JP2004530700A - A1アデノシン及びp2xプリン受容体拮抗薬を使用する方法及び製剤 - Google Patents
A1アデノシン及びp2xプリン受容体拮抗薬を使用する方法及び製剤 Download PDFInfo
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Abstract
A1アデノシン受容体拮抗薬及びP2X受容体拮抗薬は、HIV感染、AIDS及びアデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)を含む免疫系疾患の治療に有用である。
Description
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、免疫系疾患の治療及び予防のための方法、特にHIV感染及びAIDSの治療及び予防のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プリン作動性受容体は、P1(アデノシン)受容体及びP2(アデノシン5’トリホスフェート)受容体に分類することができる。アデノシン受容体は、更に、主要なサブクラスA1、A2(A2a及びA2b)及びA3アデノシン受容体にわけて、詳細に記述することができる。これらのサブタイプは、分子構造、放射性配位子結合特性により、また薬理学的活性及び信号トランスダクション機構により区別される。アデノシン、天然産ヌクレオシド、の特定のアデノシン受容体との結合は、アデニル酸シクラーゼ活性の刺激(A2−受容体活性化)又は阻害(A1−受容体活性化)を起こし、細胞内cAMPの増加又は減少をそれぞれ生じる。大抵の組織及び細胞タイプは、A1又はA2受容体又は両方を所有する。特異的A1、A2及びA3アデノシン受容体拮抗薬及び作動薬が公知である。例えば、Trivedi et al.,Structure−Activity Relationships of Adenosine A1 and A2 Receptors,In:Adenosine and Adenosine Receptors,M.Williams,Ed.,Humana Press,Clifton,New Jersey,USA(1990);Jacobson et al.,J.Medicinal Chem.35,407(1992);Fredholm et al.,Pharm.Rev.46,143(1994);Jacobson,Abstracts from Purines‘96,Drug Dev.Res.,March 1996,112頁参照。
【0003】
ATPについての構造類似体の効力特性に基づき、ATP−感応性(P2)プリン受容体は、P2X及びP2Yプリン受容体に下位分類された。少数の例外を除いて、P2X受容体は、血管平滑筋細胞に存在し、血管収縮を仲介するが、他方、P2Y受容体は、一般に内皮細胞に位置し、血管拡張を仲介する。Burnstock and Kennedy,Gen.Pharmacol.16:433(1985;Ralevic et al.,Br.J.Pharmacol.103:1108(1991)。
【0004】
単球及び肺胞マクロファージを含む炎症性細胞は、A1、A2及びA3アデノシン受容体サブタイプを発現する。Eppell et al.,J.Immunology143:4141(1989);Lapin and Whaley,Clin.ExP.Immunol.57:454(1984);Saijadi,et al.,J.Immunol.156:3435(1996)。A1アデノシン受容体が、ヒト単球/マクロファージに存在することは公知である。J.E.Salmon,J.Immunology 151,2775〜2785,1993参照。熟成単球は、骨髄から循環系に入る。幾つかの単球は、組織に進入し、脾臓、リンパ節、肝臓、肺、胸腺、腹膜、神経系、皮膚及び他の組織中で、マクロファージに成長する。単球及びマクロファージの両方が炎症応答で役割を演じ、かつ免疫及び炎症応答に活性である種々の蛋白質を分泌し、この蛋白質は、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(1L−1)を含む。刺激の際に、単球及びマクロファージは、病原体及び正常細胞の両方に有毒である超酸化物アニオン及びH2O2を含む、種々の酸素代謝物を生じうる。A1アデノシン受容体は、ヒトリンパ球及びPMNsにも存在する。
【0005】
A2アデノシン受容体は、ヒトB及びT(OKT4+及びOKT8+)リンパ球、PMNs、単球、好塩基性白血球及び血小板に存在し、その場で、受容体は、PMNによる超酸化物アニオン産出、ヒト好塩基性白血球からのヒスタミン放出及び血小板凝集を阻止する。A2a受容体は、T細胞中で優勢的に発現された、アデノシン受容体のサブタイプとして識別された。インビボのアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損条件下で、A2a受容体は、アデノシン−仲介免疫抑制にかかわりあっていることが、示唆された。M.Koshiba et al.,J.Biol.Chem.272,25881〜25889(1997)。
【0006】
アデノシンデアミナーゼ活性(ADA)がない時のアデノシン及びデオキシアデノシンの蓄積は、リンパ球消耗及び重症複合免疫不全(ADA SCID)をもたらす。アデノシンデアミナーゼ欠損及び重症複合免疫不全の患者は、リンパ球増殖及び抗体合成が著しく損なわれていた。これらの患者は、ATPの増加された細胞内濃度及び血漿アデノシンの高められたレベルを有することも判明している。Schwartz et al.は、重症複合免疫不全及びアデノシンデアミナーゼ欠損における免疫欠陥は、アデノシン受容体−アデニルシクラーゼ経路の過剰刺激と関連する過剰の環状AMP合成から一部起因しうることを、早期に発見した。A.L.Schwartz et al.,Clin. Immunol.Immunopathol.9,499〜505(1978)。他のグループは、アデノシンデアミナーゼは、胸腺細胞中のアデノシンの蓄積を予防できることを確認した。ADA阻害剤で処置されたマウスの胸腺のアデノシンは、30倍以上に上昇し、ADA阻害剤で処置されたマウス中のアデノシン濃度は、インビトロで、アデノシン受容体−仲介胸腺細胞アポプトシスを引き起こすのに十分である。このことは、アデノシン蓄積が、ADA欠損重症複合免疫不全で役割を演じうることを示唆した。R.Resta et al.J.Clin.Invest.99,676〜683(1997)。しかしながら、ADA SCID及び重症免疫不全症(SCID)において、ADA置換処置及び臨床的効果の間に、相互関係は無い。
【0007】
多数の発見に基づき、細胞外アデノシンのこれらの観察された効果は、A2a受容体−仲介シグナリング(signaling)により仲介されるようである。S.Huang et al.,Blood 90,1600〜1610(1997)参照。(細胞表面に結合したADA欠損のために蓄積された)細胞外アデノシンによりプリン作動性受容体を介する異常なシグナリングは、T細胞の細胞消滅を引き起こし、かつ細胞消滅シグナル導入P1受容体を発現する細胞の亜集団を除去することも示唆された。更に、ATPによる胸腺細胞の細胞消滅はCa2+に無関係であり、このことは、P2X受容体の関与を示唆した。S.Apasov et. al.,Immunol.Rev.146,5(1995)。
【0008】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV、以前及び場合によってはリンパ節疾患関連ウイルス、LAV、及びヒト−T−リンパ指向性ウイルス、HLTV、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)関連ウイルス、ARVと呼ばれる)は、一般に、後天性免疫不全症候群又はAIDSを引き起こすと認知される。少なくとも2つのHIVウイルス、HIV−1、HIV−2は、AIDS感染剤として確認された。AIDS患者の血清中のADAイソ酵素レベルは健康な対照より高く、感染細胞のADA活性は、HIV−1感染により促進される。I.Tsuboi,Clin.Diag.Lab.Immunol.2,626,1995。
【0009】
HIVは、OKT8ではなく、CD4(OKT4)抗原を発現するTリンパ球にとり細胞変性である。アデノシン及びHIVの両方が、ヒトT細胞の細胞表面で、CD4抗原の発現を減少させる。HIVゲノムは、ポリアデニル化3’末端を含み、この末端はヒト白血球上のアデノシン受容体に接触しうる。HIVビリオンは、感染のある段階で、細胞表面のアデノシン受容体に接触し得る。ウイルスのその細胞受容体(CD4抗原)への吸着は、間接的にアデノシン受容体を活性化させ、CD4発現の減少をもたらし、これは、アデノシン受容体関連現象とみなされる。そのため、細胞をアデノシンで前処置し、A2受容体の活性化を行うことは、ウイルスが細胞と結合するのに利用できるCD4抗原の発現を減らす。S.Sipka et al.,Acta Biochim.Biophys.,Hung.23,75,1988参照。
【0010】
幾つかのケモカイン受容体は、HIV−1が異なる系統の細胞中に入るための補助受容体として作用することが示されていた。CCR5は、一次単球、マクロファージ、一次T細胞及び梓粒白血球前駆体内で、発現される。CCR5発現の突然変異を備えた個体はHIV−1感染への耐性を示す。cAMPを増加させる薬剤は、単球誘導マクロファージ中のCCR5発現を減少させ、かつM−指向性(M−tropic)HIV−1単離体が、処置細胞に感染する能力を損なう。M.Thivierge et al.,Blood92,40(1998)。
【0011】
HIV感染の全過程の間、組織マクロファージは、独特のウイルス貯蔵所を提供する。これらの細胞では、HIVは、細胞変性がない時は、持続的に複製し、免疫サーベランスを逃れ、かつ細胞対細胞接触を介して蔓延する。マクロファージ中のHIVの永続性は、NF−κBに依存することが示唆された。NF−κBは、ヘテロダイマータンパク質及び転写因子であり、抑制タンパク質lκBにより細胞質ゾル中に固定されている。多数の細胞外刺激による細胞活性化の後、lκBαは、過剰リン酸化事象をうけ、分子が分解しやすくなる。このプロセスは、NF−κBの放出をもたらし、これは、核転移を受け、遺伝子転写を推進する。ヒトマクロファージは、外因性細胞活性化がない時に、核中でNF−κBの構成レベルを発現する。ヒトマクロファージ又は単球中の永続HIV複製は、NF−κB活性を上方制御する。HIV感染細胞中のlκBαの半減期は、非感染細胞中のものと比べて少なくとも50%減じられ、この事実は、HIV感染細胞中のNF−κBの核プールの増加されたレベルと直接に相関する。lκκ複合キナーゼ活性は、選択的に活性化され、HIV感染細胞中の増加されたNF−κB活性化を仲介することが示された。S.Asin,et al.,J.Virology73,3893(1999)参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
HIV感染が単球系統の細胞中のNF−κBの活性化を誘発する機構は、未知のままである。NF−κBのHIVウイルス誘発活性化を阻止する機構を理解することにより、これらの細胞中のウイルス永続性を減じ、かつ感染した患者中のHIV複製の潜在的貯蔵所としてのこれらを除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要約
A1アデノシン受容体拮抗薬及び/又はP2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せを含有する組成物の投与は、免疫系疾患を予防又は抑制できることが判明していた。出願人は、本発明の任意の特別な理論に拘束されることは望まないが、A1アデノシン受容体拮抗薬は、HIVウイルスが細胞中に入るのを予防するか又は遅延させると信じられる。A1アデノシン受容体拮抗薬は、また、単球、マクロファージ及びT細胞中のケモカイン受容体のHIV誘発による上方制御(upregulation)、単球及びマクロファージ中のNF−κBの活性化、脾臓中の核A1アデノシン受容体及び核PKCの活性化及び脾臓中のHIV−1遺伝子発現を予防するように見える。
【0014】
更に、ATPは、単球/マクロファージ用の接触対接触(contact−to−contact)仲介物として働き、ホスフェートドナーとして働くことにより、HIVのこれらの細胞への感染を促進でき、かつP2Xプリン受容体活性化を介して、これらの細胞にHIV用ケモカイン補助受容体を上方制御することができる。
【0015】
前記を考慮して、本発明のある態様は、免疫系疾患の治療を必要とする被検対象に施す治療方法に関する。第二の局面として、本発明は、その治療を必要とする被検対象の免疫系疾患を予防する方法に関する。1つの態様で、該方法は、A1アデノシン受容体拮抗薬を、免疫不全症の治療に有効な量で、被検対象に投与することを含む。他の態様では、方法は、A1アデノシン受容体拮抗薬を、免疫系疾患を予防するのに有効な量で、被検対象に投与することを含む。好ましい態様では、免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の好ましい態様では、免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(adenosine deaminase deficiency-dependent severe combined immunodeficiency, ADA SCID)である。
【0016】
本発明は、P2Xプリン受容体拮抗薬の投与が、免疫系疾患のための治療として有用であることも発見した。従って、本発明のある態様は、免疫系疾患の治療を必要とする被検対象を治療する方法に関し、該方法は、免疫系疾患の治療に有効な量でP2Xプリン受容体拮抗薬を被検対象に投与することを含む。好ましい態様では、免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の利な態様では、免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(ADA SCID)である。
【0017】
本発明は、更に、少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬及び少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬を含む組成物又は化合物の有効量を投与することにより、特定の免疫系の疾患を治療する方法を提供する。本発明のある態様では、投与された化合物は、A1アデノシン受容体拮抗薬及びP2Xプリン受容体拮抗薬の両方である。
【0018】
補足的局面として、本発明は、A1アデノシン受容体拮抗薬及び/又はP2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せを、薬学的に許容可能なキャリアと一緒に含む、免疫疾患の治療のための医薬製剤を提供する。
【0019】
本発明の前記局面及び他の局面は、下記の明細書中で詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面の簡単な説明
発明の詳細な説明
本発明を、本発明の好ましい態様が図示されている添付図に関して記述するつもりである。しかしながら、本発明は、異なる形で実施でき、ここに記載の態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、この開示が充分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるために提供されている。
【0021】
他に定義されていない場合は、本明細書中に使用される技術及び科学用語は全て、本発明が属する分野で通常の技術を持つ者により一般的に理解されるのと同一の意味を有する。明細書中の発明の記述に使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図としない。本発明の明細書及び特許請求の範囲に使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明白にそれ以外を示していない場合は、複数形も含む。本明細書中に記載の、全ての出版物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体に、参考として、組み入れられている。
【0022】
本発明の方法及び製剤(フォーミュレーション、処方物)は、免疫系疾患(即ち、免疫不全)の治療に有用である。免疫不全は、一般に、後天的免疫不全又は遺伝的免疫不全のどちらかに類別される。後天的免疫不全は、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)感染、ヘルペスウイルス感染、エプスタイン−バーウイルス感染、らい腫らい及び火傷患者の皮膚の火傷に起因する免疫能力低下、即ち火傷関連免疫不全を含む。遺伝的免疫不全は、幾つかの遺伝学的に異なる形のSCIDを含む。この異形は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存SCID(ADA SCID)、B細胞含有及び不含の常染色体劣性SCID(ADA欠損無し)、B細胞不含のX連鎖劣性SCID、常染色体劣性SCID(ADA欠損有り)、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ欠損(PNP SCID)、重症複合免疫不全(IL−2受容体欠損(即ち、X連鎖SCID)及び裸(bare)リンパ球症候群を含む。他の免疫不全は、種々の形の先天的又は遺伝的に決定された造血異常、幾つかの高リスク白血病及び幾つかの形の重症の生命を脅かす無形成貧血を含む。本発明の方法及び製剤により治療できる更に他の免疫不全は、ウィスコット・アルドリッチ症候群;ブラックファン−ダイアモンド症候群;ファンコーニ貧血;重症好中球機能障害;小児期の慢性肉芽腫疾病;重症(Kostman−型)顆粒球減少症;軟骨毛髪形成不全の免疫不全及び好中球減少;乳児期及び後期発症の大理石骨病;毒性で化学的、突発性の免疫的及び遺伝的(非ファンコーニ)無形性貧血;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;バーキットリンパ腫及び再発性急性リンパ性白血病を含む。
【0023】
本発明の好ましい態様では、治療される免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の好ましい態様では、治療される免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(ADA SCID)である。
【0024】
A1アデノシン受容体に結合する薬剤は、当業者に公知である。A1アデノシン受容体拮抗薬の最も良く知られたクラスの1つは、キサンチンであり、これは、カフェイン及びテオフィリンを含む。例えば、Mueller et al.,J.Med.Chem.33,2822(1990)参照。多数のA1アデノシン受容体拮抗薬が合成されてきた。例えば、1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン(DPCPX)は、組織中に無視しうる(1%未満)非特異性結合を有する高度に選択性のA1アデノシン受容体拮抗薬である(Jacobson et al.,J.Med.Chem.35:407(1992);Bruns,RF"Adenosine Receptor Binding Assays",Receptor Biochemistry and Methodology,Volume II:Adenosine Receptors,DMF Cooper and C.Londos(Eds.),Alan Liss,Inc.,New York,NY 1988,pp43−62)。A1アデノシン受容体拮抗薬の他の例は、キサンチンアミン同族体(XAC);キサンチンカルボン酸同族体(XCC);1,3−ジプロピル−キサンチン、例えば1,3−ジプロピル−8−(−3−ノルアダマンチル)キサンチン(KW3902)、1,3−ジプロピル−8−(ジシクロプロピルメチル)キサンチン(KF15372)、1,3−ジプロピル−8−[2−(5,6−エポキシ)ノルボニル]キサンチン(ENX)、8−(1−アミノシクロペンチル)−1,3−ジプロピルキサンチン(IRFI117)、1,3−ジプロピル−8−(3−ノルアダマンチル)キサンチン(NAX)及び1,3−ジプロピル−8−(3−オキソシクロペンチル)キサンチン(KFM19);1−プロピル−3−(4−アミノ)−3−フェネチル)−8−シクロペンチルキサンチン(BW−A844U);1,3−ジプロピル−8−スルホフェニルキサンチン(DPSPX);シクロペンチルテオフィリン(CPT)及び7−[2−エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−エチル]−3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−8−(フェニルメチル)−1H−プリン−2,6−ジオン(バミフィリン);N6,9−メチルアデニン、例えば(±)−N6−エンドノルボルナン−2−イル−9−メチルアデニン(N−0861)及び8−(N−メチルイソプロピル)アミノ−N6−(5’−エンドヒドロキシ−エンドノルボルニル)−9−メチルアデニン(WRC−0571);N6,9−二置換アデニン;2−フェニル−7−デアザアデニン、例えば(R)−7,8−ジメチル−2−フェニル−9−(1−フェニルエチル)−7−デアザアデニン;7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−l]プリン−5(4H)−オン;(±)R−1−[(,)−3[2−[フェニルピラゾロ(1,5−a)ピリジン−3−イル]アクリロイル]−2−ピペリジンエタノール;8−アザキサンチン、例えば7−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−8−アザキサンチン;テトラヒドロベンゾチオフェノン、例えばエチル−3−(ベンジルチオ)−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c]チオフェン−1−カルボキシレート;N−6−シクロペンチル−3’−置換キシロフラノシルアデノシンを含むが、これらに限定はされない(Van Calinbergh,J.Med.Chem.40:3765, 1997年11月)。
【0025】
更に、アデノシン受容体拮抗薬の選択類似物が、「官能化された同族体」アプローチにより開発された。官能化鎖を有するアデノシン受容体配位子の類似物が合成され、種々の有機部分、例えばアミン及びペプチドに共有結合した。Jacobson et al.J.Med.Chem.35:408(1992)に、受容体拮抗薬として使用するためのアデノシン及びテオフィリンの種々の誘導体が提案されている。
【0026】
A1アデノシン受容体に選択的に目標を定め、この受容体に結合する,A1アデノシン受容体に対し出現する抗体を、A1アデノシン受容体拮抗薬として使用することもできる。A1アデノシン受容体をターゲットとするそのような抗体は、抗体生産の十分に公知である方法により、ルーチン的に製造することができる。本明細書中に使用されるように、選択的又は特異的に受容体に結合する抗体が、それらの拮抗効果のために使用される場合に、そのような抗体は、用語「A1アデノシン受容体拮抗薬」に包含される。
【0027】
P2Xプリン受容体拮抗薬は、当技術で公知である。選択的P2Xプリン受容体拮抗薬の例は、ピリドキサールホスフェート−6−アゾフェニル−2’,4’−ジスルホン酸(PPADS)である。プリン受容体の追加的な特異的薬学上拮抗薬は、Humphrey et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.352:585(1995);Abracchio and Burnstock,Pharmac.Ther.64:445(1994);Bultmann et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.354:481(1996);及びBultmann et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.354:498(1996)により記載された。選択的にP2Xプリン受容体をターゲットにし、この受容体に結合する、P2Xプリン受容体に対して生じた抗体は、P2Xプリン受容体拮抗薬として使用することもできる。P2Xプリン受容体をターゲットとするそのような抗体は、公知の抗体製造方法により、ルーチン的に製造することができる。明細書中に使用されるように、選択的又は特異的に受容体に結合する抗体が、それらの拮抗効果のために使用される場合に、そのような抗体は、用語「P2Xプリン受容体拮抗薬」に包含される。
【0028】
本発明の化合物は、任意に、遊離塩基の形で提供され、かつ投与されるか又はその薬学的に許容可能な塩の形であってもよい。好適な薬学的に許容可能な塩は、無機酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び硝酸塩;有機酸付加塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えばアスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩及びカルシウム塩;アンモニウム塩;有機塩基性塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩;及び塩基性アミノ酸との塩、例えばリジン塩及びアルギニン塩を含む。
【0029】
本発明は、免疫系の疾患を予防及び治療する方法を提供し、A1アデノシン受容体拮抗薬、P2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せの有効量をそのような治療が必要な被検対象に投与する。A1受容体及びP2Xプリン受容体の両方に拮抗する単一化合物を、本発明の方法で使用することもできる。
【0030】
免疫系疾患を「治療する」又は「治療」という用語により、治療を受けなかった場合と比較して、疾患の重症度又は疾患の症状が減じられるか又は疾患が部分的又は全体に除去されることが意図とされる。治療は、疾患の完全な治癒の達成を要求してはいない。
【0031】
免疫系疾患を「予防する」又は「予防」という用語により、本発明の方法は、治療を受けなかった場合と比較して、疾患の発病率又は発症を除去するか又は減じることを意図とする。言い換えると、本発明方法は、治療を受けなかった場合と比較して、被検対象の疾患の見込み又は可能性を遅くし、遅延させ、制御し、又は減じる。
【0032】
「有効量」は、拮抗剤がない場合に生じる疾患の重症度、発生又は発症を減じるか又は前記拮抗剤のない場合に生じるのと比べて、疾患の進行(時を経て)を遅らせることのできる量である。用語「有効量」は、疾患により生じる病理学的変異に干渉するのに十分である、A1アデノシン受容体拮抗薬、P2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せの濃度でもある。好ましくは、A1アデノシン受容体拮抗薬は、選択的A1アデノシン受容体拮抗薬である。また、好ましくは、P2Xプリン受容体拮抗薬は、選択的P2Xプリン受容体拮抗薬である。
【0033】
その使用が本発明の範囲である、任意の特定化合物の治療に有効な投薬量は、化合物毎に、患者毎に、多少変化し、かつ患者の容態及び供給経路に左右される。一般的目的として、約0.1〜約20mg/体重kgの投薬量が、治療的効力を有し、経口及び/又はエアゾール投与のためには、潜在的に、更に高い投薬量が使用される。より高レベルでの毒性の懸念のため、静脈内投薬量をより低いレベル、例えば約10mg/kgまでに、制限し、全重量は、塩が使用された場合を含み、活性塩基の重量に基づいて計算されている。代表的には、約0.56mg/kg〜約5mg/kgの投薬量が使用される。ある情況下では、より高い又はより低い投薬量が適切なこともある。毎日の用量は、個々の投薬単位又は数個の小さい投薬単位の形での単回用量によるか又は細別された投薬量の一定の間隔での複数回投与により、投与することができる。
【0034】
本発明の方法は、免疫不系全のための他の治療と共に実施してよい。例えば、HIV感染及びAIDSの治療に有用であることが公知の医薬組成物を、本発明のA1拮抗薬又はP2Xプリン受容体拮抗薬と同時に投与することができる。あるいは、HIV感染及びAIDSの治療に有用であることが公知の治療コースを、本発明を利用する治療コースも実施している間に、実施することができる。
【0035】
本発明は、本発明の活性化合物と、それらの1つ以上の薬学的に許容可能なキャリアと、任意な他の治療成分とを含む、家畜病治療及びヒトの医療使用の双方のための医薬製剤も提供する。キャリアは、製剤の他の成分と両立でき(compatible)、レシピエントにはなはだしく有害でないという意味で、薬学的に許容可能でなくてはならない。薬学的に許容可能なキャリアは、生理食塩水、水、デキストロースと水、シクロデキストリン又は類似糖溶液、低用量水酸化ナトリウム溶液、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールを含むが、これらに限定はされない。
【0036】
製剤は、経口、直腸、局所的、経鼻、経眼又は腸管外(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与に好適なものを含む。エアゾール、経口及び腸管外投与に好適な製剤が好ましい。
【0037】
製剤は、単位投薬形で提供されるのが好都合であり、調剤技術で公知の何れかの方法により調製することができる。全ての方法は、活性化合物と、1種以上の補助成分を構成するキャリアとを結合させる段階を含む。一般に、製剤は、活性化合物を液体キャリア、2粉末キャリア又は両者と均一かつ緊密に結合させ、次いで、必要ならば、生成物を所望の製剤に造形する事により調製される。
【0038】
経口投与に好適な本発明の製剤は、別々の単位、例えばカプセル、カシェ剤、錠剤又はロゼンジで提供できる。それぞれ、所定量のインテグラーゼ阻害剤を、粉末又は顆粒として、水性又は非水性液体中の懸濁液、例えばシロップ、エリキシル、エマルジョン又はドラフト(draught)として含有する。
【0039】
錠剤は、任意に補助成分1種以上と一緒に圧縮又は成形して、製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤、崩壊剤、滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と任意に混合された、粉末又は顆粒等の流動状活性化合物を好適な機械で圧縮することにより製造することができる。粉末活性化合物と好適なキャリアとの混合物からなる成形錠剤は、好適な機械で、成形することにより製造することができる。
【0040】
腸管外投与に好適な製剤は、好都合にも、活性化合物の無菌水性調合物を含み、この調合物は、好ましくは、レシピエントの血液と等張であり、ピロゲン不含である。
【0041】
前記成分の他に、本発明の製剤は、更に、希釈剤、緩衝液、矯味剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、濃化剤、滑剤、保存薬(抗酸化薬を含む)等々から選択される補助成分1種以上を含んでよい。
【0042】
本発明の更にもう1つの態様では、本発明の活性化合物を含む注入可能で、安定な無菌組成物が、シール容器中の単位投薬形で提供される。化合物又は塩は、凍結乾燥物の形で提供され、これは、好適な薬学的に許容可能なキャリアで再構成されて、被検対象へ注入するのに好適な液体組成物を形成することができる。単位投薬形は、代表的には、化合物又は塩を約10mg〜約10g含む。化合物又は塩が実質的に水不溶性の場合は、生理学的に許容可能である、十分な量の乳化剤を、水性キャリア中に化合物又は塩を乳化させるのに十分な量で使用すると良い。そのような有用な乳化剤の1つは、ホスファチジルコリンである。
【0043】
更に、本発明は、本発明の化合物のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成する技術は、技術上周知である。化合物が水溶性塩の場合は、慣用のリポソーム技術を使用して、これを脂質小胞中に導入することができる。そのような例では、化合物又は塩の水溶性のために、化合物又は塩は、実質的にリポソームの親水性中心又は核の中にいれられる。使用された脂質層は、任意の慣用の組成物からなり、コレステロールを含有するか、又はコレステロール不含であってよい。当該化合物又は塩が、水不溶性の場合は、再び慣用のリポソーム形成技術を使用して、塩は、リポソームの構造を形成する疎水性の脂質2重層内に、実質的にとりこまれることができる。どちらの場合でも、製造されたリポソームは、標準超音波処理及び均質化技術の使用によって、サイズを減じることができる。
【0044】
以下の例は本発明を説明するために提供されるが、これらに限定されると解釈すべきではない。
【実施例】
【0045】
[例]
以下は本発明の実施例であるが、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、前記クレームにより定義され、それに均等なものも含む。
【0001】
発明の分野
本発明は、免疫系疾患の治療及び予防のための方法、特にHIV感染及びAIDSの治療及び予防のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プリン作動性受容体は、P1(アデノシン)受容体及びP2(アデノシン5’トリホスフェート)受容体に分類することができる。アデノシン受容体は、更に、主要なサブクラスA1、A2(A2a及びA2b)及びA3アデノシン受容体にわけて、詳細に記述することができる。これらのサブタイプは、分子構造、放射性配位子結合特性により、また薬理学的活性及び信号トランスダクション機構により区別される。アデノシン、天然産ヌクレオシド、の特定のアデノシン受容体との結合は、アデニル酸シクラーゼ活性の刺激(A2−受容体活性化)又は阻害(A1−受容体活性化)を起こし、細胞内cAMPの増加又は減少をそれぞれ生じる。大抵の組織及び細胞タイプは、A1又はA2受容体又は両方を所有する。特異的A1、A2及びA3アデノシン受容体拮抗薬及び作動薬が公知である。例えば、Trivedi et al.,Structure−Activity Relationships of Adenosine A1 and A2 Receptors,In:Adenosine and Adenosine Receptors,M.Williams,Ed.,Humana Press,Clifton,New Jersey,USA(1990);Jacobson et al.,J.Medicinal Chem.35,407(1992);Fredholm et al.,Pharm.Rev.46,143(1994);Jacobson,Abstracts from Purines‘96,Drug Dev.Res.,March 1996,112頁参照。
【0003】
ATPについての構造類似体の効力特性に基づき、ATP−感応性(P2)プリン受容体は、P2X及びP2Yプリン受容体に下位分類された。少数の例外を除いて、P2X受容体は、血管平滑筋細胞に存在し、血管収縮を仲介するが、他方、P2Y受容体は、一般に内皮細胞に位置し、血管拡張を仲介する。Burnstock and Kennedy,Gen.Pharmacol.16:433(1985;Ralevic et al.,Br.J.Pharmacol.103:1108(1991)。
【0004】
単球及び肺胞マクロファージを含む炎症性細胞は、A1、A2及びA3アデノシン受容体サブタイプを発現する。Eppell et al.,J.Immunology143:4141(1989);Lapin and Whaley,Clin.ExP.Immunol.57:454(1984);Saijadi,et al.,J.Immunol.156:3435(1996)。A1アデノシン受容体が、ヒト単球/マクロファージに存在することは公知である。J.E.Salmon,J.Immunology 151,2775〜2785,1993参照。熟成単球は、骨髄から循環系に入る。幾つかの単球は、組織に進入し、脾臓、リンパ節、肝臓、肺、胸腺、腹膜、神経系、皮膚及び他の組織中で、マクロファージに成長する。単球及びマクロファージの両方が炎症応答で役割を演じ、かつ免疫及び炎症応答に活性である種々の蛋白質を分泌し、この蛋白質は、腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(1L−1)を含む。刺激の際に、単球及びマクロファージは、病原体及び正常細胞の両方に有毒である超酸化物アニオン及びH2O2を含む、種々の酸素代謝物を生じうる。A1アデノシン受容体は、ヒトリンパ球及びPMNsにも存在する。
【0005】
A2アデノシン受容体は、ヒトB及びT(OKT4+及びOKT8+)リンパ球、PMNs、単球、好塩基性白血球及び血小板に存在し、その場で、受容体は、PMNによる超酸化物アニオン産出、ヒト好塩基性白血球からのヒスタミン放出及び血小板凝集を阻止する。A2a受容体は、T細胞中で優勢的に発現された、アデノシン受容体のサブタイプとして識別された。インビボのアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損条件下で、A2a受容体は、アデノシン−仲介免疫抑制にかかわりあっていることが、示唆された。M.Koshiba et al.,J.Biol.Chem.272,25881〜25889(1997)。
【0006】
アデノシンデアミナーゼ活性(ADA)がない時のアデノシン及びデオキシアデノシンの蓄積は、リンパ球消耗及び重症複合免疫不全(ADA SCID)をもたらす。アデノシンデアミナーゼ欠損及び重症複合免疫不全の患者は、リンパ球増殖及び抗体合成が著しく損なわれていた。これらの患者は、ATPの増加された細胞内濃度及び血漿アデノシンの高められたレベルを有することも判明している。Schwartz et al.は、重症複合免疫不全及びアデノシンデアミナーゼ欠損における免疫欠陥は、アデノシン受容体−アデニルシクラーゼ経路の過剰刺激と関連する過剰の環状AMP合成から一部起因しうることを、早期に発見した。A.L.Schwartz et al.,Clin. Immunol.Immunopathol.9,499〜505(1978)。他のグループは、アデノシンデアミナーゼは、胸腺細胞中のアデノシンの蓄積を予防できることを確認した。ADA阻害剤で処置されたマウスの胸腺のアデノシンは、30倍以上に上昇し、ADA阻害剤で処置されたマウス中のアデノシン濃度は、インビトロで、アデノシン受容体−仲介胸腺細胞アポプトシスを引き起こすのに十分である。このことは、アデノシン蓄積が、ADA欠損重症複合免疫不全で役割を演じうることを示唆した。R.Resta et al.J.Clin.Invest.99,676〜683(1997)。しかしながら、ADA SCID及び重症免疫不全症(SCID)において、ADA置換処置及び臨床的効果の間に、相互関係は無い。
【0007】
多数の発見に基づき、細胞外アデノシンのこれらの観察された効果は、A2a受容体−仲介シグナリング(signaling)により仲介されるようである。S.Huang et al.,Blood 90,1600〜1610(1997)参照。(細胞表面に結合したADA欠損のために蓄積された)細胞外アデノシンによりプリン作動性受容体を介する異常なシグナリングは、T細胞の細胞消滅を引き起こし、かつ細胞消滅シグナル導入P1受容体を発現する細胞の亜集団を除去することも示唆された。更に、ATPによる胸腺細胞の細胞消滅はCa2+に無関係であり、このことは、P2X受容体の関与を示唆した。S.Apasov et. al.,Immunol.Rev.146,5(1995)。
【0008】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV、以前及び場合によってはリンパ節疾患関連ウイルス、LAV、及びヒト−T−リンパ指向性ウイルス、HLTV、及び後天性免疫不全症候群(AIDS)関連ウイルス、ARVと呼ばれる)は、一般に、後天性免疫不全症候群又はAIDSを引き起こすと認知される。少なくとも2つのHIVウイルス、HIV−1、HIV−2は、AIDS感染剤として確認された。AIDS患者の血清中のADAイソ酵素レベルは健康な対照より高く、感染細胞のADA活性は、HIV−1感染により促進される。I.Tsuboi,Clin.Diag.Lab.Immunol.2,626,1995。
【0009】
HIVは、OKT8ではなく、CD4(OKT4)抗原を発現するTリンパ球にとり細胞変性である。アデノシン及びHIVの両方が、ヒトT細胞の細胞表面で、CD4抗原の発現を減少させる。HIVゲノムは、ポリアデニル化3’末端を含み、この末端はヒト白血球上のアデノシン受容体に接触しうる。HIVビリオンは、感染のある段階で、細胞表面のアデノシン受容体に接触し得る。ウイルスのその細胞受容体(CD4抗原)への吸着は、間接的にアデノシン受容体を活性化させ、CD4発現の減少をもたらし、これは、アデノシン受容体関連現象とみなされる。そのため、細胞をアデノシンで前処置し、A2受容体の活性化を行うことは、ウイルスが細胞と結合するのに利用できるCD4抗原の発現を減らす。S.Sipka et al.,Acta Biochim.Biophys.,Hung.23,75,1988参照。
【0010】
幾つかのケモカイン受容体は、HIV−1が異なる系統の細胞中に入るための補助受容体として作用することが示されていた。CCR5は、一次単球、マクロファージ、一次T細胞及び梓粒白血球前駆体内で、発現される。CCR5発現の突然変異を備えた個体はHIV−1感染への耐性を示す。cAMPを増加させる薬剤は、単球誘導マクロファージ中のCCR5発現を減少させ、かつM−指向性(M−tropic)HIV−1単離体が、処置細胞に感染する能力を損なう。M.Thivierge et al.,Blood92,40(1998)。
【0011】
HIV感染の全過程の間、組織マクロファージは、独特のウイルス貯蔵所を提供する。これらの細胞では、HIVは、細胞変性がない時は、持続的に複製し、免疫サーベランスを逃れ、かつ細胞対細胞接触を介して蔓延する。マクロファージ中のHIVの永続性は、NF−κBに依存することが示唆された。NF−κBは、ヘテロダイマータンパク質及び転写因子であり、抑制タンパク質lκBにより細胞質ゾル中に固定されている。多数の細胞外刺激による細胞活性化の後、lκBαは、過剰リン酸化事象をうけ、分子が分解しやすくなる。このプロセスは、NF−κBの放出をもたらし、これは、核転移を受け、遺伝子転写を推進する。ヒトマクロファージは、外因性細胞活性化がない時に、核中でNF−κBの構成レベルを発現する。ヒトマクロファージ又は単球中の永続HIV複製は、NF−κB活性を上方制御する。HIV感染細胞中のlκBαの半減期は、非感染細胞中のものと比べて少なくとも50%減じられ、この事実は、HIV感染細胞中のNF−κBの核プールの増加されたレベルと直接に相関する。lκκ複合キナーゼ活性は、選択的に活性化され、HIV感染細胞中の増加されたNF−κB活性化を仲介することが示された。S.Asin,et al.,J.Virology73,3893(1999)参照。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
HIV感染が単球系統の細胞中のNF−κBの活性化を誘発する機構は、未知のままである。NF−κBのHIVウイルス誘発活性化を阻止する機構を理解することにより、これらの細胞中のウイルス永続性を減じ、かつ感染した患者中のHIV複製の潜在的貯蔵所としてのこれらを除去することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の要約
A1アデノシン受容体拮抗薬及び/又はP2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せを含有する組成物の投与は、免疫系疾患を予防又は抑制できることが判明していた。出願人は、本発明の任意の特別な理論に拘束されることは望まないが、A1アデノシン受容体拮抗薬は、HIVウイルスが細胞中に入るのを予防するか又は遅延させると信じられる。A1アデノシン受容体拮抗薬は、また、単球、マクロファージ及びT細胞中のケモカイン受容体のHIV誘発による上方制御(upregulation)、単球及びマクロファージ中のNF−κBの活性化、脾臓中の核A1アデノシン受容体及び核PKCの活性化及び脾臓中のHIV−1遺伝子発現を予防するように見える。
【0014】
更に、ATPは、単球/マクロファージ用の接触対接触(contact−to−contact)仲介物として働き、ホスフェートドナーとして働くことにより、HIVのこれらの細胞への感染を促進でき、かつP2Xプリン受容体活性化を介して、これらの細胞にHIV用ケモカイン補助受容体を上方制御することができる。
【0015】
前記を考慮して、本発明のある態様は、免疫系疾患の治療を必要とする被検対象に施す治療方法に関する。第二の局面として、本発明は、その治療を必要とする被検対象の免疫系疾患を予防する方法に関する。1つの態様で、該方法は、A1アデノシン受容体拮抗薬を、免疫不全症の治療に有効な量で、被検対象に投与することを含む。他の態様では、方法は、A1アデノシン受容体拮抗薬を、免疫系疾患を予防するのに有効な量で、被検対象に投与することを含む。好ましい態様では、免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の好ましい態様では、免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(adenosine deaminase deficiency-dependent severe combined immunodeficiency, ADA SCID)である。
【0016】
本発明は、P2Xプリン受容体拮抗薬の投与が、免疫系疾患のための治療として有用であることも発見した。従って、本発明のある態様は、免疫系疾患の治療を必要とする被検対象を治療する方法に関し、該方法は、免疫系疾患の治療に有効な量でP2Xプリン受容体拮抗薬を被検対象に投与することを含む。好ましい態様では、免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の利な態様では、免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(ADA SCID)である。
【0017】
本発明は、更に、少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬及び少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬を含む組成物又は化合物の有効量を投与することにより、特定の免疫系の疾患を治療する方法を提供する。本発明のある態様では、投与された化合物は、A1アデノシン受容体拮抗薬及びP2Xプリン受容体拮抗薬の両方である。
【0018】
補足的局面として、本発明は、A1アデノシン受容体拮抗薬及び/又はP2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せを、薬学的に許容可能なキャリアと一緒に含む、免疫疾患の治療のための医薬製剤を提供する。
【0019】
本発明の前記局面及び他の局面は、下記の明細書中で詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面の簡単な説明
発明の詳細な説明
本発明を、本発明の好ましい態様が図示されている添付図に関して記述するつもりである。しかしながら、本発明は、異なる形で実施でき、ここに記載の態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、この開示が充分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるために提供されている。
【0021】
他に定義されていない場合は、本明細書中に使用される技術及び科学用語は全て、本発明が属する分野で通常の技術を持つ者により一般的に理解されるのと同一の意味を有する。明細書中の発明の記述に使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図としない。本発明の明細書及び特許請求の範囲に使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明白にそれ以外を示していない場合は、複数形も含む。本明細書中に記載の、全ての出版物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体に、参考として、組み入れられている。
【0022】
本発明の方法及び製剤(フォーミュレーション、処方物)は、免疫系疾患(即ち、免疫不全)の治療に有用である。免疫不全は、一般に、後天的免疫不全又は遺伝的免疫不全のどちらかに類別される。後天的免疫不全は、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV−1)感染、ヘルペスウイルス感染、エプスタイン−バーウイルス感染、らい腫らい及び火傷患者の皮膚の火傷に起因する免疫能力低下、即ち火傷関連免疫不全を含む。遺伝的免疫不全は、幾つかの遺伝学的に異なる形のSCIDを含む。この異形は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存SCID(ADA SCID)、B細胞含有及び不含の常染色体劣性SCID(ADA欠損無し)、B細胞不含のX連鎖劣性SCID、常染色体劣性SCID(ADA欠損有り)、プリンヌクレオチドホスホリラーゼ欠損(PNP SCID)、重症複合免疫不全(IL−2受容体欠損(即ち、X連鎖SCID)及び裸(bare)リンパ球症候群を含む。他の免疫不全は、種々の形の先天的又は遺伝的に決定された造血異常、幾つかの高リスク白血病及び幾つかの形の重症の生命を脅かす無形成貧血を含む。本発明の方法及び製剤により治療できる更に他の免疫不全は、ウィスコット・アルドリッチ症候群;ブラックファン−ダイアモンド症候群;ファンコーニ貧血;重症好中球機能障害;小児期の慢性肉芽腫疾病;重症(Kostman−型)顆粒球減少症;軟骨毛髪形成不全の免疫不全及び好中球減少;乳児期及び後期発症の大理石骨病;毒性で化学的、突発性の免疫的及び遺伝的(非ファンコーニ)無形性貧血;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;バーキットリンパ腫及び再発性急性リンパ性白血病を含む。
【0023】
本発明の好ましい態様では、治療される免疫系疾患は、HIV感染又はAIDSである。他の好ましい態様では、治療される免疫系疾患は、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症複合免疫不全(ADA SCID)である。
【0024】
A1アデノシン受容体に結合する薬剤は、当業者に公知である。A1アデノシン受容体拮抗薬の最も良く知られたクラスの1つは、キサンチンであり、これは、カフェイン及びテオフィリンを含む。例えば、Mueller et al.,J.Med.Chem.33,2822(1990)参照。多数のA1アデノシン受容体拮抗薬が合成されてきた。例えば、1,3−ジプロピル−8−シクロペンチルキサンチン(DPCPX)は、組織中に無視しうる(1%未満)非特異性結合を有する高度に選択性のA1アデノシン受容体拮抗薬である(Jacobson et al.,J.Med.Chem.35:407(1992);Bruns,RF"Adenosine Receptor Binding Assays",Receptor Biochemistry and Methodology,Volume II:Adenosine Receptors,DMF Cooper and C.Londos(Eds.),Alan Liss,Inc.,New York,NY 1988,pp43−62)。A1アデノシン受容体拮抗薬の他の例は、キサンチンアミン同族体(XAC);キサンチンカルボン酸同族体(XCC);1,3−ジプロピル−キサンチン、例えば1,3−ジプロピル−8−(−3−ノルアダマンチル)キサンチン(KW3902)、1,3−ジプロピル−8−(ジシクロプロピルメチル)キサンチン(KF15372)、1,3−ジプロピル−8−[2−(5,6−エポキシ)ノルボニル]キサンチン(ENX)、8−(1−アミノシクロペンチル)−1,3−ジプロピルキサンチン(IRFI117)、1,3−ジプロピル−8−(3−ノルアダマンチル)キサンチン(NAX)及び1,3−ジプロピル−8−(3−オキソシクロペンチル)キサンチン(KFM19);1−プロピル−3−(4−アミノ)−3−フェネチル)−8−シクロペンチルキサンチン(BW−A844U);1,3−ジプロピル−8−スルホフェニルキサンチン(DPSPX);シクロペンチルテオフィリン(CPT)及び7−[2−エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−エチル]−3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−8−(フェニルメチル)−1H−プリン−2,6−ジオン(バミフィリン);N6,9−メチルアデニン、例えば(±)−N6−エンドノルボルナン−2−イル−9−メチルアデニン(N−0861)及び8−(N−メチルイソプロピル)アミノ−N6−(5’−エンドヒドロキシ−エンドノルボルニル)−9−メチルアデニン(WRC−0571);N6,9−二置換アデニン;2−フェニル−7−デアザアデニン、例えば(R)−7,8−ジメチル−2−フェニル−9−(1−フェニルエチル)−7−デアザアデニン;7,8−ジヒドロ−8−エチル−2−(3−ノルアダマンチル)−4−プロピル−1H−イミダゾ[2,1−l]プリン−5(4H)−オン;(±)R−1−[(,)−3[2−[フェニルピラゾロ(1,5−a)ピリジン−3−イル]アクリロイル]−2−ピペリジンエタノール;8−アザキサンチン、例えば7−シクロペンチル−1,3−ジプロピル−8−アザキサンチン;テトラヒドロベンゾチオフェノン、例えばエチル−3−(ベンジルチオ)−4−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[c]チオフェン−1−カルボキシレート;N−6−シクロペンチル−3’−置換キシロフラノシルアデノシンを含むが、これらに限定はされない(Van Calinbergh,J.Med.Chem.40:3765, 1997年11月)。
【0025】
更に、アデノシン受容体拮抗薬の選択類似物が、「官能化された同族体」アプローチにより開発された。官能化鎖を有するアデノシン受容体配位子の類似物が合成され、種々の有機部分、例えばアミン及びペプチドに共有結合した。Jacobson et al.J.Med.Chem.35:408(1992)に、受容体拮抗薬として使用するためのアデノシン及びテオフィリンの種々の誘導体が提案されている。
【0026】
A1アデノシン受容体に選択的に目標を定め、この受容体に結合する,A1アデノシン受容体に対し出現する抗体を、A1アデノシン受容体拮抗薬として使用することもできる。A1アデノシン受容体をターゲットとするそのような抗体は、抗体生産の十分に公知である方法により、ルーチン的に製造することができる。本明細書中に使用されるように、選択的又は特異的に受容体に結合する抗体が、それらの拮抗効果のために使用される場合に、そのような抗体は、用語「A1アデノシン受容体拮抗薬」に包含される。
【0027】
P2Xプリン受容体拮抗薬は、当技術で公知である。選択的P2Xプリン受容体拮抗薬の例は、ピリドキサールホスフェート−6−アゾフェニル−2’,4’−ジスルホン酸(PPADS)である。プリン受容体の追加的な特異的薬学上拮抗薬は、Humphrey et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.352:585(1995);Abracchio and Burnstock,Pharmac.Ther.64:445(1994);Bultmann et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.354:481(1996);及びBultmann et al.,Naunyn−Schmied.Arch.Pharmacol.354:498(1996)により記載された。選択的にP2Xプリン受容体をターゲットにし、この受容体に結合する、P2Xプリン受容体に対して生じた抗体は、P2Xプリン受容体拮抗薬として使用することもできる。P2Xプリン受容体をターゲットとするそのような抗体は、公知の抗体製造方法により、ルーチン的に製造することができる。明細書中に使用されるように、選択的又は特異的に受容体に結合する抗体が、それらの拮抗効果のために使用される場合に、そのような抗体は、用語「P2Xプリン受容体拮抗薬」に包含される。
【0028】
本発明の化合物は、任意に、遊離塩基の形で提供され、かつ投与されるか又はその薬学的に許容可能な塩の形であってもよい。好適な薬学的に許容可能な塩は、無機酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩及び硝酸塩;有機酸付加塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸との塩、例えばアスパラギン酸塩及びグルタミン酸塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩及びカルシウム塩;アンモニウム塩;有機塩基性塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩及びN,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩;及び塩基性アミノ酸との塩、例えばリジン塩及びアルギニン塩を含む。
【0029】
本発明は、免疫系の疾患を予防及び治療する方法を提供し、A1アデノシン受容体拮抗薬、P2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せの有効量をそのような治療が必要な被検対象に投与する。A1受容体及びP2Xプリン受容体の両方に拮抗する単一化合物を、本発明の方法で使用することもできる。
【0030】
免疫系疾患を「治療する」又は「治療」という用語により、治療を受けなかった場合と比較して、疾患の重症度又は疾患の症状が減じられるか又は疾患が部分的又は全体に除去されることが意図とされる。治療は、疾患の完全な治癒の達成を要求してはいない。
【0031】
免疫系疾患を「予防する」又は「予防」という用語により、本発明の方法は、治療を受けなかった場合と比較して、疾患の発病率又は発症を除去するか又は減じることを意図とする。言い換えると、本発明方法は、治療を受けなかった場合と比較して、被検対象の疾患の見込み又は可能性を遅くし、遅延させ、制御し、又は減じる。
【0032】
「有効量」は、拮抗剤がない場合に生じる疾患の重症度、発生又は発症を減じるか又は前記拮抗剤のない場合に生じるのと比べて、疾患の進行(時を経て)を遅らせることのできる量である。用語「有効量」は、疾患により生じる病理学的変異に干渉するのに十分である、A1アデノシン受容体拮抗薬、P2Xプリン受容体拮抗薬又はこれらの組合せの濃度でもある。好ましくは、A1アデノシン受容体拮抗薬は、選択的A1アデノシン受容体拮抗薬である。また、好ましくは、P2Xプリン受容体拮抗薬は、選択的P2Xプリン受容体拮抗薬である。
【0033】
その使用が本発明の範囲である、任意の特定化合物の治療に有効な投薬量は、化合物毎に、患者毎に、多少変化し、かつ患者の容態及び供給経路に左右される。一般的目的として、約0.1〜約20mg/体重kgの投薬量が、治療的効力を有し、経口及び/又はエアゾール投与のためには、潜在的に、更に高い投薬量が使用される。より高レベルでの毒性の懸念のため、静脈内投薬量をより低いレベル、例えば約10mg/kgまでに、制限し、全重量は、塩が使用された場合を含み、活性塩基の重量に基づいて計算されている。代表的には、約0.56mg/kg〜約5mg/kgの投薬量が使用される。ある情況下では、より高い又はより低い投薬量が適切なこともある。毎日の用量は、個々の投薬単位又は数個の小さい投薬単位の形での単回用量によるか又は細別された投薬量の一定の間隔での複数回投与により、投与することができる。
【0034】
本発明の方法は、免疫不系全のための他の治療と共に実施してよい。例えば、HIV感染及びAIDSの治療に有用であることが公知の医薬組成物を、本発明のA1拮抗薬又はP2Xプリン受容体拮抗薬と同時に投与することができる。あるいは、HIV感染及びAIDSの治療に有用であることが公知の治療コースを、本発明を利用する治療コースも実施している間に、実施することができる。
【0035】
本発明は、本発明の活性化合物と、それらの1つ以上の薬学的に許容可能なキャリアと、任意な他の治療成分とを含む、家畜病治療及びヒトの医療使用の双方のための医薬製剤も提供する。キャリアは、製剤の他の成分と両立でき(compatible)、レシピエントにはなはだしく有害でないという意味で、薬学的に許容可能でなくてはならない。薬学的に許容可能なキャリアは、生理食塩水、水、デキストロースと水、シクロデキストリン又は類似糖溶液、低用量水酸化ナトリウム溶液、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールを含むが、これらに限定はされない。
【0036】
製剤は、経口、直腸、局所的、経鼻、経眼又は腸管外(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与に好適なものを含む。エアゾール、経口及び腸管外投与に好適な製剤が好ましい。
【0037】
製剤は、単位投薬形で提供されるのが好都合であり、調剤技術で公知の何れかの方法により調製することができる。全ての方法は、活性化合物と、1種以上の補助成分を構成するキャリアとを結合させる段階を含む。一般に、製剤は、活性化合物を液体キャリア、2粉末キャリア又は両者と均一かつ緊密に結合させ、次いで、必要ならば、生成物を所望の製剤に造形する事により調製される。
【0038】
経口投与に好適な本発明の製剤は、別々の単位、例えばカプセル、カシェ剤、錠剤又はロゼンジで提供できる。それぞれ、所定量のインテグラーゼ阻害剤を、粉末又は顆粒として、水性又は非水性液体中の懸濁液、例えばシロップ、エリキシル、エマルジョン又はドラフト(draught)として含有する。
【0039】
錠剤は、任意に補助成分1種以上と一緒に圧縮又は成形して、製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤、崩壊剤、滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と任意に混合された、粉末又は顆粒等の流動状活性化合物を好適な機械で圧縮することにより製造することができる。粉末活性化合物と好適なキャリアとの混合物からなる成形錠剤は、好適な機械で、成形することにより製造することができる。
【0040】
腸管外投与に好適な製剤は、好都合にも、活性化合物の無菌水性調合物を含み、この調合物は、好ましくは、レシピエントの血液と等張であり、ピロゲン不含である。
【0041】
前記成分の他に、本発明の製剤は、更に、希釈剤、緩衝液、矯味剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、濃化剤、滑剤、保存薬(抗酸化薬を含む)等々から選択される補助成分1種以上を含んでよい。
【0042】
本発明の更にもう1つの態様では、本発明の活性化合物を含む注入可能で、安定な無菌組成物が、シール容器中の単位投薬形で提供される。化合物又は塩は、凍結乾燥物の形で提供され、これは、好適な薬学的に許容可能なキャリアで再構成されて、被検対象へ注入するのに好適な液体組成物を形成することができる。単位投薬形は、代表的には、化合物又は塩を約10mg〜約10g含む。化合物又は塩が実質的に水不溶性の場合は、生理学的に許容可能である、十分な量の乳化剤を、水性キャリア中に化合物又は塩を乳化させるのに十分な量で使用すると良い。そのような有用な乳化剤の1つは、ホスファチジルコリンである。
【0043】
更に、本発明は、本発明の化合物のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液を形成する技術は、技術上周知である。化合物が水溶性塩の場合は、慣用のリポソーム技術を使用して、これを脂質小胞中に導入することができる。そのような例では、化合物又は塩の水溶性のために、化合物又は塩は、実質的にリポソームの親水性中心又は核の中にいれられる。使用された脂質層は、任意の慣用の組成物からなり、コレステロールを含有するか、又はコレステロール不含であってよい。当該化合物又は塩が、水不溶性の場合は、再び慣用のリポソーム形成技術を使用して、塩は、リポソームの構造を形成する疎水性の脂質2重層内に、実質的にとりこまれることができる。どちらの場合でも、製造されたリポソームは、標準超音波処理及び均質化技術の使用によって、サイズを減じることができる。
【0044】
以下の例は本発明を説明するために提供されるが、これらに限定されると解釈すべきではない。
【実施例】
【0045】
[例]
以下は本発明の実施例であるが、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、前記クレームにより定義され、それに均等なものも含む。
Claims (22)
- 免疫系疾患の治療が必要な被検対象において該免疫系疾患を治療する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、免疫系疾患の治療に有効な量で投与される治療方法。 - 上記免疫系疾患が、HIV感染と、AIDSと、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)とからなる群から選択される請求項1に記載の治療方法。
- 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項1に記載の治療方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項1に記載の治療方法。
- 免疫系疾患の治療を必要とする被検対象において該免疫系疾患の発症を予防又は遅延する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、投与しないと発生するであろう該免疫系疾患の発症を予防又は遅延するのに有効な量で投与される予防又は遅延方法。 - 上記免疫系疾患が、HIV感染と、AIDSと、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)とからなる群から選択される請求項5に記載の予防又は遅延方法。
- 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項5に記載の予防又は遅延方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項5に記載の予防又は遅延方法。
- HIV感染又はAIDSの治療が必要な被検対象において該HIV感染又はAIDSを治療する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、HIV感染又はAIDSの治療に有効な量で投与される治療方法。 - 上記治療が、HIV感染又はAIDSの他の治療と共に実施される請求項9に記載の治療方法。
- 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項9に記載の治療方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項9に記載の治療方法。
- HIV感染又はAIDSの治療を必要とする被検対象において該HIV感染又はAIDSの発症を予防又は遅延する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、投与しないと発生するであろうHIV感染又はAIDSの発症を予防又は遅延するのに有効な量で投与される予防又は遅延方法。 - 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項13に記載の予防又は遅延方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項13に記載の予防又は遅延方法。
- アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)の治療が必要な被検対象において該アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症を治療する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)の治療に有効な量で投与される治療方法。 - 上記治療が、アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)の他の治療と共に実施される請求項16に記載の治療方法。
- 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項16に記載の治療方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項16に記載の方法。
- アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症(ADA SCID)の治療が必要な被検対象において該アデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症の発症を予防又は遅延する方法であって、
(a)A1アデノシン受容体拮抗薬
(b)P2Xプリン受容体拮抗薬、及び
(c)少なくとも1つのA1アデノシン受容体拮抗薬と少なくとも1つのP2Xプリン受容体拮抗薬との組合せ
からなる群から選択される化合物を該被検対象に投与することを含み、該化合物が、投与しないと起きるであろうアデノシンデアミナーゼ欠損依存重症免疫不全症の発症を予防又は遅延するのに有効な量で投与される予防又は遅延方法。 - 上記A1アデノシン受容体拮抗薬が、A1アデノシン受容体に結合する抗体である請求項20に記載の予防又は遅延方法。
- 上記P2Xプリン受容体拮抗薬が、P2Xプリン受容体に結合する抗体である請求項20に記載の予防又は遅延方法。
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