JP2004513071A - 肺の弾性繊維損傷に関連した呼吸器疾患の治療方法 - Google Patents

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Abstract

本件の発明は、一般に呼吸治療学の分野に関連し、特に、肺基質の弾性繊維の損害を原因とする肺基質疾患の治療に関係する。より明確には、肺疾患の治療および (または) 予防に使用される、多糖類、その誘導剤および (または) 薬物共役を肺に運搬するための方法および物質が発表されている。

Description

【0001】
発明の背景
発明の属する技術分野
本発明は、グリコサミノグリカンの損失あるいは肺の弾性線維基質の損傷を原因とする呼吸器疾患の治療に関する。さらに詳しく言えば、気腫、慢性閉塞性肺疾患 (COPD)、喘息、嚢胞性線維症、炎症、老化に伴う肺の変化などの肺疾患に対する、肺への多糖あるいはその派生物の送達による治療あるいは予防のための方法と材料を開示する。
先行技術の記載
気道障害は、米国および世界中で蔓延している問題である。気道障害は炎症、感染、癌、外傷、塞栓症、遺伝性疾患を含む、多数の主なカテゴリに分類される。肺損傷も身体外傷および毒素への暴露に起因する可能性がある。
【0002】
気道の炎症には、喘息、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、肺線維症がある。肺感染には、肺炎 (細菌性、ウイルス性、真菌性、あるいはツベルクリン) およびウイルス感染がある。肺における癌は主に肺癌、リンパ腫、あるいは癌を有する他器官からの転移である。肺の外傷には、肺挫傷、気圧障害、気胸がある。肺の塞栓症は、空気、細菌、菌類、血栓からなる。遺伝性の肺疾患には、嚢胞性線維症およびα1抗トリプシン欠乏症がある。肺を害する可能性のある毒素には、酸性の胃内容物 (例:吸引性肺炎)、煙吸入および熱された空気の吸入(例:火災現場で) がある。
【0003】
上記に挙げた気道障害を有する患者は肺組織損傷の構成要素を有する。これらの疾患の多くにおいて、組織損傷への一般的な原因は、例えば好中球、マクロファージ、好酸球などの炎症細胞の流入に関連する。炎症細胞は組織を損傷する可能性のある有毒酵素を放出し、生理的変化を誘発する。エラスターゼは炎症細胞が放出する有毒酸素のカテゴリのひとつである。エラスターゼ酸素は肺内の弾性線維 (エラスチン) を退化させる。エラスターゼ酸素が原因の損傷は組織カリクレイン (TK) 放出を引き起こし、肺に更なる炎症細胞を招く多段を引き起こす可能性がある。この更なる炎症細胞の流入により、より多くのエラスターゼ酸素が放出され、肺組織損傷の「悪循環」が続く。
【0004】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)という用語は二つの主な気流閉塞疾患の分類に使用される。その二つとは、慢性気管支炎と気腫である。約1600万の米国人がCOPDを有しており、そのうち80%が彼らの生涯のほとんどを通じて喫煙者であった。COPDは米国における主な死亡原因の第一位で、死亡者の数は毎年およそ10万人である。慢性気管支炎は気管支の炎症である。気管支は気管を肺につなぐ。炎症を起こした場合、気管支は粘液を分泌し、慢性咳を引き起こす。気腫は肺胞、あるいは肺の空気嚢の過膨張である。この状態は息切れを引き起こす。
【0005】
気腫では、肺胞嚢は肺のエラスチン躯体の損傷により、過度に膨張する。気腫性肺内の炎症細胞はエラスターゼ酸素を放出し、それが肺基質内のエラスチン線維を退化、あるいは損傷する。気腫には多数の原因があり、それには、喫煙、環境汚染物質への暴露、α1抗トリプシン欠乏症、さらに老化が含まれる。
【0006】
現在、COPDの進行を止める治療はない。最近では、気腫患者の肺機能の損失を防ぐための、潜在的な治療法として吸入ステロイドが研究されていた (Lung Health Study II)。しかし、研究の結果は、吸入ステロイドは時間が経つにつれ、肺機能の低下を改めることに失敗するというものであった。患者が肺機能を失うにつれ、酸素に、さらに最終的には呼吸補助のため人工呼吸器に依存するようになる可能性がある。気腫患者への比較的新しい治療は、肺気量整復術である。気腫患者は肺に空気が溜まる。これが横隔膜を平らにし、息を吸ったり吐いたりする機能を損なう。気腫が上肺葉にとどまっている患者は肺気量整復術の候補者である。この手術では、自然な陥凹と横隔膜の機能を取り戻すために上肺葉を摘出する。
【0007】
喘息の急性増悪期は、多くの場合、気道の痙攣、あるいは気管支収縮によって引き起こされ、突然の息切れ、喘鳴、咳を含む症状が見られる。気管支痙攣の治療には吸入気管支拡張薬 (イプラトロピウムなどの抗コリン作用薬やアルブテロールなどのβアゴニスト) を用いる。患者はこれらの薬剤を、ネブライザー、あるいは携帯の定量式吸入薬 (MDI) やドライパウダー吸入薬 (DPI) で噴霧状にして肺に吸入する。急性発症を有する患者は、症状を悪化させる炎症反応を低減するために、経口ステロイドあるいはステロイドの経静脈的投与でも治療される。
発明の概要
本発明は様々な呼吸器疾患の治療方法を対象としている。さらに詳しく言えば、弾性線維の損傷に関連する呼吸器疾患の治療が対象である。本発明によると、その方法は、弾性線維に結合する多糖あるいはその他の炭水化物成分の投与を含む。多糖が弾性線維と結合することにより、酵素、オキシダント、あるいはその他の有害な作用因子の弾性線維への接触および損傷を抑制する。
【0008】
この方法のひとつの形態においては、多糖はグリコサミノグリカンである。グリコサミノグリカンはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫酸C、ヘパラン硫酸およびヘパリンからなる群より選ばれる。この方法の別の形態においては、多糖はデキストランである。
【0009】
多糖類は、エアロゾル吸入、ドライパウダー吸入、液体吸入および液体の点滴注入からなる群より選ばれた伝達ルートを経由して、哺乳動物に投与される。好ましい態様のひとつでは、エアロゾル吸入を介した多糖類の投与は、多糖類を含む液剤の配合から構成されるが、その液剤の多糖濃度は約5mg/ml未満、多糖類の分子量は約1.5x10ダルトン未満である。液剤配合は吸入可能なミストを形成するためエアゾール化されており、多糖類の粒径は約10ミクロン未満である。治療的に効果のある多糖類の量は、哺乳動物が吸入可能なミストを吸入することで送達される。
【0010】
多糖類を含む液剤配合の変形形態として、多糖類の分子量は約587,000ダルトン未満の場合もある。別の方法では、多糖類の分子量は約220,000ダルトン未満の場合もある。さらに別の変形形態では、多糖類の分子量は約150,000ダルトン未満である。
【0011】
好ましい態様のひとつでは、吸入可能なミストはネブライザーで形成される。ネブライザーは少なくとも約15psiの圧力で動作可能である。別の方法として、ネブライザーは少なくとも約30psiの圧力で動作可能である。
【0012】
本発明の変形形態のひとつにおいて、多糖類は化学修飾が可能である。かかる修飾は、架橋結合、硫酸基の増加、カルボキシル基の増加、脂肪親和性側鎖の結合、アセチル基の導入、エステルの形成、さらにカルボジイミドの反応を含む可能性がある。
【0013】
本発明による別の方法は、哺乳動物に多糖類を含む治療配合を、気道を介して選択された投与量で投与することである。この方法は、約5mg/ml (w/v) 未満の多糖濃度で、約50,000〜1.5x10ダルトンの間の管理された多糖サイズに達するために、多糖類から構成される溶液を配合し、エアゾールの液滴が約0.5〜10ミクロンの間の平均質量分布サイズを有するような溶液のエアゾールを生じ、さらに、吸入によりエアゾールを気道に送達することを含む。
【0014】
多糖類の選ばれた投与量は、約1μg/kg体重/日〜約1mg/kg体重/日の範囲である。より好ましくは、選ばれた投与量は約50μg/kg体重/日〜約500μg/kg体重/日の範囲である。さらに好ましくは、多糖類の選ばれた投与量は、約100μg/kg体重/日〜約300μg/kg体重/日の範囲である。
【0015】
この方法に対する一つの変形形態では、溶液はさらに薬を含む。その薬は、テルブタリン、硫酸アルブテロール (サルブタモール)、硫酸エフェドリン、酸性酒石酸エフェドリン、塩酸イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソプロテレノール、硫酸イソプロテレノール、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、プロカテロール、メシル酸ビトルテロール、硝酸メチルアトロピン、クロモリン・ナトリウム、プロプラノロール、フルオイソリド、イブプロフィン、ゲンタマイシン、トベルマイシン、ペンタミジン、ペニシリン、テオフィリン、ブレオマイシン、エトポシド、カプトプリル、N−アセチルシステイン、ベラパミル、カルシトニン、アトリオペプティン、α1抗トリプシン (タンパク質分解酵素阻害剤)、インターフェロン、バソプレシン、インスリン、インターロイキン−2、スーパーオキシド・ジスムターゼ、組織プラスミノゲン活性化因子 (TPA)、血漿因子8、上皮細胞増殖因子、腫瘍壊死因子、ヘパリン、肺界面活性剤タンパク質、およびリポコルチンからなる群より選ばれる。
【0016】
この方法に対する別の変形形態では、多糖類は化学修飾される。さらにこの変形に対して、溶液はより一層の薬を含むこともできる。好ましくは、選ばれた薬は化学修飾多糖類との高い溶解度あるいは薬理学的適合性を示す。例えば、疎水性を高めるために多糖類が修飾されるようにである。この形態では、薬はプロスタグランジン、アムホテリシンB、プロゲステロン、イソソルビド・ジニトレート、テストステロン、ニトログリセリン、エストラジオール、ドキソルビシン、ベクロメタゾンおよびそのエステル、ビタミンE、コルチゾン、デキサメタゾンおよびそのエステル、DPPC/DPPGリン脂質、および吉草酸ベタメタゾンからなる群より選ばれる。
【0017】
本方法の補足的あるいは代替形態では、薬は多糖類に共役する。
【0018】
本発明の別の態様は、哺乳動物の気道に多糖類配合物を送達するシステムを含む。システムは、約5.0mg/ml未満の多糖濃度 (w/v)で、約50,000〜1.5x10ダルトンの間の分子量を有する多糖類と、吸入可能なフルオロカーボン推進薬を含む混合体、加圧混合体を密封するのに適したキャニスター、混合体の送達を調整するのにキャニスターに取り付けられたバルブ、バルブ作動時、および混合体がキャニスター外のノズルを経由する場合にキャニスター内の加圧混合体を吸入可能なエアゾールミストに変換するためのバルブに連結したノズルを含む。
【0019】
システムの実施例としては、エアゾールミスト内の多糖類は、約0.5〜10ミクロンの平均質量分布サイズを有する。このシステムの変形形態においては、この混合体は薬を含む場合もある。
【0020】
本発明の要約と先行技術を越えた利益を目的として、特定の目的および本発明の利益は上記で説明された。もちろん、本発明のいかなる特定の実施例に基づき、必ずしもすべてのかかる目的あるいは利益を得るわけではないことを理解する必要がある。従って、例えば、この技術の熟練者は、本発明で説明あるいは示唆されている別の目的あるいは利益を達成せずとも、本発明で説明されている一つあるいは複数の利益を得たり最適化するような方法で本発明を実施あるいは実行できることを理解すべきである。
【0021】
本発明のさらなる態様、特徴および利点は、好ましい実施例の詳述で明らかにされる。
好ましい実施例の詳細な説明
弾性線維は細胞外基質の顕著な構成要素で、組織の力学的性質を決定するのに重要な役割を果たす。その膨張性によって、外力の適用にも関わらず、弾性線維は組織を正常に機能させることができる。例えば、肺では、間質弾性線維および胸膜弾性線維は、吸気後に組織収縮を促進し、器官の永続的な膨張を防ぎ、さらに気道内のガスの流れを維持する。これらの線維への損傷は肺胞の拡張および破裂の原因となり、結果として肺気腫となる (Janoff他 (1985) Am. Rev. Respir. Dis. 132:417−433、Senior および Kuhn (1988)、Fishman 編 Pulmonary Diseases and Disorders、第2版、New York、McGraw−Hill、1209−1218ページ)。
【0022】
弾性線維の完全性維持の重要性にも関わらず、それらを損傷から保護する有効手段は現在ない。これらの線維はエラスターゼによる退化の影響を受けやすいので、上記で説明した通り、さまざまなエラスターゼ阻害剤が弾性線維の損傷を防ぐ可能性を有する手段として調査されてきた (Janoff他 (1985) Am. Rev. Respir. Dis. 132:417−433、Zimmerman および Powers (1989)、Hornebeck 編 Elastin and Elastases、第II巻、Boca Raton、CRC Press、109−123ページ)。特に、自然発生の阻害剤であるα−1抗プロテイナーゼは、この阻害剤が普段欠如している個人に対し、肺気腫を引き起こす弾性線維破壊の進行遅延の試みとして与えられてきた (LaurellおよびEriksson (1963)、Scand. J. Clin. Lab. Invest. 15:132−140)。しかし、かかる治療戦略では、弾性線維の損傷は、例えばα−1抗プロテイナーゼ等、特定の種類の生化学的異常が原因であると想定している。これらの線維への損傷がさまざまな発作 (エラスターゼが不定の役割を果たす) に対して、より一般的な反応を示す場合、酵素阻害剤は限られた効果のみを有する可能性がある。本発明の対象は、弾性線維を結合して覆う多糖類あるいは炭水化物成分の投与による、肺組織弾性線維の損傷の阻害である。従って、酵素、オキシダント、あるいはその他の有害な作用因子がこれらの線維を損傷するのを阻害する。
【0023】
本発明は、多糖類および/あるいはその派生物を肺に送達することにより、肺疾患の治療あるいは鎮静のための方法および物質を明らかにする。本文書で明らかにされた多糖類配合物は、カンターに与えられた米国特許出願番号5,633,003および同時係属の米国特許出願番号09/079,209に詳述されている通り、例えば気腫を含む、さまざまな肺の状態および疾患を治療・予防するのに有益である可能性があり、その開示内容は、あらゆる目的上、本文書に参照として完全に組み込まれている。さらに、その他の肺への多糖類投与の治療効能には、肺基質 (肺胞嚢および気管支を包含する組織) 内での高分子網目の形成による肺基質 (肺胞嚢と気管支が含まれる組織) の安定化、将来的な肺繊維の分解を低減または除去する目的や修復時の繊維を有害物質から保護するための肺の基質繊維への多糖類による障壁の形成、肺の含水量・潤滑・弾性反跳を向上させる肺基質・表面・細気管支および肺胞 (もしくはそのいずれか)の多糖類被膜の形成、ヒアルロン酸 (HA) が減少した状態 (加齢、気腫など) でのHAの置換え、肺胞の壁 (小疱など) などの繊細な解剖学的構造を補強するための肺への膨張性薬剤の供給、胸膜の内側・外側間への潤滑液の供給、肺の弾性反跳を促進するための粘弾性物質の供給、損傷した肺組織の治癒を促進するための包帯剤、感染・癌・過敏・アレルギーなどによる炎症の低減や防止、気管支痙攣の治療、粘膜の潤滑や緩和、毛様細胞の拍動、細胞付着 (または癒着)、細胞移動などの肺内部細胞の活動に影響を及ぼすための細胞受容体への結合などがある。
【0024】
肺気腫の原因はプロテイナーゼとそれらの阻害剤の不均衡であるという概念は、これらの酵素の活動を抑制することは肺損傷を予防するという希望のもと、エラスターゼの役割に研究を集中するのに役立った。しかしながら、かかる治療戦略は、気腫は単独の異常、すなわち、エラスターゼの過剰活動が原因であると想定する。もし、さまざまな発作 (エラスターゼが不定の役割を果たす) に対して、疾病がより一般的な肺の反応を示すのであれば、酵素阻害剤の効能には制限があり、その他の治療形態を必要とする可能性がある。
【0025】
肺胞破壊の代替のアプローチでは、肺弾性線維を損傷から直接保護するため、多糖類を使用する可能性がある。多糖類は弾性線維に優先的に結合し、エラストリシスを防ぎ、膵臓エラスターゼあるいは好中球エラスターゼのどちらかによって誘発される気腫の実験モデルにおける気腔拡大を制限する。弾性線維の破壊は疾患過程において最終共通路である可能性があるので、治療のこの方法は大気汚染物質および煙草の煙に含まれるさまざまなオキシダントを含む、気腫の原因となる多くの作用因子に対して効果を発揮する。
【0026】
HA含有量を削減するためのヒアルロニダーゼを用いた肺の予備治療は、正常なHA含有物を有する肺のエラスターゼの気管内点滴によって誘発された気腔拡大のさらなる増加につながる。HAはさらに肺気腫患者の肺において、著しく低減した。いかなる機構に制限されることなく、HAの局部的な高濃度は弾性線維に接触している好中球あるいはマクロファージとの間の接触を低減するよう作用すると確信される。この機構により、HAは直接の細胞性弾性線維損傷を防ぐよう作用することが可能である。機構はさらにこれら二つの構成要素の間で静電結合あるいは水素結合の形成も含む可能性がある。かかる結合場所はエラスチンタンパク質そのものに位置していない可能性があるが、その代わりに周辺組織を含むことがある。
【0027】
HAはさらに、水を保持する能力に基づき、弾性線維を保護する可能性がある。HAの損失は肺間質内の血管外の含水量を減少することが可能である。HAの糖成分に付着した負帯電のカルボキシル基は互いに拒絶し、HAドメインを拡大し、水を取り込む能力を高める。このプロセスは粘度を高める原因となり、それがエラスターゼを含む周辺分子の運動を減らし、弾性線維への損傷を制限する。
【0028】
オキシダントには組織および/あるいは弾性線維損傷に関与するオキシダントが含まれるが、それらはオゾン、スーパーオキシド・アニオン、過酸化水素、ヒドロキシル・ラジカル、次亜鉛素酸、モノクロラミン、二酸化窒素、および過酸化ラジカルであるがこれに限らない。
【0029】
その他の有害な作用因子には、紫外線、病原菌、遺伝的異常、老化および有毒物質 (例:殺虫剤、排気ガスおよび化学療法薬) が含まれる。遺伝的異常は、α1抗タンパク分解酵素欠乏症および弾性線維の合成を損なう、あるいは弾性線維の退化を促進するその他の種類を含む。
【0030】
本発明の背景における結合は、共有結合および非共有結合の両方を含む。結合は、高いあるいは低い親和力のどちらかである。結合は一時的な可能性もあり、そのような結合は一時的な相互作用を提供するのに十分な皮膜である。結合力の例は、イオン結合と共有結合、水素結合、静電気力、双極子相互作用、あるいはファン・デル・ワールス力を含むが、これに限らない。下記に詳述されているとおり、化合物の蛍光色素との結合後、結合は、この技術の熟練者により、蛍光顕微鏡検査法によって実験に基づき定義される。
【0031】
この治療は、ヒトを含む様々な哺乳動物を対象としている。
【0032】
多糖類あるいは炭水化物成分は、適切なキャリアの有無に関わらず、単独あるいはその他の多糖類あるいは炭水化物成分と組み合わされて投与される。かかる適切なキャリアとは、食塩水、DMSO、アルコールあるいは水などのキャリアを含むが、これに限らない。それは自然発生的な、化学修飾された、あるいは人工合成された化合物で構成されており、その化合物は多糖類あるいはその他の炭水化物成分で全体あるいは一部が構成されており、弾性線維との結合が可能である。
【0033】
毎日投与される多糖類あるいは炭水化物成分の量は、投与場所および経路によって、体重の約1ig/kg〜約1mg/kgと異なる。さらに好ましくは、投与量は、約50μg/kg体重/日〜約500μg/kg体重/日の範囲内である。最も好ましくは、投与量は約100μg/kg体重/日〜約300μg/kg体重/日の範囲内である。例えば、水 (1mg/ml) におけるウシ気管ヒアルロン酸 (HA) 0.1%溶液を含む、アエロゾルへの50分間の暴露は、HAでハムスター肺弾性線維を覆うのに有効であった。
【0034】
本発明のひとつの側面は、呼吸器疾患の治療および/あるいは予防のために、多糖類を包含する配合物を使用する方法である。一面において、その方法は、エアゾール化された場合、配合物が肺への送達に適した液滴サイズを生じるような多糖類の分子量、濃度および粘度を含んだ配合パラメーターを選択する手順から構成される。配合物はその後、エアゾール形成のためにエアゾール化されて肺に送達される。
【0035】
本発明の別の側面は、呼吸域あるいは肺深部とも呼ばれる肺胞、多糖類あるいはその派生物への送達方法に関わる。その方法は望ましい治療プロフィールを提供するのに十分な分子量を有する多糖類あるいは派生物の調製の選択を含む。その後、エアゾール化された場合に肺深部への送達に調節した粒子径を生じる濃度での、あるいは派生物の調製から構成される送達配合物を調製する。送達配合物はその後、エアゾールを形成するためにエアゾール化され、肺深部に送達される。
【0036】
多糖類あるいはその派生物から構成される量の配合物を肺胞へ送達する別の方法の態様では、配合パラメーターが選択される。これらのパラメーターは、エアゾール化された場合、肺胞への送達に調節した液滴サイズを生じるような多糖類あるいは派生物の分子量、濃度および粘度を含む。
【0037】
本発明の別の側面は、単独あるいは医薬品との併用に関わらず、噴霧療法あるいは点滴等によって肺組織に送達されるヒアルロン酸、その派生物、その他の多糖類、およびその他の多糖類の使用による、呼吸器疾患の治療および/あるいは予防方法に関わる。
【0038】
本発明の別の側面は、多糖類あるいはその派生物を肺の選択された標的部位へ送達する方法に関わる。その方法は、エアゾール化あるいは噴霧療法の最中の効果的な物質移動のための、好ましい流体力学的プロフィールを生じるよう調節された分子量および濃度で、多糖類あるいは派生物を包含する配合物を調製する手順を含み、さらにエアゾール化された場合、10ミクロン未満の平均液滴サイズ、好ましくは5ミクロン未満、さらに最も好ましくは0.05〜5ミクロンの間で、誘導気道への送達に適合した約2〜5ミクロンのサイズ範囲、あるいは肺深部あるいは呼吸域への送達に適合した約0.5〜2ミクロンのサイズ範囲で配合ができるよう、送達装置および操作パラメーターを選択する手順を含む。
【0039】
本発明の別の側面は、好ましい治療上のプロフィールを提供するため、さらに呼吸器疾患の治療のためにエアゾール化によって肺深部に送達できるよう選択された、分子量、濃度および粘度を有するHA、その他の多糖類およびその派生物を包含する配合に関わる。
【0040】
この発明の別の側面は、第二の活性物質と共役しているHAから構成される配合物に関するもので、ここで、この配合物は、呼吸器疾患の治療用にエアゾール形態で肺胞に送達できるよう選択された分子量、濃度および粘度を有する。
【0041】
この発明の別の側面は、多糖類および第二の物質から構成される配合物に関するもので、ここで、この配合物は、肺への送達ができるように、また第二の物質が全身に送達できるよう調節されている。
【0042】
本発明の目的は、肺疾患の治療用または緩和用に、生体適合性重合体およびその誘導体 (あるいはそのいずれか) を送達する手段を提供することである。本明細書で開示した多糖類配合物は、例えば、気腫など肺の各種の状態や疾患の治療や予防に有用であると考えられるが、これは米国特許第5,633,003号でカンターにより詳細に説明される通りであり、その開示内容を参照により本明細書に完全に組み入れる。さらに、肺への多糖類投与によるその他の治療効能には、肺基質内での高分子網目の形成による肺基質 (肺胞嚢と気管支が含まれる組織) の安定化、将来的な肺繊維の分解を低減または除去する目的や修復時に繊維を有害物質から保護するための肺の基質繊維への多糖類による障壁の形成、肺の含水量・潤滑・弾性反跳を向上させる肺基質・表面・細気管支および肺胞 (もしくはそのいずれか)の多糖類被膜の形成、ヒアルロン酸 (HA) が減少した状態 (加齢、気腫など) でのHAの置換え、肺胞の壁 (小疱など) などの繊細な解剖学的構造を補強するための肺への膨張性薬剤の供給、胸膜の内側・外側間の潤滑の供給、肺の弾性反跳を促進するための粘弾性物質の供給、損傷した肺組織の治癒を促進するための包帯剤、感染・癌・過敏・アレルギーなどによる炎症の低減や防止、気管支痙攣の治療、粘膜の潤滑や緩和、繊毛細胞の拍動、細胞付着 (または癒着)、細胞移動などの肺内部細胞の活動に影響を及ぼすための細胞受容体への結合などがある。
【0043】
本発明での有用な生体適合性重合体としては、天然および合成を問わず、未変性および変性であるかを問わず、陰イオン性または酸性の、糖類、二糖類、オリゴ糖 (小糖類)、多糖類などがあり、特に、グリコサミノグリカン (GAG) または酸性ムコ多糖類があり、これらには、非硫酸化 (HA、コンドロイチンなど) および硫酸化の形態 (コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、硫酸化へパリン、ケラタン硫酸など) が含まれるが、これに限定されない。この部類の酸性ムコ多糖類は、ヘキソサミン (N−アセチル化グリコサミンなど) および硫酸基の有無を問わずウロン酸 (D−グルクロン酸など) で構成される二糖類の反復単位を有する任意の多糖類として、さらに一般的なものとして定義できる。また、本発明によるこの部類の多糖類には、デキストラン、レクチン、グルカン、マンナン、ポリエチレングリコール (PEG) のほか、ポリペプチドやタンパク質などがある。本発明の一変形形態では、配合物は1種類以上の多糖類の組み合わせで構成できる。さらに、この発明は、ヒドロキシル、カルボキシル、硫酸基などの各種の化学基の付加により、またはポリマーへの結合により生成しうるポリマー誘導体を覆うことが意図されている。
【0044】
この発明の一側面によれば、多糖類は、細菌の発酵などの先行技術による様々な方法、動物または植物の組織から処理、あるいは化学合成により得ることができる。この物質の配合は、エアゾール、ドライパウダー送達、または直接滴下により、標的となる (影響を受ける) 組織、または患部組織を適切にカバーするような方法での肺への多糖類の送達が可能となる。具体的には、濃度、分子量、および粘度は、その物質が肺内の標的部位全体に分散され、好ましい投与頻度 (6時間毎から1日1回程度が望ましい) が得られるようなものとなる。この物質は、ヒトへの使用の安全性を損なう恐れのある不純物や細菌が含まれていないことが望ましい。
【0045】
HAは、ヒトの肺の基質にもともと存在するGAGの一種である。この物質は、潤滑剤としての作用、肺環境にある各種細胞や分子との相互作用などをはじめとする数々の役割を果たしている。これは、うっ血性心不全、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS)、その他の気道異常などへの反応として、中皮細胞により分泌される。本明細書で使用する場合、HAという用語は、ヒアルロン酸のほか、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム (ナトリウム塩)、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウムなどのヒアルロン酸塩などを意味する。
【0046】
HAは、単純な二糖類の反復単位で構成されるポリマーである。これらの二糖類の反復単位は、グルクロン酸およびN−アセチルグリコサミンで構成される。HAはあらゆる動物の結合組織細胞により生成されるもので、眼球ガラス体液、関節液、ニワトリのトサカといった組織などに大量が存在している。HAを単離する一方法は、トサカなどの組織を処理する方法である。この発明では、先行技術で説明されているとおり自然源から単離・精製したHAが利用できる。自然源から単離・精製したHAは、Biomatrix、Anika Therapeutics、ICN、Pharmaciaなどの商業供給業者から入手可能である。
【0047】
HAを生産する別の方法は、連鎖球菌などの細菌の発酵による方法である。細菌を、糖分の高いブロス内で培養すると、HAがブロス内に***される。その後、HAはブロスから分離され、不純物が除去される。発酵により生産されたHAの分子量は、発酵用ブロスに使用する糖類によって変化することが考えられる。本発明では、先行技術で説明されている細菌の発酵によって生産したHAを利用できる。発酵により生産されたHAは、Bayer、Genzyme、Lifecore Biomedicalなどの会社から入手可能である。
【0048】
HAは、その自然な形態では、5×10から最大1×10ダルトンの範囲の分子量を有する。その分子量は、酸、熱 (オートクレーブ、マイクロ波、乾熱など)、超音波のいずれかへの暴露などの各種の切断過程によって減少することがある。HAは、水溶性であり、粘性の高い水溶液を形成できる。
【0049】
動物の組織 (トサカなど) または細菌の発酵のいずれかによって得られたHAには、汚染物質のタンパク質が含有されている場合がある。タンパク質汚染物質の吸入は、一部の患者において、アレルギー反応を誘発することがあり、気管支収縮、浮腫、肺への炎症細胞の流入などの原因となる。したがって、この発明のHAでは、タンパク質含有量は5%未満であり、2%未満であることがより望ましく、0%から検出不可能レベルであることが最も望ましい。HA調製には、内毒素汚染物質が含まれている場合もある。アレルギー反応のリスクを最小限に抑えるために、この発明のHAのエンドトキシン濃度は、0.07EU/mg未満であり、0.01/EU/mgであることがより望ましく、0%から検出不可能レベルであることが最も望ましい。
【0050】
多糖類は、細菌成長の媒体の役割を果たすことがある。肺への多糖類の送達によって肺炎が誘発されないようにするために、この物質は滅菌すべきである。よって、この発明の多糖類の細菌数は、1cfu/g未満で、ゼロであることが望ましい。
【0051】
多糖類を肺に利用するための、その他の生理的パラメーターには、4.0〜8.9pH値、吸入用USP向けに確立された基準で判断される重金属の非毒性濃度などがある。
【0052】
この発明の一態様では、多糖類の液剤が使用される。この液剤は、ネブライザー、噴霧器 (アトマイザ)、吸入器などのエアゾール化装置により、ミストとしての吸入用にエアゾール化できる。
【0053】
別の態様によれば、この配合物はドライパウダーであり、エアゾール装置に注入する前に、各自が自宅または病院で生理食塩水または水と混合することになる。この装置では、患者が吸入するためのエアゾールが生成される。ドライパウダーでの配合は、エアガンを動力とするエアゾールチャンバーなどのエアゾール装置により、粉末形態で送達することもできる。ドライパウダー送達装置を製造する会社には、Dura Delivery Systems (「Dryhaler」)、Inhale Therapeutics、Glaxo Wellcome (Diskhaler) などがある。
【0054】
全般的に、呼吸器系は、気管/咽頭、気管支、および肺胞の3つの要素で構成されている。10〜50ミクロンの粒子は気管/咽頭構成要素まで移動すること、5〜10ミクロンの粒子は気管支の構成要素まで移動すること、0.5〜5ミクロンの粒子は肺胞の構成要素まで移動すること、0.5ミクロン未満のサイズの粒子はその場所に保持されないことが知られている。
【0055】
空気動力学的中央粒子径 (MMAD) により、所定の粒子が最終的に達する肺の場所が予測できる。通常、MMADはミクロン単位で表現される。関連性のあるパラメータには、幾何標準偏差 (GSD) がある。GSDが1であれば、正規分布である。GSDが1より小さければ、細いサイズのばらつきの幅が狭いこと、GSDが1より大きければばらつきの幅が広いことを示す。
【0056】
多糖類の化学修飾は、より高い親和性をもって肺の弾性線維に結合可能な新しい化合物の生成に利用することもできる。エラスチンは、カチオン性タンパク質の一種である。それゆえ、負電荷を帯びた基、イオン、置換物質を導入することで、多糖類と弾性線維との間の静電気力を改善を図ることができる。例えば、硫酸基を付加させて、化合物により高い負電荷を帯びさせることもできる。
【0057】
HAについて各種の固有の化学修飾図式は、以下に記載のとおりである。この技術分野の熟練者であれば、これらの図式を調節して、他の多糖類に作り変えることは容易にできる。
【0058】
下記の反応により、硫酸を、HAのヒドロキシル基、具体的には、N−アセチルグルコサミン成分の6−ヒドロキシルに導入することができる。
【0059】
1. HAのテトラブチルアンモニウムと、SO−ピリジンの反応。これは、米国特
許第6,027,741号「硫酸化ヒアルロン酸およびそのエステル類 (Sulfated
hyaluronic acid and esters thereof)」に詳細があるとおりで、この全
文を参照により本明細書に編み入れる。
【0060】
2. 乾燥したHAと乾燥ビリジン中のクロロスルホン酸の反応。これは、ウォル
フロム (Wolfrom, ML) による「コンドロイチン硫酸の修飾 (Chondroitin
sulfate modifications)」(J. Am. Chem. Soc. 82、2588−2592) に詳細
があるとおりである。
【0061】
硫酸基をHAに付加する別の方法には、N−アセチルを脱アセチル化した後で、NHと反応させることに関する。硫酸化は、(a) 高温で無水ヒドラジンと反応させることで、HAのN−アセチルグルコサミン成分を脱アセチル化した後、(b) 誘導物質をトリメチルアミン−三硫化硫黄で処置するといった2つの手順で完了する。米国特許第5,008,253号「デルマタン硫酸のコンドロイチン硫酸およびヒアルロン酸のスルフォアミノ誘導体およびその薬理学的特性 (Sulfoamino derivatives of chondroitin sulfates of dermatan sulfate and of hyaluronic acid and their pharmacological properties)」などを参照のこと。その開示内容の全文を参照により本明細書に編入する。
【0062】
硫酸基に加え、カルボキシル基を多糖類に付加して、負電荷を増大させることができ、それによって肺基質中のエラスチンの結合を改善することができる。以下の反応は、HAのカルボキシル化反応の図式を描写するために挙げたものである。
【0063】
1. N−アセチルグルコサミンの6−ヒドロキシルを標的にしてさらに修飾し、追加カルボキシル基を導入することができる。例えば、乾燥したHAとクロロ酢酸ナトリウムとの反応がある。
【0064】
2. 水と非プロトン性溶媒の存在する中で、HAのカルボキシル官能基を第三級アンモニウムまたは第三級ホスホニウム塩に変換することにより、HAのヒドロキシル官能基をエステル化した後、その溶液を無水コハク酸で処理す
る。これは、米国特許第6,017,901号「ヒアルロン酸またはヒアルロン酸エステルのあるコハク酸半エステルの重金属塩、その調製プロセス、および関連性のある医薬品の組成 (Heavy metal salts of succinic acid hemiesters with hyaluronic acid or hyaluronic acid esters, a processfor their preparation and relative pharmaceutical compositions)」に開示されているとおりである。
【0065】
3. 前の例と同様に、エチレンジアミン四酢酸二無水物 (EDTAA) などの二無水物を使用することもできる。この反応により、架橋HAが生成される。ところが、無水物から遊離したペンダントカルボキシル基が、二無水物とHAの反応の後に存在することがある。これは、米国特許第5,690,961号「ポリカルボン酸と架橋結合した酸性多糖類とその用途 (Acidic polysaccharides crosslinked withpolycarboxylic acids andtheir uses)」に説明がある。上記の各参考資料の全文を参照により本明細書に編み入れる。
【0066】
親油性側鎖を多糖類に付加し、多糖類とエラスチンとの間の拘束力を増大させることができる。カルボキシル基やヒドロキシル基などの極性官能基は、親水性に影響を及ぼす。エラスチンは、脂肪族側鎖のあるアミノ酸の豊富な組成であるため、親油性成分を多糖類に導入することで、エラスチン繊維に対するその親和性を向上させることができる。下記の反応図式は、HAに関するものである。
【0067】
1. アセチル基をHAの4か所のヒドロキシル部位に導入することで、アセチルヒアルロン酸が生成される。アセチルヒアルロン酸の製造方法は、ヒアルロン酸の粉末を無水酢酸溶媒に懸濁させた後、それに高濃度の硫酸を添加しアセチル化に影響を与える手順から構成される。HAの各二糖類ユニットには、4個のヒドロキシル基があるため、最大置換度は4である。実際には、部分的にのみアセチル化が起こる。置換度によって、修飾されたHAの親油性 (よって疎水性) が決定される。親油性が高くなると、HA誘導体のエラスチン繊維の親油性成分に対する親和性が高くなる。
【0068】
2. 米国特許第5,679,657号「低分子量のヒアルロン酸アセチル、皮膚軟化成分、その製造方法、およびその精製方法 (Low molecular weight acetylhyaluronate, skin−softening composition, method of manufacturing the same, and method of purifying the same)」を参照のこと。
【0069】
3. HAは、ヨウ化プロピルなどのハロゲン化アルキルと反応し、カルボキシル基からのエステル官能基を形成しうる。HA誘導体は、誘導体化の度合いの増大に比例して、水溶性の度合いが低く、親油性の度合いが高くなるが、これは欧州特許出願第86305233.8号に説明のとおりである。
【0070】
4. 脂肪族側鎖または芳香族側鎖のあるカルボジイミドは、ヒアルロン酸のカルボキシル基と反応し、疎水性の特性のあるHAのアシル尿素誘導体を形成
するが、これは、Kuo他 (Bioconjugate Chemistry, 1991,2, 232−241) により説明のとおりである。上記の各参考資料の全文を参照により本明細書に編み入れる。
【0071】
本発明の好ましい側面として、多糖類または誘導体の分子量を特定して、好ましい生理的効果または分子の相互作用、つまり好ましい治療上のプロフィールを作り出すことができる。上記に検討したとおり、多糖類およびそれらの誘導体は、反復単位によるポリマーであり、その結果、広範囲の分子量で、単離、精製、合成、市場での入手ができる。ポリマーの生理的効果および分子の相互作用は、分子量によって異なる。同様に、肺内の特定した標的部位へのポリマーの物理的な送達は、ポリマーのサイズ (分子量) により異なる。異なる臨床的徴候に対しては、異なる治療プロフィールが望ましく、この技術分野に熟練した医師による過度の実験を経ることなく、本明細書に開示の教示を使用して個別に開発・最適化ができる。
【0072】
例えば、損傷に対する細胞外基質の保護が必要な場合には、エラスチン繊維との効果的な結合およびそのコーティングを形成する目的で、高分子量な多糖類の調製が望ましくなる。実際には、エラスチンとの親和性が向上するように修飾された高分子量の多糖類誘導体が望ましい。高分子量の調製は、ポリマーが大規模であることが、広い範囲の気道疾患に対応する上で良い賦形剤であり、良いキャリアでありえる薬物の貯蔵にも望ましい。それに対して、低分子量の調製は、痰(たん) の緩和、深い肺組織への浸透、肺胞上皮性障壁の通過などには優れている。さらに、高い保水力と肺胞の膨張に対する過度の抵抗力が存在する場合には (呼吸窮迫症候群など)、含水量が少なく、本来備わっている弾性反跳の弱いポリマーの低分子量調製が望ましい。分子量の特定にあたっては、医師は、好ましい治療上のプロフィールと、肺深部への送達についての物理的制約とのバランスをとる必要がある。
【0073】
本明細書で使用している「治療プロフィール」は、肺内部でのグリコサミノグリカンの持続時間 (半減期など)、保水力、弾性反跳、コーティング指標、エラスチンに対する結合の親和性 (またはこの技術で知られているその他の細胞外基質構成要素)、体循環への吸収などの指標のうち、少なくともどれか一つから構成される。
【0074】
高分子量の多糖類調製は、低分子量調製に比較して、(1) 肺内での持続時間が長くなる、(2) 保水量が多くなる、(3) 弾性反跳が追加される、(4) 厚くより完全な細胞外基質のカバーが形成されるなどが観察されている。
【0075】
肺内での持続時間について、本発明によるポリマー調製は、0.5時間〜1週間にわたり肺内に残留する分子量を有するが、この期間は、1時間〜1日が望ましく、4時間〜16時間がさらに望ましい。最も望ましくは、GAGが少なくとも6時間の間、肺基質と結びついたままであることである。これによって、1日に4回以下の投与回数となる。
【0076】
分子量が25,000〜2,000,000ダルトンの間のHA調製が、上記と一貫性のある肺の持続時間、保水力、弾性反跳、および基質範囲を得るために使用できることが観察されている。多糖類の濃度、分子量、および粘度の間の関係は、以下に詳しく検討する。分子量が2,000,000ダルトンより大きいHAの調製法を使用したとき、粘性が過度に高い溶液が精製された。よって、最も分子量の高い調製では、最高の持続時間、保水力、弾性反跳、基質範囲が得られるが、これらの特性は、特に低い展開温度 (展開時に溶液を著しく冷却するジェット噴霧器など) で粘度が過度に高くなることに対してバランスをとる必要がある。一般に、HAについて、約1.5×10ダルトン未満の分子量を有する調製法の使用が好ましいことが観察されているが、この分子量は500kD未満であることがより好ましく、さらに約220kD未満であることがより好ましく、約150kD未満であることが最も好ましい。
【0077】
分子量の他にも、グリコサミノグリカン溶液の濃度も、持続時間、保水力、弾性反跳、および基質範囲、ならびに配合物の粘度に影響を及ぼす。粘度は、濃度の増大に伴い増加する。粘度は、温度の低下に伴い増加する。HAの濃度は、周囲温度 (20°〜25°C) で0.05mg/L〜5mg/Lの間であることが好ましい。好ましい濃度は5mg/L未満であるが、2mg/L未満であることがより好ましく、1mg/Lであることがさらに好ましい。好ましい濃度は0.05mg/L以上、より望ましくは0.5mg/L以上が好ましい。選択した分子量の調製の濃度は、温度に応じて、選択した粘度が得られるように調整できる。
【0078】
物質の粘度または厚さは、濃度と分子量の組み合わせに関連する。濃度が一定である場合、粘度は、分子量の増加に伴い増加する。同様に、分子量が一定である場合に、粘度は、濃度の増大に伴い増加する。粘度は、粘度計 (Brookfield社製の装置がその一例) により測定でき、センチポアズ単位 (略:cps) で表現される。
【0079】
物質は、送達装置 (エアゾール化装置などにより) から気道まで、末端の気管支および肺胞にまで移動させる必要があり、そこから肺の細胞外基質に分散される。送達される配合法には、エアゾール装置の目詰まりや、エアゾール化した粒子の凝集を避けるための物理的な特定があるべきである。ゆっくりと送達される粘性の高い物質が目詰まりや塞栓の原因とはならないことに対し、粘性の低い物質を急いで送達した場合には、その可能性があることに注意すべきである。
【0080】
特定の分子量、濃度、および粘度の配合物は、大量の無菌送達溶媒 (水または生理食塩水など) を、一定量の滅菌済みの医療用多糖類粉末に加えることによって製造されることが望ましい。より好ましくは、密封されたバイアルに滅菌済みの溶媒を注入する方法で、予め重さを計った分量の多糖類の入ったユニット投与用バイアルを使用の直前に溶解させることもできる。その後、粉末状の多糖類を溶媒に混合し、溶解させる。この他、液体の多糖類を滅菌した溶媒で希釈することにより、ある一定の濃度の多糖類を準備できる。
【0081】
本発明では、約0°〜約100°Cの (約4°〜60°Cであることが好ましく、約15°〜37°Cであることがさらに好ましい) 配合温度が使用されうるが、所定の分子量および濃度の多糖類の粘度は、温度により異なる。よって、利用者は、粘度計により粘度を経験的に判断でき、それに従い希望の送達メカニズム (ネブライザー、エアゾール化装置、吸入器など) に応じて、特定した肺の標的部位送達に適した粘度が得られるように濃度を調節できる。周囲温度での肺への送達の場合には、粘度は、約1000cps未満であることが望ましく、100cps未満であることがさらに望ましく、50cps未満であることが最も望ましいことが観察されている。
【0082】
気道の特定した標的部位に送達するための多糖類溶液の配合において考慮すべき別の因子は、精製される液滴または粒径である。この因子は、エアゾールと粉末の両方の送達経路について考慮すべきである。粒径は、直径約10ミクロン未満であることが望ましい。粒径が2〜5ミクロンの間であることが、さらに望ましい。ミクロンで表す粒径と、フルオレセイン標識で示される多糖類の分子量および濃度との関連性は、カスケードインパクター (下記の例にあるデータを参照) を用いた空気動力学的中央粒子径として測定できる。X軸の数値は、篩のサイズをミクロン単位で表し、Y軸の数値は、特定の篩に影響する蛍光 (多糖類の量) を表している (中央粒子径は、空隙を通過するには大きすぎる)。本発明のポリマーは水を含み、そのため水を吸収し膨張するため、肺への送達がより厳密に反映されるように、加湿したカスケードインパクターを使用できる。
【0083】
Raabe他は、単分散エアゾール粒子吸入を用いて、小型実験動物における各種の気道への粒径の侵入についての調査を報告した。Raabe他の報告書 (Ann. Occup. Hyg. 1988、32:53−63) の全文を参照により本明細書に編み入れる。肺内の標的部位への送達用の望ましい粒径について、臨床医に知らせるために同様な分析を実施することができる。
【0084】
本発明の好ましい態様による粒径は、約2ミクロン〜約5ミクロンの間で、これによって、肺胞への送達に適するよう調節される。大きすぎる粒子は、細気管支末端を通した効率よい送達がなされず、小さすぎる粒子は、肺胞内面に接触する前に吐き出される傾向にある。よって、治療プロフィール (持続時間、保水、弾性反跳、基質範囲など) は、分子量の増大とともに増加する傾向にあるが、相対的送達可能度 (2〜5ミクロン範囲にある粒子の出現率) は、分子量の増大とともに減少する傾向にある。
【0085】
肺全体に送達するために、ヒトが吸入できるエアゾールを生成するために、グリコサミノグリカンは、上記に詳細した適切な液滴の大きさ (直径約2〜5ミクロンの間であることが望ましい) にエアゾール化する必要がある。直径5ミクロンを超える一部の液滴は、ネブライザーチューブのほか、マスク、口、咽頭、喉頭などの部位に沈着することがある。直径2ミクロン未満の液滴は、気道内には沈着しない傾向にあり、吐き出され失われる。2〜5ミクロンの液滴は、本明細書の教示に従い、適切なエアゾール装置、溶液濃度、複合分子量、添加物などを選択することで達成できる。
【0086】
界面活性物質 (サーファクタント)、石鹸、ビタミンE、アルコールなどの添加物を添加して生成後の液滴の凝集を防いだり、エアゾール装置での微細な粒子の生成を促進させることもできる。本発明の一実施態には、グリコサミノグリカンに1種以上のこれらの添加物を組み合わせたものがある。
【0087】
エアゾールにより肺への送達用に呼吸可能な配合を選択する方法には、直径10ミクロン未満 (6ミクロン未満がより望ましい、2〜5ミクロンが最も望ましい) の液滴を生成する配合であるかについて、複数の配合物を選別する方法がある。10ミクロンを超える液滴を生成する配合物は、肺への送達には適していない。各配合物についてエアゾール化した噴霧の粒径分布は、Malvern Laserまたはカスケードインパクター (図1A−Lに示すデータを生成するために使用された装置) などの装置を用いて測定される。本発明には、10ミクロン未満 (2〜5ミクロンの間であることが望ましい) の液滴の大きさにエアゾール化しうるあらゆる分子量および濃度の多糖類の組み合わせが含まれる。
【0088】
本発明の一実施態には、吸入可能な噴霧を生成するためのエアゾール発生器の使用に関するものがある。多糖類エアゾールを生成する一クラスの装置には、噴霧器 (スプレーアトマイザー) がある。多糖類エアゾールを生成するための別のクラスの装置には、ネブライザーがある。ネブライザーは、10ミクロン未満の液滴を生成するよう設計されている。
【0089】
一般に使用される多くのネブライザーである1) 圧縮空気噴霧器 (この例としてはAeroEclipse、Pari L.C.、Parijet 、Whisper Jet) および2)超音波ネブライザーを、肺に送達するための多糖類のエアゾール化に使用することができる。圧縮空気ネブライザーでは、液流を高速移動する空気で打ち砕くことにより、液滴が生成される。本発明の一態様は、多糖類溶液をエアゾール化してサイズが10ミクロン未満の液滴にするための、圧縮空気ネブライザーの使用に関するものである。超音波ネブライザーでは、圧電変換器を利用して電流が機械的振動に変換され、これにより、溶液からエアゾール液滴が生成される。超音波ネブライザーにより生成された液滴は、空気流により運び出される。本発明の別の態様は、多糖類溶液をエアゾール化して大きさが10ミクロン未満の液滴にするための、超音波ネブライザーの使用に関するものである。
【0090】
本発明の別の態様は、多糖類エアゾールを生成するための、手持ち式の吸入器の使用である。この携帯用の装置によって、患者は、ミストの「霧」を継続的に口に注入するのではなく、一回分のミストを投与することができるようになる。喘息、アレルギー、またはCOPDなどの気管支収縮の病気のある個人は、これらの手持ち式吸入器 (MDIやDPI) を、急襲な息切れの軽減に使用するためにポケットやハンドバッグに入れて持ち歩いていることがよくある。これらの装置には、アルブテロールまたはアトロベントなどの気管支拡張薬が含まれている。また、これらは、グリコサミノグリカンを患者に送達する便利な方法でもある。
【0091】
ネブライザーによる処置では、喘息または気腫の急性発作のある患者が、エアゾール化した気管支拡張薬で治療する方法と類似し、患者はエアゾール化した多糖類溶液を連続的な噴霧により吸入する。エアゾールは、肺に吸入するためにチューブまたはマスクを通して患者の口に注入される。処置の持続時間は、30分以内であると考えられる。鼻の「無駄な」沈着物を避けるために、吸入には鼻ではなく口を使用することが望ましい。多糖類配合物と患者の臨床状態により異なることがあるが、ネブライザーによる多糖類の送達率を最適化するには、ネブライザーの体積流量 (L/min) が、患者の換気量の2倍を超えないようにすることが望ましい。これは、呼息および吸息が、それぞれ呼吸の周期の半分であるとするとき、平均呼吸速度は換気量の約2倍となるためである。本発明の一態様では、体積流量が15L/min未満のネブライザーが採用される。
【0092】
ネブライザーにより生成される粒径の分布は、ネブライザーおよび配合 (上記で検討済み) に関連した多くの変数による関数である。圧縮空気ネブライザーについて、ネブライザーに関連した因子には、空気圧、気流、およびエアジェット径がある。超音波ネブライザーについて、ネブライザーに関連した因子には、超音波、および気流の速さ/体積がある。本発明の一態様では、特定の多糖類配合物の10ミクロン未満の液滴を生成するために、特定の空気圧、気流、穴径設定値のある圧縮空気ネブライザーが使用される。別の態様では、特定の多糖類配合物の10ミクロン未満の液滴を生成するために、特定の周波数および穴径設定値のある超音波ネブライザーが採用される。
【0093】
理想的なネブライザーおよび配合の選択を決定するその他の考慮事項としては、溶液使用率 (ml/min)、エアゾールの大量排出 (mg/L)、ネブライザーの「保持」体積 (ml) などがある。これらの因子間の相互関係については、この技術分野の熟練者であれば理解できる。
【0094】
エアゾール化した多糖類は、ネブライザーから、マスク、非再呼吸器、鼻カニューレ、鼻被覆、「ブローバイ」(吹き抜け) マスク、気管内チューブ、およびアンビューバッグなどを経由して、患者の気道に送達できる。患者とネブライザーの間のこれらすべての経路は、本発明の範囲に収まると考えられる。
【0095】
本発明は、肺内に物理的に存在することにより、有益な効果を呼吸器疾患に及ぼす非毒性療法であることから、本発明の配合では、多糖類が肺内に連続的に残存するようにすべきである。ウザギの胸膜 (肺と胸壁間に存在しうる距離) に注入したHAの半減期は、8〜15時間の範囲であることが示されている。注入するHAが多ければ、半減期は長くなる。気腫に対して一般に吸入される薬の投薬は、1日に1〜3回行われる。投薬回数が多くなると、患者のコンプライアンス問題がでてくる。本発明の一側面には、1日4回の投与となるように6時間 (または1日3回となるように8時間が望ましい) のあいだ肺内に残留する多糖類の配合物が関連する。さらに好ましい実施例は、肺内に12時間残留する配合物であり、1日に2回の投与となる。さらに好ましい実施例は、肺内に24時間残留する配合物であり、1日に1回の投与となる。
【0096】
持続時間の異なる配合物の効果は、多糖類にトリチウム、C14、タリウム、テクネチウムなどの放射能により標識を付けた研究が、哺乳類で実施されている。別の方法として、特定のポリマーの直接の検定を採用できる。HAの一放射能測定法では、125I表示付きのHABP (HA結合タンパク質) が使用されるが、この検定は、Pharmacia社(「Pharmacia HA Test」) から商業的に利用できる。物質を肺に送達し、シンチレーションカウンター (γカメラなど) を使用し、時間の経過に伴い監視する。別の方法としては、一群の動物 (ラットなど) に放射能表示付きのグリコサミノグリカンを肺に投与した後、時間経過に伴い、連続的に犠牲にする。切除した組織の放射能を検査して、持続時間または半減期を決定する。
【0097】
ネブライザーによる多糖類の送達、および気管の前側の面を介した直接滴下に加え、気管支鏡検査法によって、多糖類を標的の肺組織に送達することもできる。気管支鏡検査法は、肺内科医が内視鏡を患者の口から気管を経由して管支に挿入する手順である。内視鏡によって、診断 (気管支肺胞の洗浄標本の収集など) や治療手段 (ステントの配置など) のための視覚化と肺へのアクセスが可能となる。本発明の一態様は、気管支鏡により、肺の特定領域に多糖類の送達に関するものである。
【0098】
本発明の別の態様は、胸腔を通じての多糖類の送達に関するものである。多糖類は、針によって経皮的に、またはカテーテルまたは胸腔チューブによるかいずれかの経路で、胸膜腔に送達できる。胸膜腔による方法の適用は、胸膜炎、転移、癒着、気胸、肺塞栓症などからくる痛みのある患者にとって利益となることが考えられる。多糖類および特にグリコサミノグリカンは治癒を促進することから、グリコサミノグリカンを胸膜腔に注入することで、気胸 (肺の虚脱) のある患者の治癒過程を早める可能性がある。さらに、グリコサミノグリカンの粘弾性により、肺の弾性反跳が増強される可能性もある。
【0099】
援助のない吸入法による送達に加え、本発明の別の実施態には、陽圧の人工呼吸下でのエアゾール化多糖類の送達に関するものがある。一般に使用されている人工呼吸援助装置はCPAP (持続性気道陽圧) である。この用途では、呼吸マスクで患者の口が塞がれる。次に、吸息を促すように一定の圧力で、患者にマスクを通して酸素が投与される。CPAPマスクによる多糖類の送達により、深い気道への物質の送達が促進される可能性がある。肺胞への、また肺胞上皮性関門を通過しての送達を促進するために、多糖類を患者が呼気終末陽圧 (PEEP) を用いて人工呼吸をしている最中に送達できる。
【0100】
本発明の別の態様は、患者において一定レベルの負の吸気圧となった時に物質を送達する装置を用いて、エアゾール化した多糖類を送達することである。
【0101】
本発明の別の態様は、気管内チューブによる人工呼吸に関連して、多糖類を送達することである。この実施態の一利点としては、高濃度の酸素を用いて人工呼吸をしている患者の酸素毒性に対する保護が得られることである。さらに、多糖類の粘弾性により、気胸の合併症の原因となる人工呼吸器で援助された圧力障害から肺が保護される。
【0102】
多糖類は、気管内チューブ (末端部またはカフのいずれか) と気管の間の保護被膜の役目をする形で、気管内チューブを通して送達するこができる。これにより、持続的な挿管の合併症の一つである気管狭窄症の発生率が減少する。
【0103】
本発明の別の側面では、局所療法または全身療法の際に、薬物やその他の物質 (造影剤など) を肺に送達するために、多糖類を含む方法および配合が開示されている。また、本発明には、薬物の送達の前または後に、その薬物の効力を高めるために、薬物をゆっくりと放出するための貯蔵所として変質のない形態、薬物のキャリアとして変質のない形態、または薬物の共役体として変質された形態のいずれかの形態で、多糖類を肺に送達する方法および配合も含まれる。
【0104】
本発明では、エアゾール多糖類によって肺の保護が実現されるのと同様に、本発明では、エアゾール送達による他の組織、例えば、手術時に露出した組織、鼻の気道、やけど、粘膜などへの多糖類の適用も実現される。
【0105】
多糖類は、リポソームなどの被包物質やキャリア物質、あるいはアルブミン (Molecular Biosystems 社製の Albunex)、糖 (類) (Schering 社製の Levovist)、ゼラチン、脂質 (リピド) などのその他の薬物「シェル」によって、ゆっくりと放出させるよう肺に送達できる。
【0106】
第二の物質に関連し、またその送達を促進するために、多糖類が使用されている、本発明の一側面の具体的な実施例を、本発明による好ましい多糖類の一つであるHAに関連してここに詳細に説明する。
【0107】
肺へ送達するために、無修飾のHAを薬物と組合わせることができる。無修飾のHAは、眼科用の薬物 (ピロカルビン) のキャリアとして使用されてきたが、これは、粘膜組織による薬物やタンパク質の吸収を高め、薬物 (非ステロイド性抗炎症剤 (NSAID) であるシクロスポリン) の活性を高め、薬物 (ジクロフェナク) がゆっくりと放出されるように薬物を貯蔵する「貯蔵庫」としての役目を果たすためである。無修飾のHAは、インシュリンなどのペプチド類と組み合わせて、肺による体循環への吸収を高めることができる。無修飾のHAは、肺を標的とした薬物 (例1を参照) がゆっくりと放出するように「貯蔵庫」としての役割、または全身性送達を意図した薬物 (麻薬、インシュリン、その他の自然発生的なペプチド類) がゆっくりと放出するように「貯蔵庫」としての役割を果たすことができる。
【0108】
HAレセプターは、転移性癌細胞で過剰発現する。このことから、標的とする肺癌に対する抗癌剤をHAキャリアによって送達する機会が得られる。
【0109】
HAは、NSAIDとステロイド (メチルプレドニゾロン) の添加用にエステル化されてきた。その他のHA誘導体については、NSAIDおよびステロイドを運ぶHAのヒドロジン修飾などの薬物の添加について説明されてきた。ドキソルビシンなどの複合抗生物質が、アミド結合によってHAに付加される。アセチル化されたHAは、5FUやシトシンアラビノシドなどの抗癌剤と結びつけられてきた。これらのおよびその他のHA薬物の共役体は、肺への、特にHAがエラスチン繊維と結合する肺基質への化合物のエアゾールの送達に使用できる。これらのHA薬物の共役体は、肺治療薬 (1を参照) または全身性物質を送達できる。
【0110】
HAは、核のタグ (タリウムなど) などの造影剤や、肺への吸入用の対比用色素に結合させることができる。HAはエラスチン繊維に結合するため、これにより肺基質の造影が可能となる。
【0111】
喘息などの呼吸器疾患の治療や、嚢胞性線維症用のDNaseなどのタンパク質療法において、肺への薬物の局所的送達が使用されてきた。肺胞が含まれる肺の深部は、広い表面積を有し、薄い内面組織で、タンパク質分解酵素の数は制限されているが、これは、医薬品の全身性送達においては、全くの利点である。
【0112】
最も新しい肺送達システムでは、液状の薬物が送達されるが、吸息流速で吸入の体積分を液剤非常に細いノズル (直径2.5ミクロン) によって押し出すことが望ましい。
【0113】
微細な乾燥粉末を、エアゾールを噴霧状で肺に送達することもできる。これは、吸入器内にある薬物の粉末に圧縮空気を送り込み、粉末を肺の深部に到達可能な微粒子 (1〜5ミクロン) の霧状に分散させることで生成できる。このような新型の吸入器には再生産性があり、薬物の20〜50%が肺に送達される。
薬物送達
多糖類およびその誘導体は、薬物を用いて液体または固形として調剤でき、噴霧化またはエアゾール化して、肺に送達できる。肺などの特定の組織にいったん送達されると、様々なメカニズムにより多糖類から薬物が放出される。
【0114】
1. 粉末として送達された多糖類は、体液で膨張しヒドロゲルを形成するが、これが溶剤の活性化により、関連した薬物を放出する。多糖類ヒドロゲルは、多糖類の化学的架橋による生成物である。高分子量の直鎖状の多糖類(無修飾) も、著しく膨張することがあり、それによりある一定の用途に有用となる。膨張の度合いは、架橋ヒドロゲルよりも小さい。
【0115】
2. 拡散による薬物の放出を招く化学反応による、ポリマーマトリクス (薬物に組み込まれている) の侵食。多糖類の不水溶性基質は、疎水性修飾または架橋結合 (あるいはその両方) による生成物である。
【0116】
3. 共有結合の切断後、ポリマーマトリクスシステムへ薬物が放出される。加水分解性の連鎖を用いた多糖類薬共役体により送達系が形成され、そこで連鎖の加水分解により、薬物が放出される。
【0117】
多糖類誘導体は、薬物送達の促進に使用できる。例えば、架橋HAは、自然のHAについて上記のとおり、肺に単独で送達できる。さらに、架橋HAは、その他の治療薬と共に送達できる。架橋HA誘導体の例、およびその製法を下記に提示する。
ビスカルボジイミドにより架橋した HA
米国特許第5,356,883号「ヒアルロン酸の水溶性誘導体およびその調製と用途 (Water−insoluble derivatives of hyaluronic acid and their methods of preparation and use)」(Kuo他) に、HAとビスカルボジイミドの反応による、水溶性の生体適合性のゲル、フィルム、スポンジの製法が開示されている。最終生産物は、HAアシル尿素である。この特許の全文を参照により本明細書に編み入れる。
ジビニルスルホンにより架橋した HA
米国特許第4,605,691号「ヒアルロン酸の架橋ゲルおよび、同ゲルを含む物質 (Cross−linked gels of hyaluronic acid and products containing such gels)」(Balazs他) では、pH値が約9以上の希薄アルカリ水溶液内のHAと、ジビニルスルホンとの約20°Cでの架橋反応で構成される、HAの架橋ゲルの製法を教示している。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
ジエポキシドにより架橋した HA
米国特許第4,863,907号「架橋グリコサミノグリカンおよびその用途 (Crosslinked glycosaminoglycans and their use)」(桜井他) では、グリコサミノグリカンまたはその塩類を多官能性エポキシ化合物で架橋して準備した、架橋グリコサミノグリカンおよびその塩類が開示されており、ここで、架橋指標は、グリコサミノグリカンの二糖類の反復1モル当たり0.005以上である。化合物には、医療上および化粧品の様々な用途がある。多官能性エポキシ化合物は、エピクロルヒドリンまたはエピブロモヒドリンである。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0118】
米国特許第4,716,224号「架橋ヒアルロン酸およびその用途 (Crosslinked hyaluronic acid and its use)」(桜井他) では、米国特許第4,863,907号と類似した化合物が開示されているおり、ここで、多官能性エポキシ化合物は、ハロメチルオキシラン化合物のグループから選択され、ビスエポキシ化合物は、1,2−ビス (2,3−エポキシプロポキシ) エタン、1,4−ビス (2,3−エポキシプロポキシ) ブタン、1,6−ビス (2,3−エポキシプロポキシ) ヘキサンで構成されるグループから選択されている。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
多価陽イオンにより架橋した HA
米国特許第5,532,221号「癒着防止のためのイオンにより架橋されたカルボキシルを含む多糖類 (Ionically crosslinked carboxyl−containing polysaccharides for adhesion prevention)」(Huang他) では、イオンにより架橋されたカルボキシルを含む多糖類、またはその多糖類の薬理学的に共用可能な塩を局所的に適用することで、手術後の癒着の形成を低減する方法が開示されており、その例として、ヒアルロン酸ナトリウムを塩化第二鉄で架橋したものの、手術による外傷部位への適用が挙げられている。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
ジヒドラジドにより架橋した HA
米国特許第5,652,347号「ヒアルロン酸の機能化された誘導体の製法 (Method for making functionalized derivatives of hyaluronic acid)」(Pouyani他) では、ジヒドラジドにより機能化されたヒアルロン酸が教示されているが、架橋結合も考えられる。ジヒドラジドにより機能化されたヒアルロン酸の製法には、ヒアルロン酸とジヒドラジドを水溶液中で混合した後、カルボジイミドを添加し、ヒアルロン酸とジヒドラジドが反応し、機能化されたヒアルロン酸を形成する過程が含まれる。HA結合に対するHA架橋の度合いは、ジヒドラジドとHAの化学的数量による。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
リン化合物により架橋した HA
米国特許第5,783,691号「架橋ヒアルロン酸ゲル、その用途、およびその製法 (Crosslinked hyaluronate gels, their use and method for producing them)」(Malson他) では、リンを含む試薬との反応、特にリン酸の誘導体との反応により架橋が実現された、架橋ヒアルロン酸誘導体について教示されている。本発明は、HA投与用のゆっくりと放出する貯蔵庫として、またはゲルに組み込まれた薬物としての、その物質の製法とその用途にも関連している。架橋ヒアルロン酸ナトリウムのゲルの製造過程も開示されており、この過程は、架橋状態にあるリン酸ハライド、リン酸オキシハライド、リン酸無水物からなるグループから選択したヒアルロン酸ナトリウムの溶液とリン酸誘導体との反応から構成される。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0119】
その他の多糖類修飾についても、本発明の範囲内で含める。例は以下のとおりである。
設計されたカルボジイミドにより修飾された HA
Kuo他 (Bioconjugate Chemistry、1991、2:232−241) により、設計されたカルボジイミドにより修飾されたHAが開示されており、ここで、アミン化されたHAが合成されるが、これに各種の薬物を付加できる。この全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0120】
抗炎症薬などのカルボン酸塩を含有する薬品を、対応するN−ヒドロキシスクシンイミド (NHS) の有効なエステルに変換することができ、これを生理的状態で第一級アミンと反応させることができる。ペプチドなどのアミンを含む薬物は、以下の方法により、アミン鎖に連結できる。ジチオビス (サクシミジル) プロピオネート (DSP) などのチオール切断可能な架橋が、HAのアミン鎖の架橋に使用される。次に、ジスルフィド結合の還元により生成したスルフヒドリル基を、ヘトロ二機能性架橋剤N−スクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸塩 (SPDP) により、ペプチドにあるリジンのアミノ基と反応させることができる。
ステロイド化合物はヒドロキシル基を有し、 HA とのエステルを形成しうる
エステルの製法が、米国特許第4,965,353号に説明されている。本発明には、強力な無機酸や酸タイプのイオン交換体など、触媒作用を及ぼす物質の存在する中での特定のアルコールの処置と、無機塩基または有機塩基の存在する中で好ましいアルコール残留物を導入する能力のあるエーテル化物質について記載されている。文献で知られているすべてのエーテル化物質、具体的には、水素酸、つまりハロゲン化アルキルなどのハロゲン化ヒドロカルビルを含む各種の無機酸のエステルを使用できる。ところが、HAエステルは、第二の方法を利用して準備でき、これには、カルボキシル基を含む酸性多糖類の第四級アンモニウム塩をエーテル化物質で処置する過程が含まれる。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0121】
米国特許第5,336,767号「ヒアルロン酸の全体的エステルまたは部分的エステル (Total or partial esters of hyaluronic acid)」(della Valle他) では、可能性のあるHA薬物の共役体としてのステロイド化合物のグループが開示されている。コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、フルオロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、コルチコステロン、デオキシコルチコステロン、パラメサゾン、フルメタゾン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、リュプレッドニリデン、クロベタゾール、およびベクロメタゾンから成るグループから選択されたアルコールとの、HAの全体または部分的エステルについても開示されている。この特許の全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0122】
イプラトロピウムやアルブテロールといった気管支拡張薬などの、ヒドロキシル基を含むその他の薬物を、上記のステロイド共役体グループに含めることもできる。
ヒドラジド修飾化学
HAをまずアジピン酸ジヒドラジド (ADH) で修飾した後、pH値8.2で残存したヒドラジドのペンダント基をイブプロフェンまたは半コハク酸ヒドロコルチゾンのNHSエステルに結合させる。これは、Bioconjugate Chem, 1994, 5:339−347に詳細が説明されている。この全文を参照によって本明細書に編み入れる。
臭化シアン活性化法
HAとBrCNとの間のこの反応により、アミンを含有する薬が、ウレタン結合により、HAにヒドロキシル官能基の一つに付加されるようになる。アミノ基のある薬物の例には、アントラサイクリン系抗生物質であるアドリアマイシンおよびダウノマイシンがあり、これは、Cera他 (Int. J. Biol. Macromol., 1988, 10:66−74) により開示されている。この全文を参照によって本明細書に編み入れる。
過ヨウ化ナトリウム酸化法
HAの隣接する第二のアルコール基から、反応性のアルデヒドを生成できる。次に、アルデヒドが、ペプチドなどの分子を含む第一級アミンと反応し、グラス(Glass) 他 (Biomaterials、1996、17:1101−1108) により教示されているとおり、共役体を形成する。この全文を参照によって本明細書に編み入れる。
【0123】
多糖類を誘導して、薬物のキャリア/共役体としての効果を向上させることもできる。誘導したHAの例については、下記に記載する。
HA の全体的または部分的エステル化
前出のdella Valleによる特許と同様、米国特許第5,202,431号 (della Valle他) では、エステル化について教示されているが、ここで、アルコール分は薬事的に有効なものではない。この例には、脂肪族系列、芳香・脂肪族系列、脂環式系列、複素環式系列のアルコールを含有するHAの部分的エステルなどがあり、これには、このヒアルロン酸の少なくとも最初の部分であるカルボン酸類が治療的に有効なアミンにより塩化されている。化合物には、バイオプラスチックおよび医薬品の特性があり、化粧品、手術、医薬品などを含む無数の分野に使用できる。この特許を参照することによって、本明細書にその全文を編入する。
【0124】
治療的に有効なアミンには、アルカロイド、ペプチド、フェノチアジン、ベンゾアゼピン系薬、チオキサンテン、ホルモン、ビタミンのグループに含まれるものなど、窒素化合した基本的な薬物がすべて含まれる。Langerによる「薬物送達および標的設定 (Drug Delivery and Targeting)」(Nature、1998、392[supp]:5−10)、およびVercruysse他による「薬物送達におけるヒアルロン酸誘導体 (Hyaluronate derivatives in drug delivery)」(Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1998、15(5):513−55) も参照のこと。これらの論文は、参照によりその全文を本明細書に編み入れる。
【0125】
下記にあげる肺の用途の薬物の構造上の特徴については、1に説明する。薬物のカルボキシル、アミノ、ヒドロキシルの反応性度については、上記セクション (C) で説明した方法を使用した共役を選択することも考えられる。リストした多くの薬物には高い疎水性があり、疎水性の高い架橋または修飾HAにおいて捕捉することができる。
【0126】
Figure 2004513071
Figure 2004513071
Figure 2004513071
本発明の一実施態に従い、GAGに関して、方法および製法がここに説明されている。方法および製法の好ましい側面を完全に特定するために、GAG配合の分子量、濃度、粘度など、様々な実施態に固有の詳細を述べる。ただし、これらの詳細は、この方法の好ましい実施例を説明するためにのみ提供されるもので、本発明を好ましい実施例のGAGに制限する意図はないことが理解されるべきである。実際には、本発明はある一定の好ましい実施例および例をあげて開示するにもかかわらず、本発明が具体的に開示された実施例以上に、発明のその他の代替的な実施例や用途、明らかな修正やそれに等価なものにまで拡張されることは、この技術分野の熟練者により理解される。よって、本明細書で開示された本発明の範囲は、上記に説明した具体的に開示された実施例によって制限されるものではなく、下記の申請項目を公正に読むことによってのみ判断されるべきことが意図されている。
実施例
1. 膵臓エラスターゼによって誘発された肺気腫に対する HA の影響
気腔サイズの測定が、エラスターゼおよびHA、あるいはエラスターゼおよび生理食塩水の気管内滴下から1週間後に実施された。図1に示すとおり、エラスターゼ投与の直後に、1mgのHAを与えた動物では、二次的に生理食塩水 (82に対し122μm) を与えたものと比較して、気腔の拡張の顕著な低減が見られた。療法の処置グループについての肺の組織学的検査では、好中球および赤血球の分散した肺胞内堆積物で構成される極わずかな炎症の変化が見られた。HAの追加投与に関連した変化はなかった。
【0127】
エラスターゼの2時間前に1mgのHAを滴下注入した動物では、生理食塩水を与えた後でエラスターゼ (96に対し120im、p<0.05、図1) を与えた対照に比べて、かなり低めの平均線形インターセプトとなった。2mgのHAを投与したものは、さらに気腔の拡張の減少が見られ、平均線形インターセプトは、88im (p<0.05に対する対照、図1) となった。
【0128】
エラスターゼの1時間後に、2mgのHAを滴下注入したものも、気腔の拡張が顕著に減少した(p<0.05)(66に対し104μm、図1)。ただし、エラスターゼ投与の1時間後または2時間後の1mgのHA投与では、平均線形インターセプトへの顕著な影響はなかった (対照に対する処置: 100に対し104μm (1時間)、114に対し124μm (2時間)、図1)。
【0129】
これらの結果は、HAによってエラスターゼにより誘発された気腫が改善されることを示している。さらに、これらの結果は、HAの防御効果は、試験的損傷の進展において、弾性繊維の崩壊に先行する早期の出来事が関連しているという可能性を示唆している。HAにはエラスターゼ抑制能力はないことが示されているので、肺の損傷の減少は、肺間質内での酵素移動度の減少など、多糖類とエラスターゼとの間の間接的な影響、あるいは、HAと弾性線維自体との直接的な相互作用に関連している可能性がある。
2. 好中球エスターゼにより誘発された気腫に対する HA の影響
ヒト好中球エスタラーゼ40ユニットの気管内滴下の2時間前に、動物に対し、それぞれ1mg、2mg、4mgのHAが同一経路によって投与された。生理食塩水のみを与えた対照と比較して、HAを投与したすべてのグループで、平均線形インターセプトの減少がみられた (図2)。この値は、1mgと4mgのHA (それぞれ57と59im、これに対し、対照については64im) を与えた動物に比較して、顕著に低いものであった (p<0.05)。膵臓エラスターゼにより誘発された気腫とは対照的に、滴下注入したHAの量と、平均線形インターセプトの減少度合いとの相関関係はなかった。好中球エスターゼは、膵臓エスターゼと比較すると気腔の拡張に対する効果が低いという事実からみて、驚くべきものではない。HA処置でみられた平均線形インターセプト測定値は、正常な値に近いもので、既存の判定によれば50−60imの範囲である (Cantor他 (1993) Exper Lung Res 19:177−192; Cantor 他 (1995) Exp Lung Res. 21:423−436)。
エラスターゼの活性に対する HA の効果
膵臓エラスターゼでHAを培養したところ、H−エラスチンの分解は縮小されなかったものの、代わりに基質からの放射能放出量の増加の原因となった (図3)。この器官を刺激する効果は、酵素と基質間のより大きな相互作用の (おそらくは静電気結合の変化による) 結果として生じる場合がある。
HA 調製の特性記述
上記に記述の全ての実験で使用された市販ウシ気管HAの平均分子量は、固有粘度測定に基づき、104,800だった (表1)。
【0130】
【表1】
Figure 2004513071
【0131】
この値は、HAの他の調製に比べて比較的低く、中には3x10ダルトンを超える分子量がある場合がある。5パーセント未満のタンパク質を含むテスト済み物質は比較的純粋で、またヘクソサミンに対するウロン酸の比率は、HAの特性を示す1.0だった。ゲル濾過クロマトグラフィは、HA調製に共通して観察される特徴である、様々な長さの多糖鎖を含む広範な溶離グラフ (図4) を示した。
フルオレセイン標識 HA の調製
フルオレセインアミンは、以前に公表された技術 (Anthony 他 [1975] Carbohydrate Res. 44:251−257) によれば、ウシ気管ヒアルロン酸に結合していた。80mlの水で希釈したHA溶剤100mgをジメチルスルフォキシド40mlで薄め、アセトアルデヒド (50il)、シクロヘキシルイソシアニド (50il) およびフルオレセインアミン (5mg) と化合させた。その混合液を22°Cで5時間培養し、合成フルオレセイン標識HAをアルコール沈殿およびゲル濾過によって分離した。調製の純度を測定するために薄層クロマトグラフィを使用した。
フルオレセイン標識 HA を使用した研究
重量約100gmのメスのシリアンハムスター (ゴールデンハムスター) に、上記に記述の手順でフルオレセイン標識HA (0.2ml) 2mgを気管滴下した。薬剤注入後1、2、4、24および72時間の時点でハムスターを殺し、その肺を組織構造研究に準備した。その後、着色されていないスライドのセクションが用意され、蛍光顕微鏡に配置された。セクションはまた弾性繊維に着色され (Verhoeff−Van Gieson染料)、光学顕微鏡で検査された。
【0132】
蛍光顕微鏡の使用により、肺中に標準HAの急速な流入があったことが示された。標準HAは気管内に注入されたため、その分布状態にはむらがあった。1、2、4時間の時点で、間質、胸膜、そして血管の弾性繊維 (図5、6) に関連した蛍光が顕著であった。これらの繊維の特定は、Verhoeff−Van Giesonの弾性組織染料で確認された。標準HAを急速に封鎖した肺胞マクロファージも、強い蛍光を示した。
【0133】
24時間の時点までに、全体的な蛍光は著しく減少し、弾性繊維の特異性はほとんどなくなった。しかしながら、肺胞マクロファージは72時間の時点でも強い蛍光を示した。
【0134】
弾性繊維に関連する蛍光は、注入したHAでこれらの繊維を一時的にコーティングすることによりエラスターゼの損傷から肺を保護することを示唆している。このプロセスは素早く発生し、少なくとも4時間は続くことを表しており、空気を含む空間がエラスターゼ投与 (図1) の2時間前あるいは1時間後にHAを注入することにより減少する理由を説明している。エラスターゼから2時間後にHAが注入された場合に観察された保護の不足は、その時点までに弾性繊維に著しい損傷が生じた可能性を示している (図1)。
HA のエアゾール化
フルオレセイン標準HA (0.1パーセントの水溶液) を、ネブライザーを使用しハムスターに投与した。50分間のエアゾール噴射後にハムスターを殺した。蛍光顕微鏡を使用して肺を観察することで、上記のフルオレセインHAを気管内に注入した場合よりも、弾性繊維に蛍光が一定分布していることがわかった。更に、エアゾール化されたHAは、好中球エラスターゼに対し保護効果があるという結果を示した。0.1%のHA水溶液で50分間構成されたエアゾールを処置した後、80ユニットの好中球エラスターゼを気管内に注入されたハムスターには、水のみのエアゾール小粒子で処置を受けた対照群よりも大幅に低い薄い直線切片であった (68.2im対85.9im、p<0.05)。
【0135】
エアゾール化HAを原因として起こりえる炎症性の変化は、24時間の時点で、気管支肺胞の洗浄分泌液の好中球パーセントを測定することにより決定された。HAを投与されたハムスターは、同様の期間 (図7) にエアゾール水に暴露した対照群との差を示さなかった。
インビトロ弾性繊維損傷の予防
HAにはエラスターゼを抑制する機能がないため、保護効果の原因となるメカニズムを明確にする必要がある。この問題に取り組むために、実験用ラットの胸膜中皮細胞から取り出し放射能標識を行った細胞外基質にHAが投与され、その後ブタ膵臓エラスターゼで培養された。中皮細胞は、培養菌に多角形の外観を持ち (図8A)、多数の弾性繊維を含む細胞外基質を多く生成する (図8B)。培養菌は、これらの繊維の主要成分であるエラスチンを豊富に合成することがこれまでに示されている。放射能標識を行った基質は、14C−リジンで培養菌を培養し、その後細胞を溶解し、培養菌から取り除き、残りの細胞外基質が元の状態を保つように調製される。
【0136】
蛍光顕微鏡 (図8C) で示されるとおり、フルオレセイン標識HAは中皮細胞基質に結合する。基質をブタ膵臓エラスターゼ (100ng/ml) に1時間暴露すると、フルオレセインHAの多くは減少する。しかし、残余する蛍光は、基質の大部分が元の状態を保っていることを示している (図8D)。蛍光の損失は、HAが特に弾性繊維に結び付いていることを示唆している。
【0137】
HAが弾性繊維を損傷から保護するかどうかを測定するために、放射能標識を行った基質が、1mg/mlのフルオレセインHAで10分間処置され、次に、1μg/mlあるいは100ng/mlのエラスターゼのいずれかで1時間培養された (図9)。放射能放出は、どちらのエラスターゼ濃度でもHAにより減少する一方、100ng/mlの方ではるかに大きな酵素の保護効果が見られた (855対117cpm、p<0.001)。これらの結果は、エラスターゼ処置 (図8D) 後の蛍光の損失が、最低限の弾性繊維低下に関係することを示し、HAはこれらの繊維と表面的にのみ結び付いていることを示唆している。膵臓エラスターゼの培養基ではないため、HAが直接崩壊する可能性は低い。
HA の第二調製の効能テスト
HAの他の形状がウシ気管調製に似た保護効果があるかどうかを測定するため、ラットの胸膜中皮基質を使用して、HAの第二形態をインビトロでテストした。培養によって作られた連鎖球菌HAの平均分子量を約100,000ダルトンまで減少させるため化学修飾した (前のすべての実験で使用されたウシ気管HAに類似)。その後、新しい物質を上記に記述のとおりフルオレセインに共役させ、中皮細胞の弾性繊維をコーティングする機能に関してテストした。蛍光顕微鏡により、ウシ気管HA調製で観察されたものに類似するパターンが明らかになり (図10)、他の形状のHAが損傷から弾性繊維をコーティングする際に同等に有効である可能性を実証した。
【0138】
気腔を拡張するためにヒアルロニダーゼは60%の酸素と相互作用することを判明したこの研究所の以前の研究では、HAや他のグリコサミノグリカンが弾性繊維を保護する可能性が仮説として取り上げられた。いくつかの研究によって、HAが弾性繊維と緊密な関係があるという証拠が提供され、この概念が支援されている。従ってHAの低下は、単球または好中球といったエラスターゼや細胞がこれらの繊維へのアクセスを得るために必要な場合がある。この研究所の以前の研究で示されるように、ヒアルロニダーゼによる肺の前処置は、エラスターゼの気管内点滴注入によって引き起こされるよりも、気腔がさらに著しく拡張する原因となった。
【0139】
上記に記述の研究により、HAが弾性繊維と合成物を生成するという補足的証拠が提供されている。フルオレセイン標識HAと弾性繊維の強い関連は、注入されたHAがこれらの繊維をコーティングすることを明白に示している。更に、放射能標識を行った中皮基質を使用した研究で、HAで弾性繊維をコーティングすることでエラスターゼによる損傷から弾性繊維が保護されることが実証されている。
【0140】
HAが損失することで、肺間質内の脈管外の水分含有量が減少することが判明した。糖類の一部分に付着した負電荷のカルボキシル基は、HAの領域を拡張させて、保水機能を高めながら互いに反発する。水和し、拡張したHAは、エラスターゼとの接触から肺胞の弾性繊維を保護する場合がある。
【0141】
上記に記述の研究ではさらに、酵素のマクロファージ閉鎖と同様に、好中球の原子移動や分泌を通じて肺柔組織にアクセスする好中球エラスターゼに対してHAが有効かどうかという問題に取り組んだ。過去の実験では、気管内に注入されたHAの使用は、実験に基づき好中球エラスターゼよりも気腔を拡張するが、テストされたのはヒトの肺気腫の病因に関係しないブタ膵臓エラスターゼに対してであった。HAが好中球エラスターゼに対して有効であるという事実は、それが肺気腫に生じる肺胞の損傷を制限するという有用な可能性を高める。更に、様々な肺の炎症性反応に好中球エラスターゼがよく見られるということは、HAが他の形状の肺損傷に対しても同様に有効である可能性を示唆している。
【0142】
弾性繊維の損傷を含む肺気腫および他の疾病の可能な治療法として、HAおよび他の多糖類は、肺や他の器官に対して十分耐性があると考えられる。上記に記述の研究所の研究によって、HAをエアゾール噴射することで肺の炎症が引き起こされないことが分かった。更にHAは、有害な作用を起こさずに他の組織にも処置された。肺気腫用の治療薬品と現在見なされているエラスターゼ抑制剤とは対照的に、HAや他の多糖類によって、副作用の少ない潜在的でより直接的な肺の保護方式が提供される可能性がある。
低い分子量の HA およびフルオレセイン標識の調製
低い分子量 (約100kD) の培養によって作られた連鎖球菌HAは、Glycomed研究所 (ニューヨーク州、Hastings−on−Hudson市) から入手された。キャノンの半ミクロ希釈粘度計 (ペンシルバニア州ステートカレッジ市、Cannon Instruments社) を使用した粘度測定により物質の平均分子量を決定した。固有粘度 (c) は粘度測定を濃度0に合わせて推定することにより測定された。平均分子量は、aとKを塩分溶液内のHAの定数としたMark−Houwink方程式、c=K(M)における固有粘度データを使用して計算された。連鎖球菌HAには、ウシ調製と同等な101kDの平均分子量があった。
【0143】
HA調製の純度は、ウロン酸、ヘクソサミンおよびタンパク質の含有量を測定して決定された。ウロン酸は、カルバゾール反応方法によって測定された。ヘクソサミンの含有量は、Elson−Morgan手順を修正して測定された。HAの特性であるヘキスウロン酸とヘクソサミンの比率は1:1だった。タンパク質はLowry他の方法によって測定された。連鎖球菌HA調製のタンパク質含有量は0.1パーセント未満だった。
【0144】
分子量の低いHAのフルオレセイン標識化は、以前に公表された技術 (炭水化物研究 (Anthony他 [1975] Carbohydrate Res. 44: 251−257) によって実行された。80mlの水で希釈した100mgのHA溶液を、ジメチルスルオキシド40mlで薄め、アセトアルデヒド (50il)、シクロヘキシルイソシアニド (50il) およびフルオレセインアミン (50mg) と化合した。その混合液を22°Cで5時間培養し、その後、pH6.2で0.2Mの酢酸ピリジンバッファで平衡化された1x135cmのカラムを使用して、Sephacryl S−500上で合成フルオレセイン標準HAをアルコール沈殿およびゲル濾過・浄化した。以前に実証されたように、フルオレセイン標識化の手順によってHAはそれほど分解されない。
10 無細胞組織培養間質のエラスターゼ蒸解に対する HA の効果の測定
エラスチンを合成することがこれまでに示されたAmerican Type Culture Collection社 (メリーランド州ロックヴィル) から入手したラット胸膜中皮細胞は、15%のウシ胎児血清、1%のグルタミン、20ユニット/mlのストレプトマイシン、そして20ユニット/mlのペニシリンGを補ったNutrient Mixture Ham’s F−12 (栄養素混合ハムF−12) 培地を使用して、75ccのプラスチックフラスコで培養した。培養菌は、CO5%を含む、湿った37°Cの大気中で培養された。細胞および細胞外の基質は、14C−リジン (6.25iCi/フラスコ) で6週間の間、放射能標識を行った。標識化期間の終わりに、培養菌をリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) で洗浄し、細胞をデオキシコール酸ナトリウム0.5%およびEGTAで溶解した。細胞の物質除去に続いて、基質をPBSで洗浄処理し空気乾燥させた。その後、放射能標識を行った基質を含むプラスチック表面を2x2cmの正方形に切り取った。
【0145】
組織化学と免疫蛍光検査法研究の両方によって、基質には複雑な弾性繊維ネットワークが含まれていることが実証されている。Verhoeff:Van Gieson染料で陽性 (赤) の着色がないことに基づくと、この成分にコラーゲンは相対的にほとんど存在しない。フルオレセイン標識HAは基質に結合し、弾性繊維の着色パターンに類似した蛍光パターンを作る。
【0146】
放射能標識を行った無細胞基質は、弾性繊維のエラスターゼによって引き起こされた損傷に対するHAの効果を測定するために使用された。正方形の基質を、室温で30分間、PBS0.5mlで希釈された低分子量HA0.5mgで培養した。対照群はPBSのみで処置された。液体を取り除いた後、基質を乾燥し、その後37°Cで3時間、下記のいずれかと0.5mlで培養した。1) 0.1Mのトリスバッファ、pH8.0の10ig/ml、1ig/mlあるいは0.1ig/mlのブタ膵臓エラスターゼ (ミズーリ州オーエンスビル、Elastin Products社)、2) 0.1Mのトリスバッファ、pH8.0の10ig/mlのヒトの好中球エラスターゼ (ミズーリ州クイーンビル、Elastin Products社)、あるいは3) 0.01MCaClおよび0.15MNaClとの0.05Mのトリスバッファ、pH7.5の1ig/mlあるいは0.1ig/mlのヒトマクロファージメタロプロテナーゼ。対照の追加セットを、同じ条件でトリスバッファのみで処置した。その後液体を取り除き、PBS0.5mlで一回洗浄した基質と化合し、液体シンチレーション分析器で放射能を測定した。基質からの放射能放出が、エラストリシスの程度測定のために使用された。
【0147】
基質をHAで処置することで、膵臓エラスターゼに暴露することによって放出された放射能の線量が減少した。10ig/mlの膵臓エラスターゼでHA処置をした基質とHA処置をしていない基質にはあまり違いがなかった (3536対3423cpm) 一方、放射能放出は酵素がより低濃度の場合に大幅に低下した。35%の放射能低下が1ig/ml (2819対1844cpm、p<0.01) で観察され、44%の低下が100ng/ml (1257対715cpm、p<0.01) で見られた。エラスターゼの代わりにトリスバッファで処置された基質からのバックグランド放射総数は、平均190cpmになった。
【0148】
エラスターゼの処置前にPBSでHAを処置した基質を洗浄しても、保護効果は弱まらなかった。1ig/mlの膵臓エラスターゼで培養する前に、HAで処置され、PBSで洗浄処理された基質サンプルは、対照群 (2091対833cpm、p<0.05) と比較して、放射能放出が57%低下したことを示した。
【0149】
同様の保護効果がヒトのメタロプロテナーゼで見られた。また、より低濃度の酵素が、HAで処置した基質からの放射能放出の大幅な減少に関係していた。酵素100ng/mlでは放射能放出が80%低下した (128対26cpm、p<0.05) 一方、1ig/mlでは46%の放射能放出低下 (855対465cpm;p<0.01) が見られた。HA処置はまた、ヒトの好中球エラスターゼによる放射能放出を低下した。53%の放射能の低下 (990対464cpm、p<0.001) が10ig/mlの酵素濃度で観察された。
11 基質弾性繊維の識別
基質内の弾性繊維に対する免疫組織化学的な特定は、主要なヤギ抗ラット肺アルファエラスチン抗体 (ミズーリ州オーエンスビル、Elastin Products社) および、二次的なフルオレセイン標識付きウサギ抗ヤギIgG抗体 (カリフォルニア州サンフランシスコ、Zymed Laboratories社) を使用して実行された。ガラスのスライドカバースリップで培養された細胞から調製された基質サンプルをアセトンで固定し、30分間ヤギの血清で処置し、PBSで洗浄した。サンプルはその後、1時間ヤギ抗ラット肺エラスチン抗血清で培養し、再びPBSで洗浄した。30分間ウサギ血清で処置した後、フルオレセイン標識ウサギ抗ヤギIgG抗体 (カリフォルニア州サンフランシスコ、Zymed Laboratories社) を1時間適用した。その後、間質のサンプルをガラススライドに乗せ、PBSで洗浄し、蛍光顕微鏡で検査した。
【0150】
Verhoeff−Van Gieson染色も、コラーゲンと弾性繊維の存在を測定するために使用した。カバースリップで培養された細胞から調製された基質サンプルは、10の中立バッファを用いたホルマリンに固定され、ガラススライドに乗せられ、その後着色され光学顕微鏡で観察された。
【0151】
HAと基質内の弾性繊維ネットワークの関係を測定するために、サンプルをフルオレセイン標識HA (1mg/ml) で30分処置し、PBSで洗浄し、蛍光顕微鏡で検査した。蛍光の生じるパターンは、基質弾性繊維に関する免疫組織化学研究で観察されるパターンと比較された。
12 フルオレセイン標識 HA へのエアゾールをさらす
重量約100gのシリアンハムスターを二重ポートのあるプレキシガラスの箱内部に入れ、圧縮空気供給源に取り付けられたWhisper Jetネブライザー (コロラド州イングルウッド、Marquest Medical Products社) によって50分間エアゾール化したフルオレセイン−HA (20ml中の20mg) にさらした。エアゾールにさらした後約30分の時点でハムスターを殺し、肺気管内にカテーテルを挿入し、20cmのHO圧力で10%の中立バッファを用いたホルマリンに注入することで、そのまま固定した。2時間後、肺と心臓の両方を単一のブロックとして胸から取り出し、数日間10%のホルマリンにさらに固定した。肺はその後、外実質構造を触れずに取り除いて解剖し、ランダムに薄片に切断し、組織学的な調査分析を行った。着色されていないスライドセクションを蛍光顕微鏡で検査し、蛍光が標識化されたHAによるものかどうかを測定するために、ウシ睾丸ヒアルロニダーゼ (ニューヨーク州ベイショア、Poly Scientific社) で処置されたものと比較した。
【0152】
顕著な蛍光は、標識化された0.1%のHA溶液に50分間接触させた後に観察された。間質、管および胸膜の弾性繊維には望ましいフルオレセインHA付着があった。これらの繊維は、Verhoeff−Van Giesonの弾性染色で処置された組織セクションとの比較に基づき、本質的に弾性があるとこれまで識別されていた。組織セクションのヒアルロニダーゼ処置は、蛍光を完全に破壊した。
13 エラスターゼで処置した動物をエアゾール化した HA へさらす
重量約100gのハムスターを、上記の例4のように20mlの水で希釈した20mgのHAエアゾール溶液に50分間さらした。対照群動物は20mlの水のみに50分間さらせた。エアゾールにさらしてから30分の時点で動物にケタミンで麻酔をかけ、正常塩分液0.2mlで溶かした40ユニットのブタ膵臓エラスターゼ (ミズーリ州オーエンスビル、Elastin Products Company社) を気管内に点滴注入した。1mlのスポイトに取り付けた26本のゲージ針によって、エラスターゼを気管に入れた。
【0153】
HAとエラスターゼを気管内に滴入した1週後、動物にナトリウムペントバルビタールを腹腔内に注入して殺した。その後、上記に記述されるとおり、その肺を固定し組織学的な調査分析を行った。ヘマトキシロンおよびエオシンで着色されたスライドセクションをコード化し、経験を積んだ組織学者が薄い直線切片を測定した。
【0154】
ブタ膵臓エラスターゼを気管内に点滴注入する前に、50分間エアゾール化HA (0.1%溶液) にさらしたハムスターには、エアゾール化した水のみにさらしたエラスターゼ処置済み動物に比べて、1週間で著しく低い薄い直線切片があった (107.5対89.6im、p<0.05)。
14 長期間エアゾールにさらす研究
重量約100gのハムスターを、4週間の間、1週当たり3回、エアゾール化したHA (10mlの水で希釈した10mg) に25分間さらした。最後にエアゾールにさらした後から72時間の時点で動物を殺し、その肺を上記に記述されるように自然固定した。その後、病理学の変更があるかどうかを測定するために、肺のスライドセクションを光学顕微鏡で検査した。このような処置によって、肺の組織的な変化は起こらなかった。
【0155】
2つのサンプルテストを、処置グループ間の統計的に大きな違い (p<0.05) を測定するために使用した。
15 ブタ膵臓エラスターゼによる蒸解から弾性繊維を保護する特定のグリコサミノグリカンの評価
弾性組織分解酵素による弾性繊維の蒸解を防ぐグリコサミノグリカン (GAG) の能力が保護効力検定に基づき評価された。保護された物質は、細胞培養されたラットの胸膜中皮細胞の活性から誘導された自然生成物である。このような細胞は、リジンを含む14Carbonで標識化された弾性繊維から主に構成される細胞外基質を生成する。細胞が成長プロセスにおいて弾性繊維を合成する時に、放射性の標識が基質に組み入れられる。成長後細胞は溶解され、培養から取り除かれる。不溶性の細胞外基質は、引き続き培養フラスコに取り付けられる。このような基質はメソグローLと呼ばれる。下記の効力検定でテスト調査として使用された弾性組織分解酵素は、ブタ膵臓エラスターゼであった。
【0156】
生化学、組織学および免疫学の技術によって検査したところ、メソグローLが主に弾性繊維から構成された広範囲なネットワークであることが分かった。このような繊維は、ブタ膵臓エラスターゼやヒトの好中球エラスターゼに影響を受けやすい。メソグローLがこれらの2つのエラスターゼのどちらかによって蒸解された時、酵素の活性が可溶の放射性残存物を放出しながら不溶性の弾性繊維を分解する。このような可溶性破片が、液体シンチレーション分析器を用いて集められ、容量の測定が行われた。エラスターゼによるメソグローL基質の蒸解により、濃度反応が起こった。すなわち、酵素の濃度が増すととともに、可溶生成物の液体シンチレーション分析器によって測定されるカウント毎分 (CPM) が比例して増加した。コラゲナーゼのような他のタンパク質分解を生ずる酵素は、メソグローLから測定可能なほどの可溶放射性残存物を放出しない。
【0157】
保護効力検定は、以下のように実行された。メソグローL基質 (メソグローL正方形) によって覆われた正方形 (4cm) を、プラスチック製培養容器から切り取った。各フラスコには、1つの完全な保護効力検定を実行するために十分なメソグローL正方形が生成されている。1つの効力検定に当たり1つの培養フラスコを使用することで、グループ間の比較を可能にするすべてのテスト物質の均等性が保証される。メソグローL正方形をリン酸緩衝生理食塩水 (PBS) で30分間洗浄し、その後溶液を取り除いた。メソグローL正方形を3つのグループに分割した。4つの正方形は処置の行われない対照群 (グループA)として使用し、バッファのみで処置した。第2のグループ (グループB) は、エラスターゼで処置した対照群として取り扱われた6つのメソグローL正方形から構成された。このようなグループは、保護された正方形全てを比較する基準として使用した。6つのメソグローL正方形から成る第3のグループ (グループC) を保護基質として取り扱った。
【0158】
効力検定を2つのステップで実行した。第1のステップでは、バッファあるいはその保護能力のために検査された特定の物質にメソグローLを暴露させた。バッファとしてPBSを使用した。下記の物質の保護機能をテストした:コンドロイチン硫酸塩A、コンドロイチン硫酸塩B (デルマタン硫酸塩)、コンドロイチン硫酸塩C、ヘパラン硫酸塩、ヘパリン、デキストラン (MW67K平均)、デキストラン (MW160K平均)、HA (MW227K)、HA (MW587K) およびHA (MW890K)。上記の物質はすべて、1mg/ml濃度のPBSで溶解した。第2のステップでは、バッファ処置や酵素暴露を行った。バッファは、pH8で0.2Mのトリスバッファを使用した。テスト酵素には、トリスバッファで溶解したブタ膵臓エラスターゼ (PPE) (エラスチン生成物) を使用した。この酵素の最適活性はpH8だった。
【0159】
テストは以下のように行われた:メソグローL正方形を、6つのウェルプレートに3等分し、1つのプレートに4つ、他の2つのプレートにそれぞれに6つ置いた。これは、それぞれグループA、B、Cを表している。グループAおよびグループBのそれぞれのメソグローL正方形は、0.5mlのPBSで覆われた。グループCのメソグローL正方形は、上記に記載の10つのテスト物質のひとつにより、一正方形当たり0.5mlを使用して覆われた。正方形をすべて室温で30分間培養した。培養期間の後、バッファあるいはテスト物質を取り除き、正方形を空気乾燥させた。第2のステップでは、バッファあるいは酵素に暴露させた。グループAのメソグローL正方形は0.5mlのトリスバッファで覆われ、グループBおよびCの正方形はトリスバッファのPPEで処置された。正方形はすべて、37°Cで3時間培養された。培養期間の後、正方形から蒸解物をシンチレーションバイアルに移動させた。メソグローL正方形を0.5mlのトリスバッファで洗浄し、バイアルを洗浄した。これ以降の各テスト正方形も同じ方法で処置された。テスト用の16個のバイアルを液体シンチレーション流体 (Ecolite+、ICN) 20mlで充填し、一バイアル当たり20分間、パッカード液体シンチレーション計数器で数えた。
【0160】
バッファ対照 (グループA) には2つの機能がある。第一に、それらはバックグランド総数として機能する。この総数は、PPE対照群 (グループB) の総数およびGAGで保護された正方形 (グループC) から差し引いた数である。次に、このような対照は、GAGおよびエラスターゼが可溶性を持つバッファが、蒸解あるいは保護効果に影響しないことを実証する役割を果たす。
【0161】
1. コンドロイチン硫酸塩 効力検定:コンドロイチン硫酸塩A (シグマ)
は、基質を1μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL
基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は、全体として31%低
下し、統計的に意味があった。放射性総数のそのような減少は保護効
果を示している。図11を参照。
【0162】
2. コンドロイチン硫酸塩 デルマタン硫酸塩 効力検定:コンドロイチン硫酸塩B (シグマ) は、基質を1ug/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。中間総数(図11) にわずかな増加があるが、保護された正方形のデータの統計分析は、保護されなかったPPEで処置した正方形と比較した時に、そのような総数が統計的に重要を持つほど変化しないことを示した。
【0163】
3. コンドロイチン硫酸塩 :コンドロイチン硫酸塩C (シグマ) は、基質を1ug/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は、全体的に28%低下しており、対照群と比較した場合に重要だった。放射性総数のそのような減少は
保護効果を示している。図11を参照。
【0164】
4. ヘパラン硫酸塩:ヘパラン硫酸塩 (シグマ) は、基質を1ug/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は、全体的に62%低下しており、そのような結果は、統計的に非常に重要であると考えられる。これらのテストで使用された薬剤のうち保護されていないPPEで処置された正方形と比較した時、ヘパラン硫酸塩は、総数が最も大きく低下したことを実証した。対照された正方形および他の試験済み物質の比較に関しては、図11を参照。
【0165】
5. HA (MW 227K) エクスヘイル・セラピューティクス :HA (MW 227K)(HA 227K) は、基質を1ug/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は、全体的に58%低下しており、そのような結果は、統計的に非常に重要であると考えられる。非保護のPPEで処置した正方形と比較した時、HA227Kはヘパラン硫酸塩に次いで良い総合的な保護を示した。図11を参照。
【0166】
6. HA (MW 587K) エクスヘイル・セラピューティクス :HA (MW 587K0(HA 587K)は、基質を1ug/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は全体的に56%低下しており、統計的に重要である。放射性総数のそのような減少は、HA587Kに保護効果があることを示している。図12を参照。
【0167】
7. HA (MW 587K) エクスヘイル・セラピューティクス :HA (MW 587K0(HA 587K) は、基質を2.5μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPMの数を減少させた。その総数は全体的に34%低下しており、統計的に重要である。放射性総数のそのような減少は、HA587Kに保護効果があることを示している。図12を参照。
【0168】
8. HA (MW 890K) エクスヘイル・セラピューティクス :HA (MW 890K)(HA 890K) は、基質を1.0μg/mlのPPE蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は全体的に39%低下しており、統計的に重要である。放射性総数のそのような減少は、HA890Kに保護効果があることを示している。図12を参照。
【0169】
9. HA (MW 890K) エクスヘイル・セラピューティクス :HA (MW 890K)(HA 890K) では、基質を2.5μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させた。その総数は全体的に27%低下しており、統計的に重要である。放射性総数のそのような減少は、HA890Kに保護効果があることを示している。図12を参照。
【0170】
10. デキストラン (MW 67K 平均 シグマ :デキストラン (MW67Kavg.)(デキストラン 67K) は、基質を2.5μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させなかった。コンドロイチン硫酸塩Bでは総数はわずかに増加したが、統計分析ではそのような増加は重要ではないことが分かった。デキストランはこのテストで保護効力があることを示さなかった。図12を参照。
【0171】
11. デキストラン (MW160K 平均 シグマ :デキストラン (MW160Kavg.)(デキストラン 160K) は、基質を1.0μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、正方形のメソグローL基から放出されたCPM数を減少させなかった。しかしながら、これらのデータの統計分析では、蒸解に減少があるものの、それは意義のあるレベルではないことを示している。図11を参照。
【0172】
12. ヘパリン シグマ :へパリンは保護効果を示さなかった。基質を2.5μg/mlのPPE溶液で蒸解した時に、メソグローL正方形グループから放出されたCPM数がわずかに減少した。観察された増加には、PPEのみで処置された正方形とは統計的な違いがなかった。図12を参照。
【0173】
コンドロイチン硫酸塩A、コンドロイチン硫酸塩C、ヘパラン硫酸塩、HA227KHA587KおよびHA890Kはすべて、メソグローL基体を統計的に重要なブタ膵臓エラスターゼで蒸解した時、メソグローL基体に対して統計的に大きな保護効果があることを実証した。テストされた物質では、ヘパラン硫酸塩に最も大きな保護効果があり、その次はHA227KHA587KHA890K、コンドロイチン硫酸塩Aそしてコンドロイチン硫酸塩Cの順に保護効果があるように思われた。デキストラン 160K 、蒸解に続く放射性可溶生成物放出の数を全面的に減少させることを示した。
【0174】
より高度のPPE濃度への変更は、2つの要因により必要とされた。第一の要因は、メソグローLの新しいバッチへの変更である。メソグローLは自然生成物であるため包含されている放射性同位元素のレベルを、各バッチごとテストしなければならない。一連の正方形は、メソグローLの各バッチに最適な放射性レベルの放出を測定するために、エラスターゼの様々な濃度を使用してテストされる。このようなテストは完了したが、最初のテストは曖昧さがあった。低濃度 (1μg/ml) が非常に低い総数を示した一方、高濃度 (10μg/ml) は非常に高い総数を示した。第2の要因は時間である。テストの間に蒸解が起こることを保証するため、2.5μg/mlの濃度が選ばれた。そうしなければ、保護効力を測定できない可能性があった。
【0175】
図13aおよび13bは、対照に対する3つの異なるコンドロイチン硫酸塩と3つの異なる重量のHA標本のグラフ式を表す。興味深いのは、最も異なる分子が保護効果を持たない一方、2つの最も類似するコンドロイチン分子 (A&C) に保護効果があることを表したことである (図13a)。HA分子は、サイズに反比例する保護効果があるように思われる。つまり、分子の長さが増加すると、保護効果が減退するのである (図13b)。
【0176】
図14aおよび14bは、2つの異なる濃度のPPEに対する各々の保護効果に関してテストされた2つの異なる分子量のHA標本を表わす。テスト溶液 (GAG) の濃度は、同じ (1mg/ml) ままである。図14aは、HA587Kで保護され、1ug/mlあるいは2.5ug/mlのいずれかの濃度で、PPEで蒸解された基質の蒸解データを表す。保護量は、PPEの濃度が上がるにつれて減少し、2.5ug/mlでは34%に対し、1ug/mlでは56%である。このような効力は初期のHAテストでも見られ、ここでも確認されたことになる。HA890Kは、上記に記述のとおり保護力の低下という同じ効力を実証しており、2.5ug/mlでは27%に対し、1ug/mlでは39%である。
【0177】
図14aおよび14bは、さらにメソグローLに対する酵素の濃度 (服用量) の影響を実証している。酵素の濃度 (服用量) が増加すると、一対のテストにおいて、基質からの可溶放射性生成物の放出が比例増加する。酵素に対するこの濃度 (服用量) 反応は以前にも実証されており、これらのテストによってさらに確証されていたことになる。
16
HAのサンプル溶液を、一連の異なる分子量に対して、様々な濃度で調製した。200,000ダルトン以上の分子量は固有粘度によって測定し、Mark−Houwink方程式によって計算した。別の方法では、分子量をHPLCか光散乱分析によって測定した。
【0178】
HAの任意の分子量濃度を変えることにより、一連の異なる粘性が達成された。これらの溶液を市販ネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0179】
HAのサンプル溶液を調製した。濃度は890,000の分子量で0.5〜2.0mg/mlまで変え、粘度計 (表2) によって決定された。粘度範囲は9.36〜48.37センチストークまでが達成できた。これらの溶液をWhisper、HeartおよびMistyネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。下記の表2に見ることができるように、HA溶液の粘性が高すぎて霧状にできない程の粘性レベルには最大限度が設けられた。この限界はWhisperネブライザーで約13−14cStである。
【0180】
【表2】
Figure 2004513071
【0181】
17
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、587,000の分子量で0.5〜2.0mg/mlまでで、濃度は粘度計 (表3) によって決定された。粘度範囲は7.36〜32.84センチストークまで達成できた。これらの溶液をWhisperネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0182】
【表3】
Figure 2004513071
【0183】
18
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、375,000の分子量で0.5〜2.0mg/mlまでで、HPLC (表4) によって決定された。粘度範囲は3.29〜12.32センチストークまで達成できた。これらの溶液をMistyネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロンの空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0184】
【表4】
Figure 2004513071
【0185】
19
HAのサンプル溶液が調製された。濃度は、350,000の分子量で0.5〜2.0mg/mlまで変え、粘度計 (表5) によって決定された。粘度範囲は5.56〜7.14センチストークまで達成できた。これらの溶液をWhisperネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロンの空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0186】
【表5】
Figure 2004513071
【0187】
20
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、220,000の分子量で0.5〜5.0mg/mlまでで、粘度計によって決定された (表6)。粘度範囲は3.60〜6.88センチストークまで達成できた。これらの溶液をWhisperおよびMistyネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0188】
【表6】
Figure 2004513071
【0189】
21
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、150,000の分子量で0.5〜2.0mg/mlまでで、HPLCと光散乱によって測定決定された (表7)。粘度範囲は1.72〜3.04センチストークまで達成できた。これらの溶液をWhisperネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0190】
【表7】
Figure 2004513071
【0191】
22
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、140,000の分子量で1.0〜5.0mg/mlまでで、HPLCによって測定された (表8)。粘度範囲は2.5〜6.93センチストークまで達成できた。これらの溶液をAeroEclipse、Pari、およびMistyネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0192】
【表8】
Figure 2004513071
【0193】
23
HAのサンプル溶液が調製された。濃度範囲は、108,000の分子量で1.0〜5.0mg/mlまでで、光散乱によって測定された (表9)。粘度範囲を1.9〜3.7センチストークまで達成できた。これらの溶液をAeroEclipse、PariおよびMistyネブライザーでテストし、各テスト済みサンプルについて、ミクロン単位で空気動力学的中央粒子径 (MMAD) および幾何標準偏差 (GSD) を測定した。
【0194】
【表9】
Figure 2004513071
【0195】
ネブライザーの飛沫サイズの分布は、一つの態様が空気動学的直径約2im以上、もう一つの態様が約0.5im以下という二峰性の傾向があった (図15を参照)。これらの態様は両方とも、吸入中に肺の気道に比較的有効に残り、これらの態様間のバランスによって、送達する気道と肺の深部間におけるエアゾールの有効な局所沈着が決定される。このサイズの二峰性分布は、水溶液から蒸発するエアゾール現象が複雑に相互作用した結果である。小さな飛沫はその表面が湾曲しているために大きな飛沫よりも高い蒸気圧を受け、従って飛沫が蒸発する傾向があり、大きな飛沫は飽和水蒸気の条件下でより大きくなる。同時に、蒸発は溶液中のHAによって妨げられ、従って小さな飛沫は完全には蒸発せず、より大きな飛沫に見られるよりも飛沫容量あたりではむしろ高いHA濃度を有する場合がある。その結果が、選択されたHA濃度に正確な特性が一部分左右される二峰性分布である。
【0196】
3つのネブライザーすべて (Misty、PariおよびAeroEclipse) におけるエアゾールの容積測定の出力濃度は、より低い濃度 (1mg/mlおよび2mg/ml) の場合よりも、5mg/mlの濃度の場合により低い傾向を示す。これは、溶液の濃度がはるかに高いために5mg/mlで生成されたものに比例してより少量のHAが生成されたことを意味するわけではない。例えば、一標準平方インチ当たり15psigの気圧で操作された環境においてHAを5mg/ml含むMistyは、5.73l/min.の空気に約15.5il/lのエアゾールを提供することになり、合計では15.5il/lx5.73l/min.=88.8il/min.、つまり5mg/ml濃度で0.0888ml/min.のエアゾールを生成される。これに比べ、2mg/mlのHA濃度では、エアゾール出力が25.1il/lx5.73l/min.=144il/min.、つまり0.144ml/min.のエアゾールだった。従って、エアゾール状で散布された濃度が2mg/mlのHAの合計は、0.144ml/min.x2mg/ml=0.29mg/min.のHAエアゾールだった。5mg/mlは2mg/mlの2.5倍の濃度だが、HA出力はより高い濃度でも1.5倍にしかならなかった。治療期間20分のうち半分の時間、患者が2mg/mlの溶液で生成されたエアゾールを吸入する場合、吸入されるHAは、0.29mg/minx10min.=2.9mとなる。その60%が肺に蓄積される場合、合計約1.7mgのHAがこの治療中に肺に蓄積されることになる。
【0197】
ネブライザーは、直接比較テストで異なる形で作用した。Mistyネブライザーは、すべてのテストで好ましくない大きさの幾何標準偏差を出す傾向があった。AeroEclipseは、望ましい特定である、より小さな飛沫サイズの標準偏差を出す傾向があった。
【0198】
AeroEclipseを用いた補助空気の使用は、高い確率で成功することが分かった。エアゾールの増大は、補助空気があってもなくてもエアゾール濃度をほぼ同じレベルに保ち、理想的であった。もちろんこれは、エアゾール出力の割合が著しく増加したことを意味する。平均的なヒトに必要な吸気と同等の18l/min.の合計フロー割合において、吸入中のエアゾール出力が2mg/mlのHA濃度で、31.5il/lx18l/min=567il/min.あるいは0.576ml/min.で与えられた。治療期間20分のうち半分の時間、患者が吸入を行う場合、吸入されるHAは、0.575ml/min.x10min.x2mg/mlHA=11.3mgとなる。60%が肺に堆積された場合、合計約7mgのHAがこの治療中に肺に堆積されたことになる。
【0199】
前に言及したように、10im以上のMMADのエアゾール飛沫サイズ分布は、おそらくヒトが経口的に吸入するにあたって望ましい肺胞への体積ではなく過度の上部呼吸体積の原因となるだろう。2〜4imまでのMMAD範囲の飛沫分布が、治療研究に最も望ましい。
【0200】
通常、実際の吸入治療中には希釈空気が要求されるため、蒸発による飛沫の収縮が生じることがあり、結果的に蓄積物の減少に結び付く可能性がある。一方、補助空気にエアゾールを加え、エアゾール化を通じて補助空気を通すことができるようなネブライザーを使用することで、任意の吸入の治療時間にエアゾール散布の割合とHAの蓄積を増加させることができる。AeroEclipseネブライザーに見られるこの結果は、補助空気の使用についてこの利点を実証している。この補助空気は、患者の吸入要求に応じて室内からネブライザーに自動的に集められる。
24
さらに、ネブライザーや配合は、吸入エアゾール製造過程がHA分子のサイズや完全性に著しい変更を及ぼさないように、互換性をもっていなければならない。そのような配合とネブライザーの組み合わせの例を表10に示す。
【0201】
【表10】
Figure 2004513071
【0202】
これらのデータは、エアゾール化過程のMWの差異が+/−5%未満であることを示し、またネブライザーの適切な組み合わせの選択および配合により、管理・特定の薬剤製品が確実に患者に提供されることを実証している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
膵臓エラスターゼに応じて、異なる時間に投与された場合、HAは気腔拡大に保護作用を発揮する。
【図2】
ヒト好中球エラスターゼが2時間前に投与された場合、HAは気腔拡大に保護作用を発揮する。
【図3】
H−エラスチン基質から放出される放射能で測定されたヒアルロン酸のエラスターゼとのインキュベーションは、エラスチンの退化を低下ではなく進行させる。よって、HAはエラスターゼ抑制能力を有しない。
【図4】
セファクリルS−500ゲルカラムでのウシ気管のクロマトグラフ分離。
【図5】
肺胞中隔 (矢印) 内の蛍光弾性線維の高倍率表示、フルオレセイン標識HAの点滴から1時間後。(オリジナル倍率:x790)
【図6】
大きな肺血管内の弾性線維が顕著な蛍光性を示している。フルオレセイン標識HAの点滴から2時間後 (オリジナル倍率:x250)
【図7】
24時間肺洗浄液中の好中球の割合に対するエアゾール化されたHAの効果 (N=3全グループ対象。TバーはSEMを示す)
【図8】
(左上) 培養ラット胸膜中皮細胞が特徴的な多角形状を示す、(右上) 位相差顕微鏡写真が顕著な細胞外基質を示しており、黒色に見える、(左下) フルオレセイン標識HA (1mg/ml) との10分間のインキュベーション後の無細胞ラット胸膜中皮マトリックスの蛍光顕微鏡写真。フルオレセイン−HAの細胞外基質への優先結合に注目、(右下) 無細胞マトリックスのブタ膵臓エラスターゼへの (100ng/ml) 1時間の暴露後、フルオレセイン−HAのほとんどが除去される。しかし、残留蛍光はマトリックスの大部分が損なわれずに残ることを示している。エラスターゼが引き起こす蛍光の損失はHAが弾性線維に優先結合することを示唆している。
【図9】
無細胞マトリックスの1mg/mlHAでの予備治療はブタ膵臓エラスターゼ1ig/mlあるいは100ng/mlによって放出された放射能量を削減したが、保護作用は、より低い酵素濃度 (p<0.001)でより顕著であった。TバーはSEMを示す。
【図10】
蛍光顕微鏡写真はHAの第二の調製によるラット胸膜中皮細胞の弾性線維への結合を示している。これはHAの保護作用が物質の特定の調製に限られていないことを示す。
【図11】
試験管内の弾性線維基質における、さまざまなGAGの保護作用を示す。
【図12】
試験管内の弾性線維基質における、さまざまな多糖類の保護作用を示す。
【図13】
3つの異なるコンドロイチン硫酸および3つの異なる分子量HA標本と試験管内のコントロールとの保護作用の比較を示す。
【図14】
2つの異なる分子量のHA配合物と2つの異なる試験管内のPPE濃度と比較した保護作用を図解する。
【図15】
ネブライザーの典型的な液滴サイズ分布は二峰性の傾向があることを示す。

Claims (27)

  1. 哺乳動物の弾性繊維の損傷を治療および/または予防するための薬剤の調製における1つ以上の多糖類の使用であって、上記薬剤が上記弾性繊維に結合する結果、酵素、オキシダントあるいは他の有害な病原体が上記弾性繊維に接触したり損傷を与えることを阻止する、使用。
  2. 前記多糖類がグリコサミノグリカンである、請求項1記載の使用。
  3. 前記グリコサミノグリカンが、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸塩A、コンドロイチン硫酸塩B、コンドロイチン硫酸塩Cおよびヘパラン硫酸塩から成るグループから選ばれる、請求項2記載の使用。
  4. 前記多糖類がデキストランである、請求項1記載の使用。
  5. 前記薬剤の調整が更に;
    多糖類を含む液体配合を調製し、ここで多糖濃度は約5mg/ml未満で、多糖分子量は約50,000および1.5x10ダルトンであり、そして
    多糖の粒子サイズが約10ミクロン未満の、呼吸に適したミストを形成するために、上記液体配合をエアゾール化する、
    ことを含んで成る、請求項1記載の使用。
  6. 前記多糖類の分子量が約587,000ダルトン未満である、請求項5記載の使用。
  7. 前記多糖類の分子量が約220,000ダルトン未満である、請求項5記載の使用。
  8. 前記多糖類の分子量が約150,000ダルトン未満である、請求項5記載の使用。
  9. 前記呼吸に適したミストがネブライザーによって形成される、請求項5記載の使用。
  10. 前記ネブライザーが少なくとも約15psiの圧力を有する、請求項9記載の使用。
  11. 前記のネブライザーが少なくとも約30psiの圧力を有する、請求項9記載の使用。
  12. 前記多糖類が化学修飾されている、請求項1記載の使用。
  13. 前記修飾が架橋結合を含む、請求項12記載の使用。
  14. 前記修飾が硫酸塩基の追加を含む、請求項12記載の使用。
  15. 前記修飾がカルボキシル基の追加を含む、請求項12記載の使用。
  16. 前記修飾が親油性側鎖への吸着の追加を含む、請求項12記載の使用。
  17. 前記修飾がアセチル基の導入を含む、請求項12記載の使用。
  18. 前記修飾がエステル機能の形成を含む、請求項12記載の使用。
  19. 前記修飾がカルボジイミドとの反応を含む、請求項12記載の使用。
  20. 前記薬剤がさらに薬を含む、請求項1記載の使用。
  21. 前記薬がテルブタリン、アルブテロール (サルブタモール) 硫酸塩、エフェドリン硫酸塩、エフェドリン酸性酒石酸塩、イソエタリン塩酸塩、イソエタリンメシレート、イソプロテレノール塩酸塩、イソプロテレノール硫酸塩、メタプロテレノール硫酸塩、テルブタリン硫酸塩、プロカテロール、ビトルテロールメシレート、アトロピン・メチル硝酸塩、クロモリンナトリウム、プロプラノロール、フルロイソライド、イブプロフェン、ゲンタマイシン、トベルマイシン、ペンタミジン、ペニシリン、テオフィリン、ブレオマイシン、エトポシド、カプトプリル、n−アセチルシステイン、ベラパミル、カルシトニン、アトリオペプチン、α1抗トリプシン (プロチアーゼ抑制剤)、インターフェロン、バソプレッシン、インシュリン、インターロイキン−2、スーパーオキサイドジズムターゼ、組織プラスミノゲン活性剤 (TPA)、血しょう因子8、表皮の成長因子、腫瘍壊死因子、ヘパリン、肺界面活性タンパク質およびリポコルチンから成るグループから選ばれる、請求項20記載の使用。
  22. 前記薬剤が更にプロスタグランジン、アンフォテリシンB、プロゲステロン、イソソルビドジニトレート、テストステロン、ニトログリセリン、エストラジオール、ドキソルビシン、ベクロメタゾンおよびエステル、ビタミンE、コーチゾン剤、デクサメタゾーンおよびそれのエステル、DPPC/DPPGリン脂質および吉草酸ベタメタゾンから成るグループから選ばれる薬を含んで成る、請求項12記載の使用。
  23. 哺乳動物の呼吸器官に多糖類配合物を送達するシステムであって:
    約5.0mg/ml (w/v) 未満の多糖濃度で約50,000〜1.5x10ダルトンの分子量を有する多糖類及び呼吸に適した噴射剤を含んで成る混合物;
    圧力が加わった前述の混合物を含有するキャニスター。
    加圧された混合物の放出を規制するために上記キャニスターに接続されたバルブ;並びに
    上記バルブが始動する時に加圧された上記混合物がエアゾール化されて放出されるように上記バルブと相互連結されるノズル;
    を含んで成るシステム。
  24. 前記のエアゾールミスト中の多糖類が約0.5〜約10ミクロンの平均質量分布サイズを有する、請求項23記載のシステム。
  25. 前記混合物がさらに薬を含む、請求項24記載のシステム。
  26. 哺乳動物の弾性繊維損傷の治療あるいは予防に使用する、請求項23記載のシステム。
  27. 酵素、オキシダント、あるいは他の有害な病原体が弾性繊維に接触したり損傷を与えることを防ぐ、弾性繊維に結合する治療上有効な量の多糖類を哺乳動物に投与することを含む、呼吸器障害を治療する方法。
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