JP2004515477A - Nmdaレセプターアンタゴニストを用いて神経精神医学的障害を処置するための方法 - Google Patents

Nmdaレセプターアンタゴニストを用いて神経精神医学的障害を処置するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、神経精神病学的障害に罹患しているヒト患者に、有効量のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を投与する工程を包含する、神経精神病学的障害を処置するための方法を提供し、この化合物は、レセプターによるグルタミン酸作動性神経伝達を調節し、それによって神経精神病学的障害を処置または緩和し、そしてそれによって治療的効果を提供する。1つの局面において、この化合物は、直接的細胞内機構を介して、強力な神経栄養性効果を提供する。別の局面において、過剰なグルタミン酸作動性伝達が調節され、それによってニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果を媒介し、それによって神経保護的効果を提供する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、神経精神病学的障害を含む苦痛を有するヒト患者を処置するための組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、ニューロンイオンチャネル型グルタミン酸レセプター(例えば、NMDAレセプター)の活性を調節または拮抗する組成物および方法を提供し、ここで、このような拮抗活性は、ニューロンの興奮性応答を調節し得、興奮性効果を阻害し得、そして神経栄養性効果を促進し得、それによって、神経精神病学的障害を処置する治療効果を提供する。
【0002】
(発明の背景)
神経興奮性アミノ酸であるグルタミン酸に対するレセプター、特にこれらのレセプターのN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)サブタイプは、ニューロンの発生、機能および死において重要な役割を果たす(本明細書中で参考として援用される、Mc Donald JWら、Brain Research Reviews、15:41−70(1990)およびChoi W,Neuron、1:623−34(1988)を参照のこと)。N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターは、シナプス後イオンチャネル型レセプターであり、とりわけ、興奮性アミノ酸(グルタミン酸およびグリシン)ならびに合成化合物NMDA(レセプター名はこれに由来する)に応答性である。NMDAレセプターは、シナプス後神経細胞への、レセプター会合チャネルを通る、二価(Ca2+)イオンおよび一価(NaおよびK)イオンの両方の流れを制御する(本明細書中で参考として援用される、Fosterら、Nature、329:395−396(1987);Mayerら、Trends in Pharmacol.Sci.、11:254−260(1990)を参照のこと)。
【0003】
NMDAレセプターは、発生の間、ニューロン構築およびシナプス接続性の特定に関与しており、シナプス修飾に依存した経験に関与し得る。さらに、NMDAレセプターはまた、長期相乗作用、中枢神経系(CNS)の可塑性、認知プロセス、記憶獲得、維持および学習に関与すると考えられる。さらに、NMDAレセプターはまた、広範なスペクトルのCNS障害に関与するようなので、特に興味が持たれている。例えば、発作または外傷性損傷によって引き起こされる脳虚血の間、興奮性アミノ酸であるグルタミン酸の過剰量が、損傷ニューロンまたは酸素欠乏ニューロンから放出される。この過剰のグルタミン酸は、NMDAレセプターに結合し、このレセプターは、リガンド依存性イオンチャネルを開いて、それにより、細胞死を導くタンパク質、DNAおよび膜の分解を生じる生化学的カスケードを活性化する、高レベルの細胞内Ca2+を生じる、Ca2+の流入を可能にする。興奮毒性として公知のこの現象はまた、低血糖症および心停止から癲癇までの範囲の他の障害に関連する神経学的損傷を担うと考えられる。さらに、ハンティングトン病、パーキンソン病およびアルツハイマー病の慢性神経変性における類似の関与を示す予備的報告が存在する。NMDAレセプターの活性化は、発作後の痙攣を担うことが示されており、そして癲癇の特定のモデルにおいては、NMDAレセプターの活性化は、癲癇性の発作の発生に必要であることが示されている。動物麻酔PCP(フェンシクリジン)によるNMDAレセプターCa2+チャネルのブロックは、ヒトにおいて精神***病に類似した精神病的状態を生じる(本明細書中で参考として援用される、Johnsonら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.、30:707−750(1990)にて概説される)。さらに、NMDAレセプターはまた、特定の型の空間的記憶に関与している(本明細書中で参考として援用される、Blissら、Nature、361:31(1993)を参照のこと)。興味深いことに、哺乳動物の神経系におけるNMDAレセプターの空間的分布および時間的分布の両方は、異なることが見出されている。従って、細胞は、その一生の異なる時点でNMDAレセプターを産生し得、そして全ての神経細胞がNMDAレセプターを利用し得るわけではない。
【0004】
広範なスペクトルの神経学的関与、さらに非遍在性の分布に起因して、本発明者らは、NMDAレセプターに対して作用し得る薬物の同定および開発に、興味を持ってきた。NMDAレセプターを調節し得る薬物は、大きな治療的能力を有すると予測される。例えば、Cordiらに対して発行され、そして本明細書中に参考として援用される米国特許第4,904,681号は、記憶を改善および強化し、そして神経学的障害に関連した認知欠損を処置するための、D−シクロセリン(これは、NMDAレセプターを調節することが公知であった)の使用を記載する。D−シクロセリンは、ストリキニーネ−非感受性グリシンレセプターに結合するグリシンアンタゴニストとして記載される。
【0005】
Cordiらに対して発行され、そして本明細書中に参考として援用される米国特許第5,061,721号は、アルツハイマー病、加齢性記憶障害、学習障害および神経病性障害を処置するため、ならびに健康な個体において記憶または学習を改善するための、D−シクロセリンとD−アラニンとの組み合わせの使用を記載する。D−アラニンは、D−シクロセリンと組み合わせて投与されて、D−シクロセリンの臨床試験において観察された副作用(これは、主に、天然の腸管微生物叢における枯渇を生じる、細菌に対するD−シクロセリンの増殖阻害効果に起因する)を減少させる。D−アラニンは、細菌に対するD−シクロセリンの増殖阻害効果を無効にする。D−シクロセリンが、実際に、部分的アゴニスト特徴を有することもまた、報告されている。
【0006】
Trullasらに対して発行され、そして本明細書中で参考として援用される米国特許第5,086,072号は、大うつ病、双極性障害、気分変調および季節性感情障害を含む気分障害を処置するための、1−アミノシクロプロパンカルボン酸(ACPC)(これは、ストリキニーネ非感受性グリシン結合部位の部分的アゴニストとして、NMDAレセプターを調節することが公知であった)の使用を記載する。また、この文献中に、ACPCが、動物モデルにおいて、臨床的に有効な抗うつ剤の作用を模倣することが記載される。さらに、ACPCおよびその誘導体が、NMDAレセプターの過剰な活性化から生じる神経薬理学的障害を処置するために使用され得ることを記載する、同時係属中の米国特許出願が引用される。しかし、NMDAレセプター機能を調節する、満足のいく方法についての必要性が、当該分野に存在したままである。
【0007】
NMDAレセプターを標的化する薬物の開発は、所望されるが、NMDAレセプターの構造が今なお完全には解明されていないので、遅れている。NMDAレセプターは、シナプス後の膜に包埋された7つのタンパク質鎖(サブユニット)からなると考えられている。最初の2つのサブユニットは、アロステリック結合部位のほとんどをおそらく含む大きい細胞外領域を形成するとこれまでに決定され、いくつかの膜貫通領域は、ループになり、そして折り畳まれて、Ca2+に対して透過性の孔またはチャネルを形成し、そしてカルボキシ末端領域は、いまだ機能が未知である。このチャネルの開閉は、細胞外表面に存在し、そしてこのチャネルから離れたタンパク質ドメインに対する、種々のリガンドの結合によって調節される。従って、これらのリガンドは、全てアロステリックリガンドとして公知である。2つの同時アゴニストリガンド(グリシンおよびグルタミン酸)の結合は、タンパク質全体の構造におけるコンフォメーション変化(これは、最終的に、チャネルの開口、部分的開口、部分的閉口または閉口に反映される)をもたらすと考えられる。他のアロステリックリガンドの結合は、グルタミン酸およびグリシンによって引き起こされるか、またはもたらされるコンフォメーション変化を調節する。このチャネルは、一定の動作で、カチオン通過(開口)状態とカチオンブロック(閉口)状態との間で変化すると考えられる。現在、チャネルが開いてイオンが流れる間の時間を、アロステリックモジュレーターが実際に増加するか否か、あるいはこのモジュレーターが開口頻度を増加させるか否かは、知られていない。両方の効果は、同時に生じ得る。
【0008】
NMDAレセプターを通るカチオンの流れに対して拮抗性であるが、公知の部位のいずれかに対するアロステリックリガンドの結合を競合的に阻害しないいくつかの化合物が、公知である。その代わりに、これらの化合物は、開口カチオンチャネルの内側に結合し、そして一般にチャネルブロッカーとして公知である。実際、1つのこのようなチャネルブロッカー(ジゾシルピン、すなわち、MK−801)のトリチウム化形態の結合は、NMDAレセプター複合体の活性化の、良好な基準である。このチャネルが開いている場合、MK−801は、このチャネルの中を自由に通過し得、そしてこのチャネルの認識部位に結合し得る。逆に、このチャネルが閉じている場合、MK−801は、チャネルを自由に通過することも、結合することもできない。チャネルが部分的に閉じている場合、チャネルが完全に開いている場合よりも少ないMK−801の結合が可能である。
【0009】
MK−801のようなチャネルブロッカーおよびアンタゴニストは、興奮毒性死から細胞を保護することが知られているが、この場合、治癒は、死と同様に所望されないかもしれない。なぜなら、これらは、Ca2+のあらゆる流動をブロックし、それによって再開された正常な活性のいかなる機会をも排除するからである。チャネルブロッカーおよびグルタミン酸部位アンタゴニストは、幻覚、高血圧、協調の喪失、脳における空胞形成、学習障害および記憶の喪失を引き起こすことが公知である。代表的なチャネルブロッカーであるPCPは、ヒトにおいて、十分特徴付けられた精神***病状態を生じる。
【0010】
他の二価カチオン(例えば、Mg2+およびZn2+)は、NMDAレセプターを調節し得る。二価カチオン結合部位の正確な位置は、いまだ明らかでない。Zn2+は、チャネル開口に対して拮抗性であるようであり、そして細胞外ドメインに結合するようである。Mg2+は、二相の活性化曲線を示す(低濃度では、NMDAレセプター機能についてのアゴニストであり、そして高濃度では、レセプターアンタゴニストである)。これは、適切なレセプター機能に完全に必要であるようであり、そして2つの部位(チャネル内のMg2+について電圧依存性の結合部位、および細胞外ドメインに対する別の電圧非依存性の結合部位)で結合するようである。これらの化合物は、NMDAレセプターを調節し得るが、長期の治療には適切ではない。神経精神病学的障害を処置するための、安全かつ有効な化合物についての必要性が、当該分野に存在する。
【0011】
再発性気分障害は、破壊的な長期の影響を有し得、そして罹患しているヒトに関するこれらの病気、生産性および医療のコストは、莫大である。現在、多くの患者について、長期の結果は、しばしば、不完全なエピソード間の回復および観察される全体的機能における進行性の減退に関して以前に考えられていたより、かなり望ましくないことが認識されている(GoldbergおよびHarrow、1996;Tohenら、2000)。実際、Global Burden of Disease Studyに従って、気分障害は、世界中で障害のとりわけ主な原因であり、そして近年、ますます大きな健康的、社会的および経済的問題を示すようである(MurrayおよびLopez、1997)。多くの抗うつ薬が、急性うつ病の処置のために現在利用可能である。数十年前まで、三環系抗うつ薬(TCA)が、うつ病の処置のために利用可能な唯一の薬物であった。モノアミンオキシダーゼインヒビター(MAOI)が利用可能であったが、現在ほとんど使用されていない。そして新規薬物に直ぐ引き続いて、多数の新規薬物が生じており、とりわけ、選択的セロトニン再取り込みインヒビター(SSRI)が現在広く使用されている。うつ病の薬理学的処置についての選択肢は、過去数十年間にわたって見かけ上指数関数的に増えたが、抗うつ薬の現在の医療設備は、効力および耐性の両方の限定を有し続けている。従って、大うつ病のための新規かつ改善された治療剤の開発が明らかに必要である。
【0012】
(発明の要旨)
本発明は、神経精神病学的障害に罹患しているヒト患者に、有効量のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を投与する工程を包含する、神経精神病学的障害を処置するための方法を提供し、この化合物は、レセプターによるグルタミン酸作動性神経伝達を調節し、それによって神経精神病学的障害を処置または緩和し、そしてそれによって治療的効果を提供する。1つの局面において、この化合物は、直接的細胞内機構を介して、強力な神経栄養性効果を提供する。別の局面において、過剰なグルタミン酸作動性伝達が調節され、それによってニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果を媒介し、それによって神経保護的効果を提供する。別の局面において、NMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、皮質−線条体(cortico−striatal)経路または視床下部(subthallamicopalladial)経路のグルタミン酸作動性活性化を調節する。
【0013】
1つの実施形態において、神経精神病学的障害は、大うつ病障害である。別の実施形態において、この神経精神病学的障害は、双極性障害である。なお別の実施形態において、この神経精神病学的障害は、不安である。さらに別の実施形態において、この神経精神病学的障害は、薬物関連の障害(例えば、薬物嗜癖、薬物依存性、薬物離脱症状または薬物耐性)である。
【0014】
本発明は、DSM−IV基準に従う精神病的特徴を伴わない大うつ病患者を処置するためのNMDAレセプターアンタゴニストの使用、ならびに全体的なうつ病の総体的症状を改善する方法を提供し、この方法は、治療的有効投薬量の化合物を患者に投与する工程による。1つの実施形態において、この化合物は、メマンチンである。別の実施形態において、この化合物は、ニトロメマンチン誘導体である。
【0015】
本発明はまた、神経精神病学的障害を有する患者の処置におけるNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の神経栄養性効果を評価する方法、および脳のグルタミン酸(Glu)レベルにおける化合物誘導性の変化が、化合物の治療的効果に対する応答性に関連するか否かを決定する方法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、同様に、単極性うつ病におけるグルコース代謝に対するメマンチンまたはニトロメマンチン誘導体の効果を評価する方法を提供する。
【0016】
本発明は、神経精神病学的障害に罹患している患者の処置において使用される医薬に処方されるNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用を提供する。このNMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、以下の式:
【0017】
【化1】
Figure 2004515477
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0018】
この式のR基、R基、R基、R基およびR基は、独立して規定される。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、OR、アルキル−ORまたはヘテロアルキル−ORである。Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、NO、C(O)R、C(O)アルキル−ONOまたはC(O)ヘテロアルキル−ONOである。以下の置換基が好ましい:RおよびRはHであり;RおよびRはHまたはアルキルであり;そしてRはNOまたはC(O)アルキル−ONOである。
【0019】
本発明はまた、神経学的障害を処置するために使用され得る薬学的組成物を提供する。この組成物は、薬学的に受容可能なキャリアおよび1以上の以下の式:
【0020】
【化2】
Figure 2004515477
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む。
【0021】
この化合物の置換基は、独立して規定される。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、OR、アルキル−ORまたはヘテロアルキル−ORである。Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、NO、C(O)R、C(O)アルキル−ONOまたはC(O)ヘテロアルキル−ONOである。以下の置換基が好ましい:RおよびRはHであり;RおよびRはHまたはアルキルであり;そしてRはNOまたはC(O)アルキル−ONOである。
【0022】
本発明はまた、神経学的障害を処置する方法を提供する。この方法は、薬学的に受容可能なキャリアおよび1以上の以下の式:
【0023】
【化3】
Figure 2004515477
の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を、患者に投与する工程を包含する。
【0024】
この化合物の置換基は、独立して規定される。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、OR、アルキル−ORまたはヘテロアルキル−ORである。Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、NO、C(O)R、C(O)アルキル−ONOまたはC(O)ヘテロアルキル−ONOである。以下の置換基が好ましい:RおよびRはHであり;RおよびRはHまたはアルキル(alicyl)であり;そしてRはNOまたはC(O)アルキル−ONOである。
【0025】
本発明はさらに、以下の式:
【0026】
【化4】
Figure 2004515477
のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物またはその薬学的に受容可能な塩を含む医薬を製造するための方法を提供する。
【0027】
この化合物の置換基は、独立して規定される。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、OR、アルキル−ORまたはヘテロアルキル−ORである。Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、NO、C(O)R、C(O)アルキル−ONOまたはC(O)ヘテロアルキル−ONOである。以下の置換基が好ましい:RおよびRはHであり;RおよびRはHまたはアルキルであり;そしてRはNOまたはC(O)アルキル−ONOである。
【0028】
好ましくは、この方法は、以下の式:
【0029】
【化5】
Figure 2004515477
の化合物を酸化する工程を包含する。
【0030】
好ましくは、この方法はさらに、以下の式:
【0031】
【化6】
Figure 2004515477
の化合物をニトロ化する工程を包含する。
【0032】
好ましくは、この化合物は、酸化工程においてHSOおよび水で処理される。このニトロ化工程は、好ましくは、HNOおよびAcOを用いる処理を含む。
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、1つ以上の神経心理学的障害を患った患者において、NMDAサブタイプグルタミン酸レセプターの活性を調節することにより、神経心理学的障害を処置する組成物および方法を提供する。本発明において使用される化合物は、グルタミン酸神経伝達物質を調節し、そして直接細胞内メカニズムを経由する強い神経栄養効果を提供するか、または与え、それにより、神経心理学的障害を処置または緩和させる。
【0034】
本明細書中で使用される場合、「神経心理学的障害」は、神経学的特徴および心理学的特徴の両方を有する、急性および慢性の障害をいう。本発明により処置され得る一般的な神経心理学的障害の例は、抑うつ性障害(MDD)、双極性障害(躁うつ病性障害またはBPD)、不安障害および薬物嗜癖(依存症、離脱症状および薬物耐性を含む)、外傷、虚血または低酸素症の状態(発作、低血糖症、大脳虚血、心停止、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止および低血糖性神経損傷を含む)から生じる障害、癲癇、アルツハイマー病、ハンティングトン病、振せん麻痺、筋萎縮性側索硬化症、痙攣、疼痛、精神***病、筋痙攣、偏頭痛、尿失禁、嘔吐、脳浮腫、遅発性ジスキネジー、AIDS誘導型痴呆、眼損傷、網膜症、認知障害ならびにHIV感染に関連する神経系損傷(例えば、認知、運動および感覚の機能障害)を含む。神経心理学的障害は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版、American Psychiatric Press、(1994)(これは本明細書中に参考として援用される)に記載される。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「NMDAレセプターアンタゴニスト化合物」は、アミノアダマンタン誘導体(例えば、メマンチン、ニトロメマンチン化合物ならびに関連するメマンチンおよびニトロメマンチンの誘導体)をいう。これらは、NMDAレセプターのredox調節部位を調節するために、NMDARチャネルブロッカーおよび一酸化窒素種としてメマンチンを使用する。このようなNMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、米国特許第6,071,876号、同第5,801,203号、同第5,747,545号、同第5,614,560号、同第5,506,231号およびPCT出願01/62706(これらは全てLipton,S.A.らに対する)に詳述され、本明細書中に参考として援用される。
【0036】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、15個までの炭素原子の、非置換あるいは置換の直鎖、分枝鎖あるいは環状鎖のアルキル炭素鎖をいう。直鎖アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、N−プロピル、N−ブチル、N−フェニル、N−ヘキシル、N−ヘプチルおよびN−オクチルが挙げられる。分枝アルキル基としては、例えば、イソ−プロピル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチルおよびネオペンチルが挙げられる。環式アルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルキル基は、1つ以上の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、OCR、COH、COCH、CN、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。「アルキル」が文脈において「アルキル−ONO」のように使用される場合、これは、ONO部分で置換されているアルキル基をいう。「アルキル」が文脈において「C(O)アルキル−ONO」のように使用される場合、これは、1位でカルボニル基に結合され、そしてONO部分で置換されているアルキル基をいう。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、鎖中に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)を含む炭素原子の、非置換または置換の直鎖、分枝鎖または環状鎖をいう。直鎖ヘテロアルキル基としては、例えば、CHCHOCH、CHCHN(CHおよびCHCHSCHが挙げられる。分枝の基としては、例えば、CHCH(OCH)CH、CHCH(N(CH)CHおよびCHCH(OCH)CHが挙げられる。環状のヘテロアルキル(beteroalkyl)基としては、例えば、CH(CHCHO、H(CHCHNCHおよびCH(CHCHSが挙げられる。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、OCR、COH、COCH、CN、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。「ヘテロアルキル」が文脈において「ヘテロアルキル−ONO」のように使用される場合、これは、ONO部分で置換されているヘテロアルキル基をいう。「ヘテロアルキル」が文脈において「C(O)ヘテロアルキル−NO」のように使用される場合、これは、1位でカルボニル基に結合され、そしてONO部分で置換されているアルキル基をいう。
【0038】
本明細書中で使用される場合、用語「ハロ」は、F、Cl、BrまたはIをいう。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、非置換または置換の芳香基または炭素環式基をいう。アリール基は、単環または複数の縮合環のいずれかの化合物である。フェニル基は、例えば、単環、アリール基である。複数の縮合環を有するアリール基は、ナフチル基によって例示される。アリール基は、1つ以上の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、OCR、COH、COCH、CN、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」とは、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)を芳香族環に有する、非置換芳香族基または置換芳香族基をいう。ヘテロアリール基は、単環または多環縮合環の化合物のいずれかである。少なくとも1つの窒素を有する単環ヘテロアリール基としては、例えば、テトラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリダジニル、インドリル、キノリル、イミダゾリル、イソキノリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニルおよびピリダジノニルが挙げられる。例えば、フリル基は、1個の酸素原子を含む単環ヘテロアリール基である。1個の酸素原子を含む縮合環ヘテロアリール基は、ベンゾフラニル基によって例示される。例えば、チエニルは、1個の硫黄原子を含む単環ヘテロアリール基である。1個の硫黄原子を含む縮合環ヘテロアリール基は、同じ環内に1種より多いヘテロ原子を含む、ベンゾチエニルヘテロアリール基によって例示される。このような基の例としては、フラザニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびフェノチアジニルが挙げられる。ヘテロアリール基は、1つ以上の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、OCH、COH、COCH、CN、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。
【0041】
本明細書中で使用される場合、「治療効果」とは、本明細書中に開示される技術によって測定した場合に、神経精神医学的障害の臨床的に観察可能な兆候および症状のベースラインを超える、観察可能な改善をいう。
【0042】
用語「薬学的に受容可能な」とは、化合物(例えば、塩または賦形剤)において受容不可能な毒性を欠くことをいう。薬学的に受容可能な塩は、無機アニオン(例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオンなど)、および有機アニオン(例えば、酢酸イオン、マロン酸イオン、ピルビン酸イオン、プロピオン酸イオン、桂皮酸イオン、トシレート、クエン酸イオンなど)を含む。薬学的に受容可能な賦形剤は、E.W.Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.)によって、詳細に記載されている。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「直接の細胞内機構」とは、神経保護を促進するか、または細胞死(アポトーシス)をブロックするかのいずれかの細胞内シグナル伝達経路、および傷害経路に対する影響をいう。
【0044】
本明細書中で使用される場合、「グルタミン酸作動性神経伝達」とは、グルタミン酸が、シナプス前細胞からシナプス後細胞へと放出されて、グルタミン酸レセプターと結合し、これによって、シナプス後細胞における電流を誘発する、脳内の神経細胞間でのシナプス伝達をいう。このプロセスは、神経細胞間での情報の伝達をもたらす。本明細書中で参照される場合において、神経精神医学的発現の病態生理学に最も関連する、シナプス後細胞におけるグルタミン酸レセプターの型は、グルタミン酸レセプターのNMDA亜型である。
【0045】
本明細書中において使用される場合、「神経栄養効果を提供する」とは、NMDAレセプターアンタゴニストに応答する細胞内シグナル伝達のアップレギュレーションをいい、これは、ニューロンの生存を増強し、そして一般に、脳由来の神経栄養因子(BDNF)のような神経栄養因子によって調節される。
【0046】
本明細書中において使用される場合、「抑うつ性障害の病態生理学を減少させる」とは、グルタミン酸レセプター、特に、NMDAレセプター亜型の過剰刺激からなる抑うつ性の基礎となる事象の減少をいう。
【0047】
本明細書中において使用される場合、「過剰のグルタミン酸誘導電流」とは、過剰のCa2+流入、フリーラジカル形成、ならびに神経細胞毒性、損傷および細胞死(壊死またはアポトーシスのいずれかに起因する)にさえに寄与する他の生化学的事象を導く、グルタミン酸レセプターの過剰刺激をいう。
【0048】
本明細書中において使用される場合、「ドパミンもノルエピネフリンも実質的になしで」とは、シナプス後細胞における活動電位を誘発および伝播するためには不十分な、これらの神経伝達物質の濃度をいう。
【0049】
大うつ病障害(MDD)および双極性障害(躁うつ病性障害、BPD)のような神経精神医学的な気分の障害は、通常の、重篤な、慢性の、そしてしばしば生命が危険な病気である。自殺は、MDDに罹患する個体の約15%までの死因であると推定されており、そして自殺に加えて、他の多くの健康に関する有害な影響が、次第に認識されている(Musselmanら、1998;Schulzら、2000を参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。純粋に神経精神医学的な発現を伴う疾患であるどころか、MDDは、複数の器官系に対する有害な影響を有する、全身性の疾患である。例えば、MDDは、心臓血管疾患の発生と、指標の心筋梗塞後の死との両方に対する、主要な危険因子を代表する。さらに、身体的な病気、喫煙およびアルコールの消費を制御した最近の研究は、高い抑うつ性の症状の存在によって与えられる死亡の危険性の増加の程度が、発作およびうっ血性心不全の死亡の危険性に類似することを示した。感情のエピソードの再発性の発作の累積効果は、増加した割合の、婚姻および家族の崩壊、失業、損なわれた経歴の進行、およびその結果の財政上の困難を導く。障害および早期の死に関する費用は、米国単独において、1年間に数百億ドルの経済的負担に相当する(Greenbergら、1990;WyattおよびHenter,1995(本明細書中に参考として援用される))。従って、疾患研究の全体的な負担が、全世界の障害の主要な原因のうちでもMDDを、将来における次第に増加している健康的、社会的、および経済的問題を代表するようである病気として同定したこと(MurrayおよびLopez,1997(本明細書中に参考として援用される))は、さほど驚くべきことではない。自殺は、双極性疾患または再発性抑うつ性疾患のいずれかに罹患する個体の、10〜20%の死因である。痛烈な衝撃にもかかわらず、MDDは、世界中で数百万の生命に存在しており、これらの病因学または病態生理学については、ほとんど知られていない。さらに、広範な抗抑うつ性薬剤のアベイラビリティにもかかわらず、臨床試験は、十分な投薬量、持続時間、およびコンプライアンスにもかかわらず、抑うつ性患者の30%〜40%が、最初の方針の抗抑うつ処置に応答しないことを示す(Nierenberg,1994;ThaseおよびRush,1995(本明細書中に参考として援用される))。
【0050】
体型測定の神経画像化研究は、全体として、BPDとMDDとの両方に罹患する患者が、細胞の損失および/または萎縮症を示唆する体型測定変化を示すことを実証した(Drevetsら、1997;Drevets,1999;Shelineら、1996;1999(本明細書中に参考として援用される))。容積測定の神経画像化研究は、気分の障害に罹患する患者において、第3脳室および側脳室の拡大、ならびに眼窩および内側の前前頭皮質(PFC)における灰白質容積、腹側の線条、および近心側頭皮質の減少を示す(Drevets,1999;Shelineら、1996;1999)。前頭葉の容積の減少、および脳梁膝に対して腹側に位置する領域における灰白質の平均の容積の顕著な約40%の減少が、最近、BPD抗うつ性および家族性単極抑うつ性において、実証された(Drevetsら、1997)。海馬の容積の減少もまた、MDD所見の病歴を有する被験体において観察され、これは、抑うつ性エピソードが消散した後の数十年間にわたって存続し得る(Bremnerら、2000(本明細書中に参考として援用される);Shelineら、1996;Shelineら、1999)。海馬の容積の損失は、MDDの全寿命の持続時間に相関するようであり(Shelineら、1999)、これらの変化が抑うつの繰り返しおよび/または延長したエピソードの後遺症に相当し得ることの示唆を導く(Brownら、1999;Sapolsky,2000)。
【0051】
現在、多数の研究が、脳における初期の異常に低いN−アセチルアスパルテート(NAA)測定が、疾患(例えば、脱髄疾患、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ミトコンドリア脳障害、およびHIV関連痴呆)におけるCNSの症状の軽減と共に増加し得、そして標準化さえし得ることを示した(TsaiおよびCoyle,1995)。NAAは、現在、一般に、厳密にはニューロンの損失自体に対するマーカーとしてではなく、ニューロンの生活能力および機能の尺度とみなされている(TsaiおよびCoyle,1995)。高分解能磁気共鳴分光画像化法を使用する最近の研究(Bertolinoら(1999))は、コントロールと比較して、BPD被験体の海馬における両側での低下したNAAレベルを見出した。NAAの低下したレベルはまた、健常なコントロールと比較して、BPD患者における側背の前前頭皮質(DLPFC)において両側で見出された(Winsbergら、2000)。これらの研究は、気分の障害が、局所的なニューロンの損失および/またはニューロンの生活能力/機能の低下に関連し、この障害に対する物理的および生理化学的局面を説明するという論点に、神経化学的な支持を追加する。神経画像化の蓄積する証拠に加えて、いくつかの死後の脳の研究が、現在、局所的なCNSの容積、細胞の数および細胞体の大きさの減少に関する直接的な証拠を提供している。Baumannおよび共同研究者ら(1999)は、単極MDDまたはBPDを罹患する患者から得た死後の脳サンプルにおいて、左側坐核(left nucleus accumbens)、右被殻および外両側性淡蒼球(bilateral pallidum externum)の減少した容積を報告した。PFCの、いくつかの最近の死後の立体的解析研究はまた、減少した局所的容積、細胞数および/または大きさを実証した。DLPFCおよび眼窩前頭皮質における皮質ニューロンの密度および大きさの体型測定分析は、コントロール被験体と比較した場合の、気分の障害の患者における有意な減少を明らかにした(Rajkowskaら、1999;2000)。全体的に、神経画像化研究からのデータおよび死後の成長身体の証拠の優勢は、局所的なCNSの容積の減少が実際に存在し、これに萎縮症およびいくつかの場合には細胞の損失(ニューロンおよび神経膠の両方)が、少なくとも気分の障害を罹患する患者の部分集合においては付随するという、説得力のある場合を提示する。
【0052】
(細胞生存経路に対する抗うつ薬処置の影響)
神経性萎縮および生存に関与する因子は、本発明の抗うつ薬処置の標的である。神経栄養効果を提供することに寄与する、細胞生存および可塑性に関与する重要な経路としては、例えば、cAMP−CREBカスケード、およびCREB標的、脳由来神経栄養因子(BDNF)が挙げられる。これらは、抗うつ薬処置によってアップレギュレートされ得る(Dumanら、2000(本明細書中に参考として援用される))。CREBおよびBDNFのアップレギュレーションは、いくつかの異なるクラスの抗うつ薬処置(ノルエピネフリン(NE)およびSSRI、ならびに電気痙攣的発作が挙げられる)に応じて生じる。このことは、cAMP−CREBカスケードおよびBDNFは、治療化合物の共通のポストレセプター標的であることを示す(Nibuyaら、1995、1996)。さらに、CREBおよびBDNFのアップレギュレーションは、慢性的な処置に依存し、抗うつ薬の治療的作用に一致する。cAMP−CREBカスケードおよびBDNFのアップレギュレーションは、うつ病の行動モデルにおける成績を向上させる(Dumanら、2000)。抗うつ薬処置は、神経栄養様効果(例えば、大脳皮質におけるカテコールアミン軸索終末のより大きな再生)を生成する(Nakamura、1990)。グルタミン酸作動性系の過剰な活性を調節するためのNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用は、患者に対して神経栄養性効果を提供し、これにより、この神経精神医学の障害の病態生理学を減少させる。
【0053】
(グルタミン酸神経伝達に影響を与えるNMDAアンタゴニストおよび他の薬物の抗うつ薬活性)
初期薬物開発の薬理学的効果について展開されたうつ病のモノアミン仮説は、全ての抗うつ薬化合物の作用の様式、またはうつ病における潜在的な病態生理学の十分な説明をもはや提供しない。1950年代、D−シクロセリン(マルチドラッグ抗結核処置の一部として使用される、NMDAレセプターのグリシン部位での部分的アゴニスト)は、気分を高揚させる効果を有することが報告された(Heresco−LevyおよびJavitt、1988)。それ以来、脳グルタミン酸作動性神経伝達の変更と気分の障害の病態生理学との間の関係についての証拠が増えている。前臨床研究の成長体(growing body)は、NMDAクラスのグルタミン酸レセプターが主要なうつ病の病態生理学および抗うつ薬の作用メカニズムに関連し得ることを示唆する(Skolnickら、1999)。NMDAレセプターアンタゴニスト(例えば、MK−801およびAP−7)は、うつ病の動物モデル(うつ病の学習性無力症モデルおよび慢性の中程度のストレス手順に曝露された動物における、回避不能なストレッサーの適用、無理な水泳、および尾を吊り上げることによる不動化試験(immobility test)(Hauang,1997;Paul,1997)を含む)における抗うつ病効果を示した。逆に、抗うつ薬投与は、NMDAレセプター機能(Nowakら、1993,1995)およびレセプター結合プロファイル(Paulら、1994)に影響を与えることを示した。さらに、うつ病におけるグルタミン酸作動性機能障害の役割はさらに、抗うつ薬を局所的に反復して投与すると、複数のNMDAレセプターサブユニットをコードするmRNAの発現(Boyerら、1998;Sholnick,1999)、および中枢神経系(CNS)の限局性領域内のこれらのレセプターに対する放射標識の結合(Skolnick,1999)が変化するという事実によって支持される。要約すると、行動の研究および神経化学の研究は、NMDAアンタゴニストが脳において抗うつ薬に類似した神経化学的な変化を生じさせること、およびNMDAレセプターがいくつかのうつ病の動物モデルにおいて抗うつ薬様の行動プロファイルを示すことを示唆する。前臨床的証拠の成長体は、慢性的な投与の際に、現存する抗うつ薬がグルタミン酸作動性の系に対して有意に(複雑ではあるが)鈍らせる効果を及ぼすことを示唆する。さらに、多くのストレスの典型が、グルタミン酸作動性神経伝達の増強を介して海馬の構造に対して多くの有害な効果を及ぼすと考えられている。概して、グルタミン酸作動性系の過剰な活性の調節は、神経精神医学の障害の病態生理学を処置する方法を提供する。より特定すると、グルタミン酸作動性活性を鈍らせる組成物および方法は、うつ病障害に冒されるか罹患する患者に対して、抗うつ薬の治療効果を投与する方法を提供する。
【0054】
(NMDAレセプターアンタゴニスト)
CNS傷害および神経変性疾患におけるグルタミン酸の潜在的な役割を考慮して、いくつかの処置ストラテジーが、グルタミン酸媒介興奮毒性を減少させるために実行されてきた。1つのアプローチは、NMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用に関連する。ケタミンは、うつ病において研究されてきたが、精神病の発生の危険性の増加に関連する。また、神経模倣(psychomimetic)効果が、他のNMDAアンタゴニストとともに生じることが報告された。二重盲検のプラセボ調節研究におけるラモトリジン(lamotrigine)は、急性の双極性のうつ病において効果的であることが報告された(Calabreseら、1999)。単極性のうつ病において、ラモトリジンは、HAMD第1項の前に行われた最後の観察におけるプラセボ、およびCGI重篤度変化よりも優れているが、総スコアHAMDおよびMADRSにおいては優れていないことが見出された(Laurenzaら、1999)。ラモトリジンの作用の正確なメカニズムは未知であるが、グルタミン酸の過剰放出の阻害は、この薬物の作用の有力なメカニズムとして想定される(Calabreseら、1999)。グルタミン酸作動性神経伝達を優先的にもたらす薬物がうつ病を有する患者の特定の亜群において効果的であり得る可能性がある。うつ病(単極性お呼び双極性のうつ病)を有する患者の特定の亜群が抗グルタミン酸作動性化合物に対して差示的に応答するようであるか否かを正確に規定するために、さらなる研究が要求される。グルタミン酸の放出を減少させ、そしてパーキンソン病、痴呆、虚血および外傷性CNS傷害の動物モデルにおいて神経保護であることが示されているこのような化合物の1つは、NMDAレセプターアンタゴニストのメマンチンであり、これは、他のグルタミン酸レセプターアンタゴニストとは異なり、正常な神経伝達を容赦しそして行動の研究に一致するパッチクランプ電気生理学的記録に例示されるような過剰なグルタミン酸誘導性電流のみをブロックするようである(Chenら、1992、1998、ChenおよびLipton、1997、Lipton、1993、LiptonおよびRosenberg、1994(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。
【0055】
メマンチン(Akatinol Memantine(登録商標)(Merz&Co.,GmbH)CAS登録番号41100−52−1)は、痴呆症、脊椎痙性およびパーキンソン病の処置に現在使用されている、非競合性N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)アンタゴニストである。化学的には、メマンチンは、エナメル質クラスの1−アミノ−3,5−ジメチルアダマンタンである。他のNMDAアンタゴニストと比較して、メマンチンは、ヒト脳組織中で、PCPおよびMK−801のレセプター部位での結合について最も大きな効果的な効力を有することが報告されている(Kornhuberら、1991)。メマンチンは、死んだヒトの前脳皮質中のNMDAレセプターのPCPおよびMK−801の結合部位に、治療濃度で結合し(Kornhuberら、1989)、そして膜電流を減少させる(Bormann、1989)。メマンチンは、十分に寛解され、そしてドイツではその広範な使用にもかかわらず、精神病および認識欠損の単発的なわずかな場合のみがその使用とともに報告されている。他のNMDAアンタゴニストと比較して、メマンチンは、より好都合な薬理学的プロファイルを有するようであり、そして精神病および認識欠損を誘導する可能性が低い。理論に縛られることなく、メマンチンがなぜ認識欠損および精神病を誘導する可能性が低いのかの1つの可能性は、他のNMDAアンタゴニスト(例えば、ケタミン)と比較して、視床下部−下垂体軸(HPA)に対するその取るに足らない効果に起因し得る。NMDAレセプターは、高コルチゾル症を生じる、HPA軸からのホルモン放出の生理学的な拍動調節に関連すると報告された(Bhatら、1995)。うつ病における精神病性の症状および認識欠損は、このHPAの過剰活性の次の、増加したドーパミン活性にリンクした(Walderら、2000)。HPA軸に対するメマンチンの効果の欠落および得られる増加したドーパミン活性は、この薬物とともに見られる低率の精神病についての説明であり得る。他のNMDAアンタゴニストを超えるメマンチンの別の利点は、例えば、デキストロメトルファンとは反対に、メマンチンは、NMDAをアンタゴナイズする特性を有する、活性な代謝物を有さないことである(Ziemannら、1996)。さらに、メマンチンの血清レベルは、測定に利用可能である。メマンチンは、ヒトにおける使用のために利用可能な数少ないNMDAアンタゴニストの1つであり、そしてNMDAアンタゴニストとして、主要なうつ病を処置するに理想的であり、そしてその前駆体であるアマンタジンは、最小限の副作用をともなって数年にわたって医療で使用されている(Kornhuberら、1994)。メマンチンは、他のNMDAアンタゴニスト(例えば、フェンシクリジンおよびケタミン)で見られるような、動揺、混乱および精神病の有意な副作用にめったに関与しない(Rabeyら、1992;Riedererら、1991)。
メマンチンは、典型的には、欧州で処方される老人集団において十分に寛解されている(Gortelmeyerら、1992)。
【0056】
メマンチンは、有意な神経栄養特性および活性化特性を有し、そしてグルタミン酸作動性神経伝達を調節するために使用され得るが、また、直接的な細胞内メカニズムを介してげっ歯類神経栄養性効果を提供する。メマンチンは、MK−801に匹敵する効果とともに、強力な非競合的電位依存性NMDAアンタゴニスト特性を示す(Bormann、1989(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。メマンチンはまた、抗痙攣薬および神経防御特性ならびにインビトロでのドーパミン作動性効果を示す(Maj、1982を参照のこと(本明細書中に参考として援用される))。メマンチンは、1978年から使用されており、そしてドイツでは、以下の主症状を伴う、弱いおよび中程度の大脳の作動障害を処置するために承認されている:集中および記憶障害、目的および欲求の喪失、未成熟な疲労、ならびに痴呆症、そして注意および敏捷(覚醒)の増加が要求される疾患において。大脳および脊椎の痙性、パーキンソン病およびパーキンソン様疾患は、他の徴候である。メマンチンは、グルタミン酸作動性神経伝達の調節因子として作用する。減少したグルタミン酸放出の状態において、ニューロンの変性の後に、メマンチンは、シグナル伝達およびニューロンの活性化において改善を生じる。大量のグルタミン酸の放出の状態(例えば、虚血)において、メマンチンは、ニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性作用を媒介するNMDAレセプターをブロックする。その神経防御特性は、グルタミン酸の増加を有する病理学におけるNMDAレセプター拮抗作用に起因すると考えられている。パーキンソン病におけるメマンチンの効力は、グルタミン酸作動性の皮質−線条体経路および視床下部淡蒼球経路の増加した活性を中和(または調節)するその能力の結果であることが示唆された(KlockgetherおよびTurski、1989、1990、ならびにSchmidtら、1990(本明細書中に参考として援用される))。この効果は、ドーパミンまたはノルエピネフリンの放出に非依存的である。
【0057】
メマンチンは、他の神経医学障害(例えば、パーキンソン病および痴呆)において共通して見られる欠損症状またはうつ病症状に対してポジティブな効果を有するということが何年も報告されてきた。痴呆およびパーキンソン病を有する患者の研究において、抑圧された気分、不安、欲求の喪失、身体障害、覚醒における障害、短期記憶および集中の症状は、メマンチンで有意に改善された。これらの研究のいくつかはまた、過剰活性、不穏状態および多幸症という、メマンチンでの有害な事象を報告した。このことは、メマンチンが活性化特性または抗うつ薬特性を有し得ることを示唆する。これらの知見は、図9に示される表に要約される。
【0058】
(メマンチンの薬理学)
メマンチンは、急速にかつ完全に吸収され、そしてほとんどヒトアルブミンに結合しない(<10%)。その***は二相性である。メマンチンの平均半減期は、治療に関連する第1期について4〜9時間であり、次いで第2期について40〜65時間であると報告される。***は、主に75%〜90%が腎臓経路で起こり、糞便排出は約10%〜25%のみである(Wesemanら、1980)。メマンチンの副作用は、用量依存性であり、そしてこの副作用としては、めまい、精神的(internal)および運動性の不穏および動揺、疲労、頭部うっ血、ならびに悪心が挙げられる。錯乱および精神病のいくつかの単発的な事例が報告されているが、これらの患者はまた、付随した医学的障害を有しており、そしてまたL−ドパまたはアマンタジンを投与されていた(Rabeyら、1992;Ditzler,1991)。運動能力および多幸感またはめまい感(giddiness)の増加もまたメマンチン処置に伴って起こると報告されている。メマンチンとの薬物相互作用は、一般的に穏やかであり、そしてバルビツレート、神経弛緩薬、抗コリン作用薬、L−ドパ、ドパミン作動性アゴニスト、およびアマンタジンにより発生すると報告されている。
【0059】
本発明のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、アミノアダマンタン誘導体を含み、この化合物は、薬学的に受容可能な塩を含む医薬かまたはさらに賦形剤を含む薬学的組成物へと処方され得る。メマンチンおよびニトロメマンチン誘導体は、0.1〜1000mg/日の範囲にわたる投薬量でヒト患者に投与される。現在、メマンチンの好ましい治療用量は、約5〜35mg/日であるが、メマンチンは、100〜500mg/日の用量で十分許容される。ニトロメマンチン化合物の投薬量は、一般的に1〜100mg/日であり、そして同様に許容される。ヒトにおけるメマンチンの血清レベルは、5〜30mg/日の用量で0.25μMと0.529μMとの間の範囲であると報告されている。これらの同じ患者において、メマンチンのCSFレベルは0.122μMと0.053μMの間の範囲であり、そして血清での値と高度に相関する(r=0.99、p=0.0018)。平均CSF/血清比は、0.52であった(KornhuberおよびQuack,1995(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。これらの濃度(0.1〜1000mg/日)において、メマンチンは、NMDAレセプターのPCPまたはMK−108の結合部位と特異的に相互作用し(Kornhuberら、1994;KornhuberおよびQuack,1995)、そしてレセプターによるグルタミン酸作動性(glutamatergic)神経伝達を調節する際に有効である。
【0060】
薬学的組成物で投与されるNMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、治療有効量がその組成物に存在するように、適切なキャリアまたは賦形剤と混合される。用語「治療有効量」とは、所望の終点(例えば、発作の結果としてのニューロン損傷を減少させること)に到達するために必要な化合物の量をいう。投薬レジメンにおける治療の終点自体は、本明細書中に開示される評価および技術により決定される場合、患者における治療効果の発生により認識される。医学の専門家は、メマンチンについて適切な投薬レジメンを決定し得、そして治療効果を与えて不利な副作用を最小にすることが必要な場合、その患者の用量を上方または下方に調節し得る。しかし、任意の特定の患者に関する特定の用量レベルは、種々の因子(使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与時間、投与経路および排出速度、薬物の組合せ、および治療を受けている特定の疾患の重篤度を含む)に依存することが理解される。
【0061】
NMDAレセプターアンタゴニスト化合物、そのエナンチオマーまたはその薬学的に受容可能な塩(活性化合物)は、従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、およびビヒクルを含有する投薬単位処方物で、経口投与、局所投与、非経口投与、鼻腔内投与(吸入または噴霧による)、または直腸投与され得る。キャリア物質と組み合わされて単一の投薬形態を生成し得る活性化合物の量は、処置される宿主および投与の特定の様式に依存して変化する。本明細書で使用される場合、用語非経口は、皮下注射、静脈内、筋内、胸骨内の注射または注入技術を含む。さらに、本発明は、NMDAレセプターアンタゴニスト化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的処方物を提供する。活性化合物は、1種以上の非毒性の薬学的に受容可能なキャリアおよび/または希釈剤および/またはアジュバント、ならびに所望されるならばその他の活性成分を伴って存在し得る。この活性化合物を含有する薬学的組成物は、経口使用に適切な形態(例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性の懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、乳剤、硬質もしくは軟質のカプセル、またはシロップもしくはエリキシル)であり得る。
【0062】
経口使用を意図された組成物は、薬学的組成物の製造に関する当該分野で公知の任意の方法に従って調製され得、そしてこのような組成物は、薬学的に的確で口当たりのよい調製物を提供するために、甘味料化合物、風味料化合物、着色剤化合物および防腐剤化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に適切な、非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合された活性化合物を含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);顆粒化化合物および崩壊剤化合物(例えば、コーンスターチ、またはアルギン酸);結合剤化合物(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア)、および滑沢剤化合物(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、そして胃腸管での崩壊および吸収を遅延させて、それにより長期にわたって持続した作用を提供するために公知の技術でコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質が、使用され得る。
【0063】
経口使用のための処方物はまた、硬質ゼラチンカプセルまたは軟質ゼラチンカプセルとして与えられ得、この硬質カプセルにおいて、活性成分は、不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合され、軟質カプセルにおいて、活性成分は、水または油状媒体(例えば、ピーナッツオイル、液体パラフィンまたはオリーブオイル)と混合される。
【0064】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性物質を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤化合物(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴム)であり;分散剤化合物または湿潤剤化合物は、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。水性懸濁液はまた、1種以上の防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1種以上の着色剤化合物、1種以上の風味料化合物、および1種以上の甘味料化合物(例えば、スクロースまたはサッカリン)を含有し得る。
【0065】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)または鉱油(例えば、液体パラフィン)中に懸濁することにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤化合物(例えば、蜜蝋、硬質パラフィン、またはアセチルアルコール)を含有し得る。上述のような甘味料化合物および風味料化合物は、味のよい経口調製物を提供するために添加され得る。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化物の添加により保存され得る。
【0066】
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散性粉末および顆粒は、分散剤化合物または湿潤剤化合物、懸濁剤化合物および1種以上の防腐剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤化合物または湿潤剤化合物および懸濁剤化合物は、既に上述されたものにより例示される。さらなる賦形剤(例えば、甘味料化合物、風味料化合物、および着色料化合物)もまた存在し得る。
【0067】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油乳剤の形態であり得る。油相は、植物油(例えば、オリーブ油またはラッカセイ油)、または鉱油(例えば、液体パラフィン)またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤化合物は、天然に存在するゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、ダイズ油、レシチン)、および脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルもしくは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレアート)、および上記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、甘味料化合物、風味料化合物および着色料化合物)もまた存在し得る。
【0068】
シロップおよびエリキシルは、甘味料化合物(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)と共に処方され得る。このような処方物はまた、粘滑薬、防腐剤化合物および風味料化合物および着色料化合物を含有し得る。薬学的組成物は、滅菌した注射可能な水性懸濁液または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上述した適切な分散剤化合物または湿潤剤化合物および懸濁化合物を使用して、当該分野で公知の技術に従って処方され得る。滅菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌した注射可能な溶液または懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発油は、従来、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、任意の刺激の強くない不揮発油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む)を使用し得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射液(injectable)の調製における用途を見出す。
【0069】
活性化合物はまた、薬物の直腸投与のために坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、適切な非刺激性の賦形剤(これは、常温では固体であるが直腸温度で液体であり、従って、直腸において薬物を放出するように融解する)と薬物を混合することによって調製され得る。このような材料は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0070】
活性化合物は、無菌媒体中で非経口的に投与され得る。薬物は、使用されるビヒクルおよび濃度に依存して、ビヒクル中において懸濁または溶解され得る。有利なことには、アジュバント(例えば、局所麻酔、防腐薬および緩衝化合物)が、このビヒクル中に溶解され得る。
【0071】
本発明の化合物は、アミノアダマンタン誘導体(例えば、メマンチン、ニトロメマンチンなど)を含むNMDAレセプターアンタゴニストである。NMDAレセプターアンタゴニストは、以下の式のものである:
【0072】
【化7】
Figure 2004515477
この式のR、R、R、RおよびRの基は、独立して規定される。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C(O)ORまたはC(O)Rである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、OR、アルキル−OR7またはヘテロアルキル−ORである。Rは、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールである。Rは、NO、C(O)R、C(O)アルキル(alky)]−ONOまたはC(O)ヘテロアルキル−ONOである。以下の置換基が好ましい:RおよびRが、Hである;RおよびRが、Hまたはアルキルである;ならびにRが、NOまたはC(O)アルキル−ONOである。
【0073】
好ましくは、RがHであり、そしてRがH、C(O)O−アルキルまたはC(O)O−アリールである。RがC(O)O−アルキルである場合、アルキル基が、メチル、エチル、N−プロピル、イソ−プロピル、N−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはベンジルであることが好ましい。RがC(O)O−アリールである場合、アリール基が、フェニルまたは置換フェニルであることが好ましい。より好ましくは、RおよびRが、両方ともHである。
【0074】
好ましくは、RおよびRの両方が、Hまたは直鎖状アルキル基である。RおよびRが両方ともアルキル基である場合、この基は、メチル、エチル、N−プロピル、N−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチルまたはベンジルであることが好ましい。
【0075】
好ましくは、Rは、ONO、O−アルキル−ONO2またはOC(O)−アルキル−ONOである。Rが、O−アルキル−ONOである場合、このアルキル基は、CH、CHCHまたはCHCHCHであることが好ましい。Rが、OC(O)−アルキル−ONOである場合、このアルキル基は、CH、CHCH、CHCHCHまたはCHCHCHCHであることが好ましい。より好ましくは、RはONOである。
【0076】
本発明のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物は、ハロアダマンタン誘導体から出発して合成される。ハロアダマンタン誘導体は、酸およびニトリルで処理されて、アミドアダマンタン誘導体を形成する。酸および第二試薬でのNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の処理は、官能基化されたNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を与える。
【0077】
特定の場合では、官能基化NMDAレセプターアンタゴニスト化合物を形成するために使用される第二試薬は、水である。この場合に形成される化合物は、アミドアルコールである。アミドアルコールは、ニトロ化されてアミドニトレート誘導体を与えるか、または加水分解されてアミノアルコール誘導体を与える。アミノアルコールが形成される場合、種々の異なる工程を使用して、他のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を作製し得る。この工程としては、以下の非限定的な例が挙げられる:1)アミノニトレート誘導体を与えるための、アミン基の保護と、それに続くアルコール基のニトロ化およびアミン基の脱保護;2)アミノエステル誘導体を与えるための、アミン基の保護と、それに続くアルコール基のエステル化およびアミン基の脱保護;ならびに3)カルバメート(carbarnate)ニトレート−エステル誘導体を与えるための、アミン基の保護と、それに続くハロゲン化酸塩化物でのエステル化および求核置換反応。
【0078】
他の場合では、官能基化NMDAレセプターアンタゴニスト化合物を形成するために使用される第二試薬は、ギ酸である。この場合に形成される化合物は、アミド酸である。アミド酸は、アミドアルカノールを形成する条件に供される。アミドアルカノールは、ニトロ化されてアミドアルカンニトレート誘導体を与えるか、または脱保護されてアミノアルカノール誘導体を与える。アミノアルカノール誘導体が形成される場合、アミン基は保護されて、アミドアルカノール誘導体を形成し、これは続いてニトロ化され、アミドアルカン−ニトレート誘導体を与える。アミド基の脱保護は、アミノアルカン−ニトレート誘導体を生じる。
【0079】
図1は、アミドニトレート誘導体の合成を示す。化合物1(ジメチル−ブロモ−アダマンタン)を、硫酸およびアセトニトリルで処理して、ジメチルアミド化合物2を得た。アミド2を、硫酸および水と反応させてアミドアルコール3を与え、硝酸および無水酢酸を使用して、このアミドアルコール3をニトロ化して、化合物8を形成した。
【0080】
図1はまた、アミノニトレート誘導体の合成を示す。化合物3は、水酸化ナトリウムで脱保護されて、アミノアルコール4を与えた。化合物4のアミン基を(BOC)Oを用いて保護して、カルバメートアルコール5を形成した。カルバメート5を、硝酸および無水酢酸を使用してニトロ化することによりニトレート6を与え、塩酸での処理でこのニトレート6を脱保護し、アミノニトレート塩酸塩7を形成した。
【0081】
図2は、アミノエステル誘導体の合成を示す。アミノアルコール9を、2当量のベンジルブロミドでアルキル化して、保護されたアミノアルコール10を得た。化合物10をアセチル化して、エステル11を得た。エステル11を、水素添加に供し、次いで、酸性化して、アミノアルコール塩酸塩12を得た。
【0082】
図3は、カルバメートニトレート−エステル誘導体の合成を示す。アミノアルコール9を、(PhCHOCO)Oでの処理で保護してカルバメート13を得た。カルバメート13を、ハロアルキル酸塩化物を使用してエステル化して化合物14を与え、この化合物14を、AgNOでの求核置換反応に供して、カルバメートニトレート−エステル15を得た。
【0083】
図4は、アミドアルキル−ニトレート誘導体の合成を示す。アミド2を、硫酸およびギ酸と反応させて、アミド酸16を形成した。トリエチルアミンおよびエチルクロロホルメートでの化合物16の処理は、混合無水物を与え、次ぐ水素化ホウ素ナトリウムでの還元により、アミドアルカノール17を得た。硝酸および無水酢酸を使用した17のニトロ化により、アミドアルキル−ニトレート22を得た。
【0084】
図4はまた、アミノアルキル−ニトレート誘導体の合成を示す。アミドアルカノール17を、水酸化ナトリウムで脱保護し、そして塩酸で酸性化して、18を与えた。化合物18のアミン基を、N−ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミドとの反応で保護してカルバメート19を形成し、引き続いて硝酸および無水酢酸を使用してニトロ化して、カルバメートアルキル−ニトレート20を得た。化合物20のカルバメートを、臭化水素酸および酢酸で除去して、アミノアルキル−ニトレート21を得た。
【0085】
アミドアルキルニトレート誘導体またはアミノアルキルニトレート誘導体のいずれかの合成のために好ましい中間体である多数の化合物が存在する。このような化合物としては、アミド酸16、アミドアルカノール17およびアミノアルコール塩酸塩18が挙げられる。
【0086】
本発明の化合物および組成物は、以下のような多数の神経精神医学的な障害および疾患状態を処置するための医薬の製造のために使用され得る:外傷状態、虚血状態または低酸素状態から生じる障害(発作、低血糖症、大脳虚血、心停止、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心停止、低血糖性ニューロン損傷を含む)。神経変性障害(例えば、てんかん、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン症候群(Parkinsonism)、および筋萎縮側索硬化症)もまた処置され得る。この化合物および組成物の投与を通して改善され得る他の神経精神医学的な疾患または障害としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:うつ病、双極性障害、不安、痙攣、疼痛、精神***病、移動性痙攣、片頭痛、尿失禁、ニコチン禁断症状、アヘン剤の耐性および禁断症状、嘔吐、脳水腫、遅発性ジスキネジー、AIDS誘導性痴呆、眼損傷、網膜症、認知障害、ならびにHIV感染に関連したニューロン傷害(例えば、認知、運動、および感覚における機能不全)。
【0087】
(治療効果についてのアッセイ)
神経精神医学的障害の処置における治療効果を決定するための評価および項目は、一般的に、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版,American Psychiatric Press(1994)において見出され得る。血清またはCSF血漿のグルタミン酸レベル、MRS、MRIおよびPETのような、より実験的な試験と組み合わせた患者のアッセイおよび評価により、NMDAレセプターアンタゴニスト化合物での処置レジメンの効力を決定するための最良の方法が提供される。これらの評価は、他の判断基準(すなわち、体重の増加または減少、雇用を獲得または維持する能力、社会的状況において相互作用する能力、ならびに、より自覚的な項目(例えば、薬物を切望する挙動、リビドーまたはエネルギーの増加または減少、および全般的な福祉評価))と組み合わされて、治療に対する患者の応答に関するより徹底的な分析が与えられ得る。
【0088】
(うつ病患者におけるグルタミン酸のCSF(脳脊髄液)および血漿レベル) NMDAレセプター活性を調節するために使用される化合物からの治療効果は、血漿および脳脊髄液中のグルタミン酸またはグルタミンのレベル低下をアッセイすることによって決定され得る。グルタミン酸血漿レベルは、コントロール集団群と比較して、うつ病患者においてより高いことが公知である(Kimら,1982;Mathisら,1988,Mauriら,(1998),およびBerkら,(2000),Levineら,(2000),およびCastilloら,(2000)(本明細書中において参考として援用される)を参照のこと)。メマンチンは、グルタミン酸放出をブロックしないが、そのNMDAレセプターでのグルタミン酸の作用のみをブロックする。すなわち、グルタミン酸レベルは、上昇したままであり得るが、メマンチンは、その上昇したグルタミン酸の作用を単純にブロックし得る。しかし、メマンチンは細胞死をブロックし、それにより、この様式で異常なグルタミン酸放出をブロックするので、血漿およびCSFのグルタミン酸レベルは、しばしば、患者の治療に応答して減少する。
【0089】
(患者評価)
NMDAレセプターアンタゴニストを用いた治療の効力はまた、以下に記載の目録の1以上を施すことによって決定され得る。患者スコアにおける改善は、一般に、病態生理学的状態の低減および神経精神医学的な疾患状態における改善と相関する。
【0090】
MADRS(MontgomeryおよびAsberg,1979(本明細書中に参考として援用される))は、成人における抑鬱症候群の評価のため、および抑鬱症候群に対する何らかの変化の評価のために使用される10項目の手段である。基準の評価者間の信頼度は高く、スコアは、HAMDのスコアと有意に相関する(本明細書中で議論される)。10項目の各々は、各項目ごとに記述子が異なる、0〜6の基準により採点される。これらの個々の項目スコアは、合計スコアを作るためにまとめて加算され、この合計スコアは、0〜60点の範囲に及び得る。NMDAアンタゴニスト化合物投与後の5%を超える患者スコアの改善は、神経精神医学的障害の病態生理学的状態における低減を示す一方、この化合物を用いる治療レジメン後の10%の患者スコアの改善は、治療効果の達成を示す。
【0091】
HAMD(Hamilton,1960、de Montigniら、1999もまた参照のこと;Versianiら、2000;Sheltonら、2001(本明細書中に参考として援用される))は、抑鬱の重篤性の所見採点尺度に広く使用される。この基準(HAMD)の21項目バージョンは、治療過程の間に抑鬱の重篤性およびその改善を評価するために管理される。この21項目バージョンは、精神病的な特徴なしの抑鬱を特徴付ける、個々の徴候および症状の存在および重篤性の両方を評価する。合計スコアは、21項目の合計であり、0〜65点の範囲に及ぶ。NMDAアンタゴニスト化合物投与後の5%を超える患者スコアの改善は、神経精神医学的障害の病態生理学的状態における低減を示す一方、この化合物を用いる治療レジメン後の10%の患者スコアの改善は、治療効果の達成を示す。
【0092】
精神運動変化のCORE評価(ParkerおよびHadzi−Pavlovic、1996)は、18の徴候(観察可能な特徴)から構成され、これらの徴候は、診察の最後に臨床医によって採点される。各徴候は、4点基準(0〜3)により採点される。項目のサブセットを合計することにより、精神運動変化の根底にあると見出された3つの特徴:会話しないこと(noninteractiveness)、遅延、および興奮、についてのスコアを生じる。この項目からの合計スコアは、患者をメランコリックサブタイプまたは非メランコリックサブタイプに割り当てるために使用され得る。精神運動変化のCORE評価は、診断尺度ではない。このCORE評価は、一次抑鬱の診断が行われる場合に使用され、そしてメランコリックタイプ 対 非メランコリックサブタイプに分けるためのサブタイプシステムである。メランコリックサブタイプから非メランコリックサブタイプまでの分類の変化は、疾患状態の病態生理の低減を示す。
【0093】
不安についてのハミルトン精神医学的採点基準(HAM−A)は、不安の重篤性の所見採点尺度に広く使用されている。基準は、14項目からなる。各項目は、0〜4の基準により採点される。この基準は、不安の重篤性および治療過程の間のその重篤性の改善を評価するために管理される。HAM−A合計スコアは、14項目の合計であり、このスコアは、0〜56点に及ぶ。NMDAアンタゴニスト化合物投与後の5%を超える患者スコアの改善は、神経精神医学的障害の病態生理の低減を示す一方、この化合物を用いた治療レジメン後の10%の患者スコアの改善は、不安の処置における治療効果の達成を示す。
【0094】
YMRS(Youngら、1978(本明細書中に参考として援用される))は、11項目からなる。項目5、6、8、および9は、0(示される徴候なし)〜8(非常に重篤な症状)の基準により採点される。残りの項目は、0(示されない症状)〜4(非常に重篤な症状)の基準により採点される。項目5、6、8、および9(被刺激性、会話能力(speech)、内容および***的−攻撃的行動)が、重篤に病気の患者の不健康な状態を補償するために、残りの7項目の重みが2倍にされる。YMRS合計スコアは、0〜60点の範囲におよび、主な効力パラメーターである。治療の間に軽躁症状/躁症状が発生すれば、YMRS基準が得られる。NMDAアンタゴニスト化合物投与後の5%を超える患者スコアにおける改善は、神経精神医学的障害の病態生理における低減を示す一方、この化合物を用いる治療レジメン後の10%の患者スコアの改善は、治療効果の達成を示す。
【0095】
PANSS採点は、正式な半体系化された30〜40分の診察およびさらなる情報源から得られる。PANSSの30項目は、7点基準により採点される(1=なし、7=異常)。7項目を分類して、ポジティブ基準を形成する。この基準は、正常な精神状態の者に存在しない、精神***病で示される特徴を評価する。別の7項目は、ネガティブ基準を構成する。この基準は、精神***病には存在しないが、正常な状態の者に存在する特徴を評価する。これらの基準の間の差異に基づくと、二極性の複合基準は、他の症候群に対して1つの症候群が勝る程度を特定する。最後に、4番目の指標である一般的精神病理学基準は、残りの16項目の合計により障害の重篤度全体を判断する。これらの補助的項目は、攻撃性の危険性を評価する。PANSS採点は、治療経過の間に精神病症状が発生すれば、患者を評価する方法を提供する。精神病症状は、NMDAアンタゴニストの使用により発生することが報告されており、グルタミン酸神経伝達経路を調節する任意の化合物が、精神病症状を発生させるその傾向について評価されるはずである。
【0096】
CGI基準(National Institute of Mental Health、1976(本明細書中に参考として援用される))は、精神医学患者における処置応答を評価する3項目基準である。管理時間は、5分である。この基準は、3つの項目:疾病の重篤性(項目1);全体の改善(項目2);および効力指数(項目3)からなる。項目1は、7点基準(1=正常、7=悪い患者の中でも最も悪い)により採点され、項目2(1=非常によく改善された、7=非常に悪い)においても同様に採点される。各々は、評価されていないさらなる応答を含む。項目3は、4点基準により採点される(なし〜治療効果があるまで)。項目1および項目3は、前の週の経験に基づいて評価される。項目2は、現在の処置の開始以来の期間から評価される。NMDAアンタゴニスト化合物投与後の5%を超える患者スコアの改善は、神経精神医学的障害の病態生理における低減を示す一方、この化合物を用いる治療レジメン後の10%の患者スコアの改善は、治療効果の達成を示す。
【0097】
(磁気共鳴分光法)
治療に対する患者の応答についてのより多くの経験的データは、磁気共鳴分光法、およびPETを通じて得られ得る。神経傷害は、例えば、MR分光法における減少したN−アセチル−アスパラギン酸(NAA)ピークと関連する。この種の化学シフトは、患者処置の期間にわたり追跡されて、神経精神医学的障害の進行をモニターし、投薬量レジメンを系統化し得る。
【0098】
定量的単一ボクセル[H]−MRS試験を、3.0T臨床スキャナ(GE Signa/Horizon 5.6,Milwaukee)を用いて行う。誘導エコー獲得モード(stimulated Echo Acquisition Mode)(STEAM)パルスシーケンスは、以下の獲得パラメーターを使用してスペクトルを獲得するために用いられ、代謝産物定量のための自由水(unsuppressed water)参照スキャンもまた含む:30m秒のエコー時間、13.7m秒の変調時間、2秒の繰り返し時間、8工程位相サイクル、2048点、2500Hzのスペクトル幅、および約5分間の総獲得時間について128平均。スペクトルは、前頭葉、側頭葉、頭頂葉および後頭葉における約8ccの目的領域(ROI)から獲得される。短時間エコー[H]−MRSのヒト脳研究において同定された化合物としては、神経マーカーであるN−アセチル−アスパラギン酸(NAA)、グルタミン/グルタミン酸/GABA(Glx)、クレアチン/ホスホクレアチン(Cr)、コリン化合物(Cho)およびミオイノシトール(mI)が挙げられる。共鳴の各々の下部面積は、特定の神経化学的化合物の濃度に比例する。メマンチン投与に応答した神経精神医学的障害の病態生理の低減は、例えば、NAAピークに増加を生じ、これは、神経機能における改善を示す。
【0099】
個々のピーク面積は、時間ドメイン分析ソフトウェアを使用してフィットされる。各化合物の濃度は、脳の水濃度(×10/水)に対する比として任意の定量単位で報告される。この水参照法は、10年間にわたり現場で使用されてきており、多くの研究グループにより実証されている。この分析ソフトウェアは、公のドメイン(http://carbon.uab.es/mruiwww)にあり、より古い方法を使用したスペクトルピーク面積決定に以前伴っていた主観性の多くを排除する。簡潔には、このソフトウェアは、自由水ピークの自動化フィットを行って、そのピーク面積を決定し、そしてまた水ピークの位相を使用して、代謝産物データに対する自動化0次位相補正(zero order phase correction)を適用する。これに続いて、ユーザーは、そのフィッティング処理のためのソフトウェア開始値を与えるために、代謝産物に関する経験的な情報を入力する。与えられた経験的データは、代表的なプロトン脳スペクトルに現れる主要な化合物の各々についての予測された化学シフトならびに対応する水線幅により決定される開始線幅を含む。プログラムに与えられた化学シフト値は、文献値に基づいており、この値は、NAAについては2.02ppm、Glx複合体については2.3ppm、Crについては3.03ppm、Choについては3.22ppm、mIについては3.56ppmである。この入力により、ソフトウェアは、次いで、代謝産物スペクトルをフィットさせようとし、その結果を視覚的にもファイルにも示す。このファイルは、スプレッドシート分析プログラムに貼り付けられ得る。mIについての信頼のおけるフィットを達成するために、mIの即値面積(immediate area)におけるCrおよびGlxのさらなるピークおよび部分的に重なるピークもまたフィットさせなければならない。視覚的結果および定量的結果は、フィットのよさについて精査され、改善について許容されるかまたは再び行われるかのいずれかである。大部分のスペクトル(約80%)は、他のスペクトルの大部分と満足いくフィットを達成するために、わずか1回の反復しか必要とせず、2回の反復後に成功する。残りが際立って体系化されていないノイズを示す場合は、フィットは許容される。水ピークの面積および代謝産物ピークの面積は、スプレッドシートに入れられる。次いで、個々の代謝産物ピークのデータは、10,000倍され(データを報告する際に便宜的に選択された係数)、次いで、脳自由水ピーク面積により除算される。定量的な代謝産物濃度は、(×10)/水として任意の単位で報告される。水および代謝産物の緩和効果は、この技術によって補正されない。なぜなら、各患者に関してこれらの値を得ることは、桁外れの時間を要するからである(測定時間は、個々の被験体においてさらに2時間かかる)。緩和効果に起因して神経化学的濃度概算値における不確実性を最小にする獲得パラメーターが利用される。具体的には、30m秒の短いエコー時間がT2シグナル減衰を最小にし、2秒の標準反復時間が十分緩和されない条件下でのスペクトル収集から生じるT1エラーを最小にする。これは、臨床状況においては一般的な交換条件である。
【0100】
(うつ病のPETおよび機能的解剖学:グルタミン酸作動性伝達の関連)
MDDおよびBPDを有するうつ病被験体のPET画像化研究は、局所的な大脳血流(CBF)およびグルコース代謝の異常を実証し、これは、グルタミン酸作動性伝達がうつ病において異常であり得る領域を示唆する。グルコース代謝シグナル(これは、生理学的活性化中にCBFと密接に関連する)は、グルタミン酸作動性伝達を優先的に反映する(Magistrettiら、1995)。うつ病のサブグループにおいて、一貫したパターンの異常が、他の型の実験証拠によって情動処理に関連付けられた神経回路において、出現した。詳細には、主要なうつ病エピソードは、辺縁系領域(例えば、扁桃および前腹側)、帯状皮質、ならびにこれらの領域と広範な解剖学的連結を有する皮質および皮質下の領域(例えば、前島、眼窩皮質、後帯、内側視床、および腹側線条)おけるグルコース代謝の上昇に関連する(Drevets、2000によって総説される)。
【0101】
(上昇された辺縁系−視床−皮質(LTC)活性の特異性)
扁桃および前帯における代謝は、睡眠不足に応答性のMDDサブグループにおいて異常に上昇される。セロトニン枯渇中に再発した、薬物処置されて、軽減されたMDD被験体は、代表的に、再発しない被験体よりも、より高いベースラインの扁桃および眼窩皮質の代謝を有する。MDDを有する未処置のうつ病の他の研究もまた、健常なコントロールと比較した、眼窩皮質におけるCBFの増加および代謝を報告し、うつ病を処置の前および処置中に画像化する縦方向研究は、CBFおよび代謝が、効果的な抗うつ薬物療法、ECT、光線療法、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)および睡眠枯渇後の、眼窩皮質、腹内側PFC、前膝および梁下ACC、ならびに前島において減少することを矛盾なく示す(Drevetsら、1999、Drevets、1999(これらは、参考として本明細書中に援用される)に総説される)。メマンチン(memantine)に対する処置応答性は、ベースラインのうつ病の未処置の状態における上昇された辺縁系−視床−皮質活性によって予測され得る。このような評価は、グルタミン酸作動性伝達を減少する化合物での処置からより利益を受ける可能性のある、MDDの準表現型の同定を可能にする。
【0102】
(開始患者スキャン)
被験体の準備は、静脈内カテーテル法からなる。PETスキャンを、GE Advance(4.25mmの平面分離での35個の連続スライス;3D解像度6〜7mm FWHM、3D獲得モード)を使用して得た。開始放射スキャンを、心臓に対して獲得し、これらの被験体を、全身スキャナへ足から開始して移動させる。最初に、68Ge/68Gaの回転ロッド(散乱を最小化するためにそのロッドの周りに電子ウィンドウを備える)を使用する2分間の透過スキャンを、胸部にわたって得た。このスキャンを、直ぐに再構成し、スキャナガントリーの再配置をガイドし、その結果、ガントリーを心臓の上を中心として配置する。被験体の再配置後、約8分間の透過スキャンを、トレーサー取り込み期間中の心臓放射スキャンの減衰補正のために獲得した。この透過スキャン後、4.5mCiの[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)を、静脈内のゆっくりとしたボーラス注射(2分にわたる)によって投与した。35分間の長期の動的2D放射スキャンを、10×30秒フレームとして獲得し、その後、10×3分フレームとして獲得した。
【0103】
このスキャン後、被験体を、スキャナベッドから起き上がらせ、そしてベッドに頭部ホルダーを取り付ける。被験体を、スキャナへ頭部から開始して配置し、そして頭部を、熱可塑性マスクを使用して固定した。このマスクは、複数の表面(例えば、前頭、側頭および後頭、下顎骨)で頭部位置を拘束し、移動の可能性を減少させる。大脳放射スキャンを、被験体が目を閉じて安静したときに獲得する。2分間の透過スキャンを獲得し、そして直ぐに再構成して、目的の一次構造を、視野のほぼ中心に位置決めする。第2の放射スキャン(8分間)を、放射データの減衰補正のために獲得する。10分間の放射スキャンを、FDG注射後45分で開始する。5分間間隔での静脈血のサンプリングを、FDG注射後45分で開始する。血漿および全血の放射活性をカウントする。3つの静脈サンプルもまた獲得し、血漿グルコースを測定する。
【0104】
処置後のスキャンを、同じ方法を使用して獲得する。被験体を、スキャナガントリーから開始スキャン中に着用した硬化した熱可塑性マスク上のマーク上に投射したレーザー線を位置合わせすることによって、スキャナ中に再配置し、頭部の位置を、全フレームにおいてほぼ同じにする。
【0105】
(PET画像における腹側線条の評価)
PETの空間的解像度と比較して小さい、うつ病研究のための重要な領域は、腹側線条であり、これは、側坐核を含む。霊長類において、側坐核の連絡的および組織化学的特徴を有する細胞は、前腹側被殻および腹内側尾状核の特徴と調和し、その結果、側坐核は、明確な顕微鏡的境界および肉眼的境界を欠く(HeimerおよびAlheid、1991(本明細書中で参考として援用される))。線条の前腹側部分(AVS)は、強化子(reward)関連および情動的なプロセシングに関連付けられる、扁桃ならびに眼窩および内側PFC領域によって神経支配されるが、背側尾状核および背側被殻は、感覚運動機能に関連する皮質領域から求心性の連絡を受ける(Everittら、1989;Haberら、1995;OngurおよびPrice、2000;SelemonおよびGoldman−Rakic、1985(本明細書中で参考として援用される))。
【0106】
情動と腹側線条DA放出との間の関係の理解において補助されるドーパミン(DA)D2/D3レセプター結合の以前のPET研究において、デキストロアンフェタミン(AMPH)後の内因性DAにおける変化のPET測定を、線条の領域下を横切る、ヒトにおける関連する快楽応答と相関させた(Drevetsら、1999、2001)。健常な被験体中のAMPH注射(0.3mg/kg i.v.)の前および後に得られたDA D2/D3レセプターに対する[11C]ラクロプライド(raclopride)特異的結合のPET測定は、AMPHによって誘導される結合能力における変化(ΔBP)が、AVS[側坐核領域、腹内側尾状核および前腹側被殻から構成される;p<0.005]において有意であったが、背側尾状核において有意ではないことを示した(DCA;t=−1.45)。AVSにおけるΔBPは、DCA[p<0.05]および内側被殻(MCA;p<0.01)におけるΔBPよりも大きく、腹側被殻(VPU)におけるΔBPに類似した。多幸感評点における変化は、AVSにおけるΔBPと相関したが(r=−0.95、p=0.001)、DCA(r=+0.30、n.s.)におけるΔBPと相関しなかった。これらの相関係数間の差は、有意であった(p<0.01)。多幸感における変化は、VPU[r=−0.77;p<0.05]におけるΔBPと相関したが、DPU(r=+0.25)、MCA(r=−0.61)または全線条(r=−0.50)のいずれにおいても相関しなかった。
【0107】
PETの制限された空間的解像度に起因して、局所的測定は、周辺組織から漏出する放射活性および隣接構造からの希釈効果によって影響される(Linksら、1996)。DCAおよびAVSからの測定されたシグナルは、容易に区別されるが、AVSおよび腹側被殻の結果は、弱く相関する(Drevetsら、1999)。これは、横断解像度に対するAVSおよび腹側被殻のより小さい前方−後方分離と比較した、軸方向のスキャナ解像度に対するAVSとDCAとの間のより大きい軸方向の分離(ヒトにおいて7〜12mm)を反映する(例えば、平均AVS容量は、ヒトにおいて2.77±0.722mLであった;Drevetsら、2001)。Siemens HR+(GE Advanceのそれと同様の)における1.25mmの点放射活性供給源の容量測定解像度は、軸方向5.3mmおよび横断方向6.6mmの測定されたFWHM解像度を有し、0.23mLの容量測定解像度を生じる。この容量は、健常なヒト由来のMRI画像において測定される平均AVS容量のわずか8.3%である(2.77±0.722mL)。5.3mm FWHMの軸方向の解像度は、AVSの縁から11mmを超えて位置付けられるピクセルが、AVSからのPET測定に実質的に影響を有さないことを意味する。AVSとDCAとDPUとの間の中心間分離は、この距離にわたって十分である。従って、ヒトにおいて、AVS由来の測定されたシグナルは、DCAおよびDPUの測定されたシグナルと容易に区別され、VPUおよびMCA由来のシグナルによって弱く影響される。
【0108】
(うつ病における腹側線状(Anteroventral Striatum)の代謝活性)
現在の研究において、小領域にわたる差次的な領域代謝の異常を実証することは、2つのグループ間の平均差が、DCAにおいてよりもAVSにおいてより大きいこと、そしてこの差が、MCAまたはVPUにおいてさらに大きな差によって説明されないことを示すことに依存する(Drevetsら、1999、2001)。FWHM分解能未満によって分離されるROIにおける条件にわたって、ラジオトレーサー濃度での相対的な差を評価する能力は、脳のマッピング研究において最大差のボクセルを局在化する際に、PET利用性の中心となる(Foxら 1986;Fristonら 1996(本明細書中で参考として援用される))。
【0109】
MRIベースのROI分析を使用して、単極抑うつ性コントロールと健康なコントロールとの間で、これらの線条体小領域におけるグルコース代謝を評価し得る。コントロールにおいて、AVSにおける規格化されたグルコース代謝に関する分散係数(SD/平均)は、現在の研究のために計画されたPETカメラと類似の感度および分解能を有する、PETカメラを使用して測定した場合、6%と7%との間である。領域性のグルコース代謝は、MCA、DPU.DCA、またはVPUにおいてではなく、AVSにおいて、コントロールと比較して、6〜7%を超える範囲で抑うつ性が増大する(p<0.05)。領域性のグルコース代謝の変化は、治療効果(すなわち、患者において、領域性のグルコース代謝の6〜7%を越える分散の任意の減少が治療効果を示す)を示す。
【0110】
(実施例1.1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(3)の合成)
発煙HSO(3mL)を、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタン(0.2g)に、窒素下において0℃で添加し、そして反応混合物を、0℃で1時間攪拌した。この反応混合物を、氷(10g)上に注ぎ、そしてこの生成物を、エーテルで抽出した(10mL×4)。合わせたエーテル溶液を、ブライン(10mL)および水(10mL)で洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を、減圧下で除去し、そして静置状態で結晶化した後、70mgの白色生成物を得た。純粋な生成物を、エーテル中で再結晶化することによって得た。
【0111】
【数1】
Figure 2004515477
(実施例2.1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタンヒドロクロリド(4)の合成)
1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(0.4g)およびNaOH(1.1g)を、ジエチレングリコール(7ml)に添加し、そして反応混合物を、175℃まで15時間加熱した。室温まで冷却後、氷(10g)を添加し、そして生成物をエーテル(10mL×4)で抽出した。合わせたエーテル溶液を、ブライン(10mL)および水(10mL)で洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を、減圧下で除去し、そして静置状態で結晶化した後、250mgの白色生成物を得た。酢酸エチル中のHClを添加し、フリーベースをHCl塩に転換した。
【0112】
【数2】
Figure 2004515477
(実施例3.1−tert−ブチルカルバメート−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(5)の合成)
1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(100mg)を、テトラヒドロフラン(2mL)に溶解した。トリエチルアミン(180ml)、ジ−tert−ブチルジカルボネート(336mg)およびジメチルアミノピリジン(2mg)を、連続して添加した。この反応混合物を、室温で3時間攪拌し、次いで、0.5N NaOH(2mL)を添加した。この反応混合物を、一晩攪拌した。トリエチルアミンを、減圧下で除去し、そしてエーテルを添加した。このエーテル溶液を、0.1N HClおよびブラインで洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を、減圧下で除去し、そしてエーテル中で静置状態で結晶化した後、60mgの生成物を得た。
【0113】
【数3】
Figure 2004515477
(実施例4.1−tert−ブチルカルバメート−3,5−ジメチル−7−ニトレートアダマンタン(6)の合成)
冷却した(0℃)のアセチルニトレート(0.08mL(発煙HNOと無水酢酸(1:1.5/v:v)との混合物))を、窒素下において0℃で、1−tert−ブチルカルバメート−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(40mg)のジクロロメタン(1mL)溶液に添加し、そしてこの反応混合物を、0℃で15分間攪拌した。1Nの炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)を添加し、そして生成物を、ジクロロメタン(10mL)で抽出した。このジクロロメタン溶液を、水(10mL×3)で洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を、減圧下で除去し、油状生成物(30mg)を得た。
【0114】
【数4】
Figure 2004515477
(実施例5.I−アミノ−3,5−ジメチル−7−ニトレートアダマンタンヒドロクロリド(7)の合成)
酢酸エチル中の3N HCl(0.5mL)を、1−tert−ブチルカルバメート−3,5−ジメチル−7−ニトレートアダマンタン(40mg)に添加した。この反応混合物を、室温で30分間攪拌した。沈殿物を濾過し、そして生成物を、エーテルで洗浄した。純粋な白色生成物を得た(35mg)。
【0115】
【数5】
Figure 2004515477
(実施例6.1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ニトレートアダマンタン(8)の合成)
窒素下において0℃の無水酢酸(0.3mL)に、発煙HNO(0.2mL)を添加した。0℃で5分間攪拌した後、1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(50mg)を添加し、そして反応混合物を、0℃で1時間攪拌した。反応混合物を、冷却した(0℃)1N 炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)に注ぎ、そしてこの生成物を、エーテル(10mL)で抽出した。このエーテル溶液を、水(10mL×3)で洗浄した。この溶液を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を、減圧下で除去し、31mgの生成物を得た。
【0116】
【数6】
Figure 2004515477
(実施例7.1,1−ジベンジルアミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(10)の合成)
1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタンヒドロクロリド(100mg)のDMF(2mL)溶液に、ベンジルブロミド(0.16mL)および炭酸ナトリウム(200mg)を添加した。この反応混合物を、一晩攪拌した。この生成物を、ジクロロメタン(10mL)で抽出し、そして水(20mL×2)で洗浄した。この有機相を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、そして溶媒を減圧下で除去した。この生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1/2,v/v)で溶出する、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、124mgの白色固体を得た(収率76%)。
【0117】
【数7】
Figure 2004515477
(実施例8.1−アミノ−3,5−ジメチル−7−アセトキシアダマンタンヒドロクロリド(12)の合成)
1,1−ジベンジルアミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(50mg)のDMF(0.4mL)の溶液に、ジクロロメタン(2mL)を添加した。アセチルクロライド(1mL)を、窒素下において0℃で添加し、そして反応混合物を、5℃で一晩攪拌した。飽和炭酸ナトリウム溶液(5mL)を添加した。この生成物を、ジクロロメタン(10mL)で抽出し、そして水(20mL×2)で洗浄した。この有機相を、硫酸ナトリウムを使用して乾燥し、そして溶媒を、減圧下で除去した。さらに精製することなく、この生成物を、メタノール(10mL)中に溶解した。Pd/C(10%、10mg)を添加し、そして反応混合物を、40LB/インチの圧力で、一晩かけて水素添加した。この混合物を、濾過し、そして溶媒を除去した。酢酸エチル中のHClを添加し、そして沈殿物を濾過し、そして固体をヘキサンで洗浄し、空気乾燥後に15mgの生成物を得た。
【0118】
【数8】
Figure 2004515477
(実施例9.1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(13)の合成)
1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタンヒドロクロリド(570mg)のDMF(5ml)および水(0.3mL)の溶液に、ベンジルジカルボネート(1.41g)および炭酸ナトリウム(1.3g)を添加した。この反応混合物を、一晩攪拌した。この生成物を、t−ブチルメチルエーテル(500mL)で抽出し、そして水(400mL×2)で洗浄した。有機相を、炭酸ナトリウムを使用して乾燥し、そして溶媒を、減圧下で除去した。この生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1/3,v/v)を用いて溶出する、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、701mgの白色固体を得た。
【0119】
【数9】
Figure 2004515477
(実施例10.1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−(3−ブロモプロピルカルボニルオキシ)アダマンタン(14)の合成)
1−(ベンジルオキシ−カルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシアダマンタン(100mg)のDMF(0.4mL)溶液に、4−ブロモブチリルクロリド(0.3mL)を添加した。この反応混合物を、室温で2時間攪拌した。この混合物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1/2,v/v)で溶出する薄層クロマトグラフィーによって精製し、油状生成物を得た。
【0120】
【数10】
Figure 2004515477
(実施例11.1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−(3−ニトレートプロピルカルボキシオキシ)アダマンタン(15)の合成)
1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−(3−ブロモプロピルカルボニルオキシ)アダマンタンのアセトニトリル溶液に、硝酸銀のアセトニトリル溶液を添加し、この反応混合物を、暗室中で一晩攪拌した。この生成物を、t−ブチルメチルエーテルで抽出し、そしてこの溶液を水で洗浄した。有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして溶媒を除去し、ニトレート化合物を得た。
【0121】
(実施例12.1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−カルボン酸アダマンタン(16))
0℃まで冷却されたフラスコ中の発煙HSO(15mL)に、1−アセトアミド−3,S−ジメチルアダマンタン(1.0g)を、徐々に1時間かけて添加した。この反応混合物を、2時間0℃で攪拌した。次いで、ギ酸(3mL)を1時間かけて滴下した。この溶液を、0℃でさらに2時間攪拌した。この反応混合物を激しく攪拌しながら、氷(100g)に徐々に注いだ。形成された沈殿物を濾過し、水で洗浄し、純粋な白色固体(0.37g)(m.p.261〜262℃)を得た。
【0122】
(実施例13.1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(17))
トリエチルアミン(0.80mL)およびクロロギ酸エチル(0.80mL)を、0℃で、THF中の1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−カルボン酸−アダマンタン(2.0g)の懸濁液に連続的に添加した。反応混合物を4時間室温で攪拌した。次いで、形成された白色沈殿物を濾過し、そしてTHFで洗浄した。NaBH(2.40g)を濾液に添加した。水(2mL)を一時間かけてこの溶液に滴下し、続いて、さらに水(50mL)を添加した。有機溶媒を減圧下で除去し、そして残りの水溶液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を0.5N HClで2回、水およびブラインで洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、そして生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1/4、v/v)の溶液を使用して結晶化させて、白色固体(700mg)を得た。H NMR(DMSO−d,ppm):7.28(s,1H,NH),4.33(t,1H,OH,J 5.7Hz),3.02(d,2H,CHOH,J==5.7Hz),1.71(s,3H,COCH),1.49(s,6H),1.07−0.97(m,6H),0.96(s,6H)。m.p.152−153℃。分析(C1525NO),C.H.N.。
【0123】
(実施例14.1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン塩酸塩(18))
1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(200mg)およびNaOH(540mg)を、ジエチレングリコール(4mL)に添加し、そして反応混合物を窒素下で15時間、175℃に加熱した。室温まで冷却した後、氷(5g)を添加し、そして生成物を酢酸エチル(10mL×6)で抽出した。合わせた抽出物を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムを使用して乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した。酢酸エチル中のHClを添加して、遊離塩基をHCl塩に変換し、そして102mgの生成物を得た。NMR(DMSO−d,ppm):8.19(brs,2H),4.54−4.51(t,1H,OH,J=5.0Hz),3.07−3.05(d,2H,OCH,J=4.6Hz),1.42−1.40(m,6H),1.01−0.99(m,6H),0.86(s,6H)。分析(C1324NOCl+0.4 HCl),C.H.N.。
【0124】
(実施例15.1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(19))
THF(3mL)中の1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(60mg)の溶液に、N−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)−スクシンイミド(74mg)を添加し、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。THFを除去し、そして残渣を酢酸エチル中に溶解させた。この溶液を水およびブラインで洗浄した。この生成物を、酢酸エチルおよびヘキサン(1:4、v/v)を用いて溶離する薄層クロマトグラフィーによって精製して、白色固体(80mg)を得た。H NMR(DMSO−d,ppm):7.33(m,5H,C6H5),6.89(brs,1H,NH),4.94(s,2H,OCH2),4.32(t,1H,OH,J=5.7Hz),3.04(d,2H,CHOH,J=5.7Hz),1,46(dd,6H),1.04(dd,6H),0.84(s,6H,2×CH)。
【0125】
(実施例16.1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ニトレートメチルアダマンタン(20))
ジクロロメタン(3mL)中の1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(60mg)の溶液に、冷却した(0℃)30アセチルニトレート(1mL、発煙HNOおよびAcO(2:3/v:v)の混合物由来)を添加した。この反応混合物を0℃で15分間攪拌した。重炭酸ナトリウム溶液(1N、5mL)を添加し、そして生成物をジクロロメタンで抽出した。抽出物を水(10mL×3)で洗浄した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を、酢酸エチルおよびヘキサン(1:2、v/v)を用いて溶離する薄層クロマトグラフィーによって精製して、油状生成物(40mg)を得た。H NMR(DMSO−d,ppm):7.33(m,5H,C),7.02(brs,1H,NH),4.95(s,2H,OCH2),4.24(s,2H,OCH2),1.60(s,2H),1.55(d,2H),1.44(d,2H),1.12(m,6H),0.83(s,6H,2×CH)。
【0126】
(実施例17.1−アミノ−3,5−ジメチル−7−ニトレートメチルアダマンタン塩酸塩(21))
1−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−3,5−ジメチル−7−ニトレートメチル−アダマンタン(17mg)を、HBr/酢酸(1mL)中に溶解させ、そしてこの溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、白色固体を得、これを、エーテルで洗浄して、標的生成物(10mg)を得た。H NMR(DMSO−d,ppm):7.82(brs,3H),4.30(s,2H,OCH),1.50(s,2H),1.39(s,4H),1.19(s,4H),1.12(s,2H),0.88(s,6H,2×CH)。
【0127】
(実施例18.1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ニトレートメチル−アダマンタン(22)の合成)
窒素下、0℃で無水酢酸(0.3mL)に、発煙硝酸HNO(0.2mL)を添加した。5分間、0℃で攪拌した後に、1−アセトアミド−3,5−ジメチル−7−ヒドロキシメチルアダマンタン(50mg)を添加し、そしてこの反応混合物を0℃で1時間攪拌した。この反応混合物を冷却(0℃)1N 炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)中に注ぎ、そしてその生成物をエーテル(10mL)で抽出した。エーテル溶液を水(10mL×3)で洗浄した。この溶液を硫酸ナトリウムを使用して乾燥した。この溶媒を減圧下で除去し、そしてその生成物をエーテル中で結晶化させて、標的生成物を得た。H NMR(DMSO−d,ppm):7.38(brs,1H,NH),4.23(s,2H,OCH),1.72(a,3H,COCH),1.64(s,2H),1.59−1.56(dd,4H),1.20−1.06(m,6H),0.92(s,6H,2×CH)。m.p.154−155℃。分析(C1524),C.H.N.。
【0128】
(実施例19.化合物7によるニューロンのインビトロ保護)
大脳皮質ニューロンのアポトーシスを導く、穏やかなNMDA誘導損傷のインビトロモデルを使用して、化合物7のニューロンの保護を実証した。これらの条件(20分間の300μM NMDA曝露、続く洗い流し)において、ニューロンアポトーシスを、とりわけ、プロピジウムヨージド取り込みおよび固定透過性ニューロンの形態によって、24時間後にモニターした(Bonfocoら,Proc Natl Acad Sci USA(1995)92:7162)。NMDAは、ニューロンの約20%のアポトーシスを誘導し、そして25〜100μMの化合物7が、この損傷からの保護を与えた(P<0.001、図5)。
【0129】
(実施例20.マウス大脳虚血モデルにおける、化合物7によるインビボ保護)
以前に公開されたプロトコルと同じ局所大脳虚血再灌流についてのプロトコル(Chenら,Neuroscience(1998)86:1121)の後に、管腔内縫合技術を使用して、中大脳動脈(MCA)の2時間閉塞を行った。しかし、ここで、C57B1/6マウスを、ラットの代わりに使用した。メマンチン(memantine)について、負荷用量は、20mg/kg i.p.であり、維持用量は1mg/kg/12時間であり、これは、脳内に1〜10μMメマンチンの実質レベルを生じることが示されており、これは、神経保護的であることが示された(Chenら,Neuroscience(1998)86:1121)。神経保護濃度の化合物7を生成するために、負荷用量は、100mg/kg i.p.であり、そして維持用量は、12時間毎に、40mg/kg i.p.であった。各ケースについて、薬物またはビヒクルコントロールを、最初に、MCA閉塞の2時間後に投与した。化合物7は、この例においてメマンチンよりも神経保護的であった(図6)。この動物を屠殺し、そしてMCA閉塞の48時間後にTTC染色を用いて分析した(Chenら,Neuroscience(1998)86:1121)。
【0130】
(実施例21.ウサギモデルにおける化合物8による血管拡張)
3〜4kgの体重のニュージーランド白色雌性ウサギを、ナトリウムペントバルビタール(13mg/kg)で麻酔した。下行胸大動脈を単離し、この血管の粘着組織を洗浄し、そして内皮を、管腔内に挿入された綿先端付アプリケーターを用いて穏やかに擦ることによって除去した。血管を5mmの環に切り、そしてトランスデューサーに接続されたスターラップ(stirrup)上に載せ、等尺性張力(isometric tension)における変化を記録した(モデルTO3C、Grass Instruments、Quincy、Mass)。血管環を、37℃で、20mLの酸素負荷Kreb緩衝液中に懸濁させ、そして持続性の収縮を、1μMのノルエピネフリンを用いて誘導した。次いで、この血管を用量依存性の様式で弛緩させた(109〜10−5Mの化合物8)。いくつかの実験において、血管をメチレンブルーまたは30ヘモグロビンで予め処理して、弛緩をブロックした。
【0131】
図7は、化合物8を使用する、用量依存性の様式で予め収縮した大動脈血管の弛緩を示す。弛緩は、10−8Mにおいて見られ、そして完全な弛緩は、i06M(a)において達成された。弛緩は、メチレンブルー(c)およびヘモグロビン(d)によって弱められ、これは、NO関連効果を示す。(b)は、溶媒を用いたコントロールである。
【0132】
図8は、メマンチンの誘導体化に対する部位および特異性を示す。すなわち、化合物9(a)および10(c)は、溶媒に起因した血管になんら効果を有さないかまたはわずかに収縮するかのいずれかを生じた(右側に示される)。化合物7(b)は、10μMの濃度で中程度の弛緩を生じた。
【0133】
これらの結果は、化合物7が、NMDA阻害性特性および抗アポトーシス特性に加えて、血管拡張活性を有することを実証する。従って、化合物7は、発作のモデルにおける保護効果に寄与するようである独特の作用機構を介して作用する。
【0134】
本明細書の種々の部分に引用される科学刊行物、特許または特許出願は、全ての目的について、本明細書中において参考として援用される。
【0135】
(等価物)
本発明の特定の実施形態の前述の詳細な説明から、神経精神医学的障害を処置する独特の方法が記載されたことが明かである。特定の実施形態が本明細書中において詳細に開示されたが、これは、単に例示の目的で例としてなされており、以下の添付の特許請求の範囲に関して制限であることを意図しない。特に、種々の置換、変更、および改変が、特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明になされ得ることが本発明者らによって企図される。例えば、特定のNMDAレセプターアンタゴニスト、あるいは神経精神医学的障害の重症度または持続性を評価するための特定のアッセイまたは評価の選択は、本明細書中に記載される実施形態の知識を用いて、当業者にとって慣用的なことであると考えられる。
【0136】
【表1】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、アダマンタンニトレート誘導体の合成を示す。
【図2】
図2は、アダマンタンエステル誘導体の合成を示す。
【図3】
図3は、ハロおよびニトレート置換アダマンタンエステル誘導体の合成を示す。
【図4】
図4は、アダマンタンのアルキル−ONO誘導体の合成を示す。
【図5】
図5は、化合物7による、脳皮質壊死におけるNMDA誘導アポトーシスの阻害を示す。大脳皮質培養物を、種々の濃度の化合物7とともにまたは化合物7なしで、300μM NMDAに20分間曝した。翌日、培養物を、実施例19に記載されるように、ニューロンのアポトーシスによって分析した。ニューロンのアポトーシスは、用量依存的な様式(各場合において、P<0.001、n=3の培養物)において、化合物7によってほとんど阻止された。
【図6】
図6は、化合物7の投与により、コントロールとメマンチンの両方と比較して、マウス大脳虚血モデルにおける発作後の大脳損傷が低減されることを示す(実施例20を参照のこと)。管内縫合方法の使用により、化合物7が発作後の大脳損傷を低減する際に有効であることが示された(各群について、n=3)(コントロール由来;P<0.03:メマンチン由来;P<0.05)。
【図7】
図7は、化合物8の投与により、用量依存的な様式において、予め収縮された大動脈管が弛緩されることを示す(実施例21を参照のこと)。図7aは、弛緩が10−6Mで見られ、10.6Mで完全な弛緩に到達したことを示す。図7bは、溶媒の効果を示す。図7cは、弛緩がメチレンブルーによって弱められたことを示す。図7dは、弛緩がヘモグロビンによって弱められたことを示す。
【図8】
図8は、アミノアダマンタン誘導体の作用が特異的であることを示す。化合物9(a)および化合物10(c)は、溶媒(EtOH)単独によって引き起こされる効果またはわずかな血管収縮に匹敵する、効果またはわずかな血管収縮のいずれも引き起こさなかった。化合物7(b)は、10μMの濃度にて、中程度の弛緩を起こした。
【図9】
図9は、活性化特性または抗うつ特性を示すメマンチンを用いた研究を示す。

Claims (37)

  1. 神経精神医学的障害を処置するための方法であって、該方法は、神経性神学的障害に罹患したヒト患者に、有効量のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を投与して、該ヒト患者におけるNMDAレセプターによるグルタミン酸作動性神経伝達を調節する工程を包含し、それにより該神経精神医学的障害を処置する、方法。
  2. 前記神経精神医学的障害が、大鬱病である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経精神医学的障害が、双極性障害である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記神経精神医学的障害が、不安である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記神経精神医学的障害が、薬物嗜癖、薬物依存、薬物禁断症状および薬物耐性からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 過剰なグルタミン酸作動性神経伝達が調節され、それによりニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果を媒介する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果の媒介が、神経保護効果を提供する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、グルタミン酸作動性の皮質線条体経路または視床下部淡蒼球経路におけるNMDAレセプター活性を調節する、請求項1に記載の方法。
  9. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、ドーパミン放出またはノルエピネフリン放出から独立して、グルタミン酸作動性の皮質線条体経路または視床下部淡蒼球経路における活性を調節する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、メマンチン、ニトロメマンチン、そのエナンチオマー、それらの薬学的に受容可能な塩を含み、該化合物が、前記ヒト患者に、0.1mg/日〜100mg/日の投薬量で投与される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、5mg/日〜80mg/日の投薬量で投与される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、10mg/日〜35mg/日の投薬量で投与される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記神経精神医学的障害に罹患した患者に、治療効果が提供される、請求項10に記載の方法。
  14. ヒト被験体におけるグルタミン酸作動性神経伝達を調節するためにNMDAレセプターアンタゴニストを使用する方法であって、該方法は、神経精神医学的疾患に罹患した患者に、有効量のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を投与して、該ヒト患者におけるNMDAレセプターを拮抗する工程を包含し、それによってNMDAレセプターによるグルタミン作動性神経伝達を調節し、それにより該神経精神医学的障害を処置する、方法。
  15. 前記神経精神医学的障害が、大鬱病である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記神経精神医学的障害が、双極性障害である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記神経精神医学的障害が、不安である、請求項14に記載の方法。
  18. 前記神経精神医学的障害が、薬物嗜癖、薬物依存、薬物禁断症状および薬物耐性からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  19. 前記ヒト患者におけるNMDAレセプターの拮抗により、ニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果が媒介される、請求項14に記載の方法。
  20. 前記ニューロンに対するグルタミン酸の興奮毒性効果の媒介により、神経保護効果が得られる、請求項19に記載の方法。
  21. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、グルタミン酸作動性の皮質線条体経路または視床下部淡蒼球経路におけるNMDAレセプター活性を調節する、請求項14に記載の方法。
  22. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、ドーパミン放出またはノルエピネフリン放出から独立して、グルタミン酸作動性の皮質線条体経路または視床下部淡蒼球経路における活性を調節する、請求項21に記載の方法
  23. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、メマンチン、ニトロメマンチン、そのエナンチオマー、それらの薬学的に受容可能な塩を含み、該化合物が、前記ヒト患者に、0.1mg/日〜100mg/日の投薬量で投与される、請求項14に記載の方法。
  24. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、5mg/日〜80mg/日の投薬量で投与される、請求項14に記載の方法。
  25. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、10mg/日〜35mg/日の投薬量で投与される、請求項14に記載の方法。
  26. 前記ヒト患者におけるNMDAレセプターの拮抗により、前記神経精神医学的障害に罹患したヒト患者に対する治療効果が得られる、請求項14に記載の方法。
  27. ヒト患者におけるグルタミン酸作動性神経伝達を調節するためにNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を使用する方法であって、該方法が、神経精神医学的障害に罹患した患者に、有効量のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物を投与して、該ヒト患者におけるNMDAレセプターのPCPまたはMK−801結合部位を拮抗する工程を包含し、それによりNMDAレセプターによる過剰なグルタミン酸作動性神経伝達を調節し、それにより、該ヒト患者に、精神保護効果および向神経高価を提供する、方法。
  28. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、メマンチン、ニトロメマンチン、そのエナンチオマー、それらの薬学的に受容可能な塩を含み、該化合物が、前記ヒト患者に、0.1mg/日〜100mg/日の投薬量で投与される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、5mg/日〜80mg/日の投薬量で投与される、請求項27に記載の方法。
  30. 前記NMDAレセプターアンタゴニスト化合物が、前記ヒト患者に、10mg/日〜35mg/日の投薬量で投与される、請求項27に記載の方法。
  31. 前記神経精神医学的障害が、大鬱性障害、双極性障害、不安、薬物嗜癖、薬物依存、薬物禁断症状および薬物耐性からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
  32. 神経精神医学的障害に罹患したヒト被験体の処置のための、NMDAレセプターによる過剰なグルタミン酸作動性神経伝達を調節するための医薬の製造におけるNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用。
  33. 前記ヒト患者におけるNMDAレセプターのPCP結合部位またはMK−801結合部位を拮抗するための、請求項32に記載のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用。
  34. 前記NMDAレセプターによる過剰なグルタミン酸作動性神経伝達を調節するための、請求項33に記載のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用であって、これにより前記ヒト患者に神経保護効果および向神経効果を提供し、それにより前記神経精神医学的障害を処置する、使用。
  35. 請求項32に記載のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用であって、前記医薬によって、0.1mg/日〜100mg/日の該NMDAレセプターアンタゴニスト化合物の投与量が前記ヒト患者に提供される、使用。
  36. 請求項32に記載のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用であって、前記医薬によって、5mg/日〜80mg/日の該NMDAレセプターアンタゴニスト化合物の投薬量が前記ヒト患者に提供される、使用。
  37. 請求項32に記載のNMDAレセプターアンタゴニスト化合物の使用であって、前記医薬によって、10mg/日〜35mg/日の該NMDAレセプターアンタゴニスト化合物の投薬量を前記ヒト患者に提供される、使用。
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