JP2004531228A - エストロゲン受容体アルファ変異体及びその検出方法 - Google Patents

エストロゲン受容体アルファ変異体及びその検出方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、エストロゲン受容体遺伝子/タンパクの、エストロゲン受容体アルファ遺伝子と新規の多型/ハプロタイプのゲノム構造を定義する、ヒト染色体6とcDNA由来のゲノムDNA配列に基づく。このような多型/ハプロタイプは、ガン、骨粗鬆症、心臓血管疾患等へのかかりやすさ等の、変異エストロゲン受容体によって媒介/変調される、様々な異常を引き起こす可能性がある。この配列アプローチに基づいて、本発明は、エストロゲンアルファ遺伝子のゲノムヌクレオチド配列、cDNA配列、アミノ酸配列、及び多型/ハプロタイプ配列、サンプル中のこれらの配列/多型/ハプロタイプを検出する方法、変異エストロゲン受容体により媒介される異常を持つ又は発現する危険性を測定する方法、及び変異エストロゲン受容体により媒介される異常を治療するために用いられる化合物をスクリーニングする方法を提供する。

Description

【0001】
関連出願
本出願は、2000年10月20日付け出願のU.S. Serial No.09/692,414(Atty.Docket CL000258)、2001年1月24日付け出願のU.S. Serial No.09/768,184(Atty.Docket CL000258CIP)、2001年3月13日付け出願のU.S. Serial No.09/804,076(Atty.Docket CL000258CI2)、及び2001年4月5日付け出願のU.S. Serial No.09/826,314(Atty.Docket CL000258CI3)の優先権を主張するものである。
【0002】
技術分野
本発明は疾患の発見と治療方法に関する。特に、本発明はエストロゲン受容体アルファ遺伝子(ESR−α)における従来未知の核酸/アミノ酸多型、及びエストロゲン受容体により媒介/変調される疾患や障害の診断方法、治療方法の開発に用いるための、該遺伝子の遺伝子配列を提供するものである。
【0003】
背景技術
エストロゲン受容体
ヒトエストロゲン受容体アルファは、核ホルモン受容体のファミリーに属する。核ホルモン受容体は、特定のホルモン応答因子を含む遺伝子の転写を開始又は増大することのできるホルモン活性転写因子のファミリーである。
エストロゲン受容体タンパクは、66kDaの分子量を有する595個のアミノ酸からなり、翻訳されたエキソン8つ、異なる機能を持つドメイン6つを有する。これらのドメインのうち2つでは、核ホルモン受容体スーパーファミリーの初期の配列が高く保持されている。このドメインのうちの1つであるDNA結合ドメイン(DBD)は、ホルモン応答遺伝子のプロモーター中のホルモン応答因子への受容体の結合を媒介する2つの亜鉛フィンガーを含んでいる。C末端領域では、ホルモン結合ドメイン(HBD)は他のホルモン受容体と配列相同性を有する2つの領域を含み、ホルモン特性と選択性を与えている。ヒトエストロゲン受容体アルファ遺伝子は、染色体6q.25.1に位置している。
【0004】
エストロゲン受容体、及びこれに類似した他のステロイド受容体は、ステロイド(エストラジオール)又はタモキシフェンのようなステロイド類似体と結合し、活性化される転写因子である。活性化に際して、受容体はエストロゲン活性化遺伝子のプロモーター領域に位置するエストロゲン受容体成分(ERE)と結合してホモ二量体又はヘテロ二量体を形成し、宿主の補活性化剤との相互作用による転写を調整する。
【0005】
心臓血管疾患におけるエストロゲンの役割
心臓病は女性の主な死亡原因であり、この事実は女性や医師達によって認識されている。45〜65歳の女性の9人に1人は何らかの心臓血管疾患を有しており、65歳以上では3人に1人に増加する。毎年、全米で24万人が心臓病により死亡しており、このうち、発作で死亡した人は約9万人である。さらに、1年以内に心臓発作を起こした人の約44%が死亡している。これに比べて男性の場合は26%である(Warren MP and Kulak J Clin Obs Gyn 1998 1(4):976−987)。
【0006】
エストロゲンは、多種多様な細胞タイプに対して、広範囲にわたり生理的な影響を及ぼす。例えば、細胞の成長とアポトーシス、及び複製に関連する無数の機能を調節している。エストロゲン受容体には、αとβの2つのタイプがある。血管と骨にはβ受容体が含まれ、肝臓にはα受容体が含まれる。そして、中枢神経系ではα及びβ受容体の両方が見られる。これらの異なる受容体部位の相互作用は、エストロゲンと、例えばラロキシフェン等の選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)の生物学的効果に影響する。結合パターンは、エストロゲン又はSERMが、エストロゲンアゴニスト又はアンタゴニストとして作用するよう命令する(Mendelsohn ME and Karas RH New Engl J Med 1999, 340(23):1801−1811;Grese TA and Dodge JA Curr Pharm Design 1998, 4:71−92)。SERMと受容体結合部位には、組織に特有の関係が存在する。エストロゲンは、HDLコレステロール値を増大し、LDLコレステロール値を減少させ、プラスミノーゲン活性抑制因子値を減少させる(Meisler JG Jour Women’s Health 1999, 8(1):51−57)。全てのエストロゲンは、発現に細胞受容体を必要とする。一般にエストロゲン受容体は、リガンド誘導性の転写因子であり、ホルモン結合後に、対象遺伝子の発現を調整する(Faustini−Fustini et al. Eur J Endocrin 1999, 140:111−129)。エストロゲンは、おそらく血管壁にも重要な影響を及ぼしている。エストラジオールとプロゲステロン受容体が、動脈内皮及び平滑筋細胞で確認されている(Campisi D et al. Int J Tiss React 1987, IX(5):393−398)。エストロゲンは動脈壁に作用し、血管平滑筋を弛緩し、血管抵抗を減少させる。この機構は、内皮由来の弛緩因子及び内生的な硝酸塩の刺激によるようである(Warren MP and Kulak J Clin Obs Gyn 1998 41(4):976−987)。17B−エストラジオールによる緩和は、心臓状態の調整に重要な役割を果たし、閉経後の女性における心臓疾患の危険性を低下する。一酸化窒素の産生はエストロゲン受容体により媒介される。なぜなら受容体が抗エストロゲン剤によりブロックされる際に一酸化窒素が抑制されるからである。
【0007】
いくつかの研究においては、エストロゲンによる療法が心臓病の危険性を最高で50%低下させることが示されている(most recently reviewed by Mendelsohn ME and Karas RH New Engl J Med 1999, 340(23):1801−1811;Rich−Edwards JW N Engl J Med, 1995, 332:1758−1765; Gerhard M, Ganz P, Circulation, 1995, 92:5−8; rodstein F, et al N Engl J Med 1997, 336:1769−75; Chasen−Taber L and Stampfer MJ Ann of Int Med, 1998, 128:467−477; Warren MP and Kulak J Clin Obstet Gyn 1998, 41(4):976−987)。エストロゲンの減少は、女性における心血管系疾患の発症の最も重要な要因のうちの1つであるかもしれない。
【0008】
エストロゲンがアテローム発生を防止するという直接の証拠がない間にも、エストロゲンが心臓血管疾患の減少に有効であることを示唆する多くの疫学的証拠が存在していた;(1)全ての年齢層において、女性の心臓血管疾患の発病率は男性より低い;(2)早期に閉経しエストロゲンを使用しない女性においては、同年代の閉経前の女性に対して、心臓血管疾患を有する数が2倍であった;(3)エストロゲンを使用する閉経後の女性は使用しない女性と比較して、心臓血管疾患の発病率がかなり低い;(4)血管造影法により検出された心臓血管疾患を有する女性は、エストロゲンを用いた場合、生存率が高い。
【0009】
近年、エストロゲン療法による心臓血管疾患の発病率及び死亡率に対する良好な結果が報告されたので、閉経後の女性に対するエストロゲンの使用が、広範囲にわたり注目されるに至った(Meinertz T Herz 1997, 22: 151−157)。米国の医科大学により刊行されたエストロゲン治療のためのガイドラインには、「冠状動脈性心臓病を持つ女性に対してホルモン療法が有効である」と述べられている。
【0010】
30以上の予見的な研究と13の管理された研究により、心臓血管疾患の発生率又は普及、及び全ての死亡原因に対するエストロゲン代替療法の影響についての調査が行われた(Stampfer MJ et al. New Engl J Med 1991, 325:756−62; Grady D et al. Ann Intern Med 1992, 117:1016−37)。これらの研究のほとんどで、閉経後のエストロゲン使用者における冠状動脈性心臓病の発生率及び死亡率は、非使用者と比べてより低いことが示された。特に、エストロゲン使用者の冠状動脈性疾患は、非使用者の約50%であることが示された。全体的には、この証拠の大部分は、0.56の相対的な危険性でエストロゲンの保護効果を強く支持している(95% 信頼区間 0.50−0.61)。しかしながら、これらの研究には「健康な女性の選択の傾向」が存在し、潜在的に結果を混同させているかもしれない(エストロゲン使用者は、エストロゲン非使用者と比較し、より良い体重管理が行われ、運動量が多く、喫煙が少ない)。さらに、エストロゲン使用者がより高い教育を受け、より高い収入を有している等の傾向もこれらの疫学研究を混乱させている(Abrams J Clin Cardiol 1998, 21:218−222)。
【0011】
以前の観察は、ランダム化されていなかったために、種々の方法論的な傾向から、危険性減少の50%のうち25%が信頼されていた(Grodstein F and Stampfer MJ Prog Cardiol Dis 1995, 38: 199−210; Barrett−Conner E and Grady D 1998, Annu Rev Public Health 19:55−72)。最近、2つのメタ分析により、エストロゲン使用による冠状動脈性心臓病の減少は35〜44%であると見積もられた。無傷の子宮を有するエストロゲン単独使用の女性において、子宮ガンの危険性が向上するとの報告があったことから、最近の研究では、エストロゲンの是否の調査が行われている。新しい証拠では、エストロゲンに加えてプロゲスチン(通常メドロキシプロゲスチンアセテート)を使用する場合には、エストロゲンを単独で使用する場合と等しい心臓を保護効果が受けられないことが示唆されている(Hulley S et al 1998 JAMA 280:605−613; Abrams J Clin Cardiol 1998, 21:218−222)。
【0012】
閉経期におけるエストロゲンの低下は、HDLコレステロール値の6%の低下と、LDLコレステロール値の5%の増加に関連しており、これは閉経後の女性が閉経前の女性と比較して、より高い心臓血管疾患発病率を有することの説明となるかもしれない。エストロゲンを使用する閉経後の女性における心臓血管疾患の発病率が低いことは、LDLコレステロール値が15〜19%減少する、及びHDLコレステロール値が16〜18%増加するという結果によって一部説明できるかもしれない(JAMA 1995, 273:199−208)。PEPI(Postmenopausal Estrogen/Progestin Intervention)というランダム化された二重盲式偽薬対照試験では、単独でエストロゲンを使用する女性のHDLコレステロール値が、組み合わせてエストロゲンを使用した女性と比較して著しく増大することが示された(JAMA 1995、273:199−208)。最近、ヒト以外の霊長類の研究によりこれらの調査結果が立証された(Clarkson TB Lab An Sci 1998, 48(6):569−72)。脂質側面のエストロゲンの影響についての統計モデルにより、エストロゲンによる25〜50%の明らかな心臓保護は、HDL−コレステロールの良好な変化に媒介されることが示された(Bush TL et al. 1987 Circulation 75:1102−9; Gruchow HW et al. 1988 Am Heart J 115:954−63)。
【0013】
エストロゲン代替療法は危険を伴わない訳ではない。長年にわたり、経口避妊薬の使用者は非使用者と比較して、静脈血栓塞栓症(VTE)の危険性が3〜4倍に増大することが示されていた(Weiss G Am J Obstet Gynecol 1999 180:S295−301)。ある研究により、固有の凝固因子が経口避妊薬に関連するVTEにおいて重要な役割を果たしていることが示された(Vandenbroucke JP et al. Lancet 1994 344:1453−7; Rosing J et al. Br J Haematol 1997, 97:233−238)。ライデン突然変異因子Vは、経口避妊薬非使用者においてはVTEの危険性を5〜10倍に増大するが、第三世代の経口避妊薬使用者においては30倍に増大する。結合されたエストロゲンは、体内の自然な血液凝固阻止システム(APC)に対する抵抗を引き起こす。経口避妊薬の使用者におけるライデン突然変異因子Vによる異型接合体は、同型接合の女性と同等のAPC抵抗に発展する。
【0014】
エストロゲンは子宮内膜ガンの危険性を約6倍に増大するが、プロゲスチンを加えることにより、この影響はほとんどなくなる(Barrett−Conner E and Grady D 1998, Ann Rev Public Health 19:55−72)。エストロゲン代替が乳ガンの危険性を増大するかどうかという議論は続けられているが、いくつかの研究により危険性は30%増大することが示されている(Greendale GA et al. Lancet 1999, 353:571−80)。
【0015】
エストロゲン代替療法が女性の心臓血管疾患の危険性を減少するかどうか、そして、それが乳ガンの危険性を増大するかどうかについて立証するべく、ランダム化された多くの研究が進められている。最近完了したある試験HERS(Heart and Estrogen/progestin Replacement Study)では、すでに心臓疾患を有する2700人の女性において、連続的にエストロゲンとメドロキシプロゲステロンアセテートを処方した場合と、コントロール偽薬を処方した場合との比較を行った(Hully S et al. 1998 JAMA 280(7):605−13)。コントロールと比較して、介入グループは心臓病の発病が1年間の試験では著しく多かったが、4〜5年の試験では著しく少なかった。さらに、ホルモン使用女性の研究においては、初期の段階で血栓塞栓症の発病率の著しい増加が起こった。これらの結果に基づくと、ホルモン代替療法は心臓病の二次的予防に勧めることはできない。
【0016】
エストロゲンを用いた心臓血管系疾患の一次的予防に関して、他に2つの大きな臨床研究が現在行われている。2005年に英国で完了することになっているThe Women’s Health Initiative、及び2010年に完了されることになっているWIS−DOMと呼ばれる研究では、エストロゲンの心臓血管系疾患に対する保護効果に新しい光を投じるであろう(Meisler JG Jour Women’s Health 1999, 8(1):51−5)。
【0017】
まとめると、現在進行中の研究は、特に最近明らかにされたデザイナーエストロゲン又はSERMに関連するエストロゲン代替療法が、胸と子宮内膜組織に悪影響を起こさずに、骨と同様に心血管系に有効な影響を及ぼすことを示唆している。それでもなお、慎重に観察する必要がある。エストロゲンを摂取する女性は平均して、より教育され、より健康で、より高い収入を持ち、より良く健康管理を行っている。むしろエストロゲンよりも、これらの違いにより心臓病の危険性が低下しているかもしれない。
【0018】
現在疾患を持たない閉経後の女性においては、エストロゲン代替療法は、データの重要性、一貫性、生物学的信用性を考慮した場合、有用な影響を持つように見える。すでに疾患を持つ女性においては、安全性と、心臓血管疾患に対する保護医薬としての外因性エストロゲンの有効性に関し、問題が残っている。
【0019】
エストロゲンと自己免疫性疾患
A.全身性エリテマトーデス(SLE)
エストロゲンが全身エリテマトーデスに関連するという見解が、以下のことから広く知られている:
1.子供を出産した女性は、全身エリテマトーデスを発症する可能性が男性の9倍高い。思春期以前では、女性の発症率は男性の3倍以上であるが、閉経後の女性では、発症率は同世代の男性と同程度である。多くの研究がなされ、これらの性による違いは、おそらくエストロゲンに関係があることが示された(Lahita R.G., 1986: Springer Seminars in Immunopathology 9, 305−314; Krammer, G.M. and Tsokos, G.C. , 1998 Clinical Immunology and Immunopathology 89: 192−195; Rider at al., 1998 Clinical Immunology and Immunopathology 89: 171−180)。
【0020】
SLEでのエストロゲンの役割の糸口は、経口避妊薬がこの病状に不利な影響を及ぼすと結論した研究から得られた(Buton, J.P., 1996 Ann. Med. Interne, 147:259−264; Julkunen, 1991: Scan. J. Rheumatol. 20:427−433)。
【0021】
2.SLEとともにKlinefelter症候群(XXY)を有する患者が報告された(Stern et al., 1977: Arthritis and Rheumatism 20:18−22)。
【0022】
3.SLE患者は、抗エストロゲン抗体を有する(Feldman, 1987: Biochem. Biophys. Acta, 145:1342−1348: Bucala et al., 1987: Clin. Exp. Immunol. 67:167−175)。
【0023】
過去には、経口避妊薬がSLEを突発的に引き起こすとされており、低量の服用はSLE患者にとって安全であるという現在の考えに至るまで、SLEの女性において経口避妊薬の使用は賛同されていなかった(Julkunen HA Scand J Rheumatol 1991;20(6):427−33)。また同様に、ホルモン代替療法もSLE患者にとって安全であると考えられている(Mok et al., Scand J Rheumatol 1998;27(5):342−6: Kreidstein et al., 1997, J Rheumatol 1997 Nov;24(11):2149−52)。
【0024】
4.エストロゲンアンタゴニストであるタモキシフェンは、疾患の進行を改善するようである(Sthoeger, 1997, Ann N Y Acad Sci 1997 Apr 5;815:367−8: Sthoeger, 1994, J Rheumatol 1994 Dec;21(12):2231−8)。
【0025】
B.エストロゲン、リウマチ関節炎(RA)及び骨関節炎
慢性関節リウマチにおけるエストロゲンに関連する文献は、骨関節炎に比べて明らかでない。疫学研究においては、経口避妊薬はRAの発病を遅らせるが、エストロゲン単独ではRAの症状を軽減することがないことから、RAが女性ホルモンにより影響を受けることを示唆している(Bijlsma Am J Reprod Immunol 1992 Oct−Dec;28(3−4):231−4)。エストロゲン補助剤の処方は、RAをもつ閉経後の女性の骨密度を増大し、しばしばRAと併発することのある骨粗鬆症に対して保護となるかもしれない(van den Brink: Ann Rheum Dis 1993 Apr;52(4):302−5)。上述の研究ではエストロゲンがRAの症状を軽減しないことが示され、他の研究ではエストロゲン補助剤療法でさえも症状を改善しないと結論づけた。エストロゲン受容体において、RA発病の歳と関連すると考えられる1つの多型が報告された(Ushiyama Ann Rheum Dis 1999 Jan;58(1):7−10)。
【0026】
一方で骨関節炎は、エストロゲン置換療法(ERT)を受けている閉経後の女性では起こりにくいということは(Felson Curr Opin Rheumatol 1998 May;10(3):269−72)、ERTが骨関節炎の防止に有益であるかもしれないことを提案している。
【0027】
C.エストロゲンと骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨がもろくなり、骨折の危険に至る骨の病気である。骨粗鬆症を有する閉経期後の女性の治療は、ホルモン、特にエストロゲンの代替を含む。エストロゲンは、骨損失及び骨折の発生を減少する(Weiss et al., N Engl J Med 1980 Nov 20;303(21):1195−8 :Paganini−Hill et al., Ann Intern Med 1981 Jul;95(1):28−31: Ettinger et al., Ann Intern Med 1985 Mar;102(3):319−24)。
【0028】
さらに、エストロゲン受容体における多型は、ヒトとマウスの両方において骨損失と関係していた.( Kobayashi J Bone Miner Res 1996 Mar;11(3):306−11 : Kurabayashi Am J Obstet Gynecol 1999 May;180(5):1115−20; Deng Hum Genet 1998 Nov;103(5):576−85 )。
【0029】
エストロゲンと認識機能
女性は男性と比較してアルツハイマー病になる危険性が高い。いくつかの研究によって、エストロゲンを使用することにより、閉経期後の女性におけるアルツハイマー病の発病率を低下できることが示されている。アルツハイマー病の女性においても、エストロゲンを使用することにより、深刻な症状を抑え、知能の低下を遅らせる。長期間(10年以上)使用している女性においては危険性が最も低い。しかし、短期間使用した女性においても効果は得られた。
【0030】
エストロゲンと乳ガン
乳ガンの発病の主な危険因子は、性、年齢、家族の乳ガン歴、初潮の年齢、最初の妊娠満期産の年齢、及び閉経の年齢である。これらの要因の全て(家族歴を除く)は、エストロゲンの分泌寿命と直接関係していることが示され、ホルモン分泌の増大が乳ガンの危険性の増大と関連している。ガンの危険性の増大は、***上皮細胞でのエストロゲン受容体に媒介される増殖的反応に起因すると考えられている。
【0031】
エストロゲン受容体アンタゴニストであるタモキシフェンは、乳ガンの防止と治療の両方に効果を示す医薬となることが示された。免疫組織化学方法を使用することにより、組織に発現するエストロゲン受容体タンパク量によって、胸腫瘍がエストロゲン受容体陽性であるか又は陰性であるかに分類することができる。エストロゲン受容体陽性の腫瘍は、エストロゲン受容体陰性の腫瘍より、タモキシフェンによる治療により好適に応答する。閉経前の女性は、閉経後の女性より、エストロゲン受容体陰性の乳ガンを発症することが多い。
【0032】
エストロゲン受容体の構造と機能の突然変異は、初期の胸腫瘍又は乳ガン細胞系において説明されている。しかしながら、これらの変化が一次的(及び発ガンに至る過程に関する)か、二次的(及びガン組織中の遺伝子の不安定性の結果)かどうかは明らかでない。さらに、これらの身体の突然変異に加えて、いくつかの研究で、遺伝DNA配列の変化と乳ガンの発達との関係の可能性を指摘しているが、これらについても議論の余地がある。
【0033】
そしてさらに、最近、乳ガンにおけるエストロゲン受容体の役割を示す証拠として、乳ガンの発達の素因を作る変異体で遺伝する遺伝子BRCA1が、エストロゲン受容体の信号を抑制することが発見された。
【0034】
エストロゲンと子宮内膜ガン
子宮内膜ガンは女性における最も一般的な骨盤の悪性腫瘍であるが、約75%は診断の時点で子宮内に確認されるので、通常は子宮摘出によって治癒することができる。子宮内膜細胞をエストロゲンへ無抵抗に暴露すると、子宮ガン細胞への発達の機会を劇的に増大するため、エストロゲン単独のホルモン代替療法を無傷の子宮を有する女性に行ってはならない。プロゲステロンの周期的又は連続的投与は、子宮内膜細胞の過度の増殖防止に役立ち、またホルモン代替治療法の一部としてエストロゲンを処方されている閉経後の女性において、子宮内膜ガンの危険性を減らす。
【0035】
子宮内膜ガンの多くの場合では、エストロゲン受容体が発現しており、一般的には、エストロゲン応答性の腫瘍は好適に予測することできる。後天的な(身体の)突然変異は、最大8.5%であるとされているが、子宮内膜ガンの発達、進行における突然変異の役割は、現在はっきりしていない。
【0036】
いくぶん議論の余地があるとは言え、研究により、タモキシフェンの使用が子宮内膜ガンに発展する機会を増大していることが示唆されている。これは、エストロゲン受容体封鎖の役割に加えて、タモキシフェンが部分的な受容体アゴニスト活性を有し、子宮内膜増殖を誘発するエストロゲン応答性遺伝子を低級誘発していることを示す。
【0037】
種々の疾患の媒介/変調におけるエストロゲン受容体の発展を得て、エストロゲン受容体中の配列多型を特定し、疾患の状態、治療効果等と関連づけることが重要である。本発明は、従来未知であった種々のESR−アルファタンパクの多型を提供することにより、これらの技術を進歩させるものである。
【0038】
SNP
全生物のゲノムは、進化過程において自然発生的な突然変異を受け、祖先配列の変異形態を生成する(Gusella, Ann. Rev. Biochem. 55, 831−854 (1986))。変異形態は祖先形態と比べ、進化の点で好都合又は不都合であるかもしれず、あるいは関係ないかもしれない。例えば、変異体が致命的な不都合を受けた場合は、後の世代には伝えられない。他方、変異形態が種の進化にとって好都合であった場合には、その種の多く又はほとんどのDNAに組み込まれ、効果的に先祖形態となる。さらに変異形態の影響は、状況によって、有益、有害の両方でありうる。例えば、異型接合鎌状赤血球突然変異はマラリアに対しての抵抗を持つが、同型接合鎌状赤血球突然変異は通常致命的である。多くの例では、先祖形態と変異形態は、種の中で共存している。配列の複数形態の共存は、SNP等の多型を引き起こす。
【0039】
参照対立遺伝子形態は任意に示されて、例えば最も多い形態又は最初に特定される対立遺伝子形態であり、他方の対立遺伝子形態は、選択的、変異、多型対立遺伝子として示される。選ばれた集団の中で最も頻繁に起こる対立遺伝子形態は、「野生型」形態と呼ばれている。
【0040】
ヒトゲノムの多型のうち約90%が単一ヌクレオチド多型(SNP)である。SNPの位置又は部位は、通常、高度に保護された対立遺伝子(個体数の1/100又は1/1000以下が変化する配列)に従う。個体のそれぞれのSNP位置での対立遺伝子は同型接合又は異型接合であるかもしれない。本発明で確認されたように、SNP位置での最小頻度の対立遺伝子は、より高頻度の対立遺伝子より少なく1%以下の頻度である。いくつかの例において、SNPは、SNPを含むヌクレオチド配列がアミノ酸コード化配列であることを意味する「cSNP」とされる。
【0041】
SNPは、多型部位の一つのヌクレオチドが他のものに置換されることによって起こる。置換は転移又は転換により起こる。転移とはプリンヌクレオチドが他のプリンヌクレオチドに、又はピリミジンヌクレオチドが他のピリミジンヌクレオチドに換わることである。転換とはプリンがピリミジンに換わること、又はその逆である。またSNPは、1つの塩基が挿入又は削除された変異形態(indelと呼ばれる)であるかもしれない。コドンコーディングにおいてアミノ酸を他のアミノ酸とする置換は、非同義コドン変異又はミスセンス突然変異と呼ばれる。同義コドン変異又はサイレント突然変異は、遺伝コードの縮重のためアミノ酸の変異を生じない。ナンセンス突然変異は、終止コドンを形成する非同義コドン変異であり、ポリペプチド鎖の早期終結、及び不完全なタンパクを導く。
【0042】
SNPは、原則的には、bi−、tri−、tetra−の対立遺伝子となることができる。しかしながら、tri−、tetra−は極めて珍しく、ほとんど存在しない(Brookes, Gene 234 (1999) 177−186)。このため、SNPはしばしば、「bi−対立遺伝子マーカー」又は 「di−対立遺伝子マーカー」と呼ばれる。
【0043】
原因SNPは、遺伝子発現、又は遺伝子生成物の機能発現の変化を生じるSNPであり、ほとんどの場合で臨床表現型の予測が可能である。これらは、ポリペプチド生成物をコード化する遺伝子領域に入るSNP、すなわちcSNPを含んでいる。これらのSNPは、ポリペプチド生成物のアミノ酸配列の変更(すなわち非同義コドン変異)を生じ、欠損、又は他の変異タンパクの発現を引き起こすかもしれない。さらに、ナンセンス突然変異の場合には、SNPはポリペプチド生成物の早期終結に至るかもしれない。このような変異生成物は、疾患状態、例えば遺伝子病を生じる可能性がある。コード化配列内に多型を有する遺伝子の例は、鎌状赤血球貧血と嚢胞性線維症を含む遺伝病を引き起こす。原因SNPは、必ずしもコード領域で起こる必要があるわけでなく、核酸によってコード化されるタンパクの発現及び/又は活動に最終的に影響する何れの領域でも起こりうる。これらの遺伝子領域には、プロモーター領域のSNP等の転写に関する遺伝子領域;欠損プライシングを引き起こすイントロン−エクソン境界のSNP、又はポリアデニル化信号領域等の信号配列を処理するmRNA中のSNP等の転写過程に関連する遺伝子領域が含まれている。例えば、SNPはイントロンのスプライシングを抑制し、早期終止コドンを含むmRNAを引き起こし、欠損タンパクに至るかもしれない。したがって、調節領域のSNPは発現に大きく影響を与えることとなる。
【0044】
原因SNPではないいくつかのSNPは、それでも疾患を引き起こす配列と密接に関連し、分離される。この場合、SNPの存在は疾患の存在又はかかりやすさと相関している。これらのSNPは、診断学や疾患へのかかりやすさのスクリーニングに非常に有用である。
【0045】
臨床試験では、患者の医薬での治療に対する反応がしばしば異質であることが示されている。したがって、医薬の設計及び治療の向上が必要であるといえる。SNPは、患者の治療に最も適した特定の医薬を決定するために用いることができる(これは、しばしば「薬理ゲノミクス」と呼ばれる)。薬理ゲノミクスは薬学研究における医薬の選択プロセスにも用いることができる。(Linder et al. (1997), Clinical Chemistry, 43, 254; Marshall (1997), Nature Biotechnology, 15, 1249; International Patent Application WO 97/40462, Spectra Biomedical; and Schafer et al. (1998), Nature Biotechnology, 16, 3.)
【0046】
集団研究
集団遺伝学とは、メンデルの法則や他の遺伝原理が、どのように集団全体において適用されるかという研究である。このような研究は進化を適切に理解するために必要不可欠である。なぜなら、基本的に進化とは集団の遺伝子構成の革新的な変化の結果生じるものであるからである。従って、集団遺伝学により、分離、組換え、及び突然変異等の遺伝現象の影響を理解及び予測することが努められ、同時に、母集団の大きさ、交接パターン、個人の地理的分布、移住、及び自然淘汰等の生態学的及び進化的因子が考慮されなければならない。
【0047】
理想的には、集団遺伝子の構成がどのようにしてなるかを解明し、自然淘汰又は人工的な選別の結果生じる集団の変化を予測するため、どのように集団遺伝子のタイプと頻度を論じるかを理解することが望まれる。
【0048】
それらの多くの問題を説明するためには、遺伝子座間に存在する関係(連鎖)を理解することが重要である。
【0049】
連鎖は、遺伝子座が同一染色体上の近接位置にあるので、2つ以上の非対立性遺伝子の共遺伝であり、減数***後も、非連鎖遺伝子と予測される50%以上が関連している。減数***中に物理的な交差があり、生殖細胞生成中に個々の染色分体間で、母方、父方の遺伝寄与の物理的な交換が起こっていることは明らかである。この交換により、必然的にそれぞれの親と隣接していた染色体領域の遺伝子が分離され、残った配列と混合した結果、「組換え」が生じる。減数***の交差による組換えの生成工程は、遺伝特性の再配列において重要な特徴であり、遺伝子伝達の理解の中核をなしている。
【0050】
組換えは、一般的にDNAの大きなセグメント間で起こる。これはDNAの隣接範囲と遺伝子とが連動していることを意味している。逆に、与えられた染色体上で互いに遠く離れたDNA領域は、交差の過程においても離れているようである。
【0051】
減数***間に起こる組換え現象を明らかにするために、分子マーカーを用いることができる。異なる長さの(CA)の繰り返しであるいくつかのマーカーは、ヒトDNAの至る所に存在し、それらの長さにはわずかな選択圧力があり、位置マーカーと、染色体にそった位置確認特性として用いられる。これらのマーカーは、母方由来の遺伝子領域から、父方由来のものを区別するのに用いることができる。
【0052】
他のマーカーは、単一ヌクレオチド多型(SNP)であり、これらはbi−対立遺伝子マーカーであり、これらのマーカーの子孫への伝達についての分析にも用いることができる。
【0053】
染色体に沿った1組のマーカーのパターンは「ハプロタイプ」と呼ばれる。そして、同一の小さな染色体セグメント上の対立遺伝子は、系図を通じてブロックとして伝達されるという傾向がある。ハプロタイプ公知の親の子孫においてハプロタイプを分析することにより、どの染色体中のどの親のセグメントがどの子に伝達されたかを確認することが可能である。組換えによって壊れていない場合、ハプロタイプは、マッピング目的で、単一高度多型遺伝子座の対立遺伝子とみなされうる。
【0054】
連鎖マーカーの特定対立遺伝子と関連する病原性遺伝子が優先的に生成することを「連鎖不平衡」(LD)と呼ぶ。この種の不平衡は一般的に、ほとんどの病原性染色体が同一の突然変異を伝えること、及びテストされたマーカーが病原性遺伝子に非常に近いことを意味している。例えば、HLA遺伝子座全体を通じて多くの連鎖不平衡がある。A3対立遺伝子は、B7、B14対立遺伝子と共にLD中にあり、その結果、B7とB14は血色素沈着症と高い関連性を有する。従って、たとえ他のファミリーメンバーが正式な連鎖分析に利用可能ではなくても、HLA分類は単独で血色素沈着症の危険性の推定を著しく変更できる。結果として、遺伝子推定位置周辺のいくつかのマーカーを組合せて用いることにより、ファミリーに影響する又は影響しないように、ハプロタイプの決定を行うことができる。
【0055】
SNPに基づくアソシエーション解析と連鎖不平衡マッピング
SNPは、特定のSNP、又は例えば乳ガンのような病的状態と関連する他の多型を特定するためのアソシエーション研究に有用である。アソシエーション研究は、一般的な母集団の範囲内で実行されるかもしれず、影響を受けるファミリーの個体に関連して行われる研究(連鎖研究)に限られるものではない。SNPを用いたアソシエーション研究は、重要な障害(例えば乳ガン)を有する多くの患者において、類似した年齢、経歴のコントロール同様に、SNP対立遺伝子の頻度を決定することを含む。患者とコントロールの適切な選択は、SNPアソシエーション研究の成功に重要である。したがって、よく特徴づけられた表現型をもつ個人の集合が、極めて望ましい。例えば、特定のSNP遺伝子型と公知の表現型との間の関連を見つけるために、血圧と心拍数は、これらの生理学上のパラメータが公知である高血圧の人のSNPパターンと相関させることができる。特定のSNP又はSNPハプロタイプと表現型的性質との間の有意の関連は、標準の統計方法によって決定することができる。アソシエーション解析は、直接、またはLDに基づいて行うことができる。直接のアソシエーション解析においては、病原性配列の候補である原因SNPの試験を行う。
【0056】
LDに基づいたSNPアソシエーション解析において、真の病原性配列または病原性SNPにより、LD中のSNPが発見するために、ランダムなSNPが広いゲノム領域(あるいはゲノム全体)で試験される。この研究のためには、アソシエーションを検出するために、その遺伝子座によって連鎖不均衡にあるように、ランダムなSNPが未知の病原性遺伝子座の十分に近くに位置するように、高密度SNPマップが必要である。SNPは高頻度で起こる傾向があって、ゲノムを通じて均一に間隔をおいて配置される。SNPの頻度と均一性は、縦列繰り返し多型のような他のタイプの多型と比較して、病原性の遺伝子位置の近接で見つかる可能性がより高いことを意味する。また、SNPは、VNTR等の縦列繰り返し多型よりも、突然変異的に安定である。LDに基づくアソシエーション研究では、何の遺伝子がどこにあるといった予備知識なしに、病気にかかりやすい遺伝子を発見することが可能である。
【0057】
しかしながら、現在、全てのヒトゲノムにおいて実行可能なSNPアソシエーション研究はなく、乳ガンと関係する候補遺伝子がSNP特定及びアソシエーション解析における対象とされている。候補遺伝子の研究では、直接疾患の発達に影響すると仮定される遺伝子を特定するために、疾患原因についての先見的な知識が用いられる。候補遺伝子の研究では、病気の治療に用いられる薬剤により直接の対象とされる遺伝子に焦点が当てられるかもしれない。乳ガンの感染性の増大に関連するSNPを発見するために、候補遺伝子は疾患経路に生理的に関係するシステムから選ばれる。これらの遺伝子に発見されたSNPは、適切なコントロールと比較して、病気にかかっている個人において、疾患との統計的な関連がテストされる。候補遺伝子の研究は、候補SNPの数と、分類し、広範囲(又は完全なゲノム領域)でのランダムSNPのLDに基づいたアソシエーション研究との比較を行う必要のある個体数とを大幅に減らすことができる長所を持つ。さらに、候補遺伝子研究ではゲノムの特定領域のLD範囲は予測されない。
【0058】
適切に間隔をおいて配置され、十分な情報を有するSNPマーカーの高密度マップの使用と組み合わせて、アソシエーション研究(連鎖不均衡ベースゲノムワイドアソシエーションを含む)により、乳ガン等の複合疾患に関連するほとんどの遺伝子の特定が可能になる。これは特定の疾患と関連する原因SNPを含む候補遺伝子の選択性を向上させる。本発明に開示されている全てのSNPは、ゲノムワイドアソシエーション研究、又は候補遺伝子アソシエーション研究の一部に用いることができる。
【0059】
本発明は、先端技術を進歩させるとともに、エストロゲン受容体遺伝子における従来未知のSNPを提供することにより商業的に有用な例を提供する。
【0060】
発明の概要
本発明は、エストロゲン受容体アルファ遺伝子、エストロゲン受容体遺伝子/タンパクの新規な多型、及び未知のハプロタイプのゲノム構造を定義するヒトの染色体6からのゲノムDNA及びcDNAの配列決定に基づく。このような多型/ハプロタイプは、癌、骨粗鬆症、心血管疾患等へのかかりやすさなどの変異エストロゲン受容体により媒介/変調される様々な病気を導き得る。この配列決定による手法に基づき、本発明はゲノムヌクレオチド配列、cDNA配列、アミノ酸配列、ESR−アルファ遺伝子中の配列多型、これらの多型のハプロタイプ、試料中のこれらの配列/多型を検知する方法、変異エストロゲン受容体により媒介される病気になるか又は進展する危険性を決定する方法、及び変異エストロゲン受容体により媒介される病気を治療するために使用される化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0061】
発明の詳細な説明
一般説明
本発明は、エストロゲン受容体アルファ遺伝子、エストロゲン受容体遺伝子/タンパクの新規な多型、及び未知のハプロタイプのゲノム構造を定義するための、ヒトの染色体6及びcDNAからのゲノムDNAの配列決定に基づく。このような多型/ハプロタイプは、変異エストロゲン受容体により媒介/変調される、癌、骨粗鬆症、心血管疾患へのかかりやすさなどの様々な病気へと導き得る。この配列決定による手法に基づき、本発明はゲノムヌクレオチド配列、cDNA配列、アミノ酸配列、ESR−アルファ遺伝子中の配列多型、これらの多型のハプロタイプ、試料中のこれらの配列/多型を検知する方法、変異エストロゲン受容体により媒介される病気になるか又は進展する危険性を決定する方法、及び変異エストロゲン受容体により媒介される病気を治療するために使用される化合物をスクリーニングする方法を提供する。
【0062】
単離SNP含有核酸分子
本発明は1種以上の本発明が開示するSNPを含む単離核酸分子を提供する。さらに本発明は、変異タンパクをコード化する単離核酸分子を提供する。このような核酸分子は、1種以上の本発明に係るSNPからなるか、実質的にこれらからなるか、又はこれらを含む。核酸分子は追加の核酸残基を有し得る。このような核酸残基は、例えば天然にその核酸分子と連なるものであるか又は異種のヌクレオチド配列である。
【0063】
ここで、「単離」SNP含有核酸分子は本発明のSNPを含むものであり、核酸の天然源に存在する他の核酸から分離されたものである。一般に、ここで使われる単離SNP含有核酸は、SNPのいずれかの側においてフランキングヌクレオチド配列を伴う本発明が開示するSNP位置を1つ以上含む。このフランキング配列は、検知試薬のために使用するならば、好ましくは概ね300塩基まで、100塩基まで、50塩基まで、30塩基まで、15塩基まで、10塩基まで、又は4塩基までを、又は図面に開示されたコーディング変異体を含むタンパクを生成するために使用するならば、全体のタンパクコード化配列の長さを、SNP位置のいずれかの側に有する。重要な点は、核酸は遠隔の、及び重要でないフランキング配列から単離されることであり、そして組換え発現、SNP位置のためのプローブ及びプライマーの調製、及びSNP含有核酸配列に特有な他の使用等の、ここに開示される特有の操作又は使用をし得る適切な長さであることである。
【0064】
さらに、本発明のSNP位置を含むcDNA分子等の「単離」核酸分子は、組換え技術、化学前駆体、又は化学的に合成する場合における他の化学物質により生産する場合には、他の細胞物質、又は培養媒体を実質的に含まないものであり得る。しかしながら、核酸分子は他のコーディング又は調節配列と融合し得、この場合もなお単離したものとみなされる。例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は単離したものとみなされる。単離DNA分子のさらなる例としては、異型宿主細胞に保持された組換えDNA分子、又は溶液中の精製(部分的に又は実質的な)DNA分子が含まれる。単離RNA分子には、本発明の単離SNP含有DNA分子のin vivo又はin vitroのRNA転写体が含まれる。本発明に係る単離核酸分子には、さらに合成的に生産された分子が含まれる。
【0065】
単離SNP含有核酸分子は、mRNA等のRNA形態、又はDNA形態であり得る。このDNAには、クローニングにより得られるか、化学合成技術により生産されるか、又はこれらの組み合わせにより生産されるcDNA及びゲノムDNAが含まれる。核酸、特にDNAは、二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖の核酸はコーディング鎖(センス鎖)、又は非コーディング鎖(アンチセンス鎖)であり得る。
【0066】
本発明はさらに、ここに開示される核酸分子にストリンジェント条件下でハイブリダイズした関連核酸分子を提供する。ここで「ストリンジェント条件下でのハイブリダイズ」とは、互いに少なくとも60〜70%の相同性を有するペプチドをコード化するヌクレオチド配列が、一般的には互いにハイブリダイズして残存するようハイブリダイズ及び洗浄を行う条件を意味する。この条件は、少なくとも60%、70%、80%、90%、又はそれ以上が互いに相同である配列が通常なお互いにハイブリダイズしているようなものであり得る。そのようなストリンジェント条件は当業者に知られており、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y.(1989), 6.3.1−6.3.6に記載されている。ストリンジェント条件下でのハイブリダイズの一例は、約45℃において6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でハイブリダイズし、続いて50〜65℃において、0.2XSSC、0.1%SDSで1回以上洗浄するという条件である。低いストリンジェントハイブリダイズ条件へ加減する例は、当技術においてよく知られている。
【0067】
具体的な実施例
ペプチド分子
【0068】
本発明はエストロゲン受容体の変異体をコード化する核酸配列を提供する。これらの変異体分子/配列は、ここで本発明のエストロゲン受容体変異体、本発明のエストロゲン受容体タンパク、又は本発明のペプチド/タンパクとして参照される。
【0069】
本発明は、ここに開示されるエストロゲン受容体変異タンパクのアミノ酸配列からなるか、実質的にそれからなるか、又はそれを含む単離エストロゲン受容体タンパク分子を提供する。
【0070】
ここで、タンパク又はペプチドは、それが細胞物質を実質的に含まない、又は化学前駆体や他の化学物質を実質的に含まない場合に、「単離」又は「精製」されたという。本発明のペプチドは均一に、又はある程度の純度に精製され得る。精製のレベルは使用目的に基づく。重要な特徴は、相当量の他成分が存在したとしても、調製物がペプチドの所望の機能を発揮できるということである。
【0071】
ここで、「細胞物質を実質的に含まない」とは、少なくとも約30%(乾燥重量)以下の他のタンパク(即ち汚染タンパク)、20%以下の他のタンパク、10%以下の他のタンパク、又は5%以下の他のタンパクを有するペプチドの調製を含む。ペプチドが組換えにより生産される場合、実質的に培養媒体を含まない、即ち、培養媒体はタンパク調製物の約20%以下である。
【0072】
「化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」とは、ペプチドがその合成時に関与する化学前駆体又は他の化学物質から単離される該ペプチドの調製を含む。ある例では、「化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない」とは、少なくとも約30%(乾燥重量)以下の化学前駆体又は他の化学物質、20%以下の化学前駆体又は他の化学物質、10%以下の化学前駆体又は他の化学物質、又は5%以下の化学前駆体又は他の化学物質を有するエストロゲン受容体タンパクの調製を含む。
【0073】
単離エストロゲン受容体タンパクは、天然にそれを発現する細胞から精製することができ、それを発現するように変異された細胞(組換え体)から精製することができ、又は公知のタンパク合成手法を用いて合成できる。例えば、エストロゲン受容体タンパクをコード化している核酸分子は発現ベクターへクローンされ、該発現ベクターは宿主細胞へ導入され、そしてタンパクが該宿主細胞で発現する。該タンパクはその後、標準のタンパク精製技術を用いて適当な精製過程により細胞から単離され得る。これらの技術の多くは以下に記述される。
【0074】
したがって、本発明は図2に与えられる配列多型を1種以上含む、図1に概括されたアミノ酸配列からなるタンパクを提供する。アミノ酸配列がそのタンパクの最終的なアミノ酸配列である場合、タンパクはそのアミノ酸配列からなる。
【0075】
さらに本発明は、図2に与えられる配列多型を1種以上含む、実質的に図1に概括されるアミノ酸配列からなるタンパクを提供する。アミノ酸配列が、例えば最終タンパク中に付加的アミノ酸残基が少量のみ存在する場合、タンパクは実質的にそのアミノ酸配列からなる。
【0076】
さらに本発明は、図2に与えられる配列多型を1種以上含む、図1のアミノ酸配列を含むタンパクを提供する。このアミノ酸配列が該タンパクの最終的なアミノ酸配列の少なくとも一部分である場合、タンパクはアミノ酸配列を含む。このようにこのタンパクは該ペプチドのみであり得、又は天然にそのタンパクに連なるか又は異型のアミノ酸残基/ペプチド配列であるアミノ酸残基(隣接するコード化配列)等の、追加のアミノ酸配列も持ち得る。このようなタンパクは、数個の追加アミノ酸残基を持ち得、または数百又はそれ以上の追加アミノ酸を含むことができる。これらの各種タンパクを調製/単離する方法を、以下に簡潔に説明する。
【0077】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは、異型配列と接合し、キメラ又は融合タンパクを形成し得る。このようなキメラ又は融合タンパクは、実質的にそのエストロゲン受容体タンパクとは相同でないアミノ酸配列を有する異型タンパクへ作用的に結合されたエストロゲン受容体タンパクを含む。「作用的に結合された」とは、エストロゲン受容体タンパクと異型タンパクがフレーム内に融合することを示す。異型タンパクは、エストロゲン受容体タンパクのN末端又はC末端に融合され得る。
【0078】
ここで、融合タンパクはエストロゲン受容体タンパクの活性に本質的に影響しない。例えば、融合タンパクは、酵素融合タンパク、例えばベータガラクトシダーゼ融合体、イーストツーハイブリッドGAL融合体、ポリ−His融合体、MYC標識、HI標識、Ig融合体を含むがこれらに限定されない。このような融合タンパク、特にポリ−His融合体は、組換えエストロゲン受容体タンパクの精製を容易にすることができる。ある宿主細胞(例えば哺乳類の宿主細胞)では、タンパクの発現及び/又は分泌は、異型の信号配列の使用により増加され得る。
【0079】
キメラ又は融合タンパクは、標準の組換えDNA技術により生産され得る。例えば、異なるタンパク配列をコードするDNAフラグメントは、従来技術により互いにフレーム内に括られる。他の例では、融合遺伝子は自動DNAシンセサイザーを含む従来技術により合成され得る。あるいは、二つの連続した遺伝子フラグメントの間の相補的な突出を生じるアンカープライマーを用い、続いてアニール及び再増幅してキメラ遺伝子配列を生成して遺伝子フラグメントのPCR増幅を行うことができる(Ausubel et al.,CurrentProtocols in Molecular Biology,1992を参照)。さらに、融合部分をすでにコード化した多くの発現ベクターが商業的に入手可能である(例えばGSTタンパクが挙げられる)。エストロゲン受容体タンパクをコード化した核酸は、融合部分をエストロゲン受容体タンパクにフレーム内で連結させることで発現ベクター等へクローニングし得る。
【0080】
ポリペプチドは、20天然由来アミノ酸と通常呼ばれる20のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含む。さらに、末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、天然の過程、加工や翻訳後修飾、又は従来技術としてよく知られている化学修飾技術により修飾される。ポリペプチドに天然に起こる典型的な修飾は基本書、詳細な専攻論文、及び研究文献に記述されており、当業者によく知られている。したがって、このポリペプチドは、置換アミノ酸残基が遺伝子コードによりコード化されたものではない誘導体又は類似体;置換基が含まれる誘導体又は類似体;成熟ポリペプチドが、ポリペプチドの半寿命を増加する化合物等の、他の化合物(例えばポリエチレングリコール)と融合した誘導体又は類似体;リーダー又は分泌性の配列、又は成熟トランスポーターペプチドまたはプロタンパク精製のための配列等の付加的なアミノ酸が成熟トランスポーターペプチドに融合した誘導体又は類似体をふくむ。
【0081】
知られている修飾は、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、フラビンの共有結合、ヘム半部の共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスホチジリノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、ジメチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタミンの形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水和化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク分解加工、ホスホリル化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化等のアミノ酸のタンパクへの転移RNA媒介付加、及びユビキチン化を含むがこれに限定されない。
【0082】
このような修飾は当業者によく知られており、科学文献に大いに詳細に記述されている。いくつかの汎用されている修飾として、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、水和化、及びADPリボシル化はほとんどの基本書に記述されている。このような基本書としては、Proteins−Structure AND Molecular Properties, 2ndEd.,T.E.Creighton, W.H.Freeman AND Company, NewYork(1993)が挙げられる。この主題についての多くの詳細な論評が入手でき、例えば Wold, F., Posttranslational Covalent Modification of Proteins, B.C. Johnston, Ed., Academic Press, New York 1−12(1983);Seifter et al.(Meth. Enzymol. 182:626−646(1990)) AND Rattan et al.(Ann. N.Y. Acad. Sci. 663:48−62(1992))が挙げられる。
【0083】
さらに本発明は、本発明のエストロゲン受容体タンパクのフラグメント、加えてこれらのフラグメントを含む及びフラグメントからなるタンパク及びペプチドを提供する。しかしながら、本発明のフラグメントは、本発明に先立ち公開されたフラグメントを含まない。
【0084】
ここで、フラグメントはエストロゲン受容体タンパク由来の隣接する8個以上のアミノ酸残基を含む。該フラグメントはエストロゲン受容体タンパクの1種以上の生物学的活性を保持する能力に基づき選択することができ、あるいは機能(例えば免疫抗原としての作用)を果たし得る能力のために選択することができる。特に重要なフラグメントは生物学的に活性なフラグメント、ペプチドであり、これらは例えば長さにして約8個以上のアミノ酸であり、変異アミノ酸残基(図2)を含む。このようなフラグメントは通常、本発明のエストロゲン受容体タンパクのドメイン又はモチーフ、例えば活性サイト、リガンド結合ドメイン、又はDNA結合ドメインを含む。さらに可能なフラグメントとしては、ドメイン又はモチーフを含有するフラグメント、溶解性ペプチドフラグメント、及び免疫原性構造を含有するフラグメントがあるがこれに限定されない。予測されるドメイン及び機能性サイトは、当業者に公知で直ちに入手可能なコンピュータプログラム(例えばPROSITE分析)により直ちに特定し得る。
【0085】
タンパク/ペプチドの使用
本発明のタンパクは、抗体を増加し又は他の免疫反応を誘発するため;生物的液体中のタンパク(又はその結合相手又は受容体)のレベルを定量的に決定するために設計されたアッセイにおける試薬(ラベル試薬を含む)として;対応するタンパクが優先的に発現する組織(形成的に、又は組織分化又は発達の特別な段階での、又は病気の状態における)のマーカーとして;ハイスループットのスクリーニングのための多数のタンパクパネルを含む、タンパクの生物活性を決定するため;のアッセイに使用できる。いずれかの又は全てのこれらの研究用途は、研究用製品としての商用化のための試薬グレード又はキットフォーマットへと発展させることができる。上記の使用を達成するための方法は、当業者に公知である。このような方法を開示する文献には、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E.F.Fritsch AND T.Maniatis eds., 1989,及び「Methods in Enzymology:Guide to Molecular Cloning Techniques」, Academic Press, Berger,S.L. AND A.R.Kimmels eds., 1987が含まれる。
【0086】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは生物学的アッセイに有用である。該アッセイは、公知のエストロゲン受容体の機能又は活性、あるいはエストロゲン受容体に関連した状態の診断及び治療に有用な性質をも伴う。
【0087】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは、細胞系又は無細胞系のシステムでの薬剤スクリーニングアッセイにも有用である。細胞系のシステムは、ネイティブ、即ち通常該受容体タンパクを発現する細胞でもよく、生検としてでもよく、又は細胞培養へ拡張し得る。しかしながら、ある例において細胞系のアッセイは、受容体タンパクを発現する組換え宿主細胞を含む。
【0088】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは、受容体の活性を変調する化合物を特定するために使用することができる。本発明のエストロゲン受容体タンパク及び適当なフラグメントの双方は、受容体の活性を結合及び/又は変調するための能力についての候補化合物を検査するためのハイスループットのスクリーンとして使用できる。これらの化合物は、化合物の受容体活性に対する効果を決定するために、機能性受容体に対してさらにスクリーンすることができる。さらに、これらの化合物は、活性/効果を決定するために動物又は無脊椎動物のシステムでテストすることができる。受容体を所望の程度に活性化し(アゴニスト)、又は不活性化する(アンタゴニスト)化合物が特定される。このような化合物は、本発明の変異エストロゲン受容体タンパクの1種以上に作用する能力により選択される。
【0089】
さらに受容体ポリペプチドは、受容体タンパクと、通常受容体タンパク(例えばエストロゲン)と相互作用する対象分子との間の相互作用を刺激又は阻害する能力により化合物をスクリーンするために使用することができる。該対象は、受容体タンパクが通常相互作用するリガンド又は結合相手(例えばエストロゲンリガンド又はDNA配列)であり得る。このようなアッセイは通常、受容体タンパク又はフラグメントが該対象分子と相互作用する条件下で、受容体タンパクを候補化合物と結合させ、そしてタンパクと対象との間の複合体生成を検知するか、又はタンパクと対象との間の相互作用の生物学的結果を検知するステップを含む。
【0090】
候補化合物としては、例えば次のものを含む。1)Ig−テール融合ペプチド、及びランダムペプチドライブラリーのメンバー(例えばLam et al.,Nature354:82−84(1991);Houghten et al.,Nature354:84−86(1991)を参照)及び、D型及び/又はL型アミノ酸から作られる化学誘導分子ライブラリーのメンバーを含む可溶性ペプチド等のペプチド;2)ホスホペプチド(例えばホスホペプチドライブラリーのランダム及び部分的に縮退したメンバー(例えばSongyang et al.,Cell 72:767−778(1993)を参照);3)抗体(例えば、Fab,F(ab‘)2、Fab発現ライブラリーフラグメント、抗体のエピトープ結合フラグメントだけでなく、ポリクロナール、モノクロナール、ヒューマナイズド、抗イディオティピック、キメラ、及び単一鎖抗体);4)小型の有機、無機分子(例えばコンビナトリアル及び天然生産物ライブラリーから得られる分子)
【0091】
ある候補化合物としては、リガンド結合と競合する受容体の可溶性フラグメントが挙げられる。他の候補化合物としては、変異受容体、又は受容体機能に影響を及ぼす変異を含む適切なフラグメントがあり、このためにリガンドとの競合が起こる。したがって、例えば高い親和性でリガンドと競合するフラグメント、又はリガンドと結合して離れないフラグメントが本発明に含まれる。
【0092】
本発明はさらに、受容体の活性を変調(刺激又は阻害)する化合物を特定するための末端アッセイを含む。このアッセイは通常、受容体活性を表す信号伝達経路における挙動のアッセイを含む。例えば、受容体タンパクに依存する信号カスケードに応答して上下に調整される遺伝子の発現がアッセイできる。ある例において、このような遺伝子の調節領域は、ルシフェラーゼ等の容易に検知できるマーカーへ作用的に結合することができる。あるいは、受容体タンパク又は受容体タンパク対象のホスホリル化も測定できる。受容体により媒介される生物学的又は生化学的機能の何れもが末端アッセイとして使用できる。これらは、ここに記述された、引用文献における、これらの末端アッセイ対象の文献により取り入れた、全ての生化学的又は生化学/生物学的現象、及び当業者に公知の他の機能を含む。
【0093】
受容体ポリペプチドは、受容体と相互作用する化合物を発見するために設計された方法における競合結合アッセイとしても有用である。化合物は該化合物がポリペプチドと結合又は他の相互作用をする条件下で受容体ポリペプチドにさらされる。受容体へのリガンドもその混合物へ加えられる。テスト化合物が受容体又はリガンドと相互作用する場合、形成される複合体の量又は受容体対象からの活性を減少させる。このタイプのアッセイは、受容体の特別な領域と相互作用する化合物を探す場合に特に有用である。
【0094】
無細胞の薬剤スクリーニングアッセイを行うには、アッセイの自動化の便宜を図ると同時に、一方又は両方のタンパクの非複合体型からの、複合体の分離を容易にするため、受容体タンパク、フラグメント、又はその対象分子を固定化することが望ましいこともある。
【0095】
マトリックスにタンパクを固定化する技術が薬剤スクリーニングアッセイに使用できる。ある例において、タンパクがマトリックスへ結合されるドメインを加えた融合タンパクが提供される。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/15625融合タンパクは、グルタチオンセファローゼビーズ(Sigma Chemical, St.Louis, MO)又はグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着され得る。これはその後、細胞溶菌液(例えば35Sでラベルした)及び候補化合物と結合され、この混合物は複合体形成へと導く条件下(例えば塩とpHの生理学的条件)で培養される。培養に続き、未結合のラベルを除くためにビーズを洗浄し、マトリックス固定化がなされ、放射性ラベルが直接、又は複合体が解離した後の上澄みで決定される。代わりに、複合体はマトリックスから解離することができ、SDS−PAGEにより分離され、ビーズフラクション中に見いだされる受容体結合タンパクのレベルは標準の電気泳動技術を用いゲルから定量される。例えば、ポリペプチド又はその対象分子は、従来よく知られている技術を用いてビオチンとステプタビジンの共役を利用して固定化し得る。代わりに、タンパクと反応性があるがタンパクの対象分子への結合を妨害しない抗体が、プレートのくぼみへ誘導体化され、タンパクは抗体の共役によりくぼみにトラップされる。受容体結合タンパクと候補化合物の調製物は、受容体タンパクが存在するくぼみで培養され、くぼみにトラップされた複合体は定量され得る。このような複合体を検知する方法としては、GST固定化複合体のために上述したものに加えて、対象分子に関連した酵素活性を検知することによる酵素結合アッセイと同様に、受容体タンパク対象分子と反応性の、又は受容体タンパクと反応性であり対象分子と競合する抗体を用いた複合体の免疫検知を含む。
【0096】
本発明のタンパクを変調する試薬は、上記の1種以上のアッセイを単独又は組み合わせて用いることにより特定できる。細胞系又は無細胞系のシステムを初めに使用し、その後動物又は他のモデルシステムで活性を確認するのが一般的には好ましい。このようなモデルシステムは従来よく知られており、この状況において直ちに用いることができる。これらの薬剤スクリーニングアッセイにより特定される受容体タンパクの変調剤は、エストロゲン受容体タンパクを発現する細胞を治療することにより、受容体経路で媒介される病気をもつ患者の治療に用いることができる。これらの治療方法は、ここに開示されたように医薬組成物中のタンパク活性の変調剤を、治療の必要に応じて患者へ投与するステップを含む。
【0097】
本発明はさらに、上述のスクリーニングアッセイにより特定される新規な試薬に属する。したがって、適当な動物モデルにおいて、ここに開示されたように特定された試薬をさらに使用することは本発明の範囲内に属する。例えば、ここに開示されたように特定された試薬(例えばエストロゲン受容体変調試薬、アンチセンスエストロゲン受容体核酸分子、エストロゲン受容体特異抗体、又はエストロゲン受容体結合相手)が、このような試薬による治療の効率、毒性、副作用を決定するために動物モデルにおいて使用できる。あるいは、ここに開示されたように特定された試薬は、このような試薬の作用のメカニズムを決定するために動物モデルにおいて使用できる。さらに、本発明はここに開示されたような治療のために上述のスクリーニングアッセイにより特定された新規な試薬の使用に関係する。
【0098】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは、エストロゲン受容体により媒介される病気又は病気へのかかりやすさを診断するための対象を提供するのにも有用である。したがって、本発明は細胞中、組織中、又は有機体中における、本発明のエストロゲン受容体変異体(又はコード化mRNA)の存在、又はそのレベルを検知するための方法を提供する。この方法は、生物学的試料を、受容体タンパク(又は受容体をコード化する遺伝子、mRNA)と相互作用が可能な化合物に、相互作用が検知されるように接触させることを含む。
【0099】
試料中のタンパクを検知する一つの試薬は、エストロゲン受容体タンパクの変異型に選択的に結合することができる抗体である。このような試料は、患者の体内に存在する組織、細胞、及び生物的液体と同時に、患者から分離された組織、細胞、及び生物的液体を含む。
【0100】
本発明のエストロゲン受容体タンパクは、変異エストロゲン受容体をもつ患者の進行中の病気、病気へのかかりやすさを診断するための対象も提供する。ここでの病気は特に骨成長、細胞分化等のエストロゲン経由のものを含む。例えば、受容体は生物学的試料から単離され、異常型の受容体活性を生じる遺伝子突然変異の存在をアッセイすることができる。これは、アミノ酸置換、削除、挿入、再配列(異常型のスプライシング現象の結果として)、そして図2に与えられる適当な後翻訳修正を含む。分析手法は、変更電気伝導度、変更トリプシン消化、細胞ベース又は無細胞のアッセイにおける変更受容体活性、リガンド又は抗体結合パターンにおける変更、変更等電点、直接アミノ酸配列決定、そしてタンパク中の突然変異を検知するために有用な知られている他のアッセイ技術を含む。特に有用なのは図2に与えられるバリエーションである。
【0101】
ペプチドを検知するためのIn vitroの技術は、酵素免疫測定法(ELISA)、ウエスタンブロット、免疫沈降、及び免疫蛍光を含む。あるいは、ペプチドは、患者にラベルした抗ペプチド抗体を導入することにより、In vivoで患者内に検知できる。例えば、抗体は、患者内におけるその存在と位置が標準のイメージング技術により検知できる放射性マーカーでラベルされ得る。特に有用なのは、患者内で発現する、ここに開示されるエストロゲン受容体の特異なアレル変異体を検知する方法及び、試料中のペプチドのフラグメントを検知する方法である。
【0102】
該ペプチドは、薬理ゲノミクス分析にも有用である。薬理ゲノミクスは、薬剤処理過程の改変及び患者における異常な作用により、薬剤への応答に対し臨床的に有意である遺伝的変異を扱う。例えば、Eichelbaum,M.(Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.23(10−11):983−985(1996))や、Linder,M.W.(Clin.Chem.43(2):254−266(1997))を参照。これらの変異の臨床結果は、代謝にかかる個人の変異の結果として、ある個人においては治療薬が激しい毒性となり、またある個人においては薬剤による治療が失敗する。このように、個人の遺伝子型が、治療化合物が体に作用する道筋を、又は体が化合物を代謝する道筋を決定し得るのである。さらに薬剤代謝酵素の活性は、薬剤作用の強さ及び長さの両方に影響を与える。このように、個人の薬理ゲノミクスにより、個人の遺伝子型に基づく予防的又は治療的治療のために、化合物の効果的な化合物及び、効果的な投薬量を選択できる。幾つかの薬剤代謝酵素における遺伝子多型の発見は、標準的な薬剤投与によって、なぜある患者において期待した薬剤効果が得られなかったり、過度の薬剤効果を示したり、又は深刻な毒性を経験するのかを説明する。多型は広い代謝の遺伝子表現型、及び乏しい代謝の遺伝子表現型に表現されうる。したがって、遺伝子多型は受容体タンパクの対立遺伝子タンパク変異を導き、この場合、1つの個体群における1つ以上の受容体の機能が、他の個体群とは異なる。したがって、ペプチドにより対象の治療法に影響を与え得る遺伝子的素質を確かめることができる。例えば、リガンドベースの治療において、多型はアミノ末端の細胞外ドメイン及び/又はリガンド結合が幾らか活性である他のリガンド結合領域を引き起こし、そして受容体の活性化を引き起こす。したがって、リガンドの服用量は当然に、ある多型/ハプロタイプを含む与えられた個体群において治療効果が最大となるように調節される。遺伝子型に代えて、特異的な多型ペプチドが特定し得る。
【0103】
抗体
また、本発明は本発明のエストロゲン受容体タンパクに選択的に結合する抗体、及びそのフラグメントを与える。ここで、抗体は、対象タンパクと結合し、関連しないタンパクとは有意に結合しない場合、選択的にそれと結合する。抗体は、対象タンパクと実質的に相同ではない他のタンパクとも結合する場合であっても、該タンパクが抗体の対象タンパクのフラグメント又はドメインと相同性を有する限り、なお選択的にタンパクと結合するとみなされる。この場合、タンパクに結合している抗体は、ある程度の交差反応性を持つにも関わらず、なお選択的であると理解される。
【0104】
ここで抗体は、当技術において認識されるものと一致する用語で定義される。これらは、抗原の攻撃に反応して哺乳類生物により生産されたマルチサブユニットタンパクである。本発明の抗体は、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体、そしてFab又はF(ab’)、及びFvフラグメント等の抗体のフラグメントを含むがこれに限定されない。
【0105】
与えられた対象ペプチドに対する抗体を生成及び/又は特定する多くの方法が知られている。該方法の幾つかは、Harlow,Antibodies,Cold Spring Harbor Press,(1989)に記述されている。一般に、抗体を生成するためには、単離ペプチドを免疫原とし、これがラット、ラビット、又はマウス等の哺乳類生物へ投与される。全長タンパク、抗原性ペプチドフラグメント、又は融合タンパクを使用することができる。
【0106】
抗体は、好ましくはエストロゲン受容体タンパクの領域又は離散的なフラグメントから調製される。抗体は、ここに開示されるペプチドのいかなる領域においても調製され得る。しかしながら、好ましい領域は機能/活性、及び/又は受容体/結合相手相互作用を伴う領域を含む。抗原性フラグメントは通常、少なくとも10個の隣接アミノ酸残基を含む。しかしながら、該抗原性ペプチドは少なくとも12、14、20又はそれ以上のアミノ酸残基を含むことができる。このようなフラグメントは、例えば疎水性領域等のタンパクの表面に位置する領域に相当するフラグメント等の、物理的性質により選択され得る。
【0107】
本発明の抗体の検知は、抗体を検知可能な物質へカップリング(即ち、物理的な結合)させることにより容易にすることができる。検知可能な物質の例としては、様々な酵素、補綴基、蛍光物質、発光物質、バイオ発光物質、及び放射性物質が含まれる。適当な酵素の例としては、ホルセラディッシュパーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼが含まれる。適当な補綴基複合体の例としては、ストレプタビジン/ビオチン、及びアビジン/ビオチンが含まれる。適当な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナーゼ、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、又はフィコエリスリンが含まれる。発光物質の例としては、ルミノールが含まれる。発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びアエクオリンが含まれ、適当な放射性物質の例としては、125I、131I、35S、又はHが含まれる。
【0108】
抗体の使用
抗体は、アフィニティークロマトグラフィー又は免疫沈降等の標準的な技術により、本発明のエストロゲン受容体タンパクを単離するために使用することができる。抗体は、細胞及び、宿主細胞で発現し組換え的に生産されたタンパクからの、天然タンパクの精製を容易にすることができる。さらにこの抗体は、生物の様々な組織間における、そして通常の発達過程において、本発明のエストロゲン受容体タンパクの発現パターンを決定するために、細胞又は組織中における該タンパクの存在の検知に有用である。さらにこの抗体は、発現の量及びパターンを評価するために、in situ、in vitro、又は細胞溶解液又は上澄み中におけるタンパクの検知に使用することができる。またこの抗体は、発達中における異常な組織分布又は異常な発現の評価に使用することができる。全長エストロゲン受容体タンパクの循環フラグメントの抗体検知は、代謝回転の特定に使用することができる。
【0109】
さらにこの抗体は、病気の活性段階等の病気状態において、又はタンパクの機能と関連する病気への傾向を持つ個人において、発現の評価に使用することができる(特に骨の成長/形成/劣化を伴う病気)。変調が不適切な組織分布、成長的な発現、タンパクの発現レベル、又は発現/加工された型により引き起こされる場合、抗体は、通常のタンパクに対して調製することができる。変調がタンパクの特異的な突然変異により特徴付けられる場合には、この突然変異タンパクに特異的な抗体は、特異的な突然変異タンパクの存在のアッセイに使用できる。
【0110】
この抗体は、生物の様々な組織中の細胞の、通常及び異常型の遺伝子局在を評価するためにも使用できる。診断的な使用は、遺伝子試験だけでなく、治療法をモニターするためにも適用できる。したがって、治療が終局的に発現レベル、又は異常型配列の存在及び異常型組織分布、又は成長的な発現を直すことを意図している場合には、そのタンパク又は関連するフラグメントに対して向けられた抗体を、治療効率をモニターするために使用することができる。
【0111】
加えて、抗体は薬理ゲノム分析に有用である。例えば、多型タンパクに対して調製された抗体は、修正した治療法が求められる個人を特定するために使用することができる。この抗体は、電気伝導度、等電点、トリプシンペプチド消化、そして従来技術において知られている他の物理的アッセイにより分析される異常型エストロゲン受容体タンパクのための免疫的マーカーとしての診断ツールとしても有用である。
【0112】
この抗体は、タンパク機能の阻害、例えばリガンド等の結合相手へのエストロゲン受容体タンパクの結合の阻害にも有用である。これらの使用は、治療がタンパクの機能の阻害を伴う治療状況にも適用することができる。抗体は、例えば結合を阻害し、これによりタンパクの活性を変調(作用又は拮抗)するために使用することができる。抗体は、機能が要求されるサイトを含む特別なフラグメントに対して、又は細胞又は細胞膜と関連しているそのままのタンパクに対して調製することができる。
【0113】
本発明は、生物学的サンプル中のタンパクの存在を検知するための抗体を使用するためのキットも包含する。このキットは、ラベル化又はラベル可能な抗体等の抗体及び、生物学的サンプル中のエストロゲン受容体タンパクを検知するための化合物又は試薬;該サンプル中のタンパクの量を決定する手段;該サンプル中のエストロゲン受容体タンパクの量を基準と比較する手段;及び使用のための手引きを含むことができる。
【0114】
核酸分子
本発明はさらに、本発明にかかるエストロゲン受容体タンパクをコード化する単離核酸分子を提供する。該核酸分子は、本発明のエストロゲン受容体タンパクの一つをコード化するヌクレオチド配列からなる、本質的に該ヌクレオチド配列からなる、又は該ヌクレオチド配列を含む。
【0115】
ここでいう「単離」核酸分子とは、核酸の天然源に存在する他の核酸から区別されたものである。好ましくは「単離」核酸は、本来核酸が誘導された有機体のゲノムDNA中で核酸にフランキングする配列(すなわち、核酸の5´又は3´末端に位置する配列)がない。しかしながら、いくらかフランキングするヌクレオチド配列を含むことができ、その例としては約5KB,4KB,3KB,2KB,又は1KB以下であり、特に連続的にペプチドをコード化する配列及び同一遺伝子内でペプチドをコード化する配列であるが、ゲノム配列のイントロンから離れた配列である。重要な点は、核酸が離れた重要でない隣接配列から単離されたことであり、ここで述べる組換えの発現、プローブ及びプライマーの調製、及び核酸配列に特異的な他の用途等の特殊な操作の対象となるということである。
【0116】
さらに、cDNA分子等の「単離」核酸分子は、他の細胞材料、又は組換え技術で製造された場合には培地、化学合成された場合には化学前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。しかしながら、核酸分子は他のコード化又は調節配列と融合することができ、これも単離したと考えられる。
【0117】
例えば、ベクターに含まれる組換えDNA分子は単離されていると考えられる。単離DNA分子のさらなる例としては、非相同な宿主細胞中に維持された組換えDNA分子、または溶液中の精製(部分的に又は実質的に)されたDNA分子があげられる。単離RNA分子は、in vivo、又はin vitroでの本発明の単離DNA分子のRNA転写を含む。さらに本発明にかかる単離核酸分子は合成的に製造された分子を含む。
【0118】
従って、本発明は、図1に示されるヌクレオチド配列よりなる、図2に提供される一つ以上の配列多型を含む核酸分子を提供する。ヌクレオチド配列が核酸分子の完全なヌクレオチド配列であるので、核酸分子はヌクレオチド配列からなっている。
【0119】
本発明はさらに、図1に示されたヌクレオチド配列より実質的になる、図2に提供される1つ以上の配列多型を含む核酸分子を提供する。核酸分子は実質的に、最終的な核酸分子中に幾つかの付加的核酸残基が存在するヌクレオチド配列よりなる。
【0120】
本発明はさらに、図1のヌクレオチド配列を含む、図2に提供される1つ以上の配列多型を含む核酸分子を提供する。核酸分子は、該ヌクレオチド配列が核酸分子の最終的なヌクレオチド配列の一部である核酸配列の場合、該ヌクレオチド配列を含む。このように、核酸分子はヌクレオチド配列のみ、又は付加的核酸残基を有することができ、核酸残基はヌクレオチド配列又は非相同性ヌクレオチド配列と自然に関連したものである。このような核酸分子はわずかな付加的ヌクレオチドを有する、又は数百又はそれ以上の付加的ヌクレオチドを含む。これら様々なタイプの核酸分子がどのようにして作られ/単離されたかの簡単な説明を以下に提供する。
【0121】
単離核酸分子は、成熟タンパクと付加的アミノ酸又はカルボキシル末端アミノ酸、又は成熟ペプチド内のアミノ酸(例えば成熟形態が1つ以上のペプチド鎖を有する場合)をコード化することがある。このような配列はタンパクが前駆体から成熟体へ成長する際、タンパク搬送の促進、タンパク半減期の延長又は短縮、又はアッセイ又は製造時のタンパク操作の効率化、又は他の事由に役割を果たす。一般にin situの場合、付加的アミノ酸は細胞酵素により成熟タンパクから切り離される。
【0122】
上記のように、単離核酸分子は、エストロゲン受容体タンパクのみをコード化する配列、主又は副配列(例えばpre−pro 又はpro−タンパク配列)等の、成熟ペプチド及び付加的コード配列をコード化する配列、付加的コード配列を有し又は有さない成熟ペプチドをコード化する配列、プロモーターなどのゲノム調節配列に加えて、例えばイントロン及び非コード化5´及び3´配列等の転写はされるが翻訳はされず、転写、mRNA処理(スプライシング及びポリアデニル化信号を含む)、リボゾーム結合及びmRNAの安定化に役割を果たす付加的非コード配列を含むが、これに制限されない。さらに、核酸分子は、例えば精製に有用なペプチドなどをコード化するマーカー配列に融合されたものでもよい。
【0123】
単離核酸分子は、mRNA等のRNA形態、又はcDNA及びクローニング又は化学合成技術、又はこれらの組み合わせで得られたゲノムDNAを含むDNA形態でありえる。核酸、特にDNAは二重鎖又は一重鎖である。一重鎖はコード鎖(センス鎖)又は非コード鎖(アンチセンス鎖)でありえる。
【0124】
フラグメントは、12又はそれ以上のヌクレオチドの連続的ヌクレオチド配列を含む。さらにフラグメントは、少なくとも30,40,50,100,250,又は500のヌクレオチド長であることができる。フラグメントの長さは使用目的に依存する。例えば、フラグメントはペプチドのエピトープ挙動部分をコード化し、又はDNAプローブ又はプライマーとして有用である。このようなフラグメントは、オリゴヌクレオチドプローブを合成する公知のヌクレオチド配列を用い、単離することができる。標識されたプローブは、コード部分に対応する核酸を単離するため、cDNAライブラリー、ゲノムDNAライブラリー又はmRNAをスクリーニングするために用いることができる。さらに、プライマーは、遺伝子の特定部分をクローンするためPCR反応を用いることができる。
【0125】
プローブ/プライマーは、典型的には実質的に精製されたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含む。オリゴヌクレオチドは典型的には、少なくとも約12,20,25,40,50又はそれ以上の連続的なヌクレオチドとなるように、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列部分を含む。
【0126】
ここで「ストリンジェント条件下でのハイブリダイズ」とは、典型的には相互にハイブリダイズして残存し、ペプチドをコード化するヌクレオチド配列が互いに少なくとも50−55%の相同性を有するまでハイブリダイズ及び洗浄を行うことを意味する。前記条件は、典型的には相互にハイブリダイズして残存し、互いに配列が少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%以上相同性を有する。このようなストリンジェント条件は、当業者に公知であり、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons, N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に記載されている。ストリンジェントハイブリダイズ条件の一例は、6X 塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、約45℃でハイブリダイズし、0.2×SSC、0.1%SDS 50−65℃で1回以上洗浄するという条件である。
【0127】
核酸分子の利用
本発明の核酸分子はプローブ、プライマー、化学的中間体、および生物学的アッセイに有用である。プローブは図2に示した1つ以上の配列多型を含む、図1のヌクレオチド配列よりなる核酸分子の全長にわたっていずれかの配列にかかるものでありえる。従って、それは5´非コード化部分、コード化部分、及び3´非コード化部分から誘導できる。しかしながら、前述したように、フラグメントは、本発明以前に公開されたフラグメントを含むものではない。
【0128】
核酸分子は、PCRによる核酸分子のいずれかの与えられた部分の増幅に有用であり、また、望ましい長さ及び配列の反増感分子の合成に有用である。
【0129】
核酸分子はまた、組換ベクターを構成するのにも有用である。このようなベクターはペプチド配列の一部分又はすべてを発現する発現ベクターを含む。ベクターは挿入ベクターを含み、他の核酸分子配列に融合して使用され、例えば細胞ゲノム中に、遺伝子及び/又は遺伝子生成物の発現状態を変えるために用いられる。例えば、内生コード化配列を、そのすべて又はその一部について1以上の特に変異を引き起こすコード化部分に相同的に組換えることができる。
【0130】
核酸分子はまた、タンパクの抗原部分を示すのにも有用である。
核酸分子また、ここに記述された核酸分子から、全長又は一部のmRNAに対応するリボザイムを設計するのに有用である。
核酸分子はまた、核酸分子及びペプチドの一部またはすべてを発現する宿主細胞を構築するのに有用である。
【0131】
核酸分子はまた、前記核酸分子及びペプチドのすべて又は一部を発現する遺伝子組換動物を構築するのに有用である。
核酸分子はまた、ペプチドの一部又は全部を発現するベクターを作るのに有用である。
【0132】
核酸分子はまた、核酸分子の発現の存在、レベル、形態及び分布を決定するハイブリダイズプローブとして有用である。従って、プローブは、細胞、組織及び有機体における特定核酸分子の存在を検知し、又はレベルを決定するために用いられ得る。核酸のレベルはDNA又はRNAで決定される。従って、ここに記述されるペプチドに対応するプローブは、与えられた細胞、組織、又は有機体で、発現及び/又は遺伝子複製数の評価に用いることができる。これらを使用することは、正常状態に比較し、エストロゲン受容タンパクの発現が増加又は減少することに関連した異常の診断に等価である。
【0133】
mRNAの検出のin vitro技術は、ノーザンハイブリダイズ及びin situハイブリダイズを含む。DNA検出のin vitro技術は、サウザンハイブリダイズ及びin situハイブリダイズを含む。
【0134】
プローブは、エストロゲン受容体タンパクを発現する細胞又は組織を特定するための診断検査キットの一部として用いることができ、それは対象からの細胞のサンプル中の受容体コード化核酸、例えばmRNA又はゲノムDNAのレベルを測定すること、又はエストロゲン受容体遺伝子が変異していないかを検出することで行われる。
【0135】
核酸発現アッセイは、エストロゲン受容体核酸発現を変調する化合物を特定するスクリーニング試薬として有用である。
【0136】
従って本発明により、エストロゲン受容体遺伝子の核酸発現に関連した異常を処置するために用い得る化合物の特定のための方法が提供される。この方法は、典型的にはエストロゲン受容体核酸の発現を変調する化合物の能力をアッセイし、望ましくないエストロゲン受容体核酸発現により特徴づけられる異常の処置にその物質が使用し得るかを判定する。これらのアッセイは細胞ベース系及び細胞フリー系で行うことができる。細胞ベースのアッセイは、エストロゲン受容体核酸を自然に発現している細胞、又は特定の核酸配列を発現するように遺伝的に設計された組換え細胞を含む。
【0137】
エストロゲン受容体核酸発現のアッセイは、mRNAレベルなどの核酸レベルの直接的アッセイ、又は信号経路に関連する二次的な化合物により行われる。さらにエストロゲン受容タンパク信号経路に対する遺伝子発現の上昇又は減少制御がアッセイされる。この具体例では、これらの遺伝子の調節部分はルシフェラーゼのようなレポーター遺伝子と結合されることができる。
【0138】
そして、エストロゲン受容体遺伝子発現の変調剤は、細胞が候補化合物と接触し、mRNAの発現が検出されることで特定される。候補化合物の存在下でのエストロゲン受容体mRNAの発現レベルが、候補化合物不存在下でのエストロゲン受容体mRNAの発現レベルと比較される。候補化合物は、この比較に基づき核酸発現の変調剤として判定され、例えば異常な核酸発現に特徴づけられる異常の処置に使用される。mRNAの発現が候補化合物の存在下で、不存在下に比較して統計的に著しく大きい場合には、その候補化合物は核酸発現の刺激剤として特定される。mRNAの発現が候補化合物の存在下で、不存在下に比較して統計的に著しく小さい場合には、その候補化合物は核酸発現の阻害剤として特定される。
【0139】
本発明は、核酸を対象として、エストロゲン受容体を発現する細胞又は組織にエストロゲン受容体核酸発現の変調を行う遺伝子変調剤とした薬剤スクリーニングを通して特定された化合物を用いた処置方法を提供する。変調は、向上変調(例えば活性化又はアゴニスト化)又は低下調整(抑制又はアンタゴニスト化)の両方の調節、または核酸発現を含む。
【0140】
あるいは、エストロゲン受容体核酸発現の変調剤は、その薬剤又は小分子がそのタンパクが発現している細胞又は組織中でエストロゲン受容体核酸発現を阻害するものである限り、ここに記述されたスクリーニングアッセイを用いて特定された小分子又は薬剤である。
【0141】
核酸分子は、臨床試験又は処理管理において、エストロゲン受容体遺伝子の発現又は活性に対する変調化合物の有効性のモニターに有効である。遺伝子発現パターンは化合物により処理の連続的効果のバロメーターとなり、特に患者が耐性を示す化合物に有効である。遺伝子発現パターンは化合物に影響された細胞の生理的反応を示すマーカーとしてもまた有用である。従って、このようなモニターは化合物の投与量の増加又は患者が耐性を示さない別の化合物の投与を許可する。同様に、核酸発現のレベルが好ましいレベル以下に落ちたら、化合物の投与を比例して減少させることができる。
【0142】
核酸分子はまた、エストロゲン受容体核酸発現の質的変化に対する診断アッセイに有用であり、特に病状に質的変化を導き出す。核酸分子はエストロゲン受容体遺伝子及びmRNAのような遺伝子発現生成物の変異を検出するのに用いることができる。核酸分子はエストロゲン受容体遺伝子中で自然に生じた遺伝子変異を検出するハイブリダイズプローブとして用いることができ、そして変異を有する対象が変異により生じる異常の危険性があるか否かを判定することができる。変異は、遺伝子中の1以上のヌクレオチドの欠如、付加、置換;転置又は転移のような染色体再配置;異常メチル化パターンのようなゲノムDNAの変化、増幅のような遺伝子複写数の変化等を含む。逆機能に関連したエストロゲン受容体遺伝子の変異形態の検出は、活性診断、又は疾患がエストロゲン受容体タンパクの過剰発現、過小発現、又は変異発現の結果である場合には疾患へのかかりやすさの診断方法となる。
【0143】
エストロゲン受容体遺伝子に変異を有する個人は、各種技術により遺伝子レベルで検出することができる。ゲノムDNAは直接に分析し、又は分析に先立ちPCRを用いて増幅することもできる。RNA又はcDNAは同様に用いることができる。ある用途では、変異の検出は、アンカーPCR又はRACE PCRのように、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)(U.S.Patent No.4,683,195及び4,683,202)におけるプローブ/プライマーの使用に関連し、又は異なるものではリゲーション鎖反応(LCR)(Landegran et al., Science 241:1077−1080(1988);及びNakazawa et al., PNAS 91:360−364(1994)参照)に関連し、後者は特に遺伝子のポイント変異の検出に特に有効である(Abravaya et al., Nucleic Acids Res.23:675−682(1995)参照)。この方法は、患者から細胞サンプルを収集する工程、サンプルの細胞から核酸(例えばゲノム,mRNA又は両者)を単離する工程、核酸サンプルを遺伝子(もし存在すれば)のハイブリダイズ及び増幅が生じる条件下で、遺伝子に特にハイブリダイズした1以上のプライマーと接触させる工程、増幅生成物の存在又は不存在を検出し、又は増幅生成物の大きさを検出しコントロールサンプルの長さと対比する工程を含む。欠如及び挿入は増幅生成物を正常ゲノタイプと比較することにより、大きさの変化で検出することができる。ポイント変異は、増幅DNAを正常RNA、又は不増感DNAとハイブリダイズすることで特定することができる。
【0144】
あるいは、エストロゲン受容体遺伝子の変異は直接に、例えば変形された限定酵素消化パターンをゲル電気泳動で決定することで特定することができる。
さらに、配列−特定リボザイム(U.S.Patent No.5,498,531)を、リボザイム***サイトの成長又は減少により特定変異の存在をスコア化することができる。完全に一致した配列は、ヌクレアーゼ開裂消化アッセイ又は融点の相違により、一致しない配列から区別することができる。
【0145】
特定位置の配列変化は、RNase及びS1保護のようなヌクレアーゼ保護アッセイ又は化学開裂法により評価することができる。さらに、変異エストロゲン受容体遺伝子と野性型遺伝子との間の配列の相違を、直接DNA配列化により決定する。自動配列化手段の各種は、診断アッセイを実行するときに有効であり(Naeve,C.W.,(1995)Biotechniques 19:448)、マススペクトルによる配列化を含む(PCT International Publication No.WO94/16101;Cohen et al., Adv.Chromatogr.36:127−162(1996);及びGriffin et al., Appl.Biochem. Biotechnol. 38;147−159(1993)参照)。
【0146】
遺伝子の変異を検出する他の方法は、RNA/RNA又はRNA/DNA二重鎖の不適合塩基を検出するため、開裂試薬から保護する方法(Myers et al., Science 230;1242(1985));Cotton et al.,PNAS85:4397(1988);Saleeba et al.,Meth.Enzymol.217:286−295(1992))、変異及び野性型核酸の電気泳動量を比較するもの(Orita et al.,PNAS 86;2766(1989);Cotton et al., Mutat.Res.285:125−144(1993);及びHayashi et al.,Genet.Anal.Tech.Appl.9:73−79(1992))、及び変性グラジェントゲル電気泳動を用い、変性剤の傾斜濃度を含むポリアクリルアミドゲル中で変異又は野性型フラグメントの移動をアッセイするもの(Myers et al., Nature 313:495(1985))が含まれる。ポイント変異を検出する他の技術の例には、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイズ、選択的増幅、及び選択的プライマー伸長が含まれる。
【0147】
核酸分子はまた、疾患を不要に起こさせず、治療様相に影響を与えるゲノタイプの個体を試験するためにも有用である。そして、核酸分子は個体の遺伝子型と、治療のために用いられた化合物に対する個体の反応との間の相関を研究するのに用いることができる(薬理ゲノム相関)。従って、ここに記述された核酸分子は、好ましい化合物及び治療のための投与量を選択するため、ある個体のエストロゲン受容体遺伝子の変異量を評価するために用いることができる。
【0148】
そして、治療に影響を与える遺伝子変異を示す核酸分子は、個体に対するテーラー治療に用いることのできる診断対象を提供する。従って、これらの多型/ハプロタイプを有する組換細胞及び動物の製造は、薬剤及び投与量の効果的な臨床設計を可能とする。
【0149】
核酸分子は、細胞、組織及び生体中でのエストロゲン受容体遺伝子発現の調整を行うため、不増感性の形成に有用である。DNA不増感核酸分子は、転写及びその後のエストロゲン受容体タンパクの製造を阻止するため、転写に関連する遺伝子の部分に相補的に設計される。不増感RNA又はDNA核酸分子は、mRNAにハイブリダイズされ、mRNAのエストロゲン受容体タンパクへの翻訳を阻止する。
【0150】
あるいは、不増感分子の1種は、エストロゲン受容体核酸の発現を減少させるためmRNAを不活性化するために用いられる。従って、これらの分子は、異常又は望ましくないエストロゲン受容体核酸発現により特徴づけられる異常を処置することができる。この技術は、mRNAが翻訳される能力を減じる核酸配列を相補的にmRNAの1以上の部分に含ませたリボチームによる開裂に関する。可能な部分は、コード化部分及び特に基質結合部分のような、エストロゲン受容体タンパクの触媒及び他の機能的活性に関連したコード化部分である。
【0151】
核酸分子はさらに、エストロゲン受容体遺伝子発現に異常を有する細胞を含む患者の遺伝子治療のベクターを提供する。そして、ex vivoで変調され、患者に戻された患者の細胞を含む組換細胞を、個人の処置のため、患者の細胞が望ましいエストロゲン受容体タンパクを生成する位置に導入するものである。
【0152】
本発明はまた、生物的サンプル中のエストロゲン受容体核酸の存在を検知するキットを含む。例えば、このキットは、標識された又は標識できる核酸又は生物的サンプル中のエストロゲン受容体核酸を検知することのできる薬剤;、サンプル中のエストロゲン受容体核酸の量を決定できる手段;及びサンプル中のエストロゲン受容体核酸量を標準と比較する手段を含む。化合物又は薬剤は適当な容器に封入される。このキットはさらにエストロゲン受容体タンパクmRNA又はDNAを検出するキットの使用に関する説明書を含む。
【0153】
SNP含有核酸検出方法の設計
本発明のSNP核酸分子はプローブ、プライマー、化学的中間体、およびSNPの生物学的アッセイに有用である。プローブ/プライマーは図2に示した1つ以上のSNPと一致しているか、または5´及び/又は3´と一致している。しかしながら、前述したように、フラグメントは、本発明のSNPと関連しないフラグメント、又はSNP検出の技術において知られているフラグメントを含むものではない。ここで提供されたSNP含有核酸分子と情報は、PCRが、本発明において提供されたSNPを増幅し、フォーマットされたSNP検出試薬/キットを設計するPCRプライマーを設計するのにまた有用である。
【0154】
プローブ/プライマーは、典型的には実質的に精製されたオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチド対を含む。オリゴヌクレオチドは典型的には、少なくとも約12,20,25,40,50又はそれ以上の連続的なヌクレオチドとなるように、ストリンジェント条件下でハイブリダイズされたヌクレオチド配列部分を含む。特定の条件に基づいて、連続的なヌクレオチドは対象SNP位置を含むことができ、又は、所望のアッセイを実行するSNP位置である近接5´及び/又は3´SNPに十分近い特定部分になることもできる。
【0155】
好ましいプライマーとプローブ配列は、図1、2、及び9において提供された配列を使ってすぐに決定できる。それは当技術者には明白であり、そのようなプライマーとプローブは、本発明のSNPをゲノタイピングする診断プローブや増幅プライマーとして有効であり、キット型に組み入れることができる。
【0156】
SNPを分析するために、SNP対立遺伝子(「対立遺伝子特定オリゴヌクレオチド」、「対立遺伝子特定プローブ」、または「対立遺伝子特定プライマー」として表される)に特有なオリゴヌクレオチドを使うことが適切である。多型を分析するための対立遺伝子特定プローブの設計と用途は、例えばSaiki et al., Nature 324, 163−166 (1986); Dattagupta, EP 235,726, Saiki, WO 89/11548に説明されている。
【0157】
ハイブリダイズベースのアッセイにおいて、対立遺伝子特有プローブは、1人のヒト由来の対象DNAのセグメントにハイブリダイズするが、異なる多型が存在する別のヒト由来のセグメントにはハイブリダイズしないよう設計される。ハイブリダイズ条件は、対立遺伝子間のハイブリダイズ強度に重要な差異、好ましくは重要な二元性応答があるため、十分ストリンジェントであるべきであり、それによってプローブが対立遺伝子の1つだけにハイブリダイズする。いくつかのプローブが、対象DNAのセグメントにハイブリダイズするように設計されるので、多型部分はプローブの中心位置(例えば7位の15量体、8又は9位の16量体)に配列する。プローブの設計により、異なる対立遺伝子間のハイブリダイズが、よく識別できるようになる。
【0158】
対立遺伝子特定プローブはしばしば対で使われ、「対」は、SNP位置での対立遺伝子の変異を表す1つのヌクレオチド不一致を除いて同一である。対の一方は対象配列と完全に一致し、他方は変異型と完全に一致している。配列において、数対のプローブは、同じ対象配列内の複数の多型を同時分析する同じ担体に固定することができる。
【0159】
あるタイプのPCRベースのアッセイにおいては、対立遺伝子特定プライマーがSNP位置と重複している対象DNA部分にハイブリダイズし、プライマーが完全な相補性を表す対立遺伝子型のプライマーだけが増幅する。(Gibbs, Nucleic Acid Res. 17 2427−2448 (1989)参照)。このプライマーは、末端部分でハイブリダイズする2番目のプライマーと共役して使われる。増幅は、2つのプライマーから生じ、特定の対立遺伝子型の存在を示すことのできる生成物を生じる。コントロールは、通常プライマーの2つの対により実行される。1対は多型部分の単一塩基が不一致であり、もう1対は末梢部分へ完全に相補性を表す。単一塩基不一致は増幅を阻止し、生成物は全く成形されない。この方法は、不一致が多型に配列したオリゴヌクレオチドの3´−most位に含まれている時、最もよく機能する。それは、この位置がプライマーから伸張し最も不安定であるためである(例えばWO 93/22456参照)。このPCRベースのアッセイはTaqManアッセイの一部として利用され、下記のように説明される。
【0160】
SNP検出キット、核酸配列、及び組み込みシステム
本発明にはさらに、図1、2、4、8、及び9において提供されたSNPに基づく、核酸分子の配列又はマイクロ配列、プローブ/プライマーセットなどのSNP検出キットを提供する。
【0161】
本発明の1具体例において、ここで明らかにされた1つ以上のSNPを検出する1回以上のアッセイを実行するために、必要な試薬を含むキットを提供する。本発明は、本発明おけるSNPを分析するマルチ成分組み込みシステムも提供する。
【0162】
SNP検出キットは1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブ、または対のプローブを含むことができ、それは個々のSNP位置、またはその位置の近くでハイブリダイズする。本発明のSNPの少なくとも1つのSNPを含む多数のSNPを試験するために、複数対の対立遺伝子特定オリゴヌクレオチドをキットに同時に含むことができる。配列などのいくつかのキットにおいて、対立遺伝子特定オリゴヌクレオチドが提供され、基質に固定される。例えば、同じ基質は、少なくとも1;10;100;1000;10000;100000;300000、又は図1、2、4、8、及び9において示された多型のうちのほぼすべてを検出するための対立遺伝子特定オリゴヌクレオチドプローブを含むことができる。
【0163】
特に本発明は、小さく仕切られ、1以上の容器を有するもので、(a) 核酸プローブの1つ、例えばここに記述されるSNP含有ヒトゲノムのフラグメントを結合することのできる対立遺伝子特定オリゴヌクレオチドを含む第一の容器;及び(b)洗浄剤、又は結合プローブの存在を検出することのできる試薬の1つ以上を含むことのできる1以上の容器を含むコンパートメント化されたキットを提供する。
詳細には、コンパートメント化されたキットは、複数の試薬が入れられる隔離された容器を各キットが有する。そのような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器、プラスチックのストライプ、ガラス又は紙、又はシリカのような配列化材料を含む。このような容器は、1つのコンパートメントから他のコンパートメントに試薬を効率的に移行させ、サンプル及び試薬は相互汚染せず、各容器の試薬又は溶液は一の容器から他の容器へ定量的に添加される。このような容器は、被検サンプルを入れる容器、核酸プローブを入れる容器、洗浄液(リン酸緩衝液、Tris緩衝液など)を入れる容器、結合プローブを検出する試薬を入れる容器を含む。さらにキットは、PCR又は他の酵素反応のための試薬、及びキットを使用する使用説明書を含むことができる。当業者は、本発明の未特定SNPを識別し、ここに記述された配列を用い、定型的に特定することができ、これを周知のキット形式に折り込んで用いることができる。
【0164】
さらに本発明により、図2の変異態の1つ以上を含む、図1の配列情報に基づく核酸分子の配列またはマイクロ配列が提供される。
【0165】
ここで用いる「配列」又は「マイクロ配列」とは、基板上に合成された別個のポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの配列を表し、基板は紙、ナイロン又は他種の膜、フィルター、チップ、スライドグラス又は他の適当な固形担体である。1つの具体例において、マイクロ配列はU.S.Patent 5,837,832,Chee et al., PCT 出願 WO95/11995(Chee et al.),Lockhart,D.J.et al.(1996;Nat.Biotech.14:1675−1680)及びShena,M.et al.(1996;Proc.Natl.Acad.Sci.93:10614−10619)に記載された方法にしたがって調製され且つ使用され、これらは参考としてここに折り込まれる。他の具体例では、このような配列はBrown et al., U.S.Patent No.5,807,522に記載される方法により製造される。配列またはマイクロ配列は、一般的に、「DNAチップ」と表される。
【0166】
異なるSNP位置と一致している個々のプローブまたは対のプローブにおいて、対立遺伝子特定オリゴヌクレオチドなどの多数のオリゴヌクレオチドプローブが配列される。オリヌクレオチドは、基板の特定領域に、光照射化学処理により合成される。基板は、紙、ナイロン又は他種の膜、フィルター、チップ、スライドグラス、又は他の適当な固体担体である。
【0167】
オリゴヌクレオチド配列に基づくハイブリダイズアッセイは、短いオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイズ安定度において、完全に一致する及び不一致である対象配列変異における相違に依存している。多型情報は、選ばれた位置で固体の担体(例えばチップ)に取り付けられたオリゴヌクレオチドプローブの高密度配列を含む基本的な構造によって、効率的に得られる。個々のDNAチップは、格子状に並び、ダイムサイズへ小型化され、個々の特定SNP位置又は対立遺伝子変異と一致し、数千から数百万のDNAプローブを含む。好ましくは、プローブは、アドレス可能な配列において、固体の担体に結び付けられる。
【0168】
配列/チップテクノロジーはすでに多くのケースにおいて成功し適用されている。例えば、BRCA1遺伝子、s.cerevisiae突然変異菌株、及びHIV−Iウイルスのプロテアーゼ遺伝子(Hacia et al., 1996; Shoemaker et al., 1996 ; Kozal et al., 1996) において変異のスクリーニングが行われた。SNP検出にて使う変異形チップがカスタマイズされた基質上に製造できる。
【0169】
SNPを検出するのに有用な配列ベースのタイリング計画は、EP 785280において説明される。すなわち配列は一般に多くの特定多型に「タイリングされる」。「タイリング」とは、前に選ばれた配列変異態だけでなく、対象配列に相補的な配列により構成されているオリゴヌクレオチドプローブの定義された合成、例えば1つ以上のモノマーベースの1つ以上の与えられた位置の置換、すなわちヌクレオチドを表す。タイリング計画はPCT出願 No.WO 95/11995でさらに説明されている。特定の面において、配列は多くの特定SNPにタイリングされる。特に、配列は、各検出ブロックが特定SNPまたはSNPセットに特有の多くの検出ブロックを含むようタイリングされる。例えば、特定SNPを含む配列セグメントを測定する多くのプローブを含むように、検出ブロックがタイリングされる。個々の対立遺伝子に相補性を表すプローブを得るために、プローブは、SNP位置で異なる対において合成される。SNP位置で異なるプローブだけでなく、一置換体プローブもまた、一般に検出ブロック内でタイリングされる。この方法は、ここに記述されたSNP情報にすぐ適用できる。
【0170】
これらの一置換体プローブは、ヌクレオチド残基(A、T、G、C、及びUから選ばれる)によって置換された多型からの一定数の塩基をどちらの方向にも持つ。一般に、タイリングされた検出ブロックのプローブは、SNPから5塩基離れた配列位置の置換を含む。一置換体プローブは、実際のハイブリダイズを人為的交雑ハイブリダイズと区別するために、内的コントロールをタイリング配列に行う。対象配列及び配列の洗浄を持つハイブリダイズの完成において、配列は、対象配列がハイブリダイズする配列における位置を決定するよう考察される。走査された配列からのハイブリダイズデーターは、サンプル内の対立遺伝子又はSNPの対立遺伝子の存在を識別するために分析される。ハイブリダイズと走査は、PCT出願No.WO 92/10092、WO 95/11995とU.S.Patent No.5424186における説明のように行われる。
【0171】
従って、いくつかの具体例において、チップは長さ約15ヌクレオチドのフラグメントの核酸配列を含む。他の具体例では、チップは、図1、2、8、及び9に記述されているグループから選ばれる少なくとも1つの配列、相補的な配列、フラグメント、少なくとも8つ以上、好ましくは10、15、20、より好ましくは25、30、40、47、又は50の連続的なヌクレオチドと多型塩基を含むフラグメントを含む。いくつかの具体例では、多型塩基は、ポリヌクレオチドの中央から、5、4、3、2、又は1のヌクレオチド内にあり、より好ましくは該ポリヌクレオチドの中央にある。他の具体例では、チップは、本発明のポリヌクレオチドをいくつか持つ配列を含む。
【0172】
オリゴヌクレオチドは基板上に化学結合処理及びインクジェット処理装置により合成され、これはPCT 出願 WO95/251116(Baldeschweiler et al.)に記載されており、そのすべては参考としてここに折り込まれる。他の例では、「格子化」配列はドット(又はスロット)がcDNAフラグメント又はオリゴヌクレオチドを、真空システム、加熱、UV、機械的又は化学的結合処理により基板の表面に配置及び結合する。上記のような配列は、手作業又は適当な機械(スロットブロット又はドットブロット装置)、材料(適当な固体担体のいずれか)及び機械(ロボット化設備)、及び8,24,96,384,1536,6144又はそれ以上のオリゴヌクレオチド、又は商業的に用いられる設備の効率的使用となるオリゴヌクレオチドにより製造される。
【0173】
このような配列を用い、本発明は、本発明にかかるSNPを特定する方法を提供する。詳細には、このような方法は被検サンプルを1以上の核酸分子と共にインキュベートし、被検サンプル中の成分に核酸分子が結合することをアッセイする。このアッセイは、多くの遺伝子、少なくとも本発明にかかるSNP及び/又は本発明にかかるSNPの対立遺伝子の1つを含む配列を含む。
【0174】
被検サンプルと核酸分子のインキュベーション条件は変化する。インキュベーション条件はアッセイに用いられた形態、採用された検出方法、及びアッセイに用いられた核酸分子の型及び性質に依存する。当業者は、ここに記述されたヒトゲノムの新規なSNPを用いるのに適したように、一般的な適用されるハイブリダイゼーション、増幅、又は配列アッセイ形態を調製することができる。このようなアッセイの例は、Chard,T,An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers,Amsterdam, The Netherlands(1986);Bullock,G.R.et al., Techniques in Immnocytochemistry,Academic Press,Orlando,FL Vol.1(1982),Vol.2(1983),Vol.3(1985);Tijssen,P., Practice and Theory of Enzyme Immunoassay: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology,Elsevier Science Publishers,Amsterdam,The Netherlands(1985)に記載されている。
【0175】
本発明のテストサンプルは、タンパク、核酸抽出物、体液(血、尿、唾液、痰、胃液等)から得られる細胞膜抽出物、培養細胞、生検材料、または他の組織調製物から得ることができるが、これら限定されない。上記の方法により使われたテストサンプルは、アッセイフォーマット、検出方法の性質、およびサンプルとして使用された組織、細胞、抽出物に基づき変異する。核酸、タンパク、または細胞抽出物を用意する方法は、当業者によく知られており、利用された系と互換のサンプルを得るために、すぐに適応できる。
【0176】
マルチ成分組み込みシステムは、また、SNP分析に使用できる。そのような系は、単一の機能的な装置において、PCRなどの製法及び毛管状の電気泳動法反応を小型化し、コンパートメント化する。このような技術の例はUS patent 5,589,136に記述されており、PCR増幅及びチップの毛管状の電気泳動法を説明している。
【0177】
組み込みシステムは主に、マイクロ流体系が使われる時に考察できる。これらの系は、ガラス、ケイ素、石英、またはプラスチック製のウェハーの上に設計されたマイクロチップに含まれるマイクロチャンネル型を含む。サンプルの動きは、動作部なしで機能的な微視的なバルブとポンプを作成するためにマイクロチップの種々の区域に適用された電気、電気浸透、または流体静力によりコントロールされる。電圧を変えることにより、マイクロ機械加工されたチャンネル間の交差における液状の流量をコントロールし、マイクロチップの種々の断面を横切るポンピングの液体流率を変更する。
【0178】
SNPをゲノタイピングするために、マイクロ流体系は、例えば、核酸増幅、小型配列プライマー延長、毛管状の電気泳動法、及びレーザーを引き起こす蛍光検出等の検出方法を合成する。
【0179】
最初のステップにおいて、DNAサンプルは増幅され、好ましくはPCRにより増幅される。そして、増幅生成物は、達成目標とされた多型塩基のすぐ上流にハイブリダイズするddNTP(個々のddNTPのための特定蛍光)、及び適切なオリゴヌクレオチド小型配列プライマーを使って自動化された小型配列反応に従っている。いったん3´末端の延長が完成されたら、プライマーは、未包含である蛍光性のddNTPから毛管状の電気泳動法により単離される。毛管状の電気泳動法で使われる単離媒体は例えば、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、またはデキストランとすることができる。単一のヌクレオチドプライマー延長生成物に含まれるddNTPは、レーザー誘導蛍光検出により識別される。このマイクロチップは少なくとも96から384またはそれ以上のサンプルを並行して処理するために使用できる。
【0180】
ベクター/宿主細胞
本発明は、ここに記載の核酸分子を含むベクターも提供する。「ベクター」とは、核酸分子を輸送するビヒクル、好ましくは核酸分子を意味する。ベクターが核酸分子である場合、その核酸分子は共有結合でベクターの核酸と結合されている。本発明のこの見地から、ベクターはプラスミド、1本鎖又は2本鎖のファージ、1本鎖又は2本鎖のRNA又はDNAウイルスベクター、又は人工染色体を含み、例えば、BAC、PAC、YAC、MACなどが挙げられる。
ベクターは、染色体外成分として宿主細胞中で維持可能であり、そこで核酸分子の別のコピーを複製、生産する。あるいは、ベクターは、宿主細胞ゲノム中に組み込み、宿主細胞が複製する際に核酸分子の別のコピーを生産してもよい。
【0181】
本発明は、維持のためのベクター(クローニングベクター)又は核酸分子発現のためのベクター(発現ベクター)を提供する。ベクターは、原核細胞又は真核細胞、又はその両者において機能することができる(シャトルベクター)。
発現ベクターは、シス作用性調節領域を含み、該領域は、核酸分子の転写が宿主細胞中でできるように、ベクター中で核酸分子に作動可能に結合されている。核酸分子は、転写に作用することが可能な別の核酸分子と共に宿主細胞に導入することができる。従って、この第2の核酸分子は、ベクターからの核酸分子の転写ができるように、シス調節コントロール領域と相互作用するトランス作用性因子を与えてもよい。あるいは、トランス作用性因子は、宿主細胞により供給されてもよい。また、トランス作用性因子は、ベクターそれ自体から生産することもできる。しかしながら、いくつかの実験において、核酸分子の転写及び/又は翻訳は無細胞系で起こり得ることが理解される。
【0182】
ここに記載の核酸分子が作動可能に結合している調節配列は、mRNA転写を指示するプロモーターを含む。これは、これらに限定されないが、バクテリオファージλから残ったプロモーター、大腸菌からのlac、TRP、及びTACプロモーター、SV40からの初期及び後期プロモーター、CMV即時型プロモーター、アデノウイルス初期及び後期プロモーター、ならびにレトロウイルス長末端反復を含む。
転写を促進するコントロール部位の他に、発現ベクターは、レプレッサー結合部位やエンハンサーなどの転写調節部位も含んでよい。例として、SV40エンハンサー、サイトメガロウイルス即時型エンハンサー、ポリオーマエンハンサー、アデノウイルスエンハンサー、レトロウイルスLTRエンハンサーを含む。
【0183】
転写の開始及びコントロールのための部位を含む他、発現ベクターは、転写終止に必要な配列を含むことが可能であり、また転写される部位においては、翻訳のためのリボソーム結合部位を含むことも可能である。発現のための他の調節コントロール要素は、ポリアデニル化シグナルと共に、開始及び終止コドンも含む。当業者は、発現ベクターに有用な多数の調節配列を知っているであろう。このような調節配列は例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: Alaboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harber, NY(1989)に記載されている。
【0184】
多様な発現ベクターを核酸分子の発現に用いることができる。このような発現ベクターは、染色体ベクター、エピソームベクター、ウイルス由来ベクターを含み、例えば、細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、酵母エピソーム由来、酵母人工染色体を含む酵母染色体要素由来、バクロウイルス、SV40などのパポーバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レトロウイルスなどのウイルス由来のベクターが挙げられる。ベクターはプラスミド及びバクテリオファージ遺伝要素、例えば、コスミド、ファージミドなどに由来するようなこれら起源の組み合わせに由来してもよい。原核及び真核宿主のための適当なクローニングベクター及び発現ベクターは、Sambrook et al., Molecular Cloning: Alaboratory Manual. 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harber, NY(1989)に記載されている。
【0185】
調節配列は1つ以上の宿主細胞における構成性発現を与えてもよく(すなわち、組織特異的)、又は、温度、栄養添加剤、又はホルモンや別のリガンドのような外因性因子によるような1つ以上の細胞型での誘導性発現を与えてもよい。原核及び真核宿主における構成性発現及び誘導性発現を与える様々なベクターは当業者に良く知られている。
【0186】
核酸分子は、周知の方法論により、ベクターの核酸に挿入することができる。一般に、最終的に発現するDNA配列は、1つ以上の制限酵素によりDNA配列と発現ベクターを切断し、その後そのフラグメントが互いに連結することにより発現ベクターに結合する。制限酵素の消化及び連結反応の手順は、当業者に良く知られている。
適当な核酸分子を含むベクターは、周知の技術を用い、増殖又は発現に適当な宿主細胞に導入することができる。細菌細胞は、大腸菌、放線菌、及びネズミチフス菌を含むが、これらに限定されない。真核細胞は、酵母、ショウジョウバエなどの昆虫細胞、COSやCHO細胞などの動物細胞、及び植物細胞を含むが、これらに限定されない。
【0187】
ここに記載のように、融合タンパクとしてペプチドを発現することが望ましいかもしれない。従って、本発明は、ペプチドが生産できる融合ベクターを提供する。融合ベクターは、組換えタンパクの発現を増強し、組換えタンパクの溶解度を向上させ、そして例えばアフィニティー精製のためのリガンドとして作用することによりタンパク精製を助けることができる。タンパク加水分解の切断部位は、融合部分の接合点に導入してもよく、その結果、所望のペプチドを最終的に融合部分から分離することができる。タンパク加水分解酵素は、Xa因子、トロンビン、及びエンテロキナーゼを含むが、これらに限定されない。代表的な融合発現ベクターは、pGEX (Smith et al., Gene 67:31−40 (1988))、 pMAL (New England Biolabs, Beverly, MA)、及び目的とする組換えタンパクに対してグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク、又はプロテインAとそれぞれ融合するpRIT5 (Pharmacia, Piscataway, NJ)を含む。
適切な誘導性非融合大腸菌発現ベクターの例としては、pTrc (Amann et al., Gene 69:301−315 (1988)) 及び pET 11d (Studier et al., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185:60−89 (1990))を含む。
【0188】
組換えタンパクの発現は、宿主細胞の組換えタンパクをタンパク加水分解的に切断する能力が減じられている遺伝的バックグラウンドを与えることにより、宿主細菌において最大化することができる(Gottesman, S., Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, California (1990) 119−128)。あるいは、関心のある核酸分子の配列は、大腸菌などの特定の宿主細胞のための優先的コドンの使用(preferential codon usage)を提供するように変更することができる(Wada et al., Nucleic Acids Res. 20:2111−2118 (1992))。
【0189】
核酸分子は、酵母において作用する発現ベクターにより発現することも可能である。酵母、例えばS. cerevisiae での発現のためのベクターの例としては、pYepSec1 (Baldari, et al., EMBO J. 6:229−234 (1987))、 pMFa (Kurjan et al., Cell 30:933−943(1982))、 pJRY88 (Schultz et al., Gene 54:113−123 (1987))、 及び pYES2 (Invitrogen Corporation, San Diego, CA)を含む。
【0190】
核酸分子は、また、例えばバクロウイルス発現ベクターを用い、昆虫細胞中で発現させることもできる。培養昆虫細胞(例えば、Sf 9 細胞)中でのタンパク発現に有用なバクロウイルスベクターは、pAc系(Smith et al., Mol. Cell Biol. 3:2156−2165 (1983)) 及び pVL系(Lucklow et al., Virology 170:31−39 (1989))を含む。
本発明のある実施例においては、ここに記載の核酸分子は、ほ乳類の発現ベクターを用い、ほ乳類細胞においてする。ほ乳類発現ベクターの例として、pCDM8 (Seed, B. Nature 329:840(1987)) 及び pMT2PC (Kaufman et al., EMBO J. 6:187−195 (1987))を含む。
【0191】
ここに挙げた発現ベクターは、核酸分子を発現するのに有用で当業者が利用可能な周知のベクターのうち、単なる例として提供するものである。当業者は、ここに記載の核酸分子の維持、増殖又は発現に適した他のベクターについて知っているであろう。これらは、例えば、Sambrook, J., Fritsh, E. F., and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に認められる。
【0192】
本発明は、ここに記載の核酸配列が逆向きにベクター中にクローン化されてはいるが、アンチセンスRNAの転写を許可する調節配列に作用可能に結合されているベクターも含む。従って、アンチセンス転写物は、コーディング領域及び非コーディング領域の両方を含む、ここに記載の核酸分子配列の全て又は1部に対して生産することができる。このアンチセンスRNAの発現は、センスRNAの発現に関する上記各パラメータに従う(調節配列、構成性又は誘導性発現、組織特異的発現)。
【0193】
本発明は、また、ここに記載のベクターを含む組換え宿主細胞にも関する。宿主細胞は、従って、原核細胞、酵母のような下等真核細胞、昆虫細胞のような他の真核細胞、及びほ乳類細胞のような高等真核細胞を含む。
組換え宿主細胞は、ここに記載のベクター構成物を当業者が容易に使用可能な技術により細胞に導入することにより作製される。これらは、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、リポフェクション、及びSambrook, et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 2nd, ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989)に認められるような他の技術を含むが、これらに限定されない。
【0194】
宿主細胞は、1つのベクター以上を含むことができる。従って、異なるヌクレオチド配列を同じ細胞の異なるベクター上に導入することができる。同様に、核酸分子を単独で、又は、発現ベクターのためのトランス作用性因子を提供する核酸分子に無関係な他の核酸分子とともに導入することもできる。1つのベクター以上を細胞に導入する場合、ベクターは独立して導入するか、共に導入するか、又は核酸分子ベクターに結合することができる。
【0195】
バクテリオファージ及びウイルス性ベクターの場合、これらは感染及び形質導入の標準的な方法によりパッケージ化ウイルス又はカプセル化ウイルスとして細胞内に導入することができる。ウイルスベクターは、複製能コンピテント又は複製能欠損であることが可能である。ウイルス複製が欠損している場合、複製は欠損を補足する機能を発揮する宿主細胞において起こる。
【0196】
ベクターは、一般的に、組換えベクター構成物を含む細胞亜集団が選択できる選択可能マーカーを含む。このマーカーは、ここに記載の核酸分子を含む同一のベクター中に含まれていてもよく、又は別のベクター上にあってもよい。マーカーは、原核宿主細胞に関するテトラサイクリン抵抗性又はアンピシリン抵抗性遺伝子、及び真核宿主細胞に関するジヒドロ葉酸レダクターゼ抵抗性又はネオマイシン抵抗性を含む。しかしながら、表現型形質を選択する何れのマーカーも効果的であろう。
【0197】
成熟タンパクは細菌、酵母、ほ乳類細胞、および他の細胞において適当な調節配列のコントロール下に生産可能であるが、無細胞転写及び翻訳系をここに記載のDNA構成物に由来するRNAを用いてこれらタンパクを生産するのに使用することも可能である。
ペプチドの分泌が必要な場合には、それはエストロゲンレセプターのようなタンパクを含むマルチトランスメンブランドメインで実行することは難しいが、適当な分泌シグナルをベクター中に加える。シグナル配列は、ペプチドに対して内因性であるか、又はこれらのペプチドに対して異型であることができる。
【0198】
そのペプチドを媒体中に分泌しない場合、それはエストロゲンレセプターの代表的なケースであるが、そのタンパクは凍結解凍、音波処理、機械的破砕、溶菌剤の使用等を含む標準的な破砕方法により宿主細胞から単離することができる。ペプチドは、その後、硫酸アンモニウム沈降、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、リン酸セルロースクロマトグラフィー、疎水的相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、又は高速液体クロマトグラフィー等の周知の精製方法により回収、精製することができる。
【0199】
ここに記載のペプチドの組換え生産における宿主細胞に依存して、ペプチドは、細胞によっては細菌中で生産する場合のようにグリコシル化されないかもしれないが、様々なグリコシル化パターンを有する可能性があることも理解される。さらに、宿主を媒介したプロセスの結果のような場合には、ペプチドは初期修飾メチオニンを含むかもしれない。
【0200】
ベクター及び宿主細胞の使用
ここに記載のペプチドを発現する組換え宿主細胞は、様々な用途を有する。まず、その細胞は、エストロゲン受容体タンパクの生産、又は、さらに精製して所望量のエストロゲン受容体タンパクやフラグメントを生産することができるペプチドの生産に有用である。従って、発現ベクターを含む宿主細胞は、ペプチド生産に有用である。
【0201】
宿主細胞は、また、当該分野で公知のフォーマットと共に前記のようなエストロゲン受容体タンパク又はエストロゲン受容体タンパクフラグメントに関連する細胞ベースアッセイにも有用である。従って、ネイティブエストロゲン受容体タンパクを発現する組換え宿主細胞は、エストロゲン受容体タンパク機能を刺激又は抑制する物質アッセイに有用である。
宿主細胞はまた、その機能に影響があるエストロゲン受容体タンパク突然変異体の特定にも有用である。その突然変異体が自然に発生し、病理を起こすのであれば、その突然変異を含む宿主細胞は、ネイティブエストロゲン受容体タンパクに対しては示さないかもしれない効果であって、エストロゲン受容体タンパク突然変異体に対しては望ましい効果(例えば、刺激機能や抑制機能)を有する化合物の分析に有用である。
【0202】
遺伝子工学宿主細胞は、さらに非ヒト形質転換動物の生産に使用することができる。形質転換動物は、好ましくはほ乳類、例えば、ラットやマウスなどの齧歯類であり、その動物の細胞の1つ以上が導入遺伝子を含むものである。導入遺伝子は、形質転換動物が発育した細胞のゲノム中に組み込まれ、その形質転換動物の1つ以上の細胞型又は組織中の成熟動物のゲノム中に残存する外因性DNAである。これらの動物は、エストロゲン受容体タンパクの機能の研究、ならびにエストロゲン受容体タンパク活性の変調剤の特定及び評価に有用である。形質転換動物の他の例として、非ヒト霊長目動物、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類を含む。
【0203】
形質転換動物は、受精卵母細胞の雄前核中に核酸を導入することにより生産することができる。例えばマイクロインジェクション、レトロウイルス感染、卵母細胞の疑似妊娠雌養育動物中での発育などにより生産できる。エストロゲン受容体タンパクヌクレオチド配列は何れも、マウスのような非ヒト動物のゲノム中に導入遺伝子として導入することができる。
発現ベクターにおいて有用な調節配列又は他の配列は何れも、形質転換配列の部分を形成することができる。これは、既に含まれていない場合には、イントロン配列及びポリアデニル化シグナルを含む。組織特異的調節配列は、導入遺伝子に作用可能に結合し、特定の細胞に対してエストロゲン受容体タンパクの発現を指示する。
【0204】
胚操作(embryo manipulation)及びマイクロインジェクションによる形質転換動物の創出方法は、特にマウスのような動物では、当該技術分野において通常行われており、例えば、米国特許公報第4,736,866号及び第4,870,009号(共にLeder et al.)、米国特許公報第4,873,191号(Wagner et al.)、ならびにHogan, B., Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)等に記載されている。同様の方法は、他の形質転換動物の生産にも使用される。形質転換の基礎動物は、そのゲノム中の導入遺伝子及び/又はその動物の組織又は細胞中の形質転換mRNAの発現に基づき特定することができる。形質転換動物は、その後、導入遺伝子を保有する別の動物を生むのに用いることができる。また、導入遺伝子を保有する形質転換動物は、さらに別の導入遺伝子を保有する別の形質転換動物に改良することができる。形質転換動物はまた、ここに記載の相同組換え宿主細胞を用いて完全な動物又はその動物の組織を生産する動物も含む。
【0205】
別の実施例において、形質転換非ヒト動物は、導入遺伝子発現調節ができる選択システムを含み生産することができる。そのようなシステムの一例は、バクテリオファージP1のcre/oxPリコンビナーゼシステムである。cre/oxPリコンビナーゼシステムに関しては、例えば、Lakso et al. PNAS 89:6232−6236 (1992)を参照。リコンビナーゼシステムの別の例はS. cerevisiae のFLPリコンビナーゼシステムである(O’Gorman et al. Science 251:1351−1355 (1991))。cre/oxPリコンビナーゼシステムを導入遺伝子の発現調節に使用する場合、Creリコンビナーゼ及び選択タンパクの両方をコード化する導入遺伝子を含む動物が必要である。このような動物は、「複」形質転換動物の構築を通じて、例えば、2つの形質転換動物、すなわち、1つは選択タンパクをコード化する導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコード化する導入遺伝子を含む2つの形質転換動物を交配することにより、得ることができる。
【0206】
ここに記載の非ヒト形質転換動物のクローンは、また、Wilmut, I. et al. Nature 385:810−813 (1997)ならびにPCT国際公開公報 WO 97/07668及びWO 97/07669に記載の方法により生産することもできる。簡単に説明すれば、細胞、例えば、体細胞は、成長サイクルからの脱してG期に入るように、形質転換動物から単離、誘導することができる。
休止細胞は、その後、例えばその休止細胞を単離したものと同種の動物からの無核卵母細胞に対して電気パルスを使用することにより、融合することができる。この再構築卵母細胞は、その後、培養して桑実胚又は尾胞に発達し、疑似妊娠雌養育動物にトランスファーする。この雌養育動物の子は、その細胞、例えば体細胞を単離した動物からのクローンであろう。
【0207】
ここに記載のペプチドを発現する組換え細胞を含む形質転換動物は、ここに記載のアッセイをin vivo状況下で行うのに有用である。in vivoで存在し、リガンド結合、エストロゲン受容体タンパク活性化、及びシグナル形質導入を果たすことができる様々な生理的因子は、in vitroの無細胞分析又は細胞ベース分析から明らかでないかもしれない。従って、非ヒト形質転換動物の提供は、in vivoにおけるエストロゲン受容体タンパク機能、例えば、リガンド相互作用、エストロゲン受容体タンパク機能に対する特異的突然変異エストロゲン受容体タンパクの影響、ならびにキメラエストロゲン受容体タンパクの影響を含む機能の分析に有用である。また、ヌル突然変異、すなわち、実質的に又は完全に1つ以上のエストロゲン受容体タンパク機能を除去する突然変異の影響を評価することもできる。
【0208】
【実施例】
1. SNPの特定及び評価
エキソンの各隣接配列(エキソン/イントロン境界)にフランキングするプライマーを用いて、エストロゲン受容体アルファ(ESR1)の各エキソンをPCR増幅し、増幅フラグメントの配列を分析した。PCR鋳型として、コリエール多様パネル(5民族群の各10名)からのゲノムDNA(図2(b)参照)、及び/又は48名の患者からのリバプール臨床胸部腫瘍及び対応する血液サンプル(英国リバプールで得た組織より。図2(a)参照)を使用した。PolyPhred バーション2.0(D. A. Nickerson, S. Taylor, N. Kolker, Univ. of Washington, 1998)を配列において(デフォルトセッティングで)実行し、潜在的な異型接合体を可視化した。標識部位の特性が試験され、多型性を確認した。
【0209】
頻度2以上、特性スコア20以上の36個のSNPが、臨床サンプルに特有な13で判明した。15個のSNPは、臨床サンプルの異型接合性における少なくとも1つの変化例を示し、4個のSNPは、異型接合性における少なくとも1つの欠損例を示した。分析には、SNP特定及び検出のためにPCRプライマーを使用した(図2(e)参照)。
さらに、図2(d)のプライマーセット及びM13プライマーをオーバーラッピングPCR及びクローンシーケンシングに使用した。
【0210】
【表1】
臨床サンプル中で判明したSNPの要約:全SNPは、頻度2以上、特性スコア20以上であった(図8参照)。
Figure 2004531228
【0211】
【表2】
臨床サンプルにおける異型接合体の変化の要約:SNPは頻度2以上、特性スコア20以上であった(図8参照)。
Figure 2004531228
【0212】
図2(c)は、リバプールコントロール群対血液又は腫瘍群における分析SNPを含んだ。
図5は、ESR1タンパクのドメイン構造及びここに開示された多くのSNP位置を示す。図6は、被験サンプル中のSNP及び発生頻度のグラフ図である。
図8(a)(1)は、北欧州人、中国人、インド−パキスタン人、アフリカ系アメリカ人、及び南西部ネイティブアメリカ人の民族グループから集めたコリエールサンプル中のSNP及び発生頻度を示す。3’フランキングエキソン8において、SNPの位置は、遺伝子バンクにあるAL078582の配列に基づく。結果は、特定の民族グループ間での検出のために使用可能である。図8(a)(2)は、コリエールパネル中の部位167989(イントロン1D,#9)のSNPのゲノタイピングを示す。このパネルは、100名のコーカサス人を含み、51名は男性で、49名は女性である。結果は、マイナー対立遺伝子の頻度が9%であることを示す。
【0213】
図8(b)(1)は、北欧人からの血液サンプル及び乳ガンサンプルのグループから選択したリバプールサンプルにおけるSNP及び発生頻度を示す。
図8(b)(2)は、追加のリバプール患者60名中のSNP部位167,989(イントロン1D,#9)のタックヒトゲノタイピング(Taq Man genotyping)の結果を示す。この結果は、マイナー対立遺伝子(G)の頻度が血液中14%、腫瘍中10%であったことを示す。これは、図8(b)(1)に示されるコリエールサンプルのSNPゲノタイピングと同様であり、マイナー対立遺伝子での頻度は血液中16%、腫瘍中17%であった。リバプールコントロール群(95のケース)は、マイナー対立遺伝子での頻度は10.5%であったことを示す(図2(c))。
【0214】
2.ハプロタイプ分析
SNP発見のために開発された方法は、ハプロタイプデータを得るよう設計された。SNPは、特定のハプロタイプに関連させることが可能であった。サンプルcDNAは、未知の比率で存在するランダム群から得た。特定のクローンからのSNPはハプロタイプ中にクラスター化され、作られた。
【0215】
データは、2つのサンプルタイプからなる(図4(a)及び(b))。リバプールサンプルは、48名の患者からのものであり、各患者は腫瘍及び対応する血液サンプルを有した。コリエールサンプルは、コントロールであったが、それらは対応するコントロールではなかった。むしろ、それらは、欧州人、中国人、インド−パキスタン人、及びアフリカ系アメリカ人の混合に含まれた。ESR1における46のSNPは、リバプールサンプルにおいて記録された。同じ46のSNPと、RSR1遺伝子の3’の追加の6のSNPが、コリエールサンプルにおいて記録された。
【0216】
これらのデータは個体の最も適当なハプロタイプフェーズを推測するための分析に供した。その結果は、図4(a)に示されているが、各ハプロタイプはナンバーを有し、ダッシュのついたナンバーはそのハプロタイプのカウント(又は頻度)である。
図4(b)は、近接接合樹形図に適合させた非単独ハプロタイプデータである。樹形図が矢印のところで切断されている場合には、3L, 10−4, …73Lを含む分岐は樹形図の残部から「分岐X」として区画される。下記に分岐X対樹形図残部のハプロタイプにおける腫瘍発生率の違いを示す。各ハプロタイプの発生率は、まずダッシュのついたナンバーを足すことによりカウントした。Lは腫瘍性リバプールサンプルを示し、Lはコリエールコントロールを示す。
【0217】
Figure 2004531228
は、2×2の表に基づき0.0001より小さな確率を有する自由度で、21.29と計算された。従って、ER1遺伝子の分岐Xは、腫瘍に関連するより多くの機会を有する。この全分岐は、世界の他の場所では大変まれである。欧州人の間でさえ、20のハプロタイプからたった1つしか存在しなかった。
【0218】
コリエールコントロール、リバプールコントロール、リバプール腫瘍サンプルの間の大きな頻度差で分岐を特定した部位は以下の通り。
Figure 2004531228
【0219】
エストロゲン受容体1のプロモーター領域及びSNP
CAAT及びTATAのボックスは配列の最初の200 b.p.にあり、これらの距離は、基礎プロモーターとして機能的であるかもしれないと考えられる。
CAAT−TATA部位間の距離及び実際に特定された転写の開始は、約300 b.p.であり(通常は約20−40 b.p.)、この領域はNFAT, NFKB, SP1−ファミリー, CEBP 及び EBOX等のマルチプルTF領域を含む。これらの大部分は特異の(組織、細胞型)の発現の調節に関係した。
【0220】
T(SNP)の領域は、興味深い性質を有する。それは維持(TC)6−繰り返しを有するだけでなく、5−プライムに(CA)6も有する。維持モチーフは同じ領域のCACAYTCTCである。公知のTF部位からこの領域に顕著に合うものはなく、それは新規なTF部位のようである。T(SNP)に大変近いのはアリール炭化水素/Arntヘテロ二量体に関するAHRARNT_02と呼ばれるTF部位である。CACAYTCTC部位は、コファクターの結合点か、Arnt複合体を正しく配置するのを助けるものである。TF結合部位における単独の突然変異は、タンパク結合の親和性を数倍低下させ、疾患経路に導くかもしれない。
【0221】
本発明において、SNPはちょうど、短いGAの繰り返し(GAGAGAGA)中のエキソン1Cの13bp上流に起こる。分岐(図4)中の関連SNPのうち、3つはサイレント突然変異であり、1つは3’UTR中にあり、残りはイントロン領域中にある。
重要なTからGのSNP(#9)は、プロモーター領域のサイト167989(イントロン1D)中にある(図2(a),(b),(c))。遺伝子コピーの欠損は、ガンの危険性に関連する。遺伝子発現を減じるプロモーター突然変異は、同様の影響を及ぼす。
【0222】
GからTのトランスバージョンは、交互のプロモーター部位中にある。エストロゲン生理学、おそらくは核でのシグナル伝達の全体的なレベルに対してある効果がある。関連した分岐(及び分岐のハプロタイプ)(図4)の「効果」は、全体的なエストロゲン受容体感受性及び反応性を増加させること、又はそのサイクルが非調節(非生理学的)成長シグナルの方向である別の成長過程の方に誘導可能なことであると予測される。エストロゲンの露出は、事実すべての疫学的研究において乳ガンの原因に重大な役割を果たす。
【0223】
さらに、TF結合部位とSNPは、下記のように、5のSNPが転写結合部位に生じたESR1遺伝子中に検出された。
Figure 2004531228
【0224】
ESR1 ゲノム配列決定−エストロゲン受容体アルファの完全ゲノム構造
エストロゲン受容体(ER)は、核ホルモン受容体遺伝子スーパーファミリーの1つである。この遺伝子のファミリーは、3つの別個のドメイン、すなわち、変異(N)−末端ドメイン、高度維持DNA結合ドメイン及び維持(C)−末端ドメインのモジュラー構造を特徴とする(参考文献1,2参照)。機能的には、(N)−末端ドメインはトランス活性化を、DNA結合ドメインは二量体化及びDNA結合を、(C)−末端ドメインはトランス活性化、二量化、リガンド結合、核トランスロケーション、サイレンシング、及び熱ショックタンパク結合を、それぞれ調節する。核ホルモン遺伝子スーパーファミリーの各ドメインの機能は、それらが見つかる受容体に無関係で、ドメインは異なる異型タンパク中に位置する場合であっても、その機能を保有する(参考文献3、4、5参照)。これら遺伝子の主なサブファミリーは、進化の初期に単純な遺伝子複製を通じて進化したので、核ホルモン受容体遺伝子スーパーファミリーのドメインモジュール性が存在する(参考文献6)。核ホルモン受容体遺伝子ファミリーは、2つの異なる分類スキームに従って分離することができる。一方はホルモン結合に基づき、他方は二量化と、受容体のDNA応答エレメントへの結合方法に基づく(参考文献2参照)。
【0225】
ERαのcDNAは、まず、MCF−7乳ガン細胞系列からクローン化及びシークエンスし、v−erb−A 遺伝子に対して27%の同一性と41%の保存性を有することが判明した(参考文献7)。ERαは、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)及び染色体結合を用いて染色体6q25.1にマップした(参考文献8)。1996年に、新規なエストロゲン受容体(ERβ)が縮重PCRにより特定され(参考文献9)、FISHにより14q22−24にマップされた(参考文献10)。ERα及びERβは、DNA結合ドメイン中96%の配列同一性と、リガンド結合ドメイン中58%の同一性を有し、ヒンジ(hinge)(ドメインD)と同様に5’及び3’末端においては同一性が低いことが示された。様々なERα及びERβ変異体は、これまで単一及び複数のエキソン欠損、切断転写、及び挿入を含む転写物を含め記載されてきた(参考文献11,12,13)。これらの変異体は、正常組織、腫瘍組織及び細胞系列を含む様々な起源から単離された。乳ガン患者の腫瘍のER状態は、内分泌療法に対する応答のインジケータとして用いられ(参考文献14,15)、多くの研究により乳ガン腫瘍の進行、ER−ネガティブ状態、及びホルモンアンタゴニスト抵抗性におけるERの役割が検討されてきた(参考文献16参照)。
【0226】
ER遺伝子の重要性から、我々はその全体をクローン化し、その完全な構造を決定しようとした。初めに、標準細菌人工染色体(BAC)配列決定を用いて遺伝子のコーディング領域の配列情報を発生させた。セレーラのヒトゲノム配列決定が進行したとき、ERの残存領域はセレーラレジオンアセンブリを用いて埋められた。25kbより小さな領域は、公知のBAC(Al353611.6, positions 1,497−25,941)を用いてERα上に埋められた。
【0227】
材料及び方法
1)BACスクリーニング
適当なマーカーがERα及びERβエキソンに設計され、リサーチジェネティクス(Huntsville, AL)から市販のBACクローンを得るために用いられた。いくつかのポジティブBACを選び、それぞれのクローンを確認のために再スクリーニングした。
【0228】
2)DNAの単離及びライブラリーの作製
BACのDNAは、QIAGENカラム(QIAGEN, Inc., Valencia, CA) を用い、メーカー仕様書に従って、確認したクローンから単離した。ショットガンライブラリーは、標準プロトコルに従い作製した(参考文献17)。簡単に説明すると、単離したBACのDNAを音波処理、ポリッシュ、及びサイズ分画した。サイズを選択したDNAフラグメントは、その後標準の連結反応技術を用いてpUC19中にサブクローン化した。連結したDNAは、エレクトロコンピテント細胞(Life Technologies, Rockville, MD)中にトランスフォームし、一晩成長させた。
【0229】
3)DNA配列決定及び注釈
配列決定反応は、ビッグダイターミネーターケミストリー(Big Dye Terminator chemistry, Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて実行し、ABI PRISM 3700 DNAアナライザー (Applied Biosystems)で行った。Phred (参考文献18), Phrap 及び Consed (参考文献19)は塩基呼び出し、アセンブリ及びフィニシングにぞれぞれ使用した。エキソン位置は、クロスマッチを用いて決定し、公表された遺伝子配列をゲノムのコンティグと比較した。
【0230】
結果
1.エストロゲン受容体アルファ
ERαのゲノム配列及びERαの公表されたmRNA配列のアライメントは、その遺伝子が14エキソンからなり、446,296 bpのゲノム配列をカバーすることを示す (図7,表3)。
2. エストロゲン受容体ベータ
ERβのゲノム配列及びERβの公表されたmRNA配列のアライメントは、その遺伝子が17エキソンからなり、253,748 bpのゲノム配列をカバーすることを示す(図2,表1)。セレーラゲノムブラウザでの分析により、遺伝子、ヒトシナプス核発現遺伝子2(syne−2, accession number NM_015180.1)、を特定することができた。それは、反対の鎖上でERβのイントロン9内に完全に含まれる。syne−2遺伝子のさらなる分析により、それは21エキソンからなり、51,471 bpのゲノム配列をカバーすることが示された。
【0231】
考察
完全なERαゲノム配列と様々なERβ転写物のアライメントは、遺伝子が446,296 bpのゲノム配列をカバーし、14エキソンからなることを示す。エキソン1E(AJ002561) (参考文献20)の公表配列とERαゲノム配列のアライメントは、エキソン1Eが実際には2つの別のエキソンからなることを明らかにした。新しく示されたエキソンは、これまでに確立された命名規約に従い、ここではエキソン1Gという。エキソン1Gは、エキソン1Eの約45 kb上流に位置し、GT/AG スプラス部位共通配列に一致する(図1,表1)。
【0232】
完全なERβゲノム配列に対する様々なERβ転写物のアライメントは、これまで受け入れられていたよりも複雑な体制を示す(参考文献13)。ERβcx変異体(AB006589)の5’UTRは実際には7つの非翻訳エキソン(ここではエキソン−1〜−7という)からなり、これらは全て、GT/AGスプライス部位共通配列に一致する(図2,表1)。ERβ変異体 AF061055及びAF061054(参考文献12)の配列アライメントは、これらの転写物が両方ともイントロン配列を含み、おそらく部分的に成熟した転写物であることを示した。これらの部分的成熟転写物は両方ともエキソン7と、エキソン9の一部を含むが、イントロン配列が存在する部位のスプライス部位共通配列には一致していない。
【0233】
セレーラゲノムブラウザを用いてERゲノム配列を調べることにより、ERβのイントロン9内に完全に含まれた分離遺伝子を特定することができた。この遺伝子は、ヒトシナプス核発現遺伝子2(syne−2)であり、50Kbのゲノム配列をカバーし、21のエキソンからなることが示された。これらは全てGT/AGスプライス共通配列に一致する(表4)。syne−2遺伝子は、ERβのアンチセンス鎖上に位置する。
ERα及びERβの配列及び構造の完成は、これらの重要な受容体のさらなる理解と特徴づけに寄与する。
【0234】
【表3】
ヒトエストロゲン受容体におけるエキソン−イントロン境界及び位置:
エキソン配列は大文字、イントロン配列は小文字、スプライス部位は太字で示す。
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【0235】
【表4】
ヒトシナプス核発現遺伝子2におけるエキソン−イントロン境界及び位置:
エキソン配列は大文字、イントロン配列は小文字、スプライス部位は太字で示す。
Figure 2004531228
【0236】
参考文献
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【0240】
上記明細書に記載の全ての出版物及び特許はここに織り込まれるものである。本発明に記載の方法及びシステムの様々な修飾及び変更は本発明の範囲ならびに精神を外れない範囲で当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい実施例に関連して記載しているが、クレームされた本発明はこのような特定の実施例に不当に限定されないことが理解されるべきである。実際に、分子生物学及び関連する分野の当業者に自明な、前記本発明の実施態様の様々な修飾はクレームの範囲内である。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】エストロゲン受容体アルファ遺伝子の完全ゲノム配列。
【図2】エストロゲン受容体アルファゲノムDNAに見出される配列多型(ヌクレオチドの位置は図1で与えられる配列に基づく)。
(a)リバプール臨床組織サンプル中のSNP
(b)コリエール多様性パネル中のSNP
(c)リバプールコントロール母集団中のSNP
(d)PCRプライマー
(e)シークエンシングプライマー
【図3】エストロゲン受容体アルファタンパクのアミノ酸配列。
【図4】エストロゲン受容体ハプロタイプ(ハプロタイプの項参照)。
(a)48人の患者からのリバプールサンプル、各患者は、腫瘍と対応する血液サンプルを有する。コリエールサンプルはコントロールである。
(b)隣接樹に適する非単独ハプロタイプデータ(Lはリバプールサンプル)。
【図5】ESR1タンパクのドメイン構造とここに開示されるSNP位置。
【図6】本発明に係る多くのSNPの分布及び頻度。
【図7】ヒトESR1遺伝子座のグラフ表現。
(a)ヒトエストロゲン受容体アルファ(ERα)の完全構造。エキソンは塗りつぶした四角で、イントロンは水平線で表す。
(b)ゲノム配列を完成するために使用されたコンティグの順番と名前。GAナンバーはセレーラコンティグナンバーを表す。リサーチジェネティクスBACクローンは基準プレート及び詳細番号で表される。
【図8】ESRアルファSNP:a)コリエールサンプル中、b)リバプールサンプル中(T=腫瘍サンプル、B=血液サンプル、LC=リバプールコントロール)、c)リバプールコントロールサンプル中。
【図9】SNPを有するESRアルファエキソン(「N」、「C」、「I」、「A」、「S」については図2を参照)。下線の配列はプライマー配列を表す。

Claims (17)

  1. 下記(a)及び(b)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる単離ペプチド。
    (a)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列。
    (b)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列のフラグメントであって、少なくとも10個の隣接するアミノ酸を含むフラグメント。
  2. 下記(a)及び(b)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離ペプチド。
    (a)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列。
    (b)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列のフラグメントであって、少なくとも10個の隣接するアミノ酸を含むフラグメント。
  3. 請求項1記載のペプチドに選択的に結合する単離抗体。
  4. 下記(a)、(b)及び(c)からなる群から選択されるヌクレオチド配列からなる単離核酸分子。
    (a)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列。
    (b)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列。
    (c)(a)−(b)の核酸分子の補体である核酸分子。
  5. 下記(a)、(b)及び(c)からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む単離核酸分子。
    (a)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列。
    (b)図2で与えられる変異エストロゲン受容体タンパクのアミノ酸配列のフラグメントをコード化するヌクレオチド配列。
    (c)(a)−(b)の核酸分子の補体である核酸分子。
  6. 請求項4記載の核酸配列を含む核酸ベクター。
  7. 請求項5記載の核酸配列を含む核酸ベクター。
  8. 請求項6記載のベクターを含む宿主細胞。
  9. 請求項7記載のベクターを含む宿主細胞。
  10. 請求項1記載の何れかのペプチドの生産方法であって、(a)−(b)のペプチド配列の何れかをコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、その核酸配列からタンパクを発現する条件下で該宿主細胞を培養することを含む、ペプチドの生産方法。
  11. 請求項2記載の何れかのペプチドの生産方法であって、(a)−(b)のペプチド配列の何れかをコード化するヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、その核酸配列からタンパクを発現する条件下で該宿主細胞を培養することを含む、ペプチドの生産方法。
  12. サンプル中における請求項1記載の何れかのペプチドの存在の検出方法であって、サンプル中の該ペプチドの存在を特異的に検出可能な作用物質とサンプルを接触させ、その後該ペプチドの存在を検出することを含む検出方法。
  13. 請求項12記載の方法に使用するための試薬を含むキットであって、該試薬が前記ペプチドに特異的に結合する作用物質を含むキット。
  14. サンプル中における請求項4記載の核酸配列の存在の検出方法であって、ストリンジェント条件下で該核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドにサンプルを接触させ、該サンプル中の該核酸配列に該オリゴヌクレオチドが結合するか否かを決定することを含む検出方法。
  15. 請求項14記載の方法に使用するための試薬を含むキットであって、該試薬がストリンジェント条件下で前記核酸分子の何れかにハイブリダイズする化合物を含むキット。
  16. 請求項1記載の何れかのペプチドに結合する作用物質の特定方法であて、該ペプチドを物質に接触させ、その接触混合物を分析して前記物質がペプチドに結合して複合体を形成するか否かを決定することを含む特定方法。
  17. 変異エストロゲン受容体により媒介される疾患を有する、又は発症する危険があるヒトを特定する方法であって、エストロゲン受容体遺伝子配列の変更に関してそのヒトから単離した核酸分子を分析し、図2及び図4で与えられる変異体からなる群から選択される前記エストロゲン受容体遺伝子における変更を、骨疾患を有する又は発症する危険があると特定することを含む特定方法。
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