JP2004529644A - 昆虫攻撃ベクターと殺虫剤標的の同定のための使用方法 - Google Patents

昆虫攻撃ベクターと殺虫剤標的の同定のための使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、昆虫及び昆虫細胞系で、転移因子を使用して殺虫剤標的及び殺虫性薬剤を同定する方法を提供する。本発明は、殺虫剤標的同定用の操作した転移因子を提供する。本発明は、さらに、生物学的アレイ、トランスジェニック昆虫系統又は昆虫細胞系のコレクション、完全なコレクションが基本的に昆虫のゲノムの各遺伝子に変異を有するように、昆虫の遺伝子の1つを変異させる少なくとも1つの転移因子を有する各ゲノムを提供する。

Description

【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
農業バイオテクノロジーの分野では、新しい農薬の標的、及び効果的な化合物の開発ための新しい生物に基づいた方法に関する需要がある。一般的に全ての生物体のスクリーニング法を使用する産業の伝統的な化学に基づいた手法には、多くの障害がつきまとっている。この手法では、比較的に緩慢、労働集約的、費用がかかり、各アッセイに必要な多くの化学薬品のためにコンビナトリアル化学ライブラリの多様性を利用することが不可能である。さらに、この手法では、所望される効果、すなわち害虫の死又は障害を引き起こす化合物が作り出されるが、その作用機序が知られていないこともしばしばである。新規の農薬のタンパク質標的を定めることが使用許諾と法的な要求事項を満たすのに重要であるので、この手法は、生物体に対する生化学的及び生理学的効果の研究へのかなりの投資を必要とする。さらには、この産業では、しばしば既存の化合物の改良に焦点が置かれてきたので、幾つかの会社は、同じ作用機序を有する1つ又は多数の化合物を有する。現在では、現在販売されている全ての農薬の3分の2は、2つの分子標的(すなわち、電位依存性ナトリウムチャネル及びアセチルコリンエステラーゼ)の1つのみに作用する。「使用過多の標的」の現象は、標的に対する高淘汰圧、そして最終的には農薬の各関連するクラスと交差耐性となる。カルバメート及び有機リン酸等の既存のクラスの農薬を禁止することは、その需要及び新規の作用機序を有する農薬の開発に関連する独特の経済的機会をさらに際立たせる。
【0002】
最初に発見する適切な遺伝子標的を目的とし、それに続いて、これら標的遺伝子のタンパク質産物を使用して新規の農薬分子を開発するする生物学に基づく手法は、化学に基づく手法に対して幾つかの利点を提供する。既知の作用機序を有する農薬を開発することは、安全で、選択性があり、より効果的な新規の化合物の産生を促進する。広域毒素を除くために、可能性のあるリード化合物をヒト又は有益な昆虫源からクローンニングした同じ標的において直接にカウンタースクリーニングすることが可能である。標的の活性に関して週当たり10と10の間の化合物を試験するために、標的に基づく戦略では、製薬産業で開発されたハイスループットスクリーニングの技術を使用する。ハイスループットアッセイは、迅速そして安価でおこなうことが可能であり、そのスケールによって、コンビナトリアルケミストリーによって与えられる構造の多様性の利用を可能にする。標的を知ることは、より効果的で強力な毒素を選択するために活性化合物の化学類似体をインビトロアッセイで迅速に試験することを可能にする。さらには、標的の特定の構造に固有の分子の多様性は、コンビナトリアルケミストリー及びハイスループットスクリーニングによって利用することができる。
【0003】
転移因子は、重要な配列へ挿入すると遺伝子機能を破壊することが可能なDNAの天然に移動可能な一片である。突然変異誘発のように、転移因子は、破壊された遺伝子の簡便な同定のための分子タグを提供するのに顕著な利点を有する(Bingham PMら., Cell(1981)253: 693-704;Lai C, Genome(1994)37:519-25)。さらには、それらは操作されて非因子DNAを有することが可能であるので、ゲノムへ作用して数々の作用、例えば異所性発現及び染色体再配列を有することが可能である。洗練された転移因子技術は、モデル昆虫であるドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melaogaster) に関して存在し、多くの害虫種について開発されている(例えば、O'Brochta DA及びAtkinson PW, Insect Biochem Mol Biol(1996)26:739-753)。害虫制御にとってのトランスポゾン技術の1つの例示的な応用として、不妊昆虫技術を促進するための操作した転移因子の使用が提唱されている(Thibault STら., Insect Molecular Biology(1999)8:119-123)。
【0004】
本発明は、新規の殺虫剤の開発を促進する手段として転移因子を使用し、それによって、生物学に基づいた、及び化学に基づいた害虫制御戦略の利点を相乗作用させる。
【0005】
(本発明の概要)
本発明は、種々の昆虫及び培養した昆虫細胞に転移因子挿入物を使用することによる殺虫剤の同定に関する方法を提供する。昆虫又は培養昆虫細胞にとって致死的な転移因子挿入物が同定され、それは致死的な挿入物を有する遺伝子の同定につながる。これら致死的遺伝子のタンパク質産物、又はそのオーソログを、次いで、タンパク質産物を特異的に阻害する薬剤のスクリーニングへ使用する。この阻害する薬剤は、殺虫剤として同定される。
本発明の方法は、大規模スクリーニングを施すことができ、それは、多数の殺虫薬剤の同定につながる。本発明の昆虫は、ドロソフィラ又は穀物害虫種であってもよい。同様に、本発明の培養細胞は、ドロソフィラ 、又は穀物害虫種から誘導されてもよい。
【0006】
本発明の好ましい致死的遺伝子は、酵素、可溶性タンパク質、及び膜タンパク質をコードして提供されている。候補殺虫剤の同定に関する種々のスクリーニングアッセイも提供されている。
XP因子を含む種々の操作された転移因子も提供されている。本発明の一実施態様では、転移因子には、スプライス・トラップ配列が含まれる。
本発明は、さらに、生物学的なアレイ、トランスジェニック昆虫系統又は昆虫細胞系のコレクション、昆虫の遺伝子の1つを変異させる少なくとも1つの転移因子を有する各ゲノムを提供し、完全なコレクションは、基本的に昆虫ゲノムの全ての遺伝子に変異を有する。
【0007】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、転移因子挿入物を使用した昆虫の遺伝子の系統的な破壊による殺虫剤標的の発見に関する新規な方法を提供する。表現型は、関連するタンパク質の化学的阻害の代替として機能する破壊遺伝子に起因する。ホモ接合型が、細胞の機能と動物の生存にとって重要な遺伝子を見分けられる場合、変異はその動物にとって致死的である。これらの遺伝子は、たいていは有効な殺虫剤の標的であり、その遺伝子産物と拮抗する化合物は、効果的な殺虫剤の標的であり得る。
【0008】
好ましい実施態様では、本発明は、機能が知られているか、又は既知の遺伝子又はタンパク質と相同性のあるものに基づいて推定することができる潜在的な標的の同定にとって有用である。従って、それは、ゲノム配列に基づいて遺伝子を予想し、既知の遺伝子又はタンパク質と相同性のあるものに基づいて推定上の機能を決めることができる、現在のゲノムシーケンシング及びアノテーション・プロジェクトを補完する。しかしながら、実験データが無い場合、そのような情報は、遺伝子に関する生物体の要求を予測するのには不十分である。本発明の方法によって提供されるデータは、1つの生物体で多くのメンバーを有するファミリーに属する遺伝子にとって特に価値がある。例えば、ドロソフィラ のゲノムは、20の核ホルモンレセプターをコードすると予想されている(Adams Mら., Science(2000)287:2185-2195)。致死的挿入物のデータが無い場合、どれが生存度にとって必要なのかを予想することは、殆ど不可能であろう。
【0009】
一側面では、本発明は、無傷の動物又は培養細胞の何れかで、生存能力に必須なタンパク質であるが故に候補殺虫剤の標的であるタンパク質を同定するために、転移因子に基礎をなす挿入突然変異誘発を使用して昆虫の遺伝子を徹底的に破壊する大規模な努力を含む。本発明は、対応するトランスポザーゼの発現によって宿主ゲノムで転移因子を移動させ、新規の転移因子挿入(「挿入」)を同定する方法を含む。本発明は、さらに、ホモ接合型である場合にどの新しい挿入が動物にとって致死的であるのかを決定すること、破壊された遺伝子を同定すること、殺虫剤の標的としてのそれらの適合性を評価する方法を含む。ここで使用されているように、「殺虫剤」とは、害虫種を死滅させ、麻痺させ、不妊化し、さもなければ無能にする化学的又は生物学的薬剤を指す。従って、ここで使用されている「致死的挿入」は、昆虫種を死滅し、麻痺させ、不妊化し、さもなければ無能にする挿入を含む。ここで使用される「致死的遺伝子」とは、その不活性化によって宿主が死滅し、麻痺し、不妊化し、さもなければ無能になる遺伝子を指す。本発明は、さらに、無傷の動物において、致死的遺伝子のホモ接合的破壊の代替物として機能する、培養昆虫細胞での致死的遺伝子の優性に機能している遺伝子の破壊を起こす方法を含む。
【0010】
遺伝子操作を受け入れやすいどんな昆虫宿主も、転移因子の宿主として機能することができ、研究室のストックで容易に維持されるどんな昆虫宿主も使用することができる。例示的な宿主は、十分な分子データ、遺伝的データ、及び/又は遺伝的手段があるドロソフィラ (他のドロソフィラ 種は、種の命名によって呼ばれている)と以下で呼んでいるドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster) 等のモデル系である。これらは殺虫剤が対象とする標的ではないが、そのデータが農学的に関連しており、実際の害虫に十分に類似している。便宜上、これら情報と手段がない宿主は、「非モデル宿主」と呼ばれている。しかしながら、直接の研究の試みによって、特定の種をモデル系へ開発することは可能であることが知られている。我々は、ドロソフィラ が多くの商業的に成功した殺虫剤に対して敏感であることを見出し、このことは、この種で明かにされた標的が、幅広い無脊椎害虫種の制御に応用可能であろうことを示唆している。他の好ましい宿主は、農業穀物を害し、寄生虫又は疾患ベクターとして機能し、構造、生息地、又は庭を傷つけ、又は衛生上又は美的損傷を起こす害虫種である。これらには、鱗翅目、例えばノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、タバコスズメガ(Manduca sexta)、及びヘリオチス(Heliothis)種、甲虫目、例えばコロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata )、及びトリボリウム(Tribolium)種、半翅目、例えばマイズス(Myzus)種、及び双翅目、例えばハマダラカ(Anopheles)種が含まれる。さらには、これらモデル又は害虫昆虫の培養細胞を使用してもよい。ここで使用しているように、インビボ及びインビトロとは、それぞれ、全生物体及び培養細胞法を指す。「宿主」とは、少なくとも1コピーの攻撃ベクターを有するか有するであろう動物又は細胞、或いは、攻撃ベクターを有するか有するであろう動物又は細胞と基本的には遺伝的に同等である代表的な動物又は細胞を指す。「宿主系」とは、転移因子挿入の致死性が評価される動物又は培養細胞系を指す。
【0011】
ベクターの設計及び構築
ここで使用されているように、「攻撃ベクター」は、移動した転移因子、及び宿主遺伝子を破壊するために宿主ゲノムへ挿入される任意の付随する配列を指す。インビボでの応用のために、攻撃ベクターは、遺伝子転移に必要な転移因子配列の部分を最少に有し、一般的にマーカー遺伝子を有する。インビトロでの応用にために、攻撃ベクターは、可動化に必要な部分を最少に有し、一般的に、マーカー遺伝子と同様に、隣接DNAの異所性発現を指令する配列を有する。
【0012】
攻撃ベクターは、さらに、宿主生物体へ挿入される異なる型の核酸配列を有する。これは、遺伝子の任意の部分、例えば、上流エンハンサー又はプロモーター、5' 又は3' 非翻訳領域、又はイントロン、又はコード化配列、完全長遺伝子又は遺伝子断片のいずれかでコードされた制御因子を含む。一般的に、非コード化配列は、攻撃ベクター又は宿主生物体のゲノムのいずれかの中のコード化配列に作用するか、又は、他のトランスジェニック因子へ作用するか又は応答する。ベクター内に含まれるコード化配列は、レポーター、タンパク質タグ、又は選択系をコードすることができる。ベクター及びその種々の用途に含まれることが可能な配列の記載は、以下に提供されている。
【0013】
転移因子成分
転移因子の選択は、挿入の性質に影響を与える。「トランスポゾン」と相互交換可能に呼ばれるII型転移因子は、特に有用である;それは、RNA中間体無しで転移するので、それは、外来DNA断片を運ぶのに利用することができる(O'Brochta DA及びAtkinson PW, Insect Biochem Molec Biol(1996)26: 739-753)。攻撃ベクターは、通常は、トランスポザーゼを欠くが、「トランソポゾン末端」とも呼ばれている転移に必要な末端配列を保持するように操作されたII型転移因子に由来する。非因子DNA断片を運ぶことができトランスでトランスポザーゼ源によって可動することができ、選択した宿主に挿入することができるどのような転移因子も、攻撃ベクターを操作するために使用することができる。殆どの効率的な転移因子は、宿主ゲノムへ単一のコピーで挿入され、可動化酵素に曝すと高頻度で可動し、好ましくは1000の動物で1、より好ましくは100で1、最も好ましくは10で1である。
【0014】
幾つかの転移因子は、優先的な染色体挿入部位を有する。例えば、ドロソフィラ におけるP因子の可動化は、それぞれ、特にありがちな及び特に希な挿入の「ホットスポット」と「コールドスポット」領域の双方に関連する(Spradling ACら., Genetics(1999)153:135-177)。挿入部位の偏りを有する転移因子の使用は、これら偏りの無い因子が使用されたならば、必要とされるよりも、顕著なゲノム範囲を達成するために、単一挿入のより大きな集団を研究者が作製して分析することを必要とする。本発明によると、ゲノムワイド又は近傍のゲノムワイドな範囲を集約的に示す挿入の集団を作製することが可能なので、最少の挿入部位のバイアスを示す転移因子を使用することが好ましい。
【0015】
この系の重要な側面は、因子の転移を制御する研究者の能力、特に、トランスポザーゼを供給することで可動化を促進すること、及びトランスポザーゼの源を取り除くことによって可動化を防ぐことの双方である。ここで使用されているように、「トランスポジション」とは、宿主ゲノムへの最初の挿入又は「形質転換」、及びその後の切除及び挿入、又は「可動化」の双方を指す。個々のトランスポゾンは、天然トランスポザーゼ(即ち、天然に発生する因子と関連しているトランスポザーゼ)によって、又は、ある環境下では、「クロス-モービリゼーション」を介する他のトランスポゾンのトランスポザーゼによって(O' Brochta DA及びAtkinson PW, 上掲)可動化する可能性がある。道具として操作された転移因子は、通常はトランスポザーゼのシス作用性源を欠いているが、宿主生物体が天然トランスポザーゼ又はクロス-モービリゼーションが可能な他のトランスポザーゼを産するならば、それは、それにもかかわらず可動化に敏感である。この状況は、因子の活性をコントロールするために研究者ができることを少なくするので、どんな与えられた宿主生物体については、最も好ましいトランスポゾン末端は、どんな宿主にコードされているトランスポザーゼによっても可動しない。従って、最も好ましい種特異的トランスポゾンは、対応するトランスポザーゼを欠く幾つかの既存の系統のものである。最も好ましい無差別な(即ち、複数種で活性)トランスポゾンは、単一のキャリア種に由来し、対応するトランスポザーゼが供給された場合のみに、幅広い種を形質転換することが可能なものである。双方の種類の因子の例が、以下に提供されている。
【0016】
本発明の好ましい実施態様では、鱗翅目ヤガ(キャベツルー パー)からの操作されたピギーバック因子を、ドロソフィラ での挿入突然変異誘発、又は害虫昆虫のために使用される。野生型ピギーバック・トランスポゾンの配列は、配列番号:1に提供されている。ピギーバックは、双翅目及び鱗翅目(Toshikiら., Nature Biotechnology(2000) 18:81-84;Handler AM 及びHarrell RAII, Insect Molecular Biology(1999) 8:449-457; Peloquin JJら., Insect Molecular Biology(2000) 9:323-333)を含む、幅広い進化的に多様な昆虫種の転移が可能である。厳密な挿入部位特異性及び正確な切除が、ピギーバック因子を特徴付ける。ピギーバックは、テトラヌクレオチドTTAAへ挿入されて、切除によって標的部位を修復する。さらに以下で論じられているように、これは、研究者が突然変異因子を切り出し、任意のトランスポゾン誘導表現型の反転を予想することを可能にする。我々はピギーバック遺伝子タギング系を開発し、ゲノムピギーバック挿入を有するドロソフィラ 系統の大規模なコレクションを作製した。実施例に示すように、このコレクションの分子及び遺伝的解析は、ピギーバックの挿入及び可動化の特徴の詳細な解析を可能にし、殺虫剤の標的を同定するためのピギーバックの用途を明らかにした。幾つかの応用では、全体でおよそ350塩基対(bp)トランスポゾン末端を使用することができる;ピギーバックの5' 末端は、配列番号:1のヌクレオチド(nt)1-332に一致し、ピギーバック3' 末端は、配列番号:1のnt2126-2480に一致する。あるいは、それぞれ配列番号:1のnt1-105及び配列番号:1のnt2375-2480に一致し、我々が、ドロソフィラ 胚で完全長末端と同じ程度に効率のよい可動を示した、およそ100bp 5' 及び3' トランスポゾン末端を使用した。ピギーバックトランスポゾン末端のより短い部分も、転移を達成するのに効果的であるならば、それは容易に決定でき、そうであるならば、それは、本発明で使用することができる。
【0017】
宿主生物体がドロソフィラ ならば、他の好ましいトランスポゾンはP因子である(Ashburner, Drosophila: A Laboratory Handbook, コールド・スプリング・ハーバー研究所出版, 1989, 1017-1063頁)。P因子は、ドロソフィラ 種のサブセットでのみ転移し、元のキャリアであるドロソフィラ・メラノガスターにおいて、遺伝的手段としてのその主要な用途がある。多くの研究室のドロソフィラ 系統は、内因性P因子及びPトランスポザーゼを欠く。外部から導入された場合、P因子は、通常は〜5-20%、そしてさらに多くの場合は単一の挿入を産し、比較的に高頻度で挿入される。P因子は、遺伝子の5' 末端への強い偏りを示した(Spadlingら, PNAS(1995))。
【0018】
P因子は、ある染色体座及び遺伝子の5' 領域へ偏っているが、遺伝的手段として広く普及した用途、多く存在するP因子のコレクション、そしてそれについての豊富なデータにために、P因子は、いまだ非常に有用である(Spradlingら, 1999)。例えば、多くのP因子のホットスポットは、良く特徴付けられていて、例えば、コレクションからのホットスポットへのそのような挿入を迅速に除去する方法を容易にした(Spradlingら, 1999)。 さらには、以下に記載のように、我々は、致死変異の生成のために最適化されたP(XP)因子を作製した。
【0019】
植物及び昆虫トランスポゾンのhATファミリーのメンバーは、それに代わる好ましい因子である。hoboメンバー因子は、ドロソフィラ で遺伝子ベクターとして使用され、それに起源を持つ。P因子と比較すると、hobo因子は類似の転移速度を有するが、異なる挿入部位の偏りを示す可能性がある(Smith Dら., Genetics (1993)135: 1063-1076)。イエバエ ムスカ・ドメスティカのHermes因子は、ドロソフィラ 及び他の昆虫種で使用し得る(Warren WD, ら, Genetical Research(1994)64: 87-97)。hoboに極めて関連しているHermesは、非因子DNAを有することが可能で、ドロソフィラ・メラノガスターで35%転移率を示す(O' Brochta DAら, Genetics(1996)142:907-14)。hobo及びHermesの双方は、広範囲のジペトラン(dipteran)及びレプチドペトラン(leptidopteran)昆虫で転移する(O' Brochta DA及びAtkinson PW. Insect Biochemistry and Molecular Biology(1996)26: 739-53を検討)。シロイナズ(Arabidopsis thaliana)のTag1であるもう1つのhAT因子は、昆虫での用途について研究中である。
【0020】
複数種での転移にとって好ましい他の因子は、マリナースーパーファミリーに属する(Plasterk RH, Trends in Genetics(1999) 15:326-32)。このファミリーのトランスポゾンは、自然界で最も広がっているDNAトランスポゾンである可能性があり、糸状菌、植物、繊毛虫、及び多くの動物種で見つかっている。これら広範な無脊椎動物種及び培養細胞で転移するこれら因子の能力は、それらを、良く特徴付けられた遺伝的手段をいまだ有しない昆虫及び他の種での転移にとって、特に魅力あるものとしている。ドロソフィラ・モーリタニア(Drosophila mauritania)から単離したマリナー因子は、ドロソフィラ・メラノガスター及びアエデス・アエジプチでの生殖細胞形質転換に使用されており、およそ2.2kbまでの挿入を運ぶことができる。スリーピング・ビューティ、Himar1、 Minos(ミノス)、Tc1及びTc3は、多様な種において転移するマリナーファミリーの他の好ましいメンバーである。
【0021】
マーカー遺伝子
制御配列の他に、転移因子は、通常は転移のためのマーカーを有する。それが宿主ゲノムへの最初の挿入を表示するために、マーカーはインビボでの使用にとって望ましいが、インビトロでの使用では無くてもよいであろう。動物では、マーカーは、さらに遺伝的又はトランスジェニック因子の分離を示し、用量依存性であるならば、転移因子のホモ接合型を示す。転移マーカーは、以下では、「初期マーカー」とも呼ばれる。トランスジェニック動物での確実で容易に得られる表現型の変化を起こすマーカーとしては、あらゆる遺伝子を使用することができ、これは、スクリーニング方法を妨げるものではない。ドロソフィラでは、例えば、好ましいマーカー遺伝子には、目の色に作用するホワイト(white)及びロージー(rosy)が含まれる(マーカーの包括的なリストは、Ashburner, 上掲, 299-418頁に見出すことができる)。他の好ましいマーカーは、非内因性遺伝子である。薬剤耐性に関する遺伝子は、特に、形質転換した個体又は細胞の選択又はレスキューを可能にする(例えば、Pfeifer TAら, Gene(1997)188:183-190)。ルシェフェラーゼ及びβ-ガラクトシダーゼ(lacZ)は、それぞれ発光性及び発色体マーカーであり、種々の固定した組織及び細胞で有用である(Gould SJ 及び Subramani S, Analytical Biochemsitry(1988)175:5-13;O' Kane CJ 及びGehring WJ, PNAS(1987)84:9123-9127)。緑色蛍光タンパク質(GFP)及びグラゲA.victoriaからのその誘導体又は海サンゴからの蛍光タンパク質等の蛍光タンパク質は、特に有用である(Chalfieら, Science(1994)263: 802-805;Miller DM 3rdら, Biotechniques(1999)26: 914-918, 920-921;Matz MVら, Nat Biotechnol(1999) 17:969-973)。それらは、広く活性があり、生きている動物や細胞で検出される。目を有する動物については、Berghammer AJら(Nature(1999)402:370)に記載の系で例示されている、殆どの節足動物の目の組織で活性である人工プロモーターによって駆動する蛍光マーカー遺伝子を含むトランスジェニシスの広いマーカーを使用してもよい。
【0022】
遺伝的及び分子手段
マーカー遺伝子に加えて、攻撃ベクターは、破壊した遺伝子の遺伝的又は分子解析を促進、又は遺伝子破壊に貢献する付加的なDNA配列を有する可能性がある。以下にさらに記載されているように、推定上の致死遺伝子の初期単離は、一般的に、殺虫剤標的としてのその適性をさらに特徴付ける後の実験がその後に続く。時折、挿入の致死性を評価することが、与えられた宿主で特に時間の浪費である場合、発現解析等の破壊遺伝子の「追加」解析が、致死性の評価にともなうか又はそれに先行する。致死挿入を予想することを補助する発現解析を使用するスクリーニングは、実施例で提供する。
【0023】
好ましい配列は、破壊された遺伝子の発現解析を促進する。「エンハンサートラップ」は、新規遺伝子の発現パターンを特徴付けるためのインビボ法である;これは、ドロソフィラで広く使用されており、他の昆虫での使用にも適用することができる得る(O' Kane CJ及びGehring WJ, PNAS (1987)84: 9123-9127;Mollerearu Bら, Mech Dev(2000)93: 151-60)。攻撃ベクターは、最少のプロモーターの下でlacZ又はGFP等のレポーター遺伝子を有している。そのコンストラクトは、それが挿入される領域の制御因子に対して敏感である。結果として、レポター遺伝子活性の検出は組織型と内因性遺伝子活性のタイミングを反映する。2成分バリエーションでは、攻撃ベクターは、酵母GAL4等の転写アクチベーターを有し、二番目のトランスジェニックコンストラクトは、与えられた転写アクチベーターへ応答する制御配列のコントロール下のレポーター遺伝子を有する(Brand AH及びPerrimon N, Development (1993) 118: 401-415)。レポター遺伝子が内因性の背制御因子に近接する傾向にあるので、遺伝子の5' 領域に優先的に挿入されるP因子等のトランスポゾンは、エンハンサートラッピングにとって特に有用である。
【0024】
エンハンサートラップは、トランスポゾン挿入を介して内因性遺伝子のエンハンサーとプロモーターの間に挿入された場合に、対応するプロモーターから遺伝子のエンハンサー配列の活性を分離する機能を果たし、ドロソフィラのGypsy su(Hw)部位によって例示されるインスレーター配列をさらに含んでもよい(Roseman RRら, Genetics(1995)141: 1061-1074)。
【0025】
代わりの好ましい配列は、挿入された遺伝子の適切な転写を破壊するように意図されている「遺伝子トラップ」系をコードする。イントロンへ挿入されると、遺伝子トラップは機能的であり、通常は、破壊された遺伝子に関する発現情報をさらに提供するように設計されている。種々の遺伝子トラップ系が記載されてきた(Brennan J及びSkarnes WC, Methods Mol Biol (1999)97: 123-138;Zambrowicz BP及びFriedrich GA, Int J Dev Biol (1998) 42: 1025-1036;Gossler, A及びZachgo J, in Gene Targeting:A Practical Approach(編 Joyner AL),オックスフォード大学出版局, ニューヨーク181-227頁)。遺伝子トラップベクターは、通常はスプライシングのアクセプター配列を有し、これにプロモーターのないレポター遺伝子が続く。転写単位へのベクターの一体化は、内因性遺伝子とレポター遺伝子の間の融合、上流の内因性転写物の未成熟終結、そして内因性遺伝子のパターンでのレポーター遺伝子発現を引き起こす。遺伝子トラップ配列は、ピギーバックのような頻繁にイントロンへ挿入されるトランスポゾンに特に価値があるであろう;スプライシングアクセプター配列がないと、イントロン挿入は、それが必須遺伝子内であっても、たいていは最終転写物からスプライスアウトされる。
【0026】
「プロモータートラップ」配列も含めてもよい。プロモータートラップベクターは、遺伝子のエクソンでの挿入の後に活性化され、スプライシングが無くとも内因性転写物を直接に破壊する、プロモーターのないレポター遺伝子で構成される(Gossler及びZachgo, 上掲;Zambrowicz, 上掲)。
多くの遺伝子トラップ系が哺乳動物細胞のために設計されているが、あるP因子は、イントロンへの挿入と内因性転写物の未成熟終結を起こした融合転写物の生成によって、異常なスプライシング効果を生み出した(Horowitz H及びBerg CA, Genetics(1995) 139: 327-335;Goodwin SFら, Genetics(2000)154:725-745)。ドロソフィラ遺伝子トラップ系が報告されている(Lukacscovich Tら, Genetics(2001)157:727-742)。スプライシングトラップ配列が、さらに以下に記載されている。
【0027】
攻撃ベクターの構築
攻撃ベクターを含むDNA断片は、通常は、細菌細胞とDNA試薬の生成のためのプラスミドベクターへ挿入される。転写因子の全ての成分及びベクター骨格は、標準的な分子生物学手法を使用して作製してアセンブリする(Sambrookら, Molecular Cloning, コールド・スプリング・ハーバー, 1989)。攻撃ベクターを含むさらなる因子では、このプラスミドは、細菌細胞での複製に必要な全ての材料を含まなければならない。ある適切なプラスミド骨格は、PBR322、pUCプラスミド誘導体、ブルースクリプト・ベクター(ストラタジーン, サンディエゴ, カリフォルニア)である。1つの好ましい実施態様では、転移因子は、攻撃ベクター、特に細菌複製開始点及び薬剤耐性マーカーを有するプラスミドの複製を可能にする配列も有する。これらの配列は、破壊した遺伝子を同定する分子タグを得るための簡便な技術であるプラスミドレスキューを可能にする(Hamiltonら, PNAS (1991)88:2731-2735)。あるいは、攻撃ベクターを、バクテリオファージ・ラムダ誘導体又はコスミド等の他の任意の適切なクローニングベクターへ挿入することが可能である。
【0028】
致死的挿入の作製のために最適化された転移因子
本発明は、インビボでの使用及び挿入によって致死変異を作製するために最適化される新規攻撃ベクターを提供する。
【0029】
XP転移因子
1つの好ましい実施態様では、転移因子は、「XP因子」と呼ばれ、P因子、特に5' 領域への挿入によるドロソフィラ遺伝子の過剰発現のために操作された「EP因子」から誘導される。このEPベクターは改良したpCaSpeR4形質転換ベクター(GI551448)であって、Gypsy su(Hw)部位、プラスミドレスキュー配列、GAGA-UASエンハンサー、及びhsp70プロモーターが、ポリリンカー、ミニホワイト(mini-white)遺伝子の5' 末端と3' P末端の間に挿入されている(Rorth P, Proc. Natl. Acad. Sci(1996)93: 12418-12422)。GAL4転写アクチベーターの存在下では、UASカセットは、隣接ゲノム配列の過剰発現を駆動する。
【0030】
設計及び隣接遺伝子をより効率的にミス発現させるため、5' 挿入により遺伝子の転写を破壊するため、そしてドロソフィラ宿主のゲノムでよりランダムに挿入させるための用途の双方において、XP因子をさらに最適化した。XP因子は、5' 末端の近くで反対の位置に向くように「UASカセット」(即ち、Rorth, 1996, 上掲に記載のようなGAGA-UAS-hsp70)を含み、挿入した因子の両側で配列の過剰発現を駆動する。致死遺伝子の同定の後、その遺伝子の正常な機能を特徴付けることを促進するために、過剰発現解析を使用することが可能である。二番目のカセットは、FLPリコンビナーゼがXP宿主で発現した場合に、二番目のカセットの欠失を促進する直接繰り返しFRT組み換え配列に隣接する(Golic KG, Genetics (1994) 137:551-63)。これら組み換え配列により、研究者は、FLPを導入して発現させることによって、特に1つのUASカセットを除き、よって誤発現のどの方向(即ち、トランスポゾンのどの側)が対象となる表現型の原因であるのかを決定することが可能となる。例示的なXP配列は、配列番号:2に提供されている。XP因子が常にwミニ遺伝子(minigene)、Su(Hw)インスレーター配列、及び2つのUASカセットを保持する一方で、その中の1つはFRTリピートに隣接し、種々の他の改良が可能である。直接繰り返しFRT因子はどの方向でもよく、それらは、分子間又は分子内組み換えのどちらかを媒介する「長い」リピート(GI172190、ヌクレオチド(nt)3887-4052)、又は、分子内組み換えのみを媒介する「短い」繰り返し(GI172190, nt676-723)のいずれでもよい。さらには、FRT因子は、UASカセットとともに、ミニw(mini-w)マーカー遺伝子に隣接してもよい。プラスミドレスキュー配列は、含まれても、含まれなくともよい。
【0031】
我々は、XP因子の有用性に関する新規なデータを提供する、ドロソフィラのおよそ9600の独特なXP挿入ストックのコレクションを作製した。EP因子のように、XP因子は、UAS配列がマーカー遺伝子又はP末端のP因子プロモーター配列に作用することを防ぐGypsy su(Hw)「インスレーター配列」を有する(Rorth P, 上掲; Roseman RRら, Genetics (1995) 141: 1061-1074)。XPコレクションの解析を通して、我々は、それは、おそらくは挿入した遺伝子のエンハンサーとプロモーター因子を分離することによって、インスレーター配列がさらにsu(Hw)含有因子の突然変異誘発能を高めてノックアウトアレルを作製するという、この転移因子の重要な利点を発見した。コレクションの生成については、我々は、雌の生殖細胞でXP因子を移動した。対照的に、P因子ベクターは、伝統的に雄生殖細胞で移動し、EP因子は、雄と雌の生殖細胞の双方で移動した。XPコレクションの解析は、この因子がEPよりも偏りの低い挿入プロファイルを示し、それによって、本発明の方法におけるその有用性をさらに高めることを示した。
【0032】
スプライシングトラップ
イントロンへ挿入されると、正常なスプライシングを破壊し、未成熟な転写終結を起こすスプライシングトラップトランスポゾンは、他の挿入突然変異原よりも、より効率的に遺伝子のノックアウトを生成する。それらは、イントロン挿入にとって特に有用である。それらは、そうでなければ、最終遺伝子転写物から頻繁にスプライシングアウトするので、必須遺伝子内にあっても宿主を無能にしない。
【0033】
スプライシングトラップ配列は、その後に終結コドンとポリアデニル化部位が続く、最小限度のスプライシングアクセプター(SA)部位を含む。これらの配列は、単一のエクソンによってコードされる可能性がある。ここで使用されているように、「ST3' エクソン」とは、スプライシングアクセプター及び翻訳終結コドン、単一のエクソンが全てのスプライシングトラッピング配列を有するならば、ポリアデニル化部位を含むエクソンを指す。ここで使用されているように、「スプライシングトラッピング」及び「ミス-スプライシング」とは、内因性転写単位が、内因性の下流エクソンよりもトランスポゾン-導入ST3' エクソンを優先的に利用する、異常なスプライシングを指す。この結果として生じたキメラmRNAは、ST3' エクソンと融合した転写単位に対して内因性である、1つ又はそれより多く5' エクソンで構成されている。この事象は、翻訳の未成熟終結と新しいポリアデニル化部位でのプロセッシングを起こし、トランスポゾンの下流をコードした遺伝子の部分は発現しない。
【0034】
好ましい実施態様では、本発明のスプライシングトラッピングピギーバック(piggy Bac)トランスポゾンは、ドロソフィラのP因子と比較して、イントロンへより挿入しやすく、特定のゲノム領域への顕著に低い偏りを示す、ピギーバック(piggy Bac)転移因子を利用する。その他の好ましい実施態様では、それは、2つのST3'エクソンカセットを有し、その1つは、スプライシングトラッピングが、変異遺伝子に対するピギーバック(piggy Bac)挿入の方向に依存しないように各方向にある。ここで使用されているように、スプライシングトラップ因子の方向は、ST3' エクソンが起源を持つ遺伝子の転写の正常な方向を指す。ここで使用されているように、遺伝子の「末端エクソン」は、内因性遺伝子の最も3' にあるエクソンを指す。このST3' エクソンは、一般的に宿主系の内因性遺伝子の末端エクソンを含む。さらに以下に記載のように、好ましいST3' エクソンは、一般的に、翻訳末端コドンとポリアデニル化シグナルの双方を含む末端エクソンに由来する。しかしながら、ST3' エクソンは他のエクソンに由来するか、又は合成することが可能である。
【0035】
スプライシングトラップトランスポゾンの構築における重要な考慮すべき事柄は、3' 末端エクソンの選択である(即ち、「ST3' エクソン」)。以下は、スプライシングトラップトランスポゾンにとって好ましい基準である;これらの基準は、ドロソフィラのスプライシングトラップトランスポゾンの設計に基づいている。
ドロソフィラ:
1.正常な位置にあるST3' エクソンは、大きなイントロン(>1kb)によって分離されるはずである。ドロソフィラには、大きなイントロンよりもスプライシングに異なる必要条件を有する多くの小さなイントロン(<70nt)がある(Guo M 及び Mount SM, J Mol Biol (1995)253: 426-437)。このような小さなイントロンが先行している3' エクソンは、候補「スプライシングトラップ」を良いものにしない。ピギーバック(piggy Bac)コレクションのデータは、ピギーバックがたいていは大きなイントロン(>10kb)に挿入される。従って、好ましいST3' エクソンは、理想的には、それに先行する非常に大きなイントロンをも有する。
2.ST3' エクソンは、その内因性上流5' スプライシング部位(5'-ss)、その下流3' スプライシング部位(3'-ss)、そのブランチ・コンセンサス、及び3'-ssのピリミジン高含有領域で良いコンセンサス配列を有する。それは、良いコンセンサスAAUAAAポリアデニル化シグナル配列、及びピリミジンストレッチを持つ3' 末端下流配列をも有する(Guo M ら, Mol Biol (1993)13(2):1104-1118)。
3.3つ全てのリーディングフレームでのアミノ酸コード化能力は、2つの理由によって好まれている。第1には、これが、変異遺伝子のタグ融合タンパク質発現の同定及び特徴付けのために、各可能性のあるリーディングフレームへのC末端エピトープタグの付加を可能にする。2番目に、エクソンのコード化潜在能力がスプライシング増強に関連していることが、証拠によって示唆さている(Schaal TD 及び Maniatis T, Mol Cell Biol (1999) 19:261-273)。より長いリーディングフレームがさらに好まれる(下を参照のこと)。
4.よく特徴付けられている3' 末端が好まれる。特徴付けられてきた多くの遺伝子の転写物は、それら3' 末端の分子的特徴を欠いている。スプライシングトラッピングは機能性ポリアデニル化部位を必要とするので、自然界で使用される3' 末端を有する3' 末端エクソン−cDNA含有ポリ(A)テールが同定されて特徴付けられ、よってボーンファイド3' 末端を有するものが好まれる。
5.ピギーバック(piggy Bac)トランスポゾンが使用される場合、理想的には、1kbより小さなものが好まれる。トランスポゾンの可動化の頻度は、一般的にトランスポゾンの大きさによって高まるので、トランスポゾン因子の全体の大きさ、よって、可動化を最大化するためにST3'エクソンのサイズをを最小化することが好ましい。
6.殆ど、好ましくは発生中の全ての組織でミススプライシングを促進するために、ST3' エクソンは、最少の組織特異的及び一時的制御を示すはずである。
【0036】
効率的なスプライシングトラッピングのためには、外来性ST3' エクソンは、破壊された転写単位の内因性下流スプライシングアクセプターとスプライシングを効率的に競うはずである。スプライシングトラップ配列の効率を評価するのに、幾つかの手法を使用することができる。1例では、スプライシングトラップトランスポゾンを、一過性細胞又は胚アッセイで試験する。典型的には、スプライシングトラッピング転移因子が試験遺伝子のイントロン内で挿入されたように、プラスミドコンストラクトが操作される。このプラスミドは、宿主種に由来する培養細胞又は宿主胚へ導入される。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して、前記試験遺伝子とST3' エクソンの間の融合転写産物を検出し、それによって、スプライシングトラッピングエクソンがどんなに効率的にミス-スプライシングを促進するのかを確かめる。
【0037】
あるいは、スプライストラッピングトランスポゾンは、標準的な遺伝学技術により複数の独立したゲノム挿入系列を生成することによって、宿主動物で試験することができる。例示的な方法は、FRT配列、隣接スプライシングトラップ配列等の組み換えの基質で操作したトランスポゾンを使用する。スプライシングトラップトランスポゾンが生存にとって必須である遺伝子のイントロンへ挿入された動物を、即ちスプライシングトラッピングエクソンである組み換え配列の間に位置するDNA配列の除去を触媒するFLP等の適切なリコンビナーゼを発現する動物と交配させる。スプライシングトラップ配列の除去による致死表現型の反転は、スプライシングトラッピングが致死表現型の原因であるという証拠を提供する。あるいは、スプライシングトラップ配列の単一カセットによるトランスポゾンは、両方向で、必須遺伝子の同じイントロンに複数の挿入がある場合は、効率的なミス-スプライシングを示すのに使用することができる。機能的な方向(即ち、スプライシングトラップ配列がミス-スプライシングを起こすことが期待される方向にある)と致死性の間の相関は、ミス-スプライシングが起こり、それが致死性の原因である証拠を提供する。さらにその他の例では、トランスポゾンコードスプライシングアクセプターへのスプライシングが起こるか否かを確かめるために、RT-PCRをイントロンの挿入を有するラインのサブセットからおこなう。
【0038】
改良スプライシングトラップトランスポゾンは、組織及び破壊された遺伝子の一時特異的発現をモニターする効率的な手段を提供する。1つの実施態様では、ST3' エクソンは、最初の終結コドンとポリアデニル化シグナルに先行する3つの翻訳フレームにエピトープタグ(業業的に入手可能な抗体で認識される小さなストレッチのアミノ酸)を有する。例えば、3つのリーディングフレームでmycエピトープタグをコードし、終止コドンを持たない合成エクソンが記載されてきた(Smith DJ, Biotechniques(1997)23: 116-120)。その結果として得られた切断タンパク質は、内因性タンパク質の空間的及び一時的発現パターンの免疫組織学的視覚化を可能にする、そのC末端と融合したエピトープタグを有する。このスプライシングトラップ/タギングトランスポゾンは、翻訳開始コドンの下流で起こるイントロン性挿入にとって特に有用であり、ST3'エクソンがエピトープタグが操作される幾つかのコード化配列を含むことを必要とする。挿入が任意のタンパク質ローカリゼーションシグナルの下流で起こるならば、融合タンパク質はこれらのシグナルを有し、タンパク質の細胞内小器官でのローカリゼーションも検出できる可能性がある。
【0039】
エピトープタグに代わって、ST3' エクソンは、GFP、他の蛍光タンパク質、又はベータ-ガラクトシダーゼ等の、内因性遺伝子産物の空間的及び一時的発現パターンを直接に視覚化することが可能なレポーター遺伝子をコードしてもい。より好ましくは、それは、GAL4等の、2番目の導入遺伝子でGFP等のレポーター遺伝子を作動させる転写アクチベーターをコードしてもい。レポーター遺伝子の発現は、内因性転写単位の発現(即ち、転写)を反映し、それによって、その空間的及び一時的発現に関する情報を提供する。この2つの成分系は、低又は検出可能ではないレベルの遺伝子発現を増幅する能力という利点を有する。転写アクチベーターの活性を増幅させるために、前記の2番目の導入遺伝子を、応答因子又はプロモーター配列の複数コピーにより操作可能である。ST3' エクソンがレポーター遺伝子又は転写アクチベーターをコードするならば、レポーター遺伝子の検出は、内因性遺伝子へのインフレーム融合に依存する。3つのフレームでレポーター又は転写アクチベーターをコードする3つの転移因子は、好ましくは、ゲノムの範囲を最大にするのに使用される。
【0040】
遺伝子発現情報を提供するスプライシングトラップのその他の好ましい改良では、スプライシングトラップ配列は、2つのエクソンを有する。一番目は、3つのフレームに終止コドンを有するが、ポリアデニル化シグナルを欠く改良ST3' エクソンである。2番目のエクソンは、上記のように、コンセンサス翻訳開始配列(Kozak)及び3' ポリアデニル化シグナルが隣接する、レポーター又は転写アクチベーターの完全コード化配列を有する。2つのエクソンは、2番目のエクソンで配列の翻訳の再開始を指示する、リボソーム 内 部 進 入 部 位(IRES)配列によって分離されている。好ましいIRES配列は、与えられた宿主の最少組織又は一時特異的制御に従っている。例示的なIRES配列は、ピコルナウイルス(Kim DGら, Mol Cell Biol(1992) 12:3636-3643;Chowdhury Kら, Nucleic Acids Res(1997) 25:1531-1536)、ヒトBiP(Yang Q及びSarnow P, Nucleic Acids Res(1997)25: 2800-2807)、マウスGtx(Chappell SAら, Proc. Natl Acad Sci USA(2000)97: 1536-1541)及びドロソフィラUbx及びAntp(Ye Xら, Mol Cell Biol (1997)17:1714-1721)に由来する。この改良は、レポーター遺伝子と内因性遺伝子の間の機能的融合を必要とする任意の系に固有に備わっている非効率性とともに、翻訳開始コドンの下流で挿入が起こるための必要条件を取り除く。
【0041】
宿主ゲノムへのトランスポゾンの導入
攻撃ベクターは、その一体化及び子孫の動物又は細胞への安定な伝達を可能にする任意の便宜的な方法によって、標的ゲノムへ導入することができる。「生殖細胞形質転換」とは、昆虫宿主生殖細胞への因子の安定な導入を指す;インビトロでの使用については、「形質転換」は、宿主培養細胞のゲノムへの因子の安定な組み込みを指す。典型的には、宿主生物体が昆虫ならば、攻撃ベクターを含むDNAコンストラクトは、インジェクションによって導入される。宿主が、例えばドロソフィラであるならば、好ましい方法は、発生中の生殖細胞に近接しているプレ胚盤葉胚へのインジェクションである(Ashburner, 上掲, 1017-1063頁)。DNAコンストラクトは、過度的にトランスポザーゼの源を供給するが、宿主ゲノムへ組み込まれない「ヘルパープラスミド」、又はトランスポザーゼタンパク質又はキャップmRNAのいずれかで注入が可能であり、又、初期転移に必要なトランスポザーゼを産するトランスジェニック宿主へ注入することが可能である。好ましくは、宿主がトランスポザーゼ源を産するならば、それは、遺伝的マーカーと関連してそれの後の除去を促進する。
【0042】
スクリーニング方法
転移因子を可動させ、新規の挿入を検出し、そしてこれら挿入が致死的であるのか否かを評価する方法は、宿主生物体又は細胞及び前記宿主に利用される手段に依存する。どんな宿主系にとっても、以下の基準を満たさなければならない:攻撃ベクターは、宿主ゲノムの中で効率的に可動する。新規の挿入を親の挿入から見分ける方法がある。新しい挿入は、再生するストックに安定に維持される。各新しい挿入が宿主細胞又は生物体にとって致死的かどうかを確かめる方法がある。殆どの効率的方法は、新規の致死的挿入を検出して回収する速度と効率を最大にする。
【0043】
インビボスクリーニング
スクリーニングは、効率的な遺伝的手段が存在するドロソフィラ等の宿主で最も容易におこなわれる。重要な手段は頑丈なマーカー遺伝子及びバランサー染色体であり、それらは、ホモログ間の減数***組み換えを抑制する1つ又は複数のインバージョンを有し、通常は、その簡単な欠失によって交配スキームが促進されるマーカーを含み、そして通常は、それ自体がホモ接合で致死的である。「バランスストック」とは、対象の遺伝子がバランサー染色体に対してイン・トランスであるストックを指し、変異を有する染色体又は染色体領域にそって減数***組み換えを抑制する。これらの手段は、研究者が新規の挿入を有する動物を同定し、これら新しい挿入の染色***置を追い、安定なストックに挿入を維持し、そして、個々の挿入がホモ接合的に致死的なのか否かを評価することを可能にする。
【0044】
同じ原理が非モデル宿主に適用される。しかしながら、新規挿入をマッピングし、ストックを維持する方法は、一般的に、内因性マーカーとは逆に、挿入に基づく遺伝子多型を検出するために、PCR等の分子法に頼るか又は使用する。
【0045】
昆虫での攻撃ベクターの可動化に関する実験法は、典型的には、限られた数の受容生物体への生殖細胞の形質転換、及び異なる染色体遺伝子座に個々の挿入を生じる多くの子孫を生じる、その後の生殖細胞可動化を含む。新しい染色体遺伝子座へ因子を分散させるためには、遺伝的交配は、典型的には攻撃ベクターとトランスポザーゼの源を一緒にし、両因子を有する動物の生殖細胞での因子の可動化を起こす。ドロソフィラでの使用については、例えば、P因子又はピギーバック(piggy Bac)トランスポザーゼを有するように、良く特徴付けられた系統が存在する。デルタ2-3導入遺伝子は、P因子トランスポザーゼの組み込まれた安定な源を提供する(Robertson HMら., Genetics (1998) 118:461-70)。我々は、「P[a-tub:pBac]」と呼ばれるドロソフィラ・アルファ1-チューブリン5' UTR(P1 DS00464のヌクレオチド45898-46694、gi3293209;gi58730に記載のα1-チューブリン)及びK103' UTR(コスミド30B8のヌクレオチド21925-23645、gi3928153;gi8148に記載のK10遺伝子)の制御下でピギーバック(piggy Bac)トランスポザーゼ(配列番号:1のnt334-2451に含まれる;オープン リーディング フレームが、配列番号:1のnt334-2122と一致)の完全構成型源を作製した。あるいは、攻撃ベクターを有する動物は、例えば熱ショックプロモーターの制御下でトランスポザーゼの制御型を有し、新しい挿入を生み出すその子孫ではなく、親宿主で攻撃ベクターを可動化することができる。
【0046】
宿主動物の生殖細胞の形質転換の後、遺伝的に特徴付けられた染色***置に攻撃ベクターを有する1つ又は少しの昆虫系統を、親宿主として選択した;その攻撃ベクターは、それら生殖細胞でさらに可動化される。親宿主の選択は、どのように新規の挿入を有する子孫が選択されるのかの重要な決定因子である。ドロソフィラでの好ましい応用では、攻撃ベクターは、最初に著しく目立つバランサー染色体へ形質転換される。バランサー染色体に関連するものからの初期マーカーの分離によって、新規挿入を有する子孫が同定する。あるいは、バランサー染色体が存在しないタバコスズメガ(Manduca sexta)等の宿主では、攻撃ベクターは伴性である可能性がある。例えば、X染色体因子が雄で可動化するならば、そのX染色体は非宿主の母親(Y染色体挿入の希な例を除いて)に由来するであろうので、攻撃ベクターを有する全ての雄の子孫は常染色体を有し、故に新しい挿入を有する。さらに他の応用では、攻撃ベクターは、エンハンサートラップ配列を有し、新しい挿入のスクリーニングは、レポーター遺伝子の発現をモニターする。この場合、親宿主の発現パターンは、可動化のまえに特徴付けられる。新規挿入は、異なるパターンでマーカー遺伝子を発現する子孫で同定される。これら方法を使用する例示的なスクリーニングは、実施例で提供されている。最後に、新規挿入を区別する遺伝的方法が利用不可能な場合は、分子法を使用することが可能である。例えば、インバースPCRを使用して、トランスポゾンに隣接するゲノムDNAを単離し、分析することができる(Dalby B, Genetics(1995) 139: 757-766)。DNA断片は、次いで、標準的方法によってシーケンシングをおこない、通常は50-300塩基対(bp)である「配列タグ」を作製する。配列タグは挿入を規定し、親挿入から新規挿入を区別する。シーケンシングされたゲノムを有する生物体では、ゲノム配列と隣接配列タグの比較によって、挿入によって最も影響を受けるであろう遺伝子が同定される。
【0047】
一連の交配は、新規挿入を有する子孫の生成及び選択に影響を与える。通常は、一番目の交配を使用して、トランスポザーゼの源を導入し、親宿主の子孫で攻撃ベクターを可動化させる。発育異常の子孫動物(即ち、転移因子が活発に置き換わっている動物)を選択する;それらは、攻撃ベクター及びトランスポザーゼの双方と関連しているマーカー遺伝子を表示するものとして一般的に同定される。発育異常の動物は、攻撃ベクターからトランスポザーゼの源を分離するために外部交配され、それによって、安定で新規な挿入の回収が可能となる。
【0048】
その後の交配は、新規挿入が致死的かどうかを評価するために設計され、これら交配は、付加的な機能を担い得る。ドロソフィラでの好ましいスクリーニングでは、致死挿入の同定は新規挿入のマッピング及びバランシングと一致し、それは、1つ又は2,3の遺伝的交配を必要とする。優性変異及び遺伝的に等しくマークされたトランスポゾン挿入をマッピングし、ストックする戦略は、メンデルの分離法則の原理に基づき、当業者に良く知られている(例えば、Fly pushing:The Theory and Practice of Drosophila melanogaster Genetics(1997) コールド・スプリング・ハーバー出版、プレーンヴュー,ニューヨーク, 49, 63頁)。結果として得られたバランスストックが挿入についてホモ接合型の成体を一度も産せず、それ故に著しく目立つバランサー染色体を欠いてる場合、新規挿入は致死的である。
【0049】
非モデル宿主での例示的なスクリーニングでは、ストックを築くために、個々の新規子孫を単離して、野生型又は他の非宿主動物と外部交配し、そのストックは、初期マーカーを表示する動物についての連続的な選択によって維持される。挿入についてヘテロ接合型である各外部交配による幾つかの子孫を、その兄弟と交配させて致死的挿入を同定する。メンデルの分離法則の原理によって、致死性を評価する。挿入がホモ接合的に生存可能ならば、およそ子孫の4分の3が初期マーカーを表示するはずである。4分の2は、攻撃ベクターに関してヘテロ接合型である−これらの半分は母親からベクターを受け取り、半分は父親からベクターを受け取っている−4分の1はベクターに関してホモ接合型であり、4分の1は非挿入染色体に関してホモ接合型である。挿入がホモ接合的に致死的ならば、3分の2のみが初期マーカーを示すはずであり、このことは、攻撃ベクターに関するホモ接合型のクラスが無いことを反映している。代替又は補足的方法では、死にかけている胚、幼生、又は初期マーカーを示す蛹の証拠として、研究者は、子孫のヘテロ接合型兄弟の間での交配の子孫を観察する。致死性を確実に示唆するこの方法の場合、研究者は、全てが初期マーカーを示すに違いない、極めて多くの死にかけている及び死んでいる子孫を識別することができるであろう。研究者は、代わりに分子法を使用して、ホモ接合型の動物がストックの中ですでに作られたのかを確かめることができる。インバースPCR又はプラスミドレスキュー等の方法を使用して、配列タグを作製する。複数のPCRに基づく方法が利用可能であり、当該分野で知られている。例えば、フランキング配列タグを使用して、野生型遺伝子断片を増幅するのに使用することが可能な、挿入の両側のPCRプライマーを設計し、作製することができる。トランスポゾン含有染色体の増幅によって、大きな断片が産せられるか、又は、トランスポゾンが大きくてPCR伸長時間が短いのならば、検出可能なバンドは増幅されないかのいずれかである。ストックの多くの個々の動物の増幅反応によって野生型バンドが常に産せられるならば、ストックはホモ接合型動物を有しないと結論することができる。
【0050】
幾つかのホモ接合型の成体が検出されるならば、挿入は、適切な標的を示すのには、極めて有害である。さらなる実験によって、生殖能力、移動運動、食習慣、又は他の必須な機能についてホモ接合型動物を試験することができる;挿入がこれら能力のいずれかを破壊するストックは、候補殺虫剤標的に挿入を有するであろう。スクリーニングでドロソフィラを使用するならば、バランサー染色体を欠く動物を、そのような欠損について分析する。スクリーニングで非モデル宿主を使用するならば、初期マーカーを示すインター・シー(inter se)交配(遺伝的に等価な個体間の交配)からの全ての子孫を、そのような欠損について分析する。ストックからの個体が関連する表現型を構成的に示すならば、それらを上述の遺伝的又は分子的手法により試験し、それらがホモ接合型挿入動物から分離するか否かを確かめる。
【0051】
インビトロスクリーニング
動物宿主でおこなわれるスクリーニングは、ホモ接合型の場合の挿入した染色体の効果を分析する方法に依存する。スクリーニングが培養細胞(「インビトロ」)でおこなわれるならば、トランスポゾン挿入に関してホモ接合型である細胞を生成する直接的な手法はないであろう。この場合、ゲノム配列の異所性転写の誘導を使用して、トランスポゾン挿入を有する遺伝子の機能を顕著に破壊する。
【0052】
本発明のこの側面では、攻撃ベクターは、攻撃ベクターに隣接するゲノムDNAの異所性転写を指示するように設計された、異種遺伝子の制御因子、特にプロモーター及び/又はエンハンサーで操作する。例示的な制御因子には、生育培地への銅の添加に応答するメタロチオネインプロモーター(Bunch TAら., Nucleic Acid Res(1998) 16:1043-1061)、ホルモンの添加に応答するエクジソン応答プロモーター(No Dら., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996): 93: 3346-3351)、4-ヒドロキシタモキシフェンの添加へ応答するマウス エストロゲンレセプターからの変異ホルモン結合ドメイン(Littlewood, TDら., Nucleic Acids Res (1995)23: 1686-1690)が含まれる。
【0053】
好ましい実施態様では、異なる、ランダムなトランスポゾン挿入を有する細胞系のパネルが生成される。このパネルは、親細胞系を攻撃ベクターで形質転換し、子孫細胞でトランスポゾンをランダムに可動させるために、親細胞系でトランスポザーゼの発現を誘導すること(例えば、トランスポザーゼを過度的にトランスフェクトすることによって)によって作製することが可能である。あるいは、攻撃ベクターは、トランスフェクションによって培養昆虫細胞へ挿入され、細胞ゲノムへの効率的な組み込みに必要な、トランスポザーゼを有するコンストラクトをともなう。ドロソフィラ胚細胞系Kc167の細胞を、トランスポゾンとトランスポザーゼを有するプラスミドによるトランスフェクションによって、P因子で安定及び効率的に形質転換した(Segal Dら., Somat Cell Mol Genet (1996) 22:159-165)。P因子は、細胞ゲノムあたりおよそ1-50コピーで、遺伝子座あたり単一コピーで挿入した。同じような方法を使用して、我々は、培養されているドロソフィラ・シュナイダー2(2S)細胞でピギーバック(piggy Bac)因子を可動化させた。我々は、トランスポゾン含有プラスミドが付随トランスポザーゼ無しでトランスフェクトされる場合、トランスポゾンによって含有される遺伝子配列は、半分より多い細胞で一時的に発現するが、発現細胞の数は数週間後に1%未満に落ちる。対照的に、トランスポザーゼの存在下では、細胞のゲノムへのトランスポゾンの挿入のために、その期間の間、発現レベルは顕著に高く保たれる。
【0054】
クローン細胞系統は、新規のトランスポゾン挿入によって個々の子孫から誘導される。それらは、クローン濃度で子孫細胞をプレートすることによって回収することが可能である。あるいは、個々の子孫細胞は、セルソーティング法によって回収することが可能である(例えば、Tanke HJ 及びvan der Keur M, Trends Biotechnol(1993) 11:55-62; Bryant Zら., Proc Natl Acad Sci (1999)96: 5559-5564)。細胞系を通常はマルチウェルプレートか、又は、数百又は数千の系統の操作を容易にする任意の他の系に保持する。細胞系統を増殖させ、パネルを複製させる。興味ある細胞系の回収のために、1つのレプリカを保持し、その一方で、必須遺伝子での挿入に関して、他方のレプリカ(「試験パネル」)をアッセイする。試験パネルを使用し、例えば、金属又はホルモンを培地へ添加し、それぞれメタロチオネイン又はエクジソン応答性プロモーターからの転写を誘導することで、異所性転写を攻撃ベクターの遺伝子制御因子から誘導する。数日後、不完全な成長及び/又は低下した生存度について、試験パネルの細胞系を観察する。死細胞の優勢、又は、参照パネルの対応する系統と比較して顕著に低下した細胞数は、挿入したトランスポゾンからの異所性転写は細胞にとって有害であることを示し、候補致死遺伝子を同定する。細胞の致死性は、トリパンブルー染色などの任意の簡便なアッセイによってアッセイすることができる。
【0055】
ドミナントな機能欠失は、タンパク質を基礎とする及びRNAを基礎とする効果の双方から予想される。タンパク質を基礎とする効果は、遺伝子の中央部への挿入によって、野生型コピーの正常な機能を妨害する切断タンパク質が産せられた場合に起こる。
【0056】
挿入の割合によっては異所性タンパク質が産生されないが、mRNAレベルで優性に作用し、遺伝子の野生型コピーの機能的発現を阻害する転写物を生成することがさらに予想される。遺伝子のコード化配列の下流又は中央部に挿入される攻撃ベクターは、完全長又は部分的アンチセンス転写物をそれぞれ産することができる。実験的証拠によって、異所性転写物が標的とされる遺伝子を特異的に阻害することができることが示された。直接のインジェクション又は導入遺伝子のいずれかによる一本鎖アンチセンスRNA分子の導入によって、幾つかのドロソフィラ遺伝子に関する機能表現型の低下が生じた(例えば、Schuh及びJakle, Genome(1989)31: 422-425;Patel R及びJacobs-Lorena M, Developmental Genetics (1992)13:256-263)。最近では、二重鎖RNA(dsRNA)の導入を使用し、同族mRNAの分解によって遺伝子機能を破壊している(Kennerdell JR及びCarthew RW, Cell(1998)95: 1017-1026;Zamore PDら, Cell(2000)101: 25-33)。dsRNAが導入される場合、全転写物が示される必要はない;内因性遺伝子のコード化配列の小数部分を示す断片は、完全長アンチセンス転写物により生じる表現型とは区別が不可能な表現型の機能欠失を引き起こすことが可能である(Misquitta及びPaterson, Yangら)。従って、遺伝子の中央部に挿入され、アンチセンスコード化配列の一部分のみを過剰発現する転移因子は、やはり遺伝子機能を阻害するはずである。一本鎖アンチセンスRNAがRNA干渉(RNAi)効果を効率的に引き起こさないと主張する報告が公表されているが、我々は、インビボで、コード化配列でのEP及びXP挿入が優位に遺伝子機能を破壊することができることを示した。
【0057】
タンパク質合成を阻害するシクロヘキシミド等の薬剤の培地への添加によって、タンパク質レベルで作用する挿入をRNAレベルで作用する挿入から区別することができる。タンパク質合成の阻害によって、タンパク質の過剰生産によって生じた致死的表現型を除かれるはずである。
さらには、幾つかの挿入から転写を誘導することで、異所性転写によって機能性タンパク質の産生が導かれる場合に起こるドミナントポジティブ効果が引き起こされる。ドミナントポジティブ効果と関連している致死性によって、過剰発現遺伝子がアゴニスト殺虫剤の適切な標的であることを示すことが可能である。内因性遺伝子の機能の欠失を起こす挿入は、下記のように、野生型細胞でのRNAiバリデーションによって確かめることができる。
【0058】
破壊された遺伝子の同定
種々の分子生物学的技術を使用して、攻撃ベクターに隣接するゲノム配列を特徴付けて、破壊された遺伝子を同定することができる。好ましい実施態様では、インバースPCRを使用して、後に断片をシーケンシングするためのテンプレートとして機能する、短い分子タグを増幅する。あるいは、攻撃ベクターが細菌プラスミドの複製に必須な成分を有するのならば、プラスミドレスキュー技術を使用して、隣接するDNA断片をクローニングすることが可能である(Hamiltonら, 上掲)。
【0059】
生物学的アレイ
1つの好ましい実施態様では、スクリーニング法を使用して「生物学的アレイ」を作製し、この「生物学的アレイ」は、各ゲノムが昆虫の遺伝子の1つを挿入する(変異させる)、少なくとも1つ(最も好ましくは1つのみ)の導入転移因子を含有し、トランスジェニック昆虫系統又は昆虫細胞系のインデックス付きのコレクションを指すためにここで使用され、従って、完全なコレクションは、基本的に宿主のゲノムの全ての遺伝子に変異を有している。さらに好ましい実施態様では、このアレイはピギーバック(piggy Bac)挿入を含む。ドロソフィラでの好ましい応用では、このアレイはさらにXP挿入を含む。アレイの各メンバーは、転移因子の挿入を有する動物又は細胞系で構成される、安定で再生可能なストックである。アレイの各メンバーは、挿入に隣接するゲノムDNAについて特徴付けられ、隣接配列、変異遺伝子、及び/又は染色***置に準じて索引が付けられる。
【0060】
ここで使用されいるように、「基本的には全ての遺伝子に変異を有する」という文句は、アレイの細胞系統又は昆虫のゲノムが集約的にゲノムのいずれかの遺伝子に少なくとも1つのトランスポゾン挿入を有するのは、標準的統計方法によっては、一般的に少なくとも約70%の確率、より好ましくは少なくとも85%又は95%の確率であるという統計上の状況を指す。遺伝子がトランスポゾン挿入を含むか否かを確かめる目的に関して、用語遺伝子は、開始と終止コドンの間のゲノム配列を指し、プロモーター、エンハンサー、5' 及び3' 非翻訳領域、ポリアデニル化シグナル等の上流及び下流制御配列を含み得る。例えば、ピギーバック(piggy Bac)コレクションのゲノム飽和度を確かめる目的のために、トランスポゾンが開始と終止コドンの間に挿入されるか、又は開始コドンの1,000bp内にあれば、我々は遺伝子をタグした(即ち、トランスポゾン変異を有する)と定義した。
【0061】
最も効率的なアレイは、ゲノム配列が存在する宿主で生成される。規則正しいゲノム配列は、研究者が新規の挿入をマッピングし、遺伝子又は予想される遺伝子内での挿入の位置を確かめ、そして、複数の挿入によって同じ遺伝子が破壊された場合に、重複する挿入を除くことを可能にする。ゲノムの範囲は、好ましくは、少なくとも0.5x、より好ましくは少なくとも1x、2x、又は5xの範囲で存在する。ゲノム配列は、任意の利用可能な方法、例えばクローンに基づく物理的マッピングの方法、又は全ゲノムショットガン法を介して得ることができる;これらは、それぞれ、シー・エレガンス及びドロソフィラ・メラノガスターゲノムのシーケンシングに使用できる(The C. elegans Sequencing Consortium, Science (1998) 282: 2010-2018 Myers EWら, Science(2000)287: 2196-2204)。
【0062】
全ゲノム配列を利用することができないならば、挿入が特徴付けられたように、相当するゲノム配列データを作製してもよい。例えば、繰り返しDNA配列の優勢のために大きなゲノムサイズを有する宿主生物体にとって、全ゲノム配列を作製することは、生物学的に実現不可能であろう。
【0063】
あるいは、さらに、全又は部分cDNA配列のコレクションは、トランスポゾン挿入を順序付けするための基礎を形成することができる。cDNA配列及び発現配列タグ(EST)を作製する方法は、当該分野で良く知られている。ドロソフィラcDNA配列のコレクションを作製するためにESTを使用する例示的な方法は、Rubinら(Science(2000)287:2222-4)によって提供されている。cDNA配列は、好ましくは十分な範囲であり、殆ど全遺伝子を示すのに十分な注釈を有する。ピギーバック(piggy Bac)等のトランスポゾンが、cDNAには示されていないイントロンに挿入されることが多い一方で、隣接するゲノムDNAの配列タグは、cDNA配列をさらに含むことが可能であり、それは、イントロンのどこへトランスポゾンが挿入されるのか、配列タグはどのくらい長いのか、そしてイントロンはどのくらい大きいのかに依存する。cDNA配列はトランスポゾン挿入の規則正しく配列したアレイを許容しないが、それは、基本的に宿主ゲノムの全ての遺伝子を変異させる、一般的な非重複アレイを作製するのに十分な情報を提供する。
【0064】
致死遺伝子の特徴付け
トランスポゾン挿入の作製にとって好ましい方法によって、通常は、各宿主細胞又は動物に単一の挿入が生じる。しかしながら、幾つかの個体は、分析を複雑にする複数の攻撃ベクターを有する。宿主が昆虫ならば、標準的な遺伝的交配を使用して種々の因子を分離し、どの挿入が劣性致死性なのかを決定するために再試験する。遺伝的交配は培養細胞にとって利用可能ではないので、細胞系の中の複数の挿入のうちのどの1つが致死性を誘導するのかを同定するための最も効率的な方法は、RNA干渉(RNAi)技術を使用することである。候補配列と一致する二重鎖(ds)RNAを野生型へ導入し、特定の機能欠失表現型を誘導する(Hammond SMら, Nature (2000)404:293-296)。
【0065】
当該分野で知られているさらなるコンピュテーショナル分子生物学及び遺伝的アッセイによって、候補配列が致死遺伝子と一致することが確かめられた。一番目の段階は、隣接遺伝子から推定上の破壊遺伝子を特徴付けることである。典型的には、タグ配列をBLAST解析に供し、隣接配列が既知遺伝子と一致するか、又はそれと実質的な相同性を有するか否かを確かめる(Altschulら, J. Mol. Biol. (1997)215: 403-410;http://blast.wustl.edu/blast/README.html)。そうである場合、GENSCAN等のコンピュータープログラムを使用して、どの隣接配列がタンパク質をコードするのかを予測する(Burge C及びKarlin S, J.Mol. Biol. (1997)268:78-94)。
【0066】
時折、転移因子の可動化の間に他の挿入性変異がおこり、これらによって問題が混乱する。P因子等のあるトランスポゾンは、不正確に切り出し、挿入部位とは異なる染色体異常を起こす(「第2の致死部位」と呼ばれる)。いわゆる「ヒット アンド ラン」の事象は、再可動化が最初の変異誘発の後に続く場合におこる。種々の手法では、挿入と致死的変異の間の関係を強めることができる。挿入が致死性の原因であるならば、挿入染色体についてヘテロ接合型のハエ、挿入部位を包含するゲノム領域を欠く相同染色体は、劣性致死表現型をも示す。この染色体組み換えを有する動物が死滅したならば、これは少なくとも、この領域に致死変異を局在化させる。それらが生存するならば、致死変異はゲノムのどこにでもある。あるいは、適切なトランスポザーゼへの曝露、及び挿入因子のその後の切り出し(遺伝的又は分子手法によって確かめられる)によって、実験者は、挿入が致死性の本当の源であったことを確かめることが可能になる。切除によって表現型が前の状態へ戻らないならば、依然として切除そのものが分子損傷を起こした可能性があり、その場合には、あらゆる利用可能な方法に従って、PCR又はシーケンシング法等により、挿入の領域を分子的に特徴付けることが有益である。最終的には、レスキューコンストラクトと呼ばれる推定上の致死遺伝子の野生型バージョンをクローニングして、宿主へ再導入してもよい。これは、遺伝子の制御及びコード化配列を有するゲノムクローン、遺伝子のゲノム制御配列とコード化領域のcDNAの融合、又は異種制御配列とコード領域のcDNAの融合から誘導することができる。挿入が致死的ならば、この導入遺伝子は、挿入についてホモ接合型で野生型の導入遺伝子を有する試験動物の表現型を救済するか、又は顕著に向上させる。
【0067】
挿入によって正常な遺伝子産物の転写が低下する又は除かれることが望ましいことがよくある。遺伝的及びコンピュテーショナル解析によって致死性が挿入部位にマップされ、挿入によって確かめられたコード化配列が破壊され、そして明らかに結果として切断タンパク質を生じるであろうことが確かめられたならば、この解析は不必要であり得る。攻撃ベクターがイントロン又は他の非コード化配列と思われ、挿入によって正常な転写とスプライシングがどれ程影響を受けるのかは明らかではないならば、この解析は特に関連性がある。ノーザンブロッティング、スロットブロッティング、リボヌクレアーゼプロテクション、定量RT-PCR、及びマイクロアレイ解析等のmRNAの分析のための幾つかの技術が利用可能であり、熟練技術者に良く知られている(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(1994)Ausubel FM ら, 編, John Wiley & Sons, Inc., 第4章;White KPら, Science(1999) 286:2179-2184;Freeman WMら, Biotechiques(1999)26:112-125;Bryant Zら, Proc Natl Acad Sci (1999)96: 5559-5564)。ノーザンブロット解析は、好ましい方法で構成される。インビボでの応用では、トランスジェニック宿主及び野生型又は他の非宿主動物からのmRNA、及び候補配列から作製したプローブを使用するノーザン解析によって、隣接配列が破壊された遺伝子と一致するか否かを確かめることができる。挿入の位置によって、破壊された遺伝子は、非宿主と比べて顕著に減少又は除かれた転写物、又は異なる大きさの転写物を産し、それが、トランスポゾン配列とのキメラ融合を示すことが予想される。挿入によって宿主は死滅しないが宿主が無能になるのならば、ホモ接合型挿入動物は、ブロットへmRNAを供給することができる。遺伝子が劣性致死性であるならば、変異転写物を供給するホモ接合型胚又は幼生を収集することは可能であろう。例えば、幾つかのバランサー染色体は、発生の初期での検出を可能にするマーカーを有する。ドロソフィラでは、例えば、そのようなバランサーには、タビー(Tubby)内因性ドミナント幼生/蛹マーカーでマークされた「TM6」第三染色体バランサー染色体(Lindsley DL及びZimm GS(編)The Genome of Drosohila Melanogaster, 1992, Academic Press, ニューヨーク)、又はlacZ又はGFPでマークされているバランサーが含まれる(Casso Dら, Mech Dev(1999)88: 229-32)。挿入がこのようなバランサーに対してトランスである動物を標準的方法によって取得し、それぞれを交配させる。バランサーマーカーを示さないホモ接合型子孫を収集した。さらに、ヘテロ接合型挿入動物のmRNAを野生型動物のmRNAと比較することが可能である;シグナルの定量化によって、遺伝子の樋1コピーの減少が明らかになるはずである。代わって好まれる方法は、例えば、Taqman(登録商標)システム(アプライド・バイオシステムズ, フォスター シティー, カリフォルニア;Gelmini Sら, Clinical Chemistry(1997)43:752-758)を使用して定量RT-PCRをおこなうことである。固定化した組織切片又は全組織、胚又は動物でおこなうインサイツ・ハイブリダイゼーション技術は、発現レベルを評価するための代替的手法を提供する(Tautz D及びPfeifle C, Chromosoma(1989)98: 81-85)。
【0068】
RNA媒介効果によって機能欠失表現型が生じることが予測される場合、インビトロでの応用のために同じような種類の解析をおこなってもよい。同系の細胞mRNAの分解によって、RNAiが機能することが示されている(Zamoreら, 上掲;Hammond SMら, Nature(2000)404:293-296)。従って、Taqman(登録商標)システムを使用するような定量RT-PCR解析は、挿入によって正常遺伝子産物の転写が低下する又は除かれるか否かを確かめるのには、好ましい方法である。
【0069】
三番目の段階は、遺伝子活性の阻害は動物にとって致死的であることを独立して確かめることである。RNAi技術は、好ましい方法である。野生型動物は、内因性遺伝子を特異的に破壊するため候補配列へ向けられた二重dsRNAで解析される(Kennerdell JR及びCarthew RW Cell(1998)95:1017-1026;Clemens JCら, Proc Natl Acad Sci (2000)97: 6499-503)。あるいは、相同組み換えを使用して、野生型動物の候補遺伝子におけるデノボ挿入を作り出すことができる(Rong YS及びGolic KG, Science(2000)288:2013-2018)。インビトロで同定された潜在的な標的については、機能の欠失が無傷の生物体にとっても致死的であることを確かめることは重要である。
【0070】
オーソロガスタンパク質の同定
ドロソフィラ等のモデル生物体を使用して、新規遺伝子がスクリーニングから単離されると、実際の害虫種からのオーソロガスなタンパク質を使用して生化学的アッセイを開発することが有用である。このようなアッセイは、タンパク質標的を阻害することができる分子を見出すのに使用される。モデル及び害虫昆虫のオーソログが同じ機能を有する可能性があるが、それらタンパク質構造の違いは、他のタンパク質との相互作用、化合物結合及び安定性等の特性に影響を与える。従って、生化学的アッセイの結果は、通常は、標的とされる特定のタンパク質にとってのみ意味がある。一般的に、1つ又は複数のタンパク質モチーフ及び/又は3次元構造の存在の結果、異なる種のオーソログは同じ機能を保持する。オーソログを同定する方法は、当該分野で知られている。オーソログは、通常、タンパク質おとり配列を使用するBLAST解析等の配列相同性解析によって同定される。フォワードBLASTの結果の最もよいヒット配列によって、リバースBLASTでの元々の質問配列が検索されるならば、配列は潜在的なオーソログとして割り当てられる(Huynen MA及びBork P, Proc Natl Acad Sci(1998)95:5849-5856;Huynen MAら, Genome Research(2000) 10:1204-1210)。CLUSTAL(Thompson JDら, 1994, Nucleic Acids Res 22: 4673-4680)等の多重配列アラインメントのためのプログラムを使用して、保存領域及び/又はオーソロガスタンパク質の残基を強調表示し、系統樹を作製することができる。多様な種の多重相同配列を示している系統樹(例えば、BLAST解析を通して検索された)では、2つの種のオーソロガス配列は、一般的に、これら2つの種の全て他の配列に関して系統樹上で極めて近いように思われる。構造スレディング法又はタンパク質フォールディングの他の解析(例えば、ProCeryon, Biosciences, ザルツブルク, オーストリアによるソフトウエアを使用する)によって、潜在的なオーソログも同定することができる。
【0071】
配列データベースが利用可能ではない場合は、核酸ハイブリダイゼーションは、コンピュテーショナル解析に取って代わり、それによってオーソロガス遺伝子を見出せる。スクリーニングで本物の害虫に代わりに、モデル宿主を使用するならば、本物の害虫についての配列情報は利用可能ではないであろうが、この宿主についての配列情報は、殆ど常に利用可能である。分解PCR及びライブラリスクリーニングは、関連した遺伝子配列を見つけ出すための共通の方法であり、当該分野の熟練者に良く知られている(例えば、Current Protocol in Molecular Biology, 第1巻、2.10章、John Wiley & Sons Publishers(1994); Sambrookら, (Mollecular Cloning (1989), コールド・スプリング・ハーバー, 第8章)。例示的な方法には、対象である生物体からcDNAライブラリを作製し、部分的に相同的な遺伝子プローブでライブラリをプローブすることが含まれる。推定上のオーソログの断片を成功裏に増幅又は単離した後で、この断片を標準的技術によってクローニングしてシーケンシングし、プローブとして使用して完全なcDNA又はゲノムクローンを単離することができる。あるいは、ESTプロジェクトを開始して、宿主について配列情報のデータベースを作製することが可能である。これら手法のいずれかで一度、候補オーソログが同定されると、候補オーソログ配列は、スクリーニングされた宿主の配列に対するリバースBLASTのためのおとり(「問い合わせ」)として使用される。
【0072】
オーソロガス害虫標的のためにアッセイが開発されるならば、研究者は、上記の方法を使用して、この遺伝子の破壊が意図する害虫を死滅又は無能となることも確かめるべきである。
【0073】
殺虫剤標的の特徴付け
多くの基準が、新規の致死遺伝子が適切な殺虫剤の標的なのか否かを確かめるのに役立つ。以下の特徴は、殺虫剤の標的にとって好ましい基準である。ライフサイクルのどんな段階での阻害でも害虫が死滅するように、開発を通して理想的な標的が広く必要とされている;「致死的窓口」とは、特定のタンパク質標的を阻害することによって害虫が死滅する時期を指す。機能の部分的阻害でさえも害虫の作物死滅させるように、標的は用量感受性であるべきである。フィールド又はビニールハウスの場合、標的阻害によって迅速に害虫を死滅させ(「迅速なノックダウン」)、損害を最少にしなければならない。標的は、脊椎動物、有益な無脊椎動物、植物等の殺虫剤によって害されないように意図されている種のオーソロガス遺伝子から可能な限り異なったものにすべきである。その標的は、強力なアッセイが容易に設計することができる既知の機能を有するタンパク質をコードすべきである。どんな特定の応用に関しても、これら必要条件は変わる。例えば、疾患ベクター、又はゴキブリ又はシロアリ等の都会の害虫のコントロールでは、たいていはスピードよりも安全が強調される。この場合、迅速なノックダウン又は広範な発現は、標的の選択では重要ではない。遺伝子を殺虫剤の標的として同定し確かめるためには、アッセイを作成し、標的機能の化学的アンタゴニストのスクリーニングをする時間と費用が集中する段階に着手する前に、幾つかの段階工程で潜在的な標的が所望する特徴を有することを示す。
【0074】
標的ではない種では、最も好ましい標的が非常に密接に関連したオーソログを有しないので、上記の利用可能な配列データベースを使用してのオーソログの検索が、通常はおこなわれる。他の種で、推定上の標的が密接に関連したオーソログを有するならば、これによって、それが不適格とはならない。タンパク質構造における小さな違いによって、タンパク質を調節する小分子の能力が影響を受けることがあり得て、異なる生物体の生理状態によって、化合物へのそれらの応答が影響を受けることがあり得る。しかしながら、密接に関連したオーソログの発見は、潜在的な標的の優先順位付けに影響を与えることがあり、そして、将来のアッセイの開発と解析を導くことがあり得る。
【0075】
致死的窓口を定める一番目であり、最も早い段階は、候補標的遺伝子の発現パターンがその必要条件への最初の段階であることをを決めることであり、発現情報がたいていは最も容易に得やすいデータの中の1つである。標的が発現しないのならば、それを殺虫剤によって妨害することはできない。一般的に、害虫を死滅させるか又は無能にする機会を最大にするために、標的を可能な限り広く発現させるべきである。しかしながら、より狭い範囲の発現枠も可能である。害虫が直接に経済的損害を起こす、例えば殆どの穀物害虫にとって幼生給餌の段階、又は、害虫が殺虫剤処理に接触しやすい段階、例えば遊走段階又は、昆虫が植物の中に潜伏しない段階に、適切な標的が発現されるであろう。遺伝子発現は、mRNA又はタンパク質レベルのいずれかでモニターすることができる。
【0076】
上記のように、Taqman(登録商標)は、mRNA発現を検出するのに好ましい手法であり、個々の組織の解析を可能にする。ノーザンブロッティングとインサイツハイブリダイゼーションは、代替的手法である。ノーザンブロティッングは、種々の発生段階からの一時的な発現プロファイルを得るのに有用である。インサイツハイブリダイゼーションは、空間的発現パターンを示すという利点を有するが、より労働集約的であろう。
【0077】
同じようなタンパク質発現は、固定したマトリックスへの抽出したタンパク質の移動(ウェスタンブロッティング)、又は、ホールマウント調製物又は切片でのインサイツ検出によってモニターすることができる(Harlow E 及びLane D(編)Using Antibody:A Laboratory Manual, 1999, コールド・スプリング・ハーバー研究所出版、ニューヨーク)。タンパク質は、通常は、特異的抗体又は、タンパク質又は特異的ペプチドのいずれかに対する血清によって検出される。ウエスタンブロッティングは、非常に感度があり、タンパク質レベルの定量的測定を提供する。しかしながら、それは、組織又は生物体レベルでのタンパク質を検出するものであり、組織又は細胞内でのタンパク質の分布に関する情報を提供するものではない。対照的に、タンパク質のインサイツ検出によって、この情報が提供されることが可能であり、潜在的な殺虫剤標的の細胞又は細胞器官での分布が明らかにされる。タンパク質発現は、内因性遺伝子の制御配列のコントロール下にあるGFP等のレポーターのコード化配列で構成される融合遺伝子を発現するトランスジェニック動物を作り出すことによって、生きている動物において直接に視覚化することが可能である;このレポーターは、さらに、内因性遺伝子のコード化配列と融合させてもよい。トランスジェニックレポーターコンストラクトは、たいていは商業的に入手可能であり、インサイツ抗体検出法による視覚化を可能にする現存する抗体又は抗血清によって認識されるアミノ酸の小さなストレッチであるエピトープタグをコードする配列と融合した内因性遺伝子のcDNAをも含む。
【0078】
理想的には、殺虫剤標的は、ライフサイクルの全ての段階での生物体の生存にとって必須であるはずである。広範な発現プロファイルが遺伝子に関する幅広くて一時的な必要条件を示唆する一方で、アッセイの開発を始める前に、この必要性も直接に試験してもよい。必須遺伝子に変異を有する動物は、死滅するか又は、遺伝子の接合活性が必要なそれらの発生段階の第1地点で停止するので、発生の後半の遺伝子にとっての必要条件を確かめることは込み入ったことである可能性がある。
【0079】
標的とされる遺伝子の配列と一致するdsRNAの導入によって特定の遺伝子を止めることに使用することが可能なRNAi技術は、発生に必要な遺伝子を試験する手段を与える(Kennerdell及びCarthew, 1998, 上掲)。ドロソフィラで遺伝性で誘導可能なRNAi表現型を産するための系が記載されてきた(Kennerdell及びCarthew RW, Nature Biotechnology (2000) 17: 896-898)。要約すると、酵母UAS制御配列のコントロール下で、トランスジェニックコンストラクトを使用して、ヘアピンdsRNAを作成する。どんな発生時期でも発現が可能となるように、熱ショックプロモーターの下、又は時期特異的プロモーター因子の下でGAL4転写アクチベーターを発現させることができる。遺伝子機能の不活性化は、きっちりとdsRNAヘアピンの活性化の次に起こる。シー・エレガンスに関しては利用可能なRNAi食餌法と同様に、ドロソフィラへdsRNAを給餌することによって、機能が欠失した表現型が生じる可能性があることを示唆する未公開の報告がある(Timmons L及びFire A, Nature(1998)395:854)。このような方法が昆虫にとって利用可能となるにつれて、それら方法は、推定上の標的遺伝子にとって一時的な必要条件を試験する最も効率的方法を意味する可能性がある。
【0080】
この課題に対する代替的な解決策は、発生の様々な時期での推定上の標的遺伝子の破壊を刺激するために、条件的遺伝子導入又は制御可能な遺伝子を使用して、発現をコントロールすることである。ドロソフィラでは、この目的に関して利用可能な様々な手法があり、その多くが他の宿主で機能する。これらの方法には、標準的な形質転換技術及び遺伝的交配を使用して、ホモ接合型変異バックグラウンドへトランスジェニックレスキューコンストラクトを導入すること、及び発生の様々な地点でレスキュー遺伝子を停止させることが含まれる。下記の各場合には、対象である遺伝子のコード化領域を適切な形質転換ベクターへクローニングし、その結果として得られたコンストラクトをトランスジェニック動物へ導入する。
【0081】
好ましい系は、真菌又は細菌種から適用した遺伝子制御因子に依存する調節コントロール系の2成分である。
【0082】
テトラサイクリン-(Tc)-媒介系は、例示的な2成分系である。「tetトランスアクチベーター(tTA)」及び「tetオペレーター(tetO)」は、転写アクチベーター及び応答プロモーター配列をそれぞれ含む。テトラサイクリンが無い場合のみ、tTAタンパク質はtetO配列と結合して、その転写を活性化し、それには、遺伝子発現を開始するために、全身投与とその後のテトラサイクリンの除去が必要とされる(Gossen M及びBujard H, Proc Acad Sci(1992)89: 5547-5551)。ドロソフィラでの応用に適用された系(Bello Bら, Development (1998) 125: 2193-2202)は、致死遺伝子の制御レスキューを可能にする。この用途については、候補遺伝子がtetO配列のコントロール下にあり、2成分が致死挿入に関する遺伝的バックグラウンドのホモ接合型へ導入される。tTAタンパク質は、armadilloプロモーター等の、胚及び幼生盤での遍在的な発現を導く強力で比較的に遍在するプロモーター(Sanson Bら, Nature (1996)383: 627-630)によって、又は致死遺伝子そのものの制御配列によって駆動される。様々な発生の時点での餌へテトラサイクリンを添加することは、レスキュー配列の発現を消滅させる。薬剤の添加によって動物が死滅するならば、その結果は、特定の段階での遺伝子に関する必要条件を示している。
【0083】
あるいは、酵母に由来するGal4/UAS系は、GAL4転写アクチベーターを利用してUASエンハンサーと結合し、近傍のコード化配列の転写を開始する(Brand AH及びPerrimon N, Development(1993)118:401-415)。インビボで特定の遺伝子を誤発現するのに使用された場合、UASプロモーター及び異種最少プロモーター、例えばドロソフィラhsp70遺伝子と作用可能に融合している対象の遺伝子を有する、トランスジェニック昆虫系統が作成される(Huynh CQ及びZieler H, Journal of Molecular Biology(1999)288:13-20)。これらUAS「標的」系統をGAL4の組織特異的源を有するGAL4「ドライバー」系統と交配させた場合、その結果として得られる子孫は、GAL4導入遺伝子の特異的パターンで対象である遺伝子を誤発現する。この系は、劣性致死遺伝子の一時的な必要条件を試験するのに使用することができる。29℃で関連するストックを育てることは、致死表現型のレスキューを可能にするであろう中レベルの発現を促進する。そうであるならば、動物を種々の発生の時点に制限温度(18℃)へ移して、これらの時点での推定標的に関する必要条件を試験してもよい。
【0084】
酵母のFLP/FRT系は、部位特異的DNAリコンビナーゼに依存して、その作用を発揮する(Golic KG及びLindquist S, Cell(1989)59:499-509)。遺伝子へのリコンビナーゼの標的部位(FRT)を操作することで、それを開始又は停止することが可能である。従って、FLP酵素の発現は、標的遺伝子の発現をコントロールするスイッチとして機能し、それは、その内因性プロモーター又は異種プロモーターのいずれかのコントロール下にある。例えば、遺伝子のコード化領域に隣接する2つのFRTは、リコンビナーゼが発現している場合は遺伝子を不活性化する。hsp70プロモーター又は、組織又は一時特異的プロモーター又は制御因子等の誘導プロモーターは、FLP発現をコントロールすることができる。標的遺伝子の不活性化は、FLPリコンビナーゼの活性化の後に続く。
【0085】
レスキュー導入遺伝子の発現は、また、宿主の内因性遺伝子制御配列に依存する単一成分系を介してコントロールされる。例えば、ドロソフィラでは、Hsp70プロモーター等の誘導プロモーター、又は重金属誘導メタロチオネイン(mt)プロモーターのコントロール下に候補遺伝子を配することによって、転写をコントロールすることができる。次いで、標的遺伝子の発現は、適切な刺激(熱ショック又は重金属処理)によって駆動し、遺伝子を自由に開始又は停止することができる。これらの系は簡便であるが、幾つかの問題がある:それらの発現を特定組織に限定することはできず、それらは、誘導がなくとも、低レベルで発現する。
【0086】
条件付き又は制御可能な遺伝子発現に関するこれらの系は、転写のレベルで機能するので、それらは、タンパク質ターンオーバーに依存して標的遺伝子の機能を低下させる。タンパク質レベルで遺伝子機能を破壊する代替方法がある。内因性遺伝子の存在するドミナントネガティブアレルは条件付き又は制御された形式で発現して、内因性に遺伝子機能と拮抗する。相同タンパク質の研究によって、レスキューコンストラクトへ取り込まれる可能性のある、温度感受性変異を操作する手法を示すことができる。「致死的窓口」を定めるために、種々の段階で、このようなコンストラクトを発現し、対象とする遺伝子の変異であるトランスジェニック動物を制限温度へ移動することができる。
【0087】
最後に、候補遺伝子の必要条件を試験する遺伝的実験を迂回し、そして、下記のように一般的にはハイスループットスクリーニング法であるスクリーニングに直接に取りかかることによって、これを直接に試験してリードアンタゴニスト化合物を同定し、そして、種々の発生段階の遺伝子機能の阻害にこれら化合物を使用するという選択肢がある。
【0088】
昆虫を死滅するか又は無能にするための迅速なノックアウト及び部分阻害に関する標的の能力を、同じ方法を使用して試験することが可能である。誘導RNAi又は誘導トランスジェニック系のいずれかである誘導遺伝子抑制系は、迅速なノックダウンを試験する最も良い手法を提供する。好ましくは、不活性化条件の導入、例えば、阻害性RNAを給餌又は誘導する、又は変異バックグラウンドでレスキューコンストラクトの発現を可能にする条件の除去によって、24時間、より好ましくは10時間以内、そして最も好ましくは3時間以内に致死性が誘導される。
【0089】
特に、標的の機能を完全に阻害するために、十分な殺虫剤を生物体へ送達することは不可能である。従って、殺虫剤の標的は生存のためのみに必須であるべきではないが、正常な活性レベルの実質的な部分は、生物体の生存にとって必須であるに違いない。一般的に、良い殺虫剤の標的は、少なくとも正常の場合の数パーセントのレベルを必要とする;例えば、95%を越える標的遺伝子機能が阻害されて昆虫が生存すると、与えられた標的と拮抗する効率的な殺虫剤を見出すことは困難又は不可能である。しかしながら、殆どの遺伝子に関して、宿主を死滅させるか又は無能にするためには、50%を越える阻害が必要とされる。従って、殆どの好ましい標的について、宿主を死滅させるのに、およそ70%〜95%の範囲の阻害(即ち、およそ5%から30%の遺伝子機能が維持される)ことが予想される。標的の用量感受性を試験するのに好ましい方法は、上記のTet系による。別法で標的遺伝子を欠いている動物で、これらコンストラクトを使用して標的発現を提供する場合、生存に必要な最少レベルは、食餌中のテトラサイクリンの濃度を変化させ、次いで、上記の方法で相当する標的タンパク質のレベルを測定することによって決めることができる。
【0090】
上記の基準のセットが昆虫内の潜在的な標的の機能に関する一方で、2番目のセットは、推定上の標的タンパク質の生化学的及び薬学的特徴に関する。アッセイの開発のための好ましい標的は、機能が知られているか、又は既知の遺伝子又はタンパク質との相同性に基づいて推定される。最も好ましい殺虫剤標的は、小さくて、良く特徴付けられている活性部位を有するタンパク質をコードし、化学又は生物学的改変に対して優位であるファミリーに属する。殺虫剤は、通常は、活性部位、間隙、又はアロステリック又は制御部位を破壊する。あまり一般的ではないが、殺虫剤はタンパク質-タンパク質相互作用をも阻害する。例示的な標的は、リガンド結合部位を有する酵素又は可溶性タンパク質であって、それには、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ、プロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスホリパーゼ、プロリルイソメラーゼ、核ホルモンレセプター、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、及びグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、及び代謝酵素の範囲が含まれる。代わりの例示的標的は、膜タンパク質、例えば、Gタンパク質共役レセプター(GPCR)、プロテインキナーゼレセプター、リガンド依存性イオンチャネル 、電圧依存性イオンチャンネル、トランスポーター等である。
【0091】
殺虫性薬剤の同定
アッセイ開発
ここに記載されているのは、殺虫標的の機能を調節する薬剤を同定する方法である(スクリーニング方法)。好ましい実施態様では、殺虫性薬剤は、同定した標的の活性(転写、タンパク質発現、タンパク質ローカリゼーション、及び細胞又は細胞外活性)を阻害する。アゴニスト薬剤も同定することができる。殺虫性薬剤は、一般的に、標的遺伝子のタンパク質産物へ直接に作用する。しかしながら、それらは、核酸レベル(典型的にはmRNAレベル)で作用することによって、間接的にタンパク質機能をも調節する。
【0092】
殺虫性薬剤に関するスクリーニングアッセイは細胞ベース(生きている細胞、死んでいる細胞、又は特定の細胞分画を使用する)であるか、又は標的タンパク質の関連する生化学的反応を再生又は保持する無細胞系(実質的又は部分的に精製したタンパク質、又は粗細胞抽出物を使用)を使用することができる(Sittampalam GSら, Curr Opin Chem Biol (1997)1:384-91及び添付参考文献に概説されている)。スクリーニングアッセイによって、種々の分子事象が検出することができ、それには、タンパク質-DNA相互作用、タンパク質-タンパク質相互作用(例えば、レセプター-リガンド結合)、転写活性(例えば、レポーター遺伝子を使用して)、酵素活性(例えば、基質の特性を通して)、セカンドメッセンジャーの活性、免疫原性及び細胞形態又は他の細胞特徴の変化が含まれる。適切なスクリーニングアッセイでは、幅広い検出方法を使用し、それには、蛍光、放射活性、比色分析、分光光学、及び電流測定が含まれ、検出された特定の分子事象の読み取りを提供する。
【0093】
好ましいスクリーニングアッセイは、ハイスループット又はウルトラハイスループットであり、それ故に、リード化合物に関するスクリーニング化合物ライブラリの自動化された経費効率的な手法を提供する(Fernandes PB, 1998, 上掲;Sundberg SA, Curr Opin Biotechnol 2000, 11: 47-53)。多くの、ハイスループットスクリーニングアッセイでは、蛍光偏光、時間分解蛍光、及び蛍光共鳴 エネルギー転移を含む、蛍光技術を利用する。これらの系は、色素標識分子から発せられるシグナルの強さが、それらと相手分子との相互作用に依存する、タンパク質-タンパク質又はDNA-タンパク質相互作用をモニターする手法を提供する(例えば、Selvin PR, Nat Struct Biol (2000) 7:730-4; Fernandes PB, Curr Opin Chem Biol (1998)2:597-603; Hertzberg RP 及び Pope AJ, Curr Opin Chem Biol (2000) 4:445-451)。他のアッセイには、放射活性、比色分析、分光光学、及び電流測定検出法が含まれる。
【0094】
これら好ましいクラスのタンパク質標的についてのアッセイは、文献に報告されており、当該分野の熟練者には良く知られている。好ましい標的の活性を試験するのに使用することができるアッセイの例は、以下に記載されている。
【0095】
プロテインキナーゼは、ガンマリン酸のアデノシン三リン酸(ATP)からタンパク質基質のセリン、スレオニン又はチロシン残基への転移を触媒する。[ガンマ32P又は33P]ATPからの転移をモニターするラジオアッセイは、たいていはキナーゼ活性をアッセイするのに使用される。残存する放射標識ATPからのリン標識産物の分離は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ガラス繊維のフィルター、又はペプチド又はタンパク質と結合する他のマトリックスを使用する濾過、洗浄による残存放射標識ATPの除去が可能である固相マトリックスへのペプチド又はタンパク質基質の吸収/結合を含む種々の方法によって達成することができる。1つの例では、シンチレーションアッセイは、ガンマリン酸の[ガンマ-33P]ATPからビオチン化ペプチド基質への転移をモニターする。基質は、シグナルを発するストレプトアビジンで被膜したビーズ上に捕獲される(Beveridge Mら, J. Biomol Screen (2000) 5: 205-212)。このアッセイは、SPAビーズの表面とつながりレセプターと結合した放射性リガンドのみを、その内部に固定されたシンチラント(scintillant)によって検出し、遊離リガンドから結合物を分離することなく結合を測定することを可能にするシンチレーション近接アッセイ(sintillation proximity assay)(SPA)を使用する。プロテインキナーゼ活性に関する他のアッセイでは、リン酸化した基質を特異的に認識する抗体を使用することができる。例えば、キナーゼレセプター活性化(KIRA)アッセイでは、培養細胞の無傷のレセプターを刺激するリガンド、次いで、可溶化レセプターを特異的抗体で捕獲し、ホスホチロシンELISAによってリン酸化を定量することによってレセプターチロシンキナーゼ活性が測定される(Sadick MD, Dev Biol Stand (1999)97: 121-133)。プロテインキナーゼ活性に関する抗体ベースアッセイの他の例として、TRF(時間分解フルオロメトリー)がある。この方法は、ユーロピウムキレート標識抗ホスホチロシン抗体を利用して、マイクロタイタープレートウェル上にコーティングした重合体基質へのリン酸の転移を検出する。次いで、リン酸化の量を、時間分解、解離増強蛍光(dissociation-enhanced fluorescence)を使用して検出する(Braunwalder AF,ら, Anal Biochem 1996 Jul 1; 238(2):159-64)。一般的なアッセイは、ミエリン塩基性タンパク質、カゼイン、ヒストン等の基質、又はポリグルタミン酸/チロシン及び放射標識ATP等の合成ペプチドの基質のリン酸化を基にするタンパク質キナーゼのために確立することができる。
【0096】
ホスホイノシチドキナーゼは、ホスファチジルイノシトール基質のリン酸化を触媒する。脂質キナーゼ活性に関するアッセイでは、放射性標識等の標識基質を使用して、脂質基質へのリン酸の転移を検出することができる。1つの例では、アッセイでは、クロマトグラフィー技術を使用してリン酸化を検出することができる(Sbrissa Dら, 1999, J Biol Chem 274:21589-21597)。他の例では、アッセイでは、疎水性基質をマルチウェルプレートの各ウェルの固体支持体上に固定化する、「フラッシュプレート(FlashPlate)」技術(米国特許第5,972,595号)を使用する。放射性標識リン酸を有する基質のリン酸化は、シンチラント(scintillant)の接近によって検出され、結合型放射活性の増加として測定される。
【0097】
タンパク質ホスファターゼは、タンパク質基質のセリン、スレオニン又はチロシン残基からのガンマリン酸の除去を触媒する。ホスファターゼはキナーゼの逆の作用をするので、適切なアッセイによって、同じパラメーターをキナーゼアッセイとして測定する。1つの例では、蛍光標識されたペプチド基質の脱リン酸化によって基質のトリプシン分解が可能となり、今度は、その切断された基質により蛍光性が付与される(Nishikata Mら, Biochem J(1999)343:35-391)。他の例では、蛍光偏光によって、標的とホスファターゼの直接結合がモニターされる;ホスファターゼの高まった濃度によって、脱リン酸化の速度が増し、偏光の変化につながる(Parker GJら, (2000) J Biol Screen 5:77-88)。
【0098】
イノシトールホスファターゼに関するアッセイでは、蛍光標識又は放射標識基質等の標識物を使用して、ホスファチジルイノシトール基質からリン酸の除去を検出することができる。1つの例では、アッセイでは「フラッシュプレート(FlashPlate)」技術を使用し、基質の脱リン酸化は、シンチラント(scintillant)のかなりの接近によって検出される、結合型放射活性の減少として測定される。ホスホイノシチドホスファターゼ活性を検出する他のアッセイは、当該分野で知られている(例えば、米国特許第6,001,354号及び6,238,903号を参照)。
【0099】
プロテアーゼは、タンパク質基質を特定の部位で切断する酵素である。例示的アッセイでは、プロテアーゼ媒介切断によって改変される、人工基質のスペプトル特性を検出する。1つの例では、合成プロテアーゼ(カスパーゼ)基質は、2つの異なる蛍光タグを分離する4つのアミノ酸のタンパク質分解認識配列を有する;蛍光共鳴エネルギー遷移によって、これらフルオロフォアの近傍が検出され、それによって、基質が切断さるのか否かが示される(Mahajan NPら, Chem Biol (1999)6:401-409)。
【0100】
内因性プロテアーゼインヒビターは、プロテアーゼ活性を阻害する。プロテアーゼ又はプロテアーゼインヒビターのいずれかのために開発したアッセイの例では、ビオチン化基質をタイタープレート上にコーティングしてプロテアーゼで加水分解する;非加水分解基質を、アルカリホスファターゼ-ストレプトアビジン複合体との反応とその反応産物の検出によって定量化する。プロテアーゼインヒビターの活性は、アルカリホスファターゼ指標酵素の活性と相関する(Gan Zら, Anal Biochem 1999)268:151-156)。
【0101】
DNAトポイソメラーゼは、適切なDNAトポロジーの維持を促進する多機能核酵素である。適切なアッセイでは、トポイソメラーゼの触媒切断及び/又は再ライゲーション活性を測定することができ、それでには、通常は、チロシン残基とDNA基質の間の共有結合の形成が関与している。例えば、ワクシニアのトポイソメラーゼライゲーション活性では、ライゲーションの間にその遊離が分光光学的に測定される、3' チロシンアナログを有する合成オリゴヌクレオオチド基質を使用する(例えば、Woodfieldら, Nucleic Acids Research(2000)28:3323-3331)。
【0102】
ヘリカーゼは、二重鎖DNA及びRNAを巻き戻すことに関わっている。1つの例では、DNAヘリカーゼのアッセイでは、巻き戻しの開始による一本鎖DNAから放射標識オリゴヌクレオチドの置換が検出される(Sivaraja Mら, Anal Biochem (1998) 265:22-27)。RNAヘリカーゼ活性のアッセイでは、シンチレーション近接(SPA)アッセイを使用して、一本鎖RNAから放射標識オリゴヌクレオチドの置換を検出する(Kyono Kら, Anal Biochem(1998)257:120-126)。
【0103】
ポリメラーゼは、新しく合成されたDNA又はRNA鎖の伸長を触媒する。それらの活性は、標識ヌクレオチドアナログを使用するアッセイでモニターすることができる。例えば、比色分析ポリメラーゼアッセイでは、標識ATP及びGTPを使用してRNA合成をモニターすることができる(Vassiliou Wら, Virology (2000)274:429-4537)。
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、ホスホジエステル結合の切断を触媒し、それによって、多くの細胞プロセスを制御しているサイクリックAMP等の環状ヌクレオチドを分解する。環状ヌクレオチドPDEの活性は、標識5' ヌクレオチド産物の選択的沈殿を使用して試験することができる(Schilling RJら, Anal Biochem(1994)216: 154-158)。あるいは、シンチレーション近接アッセイを使用して、放射標識5' ヌクレオチド産物を検出することができる(Bardelle Cら, Anal Biochem (1999)275: 148-155)。
【0104】
ホスホジエステラーゼは、リン脂質をセカンドメッセンジャーとして機能するか、又は様々な生物学的活性産物の生合成における前駆体となり得る脂質へ加水分解する。1つの例では、合成リン脂質アナログであるカルボノチオネート(carbonothonate)リン脂質の加水分解後に生じる反応産物の吸収を測定することによって、分光光学的アッセイでホスホリパーゼA活性を検出する(Yu Lら, Anal Biochem(1998)265:35-41)。
【0105】
サイクロフィリン、FK506結合タンパク質及びパラビリンス(paravulins)を含むペプチジル-プロリルイソメラーゼ(PPIase)タンパク質は、オリゴペプチドのシス-トランス プロリンペプチド結合の異性化を触媒し、細胞でのタンパク質合成の間のタンパク質フォールディングにとって必須であると考えられている。PPIase活性に関する分光光学的アッセイでは、異性体特異的吸収の直接測定、又はキモトリプシンによる異性体特異的切断へ異性化をカップリングさせることによるいずれかによって、標識したペプチド基質の異性化を検出することが可能である(Scholz Cら, FEBS Lett(1997)414:69-73;Janowski Bら, Anal Biochem(1997)252:299-307;Kullertz Gら, Clin Chem(1998)44:502-8)。代替アッセイでは、シンチレーション近接又は蛍光偏光アッセイを使用して、特定のPPIasesのリガンドをスクリーニングする(Granziani Fら, J Biolmol Screnn(1999)4:3-7;Dubowchik GMら, Bioorg Med Chem Lett(2000)10:559-562)。
【0106】
良く特徴つけられた基質及び活性部位、通常は単純な反応機構、そして反応機構の通常の保存のために、多くの異なる代謝酵素は、アッセイの開発をおこない易い。代謝酵素に関する多くのアッセイが開発されてきた。例えば、脂肪酸デサチュラーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼは、薬剤標的として検討されてきた2クラスの代謝酵素であり、殺虫剤標的として同様に適している。脂肪酸デサチュラーゼは、飽和脂肪酸分子への二重結合の挿入を触媒する。1つの実施態様では、デルタ-5及びデルタ-6脂肪酸デサチュラーゼ活性のインヒビターに関するラジオアッセイでは、薄層クロマトグラフィーを使用して脂肪酸基質の変換を検出する(Obukowicsら, Biochem Pharmacol(1998)55: 1045-1058)。グリコシルトランスフェラーゼは、グリコシル化パターンの変化を媒介し、その結果として、糖タンパク質及び/又は糖脂質の機能、そして、さらに下流で、発生、分化、形質転換及び細胞-細胞認識のプロセスに作用する。グリコシルトランスフェラーゼに関するアッセイでは、シンチレーション法を使用して、ポリアクリルアミドゲルとカップリングさせてプラスチックマイクロタイタープレート上にコーティングした合成糖ポリマーアクセプターへの放射標識した糖-ヌクレオチド供与体からの炭化水素の転移を測定する(Donovan RSら, Glycoconj J(1999) 16:607-615)。
【0107】
イオンチャンネルは、液体分泌、電解質バランス、生体エネルギー、及び膜興奮性を含む必須の生理学的機能を媒介する。チャンネンル活性に関するアッセイには、Gonzalez JEら(Drug Discovery Today(1999)4:431-439)に概説されているように、イオン感受性色素又はタンパク質、又は電圧感受性色素又はタンパク質を組み入れることが可能である。代替法では既知のリガンドの置換を測定し、放射標識又は蛍光標識することができる(例えば、Schmid ELら, Anal Chem (1998)70:1331-1338)。
【0108】
核ホルモンレセプターファミリーは、細胞外の環境変化への細胞の応答を可能にするリガンド-活性化転写因子を含む。これらレセプターは、良く特徴付けられた調節ドメインであり、阻害性化合物の設計を促進する。それらの活性は、コーアクチベーターによるリガンド依存性相互作用又は又は転写読み取りに依存するアッセイを通してモニターすることが可能である(Nishikawa Jら, Toxicol Appl Pharmacol(1999)154: 76-83;Burris TPら, Mol Endocrinol(1999)13:410-7)。さらには、現時点で核ホルモンレセプターに関して利用可能な結晶構造は、アンタゴニストの合理的設計に使用することができる(Shapira Mら, Proc. Natl. Acad. Sci USA (2000)97:1008-1013)。
【0109】
G-タンパク質共役レセプター(GPCR)は、多様な一連の生物学的機能を媒介する細胞表面レセプターの大きなファミリーを含む。それらは、選択的に、幅広い種々の細胞外化学的な刺激に応答して、特定のシグナル伝達カスケードを活性化する。アッセイは、レポーター遺伝子活性又は細胞内カルシウムイオンの変化、又は他のセカンドメッセンジャーを測定する(Durocher Yら, Anal Biochem (2000)284: 316-326; Miller TRら, J Biomol Screen (1999)4: 249-258)。このようなアッセイでは、多くの異なるGPCRと結合し、それによって「普遍的な」スクリーニングアッセイを容易にするキメラG-アルファタンパク質を利用することができる(Coward Pら, Anal Biochem(1999)270:242-248;Milligan G及びRees Sら, Trends Pharmacol Sci(1999)20:118-124)。
【0110】
GPCRは、その効果をヘテロ三量体Gタンパク質を介して発揮し、活性GTPと不活性GDP結合型の間を循環する。レセプターは、GDPとGTPの交換を促進することでGタンパク質の活性化を触媒し、その一方で、Gタンパク質は、その内在するGTPase活性を通してそれ自身の脱活性化を触媒する。GEFは、GDPの解離とGTP結合を加速し、その一方で、GAPは、GDPへのGTPの加水分解を刺激する。GPCR活性をモニターするのに使用する同じアッセイは、故に、GEF又はGAPの活性をモニターするのに応用することができる。あるいは、GEF活性を、適切なGTPaseによる標識GDPの遊離によって、又は標識GTPの取り込みによってアッセイすることができる;GAP活性は、標識GTPを使用して、GTP加水分解を介してモニターすることができる(例えば、Jones Sら, Molec Biol Cell (1998) 9:29819-2837)。
【0111】
時折、適切なアッセイの確立は、与えられた標的に関する適切なタンパク質結合パターンの同定に依存する。酵母ツーハイブリッド及び変異体スクリーニングによって、タンパク質-タンパク質相互作用のために好ましくて、確立された方法が提供される(例えば、Fashema SFら, Gene(2000) 250:1-14;Drees BL Curr Opin Biol (1999)3: 64-70;Vidal M及びLegrain P Nucleic Acids Res(1999)27: 919-29)。質量分析法によって、タンパク質複合体の解明にとって代替的で好ましい方法が提供される(例えば、Pandley A及びMann M, Nature (2000) 405:837-846;Yates JR3rd, Trends Genet (2000)16: 5-8)。
【0112】
現存するハイスループットアッセイと特定の標的が関連していない可能性のある場合でも、ハイスループット細胞ベース又は無細胞法を使用して、その活性をモニターすることが可能であろう。非共有結合的に結合したマルチタンパク質複合体は、多くの生物学的プロセスを媒介するので、そのような複合体を破壊することによって、多くの効果的な化学的アンタゴニストが機能する。推定上の標的がタンパク質機能にとって必須である複合体に属するならば、適切なアッセイでは、機能それ自体に代わって、複合体の形成又は生存をモニターすることができる。特異的結合活性を有するタンパク質の活性を検出するために、種々のアッセイが利用可能である。例示的なアッセイでは、蛍光偏光、蛍光偏光、及びレーザースキャンニング技術を使用して、蛍光的に標識したタンパク質、ペプチド、又は他の分子の結合を測定する(Lynch BAら, 1999, Anal Biochem 275:62-73;Li HY, 2000, J Cell Biochem 80: 293-303;Zuck Pら, Proc. Natl Acad Sci USA 1999, 96: 11122-11127)。他の例では、ストレプトアビジンでコーティングしたSPAビード上に捕獲されたビオチン化ペプチドプローブ及び放射標識パートナー分子を使用するシンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用して、結合活性を検出する。このアッセイでは、SPAビード内に固定化したシンチラントを介してペプチドプローブと結合した放射標識タンパク質を特異的に検出する(Sonatore LMら, 1996, Anal Biochem 240:289-297)。適切な細胞ベースアッセイは、複合体の2つタンパク質が、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)のコンプリメンタリー断片と融合している、タンパク質再構成に基づいている。DHFRの酵素活性は、2つの断片の適切なフォールディングに依存し、その結果、2つの複合タンパク質の結合に依存する。DHFRの2つの特性をアッセイすることが可能である。DHFRは、細胞生存アッセイにおいて、DHFRネガティブ細胞へ生存可能性を付与するか、又は、DHFRは、レポーターアッセイにおいて、蛍光基質と結合する(RemyI及びMichnick SW, Proc Natl Acad Sci (1999)96: 5394-5399)。
【0113】
細胞ベーススクリーニングは、通常は、標的タンパク質の組み換え発現のための系、及び特定のアッセイで求められる任意の補助タンパク質を必要とする。無細胞アッセイでは、たいてい、組み換え生産して精製した又は十分に精製したタンパク質を使用する。組み換えタンパク質の作製のための適切な方法によって、関連する生物学的活性を保持し、活性を最適にするのに十分な精製度、アッセイの再現性を保証する十分な量のタンパク質が作り出される。タンパク質の発現、産生、及び精製に関する技術は、当該分野で良く知られている(Higgins SJ及びHames BD(編) Protein Expression:A Practical Approach, オーックスフォード大学出版 インク., ニューヨーク 1999;Stanbury PFら, Principle of Fermentation Technology, 第2版, エルゼビア サイエンス, ニューヨーク, 1995;Doonan S(編)Protein Purification Protocols, Humana Press , ニュージャージー, 1996;Coligan JEら, Current Protocols in Protein Science(編), 1999, ジョン・ワイリー&サンズ, ニューヨーク)。タンパク質標的に関するアッセイでは、必要とされるタンパク質の発現、産生、及び精製にとって適切などんな方法でも用いてもよい。これらの方法には、発現又は精製したタンパク質の活性を定量し確認する手法が含まれる。一度、タンパク質が得られると、通常は、それを定量し、イムノアッセイ、バイオアッセイ、又は結晶化等の物理的特性の他の測定法等の適切な方法によって、その活性を測定する。
【0114】
殺虫剤の開発
殺虫剤化合物には、10,000未満、好ましくは5,000未満、より好ましくは1,000未満、そして最も好ましくは500未満の分子量を有し、典型的には有機、非ペプチド分子である、「小分子」と当該分野で呼ばれている化学剤が含まれる。このクラスのモジュレーターには、化学的に合成した分子、例えば、コンビナトリアル化学ライブラリからの化合物が含まれる。合成化合物は、標的タンパク質の既知又は推定された特性に基づいて合理的に設計又は同定されるか、又は、スクリーニング化学ライブラリによって同定することができる。有機リン酸、ピレスロイド、カルバメート、及び有機塩素等のkg応物クラスは、この型の小分子殺虫剤の典型である。代替殺虫剤には、天然物、特に、植物又は真菌等の生物体の二次代謝産物であり、標的調節活性のための化合物ライブラリをスクリーニングすることによっても同定することが可能である。化合物を作成して取得する方法は、当該分野で良く知られている(Schreiber SL, Science (2000)151: 1964-1969;Radmann J及びGunther J, Science (2000) 151:1947-1948)。他の殺虫剤には、バチルス・チューリンゲンシスのクリトキシン(Crytoxin)(Gillら, Annu Rev Entomol(1992)37: 615-636)及びフォトラブダス・ルミネセンス(Photorabdus uminescens)(Bowdenら, Science (1998)280: 2129-2132)の毒素等のタンパク質性毒素;及び標的遺伝子活性を妨害するdsRNA又はアンチセンス核酸等の核酸が含まれる。
【0115】
殺虫剤は、害虫又はその食餌源への直接応用を含む種々の手法によって送達することができる。さらには、毒タンパク質及び殺虫性核酸は、バイオ農薬的方法を使用して投与することが可能であり、その方法は、例えば、ウイルス感染、又は、植物摂取害虫によって消化されるトランスジェニック植物であって、妨害核酸配列を産するよう又は毒素タンパク質をコードするように操作されたものによる。
どんな候補殺虫性化合物についても、標的生物体に対する効果、毒素学、非標的生物体への副作用、環境への影響等を確かめるために、さらなる試験を行う。
(実施例)
【実施例1】
【0116】
殺虫剤標的のためのドロソフィラスクリーニング
図1は、ドロソフィラでの殺虫標的のスクリーニングをおこなうための遺伝的交配を示している。遺伝的交配を図示するのに使用したマーカー及び決まり事は、当該分野の熟練者に知られており、Lindsley DL 及びZimm GG(The Genome of Drosophila melanogaster(1992)アカデミック・プレス)にさらに記載されている。white(w+)ミニジーン(http://flybase.bio.indiana.edu/.bin/tpseq.html?FBms0000515)を有し、直接にFRT部位(GI172190, nt676-723)が隣接している〜5kbのピギーバックトランスポゾン(「pB[w+]」)を攻撃ベクターとして使用し、標準的な生殖細胞形質転換技術(Ashburner, 上掲)によって、X-バランサー染色体Binsnscy (「Bins」http://flybase.bio.indiana.edu/.bin/fbidq.html?FBab0010488)を有する同質遺伝子型w-バックグラウンドへ導入する。親挿入から新規挿入を区別することができるために、Bins上にピギーバックトランスポゾンが挿入された親宿主を選択した。「同質(iso)」という用語は、同質化された染色体を指す。
【0117】
最初の遺伝的交配(I)によって、上記のように、CyO第2染色体バランサーへ転移させたドロソフィラ アルファ1-チューブリン5' UTR及びK10 3' UTR(図1で「ΔpB」と標識された)のコントロール下で、親ピギーバック攻撃ベクターとピギーバックトランスポザーゼの源を一緒にした。トランスポザーゼを提供するハエストックは、w-同質遺伝子型のバックグラウンドでもあり、CyOに対してトランスの位置で、ドミナントSp第2染色体マーカーを有していた。親攻撃ベクターとトランスポザーゼの双方を有する劣性の雌子孫が回復した。それらは、これら動物の体細胞組織での攻撃ベクターの可動化を示す雑色の眼色に基づいて、Bar-及びSp+又はCy-として区別された。劣性の子孫は、同質遺伝子型のw- のハエと外部交配させてトランスポザーゼを分離し、新規挿入を回復する。2回目の交配からは、マークされたBinsバランサーから隔離されたw+眼色によって、新規の挿入を有する雄と雌子孫(「*・」によって示され、子孫は、任意の染色体に新規の挿入を有する可能性がある)が同定された。各新規な挿入を示す雄を回収するために、これらの動物をlacZ-タグCyOバランサー(「CyO{ryZ}」)とトランスにあるドミナント第2染色体マーカーSpを有する動物と単一で交尾させた。これら雄を、lacZ-タグCyOバランサーとトランスにあるドミナント第2染色体マーカーSpを有する雌と再交配(IV)させた。4回目の交配からの子孫の表現型に基づいた標準的な遺伝的方法を使用して、各挿入の染色***置を確かめた。X染色体上に挿入を有する動物は、w-の息子のみとw+の娘のみを産した。第2染色体に挿入を有する動物は子孫を産し、すべてのSp-子孫はw+又はCy-のいずれか、そして全てのCy-子孫はw+又はSp-のいずれかであった。どちらの状況も適用されないならば、挿入は第3染色体、又は無視できる程の百分率で第4染色体にあった。新規の挿入を有する兄弟の雄及び雌を収集し、交配(V)してストックを見出した。兄弟の交配の子孫を、ホモ接合型動物の有無に関して、眼色に基づいてスコアした。統一した眼色の子孫を産するストックをホモ接合致死としてスコアし、その一方で、兄弟と親よりも暗い顔色を有する幾つかの動物を産したストックをホモ接合型生存とした。第2染色体挿入を有するストックは、挿入がホモ接合型致死であることを示す、非バランサークラスの欠如について付加的にスコアすることができた。
これら方法は、およそ5600の安定な挿入系統のコレクションを作成するのに使用された。これらのおよそ1350が致死的挿入を有していた。
【実施例2】
【0118】
殺虫剤標的のための蛾のスクリーニング
タバコ青虫であるオオタバコガ(Heliothis virescens )での殺虫剤標的のスクリーニングでは、遺伝子発現解析を使用して新しい挿入を同定し、生存に必須であるようなものを優先順位をつける。このスクリーニングでは、種々の導入遺伝子成分をマークするための異なる発光スペクトルを有する3つの蛍光タンパク質(Tsien R, Annu. Rev Biochem (1998)67:509-544)とともに、GAL4/UAS成分を有するエンハンサートラップ系を使用する。攻撃ベクターの他に、2つの他の転移因子を使用して、トランスポザーゼ源とUAS依存性レポーター遺伝子を導入する。
【0119】
攻撃ベクター(「YFP-GAL4」)は、最少のプロモーターの下でGAL4を有し、強力なプロモーターのコントロールの下で、黄色蛍光タンパク質(YFP)でマークされる。YFPは初期マーカーとして機能し、最初の宿主動物の形質転換を検出するために、そして、導入遺伝子を有する全ての後の子孫をマークするために使用される。GAL4導入遺伝子は、その発現のために、挿入部位依存性制御因子に依存する。2番目の導入遺伝子は、UASコントロール(「GFP-UAS」)コントロール下でGFPレポーターを有し、GFP-UASとYFP-GAL4の双方を有する動物では、GFPは、攻撃ベクターが挿入される遺伝子の制御因子を反映するパターンで発現する。GFPは、さらには、導入遺伝子を有する全ての動物の眼での発現を指示する3xP3合成プロモーター(Berghammer, 上掲)のコントロール下にある。最後に、3番目の導入遺伝子はトランスポザーゼの源を有し、CFPマーカー遺伝子(「CFP-tpase」)でマークされている。
【0120】
導入遺伝子は、最初に、インジェクションによって、別々の宿主動物へ転移される。インジェクションした動物を野生型動物と交配させ、ストックを作るための適切なマーカー遺伝子を表示する子孫を選択する標準的な手法によって、適切な親宿主が得られる。YFP-GAL4及びGFP-UASストックでは、スクリーニングのために適したストックを選択する前に、さらなる解析を必要とする。UAS制御配列は、連結遺伝子の発現を促進するために、GAL4転写アクチベーターの存在に依存するので、適切な親GFP-UASストックは、眼組織では、3xP3連結GFP発現を除いて、GFP蛍光を表示しない。YFP-GAL4形質転換ストックからの個体をGFP-UAS導入遺伝子を有する個体へ交配させ、YFP-GAL4挿入部位に近接する内因性制御情報を反映するGFP発現に関して、子孫を解析する。好ましいYFP-GAL4ストックは、限定されたパターンでの一貫性のある発現を持つ。あるいは、少なくともYFP-GAL4ストックの1つが、GAL4を介して活性化されるGFP-UAS導入遺伝子の能力を指示する強くて、一貫性のある発現を示すならば、近傍のトランス作用制御因子配列がないことを反映する、発現がないか、又は低レベル発現を示すストックを選択することができる。
【0121】
一度、必須の導入遺伝子ストックが作成されて選択されると、遺伝的交配によって種々の因子が一緒になる。図2は、スクリーニングをおこなうために使用した遺伝的交配を示す;遺伝的交配を示すのに使用した決まり事は、当該分野の熟練者に良く知られている。最初の遺伝的交配(I)では、攻撃ベクターを可動化するために、YFP-GAL4及びCFP-tpaseを一緒にした。YFP及びCFPマーカーの双方を示す劣性子孫は、GFP-UASを有する動物と交配(II)させる。この交配から、3つのクラスの動物(1,2及び3)を得る。新規の発現パターン(3)でGFPを発現する動物は、故に、攻撃ベクターの新しい挿入を有しており、選択される。「*」は、新しい挿入を示す。親の発現パターン(2)でGFPを発現する動物は、選択されず、CFPマーカー(1)を示す動物も選択されず、故に、トランスポザーゼを有する。好ましい子孫は、GFP-UASレポター遺伝子の幅広い発現を表示するか、及び/又は必須組織、例えば腸、神経系、及び筋肉組織での発現を表示する。これら組織での遺伝子発現は、たいていは、必須機能の徴候である。好ましい子孫は、CFPマーカーの欠如によって証明されるように、トランスポザーゼも欠く。ストックを作るために、YFP-GAL4及びGFP-UASを有する個々の動物を野生型(WT)動物と外部交配(III)させる。攻撃ベクターにとってヘテロ接合型であるこの外部交配の兄弟を互いに交配(IV)し、新しい挿入が致死的なのか否かを評価する。致死性は、メンデル分離の法則の原理に従って評価する。好ましくは、少なくとも25、より好ましくは少なくとも50の子孫が解析に利用可能である。挿入がホモ接合型生存可能であるならば、子孫の4分の3がYFPマーカーを発現するはずである。それがホモ接合型致死的であるならば、3分の2のみがマーカーを発現するはずである。挿入が致死的でなければ、子孫は、生殖能力、移動運動、及摂食習慣等の欠陥について、さらに観察される可能性がある。そのような欠陥がYFPマーカーを表示する動物のみに起こり、4分の1(又はより少ない)の動物に起こるならば、攻撃ベクター挿入が原因であると思われる。
【実施例3】
【0122】
ドロソフィラ挿入のコレクションにおけるスプライストラッピングの証拠
ピギーバック挿入を有する同質遺伝子型のドロソフィラ系統のコレクションを作成した。ピギーバックトランスポゾンは、単一のスプライストラップカセット、すなわち、以前に、P因子ベクターからの異常なミススプライシングを促進することが示されたホワイト ミニジーン(white minigene)(mini-w+)を有していた(Goodwin, 上掲)。致死表現型へスプライストラップ配列の位置を関連させるために、3遺伝子の挿入、kubanian(kuz; http://flybase2.bio.indiana.edu/.bin/fbidq.html?FBgn0015954)、wing blister(wb;http://flybase2.bio.indiana.edu/.bin/fbidq.html?FBgn0004002)、及びcropped(crp;http://flybase2.bio.indiana.edu/.bin/fbidq.html?FBgn0001994)を解析した。スプライストラップ配列が効果的であるために、ホワイト ミニジーン(white minigene)(mini-w+)の方向は、ピギーバック挿入を有する内因性遺伝子のように、同じく関連した方向にあるべきである(即ち、転写の方向が同じ)。図3は、解析の結果を示す。kuzに4つの挿入があった。第2イントロンの1つ、第3イントロンの2つを挿入し、mini-w+をkuzのように反対の方向にした;これら挿入は致死的ではない。第3イントロンの4番目の挿入を、mini-w+がkuzのように同じ方向になるように挿入し、この挿入は致死的であった。wbには3つの挿入があり、第1イントロンには2つ、そして第4には1つであった。mini-w+がwbと同じ方向になるように、全てを挿入し、全ての挿入は致死的であった。3つの挿入がcrpにあった。第1イントロンに1つ、第2イントロンに1つを挿入し、mini-w+はcrpのように反対方向であった;これらは、致死的であった。第2イントロンの3番目は、mini-w+とともに、crpと同じ方向で挿入され、これは致死的であった。
【0123】
従って、kuz、wb、及びcrpのデータによって、トランスポゾン方向に致死性が関連付けられ、このデータは、mini-w+カセットへの異常なスプライシングが致死性の原因であるという仮説と完全に一致する。これらデータは、さらに、単一のスプライス トラップ カセットとともにスプライス トラップ トランスポゾンを使用し、トランスポゾンの方向へ致死性を関連させる方法は、新しいスプライス トラップ配列の効率を評価する効果的な手法であることを示す。
【実施例4】
【0124】
ピギーバック及びXPトランスポゾンの挿入可動化特性
形質転換及び再可動化
完全ピギーバックトランスポゾン(配列番号:1)内のHpaI部位(GTTAAC)へドロソフィラ ホワイト(white (w+)遺伝子をクローニングすることによって構築した。我々が正変異原としてのピギーバックの用途を評価したように、pB[w+]をスクリーニングの第1フェーズで使用した。スクリーニングのその後のフェーズでは、wでマークしたが、FRT組み換え部位、Su(Hw)配列、及びUAS部位で構築されたような付加的な機能性でマークしたピギーバックトランスポゾンも利用した。
【0125】
我々の最初のピギーバック形質転換実験では、ドロソフィラHsp70プロモーターのコントロール下で、ピギーバックコード化配列をP因子へクローニングし、それをCyOバランサー染色体へ移動させることによって構築したトランスポザーゼの安定な源である熱ショックヘルパープラスミド及びpB[w+]を利用した。我々は、平均7%で最初の形質転換体を回収した(熱ショック無しで)。5つの系統からの最初の挿入を、2〜15%の範囲の新しい挿入の頻度で、その後、再可動させた。熱ショックプロモーターによって基礎レベルの発現が可能となるが、熱ショック無しでは、我々は2番目の再可動を回復できない。我々は、誘導時間の範囲を試験し、最も良い条件は、発生の3-10日で、37℃のウォーターバスでの1日あたり1時間の熱ショックであることを見出した。さらに、再可動は、比較的に低頻度(10%)で回復した。可動化の割合を向上させる目的で、我々は、トランスポザーゼの源である上記のpP[a-tub:pBac]を、構成性プロモーター及び生殖細胞-安定3' UTRを有するように操作した;P[a-tub:pBac]をCyOへ組み込んだ。Binsnscyバランサー染色体上へ飛び込んだ挿入の中から選択された、容易に可動する攻撃トランスポゾンに関する系統の中からも選択することによって、我々は、大規模の遺伝的スクリーニングにおいて、非常に向上した割合(60%)を得ることができ、新規の挿入は劣性雌から収集された。トランスポザーゼ、99Bでのデルタ2-3の標準的染色体の源を使用して、XP再可動化の事象を同じ方法で収集した。XP因子は、同じ頻度(50%)で動き回ることが見出された。全ての系統の中のw導入遺伝子の発現は、極めて浅黄色から暗赤色の範囲にある。
【0126】
挿入の特徴付け
標準的マッピング クロスによって、トランスポゾン挿入(インサート)を染色体へ割り当てた;可能な場合に、複数のインサートを互いに分離した。インバースPCR(iPCR)によって、5' 及び/又は3' 末端からの隣接ゲノム配列を得て、ハエゲノムとのBLAST比較に使用した。回収を自動化し、ラボラトリ・インフォメーション・マネジメント・システム(LIMS)の中で配列を扱うために、我々はソフトウエアを作成した。隣接配列を、最初に、任意のベクターでマスクし、質について調製し、GenBankに寄託されているドロソフィラゲノム配列について探索した。ドロソフィラ ゲノム プロジェクトの完了によって、我々が、ピギーバック系統の76%及びXP系統の64%についての独特なゲノム領域を隣接配列と関連させることが可能になった。独特な位置にある多くのパーセンテージのピギーバック挿入は、大成功したピギーバック iPCRの速度及びより長い隣接配列の回収の双方によって説明できる。iPCRによって、隣接配列が回収できないラインは、その独特の位置を決定するには不十分な長さであったか、又は複数の位置へのマッピングが解析から除かれた。
【0127】
我々は、X及び2つの主要な常染色体に、挿入の幅広い分布を見出した。挿入のホットスポットは、両トランスポゾンについて明かである。30又はより多い挿入を有する50kbインターバルとしてホットスポットを定義すると、我々は、その多くが以前に同定したものと一致する21P(XP)ホットスポットを見出した。我々は、8つのピギーバック ホットスポットも見出した。しかしながら、このピギーバック ホットスポットの2つ(X及びIII)は、おそらくは、攻撃因子の局所的トランスポジションの結果である。本物のホットスポットとして局所なホップを除くと、我々は、1.6倍の挿入から3分の1以下のピギーバック ホットスポットを見出した。従って、ピギーバックは、それ自体がPよりもかなりよりランダムに分布する。
【0128】
FlyBase(www.flybase.bio.indiana.edu)に見出した遺伝子に関連する挿入の中の相対的な位置を決定することによって、我々はピギーバック挿入スペクトルを調べた。Pと比較すると、ピギーバックは、5' 配列に挿入されることは極めて無いように思われた。挿入は、3' UTRとともに、5' UTR、イントロン、エキソンで回収された。イントロン性の挿入には、偏りが存在する可能性がある。既知のドロソフィラのイントロンの高AT含量、及びピギーバックのテトラヌクレオチド標的部位(TTAA)を考えると、これは驚くことではない。Pと比較すると、開始と終止コドンの間にピギーバックが挿入される傾向が大きいことは、より高いパーセンテージの致死的挿入の回収を説明することを助ける。典型的なPのスクリーニングは、生存又は生殖能力に必要な遺伝子での10-15%の挿入を回収する(Cooly Lら, Science (1988)239: 1121-8)。我々は、すべてのピギーバックの中の22%、及びXPの17%の割合で劣性致死を回収する。
【0129】
二次ヒット及び切除解析
我々は、全体とファインスケールの双方で、ピギーバックについてのヒット及びランの可能性を評価した。全体のレベルでは、ピギーバックスクリーンから回収した劣性致死の表現型の99%は、トランスポゾンのように、同じ染色体にマッピングされた。さらに、試験されたおよそ全てのピギーバック致死挿入は、変異座を欠失させることが知られている欠陥を持つ染色体を補完しなかった。従って、第2の致死的変異の部位が存在したならば、それらは、局所的であったと思われた。我々は、これら系統の幾つかにさらなる試験を施して、遺伝性(生殖系)除去を起こし、そして、遺伝的及び分子的にこれら子孫を解析した。
【0130】
各ピギーバック除去によって染色体の致死的な表現型が回復し、ヒット アンド ラン事象等、バックグラウンドの無いことが致死的であることを示すことを、我々は見出した。各切除は、さらに、遺伝的意味で事象の「正確」な性質を支持する、対応する欠損のある染色体も補完する。挿入部位に隣接するプライマーを使用して、元々の挿入部位の周りの切除染色体の配列を決定した。全ての場合で、TTAA標的部位重複が野生型へ修復された。結果を表1に示す。「非補完欠損」は、ブルーミントン・ストック・コレクション・ナンバー(Bloomington stock collection number)で示されている。
【0131】
Figure 2004529644
【0132】
遺伝子飽和
理想的なトランスポゾン コレクションは、少なくとも各遺伝子について1タグを有するであろう。進行中の公的なP因子遺伝子破壊プロジェクト(P-element Gene Disruption Project )(Spradling ACら, Genetics (1999) 153: 135)は、表現型に関係なく、全てのドロソフィラ遺伝子を破壊することを目標としている。ランダムに作成したインサートよって、スクリーニングの初期で、最も大きな割合の新規遺伝子タグが作られることを期待することができる。減退が戻り、次いで、全ての残存する遺伝子をタグする手法では、不釣り合いに大きな努力を必要とする。我々のXP及びピギーバックスクリーニングからの多くの系統によって、我々が、両因子の遺伝子タギング頻度を調べるこが可能となった。トランスポゾンが開始と終止コドンの間に挿入されたか、又は、開始コドンの1,000bp内にあれば(プロモーター/制御因子の破壊を推定して)、飽和を測定するために、我々は遺伝子を最初に定めた。5,849完全長cDNAの品質管理されたセットを示す、BDGPドロソフィラ遺伝子コレクション(DGCr1.0)のキュレーションに従って、遺伝子を定めた。ドロソフィラゲノムの高密度な遺伝子の性質のために、幾つかのトランスポゾンを1つの遺伝子より多いタギングとしてカウントすることになる。ホットスポットが原因で期待されるように、XPによってタグされた新規遺伝子の戻りの割合は、急に低下した。逆に、ピギーバックは、6,000の挿入の後でさも、理にかなった頻度で新しい遺伝子のヒットを作り続けた。Pのみの使用では、87%のゲノム飽和には、最高で150,000の挿入のスクリーニングを必要とするであろうことが見積もられている。Pのみを使用して全てのドロソフィラ遺伝子をタグする試みでは、最初は解析し、その後は処分すべき数千もの重複する系統が必ず作成されることを、ホットスポット現象は示している。ピギーバック因子のよりランダムな分布は、飽和タギングの選択を支持する。
【0133】
因子の安定性
我々のドロソフィラストックでは、我々は、ピギーバックトランスポザーゼ又はピギーバックトランスポゾンのいずれかによる交差移動の証拠を見出さなかった。構成的に活性なピギーバック トランスポザーゼを有するストックは、1年以上、完全に安定していた。初期の形質転換からの早期ピギーバック挿入は、2年以上、安定に維持された。我々は、ピギーバック トランスポザーゼとP因子末端(及びその逆)の間には、検出可能な相互作用を見出さなかった。実際に、我々は、P形質転換によって、ドロソフィラゲノムへピギーバック トランスポザーゼを導入した。デルタ2-3Pトランスポザーゼ等を含有するピギーバック因子を持つストックは、安定に維持された。2つの因子間の交差移動を欠くことは、Pバックグラウンドでピギーバックスクリーンを補完することを容易にする(逆も同じ)。ピギーバック プローブによるサザン解析では、我々のドロソフィラストックに関連する配列を検出できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】さらに実施例1に記載されている、ドロソフィラ の殺虫剤標的についてのスクリーニングをおこなうために使用された遺伝的交配を示す。
【図2】さらに実施例2に記載されている、オオタバコガ(Heliothis virescens)の殺虫剤標的に関するスクリーニングをおこなうための遺伝的交配を示す。
【図3】さらに実施例3に記載されているように、ドロソフィラ ゲノムのイントロン配列へ挿入された場合に、スプライス・トラップ配列を含むピギーバック・トランスポゾンが効率的に致死的挿入物を生成するを示した分析の結果を示す。

Claims (14)

  1. a)宿主系内の昆虫細胞においてトランスポゾン挿入を作成し;
    b)該トランスポゾン挿入が致死的挿入か否かを確かめ;
    c)(b)で同定された致死的挿入と一致する致死遺伝子を同定し;
    d)タンパク質産物の機能を阻害する薬剤が殺虫性薬剤と同一である、(c)で同定された致死遺伝子のタンパク質産物の機能を特異的に阻害する能力に関して候補殺虫性薬剤をスクリーニングすること、を含んでなる、殺虫性薬剤を同定する方法。
  2. 昆虫細胞がインビボ生殖細胞であり、前記宿主系が昆虫である、請求項1の方法。
  3. (i)前記生殖細胞のゲノムの1番目の部位へのトランスポゾンの挿入によって遺伝的に改良された昆虫を得ること;
    (ii)前記生殖細胞へトランスポザーゼを含んでなるコンストラクトを導入し;及び
    (iii)生殖細胞のゲノムの2番目の部位へのトランスポゾンの組み込みを媒介するトランスポザーゼの発現を起こすこと、を含んでなる段階によって、トランスポゾン挿入が作成される請求項6の方法。
  4. トランスポゾンがXP因子である、請求項1方法。
  5. トランスポゾンがピギーバックである請求項1の方法。
  6. 前記トランスポゾンがスプライストラップ配列を含む、請求項4又は5の方法。
  7. 昆虫細胞がドロソフィラからのものである、請求項1の方法。
  8. 昆虫細胞が穀物害虫種からのものである、請求項1の方法。
  9. 致死遺伝子が酵素又は可溶性タンパク質をコードする、請求項1の方法。
  10. 酵素又は可溶性タンパク質が、プロテインキナーゼ、プロテインホスファターゼ、プロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、トポイソメラーゼ、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、ホスホジエステラーゼ、ホスホリパーゼ、プロリルイソメラーゼ、核ホルモンレセプター、GTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)、及びグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、及び代謝酵素で構成される群から選択される、請求項9の方法。
  11. 致死遺伝子が膜タンパク質をコードする、請求項1の方法。
  12. 膜タンパク質が、Gタンパク質共役レセプター(GPCR)、プロテインキナーゼレセプター、リガンド依存性イオンチャネル 、電圧依存性イオンチャンネル、及びトランスポーターで構成される群から選択される、請求項11の方法。
  13. 各系統が、少なくとも1つのピギーバック トランスポゾンでランダムに変異され、基本的に昆虫のゲノムの各遺伝子が、少なくとも1つの昆虫系統のピギーバック トランスポゾンで変異されている、トランスジェニック昆虫系統を含んでなる生物学的アレイ。
  14. 各系統が、少なくとも1つのピギーバックトランスポゾン又はXPトランスポゾンでランダムに変異され、基本的に、昆虫のゲノムの各遺伝子が、少なくとも1つのドロソフィラ系統のピギーバック トランスポゾン又はXPトランスポゾンによって変異されている、トランスジェニック ドロソフィラ系統を含んでなる生物学的アレイ。
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