JP2004503248A - インフルエンザaウイルスおよび/またはインフルエンザbウイルスの検出方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出する方法に関し、該方法は、i) 唾液サンプルを得るステップ、ii) 検出反応のために唾液サンプルを調製するステップ、およびiii) 唾液サンプル中のインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスを検出するステップ、を含んでなる。さらに、本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのテストキットに関し、該キットは、i) 唾液サンプルを採取するための装置、およびii) インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出のための試薬および/または補助試薬、を含んでなる。さらにまた、本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのサンプル材料としての唾液の使用に関する。
Description
【0001】
本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出方法、対応するテストキット、およびインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルス検出のためのサンプル材料としての唾液の使用に関する。
【0002】
インフルエンザは、過小評価されることの多い感染性疾患であるが、特に高齢者とハイリスク患者では高い罹患率と死亡率に至ることがある。インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルス(以下、インフルエンザA/Bウイルスと略記する)は、真性ウイルス性インフルエンザの原因であり、毎年世界中で数億人が罹患する。インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスは、主に鼻咽頭空洞部と口腔咽頭空洞部に感染し、初期には、感染者に一般的な呼吸器症状を引き起こす。
【0003】
インフルエンザを患者の臨床症状のみに基づいて高い信頼度で診断することは、経験を積んだ医師ですらできないことである。なぜならば、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルスもしくは呼吸合包体ウイルス(RSウイルス)等の鼻腔または咽頭腔に感染する他のウイルスも類似した症状を引き起こすからである。
【0004】
インフルエンザ感染症(インフルエンザ)は医学的に非常に重要であるため、世界中のほとんどすべての国が、現在、国家的に組織化されたインフルエンザ監視システムを設けている。この計画では、一般開業医が鼻および/または喉からスワブ(綿棒で採取したサンプル材料)を採取し、それらを各国の照会センターに送付する。通常は、このスワブを溶出し、その後、MDCK細胞(Madine−Darby Canine Kidney細胞)等の哺乳動物細胞上で患者試料を培養することにより、インフルエンザA/Bウイルスを検出している。
【0005】
これらの特別な実験室での培養は、14日間も要することがあり、したがって、個々の患者の診断にすぐには対応できない。むしろ、上記各国照会センターの目的は、培養したウイルスをタイプ(型)およびサブタイプに分類して、その結果を世界保健機関(WHO)に報告することである。その後、毎年のWHOの推奨を基礎として、最近流行したウイルス株に翌年のインフルエンザワクチンを適合させることがワクチン製造業者の仕事となる。
【0006】
遺伝的な、またそれゆえに、免疫学的な可変性が特にインフルエンザAウイルスで高い理由は、通常の遺伝的浮動(点突然変異)に加えて、まれなケースでは遺伝子転位(ウイルス遺伝子の再編成)も起こりうるためである。このことは、他のウイルスとは対照的に、インフルエンザウイルスのゲノムがセグメント化されており、また、インフルエンザAウイルスが動物だけでなくヒトの病原体でもあるという事実による。
【0007】
ウイルス表面に存在する主要抗原は、ヘマグルチニン(赤血球凝集素)(H)とノイラミニダーゼ(N)である。現在、インフルエンザAウイルスについては、ヘマグルチニンの15のサブタイプ(H1〜H15)とノイラミニダーゼの9つのサブタイプ(N1〜N9)が知られている。
【0008】
例えば宿主(例:ブタ)がヒトに対して病原性であるA型インフルエンザウイルスと、トリのインフルエンザAウイルスに共感染すると、ウイルスゲノムの再編成が起こって、新しいインフルエンザAウイルスサブタイプが形成される。そしてそれがヒトに逆伝播した時、完全にヒトの免疫系を逃れることになる。そのごく最近の例は、早期の検出と徹底した医療にも関わらず、罹患した患者18人のうち6人が死亡した、1997年5月に香港で発生したいわゆるトリウイルスインフルエンザ(A型/H5N1/Hong Kong/156/97)であった。
【0009】
しかし、より広範な伝染病もしくは世界的な流行病を引き起こすには、新種のインフルエンザウイルスサブタイプが、直接ヒトからヒトへ伝播されなければならない。最初に1918/1919年に起きたサブタイプH1N1のケース(スペインかぜ、世界的に約5000万人が死亡)、1957年のケース(サブタイプH2N2、アジアかぜ、約100万人の犠牲者)、および1968年のケース(サブタイプH3N2、香港かぜ、約100万人の犠牲者)がそうである。
【0010】
新世代のインフルエンザ治療薬が最近入手できるようになり、そのいわゆるノイラミニダーゼ阻害剤は初めてインフルエンザの原因療法を可能にし、ゆえに専門家達からインフルエンザの治療における真の躍進とみなされている。この新しいクラスの物質を登録するために実施された臨床試験により、治療の成功は、主として、最初の臨床徴候が発生した後で早期に治療を開始することに起因することが示された。それゆえに、この新しい治療薬の選択、早い段階での治療開始の必要性、およびそれほど特異的でない臨床症状を考慮すると、迅速な個別診断が治療決定の基礎として有用であるだろう。
【0011】
その結果、いくつかの診断薬製造業者は最近、抗原の検出に基づいた迅速な免疫学的インフルエンザ試験を開発したが、これらの迅速試験は、サンプル材料として鼻および/または喉から綿棒で採取したスワブ、あるいは鼻洗浄によって得られる液体を使用するものである。このような迅速インフルエンザ試験の例には、Roche Diagnostics GmbH社のインフルエンザA/B迅速試験、Quidel社のQuick Vue、およびBiostar社のAB FLU OIAなどがある。
【0012】
サンプルを集めるうえで特に問題となるのは、鼻や咽頭の空洞の感染部位から、十分な量のインフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス(以下インフルエンザA/Bウイルスと略記する)を含むサンプル材料を分離することである。したがって、サンプリングの質が迅速試験の陽性率に直接的な影響を及ぼす。これらの試験は通常約70パーセントの臨床感度を有し、すなわち、免疫学的な迅速試験もまた、対照法(細胞培養)でインフルエンザ陽性と診断された全サンプルの70%において陽性である。したがって、診断薬業者は、彼らのインフルエンザ迅速試験に関し、取得したサンプルに実際に十分な量のインフルエンザA/Bウイルスを確実に含有させるため、サンプルは特別に訓練された医療従事者によってのみ採取されるべきことを、製品説明書中で指摘している。
【0013】
かかる状況は、綿棒でふきとらねばならない咽頭腔(咽頭壁後方、咽頭、扁桃腺)の部位がウイルス感染の存在場所に応じて実際異なっているため、さらに複雑になる。このことは、例えば、インフルエンザA/Bウイルスを検出するためではなく、ストレプトコッカス感染を検出するためには、喉の別の部位からスワブを採取しなければならないことを意味する。
【0014】
鼻/喉からスワブを集めることは、患者にとって不快であり、(小さな)子供の場合には特に問題である。一方、子供は、彼らの社会的接触(幼稚園、学校)によって、また、彼らの免疫系が十分には発達していないという事実によって、インフルエンザ流行の少なくとも初期段階でインフルエンザウイルスの主なキャリアーとなることが多い。
【0015】
鼻および咽頭から得られたスワブは均質なサンプル材料ではないので、インフルエンザ試験の陽性率は、スワブの質に加えて、正確な溶出、すなわち、スワブ材料の液相(次なる試験に実際のサンプル材料として供される)への移行によっても決定される。
【0016】
特に新しい治療薬の選択(ノイラミニダーゼ阻害剤)は、訓練された(医療)従事者によるサンプリングを必要とする、従来用いられてきたサンプル材料(スワブ、鼻洗浄液)とは相容れない、一般開業医または患者のためのインフルエンザウイルス(インフルエンザA/Bウイルス)試験の必要性を将来的に高めるであろう。
【0017】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解決することである。特に本発明の目的は、訓練されていない者もしくは理想的には患者自身が行うことのできる、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の検出方法を提供することである。とりわけ本発明の目的は、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスを確実に検出でき、好ましくは均質であり、訓練されていない者もしくは理想的には患者自身が簡便かつ単純な方法で採取できる、そのようなサンプル材料を見出すことである。
【0018】
上記目的は、本明細書の独立請求項に特徴付けられる本発明の主題により達成される。本発明の好ましい実施形態は、本明細書の従属請求項に記載する。
【0019】
本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出する方法であって、以下のステップ:
i) 唾液サンプルを得るステップ、
ii 検出のために唾液サンプルを調製するステップ、および
iii) 唾液サンプル中のインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスを検出するステップ、
を含む、上記方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのテストキットであって、以下のもの:
i) 唾液サンプルを採取するための装置、および
ii) インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出のための試薬および/または補助試薬、
を含んでなる上記キットに関する。
【0021】
さらに本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのサンプル材料としての唾液の使用に関する。
【0022】
驚くべきことに、確立された診断法を用いて、サンプル材料としての唾液からインフルエンザA/Bウイルスを確実に検出できることが見出された。
【0023】
特に、本発明の好ましい実施形態において、サンプル採取の際に唾液サンプル中のウイルスを富化する必要なしに(むしろ、自然に形成された唾液がインフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として十分である)、唾液からインフルエンザA/Bウイルスを検出できるということは予想外のことであった。本発明において、自然に形成された唾液とは、インフルエンザA/Bウイルスを検出することを目的として唾液サンプルを集める時に、サンプル中のインフルエンザA/Bウイルスが富化されないということを意味すると理解される。自然に口腔内に存在している唾液だけが採取され、例えば唾液採取容器に(例えば唾を吐くことによって)移される。コットンフリース(綿棒)のような吸収性の材料を利用して口腔内の唾液サンプルを集めたり、または、当業界で周知の唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivette、もしくはEpitope社(Beaverton, OR 97008, USA)製のOraSure試料採取装置など)を使用して唾液サンプルを集めたりすることも可能である。
【0024】
当然のことながら、本発明に従って、サンプリング中にもしくはその後の処理段階においてウイルスの富化(濃縮)を行った唾液を、インフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として使用することも可能である。
【0025】
インフルエンザ診断において従来知られているサンプル材料(すなわち鼻腔/咽喉からのスワブおよび鼻腔刺激により得られる液体)とは対照的に、本発明の唾液サンプル材料および単純なサンプル採取方法は、訓練されていない者または患者自身による標準化されたサンプル採取を可能にし、これにより、インフルエンザA/Bウイルス試験の診断信頼度が向上する。さらに、唾液はこれまで使用されてきた材料より均質なサンプル材料であり、このことも診断信頼度の向上に貢献する。
【0026】
本発明の方法では、まず初めに、唾液サンプルを採取する。例えば、サンプル採取は、上記のように、容器へ唾を吐くか、口腔内を綿棒のような吸収性の材料または同様の材料を用いて唾液サンプルを吸収させるか、あるいは、慣用の唾液採取装置を使用することによって行うことができる。
【0027】
続いて、採用する検出方法(免疫学的検出または核酸による検出)に従う検出反応のために唾液サンプルを調製する。
【0028】
免疫学的検出の場合には、インフルエンザA/Bウイルスのウイルス核タンパク質を、例えば溶解試薬によって唾液サンプルから放出させる。かかる試薬は、当業者には公知であり、溶解のための活性成分として例えば塩類または界面活性剤を含むことができる。インフルエンザウイルス検出用の溶解試薬は、界面活性剤(例えば、好適であることが証明されているTriton(登録商標)X100、Tween(登録商標)20またはβ−オクチルグリコピラノシド)、弱い還元剤(例えば、N−アセチルL−システインまたはDTT(ジチオトレイトール))、生理食塩水(すなわち、0.9重量%のNaClを含む20〜50mMリン酸バッファー)、保存剤(例えば0.09重量%のNaN3)、および、必要に応じて、非特異的結合を低減させるタンパク質(例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)またはBPLA(ウシ血漿アルブミン))を含んでいるのが好ましい。ウイルス核タンパク質に加えて、免疫学的試験で、例えば、ウイルスマトリックスタンパク質またはウイルスポリメラーゼを検出することもできる。さらに、インフルエンザA/Bウイルスのヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼを検出することも可能であり、この場合には、これらのウイルス成分がウイルス表面上に存在することから溶解を必要としない。
【0029】
ウイルス検出が核酸に基づく場合は、例えば、ウイルス核酸(RNA)を単離し、精製し、そして検出に必要なプライマーの存在下で適切に増幅する。好ましくは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって増幅する。これらのステップは当業者に公知であり、先に増幅を行わない核酸試験も同様である。
【0030】
インフルエンザA/Bウイルスは、公知の方法により唾液サンプル中で検出される。
【0031】
例えばウイルス核タンパク質の免疫学的検出の場合には、適切な標識抗体を用いてサンドイッチ型複合体を形成させ、それを検出することができる。当然、競合試験フォーマットも可能である。検出は、迅速な試験として目視により評価できる免疫学的クロマトグラフィーテストストリップを用いて行うのが好ましいが、あらゆる慣例的な免疫学的方法(例えば、ELISA、凝集試験、濁度試験等)により行うことができる。
【0032】
インフルエンザA/BウイルスをRNAのような核酸により検出する場合は、RT−PCR産物を標識プライマーで標識して、プライマー上の標識(例えば、酵素標識または蛍光標識)を標識の種類に応じて検出することが好ましい。
【0033】
本発明の方法を実施するためのテストキットも本発明の主題である。テストキットは、重要な構成要素として、第一に、唾を吐き入れるための容器のような唾液サンプル採取装置、1つ以上の吸収性綿棒、または、従来の唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivetteまたはEpitope社製のOraSure試料採取装置)を含む。さらに、テストキットは、唾液サンプル中のインフルエンザA/Bウイルスを検出するために必要な試薬および補助試薬をすべて含む。免疫学的検出の場合には、これらは、例えば、ウイルス核タンパク質を放出させるための溶解バッファー、必要に応じて標識された抗体、および場合により、免疫学的検出を行うための反応媒体(テストストリップ、マイクロタイタープレート、試験管)である。対応する試薬および補助試薬は多数の実施形態において当業者に公知である。同じものが核酸試験にも適用される。この場合、キットは、例えば、必要なPCR試薬と反応容器を含む。
【0034】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例
1. サンプル材料としての唾液からのインフルエンザウイルス感染の検出
インフルエンザウイルスを検出するためのサンプル材料としての唾液の適合性を証明するために、インフルエンザ感染の疑いがある10名と感染の疑いがない4名から、咽喉スワブ2つと唾液サンプル1つを採取した。咽喉スワブから得られたサンプル材料は比較目的のために採取し、インフルエンザA/Bウイルス感染について調べた。これらの検査の結果を、サンプル材料として唾液を用いて得られた結果と比較した。表1(実施例の実験部の最後に示す)は、上記比較結果の概要を示す。
【0036】
1.1 サンプル採取
1.1.1. 咽喉スワブ
咽喉スワブは、Copan Italia社製の滅菌済使い捨て綿棒(I−25125 Brescia; 注文番号 167CS01)を使用して、当業者によく知られている方法で採取した。各患者から採取した咽喉スワブ2つは、互いに直接隣接して配置した2つの綿パッドを有する綿棒で喉を一回こすって採取した。こうして、2つのスワブが実質的に比較可能となるようにした。
【0037】
1.1.2. 唾液サンプル
唾液サンプルは、スクリューキャップ付きの小さな使い捨てプラスチックチューブ(Sarstedt社製、注文番号 62.559.001)中に約0.5mlの自然に形成された唾液を採取することによって、患者自身が集めた。当業者には公知である唾液採取方法および唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivetteまたはEpitope社(Beaverton, OR 97008, USA)製のOraSure試料採取装置)は意図的に使用しなかった。それは、予備的な濃縮または唾液の処理をすることなくインフルエンザウイルスを検出することが可能であることを示すためであった。もちろん、本発明に従って、上記唾液採取方法および唾液採取装置を使用することは同様に可能である。
【0038】
1.2. 咽喉スワブからのインフルエンザ A/B ウイルスの検出 ( 比較目的のため )
1.2.1. 細胞培養による咽喉スワブからの検出
各々のケースにおいて、1番目の咽喉スワブは、Virotest社のインフルエンザウイルス輸送培地(Rosenbergstr. 85, D−70193 Stuttgart, カタログ番号0500300)を1.5ml含むチューブ中へサンプル採取後に直ちに移し、そしてMDCK細胞(Madine−Darbyイヌ腎細胞)上で培養した。サンプルは、文献に記載されている方法(“Mikrobiologische Diagnostik”, Georg Thieme編, Stuttgart, New York, 1992, 出版者Friedrich Burkhard, 371頁)に従って培養した。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性の結果を、「−」は陰性の結果を表す。
【0039】
1.2.2. 免疫学的迅速試験による咽喉スワブからの検出
各々のケースにおいて、2番目のスワブは、患者の喉からサンプルを取り出した後すぐに、インフルエンザウイルスの存在についての免疫学的抗原迅速試験(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, GermanyのインフルエンザA/B迅速試験、カタログ番号 2 158 663)によって調べた。本ケースで使用した迅速試験は、本質的にEP−A 0 926 498の実施例2に記載された免疫学的迅速試験に相当する。この文献は参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0040】
テストストリップの目視による評価に加えて、クロマトグラフィー完了後の検出線の強度を、反射率(remission)光度測定装置(波長555 nmの24の緑色LEDを用いたリング型照明とレンズ付CCDカメラを装備)によって定量的に測定した。検出線のシグナル強度は、反射率パーセンテージ(%rem;100%の反射率とされたテストストリップの「白色」面に対して)として調べた: 98.5%を越える反射率値は、ユーザーによって陰性シグナルとして検出され; 96%〜98.5%の反射率値は、弱い陽性シグナルとして検出され; 96%より低い反射率値は、明らかな陽性シグナルとして検出される。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性シグナルを、「(+)」は弱い陽性シグナルを、そして「−」は陰性シグナルを表す。
【0041】
1.3. 唾液からのインフルエンザ A/B ウイルスの検出
1.3.1. RT−PCR による唾液中のウイルス核酸の検出
唾液サンプルは、インフルエンザウイルス核酸(この場合リボ核酸、RNA)の存在についてRT−PCR(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて調べた。分析方法は、サンプルの調製(阻害物質を分離するため)、核酸の増幅、核酸の検出からなる、核酸診断における慣例的な3つの部分ステップを含む(以下の1.3.1.a〜1.3.1.cを参照されたい)。手順は以下の通りであった。
【0042】
1.3.1.a サンプルの調製
Roche Molecular Biochemicals社(Sandhofer Strasse 116, D−68305, Mannheim, Germany)から市販されているHigh PureウイルスRNAキット(注文番号 1 858 882)を、インフルエンザウイルスRNAを単離するために使用した。手順は、製品説明書に記載されている標準的プロトコールに従うもので、初めに反応容器(フィルターチューブ)当たり200μlの唾液を、結合バッファーの存在下で、フィルターチューブのガラスフリースに結合させ、存在する可能性のある阻害物質を2回の洗浄ステップで除去し、200μlの溶出バッファー中へウイルス核酸を溶出させた。この方法では、サンプル量がサンプル調製の前(唾液)と後(溶出物)とで同一になるように注意した。その結果、インフルエンザウイルスの濃縮は全く起こらなかった。当然、唾液の量より少ない量の溶出バッファーで溶出ステップを実施し、溶出液中にインフルエンザウイルスを濃縮または富化することも本発明に従って可能である。
【0043】
1.3.1.b RT−PCR
特別に記載しないかぎり、試薬は、すべてRoche Molecular Biochemicals社(上記参照)から入手した。
【0044】
PCR反応容器あたりの反応容量は50 μlとした。これは、10 μlのサンプル量(サンプル調製からの溶出物)および10 μlのBicineバッファー(5 x RT−PCR バッファー)を含んでいた。マスター混合物の他の成分は以下の最終濃度で存在した:2.5 mmol/lの酢酸マンガン、0.2 mmol/lずつの次のdATP(2’−デオキシアデノシン−5’三リン酸)、dCTP (2’デオキシシチジン−5’三リン酸)、dGTP (2’−デオキシグアノシン−5’三リン酸)およびdUTP (2’−デオキシウリジン−5’三リン酸)、ならびに0.05 mmol/lのdTTP (2’−デオキシチミジン−5’三リン酸); 0.01U/μlのUNG (ウラシルDNAグリコシラーゼ); 0.2U/μlのThermus thermophilus HB8由来のTth ポリメラーゼ; 0.8U/μlのRNase阻害剤;および1.0μmol/lのフォワードプライマーとリバースプライマー。
【0045】
プライマーの配列は文献から入手した(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。プライマーは、インフルエンザAに対してタイプ特異的であり、長さが212塩基対のマトリックス遺伝子の高度に保存された遺伝子セグメント(101〜312位)を有している。リバースプライマーは、次のマイクロタイタープレートでの増幅産物の検出のため、ビオチンで5’末端を標識した。インフルエンザBに対するタイプ特異的プライマーも文献から公知である(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。
【0046】
マスター混合物を、Perkin Elmer 9600 サーモサイクラーで以下の温度プロフィールを用いて増幅した: UNGの添加後、室温で20分 + 60℃で45分 + 94℃で2分 + 10サイクル(94℃で30秒 + 50℃で60秒 + 68℃で90秒) + 35サイクル(94℃で30秒 + 60℃で60秒 + 68℃で90秒) + 68℃で7分。
【0047】
1.3.1c ハイブリダイゼーションおよび検出
RT−PCRによって増幅された核酸は、Roche Molecular Biochemicals社カタログ番号1 636 111のPCR ELISA (DIG検出)を使用して検出した。ピペット容量をのぞいて、すべてのステップを使用説明書にしたがって実施した。
【0048】
増幅産物10μlを、1.5mlの反応容器中で変性溶液 20μlと混合し、室温で10分間インキュベートした。その後、250μlのジゴキシゲニン標識したハイブリダイゼーションプローブを添加した。ハイブリダイゼーションプローブの濃度は70ng/mlであった。
【0049】
ハイブリダイゼーションプローブの配列は文献から入手した(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。プローブは、インフルエンザAのマトリックス遺伝子の177〜205位(セグメント7)に対するものである。インフルエンザBの相当するプローブも、文献から公知である(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。
【0050】
反応混合物200μlを、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレートのウェルに移し、37℃で1時間振盪機上にてインキュベートした。ハイブリダイゼーション産物をマイクロタイタープレート壁のストレプトアビジンに結合させた後、ウェルの内容物を吸引し、毎回300μlの洗浄溶液で3回洗浄した。その後、抗ジゴキシゲニン−ペルオキシダーゼ基質(抗DIG−PODコンジュゲート)200μlを上記ウェルに添加し、この溶液を振盪機上37℃で30分間インキュベートした。PODコンジュゲートを結合させた後、ウェルの内容物を吸引し、300μlの洗浄溶液で3回洗浄し、次に、200μlの2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート(6)]ジアンモニウム塩基質(ABTS基質)を添加した。37℃で30分間最終的にインキュベートした後、405 nmでの発色をマイクロタイタープレートリーダーで測定した。
【0051】
唾液サンプルの各PCR測定について、汚染による疑陽性結果を排除するために複数の陰性対照(DEMC水(製品番号 16−001Y “Accu Gene Water, 分子生物学グレード, オートクレーブ済”, Bio Whittaker Eorope S.p.r.1 (Parc Industriel de Petit−Rechain, B−4800 Verviers, Belgium)製)を平行して実施した。また、複数の陽性対照(インフルエンザウイルスを含有するMDCK培養上清の連続希釈物)をサンプル調製およびRT−PCRによって平行して測定した。さらに、マイクロタイタープレート上で検出試薬を調べるためにキットの内部陽性対照も実施した。
【0052】
マイクロタイタープレートで平行して行った陰性対照の吸光度値は、通常100〜150mAであった。平行して実施されたキットの内部陽性対照の値は、通常1000〜1500mAであった。
【0053】
ブランク値またはゼロ値の2倍を超えたシグナルに相当する300mA以上の吸光度値を患者サンプルの陽性シグナルとして定義した。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性結果を、「−」は陰性結果を表す。
【0054】
1.3.2. 免疫学的迅速試験による唾液中のウイルス抗原の検出
Roche Diagnostics GmbHのインフルエンザA/Bウイルス迅速試験、カタログ番号2 158 663を用いて、唾液中のインフルエンザA/Bウイルスを検出した。使用した迅速試験は、本質的にEP−A 0 926 498の実施例2に記載された免疫学的迅速試験に相当する。この文献は参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0055】
通常、この試験を使用して、免疫学的クロマトグラフィーテストストリップにより咽喉スワブ中のウイルス核タンパク質をタイプ特異的に検出した。この試験は、インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスとを識別するものではない。
【0056】
サンプル材料として唾液を使用してテストストリップの良好なクロマトグラフィーを確実なものとするために、テストキットの構成要素ではない特定の溶解/溶出バッファーを使用した。この特定の溶解/溶出バッファーは、以下の組成を有する:
0.9重量%のNaCl、2mMのKH2PO4、10mMのNa2HPO4、0.095重量%のNaN3、10mMのEDTA、1.5重量%のウシ血清アルブミン(BSA)、1.5重量%のTriton(登録商標)X−100。
【0057】
試験は以下の通りに実施した:
製品説明書に記載されているように、最初に、テストキット中に含まれている3部(=800μl)の溶解/溶出バッファーで患者サンプルとしての咽喉スワブを溶出するかわりに、300μlの唾液と500μlの特定の溶解/溶出バッファーを反応容器に添加して混合した。
【0058】
残りの試験手順は、製品説明書に記載されている方法に従って行った。これは、最初に抗体溶液1(核タンパク質Aと核タンパク質Bに対するビオチン化モノクローナル抗体を含有)を2滴添加し、抗体溶液2(核タンパク質Aと核タンパク質Bに対するジゴキシゲニン化モノクローナル抗体を含有)を2滴添加し、次に、テストストリップ上でこの反応混合物のクロマトグラフィーを行うことを含んでなる。
【0059】
EP−A 0 926 498から公知であるように、テストストリップは、サンプル液中で離脱されうる金コンジュゲートを可逆的に含浸させたコンジュゲートフリースを含んでいる。
【0060】
検出線としてのポリストレプトアビジンおよび対照線としてのポリクローナル抗体PAB<マウスFcγ>S−IgGが非可逆的に含浸されているニトロセルロース膜が、クロマトグラフィー方向下流のテストストリップの別の領域に配置される。
【0061】
被験体の存在下で反応容器中で形成された、ビオチン化抗体/核タンパク質/ジゴキシゲニン化抗体からなるサンドイッチ型複合体は、テストストリップに沿ってクロマトグラフ展開され、サンドイッチ型複合体のジゴキシゲニン標識抗インフルエンザ抗体に対する抗ジゴキシゲニン抗体によって可溶化された後、金コンジュゲートと結合し、次いで、サンドイッチ型複合体のビオチン標識した抗インフルエンザ抗体によってニトロセルロース膜上のポリストレプトアビジン線に捕捉される。その結果、ニトロセルロース膜上に赤色の線が見えるようになり、これが試験における陽性シグナルを表す。
【0062】
過剰な金コンジュゲートは、下流にクロマトグラフ展開され、PAB<マウスFcγ>S−IgGによって別の赤色の線としてニトロセルロース膜の対照線上に捕捉される。
【0063】
テストストリップの目視による評価に加えて、クロマトグラフィー完了後の検出線の強度を、反射率光度測定装置(波長555 nmの24の緑色LEDを用いたリング型照明とレンズ付CCDカメラを装備)によって定量的に測定した。検出線シグナルの強度は、反射率パーセンテージ(%rem: 100%の反射率とされたテストストリップの「白色」面に対して)として調べた: 98.5%を越える反射率値は、ユーザーによって陰性シグナルとして検出され; 96%〜98.5%の反射率値は、弱い陽性シグナルとして検出され; 96%より低い反射率値は、明らかな陽性シグナルとして検出される。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性シグナルを、「(+)」は弱い陽性シグナルを、そして「−」は陰性シグナルを表す。
【0064】
1.4. 結果
患者サンプルから得られたいくつかの結果を、一例として下記に示す(表1)。
【0065】
これらの結果はもっぱらインフルエンザAウイルスの検出に関係する。というのは、サンプル採取時にインフルエンザAのみが優勢で、インフルエンザBに感染した患者は全く存在しなかったからである。専門家であれば、インフルエンザAとは対照的に、インフルエンザBは毎冬流行するものではなく、たとえ両方のインフルエンザA/Bウイルスが冬期に存在したとしても、インフルエンザBは常に流行がずっと少ないことを理解している。
【0066】
さらに、人工的に調製したインフルエンザB陽性唾液サンプル(インフルエンザBウイルスの培養上清を添加した唾液サンプルのプール)が、核酸試験ならびに免疫学的試験において唾液中のインフルエンザウイルスを検出するのに好適であったことは特筆すべきである。したがって、示した結果は、唾液からのインフルエンザAウイルスに加えて、インフルエンザBウイルスを別々にもしくは一緒に検出することに関して、本発明の範囲を限定するものではない。むしろ、唾液は、インフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として好適である。
【0067】
【表1】
A:被験者番号1〜10の被験者はインフルエンザ様症状を示した。被験者番号11〜14の被験者は、急性呼吸器症状を示さなかった。
B:MDCK細胞上で培養(上記1.2.1.参照);「+」陽性、「−」陰性。
C:1.2.2および1.3.2で記載した迅速試験手順(上記参照);
「+」陽性、「(+)」弱陽性、「−」陰性。
D:反射率光度測定装置による検出線強度の定量的測定(上記1.2.2および1.3.2参照);本明細書に示したスケールに従う相対的結果(「+」陽性、「(+)」弱陽性、「−」陰性)のみを示す。
E:マイクロタイタープレートの吸光度値を405nmで測定した(上記1.3.1参照);本明細書に示したスケールに従う相対的結果(「+」陽性、「−」陰性)のみを示す。
【0068】
下記は、表1で示された結果から明らかである:
・ 臨床的症状にしたがってインフルエンザ患者として分類された被験者(番号1〜10)のすべてが、実際にインフルエンザ陽性というわけではなかった。被験者9および10は、咽喉スワブの培養、唾液サンプルのPCR、ならびに唾液および咽喉スワブの迅速試験において陰性であった。このことは、臨床的症状のみを基礎としてインフルエンザの決定的診断を下すことは不可能であるという、冒頭部に記載した、また専門家の間でも知られている説を強調するものである。
【0069】
・ 無症候性の被験者(番号11〜14)の咽喉スワブサンプルおよび唾液サンプルは先に挙げたすべての試験方法で陰性であり、このことは、これらの方法の臨床的特異性を実証するものである。
【0070】
・ 咽喉スワブの細胞培養によってインフルエンザA陽性であることが判明している8名の被験者(番号1〜8、いわゆる培養陽性被験者)のうち、6名の被験者が咽喉スワブを使用する免疫学的迅速試験によっても陽性と診断された。このことは、サンプル材料としてスワブを使用する従来の迅速試験の臨床的感度が、ゴールドスタンダードとして現在認められている細胞培養法における感度よりも低いことを示すものである(各製造業者の製品説明書に従う種々の免疫学的迅速試験の臨床的感度:Quidel 鼻腔スワブについて73%、Roche 咽喉スワブについて70%、Biostar 咽喉スワブについて60%および鼻咽頭スワブについて83%)。
【0071】
・ 対照的に、8名すべての培養陽性被験者から採取した対応する唾液サンプルは免疫学的迅速試験で陽性であることが判明した。
【0072】
・ さらに、唾液サンプルを用いる免疫学的迅速試験のテストストリップ上の検出線の強度は、咽喉スワブを使用した場合の対応する検出線強度よりも幾分強いことが、反射率の値(表には示してない)の比較により示される。
【0073】
・ したがって、唾液による迅速試験の結果は、対応する唾液からのPCR結果と一致しており、これらの結果は、サンプル採取時に予め富化しなくても、サンプル材料としての唾液中にインフルエンザA/Bウイルスを確実に検出し得ることを示すものである。
本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出方法、対応するテストキット、およびインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルス検出のためのサンプル材料としての唾液の使用に関する。
【0002】
インフルエンザは、過小評価されることの多い感染性疾患であるが、特に高齢者とハイリスク患者では高い罹患率と死亡率に至ることがある。インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルス(以下、インフルエンザA/Bウイルスと略記する)は、真性ウイルス性インフルエンザの原因であり、毎年世界中で数億人が罹患する。インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスは、主に鼻咽頭空洞部と口腔咽頭空洞部に感染し、初期には、感染者に一般的な呼吸器症状を引き起こす。
【0003】
インフルエンザを患者の臨床症状のみに基づいて高い信頼度で診断することは、経験を積んだ医師ですらできないことである。なぜならば、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルスもしくは呼吸合包体ウイルス(RSウイルス)等の鼻腔または咽頭腔に感染する他のウイルスも類似した症状を引き起こすからである。
【0004】
インフルエンザ感染症(インフルエンザ)は医学的に非常に重要であるため、世界中のほとんどすべての国が、現在、国家的に組織化されたインフルエンザ監視システムを設けている。この計画では、一般開業医が鼻および/または喉からスワブ(綿棒で採取したサンプル材料)を採取し、それらを各国の照会センターに送付する。通常は、このスワブを溶出し、その後、MDCK細胞(Madine−Darby Canine Kidney細胞)等の哺乳動物細胞上で患者試料を培養することにより、インフルエンザA/Bウイルスを検出している。
【0005】
これらの特別な実験室での培養は、14日間も要することがあり、したがって、個々の患者の診断にすぐには対応できない。むしろ、上記各国照会センターの目的は、培養したウイルスをタイプ(型)およびサブタイプに分類して、その結果を世界保健機関(WHO)に報告することである。その後、毎年のWHOの推奨を基礎として、最近流行したウイルス株に翌年のインフルエンザワクチンを適合させることがワクチン製造業者の仕事となる。
【0006】
遺伝的な、またそれゆえに、免疫学的な可変性が特にインフルエンザAウイルスで高い理由は、通常の遺伝的浮動(点突然変異)に加えて、まれなケースでは遺伝子転位(ウイルス遺伝子の再編成)も起こりうるためである。このことは、他のウイルスとは対照的に、インフルエンザウイルスのゲノムがセグメント化されており、また、インフルエンザAウイルスが動物だけでなくヒトの病原体でもあるという事実による。
【0007】
ウイルス表面に存在する主要抗原は、ヘマグルチニン(赤血球凝集素)(H)とノイラミニダーゼ(N)である。現在、インフルエンザAウイルスについては、ヘマグルチニンの15のサブタイプ(H1〜H15)とノイラミニダーゼの9つのサブタイプ(N1〜N9)が知られている。
【0008】
例えば宿主(例:ブタ)がヒトに対して病原性であるA型インフルエンザウイルスと、トリのインフルエンザAウイルスに共感染すると、ウイルスゲノムの再編成が起こって、新しいインフルエンザAウイルスサブタイプが形成される。そしてそれがヒトに逆伝播した時、完全にヒトの免疫系を逃れることになる。そのごく最近の例は、早期の検出と徹底した医療にも関わらず、罹患した患者18人のうち6人が死亡した、1997年5月に香港で発生したいわゆるトリウイルスインフルエンザ(A型/H5N1/Hong Kong/156/97)であった。
【0009】
しかし、より広範な伝染病もしくは世界的な流行病を引き起こすには、新種のインフルエンザウイルスサブタイプが、直接ヒトからヒトへ伝播されなければならない。最初に1918/1919年に起きたサブタイプH1N1のケース(スペインかぜ、世界的に約5000万人が死亡)、1957年のケース(サブタイプH2N2、アジアかぜ、約100万人の犠牲者)、および1968年のケース(サブタイプH3N2、香港かぜ、約100万人の犠牲者)がそうである。
【0010】
新世代のインフルエンザ治療薬が最近入手できるようになり、そのいわゆるノイラミニダーゼ阻害剤は初めてインフルエンザの原因療法を可能にし、ゆえに専門家達からインフルエンザの治療における真の躍進とみなされている。この新しいクラスの物質を登録するために実施された臨床試験により、治療の成功は、主として、最初の臨床徴候が発生した後で早期に治療を開始することに起因することが示された。それゆえに、この新しい治療薬の選択、早い段階での治療開始の必要性、およびそれほど特異的でない臨床症状を考慮すると、迅速な個別診断が治療決定の基礎として有用であるだろう。
【0011】
その結果、いくつかの診断薬製造業者は最近、抗原の検出に基づいた迅速な免疫学的インフルエンザ試験を開発したが、これらの迅速試験は、サンプル材料として鼻および/または喉から綿棒で採取したスワブ、あるいは鼻洗浄によって得られる液体を使用するものである。このような迅速インフルエンザ試験の例には、Roche Diagnostics GmbH社のインフルエンザA/B迅速試験、Quidel社のQuick Vue、およびBiostar社のAB FLU OIAなどがある。
【0012】
サンプルを集めるうえで特に問題となるのは、鼻や咽頭の空洞の感染部位から、十分な量のインフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス(以下インフルエンザA/Bウイルスと略記する)を含むサンプル材料を分離することである。したがって、サンプリングの質が迅速試験の陽性率に直接的な影響を及ぼす。これらの試験は通常約70パーセントの臨床感度を有し、すなわち、免疫学的な迅速試験もまた、対照法(細胞培養)でインフルエンザ陽性と診断された全サンプルの70%において陽性である。したがって、診断薬業者は、彼らのインフルエンザ迅速試験に関し、取得したサンプルに実際に十分な量のインフルエンザA/Bウイルスを確実に含有させるため、サンプルは特別に訓練された医療従事者によってのみ採取されるべきことを、製品説明書中で指摘している。
【0013】
かかる状況は、綿棒でふきとらねばならない咽頭腔(咽頭壁後方、咽頭、扁桃腺)の部位がウイルス感染の存在場所に応じて実際異なっているため、さらに複雑になる。このことは、例えば、インフルエンザA/Bウイルスを検出するためではなく、ストレプトコッカス感染を検出するためには、喉の別の部位からスワブを採取しなければならないことを意味する。
【0014】
鼻/喉からスワブを集めることは、患者にとって不快であり、(小さな)子供の場合には特に問題である。一方、子供は、彼らの社会的接触(幼稚園、学校)によって、また、彼らの免疫系が十分には発達していないという事実によって、インフルエンザ流行の少なくとも初期段階でインフルエンザウイルスの主なキャリアーとなることが多い。
【0015】
鼻および咽頭から得られたスワブは均質なサンプル材料ではないので、インフルエンザ試験の陽性率は、スワブの質に加えて、正確な溶出、すなわち、スワブ材料の液相(次なる試験に実際のサンプル材料として供される)への移行によっても決定される。
【0016】
特に新しい治療薬の選択(ノイラミニダーゼ阻害剤)は、訓練された(医療)従事者によるサンプリングを必要とする、従来用いられてきたサンプル材料(スワブ、鼻洗浄液)とは相容れない、一般開業医または患者のためのインフルエンザウイルス(インフルエンザA/Bウイルス)試験の必要性を将来的に高めるであろう。
【0017】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解決することである。特に本発明の目的は、訓練されていない者もしくは理想的には患者自身が行うことのできる、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の検出方法を提供することである。とりわけ本発明の目的は、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスを確実に検出でき、好ましくは均質であり、訓練されていない者もしくは理想的には患者自身が簡便かつ単純な方法で採取できる、そのようなサンプル材料を見出すことである。
【0018】
上記目的は、本明細書の独立請求項に特徴付けられる本発明の主題により達成される。本発明の好ましい実施形態は、本明細書の従属請求項に記載する。
【0019】
本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出する方法であって、以下のステップ:
i) 唾液サンプルを得るステップ、
ii 検出のために唾液サンプルを調製するステップ、および
iii) 唾液サンプル中のインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスを検出するステップ、
を含む、上記方法に関する。
【0020】
本発明はさらに、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのテストキットであって、以下のもの:
i) 唾液サンプルを採取するための装置、および
ii) インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出のための試薬および/または補助試薬、
を含んでなる上記キットに関する。
【0021】
さらに本発明は、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのサンプル材料としての唾液の使用に関する。
【0022】
驚くべきことに、確立された診断法を用いて、サンプル材料としての唾液からインフルエンザA/Bウイルスを確実に検出できることが見出された。
【0023】
特に、本発明の好ましい実施形態において、サンプル採取の際に唾液サンプル中のウイルスを富化する必要なしに(むしろ、自然に形成された唾液がインフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として十分である)、唾液からインフルエンザA/Bウイルスを検出できるということは予想外のことであった。本発明において、自然に形成された唾液とは、インフルエンザA/Bウイルスを検出することを目的として唾液サンプルを集める時に、サンプル中のインフルエンザA/Bウイルスが富化されないということを意味すると理解される。自然に口腔内に存在している唾液だけが採取され、例えば唾液採取容器に(例えば唾を吐くことによって)移される。コットンフリース(綿棒)のような吸収性の材料を利用して口腔内の唾液サンプルを集めたり、または、当業界で周知の唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivette、もしくはEpitope社(Beaverton, OR 97008, USA)製のOraSure試料採取装置など)を使用して唾液サンプルを集めたりすることも可能である。
【0024】
当然のことながら、本発明に従って、サンプリング中にもしくはその後の処理段階においてウイルスの富化(濃縮)を行った唾液を、インフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として使用することも可能である。
【0025】
インフルエンザ診断において従来知られているサンプル材料(すなわち鼻腔/咽喉からのスワブおよび鼻腔刺激により得られる液体)とは対照的に、本発明の唾液サンプル材料および単純なサンプル採取方法は、訓練されていない者または患者自身による標準化されたサンプル採取を可能にし、これにより、インフルエンザA/Bウイルス試験の診断信頼度が向上する。さらに、唾液はこれまで使用されてきた材料より均質なサンプル材料であり、このことも診断信頼度の向上に貢献する。
【0026】
本発明の方法では、まず初めに、唾液サンプルを採取する。例えば、サンプル採取は、上記のように、容器へ唾を吐くか、口腔内を綿棒のような吸収性の材料または同様の材料を用いて唾液サンプルを吸収させるか、あるいは、慣用の唾液採取装置を使用することによって行うことができる。
【0027】
続いて、採用する検出方法(免疫学的検出または核酸による検出)に従う検出反応のために唾液サンプルを調製する。
【0028】
免疫学的検出の場合には、インフルエンザA/Bウイルスのウイルス核タンパク質を、例えば溶解試薬によって唾液サンプルから放出させる。かかる試薬は、当業者には公知であり、溶解のための活性成分として例えば塩類または界面活性剤を含むことができる。インフルエンザウイルス検出用の溶解試薬は、界面活性剤(例えば、好適であることが証明されているTriton(登録商標)X100、Tween(登録商標)20またはβ−オクチルグリコピラノシド)、弱い還元剤(例えば、N−アセチルL−システインまたはDTT(ジチオトレイトール))、生理食塩水(すなわち、0.9重量%のNaClを含む20〜50mMリン酸バッファー)、保存剤(例えば0.09重量%のNaN3)、および、必要に応じて、非特異的結合を低減させるタンパク質(例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)またはBPLA(ウシ血漿アルブミン))を含んでいるのが好ましい。ウイルス核タンパク質に加えて、免疫学的試験で、例えば、ウイルスマトリックスタンパク質またはウイルスポリメラーゼを検出することもできる。さらに、インフルエンザA/Bウイルスのヘマグルチニンまたはノイラミニダーゼを検出することも可能であり、この場合には、これらのウイルス成分がウイルス表面上に存在することから溶解を必要としない。
【0029】
ウイルス検出が核酸に基づく場合は、例えば、ウイルス核酸(RNA)を単離し、精製し、そして検出に必要なプライマーの存在下で適切に増幅する。好ましくは逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によって増幅する。これらのステップは当業者に公知であり、先に増幅を行わない核酸試験も同様である。
【0030】
インフルエンザA/Bウイルスは、公知の方法により唾液サンプル中で検出される。
【0031】
例えばウイルス核タンパク質の免疫学的検出の場合には、適切な標識抗体を用いてサンドイッチ型複合体を形成させ、それを検出することができる。当然、競合試験フォーマットも可能である。検出は、迅速な試験として目視により評価できる免疫学的クロマトグラフィーテストストリップを用いて行うのが好ましいが、あらゆる慣例的な免疫学的方法(例えば、ELISA、凝集試験、濁度試験等)により行うことができる。
【0032】
インフルエンザA/BウイルスをRNAのような核酸により検出する場合は、RT−PCR産物を標識プライマーで標識して、プライマー上の標識(例えば、酵素標識または蛍光標識)を標識の種類に応じて検出することが好ましい。
【0033】
本発明の方法を実施するためのテストキットも本発明の主題である。テストキットは、重要な構成要素として、第一に、唾を吐き入れるための容器のような唾液サンプル採取装置、1つ以上の吸収性綿棒、または、従来の唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivetteまたはEpitope社製のOraSure試料採取装置)を含む。さらに、テストキットは、唾液サンプル中のインフルエンザA/Bウイルスを検出するために必要な試薬および補助試薬をすべて含む。免疫学的検出の場合には、これらは、例えば、ウイルス核タンパク質を放出させるための溶解バッファー、必要に応じて標識された抗体、および場合により、免疫学的検出を行うための反応媒体(テストストリップ、マイクロタイタープレート、試験管)である。対応する試薬および補助試薬は多数の実施形態において当業者に公知である。同じものが核酸試験にも適用される。この場合、キットは、例えば、必要なPCR試薬と反応容器を含む。
【0034】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0035】
実施例
1. サンプル材料としての唾液からのインフルエンザウイルス感染の検出
インフルエンザウイルスを検出するためのサンプル材料としての唾液の適合性を証明するために、インフルエンザ感染の疑いがある10名と感染の疑いがない4名から、咽喉スワブ2つと唾液サンプル1つを採取した。咽喉スワブから得られたサンプル材料は比較目的のために採取し、インフルエンザA/Bウイルス感染について調べた。これらの検査の結果を、サンプル材料として唾液を用いて得られた結果と比較した。表1(実施例の実験部の最後に示す)は、上記比較結果の概要を示す。
【0036】
1.1 サンプル採取
1.1.1. 咽喉スワブ
咽喉スワブは、Copan Italia社製の滅菌済使い捨て綿棒(I−25125 Brescia; 注文番号 167CS01)を使用して、当業者によく知られている方法で採取した。各患者から採取した咽喉スワブ2つは、互いに直接隣接して配置した2つの綿パッドを有する綿棒で喉を一回こすって採取した。こうして、2つのスワブが実質的に比較可能となるようにした。
【0037】
1.1.2. 唾液サンプル
唾液サンプルは、スクリューキャップ付きの小さな使い捨てプラスチックチューブ(Sarstedt社製、注文番号 62.559.001)中に約0.5mlの自然に形成された唾液を採取することによって、患者自身が集めた。当業者には公知である唾液採取方法および唾液採取装置(例えば、Sarstedt社製のSalivetteまたはEpitope社(Beaverton, OR 97008, USA)製のOraSure試料採取装置)は意図的に使用しなかった。それは、予備的な濃縮または唾液の処理をすることなくインフルエンザウイルスを検出することが可能であることを示すためであった。もちろん、本発明に従って、上記唾液採取方法および唾液採取装置を使用することは同様に可能である。
【0038】
1.2. 咽喉スワブからのインフルエンザ A/B ウイルスの検出 ( 比較目的のため )
1.2.1. 細胞培養による咽喉スワブからの検出
各々のケースにおいて、1番目の咽喉スワブは、Virotest社のインフルエンザウイルス輸送培地(Rosenbergstr. 85, D−70193 Stuttgart, カタログ番号0500300)を1.5ml含むチューブ中へサンプル採取後に直ちに移し、そしてMDCK細胞(Madine−Darbyイヌ腎細胞)上で培養した。サンプルは、文献に記載されている方法(“Mikrobiologische Diagnostik”, Georg Thieme編, Stuttgart, New York, 1992, 出版者Friedrich Burkhard, 371頁)に従って培養した。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性の結果を、「−」は陰性の結果を表す。
【0039】
1.2.2. 免疫学的迅速試験による咽喉スワブからの検出
各々のケースにおいて、2番目のスワブは、患者の喉からサンプルを取り出した後すぐに、インフルエンザウイルスの存在についての免疫学的抗原迅速試験(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, GermanyのインフルエンザA/B迅速試験、カタログ番号 2 158 663)によって調べた。本ケースで使用した迅速試験は、本質的にEP−A 0 926 498の実施例2に記載された免疫学的迅速試験に相当する。この文献は参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0040】
テストストリップの目視による評価に加えて、クロマトグラフィー完了後の検出線の強度を、反射率(remission)光度測定装置(波長555 nmの24の緑色LEDを用いたリング型照明とレンズ付CCDカメラを装備)によって定量的に測定した。検出線のシグナル強度は、反射率パーセンテージ(%rem;100%の反射率とされたテストストリップの「白色」面に対して)として調べた: 98.5%を越える反射率値は、ユーザーによって陰性シグナルとして検出され; 96%〜98.5%の反射率値は、弱い陽性シグナルとして検出され; 96%より低い反射率値は、明らかな陽性シグナルとして検出される。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性シグナルを、「(+)」は弱い陽性シグナルを、そして「−」は陰性シグナルを表す。
【0041】
1.3. 唾液からのインフルエンザ A/B ウイルスの検出
1.3.1. RT−PCR による唾液中のウイルス核酸の検出
唾液サンプルは、インフルエンザウイルス核酸(この場合リボ核酸、RNA)の存在についてRT−PCR(逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応)を用いて調べた。分析方法は、サンプルの調製(阻害物質を分離するため)、核酸の増幅、核酸の検出からなる、核酸診断における慣例的な3つの部分ステップを含む(以下の1.3.1.a〜1.3.1.cを参照されたい)。手順は以下の通りであった。
【0042】
1.3.1.a サンプルの調製
Roche Molecular Biochemicals社(Sandhofer Strasse 116, D−68305, Mannheim, Germany)から市販されているHigh PureウイルスRNAキット(注文番号 1 858 882)を、インフルエンザウイルスRNAを単離するために使用した。手順は、製品説明書に記載されている標準的プロトコールに従うもので、初めに反応容器(フィルターチューブ)当たり200μlの唾液を、結合バッファーの存在下で、フィルターチューブのガラスフリースに結合させ、存在する可能性のある阻害物質を2回の洗浄ステップで除去し、200μlの溶出バッファー中へウイルス核酸を溶出させた。この方法では、サンプル量がサンプル調製の前(唾液)と後(溶出物)とで同一になるように注意した。その結果、インフルエンザウイルスの濃縮は全く起こらなかった。当然、唾液の量より少ない量の溶出バッファーで溶出ステップを実施し、溶出液中にインフルエンザウイルスを濃縮または富化することも本発明に従って可能である。
【0043】
1.3.1.b RT−PCR
特別に記載しないかぎり、試薬は、すべてRoche Molecular Biochemicals社(上記参照)から入手した。
【0044】
PCR反応容器あたりの反応容量は50 μlとした。これは、10 μlのサンプル量(サンプル調製からの溶出物)および10 μlのBicineバッファー(5 x RT−PCR バッファー)を含んでいた。マスター混合物の他の成分は以下の最終濃度で存在した:2.5 mmol/lの酢酸マンガン、0.2 mmol/lずつの次のdATP(2’−デオキシアデノシン−5’三リン酸)、dCTP (2’デオキシシチジン−5’三リン酸)、dGTP (2’−デオキシグアノシン−5’三リン酸)およびdUTP (2’−デオキシウリジン−5’三リン酸)、ならびに0.05 mmol/lのdTTP (2’−デオキシチミジン−5’三リン酸); 0.01U/μlのUNG (ウラシルDNAグリコシラーゼ); 0.2U/μlのThermus thermophilus HB8由来のTth ポリメラーゼ; 0.8U/μlのRNase阻害剤;および1.0μmol/lのフォワードプライマーとリバースプライマー。
【0045】
プライマーの配列は文献から入手した(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。プライマーは、インフルエンザAに対してタイプ特異的であり、長さが212塩基対のマトリックス遺伝子の高度に保存された遺伝子セグメント(101〜312位)を有している。リバースプライマーは、次のマイクロタイタープレートでの増幅産物の検出のため、ビオチンで5’末端を標識した。インフルエンザBに対するタイプ特異的プライマーも文献から公知である(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。
【0046】
マスター混合物を、Perkin Elmer 9600 サーモサイクラーで以下の温度プロフィールを用いて増幅した: UNGの添加後、室温で20分 + 60℃で45分 + 94℃で2分 + 10サイクル(94℃で30秒 + 50℃で60秒 + 68℃で90秒) + 35サイクル(94℃で30秒 + 60℃で60秒 + 68℃で90秒) + 68℃で7分。
【0047】
1.3.1c ハイブリダイゼーションおよび検出
RT−PCRによって増幅された核酸は、Roche Molecular Biochemicals社カタログ番号1 636 111のPCR ELISA (DIG検出)を使用して検出した。ピペット容量をのぞいて、すべてのステップを使用説明書にしたがって実施した。
【0048】
増幅産物10μlを、1.5mlの反応容器中で変性溶液 20μlと混合し、室温で10分間インキュベートした。その後、250μlのジゴキシゲニン標識したハイブリダイゼーションプローブを添加した。ハイブリダイゼーションプローブの濃度は70ng/mlであった。
【0049】
ハイブリダイゼーションプローブの配列は文献から入手した(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。プローブは、インフルエンザAのマトリックス遺伝子の177〜205位(セグメント7)に対するものである。インフルエンザBの相当するプローブも、文献から公知である(James C. Donofrio et al., Detection of Influenza A and B in Respiratory Secretions with the PCR, 1992, PCR Methods and Applications 1, 263−268頁)。
【0050】
反応混合物200μlを、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロタイタープレートのウェルに移し、37℃で1時間振盪機上にてインキュベートした。ハイブリダイゼーション産物をマイクロタイタープレート壁のストレプトアビジンに結合させた後、ウェルの内容物を吸引し、毎回300μlの洗浄溶液で3回洗浄した。その後、抗ジゴキシゲニン−ペルオキシダーゼ基質(抗DIG−PODコンジュゲート)200μlを上記ウェルに添加し、この溶液を振盪機上37℃で30分間インキュベートした。PODコンジュゲートを結合させた後、ウェルの内容物を吸引し、300μlの洗浄溶液で3回洗浄し、次に、200μlの2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンズチアゾリンスルホネート(6)]ジアンモニウム塩基質(ABTS基質)を添加した。37℃で30分間最終的にインキュベートした後、405 nmでの発色をマイクロタイタープレートリーダーで測定した。
【0051】
唾液サンプルの各PCR測定について、汚染による疑陽性結果を排除するために複数の陰性対照(DEMC水(製品番号 16−001Y “Accu Gene Water, 分子生物学グレード, オートクレーブ済”, Bio Whittaker Eorope S.p.r.1 (Parc Industriel de Petit−Rechain, B−4800 Verviers, Belgium)製)を平行して実施した。また、複数の陽性対照(インフルエンザウイルスを含有するMDCK培養上清の連続希釈物)をサンプル調製およびRT−PCRによって平行して測定した。さらに、マイクロタイタープレート上で検出試薬を調べるためにキットの内部陽性対照も実施した。
【0052】
マイクロタイタープレートで平行して行った陰性対照の吸光度値は、通常100〜150mAであった。平行して実施されたキットの内部陽性対照の値は、通常1000〜1500mAであった。
【0053】
ブランク値またはゼロ値の2倍を超えたシグナルに相当する300mA以上の吸光度値を患者サンプルの陽性シグナルとして定義した。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性結果を、「−」は陰性結果を表す。
【0054】
1.3.2. 免疫学的迅速試験による唾液中のウイルス抗原の検出
Roche Diagnostics GmbHのインフルエンザA/Bウイルス迅速試験、カタログ番号2 158 663を用いて、唾液中のインフルエンザA/Bウイルスを検出した。使用した迅速試験は、本質的にEP−A 0 926 498の実施例2に記載された免疫学的迅速試験に相当する。この文献は参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0055】
通常、この試験を使用して、免疫学的クロマトグラフィーテストストリップにより咽喉スワブ中のウイルス核タンパク質をタイプ特異的に検出した。この試験は、インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスとを識別するものではない。
【0056】
サンプル材料として唾液を使用してテストストリップの良好なクロマトグラフィーを確実なものとするために、テストキットの構成要素ではない特定の溶解/溶出バッファーを使用した。この特定の溶解/溶出バッファーは、以下の組成を有する:
0.9重量%のNaCl、2mMのKH2PO4、10mMのNa2HPO4、0.095重量%のNaN3、10mMのEDTA、1.5重量%のウシ血清アルブミン(BSA)、1.5重量%のTriton(登録商標)X−100。
【0057】
試験は以下の通りに実施した:
製品説明書に記載されているように、最初に、テストキット中に含まれている3部(=800μl)の溶解/溶出バッファーで患者サンプルとしての咽喉スワブを溶出するかわりに、300μlの唾液と500μlの特定の溶解/溶出バッファーを反応容器に添加して混合した。
【0058】
残りの試験手順は、製品説明書に記載されている方法に従って行った。これは、最初に抗体溶液1(核タンパク質Aと核タンパク質Bに対するビオチン化モノクローナル抗体を含有)を2滴添加し、抗体溶液2(核タンパク質Aと核タンパク質Bに対するジゴキシゲニン化モノクローナル抗体を含有)を2滴添加し、次に、テストストリップ上でこの反応混合物のクロマトグラフィーを行うことを含んでなる。
【0059】
EP−A 0 926 498から公知であるように、テストストリップは、サンプル液中で離脱されうる金コンジュゲートを可逆的に含浸させたコンジュゲートフリースを含んでいる。
【0060】
検出線としてのポリストレプトアビジンおよび対照線としてのポリクローナル抗体PAB<マウスFcγ>S−IgGが非可逆的に含浸されているニトロセルロース膜が、クロマトグラフィー方向下流のテストストリップの別の領域に配置される。
【0061】
被験体の存在下で反応容器中で形成された、ビオチン化抗体/核タンパク質/ジゴキシゲニン化抗体からなるサンドイッチ型複合体は、テストストリップに沿ってクロマトグラフ展開され、サンドイッチ型複合体のジゴキシゲニン標識抗インフルエンザ抗体に対する抗ジゴキシゲニン抗体によって可溶化された後、金コンジュゲートと結合し、次いで、サンドイッチ型複合体のビオチン標識した抗インフルエンザ抗体によってニトロセルロース膜上のポリストレプトアビジン線に捕捉される。その結果、ニトロセルロース膜上に赤色の線が見えるようになり、これが試験における陽性シグナルを表す。
【0062】
過剰な金コンジュゲートは、下流にクロマトグラフ展開され、PAB<マウスFcγ>S−IgGによって別の赤色の線としてニトロセルロース膜の対照線上に捕捉される。
【0063】
テストストリップの目視による評価に加えて、クロマトグラフィー完了後の検出線の強度を、反射率光度測定装置(波長555 nmの24の緑色LEDを用いたリング型照明とレンズ付CCDカメラを装備)によって定量的に測定した。検出線シグナルの強度は、反射率パーセンテージ(%rem: 100%の反射率とされたテストストリップの「白色」面に対して)として調べた: 98.5%を越える反射率値は、ユーザーによって陰性シグナルとして検出され; 96%〜98.5%の反射率値は、弱い陽性シグナルとして検出され; 96%より低い反射率値は、明らかな陽性シグナルとして検出される。上記結果を表1に示すが、ここで「+」は陽性シグナルを、「(+)」は弱い陽性シグナルを、そして「−」は陰性シグナルを表す。
【0064】
1.4. 結果
患者サンプルから得られたいくつかの結果を、一例として下記に示す(表1)。
【0065】
これらの結果はもっぱらインフルエンザAウイルスの検出に関係する。というのは、サンプル採取時にインフルエンザAのみが優勢で、インフルエンザBに感染した患者は全く存在しなかったからである。専門家であれば、インフルエンザAとは対照的に、インフルエンザBは毎冬流行するものではなく、たとえ両方のインフルエンザA/Bウイルスが冬期に存在したとしても、インフルエンザBは常に流行がずっと少ないことを理解している。
【0066】
さらに、人工的に調製したインフルエンザB陽性唾液サンプル(インフルエンザBウイルスの培養上清を添加した唾液サンプルのプール)が、核酸試験ならびに免疫学的試験において唾液中のインフルエンザウイルスを検出するのに好適であったことは特筆すべきである。したがって、示した結果は、唾液からのインフルエンザAウイルスに加えて、インフルエンザBウイルスを別々にもしくは一緒に検出することに関して、本発明の範囲を限定するものではない。むしろ、唾液は、インフルエンザA/Bウイルス検出用のサンプル材料として好適である。
【0067】
【表1】
A:被験者番号1〜10の被験者はインフルエンザ様症状を示した。被験者番号11〜14の被験者は、急性呼吸器症状を示さなかった。
B:MDCK細胞上で培養(上記1.2.1.参照);「+」陽性、「−」陰性。
C:1.2.2および1.3.2で記載した迅速試験手順(上記参照);
「+」陽性、「(+)」弱陽性、「−」陰性。
D:反射率光度測定装置による検出線強度の定量的測定(上記1.2.2および1.3.2参照);本明細書に示したスケールに従う相対的結果(「+」陽性、「(+)」弱陽性、「−」陰性)のみを示す。
E:マイクロタイタープレートの吸光度値を405nmで測定した(上記1.3.1参照);本明細書に示したスケールに従う相対的結果(「+」陽性、「−」陰性)のみを示す。
【0068】
下記は、表1で示された結果から明らかである:
・ 臨床的症状にしたがってインフルエンザ患者として分類された被験者(番号1〜10)のすべてが、実際にインフルエンザ陽性というわけではなかった。被験者9および10は、咽喉スワブの培養、唾液サンプルのPCR、ならびに唾液および咽喉スワブの迅速試験において陰性であった。このことは、臨床的症状のみを基礎としてインフルエンザの決定的診断を下すことは不可能であるという、冒頭部に記載した、また専門家の間でも知られている説を強調するものである。
【0069】
・ 無症候性の被験者(番号11〜14)の咽喉スワブサンプルおよび唾液サンプルは先に挙げたすべての試験方法で陰性であり、このことは、これらの方法の臨床的特異性を実証するものである。
【0070】
・ 咽喉スワブの細胞培養によってインフルエンザA陽性であることが判明している8名の被験者(番号1〜8、いわゆる培養陽性被験者)のうち、6名の被験者が咽喉スワブを使用する免疫学的迅速試験によっても陽性と診断された。このことは、サンプル材料としてスワブを使用する従来の迅速試験の臨床的感度が、ゴールドスタンダードとして現在認められている細胞培養法における感度よりも低いことを示すものである(各製造業者の製品説明書に従う種々の免疫学的迅速試験の臨床的感度:Quidel 鼻腔スワブについて73%、Roche 咽喉スワブについて70%、Biostar 咽喉スワブについて60%および鼻咽頭スワブについて83%)。
【0071】
・ 対照的に、8名すべての培養陽性被験者から採取した対応する唾液サンプルは免疫学的迅速試験で陽性であることが判明した。
【0072】
・ さらに、唾液サンプルを用いる免疫学的迅速試験のテストストリップ上の検出線の強度は、咽喉スワブを使用した場合の対応する検出線強度よりも幾分強いことが、反射率の値(表には示してない)の比較により示される。
【0073】
・ したがって、唾液による迅速試験の結果は、対応する唾液からのPCR結果と一致しており、これらの結果は、サンプル採取時に予め富化しなくても、サンプル材料としての唾液中にインフルエンザA/Bウイルスを確実に検出し得ることを示すものである。
Claims (12)
- インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出する方法であって、以下のステップ:
i) 唾液サンプルを得るステップ、
ii 検出のために唾液サンプルを調製するステップ、および
iii) 唾液サンプル中のインフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスを検出するステップ、
を含む、上記方法。 - ステップi)で得られる唾液サンプルが、自然に形成された唾液であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ステップi)で得られる唾液サンプルが、ウイルス特異的な富化を行うことなく唾液採取装置で得られることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ステップii)において、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスのRNAを唾液サンプルから単離し、ステップiii)においてRT−PCRによって増幅し検出することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- ステップiii)において、唾液サンプルを、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの存在について免疫学的に調べることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- ステップii)において、唾液サンプルを、インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスのウイルス核タンパク質が放出されるように溶解バッファーで処理し、ステップiii)において、この核タンパク質を免疫学的に検出することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
- インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのテストキットであって、以下のもの:
i) 唾液サンプルを採取するための装置、および
ii) インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスの検出のための試薬および/または補助試薬、
を含んでなる上記キット。 - インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染を検出するためのサンプル材料としての唾液の使用。
- 唾液が自然に形成されたものであることを特徴とする、請求項8に記載の唾液の使用。
- 唾液サンプルが、ウイルス特異的な富化を行うことなく唾液採取装置で採取されることを特徴とする、請求項8に記載の唾液の使用。
- インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染が免疫学的試験によって検出されることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の唾液の使用。
- インフルエンザAウイルスおよび/またはインフルエンザBウイルスによる感染が核酸の検出によって検出されることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載の唾液の使用。
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