JP2004520006A - ラットpeg−3プロモーターの領域を含んでなる核酸とその利用 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書に開示する発明は、米国健康福祉局(U.S. Department of Health and Human Services)からの国立癌研究所(National Cancer Institute)認可番号CA35675およびCA74468のもとでの政府支援によってなされた。従って、米国政府は本発明にある一定の権利を有する。
【0002】
発明の背景
本出願書全体にわたって、様々な出版物を著者と日付によって本文内で参照している。これらの出版物の全ての引用はアルファベット順に本明細書末尾に掲げられている。前後を問わず、本明細書に引用した全ての特許、特許明細書および出版物は、その全文が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載しかつ請求した本発明の日付において当業者に公知である当技術分野の技術水準をさらに詳細に記載する目的で、これらの出版物の全体の開示がこれによって参照により本特許出願書中に組み入れられる。
【0003】
発明の概要
本発明は、配列番号1の位置−270のグアノシン(G)で始まりかつ位置+194のシトシン(C)で終わるヌクレオチド配列を含有するPEG−3プロモーターを含んでなる、単離した核酸を提供する。本発明はまた、細胞内のPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法であって:(a) レポーター遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を含有する細胞を、薬剤と接触させること;(b) 細胞内のレポーター遺伝子発現のレベルを測定すること;および(c) 工程(b)で測定した発現レベルを、薬剤の不存在下で同一細胞で測定したレポーター遺伝子発現レベルと比較することからなり、薬剤の存在下で測定されたより低い発現レベルはPEG−3プロモーター活性を抑制する薬剤を示しかつ薬剤の存在下で測定されたより高いレベルはPEG−3プロモーター活性を増大する薬剤を示し、それによって細胞内でPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法を提供する。本発明は、被験者の癌を治療する方法であって、目的の遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を投与することからなり、目的の遺伝子が被験者の癌細胞に選択的に発現されかつその発現がPEG−3の発現を調節して癌細胞の増殖を抑制または死滅してそれによって被験者の癌を治療することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0004】
発明の詳細な説明
本明細書では次の複数の省略語を使用する:進行上昇遺伝子(progression elevated gene)−3(PEG−3);ラット胚細胞(RE細胞);PEG−プロモーター(PEG−Prom);キロ塩基(kb)。本特許出願全体にわたって、特定のヌクレオチドに対する参照は、核酸のコード鎖上に存在するヌクレオチドに対するものである。本明細書全体にわたって次の標準略語を用いて特定のヌクレオチドを示す:
C=シトシン A=アデノシン
T=チミジン G=グアノシン
本発明は、配列番号1の位置−270のグアノシン(G)で始まりかつ位置+194のシトシン(C)で終わるヌクレオチド配列を含有するPEG−3プロモーターを含んでなる、単離した核酸を提供する。
【0005】
本発明はまた、少なくとも15ヌクレオチド長の請求項1のヌクレオチド配列の断片を含んでなる、単離した核酸も提供する。
【0006】
一実施形態においては、核酸断片は、
(i)配列番号1の位置−105のチミジン(T)で始まりかつ位置−100のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるPEA3タンパク質結合配列、
(ii)配列番号1の位置−29のチミジン(T)で始まりかつ位置−24のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるTATA配列、または
(iii)配列番号1に示したヌクレオチド配列の位置+6のチミジン(T)で始まりかつ位置+12のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるAP1タンパク質結合配列を含んでなる。
【0007】
他の実施形態においては、核酸は上記の3つのヌクレオチド配列(i)〜(iii)の少なくとも2つを含んでなる。
【0008】
他の実施形態においては、核酸は上記の3つのヌクレオチド配列(i)〜(iii)を含んでなる。
【0009】
他の実施形態においては、断片はプロモーター活性を有する。
【0010】
他の実施形態においては、断片は目的の遺伝子と機能的に連結されている。他の実施形態においては、目的の遺伝子はレポーター遺伝子である。
【0011】
他の実施形態においては、レポーター遺伝子はβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼまたはアルカリホスファターゼをコードする。
【0012】
他の実施形態においては、目的の遺伝子は、癌抑制遺伝子、発現すると細胞のアポトーシスを引き起こす遺伝子、または細胞傷害性遺伝子である。
【0013】
本発明は、少なくとも1つの本明細書に記載の核酸を含んでなるベクターを提供する。本発明はまた、このベクターを含んでなる宿主細胞も提供する。
【0014】
他の実施形態においては、宿主細胞は腫瘍細胞である。他の実施形態においては、腫瘍細胞は黒色腫細胞、神経芽細胞腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、またはグリア芽細胞腫多型細胞である。
【0015】
本発明はまた、細胞内でPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法であって:
(a) レポーター遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を含有する細胞を、薬剤と接触させること;(b) 細胞内のレポーター遺伝子発現のレベルを測定すること;および(c) 工程(b)で測定した発現レベルを、薬剤の不存在下で同一細胞で測定したレポーター遺伝子発現レベルと比較することからなり、薬剤の存在下で測定されたより低い発現レベルはPEG−3プロモーター活性を抑制する薬剤を示しかつ薬剤の存在下で測定されたより高いレベルはPEG−3プロモーター活性を増大する薬剤を示し、それによって細胞内でPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法を提供する。
【0016】
他の実施形態においては、細胞は、黒色腫細胞、神経芽細胞腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、またはグリア芽細胞腫多型細胞である。
【0017】
他の実施形態においては、薬剤は約7キロダルトン以下の分子量を有する分子を含んでなる。
【0018】
他の実施形態においては、薬剤は、配列番号1に示した配列の少なくとも一部分と相補的なヌクレオチド配列を含んでなるアンチセンス核酸でありかつ長さが少なくとも15ヌクレオチドである。
【0019】
他の実施形態においては、薬剤は、DNA分子、炭水化物、糖タンパク質、転写因子タンパク質または二本鎖RNA分子である。
【0020】
他の実施形態においては、薬剤は、0.1キロダルトンから10キロダルトンまでの分子量を有する合成ヌクレオチド配列、ペプチド模倣物、または有機分子である。
【0021】
他の実施形態においては、レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼまたはアルカリホスファターゼをコードする。
【0022】
他の実施形態においては、測定されるPEG−3プロモーター活性の発現は2.5〜3.5倍以上の増加または減少である。
【0023】
本発明は、被験者の癌を治療する方法であって、目的の遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を投与することからなり、目的の遺伝子が被験者の癌細胞中で選択的に発現されかつその発現がPEG−3の発現を調節して癌細胞の増殖の抑制または死滅をもたらし、それによって被験者の癌を治療することを特徴とする、前記方法を提供する。
【0024】
本発明の一実施形態においては、核酸は本質的に、(i)配列番号1の位置−105のチミジン(T)で始まりかつ位置−100のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるPEA3タンパク質結合配列、(ii)配列番号1の位置−29のチミジン(T)で始まりかつ位置−24のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるTATA配列、および(iii)配列番号1に示したヌクレオチド配列の位置+6のチミジン(T)で始まりかつ位置+12のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるAP1タンパク質結合配列からなる。
【0025】
他の実施形態においては、核酸は、少なくとも25ヌクレオチド長の配列番号1の少なくとも一部分と相補的な配列を有する。
【0026】
他の実施形態においては、癌は、黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、グリア芽細胞腫多型、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である。
【0027】
他の実施形態においては、投与は、注射、経口投与、局所投与、アデノウイルス感染、リポソームを介する導入、被験者の細胞への局所応用、またはマイクロインジェクションを経由して実施する。
【0028】
他の実施形態においては、被験者は哺乳類である。他の実施形態においては、哺乳類はヒトである。他の実施形態においては、目的の遺伝子は、発現すると細胞のアポトーシスを引き起こす遺伝子である。
【0029】
他の実施形態においては、遺伝子はMda−7遺伝子またはp53遺伝子を含んでなる。他の実施形態においては、目的の遺伝子は腫瘍抑制遺伝子である。他の実施形態においては、抑制遺伝子はmda−7である。他の実施形態においては、目的の遺伝子は細胞傷害性遺伝子である。他の実施形態においては、細胞傷害性遺伝子の発現は細胞死を引き起こす。
【0030】
他の実施形態においては、細胞傷害性遺伝子は、HSV−TK、p21、p27、およびp10からなる群から選択される。
【0031】
本発明の実施は、他に示さない限り、当技術分野の範囲内である通常の分子生物学、微生物学、ウイルス学、組換えDNA技術、および免疫学の技術を採用しうる。そのような技術は、全て文献に説明されている。例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」, Second Edition (1989);「DNAクローニング(DNA Cloning)」, Vols.IおよびII (D.N. Glover編、1985);「オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)」(M.J. Gait編、1984);「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」(B.D. Hames & S.J. Higgins編、1984);「動物細胞培養(Animal Cell Culture)」(R. K. Freshney編、1986);「固定細胞と酵素(Immobilized Cells and Enzymes)」(IRL press、1986);Perbal, B., 「分子クローニングへの実用的手引き(A Practical Guide to Molecular Cloning)」(1984);シリーズ「酵素学の方法(Methods In Enzymology)」(S. ColowickおよびN. Kaplan 編、Academic Press, Inc.);ならびに「実験免疫学ハンドブック(Handbook of Experimental Immunology)」, Vols. I−IV (D.M. WeirおよびC.C. Blackwell編、1986、Blackwell Scientific Publications)を参照。
【0032】
本明細書および付加した請求の範囲に使用している、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容が明白に他を規定しない限り、複数の参照を含む。
【0033】
本発明は、本明細書に記載の組換え発現構築物を含んでなる宿主細胞を提供する。
【0034】
本発明の他の実施形態においては、宿主細胞は本明細書に記載の組換え発現構築物を用いて安定してトランスフォームされている。本発明の他の実施形態においては、宿主細胞は腫瘍細胞である。
【0035】
本発明の他の実施形態においては、宿主細胞はメラニン形成細胞である。本発明の他の実施形態においては、細胞は不死化細胞である。
【0036】
本発明の他の実施形態においては、腫瘍細胞は黒色腫細胞、神経芽細胞腫細胞、星状細胞腫細胞、グリア芽細胞腫多型細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞または前立腺癌細胞である。
【0037】
本発明は、宿主細胞内で外来DNAを発現する方法であって:所望のポリペプチドまたはRNAをコードする外来DNAと機能的に連結されたPEG−3プロモーターヌクレオチド配列を含んでなる遺伝子導入ベクターを宿主細胞中に導入して外来遺伝子を発現することを特徴とする前記方法を提供する。
【0038】
本発明の他の実施形態においては、遺伝子導入ベクターはレポーター分子をコードしかつ発現する。
【0039】
本発明の他の実施形態においては、レポーター遺伝子はβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼおよびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼからなる群から選択される。
【0040】
本発明の他の実施形態においては、「導入(introducing)」は、アデノウイルス感染、リポソームを介する導入、細胞への局所応用、およびマイクロインジェクションからなる群から選択される方法によって実施される。
【0041】
本発明の他の実施形態においては、癌は黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、グリア芽細胞腫多型、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である。
【0042】
本発明の他の実施形態においては、癌は被験者の中枢神経系の癌である。
【0043】
本発明の他の実施形態においては、投与は注射、経口投与、または局所投与を経由して実施される。
【0044】
本発明の他の実施形態においては、担体は水性担体、リポソーム、または脂質担体である。
【0045】
定義
本明細書に使用される「治療遺伝子」は、癌細胞に治療効果を与えることができるかまたは細胞内で機能する遺伝子の発現に調節効果を有する機能性タンパク質に対応する、アミノ酸配列をコードするDNAを意味する。
【0046】
本明細書に使用される「核酸分子」はDNAとRNAの両方であって、他に規定しない限り、二本鎖および一本鎖核酸分子の両方を含む。また、DNA−RNAハイブリッドなどのハイブリッドも含む。核酸配列への参照はまた、改変した塩基も、その改変が核酸とタンパク質などのリガンドとの結合またはワットソン−クリック塩基対合のいずれかを有意に妨害しない限り、含むことができる。
【0047】
本明細書に使用される「エンハンサーエレメント」は、治療遺伝子または目的の遺伝子の転写速度を増加するがプロモーター活性を有しないヌクレオチド配列である。エンハンサーは、活性の有意な損失を伴うことなく、プロモーターの上流、下流、および反対側に移動することができる。
【0048】
2つのDNAまたはポリペプチド配列が「実質的に相同的」であるというのは、ヌクレオチドまたはアミノ酸の少なくともほぼ80%(好ましくは少なくともほぼ90%、そして最も好ましくは少なくとも95%〜99%)が分子の特定の長さにわたって対合するときである。本明細書に使用される「実質的に相同的」はまた、特定のDNAまたはポリペプチド配列に対して同一性(100%同一な配列)を示す配列も意味する。実質的に相同的なDNA配列は、例えば、特定の系についての特定されたストリンジェントな条件下のサザンハイブリダイゼーション実験によって同定することができる。適当なハイブリダイゼーション条件の規定は当技術分野の範囲内である。例えば、Sambrookら、前掲;「DNAクローニング(DNA Cloning)」, vols I & II、前掲;「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」、前掲を参照。
【0049】
PEG−3プロモーター配列と「機能的に等価な」配列は、PEG−3プロモーター配列と同じ様式で機能する配列である。従って、本明細書に記載のPEG−3プロモーターと「機能的に等価な」プロモーター配列は、PEG−3プロモーター配列と実質的に類似した発現の時間枠でおよび実質的に類似の量でならびに実質的に類似した組織特異性をもって、下流コード配列の転写を指令できる配列である。
【0050】
DNA「コード配列」または特定のタンパク質を「コードするヌクレオチド配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれるとin vivoまたはin vitroで転写されかつポリペプチドに翻訳されるDNA配列である。コード配列の境界は、5’−(アミノ)末端の開始コドンおよび3’−(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列は、限定されるものでないが、原核生物配列、真核生物mRNAからのcDNA、真核生物(例えば哺乳類)源からのゲノムDNA配列、ウイルスRNAまたはDNA、およびさらに合成ヌクレオチド配列が挙げられる。転写末端配列は通常、コード配列の3’に位置するであろう。
【0051】
DNA「制御配列」は集合的にプロモーター配列、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、エンハンサーなどの5’−UTR(未翻訳領域)および3’−UTRを含む非翻訳領域を意味し、宿主細胞においてコード配列の転写と翻訳を集合的に提供する。
【0052】
「機能的に連結された」は、そこに記載された諸成分がその通常の機能を果たすように構成された、ヌクレオチド配列エレメントの配置を意味する。従って、コード配列と機能的に連結された制御配列は、コード配列の発現を果たすことができる。制御配列は、コード配列の発現を指令するよう機能するのであれば、コード配列に近接する必要はない。従って、例えば、介在する未翻訳であるが転写済みの配列がプロモーター配列とコード配列の間に存在してもよく、プロモーター配列はまだコード配列と「機能的に連結されている」と考えることができる。
【0053】
制御配列は細胞内のコード配列の「転写を指令」するとは、RNAポリメラーゼがプロモーター配列と結合してコード配列をmRNAに転写するときであり、次いでmRNAはコード配列がコードするポリペプチドに翻訳される。
【0054】
細胞は外因性DNAによって「トランスフォーム」されているとは、その外因性DNAが細胞膜内に導入されているときである。外因性DNAは、細胞のゲノムを構成する染色体DNA中に組み込まれて(共有結合で連結されて)いてもまたはいなくてもよい。原核生物および酵母においては、例えば、外因性DNAはプラスミドなどのエピソームエレメントに維持されてもよい。真核細胞においては、安定してトランスフォームされた細胞は、一般的に外因性DNAを染色体に組込んでいて染色体複製を通して娘細胞に継承する細胞か、または安定して維持された染色体外プラスミドを含有する細胞である。この安定性は、外因性DNAを含有する娘細胞集団からなる細胞系またはクローンを確立する真核生物細胞の能力によって実証される。
【0055】
DNA構築物の「異種」領域は、他DNA分子内にあるかまたは他分子と結合したDNAの同定しうるセグメントであって、自然では該他分子と会合して見出されない前記セグメントである。例えば、PEG−3タンパク質以外のタンパク質をコードする配列は、PEG−3プロモーターと連結されると、異種配列とみなされる。異種コード配列の他の例は、コード配列それ自身が自然で見出されない構築物(例えば、自然の遺伝子と異なるコドンを有する合成配列)である。同様に、PEG−3プロモーターと連結した異種遺伝子を含んでなるキメラ配列は、かかるキメラ構築物が通常自然で見出されないので、異種であると考えられる。対立遺伝子変異または自然に存在する突然変異事象は、本明細書に使用される意味での、DNAの異種領域を生じない。
【0056】
ベクター
特に好ましいのはウイルス系のベクターである。真核細胞の場合には、レトロウイルスまたはアデノウイルス系のベクターが好ましい。そのようなベクターは、ウイルスゲノムの全体または一部分、例えば長末端反復配列(「LTR」)、プロモーター(例えばCMVプロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター)、エンハンサーその他を、含有する。宿主細胞が原核生物であれば、細菌ウイルス、すなわちファージが好ましい。そのようなベクターの例は、例えば、λファージ系のベクターである。いずれの場合もベクターは2以上のウイルスのエレメントを含んでなってもよい。
【0057】
得られるベクターを、真核生物または原核生物のいずれであってもよい宿主細胞中にトランスフェクトまたはトランスフォームする。
【0058】
本発明の遺伝子導入ベクターはさらに、ベクターの発現をより容易に追跡するためのマーカーまたはレポーター分子をコードする遺伝子を含んでいてもよい。
【0059】
本発明に使用しうる特定のレポーター分子は本発明においては重要でない。本発明に使用しうるそのようなレポーター分子の例は、当技術分野で周知であり、βガラクトシダーゼ(Fowlerら, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 74:1507 (1977))、ルシフェラーゼ(Tuら, Biochem., 14:1970 (1975))、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(Gormanら, Mol. Cell Biol., 2:1044−1051 (1982))が挙げられる。
【0060】
遺伝子導入ベクターは、同じもしくは異なる外来のポリペプチドまたはRNAをコードする2以上の遺伝子を含有してもよい。
【0061】
遺伝子導入ベクターは、宿主細胞内で複製しうるいずれの構築物であってもよく、プラスミド、DNAウイルス、レトロウイルス、ならびに単離したヌクレオチド分子が挙げられる。遺伝子導入ベクターのリポソームを介する導入も、本発明で実施しうる。
【0062】
本発明に使用しうる前記プラスミドの例は、pGL3−系のプラスミド(PromegaTM)が挙げられる。本発明に使用しうる前記DNAウイルスの例はアデノウイルスである。
【0063】
アデノウイルスは、発現ベクター、特にヒト遺伝子治療用の発現ベクターとして一層注目されている(Berkner, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 158:39−66 (1992))
本発明に使用しうる前記アデノウイルスの血清型の例は、当技術分野で周知であり、40種を超えるさまざまなヒトアデノウイルス、例えば、Ad12(A亜属)、Ad3およびAd7(B亜属)、Ad2およびAd5(C亜属)、Ad8(D亜属)、Ad4(E亜属)、Ad40(F亜属)が挙げられる(Wigandら, 「アデノウイルスDNA(Adenovirus DNA)」, Doerfler編, Martinus Nijhoff Publishing, Boston, pp.408−441 (1986))。C亜属のAd5が本発明において好適に使用されるアデノウイルスである。これは、Ad5が、多くの生化学的および遺伝学的情報が既知であるヒトアデノウイルスであり、かつ歴史的にアデノウイルスをベクターとして使用する構築物の大部分において使用されてきたからである。また、アデノウイルスは市販されていて、例えばpCA3(Microbix Biosystems Inc.)がある。
【0064】
アデノウイルスベクターを作製する方法は当技術分野で周知である(Berknerら, Nucleic Acids Res., 11:6003−6020 (1983);van Dorenら, Mol. Cell. Biol., 4:1653−1656 (1984);Ghosh−Choudhuryら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 147:964−973 (1987);McGroryら, Virol., 163:614−617 (1988);およびGluzmanら, 「真核生物ウイルスベクター(Eurkaryotic Viral Vectors)」, Gluzman, Y.編, 187−192頁, Cold Spring Harbor Laboratory (1982))。
【0065】
誘導体核酸分子
誘導体分子はPEG−3プロモーターの機能的特性を保持しうる、すなわち、上記のような置換を有する分子であっても目的の遺伝子の組織特異的発現が可能でありうる。改変は、誘導体分子の効力がPEG−3プロモーター単独と比較して増加しており、かつ誘導体分子がその組織特異性を保持している限り、許容される。
【0066】
治療遺伝子の例としては自殺遺伝子が挙げられる。これらの遺伝子配列が発現すると、黒色腫腫瘍細胞増殖を抑制するかまたは黒色腫腫瘍細胞死を誘発するタンパク質または薬剤が産生される。自殺遺伝子としては、酵素をコードする遺伝子、癌遺伝子、癌抑制遺伝子、毒素をコードする遺伝子、サイトカインをコードする遺伝子、またはオンコスタチンをコードする遺伝子が挙げられる。治療遺伝子の目的は皮膚癌細胞の増殖を抑制もしくは該細胞を死滅させるか、または直接もしくは間接に癌細胞の増殖を抑制するかもしくは該細胞を死滅させるサイトカインもしくは他の細胞傷害性薬剤を産生することである。
【0067】
適当な酵素は、チミジンキナーゼ(TK)、大腸菌(E.coli)由来のキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT)遺伝子もしくは大腸菌(E.coli)シトシンデアミナーゼ(CD)、またはヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)が挙げられる。
【0068】
適当な癌遺伝子および癌抑制遺伝子は、neu、EGF、ras(H、K、およびN rasを含む)、p53、網膜芽細胞腫抑制遺伝子(Rb)、ウィルムス腫遺伝子産物、ホスホチロシンホスファターゼ(PTPアーゼ)、およびnm23が挙げられる。適当な毒素は、シュードモナス外毒素AおよびS;ジフテリア毒素(DT);大腸菌(E.coli)LT毒素、志賀毒素、志賀様毒素(SLT−1、−2)、リシン、アブリン、サポリン(supporin)、およびゲロニン(gelonin)が挙げられる。
【0069】
適当なサイトカインは、インターフェロン、GM−CSFインターロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)が挙げられる(Wong Gら, 「ヒトGM−CSF:相補的DNAの分子クローニングならびに天然および組換えタンパク質の精製(Human GM−CSF: Molecular cloning of the complementary DNA and purification of the natural and recombinant proteins)」, Science 1985; 228:810);WO9323034 (1993);Horisberger M. A.ら, 「インターフェロン−βおよびウイルス誘導ヒトMxタンパク質のcDNAのクローニングと配列分析は、それらが推定グアニンヌクレオチド結合部位を含有することを示す:当該遺伝子プロモーターの機能性研究(Cloning and sequence analyses of cDNAs for interferon−beta and virus−induced human Mx proteins reveal that they contain putative guanine nucleotide−binding sites: functional study of the corresponding gene promoter)」, Journal of Virology, 1990 Mar, 64(3):1171−81;Li YPら, 「前炎症性サイトカイン腫瘍壊死因子−αおよびIL−6はオステオカルシン遺伝子プロモーターをダウンレギュレートするが、IL−1はその機能をもたない(Proinflammatory cytokines tumor necrosis factor−alpha and IL−6, but not IL−1, downregulate the osteocalcin gene promoter)」, Journal of Immunology, Feb. 1, 1992, 148(3):788−94;Pizarro T. T.ら. 「同種移植拒絶の際のラット心臓移植体におけるTNFαおよびTNFβ遺伝子発現の誘導(Induction of TNF alpha and TNF beta gene expression in rat cardiac transplants during allograft rejection)」, Transplantation, 1993 Aug., 56(2):399−404);Breviario Fら, 「内皮細胞中のインターロイキン−1誘導遺伝子:C反応性タンパク質および血清アミロイドP成分に関係する新しい遺伝子のクローニング(Interleukin−1−inducible genes in endothelial cells. Cloning of a new gene related to C−reactive protein and serum amyloid P component)」, Journal of Biological Chemistry, Nov. 5, 1992, 267(31):22190−7;Espinoza−Delgado I.ら, 「ヒト単球のIL−2受容体サブユニット遺伝子の調節:IL−2とIFN−γの示差的作用(Regulation of IL−2 receptor subunit genes in human monocytes. Differential effects of IL−2 and IFN−gamma)」, Journal of Immunology, Nov. 1,1992, 149(9):2961−8;Algate P.A.ら, 「胎児肝由来のFL5.12細胞系における、IL−3によるインターロイキン−3(IL−3)受容体の調節(Regulation of the interleukin−3 (IL−3) receptor by IL−3 in the fetal liver−derived FL5.12 cell line)」, Blood, 1994 May 1, 83(9):2459−68;Cluitmans F. H.ら, 「IL−4は、IL−2−、IL−3−、およびGM−CSF−が誘導する末梢血単球におけるサイトカイン遺伝子発現をダウンレギュレートする(IL−4 downregulates IL−2−, IL−3−, and GM−CSF−induced cytokine gene expression in peripheral blood monocytes)」, Annals of Hematology, 1994 Jun., 68(6):293−8;Lagoo, A. S.ら, 「スーパー抗原活性化T細胞におけるIL−2、IL−4およびIFN−γ遺伝子発現とそれに対するそれらの分泌 接着分子を介しての同時刺激シグナルの明確な必要性(IL−2, IL−4, and IFN−gamma gene expression versus secretion in superantigen−activated T cells. Distinct requirement for costimulatory signals through adhesion molecules)」, Journal of Immunology, Feb. 15,1994, 152(4):1641−52;Martinez O.M.ら, 「肝同種移植片受容者およびin vitroにおける、同種抗原に応答したIL−2およびIL−5遺伝子発現(IL−2 and IL−5 gene expression in response to alloantigen in liver allograft recipients and in vitro)」, Transplantation, 1993 May, 55(5):1159−66;Pang Gら, 「リポ多糖、IL−1αおよびTNF−αにより刺激されたヒト十二指腸繊維芽細胞におけるGM−CSF、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−10、ICAM−1およびVCAM−1遺伝子発現とサイトカイン産生(GM−CSF, IL−1 alpha, IL−1 beta, IL−6, IL−8, IL−10, ICAM−1 and VCAM−1 gene expression and cytokine production in human duodenal fibroblasts stimulated with lipopolysaccharide, IL−1 alpha and TNF−alpha)」, Clinical and Experimental Immunology, 1994 Jun., 96(3):437−43;Ulich T. R.ら, 「内毒素誘導性サイトカイン遺伝子のin vivo発現 III IL−6 mRNAおよび血清タンパク質発現ならびにIL−6のin vivo血液学的作用(Endotoxin−induced cytokine gene expression in vivo. III. IL−6 mRNA and serum protein expression and the in vivo hematologic effects of IL−6)」, Journal of Immunology, Apr. 1,1991,146 (7):2316−23;Mauviel A.ら, 「T細胞産生サイトカインであるロイコレギュリンは、IL−8遺伝子発現およびヒト皮膚繊維芽細胞における分泌を誘導する。ヒト皮膚繊維芽細胞における実証と分泌。NF−κ B結合およびNF−κ B−駆動プロモーター活性の実証。(Leukoregulin, a T cell−derived cytokine, induces IL−8 gene expression and secretion in human skin fibroblasts. Demonstration and secretion in human skin fibroblasts. Demonstration of enhanced NF−kappa B binding and NF−kappa B−driven promoter activity.)」, Journal of Immunology, Nov. 1, 1992,149 (9):2969−76)。
【0070】
増殖因子は、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)およびβ(TGF−β)、サイトカインコロニー刺激因子が挙げられる(Shimane M.ら, 「G−CSF誘導性遺伝子cDNAの分子クローニングと特性決定(Molecular cloning and characterization of G−CSF induced gene cDNA)」, Biochemical and Biophysical Research Communications, Feb.28, 1994, 199(1):26−32;Kay A. B.ら, 「アトピー被験者のアレルゲン誘導遅発型皮膚反応における、サイトカイン遺伝子クラスター、インターロイキン3(IL−3)、IL−4、IL−5、および顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子のメッセンジャーRNA発現(Messenger RNA expression of the cytokine gene cluster, interleukin 3 (IL−3), IL−4, IL−5, and granulocyte/macrophage colony−stimulating factor, in allergen−induced late−phase cutaneous reactions in atopic subjects)」, Journal of Experimental Medicine, Mar.1,1991, 173(3):775−8;de Wit Hら, 「単球細胞におけるM−CSFおよびIL−6遺伝子発現の示差的調節(Differential regulation of M−CSF and IL−6 gene expression in monocytic cells)」, British Journal of Haematology, 1994 Feb., 86(2):259−64;Sprecher E.ら, 「ポリメラーゼ連鎖反応による、単純ヘルペスウイルス−1による感染の際のケラチノサイト、ランゲルハンス細胞および腹腔滲出細胞中のIL−1β、TNF−α、およびIL−6遺伝子転写物の検出(Detection of IL−1β, TNF−α, and IL−6 gene transcription by the polymerase chain reaction in keratinocytes, Langerhans cells and peritoneal exudate cells during infection with herpes simplex virus−1)」, Archives of Virology, 1992, 126(1−4):253−69)。
【0071】
本発明の方法に利用する好適なベクターは、アデノウイルス、レトロウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのウイルスベクターが挙げられる。
【0072】
選択されるウイルスベクターは次の判定基準に適合すべきである:1)ベクターは腫瘍細胞に感染できなければならないので、適当な宿主範囲を有するウイルスベクターを選択すること;2)導入した遺伝子は存続して長時間にわたり細胞内で発現すること;そして3)ベクターは宿主に対して安全であって最小限の細胞トランスフォームを起こすこと。レトロウイルスベクターとアデノウイルスは、効率的、有用、かつ現在最も良く特性決定された、外来遺伝子を効率的に哺乳類細胞に導入し発現させる手段を提供する。これらのベクターは、非常に広い宿主および細胞型範囲を有し、遺伝子を安定して効率よく発現する。これらのベクターの安全性は多くの研究グループによって証明されている。実際、多数が臨床試験に使われている。
【0073】
障害を矯正するために細胞中への遺伝子導入に利用しうる他のウイルスベクターとしては、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)などのレトロウイルス;JC、SV40、ポリオーマ、アデノウイルスなどのパポバウイルス;エプスタイン・バーウイルス(EBV);乳頭腫ウイルス、例えばウシ乳頭腫ウイルスI型(BPV);ワクシニアおよびポリオウイルスならびに他のヒトおよび動物ウイルスが挙げられる。
【0074】
アデノウイルスは、クローニング運搬体として魅力的ないくつかの性質をもつ(Bachettisら:「精製単純ヘルペスウイルスDNAによる、チミジンキナーゼ欠損ヒト細胞への遺伝子導入(Transfer of gene for thymidine kinase−deficient human cells by purified herpes simplex viral DNA)」, PNAS USA, 1977 74:1590;Berkner, K.L.:「異種遺伝子発現用のアデノウイルスベクターの開発(Development of adenovirus vectors for expression of heterologous genes)」, Biotechniques, 1988 6:616;Ghosh Choudhury G.ら, 「感染性細菌プラスミドに基づくヒトアデノウイルスクローニングベクター(Human adenovirus cloning vectors based on infectious bacterial plasmids)」, Gene 1986; 50:161;Hag Ahmand Y.ら, 「ヘルパー非依存性ヒトアデノウイルスベクターの開発と単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子の導入におけるその利用(Development of a helper−independent human adenovirus vector and its use in the transfer of the herpes simplex virus thymidine kinase gene)」, J Virol 1986; 57:257;Rosenfeld M.ら, 「in vivoでの、肺上皮への組換えα1−アンチトリプシン遺伝子のアデノウイルスを介する導入(Adenovirus−mediated transfer of a recombinant.alpha..sub.1 −antitrypsin gene to the lung epithelium in vivo)」. Science 1991; 252:431))。
【0075】
例えば、アデノウイルスは、細胞核内で複製する中間サイズのゲノムを有し;多くの血清型は臨床的に無害であり;アデノウイルスゲノムは外来遺伝子を挿入しても安定と考えられ;外来遺伝子が損失または再配置なく維持されるようであり;そしてアデノウイルスは4週間〜数ヶ月間の発現期間をもつ高レベルの一過性発現ベクターとして利用しうる。広範な生化学的および遺伝学的研究は、7〜7.5 kbの異種配列を天然のアデノウイルス配列と置き換えて、生存可能な条件付きのヘルパー非依存性ベクターを作製することが可能であることを示唆する(Kaufman R.J.; 「アデノウイルス翻訳制御に必要な構成要素の同定とcDNA発現ベクターにおけるそれらの利用(identification of the component necessary for adenovirus translational control and their utilization in cDNA expression vectors)」, PNAS USA, 1985 82:689)。
【0076】
AAVは、ほぼ5kbの一本鎖DNAゲノムをもつ小さいヒトパルボウイルスである。このウイルスは、複数のヒト細胞型に組み込まれたプロウイルスとして伝播することができる。AAVベクターはヒト遺伝子治療用にいくつかの利点がある。例えば、これらはヒト細胞に対し栄養依存性であるが、他の哺乳類細胞にも感染しうる;(2)ヒトまたは他の動物においてAAVに関連する疾患はない;(3)組み込まれたAAVゲノムはその宿主細胞内で安定であると思われる;(4)AAVの組込みが宿主遺伝子もしくはプロモーターの発現を改変するかまたはそれらの再配置を促進することは示されていない;(5)導入した遺伝子は、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスを用いる感染によって、宿主細胞からレスキューしうる。
【0077】
HSV−1ベクター系は、非***細胞中への実質的にすべての遺伝子の導入を容易なものにする(Gellerら, 「欠陥単純ヘルペスウイルスベクターのための効率的な欠失突然変異パッケージングシステム:ヒト遺伝子治療および神経生理学への応用可能性(an efficient deletion mutant packaging system for a defective herpes simplex virus vectors :Potential applications to human gene therapy and neuronal physiology)」, PNAS USA, 1990 87:8950)。
【0078】
哺乳類遺伝子導入用の他のベクターは、ウシ乳頭腫ウイルスに基づくベクターである(Sarver N,ら, 「ウシ乳頭腫ウイルスDNA:新規の真核生物クローニングベクター(Bovine papilloma virus DNA:A novel eukaryotic cloning vector)」. Mol Cell Biol 1981; 1: 486)。
【0079】
ワクシニアおよび他のポックスウイルスに基づくベクターは、哺乳類遺伝子導入系を提供する。ワクシニアウイルスは、120キロダルトン(kd)ゲノムサイズの大きな二本鎖DNAウイルスである(Panicali D,ら, 「クローニングベクターとしてのポックスウイルスの構築:単純ヘルペスウイルスから感染性ワクチンウイルスのDNA中へのチミジンキナーゼ遺伝子の挿入(Construction of poxvirus as cloning vectors:Insertion of the thymidine kinase gene from herpes simplex virus into the DNA of infectious vaccine virus)」, Proc Natl Acad Sci USA 1982; 79:4927;Smithら 「B型肝炎ウイルス表面抗原を発現する感染性ワクシニアウイルス組換え体(infectious vaccinia virus recombinants that express hepatitis B virus surface antigens)」, Nature, 1983 302:490.)。
【0080】
レトロウイルスはウイルス遺伝子を宿主細胞中に挿入するように設計したパッケージである(Guild Bら, 「in vivoでの培養マウス胚細胞および造血細胞における遺伝子発現に有用なレトロウイルスベクターの開発(Development of retrovirus vectors useful for expressing genes in cultured murine embryonic cells and hematopoietic cells in vivo)」, J Virol 1988; 62:795;Hock R. A.ら, 「ヒト造血前駆細胞における、薬物耐性遺伝子のレトロウイルスを介する導入と発現(Retrovirus mediated transfer and expression of drug resistance genes in human hemopoietic progenitor cells)」, Nature 1986; 320:275)。基本レトロウイルスは、プロウイルスタンパク質にパッケージされた2つの同一のRNA鎖からなる。そのコアはエンベロープと呼ばれる保護コートにより囲まれ、該エンベロープは先の宿主の膜に由来するがウイルスの寄与による糖タンパク質を用いて改変されている。
【0081】
マーカーや増幅体も被験者発現系に使用することができる。トランスフォーム細胞系を選択するのに有用である様々なマーカーが知られていて、マーカーは一般的に、細胞が適当な選択培地で増殖されると発現してトランスフォーム細胞に選択可能な表現型を与える遺伝子を含んでなる。哺乳類細胞系に対するそのようなマーカーは、例えば、マイコフェノール酸およびキサンチンを含有する培地中で選択できる、細菌キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Mulliganら, (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072−2076)、および哺乳類細胞に通常は毒性があるG418などのネオマイシン誘導体を含有する培地を用いて選択できる、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(ネオマイシン/カナマイシン誘導体の抗菌作用を不活化するタンパク質を規定する)(Colbere−Garapinら, (1981) J. Mol. Biol. 150:1−14)が挙げられる。他の真核生物発現系に有用なマーカーは、当業者に周知である。
【0082】
感染はin vitroまたはin vivoで実施しうる。細胞のin vitro感染は、遺伝子導入ベクターを細胞培養培地に加えることによって実施する。感染をin vivoで実施するときは、遺伝子導入ベクターを含有する溶液を、感染させる組織に依存して様々な方法で投与することができる。そのような投与方法の例は、遺伝子導入ベクターの皮膚への注射、皮膚上の局所適用、上皮表面への直接適用、または器官中への滴下注入(例えば、皮膚下または腫瘍中への経時放出パッチまたはカプセル)が挙げられる。
【0083】
発現は、マウスジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)遺伝子などの増幅可能な遺伝子をコード配列に隣接して配置することによって増幅してもよい。その後、細胞をdhfr欠損細胞におけるメトトレキセート耐性に対して選択することができる。例えば、Urlaubら, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220;Rungoldら, (1981) J. Mol. and Appl. Genet. 1:165−175を参照。
【0084】
上記の系は、様々な原核生物性、真核生物性およびウイルスタンパク質の発現を指令するために利用することができ、例えば、ワクチン抗原として利用するのに適当なウイルス糖タンパク質、免疫応答を調節するための免疫調節物質、ホルモン、サイトカインおよび増殖因子、ならびに他の生物医薬品の生産に有用であるタンパク質が挙げられる。
【0085】
また、目的のタンパク質の突然変異体または類似体を作ることも所望されよう。突然変異体または類似体は、タンパク質をコードする配列の一部分の欠失によって、ある配列の挿入によって、および/またはその配列内の1以上のヌクレオチドの置換によって、作製することができる。位置指定突然変異誘発などのヌクレオチド配列を改変するための技術は、当業者に周知である。例えば、Sambrookら, 前掲;「DNAクローニング(DNA Cloning)」, IおよびII巻, 前掲;「核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization)」, 前掲を参照。
【0086】
本発明の目的にとって、宿主生物からポリペプチドの分泌をもたらすようにコード配列をさらに遺伝子操作することが特に望ましい。これはクローン安定性を増強しかつ宿主細胞内のタンパク質の有害なビルドアップを防止することにより、発現をさらに効率よく進行することができるようにする。この目的のために、相同シグナル配列を、シグナル配列と関連して通常見出されるタンパク質とともに利用することができる。さらに、タンパク質を分泌させる異種リーダー配列を構築物に加えることができる。好ましくは、プロセシング部位は、リーダー断片が、一緒に発現されるタンパク質から切断されるように含まれるであろう(例えば、そのような切断部位を導入する方法の考察については米国特許第4,336,246号を参照)。リーダー配列断片は、典型的には疎水性アミノ酸を含んでなるシグナルペプチドをコードする。
【0087】
本発明の一実施形態においては、異種遺伝子配列、すなわち治療遺伝子を本発明の核酸分子中に挿入する。本発明の単離した核酸分子の他の実施形態としては、組織特異性を損なうことなく異種治療遺伝子の発現を増幅する単一エンハンサーエレメントまたは複数のエンハンサーエレメントの付加が挙げられる。
【0088】
利用するトランスフォーム方法は、トランスフォームする宿主に依存する。哺乳類細胞をトランスフォームするのに利用できる好都合な方法は、例えばDEAE−デキストランに基づく方法、リン酸カルシウム沈殿(Graham, F.L.およびVan der Eb, A.J. (1973) Virology 52:456−467)、プロトプラスト融合、リポソームを介する導入、ポリブレンを介するトランスフェクション、および核中へのDNA直接マイクロインジェクションである。細菌細胞は、一般的に塩化カルシウムを用いて、単独でまたは他の2価カチオンおよびDMSOと組合せてトランスフォームしうる(Sambrook, Fritsch & Maniatis, 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Second Edition (1989))。DNAはまた、エレクトロポレーションによって細菌細胞中に導入することもできる。外因性DNAを酵母宿主中に導入する方法は、典型的にはスフェロプラストのトランスフォームまたはアルカリカチオンによって処理した無傷の酵母細胞のトランスフォームのいずれかが挙げられる。
【0089】
構築物はまた、遺伝子治療または核酸免疫感作に利用して、発現構築物を被験者に直接投与することによりin vivoで所望の遺伝子産物の産生を指令してin vivoでそれを翻訳させることもできる。例えば、EPA公開番号第336,523号(Dreanoら、1989年10月11日公開)を参照。あるいは、遺伝子導入は、被験者の細胞または組織をex vivoで発現構築物を用いてトランスフェクトし、トランスフォームした材料を宿主中に再導入することによって実施してもよい。構築物を宿主生物中に直接、すなわち、注射によって導入してもよい(例えば、国際公開番号WO/90/11092;およびWolffら, (1990) Science 247:1465−1468を参照)。リポソームを介する遺伝子導入は公知の方法を用いて実施してもよい。例えば、Hazinskiら, (1991) Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 4:206−209;Brighamら, (1989) Am. J. Med. Sci. 298:278−281;Canonicoら, (1991) Clin. Res. 39:219A;およびNabelら, (1990) Science 249:1285−1288を参照。特定の細胞型上に発現される表面抗原に対する抗体などのターゲッティング薬剤は、核酸を特定の組織および細胞に送達して局所投与できるように、リポソーム表面と共有結合させてもよい。
【0090】
ヒト遺伝子治療とベクターの診断利用
組換えRNA勧告委員会(Recombinant DNA Advisory Committee)(RAC)によって利用が承認されている複数のヒト遺伝子治療用プロトコルは、標的細胞感染およびトランスフェクト細胞投与の一般プロトコルと適合する(例えば、Blaese,R.Mら、1990;Anderson,W.F.、1992;Culver,K.W.ら、1991参照)。さらに、米国特許第5,399,346号(Anderson,W.F.ら、1995年3月21日、米国特許出願第220,175号)はレトロウイルス遺伝子導入の方法を記載する。これらの裏付けとなる参照文献の内容はその全文が本特許出願に組み入れられる。レトロウイルスを介する遺伝子導入は、安定した組込みを達成するために細胞***が進行中の標的細胞を必要とするので、被験者からしばしば血液または骨髄を採取することにより細胞を採集する。感染プロトコルで利用するために、元来集めた細胞の特定亜集団を選択する必要のあることがある。次いで、目的の遺伝子を含有するレトロウイルスベクターを培地に混合する。ベクターは被験者の細胞の表面と結合して細胞に進入し、そして目的の遺伝子を無作為に染色体中に挿入する。目的の遺伝子は今や安定して組込まれ、定位置に残り、そして細胞数が増えると全ての娘細胞に受け継がれる。細胞は再注入まで培養して全9〜10日間増殖させればよい(Culverら、1991)。標的細胞を培養させる時間が長くなるほど、異物混入の可能性も増加するので、プロトコルは短いほど好ましいであろう。
【0091】
本発明は、遺伝子治療用途または診断利用のために、目的の遺伝子と連結したPEG−3プロモーターまたはその機能的等価物を含有するレトロウイルスベクターの構築を提供する。これらのベクターの形質導入効率は細胞培養系で試験することができる。
【0092】
本発明の組成物の利用
本発明は、目的の遺伝子を癌細胞に標的化してその遺伝子がコードするタンパク質を発現させ、そして直接または間接に病状を改善することを伴う。PEG−3プロモーターは、癌進行中の癌細胞に特異的に活性があるので、組織特異的な(癌細胞に対して特異的な)プロモーターとして作用しうる。
【0093】
感受性細胞に感染した後、ベクターの特異的プロモーターにより駆動されるトランスジーンはその遺伝子がコードするタンパク質を発現する。高度に特異的な遺伝子ベクターを利用すると、癌細胞における特異的遺伝子の選択的発現が可能になる。本発明の方法の基本的な仕事は、目的の遺伝子を単離し、目的の遺伝子を身体に送達するのに適当なベクター運搬体を選択し、目的の遺伝子を有するベクターを身体内に投与し、そして目的の遺伝子の適当な発現を達成することである。本発明は、それを必要とする患者の血流または関係器官中に直接注入しうる方法で、クローニングした遺伝子、すなわち目的の遺伝子のパッケージングを提供する。該パッケージングは、外来DNAを免疫系による排除から保護して適当な組織または細胞へ導く。
【0094】
本発明の一実施形態においては、目的の遺伝子(所望のコード配列)は癌抑制遺伝子である。癌抑制遺伝子は、p21、RB(網膜芽細胞腫)またはp53であってもよい。当業者であれば、他の癌抑制遺伝子にも精通しているであろう。癌抑制遺伝子に関する当技術分野の状況をさらに明白に記載するため、最近の米国特許第6,025,127号および第5,912,236号が本明細書に参照により組み入れられる。
【0095】
ヒトまたは動物の目的の遺伝子とともに、他の遺伝子、例えば選択マーカーを挿入して、改変したレトロウイルスを組込んでいる細胞の同定を容易にすることができる。遺伝子治療の方法の最も重要な点は、新しい遺伝子を標的細胞内に適当なレベルで満足すべき発現期間にわたって発現しなければならないことである。
【0096】
ベクターを改変しかつその改変ベクターを皮膚中に投与するための以下に記載した方法は、単に説明の目的のためでありかつ利用しうる方法の典型である。しかし、当技術分野で理解されている他の方法も使用することができる。
【0097】
ベクターなどを構築するために利用するほとんどの技術は、当技術分野で広範に実施されていて、ほとんどの当業者は、特定の条件と方法を記載する標準的な資料を精通している。しかし以下の章は、便宜上、ガイドラインとなるであろう。
【0098】
ベクター構築の一般的方法
所望の治療遺伝子のコード配列および制御配列を含有する適当なベクターの構築は、当技術分野で十分理解されている標準のライゲーションと制限酵素技術を使用する(Maniatisら, 「分子クローニング:研究室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1982)を参照)。単離したプラスミド、DNA配列、または合成オリゴヌクレオチドを切断し、仕立て、そして所望の形に再ライゲートする。
【0099】
位置指定DNA切断は、適当な1以上の制限酵素を用いて、一般的に当技術分野で理解されかつ個々については市販制限酵素の製造業者が規定する条件(例えば、New England Biolabs 製品カタログ)のもとで処理することによって実施する。一般的に、ほぼ1μgのプラスミドまたはDNA配列を、ほぼ20μlのバッファー溶液中の1単位の酵素によって切断する。典型的には、過剰の制限酵素を利用してDNA基質の完全な消化を保証する。
【0100】
37℃にてほぼ1〜2時間のインキュベーション時間で処理できるが、変更もありうる。それぞれのインキュベーション後に、タンパク質をフェノール/クロロホルムを用いる抽出によって除去し、次いでエーテル抽出し、そして核酸を水性画分からエタノールを用いる沈殿によって回収する。もし所望であれば、切断断片のサイズ分離を、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲル電気泳動により、標準技術を用いて実施してもよい。サイズ分離の一般的記載は、Methods in Enzymology 65:499−560 (1980)に見出される。
【0101】
制限酵素切断断片は、大腸菌DNAポリメラーゼIの大断片(クレノウ(Krenow))を用いて、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)の存在のもとで処理することにより平滑末端化することができ、この処理は、ほぼ15〜25分のインキュベーション時間、20℃〜25℃の条件を用いて50mM Tris(pH 7.6)50mM NaCl、6 mM MgCl2、6 mM DTTおよび5−10μM dNTPs中で実施する。4種のdNTPsが存在しても、クレノウフラグメントは5’粘着末端を充填するが、3’突出一本鎖は削り込む。もし所望であれば、選択的修復を、dNTPsの1種を供給するかまたは選択したdNTPsを用いて、粘着末端の特性により規定される制限内で実施してもよい。クレノウによる処理の後、混合物をフェノール/クロロホルムを用いて抽出し、エタノールで沈殿させる。適当な条件下でS1ヌクレアーゼまたはBal−31を用いて処理すると、任意の一本鎖部分の加水分解が起こる。
【0102】
ライゲーションは、次の標準条件と温度のもとでT4 DNAリガーゼを用いて、10−50μl容積で実施する。ライゲーションのプロトコルは標準である(D. Goeddel (編) 「遺伝子発現技術:酵素学の方法(Gene Expression Technology: Methods in Enzymology)」 (1991))。「ベクター断片」を使用するベクター構築において、ベクター断片は、5’リン酸を除去してベクターの再ライゲーションを防止するために、通常、細菌アルカリホスファターゼ(BAP)または子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)を用いて処理する。代わりに、望ましくない断片を追加の制限酵素消化によって二重消化しておいたベクターで、再ライゲーションを防止してもよい。
【0103】
適当なベクターは、ウイルスベクターシステム、例えばADV、RV、およびAAVが挙げられる(R.J. Kaufman 「「哺乳類細胞における発現に用いるベクター(Vectors used for expression in mammalian cells)」, Gene Expression Technology, D.V. Goeddel編 (1991))。
【0104】
機能性DNAトランスジーンを細胞中に挿入する多数の方法が当技術分野では知られている。例えば、非ベクター法は、細胞中へのDNAの非ウイルス性物理的トランスフェクション;例えば、マイクロインジェクション((DePamphilisら, BioTechnique 6:662−680 (1988));リポソームを介するトランスフェクション(Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:7413−7417 (1987)、FelgnerおよびHolm, Focus 11:21−25 (1989)ならびにFelgnerら, Proc. West. Pharmacol. Soc. 32:115−121 (1989))、ならびに当技術分野で知られる他の方法が挙げられる。
【0105】
改変したベクターの被験者への投与
DNAを標的細胞中に入れる1つの方法は、DNAをスフェロプラストもしくはリポソームなどの膜に囲まれた嚢もしくは小胞内に置くか、またはリン酸カルシウム沈殿(CaPO4)による(Graham F.およびVan der Eb, A., Virology 52:456 1973;Schaefer−Ridder M.ら, 「遺伝子担体としてのリポソーム:チミジンキナーゼ遺伝子によるマウスL細胞の効率的な形質導入(Liposomes as gene carriers : Efficient transduction of mouse L cells by thymidine kinase gene)」, Science 1982, 215:166;Stavridis J. C.ら, 「外因性DNAをウサギの骨髄赤芽球へin vivo輸送するためのトランスフェリンコートしたリポソームの構築(Construction of transferrin−coated liposomes for in vivo transport of exogenous DNA to bone marrow erythroblasts in rabbits)」, Exp Cell Res 1986; 164:568−572)。
【0106】
小胞は、その膜が標的細胞の外膜と融合するように構築することができる。小胞中の本発明のベクターは癌細胞中に辿り着くことができる。
【0107】
スフェロプラストは、ポリエチレングリコールなどの融合促進物質(fusogen)を用いて哺乳類標的細胞へ融合されうるまで、高イオン強度バッファー中で維持する。
【0108】
リポソームは人工リン脂質小胞である。小胞はサイズが0.2〜4.0ミクロンであり、巨大分子を含有する10%〜40%のバッファー水溶液を封じこめることができる。リポソームはDNAをヌクレアーゼから保護し、標的細胞中への導入を容易にする。トランスフェクションはまた、エレクトロポレーションによっても起こりうる。
【0109】
投与前に、改変したベクターを、完全PBS中に注射のために選択した密度で懸濁する。PBSに加えて、任意に浸透圧を平衡化しかつ生理学的に被験者と適合しうる溶液を用いて懸濁し、その上で改変ベクターを宿主中に注入してもよい。
【0110】
注射には、細胞懸濁液を注射器内に引きこんで、そして麻酔した受給者に投与する。この方法を用いて多重注射を行うことができる。このようにして、ウイルス懸濁方法によって、遺伝子操作的に改変したベクターを皮膚の任意の予め決めた部位に投与することが可能であり、比較的傷付けることなく、同じウイルス懸濁液を用いて、複数の異なる部位または同じ部位に同時に多重投与することを可能にする。多重注射は治療遺伝子の混合物からなってもよい。
【0111】
このように投与した改変ベクターの生存
遺伝子の発現は、転写、翻訳または翻訳後のレベルで制御される。転写開始は、遺伝子発現における早期の重要な事象である。これはプロモーターおよびエンハンサー配列に依存しかつこれらの配列と相互作用する特定の細胞因子の影響を受ける。多くの原核生物遺伝子の転写単位はプロモーターおよび複数の事例ではエンハンサーまたはレギュレーターエレメントからなる(Banerjiら, Cell 27:299 (1981);Cordenら, Science 209:1406 (1980);ならびにBreathnachおよびChambon, Ann. Rev. Biochem. 50:349 (1981))。
【0112】
レトロウイルスでは、レトロウイルスゲノムの複製に関わる制御エレメントは長末端反復配列(LTR)に存在する(Weissら編, 「腫瘍ウイルスの分子生物学:RNA腫瘍ウイルス(The molecular biology of tumor viruses: RNA tumor viruses)」, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N. Y. (1982))
モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRは、プロモーターおよびエンハンサー配列を含有する(Jollyら, Nucleic Acids Res. 11:1855 (1983);Capecchiら, 「エンハンサーと真核生物遺伝子発現(Enhancer and eukaryotic gene expression)」, GulzmanおよびShenk編, pp.101−102, Cold Spring Harbor Laboratories, Cold Spring Harbor, N. Y.)。
【0113】
複数の非ウイルスプロモーターのプロモーターとエンハンサー領域も記載されている(Schmidtら, Nature 314:285 (1985);Rossiおよびde Crombrugghe, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:5590−5594 (1987))。
【0114】
ウイルスおよび非ウイルスのプロモーターを用いて治療遺伝子発現を駆動するのに加えて、エンハンサー配列を用いて治療遺伝子発現のレベルを増加してもよい。エンハンサーは、それらの天然の遺伝子の転写活性だけでなく複数の外来遺伝子の転写活性も同様に増加させることができる(Armelor, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 70: 2702 (1973))。
【0115】
治療遺伝子発現はまた、プロモーター活性をモジュレートするサイトカインを用いて、注入後の長期間にわたる安定した発現を増加させることもできる。
【0116】
本発明の方法を、治療遺伝子を担持する改変したベクターを被験者の脳内に注入する好ましい実施形態によって例示する。
【0117】
本発明の分子に対する投与および投与量計画の最も効果的な様式は、治療する癌の正確な位置、癌の重篤度および経過、被験者の健康および治療に対する応答、ならびに治療医師の判断に依存する。従って、分子の投与量は個々の被験者に対して滴定すべきである。分子は、直接または他細胞を経由して間接に送達することができ、自己細胞が好ましいが、異種細胞も本発明の範囲に包含される。
【0118】
様々なサイズおよび種の動物ならびにヒトに対する投与量とそれが基づく表面積1m2当たりのmgとの相互関係は、Freireich, E. J.ら, Cancer Chemother., Rep. 50 (4):219−244 (1966)に記載されている。投与量計画を調節して、腫瘍細胞増殖を抑制および死滅させる応答を最適化してもよく、例えば、投与量を分割して日単位で投与するかまたは状況に応じて比例的に減少させた量で投与してもよい(例えば、複数に分割した投与量を毎日投与するかまたは特定の治療状況に応じて比例的に減少させて投与してもよい)。
【0119】
治癒を達成するのに必要な本発明の分子の投与量を、スケジュール最適化によってさらに削減しうることは明らかであろう。
【0120】
癌細胞における異種遺伝子の高発現を指令するための PEG− プロモーターの利用
本発明の一実施形態は、癌細胞内で内因的に発現されない目的の遺伝子を発現する方法であって、a)目的の遺伝子と機能的に連結されているPEG−3プロモーターを含む核酸を構築し;b)この核酸を、PEG−3を発現する癌細胞中に導入し、それによって癌細胞内でPEG−3プロモーターに目的の遺伝子の発現を指令させることを含む前記方法を提供する。一実施形態においては、目的の遺伝子は、癌細胞に対して細胞傷害性をもつタンパク質をコードし、癌細胞のアポトーシスを引き起こし、癌細胞の増殖を遅延させ、または癌細胞の***を停止する。目的の遺伝子は、その発現が癌細胞内に、増殖の低減または癌表現型進行の低減もしくは抑制などの所望の生化学的または生理学的効果を起こしうるいずれの遺伝子であってもよい。
【0121】
本発明の核酸構築物を被験者の癌を治療する前記方法に利用する1つの利点は、核酸を癌細胞および正常細胞の両方に投与できることにある。しかし、PEG−3プロモーターは癌細胞においてのみ活性があるので、正常細胞で目的の遺伝子は発現しないのに対して癌細胞では目的の遺伝子の高発現が起こる。従ってこの核酸構築物によって、目的の遺伝子の特異的発現を特異的に癌細胞に標的化することが可能になる。
【0122】
リポソームを送達薬剤として利用して核酸構築物を治療すべき被験者の細胞に導入することができる。勿論、そのような核酸構築物を送達する多数の方法が存在し、当業者にはそれらは周知である(例えば、マイクロインジェクション;局所適用;化学運搬体の利用;腫瘍中への直接注入;など)。
【0123】
本発明を次の実験の詳細の節において説明する。これらの節は本発明の理解を助けるために記載するものであって、本願の請求の範囲に記載した本発明をいずれの方法であれ限定すると解釈されるべきものではない。
【0124】
実験の詳細
実施例1:トランスフォーメーション進行中の示差発現の原因になる、進行上昇遺伝子 −3 プロモーター内の領域の規定
癌は進行性疾患であり、腫瘍細胞は、質的に新しいトランスフォーメーションに関係する表現型または現存トランスフォーメーションに関連する特性のさらなる生成を経時的に発生する。げっ歯類動物細胞培養モデル系を用いて癌進行に関連しかつ制御する遺伝子を規定する。サブトラクションハイブリダイゼーションによって、突然変異体アデノウイルス5型、H5ts125でトランスフォームした(transformed)ラット胚細胞におけるトランスフォーメーション進行の誘導に機能的に関わる新規遺伝子を同定し、これを進行上昇遺伝子−3(PEG−3)と呼んだ。ほぼ2.1キロ塩基の5’−フランキングプロモーター領域、PEG−プロモーターを単離し、クローニングして特性を決定した。PEG−プロモーターの全長および様々な突然変異領域をルシフェラーゼレポーター構築物と連結して、癌進行中のプロモーター活性を一過性トランスフェクションアッセイを用いて評価した。これらの実験は、非進行性H5tsl25−トランスフォームラット胚細胞と対比して、PEG−3発現増大に介在するPEG−3のTATAボックス領域に隣接するAP−1とPEA−3部位の必要性を実証した。PEG−3調節に対するAP−1およびPEA−3の関わりはまた、タンパク質ブロッティング、電気泳動移動度シフト(EMSA)アッセイならびにPEA−3およびc−Jum発現ベクターを用いたトランスフェクション研究によっても実証された。本発明者らの発見は、攻撃的かつ進行性癌表現型を提示するH5tsl25トランスフォームラット胚細胞における、PEG−3発現上昇に介在するAP−1とPEA−3転写因子の重要性を立証する。
【0125】
実施例2:進行上昇遺伝子 −3 ( PEG−3 )プロモーター内の AP−1 と PEA−3 部位間の協同作用が、トランスフォームしたラット胚細胞における腫瘍形成表現型進行中の PEG−3 の基底および示差発現を調節する
発癌プロセスは、一連の細胞表現型の逐次変化に関わり、腫瘍細胞を発展することによって新しい特性またはトランスフォーメーションに関連する形質のさらなる生成をもたらす(Fisher、1984;Bishop、1991;Knudson、1993;VogelsteinおよびKinzler、1993)。広範囲の研究が行われているが、ほとんどのヒト癌発生中の腫瘍細胞進行の根底にある正確な遺伝機構は未だわかっていない。実験的確証は、多数の多様な作用をする遺伝子エレメントが癌発生とトランスフォーメーション進行に寄与しうることを示す(Fisher、1984;Bishop、1991;Liottaら、1991;Knudson、1993;Levine、1993;HartwellおよびKastan、1994;Kangら、1998a;VogelsteinおよびKinzler、1993;Suら、1997;1999)。これらのプロセスに関わる重要な標的遺伝子としては、発癌遺伝子、癌抑制遺伝子ならびにゲノム安定性、癌攻撃性および血管形成を調節する遺伝子が挙げられる(Fisher、1984;Bishop、1991;Liottaら、1991;Knudson、1993;Levine、1993;HartwellおよびKastan、1994;Kangら、1998a;VogelsteinおよびKinzler、1993;Suら、1997,1999)。最近、癌攻撃性に関連するかまたは特定の事例では直接調節するいくつかの新規の遺伝子エレメント、すなわち進行上昇(PEGen)および進行抑制(PSGen)遺伝子が同定された(Kangら、1998a;Suら、1997,1999)。これらの異なる遺伝子が癌進行の複雑なプロセスを編成する正確な機構は重要な研究分野であって、癌に対する新しい診断および治療手法をもたらしうる新規の経路および標的分子を規定する可能性を有する。
【0126】
腫瘍進行に介在する遺伝的および生化学的変化を規定する有用なモデルは、Ad5/初期継代RE細胞培養系である(Fisher、1984;Babissら、1985;Duigouら、1989、1990、1991;Fisherら、1979a,b,c;Reddyら、1993;Suら、1994、1997;Kangら、1998a)。二次ラット胚(RE)細胞のAd5によるトランスフォーメーションはしばしば逐次プロセスであって、非トランスフォーム細胞によって特異的表現型のさらなる生成の取得が起こる(Fisherら、1979 a、b、c;Babissら、1985)。Ad5トランスフォーメーションモデルにおける進行は、足場非依存性増大および腫瘍形成能の発生(ヌードマウスにおける形成として)によって特徴づけられる(Fisher、1984;Babissら、1985)。Ad5トランスフォームRE細胞の進行表現型は、寒天における増殖またはヌードマウスにおける腫瘍形成についての選択(Fisherら、1979a、b、c;Babissら、1985)により、Ha−ras、v−src、v−rafまたはヒト乳頭腫ウイルス18型のE6/E7領域などの発癌遺伝子を用いたトランスフェクション(Duigouら、1989;Reddyら、1993)により、またはタンパク質キナーゼCなどの特定のシグナル伝達遺伝子を用いたトランスフェクション(Suら、1994)により誘導することができる。
【0127】
自発性または遺伝子導入後に誘発した進行は安定な細胞形質であって、単層培養中で多回継代(>100)後でもAd5トランスフォームRE細胞内で消滅することなく残存する(Fisher、1984;Babissら、1985;Reddyら、1993)。しかし、脱メチル化剤5−アザシチジン(AZA)を用いた1回の処理では、細胞クローンの>95%においてトランスフォーメーション進行の復帰が安定して起こる(Fisher、1984;Babissら、1985;Duigouら、1989;Reddyら、1993;Suら、1994)。進行表現型はまた、正常もしくは非進行性トランスフォーム細胞と進行性細胞との間で形成された体細胞ハイブリッドでも抑制される(Duigouら、1990、1991;Reddyら、1993)。これらの知見は、進行が特定の進行促進(進行上昇)遺伝子の活性化もしくは進行抑制(進行抑制)遺伝子の選択的阻害、または恐らく両方のプロセスの組合せにより生じうることを示唆する(Fisher、1984;Babissら、1985;Suら、1997;Kangら、1998a)。非進行性Ad5トランスフォーム細胞と対比して進行性Ad5トランスフォーム細胞において発現が上昇する潜在的進行誘導遺伝子を同定するために、本発明者らはサブトラクションハイブリダイゼーションおよび相互サブトラクションディファレンシャルRNAディスプレイ(reciprocal subtraction differential RNA display;RSDD)手法を利用している(JiangおよびFisher、1993;Reddyら、1993;Suら、1997;Kangら、1998a)。サブトラクションハイブリダイゼーション手法により、進行性細胞(自発性、癌遺伝子で誘導したまたは増殖因子関連遺伝子で誘導した)において、非進行性細胞(親Ad5でトランスフォームした、AZA−抑制した、および抑制された体細胞ハイブリッド)よりも上昇した発現を提示するPEG−3クローンを得た(Suら、1997)。これらの知見は、このラット胚モデル系におけるPEG−3発現と進行表現型の間の直接的な相関を立証する。
【0128】
核ランオンアッセイ(nuclear run−on assay)は、PEG−3発現とこの遺伝子のRNA転写速度増加との間の直接的な相関を確証する(Suら、1997)。トランスフォーメーション進行中のPEG−3の示差的発現の根底にある機構を解明するために、該プロモーター(PEG−Prom)を含有するこの遺伝子の5’−フランキング領域を単離して特性を決定した。全長ほぼ2.0kb PEG−PromおよびPEG−Prom中の様々な突然変異(欠失および点突然変異を含む)を構築して分析した。この究明の結果は、AP1とPEA3転写因子が進行性Ad5トランスフォームRE細胞におけるPEG−3発現上昇の主要な決定因子であることを実証する。この結論を電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)ならびにc−JunおよびPEA3発現ベクターを用いたトランスフェクション研究によって立証する。
【0129】
結果
PEG3 発現はトランスフォーメーション進行と直接的に相関する
PEG−3発現とトランスフォーメーション進行との間の関係を評価するために、本発明者らは正常から高度進行性までの全範囲にわたる一連のげっ歯類動物細胞系を利用した(Fisherら、1987;Babissら、1985;Duigouら、1989;Reddyら、1993;Suら、1997,1999)。このげっ歯類動物モデルの進行表現型の特徴は、足場非依存性で増大した効率にて増殖しかつ腫瘍をヌードマウスにおいて短い腫瘍潜伏時間(それぞれ、38〜44日に対して18〜21日)で誘導する能力である(Babissら、1985;Suら、1999)。特定のH5tsl25でトランスフォームした二次スプラーグ・ドーリー(Sprague Dawley)REクローンであるE11は寒天中で低効率(ほぼ2〜4%)で増殖する(進行性陰性)が、高度進行性ヌードマウス腫瘍から誘導したE11サブクローンであるE11−NMTは寒天中で高効率(ほぼ30〜45%)で増殖する(図1A)。E11細胞、代表クローンとしてE11−ras R12中のHA−ras発癌遺伝子を強制発現させると、足場非依存性増殖(図1A)とヌードマウスにおける腫瘍潜伏時間の両方により示される進行表現型を獲得する(Reddyら、1993)。ノーザンハイブリダイゼーション(図1B)によってPEG−3 mRNAレベルを、およびウェスタンブロッティング(図1C)によってPEG−3タンパク質レベルを定量すると、PEG−3発現(すなわち、E11−NMTおよびE11−ras R12における上昇ならびにE11における低下)と進行表現型(足場非依存性増殖により示される)との間に直接的な相関を示す。
【0130】
PEG−3発現と進行との間の関係をさらに究明するために、E11、Ell−NMTおよびE11−ras R12細胞で測定したのと同じ3つのパラメーターを用いて、E11−NMTとCREF細胞との間で形成した一連の体細胞ハイブリッドを比較した(図1)。CREF細胞は、寒天中で増殖するとコロニーを形成しない不死ラット胚細胞であって、無胸腺ヌードマウス中に皮下接種しても腫瘍形成能力をもたない(Fisherら、1982;Duigouら、1990)。同様に、F1およびF2などの膨れた(fat)形態を提示するE11−NMTとCREF細胞との間で形成した体細胞ハイブリッドもヌードマウスにおいて腫瘍を形成しない(Duigouら、1990)が、これらは寒天中でE11細胞に類似した低い効率で増殖する(図1A)。対照的に、R1およびR2などの円形の形態を示す特定のE11−NMT X CREF体細胞ハイブリッドは寒天中で高効率で増殖してE11−NMTの効率すら超え(図1A)、そしてヌードマウスにおいて迅速に腫瘍を形成する(Duigouら、1990)。E11細胞で観察されたように、F1とF2細胞においてPEG−3 mRNAとタンパク質のレベルは低下するが、R1とR2はE11−NMTおよびE11−ras R12細胞(図1B、1C)に類似するPEG−3の上昇した発現を提示する。CREF細胞の場合には、PEG−3 mRNAはノーザンブロッティング(図1B)により非常に低いレベルで検出されかつPEG−3タンパク質はウェスタンブロッティング(図1C)で辛うじて検出可能である。これらの結果は、H5tsl25トランスフォームRE細胞におけるPEG−3発現と進行表現型との間の直接的一致を示す。
【0131】
PEG−3 プロモーターの単離とその転写開始部位の同定
PEG−3 cDNAの配列に基づき、PEG−3 CDNAの5’領域からゲノムウォーキング手法を用いて、PEG−3遺伝子の5’フランキング領域を表す2.0−kbラットゲノム断片を同定した。推定FL−PEG−Promの配列を図2に示す。PEG−3遺伝子の転写開始部位を、E11およびE11−NMT細胞から単離したRNAを用いてプライマー伸長によりマッピングした(図3)。PEG−PromのGCGソフトウエアを用いたコンピューター解析は、RNAキャップ部位の上流、位置−1071および−24にそれぞれ位置する2つのTATAボックスの存在を示す。−1071の配列はRNAキャップ部位からの距離が大きく離れているので、恐らく非機能性である。2つのPEA3−結合部位、AGGAAAおよびTTTCCTは、位置−1644および−101に位置する。位置−101のPEA3部位はTATAボックスの76 nt上流にある。AP1部位は位置+8に存在する。さらなる潜在的DNA結合エレメントもPEG−Prom中に見られ、Spl、急性期反応エレメント、NFκB1、E2F、E2A、GRE、TREおよびCREBが挙げられる。
【0132】
PEG−3プロモーター中のTATAボックスに隣接するAP1とPEA3部位は、進行性および非進行性H5tsl25トランスフォームRE細胞における基底および増大したプロモーター活性に関わる。
【0133】
FL−PEG−Promルシフェラーゼ構築物の様々な細胞型へのトランスフェクションは、進行表現型の発現とプロモーター活性上昇との間の直接的関係を実証した(図4)。進行性細胞はルシフェラーゼ活性において2.5〜3.5倍増加を提示し、この値はPEG−3ノーザンブロッティングおよびウェスタンブロッティングデータ(図1Bおよび1C)と十分に匹敵する。E11細胞におけるルシフェラーゼ活性のレベルは、F1およびF2 CREF X E11−NMT体細胞ハイブリッドで観察されたレベルと類似した。活性があって増殖しているCREF細胞の場合、PEG−Promは無視し得る活性しか示さなかった。
【0134】
H5tsl25トランスフォーム細胞のトランスフォームした表現型の進行中のPEG−3遺伝子の示差発現に関わるFL−PEG−Promの領域を規定するために、一連のPEG−Prom欠失構築物を遺伝子工学的に操作し、ルシフェラーゼ遺伝子の前に配置した(図5および6)。位置−1645のPEA3部位および位置−1072のTATAボックスの欠失は、E11またはE11−NMTのいずれのPEGプロモーター活性にも影響を与えず、このことはプロモーターのこれらの領域はE11またはE11−NMT細胞のPEG−Promの基底または増大した発現に寄与しないことを示唆した(図5)。位置−270でのさらなる欠失はE11−NMT細胞のプロモーター活性を僅かに阻害した(FL−PEG−Promの活性と対比してほぼ19%低下)が、E11細胞のPEG−Promの活性を有意に改変することはなかった。対照的に、−104ntのPEA3部位を除去して位置−24のTATAボックスと+8bpのAP1部位を保持すると、E11およびE11−NMT細胞の両方において基底プロモーター活性が低下した。この突然変異体PEG−Promの活性は、E11−NMTおよびE11細胞のFL−PEG−Promの活性よりそれぞれ15および4倍低かった。実際、このプロモーター欠失は、E11細胞と対比してE11−NMT中のPEG−Promの増大した発現を消滅させ、このことは、−104のPEA3部位は進行性H5tsl25トランスフォームRE細胞におけるPEG−3の増大した活性の主要な決定因子であることを示した。位置−1167〜−536および−1267〜−536の内部欠失は、E11−NMTおよびE11細胞において位置−270での欠失を含有する欠失突然変異体で観察されたルシフェラーゼ活性と類似のレベルを与えた。−1167〜−142および−1590〜−142の間に遺伝子工学的に操作した内部欠失は、E11とE11−NMT細胞の両方でさらなるプロモーター活性の低下を生じ、最も大きな影響はE11−NMT細胞に見られた(FL−PEG−Promと比較して活性がほぼ41%低下)。対照的に、−142、−536または−1287からのプロモーター領域を欠失してPEG−Promの残りを保持すると、PEGプロモーター活性は完全に消滅した(図5)。これらの結果は、PEA3転写部位(位置−104)、AP1転写部位(位置+8)およびTATAボックス(位置−24)がE11およびE11−NMT細胞における基底PEG−Prom活性の主要な決定因子であることを意味する。
【0135】
位置−104のPEA3部位、位置−24のTATAボックスおよび位置+8のAP1部位の、E11およびE11−NMT細胞中のPEG−3プロモーター活性調節における役割をさらに検証するために、さらなる一連の突然変異体PEG−3プロモータールシフェラーゼ構築物を作製した(図6)。AP1部位に突然変異があって野生型PEA3およびTATA部位を保持すると、E11およびE11−NMT細胞において等価のプロモーター活性をもたらした。この観察は、PEG−3プロモーターの位置+8のAP1部位の、E11細胞と対比したE11−NMT細胞のPEG−3転写活性上昇を調節する上での重要性を強調するものである。位置−104のPEA3部位のPEGプロモーター活性を規定する上での関わりはまた、−104に突然変異PEA3部位を含有して野生型TATA(位置−24)とAP1(位置+8)部位をもつ構築物の分析によっても実証された(図6)。この突然変異体においては、プロモーターの活性レベルは基底レベルであり、その活性はE11およびE11−NMT細胞で類似した。類似の基底プロモーター活性はまた、2つの追加の突然変異体でも観察され、その1つは突然変異体AP1とPEA3部位ならびに野生型TATAボックスを含有するもので、他の1つは位置−104のPEA3部位を欠いて野生型TATAとAP1部位を有する突然変異体であった。対照的に、位置−104のPEA3を欠いて突然変異TATA部位と位置+8の野生型AP1部位をもつ突然変異体はプロモーター活性を提示しなかった。これらの結果は、+8に位置するAP1部位と位置−104のPEA3部位の両方が、E11細胞と対比したE11−NMT細胞におけるPEG−Promの示差発現に関わることを立証する。AP1とPEA3は、E11細胞と対比したE11−NMT細胞におけるPEG−Promの示差発現、ならびにE11細胞およびE11−NMT細胞における基底PEG−Prom活性の主要な決定因子である。
【0136】
進行性 E11−NMT 細胞は増大した核転写因子結合を提示する
ウェスタンブロッティング分析を実施して、E11とE11−NMT細胞中のAP1/cJunおよびPEA3タンパク質レベルを決定した。両方のタンパク質のde novo発現レベルは、E11細胞と対比してE11−NMT細胞においてほぼ1.5〜2倍高かった(データは示してない)。EMSAを実施し、AP1およびPEA3タンパク質のDNA結合可能性ならびにE11細胞と対比してE11−NMT細胞において結合複合体レベルの差が存在するかを決定した(それぞれ、図7Aおよび7B)。野生型AP1オリゴヌクレオチドを用いると、AP1との結合レベルはE11と対比してE11−NMTにおいてより高かった(図7A)。このAP1との結合の特異性は、10および100倍モル過剰の無標識競合体との競合ならびに突然変異体AP1オリゴヌクレオチドを用いたときのDNA−タンパク質複合体の不在によって実証された(図7A)。核抽出物とAP1との結合の直接的立証は、cJun(AP1)抗体を用いたスーパーシフトアッセイによって提供された(図7A)。対照的にcJun(AP1)抗体の代わりに抗アクチン抗体を用いるとDNA−タンパク質複合体のスーパーシフトは観察されなかった。ゲル遅延アッセイでPEA3オリゴヌクレオチドを用いると、類似の結果が得られた(図7B)。PEA3との増大した結合が、E11細胞と対比してE11−NMT細胞からの抽出物に観察された。EMSAにおいて、突然変異PEA3オリゴヌクレオチドとの結合は観察されず、無標識PEA3競合体はPEA3との結合を効果的に阻害し、かつPEA3特異的抗体はスーパーシフトDNAタンパク質複合体を生じたが、抗アクチン抗体は生じなかった(図7B)。これらの実験は、E11−NMT細胞がPEG−3のプロモーター内にそれぞれの部位と結合する能力をもつAP1およびPEA3の上昇したレベルを含有することを実証する。
【0137】
E11 細胞における cJun ( AP1 )と PEA3 の異所発現は、独立しておよび協同して PEG−Prom 活性を増大する
上記の研究は、PEG−Prom中のAP1とPEA3部位が、E11細胞と対比したE11−NMT細胞におけるこのプロモーターの示差活性に関わることを示唆した。これらの転写因子によりコードされたタンパク質がE11細胞中のFL−PEG−Promの発現を改変しうるかを直接決定するために、一過性トランスフェクションおよびプロモータールシフェラーゼアッセイを実施した(図8)。c Junを産生する発現ベクターによるE11細胞のトランスフェクションは、E11細胞において用量依存的にFL−PEG−Prom活性の増加をもたらした。得た最大の効果は小さく、cJun発現プラスミドを発現しない細胞のほぼ1.5倍の増加に等しいだけであった。この刺激効果は、対照ベクター(pcDNA3.1)または突然変異体cJunタンパク質をコードするベクター(TAM67)によりトランスフェクトした細胞では明らかではなかった。E11細胞におけるPEA3の強制発現も、用量依存的にFL−PEG−Prom活性の増加をもたらし、再び、ほぼ1.5倍の最大値に到達した。プロモーター活性の増大は、対照pRC/RSVベクターを用いてトランスフェクトしたE11細胞では観察されなかった。E11細胞をcJunとPEA3を産生する発現ベクターの組合せを用いて同時トランスフェクトすると、FL−PEG−Prom活性はE11−NMT細胞で観察した活性に匹敵した。この効果は、対照ベクターの組合せをE11細胞中にトランスフェクトしたときには見られなかった(図8)。これらの結果は、E11細胞と対比してE11−NMT細胞におけるPEG−Promの示差発現が進行性E11−NMT細胞におけるcJun(AP1)およびPEA3転写因子の発現上昇の結果であるという仮説を支持するものである。
【0138】
考察
トランスフォームした表現型の増大した発現の取得、すなわちトランスフォーメーション進行は、癌パラダイムの重要な構成成分を表す。げっ歯類動物細胞におけるトランスフォームした表現型、腫瘍形成トランスフォーメーションおよびDNA損傷の進行の関数として示差発現を提示する新規のCDNA、PEG−3を、サブトラクションハイブリダイゼーション(Suら、1997)によって同定した。最近の研究はPEG−3が原因として癌進行に関係することを立証し、その理由はトランスフォームしたげっ歯類動物またはヒト腫瘍細胞を無胸腺ヌードマウスに皮下注射すると、これらの細胞中のこの遺伝子が異所発現して攻撃的腫瘍表現型を生じることに因る(Suら、1999)。これらの観察は、PEG−3がトランスフォーメーション進行にとって重要な一因であることを示唆する。非進行性(E11)と対比した進行性(E11−NMT)Ad5トランスフォームラット胚細胞におけるPEG−3の示差発現に介在する機構を規定するために、この遺伝子のプロモーター領域を同定し、単離しかつ試験した。プロモーター分析、EMSAおよび一過性トランスフェクションアッセイを利用して、本発明者らは本明細書で、TATA領域に隣接するPEG−Prom中のAP1およびPEA3転写因子部位の組み合わせが、H5tsl25トランスフォームRE細胞の基底および増大したプロモーター活性に寄与することを実証する。
【0139】
プロモーター欠失アッセイは、PEG−3遺伝子の−270/+194を含有するPEG−Promの領域がE11およびE11−NMT細胞におけるPEG−3転写活性に必須であることを示す(図5および6)。さらに、このPEG−Promの領域はまた、E11細胞と対比したE11−NMT細胞におけるPEG−Promの示差プロモーター活性にも関わる。配列分析は、PEG−Promのこの部分がAP1(+8)、TATA(−24)およびPEA3(−104)エレメントを含有することを示す(図2)。+8のAP1部位に突然変異がある一方、野生型TATAおよびPEA3配列を保持すると、E11細胞と対比してE11−NMT細胞におけるPEG−Prom欠失構築物(−270/+194)の活性を低下する(図6B)。この知見は、+8のAP1部位が、E11細胞と対比したE11−NMT細胞におけるPEG−Promの示差発現の主要な決定因子であることを示唆する。PEG−Prom活性におけるTATAおよびPEA3部位の重要性はまた、さらなる突然変異体を用いて立証される(図6B)。野生型TATA(−24)およびAP1(+8)部位の存在のもとでのPEA3部位(−104)の突然変異は、E11およびE11−NMTにおけるプロモーター活性を低下してE11−NMTにおけるPEG−Promの増大した活性を効果的に消失させる。類似のレベルのPEG−Prom活性低下は、AP1(+8)部位が単独でまたは突然変異PEA3(+8)部位と組合せて突然変異を受けたときに、E11とE11−NMT細胞の両方において見られる。これらの背景において、AP1(+8)とPEA3 (104)部位を単独でまたは組合せて改変すると、基底および増大したPEG−Prom活性の両方に影響を与える。さらに、TATA領域(−24)の突然変異は、野生型AP1(+8)部位が存在しても、プロモーター活性を消滅させる。これらの結果は、PEG−Prom内の無傷TATA領域に隣接するAP1とPEA3部位の両方が、E11およびE11−NMT細胞における基底プロモーター活性ならびにE11−NMT細胞における上昇したプロモーター活性の両方に寄与することを実証する。
【0140】
FL−PEG−PromにおけるAP1とPEA3部位の間の機能的相互作用および核タンパク質の結合を、EMSAにより適当なオリゴヌクレオチドプローブおよびモノクローナル抗体を用いて確認した(図7)。E11とE11−NMT細胞からの核抽出物を用いたEMSAは、AP1またはPEA3オリゴヌクレオチドを用いてインキュベートしたときに、移動性のより遅いDNAタンパク質複合体を生じた(図7Aおよび図7B)。アッセイで10または100倍モル過剰の無標識オリゴヌクレオチドをそれぞれ加えると、これらの複合体の量は低下するかまたは消失した。突然変異したAP1またはPEA3オリゴヌクレオチドを結合アッセイに用いると、DNAタンパク質複合体は観察されなかった。核タンパク質結合の特異性を、cJun(AP1)またはPEA3に特異的な抗体を用いてEMSAにおいて実証した。これらの実験においては、DNAタンパク質複合体との抗体相互作用からスーパーシフトした移動性の遅いDNAタンパク質複合体が明らかに生じた。E11−NMT細胞内に存在するAP1とPEA3複合体の量は、E11細胞内に見出される量を超える(図7Aおよび7B)。さらに、E11細胞と対比したE11−NMT細胞のウェスタンブロッティングによって、AP1/cJunとPEA3タンパク質のレベルに、小さいが有意な増加(ほぼ1.5〜2倍)も検出された(データは開示してない)。cJunとPEA3発現ベクターの一過性トランスフェクションによって、進行性細胞内の上昇したPEG−3プロモーター活性の調節に対するE11細胞と対比してE11−NMT細胞内の上昇したAP1およびPEA3タンパク質の機能的意義を立証した(図8)。これらの実験は、一過性のcJun(AP1)とPEA3の異所発現は個々にE11細胞内のPEG−Prom活性を上昇させ、そして両方の転写因子を組合せるとさらなる効果をもたらし、E11−NMT細胞内で観察されたのと同様なPEG−Prom活性まで達しうることを実証した(図8)。EMSAにおける結合活性の増加、ウェスタンブロットにおけるタンパク質レベルの増加、および同時トランスフェクションアッセイに基づくと、PEG−3発現とAP1/PEA3活性との間に強い相関があるようである。
【0141】
AP1転写因子は、規定の配列モチーフ(TPA応答エレメント、TRE)を含有する標的遺伝子プロモーターのサブセットの発現を調節する前初期応答遺伝子である(AngelおよびKarin、1991)。AP1複合体は、FosファミリーのメンバーおよびJunファミリーのメンバーのヘテロ二量体またはJunファミリーのメンバーのホモ二量体を含む(AngelおよびKarin、1991、Karinら、1997)。AP1は、細胞増殖、トランスフォーメーション、腫瘍形成、分化およびアポトーシスを含む多くの重要かつ多様な生物学的プロセスに寄与する(AngelおよびKarin、1991;Karinら、1997;Oliveら、1997;Kangら、1998b)。ets遺伝子ファミリーのメンバーである転写因子PEA3も、細胞トランスフォーメーションおよび腫瘍形成に対する主要な一因である(BrownおよびMcKnight、1992)。PEA3タンパク質は、標的遺伝子のプロモーター内のほぼ10塩基対DNA配列と相互作用して転写を調節する(Macleodら、1992;Sethら、1992;Wasylykら、1993)。推定の候補PEA3標的遺伝子には、細胞外マトリックスの分解に必要なプロテイナーゼが含まれ、セリンウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(Nerlovら、1992)ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼであるゼラチナーゼB、間質コラゲナーゼ、ストロメライシン−3およびマトリライシン(MatrisianおよびBowden、1990;Matrisian、1994;Higashinoら、1995)が挙げられ、これらは癌転移に寄与する重要な因子である(Liottaら、1991;KohnおよびLiotta、1995)。これらの細胞外マトリックス分解遺伝子の多くはまた、それらのプロモーターにAP1部位も含有する(AngelおよびKarin、1991;Karinら、1997)。複数の細胞プロモーターを調節する上でAP1とPEA3部位間の協同が立証されている。これらとしては、メタロプロテイナーゼ−1の組織インヒビター(TIMP−1)遺伝子の血清増殖因子応答(Edwardsら、1992)ならびにウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター遺伝子の12−Oテトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)、繊維芽細胞増殖因子−2(FGF−2)およびマクロファージコロニー刺激因子誘導が挙げられる(Neriovら、1992;Staceyら、1995;De Cesareら、1996;D’Orazioら、1997)。さらに、PEA3およびAP1エレメントはまた、ストロメライシンおよびコラゲナーゼ遺伝子のプロモーター内にも存在し(GutmanおよびWasylyk、1990;Sirum−ConollyおよびBrinckerhoff、1991)、これらのエレメントは特異的トランスフォーミング発癌遺伝子による転写活性化に対する標的を提供する(Wasylykら、1989、1993)。これらの背景において、E11細胞と対比してE11−NMT細胞内の増加したAP1とPEA3の活性は、上昇したPEG−Prom活性をもたらすことができ、それによって癌攻撃性に直接寄与しうる増加したPEG−3タンパク質をもたらし、そして、in vivoでヌードマウスにおける増大した腫瘍増殖、進行性腫瘍細胞をもたらす。またE11−NMT細胞内のAP1とPEA3の活性増加は恐らく、癌表現型を促進しうるさらなる下流遺伝子も活性化するであろう。
【0142】
PEG−3がトランスフォームした表現型の発現を促進する機構は現在判っていない。げっ歯類動物およびヒトの癌細胞の両方におけるラットPEG−3遺伝子の強制発現は、足場非依存性増殖と腫瘍形成可能性の増加をもたらす(Suら、1997、1999)。PEG−3にとって1つの推定の標的は、血管形成誘導分子、血管内皮増殖因子(VEGF)である(Suら、1999)。E11細胞におけるPEG−3の安定して上昇した発現は、VEGF RNA転写、定常状態mRNAおよび分泌タンパク質の増加をもたらす。さらに、PEG−3を発現する細胞において、VEGF−ルシフェラーゼレポーター構築物は増大した活性を提示する。さらにVEGF発現の調節におけるPEG−3の機能的役割は、安定なアンチセンスPEG−3発現ベクターを用いてE11−NMT細胞内のPEG−3発現を阻害するとVEGF mRNAおよび分泌タンパク質が減少することによって実証される。VEGF発現の誘導におけるPEG−3タンパク質の必要性は、PEG−3でトランスフェクトした細胞をタンパク質合成インヒビターであるシクロヘキシミドを用いて同時処理することにより実証された(Suら、1999)。この実験において、トランスフェクトしたPEG−3遺伝子はPEG−3 mRNAとしては発現されたが、VEGF mRNAはシクロヘキシミドに曝されなかった細胞にだけ存在した。PEG−3がVEGFプロモーターと直接結合するのかまたはVEGF転写の活性化が追加の分子によって起こるのかは現在判っていないが、これらの研究はPEG−3発現、血管形成の誘導、および癌状態発現の促進の間の関連を示唆する。
【0143】
PEG−3発現の結果としてモジュレートされる下流遺伝子のレパートリーを同定しかつ特性決定して、それらの癌攻撃性と血管形成の促進に果たす役割を決定するために、さらなる研究が必要である。これらの研究は重要であり、癌表現型の重要な決定因子である遺伝子エレメントを規定する可能性を提供する。この情報を用いて、可能性のある標的を識別しかつ癌発生と進行を阻害または防止するためのアンチセンスもしくは小分子アンタゴニストなどの適当な試薬を規定することが可能であろう。
【0144】
材料と方法
細胞培養物
E11は、H5tsl25でトランスフォームしたスプラーグ・ドーリー二次RE細胞の単一細胞クローンである(Fisherら、1978)。E11−NMTは、E11細胞系に誘発されたヌードマウス腫瘍由来のE11細胞のサブクローンである(Babissら、1985)。R12はHa−ras発癌遺伝子でトランスフォームしたE11クローンである(Duigouら、1989)。F1とF2は、E11−NMTとCREF細胞との間で形成された平たい形態をもつ抑制された体細胞ハイブリッドである(Duigouら、1990)。R1とR2は、E11−NMTとCREF細胞を融合することによって作製した円形の形態をもつ進行性体細胞ハイブリッドである(Duigouら、1990)。CREFはフィッシャー(Fischer)ラット胚繊維芽細胞の特定の不死、非トランスフォームのかつ非腫瘍形成のクローンである(Fisherら、1982)。全ての培養物は、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に5%FBSを補充した培地(DMEM−5)で、37℃にて加湿した5%CO2で95%空気のインキュベーター内で増殖させた。
【0145】
ノーザンブロッティングよびウェスタンブロッティングアッセイ
全細胞RNAを、グアニジニウム/フェノール抽出法によって単離し、ノーザンブロッティングを記載(Suら、1994、1997)の通り実施した。RNA 15μgを変性して3%ホルムアルデヒドを加えた1.2%アガロースゲル中で電気泳動し、ナイロンメンブランに転写し、続いて先に記載(Suら、1994、1997)の通り32P標識したcDNAプローブを用いてハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションの後に、フィルターを洗浄してオートラジオグラフィーに露出した。ウェスタンブロッティング分析(Suら、1995)によってcJun(AP1)、PEA3、PEG−3およびアクチンタンパク質を検出した。500万個の細胞を100−mmプレートにまき、24時間、37℃にてインキュベートした。培地(DMEM−5)を除去し、細胞を冷PBSを用いて3回洗浄し、次いでRIPCバッファー(0.5M NaCl、0.5% NP40、20mM Tris−HCI、pH 8、1mM PMSF)中に溶解した。タンパク質レベルはECLキット(Amersham)およびそれぞれの抗体(Santa Cruz)を用いて測定した。細胞溶解物はまた、C末端ペプチドに対するウサギ抗PEG−3ポリクローナル抗体を用いて分析した。
【0146】
PEG−3 プロモーターの単離と分析
PEG−3 cDNAの5’配列に基づいて、配列GATCTAGGGTGTTGTGAGAGGATCGGAG(配列番号2)およびTCGGTTTGCCAAAAGCGATCGTGGG(配列番号3)をもつ2つのネステッド(nested)プライマーをゲノムウォーカーキット(Genome Walker Kit)(Clontech)とともに用いてPEG−3の推定プロモーターを含有するゲノム配列を得た。この手法を用いて、同一かつ重複したヌクレオチド配列をもつそれぞれ2.0−、1.6−および1.0−kbの3つのDNA断片を得た。プロモーター活性を分析するため、2.0−kb PEG−3断片(FL−PEG−Promと呼ぶ)をpGL3−基本ベクター(Promega)中にクローニングした。FL−PEG−Promの5’欠失突然変異は、エキソヌクレアーゼIII消化によりErase−A−Baseシステム(Promega)を用いて作製した。FL−PEG−Promの3’欠失突然変異は、BstEll/Xhol、Sacll/XholおよびNdel/Xholをそれぞれ用いて消化して作製した。BstEll、SacllおよびNdelはFL−PEG−PromのDNA配列を認識する20単一カット制限エンドヌクレアーゼであり、Xhol制限部位はpGL3ベクターのMCS中でFL−PEG−Promの3’末端近くに位置する。内部欠失は、FL−PEG−PromをNdel/Sacll、Ndel/BstEll、Stul/BstEllおよびBstXlをそれぞれ用いて消化することによって実施した。AP1結合部位、PEA3結合部位およびTATAボックスの突然変異は、改変部位11 In Vitro 突然変異誘発システム(Altered Sites 11 In Vitro Mutagenesis System)(Promega)を利用し、部位特異的突然変異誘発法を用いて作製した。PEG−Prom欠失突然変異体をpGL3−基本ルシフェラーゼレポーターベクター(Promega)中にクローニングした。様々なPEG−Prom−ルシフェラーゼ構築物の活性を評価するために細胞を2 X 105/35−mm組織培養プレートにまいて、ほぼ24時間後に、様々なPEG−Prom−ルシフェラーゼ構築物5μg+SV40−β−galベクター(Promega)1μgをリポフェクタミン試薬(Gibco)10μlと無血清培地200μl中で混合したものを用いてトランスフェクトした。室温にて20分後、無血清培地800μlを加えて最終容積を1mlとした。トランスフェクション混合物を14時間後に除去し、細胞を3回、無血清培地を用いて洗浄し、37℃にてさらに48時間、完全増殖培地中でインキュベートした。細胞を回収し、溶解して抽出物を作製し(Gopalkrishnanら、1999)、β−galおよびルシフェラーゼレポーターアッセイに利用した。ルシフェラーゼおよびβ−gal活性のルミノメトリー(Luminometric)測定は市販キット(それぞれPromegaおよびTropix)を用いて実施した。ルシフェラーゼアッセイでは、細胞溶解物10μlをルシフェラーゼアッセイ基質(Promega)40μlと混合した。β−galアッセイでは、細胞溶解物10μlを、希釈したGalecton−Plus 100μlおよび促進剤(Tropix)150μlと混合した。プロモーター分析データは各実験点に対し三重サンプルを用いて最低限3回収集し、そのデータをβ−galデータを用いて標準化した。
【0147】
E11 および E11−NMT mRNA のプライマー伸長
PEG−3 cDNAの5’UTR配列と相補的な配列5’ GGCAAAGGGATGCGGAGTCGCGCGGGTCTCGCATG 3’(配列番号4)をもつプライマーを、E11またはE11−NMT細胞からのポリA+ RNA 4μgとアニーリングし、これを逆転写酵素によるプライマー伸長用の鋳型として利用した。簡単に説明すると、脱リン酸化オリゴDNA 20pmolを、γ−32P ATP(Amersham)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて末端標識した。標識したオリゴヌクレオチド(5 X 105 cpm)を、ポリA+ RNA 4μgとインキュベートし、沈殿物をDEPC処理したH20中に再懸濁した。逆転写反応物は、200u/μlのスーパースクリプト逆転写酵素II(Gibco)、50mM Tris−HCl(pH 8.3)、40mM KCl、6mM MgCl2、1mM DTT、1mM dNTP、および0.1mg/mlのBSAを含有した。該混合物を42℃にて1時間インキュベートし、次いで0.5M EDTA(pH 8) 1mlを添加して反応を停止した。DNアーゼを含まないRNアーゼによる処理の後、反応混合物を、同じプライマーと鋳型を用いたDNA配列決定反応物と平行して、5%尿素ポリアクリルアミド配列決定ゲル上にローディングした。
【0148】
電気泳動移動度シフトアッセイ( EMSA )
核抽出物を、2〜5 X 108の細胞からDignamら(1983)が記載した通り調製した。プローブの配列は次の通りであった:野生型AP1、5’CGCAGATTGACTCAGTTCGC3’ (配列番号5)/5’GC GTCTAACTGAGTCAAGCG3’(配列番号6);突然変異体AP1、5’CGCAGATAAACTACGTTCGC3’(配列番号7)/5’GCGTCTATTTGATGCAAGCG3’(配列番号8);野生型PEA3、5’GTGTTGTTTTCCTCTCTCCA3’(配列番号9)/5’ CACAACAAAAGGAGAGAGGT3’(配列番号10);および突然変異体PEA3’、5’GTGTTGTTCCCATCTCTCCA3’(配列番号11)/5’CACAACAAGGGTAGAGAGGT3’(配列番号12)。二本鎖オリゴヌクレオチドを、32P−ATP(Amersham)およびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて標識した。次いで標識したプローブを室温にて30分間、核抽出物とともにインキュベートした。反応混合物は、32P−標識したデオキシオリゴヌクレオチド(> 5000cpm)、ポリ(dl−dc) 2μgおよび核タンパク質抽出物 10μg、ならびに10mM HEPES(pH 7.5)、50mM KCl、5mM MgCl2、0.5mM EDTA、1mM DTTおよび12.5%グリセロールからなった。30分間、室温にてインキュベーションの後、反応混合物を0.5 X TBE を用いて5%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した(160V、3時間)。ゲルを乾燥しオートラジオグラフィーに供した。核抽出物はまた、32P標識プローブと一緒に、10もしくは100倍モル過剰の冷競合体オリゴヌクレオチドまたはcJun(AP1)、PEA3もしくはアクチン抗体(1または5μg)とインキュベートした。
【0149】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1A−1C:正常、アデノウイルストランスフォームおよび体細胞ハイブリッドのげっ歯類細胞における、足場非依存性増殖ならびにPEG−3 mRNAおよびタンパク質発現を示す。(図1A)足場非依存性増殖アッセイは、5 X 103または1 X 104細胞を含有する0.4%寒天含有培地を、0.8%寒天含有培地基底層の表面にまいて測定した。2週後に、コロニー≧0.1mmを倒立顕微鏡を用いて数えた。結果は、三重サンプルを用いた3つの独立実験の平均であり、実験値±SDで表した。(図1B)PEG−3 mRNAレベルは、15μgの全細胞RNAを含む1.2%アガロースゲルを電気泳動することによって測定した。RNAをナイロンメンブランに移して32P標識したPEG−3 cDNAプローブとハイブリダイズし、ブロットを剥がして次いで32P標識したGAPDHプローブと再ハイブリダイズした。(図1c)PEG−3とアクチンタンパク質レベルは、ウェスタンブロットによって測定した。それぞれの細胞型からのタンパク質10μgを10%変性ポリアミドゲル上に供給して3時間電気泳動し、次いでニトロセルロースメンブランに移した。PEG−3は抗PEG−3抗体を用いて検出しかつアクチンタンパク質は抗アクチン抗体によって検出した。レーン記号:1 E11;2 E11−NMT;3 E11−Ha−ras R12;4 E11−NMT X CREF R1;5 E11−NMT X CREF R2;6 E11−NMT X CREF F1;7 E11−NMT X CREF F2;および8 CREF。
【図2】2.0−kb PEG−3プロモーターの配列を示す。(配列番号1)この断片は、材料と方法の項に記載の通り、5’DNAウォーキングによって同定した。PEA−3およびAP1エレメントおよびTATAボックスの位置を示した。
【図3】PEG−3プロモーターの転写開始部位の決定を示す。PEG−3 mRNAの5’UTR領域と相補的なプライマー(下記の材料と方法の項を参照)を、E11−NMTまたはE11細胞からのポリA+ RNAの4μgとアニーリングし、プライマー伸長アッセイ用のテンプレートとして用いた。逆転写に用いた条件は材料と方法の項に記載の通りであった。同じプライマーを用いかつPEG−3プロモーターをテンプレートとしたDNA配列決定反応物を、プライマー伸長反応物と平行して同じゲルで電気泳動した。
【図4】正常、トランスフォームアデノウイルスおよび体細胞ハイブリッドのげっ歯類細胞における、全長PEG−3プロモーター−ルシフェラーゼ活性を示す。様々な細胞型を、5μgのFL PEG−Promおよび1μgのpSV−β−ガラクトシダーゼプラスミドを用いて同時トランスフォームし、48時間後にルシフェラーゼ活性を材料と方法の項に記載の通り測定した。結果をβ−ガラクトシダーゼ活性によって標準化し、3つの独立実験の平均±SDで示す。結果は、E11と比較して、E11を1倍活性とした倍数活性で表現した。
【図5】図5A−5Bは、E11およびE11−NMT細胞における、基底および増大したPEG−Prom発現に必要なPEG−3プロモーターの領域のマッピングを示す。(図5A)PEG−Proの欠失突然変異体の模式図による表現である。突然変異体は材料と方法の項に記載の通り構築した。(図5B)E11およびE11−NMT細胞における、FL−PEG−Prom(レーン1)および様々なPEG−Prom欠失突然変異体(レーン2〜11)の倍数活性である。倍数活性は、FL−PEG−Promと様々なPEG−Prom欠失突然変異体を、TATAボックスおよびAPIエレメントを含有する特定のPEG−Prom欠失構築物(位置−40にて欠失)と対比して、比較する。後者の欠失構築物は任意に1の値を与える。プロモーター−ルシフェラーゼアッセイは材料と方法の項に記載の通り実施した。
【図6】図6A−6Bは、PEG−Prom中のPEA3およびAP1部位ならびにTATAボックスの突然変異分析である。(図6A)E11およびE11−NMT細胞における活性について分析したPEG−Prom中の特異的突然変異体の模式図的表現である。点突然変異体は、材料と方法の項に記載した位置指定突然変異誘発を利用して実施した。(図6B)E11およびE11−NMT細胞における様々なPEG−Prom突然変異体の倍数活性である。倍数活性は、PEG−Prom突然変異体(位置−118にて欠失した)ならびにさらにPEA3、AP1部位および/またはTATAボックス領域に影響を与える点または欠失突然変異を有する突然変異体を、野生型TATAボックスおよびAP1エレメントを含有する特定のPEG−Prom欠失構築物(位置−40にて欠失した)と対比して比較する。後者の欠失構築物は任意に1の値を与える。プロモーター−ルシフェラーゼアッセイは材料と方法の項に記載の通り実施した。
【図7】図7A−7Bは、EMSAによる、AP1およびPEA3エレメントへの核タンパク質結合の分析である。E11およびE11−NMT細胞における(図7A)AP1および(図7B)PEA3核タンパク質複合体を、EMSAを用いて同定した。核抽出物は2つの細胞型から調製し、γ32P−ATPおよびT4 DNAキナーゼを使って32Pにより標識したAP1およびPEA3プローブとインキュベートした。反応混合物を、材料と方法の項に記載の5%未変性ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動した。E11およびE11−NMT細胞において、矢印1はスーパーシフトしたAP1(図7A)またはPEA3(図7B)DNA−タンパク質−抗体複合体を示し、矢印2はAP1(図7A)またはPEA3(図7B)DNAタンパク質複合体を示す。全てのサンプルはE11またはE11−NMT細胞のいずれか由来の核抽出物を含有する。Mut−オリゴサンプルは突然変異AP1(図7A)またはPEA3(図7B)オリゴヌクレオチドを含有する。WT−オリゴサンプルは野生型AP1(図7A)またはPEA3(図7B)オリゴヌクレオチドを含有する。競合体は、非標識競合体オリゴヌクレオチドの10X(10倍)または100X(100倍)モル過剰の存在を意味する。cJun−Ab(図7A)およびPEA3−Ab(図7B)サンプルはそれぞれの抗体の1または5μgを含有する。Actin−Abは抗アクチン抗体5μgを含有する。
【図8】E11細胞における、cJun(AP1)およびPEA3の単独および組合せでの異所発現がFL−PEG−Prom活性に及ぼす影響を示す。様々な量(50〜500ng)の野生型cJun(wtcjun)、突然変異TAM67 cJun(mutcjun)、pcDNA3.1(対照ベクター)、PEA3(pEA3)、pRC/RSV(対照ベクター)、PEA3および野生型cJun(pEA3+wtcjun)の組合せまたは対照ベクター(pRC/RSV+pCDNA3.1)の組合せを、5μgのpGL3/PEG−Promおよび1μgのpSV−β−ガラクトシダーゼベクターとともにE11細胞にトランスフェクトした。結果は、ベクターでトランスフェクトしたE11細胞と比較して、2つの独立実験の三重サンプルについての平均倍数活性を実験値±SDで示す。
Claims (37)
- 配列番号1の位置−270のグアノシン(G)で始まりかつ位置+194のシトシン(C)で終わるヌクレオチド配列を含有するPEG−3プロモーターを含んでなる、単離した核酸。
- 長さが少なくとも15個のヌクレオチドである請求項1に記載のヌクレオチド配列の断片を含んでなる、単離した核酸。
- 請求項2に記載の核酸であって、核酸断片が
(i)配列番号1の位置−105のチミジン(T)で始まりかつ位置−100のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるPEA3タンパク質結合配列、
(ii)配列番号1の位置−29のチミジン(T)で始まりかつ位置−24のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるTATA配列、または
(iii)配列番号1に示したヌクレオチド配列の位置+6のチミジン(T)で始まりかつ位置+12のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるAP1タンパク質結合配列を含んでなる前記核酸。 - 核酸が請求項3に記載のヌクレオチド配列の少なくとも2つを含んでなる、請求項3に記載の核酸。
- 核酸が請求項3に記載の3つのヌクレオチド配列を含んでなる、請求項3に記載の核酸。
- 断片がプロモーター活性を有する、請求項2に記載の核酸。
- 断片は目的の遺伝子と機能的に連結されている、請求項2に記載の核酸。
- 目的の遺伝子がレポーター遺伝子である、請求項7に記載の核酸。
- レポーター遺伝子がβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼまたはアルカリホスファターゼをコードする、請求項8に記載の核酸。
- 目的の遺伝子が癌抑制遺伝子、発現すると細胞のアポトーシスを引き起こす遺伝子、または細胞傷害性遺伝子である、請求項7に記載の核酸。
- 請求項1〜10のいずれか1つの核酸を含んでなるベクター。
- 請求項11に記載のベクターを含んでなる宿主細胞。
- 宿主細胞が腫瘍細胞である、請求項12に記載の宿主細胞。
- 腫瘍細胞が黒色腫細胞、神経芽細胞腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、またはグリア芽細胞腫多型細胞である、請求項13に記載の宿主細胞。
- 細胞内でPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法であって:
(a) レポーター遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を含有する細胞を、薬剤と接触させること;
(b) 細胞内のレポーター遺伝子発現のレベルを測定すること;および
(c) 工程(b)で測定した発現レベルを、薬剤の不在下で同一細胞で測定したレポーター遺伝子発現レベルと比較することからなり、薬剤の存在下で測定されるより低い発現レベルはPEG−3プロモーター活性を抑制する薬剤を示しかつ薬剤の存在下で測定されるより高いレベルはPEG−3プロモーター活性を増大する薬剤を示し、それによって細胞内でPEG−3プロモーター活性をモジュレートする薬剤を同定する方法。 - 細胞が、黒色腫細胞、神経芽細胞腫細胞、子宮頚癌細胞、乳癌細胞、肺癌細胞、前立腺癌細胞、大腸癌細胞、またはグリア芽細胞腫多型細胞である、請求項15に記載の方法。
- 薬剤が約7キロダルトン以下の分子量を有する分子を含んでなる、請求項15に記載の方法。
- 薬剤が配列番号1に示した配列の少なくとも一部分と相補的なヌクレオチド配列を含んでなるアンチセンス核酸でありかつ長さが少なくとも15ヌクレオチドである、請求項15に記載の方法。
- 薬剤がDNA分子、炭水化物、糖タンパク質、転写因子タンパク質または二本鎖RNA分子である、請求項15に記載の方法。
- 薬剤が、0.1キロダルトンから10キロダルトンまでの分子量を有する合成ヌクレオチド配列、ペプチド模倣物、または有機分子である、請求項15に記載の方法。
- レポーター遺伝子がβ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールトランスフェラーゼまたはアルカリホスファターゼをコードする、請求項15に記載の方法。
- 測定されるPEG−3プロモーター活性の発現が2.5〜3.5倍以上の増加または減少と同等かまたは大きい、請求項15に記載の方法。
- PEG−3プロモーターが請求項1、2、3、4または5に記載の核酸である、請求項15に記載の方法。
- 被験者の癌を治療する方法であって、目的の遺伝子と機能的に連結されたPEG−3プロモーターを含んでなる核酸を投与することからなり、目的の遺伝子が被験者の癌細胞に選択的に発現されかつその発現がPEG−3の発現を調節して癌細胞の増殖を抑制または死滅してそれによって被験者の癌を治療する前記方法。
- 核酸が本質的に、
(i)配列番号1の位置−105のチミジン(T)で始まりかつ位置−100のチミジン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるPEA3タンパク質結合配列、
(ii)配列番号1の位置−29のチミジン(T)で始まりかつ位置−24のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるTATA配列、および
(iii)配列番号1に示したヌクレオチド配列の位置+6のチミジン(T)で始まりかつ位置+12のアデノシン(T)で終わるヌクレオチド配列からなるAP1タンパク質結合配列からなる、請求項24に記載の方法。 - 核酸が少なくとも25個のヌクレオチド長の配列番号1の少なくとも一部分と相補的な配列を有する、請求項24に記載の方法。
- 癌が黒色腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、グリア芽細胞腫多型、子宮頚癌、乳癌、大腸癌、前立腺癌、骨肉腫または軟骨肉腫である、請求項24に記載の方法。
- 投与が注射、経口投与、局所投与、アデノウイルス感染、リポソームを介する導入、被験者の細胞への局所応用、またはマイクロインジェクションを経由して実施される、請求項24に記載の方法。
- 被験者が哺乳類である、請求項24に記載の方法。
- 哺乳類がヒトである、請求項29に記載の方法。
- 目的の遺伝子が、発現すると細胞のアポトーシスを引き起こす遺伝子である、請求項24に記載の方法。
- 遺伝子がMda−7遺伝子またはp53遺伝子を含んでなる、請求項24に記載の方法。
- 目的の遺伝子が腫瘍抑制遺伝子である、請求項24に記載の方法。
- 抑制遺伝子がmda−7である、請求項33に記載の方法。
- 目的の遺伝子が細胞傷害性遺伝子である、請求項24に記載の方法。
- 細胞傷害性遺伝子が細胞死を引き起こす、請求項35に記載の方法。
- 細胞傷害性遺伝子が、HSV−TK、p21、p27、およびp10からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
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