JP2004537232A - 多数のマイクロフォンのエコーを抑圧する回路をポストプロセッサとして有する音響補強システム - Google Patents
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Abstract
音響補強システム1は、少なくとも1つのマイクロフォン2、マイクロフォン信号を発生する該マイクロフォン2に接続される適応的なエコー補正(EC)手段4、及び該EC手段に接続される1つ以上のラウドスピーカ3を備えている。さらに、本システムは、適応EC手段4と少なくとも1つのラウドスピーカ3の間に接続される動的なエコー抑圧回路(DES)7を備えており、DES7は、マイクロフォン信号の周波数成分の大きさと残存するエコーの周波数成分の大きさとの間の時間遅延を使用することで該残存するエコーを抑圧する。聴取者がいる室内から放出されるエコーが効果的に除去され、スピーカが移動する場合であっても、良好に調整されたモデルが効果的に構築される。音響補正システム1は、ハンズフリーシステムであって、イベントホール等の場内拡声装置(PA)、講演システム、会議システム、或いは自動車又は航空機等向けの機内放送システムのような通信システムとして実現される。
Description
【0001】
[技術分野]
本発明は、少なくとも1つのマイクロフォン、マイクロフォン信号を発生する該少なくとも1つのマイクロフォンに接続される適応的なエコー補正(EC)手段、及び該適応EC手段に接続される少なくとも1つのラウドスピーカを有する音響補強システムに関する。
【0002】
また、本発明は、音響補強システムにおける適用向けに適した動的なエコー抑圧回路(DES)のポストプロセッサに関する。
[背景技術]
かかる音響補強システムは、米国特許第5,748,751号の出願で説明されている。この公知の音響補強システムには、マイクロフォン、該マイクロフォンに接続された適応エコーキャンセラフィルタの構成で適応的なエコー補正(以下、ECと示す)手段が設けられている。さらに、このシステムは、ラウドスピーカ、及び該適応EC手段に接続された増幅器を有している。
【0003】
この公知の音響補強システムの問題点は、出現するエコーの全てがキャンセルされるのではなく、エコーの中には、公知の適応的なエコーキャンセレーションの後で残存するものもある。話者の室内の特徴から生じる残存するエコーは、粗雑に考慮に入れられるにすぎず、室内を動く一人以上の話者に関連するエコーの変化は、殆ど正確にモデル化することはできない。
[発明の開示]
したがって、本発明の目的は、各種のタイプのエコーを効果的にキャンセルすることができる改善された音響補強システムを提供することにある。また、本発明の目的は、複数のマイクロフォン及び/又はラウドスピーカが使用される場合において、各種のタイプのエコーを効果的にキャンセルすることができる改善された音響補強システムを提供することにある。
【0004】
本発明による音響補強システムは、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカの間に接続され、マイクロフォン信号の周波数成分の大きさと、残存するエコーの周波数成分の大きさとの間の時間遅延を使用することで、該残存するエコーを抑圧する動的なエコー抑圧回路(DES)を有することを特徴としている。
【0005】
本発明による音響補強システムの利点は、動的エコー抑圧回路、すなわちDESを利用することで、エコーのキャンセルを調整するための可能性が開かれる。これにより、該室内を動く人々のために該室内で生じる変動と共に、エコーのキャンセル処理に話者の室内インパルス応答を組み込むことができる。これは主に、DESは、多数のマイクロフォン信号の周波数成分の大きさと、該多数のマイクロフォン信号に関連する残存するエコーの周波数成分の大きさの間の時間遅延を識別するために、時間領域で本質的に動作するという事実のためである。したがって、残存するエコーは、より効果的にフィルタ処理され、音響補強システム向けに強化された音声認識が可能となる。これは、人が室内を歩き回り、室内の反響特性がかなり変動する場合があるハンズフリーの音響補強システムにとっては特に重要である。これらの変動する特性は、改善されたエコーキャンセリング技術に組み込むことができ、さらに、ラウドスピーカからマイクロフォンへのフィードバックによるハウリングが発生する可能性を低減することができる。
【0006】
本発明による音響補強システムの実施の形態は、DESが動的なエコー雑音の抑圧回路(DENS)であることを特徴としている。
【0007】
かかるDENSは、定常雑音を抑圧するためにスペクトルの減算(spectral subtraction)を有効に利用しており、その入力信号の短時間のパワー又は振幅スペクトル(magnitude spectra)が利用される。
【0008】
本発明による音響補強システムの別の実施の形態は、多数のマイクロフォンシステムで構成することができ、本音響補強システムが適応EC手段と2つ以上の該マイクロフォンとの間に接続されたマイクロフォン・ビームフォーマを有することを特徴としている。
【0009】
本発明による音響補強システムの更なる実施の形態は、本音響補強システムが、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、マイクロフォン信号を無相関化するためのデコリレータ(decorrelator)を有することを特徴としている。
【0010】
適応EC手段が話者の信号における自己相関を除去しようとするために、デコリレータを本発明による音響補強システムに含むことで、所望の話者信号に関する「ホワイトニング」が回避される。
【0011】
本発明による音響補強システムの更なる実施の形態では、本音響補強システムが、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、本音響補強システムの利得を制限するためのリミッタ回路を有することを特徴としている。
【0012】
本発明による音響補強システムの利点は、増幅器の利得が突然大きくなった場合、並びにマイクロフォン及び/又はラウドスピーカが室内で移動された場合であっても、システムが安定したままであることである。さらに、往復の利得を減少することで、異常な状況でのハウリングを回避することができる。
【0013】
本発明による音響補強システムの別の実施の形態は、本音響補強システムが、適応EC手段と2つ以上の該ラウドスピーカの間に接続されたラウドスピーカ・ビームフォーマを有することを特徴としている。
【0014】
有利なことに、この選択的なラウドスピーカ・ビームフォーマは、聴取者に焦点を合わせるビームパターンをつくる。スピーカ方向に「空白(null)」をつくることで、ハウリングがさらに回避される。
【0015】
本発明による音響補強システムのさらに別の実施の形態は、本音響補強システムが、デコリレータとラウドスピーカ・ビームフォーマとの間に接続されたイコライザを有することを特徴としている。
【0016】
有利なことに、このイコライザは、ラウドスピーカと聴取者との間の経路に関して考えられる粗雑な周波数特性を平坦化する。
【0017】
本発明による音響補強システムは、ハンズフリーシステムの場合があり、イベントホール等の場内拡声装置(PA)、講演システム、会議システム、或いは自動車又は航空機等のような乗り物向けの機内放送システムのような通信システムとして実現される。
【0018】
ここで、本発明による音響補強システムは、その付加的な利点と共に更に説明され、添付図面に対して参照がなされ、類似した構成要素には同じ参照符号が付される。
[実施例]
図1は、全体的な音響補強システム1のブロック図を示している。本システム1は、唯一の話者が大衆に話すイベントホール等の場内拡声装置(PA)から、参加者の間で聴取者と話者が連続して変わる講演システムまでの範囲に適用される。本システム1は、1つ以上のマイクロフォン2、及び1つ以上のラウドスピーカ3を備えている。適切な信号処理と共に、ラウドスピーカアレイ3及びマイクロフォンアレイ2の両者について、放射パターンをつくることができる。
【0019】
かかるシステム1の全ての適用において、音声認識を強化することを狙いとしている。かかるシステム1なしには、信号対雑音比(SNR)が低いために、及び反響が高いために音声認識度が低すぎることがある。余分な計測を行わない場合には、使用されるマイクロフォンが参加者の口に接近していなければならず、また、唯一の話者が所定の時間で動作状態(アクティブ)でなければならない。その時にのみ、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の音響帰還が低く、かつ十分に高い音響の出力電力ではハウリングは生じないことが保証される。また、マイクロフォン信号は良好なSNRを有し、直接の音場の成分は拡散された音場の成分を支配することが保証される。すなわち、マイクロフォン信号は、反響音とならない。
【0020】
多くの適用されるケースでは、参加者は、マイクロフォン2を該参加者の口に近づけることを望まず、話したいときにボタンを一度押すことを望まない。1つの例は、役員室での会議であり、人々は大きなテーブルの周りに座り、通信装置により妨げられることなしに作業及び会話することを望む。これは、マイクロフォン2及びラウドスピーカ3を遠くに配置することで可能であり、同時の会話が可能になる。別の適用例は、自動車内での会議である。大きな背後の雑音、及び運転手と乗客の位置のために、音声理解は通常低い。ここでの魅力的な解決策は、参加者の近く(たとえば、自動車の天井)にマイクロフォン2を位置することであり、自動車内に分散して配置されているオーディオ装置を使用することである。
【0021】
上述した状況では、要求される音圧レベルでハウリングが生じないこと、及びマイクロフォン2により採取された音声が強調されること、すなわち、背後の雑音が除去されて、所望の音声信号の反響が抑圧されることを保証するために、追加の信号処理が利用されなければならない。
【0022】
類似した問題は、スピーカ付き(又はハンズフリー)電話及びビデオ会議システムのようなシステム1で遭遇される。また、ユーザは、自由に動き回ることを望み、通信装置により悩まされることを望まない。後者は、接続が全二重であることを含んでいる。音響エコー及び所望の音声の反響を除去するために信号処理が必要とされ、背後の雑音を除去するために追加の処理が必要とされる場合がある。
【0023】
本システム1は、適応型エコーキャンセリング(EC)フィルタ手段4をさらに備えている。このフィルタ手段4では、ラウドスピーカとマイクロフォンの対のそれぞれの伝達関数が予測され、この伝達関数により、それぞれのマイクロフォン信号zs(n)におけるエコーys(n)(sはチャネルインデックス)が予測されて、続いて、それぞれマイクロフォン信号から差し引かれる。関連する信号は、残余信号rs(n)と呼ばれる。適応型のフィルタ手段4は、それぞれのチャネルsについて、予測されたエコーys(n)と残余信号rs(n)を含んでいる。
【0024】
また、システム1は、フィルタ手段4に接続されたマイクロフォン・ビームフォーマ5を備えている。このビームフォーマ5の役割は、動作状態にある話者にビームを焦点合わせすることであり、すなわち、動作状態にある話者の信号が強調され、かつ反響及び背後の雑音が抑圧されるようなやり方で、入力信号rs(n)がフィルタリング(すなわち重み付け)されて互いに合計される。フィルタ係数(すなわち重み付け係数)は、適応的に決定されるが、適応処理の間に(強い)エコーが存在しないことが要求される。近端の話者だけが動作状態にあるときに、マイクロフォン・ビームフォーマ5を調整することができる会議での適用とは反対に、ダブルトーク状態を常に有し、エコーを始めに除去しなければならない。マイクロフォン・ビームフォーマ5は、入力として残余信号rs(n)を有し、強調された信号r(n)をその出力で送出する。さらに、予測されたエコーys(n)は、残余信号rs(n)と厳密に同様なやり方で処理され、出力信号y(n)を与える。信号y(n)は、動的なエコー抑圧回路(DES)7に入力される。DES7は、以下に説明されるように動的なエコー雑音抑圧回路(DENS)が使用される場合もある。
【0025】
DES7は、残存するエコーを抑圧するものであり、DENS7として具現化され、(可能であれば)近端信号を歪ませることなしに、(定常的な)雑音成分を抑圧する。残余信号では、以下の理由で残存するエコーが常に存在する。第一に、適応フィルタ4のフィルタ係数の数が余りに少な過ぎるために、室内インパルス応答を完全にモデル化することができない。第二に、適応フィルタ4は、人が動くとき、インパルス応答の変化を追跡することができない。DENS7は、定常雑音の抑圧のためのスペクトル減算と強い類似を有し、短時間のパワー、すなわちy(n)、r(n)及びz(n)それぞれの振幅スペクトルを利用する。ここで、z(n)は、z(n)=y(n)+r(n)としてDENSで計算され、信号zs(n)をフィルタ4の入力としたとき、マイクロフォン・ビームフォーマ5の出力6として得ることができる。DENS7に要求されることは、テレカンファレンスと比較したときに更に強くなる。テレカンファレンスでは、遠端側でのDENSによる遠端の話者の可能性のある歪みは、近端の話者自身によりマスクされる。さらに、テレカンファレンスの適用のケースでは、ダブルトークが生じないことがある。本音響補強システム1によれば、ダブルトークが常に存在し、聴取者により近くされるラウドスピーカの出力は、近端の話者よりも一般的に非常に大きく、結果的に、可能性のあるアーチファクトは近端の話者によりマスクされない。
【0026】
また、本システム1は、リミッタ回路8を備えている場合がある。増幅器の利得が突然大きくなった場合、並びにマイクロフォン2及び/又はラウドスピーカ3が移動された場合であっても、本システム1が安定のままでいることを保証するために、リミッタ回路8は、本システム1に追加される。その役割は、利得を減少することにより、異常な状況でのハウリングを回避することである。
【0027】
本音響補強システム1にはデコリレータ9も含まれる。デコリレータ9は、適応フィルタ4の適切な動作のために一般に必要とされる。適応フィルタ4は、その残余信号rsをその入力信号xと無相関化する。デコリレータ9がない場合には、xはまさにrのスケーリングされたバージョンであり、結果として、適応フィルタ4は、所望の話者の自己相関を除去しようとする。すなわち、所望の話者を「ホワイトニング」しようとする。デコリレータを利用することで、この問題を解決することができる。勿論、デコリレータは、所望の信号に関して知覚される品質を変えるものではないことが重要なことである。音声信号について、デコリレータ9は、周波数シフタとして実現され、非常に最適である。約5Hzのシフトにより、無相関特性は良好であり、知覚される品質は良好のまま維持され、音響経路が突然変化したときであっても、システム1全体は安定に保持される。
【0028】
本システム1には、イコライザ10も含まれている。かかるイコライザの詳細は、国際特許出願WO96/32776で説明されており、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。イコライザ10により、ラウドスピーカとマイクロフォンの経路に関する粗雑な周波数特性が平坦化される。このため、このラウドスピーカとマイクロフォンの経路が良好な予測である場合(通常、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2とが共に接近している場合)、適応フィルタ4からの伝達関数から得られる情報を使用して、イコライザにあるフィルタを自動的に調整することができる。
【0029】
別の考えられる実施の形態では、本システム1は、2つ以上のラウドスピーカ3が存在する場合に、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を備えている。ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を使用して、聴取者に焦点を合わせるビームパターンをつくることができる。次いで、マイクロフォン・ビームフォーマ5からの情報を処理して、話者の方向に空白をつくることができる。
【0030】
ハンズフリーのテレカンファレンスシステムとして適用される音響補強システム1と、「ハンズフリー」な音響補強システムの間の問題は類似しているが、本明細書で述べられる3つの見地が存在し、音響補強のケースを技術的により困難にする。
1) 予測されたエコーを除去するために使用される適応フィルタ4は、エコーが近端の話者により妨害されない状況では、学習することができない。これは、近端の話者がラウドスピーカ信号のための駆動力として作用しているからであり、テレカンファレンスのケースでは、遠端の話者が駆動力として作用する。
2) 最も困難な状況である、ダブルトークの状況が絶え間なく存在する。テレカンファレンスに適用されるケースでは、遠端の話者又は近端の話者のいずれかのほとんどの時間が動作状態にある。ダブルトークの間、遠端側での不適切なエコーキャンセリングのために、遠端の話はやや妨害される。これは、近端の話者により容易にマスクされる。これは、近端の話者自身のために保持されるが、室内の近端の聴取者にも保持される。音響補強システムによれば、知覚されるラウドスピーカ信号は、非常に強く、マスキング効果を利用することはできない。
3) 演算による遅延が最小となるはずである。マイクロフォン信号とラウドスピーカ信号との間の全体の遅延は、10ミリ秒以下となるはずである。
【0031】
ここで述べた課題に対処すべく、「ハンズフリー」な音響補強システム1の一般的なアーキテクチャが提案される。開示されるアーキテクチャが様々な変形を許容するが、1つは既に先に述べられている。
【0032】
適応フィルタ4のセクションは、音響補強システム1に含まれるマイクロフォン2及びラウドスピーカ3の数に関する仕様的な配置に依存して実現される。1つのマイクロフォンと1つのラウドスピーカ、1つのマイクロフォンと複数のラウドスピーカ、複数のマイクロフォンと1つのラウドスピーカ、或いは複数のマイクロフォンと複数のラウドスピーカを有するかかる仕様的な配置は、従来技術で知られている。
【0033】
マイクロフォン・ビームフォーマ5は、異なる入力をフィルタリングすなわち重み付け処理して、それらを互いに合計することで、動作状態にある話者にビームを焦点合わせする。これにより、動作状態にある話者の信号が強調され、背後の雑音及び反響が抑圧される。適用されるケースには、移動する話者を追跡することができる適応ビームフォーマを利用できることが重要なものがある。最も知られている適応ビームフォーマは、遅延と総和のビームフォーマ(Delay-and Sum Beamformer)であり、到来方向に依存して、マイクロフォン信号における所望の音声信号が互いに遅延されたバージョンであることが想定されている。マイクロフォン信号を相関付けすることにより、遅延を判定することができ、空間的な白色雑音について、対数的な減衰を得ることができる。
【0034】
遅延と総和のビームフォーマがベースとされる自由場の想定が実際において妥当ではないことがある。特に、テーブル又は壁といった他の物体の近くにマイクロフォンアレイ2が配置される場合、又はモニタの上部に位置される場合、音声信号は、まさに互いの遅延されたバージョンではなく、厳しい反射及び反響を含むものでもない。遅延の判定は明白ではなく、全体的な性能は最適ではない。
【0035】
代替的なビームフォーマは、重み付け総和ビームフォーマ(WSB: Weighed Sum Beamformer)、及びフィルタリング総和ビームフォーマ(FSB: Filtering Sum Beamformer)である。かかる適応ビームフォーマの詳細は、国際特許出願WO99/27522号において説明されており、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。WSBでは、それぞれのマイクロフォン信号は、重み付けされて合計される。出力パワーが所定の制約下で最大となるように、重みは(適応的に)決定される。かかるWSBは、マイクロフォン2が互いに離れて向いている適用、又はマイクロフォン2が互いに遠くに離れている適用では特に適している。FSBによれば、それぞれのマイクロフォン信号がFIRフィルタでフィルタリングされて、合計される。また、ここでは、出力パワーが所定の制約下で最大となるように、重みは適応的に決定される。
【0036】
フィルタリング総和ビームフォーマは、最初の反射と共に音声の有意な部分をマイクロフォンが全て集めるケースに特に適している。FSBフィルタは、遅延及び最初の反射を自動的に補正する。WSB及びFSBフィルタ5は、いわゆる一般化サイドローブキャンセラに拡張することができる。強調された音声信号とは別に、WSB及びFSBは、雑音を主に含んでいる追加の出力で拡張することができる。出力は、その後のマルチチャネル適応雑音キャンセラのための基準入力としての役割を果たす。該キャンセラでは、ビームフォーマの強調された音声出力は、主要な入力としての役割を果たす。このようにして、雑音をさらに低減することができる。
【0037】
動的なエコー抑圧回路(DES)7は、動的なエコー雑音抑圧回路(DENS)7に拡張することが考えられ、音響エコーのキャンセリング向けに効果的に使用することができる。図2を参照して、その動作を以下に簡単に説明するが、はじめに、以下に使用される幾つかの記載上の取り決めを与える。
【0038】
サンプリングのカウンタは、n(n=...,1,0,1)で示される。ここでは、ブロック処理を採用し、実数値の離散的な時間信号x(n)がx(BlB−1)に従い分割される。Bはデータブロックサイズであり、lBはlB=|n/B|に従うブロックのカウンタであり(||は整数切捨てを示す)、及びl=0,1,...,B−1である。したがって、x(n)の最新の利用可能なデータサンプルは、x(BlB)である。xのM点DFTの結果は、X(k;lB)で示され、kは周波数のカウンタ(k=0,1,...,M−1)である。なお、実数値の時間領域のデータのために、実際の実現において負の周波数を考慮する必要がないが、記載の便宜のために、考慮するものとする。FSAMPは、サンプリング周波数でヘルツにより示され、FIRは有限インパルス応答を示し、IIRは無限インパルス応答を示す。NはFIR係数の数を示す。
【0039】
DES7は、(雑音成分を無視して)その入力として分割された時間フレームを受け、これらのフレームを、|Y(k;lB|、|Z(k;lB|及び|R(k;lB|で示される振幅スペクトルに変換する。次に、DES7は、(負でない)周波数に依存する減衰
(外1)
を|R(k;lB|に印加して、
(外2)
を得る。時間領域信号q(n)は、
(外3)
に関する逆スペクトル変換により再構成される。ここで、jφR(k;lB)は残余スペクトル|R(k;lB)|の位相である。減衰関数
(外4)
は、以下のように計算される。最初のフレーム当たりの減衰関数G(k;lB)は、
【数1】
に従い計算される。lBはフレーム番号、γeはエコー項の減算要素、及び|Yr(k;lB)|は適応フィルタが余りに係数が少ないために完全な(無限長の)室内インパルス応答をモデル化することができないという事実を補償するための残余エコーの大きさの予測値である。G(k;lB)が繰り返し演算の間に急激に変化することを避けるために、
【数2】
に従う低域通過型の繰り返し演算を採用する。
【0040】
したがって、大きな遠端エコーを有する周波数帯域では(Yをエコーの予測値とする)、近端信号と比較したとき、残余信号Rは減衰され、近端信号が遠端エコーよりも非常に大きな帯域では、該残余信号はほぼ同じままである。テレカンファレンスで適用されるとき、遠端信号の短時間スペクトルが近端信号の短時間スペクトルとは異なり、近端信号を抑圧することなしにエコー成分を抑圧することができるという想定で利用される。音響補強システムによれば、状況が異なる。近端の話者が駆動力であるので、近端の音声のスペクトルは、エコーのスペクトルと有意に異ならない。近端音声とエコーの間の時間軸における差を利用することができる。
【0041】
図3では、マイクロフォン信号の所定の周波数成分の大きさが時間関数として与えられている。実線は近端信号を示しており、破線はエコーを示している。エコーは、処理の遅延、及びラウドスピーカとマイクロフォンの間の音響伝播の遅延のために近端信号の後にはじまる。減衰は、室内の反響時間とシステムの開ループ利得との両者により決定される。|Y(k;lB)|+|Yr(k;lB)|がエコー(図3における破線)の予測値であるケースにおいて、DESがどのように反応するかを調べる。予測が正確であって、エコーが近端信号と相関せず、かつ2乗された予測値を2乗されたz信号から差し引いたとき、結果は、2乗された近端音声信号に等しくなる。
【0042】
しかし、この予測値は正確ではなく、過減算(oversubtraction)(γe>1)と共に振幅も考慮することができることを実験は示している。エコーを過減算した場合、近端音声のディケイ(decay)のみが歪むことが図3から示される。アタック(attack)の間及びディケイの後、歪みは存在しない。ディケイの間、歪みは重要ではない。室内の反響のため、音声のディケイはこの反響により既に歪んでいるとさえいうこともできる。実験から、過減算を採用したとき、ある逆反響(dereverberation)効果が確かに存在することが示される。ループ利得が大きくなると、適応フィルタとDESの結合がエコーを差し引いて抑圧することが益々重要となる。
【0043】
非常に大きな利得(最大20dB)では、ループ利得が1以下の状況とは対照的に、近端音声のディケイの間の歪みよりも、安定性がより問題となる。このため、γeはループ利得に依存する。ループ利得は、適応フィルタ手段4の重みから直接得ることができる。これは、該係数がマイクロフォン2とラウドスピーカ3の間の周波数特性を表しており、システムの残りが利得1を有する場合に、開ループ利得を決定するためである。最大のループ利得が1よりも小さい場合に、γeは1よりも小さい値が選択され、最大のループ利得が1よりも大きい場合に、γeは1よりも大きな値が選択される。
【0044】
対処すべき別の問題は、DENSのアルゴリズム的な遅延である。通常、DENSは、線形位相フィルタであり、DESのデータブロック長Bに等しい余分な遅延を与えるDENSが最小位相フィルタとして実現される場合、余分な遅延が追加されない。
【0045】
リミッタ回路8の役割は、たとえば、マイクロフォン又はラウドスピーカの移動のため、或いはラウドスピーカの音量の突然の増加のために本システム1が不安定になった場合に、システムの利得を減少することにある。ハウリングをはるかに超えた動作向けに設計されている場合に、本質的に重要なことである。かかる状況では、エコーは、近端の話者の信号よりも非常に大きく、マイクロフォンの前置増幅器の利得は、エコーにより決定される。結果として、適応フィルタ4及びDES又はDENS7によるエコー補正の後、近端音声のための巨大な上方空間が存在する。リミッタ回路は、ラウドスピーカとマイクロフォンの経路での劇的な変化の間、エコーが良好に補正されない場合に、利得を減少するために必要である。リミッタ回路の機能それ自身は、標準的な機能である。リミッタ回路の利得は、アタック利得とディケイ利得との2つの利得の積である。
G1=Ga Gd
通常、G1は1に等しい。出力信号q(n)の平滑化された積が閾値Plimitを超えると、利得比Grは、
【数3】
として決定され、GgはG1に等しく設定される。Ga及びGdは、
【数4】
により与えられる。Ta及びTbの典型的な値は、それぞれ0.01秒及び5.0秒である。結果として、G1は、Gg/Grに向かって急速に減少し、その後、再び1に向かって緩やかに大きくなる。
【0046】
先に述べたように、適応フィルタ4が所望の信号を「ホワイトニング」しようとすることを防止するために、デコリレータが必要となる。かかるデコリレータの詳細は、米国特許第5,748,751号の出願で説明されており、引用により本明細書に盛り込まれる。音声認識応用のために、周波数シフタは非常に良好に実行する。約5ヘルツの周波数シフトが採用されたとき、周波数シフタは、信号を無相関化するとともに、本システム1を安定状態に維持し続ける。室内でのラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の周波数特性は、多くのピークとディップ(peaks and dips)を示す。隣接する最大周波数と最小周波数の間に位置する平均周波数は、ほんの数ヘルツである。周波数シフタが利用されるとき、平均のループ利得は、最大のループ利得に変わって重要となる。
【0047】
0dBを超える最大のループ利得、及び0dB以下の平均ループ利得による利得のため、周波数シフタを有するシステムは、適応フィルタなしでも安定状態のままである。しかし、ループを通した(5Hzのシフト毎の)音の往復のために、アーチファクトを憂慮すべきである。適応フィルタ4(及びDE(N)S)により、適応フィルタによりもたらされる減衰は、これらのアーチファクトを抑圧するために十分である。
【0048】
音響補強システム1に関する考えられる実施の形態では、パラメトリックイコライザ10を使用して、周波数応答を調整する。1オクターブイコライザ、又は3分の1オクターブイコライザが使用されることがあり、すなわち、帯域幅は周波数の増加につれて増加する。イコライザ10の調整は、殆どオフラインで行われる。白色雑音又はピンク雑音の源は、励起源として使用され、マイクロフォンは聴取者の位置に配置される。応答は、数オクターブから3分の1オクターブで計測され、イコライザ10は、平坦な(或いは所望の)応答が得られるまで調整される。より多くの聴取者が利用可能である場合、手順が繰り返され、平均的な曲線が得られる。
【0049】
この方法の問題点は、調整が固定されていることである。条件が変わった場合(たとえば、満員の室内又は無人の室内)、それ以上調節を行うことはできない。実験から、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の周波数特性は(特に、ラウドスピーカがマイクロフォンに近過ぎる場合)、数オクターブ又は3分の1オクターブで計測されたとき、ラウドスピーカと参加者の間の伝達関数を表している。かかる状況では、イコライザ10を調整するために、適応フィルタ4の予測値を使用することができる。イコライザ10が図1に示されるように適応フィルタ手段4の入力12の後に配置される場合には、調整は自動的に反復的に行われる。すなわち、適応フィルタ4は、イコライザ10と音響経路の組み合わせに関する伝達関数を予測しようとする。
【0050】
1つのラウドスピーカと複数のマイクロフォンのケースについて、同様なことを行うことができる。その場合には、適応フィルタ4において利用可能な伝達関数から、平均の伝達関数を計算しなければならない。多数のラウドスピーカと1つのマイクロフォンのケースでは、2つの可能性が存在する。イコライザ10は、それぞれのラウドスピーカ経路に配置することができ、1つのラウドスピーカと1つのマイクロフォンのケースに関して同じ手順を使用することができ、或いは、イコライザは、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の前に位置することができる。適応フィルタ4の背後のモデル概念を使用するとき、イコライザの係数を予測するために使用される伝達関数は、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11のFIRフィルタの係数により重み付け又は畳み込みされる個々の伝達関数の総和により与えられる。
【0051】
ラウドスピーカ・ビームフォーマ11により、ラウドスピーカアレイ3の方向性パターンを成形することができる。マイクロフォン・ビームフォーマ5のケースのように、ラウドスピーカ・ビームフォーマは適応フィルタである。マイクロフォン・ビームフォーマ5とは反対に、ラウドスピーカ・ビームフォーマをどのように調整するか、すなわち、ラウドスピーカ・ビームフォーマをどこへ向けるべきか明らかではない。
【0052】
聴取者がどこに位置するかを本システム1に知らせるためには、余分の計測が必要となる。考えられることとしては、(会議での適用では)会議の開始での注意ボタン、カメラを利用して聴取者の位置を抽出するビデオトラッキング等がある。ラウドスピーカの構成に依存して、重み付け総和ビームフォーマ、遅延及び総和ビームフォーマ、或いはフィルタリング総和ビームフォーマを使用することもできる。全ての個々の増幅器が同じ利得を有し、1つの総合的な利得調整が存在することが重要である。さもなければ、放射パターンが個々の増幅器の増幅値に依存する。聴取者に関する情報を入手することができない場合、動作状態にある話者に向けないことにより、ビームフォーマが有効となる。話者にとって、該話者に向けられた音は役に立たたず、妨げでさえある。
【0053】
また、話者に向けられるラウドスピーカのビームと、(該話者に向けられる)マイクロフォンのビームとの間の音響的結合は、一般に大きい。この結合を減少することは、システム全体の働きを改善する。なお、この場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11は、マイクロフォン・ビームフォーマ5を設定することにより決定される。たとえば、マイクロフォン・ビームフォーマとラウドスピーカ・ビームフォーマの両者が重み付け総和ビームフォーマであり、マイクロフォン・ビームフォーマ5の係数(w1,w2,...,ws)が(1,0,...,0)である場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の係数(wl1,w12,...,wls)は(0,1,...,1)に等しい。さらに、この場合、同じに添え字が付されたラウドスピーカ及びマイクロフォンは、関係する室内において同じ音響領域をカバーする。
【0054】
この説では、3つの適用が説明される。第一は、複数のマイクロフォンと1つのラウドスピーカを有するハイエンドのスピーカフォンユニットを取り扱う。第二には、複数のユニットを取り扱い、第三には、自動車内での音響補強システムを取り扱う。
【0055】
スピーカフォンユニットは、オーディオカンファレンスへの適用向けに使用することができる。また、該スピーカフォンユニットを役員室での音響補強向けに使用することもできる。図1には、処理のブロック図が示されている。マイクロフォン・ビームフォーマ5は、この場合、オーディオカンファレンスの場合のように、音声信号を受ける重み付け総和ビームフォーマから構成されている。また、この場合、参加者が該ユニットから遠くに離れている場合、外部のマイクロフォン2を使用することもできる。
【0056】
ビームフォーマ5の出力は、DES/DENS7、リミッタ回路8、周波数シフタデコリレータ9を通して、適応フィルタ4の入力に供給され、イコライザ10を通過した後にラウドスピーカ3に供給される。唯一のラウドスピーカ3が存在する場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の必要はない。それぞれ対応するマイクロフォンの方向に向いている3つのラウドスピーカを有するスピーカフォンユニットが考えられる。マイクロフォン・ビームフォーマ5に接続されるラウドスピーカ・ビームフォーマ11は、先に説明したように使用することができる。ラウドスピーカ3は、音声を出力し、適応フィルタ4は、エコーを補正する。より大きな会議室では、1つのサウンドユニットでは不十分である。拡張マイクロフォン(extension microphone)は、他の音響ユニットにより置き換えられるべきである。
【0057】
かかる適用では、1台のマスターサウンドユニット、及び1台以上のスレーブサウンドユニットを有する。スレーブからマスターへのエコー補正されたマイクロフォン信号に加えて、マスターからのラウドスピーカ信号もまた、スレーブに転送されなければならない。次いで、リミッタ回路8とデコリレータ9の間に、余分な重み付け総和ビームフォーマ(WSB)が追加される場合があり、WSBは、(重み付けの後に)サウンドユニット自身の純粋なエコー信号、及びスレーブサウンドユニットから到来する信号を合計する。スレーブサウンドユニットに送出される出力信号は、周波数シフタデコリレータ9の後で得られる。
【0058】
興味のある適用は、自動車の環境で見られる。自動車の後部座席の乗客は、スピーカの指向性及び背後の雑音のために、該自動車の運転手及び助手席の乗客を理解することができない。マイクロフォン2を全ての参加者に近づけて配置し(たとえば、自動車の天井)、該自動車に既に存在するラウドスピーカ3を使用することで、音響補強システム1は、図1に示されるように機器構成することができる。適応ビームフォーマ5はWSBであり、高速マイクロフォンセレクタとしての役割を果たし、DENSは、残余エコーを抑圧するのみでなく、定常雑音をも抑圧する。1つのラウドスピーカと複数のマイクロフォンの構成で機能させることができるが、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を導入して、話者のために使用されるラウドスピーカを抑圧することができる。その場合、先に説明したように、適応的な背景モデルの概念を必要とする。
【0059】
この節では、唯一のラウドスピーカ3を有しつつイコライザ10を有さないサウンドシステム1について幾つかの実現の詳細が与えられた。システムは、16kHzのサンプリング周波数で開発されている。アルゴリズム的な遅延を減少するために、(オーディオカンファレンスシステムでの256サンプルと比較したとき)64サンプルのみのブロックサイズBを有するブロック処理が利用される。図に示したように、適応フィルタ4、ビームフォーマ5のプログラマブルフィルタの部分、DES/DENS7のフィルタ部分、リミッタ回路8及びデコリレータ9は、Bサンプルのブロックで動作する。閉ル−プシステムにおけるブロックで作業することは、少なくともBサンプルの遅延が存在しない場合には幾つかの問題を与える。
【0060】
マイクロフォン経路でのシリアル−パラレル変換、及びラウドスピーカ経路でのパラレル−シリアル変換のために、インパルス応答は、少なくとも2Bサンプルを常に含んでいる。適応手段4の前に少なくとも2Bサンプルの遅延を設けることは有効である。それは、この遅延がインパルス応答のうちの少なくとも最初の2Bサンプルをモデル化するためである。適応フィルタのフィルタ長について、N=2048が選択される。適応フィルタ手段4それ自身について、制限された分割ブロック周波数領域適応フィルタ(PBFDAF)が使用されているのと同様に、制限されていないブロック周波数領域適応フィルタ(BFDAF)が使用されている。米国特許第5,748,751号が再び参照される。PFDAFについて、512係数からなる分割長が使用される。DENSの解析部分について、512点のデータブロックサイズが利用される。
【0061】
「ハンズフリー」な音響補強システムが説明され、該システムは、適応フィルタ4、マイクロフォン・ビームフォーマ5、動的なエコー抑圧回路(DES)7及び雑音抑圧回路(DENS)7、及びデコリレータ9を有している。選択的に、リミッタ回路8、イコライザ10及びラウドスピーカ・ビームフォーマ11を追加することもできる。2つの主要な適用を説明した。第一は、重役がリアルなハンズフリー音響補強システム1を必要とする役員室での適用であり、第二は、自動車環境におけるハンズフリーな音響補強システム1での適用である。
【0062】
上述した内容は、本質的で好適な実施の形態及び最良の形態を参照して説明されたが、これらの実施の形態は、関連する装置の限定的な例として解釈されるものではないことを理解されたい。これは、添付された特許請求の範囲に含まれる様々な変更、特徴及び該特徴の組み合わせが当業者の到達する範囲に該当するためである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】幾つかの考えられるシステムの実施例が提案される十分に装備された音響補強システムの概念図である。
【図2】図1の音響補強システムにおける適用向けの動的なエコーの抑圧回路(DES)の可能な実施の形態を示す図である。
【図3】図2のDESの動作を説明するための近端信号(実線)とエコー信号(破線)との間の振幅−時間をそれぞれ示す図である。
[技術分野]
本発明は、少なくとも1つのマイクロフォン、マイクロフォン信号を発生する該少なくとも1つのマイクロフォンに接続される適応的なエコー補正(EC)手段、及び該適応EC手段に接続される少なくとも1つのラウドスピーカを有する音響補強システムに関する。
【0002】
また、本発明は、音響補強システムにおける適用向けに適した動的なエコー抑圧回路(DES)のポストプロセッサに関する。
[背景技術]
かかる音響補強システムは、米国特許第5,748,751号の出願で説明されている。この公知の音響補強システムには、マイクロフォン、該マイクロフォンに接続された適応エコーキャンセラフィルタの構成で適応的なエコー補正(以下、ECと示す)手段が設けられている。さらに、このシステムは、ラウドスピーカ、及び該適応EC手段に接続された増幅器を有している。
【0003】
この公知の音響補強システムの問題点は、出現するエコーの全てがキャンセルされるのではなく、エコーの中には、公知の適応的なエコーキャンセレーションの後で残存するものもある。話者の室内の特徴から生じる残存するエコーは、粗雑に考慮に入れられるにすぎず、室内を動く一人以上の話者に関連するエコーの変化は、殆ど正確にモデル化することはできない。
[発明の開示]
したがって、本発明の目的は、各種のタイプのエコーを効果的にキャンセルすることができる改善された音響補強システムを提供することにある。また、本発明の目的は、複数のマイクロフォン及び/又はラウドスピーカが使用される場合において、各種のタイプのエコーを効果的にキャンセルすることができる改善された音響補強システムを提供することにある。
【0004】
本発明による音響補強システムは、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカの間に接続され、マイクロフォン信号の周波数成分の大きさと、残存するエコーの周波数成分の大きさとの間の時間遅延を使用することで、該残存するエコーを抑圧する動的なエコー抑圧回路(DES)を有することを特徴としている。
【0005】
本発明による音響補強システムの利点は、動的エコー抑圧回路、すなわちDESを利用することで、エコーのキャンセルを調整するための可能性が開かれる。これにより、該室内を動く人々のために該室内で生じる変動と共に、エコーのキャンセル処理に話者の室内インパルス応答を組み込むことができる。これは主に、DESは、多数のマイクロフォン信号の周波数成分の大きさと、該多数のマイクロフォン信号に関連する残存するエコーの周波数成分の大きさの間の時間遅延を識別するために、時間領域で本質的に動作するという事実のためである。したがって、残存するエコーは、より効果的にフィルタ処理され、音響補強システム向けに強化された音声認識が可能となる。これは、人が室内を歩き回り、室内の反響特性がかなり変動する場合があるハンズフリーの音響補強システムにとっては特に重要である。これらの変動する特性は、改善されたエコーキャンセリング技術に組み込むことができ、さらに、ラウドスピーカからマイクロフォンへのフィードバックによるハウリングが発生する可能性を低減することができる。
【0006】
本発明による音響補強システムの実施の形態は、DESが動的なエコー雑音の抑圧回路(DENS)であることを特徴としている。
【0007】
かかるDENSは、定常雑音を抑圧するためにスペクトルの減算(spectral subtraction)を有効に利用しており、その入力信号の短時間のパワー又は振幅スペクトル(magnitude spectra)が利用される。
【0008】
本発明による音響補強システムの別の実施の形態は、多数のマイクロフォンシステムで構成することができ、本音響補強システムが適応EC手段と2つ以上の該マイクロフォンとの間に接続されたマイクロフォン・ビームフォーマを有することを特徴としている。
【0009】
本発明による音響補強システムの更なる実施の形態は、本音響補強システムが、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、マイクロフォン信号を無相関化するためのデコリレータ(decorrelator)を有することを特徴としている。
【0010】
適応EC手段が話者の信号における自己相関を除去しようとするために、デコリレータを本発明による音響補強システムに含むことで、所望の話者信号に関する「ホワイトニング」が回避される。
【0011】
本発明による音響補強システムの更なる実施の形態では、本音響補強システムが、適応EC手段と少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、本音響補強システムの利得を制限するためのリミッタ回路を有することを特徴としている。
【0012】
本発明による音響補強システムの利点は、増幅器の利得が突然大きくなった場合、並びにマイクロフォン及び/又はラウドスピーカが室内で移動された場合であっても、システムが安定したままであることである。さらに、往復の利得を減少することで、異常な状況でのハウリングを回避することができる。
【0013】
本発明による音響補強システムの別の実施の形態は、本音響補強システムが、適応EC手段と2つ以上の該ラウドスピーカの間に接続されたラウドスピーカ・ビームフォーマを有することを特徴としている。
【0014】
有利なことに、この選択的なラウドスピーカ・ビームフォーマは、聴取者に焦点を合わせるビームパターンをつくる。スピーカ方向に「空白(null)」をつくることで、ハウリングがさらに回避される。
【0015】
本発明による音響補強システムのさらに別の実施の形態は、本音響補強システムが、デコリレータとラウドスピーカ・ビームフォーマとの間に接続されたイコライザを有することを特徴としている。
【0016】
有利なことに、このイコライザは、ラウドスピーカと聴取者との間の経路に関して考えられる粗雑な周波数特性を平坦化する。
【0017】
本発明による音響補強システムは、ハンズフリーシステムの場合があり、イベントホール等の場内拡声装置(PA)、講演システム、会議システム、或いは自動車又は航空機等のような乗り物向けの機内放送システムのような通信システムとして実現される。
【0018】
ここで、本発明による音響補強システムは、その付加的な利点と共に更に説明され、添付図面に対して参照がなされ、類似した構成要素には同じ参照符号が付される。
[実施例]
図1は、全体的な音響補強システム1のブロック図を示している。本システム1は、唯一の話者が大衆に話すイベントホール等の場内拡声装置(PA)から、参加者の間で聴取者と話者が連続して変わる講演システムまでの範囲に適用される。本システム1は、1つ以上のマイクロフォン2、及び1つ以上のラウドスピーカ3を備えている。適切な信号処理と共に、ラウドスピーカアレイ3及びマイクロフォンアレイ2の両者について、放射パターンをつくることができる。
【0019】
かかるシステム1の全ての適用において、音声認識を強化することを狙いとしている。かかるシステム1なしには、信号対雑音比(SNR)が低いために、及び反響が高いために音声認識度が低すぎることがある。余分な計測を行わない場合には、使用されるマイクロフォンが参加者の口に接近していなければならず、また、唯一の話者が所定の時間で動作状態(アクティブ)でなければならない。その時にのみ、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の音響帰還が低く、かつ十分に高い音響の出力電力ではハウリングは生じないことが保証される。また、マイクロフォン信号は良好なSNRを有し、直接の音場の成分は拡散された音場の成分を支配することが保証される。すなわち、マイクロフォン信号は、反響音とならない。
【0020】
多くの適用されるケースでは、参加者は、マイクロフォン2を該参加者の口に近づけることを望まず、話したいときにボタンを一度押すことを望まない。1つの例は、役員室での会議であり、人々は大きなテーブルの周りに座り、通信装置により妨げられることなしに作業及び会話することを望む。これは、マイクロフォン2及びラウドスピーカ3を遠くに配置することで可能であり、同時の会話が可能になる。別の適用例は、自動車内での会議である。大きな背後の雑音、及び運転手と乗客の位置のために、音声理解は通常低い。ここでの魅力的な解決策は、参加者の近く(たとえば、自動車の天井)にマイクロフォン2を位置することであり、自動車内に分散して配置されているオーディオ装置を使用することである。
【0021】
上述した状況では、要求される音圧レベルでハウリングが生じないこと、及びマイクロフォン2により採取された音声が強調されること、すなわち、背後の雑音が除去されて、所望の音声信号の反響が抑圧されることを保証するために、追加の信号処理が利用されなければならない。
【0022】
類似した問題は、スピーカ付き(又はハンズフリー)電話及びビデオ会議システムのようなシステム1で遭遇される。また、ユーザは、自由に動き回ることを望み、通信装置により悩まされることを望まない。後者は、接続が全二重であることを含んでいる。音響エコー及び所望の音声の反響を除去するために信号処理が必要とされ、背後の雑音を除去するために追加の処理が必要とされる場合がある。
【0023】
本システム1は、適応型エコーキャンセリング(EC)フィルタ手段4をさらに備えている。このフィルタ手段4では、ラウドスピーカとマイクロフォンの対のそれぞれの伝達関数が予測され、この伝達関数により、それぞれのマイクロフォン信号zs(n)におけるエコーys(n)(sはチャネルインデックス)が予測されて、続いて、それぞれマイクロフォン信号から差し引かれる。関連する信号は、残余信号rs(n)と呼ばれる。適応型のフィルタ手段4は、それぞれのチャネルsについて、予測されたエコーys(n)と残余信号rs(n)を含んでいる。
【0024】
また、システム1は、フィルタ手段4に接続されたマイクロフォン・ビームフォーマ5を備えている。このビームフォーマ5の役割は、動作状態にある話者にビームを焦点合わせすることであり、すなわち、動作状態にある話者の信号が強調され、かつ反響及び背後の雑音が抑圧されるようなやり方で、入力信号rs(n)がフィルタリング(すなわち重み付け)されて互いに合計される。フィルタ係数(すなわち重み付け係数)は、適応的に決定されるが、適応処理の間に(強い)エコーが存在しないことが要求される。近端の話者だけが動作状態にあるときに、マイクロフォン・ビームフォーマ5を調整することができる会議での適用とは反対に、ダブルトーク状態を常に有し、エコーを始めに除去しなければならない。マイクロフォン・ビームフォーマ5は、入力として残余信号rs(n)を有し、強調された信号r(n)をその出力で送出する。さらに、予測されたエコーys(n)は、残余信号rs(n)と厳密に同様なやり方で処理され、出力信号y(n)を与える。信号y(n)は、動的なエコー抑圧回路(DES)7に入力される。DES7は、以下に説明されるように動的なエコー雑音抑圧回路(DENS)が使用される場合もある。
【0025】
DES7は、残存するエコーを抑圧するものであり、DENS7として具現化され、(可能であれば)近端信号を歪ませることなしに、(定常的な)雑音成分を抑圧する。残余信号では、以下の理由で残存するエコーが常に存在する。第一に、適応フィルタ4のフィルタ係数の数が余りに少な過ぎるために、室内インパルス応答を完全にモデル化することができない。第二に、適応フィルタ4は、人が動くとき、インパルス応答の変化を追跡することができない。DENS7は、定常雑音の抑圧のためのスペクトル減算と強い類似を有し、短時間のパワー、すなわちy(n)、r(n)及びz(n)それぞれの振幅スペクトルを利用する。ここで、z(n)は、z(n)=y(n)+r(n)としてDENSで計算され、信号zs(n)をフィルタ4の入力としたとき、マイクロフォン・ビームフォーマ5の出力6として得ることができる。DENS7に要求されることは、テレカンファレンスと比較したときに更に強くなる。テレカンファレンスでは、遠端側でのDENSによる遠端の話者の可能性のある歪みは、近端の話者自身によりマスクされる。さらに、テレカンファレンスの適用のケースでは、ダブルトークが生じないことがある。本音響補強システム1によれば、ダブルトークが常に存在し、聴取者により近くされるラウドスピーカの出力は、近端の話者よりも一般的に非常に大きく、結果的に、可能性のあるアーチファクトは近端の話者によりマスクされない。
【0026】
また、本システム1は、リミッタ回路8を備えている場合がある。増幅器の利得が突然大きくなった場合、並びにマイクロフォン2及び/又はラウドスピーカ3が移動された場合であっても、本システム1が安定のままでいることを保証するために、リミッタ回路8は、本システム1に追加される。その役割は、利得を減少することにより、異常な状況でのハウリングを回避することである。
【0027】
本音響補強システム1にはデコリレータ9も含まれる。デコリレータ9は、適応フィルタ4の適切な動作のために一般に必要とされる。適応フィルタ4は、その残余信号rsをその入力信号xと無相関化する。デコリレータ9がない場合には、xはまさにrのスケーリングされたバージョンであり、結果として、適応フィルタ4は、所望の話者の自己相関を除去しようとする。すなわち、所望の話者を「ホワイトニング」しようとする。デコリレータを利用することで、この問題を解決することができる。勿論、デコリレータは、所望の信号に関して知覚される品質を変えるものではないことが重要なことである。音声信号について、デコリレータ9は、周波数シフタとして実現され、非常に最適である。約5Hzのシフトにより、無相関特性は良好であり、知覚される品質は良好のまま維持され、音響経路が突然変化したときであっても、システム1全体は安定に保持される。
【0028】
本システム1には、イコライザ10も含まれている。かかるイコライザの詳細は、国際特許出願WO96/32776で説明されており、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。イコライザ10により、ラウドスピーカとマイクロフォンの経路に関する粗雑な周波数特性が平坦化される。このため、このラウドスピーカとマイクロフォンの経路が良好な予測である場合(通常、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2とが共に接近している場合)、適応フィルタ4からの伝達関数から得られる情報を使用して、イコライザにあるフィルタを自動的に調整することができる。
【0029】
別の考えられる実施の形態では、本システム1は、2つ以上のラウドスピーカ3が存在する場合に、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を備えている。ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を使用して、聴取者に焦点を合わせるビームパターンをつくることができる。次いで、マイクロフォン・ビームフォーマ5からの情報を処理して、話者の方向に空白をつくることができる。
【0030】
ハンズフリーのテレカンファレンスシステムとして適用される音響補強システム1と、「ハンズフリー」な音響補強システムの間の問題は類似しているが、本明細書で述べられる3つの見地が存在し、音響補強のケースを技術的により困難にする。
1) 予測されたエコーを除去するために使用される適応フィルタ4は、エコーが近端の話者により妨害されない状況では、学習することができない。これは、近端の話者がラウドスピーカ信号のための駆動力として作用しているからであり、テレカンファレンスのケースでは、遠端の話者が駆動力として作用する。
2) 最も困難な状況である、ダブルトークの状況が絶え間なく存在する。テレカンファレンスに適用されるケースでは、遠端の話者又は近端の話者のいずれかのほとんどの時間が動作状態にある。ダブルトークの間、遠端側での不適切なエコーキャンセリングのために、遠端の話はやや妨害される。これは、近端の話者により容易にマスクされる。これは、近端の話者自身のために保持されるが、室内の近端の聴取者にも保持される。音響補強システムによれば、知覚されるラウドスピーカ信号は、非常に強く、マスキング効果を利用することはできない。
3) 演算による遅延が最小となるはずである。マイクロフォン信号とラウドスピーカ信号との間の全体の遅延は、10ミリ秒以下となるはずである。
【0031】
ここで述べた課題に対処すべく、「ハンズフリー」な音響補強システム1の一般的なアーキテクチャが提案される。開示されるアーキテクチャが様々な変形を許容するが、1つは既に先に述べられている。
【0032】
適応フィルタ4のセクションは、音響補強システム1に含まれるマイクロフォン2及びラウドスピーカ3の数に関する仕様的な配置に依存して実現される。1つのマイクロフォンと1つのラウドスピーカ、1つのマイクロフォンと複数のラウドスピーカ、複数のマイクロフォンと1つのラウドスピーカ、或いは複数のマイクロフォンと複数のラウドスピーカを有するかかる仕様的な配置は、従来技術で知られている。
【0033】
マイクロフォン・ビームフォーマ5は、異なる入力をフィルタリングすなわち重み付け処理して、それらを互いに合計することで、動作状態にある話者にビームを焦点合わせする。これにより、動作状態にある話者の信号が強調され、背後の雑音及び反響が抑圧される。適用されるケースには、移動する話者を追跡することができる適応ビームフォーマを利用できることが重要なものがある。最も知られている適応ビームフォーマは、遅延と総和のビームフォーマ(Delay-and Sum Beamformer)であり、到来方向に依存して、マイクロフォン信号における所望の音声信号が互いに遅延されたバージョンであることが想定されている。マイクロフォン信号を相関付けすることにより、遅延を判定することができ、空間的な白色雑音について、対数的な減衰を得ることができる。
【0034】
遅延と総和のビームフォーマがベースとされる自由場の想定が実際において妥当ではないことがある。特に、テーブル又は壁といった他の物体の近くにマイクロフォンアレイ2が配置される場合、又はモニタの上部に位置される場合、音声信号は、まさに互いの遅延されたバージョンではなく、厳しい反射及び反響を含むものでもない。遅延の判定は明白ではなく、全体的な性能は最適ではない。
【0035】
代替的なビームフォーマは、重み付け総和ビームフォーマ(WSB: Weighed Sum Beamformer)、及びフィルタリング総和ビームフォーマ(FSB: Filtering Sum Beamformer)である。かかる適応ビームフォーマの詳細は、国際特許出願WO99/27522号において説明されており、その内容は引用により本明細書に組み込まれる。WSBでは、それぞれのマイクロフォン信号は、重み付けされて合計される。出力パワーが所定の制約下で最大となるように、重みは(適応的に)決定される。かかるWSBは、マイクロフォン2が互いに離れて向いている適用、又はマイクロフォン2が互いに遠くに離れている適用では特に適している。FSBによれば、それぞれのマイクロフォン信号がFIRフィルタでフィルタリングされて、合計される。また、ここでは、出力パワーが所定の制約下で最大となるように、重みは適応的に決定される。
【0036】
フィルタリング総和ビームフォーマは、最初の反射と共に音声の有意な部分をマイクロフォンが全て集めるケースに特に適している。FSBフィルタは、遅延及び最初の反射を自動的に補正する。WSB及びFSBフィルタ5は、いわゆる一般化サイドローブキャンセラに拡張することができる。強調された音声信号とは別に、WSB及びFSBは、雑音を主に含んでいる追加の出力で拡張することができる。出力は、その後のマルチチャネル適応雑音キャンセラのための基準入力としての役割を果たす。該キャンセラでは、ビームフォーマの強調された音声出力は、主要な入力としての役割を果たす。このようにして、雑音をさらに低減することができる。
【0037】
動的なエコー抑圧回路(DES)7は、動的なエコー雑音抑圧回路(DENS)7に拡張することが考えられ、音響エコーのキャンセリング向けに効果的に使用することができる。図2を参照して、その動作を以下に簡単に説明するが、はじめに、以下に使用される幾つかの記載上の取り決めを与える。
【0038】
サンプリングのカウンタは、n(n=...,1,0,1)で示される。ここでは、ブロック処理を採用し、実数値の離散的な時間信号x(n)がx(BlB−1)に従い分割される。Bはデータブロックサイズであり、lBはlB=|n/B|に従うブロックのカウンタであり(||は整数切捨てを示す)、及びl=0,1,...,B−1である。したがって、x(n)の最新の利用可能なデータサンプルは、x(BlB)である。xのM点DFTの結果は、X(k;lB)で示され、kは周波数のカウンタ(k=0,1,...,M−1)である。なお、実数値の時間領域のデータのために、実際の実現において負の周波数を考慮する必要がないが、記載の便宜のために、考慮するものとする。FSAMPは、サンプリング周波数でヘルツにより示され、FIRは有限インパルス応答を示し、IIRは無限インパルス応答を示す。NはFIR係数の数を示す。
【0039】
DES7は、(雑音成分を無視して)その入力として分割された時間フレームを受け、これらのフレームを、|Y(k;lB|、|Z(k;lB|及び|R(k;lB|で示される振幅スペクトルに変換する。次に、DES7は、(負でない)周波数に依存する減衰
(外1)
を|R(k;lB|に印加して、
(外2)
を得る。時間領域信号q(n)は、
(外3)
に関する逆スペクトル変換により再構成される。ここで、jφR(k;lB)は残余スペクトル|R(k;lB)|の位相である。減衰関数
(外4)
は、以下のように計算される。最初のフレーム当たりの減衰関数G(k;lB)は、
【数1】
に従い計算される。lBはフレーム番号、γeはエコー項の減算要素、及び|Yr(k;lB)|は適応フィルタが余りに係数が少ないために完全な(無限長の)室内インパルス応答をモデル化することができないという事実を補償するための残余エコーの大きさの予測値である。G(k;lB)が繰り返し演算の間に急激に変化することを避けるために、
【数2】
に従う低域通過型の繰り返し演算を採用する。
【0040】
したがって、大きな遠端エコーを有する周波数帯域では(Yをエコーの予測値とする)、近端信号と比較したとき、残余信号Rは減衰され、近端信号が遠端エコーよりも非常に大きな帯域では、該残余信号はほぼ同じままである。テレカンファレンスで適用されるとき、遠端信号の短時間スペクトルが近端信号の短時間スペクトルとは異なり、近端信号を抑圧することなしにエコー成分を抑圧することができるという想定で利用される。音響補強システムによれば、状況が異なる。近端の話者が駆動力であるので、近端の音声のスペクトルは、エコーのスペクトルと有意に異ならない。近端音声とエコーの間の時間軸における差を利用することができる。
【0041】
図3では、マイクロフォン信号の所定の周波数成分の大きさが時間関数として与えられている。実線は近端信号を示しており、破線はエコーを示している。エコーは、処理の遅延、及びラウドスピーカとマイクロフォンの間の音響伝播の遅延のために近端信号の後にはじまる。減衰は、室内の反響時間とシステムの開ループ利得との両者により決定される。|Y(k;lB)|+|Yr(k;lB)|がエコー(図3における破線)の予測値であるケースにおいて、DESがどのように反応するかを調べる。予測が正確であって、エコーが近端信号と相関せず、かつ2乗された予測値を2乗されたz信号から差し引いたとき、結果は、2乗された近端音声信号に等しくなる。
【0042】
しかし、この予測値は正確ではなく、過減算(oversubtraction)(γe>1)と共に振幅も考慮することができることを実験は示している。エコーを過減算した場合、近端音声のディケイ(decay)のみが歪むことが図3から示される。アタック(attack)の間及びディケイの後、歪みは存在しない。ディケイの間、歪みは重要ではない。室内の反響のため、音声のディケイはこの反響により既に歪んでいるとさえいうこともできる。実験から、過減算を採用したとき、ある逆反響(dereverberation)効果が確かに存在することが示される。ループ利得が大きくなると、適応フィルタとDESの結合がエコーを差し引いて抑圧することが益々重要となる。
【0043】
非常に大きな利得(最大20dB)では、ループ利得が1以下の状況とは対照的に、近端音声のディケイの間の歪みよりも、安定性がより問題となる。このため、γeはループ利得に依存する。ループ利得は、適応フィルタ手段4の重みから直接得ることができる。これは、該係数がマイクロフォン2とラウドスピーカ3の間の周波数特性を表しており、システムの残りが利得1を有する場合に、開ループ利得を決定するためである。最大のループ利得が1よりも小さい場合に、γeは1よりも小さい値が選択され、最大のループ利得が1よりも大きい場合に、γeは1よりも大きな値が選択される。
【0044】
対処すべき別の問題は、DENSのアルゴリズム的な遅延である。通常、DENSは、線形位相フィルタであり、DESのデータブロック長Bに等しい余分な遅延を与えるDENSが最小位相フィルタとして実現される場合、余分な遅延が追加されない。
【0045】
リミッタ回路8の役割は、たとえば、マイクロフォン又はラウドスピーカの移動のため、或いはラウドスピーカの音量の突然の増加のために本システム1が不安定になった場合に、システムの利得を減少することにある。ハウリングをはるかに超えた動作向けに設計されている場合に、本質的に重要なことである。かかる状況では、エコーは、近端の話者の信号よりも非常に大きく、マイクロフォンの前置増幅器の利得は、エコーにより決定される。結果として、適応フィルタ4及びDES又はDENS7によるエコー補正の後、近端音声のための巨大な上方空間が存在する。リミッタ回路は、ラウドスピーカとマイクロフォンの経路での劇的な変化の間、エコーが良好に補正されない場合に、利得を減少するために必要である。リミッタ回路の機能それ自身は、標準的な機能である。リミッタ回路の利得は、アタック利得とディケイ利得との2つの利得の積である。
G1=Ga Gd
通常、G1は1に等しい。出力信号q(n)の平滑化された積が閾値Plimitを超えると、利得比Grは、
【数3】
として決定され、GgはG1に等しく設定される。Ga及びGdは、
【数4】
により与えられる。Ta及びTbの典型的な値は、それぞれ0.01秒及び5.0秒である。結果として、G1は、Gg/Grに向かって急速に減少し、その後、再び1に向かって緩やかに大きくなる。
【0046】
先に述べたように、適応フィルタ4が所望の信号を「ホワイトニング」しようとすることを防止するために、デコリレータが必要となる。かかるデコリレータの詳細は、米国特許第5,748,751号の出願で説明されており、引用により本明細書に盛り込まれる。音声認識応用のために、周波数シフタは非常に良好に実行する。約5ヘルツの周波数シフトが採用されたとき、周波数シフタは、信号を無相関化するとともに、本システム1を安定状態に維持し続ける。室内でのラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の周波数特性は、多くのピークとディップ(peaks and dips)を示す。隣接する最大周波数と最小周波数の間に位置する平均周波数は、ほんの数ヘルツである。周波数シフタが利用されるとき、平均のループ利得は、最大のループ利得に変わって重要となる。
【0047】
0dBを超える最大のループ利得、及び0dB以下の平均ループ利得による利得のため、周波数シフタを有するシステムは、適応フィルタなしでも安定状態のままである。しかし、ループを通した(5Hzのシフト毎の)音の往復のために、アーチファクトを憂慮すべきである。適応フィルタ4(及びDE(N)S)により、適応フィルタによりもたらされる減衰は、これらのアーチファクトを抑圧するために十分である。
【0048】
音響補強システム1に関する考えられる実施の形態では、パラメトリックイコライザ10を使用して、周波数応答を調整する。1オクターブイコライザ、又は3分の1オクターブイコライザが使用されることがあり、すなわち、帯域幅は周波数の増加につれて増加する。イコライザ10の調整は、殆どオフラインで行われる。白色雑音又はピンク雑音の源は、励起源として使用され、マイクロフォンは聴取者の位置に配置される。応答は、数オクターブから3分の1オクターブで計測され、イコライザ10は、平坦な(或いは所望の)応答が得られるまで調整される。より多くの聴取者が利用可能である場合、手順が繰り返され、平均的な曲線が得られる。
【0049】
この方法の問題点は、調整が固定されていることである。条件が変わった場合(たとえば、満員の室内又は無人の室内)、それ以上調節を行うことはできない。実験から、ラウドスピーカ3とマイクロフォン2の間の周波数特性は(特に、ラウドスピーカがマイクロフォンに近過ぎる場合)、数オクターブ又は3分の1オクターブで計測されたとき、ラウドスピーカと参加者の間の伝達関数を表している。かかる状況では、イコライザ10を調整するために、適応フィルタ4の予測値を使用することができる。イコライザ10が図1に示されるように適応フィルタ手段4の入力12の後に配置される場合には、調整は自動的に反復的に行われる。すなわち、適応フィルタ4は、イコライザ10と音響経路の組み合わせに関する伝達関数を予測しようとする。
【0050】
1つのラウドスピーカと複数のマイクロフォンのケースについて、同様なことを行うことができる。その場合には、適応フィルタ4において利用可能な伝達関数から、平均の伝達関数を計算しなければならない。多数のラウドスピーカと1つのマイクロフォンのケースでは、2つの可能性が存在する。イコライザ10は、それぞれのラウドスピーカ経路に配置することができ、1つのラウドスピーカと1つのマイクロフォンのケースに関して同じ手順を使用することができ、或いは、イコライザは、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の前に位置することができる。適応フィルタ4の背後のモデル概念を使用するとき、イコライザの係数を予測するために使用される伝達関数は、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11のFIRフィルタの係数により重み付け又は畳み込みされる個々の伝達関数の総和により与えられる。
【0051】
ラウドスピーカ・ビームフォーマ11により、ラウドスピーカアレイ3の方向性パターンを成形することができる。マイクロフォン・ビームフォーマ5のケースのように、ラウドスピーカ・ビームフォーマは適応フィルタである。マイクロフォン・ビームフォーマ5とは反対に、ラウドスピーカ・ビームフォーマをどのように調整するか、すなわち、ラウドスピーカ・ビームフォーマをどこへ向けるべきか明らかではない。
【0052】
聴取者がどこに位置するかを本システム1に知らせるためには、余分の計測が必要となる。考えられることとしては、(会議での適用では)会議の開始での注意ボタン、カメラを利用して聴取者の位置を抽出するビデオトラッキング等がある。ラウドスピーカの構成に依存して、重み付け総和ビームフォーマ、遅延及び総和ビームフォーマ、或いはフィルタリング総和ビームフォーマを使用することもできる。全ての個々の増幅器が同じ利得を有し、1つの総合的な利得調整が存在することが重要である。さもなければ、放射パターンが個々の増幅器の増幅値に依存する。聴取者に関する情報を入手することができない場合、動作状態にある話者に向けないことにより、ビームフォーマが有効となる。話者にとって、該話者に向けられた音は役に立たたず、妨げでさえある。
【0053】
また、話者に向けられるラウドスピーカのビームと、(該話者に向けられる)マイクロフォンのビームとの間の音響的結合は、一般に大きい。この結合を減少することは、システム全体の働きを改善する。なお、この場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11は、マイクロフォン・ビームフォーマ5を設定することにより決定される。たとえば、マイクロフォン・ビームフォーマとラウドスピーカ・ビームフォーマの両者が重み付け総和ビームフォーマであり、マイクロフォン・ビームフォーマ5の係数(w1,w2,...,ws)が(1,0,...,0)である場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の係数(wl1,w12,...,wls)は(0,1,...,1)に等しい。さらに、この場合、同じに添え字が付されたラウドスピーカ及びマイクロフォンは、関係する室内において同じ音響領域をカバーする。
【0054】
この説では、3つの適用が説明される。第一は、複数のマイクロフォンと1つのラウドスピーカを有するハイエンドのスピーカフォンユニットを取り扱う。第二には、複数のユニットを取り扱い、第三には、自動車内での音響補強システムを取り扱う。
【0055】
スピーカフォンユニットは、オーディオカンファレンスへの適用向けに使用することができる。また、該スピーカフォンユニットを役員室での音響補強向けに使用することもできる。図1には、処理のブロック図が示されている。マイクロフォン・ビームフォーマ5は、この場合、オーディオカンファレンスの場合のように、音声信号を受ける重み付け総和ビームフォーマから構成されている。また、この場合、参加者が該ユニットから遠くに離れている場合、外部のマイクロフォン2を使用することもできる。
【0056】
ビームフォーマ5の出力は、DES/DENS7、リミッタ回路8、周波数シフタデコリレータ9を通して、適応フィルタ4の入力に供給され、イコライザ10を通過した後にラウドスピーカ3に供給される。唯一のラウドスピーカ3が存在する場合、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11の必要はない。それぞれ対応するマイクロフォンの方向に向いている3つのラウドスピーカを有するスピーカフォンユニットが考えられる。マイクロフォン・ビームフォーマ5に接続されるラウドスピーカ・ビームフォーマ11は、先に説明したように使用することができる。ラウドスピーカ3は、音声を出力し、適応フィルタ4は、エコーを補正する。より大きな会議室では、1つのサウンドユニットでは不十分である。拡張マイクロフォン(extension microphone)は、他の音響ユニットにより置き換えられるべきである。
【0057】
かかる適用では、1台のマスターサウンドユニット、及び1台以上のスレーブサウンドユニットを有する。スレーブからマスターへのエコー補正されたマイクロフォン信号に加えて、マスターからのラウドスピーカ信号もまた、スレーブに転送されなければならない。次いで、リミッタ回路8とデコリレータ9の間に、余分な重み付け総和ビームフォーマ(WSB)が追加される場合があり、WSBは、(重み付けの後に)サウンドユニット自身の純粋なエコー信号、及びスレーブサウンドユニットから到来する信号を合計する。スレーブサウンドユニットに送出される出力信号は、周波数シフタデコリレータ9の後で得られる。
【0058】
興味のある適用は、自動車の環境で見られる。自動車の後部座席の乗客は、スピーカの指向性及び背後の雑音のために、該自動車の運転手及び助手席の乗客を理解することができない。マイクロフォン2を全ての参加者に近づけて配置し(たとえば、自動車の天井)、該自動車に既に存在するラウドスピーカ3を使用することで、音響補強システム1は、図1に示されるように機器構成することができる。適応ビームフォーマ5はWSBであり、高速マイクロフォンセレクタとしての役割を果たし、DENSは、残余エコーを抑圧するのみでなく、定常雑音をも抑圧する。1つのラウドスピーカと複数のマイクロフォンの構成で機能させることができるが、ラウドスピーカ・ビームフォーマ11を導入して、話者のために使用されるラウドスピーカを抑圧することができる。その場合、先に説明したように、適応的な背景モデルの概念を必要とする。
【0059】
この節では、唯一のラウドスピーカ3を有しつつイコライザ10を有さないサウンドシステム1について幾つかの実現の詳細が与えられた。システムは、16kHzのサンプリング周波数で開発されている。アルゴリズム的な遅延を減少するために、(オーディオカンファレンスシステムでの256サンプルと比較したとき)64サンプルのみのブロックサイズBを有するブロック処理が利用される。図に示したように、適応フィルタ4、ビームフォーマ5のプログラマブルフィルタの部分、DES/DENS7のフィルタ部分、リミッタ回路8及びデコリレータ9は、Bサンプルのブロックで動作する。閉ル−プシステムにおけるブロックで作業することは、少なくともBサンプルの遅延が存在しない場合には幾つかの問題を与える。
【0060】
マイクロフォン経路でのシリアル−パラレル変換、及びラウドスピーカ経路でのパラレル−シリアル変換のために、インパルス応答は、少なくとも2Bサンプルを常に含んでいる。適応手段4の前に少なくとも2Bサンプルの遅延を設けることは有効である。それは、この遅延がインパルス応答のうちの少なくとも最初の2Bサンプルをモデル化するためである。適応フィルタのフィルタ長について、N=2048が選択される。適応フィルタ手段4それ自身について、制限された分割ブロック周波数領域適応フィルタ(PBFDAF)が使用されているのと同様に、制限されていないブロック周波数領域適応フィルタ(BFDAF)が使用されている。米国特許第5,748,751号が再び参照される。PFDAFについて、512係数からなる分割長が使用される。DENSの解析部分について、512点のデータブロックサイズが利用される。
【0061】
「ハンズフリー」な音響補強システムが説明され、該システムは、適応フィルタ4、マイクロフォン・ビームフォーマ5、動的なエコー抑圧回路(DES)7及び雑音抑圧回路(DENS)7、及びデコリレータ9を有している。選択的に、リミッタ回路8、イコライザ10及びラウドスピーカ・ビームフォーマ11を追加することもできる。2つの主要な適用を説明した。第一は、重役がリアルなハンズフリー音響補強システム1を必要とする役員室での適用であり、第二は、自動車環境におけるハンズフリーな音響補強システム1での適用である。
【0062】
上述した内容は、本質的で好適な実施の形態及び最良の形態を参照して説明されたが、これらの実施の形態は、関連する装置の限定的な例として解釈されるものではないことを理解されたい。これは、添付された特許請求の範囲に含まれる様々な変更、特徴及び該特徴の組み合わせが当業者の到達する範囲に該当するためである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】幾つかの考えられるシステムの実施例が提案される十分に装備された音響補強システムの概念図である。
【図2】図1の音響補強システムにおける適用向けの動的なエコーの抑圧回路(DES)の可能な実施の形態を示す図である。
【図3】図2のDESの動作を説明するための近端信号(実線)とエコー信号(破線)との間の振幅−時間をそれぞれ示す図である。
Claims (10)
- 少なくとも1つのマイクロフォンと、マイクロフォン信号を発生するための該少なくとも1つのマイクロフォンに接続された適応エコー補正手段と、該適応エコー補正手段に接続された少なくとも1つのラウドスピーカとを有する音響補強システムであって、
該音響補強システムは、該適応エコー補正手段と該少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、マイクロフォン信号の周波数成分の大きさと、残存するエコーの周波数成分の大きさとの間の時間遅延を使用することで該残存するエコーを抑圧するための動的なエコー抑圧回路を有する、
ことを特徴とする音響補強システム。 - 該動的なエコー抑圧回路は、動的なエコー雑音抑圧回路である、
ことを特徴とする請求項1記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、該適応エコー補正手段と2つ以上の該マイクロフォンとの間に接続されたマイクロフォン・ビームフォーマを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、該適応エコー補正手段と該少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、該マイクロフォン信号を無相関化するデコリレータを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、該適応エコー補正手段と該少なくとも1つのラウドスピーカとの間に接続され、該音響補強システムにおける利得を制限するためのリミッタ回路を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、該適応エコー補正手段と2つ以上の該ラウドスピーカとの間に接続されたラウドスピーカ・ビームフォーマを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、該デコリレータと該ラウドスピーカ・ビームフォーマとの間に接続されたイコライザを有する、
ことを特徴とする請求項6記載の音響補強システム。 - 該音響補強システムは、ハンズフリーシステムであって、場内拡声装置、講演システム、会議システム、或いは自動車又は航空機等のような乗り物向けの機内放送システムのような通信システムとして実現される、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の音響補強システム。 - 請求項1乃至8のいずれか記載の該音響補強システムにおける適用向けに適した動的なエコー抑圧回路のポストプロセッサ。
- 該動的なエコー抑圧回路は、動的なエコー雑音抑圧回路として実現される、
ことを特徴とする請求項9記載の動的なエコー抑圧回路。
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