JP2004530901A - 電力増幅器に用いられる電力検出回路 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、モニタ回路、より具体的には例えば無線通信のような特定の応用に用いられた場合に、電力増幅器、トランジスタ等によって供給される電力をモニタリング(monitoring)する技術の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体電力装置は、無線信号の生成を含む様々な応用に使用されている。そのような応用においては、特定の装置によって出力される電力の大きさを確かめることは、必要および/又は、望ましいことである。
【0003】
図1は、コンデンサ102を通して入力された無線周波数(RF)信号によって負荷101に供給される電力を計測するための従来技術の典型的な回路構成を図示したものである。実際のチップは、チップ上(on chip:オンチップ)のコンデンサ102、回路104、トランジスタQ1,Q2を有し、図1の点線103によって囲まれて示される。ボンディング・パッド(bonding pads)110〜112は、チップ外(off chip: オフチップ)信号が送信されるときに実際のチップからピンへのインターフェースを表している。インダクタ114は、接地インダクタンスを表しており、インダクタ115と116は、例えばチップ・パッケージのリードフレームのインダクタンスばかりでなく、ワイヤボンディングによって生じるインダクタンスである、固有のインダクタを表している。
【0004】
典型的には、図1のオフチップ・マッチング・ネットワーク132を介してRF信号130によって負荷101は駆動される。負荷に供給された電力を計測するために、いくつかの技術が利用可能である。あるものは電位分割回路を含み、そして負荷に加えられた信号の変化を計測する。他のものは、オフチップの平均化回路を利用する。その上、複数の他の方法も同様に存在する。
【0005】
図1の構成は負荷に送られる電力を測定する従来技術の1つを示す。より具体的には、トランジスタQ2はトランジスタQ1に比べてかなり小さい値が選択されており、トランジスタQ2を通過する電流は、トランジスタQ1を通過する電流の1%、又はそれ以下となっている。平均化回路は、抵抗140とコンデンサ142を含んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図2は、その装置によって送られる電力の関数として、図1のVdetectの電位のグラフを図示する。図2では、約1.8ワットでは、曲線の勾配が正になる点が特徴的である。この傾斜の変化は様々な要因によっている。図3には、トランジスタQ2の拡大した様子が図示されており、傾斜の変化の理由の一つは図3を見ると理解することができる。すなわち、ベース・コレクタ・ダイオード301と基板上のコレクタ・ダイオード302が示されている。この二つのダイオードはともに装置に固有のものであり、製造の物理的過程の結果として生じたものである。しかしながら、高い電力レベルでは、これらのダイオードは順方向バイアス状態となり、Q2のコレクタに対する追加の電流経路を生じさせる。したがって、図1において、「i_sense」と示された、計測された電流の値は、もはや装置によって送られた正確な電力の値とは言えない。その代わりに、比較的高い電力における高い電位への変化によってQ2のコレクタに対する追加の電流径路が生じるため、計測された信号が歪んでしまう。また、インダクタ115とインダクタ116の間のカップリングは電流「i_sense」における誤差をさらに生じさせる。その結果、図1に図示した計測システムは、小さい電力信号の場合でしか機能せず、高い電力の場合には適切に動作しない。
【0007】
上記のことを考慮すると、高出力電力において、電流供給と電力を計測するための、改良された技術が装置に必要である。この問題は、図1に示した回路に類似した回路が使われている無線通信装置において特に重要である。
【0008】
本発明の目的は、大きな構成部品やかさばったり、損失の大きい装置が不要な、電力の計測を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術における上記の問題やその他の問題は、本発明によって解決される。計測用トランジスタQ2は、パワー・トランジスタQ1と並列接続されている。短絡装置は、信号を接地短絡するための計測用トランジスタと並列接続されるが、その信号は入力されたRF信号とほぼ同じ周波数の信号に限られる。好適な実施例においては、短絡装置は、インダクタ/コンデンサ(LC)共振回路である。
【0010】
本発明によれば、電位が大きく変化し、上述した追加電流経路を生じる高い周波数信号は、接地短絡される。共振回路を用いることによって、大きなコンデンサを用いることを避けることができ、なおかつ短絡装置に望ましいインピーダンスを得ることができる。
【0011】
さらに、好適な実施例においては、短絡装置用のコンデンサをチップ上に構成しておき、LC共振回路のインダクタの部分はチップ・ボンディング・パッドに内在するインダクタとして構成するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図4に本発明の典型的な実施例を示す。動作において、RF信号420がコンデンサ402とQ1を通じて入力される。バイアス回路401は、従来のように動作する。抵抗409とコンデンサ410によって構成される平均化回路は、負荷抵抗411に送られる電力にほぼ比例する直流電圧Vdetect を供給する。
しかしながら、Vdetect によって生じる電流、従ってトランジスタQ2を通じて計測される電流は、前述の効果によって歪みを生じさせられる。具体的には、インダクタ408と409の間のカップリング、ベース・コレクタ・ダイオードと同様な、トランジスタQ2のコレクタと基板2の間の固有ダイオード、これらすべてが不正確な電流の計測につながる電流の歪みを引き起こす。
【0013】
コンデンサ406とインダクタ407の存在が、Q2のコレクタにおける信号の高周波数成分を最小化および/または除去する役目を果たす。これらの高周波成分は変化量であり、付加的な電流成分を生じさせ、それによって負荷411に送られる電力の計測を歪ませる。
【0014】
コンデンサ406とインダクタ407を望ましい動作周波数において共振するような値に決めることが好ましい。周知のとおり、LC共振回路の直列接続は、FR信号が送られる臨界周波数において、短絡回路のように見える。その上、コンデンサは最小の費用でチップ上に追加でき、インダクタ407はいずれにせよそのシステムに固有のワイヤ・ボンド・インダクタンスである。
【0015】
好ましい実施形態においては、Q1が形成されている基板上のレベルと、Q2が形成されている第2の基板上のレベルとの間の抵抗を大きくすることによって、Q2のコレクタにおける望ましくない外来信号の更なる除去を達成することができる。そのような技術の1つとして、Q1の周りに接地されたタップから離れた位置であるQ2の周りに、基板のタップを配置することを含んでいる。使われる技術に関わりなく、効果的に又十分にL2とL3の間のカップリングにより生じるクロス・インダクタンスを除去するために、基板は抵抗値を大きくした抵抗から分離されている。
【0016】
図4の変形された回路による装置の電力の関数としたVdetect の応答曲線を図5に示す。図5からわかるように、高い出力電力において勾配が正となっている部分は存在していない。この勾配が負の曲線は、フィードバック・システムにおいて重要であり、図2で示した従来のシステムのように曲線の勾配が正に変わっている場合には、フィードバック・システムは不安定になりうる。
【0017】
本発明の別の実施例を図6に示す。ほとんどの構成要素は前述の図4に関する構成要素とほぼ同様であるので、その説明は繰り返さない。
【0018】
平均化回路601はレジスタ602とコンデンサ603を備えている。二つの直列接続されたインダクタ604、605が使われている。インダクタ604(伝送ラインにもなりうる)はRFにおいて大きなインダクタンスを供給する。インダクタ608とレジスタ609は設置されているコンデンサ607の中に本来備わっている寄生構成要素である。回路の残りの動作は、前に述べたものと同じである。
【0019】
インダクタ605と608はコンデンサ607と協働して、共振回路として働く。インダクタ605はボンディング・パッド606のインダクタンスを表している。コンデンサ607とインダクタ608、605は、回路の共振周波数が入力されたRF信号の周波数とほぼ同じとなるように選択されている。
【0020】
その望ましい周波数では、Q2のコレクタに入る経路が短くなり、それによって計測を乱す歪みが小さくなる。しかしながら、図6の実施例は図4の実施例よりも好ましくはない可能性がある、ということを述べておく。図6に示されているカップリングK23が、図4の実施例ではそのようなカップリングはほとんどなくなるのに対し、図6の方法ではあまりしっかりと低減されないという事実による。カップリングK23を小さくするためには、ワイヤボンドとピンアウトとを互いに離さなければならない。さらにカップリングを減少させるためにはグラウンド・ワイヤボンドおよび/又は、グラウンド・ピンをそれらから離さなければならない。
【0021】
しかしながら、図6の実施例は上記図3に関して論じた二つの誤差源を除去しており、また、図4に示した実施例においては必要であると思われる、構成要素をチップ上に製造することを必要としないという潜在的な利点をもっている。この二つの技術の間での選択すること又は計測トランジスタQ2と並列に短絡回路を実現する他の技術を選択することは、設計者の選択次第である。
【0022】
本発明の好ましい実施例について述べてきたが、様々な他の改善や付加は当業者にとっては、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】負荷に対して電力を送る方法に関する従来技術の回路配置を示す図である。
【図2】図1の回路配置における電位の変化を示す図である。
【図3】図1の回路配置で用いられているトランジスタ装置の固有のダイオードを示す図である。
【図4】本発明の典型的な実施例を示す図である。
【図5】図4の回路配置における電圧の変化の様子を示す図である。
【図6】本発明の別の実施例を示す図である。
Claims (19)
- 負荷に対して電力を供給する第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと並列接続された第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタおよび2のトランジスタに列接続され、所定の周波数範囲で実質的に短絡回路として動作するようにされた短絡素子と、
を備えた装置。 - 前記第1のトランジスタに接続された入力信号源を更に備え、
前記入力信号は前記所定の周波数範囲に存在するものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。 - 前記短絡回路が、コンデンサとインダクタがほぼ前記所定の範囲の周波数で共振するように直列に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
- 前記第1および第2のトランジスタが異なる基板上に存在し、各前記基板は個別の基板上タップにより囲まれていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記第1のトランジスタは第1の基板上に配置されており、前記コンデンサと前記第2のトランジスタは第2の基板上に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記インダクタがワイヤ接続インダクタンスであることを特徴とする請求項5に記載の装置。
- 前記負荷が無線通信装置用の送信機であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
- 前記第1のトランジスタがマッチング・ネットワークに接続されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
- 前記第1のトランジスタがチップ上に作られ、前記マッチング・ネットワークが前記チップ上に作られていないことを特徴とする請求項8に記載の装置。
- 特定の負荷に対する電力を送るための第1のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと並列に接続され、コレクタを有する第2のトランジスタそを備え、前記第2のトランジスタのコレクタは第1のインダクタ、第2のインダクタ、平均化回路の第1の直列接続体と接続され、前記第1と第2のインダクタとは接合点で接続され、この接合点にはレジスタ、コンデンサ、インダクタの第2の直列接続体が接続されたことを特徴とする装置。 - 前記第1のトランジスタが無線周波数(RF)源に接続され、
前記第2の直列接続体とこれに連結された前記第1のインダクタが、前記RF源とほぼ等しい共振周波数を有していることを特徴とする請求項10に記載の装置。 - 前記第1と第2のトランジスタが異なる基板に作られたことを特徴とする、
請求項11に記載の装置 - マッチングネットワークを更に備え、
前記マッチングネットワークが前記第1のトランジスタが設置されている集積回路上に設けられてはいないことを特徴とする請求項11に記載の装置。 - 集積回路を形成するために少なくとも1つの基板上に作られた第1および第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタに並列接続された共振回路とを備え、
前記共振回路はボンディング・パッドから形成されたインダクタを備えたことを特徴とする集積回路構成。 - 前記第1のトランジスタは前記第2のトランジスタとは別の基板上に存在しており、各前記基板は別個の基板タップで囲まれていることを特徴とする請求項14に記載の構成。
- 前記第2のトランジスタと接続された平均化回路を更に備えることを特徴とする請求項14に記載の構成。
- 前記第2のトランジスタがコレクタを備え、平均化回路が前記コレクタに接続されていることを特徴とする請求項16に記載の構成。
- 前記第1のトランジスタが、無線通信装置を備えた負荷を駆動するように配置されていることを特徴とする請求項16に記載の構成。
- 前記第1のトランジスタは、そのベースがコンデンサと一組のバイアス回路の両方に接続されていることを特徴とする請求項18に記載の構成。
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