JP2004360723A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】２個の内輪を連結環で連結する複列転がり軸受において、連結環のコストの低減を図ることである。
【解決手段】複列の外輪１と２個の内輪２間に複列のボール３を組込む。２個の内輪２の対向端部における内径面に環状溝６を形成し、その環状溝６に係合される連結環８によって２個の内輪２を連結する。連結環８を環状体８ａの外径面における両端部に内輪２の環状溝６に係合される複数の突出部８ｂを周方向に等間隔に設け、環状体８ａの両端部に設けられた突出部８ｂを周方向に半ピッチ位相ずらした構成として、連結環８を樹脂成形が可能とし、コストの低減を図る。
【選択図】 図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複列アンギュラ玉軸受や複列円すいころ軸受等の転がり軸受に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図５に示すように、内径面の両端部にカウンタボア１２が形成された複列の外輪１１の内側に２個の内輪１３を組込み、その両輪１１、１３間に複列のボール１４を組込んだ複列アンギュラ玉軸受は従来から知られている。
【０００３】
上記複列アンギュラ玉軸受においては、機械や装置に対する組込み前の搬送の段階で２個の内輪１３やボール１４が分離するという不都合がある。
【０００４】
そのような不都合を解消するため、図５に示すように、２個の内輪１３の対向端部における内径面のそれぞれに環状溝１５を形成し、各環状溝１５に係合される連結環１６によって２個の内輪１３を連結するようにした複列アンギュラ玉軸受が提案されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連結環１６によって２個の内輪１３を非分離とした従来の複列アンギュラ玉軸受においては、連結環１６の外径面両端部に一対のフランジ１７を設け、各フランジ１７を２個の内輪１３の内径面に形成された環状溝１５に係合させて２個の内輪１３を連結する構成であるため、連結環１６は合成樹脂の成形品とすることができず、削り出しによって形成する必要がある。また、連結環１６は縮径させた状態で内輪１３内に挿入して環状溝１５にフランジ１７を係合させる必要があるため、連結環１６に切り離し部１８を設ける必要があり、連結環１６のコストが高いという不都合がある。
【０００６】
この発明の課題は、２個の内輪を連結環によって連結する転がり軸受において、前記連結環の製造コストの低減化を図ることである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明においては、複列の外輪と２個の内輪間に複列の転動体を組込み、前記２個の内輪の対向端部における内径面に環状溝を形成し、各環状溝に係合される連結環によって前記２個の内輪を連結した転がり軸受において、前記連結環が、環状体の外径面の両端部に前記各環状溝に係合可能な複数の突出部を、その突出部の周方向長さ以上の間隔をおいて等間隔に設け、前記環状体の一端部に設けられた複数の突出部を他端部に設けられた複数の突出部に対して周方向に半ピッチ位相ずらした構成とし、その連結環を合成樹脂の成形品とした構成を採用したのである。
【０００８】
ここで、外輪はその内径面に複列の転走面が形成された単一のものから成るものであってもよく、あるいは、上記外輪を幅方向の中央から分割した２個の分割外輪から成るものであってもよい。
【０００９】
上記のように、環状体の外径面両端部に周方向に等間隔に並ぶ複数の突出部を設け、環状体の一端部に設けられた突出部を他端部に設けられた突出部に対して周方向に半ピッチ位相ずらせることによって、連結環を軸方向に分割される簡単な構成の金型によって樹脂成形することができる。このため、コストの安い連結環を提供することができる。
【００１０】
合成樹脂から成る連結環は、弾性変形させた状態で内輪の内側に挿入し、その復元弾性により形状を復元させて周方向に等間隔に並ぶ突出部を内輪の内径面に形成された環状溝に係合させ、その係合によって２個の内輪を連結状態に保持する。
【００１１】
ここで、環状体の両端部に設けられた突出部の内側面間の間隔を２個の内輪に設けられた環状溝の内側面間の間隔より小さくしておくと、連結環によって２個の内輪を連結した際に、一対の内輪は互に接近する方向に引き寄せられるため、転動体に予圧を付与することができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図１乃至図４に基づいて説明する。図１乃至図３は、この発明に係る転がり軸受の第１の実施形態を示す。この第１の実施形態で示す転がり軸受は、複列アンギュラ玉軸受から成り、１個の複列の外輪１と、その外輪１の内側に組込まれた２個の内輪２と、その２個の内輪２と外輪１間に組込まれた複列の転動体としてのボール３と、各列の転動体３を保持する保持器４とから成り、前記外輪１の内径面における両端部にはカウンタボア５が設けられている。
【００１３】
図２に示すように、２個の内輪２の対向端部における内径面には環状溝６が形成され、その環状溝６と内輪２の対向端面間に形成された環状突出部７の内径は、内輪２の内径より大径とされている。
【００１４】
２個の内輪２は環状溝６に係合される連結環８によって連結されている。図２および図３に示すように、連結環８は環状体８ａを有し、その環状体８ａの内径は内輪２の内径より大径とされている。環状体８ａの外径面における両端部には内輪２の環状溝６に対して係合可能な複数の突出部８ｂが周方向に等間隔に形成され、その間隔は突出部８ｂの周方向長さ以上とされている。
【００１５】
環状体８ａの一端部において等間隔に設けられた突出部８ｂは他端部において等間隔に設けられた突出部８ｂに対して周方向に半ピッチ位相がずれ、環状体８ａの軸方向で突出部８ｂが対向することのない配置とされている。また、環状体８ａの両端部に設けられた突出部８ｂの内側面の間隔は、２個の内輪２のそれぞれに形成された前記環状溝６の内側面の間隔より小さくなっている。
【００１６】
このため、連結環８の突出部８ｂを内輪２の環状溝６に係合させて２個の内輪２を連結したとき、その２個の内輪２は互に接近する方向に引き寄せられて、複列のボール３に予圧が付与されるようになっている。
【００１７】
上記の構成から成る連結環８は軸方向に分割される金型によって樹脂成形されている。樹脂材料として、弾性を有する樹脂が採用され、そのような樹脂として、ポリアミドやポリアセタノールを挙げることができる。
【００１８】
上記のように、連結環８を合成樹脂の成形品とすることにより、その連結環８を弾性変形させて一方の内輪２の内側に挿入し、その連結環８を２個の内輪２のそれぞれに形成された環状溝６の位置において変形時の復元弾性により形状復元させて突出部８ｂを環状溝６に係合させることにより、２個の内輪２を連結することができる。
【００１９】
このため、内輪２をきわめて簡単に連結することができると共に、その２個の内輪２を連結することによって複列アンギュラ玉軸受が搬送時に分解するのを防止することができる。また、装置や機械類に対して複列アンギュラ玉軸受を容易に組込むことができ、しかも、連結環８の内径は内輪２の内径より大径であるため、連結環８が内輪２の内側に挿入される回転軸の組込みを阻害することもない。
【００２０】
また、連結環８は環状体８ａの両端部に設けられた等間隔に配置の突出部８ｂを周方向に半ピッチ位相をずらした構成であるため、合成樹脂の成形品とすることができ、コストの安い連結環を得ることができると共に、成形用金型として軸方向に分割される簡単な構造の金型を採用することができる。
【００２１】
第１の実施形態で示す複列アンギュラ玉軸受においては、外輪１として複列の転走面を有する単一のものを示したが、図４の第２の実施形態で示すように、幅方向の中央において分割された２個の分割外輪１ａ、１ａから成るものであってもよい。
【００２２】
また、実施の形態では、複列転がり軸受として、複列アンギュラ玉軸受を示したが、これに限定されるものではない。例えば、複列の外輪と２個の内輪から成る複列円すいころ軸受や複列円筒ころ軸受であってもよい。
【００２３】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、連結環の外径面両端部に複数の突出部を等間隔に設け、その両端部の突出部を周方向に半ピッチ位相をずらしたことによって連結環を合成樹脂の成形品とすることができ、削り出しから成る連結環に比較して製造コストの低減を図ることができる。
【００２４】
また、連結環を弾性変形させることによって突出部を内輪の内径面に形成された環状溝に係合させることができるため、２個の内輪をきわめて容易に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に係る転がり軸受の第１の実施形態を示す縦断正面図
【図２】図１の一部を拡大して示す断面図
【図３】図１に示す連結環の斜視図
【図４】この発明に係る転がり軸受の第２の実施形態を示す断面図
【図５】従来の複列転がり軸受の縦断正面図
【符号の説明】
１ 外輪
２ 内輪
３ ボール（転動体）
６ 環状溝
８ 連結環
８ａ 環状体
８ｂ 突出部

Claims (2)

  1. 複列の外輪と２個の内輪間に複列の転動体を組込み、前記２個の内輪の対向端部における内径面に環状溝を形成し、各環状溝に係合される連結環によって前記２個の内輪を連結した転がり軸受において、前記連結環が、環状体の外径面の両端部に前記各環状溝に係合可能な複数の突出部を、その突出部の周方向長さ以上の間隔をおいて等間隔に設け、前記環状体の一端部に設けられた複数の突出部を他端部に設けられた複数の突出部に対して周方向に半ピッチ位相ずらした構成とし、その連結環を合成樹脂の成形品としたことを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記外輪が幅方向中央において分割された２個の分割外輪から成る請求項１に記載の転がり軸受。
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