JP2004363353A - セラミック多層回路基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キャリアフィルム1,及び該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルム2によりセラミックグリーンシート3を挟み込み、キャリアフィルム1側から、レーザ光を照射し、少なくとも、該キャリアフィルム1とセラミックグリーンシート3を貫通させて、キャリアフィルム1及びセラミックグリーンシート3に貫通領域1a,3aを形成した後、キャリアフィルム1に形成された貫通領域1aから、セラミックグリーンシート3に形成された貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填して、セラミックグリーンシート3に所定のパターンの回路5を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、セラミック多層回路基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
セラミック多層回路基板などの積層セラミック電子部品は、通常、表面に導体パターン(回路)が形成されたセラミックグリーンシートを積層する工程を経て製造されている。
【0003】
ところで、セラミックグリーンシートに導体パターンを形成する方法の一つに、図18に示すように、セラミックグリーンシート51に所定のパターンのマスク52を施し、その上からレーザ光線などを照射することにより、セラミックグリーンシート51の表面に溝51aを形成し、この溝51aにマスク52の上から導体粉末53を埋め込んで、導体パターン54を形成する方法がある。そして、レーザ光線としては、CO2レーザを用いるのが、セラミック加工に適しているため好ましい。
【0004】
しかし、上述のようにマスクを介してレーザ光線などを照射する方法においてCO2レーザを用いた場合、マスクが熱により変形し、繰返して使用することができなくなる。したがって、CO2レーザを用いることができず、生産性が低下するという問題点がある。
【0005】
また、上記の方法では、複数種類の導体パターンを形成する場合に、各導体パターンごとにマスクが必要となりコストの増大を招くという問題点がある。
【0006】
さらに、導体パターンの形状(回路形状)が、例えば、渦巻き形状のような複雑な形状になると、マスクの強度が低下し、溝にマスクの上から導体粉末を埋め込む際に必要なマスクの強度を保持することが容易ではなく、効率よく精度の高い導体パターンを形成することができないという問題点がある。
そこで、上記従来の方法の問題点を解消する方法として、マスクを用いずに導体パターンを形成することが考えられる。
【0007】
例えば、図19(a)に示すように、キャリアフィルム20により一面(下面)が支持されたセラミックグリーンシート21に、回折格子により分光し、出力制御を行ったレーザビームを照射して、セラミックグリーンシート21は貫通するが、下面側のキャリアフィルム20は貫通しないように、セラミックグリーンシート21に貫通孔15を形成し、図19(b)に示すように、セラミックグリーンシート21の、貫通孔15を含む領域に、導電ペースト14をスクリーン印刷法により印刷することにより、貫通孔15に導電ペースト(導体)14を充填した後、図19(c)に示すように、キャリアフィルム20を剥離する方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法によれば、マスクを使用することが不要になるため、マスクの変形が問題になるようなことがなく、生産性の高いCO2レーザを用いることが可能になる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−280226号公報
【0009】
しかし、特許文献1の方法のように、CO2レーザを用いる場合、ライン幅あるいはライン間距離が50μm以下のファインライン回路(高アスペクト比の回路)を形成することは困難であるという問題点がある。
また、特許文献1の方法は、レーザ光を照射することにより、セラミックグリーンシートにビアホール(あるいはスルーホール)を形成する方法にかかるものであって、充填された導体から、所望のパターンを備えたファインライン回路を形成しようとするものではなく、この方法を改良して、多数個の貫通孔を連続して形成することにより回路用貫通領域を形成し、この回路用貫通領域に導電ペースト(導体)を充填して回路を形成しようとした場合、短絡を防止するため、セラミックグリーンシートの上面側の不要な導電ペースト(導体)を除去することが必要になるが、例えば、かき取りなどの方法でセラミックグリーンシート上の導電ペースト(導体)を確実に除去することは事実上困難であり、上記の方法をそのままファインライン回路の形成に適用することはできないのが実情である。
【0010】
本願発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、セラミック多層回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)のセラミック多層回路基板の製造方法は、
(a)セラミックグリーンシートの表裏両面側に、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、少なくとも、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートを貫通させて、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を具備することを特徴としている。
【0012】
本願発明(請求項1)のセラミック多層回路基板の製造方法は、、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムによりセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、少なくとも、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートを貫通させて、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成した後、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填するようにしているので、マスクを用いることなく、所望のパターンを有する微細な導体パターンを効率よく形成することが可能になる。
したがって、貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
【0013】
すなわち、本願発明のセラミック多層回路基板の製造方法においては、図1に示すように、キャリアフィルム(入射側フィルム)1,及び粘着フィルム(裏面側フィルム)2により挟み込まれたセラミックグリーンシート3に対し、キャリアフィルム1上からレーザ光を照射するようにしているので、キャリアフィルム1に貫通領域(例えば、導体を充填することにより回路として機能する貫通領域や、導体を充填することによりビアホールとして機能する貫通領域)1aが形成される過程で照射されるレーザ光のエネルギーが減少し、セラミックグリーンシート3の表面に達したときの実質的なスポット径D2が、キャリアフィルム1に入射する際のスポット径D1よりも小さくなり、例えば、キャリアフィルム1に入射する際のスポット径D1が60μm程度である場合において、セラミックグリーンシート3の表面に達したときのスポット径D2を30μm程度にまで小さくすることが可能になる。したがって、幅(=スポット径D2)が例えば30μm程度と小さい貫通領域3aをセラミックグリーンシートに形成することが可能になる。
【0014】
なお、レーザ光の照射面の形状(スポット形状)が、図4(a)に示すように円形である場合、円形の貫通孔を連続して形成することにより、図4(b),(c)に示すように、回路として必要な連続形状(例えば、帯状の形状)の貫通領域3aを形成することが可能である。
一方、ビアホール用の貫通領域を形成する場合には、スポット形状のレーザ光を所定の箇所に照射するだけでビアホール用の貫通領域(貫通孔)を形成することが可能である。ただし、貫通孔を複数形成することにより所望の形状の貫通孔を形成するように構成することも可能である。
そして、図2に示すように、キャリアフィルム1に形成された貫通領域1aから、セラミックグリーンシート3の貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填した後、図3に示すように、キャリアフィルム1を剥離することにより、幅(=D2)が30μm以下の微細な回路(あるいはビアホール)5を効率よく形成することが可能になる。
なお、本願発明の方法によれば、焼成工程でセラミックグリーンシート3及び導体(導電ペースト)4が収縮するため、例えば、貫通領域3aの幅(=D2)が35μm程度である場合にも、焼成後に幅が30μm以下の回路(あるいはビアホール)5を形成することができる。
【0015】
また、本願発明の方法により回路5を形成した場合、セラミックグリーンシート3を貫通する貫通領域3aに導体が充填されているため、回路5の厚みが大きく、低抵抗のファインライン回路を得ることが可能になる。
さらに、セラミックグリーンシート3に形成された貫通領域3aは、セラミックグリーンシート3を貫通しているので、その深さは一定で、セラミックグリーンシート3の厚みと同一となることから、積層した場合に、上下層の導体パターンの間隔を一定に保つことが可能になり、特性のばらつきを減少させることが可能になる。
【0016】
また、セラミックグリーンシート3の貫通領域3aへの導体4(図2)の充填時には、キャリアフィルム1がマスクとしての機能を果たすため、導体4を確実に貫通領域3aに充填することが可能になるとともに、余剰の導体は、キャリアフィルム1を除去する際に確実に除去されるため、所望のパターンを有する導体パターンを形成することが可能になり、ファインライン回路を効率よく形成することが可能になる。
なお、粘着フィルムを入射側フィルムとする場合には、入射側フィルムを確実に剥離できるようにするために、粘着フィルムとセラミックグリーンシートの密着強度を、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートの密着強度より小さくすることが必要になるが、その場合には、入射側フィルム(粘着フィルム)とセラミックグリーンシートの境界部に導体が入り込み、にじみが生じるおそれがあるが、本願発明のセラミック多層回路基板の製造方法においては、入射側フィルムとしてキャリアフィルムが用いられており、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートの密着強度は、上述のように、キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度を小さくして入射側フィルムとして用いるようにした場合の粘着フィルムよりも大きいので、入射側フィルムとセラミックグリーンシートの境界部に導体が入り込むという不具合が生じるおそれはない。したがって、セラミックグリーンシートの貫通領域への導体の充填時に、セラミックグリーンシートとキャリアフィルムの境界部に導体が入り込むことを抑制、防止して、にじみの発生を確実に防止することが可能になり、信頼性の高いセラミック多層回路基板を効率よく製造することが可能になる。
【0017】
なお、セラミック多層回路基板を製造する場合においては、例えば、レーザ光が照射される側のフィルム(入射側フィルム)の表面に導体(導電ペースト)を塗布し、入射側フィルムの貫通領域から、セラミックグリーンシートの貫通領域に導体(導電ペースト)を充填し、導電ペーストを乾燥した後、入射側フィルムを剥離し、必要に応じて、セラミックグリーンシートの入射側フィルムを剥離した面にスクリーン印刷などの方法で配線パターンを形成したり、入射側フィルムを剥離した面を接合面として、他のグリーンシートと積層したりすることが行われることになる。したがって、セラミックグリーンシートの変形を招いたりすることなく、フィルム(入射側フィルム)を確実に剥離できることが必要になるが、本願発明(請求項1〜8)のセラミック多層回路基板の製造方法においては、レーザ光が照射される側のキャリアフィルム(入射側フィルム)より、セラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを用いるようにしているので、セラミックグリーンシートの変形を招いたりすることなく、キャリアフィルム(入射側フィルム)を確実に剥離することが可能になる。
【0018】
また、セラミックグリーンシート3を挟み込むキャリアフィルム1,及び粘着フィルム2が、セラミックグリーンシート3の強度を補う補強材としての機能を果たすため、複雑な形状(例えば、図16に示すような渦巻き形状(スパイラル)の配線パターン12など)の導体パターン(回路)を形成した場合にも、取扱中の変形や破損などを防止することが可能になり、良好な取扱性を確保することができる。
なお、キャリアフィルム及び粘着フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEEK(ポリエーテルケトン)、PSF(ポリサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)などの種々の樹脂からなるフィルムを用いることが可能であり、さらに他の材料からなるフィルムを用いることも可能である。
【0019】
また、本願発明(請求項2)のセラミック多層回路基板の製造方法は、
(a)セラミックグリーンシートの表裏両面側にキャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、該キャリアフィルムとセラミックグリーンシートは貫通するが、粘着フィルムは貫通しないように出力制御されたレーザ光を照射して、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を具備することを特徴としている。
【0020】
本願発明(請求項2)のように、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートは貫通するが、粘着フィルムは貫通しないようにセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するようにした場合、粘着フィルムによるセラミックグリーンシートの強度を補う機能(補強機能)が十分に発揮され、渦巻き形状などの複雑な形状の回路を形成する場合にも、セラミックグリーンシートの渦巻き形状(スパイラル)の中心部近傍の強度を十分に確保することが可能になり、導体の充填に十分に耐えることが可能になる。したがって、充填不良を引き起こしたりすることなく、導体パターンの形状の自由度を向上させることが可能になり、複雑な形状の回路を確実に形成することができるようになる。
そして、貫通領域に導体が確実に充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
【0021】
また、本願発明(請求項3)のセラミック多層回路基板の製造方法は、
(a)セラミックグリーンシートの表裏両面側にキャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するとともに、セラミックグリーンシートを貫通したレーザ光を、部分的に粘着フィルムを貫通させて、粘着フィルムに貫通孔を形成する工程と、
(b)粘着フィルムに形成された貫通孔を介して真空吸引を行いつつ、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を具備することを特徴としている。
【0022】
フィルムによりセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するとともに、セラミックグリーンシートを貫通したレーザ光を、部分的に粘着フィルムを貫通させて、粘着フィルムに貫通孔を形成し、この貫通孔を介して真空吸引を行いつつ、キャリアフィルムの貫通領域から、セラミックグリーンシートの貫通領域に導体を充填するようにした場合、セラミックグリーンシートの貫通領域に確実に導体を充填することが可能になり、さらに信頼性の高い導体パターン(回路やビアホールなど)を形成することができるようになるとともに、このようにして回路やビアホールなどが形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
なお、粘着フィルムに形成される貫通孔は、1個でもよく、また、独立した複数個の貫通孔であってもよい。例えば、貫通領域が帯状の回路用貫通領域である場合には、貫通領域に沿って、独立した複数の貫通孔を形成し、真空吸引を行いつつ、キャリアフィルムの貫通領域から、セラミックグリーンシートの回路用貫通領域に導体を充填することにより、導体をより確実に貫通領域に充填することができて望ましい。
【0023】
また、請求項4のセラミック多層回路基板の製造方法は、前記貫通領域が、導体が充填されることにより回路として機能する回路用貫通領域及び/又は導体が充填されることによりビアホールとして機能するビアホール用貫通領域であることを特徴としている。
【0024】
貫通領域として、導体が充填されることにより回路として機能する回路用貫通領域及び/又は導体が充填されることによりビアホールとして機能するビアホール用貫通領域を形成することにより、回路がビアホールにより接続された種々の回路パターンを備えたセラミック多層回路基板を効率よく製造することが可能になる。
【0025】
また、請求項5のセラミック多層回路基板の製造方法は、
前記キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、前記キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程において、
(a)形成すべき貫通領域を、所定の間隔をおいて位置する複数のグループに分割し、少なくとも、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに所定のグループの貫通領域を形成するとともに、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された前記貫通領域に導体を充填し、
(b)前記キャリアフィルムを剥離して、貫通領域の形成されていない別のフィルムに貼り替えた後、少なくとも、貼り替えたフィルム及びセラミックグリーンシートに他のグループの貫通領域を形成するとともに、貼り替えたフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された前記貫通領域に導体を充填し、
(c)前記複数のグループに分割された各グループの貫通領域のすべてに導体が充填されるまで前記(b)の工程を繰り返して行うこと
を特徴としている。
【0026】
形成すべき貫通領域を、所定の間隔をおいて位置する複数のグループに分割し、少なくとも、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに所定のグループの貫通領域を形成するとともに、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填した後、キャリアフィルムを剥離して、貫通領域の形成されていない別のフィルムに貼り替えた後、少なくとも、貼り替えたフィルム及びセラミックグリーンシートに他のグループの貫通領域を形成するとともに、貼り替えたフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填し、複数のグループに分割された各グループの貫通領域のすべてに導体が充填されるまで、フィルムの貼り替え、貫通領域の形成、導体の充填の工程を繰り返して行うことにより、貫通領域に導体が充填された回路やビアホールなどを高密度に形成することが可能になる。
【0027】
すなわち、図1に示すように、キャリアフィルム1,及び粘着フィルム2により挟み込まれたセラミックグリーンシート3に対し、キャリアフィルム1上からレーザ光を照射するようにしているので、上述のように、キャリアフィルム1に入射する際のスポット径D1は、セラミックグリーンシート3の表面に達したときの実質的なスポット径D2よりも大きく、同じキャリアフィルム1が貼り付けられた状態のままでは、図17に示すように、セラミックグリーンシート3に形成される貫通領域30a,30bを高密度に配設しようとすると、キャリアフィルム1に形成される互いに隣り合う貫通領域21a,21bが重なり合うことになるが、先に形成された貫通領域21a,30aに導体4(図10)を充填した後、キャリアフィルム1を貼り替えることにより、図13及び図17に示すように、キャリアフィルム1、フィルム101に形成される隣り合う貫通領域21a,21bが互いに重なり合うことを防止して、回路やビアホールなどの導体パターンを高密度で形成することが可能になる。
なお、形成すべき貫通領域を、複数のグループに分割する場合のグループの数には特に制約はなく、2以上の任意の数のグループに分割することが可能である。ただし、グループ数が増えるとフィルムの貼り替え回数が多くなるため、あまり多くのグループに分割することは好ましくない。
また、分割されたグループの数が2の場合、請求項5の(a)及び(b)の工程で、すべての貫通領域の形成、及び形成された貫通領域への導体の充填が終了するので、(c)の工程は不要になるが、本願発明は、このような、グループの数が2である場合も含むものである。
【0028】
また、請求項6のセラミック多層回路基板の製造方法は、レーザ光としてCO2レーザ光を用いることを特徴としている。
【0029】
CO2レーザは、生産性が高く、しかも、セラミックグリーンシートを構成するセラミック自体による吸収率が高く、セラミックの加工に適していることから、本願発明のセラミック多層回路基板の製造方法に好適に用いることができる。
【0030】
また、請求項7のセラミック多層回路基板の製造方法は、レーザ光を、回折格子を通過させることにより分光し、分光された複数のレーザ光を、キャリアフィルム側からセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射することにより、セラミックグリーンシートに前記貫通領域を形成することを特徴としている。
【0031】
レーザ光を、回折格子を通過させることにより分光し、分光された複数のレーザ光を、セラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射することにより、セラミックグリーンシートに効率よく貫通領域を形成することが可能になる。なお、複数の領域とは、形成されるべき一つの回路内における複数の領域であってもよく、形成されるべき複数の回路にわたっての複数の領域であってもよい。
【0032】
また、請求項8のセラミック多層回路基板の製造方法は、レーザ光が入射する入射側フィルムとして、レーザ光吸収剤を含有する樹脂フィルムを用いることを特徴としている。
【0033】
レーザ光が入射する入射側フィルムとして、レーザ光吸収剤を含有する樹脂フィルムを用いることにより、照射されるレーザ光のエネルギーを、入射側フィルムが吸収しやすくなるため、より低い出力でレーザ加工を行い、微細な貫通領域を精度よく形成することが可能になる。
すなわち、レーザ発振器が低出力になると、レーザ光に含まれる熱エネルギーも小さくなり、レーザ加工時に入射側フィルムに伝わる熱量が少なくなる。入射側フィルムの表面の溝幅を決定するのは、レーザ光のスポット径と熱量であり、熱量が少なくなると、溝幅をスポット径に近づけることが可能になる(熱量が大きくなりすぎると、入射側フィルムを溶融して溝幅が広がる)ため、微細で高精度のファインライン回路を形成することが可能になる。
【0034】
なお、本願発明において用いることが可能なレーザ光吸収剤としては、使用するレーザ光の波長において吸収を示す顔料を含む種々の材料を用いることが可能であり、好ましい顔料としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、DPP系等の各種有機顔料や無機顔料などが例示される。
また、この請求項8の場合にも、樹脂フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PES(ポリエーテルサルフォン)、PEEK(ポリエーテルケトン)、PSF(ポリサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)などの種々の樹脂からなるフィルムを用いることが可能である。
【0035】
また、本願発明(請求項9)のセラミック多層回路基板は、
請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法により製造されたセラミック多層回路基板であって、積層体の内部に、前記貫通領域に導体が充填されることにより形成された回路及び/又はビアホールが配設された構造を有していることを特徴としている。
【0036】
本願発明(請求項9)のセラミック多層回路基板は、請求項1〜8のセラミック多層回路基板の製造方法により製造されたものであり、高密度で、所望の特性を備えた、信頼性の高いセラミック多層回路基板を提供することが可能になる。また、複雑な形状のファインライン回路を備えたセラミックグリーンシートを用いたものである場合、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を提供することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0038】
[実施形態1]
この実施形態1では、図1〜5を参照しつつ、セラミック多層回路基板を製造する方法について説明するとともに、セラミック多層回路基板の製造過程で、本願発明の方法により、セラミックグリーンシートに回路を形成する方法について説明する。
【0039】
(1)まず、図5(a)に示すように、キャリアフィルム1上に、セラミックスラリーをドクターブレードなどによりシート状に成形して、セラミックグリーンシート3を形成した後、セラミックグリーンシート3を、キャリアフィルム1とともに、所定の大きさに切断する。
【0040】
(2)それから、図5(b)に示すように、PET基材(厚み50μm)に、粘着層としてアクリル系粘着材を約10μmの厚みで塗布した粘着フィルム2を、セラミックグリーンシート3のキャリアフィルム1により支持されていない方の面(上面(図5(b))に配設し、粘着フィルム2とセラミックグリーンシート3の間の空気を抜いて粘着フィルム2をセラミックグリーンシート3と密着させる。ただし、キャリアフィルム1,及び粘着フィルム2によりセラミックグリーンシート3を挟み込む方法は、上記の方法に限られるものではなく、例えば、セラミックグリーンシートを成形する際に上下両面側からフィルムで挟み込む方法など、種々の方法を採用することが可能である。
なお、この実施形態では、キャリアフィルム1がレーザ加工時の入射側フィルムとして機能し、粘着フィルム2が、レーザ加工時の裏面側フィルムとして機能するように構成されている。
【0041】
そして、この実施形態では、粘着フィルム2として、セラミックグリーンシート3への密着強度が、キャリアフィルム1のセラミックグリーンシート3への密着強度よりも大きいフィルムを用いている。
これにより、下記の(5)の工程で、キャリアフィルム1を剥離する際に、セラミックグリーンシート3が粘着フィルム2から剥離しないように、セラミックグリーンシート3からキャリアフィルム1を確実に剥離させることが可能になる。
【0042】
(3)そして、キャリアフィルム1,及び粘着フィルム2により挟み込まれたセラミックグリーンシート3を反転させた後、図1に示すように、キャリアフィルム(入射側フィルム)1上から、セラミックグリーンシート3に、出力制御されたレーザ光(CO2レーザ光)を照射し、キャリアフィルム1に貫通領域1aを形成するとともに、セラミックグリーンシート3に貫通領域(回路用貫通領域)3aを形成する。
この実施形態1で用いたレーザ光の照射面の形状(スポット形状)は、図4(a)に示すように円形であり、回路として必要な連続形状(例えば、帯状の形状)を得るために、円形の貫通孔を連続して形成して、図4(b)、(c)に示すように、直線的な回路用貫通領域3aを形成した。
なお、この実施形態1では、レーザ光の入射するキャリアフィルム1の表面のスポット径D1を約60μmとし、互いに隣り合うスポットとスポットの距離(ピッチ)Pを、スポット径D1の約1/2の30μmとした。
【0043】
この実施形態1において、キャリアフィルム1としてPETフィルムを用いた場合、レーザ光の熱影響範囲はキャリアフィルム1の表面からの距離が大きくなるほど(すなわち、深度が深くなるほど)小さくなるので、キャリアフィルム1に形成される貫通領域1aの断面形状は、図1に示すように、テーパ状となり、セラミックグリーンシート3の表面における実質的なスポット径D2(すなわち、回路用貫通領域3aの幅)(図4(c))は30μm程度となる。
なお、この実施形態では、レーザ光が、キャリアフィルム1とセラミックグリーンシート3を貫通して、キャリアフィルム1には貫通領域1aが形成され、セラミックグリーンシート3には回路用貫通領域3aが形成されるが、裏面側フィルム(粘着フィルム)2は貫通しないようにした。
【0044】
(4)それから、図5(c)に示すように、キャリアフィルム1の表面に導体(導電ペースト)4を塗布し、キャリアフィルム1の貫通領域1aから、セラミックグリーンシート3の回路用貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填する。このとき、粘着フィルム2として、セラミックグリーンシート3への密着強度が、キャリアフィルム1のセラミックグリーンシートへの密着強度よりも大きいフィルムを用いているので、セラミックグリーンシート3と粘着フィルム2の境界部に導体が入り込み、にじみが発生することを防止することができる。
その後、キャリアフィルム1の表面の余分な導体(導電ペースト)をかき取る。
なお、導体4としては、銅、ニッケルなどの卑金属、金、銀、白金、Ag−Pdな
どの貴金属及びその合金などを導電成分とする導電ペーストなど、積層電子部品の製造に用いられている種々の材料を用いることが可能である。
【0045】
(5)導電ペースト4を乾燥した後、図5(d)に示すように、キャリアフィルム1を剥離する。このとき、キャリアフィルム1のセラミックグリーンシートへの密着強度が、粘着フィルム2のセラミックグリーンシート3への密着強度よりも小さいため、セラミックグリーンシート3が粘着フィルム2から剥離することなく、キャリアフィルム1がセラミックグリーンシート3から確実に剥離される。
【0046】
(6)それから、図5(e)に示すように、上記のようにして形成したセラミックグリーンシート3の、キャリアフィルム1が剥離された面(上面)に、必要に応じて配線パターン(電極パターン)12をスクリーン印刷などの方法により印刷、塗布する。
なお、他の所定のセラミックグリーンシートについても、上述の(1)〜(6)と同様の手順で、必要な処理、加工を行い、所望の回路などを備えたセラミックグリーンシートを形成する。
【0047】
(7)また、上記回路用貫通領域3aに充填した導体(回路)を層間で接続するためのビアホールを備えたセラミック層として、図5(f),(g)に示すように、他のセラミックグリーンシート13について、上記回路用貫通領域3aの形成方法に準じる方法により、入射側フィルムに貫通領域を形成するとともに、セラミックグリーンシートにビアホール用貫通領域6を形成し、このビアホール用貫通領域6への導電ペースト4の充填を行った後、さらに、図5(g)に示すように、セラミックグリーンシート13の表面に導体を印刷、塗布して、配線パターン(印刷配線パターン)12aを形成する。
【0048】
(8)それから、上述のようにして形成した各セラミックグリーンシート3及び13を、図5(h)に示すように1枚ずつ仮圧着しながら積層した後、本プレスを行って積層体8を形成する。
なお、積層方法としては、例えば、金属又は樹脂プレート上に、キャリアフィルム1が剥離された露出面が下になるように1層目のセラミックグリーンシート3(又は13)を載置した後、裏面側フィルム(粘着フィルム2)を剥離し、その上にセラミックグリーンシート3(又は13)のキャリアフィルム1が剥離された露出面を下、粘着フィルム2が上になるようにして、セラミックグリーンシート3(又は13)を積み重ね、セラミックグリーンシート3(又は13)内に含まれるバインダーや可塑剤の接合力を利用して、熱と圧力によりセラミックグリーンシート3(又は13)どうしを仮圧着し、その後、粘着フィルム2をはがすことを繰り返す方法を用いることが可能である。
【0049】
(9)そして、図5(i)に示すように、積層体8を個々の素子9に分割し、焼成した後、導電ペーストを塗布して焼付けることにより外部電極(端面電極)10を形成し、この外部電極10に、Niめっき、Snめっきなどを施す。これにより、内部に回路などが配設された素子9の側面に、内部の回路と導通する外部電極10が形成されたセラミック多層回路基板Aが得られる。
【0050】
上述のように、この実施形態1においては、図1に示すように、キャリアフィルム1,及び粘着フィルム2により挟み込まれたセラミックグリーンシート3に対し、キャリアフィルム(入射側フィルム)1上からレーザ光を照射するようにしているので、照射されるレーザ光のエネルギーが、キャリアフィルム1に貫通領域1aが形成される過程で減少し、セラミックグリーンシート3の表面に達したときの実質的なスポット径D2が、キャリアフィルム1に入射する際のスポット径D1よりも小さくなるため、例えば幅が30μm程度の微細な回路用貫通領域3aをセラミックグリーンシートに形成することが可能になる。
【0051】
なお、未焼成の素子9(図5(i))を焼成する工程で、セラミックグリーンシート3及び導体(導電ペースト)4が収縮するため、例えば、回路用貫通領域3aの幅が30μmをいくらか超えるような場合にも、ライン幅が30μm以下の回路5を形成することができる。
また、回路用貫通領域3aに導体4が充填されているため、回路5の厚みが大きく、低抵抗のファインライン回路を得ることができる。さらに、回路用貫通領域3aは、セラミックグリーンシート3を貫通しているので、その深さは一定で、セラミックグリーンシート3の厚みと同一となることから、積層体中の上下層の回路間隔を一定に保つことが可能になり、特性のばらつきを減少させることができる。
【0052】
また、セラミックグリーンシート3の回路用貫通領域3aへの導体4の充填時には、キャリアフィルム1がマスクとしての機能を果たすため、導体4を確実に回路用貫通領域3aに充填することが可能になるとともに、余剰の導体をキャリアフィルム1とともに除去して、所望のパターンを有するファインライン回路を効率よく形成することができる。
【0053】
また、キャリアフィルム1及び粘着フィルム2が、セラミックグリーンシート3の補強材としての機能を果たすため、例えばスパイラルなど複雑な回路を形成した場合にも、取扱中の変形や破損などを防止することが可能になり、良好な取扱性を確保することができる。
【0054】
[実施形態2]
実施形態1においては、上記(3)の工程で、照射面の形状が円形で、スポット径D1が約60μmのレーザ光を、スポット径D1の1/2の約30μmのピッチで照射し、円形の貫通孔を連続して形成することにより、直線的な貫通溝(回路状貫通孔)を形成するようにしたが、この実施形態2では、出力制御され、回折格子によって分光された複数のCO2レーザ光を、形成されるべき一つの回路内における複数の領域に同時に照射することにより、任意の回路用貫通領域を同時に複数個形成するようにした。
なお、その他の構成は、上記実施形態1の場合と同様であることから、重複を避けるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
この実施形態2の場合のように、回折格子によって分光されたCO2レーザ光をセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射することにより、短時間で効率よく回路用貫通領域を形成することが可能になり、生産性を大幅に向上させることができるようになる。
【0056】
なお、CO2レーザ光を分光してセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射するようにした場合、レーザ加工時のレーザ発振器の必要エネルギーは、単一領域にCO2レーザ光を照射する場合に比べて分光数倍となる。
その結果、単一領域にCO2レーザ光を照射する場合には、その出力が微少で安定して制御することが困難であるが、CO2レーザ光を分光してセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射するようにした場合には、全体としての出力が大きくなることから、安定して出力制御を行うことが可能になり、出力のばらつきを低減することが可能になるという効果が得られる。
例えば、表1に示すように、レーザエネルギーが0.1mJの場合、単一領域にCO2レーザ光を照射する場合には、出力ばらつきが±0.1mJとなるのに対して、CO2レーザ光を10のレーザ光に分光してセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射するようにした場合には、全体としてのレーザエネルギーが1.0mJで、出力ばらつきが全体として±0.1mJとなり、各CO2レーザ光当たりの出力ばらつきは±0.01mJにまで低減することから、加工精度を大幅に向上させることが可能になる。
【0057】
【表1】
【0058】
[実施形態3]
この実施形態3では、入射側フィルム1(図1,図4(a))として、例えばアゾ系、キナクリドン系、イソインドリノン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ペリレン系、ペリノン系、フタロシアニン系、DPP系等の顔料を、レーザ光吸収剤として含有する樹脂フィルムを用いた。
また、樹脂フィルムとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなるフィルムを用いた。
その他の構成は、上記実施形態1の場合と同様であることから、重複を避けるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
この実施形態3のように、入射側フィルムとして、レーザ光吸収剤を含有する樹脂フィルムを用いているので、照射されるレーザ光のエネルギーを、入射側フィルムが吸収しやすく、より低い出力でレーザ加工を行い、微細な回路用貫通領域を精度よく形成することが可能になる。すなわち、レーザ発振器が低出力になると、レーザ光に含まれる熱エネルギーが小さくなり、レーザ加工時に入射側フィルムに伝わる熱量が少なくなり、溝幅をスポット径に近づけることが可能になる(熱量が大きくなりすぎると、入射側フィルムを溶融して溝幅が広がる)ため、微細で高精度のファインライン回路を形成することが可能になる。
【0060】
[実施形態4]
上記実施形態1では、レーザ光が粘着フィルム(裏面側フィルム)を貫通しないようにしたが、この実施形態4では、図6(a),(b)に示すように、レーザ光を照射して、キャリアフィルム1及びセラミックグリーンシート3に貫通領域1a,回路用貫通領域3aを形成する工程で、セラミックグリーンシート3を貫通したレーザ光を、部分的に粘着フィルム(裏面側フィルム)2を貫通させて、粘着フィルム2に、セラミックグリーンシート3に形成された回路用貫通領域3aに沿うように、独立した複数の貫通孔2a(図6(a),(b))を形成した。
なお、この実施形態4では、セラミックグリーンシート3に幅が約30μmの回路用貫通領域3aが形成されるようにするとともに、粘着フィルム2に、下面側の直径D3(図6(b))が約10μmの略円形の貫通孔2aが複数個形成されるようにした。
【0061】
それから、図7(a)に示すように、このセラミックグリーンシート3を、表裏両面にキャリアフィルム1及び粘着フィルム2が配設された状態で、連続気泡を含む多孔質板からなるテーブル11上に載置し、粘着フィルム(裏面側フィルム)2に形成された貫通孔2aから真空吸引を行いつつ、キャリアフィルム1に形成された貫通領域1aに導体を供給し、図7(b)に示すように、セラミックグリーンシート3に形成された回路用貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填した。
【0062】
なお、上述のレーザ光を照射して、キャリアフィルム1及びセラミックグリーンシート3に貫通領域1a,回路用貫通領域3aを形成するとともに、粘着フィルム(裏面側フィルム)2に独立した複数の貫通孔2aを形成する工程、及び、粘着フィルム2に形成された貫通孔2aから真空吸引を行いつつ、キャリアフィルム1に形成された貫通領域1aから、セラミックグリーンシート3に形成された回路用貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填する工程以外の工程は、上述の実施形態1の(1),(2),(5)〜(9)の工程と同様であることから、重複を避けるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
この実施形態4では、粘着フィルム(裏面側フィルム)2に形成された貫通孔2aから真空吸引を行いつつ、キャリアフィルム1に形成された貫通領域1aから、セラミックグリーンシート3に形成された回路用貫通領域3aに導体(導電ペースト)4を充填するようにしているので、回路用貫通領域3aの幅が狭い場合にも、回路用貫通領域3aの底部にまで、導体(導電ペースト)4を確実に充填することが可能になる。
また、粘着フィルム(裏面側フィルム)2に形成された複数の貫通孔2aは、独立している(所定の間隔をおいて配設されている)ため、セラミックグリーンシート3を補強する機能を十分に果たすことができる。
【0064】
[実施形態5]
図8〜図14は、本願発明の実施形態5にかかるセラミック多層回路基板の製造方法を示す図である。
この実施形態5では、セラミックグリーンシート3に形成すべき貫通領域30a,30bを、所定の間隔をおいて位置する複数のグループ、すなわち、図8に示すように、形成すべき複数の貫通領域30a,30bのうち、1つおきに配設されることになる複数の貫通領域30aからなるグループG1と、1つおきに配設されることになる他の複数の貫通領域30bからなるグループG2に分類した。
【0065】
それから、レーザ加工を行うことにより、図9に示すように、キャリアフィルム1に貫通領域21aを形成するとともに、セラミックグリーンシート3に、グループG1の貫通領域30aを形成した。
【0066】
そして、図10に示すように、キャリアフィルム1に形成された貫通領域21aから、セラミックグリーンシート3の貫通領域30aに導体4を充填した。
【0067】
次に、貫通領域21aが形成されたキャリアフィルム1を剥離して、図11に示すように、貫通領域の形成されていない別のフィルム101に貼り替え、図12に示すように、貼り替えたフィルム(入射側フィルム)101に貫通領域21bを形成するとともに、セラミックグリーンシート3に他のグループG2の貫通領域30bを形成した。
【0068】
そして、図13に示すように、フィルム101に形成された貫通領域21bから、セラミックグリーンシート3に形成された貫通領域30bに導体4を充填した後、図14に示すように、フィルム101を剥離して、貫通領域30a,30bに導体4を充填することにより回路32a,32bが形成され、裏面側が粘着フィルム2に保持されたセラミックグリーンシート3が得られる。
なお、図15は、2種類の貫通領域30a,30bの一方の貫通領域30aに導体4を充填することにより形成される回路(実線の部分)32aと、他方の貫通領域30bに導体4を充填することにより形成される回路(破線の部分)32bを備えた分割回路パターン32を模式的に示す図である。
【0069】
上述のように、キャリアフィルムを貼り替えることにより、貫通領域30a,30bを高密度に形成することが可能になるとともに、貫通領域30a,30bに導体4が充填された回路やビアホールなどを高密度に形成することが可能になる。すなわち、図17に示すように、高密度で形成すべき貫通領域をグループ化せずに、同一のフィルムが貼り付けられた状態のままレーザ加工して各貫通領域30a,30bを形成しようとすると、フィルム1に形成される貫通領域21a,21bの上部開口の幅が、セラミックグリーンシート3に形成すべき貫通領域30a,30bの上部開口の幅よりも大きくなるので、隣り合う貫通領域21a,21bが互いに重なり合ってしまうことになるが、フィルム1を貼り替えることにより、図9,10,図12,13などに示すように、隣り合う貫通領域21a,21bが互いに重なり合ってしまうことを防止して、貫通領域30a,30bを高密度に形成することが可能になるとともに、貫通領域30a,30bに導体4を確実に充填することが可能になり、回路やビアホールなどを効率よく高密度に形成することが可能になる。
【0070】
そして、この実施形態5のようにして回路やビアホールなどが高密度に形成されたセラミックグリーンシートを用いることにより、配線密度が高く、小型高性能のセラミック多層回路基板をさらに効率よく製造することが可能になる。
なお、上記実施形態5では、形成すべき貫通領域を2つのグループに分割した場合を例にとって説明したが、貫通領域を3以上のグループに分割することも可能である。
【0071】
なお、上記の実施形態では、平面形状(スポット形状)が円形のレーザ光を用いた場合を例にとって説明したが、レーザ光の平面形状(スポット形状)に特別の制約はなく、方形状、方形以外の多角形状、楕円形状などの種々の形状とすることが可能である。
【0072】
また、本願発明において、回路やビアホールなどを形成すべきセラミックグリーンシートの種類や用途に特別の制約はなく、種々のセラミックグリーンシートに回路を形成する場合に広く適用することが可能である。
【0073】
また、上記の各実施形態では、CO2レーザ光を用いているが、本願発明においては、他の種類のレーザを用いることも可能である。
【0074】
なお、本願発明は、その他の点においても上記の各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0075】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)のセラミック多層回路基板の製造方法は、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムによりセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、少なくとも、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートを貫通させて、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成した後、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填するようにしているので、マスクを用いることなく、所望のパターンを有する微細な導体パターンを効率よく形成することが可能になる。
したがって、貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
【0076】
すなわち、本願発明のセラミック多層回路基板の製造方法においては、キャリアフィルム上からレーザ光を照射するようにしているので、キャリアフィルムを通過する過程でレーザ光のエネルギーが減少するため、マスクを用いずに、ライン幅の小さいファインライン回路を効率よく形成することが可能になる。
また、本願発明の方法により形成される回路は、厚みが大きく、かつ一定であることから、積層した場合に、上下層の回路間隔を一定に保つことが可能になり、特性のばらつきを減少させることが可能になる。
【0077】
また、キャリアフィルムがマスクとしての機能を果たすため、導体を確実に貫通領域に充填することが可能になるとともに、キャリアフィルムを除去することにより不要な導体を確実に除去して、所望のパターンを有するファインライン回路を効率よく形成することが可能になる。
【0078】
また、レーザ光が照射される側のキャリアフィルム(入射側フィルム)よりセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルム(裏面側フィルム)を用いるようにしているので、セラミックグリーンシートの変形を招くことなく、キャリアフィルム(入射側フィルム)を確実に剥離することが可能になる。
なお、粘着フィルムを入射側フィルムとする場合には、入射側フィルムを確実に剥離できるようにするために、粘着フィルムとセラミックグリーンシートの密着強度を、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートの密着強度より小さくすることが必要になるが、その場合には、入射側フィルム(粘着フィルム)とセラミックグリーンシートの境界部に導体が入り込み、にじみが生じるおそれがあるが、本願発明のセラミック多層回路基板の製造方法においては、入射側フィルムとしてキャリアフィルムが用いられており、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートの密着強度は、上述のように、キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度を小さくして入射側フィルムとして用いるようにした場合の粘着フィルムよりも大きいので、入射側フィルムとセラミックグリーンシートの境界部に導体が入り込むという不具合が生じるおそれはない。したがって、セラミックグリーンシートの貫通領域への導体の充填時に、セラミックグリーンシートとキャリアフィルムの境界部に導体が入り込むことを抑制、防止して、にじみの発生を確実に防止することが可能になり、信頼性の高いセラミック多層回路基板を効率よく製造することが可能になる。
【0079】
また、セラミックグリーンシートを挟み込むフィルムが補強材としての機能を果たすため、例えば渦巻き形状(スパイラル)などの複雑な形状の回路を形成した場合にも、取扱中の変形や破損などを防止することが可能になり、良好な取扱性を確保することができる。
【0080】
また、本願発明(請求項2)のセラミック多層回路基板の製造方法のように、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートは貫通するが、粘着フィルムは貫通しないようにセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するようにした場合、粘着フィルムによるセラミックグリーンシートの強度を補う機能(補強機能)が十分に発揮され、渦巻き形状などの複雑な形状の回路を形成する場合にも、セラミックグリーンシートの渦巻き形状(スパイラル)の中心部近傍の強度を十分に確保することが可能になり、導体の充填に十分に耐えることが可能になる。したがって、充填不良を引き起こしたりすることなく、導体パターンの形状の自由度を向上させることが可能になり、複雑な形状の回路を確実に形成することができるようになる。そして、貫通領域に導体が確実に充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
【0081】
また、本願発明(請求項3)のセラミック多層回路基板の製造方法のように、キャリアフィルム及び粘着フィルムによりセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するとともに、セラミックグリーンシートを貫通したレーザ光を、部分的に粘着フィルムを貫通させて、粘着フィルムに貫通孔を形成し、この貫通孔を介して真空吸引を行いつつ、キャリアフィルムの貫通領域から、セラミックグリーンシートの貫通領域に導体を充填するようにした場合、セラミックグリーンシートの貫通領域に確実に導体を充填することが可能になり、さらに信頼性の高い導体パターン(回路やビアホールなど)を形成することができるようになるとともに、このようにして回路やビアホールなどが形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層することにより、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することが可能になる。
【0082】
また、請求項4のセラミック多層回路基板の製造方法のように、貫通領域として、導体が充填されることにより回路として機能する貫通領域及び/又は導体が充填されることによりビアホールとして機能する貫通領域を形成することにより、回路がビアホールにより接続された種々の回路パターンを備えたセラミック多層回路基板を効率よく製造することができるようになる。
【0083】
また、請求項5のセラミック多層回路基板の製造方法のように、形成すべき貫通領域を、所定の間隔をおいて位置する複数のグループに分割し、少なくとも、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに所定のグループの貫通領域を形成するとともに、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填した後、キャリアフィルムを剥離して、貫通領域の形成されていない別のフィルムに貼り替えた後、少なくとも、貼り替えたフィルム及びセラミックグリーンシートに他のグループの貫通領域を形成するとともに、貼り替えたフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填し、複数のグループに分割された各グループの貫通領域のすべてに導体が充填されるまで、フィルムの貼り替え、貫通領域の形成、導体の充填の工程を繰り返して行うことにより、貫通領域に導体が充填された回路やビアホールなどを高密度に形成することが可能になり、小型高性能のセラミック多層回路基板をさらに効率よく製造することができるようになり有意義である。
【0084】
また、請求項6のセラミック多層回路基板の製造方法のように、レーザ光としてセラミックの加工に適したCO2レーザ光を用いることにより、生産性を向上させることが可能になる。
【0085】
また、請求項7のセラミック多層回路基板の製造方法のように、レーザ光を、回折格子を通過させることにより分光し、分光された複数のレーザ光を、セラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射するようにした場合、セラミックグリーンシートに効率よく貫通領域を形成することが可能になり、生産性を向上させることができる。
【0086】
また、請求項8のセラミック多層回路基板の製造方法のように、レーザ光が入射する入射側フィルムとして、レーザ光吸収剤を含有する樹脂フィルムを用いた場合、照射されるレーザ光のエネルギーを、入射側フィルムが吸収しやすくなるため、より低い出力でレーザ加工を行い、微細な貫通領域を精度よく形成することができるようになり、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を効率よく製造することが可能になる。
【0087】
また、本願発明(請求項9)のセラミック多層回路基板は、請求項1〜8のセラミック多層回路基板の製造方法により製造されたものであり、所望の特性を備えた、信頼性の高いセラミック多層回路基板を提供することができる。
また、複雑な形状のファインライン回路を備えたセラミックグリーンシートを用いたものである場合、高密度で、小型高性能のセラミック多層回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートに貫通領域を形成した状態を示す正面断面図である。
【図2】本願発明における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートの貫通領域へ導電ペーストを充填した状態を示す正面断面図である。
【図3】本願発明における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートの貫通領域へ導電ペーストを充填した後、入射側フィルムを剥離した状態を示す正面断面図である。
【図4】(a)は本願発明の実施形態1において、入射側フィルムに形成された貫通領域(回路用貫通領域)を示す平面図、(b)は正面断面図、(c)はセラミックグリーンシートに形成された回路用貫通領域を示す平面図である。
【図5】(a)〜(i)は、実施形態1のセラミック多層回路基板の製造工程を示す図である。
【図6】(a)は、本願発明の実施形態4において、入射側フィルムに形成された貫通領域、裏面側フィルムに形成された貫通孔などを示す平面図、(b)は正面断面図である。
【図7】本願発明の実施形態4において、入射側フィルムに形成された貫通領域から導電ペーストを充填する方法を説明する図であって、(a)は導電ペーストを充填する前の状態を示す図、(b)は導電ペーストを充填した後の状態を示す図である。
【図8】本願発明の実施形態5における、セラミックグリーンシートに形成すべき貫通領域の配設状態を示す正面断面図である。
【図9】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートに所定のグループの貫通領域を形成した状態を示す正面断面図である。
【図10】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートに形成された所定のグループの貫通領域に導体を充填した状態を示す正面断面図である。
【図11】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、入射側フィルムを貼り替えた状態を示す正面断面図である。
【図12】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートに他のグループの貫通領域を形成した状態を示す正面断面図である。
【図13】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、セラミックグリーンシートに形成された他のグループの貫通領域に導体を充填した状態を示す正面断面図である。
【図14】実施形態5における、セラミックグリーンシートへの回路形成方法を説明する図であって、入射側フィルムを剥離した後の、回路が形成され、裏面側が粘着フィルムに保持されたセラミックグリーンシートを示す正面断面図である。
【図15】実施形態5の方法により製造される分割回路パターンを模式的に示す図である。
【図16】セラミックグリーンシートに形成される回路パターンの一例を示す平面図である。
【図17】入射側フィルムに形成される貫通領域の上部開口の幅が大きくなり、隣り合う貫通領域が互いに重なり合ってしまった状態を示す正面断面図である。
【図18】セラミックグリーンシートへの回路形成方法の従来例を示す図である。
【図19】(a)〜(c)はマスクを用いずにセラミックグリーンシートに導体パターンを形成する方法の従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 キャリアフィルム(入射側フィルム)
1a キャリアフィルムの貫通領域
2 粘着フィルム(裏面側フィルム)
2a 独立した複数の貫通孔
3 セラミックグリーンシート
3a セラミックグリーンシートの貫通領域(回路用貫通領域)
4 導体(導電ペースト)
5 回路(ビアホール)
6 ビアホール用貫通領域
8 積層体
9 素子
10 端面電極(外部電極)
11 多孔質板からなるテーブル
12 配線パターン(電極パターン)
12a 配線パターン(印刷配線パターン)
13 他のセラミックグリーンシート
A セラミック多層回路基板
D1 入射側フィルムの表面のスポット径
D2 セラミックグリーンシートの表面のスポット径
D3 貫通孔の下面側の直径
P スポットとスポットの間の距離(ピッチ)
21a,21b キャリアフィルムの貫通領域
30a,30b セラミックグリーンシートの貫通領域
32a,32b 分割回路パターンを形成する回路
32 分割回路パターン
101 貼り替えたフィルム(入射側フィルム)
Claims (9)
- (a)セラミックグリーンシートの表裏両面側に、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、少なくとも、キャリアフィルムとセラミックグリーンシートを貫通させて、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を備えていることを特徴とするセラミック多層回路基板の製造方法。 - (a)セラミックグリーンシートの表裏両面側に、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、該キャリアフィルムとセラミックグリーンシートは貫通するが、粘着フィルムは貫通しないように出力制御されたレーザ光を照射して、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を備えていることを特徴とするセラミック多層回路基板の製造方法。 - (a)セラミックグリーンシートの表裏両面側に、キャリアフィルム及び、該キャリアフィルムよりもセラミックグリーンシートへの密着強度が大きい粘着フィルムを配設してセラミックグリーンシートを挟み込み、キャリアフィルム側から、出力制御されたレーザ光を照射し、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成するとともに、セラミックグリーンシートを貫通したレーザ光を、部分的に粘着フィルムを貫通させて、粘着フィルムに貫通孔を形成する工程と、
(b)粘着フィルムに形成された貫通孔を介して真空吸引を行いつつ、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程と、
(c)貫通領域に導体が充填されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する工程と
を備えていることを特徴とするセラミック多層回路基板の製造方法。 - 前記貫通領域が、導体が充填されることにより回路として機能する回路用貫通領域及び/又は導体が充填されることによりビアホールとして機能するビアホール用貫通領域であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法。
- 前記キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに貫通領域を形成する工程と、前記キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された貫通領域に導体を充填する工程において、
(a)形成すべき貫通領域を、所定の間隔をおいて位置する複数のグループに分割し、少なくとも、キャリアフィルム及びセラミックグリーンシートに所定のグループの貫通領域を形成するとともに、キャリアフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された前記貫通領域に導体を充填し、
(b)前記キャリアフィルムを剥離して、貫通領域の形成されていない別のフィルムに貼り替えた後、少なくとも、貼り替えたフィルム及びセラミックグリーンシートに他のグループの貫通領域を形成するとともに、貼り替えたフィルムに形成された貫通領域から、セラミックグリーンシートに形成された前記貫通領域に導体を充填し、
(c)前記複数のグループに分割された各グループの貫通領域のすべてに導体が充填されるまで前記(b)の工程を繰り返して行うこと
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法。 - レーザ光としてCO2レーザ光を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法。
- レーザ光を、回折格子を通過させることにより分光し、分光された複数のレーザ光を、キャリアフィルム側からセラミックグリーンシートの複数の領域に同時に照射することにより、セラミックグリーンシートに前記貫通領域を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法。
- レーザ光が入射する入射側フィルムとして、レーザ光吸収剤を含有する樹脂フィルムを用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のセラミック多層回路基板の製造方法により製造されたセラミック多層回路基板であって、積層体の内部に、前記貫通領域に導体が充填されることにより形成された回路及び/又はビアホールが配設された構造を有していることを特徴とするセラミック多層回路基板。
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