジンクフィンガー結合ドメインを含んでもよい)と相互作用することができる。さらに、本発明に記載の任意の作製方法は、RNA-蛋白質融合分子またはDNA-蛋白質融合分子である、核酸-蛋白質融合分子を少なくとも1つ含むことができる。
【0045】
本発明のさらに別の方法において、RNA-蛋白質融合多量体を作製する方法は、以下の工程を含む:(a)蛋白質に共有結合しているRNAの融合分子を2個以上提供する工程、(b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズし、それによってRNA-蛋白質融合多量体を形成する工程。
【0046】
第3の一般的な局面において、本発明はさらに、化合物と相互作用する蛋白質を選択する方法を特徴とする。該方法は、以下の工程を含む:(a)候補核酸-蛋白質融合多量体の集団を提供する工程であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の、ハイブリダイズまたは共有結合している融合分子を2個以上含む工程、(b)化合物を提供する工程、(c)前記化合物と前記候補核酸-蛋白質融合多量体との間の相互作用を可能とする条件下で、前記化合物を前記候補核酸-蛋白質融合多量体の集団と接触させる工程、および(d)前記化合物と相互作用する核酸-蛋白質融合多量体を選択し、それによって前記化合物と相互作用する蛋白質を選択する工程。
【0047】
1つの好ましい態様において、化合物はカラム上に固定化されている。
【0048】
別の好ましい態様において、前記方法は、以下の工程を含む:(e)前記化合物と相互作用しない核酸-蛋白質融合多量体を解離させる工程、(f)前記解離した核酸-蛋白質融合多量体を再結合させる工程、(g)前記化合物を前記再結合した核酸-蛋白質融合多量体と接触させる工程、および(h)前記化合物と相互作用する、再結合した核酸-蛋白質融合多量体を選択することによって、前記化合物と相互作用する蛋白質を選択する工程。この方法においては、化合物と相互作用しない核酸-蛋白質融合多量体の会合および再結合は、融合分子の加熱および冷却、または、還元反応による変性、それに続く酸化的条件での再結合によって行うことができる。工程(e)〜(h)は任意の回数繰り返すことができる。
【0049】
選択方法の別の好ましいアプローチにおいて、工程(a)において前記集団は、平衡条件下で維持されており、それによって、核酸-蛋白質融合多量体の個々の融合分子は迅速に解離され、別個の融合分子と会合し、それによって新たな核酸-蛋白質融合多量体を形成する。
【0050】
さらに別の好ましい態様において、上記工程(a)〜(d)をもつ方法はさらに、以下の工程を含む:(e)工程(d)で選択された前記核酸-蛋白質融合多量体の核酸を増幅する工程、(f)前記増幅された核酸から、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を生成する工程、(g)融合分子から、核酸-蛋白質融合多量体の第2の集団を生成する工程、および(h)工程(b)から(d)を繰り返す工程。
【0051】
選択方法の好ましい態様において、化合物は、溶液中で核酸-蛋白質融合多量体と相互作用し、続いて固相上に固定化される。化合物は、検出可能に標識されている。化合物はビオチンであり、固相支持体は、ストレプトアビジン樹脂であり、および/または少なくとも1つの融合分子は、RNA-蛋白質融合分子またはDNA-蛋白質融合分子である。
【0052】
本明細書において用いられているところの「核酸-蛋白質融合分子」は、蛋白質に直接的もしくは間接的に共有結合している核酸を含む分子を意味する。この分子はまた、更なる成分、例えば、非ヌクレオシドスペーサーもしくはソラレンを含むことができる。核酸分子は、RNA分子もしくはDNA分子であることができ、または配列の1以上の位置にRNA類似物もしくはDNA類似物を含むことができる。あるいは、融合物の核酸部分は、部分的もしくは全体的にPNA配列で構成することもできる。融合物の「蛋白質」部分は、2もしくはそれ以上の天然に存在する、または、1以上のペプチド結合で結合した改変されたアミノ酸で構成することもできる。「蛋白質」および「ペプチド」は、本明細書において互換的に用いられている。典型的なRNA-蛋白質融合分子については、例えば、RobertsおよびSzostak (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94: 12297-302、1997); Szostakら(国際公開公報第98/31700号、第00/47775号);およびGoldら(米国特許第5,843, 701号)に記載がある。典型的なDNA-蛋白質融合分子については、例えば、米国特許第6,416, 950号;国際公開公報第00/32823号に記載がある。それらすべてを本明細書に引用によって援用する。
【0053】
「核酸-蛋白質融合多量体」は、2以上の同一のもしくは異なる、共有結合もしくは非共有結合した核酸-蛋白質融合物を意味する。
【0054】
「機能化する」は、分子を、官能基もしくは部分を結果的に付着する方法で、化学的に改変することを意味する。例えば、核酸-蛋白質融合分子は、ソラレン、アジド化合物または硫酸含有ヌクレオシドのようなクロスリンク部分を用いて機能化することができる。
【0055】
「ハイブリダイズさせる」は、相補的な核酸配列を別の配列と会合させることを意味する。標準的なハイブリダイゼーション技法は、当該技術において公知である(例えば、Ausubel ら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons、New York、NY、1998参照)。核酸配列は、低温(例えば、室温未満もしくは室温と同じ)、中〜高イオン強度緩衝液(例えば、100mM以上の塩濃度を有する緩衝液)および中性pH(例えば、pH7〜8)の条件下でハイブリダイズさせることが好ましい。
【0056】
核酸-蛋白質融合分子の「多量体化ドメイン」は、融合分子を1以上の追加的核酸-蛋白質融合分子と結合して、核酸-蛋白質融合多量体を形成する核酸-蛋白質融合分子の一部分を意味する。結合は、共有結合であっても、非共有結合であってもよい。多量体化ドメインは、融合分子の蛋白質部分に位置づけることができる。そこでは、融合分子の多量体化は、蛋白質多量体化ドメインの相互作用によって生じる。蛋白質多量体化ドメインの例としては、限定されないが、互いに相互作用するように機能化されたドメイン、ホモ二量体、ヘテロ二量体、三量体もしくは四量体を形成することが可能なドメイン(例えば、ロイシンジッパー結合領域もしくはテトラジッパー結合領域)、および抗体定常領域が含まれる。あるいは、多量体化ドメインは、融合分子の核酸部分に位置づけられてもよい。そこでは、融合分子の多量体化は、例えば、ハイブリダイゼーションによって生じる。「多量体化ドメイン」は、外部オリゴヌクレオチド上に配置されてもよい。その場合、ドメインは融合分子の核酸部分にハイブリダイズし、多量体を形成する。
【0057】
「化合物認識ドメイン」は、核酸-蛋白質融合分子(もしくはその関連のある複合体)と、ある化合物との相互作用を(例えば、結合事象を結合もしくは触媒することによって)促進する核酸-蛋白質融合分子の一部分を意味する。化合物認識ドメインは、融合分子の蛋白質部分に配置されてもよいし、例えば、ランダム化アミノ酸配列、天然に存在する、もしくはDNA(例えば、ジンクフィンガー結合ドメイン)との相互作用が可能な最適化されたドメイン、または抗体可変領域を含むことができる。化合物認識ドメインは、化合物の相互作用を単独で促進することもできるし、または好ましくは、ある複合体における他の関連する融合分子の化合物認識ドメインとの組み合わせにおいて、化合物の相互作用を促進することもできる。
【0058】
「ペプチドアクセプター」は、リボソームペプチジルトランスフェラーゼ機能の触媒活性によって蛋白質の成長鎖のC末端に添加され得る任意の分子を意味する。典型的には、そのような分子は、下記(i)〜(iii)を含有する。(i)ヌクレオチドまたはヌクレオチド様部分(例えば、アデノシンまたはアデノシン類似物(N−6末端アミノ位置におけるジメチル化が許容できる))、(ii)アミノ酸またはアミノ酸様部分(例えば、20D−、もしくはL−アミノ酸またはその任意のアミノ酸類似物(例えば、O−メチルチロシンもしくはEllman ら、Meth. Enzymol. 202: 301、1991に記載の類似物のいずれか、および(iii)二者間の結合(例えば、3'位置もしくは、あまり好ましくはないが、2'位置におけるエステル、アミドもしくはケトン結合);この結合は、天然のリボヌクレオチド立体構造の環の歪みに対して有意な撹乱を起こさないことが好ましい。ペプチドアクセプターはまた、求核剤を持つこともでき、それは、アミノ基、水酸基、またはスルフヒドリル基であることができるが、それに限定されない。さらに、ペプチドアクセプターは、ヌクレオチド模倣体、アミノ酸模倣体、またはヌクレオチド−アミノ酸結合構造の模倣体から構成することもできる。典型的なペプチドアクセプターは、例えば、Szostak らの国際公開公報第98/31700号に記載されている。
【0059】
蛋白質に適用されるときの「選択すること」は、化合物と相互作用する核酸-蛋白質融合多量体中の蛋白質を同定すること、検出することもしくは実質的に単離することを意味する。蛋白質は、例えば、化合物をカラム上に固定化し、候補核酸-蛋白質融合多量体を含有する溶液をカラムに通し、関連する融合多量体を化合物とのアフィニティー相互作用によってカラムに結合させ、非特異的融合物をカラムから取り除き、そして、化合物に結合している多量体を溶出することによって、選択することができる。溶出液に含有されている核酸-蛋白質融合多量体は、選択された蛋白質を含有する。したがって、化合物と相互作用する核酸-蛋白質多量体を「選択する」ことによって、化合物と相互作用する蛋白質を「選択」することができる。
【0060】
「化合物」もしくは「リガンド」は、天然に存在するもしくは人工的に誘導されたものでもよい化学分子を意味する。そしてそれは、例えば、ペプチド、蛋白質、合成有機分子、天然に存在する有機分子、核酸分子、およびそれらの成分を含む。
【0061】
蛋白質またはペプチドの、核酸-蛋白質融合多量体を用いたインビトロ選択には多くの利点がある。例えば、多量体化は、異なるパートナーを有する同様の核酸-蛋白質融合分子の全く一致するコピーの結合を可能とすることによって、候補物質のプールの複雑度を増加させることができる。さらに、プールメンバーの平衡状態の会合および解離は、動的再結合を可能にし、それによってさらに、核酸-蛋白質融合多量体の新たな組み合わせを繰り返し作製することでプールの複雑度を増加させる。
【0062】
さらに、特定の遺伝子組み換え法とは対照的に、本発明は、表現型レベルにおいて、ドメインシャッフリング法を提供する。核酸-蛋白質融合分子の動的な再結合は、インビトロ選択実験中の任意の時点に生じる。核酸-蛋白質融合分子の固有の定常組換えの可能性は、以下に示すように、新規な特性を持つ蛋白質のインビトロ選択の有利さを提供することができる。
【0063】
本発明の他の特徴および利点は、下記の詳細な説明および請求の範囲から明らかになるであろう。
【0064】
本明細書には、核酸-蛋白質融合多量体を生成する方法および、核酸-蛋白質融合分子の形状で所望の蛋白質およびペプチドを選択するためにそのような融合複合体を使用する方法が記載されている。本発明のそれぞれの方法を行う技法を特別の実施例を用いて詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を説明するために提供するのであって、本発明をさらに制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0065】
核酸 - 蛋白質融合分子の形成
上記のように、本発明において有用な核酸-蛋白質融合分子は、天然に存在する任意のペプチド配列もしくは改変されたペプチド配列に共有結合した任意の核酸もしくは核酸類似物を含むことができる。関連づけられた蛋白質をコードするRNAをコードしているRNA-蛋白質融合物を生成するために、個別のRNA配列(もしくは複数の配列)をインビトロで翻訳し、融合物を、例えば、RobertsとSzostak(前掲)およびSzostakら(前掲)に記載の方法にしたがって作製することができる。インビトロ翻訳反応のためのRNAは、標準的な細胞合成、組換え技法、化学合成および酵素合成(例えば、T7 RNAポリメラーゼを用いたインビトロ翻訳)を含む、任意の標準的な方法で生成することができる。本発明の有用なRNAライブラリーは、限定されないが、細胞RNAライブラリー、mRNAライブラリーおよびランダム合成RNAライブラリーを含む。Szostakら(前掲)の方法におけるペプチドアクセプターを核酸もしくは核酸類似物のリンカーを通じてRNAと結合させる。ほとんどあらゆるスペーサーユニットを用いてペプチドアクセプターをRNAに結合させることができる。例えば、Glen Research (Sterling、VA)によって提供されるスペーサーユニットを使用することができる。特に、トリエチレングリコールホスフェートスペーサー(スペーサー9)、ヘキサメチレングリコールホスフェートスペーサー(スペーサー18)、プロピレンホスフェートスペーサー(スペーサーC3)、およびドデカメチレンホスフェートスペーサー(スペーサーC12)を用いることができる。更なる核酸類似物の例は、例えば、ポリアミド核酸(PNA;Nielsenら、Science 254: 1497, 1991)、P−RNA(Krishnamurthy、Angew. Chem. 35: 1537,1996)、または3'N ホスホラミダイト(phosphoramidate)(Gryaznov とLetsinger、Nucleic Acids Res. 20: 3403、1992)があげられる。そのようなペプチドアクセプターは、任意の標準的な技法、例えば、RobertsとSzostak(前掲)、およびSzostakら(前掲)に記載の技法にしたがって作製することができる。
【0066】
RNA-蛋白質融合分子は、翻訳開始配列および候補蛋白質コード配列に作用可能に結合した開始コドンを含むmRNA分子、ならびに候補蛋白質コード配列の3'末端のペプチドアクセプターからなることが好ましい。DNA、または核酸類似物リンカー配列に対するRNaseがメッセージの端部とペプチドアクセプターの間に含まれている。望ましければ、例えば、特定のソースの、もしくは所与の種類の、RNA配列の集団もしくはコレクションを、単一の反応混合物において、同一の一般的な手順にしたがって、一緒に翻訳してもよい。
【0067】
DNA-蛋白質融合分子もまた、本発明を行うために用いることができる。そのようなDNA-蛋白質融合分子は、DNA、例えばcDNAが融合分子の蛋白質部分に共有結合によって付着していることを除いて上記RNA-蛋白質融合分子に類似している。DNAは、それが結合する蛋白質の遺伝子情報を含有していることが好ましい。DNA-蛋白質融合分子は、例えば、米国特許第6,416,950号、国際公開公報第00/32823号に記載の方法によって生成することができる。
【0068】
選択の目的で、そのように作製された融合分子は、標的化合物との相互作用を促進する候補化合物認識ドメインをもつ蛋白質ドメインを、単独で、または融合多量体中の他の関連する融合物からの化合物認識ドメインと共同して、含むことが好ましい。さらに、融合分子の核酸または蛋白質部分は、集団中の他の融合分子を用いた多量体複合体の形成を促進する多量体化ドメインを含むことが好ましい。
【実施例2】
【0069】
核酸 - 蛋白質融合分子の核酸部分の直接的なハイブリダイゼーションによる核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
核酸-蛋白質融合分子は、例えば、RNA-蛋白質融合分子のRNAもしくはリンカーDNA部分のいずれかに位置する、またはDNA-蛋白質融合分子に位置する、核酸部分の二本鎖形成を通じて多量体化することができる。図1Aに示されているように、塩基対形成領域は、ヘテロ二量体(例えば、A−Bヘテロ二量体)または融合分子(例えば、Aa−Z;Ba−z)のプールの形成を可能とするように特異的に設計することができる。あるいは、DNA-蛋白質融合分子のDNA部分またはDNAリンカーの回文配列を使用することによって、ホモ二量体の形成が可能となる(図1BのA−A参照)。核酸-蛋白質融合分子は直接的なハイブリダイゼーションによって結合してもよいので、この方法は二量体化の場合に限定されるわけではない。好ましくは、核酸配列の多量体化ドメインは、低温(例えば、室温未満もしくは室温と同じ)、中〜高イオン強度緩衝液(例えば、100mM以上の塩濃度を含有する緩衝液中)および中性pH(例えば、pH7〜8)の条件下でハイブリダイズする。さらに、融合分子のそれぞれの核酸部分の、ハイブリダイズする配列の長さは15〜25ヌクレオチド長であることが好ましい。
【0070】
核酸-蛋白質融合分子を互いに直接ハイブリダイゼーションさせるためには、核酸-蛋白質融合分子を融合していない核酸もしくはDNAリンカーから核酸−蛋白質融合分子を注意深く精製することが必要である。混入する融合していない核酸もしくはDNAリンカーも、核酸-蛋白質融合分子とハイブリダイゼーションされることになり、したがって、二量体化を妨げることになる。さらに、ハイブリダイゼーションドメインの長さと配列を慎重に選択することによって、多量体融合分子複合体の熱力学的安定性の調整が可能となる。これは、以下に示すように、融合分子の平衡状態の会合および解離が重要である場合の適用において特に重要である。核酸-蛋白質融合分子は、RobertsとSzostak(前掲)の方法にしたがって精製することができる。
【実施例3】
【0071】
コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成を介しての核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
個別の核酸-蛋白質融合分子の多量体化は、外部オリゴヌクレオチドによっても媒介され得る。例えば、単純な線形オリゴヌクレオチド配列中の多量体化ドメインを使用することができ、それは、ワトソン・クリック塩基対形成を介して、複数の核酸-蛋白質融合分子中の多数のドメインと同時に結合する(図2A)。ヘテロ多量体もしくはホモ多量体の核酸-蛋白質融合分子は、多量体の融合分子の所望のメンバーのそれぞれに含有される配列にハイブリダイズする配列を含有するオリゴヌクレオチドを設計することによって、生成することができる。
【0072】
類似のアプローチにおいて、核酸-蛋白質融合多量体は、各融合分子の核酸多量体化ドメインを、双方向鋳型オリゴヌクレオチド中の多量体化ドメインにハイブリダイズすることによって形成することができる(図2B)。望ましければ、鋳型オリゴヌクレオチドを、融合分子の核酸部分の3'末端にハイブリダイズするように、または、より好ましくは、融合分子のリンカー部分の3'末端のピューロマイシンに隣接する核酸配列にハイブリダイズするように設計することによって、核酸-蛋白質融合体の蛋白質部分を互いに近くに配置してもよい。
【0073】
この方法に用いられる双方向オリゴヌクレオチドの配列極性の所望の反転は、鋳型分子の一方の半分を標準的なDNA合成、その後第2の半分を5'-ホスホラミダイトを用いた合成を行うことによって容易に導入することができる(Glen Research)。
【0074】
核酸-蛋白質融合分子およびオリゴヌクレオチドの、ハイブリダイズする配列の長さは、各融合分子につき15〜25ヌクレオチド長であることが好ましい。その結果、多量体融合分子が2つの融合分子を含有する場合、ハイブリダイゼーション配列の長さの合計は30〜50ヌクレオチドとなる。ハイブリダイゼーションの最適条件は、低温(例えば、室温未満もしくは室温と同じ)、中〜高イオン強度の緩衝液(例えば、100mM以上の塩濃度を含有する緩衝液中)および中性pH(例えば、pH7〜8)を含む。
【実施例4】
【0075】
分枝コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成を介しての核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
核酸-蛋白質融合多量体は、個別の融合分子を分枝コネクターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることによっても生成することができる(図2C)。例えば、分枝アミダイト(Clontech、Palo Alto、CAから入手可能な試薬)を用いて分枝オリゴヌクレオチドを合成することができ、そこではオリゴヌクレオチドの各分枝は、1以上の個別の融合分子の核酸部分もしくはリンカー中の多量体化ドメインにハイブリダイズする多量体化ドメインを含有する。多数の分枝点からなる分枝コネクターヌクレオチドを設計および使用しても、多量体核酸-蛋白質融合分子を形成することができる。核酸-蛋白質融合分子の、ハイブリダイズする配列の長さは、各融合分子につき15〜25ヌクレオチド長であることが好ましい。最適なハイブリダイゼーション条件は実施例3に示したとおりである。
【実施例5】
【0076】
環状の三重鎖形成性オリゴヌクレオチドを用いた核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
核酸-蛋白質融合多量体は、個別の融合分子が結合する鋳型として環状の三重鎖形成性オリゴヌクレオチド(TFO)を用いて生成することもできる(SelvasekaranおよびTurnbull、Nucleic Acids Res. 27: 624,1999)。核酸-蛋白質融合分子上の標的配列(多量体化ドメイン)は、好ましくはリンカーDNAにおいて、ポリプリン領域を含むように設計され得る。これらの領域は、TFO内に含有されるポリピリミジン領域と結合し、TFO内に含有されるポリピリミジン領域は、アンチパラレルワトソン・クリック塩基対形成によって1つの核酸-蛋白質融合分子を標的とし、一方他の核酸-蛋白質融合分子はパラレルなフーグスティーン型結合をする。したがって、2つの核酸-蛋白質融合分子は、反対方向に結合することができ、ペプチド部分をそれぞれ隣接して配置することができる。各ポリプリンおよびポリピリミジン領域の長さはそれぞれ15〜25ヌクレオチド長であることが好ましい。ポリプリンおよびポリピリミジン領域のハイブリダイゼーションは、低温で、多価カチオン(例えば、Mg2+、スペルミン、またはスペルミジン)を含有する中〜高イオン強度緩衝液を用いてやや酸性pH(例えば、pH約5〜6)で行う。さらに、2個より多い核酸-蛋白質融合分子を三重鎖形成性オリゴヌクレオチド鋳型とともに結合してもよい。
【0077】
このアプローチには、従来のDNAに換えて、三重鎖形成において好ましい作用をすることから、ポリアミド核酸(PNA)が好適である(Uhlmanら、Angew. Chem. Int. Ed. 37: 2796-2823, 1998)。
【実施例6】
【0078】
クランプ状の三重鎖形成性オリゴヌクレオチドを用いた核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
核酸-蛋白質融合多量体は、上記と同様の方法を用いて形成することができる。この方法においては、個別の核酸-蛋白質融合分子中の多量体化ドメインを、クランプ状構造を持つTFOオリゴヌクレオチド中の多量体化ドメインにハイブリダイズさせる。上記実施例と同様に、そのようなTFOの合成には、ポリアミド核酸(PNA)を用いてもよい。各ポリプリンおよびポリピリミジン領域の長さは10〜15ヌクレオチド長であることが好ましく、ハイブリダイゼーションは、低温(例えば、室温未満もしくは室温と同じ)、中〜高イオン強度緩衝液(例えば、50mM以上の塩濃度を含有する緩衝液中)およびやや酸性pH(例えば、pH5〜6)の条件下で行う。
【0079】
多量体融合複合体を生成するための上記それぞれの方法において、核酸-蛋白質融合分子の純度を高くする必要があることを指摘することは重要である。混入する融合していない核酸もしくはDNAリンカーも、核酸-蛋白質融合分子とハイブリダイズし、したがって、二量体化を妨げるかもしれないからである。
【実施例7】
【0080】
融合分子の核酸部分間の共有結合を通じての核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
望ましければ、ハイブリダイゼーションに含まれる核酸塩基間の共有結合を形成することによってハイブリダイズされた融合分子およびオリゴヌクレオチドに安定性を付加することで、上記実施例のいずれかの方法を強化することができる。例えば、ソラレン部分を持つように機能化されたオリゴヌクレオチドコネクターは、長波UV光を照射すると、融合分子中の相補的な核酸にクロスリンクを導入することができる。そのようなソラレン部分は、融合分子と対を成すオリゴヌクレオチド内(PielesおよびEnglisch、Nucleic Acids Res. 17: 285、1989)、またはオリゴヌクレオチドに隣接した(Pielesら、Nucleic Acids Res. 17: 8967、1989)有利な位置に配置することができる。
【実施例8】
【0081】
核酸 - 蛋白質融合分子のペプチド部分間の共有結合形成
核酸-蛋白質融合多量体は、個々の融合分子の蛋白質部分間の共有結合的な相互作用によって形成することもできる。例えば、融合分子のペプチド部分の多量体化ドメインに存在する好適な官能基(例えば、−NHおよび−SH)を、商品化されている標準的なクロスリンク剤(−NH2 to −NH2:ジスクシンイミジルスベリン酸塩(DSS)および関連試薬、Mattsonetら、Molecular Biology Reports 17: 167-183、1993に記載;−NH2 to−SH:(N-[e-マレイミドカプロイルオキシ]スクシンイミドエステル(N-[e-Maleimidocaproyloxy] succinimide ester)(EMCS)、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(N-succinimidyl 3-(2- pyridyldithol) proprionate)(SPDP)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、マレイミドベンゾイル-N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)および関連試薬(Peetersら、J. Immunol. Methods 120: 133.-143、1989の方法による)、1, 4-ビス-マレイミジル-2,3-ジヒドロキシブタン(BMDB)および関連試薬;Pierce, Rockford, IL)を用いて、個別の融合分子を共有結合的にクロスリンクさせるために使用することができる。あるいは、2つの−SH基を直接的にジスルフィド結合を形成することによって結合することもできる。
【0082】
好ましくは、これらのクロスリンク方法においては、所望の官能基を持ち、ペプチド内の有用な位置に位置づけられるアミノ酸を用いる。あるいは、そのようなアミノ酸をペプチド内の特定の位置に導入してもよい。さらに、そのような官能基は、核酸-蛋白質融合分子1個当たり1つずつ存在する。または、クロスリンク形成において、潜在的な競合物と比べて相対的に高い反応性が確立されるように位置づけることができる。これは、例えば、上記核酸ハイブリダイゼーション法を用いて、所望の反応基を特異的なクロスリンク反応が促進されるように位置づけることで達成し得る。
【0083】
動態平衡状態の多量体形成(実施例14に記載)は、不適切な配向または位置づけを補正するのに有利である。
【実施例9】
【0084】
核酸 - 蛋白質融合分子の蛋白質部分の会合による核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
核酸-蛋白質融合多量体の形成はまた、融合分子の蛋白質部分の多量体化ドメインの会合によっても達成することができる。このアプローチにおいては、融合分子の各蛋白質部分は、2つの領域、定義された多量体化ドメインおよび化合物認識ドメイン(例えば、ランダム化ドメイン)を含む。核酸-蛋白質融合分子は、例えば、定義された多量体化ドメインおよびランダム化化合物認識ドメインをコードする核酸を含有する核酸分子を合成することによっても生成することができる。あるいは、所望のランダム化化合物認識ドメインをコードする核酸は、定義された多量体化ドメインをコードする選択された核酸配列にライゲーションしてもよい。次に、二量体化または多量体化核酸-蛋白質融合分子を、定義された多量体化ドメインの相互作用によって形成する。多量体化ドメインは、例えば、ホモ二量体(例えば、GCN4ロイシンジッパー、O'Shea ら、 Science 243: 538-42,1989 ;およびO'Shea ら、Science 254: 539-44,1991)、ヘテロ二量体(例えば、Jun-Fos O'Sheaら、Science 245: 646-8、1989)、三量体もしくは四量体(Harburyら、Science 262: 1401-7、1993;およびGraddisら、Biochemistry 32: 12664-71、1993)を形成するように選択してもよい。あるいは、多量体化ドメインは、抗体定常領域でもよい(例えば、C−C、Muller ら, FEBS Lett. 422: 259-64、1998に記載)。望ましければ、さらに融合分子の多量体化ドメイン間の相互作用を、多量体化ドメイン間の共有結合のジスルフィド架橋によって強化することができる。
【0085】
好ましくは、各核酸-蛋白質融合分子の多量体化ドメインの相対的な配向は、融合分子の核酸部分を妨害することなく、ランダム化化合物認識ドメインが互いに近接しあうように選択される。これは、例えば、パラレル多量体化ドメイン(例えば、ジンクフィンガードメイン、ロイシンジッパードメイン、例えば、Jun-Fosロイシンジッパー領域、抗体C−C領域、テトラジッパー領域、または当該技術分野において公知の他のそのような結合ドメイン)を蛋白質部分のカルボキシ末端に、アミノ末端にはランダム化化合物認識ドメインを備えている状態で、導入することによって達成することができる(図4Aおよび4B)。
【実施例10】
【0086】
多量体の核酸 - 抗体Fab断片複合体の形成
融合分子の蛋白質部分の多量体化ドメイン間の相互作用による核酸-蛋白質融合多量体の形成は、これらの蛋白質部分を、抗体Fab断片を含むように設計することによって可変性にすることができる。二量体化は、定常領域、CおよびC(すなわち、多量体化ドメイン)の会合によって媒介され、その後ジスルフィド結合が形成され、ランダム化可変領域VおよびV(すなわち、化合物認識ドメイン)が、潜在的な抗原を正確に認識することができる。この方法は、抗体Fabライブラリーの構築のために用いることができる(Gaoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 6025、1999)。
【実施例11】
【0087】
所望のDNA二重らせんエレメントに結合する蛋白質多量体の選択のための核酸 - 蛋白質融合多量体の形成
DNA結合蛋白質(Pomerantzら、Biochemistry 37: 965、1998)は、核酸-蛋白質融合多量体を用いたインビトロ選択によっても発見される。実施例9において上記したように、融合分子の蛋白質部分のC末端は、適切な二量体化ドメイン(例えば、ロイシンジッパードメインまたは図4Cに示されている抗体定常領域)、または核酸-蛋白質融合分子のコンテキスト内の核酸配列に融合され得る。この分子は、DNA(例えば、ジンクフィンガードメイン)を認識し、結合する化合物認識ドメインをさらに含有する。融合蛋白質二量体を二重鎖標的DNAエレメントに接触させると、融合蛋白質は、標的DNA上の2つの調節配列ドメインを認識し、結合するであろう(図4C)。ランダム化配列を含有するジンクフィンガードメインを、所望のDNA二重らせんエレメントと結合する蛋白質二量体を選択するために使用することができる。
【実施例12】
【0088】
多数の核酸 - 蛋白質融合分子の組み合わせによるライブラリーの複雑度の増加
核酸-蛋白質融合多量体のランダムライブラリーは、核酸-蛋白質融合分子の異なるライブラリーどうしを結合することによって形成することができる。例えば、二量体構成物の場合、ランダムライブラリーの構築は、ランダム化鋳型DNA(例えば、A1−n;B1−n)の2つの独立したプールを準備することから始める。DNA分子の増幅、その後の核酸-蛋白質融合分子の形成を、例えば、RobertsとSzostak (前掲)、およびSzostakら(前掲)に記載の方法にしたがって行うことによって、2つのプールの各メンバーの多数のコピーができる。二量体化工程において、それぞれの特定の分子(例えば、A)をランダムに他のプールからの異なる分子(例えば、B)と組み合わせ、可能な特有なメンバー(A−B;A−B;A−B、…)を得る(図5参照)。こうして、ライブラリーの複雑度が最大になり、プールに存在する二量体核酸-蛋白質融合分子の可能な組み合わせの数と事実上等しくなる。
【実施例13】
【0089】
選択工程において再結合を繰り返すことによるライブラリー複雑度の増加
核酸-蛋白質融合分子の多量体化を支配する力の性質および強度にしたがって、選択プロセスの間に解離および再結合の工程を導入することができ、それによって新たな多量体を連続的に作製し、最大の分子の多様性に近づくことができる。
【0090】
所与のリガンドに対する結合アフィニティーの高い核酸-蛋白質融合分子のインビトロ選択のための例示的なスキームを以下に述べる(図6)。核酸-蛋白質融合分子AおよびBは別々に生成され、その後上記のいずれかの方法を用いて多量体化される。次にこのライブラリーを所望の固定化されたアフィニティーリガンド、例えば、候補化合物をもつカラムに通す。リガンドと結合する核酸-蛋白質融合多量体をカラムに維持し、未結合の多量体融合物を溶出液中に回収する。
【0091】
次の工程において、溶出液中に含有されている未結合の多量体融合複合体を解離し、再び結合させる。これは、例えば、核酸ハイブリダイゼーションまたは非共有結合的な蛋白質-蛋白質相互作用によって結合される多量体の簡単な加熱-冷却プロセスによって達成される。別の例では、共有結合のジスルフィド結合によって結合した核酸-蛋白質融合多量体は、還元によって解離され、そして酸化状態において再び会合される。第2および第3の構造的要件によっては、そのような条件は、ペプチドドメインの適切な再折りたたみを要件とする必要があるかもしれない。再多量体化が起こった後、新たに形成された融合複合体を上記アフィニティーカラムに再び加える。このプロセスは、望ましければ、繰り返すことができ、適用可能ならば、自動化によって簡略化してもよい。所望の回数の選択が完了したとき、フロースルー(flowthrough)を処分し、選択された核酸-蛋白質融合複合体をアフィニティーカラムから溶出させる。選択された融合複合体は、リガンドを含まないアフィニティーカラムをさらに長い期間インキュベートすることによってアフィニティー溶出することができる。あるいは、そしてより好ましくは、溶出は、例えば、希釈酸によって、RobertsおよびSzostak(前掲)に記載のように、核酸-蛋白質融合複合体を酸または塩基処理して変性することによって行ってもよい。カラムの形式は当該技術分野の他の好適な方法に換えてもよい。
【実施例14】
【0092】
動的再結合によるライブラリー多様性の増加
核酸-蛋白質融合多量体の多様性を増加させる別のアプローチは、動的再結合によって改変された形式によるものである(Eliseev とLehn、Curr Top Microbiol Immunol 243: 159-72、1999)。この改変された方法は、やや弱い非共有結合の相互作用によって結合している個別の核酸-蛋白質融合複合体を用いる。平衡状態において、これらの分子は、迅速に会合および解離し、それによって、常に新たな多量体の種を作製する。リガンドに対する適切なアフィニティーをもつ融合多量体を形成するとすぐ、該多量体はリガンドと結合し、複合体全体の安定性を増加させる。リガンドと結合することによって、多量体は平衡状態でなくなり、まだ解離および再結合を行っているそれらの核酸-蛋白質融合複合体から解離される(図7)。
【0093】
実施例において用いることができる核酸-蛋白質融合多量体の特別な例は、上記のように核酸のハイブリダイゼーションによって結合するものである。ハイブリダイゼーションドメインの長さおよび配列に応じて、T(したがって、会合/解離平衡状態)を選択プロセスが行われる温度範囲に調節することができる。この結果、上記のように解離および再結合が行われ、ライブラリーの複雑度が増加する。
【実施例15】
【0094】
1つの分子から他の分子を生成する処理を行うときの再結合による新たな多様性の繰り返し生成
上記インビトロ選択工程によって、所望のリガンドに結合する核酸-蛋白質融合多量体のオリジナルのプールのサブセットを産出する。多量体の代表的な例として、ここでは二量体(例えば、A−B;A−B)について説明する。更なる選択を行うための、次の分子生成の準備の間、選択されたすべての核酸-蛋白質融合分子(単一のドメインAもしくはBを表す)は、PCRによる多数のコピーおよび翻訳において再び生成され、次の選択において用いることができる融合分子のプールに加えられる。これによって続く再結合のための新たな多様性が生成される(例えば、A−B;A1−B;A−B;A−B;図8)。選択を繰り返すことによって、最終的には所望のリガンドに任意に結合するドメインの組み合わせが豊富になる。
【実施例16】
【0095】
ドメインに結合する任意のリガンドの逆重畳積分および最終生成物の設計
二量体を用いた代表的な例を続けるために、数回のインビトロ選択および選択による強化の後、個別のプール(A、B)のそれぞれを、所望のリガンドと相互作用する核酸-蛋白質融合分子(例えば、Am.n.o 、Bp,q,r )の限られた数まで減少させる。しかも正確な二量体化パートナー(例えば、A−B)の最終的な割付は、すべての場合において自明ではないかもしれない。個別の分子の大半が少数の種類におさまる場合、例えば、それらが融合物の蛋白質部分に同じ結合ドメインを有している場合、核酸-蛋白質融合多量体を選択的に調製し、試験することができる。しかしながら、もし、個別の核酸-蛋白質分子の数が多ければ、いずれの1つの配列(例えば、A)も一定に保つことができ、集団全体をもつインビトロ選択(例えば、Bp,q,r )をさらにもう2〜3回続けることができ、そして一定に維持された特定の融合分子の適切なパートナーを同定する。
【0096】
二量体化パートナーの最終的な割付が達成された後、個別のセグメントを1つの共通の分子に操作することが望ましいかもしれない。これは、例えば、選択されたペプチドドメインを好適な足場(例えば、小さな有機鋳型分子もしくはペプチドリンカー)上に載せることによって達成することができる。さらに、選択された抗体Fabの軽鎖および重鎖をFc断片に移植し、完全な抗体構造(IgG)を生成することができる。
【実施例17】
【0097】
核酸 - 蛋白質融合多量体の合理的な設計
上記多量体化技法はまた、それらのサブユニットの定義された空間配列をもつマルチドメインペプチドもしくは蛋白質を設計するために使用することもできる。これは、融合分子の核酸部分と他の核酸-蛋白質融合分子と、または、好適な核酸鋳型とのハイブリダイゼーションによって容易に達成することができる。このアプローチは、内部ドメイン化学的反応の前、例えば、人工的な多機能ペプチドおよびマルチドメインレセプターを構築するための鋳型組織化合成蛋白質(template -assembled synthetic proteins)(TASP)方法の改変において、マルチドメインペプチドまたは蛋白質に近接させるために用いることができる(Tuchschererら、Methods Mol. Biol. 36: 261-85、1994)。この方法はまた、多価のミニ抗体に類似する抗体構築物を、PluckthunおよびPack(Immunotechnology 3: 83、1997)に記載の方法によって構築するために用いることもできる。
【0098】
さらに、核酸-蛋白質融合分子と核酸鋳型とのハイブリダイゼーションは、必ずしもRNA部分を必要とせず、DNAリンカーおよび蛋白質部分のみによって完成させることもできる。そのような場合、RNAは、DNase活性のないリボヌクレアーゼ(例えば、RNase I、Ambion (Austin、TX))によって、複合アッセンブリの前に安全に除去することができる。
【0099】
上記明細書から、それを種々の用途および条件に適用するために本明細書に記載の発明に対して変形および改変を行ってもよいことは明らかである。そのよう態様も以下に記載の本発明の請求の範囲に含まれる。
【0100】
本明細書において言及した全ての文献および特許は、それぞれの個々の文献および特許が特におよび個別に引用によって援用されることを示されるのと同じ程度に、引用によって本明細書に援用される。
【0101】
他の実施形態は、請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1A】図1Aは、融合分子の核酸部分またはリンカーDNAの二重らせん形成による核酸-蛋白質融合分子のヘテロ二量体化を示す模式図である。
【図1B】図1Bは、融合分子の核酸部分またはリンカーDNAの二重らせん形成による核酸-蛋白質融合分子のホモ二量体化を示す模式図である。ホモ二量体は、融合分子の核酸部分またはDNAリンカーが回文配列を含む場合に形成される。
【図2A】図2Aは、コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成による核酸-蛋白質融合分子の多量体化を示す模式図である。このコネクターオリゴヌクレオチドは、複数の融合分子をワトソン・クリック塩基対形成によって同時に結合する線形配列であることができる。
【図2B】図2Bは、コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成による核酸-蛋白質融合分子の多量体化を示す模式図である。このコネクターオリゴヌクレオチドは、双方向オリゴヌクレオチドであることができる。
【図2C】図2Cは、三元複合体形成による核酸-蛋白質融合分子の多量体化を示す模式図である。このコネクターオリゴヌクレオチドは、分枝オリゴヌクレオチドであることができる。
【図3A】図3Aは、コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成による核酸-蛋白質融合分子の多量体化を示す模式図である。このコネクターオリゴヌクレオチドは、環状の三重鎖形成性オリゴヌクレオチドであることができる。核酸-蛋白質融合分子の標的配列は、オリゴヌクレオチド内に含有された2つの互いに連結されているポリピリミジン領域に結合するポリプリン領域を含むように設計される。各ポリピリミジン領域は、1つの核酸-蛋白質融合分子をアンチパラレルなワトソン・クリック塩基対形成によって結合し、一方、他の核酸-蛋白質融合分子をパラレルなフーグスティーン型で結合する。
【図3B】図3Bは、コネクターオリゴヌクレオチドを用いた三元複合体形成による核酸-蛋白質融合分子の多量体化を示す模式図である。このコネクターオリゴヌクレオチドは、クランプ構造を持つ三重鎖形成性オリゴヌクレオチドであることができる。核酸-蛋白質融合分子の標的配列は、オリゴヌクレオチド内に含有された2つの互いに連結したポリピリミジン領域に結合したポリプリン領域を含むように設計されている。各ポリピリミジン領域は、1つの核酸-蛋白質融合分子をアンチパラレルなワトソン・クリック塩基対形成によって結合し、一方、他の核酸-蛋白質融合分子をパラレルなフーグスティーン型で結合する。
【図4A】図4Aは、核酸-蛋白質融合分子の蛋白質ベースの多量体化を示す模式図である。該融合蛋白質は、その蛋白質部分に、互いに結合する多量体化ドメインを含有している。
【図4B】図4Bは、融合分子の蛋白質部分が抗体Fab断片を含んでいるときに生じる核酸-蛋白質融合分子の蛋白質ベースの多量体化を示す模式図である。融合分子の蛋白質部分は、定常領域CおよびC(すなわち、多量体化ドメイン)を含む。これは、会合、その後のジスルフィド結合により媒介され、ランダム化可変領域VおよびV(すなわち、化合物認識ドメイン)が潜在的抗原を認識および結合するために正確に位置づけられることを可能にする。
【図4C】図4Cは、核酸-蛋白質融合分子の蛋白質部分がDNA結合ドメイン(すなわち、化合物認識ドメイン)を含有するとき、および二本鎖DNA標的分子が提供されるときに生じる、核酸-蛋白質融合分子の蛋白質ベースの多量体化を示す模式図である。二量体がDNA結合ドメイン、例えば、ジンクフィンガードメインと、DNA標的分子との相互作用によって形成される。この形式においては、多量体化ドメインと化合物認識ドメインとはオーバーラップしてもよい。あるいは、多量体化ドメインおよび化合物認識ドメインは異なっていてもよい。例えば、候補DNA結合複合体は、多量体化の目的でロイシンジッパードメインを、DNA認識目的でジンクフィンガードメイン(またはランダム化もしくは変異誘発されたドメイン)を用いることができる。
【図5】図5は、核酸-蛋白質融合多量体ライブラリーが多数の核酸蛋白質融合ライブラリーによってどのように複雑度を増加させていくのかを示す模式図である。2つの独立したサブライブラリー(例えば、サブライブラリーAおよびB)が生成され、それぞれの核酸-蛋白質融合分子は多数のコピーを含む。次にサブライブラリーを結合し、2つの異なるサブライブラリーの融合分子の二量体化が生じる。二量体化の工程において、サブライブラリーAからのそれぞれの特定の核酸-蛋白質融合分子は、ライブラリーBからの異なる核酸-蛋白質融合分子と結合され、特有のメンバーを持つライブラリーとなる。
【図6】図6は、選択工程において再結合を繰り返すことによって、どのようにライブラリーの複雑度が増加するかを示す模式図である。核酸-蛋白質融合分子のライブラリーを生成し、多量体化する。次に該ライブラリーを、所望の固定化されたアフィニティーリガンドを含有するカラムに通す。リガンドと結合する核酸-蛋白質融合多量体がカラム上に残り、一方、残った核酸-蛋白質融合多量体を溶離液中に回収する。次に工程において、多量体を解離し、次に再結合し、新たな多量体を形成する。次にこれらの新たに形成された多量体化された核酸-蛋白質融合複合体をカラムに通す。
【図7】図7は、動的再結合を通じて、どのようにライブラリーの複雑度が増加するかを示す模式図である。このライブラリーの核酸蛋白質融合複合体を、弱い非共有結合相互作用を通じて二量体化する。平衡状態において、それらの分子は、迅速に会合および解離し、それによって常時、新たな多量体的な種を構築する。次に好適な複合体をあわせてリガンドに結合させる。それは、複合体全体の安定性を増加させ、この複合体を平衡状態から移行し、選択された核酸-蛋白質融合複合体を非結合の種から分離させる。
【図8】1つの分子生成から次の分子生成までの処理において、核酸-蛋白質融合多量体ライブラリーの多様性がどのようにして繰り返し生成されるかを示す模式図である。生成nにおいて、特異的な核酸-蛋白質融合多量体を、標的に結合させることによって選択する。次の選択のための生成n+1の準備の一部として、前ステップにおいて選択された融合分子を再び生成し、核酸‐蛋白質融合多量体の生成n+1に加え、更なる多様性を提供し、有利な結合特徴を組み合わせて、より緊密な結合を形成する。

Claims (39)

  1. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は、共有結合している蛋白質をコードしており、前記融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズする、核酸-蛋白質融合多量体。
  2. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、前記融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズする、核酸-蛋白質融合多量体。
  3. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、
    (a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合している蛋白質をコードしている融合分子と、
    (b)オリゴヌクレオチドとを含み、前記それぞれの融合分子の核酸の配列が前記オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズする、核酸-蛋白質融合多量体。
  4. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、
    (a)2個以上の、3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子と、
    (b)オリゴヌクレオチドとを含み、前記それぞれの融合分子の核酸の配列が前記オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズする、核酸-蛋白質融合多量体。
  5. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、
    (a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子と、
    (b)双方向的な構造または分枝構造を持つオリゴヌクレオチドとを含み、前記それぞれの融合分子の核酸の配列が前記オリゴヌクレオチドの相補的な配列にハイブリダイズする、核酸-蛋白質融合多量体。
  6. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、
    (a)2個以上の、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子であって、前記それぞれの融合分子の核酸がポリプリン領域を含む融合分子と、
    (b)少なくとも2つのポリピリミジン領域を含むオリゴヌクレオチドとを含み、前記融合分子の前記ポリプリン領域が前記オリゴヌクレオチドの前記ポリピリミジン領域にハイブリダイズし、前記融合蛋白質の前記オリゴヌクレオチドとの結合は、三重らせん構造を形成するのとは反対方向に生じる、核酸-蛋白質融合多量体。
  7. 前記オリゴヌクレオチドが環状である、請求項6に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  8. 前記オリゴヌクレオチドがクランプ状(clamp-like)構造を形成している、請求項6に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  9. 前記オリゴヌクレオチドがポリアミド核酸を含む、請求項6に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  10. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、前記融合分子の蛋白質部分はそれぞれ多量体化ドメインを含み、該多量体化ドメインは、非共有結合を形成することによって相互作用する、核酸-蛋白質融合多量体。
  11. 前記多量体化ドメインは相互作用して、ホモ二量体、ヘテロ二量体、三量体、または四量体を形成する、請求項10に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  12. 核酸-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上含み、前記それぞれの融合分子の蛋白質は官能基を含む多量体化ドメインを含み、1つの融合分子の官能基は別の融合分子の官能基と共有結合によって結合する、核酸-蛋白質融合多量体。
  13. 前記多量体化ドメインは、抗体定常領域を含む、請求項12に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  14. 前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の蛋白質は、化合物認識ドメインをさらに含む、請求項1または3に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  15. 前記化合物認識ドメインは、抗体可変領域を含む、請求項14に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  16. 前記化合物認識ドメインは、ランダム化ドメインを含む、請求項14に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  17. 前記化合物認識ドメインは、DNAと相互作用する、請求項14に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  18. 前記化合物認識ドメインは、ジンクフィンガー結合ドメインを含む、請求項17に記載の核酸-蛋白質融合多量体。
  19. RNA-蛋白質融合多量体であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合しているRNAの融合分子を2個以上含み、前記融合分子は、相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズする、RNA-蛋白質融合多量体。
  20. 前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子のRNAは、共有結合している蛋白質をコードする、請求項19に記載のRNA-蛋白質融合多量体。
  21. 前記融合分子は、前記融合分子のRNA内に配置されているクロスリンク部分を通じてクロスリンクしている、請求項19に記載のRNA-蛋白質融合多量体。
  22. 前記クロスリンク部分がソラレンである、請求項21に記載のRNA-蛋白質融合多量体。
  23. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合した蛋白質をコードしている工程、および
    (b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズし、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  24. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、および
    (b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  25. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子のうちの少なくとも1つの融合分子の核酸は共有結合した蛋白質をコードしている工程、
    (b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および
    (c)前記オリゴヌクレオチドを前記それぞれの融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  26. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)3'末端において蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、
    (b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および
    (c)前記オリゴヌクレオチドを前記それぞれの融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  27. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)ペプチドアクセプターを通じて蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記融合分子は核酸配列を通じて互いにハイブリダイズしている工程、
    (b)前記それぞれの融合分子中のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および、
    (c)前記オリゴヌクレオチドを前記融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  28. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程、
    (b)双方向的な構造または分枝構造を有する、前記各融合分子内のパートナー配列に相補的な複数の配列を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および
    (c)前記オリゴヌクレオチドを前記各融合分子にハイブリダイズさせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  29. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記それぞれの融合分子はポリプリン領域を含む工程、
    (b)少なくとも2つのポリピリミジン領域を含むオリゴヌクレオチドを提供する工程、および、
    (c)前記ポリプリン領域を前記ポリピリミジン領域にハイブリダイズさせる工程であって、前記融合分子と前記オリゴヌクレオチドとの結合が三重らせん構造を形成するのとは反対方向に生じ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  30. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記それぞれの融合分子の蛋白質部分が多量体化ドメインを含んでいる工程、および
    (b)前記多量体化ドメイン間の非共有結合的な相互作用を可能とする条件下で前記融合分子を組み合わせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  31. 以下の工程を含む、核酸-蛋白質多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を2個以上提供する工程であって、前記各融合分子の蛋白質は官能基を持つ多量体化ドメインを含んでいる工程、および
    (b)1つの融合分子の官能基が別の融合分子の官能基と共有結合することができるような条件下で、前記融合分子を組み合わせ、それによって核酸-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  32. 前記共有結合が外部クロスリンク剤を含む、請求項31に記載の方法。
  33. 以下の工程を含む、RNA-蛋白質融合多量体を作製する方法:
    (a)蛋白質に共有結合しているRNAの融合分子を2個以上提供する工程、および
    (b)前記融合分子を相補的な核酸配列を通じて互いにハイブリダイズさせ、それによってRNA-蛋白質融合多量体を形成する工程。
  34. 以下の工程を含む、化合物と相互作用する蛋白質を選択する方法:
    (a)候補核酸-蛋白質融合多量体の集団を提供する工程であって、前記多量体は、蛋白質に共有結合している核酸の、ハイブリダイズまたは共有結合している融合分子を2個以上含む工程、
    (b)化合物を提供する工程、
    (c)前記化合物と前記候補核酸-蛋白質融合多量体との間の相互作用を可能とする条件下で、前記化合物を前記候補核酸-蛋白質融合多量体の集団と接触させる工程、および
    (d)前記化合物と相互作用する核酸-蛋白質融合多量体を選択し、それによって前記化合物と相互作用する蛋白質を選択する工程。
  35. 前記化合物がカラム上に固定化された、請求項34に記載の方法。
  36. 以下の工程をさらに含む、請求項35に記載の方法:
    (e)前記化合物と相互作用しない核酸-蛋白質融合多量体を解離させる工程、
    (f)前記解離した核酸-蛋白質融合多量体を再結合させる工程、
    (g)前記化合物を前記再結合した核酸-蛋白質融合多量体と接触させる工程、および
    (h)前記化合物と相互作用する、再結合した核酸-蛋白質融合多量体を選択することによって、前記化合物と相互作用する蛋白質を選択する工程。
  37. 工程(a)において前記集団は、平衡条件下で維持されており、それによって、核酸-蛋白質融合多量体の個々の融合分子は急速に解離され、別個の融合分子と会合し、それによって新たな核酸-蛋白質融合多量体を形成する、請求項34に記載の方法。
  38. 以下の工程をさらに含む、請求項34に記載の方法:
    (e)工程(d)で選択された前記核酸-蛋白質融合多量体の核酸を増幅する工程、
    (f)前記増幅された核酸から、蛋白質に共有結合している核酸の融合分子を生成する工程、
    (g)融合分子から、核酸-蛋白質融合多量体の第2の集団を生成する工程、および
    (h)工程(b)から(d)を繰り返す工程。
  39. 前記化合物が溶液中で前記核酸-蛋白質融合多量体と相互作用し、続いて固相上で固定化される、請求項34に記載の方法。
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