JP2004529225A - 2,9−ジクロロキナクリドン顔料 - Google Patents
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Abstract
その粒子形状及び粒度によって指定され、マストーンにおけるCIE色空間値によって特性決定される高彩度不透明なγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料及びその製造方法を開示する。新規なγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、塗料、たとえば自動車用塗料及びプラスチックを着色するのに特に有用である。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,9−ジクロロキナクリドン顔料、特に、顕著な色特性を有する新規な形態のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料、その製造及び高分子量有機材料における顔料としてのその使用に関する。
【0002】
5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジン−7,14−ジオンとも呼ばれるキナクリドンは周知の高性能有機顔料である。特に、式(I)の線状2,9−ジクロロキナクリドンは、その抜群の顔料特性及びマゼンタ顔料としてのその使用に関して公知である。
【0003】
【化1】
【0004】
いくつかの特許が2,9−ジクロロキナクリドンの製造及び仕上げを記載している。たとえば、US3,157,659は、硫酸の存在におけるα−、β−及びγ−2,9−ジクロロキナクリドンの製造を記載している。
【0005】
さらには、US4,895,949は、出発キナクリドン材料を、アルコール及び塩基の存在下、周囲温度又は周囲温度に近い温度で微粉砕することにより、少なくとも一つのキナクリドン誘導体と親キナクリドンとの顔料固溶体を製造する方法を開示している。
【0006】
DE2,753,357は、予備粉砕した2,9−ジクロロキナクリドンを界面活性剤の存在下85℃で水性アルカリ媒体と接触させることによって顔料形態に転換する方法を記載している。
【0007】
US5,194,088は、粗顔料を予備粉砕することと、予備粉砕した顔料を約50℃未満の温度で極性有機溶媒と接触させることから本質的になる、粗有機顔料を顔料形態に転換する方法を記載している。
【0008】
US5,095,056には、エンジニアリングプラスチック基材及びコーティングを着色する方法であって、30m2/g未満の比表面積を有する2,9−ジクロロキナクリドンの有効着色量を前記エンジニアリングプラスチック又はコーティングに配合することを含む方法が記載されている。この特許は、特に、小さめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドンに対する大きめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドンの熱安定性の増大を強調している。
【0009】
実際に、優れた熱安定を有するが、ただし他の顔料特性を犠牲にした、比表面積30m2/g未満の大きめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドン顔料が市販されている。特に、それらの彩度及び隠蔽力はまだ望みよりも低く、それらの色相は黄色がかった赤である。このような顔料は、広い顔料粒度分布及び不規則な粒子形状を有する。電子鏡検法によって示されるように、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は、少なくとも5:1、たとえば5:1〜15:1である。顔料粒子は非常に多様な形状を示す。
【0010】
US5,084,573は、粗2,9−ジクロロ−キナクリドンを、極性溶媒中、脂肪族長鎖硫黄化合物及び塩基の存在で小板形態に転換することを開示している。
【0011】
驚くことに、2,9−ジクロロキナクリドンは、0.1〜0.8μmの範囲の平均粒度及び11〜23m2/gの範囲の比表面積をもつ本質的に等軸晶ないし斜方晶の粒子形状(軸どうしがほぼ直交し、コンパクトなアスペクト比をもつ短い棒状)をもつそのγ結晶形で、驚くほど高い彩度、きわめて高い不透明度及び優れた耐候性挙動をもつ独特なマゼンタ(青みがかった赤)の色合いを示す。高い光沢の非常に薄い隠蔽層をたとえばコーティング中に得ることができる。電子鏡検法によって示されるように、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は1:1〜3:1である。
【0012】
高い彩度及び不透明度は非常に望ましい顔料特性であり、いずれも望ましくはあるが同時に達成することは非常に困難である。したがって、新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、新たなスタイリングの機会及び特に他の有機、無機又は特殊効果顔料と組み合わせた非常に低廉な新たな色合いの生成を塗料製造者に提供するため、価値がある。したがって、色相、彩度及び不透明度の違いが商品的に相当重要になることがある。抜群の堅牢性、その優れた流動学的性質及び独特な色特性のおかげで、プラスチック及びコーティングの用途、特に自動車用塗装系における使用に非常に適している。
【0013】
図1は、本発明γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料のX線回折図である。x軸は二重視射角(゜2θ)を反映し、y軸は回折光線の強さを反映する。
【0014】
図2は、α/γ−2,9−ジクロロキナクリドン混合物及び2θ角27.8度のピークで1.2〜1.5の半値幅を示す予備粉砕した2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折図である。x軸値は゜2θであるが、y軸値は、図1に比較して2.5倍に拡大されている。
【0015】
図3は、例1Cにしたがって得られた2,9−ジクロロキナクリドンの電子顕微鏡写真である。
【0016】
本発明は、その結晶形、顔料粒度及び形状、その比表面積ならびにその色特性によって指定される新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料に関する。色空間値は、たとえば顔料マストーンの吹付け塗装パネルから公知の計測(以下に記す)によって得られる。顔料マストーンは、一つの顔料だけを使用して基材を着色していることを意味する。色空間値は、Commission Internationale de l'Eclairage(CIE)(DIN5033パート3、DIN6174)のL*C*h系に基づく色相角を使用して定義される。L*C*h系は、1976CIE L*a*b*色空間(以下、CIELab又はCIELab系と呼ぶ)と相関している。
【0017】
本発明のγ−2,9−ジクロロキナクリドンの色空間値は以下の値を特徴とする。
【0018】
【表1】
【0019】
色計測は、スペクトル成分をもつ大面積視で、DATACOLOR Internationalによって販売されるAppliedColor Systems社のACS、CS-5クロマセンサに対してACSカラリメータプログラムを使用して実施される。
【0020】
色データを計測するためには、まず顔料を基材、たとえば、例5に記載されているようなアクリル塗装系又は例9に記載されているようなポリエステル塗装系に配合する。そして、着色された基材、たとえば塗装されたパネル又は着色されたプラスチックシートの色を計測する。色は、いかなる背景色も認めることができないような程度まで基材が着色されていることを意味する「完全隠蔽」で計測する。「完全隠蔽」では、塗装されたパネルの背景色又は着色されたプラスチックシート越しの背景色を視ることはできない(色計測は、背景としてたとえば黒いパネルを使用した場合と白いパネルを使用した場合とで同一の結果を出す)。実用には、白黒背景で計測される色差△E*が8以下、好ましくは≦4.8であるならば、アクリル又はポリエステルエナメル塗料で不完全な隠蔽で計測し、明度(L*)、彩度(C*)及び色相角(h)ごとに白及び黒の平均値をとることで十分である。場合によっては、着色されたアクリル又はポリエステルエナメルの上に透明なクリアコートを色が変わらないように十分な薄さで被着することもできる。
【0021】
適切な基材は、ラッカ、インク、塗料及びプラスチックを含む。特に適切な塗料は、自動車産業で従来から使用されているベースコート/クリアコート系を含む。特に適切なプラスチックは、ポリハロゲン化ビニル、特にポリ塩化ビニル及びポリオレフィン、たとえば低密度もしくは線状低密度又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びABSを含む。
【0022】
新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、マゼンタ顔料の場合に非常に高い不透明度を示す。不透明度又は隠蔽力は、塗料が基材の色又は色の違いを隠す能力である。これは、黒い基材上の塗料の反射と白い基材上の塗料の反射との比較計測によって測定される。たとえば黒及び白のガラス板又は対比カードをそのような基材として使用することもできる。
【0023】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、図1に示す、γ−2,9−ジクロロキナクリドンに典型的なX線回折図を示す。
【0024】
したがって、新規なγ−2,9−ジクロロキナクリドンは、27.8の±0.2 2θ二重視射角に対応する一つの強いピーク、5.2、15.1、16.4、22.9及び23.3に対応する五つの中強度のピークならびに15.7、19.2、21.2、24.4、25.2、26.5及び28.9に対応する七つの比較的弱いピークを有するX線回折図によって特性決定される。本出願に関して、「強い」とは、60%を超える相対強さを有することをいい、「中間」とは20〜60%をいい、「弱い」とは20%未満をいう(例1Cのデータを参照)。
【0025】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の主要な特徴は、その狭い粒度分布及び本質的に等軸晶ないし斜方晶のような形のその一次顔料粒子形状であり、電子顕微鏡写真による測定で、粒子の少なくとも90%が0.1〜0.4μmの幅及び0.1〜0.8μmの長さを有し、粒子の少なくとも60%が0.1〜0.3μmの幅及び0.1〜0.6μmの長さを有することである。一次粒子は、単独であることもできるし、双晶として凝集又はいっしょに成長することもできる。
【0026】
好ましくは、顔料結晶は、以下の比で留まるならば、本質的に等軸晶又は正方晶である。長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は、1:1〜3:1、好ましくは1:1〜2:1、もっとも好ましくは1:1〜1.5:1である。換言するならば、長い方の寸法:短い方の寸法の比は3:1未満であり、あるいはまた、1:1よりも大きく、かつ、3:1よりも小さい。さらに、このような寸法の比は1:1〜1:2である。好ましくは、一次粒子の少なくとも60%(より好ましくは80%〜100%)がこの範囲に当てはまり、ほぼ長方形の外形を有する(対向する面の間の二面角が0゜〜約20゜、好ましくは0゜〜10゜、もっとも好ましくは平行であり、隣接する面の間の二面角が約70゜〜90゜、好ましくは80゜〜90゜、もっとも好ましくは直交である)。
【0027】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、BET法による測定で11〜23m2/g、好ましくは13〜21m2/g、もっとも好ましくは14〜19m2/gの比表面積を示す。
【0028】
本2,9−ジクロロキナクリドンはまた、塗装系、たとえば自動車用塗装系に配合されると、抜群の粘性挙動を示す。
【0029】
さらには、本2,9−ジクロロキナクリドン顔料を含有する塗料を吹き付けられたパネルは、種々の光源、たとえば薄明かりもしくは陽光又は種々の人工光源にさらされた場合でもメタメル現象を示さず、高彩度マゼンタ色を維持する。
【0030】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドンは、優れた顔料特性、たとえば高い不透明度、優れた流動学的性質、熱安定性及び耐候性挙動ならびに顕著に良好な抗凝集性を有する。分散させやすく、高い色強度で速やかに発色する。
【0031】
本顔料は優れた塗布性を示すが、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の顔料特性をさらに改善するため、場合によっては、対応する製造工程の前、最中又は後で質感向上剤及び/又は凝集防止剤を加えることもできる。
【0032】
質感向上剤及び/又は凝集防止剤は、好ましくは、γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料、質感向上剤及び/又は凝集防止剤の混合物の合わせた重量に基づいて0.05〜20重量%、もっとも好ましくは1〜10重量%の量で本γ−キナクリドン顔料に配合される。
【0033】
質感向上剤は、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の性質を改善するさらなる成分として特に有用である。適当な質感向上剤は、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸及び脂肪酸のアミド、エステル又は塩を含む。典型的な脂肪酸誘導質感向上剤は、脂肪酸、たとえばステアリン酸又はベヘン酸ならびに脂肪アミン、たとえばラウリルアミン及びステアリルアミンを含む。加えて、脂肪アルコール又はエトキシル化脂肪アルコール、ポリオール、たとえば脂肪族1,2−ジオール、グリセロールモノステアレート又はポリビニルアルコールならびにエポキシ化大豆油、ロウ、樹脂酸及び樹脂酸塩が適当な質感向上剤である。
【0034】
凝集防止剤は顔料産業で公知であり、レオロジー改善剤、たとえば顔料誘導体、たとえばスルホン酸、スルホン酸の塩、たとえば金属もしくは第四アルキルアンモニウム塩又はスルホンアミド誘導体としてもしばしば使用される。一般に、引用例として本明細書に取り込むUS3,386,843又はUS4,310,359に記載されているような顔料クラスからの顔料の誘導体である凝集防止剤を使用することが好ましい。
【0035】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、その抜群の耐薬品性、熱安定性、耐候・耐光安定性のおかげで、種々の基材、たとえば無機材料及び特に高分子量有機材料の着色に非常に適している。したがって、本発明は、本顔料の有効着色量を高分子量有機材料に配合することを含む、高分子量有機材料を着色する方法ならびに高分子量有機材料及び本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の有効着色量を含む組成物に関する。
【0036】
有効着色量は、高分子量有機材料中で所望の色を提供するのに適した量である。特に、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、着色される高分子量有機材料の量に基づいて0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%の量で使用される。
【0037】
本顔料で着色された着色高分子量有機材料は多様な用途で有用である。たとえば、本顔料は、ラッカ、インク、エナメル塗料及び熱可塑性又は熱硬化性ポリマーの着色に有用である。
【0038】
本顔料で着色される高分子量有機材料は一般に103〜108g/molの範囲の分子量を有し、たとえば、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリシクロアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリハロゲン化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル及びメタクリルポリマー、ゴム、シリコーンポリマー、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂ならびにジエンゴム又はそれらのコポリマーである。
【0039】
熱硬化性コーティング又は架橋した化学反応性コーティングに有用である高分子量有機材料もまた、本顔料で着色される。本発明にしたがって製造される着色された高分子量有機材料は、通例の結合剤を含み、高温で反応性である仕上げ剤で特に有用である。これらの仕上げ剤は、当該技術で公知の溶媒又は水性もしくは粉末塗装系から得ることができる。コーティングに使用される着色された高分子量有機材料の例は、アクリル、アルキド、エポキシ、フェノール、メラミン、尿素、ポリエステル、ポリウレタン、ブロックされたイソシアネート、ベンゾグアナミンもしくはセルロースエステル樹脂又はそれらの組み合わせを含む。本発明にしたがって製造される着色された高分子量有機材料はまた、たとえば化粧品用途における自然乾燥又は物理乾燥コーティングとして有用である。
【0040】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、自動車産業で従来から使用されている水性及び溶媒ベースのコーティング、特にアクリル/メラミン樹脂、アルキド/メラミン樹脂又は熱可塑性アクリル樹脂系ならびに粉末コーティング及びUV/EB硬化塗装系を調製するのに特に適している。
【0041】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料で着色されたコーティング及びインク系は、高い光沢、高い不透明度、優れた耐熱、耐光及び耐候堅牢性ならびにブリード及びオーバスプレー堅牢性を有する。
【0042】
本顔料は、2,9−ジクロロキナクリドン粗原料から、製造される顔料粗原料及び仕上げ工程が重要である方法にしたがって製造される。適当な仕上げ方法は、たとえば2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンを、触媒の存在で、酸化剤として過酸化水素を用い、場合によっては顔料粒子成長及び粒子位相指向剤の存在で、2,9−ジクロロキナクリドン顔料へと酸化させる直接着色処理によって得られる2,9−ジクロロキナクリドンから出発する。
【0043】
2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、いかなる結晶変態又は結晶変態の混合物、たとえば公知のα、β又はγ形を有することもでき、好ましくは、γもしくはα結晶形又はそれらの混合物を有する。2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、場合によっては、無機塩、たとえば硫酸ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化ナトリウムの存在で予備粉砕する。好ましい手法では、顔料粗原料を、10〜30%無機塩、たとえばNaCl、CaCl2、Na2SO4又はAl2(SO4)3の存在で、水和水を用いるか用いないで予備粉砕する。好ましい粉砕混合物組成は、顔料粗原料75〜85%及び無水Na2SO415〜25%である。
【0044】
本明細書で使用する「予備粉砕」とは、液体の完全な非存在における粉砕又は、液体、たとえば位相指向性溶媒又は界面活性剤が使用されるとしても、ミル仕込み原料が粉末の特性を維持し、わずかな量(最大で顔料の約10重量%)、すなわち後続の溶媒処理工程で本γ−2,9−ジクロロキナクリドンへの転換に影響しないような量でしか存在しない場合の粉砕をいう。
【0045】
上記仕上げ処理の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料の予備粉砕は、たとえば、水平又は垂直ビーズミル、たとえば磨砕機もしくはボールミル又は当該産業で公知の高速ミキサ中で実施される。場合によって存在する無機塩が粉砕助剤として働き、流動する能力を高め、ひいては、得られる予備粉砕粉末の排出量を増すことができる。
【0046】
予備粉砕処理は公知であり、多様な方法で達成することができる。したがって、12.7mmの鋼球及びルーフィングネイルを用いて予備粉砕することも可能であるし、金属磨砕及びそれに伴う希酸による顔料抽出の必要性を避けるため、12.7mmの高密度高アルミナセラミック球又はロッド(DiamoniteProducts Manufacturing社)を用いて予備粉砕を達成することもできる。酸化物の溶融によって結晶質ジルコニア相及び非晶質シリカ相でできた粒度0.1〜2.5cm、好ましくは0.5〜1.0cmのセラミックビーズが特に適している(QuartzProducts社の製品)。多様なサイズの粉砕媒を使用することができるが、前述したサイズが好ましい。粉砕装置は公知であり、ボールミル、すなわち、金属又は磁器の球、好ましくはセラミックビーズを充填した磨砕ミルが適している。
【0047】
得られる予備粉砕粉末は、X線回折図のブロードピークによって示されるように、凝集性が高く、結晶性が低い。予備粉砕粉末は、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.2〜1.5の範囲である、2θ角27.8度での半値幅の計測によって特定される。
【0048】
そして、予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンを極性有機溶媒中で後処理に付す。驚くことに、予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンは、選択される極性溶媒、たとえばジ(N−C1〜C8アルキル、好ましくはメチル)アセトアミド、ホルムアミド、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ジ(C1〜C8アルキル)スルホキシド、スルホラン、ジ(N−C1〜C8アルキル)ホルムアミド及びN−C1〜C8アルキル−ピロリドン、もっとも好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はN−メチル−ピロリドン(NMP)だけにより、本γ−2,9−ジクロロキナクリドンに転換することができる。当業者はまた、オキソ基及び約2.8〜約6.0デバイ単位(ベンゼン中25℃で計測して2.8〜6.0・10-18esu)、好ましくは3.8〜5.0デバイ単位(3.8〜5.0・10-18esu)の双極子モーメントμを有するようなものの中から選択される他の極性有機溶媒を考慮し、溶媒和することを考えるであろう。考慮される代替溶媒は、好ましくは親水性であり、もっとも好ましくは水とでいかなる比ででも混和可能であるべきであり、たとえばテトラメチル尿素である。
【0049】
予備粉砕顔料又は顔料塩混合物は、まず、たとえばふるい分けによって粉砕媒から分別し、次に、極性の高い溶媒中に、適宜に粉砕助剤として使用される無機塩とともに懸濁させる。
【0050】
極性溶媒中の後処理工程を適当な設備、たとえば混練機又は好ましくは攪拌器を備えた容器で実施して、溶媒と顔料粒子との完全な接触を保証する。好ましくは、最終生成物に望まれる顔料特性に依存して、懸濁液を、60℃超〜240℃までの温度、もっとも好ましくは100〜200℃で5分〜20時間、好ましくは30分〜5時間攪拌する。極性の高い溶媒は一般に、顔料の重量の5〜20倍、好ましくは8〜15倍の範囲の量で存在する。極性溶媒が液体であり、熟成条件下で安定である限り、熟成処理は、場合によっては不活性雰囲気中、いかなる圧力(たとえば104〜106Pa)で実施してもよい。
【0051】
予備粉砕粉末と溶媒との接触が、凝集した顔料粉末を解凝集させ、粒子熟成を受けさせる。熟成(再結晶)は、粒子が、必要ならば部分的に非晶質状態又は望ましくない結晶変態から結晶性の高いγ相に転換される間、所望の形状及び粒度を帯びる過程である。溶媒処理を実施するときの高温のおかげで、熟成工程は、時間の関数として容易に制御することができる。
【0052】
有利には、添加物、たとえば位相指向剤、成長阻害剤、分散剤などの通例の量での添加は当然可能であるが、本方法はそのような化合物の存在を要しない。それどころか、添加物の完全な非存在でより良好な結果が得られるということがわかった。
【0053】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドンを製造するときに考慮すべきもう一つの側面は、使用される2,9−ジクロロキナクリドン粗原料の純度である。驚くことに、純度が高ければ高いほど、より良好な(より等軸晶寄りの)アスペクト比が得られるということがわかった。したがって、高純度の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料、すなわち、出発原料をほとんど含有しない粗原料、たとえば2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドン又は他の副生成物、たとえば過酸化水素を用いる酸化以外の合成を含むキナクリドン合成の際に生成される2,9−ジクロロキナクリドンキノンなどを使用することが適当である。
【0054】
高純度2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、2,9−ジクロロキナクリドンを濃硫酸に溶解させる分光法による計測で、好ましくは、少なくとも97%、もっとも好ましくは97.5%超の純度を有する。有利には、高純度2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、引用例として本明細書に取り込むUS5,840,901に記載されているように、酸化促進触媒、たとえばキノン化合物の存在で酸化剤として過酸化水素を用いる6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化によって調製される。
【0055】
最終的な顔料粒度は溶媒処理の際に生成されるため、顔料は、ろ過し、プレスケークを水及び/又は有機溶媒、たとえばアルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノールで洗浄し、乾燥させることによって直接単離することができる。
【0056】
この革新的な2,9−ジクロロキナクリドンは、市販のマゼンタ顔料、たとえば不透明なβ−キナクリドン又は他の市販の大粒度2,9−ジクロロキナクリドン顔料に比較して、高い不透明度及び抜群の顔料特性を持つ独特な高彩度マゼンタ色を呈する。
【0057】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、白黒の背景で結合剤に対する顔料の重量比0.18を有し、確立された工業的手法にしたがって調製され、計測された厚さ25±5μmのアクリル又はポリエステルエナメル塗装系で適切に計測して△E≦(以下)8、好ましくは≦4.8、もっとも好ましくは≦4.0の極めて高い不透明度を示す。このような不透明度は、従来の2,9−ジクロロキナクリドンマゼンタ顔料のいずれによっても到達することはできない。
【0058】
以下の例が本発明の種々の実施態様を示すが、本発明の範囲がそれに限定されることはない。例中、断りない限り、部はすべて重量部である。X線回折図は、RIGAKU GEIGERFLEX回折計タイプD/MaxII v BXで計測した。上記のようにCS-5クロマセンサ分光光度計を使用して比色データを得、Zeissタイプ910電子顕微鏡で電子顕微鏡写真を撮影した。
【0059】
例1A
US5,840,901に記載されているように酸化剤として過酸化水素を用いる2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化によって得られる、比表面積7.2m2/g及び分光光度計測による2,9−ジクロロキナクリドン純度97.8%の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料を以下の手順にしたがって予備粉砕した。
【0060】
Lアームを装着し、MOH硬度7.5、ロックウェル45N硬度60〜65、衝撃強さ3.0kg/cm及び圧縮強さ8500kg/cmの直径0.6cmのセラミック粉砕媒3.78リットルを含むUnionProcess社(米オハイオ州Akron)製の1-SDG Attritor(商標)ミルに2,9−ジクロロキナクリドン粗原料500gを仕込み、窒素を流しながら500rpmの回転速度で顔料を60分間微粉砕した。微粉砕サイクルの最後に、回転が続く間に15分間ミルの底の弁を開くことによって生成物を回収して、低い結晶度の高度に凝集した褐色の粉末を得た。
【0061】
例1B
さらなる量の無水硫酸ナトリウム75gを磨砕機に仕込んで例1Aの手順を繰り返して、高収率で容易に排出することができる低い結晶度の高度に凝集した均質な褐色の粉末を得た。
【0062】
例1C
温度計、攪拌器及び凝縮器を備えた1リットルのフラスコにNMP500mlを仕込み、室温(20〜27℃)で攪拌した。例1Aの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末55gをゆっくりと加えた。懸濁液は薄く、攪拌しやすかった。さらに50mlのNMPを加えて漏斗をすすぎ、30分間かけて懸濁液を150〜153℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌した。その後、加熱なしで、温度を60〜65℃に低下させながら懸濁液を30分間攪拌し、最後にろ過した。プレスケークをメタノールで洗浄したのち水洗し、乾燥させて、微粉砕後に塗料、インク及びプラスチックに使用することができる高彩度高不透明度マゼンタ顔料を得た。
【0063】
図3に示すように、電子顕微鏡写真は、等軸晶形又は斜方晶形(軸どうしがほぼ直交する短いロッド状)を有し、少なくとも90%が幅0.1〜0.4μm及び長さ0.1〜0.8μmを維持する顔料粒子を示す。
【0064】
X線回折図は、以下のデータをもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンに特徴的なパターン(図1)を示す。
【0065】
【表2】
【0066】
例2
NMPの代わりに同量のジメチルスルホキシド(DMSO)を極性溶媒として使用して例1Cの手順を繰り返して、類似した色特性及び類似した良好な顔料特性をもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンを得た。
【0067】
例3
例1Aの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末の代わりに同量の例1Bの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末を使用し、極性溶媒としてNMPの代わりに同量のジメチルホルムアミド(DMF)を使用し、懸濁液を環流温度で4時間攪拌して例1Cの手順を繰り返して、類似した色特性及び類似した良好な顔料特性をもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンを得た。
【0068】
例4
懸濁液を150〜153℃で3時間攪拌する代わりに環流状態で3時間攪拌して例1Cの手順を繰り返して、例1Cにしたがって調製した顔料よりもわずかに黄色がかった色合いを有するが、類似した良好な顔料特性をもつ高彩度γ−2,9−ジクロロキナクリドンマゼンタ顔料を得た。
【0069】
例5
この例は、例1Cにしたがって調製した本γ−2,9−ジクロロキナクリドンの自動車用塗装系への配合を例示する。
【0070】
ミルベース調合
1パイント(473.18ml)ジャーに高固形分アクリルコポリマーポリオール樹脂(固形分68%、DUPONT)48g、アクリルA−B分散剤樹脂(固形分55%、DU PONT)10.5g及びSolvesso 100(American Chemical)42.3gを仕込んだ。例1Cにしたがって得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン19.2g及びガラスビーズ240gを加えた。ジャーの中の混合物をSkandex振とう機上で1時間振とうした。ミルベースは顔料16.0%を含有し、顔料/結合剤の比が0.5であり、固形分が48%であった。
【0071】
パネルに吹き付けるためのマストーン色
上記ミルベース43.7g、市販の無着色自動車用ベースコート(ポリエステル/ポリオール樹脂、アクリルコポリマーポリオール樹脂、メラミン樹脂、添加物及び溶媒のブレンド、固形分47.8%、DUPONT)25.4g、メラミン樹脂Cymel 327(Cyanamid)17.3gならびにポリエステル/ポリオール、アクリルコポリマーポリオール及びメラミン樹脂、添加物及び溶媒のブレンドからなる市販の無着色自動車用ベースコート(固形分58%、DUPONT)14.0gを混合し、キシレン76部、ブタノール21部及びメタノール3部を含む溶媒混合物で、2号フィッシャーカップによる計測で20〜22秒の吹付け粘度まで希釈した。
【0072】
樹脂/顔料分散系をベースコートとして1.5分間隔で2回パネルに吹き付けた。2分後、クリアコート樹脂を1.5分間隔で2回ベースコートに吹き付けた。そして、吹き付けしたパネルを、フラッシュキャビネット中、空気で10分間フラッシュしたのち、オーブン中129℃(265°F)で30分間「ベーク」して、マゼンタ色のパネルを得た。塗装されたパネルは、ATLASウェザロメータでの露光データによって示されるように、優れた耐候性を有するものであった。
【0073】
塗装したパネル上で、D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して以下のCIE色空間値L*、C*、hを計測した。
L*=37.5、C*=43.1、h=16.6
【0074】
アクリルエナメル展色のためのマストーン色
上記ミルベース47.3g、アクリルA−B分散剤樹脂(固形分55%、DU PONT)36.4g、高固形分アクリルコポリマーポリオール樹脂(固形分68%、DUPONT)16.3gを混合して、顔料濃度が7.6%であり、結合剤に対する顔料の比が0.18であり、固形分が49.7%である樹脂/顔料分散系を得た。
【0075】
100μm湿膜アプリケータを使用して、樹脂/顔料分散系をLeneta社のLeneta白黒チャート上で展色した。膜をフラッシュキャビネット中で15分間フラッシュし、10分間ベークした。コーティングの最終厚さは25μmであった。
【0076】
白黒の背景で以下の△E*数を計測した。△E*=4.0。肉眼で見る限り、隠蔽はほぼ完全であった。
【0077】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、白い背景上の部分からCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=36.7、C*=43.0、h=16.6
【0078】
例6
ポリ塩化ビニル63.0g、エポキシ化大豆油3.0g、バリウム/カルシウム熱安定剤2.0g、フタル酸ジオクチル32.0g及び例1C又は2〜4にしたがって調製したγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料1.0gを、攪拌棒を使用してガラスビーカの中で混合した。この混合物を、二軸ロール実験ミル上、一定に折畳み、取り出し、送ることにより、160℃、ローラ速度25rpm及び1:1.2の摩擦で8分間延伸することにより、厚さ約0.4mmの柔らかいPVCシートに成形した。得られた柔らかいPVCシートは、魅力的なマゼンタの色合いで着色されており、熱、光及び移染に対して優れた堅牢性を有するものであった。
【0079】
例7
例1Cにしたがって調製したγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料5g、CHIMASORB(登録商標)944LD(立体障害アミン光安定剤)2.65g、TINUVIN(登録商標)328(ベンゾトリアゾールUV吸収剤)1.0g及びIRGANOX(登録商標)B-215ブレンド(抗酸化剤)2.0g(すべてCibaSpecialty Chemicals社から市販)を高密度ポリエチレン1000gと175〜200rpmの速度で環流後30秒間混合した。環流させた着色済みの樹脂を暖かく展性であるうちに裁断し、グラニュレータに供給した。得られたグラニュールを射出成形機で200、250及び300℃で5分の滞留時間及び30秒のサイクル時間で成形した。飽和した赤色がかったマゼンタ色を示す、実質的に色の差なく均一に着色されたチップを得た。これらのチップは優れた光安定性を示した。
【0080】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、200℃で成形したチップ上で以下のCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=40.5、C*=46.1、h=17.5
【0081】
例8
ポリプロピレングラニュール(Chemie LinzのDAPLEN PT-55(登録商標))1000g及び例1C又は2〜4で得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料10gを混合ドラム中で徹底的に混合した。このようにして得たグラニュールを260〜285℃で溶融紡糸して、良好な耐光堅牢性及び紡織繊維性の赤色フィラメントを得た。
【0082】
例9
この例は、例1Cにしたがって調製した本γ−2,9−ジクロロキナクリドンの自動車用ポリエステル/CABエナメル塗装系への配合を示す。
【0083】
結合剤溶液(結合剤8.2%)
CAB(登録商標)531.1(Eastman Chem.)酢酸ブチル/キシレン2:1中20% 41.0
NUODEX(登録商標)6(ジルコニウムオクトエート、Nordmann,Rassmann, D-Hamburg)1.5
Solvesso(登録商標)150(Exxon)18.5
酢酸ブチル21.5
キシレン17.5
【0084】
ミルベース調合
250mlジャーにDynapol(登録商標)H700-08(Degussa-Huls)15.73g、上記の調製したばかりの結合剤溶液11.80g、Maprenal(登録商標)MF650(VianovaResins)11.80g及び分散剤Disperbyk(登録商標)161(BYK Chemie)2.67gを仕込んだ。例1Cにしたがって得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン8g及びガラスビーズ100gを加えた。ジャーの中の混合物をSkandex振とう機で1時間振とうした。ミルベースは顔料16.0%を含有し、顔料:結合剤の比が1:2.25であり、固形分(顔料+結合剤)が59%であった。
【0085】
PES/CABエナメル展色のためのマストーン色
上記ミルベース23.75g、Dynapol(登録商標)H700-08 10.50g、上記結合剤溶液7.87g及びMaprenal(登録商標)MF650 7.87gを混合して、顔料濃度が7.6%であり、顔料:結合剤の比が1:5.22であり、固形分(顔料+結合剤)が47,3%である樹脂/顔料分散系を得た。
【0086】
100μm湿膜アプリケータを使用して、樹脂/顔料分散系をLeneta社のLeneta白黒チャート上で展色した。膜をフラッシュキャビネット中で30分間フラッシュしたのち、オーブン中130℃(266°F)で30分間「ベーク」した。コーティングの最終厚さは28μmであった。
【0087】
白黒の背景で以下の△E*数を計測した。△E*=5.4。この色差は満足な隠蔽に対応した。
【0088】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、白い背景上の部分からCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=38.2、C*=43.9、h=16.6
【0089】
さらなる例
当然、顔料濃度及び層厚さを変えることは可能である。顔料濃度をたとえば10重量%、15重量%又は20重量%に増すことにより、より薄い層、たとえば厚さが20μm、15μm又は10μmにすぎなくても良好な隠蔽を得ることが可能である。これは、本顔料の優れたレオロジーでのみ可能である。当業者は、本顔料によって想到しうるこれまで実施不可能であったすべての可能性を容易に十分に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料のX線回折図である。
【図2】α/γ−2,9−ジクロロキナクリドン混合物及び2θ角27.8度のピークで1.2〜1.5の半値幅を示す予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折図である。
【図3】例1Cにしたがって得られた2,9−ジクロロキナクリドンの電子顕微鏡写真である。
【0001】
本発明は、2,9−ジクロロキナクリドン顔料、特に、顕著な色特性を有する新規な形態のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料、その製造及び高分子量有機材料における顔料としてのその使用に関する。
【0002】
5,12−ジヒドロキノ[2,3−b]アクリジン−7,14−ジオンとも呼ばれるキナクリドンは周知の高性能有機顔料である。特に、式(I)の線状2,9−ジクロロキナクリドンは、その抜群の顔料特性及びマゼンタ顔料としてのその使用に関して公知である。
【0003】
【化1】
【0004】
いくつかの特許が2,9−ジクロロキナクリドンの製造及び仕上げを記載している。たとえば、US3,157,659は、硫酸の存在におけるα−、β−及びγ−2,9−ジクロロキナクリドンの製造を記載している。
【0005】
さらには、US4,895,949は、出発キナクリドン材料を、アルコール及び塩基の存在下、周囲温度又は周囲温度に近い温度で微粉砕することにより、少なくとも一つのキナクリドン誘導体と親キナクリドンとの顔料固溶体を製造する方法を開示している。
【0006】
DE2,753,357は、予備粉砕した2,9−ジクロロキナクリドンを界面活性剤の存在下85℃で水性アルカリ媒体と接触させることによって顔料形態に転換する方法を記載している。
【0007】
US5,194,088は、粗顔料を予備粉砕することと、予備粉砕した顔料を約50℃未満の温度で極性有機溶媒と接触させることから本質的になる、粗有機顔料を顔料形態に転換する方法を記載している。
【0008】
US5,095,056には、エンジニアリングプラスチック基材及びコーティングを着色する方法であって、30m2/g未満の比表面積を有する2,9−ジクロロキナクリドンの有効着色量を前記エンジニアリングプラスチック又はコーティングに配合することを含む方法が記載されている。この特許は、特に、小さめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドンに対する大きめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドンの熱安定性の増大を強調している。
【0009】
実際に、優れた熱安定を有するが、ただし他の顔料特性を犠牲にした、比表面積30m2/g未満の大きめの粒度の2,9−ジクロロキナクリドン顔料が市販されている。特に、それらの彩度及び隠蔽力はまだ望みよりも低く、それらの色相は黄色がかった赤である。このような顔料は、広い顔料粒度分布及び不規則な粒子形状を有する。電子鏡検法によって示されるように、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は、少なくとも5:1、たとえば5:1〜15:1である。顔料粒子は非常に多様な形状を示す。
【0010】
US5,084,573は、粗2,9−ジクロロ−キナクリドンを、極性溶媒中、脂肪族長鎖硫黄化合物及び塩基の存在で小板形態に転換することを開示している。
【0011】
驚くことに、2,9−ジクロロキナクリドンは、0.1〜0.8μmの範囲の平均粒度及び11〜23m2/gの範囲の比表面積をもつ本質的に等軸晶ないし斜方晶の粒子形状(軸どうしがほぼ直交し、コンパクトなアスペクト比をもつ短い棒状)をもつそのγ結晶形で、驚くほど高い彩度、きわめて高い不透明度及び優れた耐候性挙動をもつ独特なマゼンタ(青みがかった赤)の色合いを示す。高い光沢の非常に薄い隠蔽層をたとえばコーティング中に得ることができる。電子鏡検法によって示されるように、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は1:1〜3:1である。
【0012】
高い彩度及び不透明度は非常に望ましい顔料特性であり、いずれも望ましくはあるが同時に達成することは非常に困難である。したがって、新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、新たなスタイリングの機会及び特に他の有機、無機又は特殊効果顔料と組み合わせた非常に低廉な新たな色合いの生成を塗料製造者に提供するため、価値がある。したがって、色相、彩度及び不透明度の違いが商品的に相当重要になることがある。抜群の堅牢性、その優れた流動学的性質及び独特な色特性のおかげで、プラスチック及びコーティングの用途、特に自動車用塗装系における使用に非常に適している。
【0013】
図1は、本発明γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料のX線回折図である。x軸は二重視射角(゜2θ)を反映し、y軸は回折光線の強さを反映する。
【0014】
図2は、α/γ−2,9−ジクロロキナクリドン混合物及び2θ角27.8度のピークで1.2〜1.5の半値幅を示す予備粉砕した2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折図である。x軸値は゜2θであるが、y軸値は、図1に比較して2.5倍に拡大されている。
【0015】
図3は、例1Cにしたがって得られた2,9−ジクロロキナクリドンの電子顕微鏡写真である。
【0016】
本発明は、その結晶形、顔料粒度及び形状、その比表面積ならびにその色特性によって指定される新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料に関する。色空間値は、たとえば顔料マストーンの吹付け塗装パネルから公知の計測(以下に記す)によって得られる。顔料マストーンは、一つの顔料だけを使用して基材を着色していることを意味する。色空間値は、Commission Internationale de l'Eclairage(CIE)(DIN5033パート3、DIN6174)のL*C*h系に基づく色相角を使用して定義される。L*C*h系は、1976CIE L*a*b*色空間(以下、CIELab又はCIELab系と呼ぶ)と相関している。
【0017】
本発明のγ−2,9−ジクロロキナクリドンの色空間値は以下の値を特徴とする。
【0018】
【表1】
【0019】
色計測は、スペクトル成分をもつ大面積視で、DATACOLOR Internationalによって販売されるAppliedColor Systems社のACS、CS-5クロマセンサに対してACSカラリメータプログラムを使用して実施される。
【0020】
色データを計測するためには、まず顔料を基材、たとえば、例5に記載されているようなアクリル塗装系又は例9に記載されているようなポリエステル塗装系に配合する。そして、着色された基材、たとえば塗装されたパネル又は着色されたプラスチックシートの色を計測する。色は、いかなる背景色も認めることができないような程度まで基材が着色されていることを意味する「完全隠蔽」で計測する。「完全隠蔽」では、塗装されたパネルの背景色又は着色されたプラスチックシート越しの背景色を視ることはできない(色計測は、背景としてたとえば黒いパネルを使用した場合と白いパネルを使用した場合とで同一の結果を出す)。実用には、白黒背景で計測される色差△E*が8以下、好ましくは≦4.8であるならば、アクリル又はポリエステルエナメル塗料で不完全な隠蔽で計測し、明度(L*)、彩度(C*)及び色相角(h)ごとに白及び黒の平均値をとることで十分である。場合によっては、着色されたアクリル又はポリエステルエナメルの上に透明なクリアコートを色が変わらないように十分な薄さで被着することもできる。
【0021】
適切な基材は、ラッカ、インク、塗料及びプラスチックを含む。特に適切な塗料は、自動車産業で従来から使用されているベースコート/クリアコート系を含む。特に適切なプラスチックは、ポリハロゲン化ビニル、特にポリ塩化ビニル及びポリオレフィン、たとえば低密度もしくは線状低密度又は高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びABSを含む。
【0022】
新規な2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、マゼンタ顔料の場合に非常に高い不透明度を示す。不透明度又は隠蔽力は、塗料が基材の色又は色の違いを隠す能力である。これは、黒い基材上の塗料の反射と白い基材上の塗料の反射との比較計測によって測定される。たとえば黒及び白のガラス板又は対比カードをそのような基材として使用することもできる。
【0023】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、図1に示す、γ−2,9−ジクロロキナクリドンに典型的なX線回折図を示す。
【0024】
したがって、新規なγ−2,9−ジクロロキナクリドンは、27.8の±0.2 2θ二重視射角に対応する一つの強いピーク、5.2、15.1、16.4、22.9及び23.3に対応する五つの中強度のピークならびに15.7、19.2、21.2、24.4、25.2、26.5及び28.9に対応する七つの比較的弱いピークを有するX線回折図によって特性決定される。本出願に関して、「強い」とは、60%を超える相対強さを有することをいい、「中間」とは20〜60%をいい、「弱い」とは20%未満をいう(例1Cのデータを参照)。
【0025】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の主要な特徴は、その狭い粒度分布及び本質的に等軸晶ないし斜方晶のような形のその一次顔料粒子形状であり、電子顕微鏡写真による測定で、粒子の少なくとも90%が0.1〜0.4μmの幅及び0.1〜0.8μmの長さを有し、粒子の少なくとも60%が0.1〜0.3μmの幅及び0.1〜0.6μmの長さを有することである。一次粒子は、単独であることもできるし、双晶として凝集又はいっしょに成長することもできる。
【0026】
好ましくは、顔料結晶は、以下の比で留まるならば、本質的に等軸晶又は正方晶である。長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比は、1:1〜3:1、好ましくは1:1〜2:1、もっとも好ましくは1:1〜1.5:1である。換言するならば、長い方の寸法:短い方の寸法の比は3:1未満であり、あるいはまた、1:1よりも大きく、かつ、3:1よりも小さい。さらに、このような寸法の比は1:1〜1:2である。好ましくは、一次粒子の少なくとも60%(より好ましくは80%〜100%)がこの範囲に当てはまり、ほぼ長方形の外形を有する(対向する面の間の二面角が0゜〜約20゜、好ましくは0゜〜10゜、もっとも好ましくは平行であり、隣接する面の間の二面角が約70゜〜90゜、好ましくは80゜〜90゜、もっとも好ましくは直交である)。
【0027】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、BET法による測定で11〜23m2/g、好ましくは13〜21m2/g、もっとも好ましくは14〜19m2/gの比表面積を示す。
【0028】
本2,9−ジクロロキナクリドンはまた、塗装系、たとえば自動車用塗装系に配合されると、抜群の粘性挙動を示す。
【0029】
さらには、本2,9−ジクロロキナクリドン顔料を含有する塗料を吹き付けられたパネルは、種々の光源、たとえば薄明かりもしくは陽光又は種々の人工光源にさらされた場合でもメタメル現象を示さず、高彩度マゼンタ色を維持する。
【0030】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドンは、優れた顔料特性、たとえば高い不透明度、優れた流動学的性質、熱安定性及び耐候性挙動ならびに顕著に良好な抗凝集性を有する。分散させやすく、高い色強度で速やかに発色する。
【0031】
本顔料は優れた塗布性を示すが、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の顔料特性をさらに改善するため、場合によっては、対応する製造工程の前、最中又は後で質感向上剤及び/又は凝集防止剤を加えることもできる。
【0032】
質感向上剤及び/又は凝集防止剤は、好ましくは、γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料、質感向上剤及び/又は凝集防止剤の混合物の合わせた重量に基づいて0.05〜20重量%、もっとも好ましくは1〜10重量%の量で本γ−キナクリドン顔料に配合される。
【0033】
質感向上剤は、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の性質を改善するさらなる成分として特に有用である。適当な質感向上剤は、少なくとも12個の炭素原子を有する脂肪酸及び脂肪酸のアミド、エステル又は塩を含む。典型的な脂肪酸誘導質感向上剤は、脂肪酸、たとえばステアリン酸又はベヘン酸ならびに脂肪アミン、たとえばラウリルアミン及びステアリルアミンを含む。加えて、脂肪アルコール又はエトキシル化脂肪アルコール、ポリオール、たとえば脂肪族1,2−ジオール、グリセロールモノステアレート又はポリビニルアルコールならびにエポキシ化大豆油、ロウ、樹脂酸及び樹脂酸塩が適当な質感向上剤である。
【0034】
凝集防止剤は顔料産業で公知であり、レオロジー改善剤、たとえば顔料誘導体、たとえばスルホン酸、スルホン酸の塩、たとえば金属もしくは第四アルキルアンモニウム塩又はスルホンアミド誘導体としてもしばしば使用される。一般に、引用例として本明細書に取り込むUS3,386,843又はUS4,310,359に記載されているような顔料クラスからの顔料の誘導体である凝集防止剤を使用することが好ましい。
【0035】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、その抜群の耐薬品性、熱安定性、耐候・耐光安定性のおかげで、種々の基材、たとえば無機材料及び特に高分子量有機材料の着色に非常に適している。したがって、本発明は、本顔料の有効着色量を高分子量有機材料に配合することを含む、高分子量有機材料を着色する方法ならびに高分子量有機材料及び本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の有効着色量を含む組成物に関する。
【0036】
有効着色量は、高分子量有機材料中で所望の色を提供するのに適した量である。特に、本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、着色される高分子量有機材料の量に基づいて0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%の量で使用される。
【0037】
本顔料で着色された着色高分子量有機材料は多様な用途で有用である。たとえば、本顔料は、ラッカ、インク、エナメル塗料及び熱可塑性又は熱硬化性ポリマーの着色に有用である。
【0038】
本顔料で着色される高分子量有機材料は一般に103〜108g/molの範囲の分子量を有し、たとえば、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリシクロアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリハロゲン化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル及びメタクリルポリマー、ゴム、シリコーンポリマー、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂ならびにジエンゴム又はそれらのコポリマーである。
【0039】
熱硬化性コーティング又は架橋した化学反応性コーティングに有用である高分子量有機材料もまた、本顔料で着色される。本発明にしたがって製造される着色された高分子量有機材料は、通例の結合剤を含み、高温で反応性である仕上げ剤で特に有用である。これらの仕上げ剤は、当該技術で公知の溶媒又は水性もしくは粉末塗装系から得ることができる。コーティングに使用される着色された高分子量有機材料の例は、アクリル、アルキド、エポキシ、フェノール、メラミン、尿素、ポリエステル、ポリウレタン、ブロックされたイソシアネート、ベンゾグアナミンもしくはセルロースエステル樹脂又はそれらの組み合わせを含む。本発明にしたがって製造される着色された高分子量有機材料はまた、たとえば化粧品用途における自然乾燥又は物理乾燥コーティングとして有用である。
【0040】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、自動車産業で従来から使用されている水性及び溶媒ベースのコーティング、特にアクリル/メラミン樹脂、アルキド/メラミン樹脂又は熱可塑性アクリル樹脂系ならびに粉末コーティング及びUV/EB硬化塗装系を調製するのに特に適している。
【0041】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料で着色されたコーティング及びインク系は、高い光沢、高い不透明度、優れた耐熱、耐光及び耐候堅牢性ならびにブリード及びオーバスプレー堅牢性を有する。
【0042】
本顔料は、2,9−ジクロロキナクリドン粗原料から、製造される顔料粗原料及び仕上げ工程が重要である方法にしたがって製造される。適当な仕上げ方法は、たとえば2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンを、触媒の存在で、酸化剤として過酸化水素を用い、場合によっては顔料粒子成長及び粒子位相指向剤の存在で、2,9−ジクロロキナクリドン顔料へと酸化させる直接着色処理によって得られる2,9−ジクロロキナクリドンから出発する。
【0043】
2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、いかなる結晶変態又は結晶変態の混合物、たとえば公知のα、β又はγ形を有することもでき、好ましくは、γもしくはα結晶形又はそれらの混合物を有する。2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、場合によっては、無機塩、たとえば硫酸ナトリウム、塩化カルシウム又は塩化ナトリウムの存在で予備粉砕する。好ましい手法では、顔料粗原料を、10〜30%無機塩、たとえばNaCl、CaCl2、Na2SO4又はAl2(SO4)3の存在で、水和水を用いるか用いないで予備粉砕する。好ましい粉砕混合物組成は、顔料粗原料75〜85%及び無水Na2SO415〜25%である。
【0044】
本明細書で使用する「予備粉砕」とは、液体の完全な非存在における粉砕又は、液体、たとえば位相指向性溶媒又は界面活性剤が使用されるとしても、ミル仕込み原料が粉末の特性を維持し、わずかな量(最大で顔料の約10重量%)、すなわち後続の溶媒処理工程で本γ−2,9−ジクロロキナクリドンへの転換に影響しないような量でしか存在しない場合の粉砕をいう。
【0045】
上記仕上げ処理の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料の予備粉砕は、たとえば、水平又は垂直ビーズミル、たとえば磨砕機もしくはボールミル又は当該産業で公知の高速ミキサ中で実施される。場合によって存在する無機塩が粉砕助剤として働き、流動する能力を高め、ひいては、得られる予備粉砕粉末の排出量を増すことができる。
【0046】
予備粉砕処理は公知であり、多様な方法で達成することができる。したがって、12.7mmの鋼球及びルーフィングネイルを用いて予備粉砕することも可能であるし、金属磨砕及びそれに伴う希酸による顔料抽出の必要性を避けるため、12.7mmの高密度高アルミナセラミック球又はロッド(DiamoniteProducts Manufacturing社)を用いて予備粉砕を達成することもできる。酸化物の溶融によって結晶質ジルコニア相及び非晶質シリカ相でできた粒度0.1〜2.5cm、好ましくは0.5〜1.0cmのセラミックビーズが特に適している(QuartzProducts社の製品)。多様なサイズの粉砕媒を使用することができるが、前述したサイズが好ましい。粉砕装置は公知であり、ボールミル、すなわち、金属又は磁器の球、好ましくはセラミックビーズを充填した磨砕ミルが適している。
【0047】
得られる予備粉砕粉末は、X線回折図のブロードピークによって示されるように、凝集性が高く、結晶性が低い。予備粉砕粉末は、好ましくは1.0〜1.5、より好ましくは1.2〜1.5の範囲である、2θ角27.8度での半値幅の計測によって特定される。
【0048】
そして、予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンを極性有機溶媒中で後処理に付す。驚くことに、予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンは、選択される極性溶媒、たとえばジ(N−C1〜C8アルキル、好ましくはメチル)アセトアミド、ホルムアミド、メチルアセトアミド、メチルホルムアミド、ジ(C1〜C8アルキル)スルホキシド、スルホラン、ジ(N−C1〜C8アルキル)ホルムアミド及びN−C1〜C8アルキル−ピロリドン、もっとも好ましくはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はN−メチル−ピロリドン(NMP)だけにより、本γ−2,9−ジクロロキナクリドンに転換することができる。当業者はまた、オキソ基及び約2.8〜約6.0デバイ単位(ベンゼン中25℃で計測して2.8〜6.0・10-18esu)、好ましくは3.8〜5.0デバイ単位(3.8〜5.0・10-18esu)の双極子モーメントμを有するようなものの中から選択される他の極性有機溶媒を考慮し、溶媒和することを考えるであろう。考慮される代替溶媒は、好ましくは親水性であり、もっとも好ましくは水とでいかなる比ででも混和可能であるべきであり、たとえばテトラメチル尿素である。
【0049】
予備粉砕顔料又は顔料塩混合物は、まず、たとえばふるい分けによって粉砕媒から分別し、次に、極性の高い溶媒中に、適宜に粉砕助剤として使用される無機塩とともに懸濁させる。
【0050】
極性溶媒中の後処理工程を適当な設備、たとえば混練機又は好ましくは攪拌器を備えた容器で実施して、溶媒と顔料粒子との完全な接触を保証する。好ましくは、最終生成物に望まれる顔料特性に依存して、懸濁液を、60℃超〜240℃までの温度、もっとも好ましくは100〜200℃で5分〜20時間、好ましくは30分〜5時間攪拌する。極性の高い溶媒は一般に、顔料の重量の5〜20倍、好ましくは8〜15倍の範囲の量で存在する。極性溶媒が液体であり、熟成条件下で安定である限り、熟成処理は、場合によっては不活性雰囲気中、いかなる圧力(たとえば104〜106Pa)で実施してもよい。
【0051】
予備粉砕粉末と溶媒との接触が、凝集した顔料粉末を解凝集させ、粒子熟成を受けさせる。熟成(再結晶)は、粒子が、必要ならば部分的に非晶質状態又は望ましくない結晶変態から結晶性の高いγ相に転換される間、所望の形状及び粒度を帯びる過程である。溶媒処理を実施するときの高温のおかげで、熟成工程は、時間の関数として容易に制御することができる。
【0052】
有利には、添加物、たとえば位相指向剤、成長阻害剤、分散剤などの通例の量での添加は当然可能であるが、本方法はそのような化合物の存在を要しない。それどころか、添加物の完全な非存在でより良好な結果が得られるということがわかった。
【0053】
本γ−2,9−ジクロロキナクリドンを製造するときに考慮すべきもう一つの側面は、使用される2,9−ジクロロキナクリドン粗原料の純度である。驚くことに、純度が高ければ高いほど、より良好な(より等軸晶寄りの)アスペクト比が得られるということがわかった。したがって、高純度の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料、すなわち、出発原料をほとんど含有しない粗原料、たとえば2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドン又は他の副生成物、たとえば過酸化水素を用いる酸化以外の合成を含むキナクリドン合成の際に生成される2,9−ジクロロキナクリドンキノンなどを使用することが適当である。
【0054】
高純度2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、2,9−ジクロロキナクリドンを濃硫酸に溶解させる分光法による計測で、好ましくは、少なくとも97%、もっとも好ましくは97.5%超の純度を有する。有利には、高純度2,9−ジクロロキナクリドン粗原料は、引用例として本明細書に取り込むUS5,840,901に記載されているように、酸化促進触媒、たとえばキノン化合物の存在で酸化剤として過酸化水素を用いる6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化によって調製される。
【0055】
最終的な顔料粒度は溶媒処理の際に生成されるため、顔料は、ろ過し、プレスケークを水及び/又は有機溶媒、たとえばアルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノールで洗浄し、乾燥させることによって直接単離することができる。
【0056】
この革新的な2,9−ジクロロキナクリドンは、市販のマゼンタ顔料、たとえば不透明なβ−キナクリドン又は他の市販の大粒度2,9−ジクロロキナクリドン顔料に比較して、高い不透明度及び抜群の顔料特性を持つ独特な高彩度マゼンタ色を呈する。
【0057】
本2,9−ジクロロキナクリドン顔料は、白黒の背景で結合剤に対する顔料の重量比0.18を有し、確立された工業的手法にしたがって調製され、計測された厚さ25±5μmのアクリル又はポリエステルエナメル塗装系で適切に計測して△E≦(以下)8、好ましくは≦4.8、もっとも好ましくは≦4.0の極めて高い不透明度を示す。このような不透明度は、従来の2,9−ジクロロキナクリドンマゼンタ顔料のいずれによっても到達することはできない。
【0058】
以下の例が本発明の種々の実施態様を示すが、本発明の範囲がそれに限定されることはない。例中、断りない限り、部はすべて重量部である。X線回折図は、RIGAKU GEIGERFLEX回折計タイプD/MaxII v BXで計測した。上記のようにCS-5クロマセンサ分光光度計を使用して比色データを得、Zeissタイプ910電子顕微鏡で電子顕微鏡写真を撮影した。
【0059】
例1A
US5,840,901に記載されているように酸化剤として過酸化水素を用いる2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンの酸化によって得られる、比表面積7.2m2/g及び分光光度計測による2,9−ジクロロキナクリドン純度97.8%の2,9−ジクロロキナクリドン粗原料を以下の手順にしたがって予備粉砕した。
【0060】
Lアームを装着し、MOH硬度7.5、ロックウェル45N硬度60〜65、衝撃強さ3.0kg/cm及び圧縮強さ8500kg/cmの直径0.6cmのセラミック粉砕媒3.78リットルを含むUnionProcess社(米オハイオ州Akron)製の1-SDG Attritor(商標)ミルに2,9−ジクロロキナクリドン粗原料500gを仕込み、窒素を流しながら500rpmの回転速度で顔料を60分間微粉砕した。微粉砕サイクルの最後に、回転が続く間に15分間ミルの底の弁を開くことによって生成物を回収して、低い結晶度の高度に凝集した褐色の粉末を得た。
【0061】
例1B
さらなる量の無水硫酸ナトリウム75gを磨砕機に仕込んで例1Aの手順を繰り返して、高収率で容易に排出することができる低い結晶度の高度に凝集した均質な褐色の粉末を得た。
【0062】
例1C
温度計、攪拌器及び凝縮器を備えた1リットルのフラスコにNMP500mlを仕込み、室温(20〜27℃)で攪拌した。例1Aの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末55gをゆっくりと加えた。懸濁液は薄く、攪拌しやすかった。さらに50mlのNMPを加えて漏斗をすすぎ、30分間かけて懸濁液を150〜153℃まで加熱し、その温度で3時間攪拌した。その後、加熱なしで、温度を60〜65℃に低下させながら懸濁液を30分間攪拌し、最後にろ過した。プレスケークをメタノールで洗浄したのち水洗し、乾燥させて、微粉砕後に塗料、インク及びプラスチックに使用することができる高彩度高不透明度マゼンタ顔料を得た。
【0063】
図3に示すように、電子顕微鏡写真は、等軸晶形又は斜方晶形(軸どうしがほぼ直交する短いロッド状)を有し、少なくとも90%が幅0.1〜0.4μm及び長さ0.1〜0.8μmを維持する顔料粒子を示す。
【0064】
X線回折図は、以下のデータをもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンに特徴的なパターン(図1)を示す。
【0065】
【表2】
【0066】
例2
NMPの代わりに同量のジメチルスルホキシド(DMSO)を極性溶媒として使用して例1Cの手順を繰り返して、類似した色特性及び類似した良好な顔料特性をもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンを得た。
【0067】
例3
例1Aの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末の代わりに同量の例1Bの予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン粉末を使用し、極性溶媒としてNMPの代わりに同量のジメチルホルムアミド(DMF)を使用し、懸濁液を環流温度で4時間攪拌して例1Cの手順を繰り返して、類似した色特性及び類似した良好な顔料特性をもつγ−2,9−ジクロロキナクリドンを得た。
【0068】
例4
懸濁液を150〜153℃で3時間攪拌する代わりに環流状態で3時間攪拌して例1Cの手順を繰り返して、例1Cにしたがって調製した顔料よりもわずかに黄色がかった色合いを有するが、類似した良好な顔料特性をもつ高彩度γ−2,9−ジクロロキナクリドンマゼンタ顔料を得た。
【0069】
例5
この例は、例1Cにしたがって調製した本γ−2,9−ジクロロキナクリドンの自動車用塗装系への配合を例示する。
【0070】
ミルベース調合
1パイント(473.18ml)ジャーに高固形分アクリルコポリマーポリオール樹脂(固形分68%、DUPONT)48g、アクリルA−B分散剤樹脂(固形分55%、DU PONT)10.5g及びSolvesso 100(American Chemical)42.3gを仕込んだ。例1Cにしたがって得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン19.2g及びガラスビーズ240gを加えた。ジャーの中の混合物をSkandex振とう機上で1時間振とうした。ミルベースは顔料16.0%を含有し、顔料/結合剤の比が0.5であり、固形分が48%であった。
【0071】
パネルに吹き付けるためのマストーン色
上記ミルベース43.7g、市販の無着色自動車用ベースコート(ポリエステル/ポリオール樹脂、アクリルコポリマーポリオール樹脂、メラミン樹脂、添加物及び溶媒のブレンド、固形分47.8%、DUPONT)25.4g、メラミン樹脂Cymel 327(Cyanamid)17.3gならびにポリエステル/ポリオール、アクリルコポリマーポリオール及びメラミン樹脂、添加物及び溶媒のブレンドからなる市販の無着色自動車用ベースコート(固形分58%、DUPONT)14.0gを混合し、キシレン76部、ブタノール21部及びメタノール3部を含む溶媒混合物で、2号フィッシャーカップによる計測で20〜22秒の吹付け粘度まで希釈した。
【0072】
樹脂/顔料分散系をベースコートとして1.5分間隔で2回パネルに吹き付けた。2分後、クリアコート樹脂を1.5分間隔で2回ベースコートに吹き付けた。そして、吹き付けしたパネルを、フラッシュキャビネット中、空気で10分間フラッシュしたのち、オーブン中129℃(265°F)で30分間「ベーク」して、マゼンタ色のパネルを得た。塗装されたパネルは、ATLASウェザロメータでの露光データによって示されるように、優れた耐候性を有するものであった。
【0073】
塗装したパネル上で、D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して以下のCIE色空間値L*、C*、hを計測した。
L*=37.5、C*=43.1、h=16.6
【0074】
アクリルエナメル展色のためのマストーン色
上記ミルベース47.3g、アクリルA−B分散剤樹脂(固形分55%、DU PONT)36.4g、高固形分アクリルコポリマーポリオール樹脂(固形分68%、DUPONT)16.3gを混合して、顔料濃度が7.6%であり、結合剤に対する顔料の比が0.18であり、固形分が49.7%である樹脂/顔料分散系を得た。
【0075】
100μm湿膜アプリケータを使用して、樹脂/顔料分散系をLeneta社のLeneta白黒チャート上で展色した。膜をフラッシュキャビネット中で15分間フラッシュし、10分間ベークした。コーティングの最終厚さは25μmであった。
【0076】
白黒の背景で以下の△E*数を計測した。△E*=4.0。肉眼で見る限り、隠蔽はほぼ完全であった。
【0077】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、白い背景上の部分からCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=36.7、C*=43.0、h=16.6
【0078】
例6
ポリ塩化ビニル63.0g、エポキシ化大豆油3.0g、バリウム/カルシウム熱安定剤2.0g、フタル酸ジオクチル32.0g及び例1C又は2〜4にしたがって調製したγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料1.0gを、攪拌棒を使用してガラスビーカの中で混合した。この混合物を、二軸ロール実験ミル上、一定に折畳み、取り出し、送ることにより、160℃、ローラ速度25rpm及び1:1.2の摩擦で8分間延伸することにより、厚さ約0.4mmの柔らかいPVCシートに成形した。得られた柔らかいPVCシートは、魅力的なマゼンタの色合いで着色されており、熱、光及び移染に対して優れた堅牢性を有するものであった。
【0079】
例7
例1Cにしたがって調製したγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料5g、CHIMASORB(登録商標)944LD(立体障害アミン光安定剤)2.65g、TINUVIN(登録商標)328(ベンゾトリアゾールUV吸収剤)1.0g及びIRGANOX(登録商標)B-215ブレンド(抗酸化剤)2.0g(すべてCibaSpecialty Chemicals社から市販)を高密度ポリエチレン1000gと175〜200rpmの速度で環流後30秒間混合した。環流させた着色済みの樹脂を暖かく展性であるうちに裁断し、グラニュレータに供給した。得られたグラニュールを射出成形機で200、250及び300℃で5分の滞留時間及び30秒のサイクル時間で成形した。飽和した赤色がかったマゼンタ色を示す、実質的に色の差なく均一に着色されたチップを得た。これらのチップは優れた光安定性を示した。
【0080】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、200℃で成形したチップ上で以下のCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=40.5、C*=46.1、h=17.5
【0081】
例8
ポリプロピレングラニュール(Chemie LinzのDAPLEN PT-55(登録商標))1000g及び例1C又は2〜4で得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料10gを混合ドラム中で徹底的に混合した。このようにして得たグラニュールを260〜285℃で溶融紡糸して、良好な耐光堅牢性及び紡織繊維性の赤色フィラメントを得た。
【0082】
例9
この例は、例1Cにしたがって調製した本γ−2,9−ジクロロキナクリドンの自動車用ポリエステル/CABエナメル塗装系への配合を示す。
【0083】
結合剤溶液(結合剤8.2%)
CAB(登録商標)531.1(Eastman Chem.)酢酸ブチル/キシレン2:1中20% 41.0
NUODEX(登録商標)6(ジルコニウムオクトエート、Nordmann,Rassmann, D-Hamburg)1.5
Solvesso(登録商標)150(Exxon)18.5
酢酸ブチル21.5
キシレン17.5
【0084】
ミルベース調合
250mlジャーにDynapol(登録商標)H700-08(Degussa-Huls)15.73g、上記の調製したばかりの結合剤溶液11.80g、Maprenal(登録商標)MF650(VianovaResins)11.80g及び分散剤Disperbyk(登録商標)161(BYK Chemie)2.67gを仕込んだ。例1Cにしたがって得たγ−2,9−ジクロロキナクリドン8g及びガラスビーズ100gを加えた。ジャーの中の混合物をSkandex振とう機で1時間振とうした。ミルベースは顔料16.0%を含有し、顔料:結合剤の比が1:2.25であり、固形分(顔料+結合剤)が59%であった。
【0085】
PES/CABエナメル展色のためのマストーン色
上記ミルベース23.75g、Dynapol(登録商標)H700-08 10.50g、上記結合剤溶液7.87g及びMaprenal(登録商標)MF650 7.87gを混合して、顔料濃度が7.6%であり、顔料:結合剤の比が1:5.22であり、固形分(顔料+結合剤)が47,3%である樹脂/顔料分散系を得た。
【0086】
100μm湿膜アプリケータを使用して、樹脂/顔料分散系をLeneta社のLeneta白黒チャート上で展色した。膜をフラッシュキャビネット中で30分間フラッシュしたのち、オーブン中130℃(266°F)で30分間「ベーク」した。コーティングの最終厚さは28μmであった。
【0087】
白黒の背景で以下の△E*数を計測した。△E*=5.4。この色差は満足な隠蔽に対応した。
【0088】
D65光源及び鏡面部品を含む10度観察装置を使用して、白い背景上の部分からCIE色空間値L*、C*、hを得た。
L*=38.2、C*=43.9、h=16.6
【0089】
さらなる例
当然、顔料濃度及び層厚さを変えることは可能である。顔料濃度をたとえば10重量%、15重量%又は20重量%に増すことにより、より薄い層、たとえば厚さが20μm、15μm又は10μmにすぎなくても良好な隠蔽を得ることが可能である。これは、本顔料の優れたレオロジーでのみ可能である。当業者は、本顔料によって想到しうるこれまで実施不可能であったすべての可能性を容易に十分に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料のX線回折図である。
【図2】α/γ−2,9−ジクロロキナクリドン混合物及び2θ角27.8度のピークで1.2〜1.5の半値幅を示す予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドンのX線回折図である。
【図3】例1Cにしたがって得られた2,9−ジクロロキナクリドンの電子顕微鏡写真である。
Claims (15)
- 11〜23m2/gの比表面積をもつ粒子を有するγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料であって、乾燥膜厚さ25±5μmのアクリル又はポリエステルエナメル塗料で塗装されたパネル上での計測でL*=35〜42、C*=少なくとも40及びh=14〜20のマストーンにおけるCIE色空間値ならびに白黒背景上での結合剤に対する顔料の重量比0.18によって特性決定され、前記エナメル塗料が、黒い背景の前と白い背景の前との色差△E*が8以下になるような不透明度を有することを特徴とするγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- 一次粒子を有するγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料であって、前記一次粒子の少なくとも90%が0.1〜0.8μmの範囲の平均粒度を有し、さらに、前記粒子の少なくとも60%が長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比1:1〜3:1を有することを特徴とするγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- 一次粒子の少なくとも60%が、0.1〜0.8μmの範囲の長さと、対向する面の間の二面角が0゜〜約20゜であり、隣接する面の間の二面角が約70゜〜90゜である形状とを有する、請求項2記載のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- 一次粒子の少なくとも90%が0.1〜0.8μmの範囲の平均粒度を有し、さらに、前記粒子の少なくとも60%が長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比1:1〜3:1を有することを特徴とする、請求項1記載のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- マストーンにおけるCIE色空間値L*=37〜41、C*=42〜47及びh=16〜18によって特性決定される、請求項1〜4のいずれか記載のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- 11〜23m2/gの比表面積を有する、請求項2又は3記載のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料。
- a)2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンを過酸化水素で酸化して2,9−ジクロロキナクリドン粗生成物を生成することと、
b)得られた2,9−ジクロロキナクリドン粗生成物を粉砕して予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を形成することと、
c)予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を極性溶媒と接触させることと、
d)予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物と溶媒との混合物を60℃以上、好ましくは100〜200℃の温度に加熱して予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を熟成させることと、
e)11〜23m2/gの比表面積をもつ粒子を有する熟成した2,9−ジクロロキナクリドン顔料であって、乾燥膜厚さ25±5μmのアクリル又はポリエステルエナメル塗料で塗装されたパネル上での計測でL*=35〜42、C*=少なくとも40及びh=14〜20のマストーンにおけるCIE色空間値ならびに白黒背景上での結合剤に対する顔料の重量比0.18によって特性決定され、前記エナメル塗料が、黒い背景の前と白い背景の前との色差△E*が4.8以下になるような不透明度を有する2,9−ジクロロキナクリドン顔料を単離することと
を含む、γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の製造方法。 - a)2,9−ジクロロ−6,13−ジヒドロキナクリドンを過酸化水素で酸化して2,9−ジクロロキナクリドン粗生成物を生成することと、
b)得られた2,9−ジクロロキナクリドン粗生成物を粉砕して予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を形成することと、
c)予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を極性溶媒と接触させることと、
d)予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物と溶媒との混合物を60℃以上、好ましくは100〜200℃の温度に加熱して予備粉砕2,9−ジクロロキナクリドン生成物を熟成させることと、
e)一次粒子を有する成熟した2,9−ジクロロキナクリドン顔料であって、前記一次粒子の少なくとも60%が0.1〜0.8μmの範囲の平均粒度を有し、さらに、長さ:幅及び/又は高さの平均アスペクト比が1:1〜3:1であることを特徴とする熟成した2,9−ジクロロキナクリドン顔料を単離することと
を含む、γ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料の製造方法。 - 前記熟成した顔料がマストーンにおけるCIE色空間値L*=37〜41、C*=42〜47及びh=16〜18によって特性決定される、請求項7又は8記載の方法。
- 極性溶媒が、メチルアセトアミド、ホルムアミド、スルホラン、メチルホルムアミド、ジ(C1〜C8アルキル)スルホキシド、ジ(N−C1〜C8アルキル)−ホルムアミド又はN−C1〜C8アルキル−ピロリドン、好ましくはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド又はN−メチル−ピロリドンである、請求項7、8又は9記載の方法。
- 高分子量有機材料及び有効着色料の請求項1〜6いずれか記載のγ−2,9−ジクロロキナクリドン顔料を含む組成物。
- 前記高分子量有機材料が、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアミド、ポリシクロアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリハロゲン化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル及びメタクリルポリマー、ゴム、シリコーンポリマー、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン、ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂ならびにジエンゴム又はそれらのコポリマーからなる群より選択される、請求項11記載の組成物。
- 前記高分子量有機材料が、後で圧延、注型、成形又は繊維へと加工されるプラスチックであるか、工業用又は自動車用塗料又はインクコーティングである、請求項11又は12記載の組成物。
- 請求項1〜6のいずれか記載の顔料の有効着色量を高分子量有機材料に配合することを含む、高分子量有機材料を着色する方法。
- 請求項7〜11のいずれかにより製造した顔料の有効着色量を高分子量有機材料に配合することを含む、高分子量有機材料を着色する方法。
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