JP2004515487A - ペンテン酸およびその誘導体のカルボニル化方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、式(I)
【0002】
【化3】
で表され、
R1が−CNまたはCOOR2を意味し、R2が水素、アルキルまたはアリールを意味するn−ペンテン酸またはその誘導体を、
一酸化炭素、およびヒドロキシル基を有する化合物(II)と、触媒組成物の存在下に反応させてカルボニル化する方法であって、前記触媒組成物として
a)元素周期表の第8亜族の金属(III)の金属イオン源と、
b)式(IV)
【0003】
【化4】
で表され、
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14がそれぞれ独立に、炭素原子を有する有機基を意味し、これらの各基が炭素原子を介して式(IV)に記載された該当する第三級炭素原子に連結し、
L1、L2がそれぞれ独立に低級アルキレン基を意味し、
Xがアリーレン基を意味する、二座のホスフィン配位子と、を反応させることにより得られる触媒組成物を用いることを特徴とするカルボニル化方法に関する。
【0004】
式(I)のn−ペンテン酸またはその誘導体をカルボニル化する方法は、例えばGB−1497046号公報、DE−A−2541640公報、US4508660号公報、EP−A−373579号公報、US4933483号公報、EP−A−450577号公報、US4257973号公報、WO2000/14055号公報、EP−A−577204号公報、WO2000/56695号公報、EP−A−662467号公報、WO2000/42717号公報より公知である。
【0005】
上記の各方法によると、直鎖状または分岐状の生成物が得られる。
【0006】
式(I)の化合物のカルボニル化による直鎖状の生成物、例えばアジピン酸またはその誘導体は、工業的に重要なポリマー、特にポリアミドの製造に用いられることが多い。一方、分岐状の生成物は重要ではなく、消費量の上で重要性が低い。
【0007】
従って、n/i比が高く、同時に収率が高いことが望ましい。n/i比は直鎖状生成物の選択性の、分岐状生成物の選択性に対する割合を意味する。従来技術による直鎖率とは、直鎖状生成物の選択性を意味する。n/i比は下式による直鎖率から計算される。
n/i比 = 直鎖率(%)/(100%)−直鎖率(%)
【0008】
上述の各方法では、収率が高いと、n/i比が不満足であった。
【0009】
US4933483号明細書、実施例6では、n/i比が24(直鎖率96%)であると、収率はわずか70%である。
【0010】
WO98/42717号公報、実施例7では、収率84%(転化率100%、選択性84%)であるが、n/i比は5.25(直鎖状生成物84%、分岐状生成物は残り16%)に止まる。
【0011】
本発明は、上述の不都合点を、技術的に簡単かつ経済的な方法により回避可能な式(I)のn−ペンテン酸またはその誘導体のカルボニル化方法を提供することをその目的とする。
【0012】
本発明者等は、冒頭に記載した方法により上記本発明の目的が解決されることを見出した。
【0013】
本発明によると、式(I)
【0014】
【化5】
のn−ペンテン酸またはその誘導体が使用され、更にこのような化合物の混合物も使用される。
【0015】
上記式中、R1は−CNまたはCOOR2であり、R2は水素、アルキルまたはアリール、好適には水素またはアルキル、好ましくは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、特に水素、メチル、エチル、特に好ましくは水素またはメチルである。
【0016】
R2はアルキルまたはアリール基を意味し、これらが更に置換基、例えば各官能基または他のアルキル基またはアリール基を有してもよい。アルキルまたはアリール基の場合にはR2が置換基を有さないことが好ましい。
【0017】
適する式(I)のn−ペンテン酸または誘導体は基本的に全ての異性体、例えばシス−2−、トランス−2−、シス−3−、トランス−3−および4−異性体、およびこれらの混合物である。このような混合物は同一または相互に異なるR1基を有してもよい。同一のR1を有する化合物の混合物が好ましい。
【0018】
他の有利な実施の形態においては、シス−2−、トランス−2−、シス−3−、トランス−3−または4−ペンテンニトリルおよびこれらの混合物を使用することが適している。本発明では、これらの混合物のうち、3−ペンテンニトリルの質量、すなわちシス−3−ペンテンニトリルおよびトランス−3−ペンテンニトリルの合計質量が80質量%以上のものが好ましい。
【0019】
他の実施の形態において、シス−2−、トランス−2−、シス−3−、トランス−3−または4−ペンテン酸およびこれらの混合物を使用することが適している。本発明では、これらの混合物のうち、3−ペンテン酸の質量、すなわちシス−3−ペンテン酸およびトランス−3−ペンテン酸の合計質量が80質量%以上のものが好ましい。
【0020】
他の好ましい実施の形態において、シス−2−、トランス−2−、シス−3−、トランス−3−または4−ペンテン酸メチルエステルおよびこれらの混合物を使用することが適している。本発明では、これらの混合物のうち、3−ペンテン酸メチル、すなわちシス−3−ペンテン酸メチルおよびトランス−3−ペンテン酸メチルの合計が80質量%以上のものが好ましい。
【0021】
式(I)のペンテン酸及びその誘導体は公知方法により、触媒の存在下に、例えば一酸化炭素と、ヒドロキシル基を含む化合物とを、またはシアン化水素をブタジエンに付加することにより得られる。
【0022】
本発明によると、式(I)の化合は一酸化炭素と反応する。本発明の方法においては、一酸化炭素は純粋な化合物としても、または本発明の方法に実質的に不利な影響を与えない、好ましくは不活性な気体の存在下でも使用してもよい。この様な適する不活性物質の例は、窒素、水素、二酸化炭素、メタン、及びアルゴン等の希ガスである。
【0023】
化合物(I)の一酸化炭素に対するモル割合は1:1以上、好ましくは3:1以上、特に5:1以上、好ましくは5:1〜50:1の範囲、特に好ましくは7:1〜15:1の範囲である。本発明の方法が、化合物(I)の一酸化炭素に対するモル割合が5:1未満、特に3:1未満、更に1:1未満で行われる場合は、触媒組成物の性質を迅速に悪化させてしまいかねない。
【0024】
本発明によると、式(I)の化合物はヒドロキシル基を含む化合物(II)と反応する。本発明において、化合物(II)は個々の化合物(II)であっても、この種の各種化合物の混合物であってもよい。
【0025】
化合物(II)の性質により、本発明の方法による最終生成物が少なくとも部分的に決定する。化合物(II)として水を用いる場合には、対応の酸が得られ、一方、アルカノール等のアルコールを用いる場合には、対応のエステルが得られる。適するアルコールは第一級、第二級、第三級、好ましくは第一級アルコール、好ましくはC1−C30アルカノールであり、必要に応じて置換基を有してもよい。置換基の例は1種類以上のハロゲン、ニトリル、カルボニル、アルコキシ、またはアリール基である。適するアルコールの例は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、i−オクタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、特に好ましくはメタノールまたはエタノール、特にメタノールである。
【0026】
化合物(I)の化合物(II)に対するモル比は重要ではなく、広範囲に設定することが可能であるが、0.001:1〜100:1モル/モルの範囲であると有利である。
【0027】
本発明の方法は、金属(III)の金属イオン源と、式(IV)の二座ホスフィン配位子との反応により得られる触媒組成物の存在下に行われる。
【0028】
適する金属(III)は周期表第8亜族の金属、例えば鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、イリジウム、特にパラジウム、およびこれらの混合物である。
【0029】
上記金属の金属イオン源は、上記金属と、または上記金属が弱く配位結合している化合物と、以下の酸とから誘導されるアニオンの塩であると好ましい。すなわち、上記金属または上記金属が弱く配位結合している化合物と、鉱酸(例えば硝酸、硫酸、リン酸)、カルボン酸(好ましくはC1−C12カルボン酸、特に酢酸、プロピオン酸、酪酸)、スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、特にp−トルエンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、スルホン化イオン交換体、ハロゲン化過酸(例えば過塩素酸)、過フッ化カルボン酸(例えばトリフルオロ酢酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリクロロ酢酸)またはホスホン酸(ベンゼンホスホン酸)、ルイス酸とブレーンステッド酸またはアニオン(例えばテトラフェニルホウ酸アニオン)の相互作用から誘導される酸、これらの誘導体、またはこれらの混合物の塩が好ましく使用される。
【0030】
同様に、価数0の形態で存在する上記の金属が容易に除去可能な配位子とともに存在する化合物、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスファン)パラジウム、ビス(トリ−o−トリルホスファン)パラジウムを使用してもよい。
【0031】
金属(III)の化合物(I)に対するモル割合は重要ではない。金属(III)の化合物(I)に対するモル割合は10−7:1〜10−1:1、好ましくは10−6:1、10−2:1の範囲が有効であることがわかっている。
【0032】
本発明において使用する化合物(IV)は下式の二座ホスフィン配位子である。
【0033】
【化6】
【0034】
上記式中、
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14がそれぞれ独立に、炭素原子を有する有機基を意味し、これらの各有機基が炭素原子を介して式(IV)に記載された該当する第三級炭素原子に連結し、L1、L2がそれぞれ独立に低級アルキレン基を意味し、Xがアリーレン基を意味する。
【0035】
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14の各基は、広範囲の有機基から相互に独立に選択可能である。好ましい有機基の例は低級アルキル基、好ましくは直鎖状または分岐状C1−C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチルである。
【0036】
特に好ましいR3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14の例は、これらが直接結合する第三級炭素原子と共に、t−ブチルのように少なくとも1つの立体空間的要求を有する基を形成するものである。本発明において、立体空間的要求とは、「Homogeneous Transition Metal Catalysis− A Gentle Art」C Masters著、Chapman and Hall出版、1981、第14ページ以降に記載の「立体障害」という用語を意味する。
【0037】
L1およびL2は、相互に独立に、低級アルキレン基、好ましくはC1−C4アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、n−プロピレン、n−ブチレンを意味してもよく、これらの各基は無置換であっても置換されていてもよい。L1およびL2がそれぞれメチレン基であると特に好ましい。
【0038】
Xとして好ましい基は、アリーレン基、例えば置換または無置換のフェニレンである。特に好ましいアリーレン基はL1とL2が隣接する各炭素原子を介してXに連結するアリーレン基である。Xが置換基を有する場合、適する置換基はアルキル基、特にC1−C4アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、アルコキシ、カルボアルコキシ、ハロゲン、ニトロ、トリハロメチルまたはシアノ基である。更に、Xは飽和または不飽和多環式基、例えばナフタレン、テトラリン、ビフェニレン、インデンの構成成分であってもよい。
【0039】
従って、好ましく使用される化合物(IV)の例はビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)−o−キシレン(「1,2−ビス(ジ−t−ホスフィノ)ベンゼン」)、ビス(ジ−t−ネオペンチルホスフィノ)−o−キシレンおよび1,2−ビス(ジ−t−ホスフィノ)ナフタレンである。
【0040】
更に、適する化合物(IV)は、ポリマーに、好ましくはX、L1またはL2を介して結合している二座ホスフィンである。すなわち、例えばビス−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−o−キシレンがo−キシレン基を介してポリスチレンに結合していてもよい。この場合には、不均質触媒組成物が得られる。
【0041】
配位子(IV)の金属(III)に対するモル割合は、広範囲に選択可能である。例えば0.5〜50、好ましくは0.5〜20、特に好ましくは0.5〜10、極めて好ましくは1〜5mol/molであると好適である。
【0042】
好ましい実施の形態において、触媒組成物はアニオン源(V)の存在下に製造可能である。
【0043】
使用するアニオン源は、塩のような既にアニオンを含む化合物であっても、化学反応、例えばヘテロリシスによる結合の解裂等によりアニオンを放出可能な化合物であってもよい。
【0044】
好ましいアニオン源の例はEP−A−495547号公報に記載されている。
【0045】
アニオン源(V)はH+イオンを除去することによりアニオンを形成可能な化合物、例えば硝酸、硫酸、リン酸、カルボン酸、特にC1−C20カルボン酸、好ましくは酢酸、プロピオン酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,6−ジクロロ安息香酸、9−アントラセンカルボン酸、ピバル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸−1,3−ジエステル、2−エトキシ−1−ナフタレンカルボン酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、5−シアノ吉草酸、スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、クロロスルホン酸、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、特にp−トルエンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、スルホン化イオン交換体、ハロゲン化過酸、例えば化塩素酸、過フッ化カルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリクロロ酢酸、ホスホン酸、例えばベンゼンホスホン酸、ルイス酸、例えばBF3、PF5、AsF5、SbF5、TaF5またはNbF5と、ブレーンステッド酸、例えばHFとの反応により得られる酸(例えばフルオロケイ酸、HBF4、HPF6、HSbF6、テトラフェニルホウ酸及びこれらの誘導体)またはこれらの混合物である。
【0046】
H+イオンを除去することによりアニオンを形成可能な化合物(V)のうち、pKaが3.5以下、特に2以下のものが好ましい。
【0047】
化合物(V)の金属(III)に対するモル割合は重要ではない。化合物(V)の金属(III)に対するモル割合は、広範囲に選択可能である。例えば0.5〜100、好ましくは1〜20mol/molであると好適である。
【0048】
触媒組成物は本発明の方法において使用する以前に調製しても、本発明の方法において製造してもよい。
【0049】
触媒組成物が本発明の方法において直接製造される場合には、反応混合物中で可溶の金属(III)の化合物を、他の成分とともに活性な触媒組成物を形成可能な程度用いると有効であることがわかっている。
【0050】
本発明の方法において用いられる触媒組成物は均一相または不均一相、好ましくは均一相で使用可能である。
【0051】
触媒組成物は液相で得られると好ましい。この場合の液相は触媒組成物を構成可能または構成する1種類以上の成分から成ると好ましい。同様に、無機または有機液体希釈剤、好ましくは有機液体希釈剤を用いて液相を得ることも可能である。
【0052】
適する液体希釈剤は非プロトン性液体希釈剤、例えばエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコールのジメチルエーテル、ジエチレングリコールのジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ポリエーテル、官能化されたポリエーテル、アニソール、2,5,8−トリオキサノン、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ハロゲン化芳香族化合物等の芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ハロゲン化アルカン等のアルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、2,2,3−トリメチルペンタン、メチレンジクロリド、テトラクロロメタン、ニトリル、例えばベンゾニトリル、アセトン、エステル、例えば安息香酸メチル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、ブチロラクトン、スルホン、例えばジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、テトラヒドロチオフェン1,1−ジオキシド(「スルホラン」)、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−メチル−4−ブチルスルホラン、スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド、ハロゲン化アミド等のアミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびこれらの混合物である。
【0053】
特に好ましい液体希釈剤は、本発明の方法により得られた各生成物よりも高い沸点を有する希釈剤である。これにより、残存する反応混合物からの蒸留等による生成物の取り出しが容易化される。
【0054】
本発明の方法は20〜250℃、好ましくは40〜200℃、特に好ましくは70〜170℃、特に80〜140℃の温度で行われると有利である。
【0055】
本発明の方法は、1×105Pa〜200×105Pa、好ましくは5×105Pa〜70×105Pa、特に6×105Pa〜20×105Paの全圧により行われると有利である。
【0056】
本発明の方法は、連続法、バッチ法または半連続法で行われる。
【0057】
本発明による生成物は抽出または蒸留等の公知方法により他の成分から分離される。
【0058】
本発明の方法の高n/i割合の結果、望ましくない副生成物がほとんど得られないため次工程の精製にかかる費用が大幅に低減される。
【0059】
本発明の方法の他の有利な点は、触媒組成物を含む残留成分を本発明の方法に循環させることが可能であるという点である。さらに、必要に応じて新たな触媒を添加してもよい。
【0060】
[実施例]
[実施例1]
空気導入攪拌子(aerating stirrer)を具備する容量400mlのガラス製オートクレーブに、封止用一酸化炭素を圧力4×105Paまで放出し、オートクレーブを90℃に過熱した後に、70mg(0.31mmol)の酢酸パラジウム、244mg(0.62mmol)のビス(ジ−t−ブチルホスフィノ)−o−キシレン(「配位子1」)、590mg(3.1mmol)のp−トルエンスルホン酸、80mol(830mmol)の3−ペンテンニトリル(「3−PN」)、および34mlのメタノールを導入した。この間の全圧を7×105Paに調節した。表1に記載の反応時間の経過後、オートクレーブを冷却し、反応混合物をガスクロマトグラフィーで分析した。結果を表1に示す。
【0061】
[実施例2]
3−ペンテンニトリルの代わりに102ml(840mmol)の3−ペンテン酸メチル(「3−PSE」)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0062】
[実施例3]
酢酸パラジウムおよび配位子1の代わりに192mg(0.31mmol)の酢酸パラジウム−配位子1錯体を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0063】
酢酸パラジウム−配位子1錯体の製造には、1.0g(4.4mmol)の酢酸パラニウムを50mlのアセトンに溶解し、得られた溶液をセライト(か焼したシリカゲル)により濾過した。この溶液に、50mlのアセトン中の1.73g(4.4mmol)を添加し、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。得られた淡黄色固体を濾過し、減圧乾燥した。収量は2.57g(94%)であった。
【0064】
結果を表1に示す。
【0065】
[実施例4]
3−ペンテンニトリルの代わりに102ml(840mmol)の3−ペンテン酸メチルを用いた以外は実施例3と同様の操作を行った。
【0066】
結果を表1に示す。
【0067】
表1
【0068】
【表1】
TOF:(出発材料転化率(3−PN/3−PSE)(モル/時間))/(触媒量(モル))
Claims (11)
- 式(I)
R1が−CNまたはCOOR2を意味し、R2が水素、アルキルまたはアリールを意味するn−ペンテン酸またはその誘導体を、
一酸化炭素、およびヒドロキシル基を有する化合物(II)と、触媒組成物の存在下に反応させてカルボニル化する方法であって、前記触媒組成物として
a)元素周期表の第8亜族の金属(III)の金属イオン源と、
b)式(IV)
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14がそれぞれ独立に、炭素原子を有する有機基を意味し、これらの各基が炭素原子を介して式(IV)に記載された該当する第三級炭素原子に連結し、
L1、L2がそれぞれ独立に低級アルキレン基を意味し、
Xがアリーレン基を意味する、二座のホスフィン配位子と、
を反応させることにより得られる触媒組成物を用いることを特徴とするカルボニル化方法。 - R2が水素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチルから成る群から選択される請求項1に記載の方法。
- 式(I)の化合物として80質量%以上の3−ペンテンニトリルを使用する請求項1または2に記載の方法。
- 式(I)の化合物として80質量%以上の3−ペンテン酸メチルを使用する請求項1または2に記載の方法。
- 金属(III)がパラジウム、白金、ロジウム及びイリジウムから成る群から選択される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 金属(III)としてパラジウムが使用される請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14がそれぞれ独立に低級アルキル基を意味する請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14と、これらが直接連結する第三級炭素原子とが、それぞれt−ブチルのような、少なくとも1つの立体空間的要求を有する基を形成する請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- L1およびL2がそれぞれメチレン基を意味する請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 触媒組成物がアニオン源(V)の存在下に得られる請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- アニオン源(V)として、H+イオンを除去することによりアニオンが形成可能な化合物を用いる請求項10に記載の方法。
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