JP2004513706A - 微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

生物学的活性物質の水溶液を調製し、この溶液とPEGの水溶液とを、該物質が濃縮および/または固化するように混合し、該物質を場合により洗浄し、該物質をポリマーの有機溶剤溶液と混合し、該ポリマー溶液との混合ののちに、得られた組成物をポリマー水溶液と混合し、これによって内相として最初に述べたポリマーの液滴のエマルジョンを形成し、該液滴を固化させて微粒子にし、微粒子を乾燥し、そして場合により微粒子に放出制御性外皮を施すことを含む、生物学的活性物質を含有する微粒子の製造方法。

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、生物学的活性物質の投与のためのガレヌス処方物(galenic formulation)、より具体的には、生物学的活性物質、特に薬剤の非経口的投与を主に意図した制御放出のための微粒子の分野にある。より具体的には、本発明は、生物学的活性物質を含有するこのような粒子の新規な製造方法、および水溶性タンパク質をその濃縮および/または固化した形態に変換する新規な方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
多くの薬剤は注射により投与しなければならない。なぜならば、それらを例えば経口的もしくは経鼻的にまたは直腸経路で投与すると、分解を受けるかまたは不充分に吸収されるからである。非経口的使用を意図した薬剤処方物は、ヒトに対する使用の取締り当局によって認可されるために、多数の必要条件を満たさなければならない。従って、それは生体親和性および生物分解性でなければならず、そして全ての使用物質およびそれらの分解産物は無毒性でなければならない。加えて、注射を意図した粒状薬剤は、注射針を通過するのに充分小さいことが必要であり、これは好ましくは粒状薬剤が200μmよりも小さい必要があることを意味する。薬剤は調製物においてその製造もしくは貯蔵中または投与後に大きな程度で分解してはならず、そして生物学的活性形態で再現性ある動態で放出されるべきである。
【0003】
生体親和性、および無害な最終産物への生物分解性の必要条件を満たすポリマーの一つのクラスは、乳酸、グリコール酸およびこれらの混合物に基づく線状ポリエステルである。これらのポリマーは以下にPLGAとも呼ばれる。PLGAはエステル加水分解により乳酸およびグリコール酸に分解され、そして優れた生体親和性を有することが示されている。さらに、PLGAの無害な性質は、これらのポリマーに基づく幾つかの非経口的遅延放出調製物が米国食品医薬品局を含む取締り当局によって認可されることで例証することができる。
【0004】
現在市販されているPLGAに基づく非経口的投与可能な遅延放出製品としては、Decapeptyl TM (Ibsen Biotech)、Prostap SR TM (Lederle)、Decapeptyl(登録商標) Depot (Ferring) および Zoladex(登録商標)(Zeneca) が挙げられる。これらの調製物中の薬剤は全てペプチドである。換言すれば、それらは比較的低い重合度を有するポリマーに縮合したアミノ酸から構成されており、そしてそれらは充分に明らかにされた三次元構造を有していない。次にこのことは、通常これらの製品の製造中に比較的厳しい条件の使用を可能にする。例えば、押し出しおよび後続の粉砕を利用することができるが、これらの技術はタンパク質に関してはたぶん許容されないだろう。なぜならば、タンパク質は一般的に言って、このような厳しい条件に耐えないからである。
【0005】
従って、タンパク質に対しても制御放出調製物の要望がある。タンパク質は、それらもアミノ酸からなる点でペプチドに類似するが、その分子はより大きく、そして大部分のタンパク質は、生物学的活性および免疫原性を含むそれらの特性の多くに関して、充分に明らかにされた三次元構造に依存している。それらの三次元構造は比較的容易に、例えば高温、表面誘導変性および多くの場合に有機溶剤にさらされることによって破壊されうる。従って、本来はタンパク質の遅延放出のための優れた材料であるPLGAの使用に関する極めて重大な欠点は、有機溶剤を用いてこのPLGAを溶解する必要があることであり、タンパク質の安定性が損なわれるという危険、そしてタンパク質の立体配座の変化が患者の免疫学的反応をもたらし、この反応が阻害性抗体の形成による治療的効果の損失および毒性副作用の双方を生じうるという危険が付随する。複合タンパク質がその三次元構造を全ての点で保持しているかどうかを確実に決定することは著しく困難なので、タンパク質を立体配座の変化を誘導するかもしれない条件にさらすのを避けることは極めて重要である。
【0006】
製造工程中のタンパク質の不安定性に関するこの固有の問題を避けるために、PLGA技術の改変をめざした熱心な努力にもかかわらず、この分野における進歩は極めて遅かった。その主な理由はたぶん、大部分のタンパク質の三次元構造が、用いられる製造条件に耐えるためには、またPLGAマトリックスの分解により形成される化学的酸性環境に耐えるためには、あまりにも敏感であることである。科学文献は有機溶剤にさらすためにPLGA微小球の製造における安定性の問題に関する多数の記載を含んでいる。PLGAマトリックスが分解する際に形成される酸性環境の一例として、約40μmの直径を有するPLGA微小球のpH値が1.5まで下がり、これは多くの治療上有用なタンパク質を変性させるか、そうでなければ損傷を与えるのに全く充分であることが最近示された(Fu ら, Visual Evidence of Acidic Environment Within Degrading Poly(lactic−co−glycolic acid) (PLGA) Microspheres, Pharmaceutical Research, Vol. 17, No. 1, 2000, 100−106)。微小球がより大きな直径を有するならば、酸性分解産物の拡散消失がより困難になり、そして自触媒反応が強められるという事実のためにpH値はさらに低下すると予想することができる。
【0007】
タンパク質およびペプチドのような水溶性物質のカプセル封入に現在最も普通に用いられる技術は、多相エマルジョン系の使用である。薬剤物質は水溶液または緩衝液に溶解され、続いて溶解したポリマーを含有する水非混和性有機溶剤と混合される。内相として水相を有するエマルジョンが形成される。異なる種類の乳化剤および激しい混合が、この第一エマルジョンの生成にしばしば用いられる。次いでこのエマルジョンは、激しく撹拌しながら、水/油/水型の三相エマルジョンを生成する別のポリマー、例えばポリビニルアルコールを含む別の液体、通常は水に移される。微小球は次に何らかの手段で硬化される。最も普通の手段は、低沸点を有する有機溶剤、典型的にはジクロロメタンを利用し、そして溶剤を留去することである。有機溶剤が水と完全に非混和性でないならば、より多くの水を三相エマルジョンに加えることにより、連続抽出手法を使用することができる。この一般的手法に関する多数の変法も文献に記載されている。一定の場合、一次エマルジョンは非水相、例えばシリコーン油と混合される。固体薬剤材料を、溶解した材料の代わりに用いることもできる。
【0008】
タンパク質を含有するPLGA微小球は WO−A1−9013780 に記載されており、その主要な態様は、タンパク質における高い生物学的活性を保存する目的で、微小球の製造中に極めて低い温度を用いることである。マイクロ封入されたスーパーオキシドの不同変化のための活性は測定されるが、粒子から放出された部分についてだけである。この方法は、ヒト成長ホルモンをPLGA含有塩化メチレンに分散させ、微細液滴を凍結させるために、得られた分散液を液体窒素層の下にある凍結エタノールの容器に噴入し、そしてこれらの液滴をエタノール上の窒素中に沈降させることによる、WO−A1−9412158 におけるヒト成長ホルモン含有PLGA微小球の製造に用いられている。続いてエタノールを解凍すると微小球はエタノール中に沈み始め、そこで塩化メチレンがエタノール中に抽出され、そして微小球が硬化される。この方法を用いると、タンパク質をPLGA微小球に封入するための他の大部分の方法よりも良好にタンパク質の安定性を保持することができ、そしてまた最近、ある製品が米国の取締り当局によって認可された。しかしながら、これは他のタンパク質についてまだ明確に実証されておらず、そして封入された生物学的活性物質がPLGAマトリックスの分解中に極めて低いpHにさらされるという問題が残っている。
【0009】
PLGAによるカプセル封入に基づく上記の方法において、活性物質は依然として有機溶剤にさらされ、そしてこれは一般的にいって、タンパク質の安定性にとって有害である。さらに、これらの論じたエマルジョン方法は複雑であり、そして工業的規模に拡大しようとする何れの試みにおいても、たぶん問題となる。そのうえ、これらの方法の多くに利用される有機溶剤の多くは環境問題に関連しており、そしてPLGAポリマーに対するその高い親和性はその除去を困難にする。
【0010】
生物学的活性物質が微小球マトリックスの生物分解中に化学的酸性環境にさらされ、そして製造工程中に有機溶剤にさらされることによって生じる上記の問題を解決しようとする多数の試みが記載されている。分解中の酸性環境を避けるために、微小球のマトリックスとしてのPLGAを、化学的に中性の分解産物を生成するポリマーに換えようとする試みがなされており、そして生物学的活性物質が有機溶剤にさらされるのを避けるために、あらかじめ微小球を製造しておき、それらを一旦加工および乾燥してしまったときにだけ、生物学的活性物質を負荷しようとする試みが行われており、または微小球の製造中に有機溶剤を除外または制限しようとする試みがなされている。有機溶剤にだけ溶解できるポリマーを用いる場合に溶剤の使用量を制限する方法がWO 99/20253 に記載されており、この方法では、エマルジョンの形成にPEG水溶液を用いることによってこの制限が得られる。この刊行物には、微粒子に取り込まれる生物学的活性物質を濃縮または固化するための技術に関する議論がない。
【0011】
WO 97/14408 には、非経口的投与後の持続放出用の微粒子を製造するために、生物学的活性物質が有機溶剤にさらされることのないエアサスペンション技術を使用することが記載されている。しかしながら、この刊行物は本発明に係る方法およびそれにより得ることのできる新規な微粒子に向けた手引きを与えていない。
【0012】
US 5 470 582 においては、有機溶剤を用いて微小球それ自体を最初に製造し、次いで、有機溶剤が既に除去されている後段階で巨大分子を負荷する2段階方法により、PLGAから構成され、かつ巨大分子を含有する微小球が製造される。この手法は、あまりにも低い生物学的活性物質含有量、一般的に1〜2%に導き、そして注射直後に放出される極めて大きな画分に導き、これは極めてしばしば全く不適当である。このあまりにも急速な初期放出量は、1%の負荷量と仮定しても既に極めて高く、そして微小球中の活性物質含有量がより高ければ、よりいっそう顕著になる。PLGAマトリックスが分解すると、pHは敏感な巨大分子には一般的に許容されないレベルまで下がる。
【0013】
多くの場合に、生物学的活性物質、例えば薬剤を、例えばその安定性を改善し、そして/または問題の物質の処方物の効果的な製造を可能にするために、可溶性形態から固体形態に改変することが必要であるかまたは望ましい。例えば、乳化操作を利用するカプセル封入手順において、生物学的活性物質が外相または外相と内相との間の界面に輸送されるのを避けることにより高い効力を得るため、そして該物質の生物学的活性を保持するために、固体形態の生物学的活性物質を用いる必要がある場合がある。このように、例えば微粒子マトリックスとしてのPLGAの使用に関しては、微粒子中に生物学的活性物質を取り込む間、および非経口投与後の放出段階の間の両方で、該物質を安定化する必要があり、従って例えば巨大分子の安定化工程が著しく有効である。苛酷な製造条件に耐える物質については、押し出しおよび粉砕を用いることができるが、タンパク質のような敏感な生物学的活性物質については、化学的錯化により固体形態を獲得する大部分の場合に問題がある。市販のこのような薬剤調製物の周知の一例は、亜鉛と錯結合した結晶質インスリンである。
【0014】
このように、タンパク質およびペプチドについては、生物学的活性物質を固体形態に変換するために、二価金属イオン、好ましくは亜鉛との錯結合が用いられてきたことは周知である。基本的には、例えば亜鉛と全ての生物学的活性物質との化学的錯体の形成が不可能であり、そして全ての錯化剤が非経口的投与に許容されるとは限らない。しかしながら、このような手順には多数の欠点がある。一つの欠点は、しばしば複雑な化学であり、これには見かけ上は簡単な場合でさえも、制御してよく特性決定するために著しい量の努力を必要とすることがある。
【0015】
別の欠点は、一定の国の取締り当局が、周知かつ市販の物質であっても、このような錯化ののちには新しい物質とみなすべきであると考えることであり、これは化学、安全性および臨床上の観点から広範囲かつ極めて費用のかかる特性決定を要求することになる。他の欠点は、活性物質を固体および乾燥形態に変換しようとする場合に持ち込まれる。なぜならば、これは装置の費用がかさみ、そして多くの場合に複雑化することのある噴霧および乾燥手順を伴うからである。多くの敏感な物質は、噴霧液滴を形成するために必要な空気/水または空気/有機液体の界面に、または剪断力にさらされることには耐えられないからである。固体形態に変換された物質をそれが乾燥されたのちに分散または再懸濁させる際の問題については、例えば、許容される条件の使用により個別的に動かすことができないような様式でこれらの粒子が互いに付着するという事実のために、使用可能な結果が得られないこともまた珍しいことではない。これらの多くの手順において有機溶剤が用いられ、その危険性は、敏感な生物学的活性物質およびこれらの物質と接触するスタッフに対して有害であり、そして環境に対して不利な影響を有することである。
【0016】
US 5,654,010 および US 5,664,808 には、無定形錯体を作成するために亜鉛との錯化により固体形態の組み換えヒト成長ホルモン、hGHを製造することが記載されており、これを次いで超音波ノズルを通して超微粉砕し、そして液滴を凍結させるために液体窒素中に噴霧する。次いで液体窒素を−80℃の温度で蒸発させ、そして得られた材料を凍結乾燥する。この手順が複雑であり、そして一般的に適用が困難であることのほかに、生物学的活性物質が水/空気の表面にさらされ、そして形成されたタンパク質の無定形形態が塩化メチレンに懸濁される噴霧手順を含んでいる。塩化メチレンは、毒性学的観点から患者および作業スタッフの両者に対して全く望ましくない有機溶剤である。
【0017】
従って、非経口的投与可能であり、かつ下記の特色を有する調製物の製造方法が著しく望ましいであろう:
・ 取り込まれる生物学的活性物質が、化学的錯化剤を用いることなく、そしてこの物質の生物学的活性を保持して濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 非経口的投与可能な調製物に取り込まれる生物学的活性物質が、この物質を空気/水または空気/有機溶剤界面にさらすことなく、濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 非経口的投与可能な調製物に取り込まれる生物学的活性物質が、噴霧工程または乾燥工程を用いることなく、濃縮または固化するのを可能にする方法;
・ 微粒子中への取り込みにより事前に安定化することなく、生物学的活性物質の再構築段階および/または再懸濁段階の回避を可能にする方法;
・ 敏感な生物学的活性物質を、それらの生物学的活性を保持しながら微粒子中に閉じ込めるのを可能にする方法;
【0018】
・ その方法により、非経口的注射に適し、実質的に完全に生物分解性で生体親和性の調製物を製造することができる方法;
・ その方法により、組織マクロファージの貪食作用を避ける目的で、20μmを超える、好ましくは30μmを超える大きさを有する非経口的注射可能な調製物を製造することができ、そして調製物の製造中の加工を簡単にする方法;
・ 制御、持続または遅延放出のための調製物の製造における中間生成物として微粒子を使用することができる、生物学的活性物質を含有する微粒子の製造方法;
・ 非経口的注射に適する、実質的に完全に生物分解性で生体親和性の微粒状調製物;
・ 生物学的活性物質を含有し、そしてエアサスペンション技術による被覆に適する粒度分布を有し、かつこの目的に充分な機械的強度を有する微粒状調製物;
・ 非経口的投与後に制御放出を与える、生物学的活性物質を含有する被覆微粒子調製物。
【0019】
【発明の詳述】
本発明の第一の態様によれば、本発明は微粒子の製造方法を提供する。より具体的には、本発明は、生物学的活性物質を含有し、そしてこの物質を哺乳類、特にヒトに主として非経口的に投与することを意図した微粒子の製造に関する。第一に、注射を意図した微粒子の製造が問題である。微粒子は主として注射に意図されるので、好ましくは0〜200μm、通常20〜100μm、特に20〜80μmの範囲内の平均直径を有する粒子の製造が問題である。
【0020】
本発明に関して「微粒子」という表現は、本来公知の当技術による一定の大きさの粒子のための一般的用語として用いられる。従って微粒子の一つのタイプは実質的に球形の形態を有する微小球によって構成されるが、微粒子という用語はこのような完全な球形の形態からのずれを一般的に包含することができる。本来公知のマイクロカプセルという用語も、先行技術による微粒子という表現によって包含される。
【0021】
より具体的には、本発明に係る方法は、
a)微粒子に取り込まれる生物学的活性物質の水溶液を調製し、
b)段階a)で得られた溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、生物学的活性物質が濃縮および/または固化するような条件下で混合し、
c)場合により、段階b)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を洗浄し、
d)段階b)またはc)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を、有機溶剤中の生物分解性ポリマーの溶液と混合し、
e)段階d)で得られた組成物とエマルジョン形成能を有するポリマーの水溶液とを、該ポリマー溶液の外相中の内相として生物学的活性物質を含有する該生物分解性ポリマーの液滴のエマルジョンが形成されるように混合し、
f)段階e)で得られた液滴を、固化させるかまたは固化を可能にして微粒子にし、
g)段階f)からの微粒子を乾燥し、そして
h)場合により、段階g)からの乾燥微粒子に生体親和性および生物分解性ポリマーの放出制御性外皮を施すことを含む。
【0022】
生物学的活性物質は閉じ込め段階において可溶性形態で存在するので、生物学的活性物質を高度に効果的な手段で微粒子中に取り込むことは一般的に可能であるが、一定の場合には生物学的活性物質を固体形態に変換することが好ましい。例えば、生物学的活性物質を閉じ込め段階中にさらに安定化すること(これは有機溶剤にさらされる敏感な巨大分子にとって特に有効である)、生物学的活性物質を内相(ポリマー溶液)と混合したのちに外相中にまたは内外相間の界面に分布できない形態に変換することにより該物質の収率または負荷量をさらに上昇させること、または微粒子の製造中に該物質をできるだけ不活性な形態に変換すること(このためには、例えば微粒子の粒度分布に関して改善された特性が要求される)が重要な場合がある。
【0023】
こうして、全く驚くべきことに、二相水性系の外相を作成するためのポリマーとしてしばしば用いられるPEGを、閉じ込められる生物学的活性物質を濃縮および/または固化させるためにも使用できること、そしてこれを、例えばタンパク質の三次元立体配座および生物学的活性を保存できる温和な条件下で実現できることを見出した。
【0024】
この方法は、先行技術と比較して多くの利点を有する。第一に、生物学的活性物質、好ましくはタンパク質またはペプチドを、濃縮および/または固化を得るために錯結合させる必要がない。第二に、この方法の使用は、可溶性タンパク質と比較して、微粒子中に取り込む間にしばしばより良好な安定性をも生じさせる。この方法が生物学的活性物質を微粒子中に取り込む前の噴霧または乾燥工程を含まないという事実は、生物学的活性物質を高い剪断力および界面(空気/水または空気/有機溶剤)にさらすことが回避されることをも意味する。小さな乾燥粒子に極めて普通のことである静電荷による凝集も回避される。生物学的活性物質の乾燥粉末の湿潤および再懸濁に関する問題も回避することができる。純粋に一般的に言って、噴霧工程は複雑で制御が不充分でもある。生物学的活性物質を乾燥形態に変換するために凍結および緩慢な解凍のような工程段階を利用することも必要でない。生物学的活性物質を濃縮/固化形態に変換するために有機溶剤を用いないことも、独特な利点である。
【0025】
本発明に係る方法の段階a)では、この分野で周知であり、ここでさらに詳細に説明する必要のない方法により、生物学的活性物質の水溶液を調製する。しかしながら、これに基本的なことは、生物学的活性物質の生物活性が保存されるような、主に温度および撹拌に関して温和な条件下で溶液を調製することである。さらにこの分野では、溶液のpHを管理または調節するために、非経口的使用に許容される周知の緩衝物質がしばしば用いられる。必要ならば、例えばイオン強度およびオスモル濃度を調節するために、この分野で周知の非経口的使用に許容される物質を使用することもできる。
【0026】
段階b)においてポリエチレングリコールの水溶液を使用することにより、生物学的活性、例えばタンパク質の濃度を得ることができる。この濃度は生物学的活性物質の沈殿作用、すなわち沈殿の形成を生じさせ、これによって固体粒子が形成される。これは例えば光学顕微鏡を用いて調べることにより検出することができる。この工程はしばしば急速に行われるので、粒子の構造は一般的に無定形である。しかしながら、この工程を行う方法に応じて、粒子の他の形態、例えば結晶および過冷却ガラスも本発明により包含される。
【0027】
しかしながら、「濃縮する」という用語は、生物学的活性物質が沈殿しないが、多少とも高度に粘稠な溶液を形成するにすぎない場合をも包含する。従って、「固化する」という用語は、この種の高度に粘稠な溶液が実際に取り扱い可能であり、そしてあたかも沈殿であるかのように実質的に同じ手段で微粒子中に取り込むことができるような安定な液滴を形成する場合をも包含する。濃縮/固化した生物学的活性物質は、微粒子マトリックス中に島または個別の粒子の形態で見出すことができる。
従って、本発明に係る方法の一つの実施形態は、段階b)を生物学的活性の固化がその沈殿を生じさせるように行う場合によって示される。
【0028】
別の実施形態において、段階b)は室温で取り扱い得る液滴の形成能を有する高度に粘稠な溶液を生じさせるように行われる。
この方法のもう一つの実施形態において、段階b)は可逆的に固化した活性物質を形成するために行われる。
この方法のさらに別の実施形態において、固化した生物学的活性物質は、遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体のボトム相を形成する。
【0029】
「可逆的に固化した」とは、一般的にいって、独特な各生物学的活性物質に適する媒質に適切な条件下で溶解されたとき、および/またはインビトロおよび/またはインビボで微粒子から放出されたときに、問題の生物学的活性物質がポリエチレングリコールによる濃縮/固化の前に有していた形態と本質的に同一の形態を化学的および生物学的の両方において回復することを意味する。
【0030】
固化した生物学的活性物質が遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体のボトム相を形成するということは、所望の濃縮/固化を検出する手段を与える。これはさらに、問題の物質が段階a)において水溶液の調製後に存在する可溶性形態とは異なる別の物理的形態で存在することを意味する。
【0031】
生物学的活性物質が濃縮した形態で存在するということは、一般的にいって、安定剤および溶解促進物質を用いるか用いないで問題の物質を水性媒質に溶解したときに得ることのできる濃度を超えた濃度で、かつ生物学的活性および化学的安定性を保持して存在することを意味する。
【0032】
生物学的活性物質の望ましい濃縮および/または沈殿が得られるようなPEGの分子量と濃度の組み合わせを選択すべきである。このような条件は、特定の各生物学的活性物質に対して簡単に試験することができる。なぜならば、条件は生物学的活性物質の特性、例えば分子量および溶解性に依存するからである。PEGの分子量は、400〜100,000ダルトン、より好ましくは4,000〜35,000ダルトン、よりいっそう好ましくは6,000〜20,000ダルトンの範囲、最も好ましくは20,000ダルトンであってよい。PEGの濃度は、1〜50%、好ましくは2〜45%、より好ましくは10〜40%、最も好ましくは20〜35%の範囲にあってよい。濃縮および/または沈殿が得られたことは、上記のように調べることができる。生物学的活性物質がその生物活性を保持しているということは、この段階で、例えば適切な緩衝液に希釈し、そして生物学的活性物質を化学的に分析することにより、または別法として適切な免疫学的および/または動物アッセイにより、最も容易に測定することができる。最期試験で不満足な結果が得られたならば、pH調節、使用した1種もしくは数種の緩衝物質およびその濃度、温度および/またはこの技術で公知の安定剤の添加、ならびに使用PEGの濃度および平均分子量の変化を調べるべきである。このような調節は当業者であれば誰でも容易に利用できる。この段階は、酸化反応を回避するために不活性雰囲気中で行われることも明らかであろう。最も簡単な手段は、窒素またはヘリウムのような不活性ガスで溶液中の酸素を追い出すことである。著しく敏感な物質のためには、例えば酸化反応を回避するために極めて純粋なPEGの使用が必要であろう。
【0033】
本発明に係る方法の段階c)を行う必要があるか必要がない程度、すなわち得られた濃縮および/または固化した活性物質を洗浄すべきかどうか、そうであればどの程度までかは、特に、PEG溶液中に溶解した形態で存在する生物学的活性物質の割合に、溶解した物質がこの形態であまりにも多量の望ましくない分解産物を生成することなく充分に安定であるかどうかに、この溶解した物質が微粒子の製造に対して及ぼす効果に、段階b)で採用された条件以外の、例えばPEGの濃度および平均分子量ならびにイオン強度に関する他の条件の使用が必要であるかどうかに、PEGが生物学的活性物質それ自体のための安定剤になるか、またはこの物質を未溶解形態に保持するかまたは表面への吸着を防止することにより安定剤になるかどうかに依存する。
【0034】
濃縮および/または固化した活性物質の実際の洗浄は、この技術分野で確立した適切な技術により行うことができる。なかでも最も簡単な形態において、遠心分離洗浄を用いることができ、そして多くの場合に濾過も使用できる。後者の場合、濃縮および/または固化した活性物質の乾燥は、例えば凝集を生じさせることがあるので、この乾燥を可能にしない条件を採用することが好ましく、そして処理時間は加圧により短縮される。これに基本的なことは、もちろん、用いられる液体が濃縮および/または固化した活性物質を溶解してはならないこと、および適切な条件をそれぞれの各生物学的活性について決定すべきことである。多くの場合、緩衝剤組成、添加物および温度に関する条件は、この必要条件を満たすように選択することができ、そして必要な情報を文献からまたは簡単な実験により得ることができる。濃縮および/または固化した活性物質の溶解を回避するためにポリマーを添加することができ、なかでも最も簡単な場合には、濃縮/固化を行ったときと同じ組成のPEG溶液が用いられる。この段階は、不活性雰囲気中で、および低温で行うこともできる。
【0035】
混合段階d)については、このようなカプセル封入を行うための多くの適切なこの技術分野の方法、例えば EP 0 330 180、US 3 737 337、US 3 691 090、WO 99/20253、US 4 389 330、US 5 407 609 および US 5 622 675 に記載の方法がある。そのうち WO 99/20253 および US 5 622 675 が好ましい。
【0036】
段階d)において用いられる生物分解性ポリマーは、既に本来公知の技術により、すなわち問題のポリマーが有機溶剤に可溶性であり(これによって、例えば澱粉は除外される)、生体親和性であり、すなわち生物学的に許容される限り、微粒子のマトリックス材料として既に公知のポリマー材料から選択することができる。
しかしながら、L−ヒドロキシ酸単位、好ましくは乳酸および/またはグリコール酸を含有するホモポリマーまたはコポリマー、例えばPLGAが特に好ましい。
【0037】
ポリマーは2〜200kDa、より好ましくは2〜110kDaの範囲内の平均分子量を有することが好ましい。
段階d)における混合操作には、3:1〜10,000:1の範囲内の生物分解性ポリマー:生物学的活性物質の重量比を用いることが好都合である。
【0038】
上記で論じたように、ポリマー溶液と混合する前に、PEG溶液を用いて活性物質を濃縮/固化させることも事実である。ポリマー溶液を生物学的活性物質に加えることが可能であり、その逆であってもよい。そののち、ポリマー溶液中で濃縮/固化した活性物質の均質な分散を、適切な技術によって生じさせる。このような技術はこの分野で周知であり、言及できる例は、磁気撹拌、プロペラ撹拌または一つまたはそれ以上の静的ミキサーの使用である。
【0039】
エマルジョンの形成を目的とする段階e)において用いられるポリマーに関しては、このようなエマルジョンを形成する能力を有する多数のポリマーについての、まさにこの技術分野内の情報が刊行されている。このような全てのポリマーは本発明の範囲内にあると考えるべきである。しかしながら、この文脈において特に適するポリマーはポリエチレングリコールである。このポリエチレングリコールの分子量は、一般的に約1〜40kDa、好ましくは5〜35kDaの範囲内にある。この分子量およびカプセル封入される活性物質の特性に応じて、ポリエチレングリコールの濃度を2〜80%(w/w)、好ましくは20〜60%(w/w)、例えば30〜55%(w/w)または30〜50%(w/w)の範囲内となるように調節する。換言すれば、安定なエマルジョンが得られ、かつ液滴/粒子からの活性成分の拡散が防止されるように、比較的高いPEG濃度が外相に用いられる。当業者により比較的簡単に行われる実験によって最適濃度にすることができる。
【0040】
段階e)における混合操作は多くの異なる手段で、例えばプロペラ撹拌または少なくとも一つのスタティックミキサーの使用によって行うことができる。混合は、通常4〜50℃、好ましくは20〜40℃、しばしば約37℃の温度範囲内で行われる。バッチ法においては、第一ポリマー溶液を第二ポリマー溶液に加えることができ、その逆であってもよい。スタティックミキサーまたはブレンダーを利用する場合、この操作は、二つの溶液を二つの異なるパイプラインにポンプ輸送し、ブレンダーを含む共通パイプライン中に送ることによって行うことが好都合である。
【0041】
エマルジョンは低い剪断力を用いて形成することができる。大部分の場合、磁気またはプロペラ撹拌で充分である。大規模に、例えば製造すべき微粒子の量が50gを超える場合には、いわゆるじゃま板を使用して、用いられる容器内のよりいっそう効果的な撹拌を得ることが好都合である。水/水エマルジョンを形成する別法は少なくとも一つのスタティックミキサーを用いることであり、ポリマーの有機溶剤溶液を調節された速度でスタティックミキサーが配置されたパイプ中にポンプ輸送することが好都合である。ポンプ輸送がこれらの条件下で一様な流速を与え、混合物を不必要に高い剪断力にさらさず、そして純度および望ましくない物質が漏洩しない点で非経口的調製物の製造に許容される限り、任意の型の適切なポンプを用いて行うことができる。スタティックミキサーを用いてエマルジョンを生成させる場合にも、適切な撹拌器を備えた容器中で微粒子になる固化を起こさせることが一般的に有利である。
【0042】
本発明に係る方法の好ましい実施形態は、段階e)においてポリマー溶液を少なくとも2段階で組成物に加えることを意味し、ここで、エマルジョンが生成したかまたは生成し始めたのちに添加が行われる。
【0043】
ポリマー溶液を多段階で加えること、および例えば用いられるポリマーの平均分子量および/または濃度を変えることも、もちろん本発明の範囲内にある。
さらに、段階e)における混合操作は、形成される液滴が微粒子に要求される大きさ、すなわち乾燥状態で好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μm、最も好ましくは20〜80μmの範囲内の平均直径を獲得するような条件下で好都合に行われる。しかしながら、微粒子を固化させるための他の既に公知の方法も本発明の範囲内にある。
【0044】
微粒子の固化に関しては、取り込まれる生物学的活性物質にとって温和な条件下で固化が起こることが重要である。換言すれば、目下の物質に有害でない温度の使用が第一に問題である。
【0045】
選択された条件が正しいかまたは適切であるかの確認は、微粒子が望ましい粒度分布を有すること、後続の洗浄および乾燥操作中に安定であること、およびインビトロで実質的に完全に溶解することの確認、および/または取り込まれた物質が効果的にカプセル封入されており、かつ生物活性を保持していることの確認によって得ることができる。最後に述べたことは、通常クロマトグラフィー法を用いるか、または微粒子が溶解されたのちに、インビトロもしくはインビボで、この技術内で確立された他の方法を用いて検査される。
【0046】
外相および余分な活性物質を除去するために、形成された微粒子を適切な手段で洗浄することが好ましい。このような洗浄は濾過によって行うことが好都合であり、これは微粒子の良好な機械的安定性および適切な粒度分布によって可能にされる。遠心分離による洗浄、上澄み液の除去および洗浄媒質への再懸濁も、しばしば適切であろう。各洗浄工程において1種またはそれ以上の適切な洗浄媒質が用いられ、これは一般的に緩衝剤含有水溶液である。これに関して、必要に応じて微粒子の粒度分布を調節するため、例えば小さすぎる微粒子を除去し、そして一定の大きさを超える微粒子が最終生成物中に存在しないことを確保するために、篩分けを用いることもできる。
【0047】
微粒子を適切な手段で、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥または真空乾燥によって乾燥することができる。個々の場合にどの乾燥方法を選択するかは、封入された活性物質の生物学的活性の保持にとって何が最も適切であるかにしばしば依存する。工程の考慮事項、例えば能力および純度の面も、重要な意義を持つようになる。凍結乾燥は、正しく計画すれば封入された生物学的活性物質に関して特に温和なので、しばしば好ましい乾燥方法である。取り込まれた生物学的活性物質がその生物活性を保持していることは、この物質を温和な条件下で溶解したのちに、この物質にとって適切な分析により確立することができる。
【0048】
さらに、微粒子の放出特性を改変するために、生体親和性および生物分解性のポリマーから生成した放出制御性の外皮を施すこともできる。この文脈において適切なポリマーの例は先行技術に見出され、乳酸およびグリコール酸のポリマー(PLGA)を特に挙げることができる。問題の外皮は好ましくはエアサスペンション技術を用いて施される。特に適するこの種の技術は WO 97/14408 に記載されており、従ってこれに関する詳細はこの刊行物から得ることができるので、その内容は参照により本明細書本文に含められる。本発明に係る方法により得られる微粒子は、上記のエアサスペンション技術により被覆するために著しく良く適しており、そして得られた被覆微粒子は非経口的投与に特に良く適している。
【0049】
製造した微粒子を使用する場合に、それらは放出制御性外皮で被覆されているかまたは被覆されておらず、乾燥微粒子は適切な媒質、具体的には注射を可能にする媒質に懸濁される。このような媒質および工程は、これらに関してこの分野で周知であるので、ここでさらに詳細に説明する必要はないだろう。実際の注射は適切な針を通して、または針なし注射器を用いて投与することができる。微粒子を注射媒質に事前に再懸濁することなく、乾燥粉末用注射器を用いて注射することも可能である。
【0050】
上記で論じた利点のほかに、本発明に係る方法は次の利点を有する。すなわち、生物学的活性物質の収率が一般的に高いこと、活性物質の生物活性を保持しながら微粒子中の極めて高い活性物質含有量を得ることが可能であること、得られた微粒子がマクロファージによって貪食されるためには大きすぎ、かつ細い針、例えば23G〜25Gを通して注射できるために充分小さいので、これらの微粒子が非経口的制御(例えば遅延または持続)放出に使用するための正しい粒度分布を有すること。
【0051】
本発明に係る方法は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリサッカライド、または一般的に、例えば有機溶剤に敏感または不安定な他の薬剤または生物学的活性物質に関して特に興味深い。組み換え産生タンパク質は生物学的活性物質の極めて興味深い一群である。しかしながら一般的にいって、本発明はこのような物質の存在に限定されない。なぜならば、本発明の概念は非経口的投与に使用可能な全ての生物学的活性物質に適用できるからである。従って敏感性または不安定性の問題との関係のほかに、本発明は、そうしなければ溶剤の除去が困難な場合、または毒物学的問題または他の環境問題が生じるかもしれない場合にも特に興味深い。
【0052】
上記で特定した種類の生物学的活性物質の例は、成長ホルモン、エリスロポエチン、インターフェロン(α、β、γ型)、ワクチン、上皮細胞成長ホルモン、因子IV、V、VI、VII、VIIIおよびIX、LHRH類似体、インスリン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子およびインターロイキンである。
【0053】
非タンパク質薬剤タイプの有用な生物学的活性物質は、次の群から選択することができる:
抗腫瘍剤、抗生物質、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤、筋肉弛緩剤、抗てんかん剤、抗抑うつ剤、抗アレルギー剤、気管支拡張剤、強心剤、抗不整脈剤、血管拡張剤、抗糖尿剤、抗凝固剤、止血剤、麻酔剤およびステロイド。
【0054】
本発明に関して生物分解性という用語は、微粒子が非経口的投与後に体内で溶解されて内在性物質、最後には例えば乳酸を形成することを意味する。生物分解性は、インビトロで適切な酵素とのインキュベーションによって決定または検査することができる。生物分解性は、微粒子を非経口的に、例えば皮下または筋肉内に注射し、そして組織を時間の関数として組織学的に検査することによって検査することもできる。
例えばPLGAからの生物分解性微粒子は、通常2〜3週間または2〜3か月以内に組織から消失する。
【0055】
生体親和性は、微粒子を非経口的に、例えば皮下または筋肉内に投与し、そして組織を組織学的に評価することによって検査することもでき、しばしばタンパク質である生物学的活性物質はそれ自体で、別の属に投与すると例えば免疫防御の誘導能を有することを念頭に置くことが重要である。例えば、多数の組み換え産生ヒトタンパク質は試験動物において免疫反応を生じさせることができる。
本発明に係る方法を用いた場合に得られる微粒子は、哺乳類、特にヒトに非経口的に、好ましくは注射による投与に適している。
得られた微粒子は、マトリックスとして非経口的投与可能な生物分解性ポリマーから本質的に構成されており、次にこれは、本質的に化学的に錯結合していない形態および0.05〜30μmの範囲内の平均サイズを有する固体粒子の形態の生物学的活性物質を含有している。
【0056】
この文脈において平均サイズとは、通常、少なくとも球形または実質的に球形の粒子の場合は平均直径を意味する。別の形状においては、一般的に、粒子の任意方向の最大の大きさに関する平均値を指す。
もう一つの実施形態によれば、生物学的活性物質の粒子は沈殿により得られ、すなわち沈殿した形態にある。
【0057】
固体粒子は0.2〜10μm、より好ましくは0.5〜5μm、最も好ましくは1〜4μmの範囲内の平均サイズを有することが好ましい。
好ましくは、生物分解性ポリマーはα−ヒドロキシ酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーである。このα−ヒドロキシ酸は、好ましくは乳酸および/またはグリコール酸である。
【0058】
微粒子はまた、方法に関して論じた種類の制御放出性外皮を有することが好ましい。この外皮の好ましい変形に関する方法も参照される。
しかしながら、興味深い別の粒子は、放出制御性外皮がマトリックスとは異なる別のポリマー組成を有する場合に示される。
【0059】
本発明方法により得ることのできる他の微粒子は、生物学的物質の生物活性が、該物質をポリマー中に取り込む前にそれにより示される生物活性と比較して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であり、最も好ましくは本質的に保持されている微粒子である。
【0060】
さらに他の微粒子は、生物分解性であり、そして皮下または筋肉内投与ののちに組織から除去される微粒子である。生物学的活性物質は、好ましくはタンパク質、より好ましくは組み換え産生タンパク質である。
【0061】
タンパク質は、成長ホルモン、コロニー刺激因子、エリスロポエチン、インターフェロンおよびワクチンの中から選択することが好ましい。
より好ましくは、タンパク質は成長ホルモン、特にヒト成長ホルモン(hGH)である。
【0062】
ポリマーマトリックス中の生物学的活性物質が本質的に化学的に錯結合していない形態で存在するということは、一般的に、全金属カチオン:生物学的活性物質のモル比が0.2:1未満であることを意味する。
先行技術によれば、類似の文脈において錯結合のために利用されてきたものは主に亜鉛である。従って、得られた微粒子は、それらがこのような亜鉛を本質的に含まないかまたは全く含まないという利点を有する。
【0063】
より好ましくは、上記の全金属カチオン:生物学的活性物質のモル比は0.1:1未満、特に0.01:1未満であり、できる限り0に近いことが最も好ましいのはもちろんである。
【0064】
ヒト成長ホルモンが生物学的活性物質を構成する場合には、そのダイマー含有量が2重量%未満、より好ましくは1重量%未満であり、そしてそのポリマー含有量が0.2重量%未満、好ましくは0.1重量%未満であるタイプのものが好ましい。
【0065】
生物学的活性物質を含有する非経口的投与可能な生分解性の微粒子調製物を形成する微粒子は、濃度−時間グラフから注射後の最初の24時間中の曲線下の面積と問題の曲線下の面積との比の形で決定して、注射後の最初の24時間中に、全放出量の30%未満である活性物質の放出量を有する。
【0066】
注射後の最初の24時間中の放出量は、全放出量の20%未満、より好ましくは15重量%未満、よりいっそう好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満であることが好ましい。
【0067】
上記タイプの微粒子調製物を生成する微粒子は、注射後の最初の48時間中に、生物学的活性物質の最高血漿または血清濃度が注射後48時間を超えた時点における生物学的活性物質の最高濃度の300%未満である活性物質の放出量を有する。
上記の最高濃度は、問題の最高濃度の200%未満、より好ましくは100%未満であることが好ましい。
【0068】
別の例は、生物学的活性物質の生体利用率が、問題の物質を可溶性形態で静脈内に注射したときに得られる生体利用率の少なくとも35%である活性物質の放出量を有する、上記タイプの微粒子調製物である。
上記の生体利用率は、生物学的活性物質を静脈内に注射したときに得られる生体利用率の少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%であることが好ましい。
【0069】
もう一つの例は、選択した7日の期間が注射後の最初の24時間を含まないことを条件として、任意の連続7日の期間中に起こる放出において、生物学的活性物質の最高血清または血漿濃度を上記の7日の期間中の平均濃度で割り算した商が少なくとも5であることを特徴とする活性物質の放出量を有する、上記タイプの微粒子調製物である。
上記の放出量は、4倍未満、より好ましくは3倍未満、最も好ましくは2倍未満であることが好ましい。
【0070】
本発明に係る微粒子により得ることのできる微粒子調製物は、問題の生物学的活性物質の平均滞留時間が少なくとも4日である生物学的活性物質の放出量を有する。
上記の平均滞留時間は、少なくとも7日、より好ましくは少なくとも9日、例えば少なくとも11日、または特に少なくとも13日であることが好ましい。
上記で提示した微粒子調製物について明記した特色は、適切な組み合わせであれば何でも組み合わせることができる。
上記の微粒子調製物について明記した種々の特徴は、主にMRT、バーストおよび生体利用率という用語に関する。
【0071】
これらは下記のように定義することができる:
MRT
制御放出のための調製物の目的は、活性材料の持続放出を得ることである。放出時間を定量するために使用できる一つの尺度は、平均滞留時間(MRT)であり、これは薬物動態学で認められた用語である。
MRTは体内に導入された分子が体内に滞在する平均時間である(Clinical Pharmacokinetics. Concepts and Applications. Malcolm Rowland および Thomas N. Tozer, 第2版, Lea&Febiger, Philadelphia London)。
【0072】
MRT値は血漿濃度データから下記の式を用いて計算することができる。
【数1】
Figure 2004513706
式中、Cは血漿濃度であり、tは時間である。
【0073】
バースト
非経口的使用のための制御放出調製物に共通する問題は、薬剤の大部分が体内に投与した直後の早期相の間に放出されることである。専門家の文献内でこれは「バースト効果」と呼ばれている。これは一般的に、薬剤が処方物の表面上にあるという事実、または処方物(これは微粒子からなっていてもよい)がはじけるという事実のためである。低いバースト効果が極めて望ましい。なぜならば、高濃度の薬剤は毒性があり、そしてさらに初期期間中に急速に消失する部分は不充分に利用され、これは意図した処置期間中の薬剤の治療的レベルを保持するためにより多くの薬剤を必要とすることを意味するからである。
バーストは、吸収される全画分のうちの、最初の24時間中に吸収される薬剤のその画分と定義される。
【0074】
数学的用語では、それは血漿濃度グラフから「曲線下の面積」の計算を用いて定義することができる。
【数2】
Figure 2004513706
【0075】
生体利用率
生体利用率は、供給された薬剤のどれほど多くの部分が投与部位から血中に活性形態で吸収されるかの尺度である。生体利用率は薬剤の静脈内供給量からのデータとしばしば比較され、それ故にこの場合は吸収障壁がなく、従って絶対的生体利用率と呼ばれる。
【0076】
絶対的生体利用率は下記の式によって定義される:
【数3】
Figure 2004513706
式中、AUCは検査した処方物に関する曲線下の面積であり、AUCivは薬剤の静脈内供給量に関する曲線下の面積であり、Dは処方物中の薬剤の量であり、Divは静脈内用量である。
【0077】
放出プロフィールおよび薬物動態学的パラメーターの決定は好ましくは動物実験によって実現される。最も適切な種は、それがヒトと類似しているためにブタである。生物学的活性物質が試験中に生物学的活性物質の薬物動態学的パラメーターの決定に影響を与えるおそれのある免疫反応を誘導することがある場合には、例えば薬剤処置によって免疫反応の阻害を用いるべきである。これはこの技術分野で公知であり、詳細は科学文献、例えば Agersoe ら(J. Pharmacol Toxicol 41 (1999) 1−8)から得ることができる。
【0078】
他の興味深い微粒子は、アルファ−アミラーゼおよび/またはアミログルコシダーゼの存在下にインビトロで生物分解性である微粒子である。
他の好ましい微粒子は、生物分解性であり、そして皮下または筋肉内投与ののちに組織から除去される微粒子である。
【0079】
活性物質を含有する微粒子の生物学的活性の決定に関しては、これを個々の各生物学的物質に適切な手段で行わねばならない。この決定を動物実験の形態で行う場合には、微粒子中に取り込まれた生物学的活性物質の一定量を、多分これらの微粒子を温和な条件下で予め溶解したのちに注射し、そして生物学的応答を、適切な溶液中の同じ生物学的活性物質の相当量を注射したのちに得られる応答と比較する。評価をインビトロで、例えば試験管または細胞培養物で行う場合は、評価の前に微粒子を温和な条件下で溶解することによって生物学的活性物質を完全に利用可能にすることが好ましく、そののちに活性を決定し、そして問題の生物学的活性物質の同一濃度を有するコントロール溶液の活性と比較する。何れの場合にも、評価は微粒子の分解産物の非特異的効果を含むべきである。
【0080】
最後に、上記のことから判断できるように、本発明の別の興味深い態様は、タンパク質または一般的に有機溶剤に敏感もしくは不安定な他の生物学的活性物質の水溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、該物質が濃縮および/または固化するような条件下で混合することを含む、タンパク質または一般的に有機溶剤に敏感もしくは不安定な他の生物学的活性物質をその濃縮および/または固化した形態に変換する方法によって示される。
【0081】
このような条件の詳細および好ましい実施形態については、微粒子の製造方法に関する相当する節が参照される。従って、このような詳細は特に最後に述べた方法の段階b)の開示に関して見出すことができる。それ故に、ここでそれらを繰り返す必要はない。
【0082】
しかしながら、上記の発明思想の開示から、水溶性タンパク質をその濃縮および/または固化した形態に変換する方法を、凍結または凍結乾燥操作を存在させずに、そして/または噴霧操作を存在させずに行うことも好ましいと判断することができる。
【0083】
【実施例】
以下の非限定的な例証となる実施形態他により本発明をさらに説明する。
実施例1
PEGによる固定化に適する高度に濃縮/沈殿したhGHの製造手順
343mgのhGHに、10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.4を全量2.5mLまで加える。20,000Daの平均分子量を有するPEGを同じ緩衝液に30%の濃度に溶解し、pHを約6.4に調節する。このPEG溶液(25mL)を、プロペラを備えたビーカーに注ぎ、そののち温度を15℃に調節し、hGH溶液(約1.25mL)をプロペラ撹拌下に加え、この混合物を連続撹拌下に75分間放置する。得られた懸濁液を Sorvall SS34 で遠心分離する(5,000rpmで20分)。上澄み液を注意深く抜き取る。沈殿したタンパク質を2mM酢酸亜鉛含有酢酸ナトリウム、pH6.4(10mL)で1回洗浄することができ、得られた上澄み液を抜き取る。
【0084】
実施例2
PLGA(ポリ−DL−ラクチド−コグリコリド)中へのPEGで濃縮固化したhGHのカプセル封入手順
最初に、試験管中で0.46gのPLGA(RG504H, Boehringer Ingelheim)を3mLの酢酸エチルに溶解することによりポリマー溶液を調製する。次いで実施例1により製造したPEGで濃縮/固化したhGHの44mgを上記のポリマー溶液に加え、1分間渦巻き撹拌(VF2, IKA−WERK)することにより該ポリマー溶液中に均質に分散させる。この分散液を18G針を取り付けた5mLシリンジに入れる。
300mLの40%(w/w)ポリエチレングリコール20000を含む500mLビーカーに4枚ブレードのプロペラミキサーを取り付ける。hGH/ポリマー分散液を、ビーカーに入れたPEG溶液に該分散液の注射により徐々に輸送する。次いで撹拌速度を低下させ、この混合物を一夜放置する。
【0085】
撹拌速度を再び8に設定し、そののち、粘度を低下させて濾過操作を可能にするために、400mLの脱イオン水を加える。次いでこの懸濁液を、Millipore 膜フィルター、DV型、孔径0.65μmを用いて濾過し、水(3×300mL)で洗浄し、一夜真空乾燥する。
次いでこうして得られた微粒子を、37℃で時々撹拌しながら30mMリン酸ナトリウム、pH7.4中でのインビトロ放出に関する実験に付す。これらの研究は40mgの微粒子を1.5mLの緩衝液に懸濁させることにより行う。特定の時点で該緩衝液の1mLアリコートを除去し、新しい緩衝液と交換する。結果は、タンパク質の放出が数週間持続することを示す。
【0086】
実施例3
PEGで濃縮したhGHを含有する微小球の被覆手順
実施例2で得られたhGH含有微小球を、WO 97/14408 に記載のエアサスペンション技術により、75%の RG502H および25%の RG756(両方とも Boehringer Ingelheim から)からなる混合物を用いて、PLGAから作成した放出制御性外皮で被覆する。被覆操作ののち、この被膜を塩化メチレンおよびアセトンの比1:3の混合物で溶解し、これらの溶剤を例えば遠心分離を繰り返すことにより洗浄除去したのち、微小球を溶解する。hGH含有量を、例えば高速液体クロマトグラフィーで分析することにより決定する。タンパク質のダイマーおよびポリマー含有量も同じ技術を用いて決定する。タンパク質含有量は約11重量%であってよい。ダイマーの形態で存在するタンパク質の割合は<2%であり、ポリマーの形態は<0.1%である。被覆微小球からのhGHの放出動態をインビトロで決定することができ、その特徴は望ましくないバーストが存在しないこと、およびそうでなければ約1週間の持続期間で連続的かつ規則的に放出することである。このように、この方法を用いて非経口的投与可能な微小球をhGHの制御放出に適するように製造することができる。
【0087】
実施例4
PEGの使用による固定化に適する高度に濃縮/沈殿したhGHの製造手順
実施例1により沈殿したhGHを製造するが、沈殿をヒスチジン緩衝液、pH4.9で洗浄するように変える。

Claims (26)

  1. a)微粒子に取り込まれる生物学的活性物質の水溶液を調製し、
    b)段階a)で得られた溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、生物学的活性物質が濃縮および/または固化するような条件下で混合し、
    c)場合により、段階b)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を洗浄し、
    d)段階b)またはc)で得られた濃縮および/または固化した生物学的活性物質を、有機溶剤中の生物分解性ポリマーの溶液と混合し、
    e)段階d)で得られた組成物とエマルジョン形成能を有するポリマーの水溶液とを、該ポリマー溶液の外相中の内相として生物学的活性物質を含有する該生物分解性ポリマーの液滴のエマルジョンが形成されるように混合し、
    f)段階e)で得られた液滴を、固化させるかまたは固化を可能にして微粒子にし、
    g)段階f)からの微粒子を乾燥し、そして
    h)場合により、段階g)からの乾燥微粒子に生体親和性および生物分解性ポリマーの放出制御性外皮を施すことを含む、
    生物学的活性物質を含有する非経口的投与可能な微粒子の製造方法。
  2. 段階b)を、生物学的活性物質の固化がその沈殿を生じさせるように行う、請求項1に記載の方法。
  3. 段階b)を、生物学的活性物質の固化が室温で取り扱い得る液滴の形成能を有する高度に粘稠な溶液を生じさせるように行う、請求項1に記載の方法。
  4. 段階b)を、可逆的に固化した活性物質を形成するために行う、請求項2または3に記載の方法。
  5. 固化した生物学的活性物質が、遠心分離または超遠心分離においてペレットまたは高度粘稠もしくは固体のボトム相を形成する、請求項2〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 段階b)で用いられるポリエチレングリコールが、400〜100,000Da、好ましくは4,000〜35,000Da、より好ましくは6,000〜20,000Da、最も好ましくは約20,000Daの平均分子量を有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 段階b)で用いられるポリエチレングリコールの濃度が、1〜50%(w/w)、好ましくは2〜45%(w/w)、より好ましくは10〜40%(w/w)、最も好ましくは20〜35%(w/w)の範囲にある、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. ポリマーが、α−ヒドロキシ酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. α−ヒドロキシ酸が、乳酸および/またはグリコール酸である、請求項8に記載の方法。
  10. 段階d)において、2〜200kDa、好ましくは2〜110kDaの範囲内の平均分子量を有する生体親和性および生物分解性のポリマーを利用する、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
  11. 段階d)において、ポリマーと生物学的活性物質との重量比が3:1〜10,000:1の範囲内にある組成物を形成する、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 段階e)において、ポリマー溶液を少なくとも2段階で組成物に添加し、これらの添加の少なくとも一つをエマルジョンの生成が開始したのちに行う、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
  13. 段階e)において、ポリエチレングリコールを水性ポリマーとして用いる、請求項1〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. ポリエチレングリコールが1〜40kDa、好ましくは5〜35kDaの平均分子量を有する、請求項13に記載の方法。
  15. 段階e)において、微粒子に要求される大きさ、好ましくは乾燥状態で10〜200μm、好ましくは20〜100μm、より好ましくは20〜80μmの範囲内の平均粒径を与えるポリマー液滴を形成する、請求項1〜14の何れか1項に記載の方法。
  16. 段階e)ののちに微粒子を濾過により洗浄し、そして場合により所望の粒度分布を得るために篩分けする、請求項15に記載の方法。
  17. 段階g)における乾燥を噴霧乾燥、凍結乾燥または真空乾燥、好ましくは凍結乾燥の形態で行う、請求項1〜16の何れか1項に記載の方法。
  18. 生物学的活性物質として、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよびポリサッカライド、特に組み換え産生タンパク質からなる群から選択される物質を取り込む、請求項1〜17の何れか1項に記載の方法。
  19. 段階h)における放出制御性外皮の被覆をエアサスペンション技術により行う、請求項1〜18の何れか1項に記載の方法。
  20. 段階h)における放出制御性外皮がアルファ−ヒドロキシ酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーにより形成される、請求項1〜19の何れか1項に記載の方法。
  21. アルファ−ヒドロキシ酸が乳酸および/またはグリコール酸である、請求項20に記載の方法。
  22. 水溶性タンパク質の水溶液とポリエチレングリコール(PEG)の水溶液とを、タンパク質が濃縮および/または固化するような条件下で混合することを含む、水溶性タンパク質をその濃縮および/または固化した形態に変換する方法。
  23. 上記の混合を請求項2〜7の何れか1項で定義したように行う、請求項22に記載の方法。
  24. 凍結または凍結乾燥の操作を存在させずに行う、請求項22〜23の何れか1項に記載の方法。
  25. 有機溶剤を存在させずに行う、請求項22〜24の何れか1項に記載の方法。
  26. 噴霧操作を存在させずに行う、請求項22〜25の何れか1項に記載の方法。
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