JP2004508372A - オキシインドール誘導体 - Google Patents

オキシインドール誘導体 Download PDF

Info

Publication number
JP2004508372A
JP2004508372A JP2002525145A JP2002525145A JP2004508372A JP 2004508372 A JP2004508372 A JP 2004508372A JP 2002525145 A JP2002525145 A JP 2002525145A JP 2002525145 A JP2002525145 A JP 2002525145A JP 2004508372 A JP2004508372 A JP 2004508372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
methyl
pyrrolo
dihydro
methylidene
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002525145A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004508372A5 (ja
Inventor
ディッカーソン,スコット,ハワード
ドルーリー,デービッド,ハロルド
リン,ジェームス,アンドリュー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Glaxo Group Ltd
Original Assignee
Glaxo Group Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Glaxo Group Ltd filed Critical Glaxo Group Ltd
Publication of JP2004508372A publication Critical patent/JP2004508372A/ja
Publication of JP2004508372A5 publication Critical patent/JP2004508372A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D471/00Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00
    • C07D471/02Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D471/04Ortho-condensed systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00

Abstract

CDK4阻害剤として有用なオキシインドール誘導体、特にピロロ[3,2−f]キノリン−2−オンを開示する。本発明はまた、こうしたオキシインドール誘導体の製造方法並びに増殖亢進性疾患の治療におけるその使用方法を包含する。

Description

【0001】
発明の背景
本発明は、オキシインドール誘導体、該オキシインドール類の製造方法、及びある種の疾患または状態の治療におけるオキシインドール類の使用に関する。特に、本発明はサイクリン依存性キナーゼ阻害剤として有用なオキシインドール誘導体及び不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害の治療における該インドール類の使用に関する。
【0002】
タンパク質キナーゼは、細胞増殖及び分化の調節に関与するタンパク質を含むタンパク質中の種々の残基のリン酸化を触媒する。細胞の増殖、分化、代謝及び機能は、高等真核生物において非常に厳密に調節されている。細胞が、絶え間なく受け取る外部及び内部シグナルのアレイに迅速活適切に応答する能力は、これらのプロセス間のバランスを維持する上で非常に重要なことである(Rozengurt, Current Opinion in Cell Biology 1992, 4, 161−5; Wilks, Progress in Growth Factor Research 1990, 2, 97−111)。細胞制御の調節ができないと、しばしばaberrant細胞機能または細胞死に到ることとなり、その生物にとっての疾患状態に至る場合が多い。タンパク質キナーゼは、細胞増殖及び分化の調節において重要な役割を果たしており、増殖因子及びサイトカインの産生に導く細胞性シグナルの鍵となるメディエーターである。例えば、Schlessinger及びUllrich, Neuron 1992, 9, 383を参照されたい。こうしたキナーゼの例として、abl、ATK、bcr−abl、Blk、Brk、Btk、c−kit、c−met、c−src、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、cRaf1、CSF1R、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、ERK、Fak、fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、FLK−4、flt−1、Fps、Frk、Fyn、GSK、Hck、IGF−1R、INS−R、Jak、JNK、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、PDGFR、PIK、PKC、PYK2、tie1、tie2、TRK、UL97、VEGF−R1、VEGF−R2、Yes及びZAP70が挙げられる。
【0003】
不適切なタンパク質キナーゼ活性は、広範囲にわたる疾患状態と関連しており、従ってこれらのキナーゼはこれら疾患の治療の標的として同定されてきた。例えば、タンパク質キナーゼはアルツハイマー病等の中枢神経系障害(Mandelkow, E.M.ら, FEBS Lett. 1992, 314, 315; Sengupta, A.ら, Mol. Cell. Biochem. 1997, 167,99)、疼痛(Yashpal, K. J. Neurosci. 1995, 15, 3263−72)、関節炎等の炎症性障害(Badger, J. Pharm. Exp. Ther. 1996, 279, 1453)、乾癬(Dvirら, J. Cell Biol. 1991, 113, 857)、骨粗しょう症等の骨の疾患(Tanakaら, Nature, 1996, 383, 528)、癌(Hunter及びPines, Cell 1994, 79, 573)、アテローム性動脈硬化症(Hajjar及びPomerantz, FASEB J. 1992, 6, 2933)、血栓症(Salari, FEBS 1990, 263, 104)、糖尿病等の代謝系障害(Borthwick, A.C.ら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1995, 210, 738)、新脈管形成等の血管増殖性障害(Strawnら, Cancer Res. 1996, 56, 3540; Jacksonら, J. Pharm. Exp. Ther. 1998, 284, 687)、再狭窄(Buchdungerら, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 1991, 92, 2258)、自己免疫疾患及び移植拒絶(Bolen及びBrugge, Ann. Rev. Immunol. 1997, 15, 371)及びウイルス感染(Littler, E. Nature 1992, 358, 160)及び真菌感染(Lum, R.T. PCT国際出願WO 9805335 A1 980212)等の感染性疾患における標的とされてきた。
【0004】
タンパク質キナーゼによって仲介されるシグナルはまた、細胞周期プロセスを調節することによって細胞の増殖、死、及び分化を調節することが示された(Massague及びRoberts, Current Opinion in Cell Biology 1995, 7, 769−72)。真核細胞の周期を通しての経過(progression)は、サイクリン依存性キナーゼ(CDKs)と呼ばれるタンパク質キナーゼファミリー及びサイクリンと名付けられたタンパク質ファミリーとのその相互作用によって調節されている(Myersonら, EMBO Journal 1992, 11, 2909−17)。種々のサイクリン/CDK複合体の協調した活性化及び不活性化は、細胞周期を通した正常な経過のために必要である(Pines, Trends in Biochemical Sciences 1993, 18, 195−7; Sherr, Cell 1993, 73, 1059−65)。重大なG1−S及びG2−Mの移行の双方は種々のサイクリン/CDK活性の活性化によって調節されている。G1において、サイクリンD/CDK4及びサイクリンE/CDK2の双方はS−期の開始を仲介すると考えられている。細胞周期のG1期を通した調節された経過はサイクリンDによるCDK4の活性化に依存している。この活性化の結果、網膜芽細胞腫タンパク質(pRb)のリン酸化が生じ、次いでその結合パートナー、E2Fからの解離が生じる。不活性なpRb−E2F複合体からのE2Fの放出によって、E2FがDNA合成のために必要な複数の遺伝子の転写を制御できるようになる。正常な生理学的条件下では、pRb経路はCDK4/サイクリンD複合体の触媒活性を遮断するタンパク質(p16INK4A、p27、p21)によって厳密に制御されている。ヒト遺伝子による証拠から、腫瘍抑制経路としてのこのp16INK4A/CDK4/サイクリンD/pRbシグナルが多くのヒトの癌においてしばしば脱調節されていることが支持されている。
【0005】
PRbの脱調節のメカニズムの多くは既に報告されている。これらには、p16INK4A locusの遺伝子欠損及びp16INK4A遺伝子発現のダウンレギュレーションが含まれる。p16INK4Aタンパク質は、腫瘍抑制遺伝子として機能する天然に存在する細胞内CDK4阻害剤である。この経路の脱調節の別のメカニズムはサイクリンD1、CDK4の活性化サブユニットの過剰発現である。提唱されているnet効果はCDK4活性及び高度にリン酸化された(hyperphosphorylated)pRbの増加である。
【0006】
腫瘍の恐れのある哺乳動物におけるCDK4活性を阻害する方法はpRbを活性腫瘍抑制状態に戻すことであろう。pRb機能を回復させた結果、正常細胞の細胞周期停止(arrest)を引き起こし、哺乳動物内の腫瘍細胞はアポトーシスを起こすだろう。低度リン酸化(hypophosphorylated)pRbタンパク質はp53のアポトーシス機能をmdm2との相互作用を介してポジティブに制御する(J. −K. Hsiehら, Molecular Cell 3, 181 1999)。低度リン酸化pRbはmdm2−介在性のp53の脱調節を抑制し、その結果p53の活性化及び腫瘍細胞のアポトーシスに到る。
【0007】
従ってCDK4活性を阻害する方法によっておそらく、p16INK4A/CDK4/サイクリンD/pRbが脱調節されている野生型Rb状態を有するヒト腫瘍を選択的に殺すように作用するであろう。CDK4活性を選択的に阻害し得る薬剤を投与することによって、p16INK4A発現の喪失及び/またはサイクリンD1タンパク質の過剰発現を有するRb陽性ヒト腫瘍の治療を提供し、これによって腫瘍細胞の生存を遮断するであろう。
【0008】
サイクリンD1に対するアンチセンス構築物によってヒト腫瘍細胞が化学療法に対して感受性を有するようになることから、CDK4活性がDNA障害に応答して腫瘍細胞が生存するために必要であることが示唆される(Kormanら, Cancer Research, 59, 3505 1999)。更に、p16INK4Aタンパク質の過剰発現によって腫瘍細胞は照射に対して感受性を有するようになる(X.Y.Fuら, J Cancer Res Clin Oncol 124, 621 1998)。
【0009】
腫瘍学の分野においては、新規でより有効な癌治療に対する需要が常にある。CDK4は細胞***の一般的活性化剤として機能し、腫瘍細胞のアポトーシスを抑制する可能性があるため、CDK4の特異的阻害剤は癌及び他の増殖亢進性障害の有効な治療法を提供し得る。現在、容易に合成でき、CDK4/サイクリン複合体の強力な阻害剤である小分子化合物に対する需要は満たされていない。本発明者等は、CDK4/サイクリンD及び/またはCDK2/サイクリンEの触媒活性を選択的に阻害し、それによって、不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される癌及び他の障害に罹患した患者に対する新規な治療戦略を提供する新規オキシインドール誘導体化合物を見出した。
【0010】
発明の概要
本発明の一態様において、式I:
【化2】
Figure 2004508372
[式中、Rは−(CR)nNRであり、
nは1または2であり、
及びRは独立して水素、C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6アルキルであるか、あるいはR及びRはそれらが結合する窒素と共に5または6員の複素環または5から7員の複素芳香環を形成し、これらの環は任意に1または2個の更なる酸素、硫黄、S(O)m、または窒素原子を含有し、該1または2個の更なる窒素原子は任意にC1−6アルキルまたはアリール基によって置換されており、
mは0、1、または2であり、
及びRは独立して水素またはC1−6アルキルであり、そして
上記のC1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキル−C1−6アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロサイクリック、ベンジル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール及びヘテロアリール−C1−6アルキル基はいずれも任意にハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換され得る。]
で示される化合物、もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体を提供する。
【0011】
本発明の第二の態様において、治療的有効量の式Iの化合物、もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体と、1種以上の薬学上許容し得る担体、希釈剤及び賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明の第三の態様において、哺乳動物における不適切なCDK4活性によって仲介される障害を治療する方法であって、治療的有効量の式Iの化合物もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本発明の第四の態様において、治療に使用するための式Iの化合物もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体を提供する。
【0014】
本発明の第五の態様において、不適切なCDK4活性によって仲介される障害の治療での使用のための医薬の製造における式Iの化合物もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体の使用を提供する。
【0015】
本発明の第六の態様において、哺乳動物における不適切なCDK4活性によって仲介される障害の治療方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の(i)式Iの化合物もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体及び(ii)増殖因子受容体機能を阻害する薬剤を投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の第七の態様において、哺乳動物における不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害の治療方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の式Iの化合物もしくはその塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体を投与することを含む方法を提供する。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書において使用する用語「有効量」とは、例えば研究者または臨床医が目的とする組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す薬剤(a drug or pharmaceutical agent)の量を意味する。更に、用語「治療的有効量」とは、そのような量を投与されていない対照被検体と比較して、疾患、障害、または副作用の治療の改善、治癒、予防、または軽減、あるいは疾患または障害の進行速度の低下を導く量を意味する。
【0018】
本明細書で使用する用語「アルキル」とは、直鎖または分岐鎖状の炭化水素であって、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良く、かつ特定の数の炭素原子を含有するものをいう。例えば、C1−6アルキルは、少なくとも1個、多くて6個までの炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖状のアルキルを意味する。本明細書で使用する「アルキル」基の例として、限定するものではないが、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、2−メトキシエチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、またはイソプロピルが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用する用語「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖状の炭化水素基であって、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良く、かつ特定の数の炭素原子を含有するものをいう。例えば、C1−6アルケニルとは、少なくとも1個、多くて6個までの炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖状のアルケニルを意味する。「アルケニル」基の例として、限定するものではないが、エテニル、プロペニル、及びブテニルが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」とは、3個から12個の炭素原子を有する非芳香環状炭化水素環であって、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されているものをいう。「シクロアルキル」としては、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する用語「ヘテロサイクリック」または用語「ヘテロシクリル」とは、3個から12個の炭素を有する飽和または部分飽和非芳香環状炭化水素環系であって、O、S、またはNから選択される少なくとも1個のへテロ原子をも含有するものをいう。この環系は、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良い。「ヘテロサイクル」の例としては、限定するものではないが、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピラン、オキセタン、チエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキサラン、ピペリジン、4−ヒドロキシ−1−ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリミジン、ピロリジン、モルフォリン、チオモルフォリン、チアゾリジン、オキサゾリジン、テトラヒドロチオピラン、またはテトラヒドロチオフェンが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」とは、単環で5から7員の芳香環、またはこうした単環の5から7員の芳香環2個を有する縮合した二環の芳香環系をいう。これらのヘテロアリール環は1個以上の窒素、硫黄、または酸素のヘテロ原子を含有し、N−オキシド及び硫黄オキシド及びジオキシドは許容し得るヘテロ原子の置換であり、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良い。本明細書で使用する「ヘテロアリール」基の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、及びインダゾールが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリールアルキル」とは、特定の数の炭素原子を含有するアルキル基で置換された上記のヘテロアリール基をいう。「ヘテロアリールアルキル」基は、場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良い。本明細書で使用する「ヘテロアリールアルキル」の例としては、限定するものではないが、4−ピリジニルメチルが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」とは、基RaO−をいい、ここでRaは場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良いアルキルであり、特定の数の炭素原子を含有する。
【0025】
本明細書で使用する用語「アルコキシアルキル」とは、基RaORb−をいい、ここでRbはアルキルであり、Raは場合によってハロゲン、ヒドロキシル、−CF及び−N(CHからなる群から選択される3個までの基で置換されていても良い上記のアルコキシであり、Ra及びRbのいずれもが特定の数の炭素原子を含有する。
【0026】
本明細書で使用する用語「場合によって」とは、それ以降に記載の事象があってもなくても良く、起こる事象及び起こらない事象の双方を包含することを意味する。
【0027】
本明細書で使用する用語「生理学的機能性誘導体」とは、本発明の化合物の薬学的に許容し得る任意の誘導体をいい、例えば、哺乳動物への投与後に本発明の化合物またはその活性を有する代謝物を(直接的または間接的に)提供し得るエステルまたはアミドが挙げられる。このような誘導体は、過度な実験なしに、またBurger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery, 5th Edition, Vol 1: Principles and Practiceの教示を参照することによって当業者にとっては明らかである。該文献の記載は参照によって生理学的機能性誘導体を教示する程度に本明細書に組み入れる。
【0028】
本明細書で使用する用語「溶媒化合物」とは、溶質(本発明では式(I)の化合物またはその塩若しくは生理学的機能性誘導体)および溶媒で形成される化学量論的に可変の複合体である。本発明の目的でのそれらの溶媒は溶質の生物学的活性に干渉してはならない。好適な溶媒の例としては、限定するものではないが、水、メタノール、エタノール、及び酢酸が挙げられる。好ましくは使用する溶媒は製薬上許容し得る溶媒である。製薬上許容し得る溶媒の好適な例として、水、エタノール及び酢酸が挙げられる。最も好ましくは使用する溶媒は水である。
【0029】
本明細書で使用する用語「置換されている」とは、挙げられた1または複数の置換体による置換をいい、特に断らない限りは複数の置換も含まれる。
【0030】
本明細書に記載の化合物の中には、1個以上のキラル原子を含有し、あるいは2種のエナンチオマーとして存在し得るものもある。本発明の化合物には、エナンチオマーの混合物並びに精製したエナンチオマーあるいはエナンチオマーに富んだ混合物が挙げられる。また、本発明の範囲に含まれるものとして、上記式(I)で示される化合物の個々のイソ型並びにこれらの全体的または部分的に平衡化した任意の混合物がある。本発明はまた、上記の式で示される化合物の個々のイソ型並びに1個以上のキラル中心が逆になっているそのイソ型の混合物を包含する。
【0031】
一実施形態において、R及びRはそれぞれC1−6アルキルである。好ましい実施形態において、Rはメチルであり、Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、ベンジル、またはメチルピペリジニルである。
【0032】
別の実施形態において、R及びRは、それらが結合している窒素と共に5または6員のヘテロサイクリック環を形成する。該環は、場合によって1もしくは2個の更なる窒素、C1−6アルキル置換した窒素、酸素、またはS(O)m原子を有する。好ましい実施形態において、該環はピペリジン、モルフォリンまたはピペラジン環である。別の好ましい実施形態において、R及びRはそれらが結合している窒素と共に、更なる窒素がメチル基によって置換されているピペラジン環を形成する。
【0033】
別の実施形態において、R及びRはそれらが結合している窒素と共に5から7員のヘテロアリール環を形成する。該環は、場合によって1もしくは2個の更なる窒素、C1−6アルキル置換した窒素、酸素、またはS(O)m原子を有する。好ましい実施形態において、環はイミダゾール環である。
【0034】
一実施形態において、R及びRは独立して水素またはメチルである。好ましい実施形態において、R及びRはそれぞれ水素である。
【0035】
別の実施形態において、R及びRはそれぞれC1−6アルキルであり、R及びRは独立して水素またはメチルである。好ましい実施形態において、Rはメチルであり、Rはエチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、ベンジル、またはメチルピペリジニルであり、R及びRはそれぞれ水素である。
【0036】
別の実施形態において、R及びRは、それらが結合している窒素と共に5もしくは6員のヘテロサイクリック環または5から7員のヘテロアリール環を形成し、場合によって更なる窒素またはC1−6アルキル置換した窒素、酸素、またはS(O)mを有し、R及びRは独立して水素またはメチルである。好ましい実施形態において、該環はピペリジン、モルフォリンまたはピペラジン環であり、R及びRは水素である。別の好ましい実施形態において、R及びRはそれらが結合している窒素と共に、更なる窒素がメチル基で置換されているピペラジン環を形成し、R及びRはそれぞれ水素である。
【0037】
別の実施形態において、R及びRはそれらが結合している窒素と共に5から7員のヘテロアリール環を形成する。該環は、場合によって1もしくは2個の更なる窒素、C1−6アルキル置換した窒素、酸素、またはS(O)m原子を有し、R及びRは独立して水素またはメチルである。好ましい実施形態において、環はイミダゾール環であり、R及びRはそれぞれ水素である。
【0038】
本発明の化合物の塩は、式(I)の化合物の置換基上の窒素に由来する酸付加塩を含有し得る。用語「薬学上許容し得る塩」に含まれる塩とは、本発明の化合物の毒性のない塩をいう。代表的な塩として以下の塩が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩(bitartrate)、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩(camsylate)、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩(clavulanate)、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エディシレート(edisylate)、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン(hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロマイド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸1カリウム塩、ムチン酸塩(mucate)、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(embonate)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/2リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩(teoclate)、トシレート(tosylate)、トリエチオダイド、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩。製薬上許容されない他の塩は本発明の化合物の調製に有用でありえ、従ってこれらは本発明の更なる態様を成す。
【0039】
本発明の化合物の特定の例として以下の物が挙げられる:
1−[(Z)−(4−ジメチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−ジエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)エチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)プロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−プロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−メチルプロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)ベンジルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−ヒドロキシエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−メトキシエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(4−モルホリニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(1−ピペリジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(1−イミダゾイル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
1−[(Z)−(4−(N−メチル)−(1−メチル−4−ピペリジニル)アミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
及びこれらの塩、特に製薬上許容し得る塩、溶媒化合物、及び生理学的機能性誘導体。
【0040】
本発明の化合物は、標準的な化学を含む種々の方法によって製造することができる。先に規定した記号(variable)は、他に示さない限り、先に規定した意味を引き続き有する。例示的な一般的合成法を以下に示し、次いで本発明の特定の化合物を実施例で調製する。
【0041】
例えば、一般式(I)の化合物を調製する一般的な方法(A)は、一般式(II)の化合物:
【化3】
Figure 2004508372
[式中、Lはジメチルアミノまたはエトキシ等の遊離基である。]
の、一般式(III)の化合物:
【化4】
Figure 2004508372
[式中、Rは上記のものである。]
との反応を含む。
【0042】
一般的な方法(A)は、一般式(II)の化合物を一般式(III)の化合物と好適な溶媒中で混合し、酸を添加し、場合によって混合物を加熱することによって容易に実施することができる。典型的には溶媒はメタノール、エタノール、2−プロパノール等の低級アルコールであり、酸は、例えば塩酸またはメタンスルホン酸とすることができる。
【0043】
【化5】
Figure 2004508372
一般式(II)の化合物は、式(IV)の化合物を、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタールと反応させて、LがMeNである式(II)の化合物を得、あるいはトリアルキルオルトホルメート若しくはジアルコキシメチルアセテートと反応させて、Lがアルコキシ基である式(II)の化合物を得ることができる。便宜的には、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタールはジメチルホルムアミドジメチルアセタールまたはジメチルホルムアミドジ−tert−ブチルアセタールであり、反応は一般式(IV)の化合物をジメチルホルムアミドジアルキルアセタールと混合し、場合によって反応物を加熱することによって実施する。好ましいトリアルキルオルトホルメートとしては、トリメチルオルトホルメート及びトリエチルオルトホルメートが挙げられる。同様に、ジエトキシメチルアセテートを用いて、LがEtO−である一般式(II)の化合物を調製することができる。
【0044】
【化6】
Figure 2004508372
式(IV)のような化合物は、文献記載の方法を用いて調製することができる。式(IV)の化合物と類似のラクタムは、式(V)のようなカルボニル誘導体のウォルフ−キシュナー還元によって得られている。あるいはまた、式(IV)の化合物は、式(VI)のようなアミンを塩素化試薬で処理し、次にエチルメチルチオアセテート及び塩基で処理してメチルチオ誘導体を得ることを含む方法によって得ることができる。例えば活性化亜鉛を用いた脱硫によって、式(IV)のような化合物を得る。
【0045】
【化7】
Figure 2004508372
好ましい方法は、式(V)のようなケトン誘導体をエタノール等のアルコール性溶媒中でヒドラジンで処理し、混合物を加熱して式(VII)のようなヒドラゾンを得ることを含む。式(VII)のようなヒドラゾンをアルコール性溶液中の塩基で処理し、混合物を加熱することで、式(IV)のようなラクタムを得る。典型的には塩基はナトリウムエトキシド等のアルコキシドであり、溶媒はエタノールである。
【0046】
【化8】
Figure 2004508372
式(V)のようなケトンは、式(VI)のようなアミンから、アミンをクロラールで処理し、次に塩酸ヒドロキシルアミンで処理することを含む方法によって得ることができる。得られた式(VIII)のヒドロキシルイミノアセトアミドを次いで硫酸中で加熱して式(V)のケトンを得る。
【0047】
式(I)の化合物及びその塩、溶媒化合物、及び生理的機能性誘導体は、タンパク質キナーゼCDK4の阻害、及び増殖がCDK4タンパク質キナーゼ活性に依存する選択された細胞系に対する効果の結果として、抗癌活性を有すると考えられる。
【0048】
従って本発明はまた、医療、特に不適切なCDK4活性によって仲介される障害の治療における使用のための式(I)の化合物、及びその製薬上許容される塩若しくは溶媒化合物、またはその生理的機能性誘導体を提供する。
【0049】
本明細書において不適切なCDK4活性とは、特定の哺乳動物被検体において予測される正常なCDK4活性から外れたCDK4活性をいう。不適切なCDK4活性は、例えば、異常な活性上昇、あるいは、CDK4活性のタイミング及び/または調節における異常の形態を取り得る。このような不適切な活性は、例えば不適切な活性化または調節されていない活性化につながるタンパク質キナーゼの過剰発現または変異から生じ得る。更に、望ましくないCDK4活性が、悪性腫瘍等の異常な供給源にあり得ることも理解される。すなわち、CDK4活性のレベルは、不適切と考えられるために異常である必要はなく、むしろ活性が異常な源から由来する。
【0050】
本発明は、細胞増殖性障害、代謝障害及びサイトカイン産生過剰障害を含む、調節されていないCDK4活性に関連した障害の予防及び/または治療のための、CDK4を調節、改変、または阻害する方法に関する。本発明の化合物はまた、ある種の癌の治療にも使用することができ、ある種の既存の癌化学療法に付加的若しくは相乗的効果を提供するために使用することができ、及び/またはある種の既存の癌化学療法及び放射線療法の有効性を回復させるために使用することもできる。
【0051】
本発明の化合物は更に、血管増殖性障害、線維症性障害、メサンギウム細胞増殖性障害及び代謝性疾患の領域における細胞増殖によって特徴付けられる、哺乳動物を苦しめる1以上の疾患の治療に有用である。血管増殖性障害としては関節炎及び再狭窄が挙げられる。線維症性障害としては肝硬変及びアテローム性動脈硬化症が挙げられる。メサンギウム細胞増殖性障害としては、糸球体腎炎、糖尿病性ネフロパシー、悪性腎硬化症、血栓性細小血管症症候群、臓器移植拒絶及び糸球体症が挙げられる。代謝性障害としては乾癬、真性糖尿病、慢性創傷治癒、炎症及び神経変性性疾患が挙げられる。
【0052】
本発明の更なる態様において、感受性悪性腫瘍を含む、不適切なCDK4活性によって仲介される障害に罹患している哺乳動物の治療方法であって、被検体に有効量の式(I)の化合物、または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、またはその生理学的機能性誘導体を投与することを含む、該方法が提供される。好ましい実施形態において、障害は癌である。
【0053】
本発明の更なる態様において、癌に罹患している哺乳動物の治療方法であって、被検体に有効量の式(I)の化合物、または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、またはその生理学的機能性誘導体を投与することを含む、該方法が提供される。
【0054】
本発明の更なる態様において、不適切なCDK4活性を特徴とする障害の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物、または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、またはその生理学的機能性誘導体の使用が提供される。好ましい実施形態において、障害は癌である。
【0055】
本発明の更なる態様において、癌及び悪性腫瘍の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物、または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、またはその生理学的機能性誘導体の使用が提供される。
【0056】
本発明の化合物による治療を必要とする哺乳動物は、典型的にはヒトである。
【0057】
治療で使用するためには、治療的有効量の式Iの化合物、並びにその塩、溶媒化合物、及び生理学的機能性誘導体を生の化学物質として投与することも可能であるが、活性成分を医薬組成物として提供することが可能である。従って、本発明は更に、治療的有効量の式Iの化合物及びその塩、溶媒化合物、及び生理学的機能性誘導体、及び1種以上の製薬上許容し得る担体、希釈剤、または賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。式Iの化合物及びその塩、溶媒化合物、及び生理学的機能性誘導体は上記した通りである。担体、希釈剤または賦形剤は、製剤の他の成分と適合し得るという意味において許容される必要があり、そしてレシピエントに対して有害でないものでなければならない。本発明の別の態様に従って、式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、及び生理学的機能性誘導体を1種以上の製薬上許容し得る担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、医薬製剤の製造方法も提供される。
【0058】
医薬製剤は、単位用量当たり予め決められた量の活性成分を含有する単位用量形態で提供することができる。こうした単位には、治療される状態、投与経路、及び患者の年齢、体重及び状態に応じて、例えば0.5mg〜1g、好ましくは70mg〜700mg、より好ましくは5mg〜100mgの式(I)の化合物が含有され得る。好ましい単位用量の製剤は、活性成分の前記した日用量若しくは分割用量(sub−dose)、またはその適切な一部を含有するものである。更に、こうした医薬製剤は、薬学の分野で周知の任意の方法で調製しても良い。
【0059】
医薬製剤は、任意の好適な経路、例えば経口(バッカルまたは舌下を含む)、直腸、鼻内、局所(バッカル、舌下または経皮を含む)、膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内を含む)経路によって投与するのに適合させ得る。このような製剤は、薬学の分野において公知の任意の方法、例えば活性成分を担体または賦形剤と組み合わせることによって調製できる。
【0060】
経口投与に適した医薬製剤は、カプセルまたは錠剤;粉剤または顆粒剤;水性若しくは非水性液体中の溶液または懸濁液;食用できるフォームまたはホイップ;あるいは水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョン、等の個別の単位として提供することができる。
【0061】
例えば、錠剤またはカプセルの形態での経口投与のためには、活性な医薬成分を経口で非毒性の製薬上許容し得る不活性な担体、例えばエタノール、グリセロール、水等と組み合わせることができる。粉末は、化合物を好適な微小な大きさに粉砕し、同様に粉砕した食用できる炭水化物(例えばデンプンまたはマンニトール)等の薬学的担体と混合することによって調製する。香料、保存剤、分散剤及び着色剤も存在し得る。
【0062】
カプセルは、上記の粉末混合物を調製し、成型したゼラチンシース(sheaths)に充填することによって製造する。充填操作の前に、コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、またはポリエチレングリコール固体等の流動促進剤(glidants)及び滑沢剤(lubricants)を粉末混合物に添加することができる。カプセルを服用した時の医薬のアベイラビリティーを改善するために、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム等の崩壊剤または可溶化剤を添加することもできる。
【0063】
更に、所望または必要により、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物中に組み入れることもできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、グルコース若しくはβ−ラクトース等の天然の糖、トウモロコシ甘味料(corn sweeteners)、アカシア、トラガカント若しくはアルギン酸ナトリウム等の天然若しくは合成のガム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックス等が挙げられる。これらの投与形態で使用する滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、限定するものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられる。錠剤は、例えば粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッギング(slugging)を行い、滑沢剤及び崩壊剤を添加し、錠剤に圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、好適に細かく粉砕した化合物を上記の希釈剤またはベース、そして場合によってはカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、若しくはポリビニルピロリドン等の結合剤、パラフィン等の溶解遅延剤、第四級塩等の吸収促進剤及び/またはベントナイト、カオリン、若しくはリン酸二カルシウム等の吸着剤と混合することによって調製する。粉末混合物はシロップ、デンプンペースト、アカディア(acadia)粘滑薬またはセルロース性若しくはポリマー性物質の溶液等の結合剤で湿潤させ、スクリーンを強制的に通すことによって顆粒化することができる。顆粒化の代替法として、粉末混合物を錠剤製造機に通し、結果として得られる不完全に形成した塊(slugs)を粉砕して顆粒にすることができる。顆粒は、錠剤形成用の型への付着を防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油の添加によって滑沢化させることができる。滑沢化させた混合物を次に錠剤に圧縮する。本発明の化合物はまた、自由浮動性(free flowing)の不活性な担体と組み合わせて、顆粒化またはスラッギングステップを経ることなく直接錠剤に圧縮することができる。シェラックの密封性被覆、糖またはポリマー性物質の被覆、及びワックスの光沢のある被覆からなる透明または不透明な保護被覆が提供され得る。異なる単位投与物を識別するためにこれらの被覆に染料を添加することができる。
【0064】
溶液、シロップ及びエリキシル等の経口液剤は、所与の量が予め決められた量の化合物を含有するように単位投与形態で調製することができる。シロップは、化合物を好適に味をつけた(flavored)水溶液に溶解することによって調製することができ、エリキシルは非毒性のアルコール性ベヒクルを使用して調製する。懸濁液は化合物を非毒性のベヒクルに分散させることによって製剤化することができる。エトキシル化したイソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテル等の可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ペパーミント油または天然甘味料またはサッカリンまたは他の人工甘味料等の風味添加剤等も添加することができる。
【0065】
適切な場合には、経口投与のための単位投与製剤をマイクロカプセル化することができる。製剤はまた、例えばポリマーやワックス等を用いて粒子状物質を被覆または包埋してその放出を延長または持続するように調製することもできる。
【0066】
式Iの化合物、及びその塩、溶媒化合物及び生理学的機能性誘導体はまた、スモールユニラメラベシクル、ラージユニラメラベシクル及びマルチラメラベシクル等のリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン等の種々のリン脂質から形成することができる。
【0067】
式Iの化合物及びその塩、溶媒化合物及び生理学的機能性誘導体はまた、化合物分子を結合させる個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達することもできる。化合物はまた、ターゲッティング可能な医薬担体として可溶性ポリマーと結合させることもできる。こうしたポリマーとして、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキサイドポリリジンが挙げられる。更に、化合物は、医薬の調節性放出を達成する上で有用な生分解性ポリマーのクラス、例えばポリ乳酸、ポリイプシロン(polepsilon)カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋型または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることもできる。
【0068】
経皮投与に適した医薬製剤は、レシピエントの表皮と近く接触して長時間とどまることを意図される個々のパッチとして提供することができる。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318(1986)に一般的に記載されているイオン浸透療法(iontophoresis)によってパッチから送達することができる。
【0069】
局所投与に適した医薬製剤は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾールまたは油として製剤化することができる。
【0070】
眼あるいは他の外部組織、例えば口及び皮膚の治療においては、製剤は好ましくは局所軟膏またはクリームとして適用される。軟膏に製剤化する場合は、活性成分をパラフィン性または水混和性軟膏基材と共に用いることができる。あるいはまた、活性成分を水中油型クリーム基材または油中水型基材と共にクリームに製剤化することもできる。
【0071】
眼への局所投与に適した医薬製剤としては、活性成分が好適な担体、特に水性溶媒中に溶解または懸濁している点眼剤が挙げられる。
【0072】
口への局所投与に適した医薬製剤としては、ロゼンジ、錠剤(pastilles)及び洗口剤が挙げられる。
【0073】
直腸投与に適した医薬製剤は、坐剤として、または浣腸として提供することができる。
【0074】
担体が固体である鼻内投与に適した医薬製剤としては、嗅ぎタバコ(snuff)を吸う方法で、すなわち鼻の近くに保持された粉末の容器から鼻の通路を通した迅速吸入によって投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末が挙げられる。担体が液体である、鼻スプレーまたは鼻ドロップとして投与するために好適な製剤としては、活性成分の水性または油性の溶液が挙げられる。
【0075】
吸入による投与に適した医薬製剤としては、種々の型の計量した加圧エアゾール、ネブライザーまたは注入器によって生成し得る微粒子のダストまたはミストが挙げられる。
【0076】
膣内投与に適した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提供することができる。
【0077】
非経口投与に適した医薬製剤としては、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、及び製剤を予定されているレシピエントの血液と等張にするための溶質を含有し得る水性及び非水性の無菌の注射溶液;及び懸濁剤及び増粘剤を含有し得る水性及び非水性の無菌の懸濁液が挙げられる。製剤は、単位容量または多数回容量の容器、例えば密閉したアンプル及びバイアルで提供することができ、また使用直前に無菌の液体担体、例えば注射用の水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時調合型注射溶液及び懸濁液は無菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
【0078】
特に上記した成分に加えて、対象の製剤の型に関して当分野において通常用いられる他の薬剤を製剤中に含めることができることは理解されるべきである。例えば、経口投与に好適なものとして香料が挙げられる。
【0079】
本発明の化合物の治療的有効量は、例えば、動物の年齢及び体重、治療を必要とする明確な状態及びその重篤度、製剤の性質、及び投与経路、を含む多くの因子に依存し、最終的には担当の医師または獣医の裁量で決定される。しかしながら、新生物の増殖、例えば結腸癌または乳癌に対する治療においては、式(I)の化合物の有効量は、一般に一日当たりレシピエント(哺乳動物)の体重1kgに対して0.1〜100mgの範囲であり、より通常には一日あたり体重1kgに対して1〜10mgの範囲である。従って、70kgの哺乳動物成体の場合、一日当たりの実際の量は通常70〜700mgであり、この量は1日に単回投与で適用しても良く、またはより通常には総日用量が同じになるようにした1日複数回(例えば2回、3回、4回、5回または6回)の分割投与で適用しても良い。化合物の塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の有効量は、式(I)の化合物自体の有効量と比例して決定することができる。上記した他の状態の治療についても同様の投与量が適切であろうことが想定される。
【0080】
本発明の化合物及びその塩及び溶媒化合物、及びその生理学的機能性誘導体は、単独で用いても良く、あるいは上記した状態の治療のための他の治療薬と組み合わせて用いても良い。特に、抗癌治療において、他の化学療法剤、ホルモン、または抗体医薬との組み合わせ、並びに外科的治療及び放射線療法との組み合わせが想定される。従って本発明による組み合わせ治療は、少なくとも1種の式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、あるいは生理学的機能性誘導体の投与、及び少なくとも1種の他の癌治療法の使用を含む。好ましくは、本発明による組み合わせ治療は、少なくとも1種の式(I)の化合物または製薬上許容し得るその塩若しくは溶媒化合物、あるいは生理学的機能性誘導体、及び少なくとも1種の他の薬学上活性な薬剤、好ましくは抗新生物剤の投与を含む。式(I)の化合物及び他の薬学上活性な薬剤は共に投与しても別々に投与しても良く、別々に投与する場合は、任意の順で同時にまたは続けて投与することができる。式(I)の化合物及び他の薬学上活性な薬剤の量、及び投与の相対的なタイミングは、所望の組み合わせ治療効果を達成するために選択される。
【0081】
式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体、及び少なくとも1種の更なる癌治療法を、そのような他の抗癌治療と治療的に適切な任意の組み合わせで同時にまたは続けて組み合わせて用いることができる。一実施形態において、他の抗癌治療は、少なくとも1種の抗新生物剤の投与を含む、少なくとも1種の更なる化学療法である。式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の他の抗新生物剤と組み合わせての投与は、本発明に従って、(1)双方の化合物を含有する単位医薬組成物、または(2)それぞれ一方の化合物を含有する別個の医薬組成物、として同時に投与することによって組み合わせて行い得る。あるいはまた、組み合わせは、一方の抗新生物剤を最初に投与し、他方を2番目に投与するかまたはその逆で投与するように、別々に続けて投与することができる。こうした続けての投与は、時間的に近くても離れていても良い。
【0082】
抗新生物剤は、細胞周期特異的に抗新生物効果を誘導し(すなわち相特異的であり、細胞周期の特定の相において作用する)、あるいはDNAに結合して細胞周期非特異的に作用し得る(すなわち細胞周期非特異的であり、他のメカニズムによって作用する)。
【0083】
式Iの化合物及びその塩、溶媒化合物または生理学的機能性誘導体と組み合わせるのに有用な抗新生物剤としては、以下のものが挙げられる:
(1)細胞周期特異的抗新生物剤としては、限定するものではないが、パクリタキセル及びその類似体のドセタキセル等のジテルペノイド類;ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、及びビノレルビン等のビンカアルカロイド類;エトポシド及びテニポシド等のエピポドフィロトキシン類;5−フルオロウラシル及びフルオロデオキシウリジン等のフルオロピリミジン類;アロプリノール、フルドゥラビン、メトトレキセート、クラドラビン、シタラビン、メルカプトプリン及びチオグアニン等の代謝拮抗物質類;及び9−アミノカンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、CPT−11及び7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学異性体等のカンプトテシン類、が挙げられる。
【0084】
(2)細胞毒性を有する化学療法剤としては、限定するものではないが、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、及びダカルバジン等のアルキル化剤;ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン及びミスラマイシン等の抗腫瘍抗生物質;シスプラチン、カルボプラチン、及びオキサリプラチン等の白金複合体(platinum coordination complexes)が挙げられる。
【0085】
(3)他の化学療法剤としては、限定するものではないが、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン及びイオドキシフェン等の抗エストロゲン;酢酸メゲストロール等のプロゲストロジェン;アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、及びエキセメスタン等のアロマターゼ阻害剤;フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、及び酢酸シプロテロン等の抗男性ホルモン;酢酸ゴセレリン及びルプロリド等のLHRHアゴニスト及びアンタゴニスト;フィナステリド等のテストステロン5α−ジヒドロレダクターゼ阻害剤;マリマスタット等のメタロプロテイナーゼ阻害剤;抗プロゲストジェン;ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能阻害剤;肝細胞増殖因子の機能の阻害剤等の増殖因子機能阻害剤;erb−B2、erb−B4、上皮増殖因子受容体(EGFr)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFr)、血管上皮増殖因子受容体(VEGFr)、及びTIE−2;及び本発明において記載のもの以外のCDK2及びCDK4阻害剤等の他のチロシンキナーゼ阻害剤、が挙げられる。
【0086】
別の実施形態において、治療的有効量の式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物若しくは生理学的機能性誘導体、及び増殖因子受容体機能を阻害する薬剤を、不適切なCDK4活性によって仲介される障害の治療、例えば癌の治療のために哺乳動物に組み合わせて投与することができる。このような増殖因子受容体としては、例えば、EGFr、PDGFr、erb−B2、VEGFr、またはTIE−2が挙げられる。増殖因子受容体及び増殖因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath, John C., Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(6):803−818及びShawverら、DDT Vol 2, No. 2 February 1997に記載されている。
【0087】
式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体、及び増殖因子受容体機能を阻害する薬剤は、任意の治療上適切な組み合わせで同時にまたは続けて、組み合わせて使用することができる。組み合わせは、(1)双方の化合物を含有する単位医薬組成物、または(2)それぞれ一方の化合物を含有する別個の医薬組成物、として同時に投与することによって本発明に従った組み合わせて使用することができる。あるいはまた、組み合わせは、一方を最初に投与し、他方を2番目に投与するかまたはその逆で投与するように、別々に続けて投与することができる。こうした続けての投与は、時間的に近くても離れていても良い。
【0088】
本発明の別の態様において、哺乳動物における不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害を治療する方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体を投与することを含む、上記方法が提供される。一実施形態において、不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性は少なくとも不適切なCDK2またはCDK4活性のいずれか一方による。別の実施形態において、不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性は、不適切なCDK2及びCDK4活性による。更なる実施形態において、該方法は、式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体と共に治療的有効量のCDK2阻害剤を投与することを更に含む。障害は癌、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、炎症性疾患、神経変性性疾患、ウイルス感染及び乾癬であり得る。好ましくは障害は癌である。サイクリン依存性キナーゼ及びその阻害剤は、例えばRosaniaら, Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(2):215−230に記載されている。
【0089】
本発明の別の態様において、哺乳動物における不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害を治療に使用するための医薬の製造における、式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の使用が提供される。一実施形態において、不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性は少なくとも不適切なCDK2またはCDK4活性のいずれか一方による。別の実施形態において、不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性は、不適切なCDK2及びCDK4活性による。更なる実施形態において、該使用は該医薬を製造するためのCDK2阻害剤の使用を更に含む。
【0090】
式Iの化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体とCDK2阻害剤との組み合わせは、本発明に従って(1)双方の化合物を含有する単位医薬組成物、または(2)それぞれ化合物の一方を含む別個の医薬組成物、として同時に投与することによって組み合わせて使用することができる。
【0091】
本発明の特定の実施形態を、以下に例示のためにのみ説明する。例示した化合物に与えられた物理的データはこれらの化合物に割り当てられた構造と合致する。
【0092】
実施例
以下の実施例は本発明の例示的実施形態であり、いかなる意味においても本発明の範囲を制限するものではない。試薬は市販のものであるか、または文献に記載の方法に従って調製する。実施例番号は、上記の表に挙げた化合物のものをいう。H NMRスペクトルはVARIAN Unity Plus NMRスペクトロフォトメーターで300または400 MHzで得た。質量スペクトルは、Micromass Ltd.(Altrincham, UK)のMicromass Platform II質量分析計で、大気化学イオン化(Atmospheric Chemical Ionization(APCI))または電気スプレーイオン化(Electrospray Ionization)を用いて得た。単離できないか、または不安定すぎて完全な性状解析ができないいくつかの中間体の純度を確かめ、反応の進行を追跡するために、分析的薄相クロマトグラフィー(TLC)を用いた。他に記載のない限り、これはシリカゲル(Merck Silica Gel 60 F254)を用いて行った。他に記載のない限り、いくつかの化合物の精製のためのクロマトグラフィーではMerck Silica gel 60(230−400メッシュ)、及び記載の溶媒系を加圧下で用いた。
【0093】
実施例1
1−[(Z)−(4− ジメチルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化9】
Figure 2004508372
a)ジメチルアミノメチリデン−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン(0.1mmol)、4−ジメチルアミノメチルアニリン(0.1mmol)及びエタノール(1mL)中の濃塩酸(0.02mL)を環流下でtlc分析で測定して反応が完了するまで加熱した。反応混合物を室温まで冷却させた。溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィーで残渣を精製して橙−褐色固体の標記化合物、15mg(42%)を得た。
【0094】
Figure 2004508372
b)ジメチルアミノメチリデン−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン
3−H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン(13mmol)及びDMF中のジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール(15mmol)の混合物を室温で3時間攪拌した。酢酸エチル(25mL)を添加し、得られた個体を濾過によって回収し、風乾させた。所望の化合物が得られ(70%)、これを直接次のステップに使用した。
【0095】
c)3−H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン
2.3g(12mmol)の3−H−ピロロ[3,2−f]キノリン−1,2−ジオン及び2.0ml(0.06mol)のヒドラジンの50mlのDMF及び50mlのエタノール中の溶液を環流下で2時間攪拌した。得られた懸濁液を室温まで冷却させ、次いで氷浴中で冷却して濾過した。固体を少量のエタノールで洗浄し、風乾して橙色固体の1−ヒドラゾノ−1,3−ジヒドロピロロ[3,2−f]キノリン−2−オンを得た(1.8g、73%)。
【0096】
Figure 2004508372
1.8g(8.5mmol)の1−ヒドラゾノ−1,3−ジヒドロピロロ[3,2−f]キノリン−2−オンの新たに調製した0.5Mナトリウムエトキシド溶液50ml中の溶液を環流下で3時間攪拌した。溶液を50mlの水で希釈し、酢酸で中和し、ロータリーエバポレーターで濁るまで濃縮した。溶液を冷蔵庫で一晩保存した。固体を濾過によって除き、濾過液を各80mlのEtOAcで3回抽出した。固体のMeOH/EtOAc溶液を抽出液と合わせてシリカゲルの短いパッドを通過させ、EtOAcで溶出させた。次いで溶液をロータリーエバポレーターで少量になるまで濃縮し、得られた懸濁液を等量のエタノールで希釈し、照音波処理し、濾過して明るい緑色の固体の3−H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オンを得た(0.52g、33%)。
【0097】
Figure 2004508372
d)3−H−ピロロ[3,2−f]キノリン−1,2−ジオン
1Lのフラスコに、硫酸ナトリウム(0.6mol)及び水(100mL)を入れ、固体が溶解するまで混合液を攪拌した。この溶液に6−アミノキノリン(0.033mol)の1N塩酸水溶液(50mL)及びエタノール(10mL)中の溶液を添加した。混合液を攪拌してクロラール(0.036mol)を添加した。得られた溶液に塩酸ヒドロキシルアミン(0.108mol)の水(30mL)溶液を添加した。次いでこの混合液を穏やかに環流しながら全ての固体が溶解するまで加熱し、更に15分間加熱した。フラスコの加熱をやめ、溶液を攪拌しながら氷(500g)上に注いだ。得られた固体を濾過によって回収し、水で洗浄、風乾してN−キノリン−6−イル−2−ヒドロキシイミノアセトアミド(hydroxyiminoacatamide)を得た(94%)。1Lの三つ首フラスコに濃硫酸(100mL)を入れた。酸を攪拌し、100℃まで加熱した。N−キノリン−6−イル−2−ヒドロキシイミノアセトアミド(45mmol)をゆっくり添加し、得られた溶液を1時間加熱した。反応混合液を慎重に氷/水(750mL)上に注ぎ、約1時間攪拌した。固体を濾過によって回収し、水で洗浄、風乾して所望の化合物を得た(46%)。
【0098】
実施例2
1−[(Z)−(4− ジエチルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化10】
Figure 2004508372
4−ジエチルアミノメチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にして橙−黄色固体の標記の化合物、8.6mg(22%)を得た。
【0099】
Figure 2004508372
実施例3
1−[(Z)−(4−(N− メチル エチルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化11】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)エチルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄色固体の標記の化合物、13mg(35%)を得た。
【0100】
Figure 2004508372
実施例4
1−[(Z)−(4−(N− メチル プロピルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化12】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)プロピルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄−褐色固体の標記の化合物、7.2mg(19%)を得た。
【0101】
Figure 2004508372
実施例5
1−[(Z)−(4−(N− メチル )−2− プロピルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化13】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)イソプロピルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄色固体の標記の化合物、16mg(41%)を得た。
【0102】
Figure 2004508372
実施例6
1−[(Z)−(4−(N− メチル )−2− メチルプロピルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化14】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)−2−メチルプロピルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄−褐色固体の標記の化合物、11mg(27%)を得た。
【0103】
Figure 2004508372
実施例7
1−[(Z)−(4−(N− メチル ベンジルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化15】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)ベンジルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄色固体の標記の化合物、18mg(41%)を得た。
【0104】
Figure 2004508372
実施例8
1−[(Z)−(4−(N− メチル )−2− ヒドロキシエチルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化16】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)−2−ヒドロキシエチルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄色固体の標記の化合物、10mg(26%)を得た。
【0105】
Figure 2004508372
実施例9
1−[(Z)−(4−(N− メチル )−2− メトキシエチルアミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化17】
Figure 2004508372
4−[N−(メチル)−2−メトキシエチルアミノメチル]アニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄色固体の標記の化合物、18mg(41%)を得た。
【0106】
Figure 2004508372
実施例10
1−[(Z)−(4−(4− モルホリニル メチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化18】
Figure 2004508372
4−(4−モルホリニル)メチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄−褐色固体の標記の化合物、19mg(47%)を得た。
【0107】
Figure 2004508372
実施例11
1−[(Z)−(4−(1− ピペリジニル メチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化19】
Figure 2004508372
4−(1−ピペリジニル)メチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にしてカーキ色固体の標記の化合物、24mg(60%)を得た。
【0108】
Figure 2004508372
実施例12
1−[(Z)−(4−(4− ヒドロキシ −1− ピペリジニル メチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化20】
Figure 2004508372
4−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)メチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にして黄−橙色固体の標記の化合物、2.6mg(6%)を得た。
【0109】
Figure 2004508372
実施例13
1−[(Z)−(4−(4− メチル −1− ピペラジニル メチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化21】
Figure 2004508372
4−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にして濃いくり色固体の標記の化合物、77mg(78%)のビス塩酸塩を得た。
【0110】
Figure 2004508372
実施例14
1−[(Z)−(4−(1− イミダゾイル メチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化22】
Figure 2004508372
4−(1−イミダゾイル)メチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にしてさび色の固体の標記の化合物、28mg(73%)を得た。
【0111】
Figure 2004508372
実施例15
1−[(Z)−(4−(N− メチル )−(1− メチル −4− ピペリジニル アミノメチルアニリノ メチリデン ]−1,3− ジヒドロ −2H− ピロロ [3,2−f] キノリン −2− オン
【化23】
Figure 2004508372
4−(N−メチル)−(1−メチル−4−ピペリジニル)アミノメチルアニリンから実施例1(a)の記載と同様にしてさび色の固体の標記の化合物、7.7mg(17%)を得た。
【0112】
Figure 2004508372
生物学的データ
本発明の化合物は貴重な薬理学的特性を有する。このクラスの種々の化合物は、0.0001〜1μMの範囲の濃度でCDK2及び/またはCDK4酵素を阻害するのに特に有効であり、更に他のキナーゼと比較して特異性を示す。代表的なデータを以下の表1に示す。基質リン酸化アッセイを以下のようにして実施した。
【0113】
CDK4
サイクリンD1及びサイクリン依存性キナーゼ4はバキュロウイルス発現系を用いて発現させた。CDK4タンパク質の触媒活性はRbタンパク質のリン酸化を測定することによってアッセイした。末端切断型Rbタンパク質(天然網膜芽腫タンパク質の残基773−928、精製を容易にするためにグルタチオンS−トランスフェラーゼと融合したもの)をリン酸化の受容体として使用した。アッセイ条件は、最終体積が50μL中に100mM HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペリジン−N’−[2−エタンスルホン酸])、pH 7.5、0.5μM GST−Rbタンパク質、1μCi/mL[33P]−ATP(1nM−20μM)、5−20mM MgCl、2.5mM EDTA、1mM ジチオスレイトール、0.2mg/mL ウシ血清アルブミン、2%(v/v) ジメチルスルホキシド(DMSO)、CDK4酵素(5−50nM)とした。反応液を10−60分間30℃でインキュベートし、50μLのクエンチ液(1mM ATP/100mM EDTA、pH 7.0)の添加によって停止させた。タンパク質のリン酸化の検出はシンチレーションカウンター計測により行い、続いてグルタチオンで被覆した96ウェルプレートにタンパク質を回収するか、またはホスホセルロースフィルター上にタンパク質を捕捉した。これらの方法で検出したカウントから適当なバックグラウンド値を差し引いたものは反応初期速度に比例すると考えられた。IC50値は種々の阻害剤濃度(0.1nM〜50μM)の存在下で酵素活性を測定することによって決定した。IC50Sを式CPM=Vmax(1−([l]/(K+[l]))+nsb)に対する最小二乗適合(fit)によって決定するか、あるいはpIC50sを式CPM=nsb+(Vmax−nsb)/(1+(x/10−pIC50))に対する適合によって決定した。ここでnsbはバックグラウンド値である。
【0114】
CDK2
サイクリン依存性タンパク質キナーゼ2のアッセイは、ホスホリル基受容体としてペプチドビオチン−アミノヘキシル−ARRPMSPKKKA−NHを用いる。CDK2はバキュロウイルス発現系を用いて発現させ、部分精製して検出可能な競合反応を存在させずに総タンパク質の20−80%で含有させた。典型的には、アッセイは、阻害剤、ペプチド基質(1−10nM)、[g−32P]ATP(1−20nM)、及び10−20mM Mg2+の存在下または非存在下で、一般には10−120分の範囲の時間、酵素(0.2−10nM)をインキュベートすることによって行った。反応は0.2−2倍量の20%酢酸若しくはpH7に緩衝させた50−100mM EDTAで停止させた(基質消費<20%)。酵素アッセイで用いた緩衝液は、0.1mg/mL BSA及び5% DMSOを含有する100mM HEPES pH7.5であった。阻害剤はアッセイに添加する前に100% DMSOで希釈した。ペプチドリン酸化の検出は、ペプチドをホスホセルロースフィルター上に回収するか(酢酸で反応を停止させた場合)、ストレプトアビジンで被覆した96ウェルプレート(Pierce)のウェルにペプチドを回収するか(EDTAで反応を停止させた場合)、あるいはアビジン被覆シンチラントを含んだ(impregnated)ビーズの添加(Amershamからのシンチレーション近接(Proximity)アッセイ、EDTAで反応を停止した場合)の後にシンチレーションカウンター計測することによって実施した。これらの方法のいずれかで検出された計数から適切なバックグラウンド(更に40mM EDTAを用いるかまたはペプチド基質を用いないアッセイ)を引いたものが反応初期速度に比例するものと推定し、IC50は式CPM=Vmax(1−([l]/(K+[l])))+nsbに対する最小二乗適合(fit)によって決定するか、あるいは−pIC50sを式CPM=nsb+(Vmax−nsb)/(1+(x/10−pIC50))に対する適合によって決定した。ここでnsbはバックグラウンド値である。フィルターは75mMリン酸で4回洗浄した。放射活性は液体シンチレーションカウンター計測によって決定した。
【0115】
細胞ベースの抗増殖アッセイ
化合物の抗増殖活性は細胞DNAへのブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込みによってDNA合成速度を測定することで決定した。細胞DNA中のBrdU量は、迅速なスループットを可能とするためにELISAフォーマットで抗−BrdU抗体を用いて検出した。対数増殖期にある機能性Rbを含有するヒト腫瘍細胞(U2OS、MDA−MB−231)または機能性Rbタンパク質を有さないヒト腫瘍細胞(SaOs−2、MDA−MB−468)を96ウェルプレートの培地中にまき(1−6×10細胞/100μL培地/ウェル)、一晩から30時間インキュベートさせた。化合物(濃度範囲0.046−100μM)を培地で希釈し(最終DMSO(v/v)0.8%)、細胞を含有するウェルに添加し、37℃で18時間インキュベートした。BrdU(100μM)を添加し、4時間インキュベートした。細胞をPBSでゆすぎ、固定/変性溶液の添加によってDNAを変性させた。1% BSA中のホースラディッシュペルオキシダーゼにコンジュゲートさせた抗−BrdU抗体を室温で2時間添加した。細胞を洗浄し、化学発光試薬を添加し、プレートをルミノメーターで読んだ。抗増殖アッセイで調べた場合、本発明の化合物の典型的なIC50値は0.05−10μMの範囲であった。
【0116】
【表1】
Figure 2004508372

Claims (45)

  1. 式I:
    Figure 2004508372
    [式中、Rは(CR)nNR)であり、
    nは1または2であり、
    及びRはそれぞれ独立してC1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、ヘテロアリール−C1−6アルキルであるか、またはR及びRはそれらが結合している窒素原子と共に5若しくは6員のヘテロサイクリック環または5−7員のヘテロアリール環を形成し、これらの環は場合によって1個または2個の更なる酸素、硫黄、S(O)m、または窒素原子を含み、該更なる窒素原子は場合によってC1−6アルキルまたはアリール基によって置換されており、
    mは0、1、または2であり、
    及びRはそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルであり、そして
    上記C1−6アルキル、C1−6アルケニル、C1−6アルキル−C1−6アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール及びヘテロアリール−C1−6アルキル基は場合によって3個までのハロゲン、ヒドロキシル、CF及びN(CHからなる群から選択される基で置換されている。]
    で示される化合物またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体。
  2. 及びRがC1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
  3. がメチルであり、Rがエチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、ベンジル、及びメチルピペリジニルからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  4. 及びRがそれらが結合する窒素と共に、窒素、C1−6アルキル基で置換された窒素、O、またはS(O)mから選択される1または2個の更なるヘテロ原子を場合によって含有するヘテロサイクリック環を形成する、請求項1に記載の化合物。
  5. 上記環がピペリジン、モルフォリンまたはピペラジン環であり、R及びRがピペラジン環を形成する場合にNがメチル基で置換されている、請求項4に記載の化合物。
  6. 及びRがそれらが結合する窒素と共に、窒素、C1−6アルキル基で置換された窒素、O、またはS(O)mから選択される1または2個の更なるヘテロ原子を場合によって含有するヘテロアリール環を形成する、請求項1に記載の化合物。
  7. 上記環がイミダゾール環である、請求項6に記載の化合物。
  8. 及びRが独立して水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
  9. 及びRがそれぞれ水素である、請求項1に記載の化合物。
  10. 及びRがそれぞれC1−6アルキルであり、R及びRが独立して水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
  11. がメチルであり、Rがエチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、ベンジル、またはメチルピペリジニルであり、R及びRがそれぞれ水素である、請求項1に記載の化合物。
  12. 及びRがそれらが結合する窒素と共に、更なる窒素、またはC1−6アルキルで置換された窒素、酸素、若しくはS(O)mを場合によって含有するヘテロサイクリック環を形成し、R及びRが独立して水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
  13. 上記環がピペリジン、モルフォリンまたはピペラジン環であり、R及びRが水素である、請求項12に記載の化合物。
  14. 及びRがそれらが結合する窒素と共にピペラジン環を形成し、更なる窒素がメチル基で置換され、R及びRが水素である、請求項1に記載の化合物。
  15. 及びRがそれらが結合する窒素と共に、更なる窒素、またはC1−6アルキルで置換された窒素、酸素、若しくはS(O)mを場合によって含有するヘテロアリール環を形成し、R及びRが独立して水素またはメチルである、請求項1に記載の化合物。
  16. 上記環がイミダゾール環であり、R及びRが水素である、請求項15に記載の化合物。
  17. 1−[(Z)−(4−ジメチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−ジエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)エチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)プロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−プロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−メチルプロピルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)ベンジルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−ヒドロキシエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)−2−メトキシエチルアミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(4−モルホリニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(1−ピペリジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(4−ヒドロキシ−1−ピペリジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(1−イミダゾイル)メチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、
    1−[(Z)−(4−(N−メチル)−(1−メチル−4−ピペリジニル)アミノメチルアニリノ)メチリデン]−1,3−ジヒドロ−2H−ピロロ[3,2−f]キノリン−2−オン、及び
    これらの塩、溶媒化合物、または生理学的機能性誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  18. 治療的有効量の請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体と、1種以上の製薬上許容し得る担体、希釈剤及び賦形剤を含有する医薬組成物。
  19. 少なくとも1種の更なる抗新生物剤を更に含有する、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤を更に含有する、請求項18に記載の医薬組成物。
  21. 哺乳動物における不適切なCDK4活性によって仲介される障害を治療する方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体を投与することを含む、上記方法。
  22. 障害が癌である、請求項21に記載の方法。
  23. 治療に使用するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体。
  24. 不適切なCDK4活性によって仲介される障害の治療に使用するための医薬の製造における、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の使用。
  25. 障害が癌である、請求項24に記載の使用。
  26. 哺乳動物における癌を治療する方法であって、治療的有効量の請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体を該哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
  27. 治療的有効量の少なくとも1種の更なる抗癌治療を行うことを更に含む、請求項26に記載の方法。
  28. 更なる抗癌治療を式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の投与と同時に行う、請求項27に記載の方法。
  29. 更なる抗癌治療を式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の投与の後に行う、請求項27に記載の方法。
  30. 更なる抗癌治療を式Iの化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の投与の前に行う、請求項27に記載の方法。
  31. 哺乳動物における不適切なCDK4活性によって仲介される障害を治療する方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の(i)請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体、及び(ii)増殖因子受容体機能を阻害する薬剤、を投与することを含む、上記方法。
  32. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤が血小板由来増殖因子受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  33. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤が上皮増殖因子受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  34. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤がerbB2受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  35. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤がVEGF受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  36. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤がTie−2受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  37. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤が上皮増殖因子受容体及びerbB2の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  38. 増殖因子受容体機能を阻害する薬剤がVEGF受容体及びTIE−2受容体の機能を阻害する、請求項31に記載の方法。
  39. 障害が癌である、請求項31に記載の方法。
  40. 哺乳動物における不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害を治療する方法であって、該哺乳動物に治療的有効量の請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体を投与することを含む、上記方法。
  41. 不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性が少なくとも不適切なCDK2またはCDK4活性の何れか一方である、請求項40に記載の方法。
  42. 不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性が不適切なCDK2及びCDK4活性である、請求項40に記載の方法。
  43. 治療的有効量のCDK2阻害剤を投与することを更に含む、請求項40に記載の方法。
  44. 障害が癌である、請求項40に記載の方法。
  45. 不適切なサイクリン依存性キナーゼ活性によって仲介される障害の治療に使用するための医薬の製造における、請求項1〜17のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、溶媒化合物、若しくは生理学的機能性誘導体の使用。
JP2002525145A 2000-09-01 2001-06-28 オキシインドール誘導体 Pending JP2004508372A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US23024100P 2000-09-01 2000-09-01
PCT/US2001/020703 WO2002020524A1 (en) 2000-09-01 2001-06-28 Oxindole derivatives

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004508372A true JP2004508372A (ja) 2004-03-18
JP2004508372A5 JP2004508372A5 (ja) 2005-04-07

Family

ID=22864461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002525145A Pending JP2004508372A (ja) 2000-09-01 2001-06-28 オキシインドール誘導体

Country Status (8)

Country Link
US (1) US6720332B2 (ja)
EP (1) EP1313732B1 (ja)
JP (1) JP2004508372A (ja)
AT (1) ATE281455T1 (ja)
AU (1) AU2001271611A1 (ja)
DE (1) DE60106947T2 (ja)
ES (1) ES2230337T3 (ja)
WO (1) WO2002020524A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1183025B1 (en) * 1999-05-19 2009-01-14 PainCeptor Pharma Corp. Inhibitors of proton-gated cation channels and their use in the treatment of ischaemic disorders
KR20060111716A (ko) 2002-01-22 2006-10-27 워너-램버트 캄파니 엘엘씨 2-(피리딘-2-일아미노)-피리도[2,3-d]피리미딘-7-온
NZ544609A (en) * 2003-07-11 2008-07-31 Warner Lambert Co Isethionate salt of 6-acetyl-8-cyclopentyl-5-methyl-2-(5-piperazin-1-yl-pyridin-2-ylamino)-8H-pyrido[2,3-d]pyrimidin-7-one
JP2007513967A (ja) * 2003-12-11 2007-05-31 セラヴァンス, インコーポレーテッド 変異レセプターチロシンキナーゼが駆動する細胞増殖性疾患の処置において使用するための組成物
US7304074B2 (en) 2005-04-05 2007-12-04 Hoffmann-La Roche Inc. Substituted 1,5-naphthyridine azolinones
US9376664B2 (en) 2010-06-14 2016-06-28 The Scripps Research Institute Reprogramming of cells to a new fate

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9716557D0 (en) 1997-08-06 1997-10-08 Glaxo Group Ltd Benzylidene-1,3-dihydro-indol-2-one derivatives having anti-cancer activity
GB9718913D0 (en) * 1997-09-05 1997-11-12 Glaxo Group Ltd Substituted oxindole derivatives
GB9904933D0 (en) 1999-03-04 1999-04-28 Glaxo Group Ltd Compounds

Also Published As

Publication number Publication date
DE60106947T2 (de) 2005-11-10
ATE281455T1 (de) 2004-11-15
US20030195189A1 (en) 2003-10-16
EP1313732A1 (en) 2003-05-28
AU2001271611A1 (en) 2002-03-22
WO2002020524A1 (en) 2002-03-14
DE60106947D1 (de) 2004-12-09
EP1313732B1 (en) 2004-11-03
ES2230337T3 (es) 2005-05-01
US6720332B2 (en) 2004-04-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DE69836332T2 (de) Benzyliden-1,3-dihydro-indol-2-on-derivate als inhibitoren von rezeptor tyrosin kinasen, insbesondere von raf kinasen
US6350747B1 (en) 3-(anilinomethylene) oxindoles
DE69824014T2 (de) Substituierte oxindolderivate als proteintyrosinkinase- und als protein-serin/threoninkinaseinhibitoren
DE60002714T2 (de) Substituierte azaoxindolederivate
JP6562903B2 (ja) アリールキナゾリン
US7723347B2 (en) Substituted phenylamino-pyrimidines
TWI527800B (zh) 作為聚(二磷酸腺苷酸-核醣)聚合酶(parp)之抑制劑之1-(芳基甲基)喹唑啉-2,4(1h,3h)-二酮及其應用
US20100029657A1 (en) Bridged, Bicyclic Heterocyclic or Spiro Bicyclic Heterocyclic Derivatives of Pyrazolo[1, 5-A]Pyrimidines, Methods for Preparation and Uses Thereof
US6624171B1 (en) Substituted aza-oxindole derivatives
EP1430053B1 (en) AZAOXOINDOLE DERIVATIVES AS Trk PROTEIN KINASE INHIBITORS FOR THE TREATMENT OF CANCER AND CHRONIC PAIN
US6498176B1 (en) 3-(anilinomethylene) oxindoles as protein tyrosine kinase and protein serine/threonine kinase inhibitors
CN102361859A (zh) 用作Raf激酶抑制剂的杂芳基化合物
KR20120004542A (ko) 이미다졸 유도체 및 시클린 의존성 키나제의 조절제로서의 그의 용도
TWI601724B (zh) 咪唑並喹啉類衍生物及其可藥用鹽、其製備方法及其在醫藥上的應用
JP2013534539A (ja) アザインダゾール化合物
JP2004508372A (ja) オキシインドール誘導体
KR20060124705A (ko) 7h-피롤로피리미딘 유도체
US20090082354A1 (en) Pyrazolo[5, 1-c] [1,2,4] triazines, methods for preparation and use thereof
US9290503B2 (en) Tricyclic compound derivatives useful in the treatment of neoplastic diseases, inflammatory disorders and immunomodulatory disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110719

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20111220